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  • 特許-捕集装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】捕集装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/02 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
G01N1/02 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021038193
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138354
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 順介
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-12047(JP,A)
【文献】実公昭55-15107(JP,Y2)
【文献】特開2011-12977(JP,A)
【文献】特開2009-180609(JP,A)
【文献】特開2008-70222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に開口部を有する筒状の本体と、
飛来粒子を取り込むための第1開口と、前記第1開口よりも径が小さい第2開口を有し、一方の前記開口部を塞ぎ、且つ前記第2開口が前記本体の内部に位置する筒体と、
前記本体の内部において、前記筒体から離間して配置される第1フィルターと、
前記筒体と前記第1フィルターとの間において前記第1フィルターと離間して配置される第2フィルターと、
を備える捕集装置。
【請求項2】
前記筒体がすり鉢形状である、請求項1に記載の捕集装置。
【請求項3】
前記第2フィルターが前記第2開口と接触している、請求項1又は2に記載の捕集装置。
【請求項4】
前記第2フィルターの目の粗さが前記第1フィルターの目の粗さよりも粗い、請求項1から3の何れか一項に記載の捕集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電所において、風に乗ってきた砂等の飛来粒子が太陽光パネルの表面に付着して堆積すると、太陽光パネルにより十分な発電電力を得られなくなる虞がある。太陽光パネルを清掃すれば発電電力は回復するが、清掃のタイミングが判断しにくい。飛来粒子がいつ、どれくらいの量で堆積するかを測定し、そのデータを活用すれば、一度の清掃で効果的に飛来粒子を清掃できる。そこで、飛来粒子の堆積量を正確に測定することが求められている。
【0003】
ここで、飛来粒子を捕集する装置の一例として、特許文献1には吸引機とフィルターを備え、吸引機により吸い込んだ空気に含まれる物質をフィルターによって捕集する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-50870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、吸引機によって捕集装置周辺の空気を吸い込んでその空気に含まれる物質の捕集を行う。よって、捕集した物質の堆積量を測定したとしても、実際に飛来した物質の正確な堆積量を測定することができない。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、飛来粒子を捕集するための捕集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、両端に開口部を有する筒状の本体と、飛来粒子を取り込むための第1開口と、前記第1開口よりも径が小さい第2開口を有し、一方の前記開口部を塞ぎ、且つ前記第2開口が前記本体の内部に位置する筒体と、前記本体の内部において、前記筒体から離間して配置される第1フィルターと、前記筒体と前記第1フィルターとの間において前記第1フィルターと離間して配置される第2フィルターと、を備える捕集装置が提供される。
【0008】
以上によれば、飛来粒子のうち自然に落下してくるものだけを捕集することができる。よって、捕集した飛来粒子の量を測定することにより、飛来粒子の正確な堆積量を把握できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、飛来粒子を捕集できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】捕集装置10が太陽光発電所に設置されている様子を示す概略図である。
