(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241126BHJP
B65H 29/60 20060101ALI20241126BHJP
B65H 31/24 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H04N1/00 567L
H04N1/00 567Q
B65H29/60 D
B65H31/24
(21)【出願番号】P 2021044026
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】林 宏憲
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-198379(JP,A)
【文献】特開2017-085292(JP,A)
【文献】特開2009-057166(JP,A)
【文献】国際公開第2016/092703(WO,A1)
【文献】特開2011-022455(JP,A)
【文献】特開2000-159416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B65H 29/60
B65H 31/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ原稿を積載可能な第1トレイ、第2トレイおよび第3トレイと、
前記第1トレイ上に載置されている前記原稿を、搬送方向の長さが予め定められた基準長さを超える第1サイズ原稿とそうではない第2サイズ原稿とに区別して検出可能な原稿長さ検出部と、
前記第1トレイ上の前記原稿を1枚ずつ前記第2サイズ原稿の搬送に対応した第1搬送路に沿って搬送し、さらに前記第2サイズ原稿を前記第2トレイ上へ排出する第1搬送処理と、前記第1トレイ上の前記を1枚ずつ前記第1サイズ原稿および前記第2サイズ原稿の搬送に対応した第2搬送路に沿って搬送し、さらに前記原稿を前記第3トレイ上へ排出する第2搬送処理と、を選択的に実行可能な搬送装置と、
前記第1搬送処理または前記第2搬送処理により搬送される前記原稿から画像を読み取る画像読取部と、
予め定められた選択操作に従って前記第1搬送処理および前記第2搬送処理の一方を指定搬送処理として選択する選択部と、
予め定められた開始イベントが発生した場合に、前記第2搬送処理が前記指定搬送処理として選択されており、かつ、前記原稿長さ検出部により前記第1サイズ原稿が検出されているときに、前記搬送装置に前記第2搬送処理を実行させ、前記第2搬送処理による前記原稿の搬送枚数が予め定められた上限枚数に達したときに、前記搬送装置に前記第1搬送処理を実行させる制御部と、を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記第3トレイは、前記第2搬送路の排出口を閉じる閉位置と前記第2搬送路の排出口を開放する開位置との間で変位可能に支持されている、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第3トレイが前記閉位置に存在するトレイ閉状態を検出するトレイ閉検出部と、
前記開始イベントが発生した場合に、前記トレイ閉検出部により前記トレイ閉状態が検出されており、かつ、前記原稿長さ検出部により前記第2サイズ原稿が検出されているときに、前記第3トレイを開くことを促すトレイ開情報を情報出力装置を通じて出力する第1通知部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記トレイ開情報が出力された後に、前記トレイ閉検出部により前記トレイ閉状態が検出されなくなるのを待って、前記搬送装置に前記第2搬送処理を実行させる、請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記開始イベントが発生した場合に、前記第1搬送処理が前記指定搬送処理として選択されており、かつ、前記トレイ閉検出部により前記トレイ閉状態が検出されておらず、かつ、前記原稿長さ検出部により前記第2サイズ原稿が検出されているときに、前記第1通知部は、前記第2搬送処理が実行されることを表す搬送変更情報を前記情報出力装置を通じて出力し、前記制御部は、前記第2搬送処理を前記搬送装置に実行させる、請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第1トレイに前記搬送方向に交差する幅方向に沿って移動可能に設けられ、前記第1トレイ上の前記原稿の両側辺に沿わされる一対のサイドカーソルと、
前記一対のサイドカーソルの前記幅方向の位置を検出するカーソル位置検出部と、
前記開始イベントが発生した場合に、前記原稿長さ検出部の検出結果と前記カーソル位置検出部の検出結果との間で予め定められた整合条件が成立しないときに、前記一対のサイドカーソルの位置の調整を促すカーソル調整情報を情報出力装置を通じて出力し、さらに前記整合条件が成立したときに前記カーソル調整情報の出力を停止する第2通知部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記カーソル調整情報が出力される場合に、予め定められた解除条件が成立するまで、前記搬送装置の作動を禁止する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を2つの搬送経路のいずれかに沿って搬送可能な画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、原稿を搬送する搬送装置と、搬送される前記原稿から画像を読み取る画像読取部と、を備える場合がある。さらに、前記搬送装置が、前記原稿を折り返し搬送路とストレート搬送路のいずれかに沿って搬送可能な場合がある。
【0003】
また、搬送方向の長さが短い前記原稿は、前記折り返し搬送路での搬送に適さない場合がある。一方、前記ストレート搬送路は、そのような短い原稿の搬送も可能な場合がある。
【0004】
例えば、前記画像読取装置において、前記原稿の搬送経路が、搬送路に配置されたセンサーの検出結果に応じて選択されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。前記センサーは、前記原稿の