図2】捕集装置10の斜視図である。
図3】捕集装置10の断面図である。
図4】捕集装置10の底面図である。
図5】網51が取り付けられた捕集装置10の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているところ、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
図1は、本実施形態における捕集装置が太陽光発電所に設置されている様子を示す概略図である。
【0013】
図1において、太陽光発電所100の敷地内には、所定の電力を発電することを目的として、複数の太陽光パネル110が整列して設置されている。捕集装置10は、太陽光発電所100の敷地内において、たとえば、太陽光パネル110の設置スペースに隣接する空きスペースに設置される。
【0014】
捕集装置10は、例えば1日、1週間、1か月等、捕集装置10の設置者によって予め定められた期間だけ特定の場所に設置され、その期間内に特定の場所に飛来する飛来粒子を捕集する。なお、飛来粒子以外の物質(地表付近で巻き上げられた砂埃等)を捕集することを防止するため、捕集装置10は、地表から離して設置することが好ましい。図1の例において、捕集装置10は、脚立の上端側に固定されている。
【0015】
<捕集装置の構造>
図2及び図3は捕集装置10の斜視図及び断面図である。捕集装置10は、本体11と、漏斗12と、ガーゼ13と、ろ紙14とを備える。
【0016】
(本体)
本体11は、筒状の部材である。図2及び図3に示すように、本実施形態では本体11は円筒(断面が円形)である。なお、本体11は円筒ではなく角筒(断面が多角形)であってもよい。本体11の両端は開口部41U及び41Lとなっている。ここで、本体11の長軸方向を鉛直方向にして、上側の開口部を41U、下側の開口部を41Lとする。本体11の外周上には、複数の穴31が設けられている。複数の穴31は、開口部41Lから長軸方向に離れた同一円周上に設けられている。
【0017】
(漏斗)
漏斗12は、すり鉢状の部材である。漏斗12は、第1開口21と、第2開口22と、テーパー部23と、管部24とを有する。第2開口22の径は、第1開口21の径よりも小さい。テーパー部23はすり鉢状の斜面部に該当し、第1開口21を一端として他端に向かって内径が減少している。管部24は管状の部材である。管部24の一端はテーパー部23の小径側の端部と連結している。管部24の他端は、第2開口22である。漏斗12は、「筒体」の一例である。
【0018】
本実施形態において、漏斗12は本体11の一端に粘着テープや接着剤によって取り付けられている。漏斗12は本体11の一端の開口部41Uを塞いでいる。このような状態において、第2開口22は、本体11の内部に配置されている。
【0019】
(ガーゼ)
ガーゼ13は飛来粒子を捕集するための部材である。ガーゼ13は、目の粗い平織りにした柔らかい布である。ガーゼ13は、その目の粗さよりも大きい飛来粒子を収集する。ガーゼ13は、「第2フィルター」の一例である。
【0020】
本実施形態において、ガーゼ13は漏斗12に取り付けられている。ガーゼ13は管部24の外周及び第2開口22の外側を被覆している。ガーゼ13は外側から糸25によって管部24に縛られて固定されている。
【0021】
(ろ紙)
ろ紙14は、ガーゼ13を通過した飛来粒子を捕集するための部材である。ろ紙14は、たとえば綿繊維やガラス繊維でできている。ろ紙14の目の粗さは、ガーゼ13の目の粗さより細かい。ろ紙14は、「第1フィルター」の一例である。
【0022】
本実施形態において、ろ紙14は、ろ紙ホルダ15の上面に載せ置かれる(図3参照)。ろ紙ホルダ15は皿状の部材である。ろ紙ホルダ15の大きさは本体11の内径より少し小さい。ろ紙14は、ろ紙ホルダ15の上面で本体11の内径とほぼ同等の大きさで拡げられている。
【0023】
ろ紙ホルダ15は、底面に複数の穴32を有する。飛来粒子は、雨水等の液体とともに捕集装置10に取り込まれることがある。この場合、ガーゼ13及びろ紙14は、飛来粒子と液体とを分離し、飛来粒子のみを捕集する。穴32は、ろ紙14を透過した液体を排出し、ろ紙ホルダ15の底面に液体が溜まることを防止する。
【0024】
たとえば、ろ紙14及びろ紙ホルダ15は、本体11の開口部41Lからろ紙14、ろ紙ホルダ15の順に挿入される。その後、複数の穴31に複数のワイヤ16が通される。複数のワイヤ16は、本体11の長軸方向に直交する断面において、格子状となるように張り巡らされている。その状態を図4に示す。複数のワイヤ16を設けることにより、ろ紙14及びろ紙ホルダ15を本体11内部に保持できる。
【0025】
<捕集装置による飛来粒子の捕集>
たとえば、図1に示すように、捕集装置10は、漏斗12が取り付けられた開口部41Uを上側にして脚立の上端に固定される。捕集装置10は、自然に落下してくる飛来粒子を第1開口21から取り込む。第1開口21から取り込まれた飛来粒子の一部は直接、第2開口22へと到達する。一方、テーパー部23に堆積する飛来粒子もありうる。このような飛来粒子は、テーパー部23の傾斜に沿って管部24及び第2開口22へと導かれる。第2開口22に取り付けられたガーゼ13に到達した飛来粒子のうち、ガーゼ13の目の粗さよりも大きな飛来粒子は、ガーゼ13によって捕集される。一方、ガーゼ13の目の粗さよりも小さい飛来粒子は、ガーゼ13を通過し、ろ紙14によって捕集される。
【0026】
<効果>
上記実施形態において捕集装置10は、両端に開口部41U、41Lを有する筒状の本体11と、飛来粒子を取り込むための第1開口21と、第1開口21よりも径が小さい第2開口22を有し、一方の開口部41Uを塞ぎ、且つ第2開口22が本体11の内部に位置する漏斗12と、本体11の内部において、漏斗12から離間して配置されるろ紙14と、漏斗12とろ紙14との間においてろ紙14と離間して配置されるガーゼ13と、を備える。
【0027】
このような捕集装置10によれば、第1開口21から取り込まれた飛来粒子をガーゼ13またはろ紙14により捕集することができる。また、捕集装置10は、特許文献1に記載された技術のように、捕集装置周辺の空気を強制的に取り込む機能や装置を備えるものではない。すなわち、捕集装置10は、自然に落下してくる飛来粒子を捕集することができる。従って、飛来粒子の正確な堆積量を測定できる。
【0028】
また、本実施形態に係る捕集装置10において、漏斗12はすり鉢形状である。
【0029】
上記構成では、飛来粒子が第1開口21から取り込まれると、取り込まれた飛来粒子の一部がテーパー部23へと到達する。テーパー部23が管部24に向かって傾斜しているため、飛来粒子がテーパー部23の傾斜に沿って管部24へと導かれやすい。
【0030】
また、本実施形態に係る捕集装置10において、ガーゼ13は第2開口22と接触している。
【0031】
上記構成では、飛来粒子が確実にガーゼ13と接触するか、ガーゼ13を通過する。それゆえ、ガーゼ13による飛来粒子の捕集漏れが防止される。
【0032】
また、本実施形態に係る捕集装置10において、ガーゼ13の目の粗さは、ろ紙14の目の粗さよりも粗い。
【0033】
上記構成では、飛来粒子は2つの捕集部であるガーゼ13又はろ紙14によって捕集される。それゆえ、飛来粒子の捕集漏れが発生しにくい。
【0034】
<変形例>
以下に説明する各変更点を組み合わせて適用してもよい。
【0035】
(1)変形例1
筒体として、漏斗12の管部24が無い部材を用いることもできる。この場合、テーパー部23の小径側の端部が、第2開口22に該当する。
【0036】
(2)変形例2
ガーゼ13は、漏斗12の第2開口22から離間して設けることも可能である。この場合、ガーゼ13は、本体11の内部において第2開口22及びろ紙14から離間した位置に配置される。ガーゼ13は、本体11の内部にマグネットや挟み込み式固定部材等を取り付け、それらによって固定される。
【0037】
(3)変形例3
第1フィルター及び第2フィルターを同じ部材としてもよい。たとえば、第1フィルター及び第2フィルターのいずれもガーゼ13(またはろ紙14)とすることができる。
【0038】
(4)変形例4
本体11及び漏斗12は、一体となっていてもよい。
【0039】
(5)変形例5
ガーゼ13の代わりに、薄手の織布、不織布、ネット等を用いてもよい。
【0040】
(6)変形例6
ろ紙ホルダ15及びワイヤ16以外の構成により、ろ紙14を本体11内部に保持してもよい。具体的には、開口部41Lと同一の断面形状を有する網状の部材51を設けることができる。網状の部材51は、開口部41L全体を塞ぐように本体11に対し、粘着テープや螺子によって取り付けられる。網状の部材51により、ろ紙14が本体11の内部に保持される。その状態を図5に示す。
【符号の説明】
【0041】
10…捕集装置
11…本体
12…漏斗
13…ガーゼ(第2フィルター)
14…ろ紙(第1フィルター)
図1
図2
図3
図4
図5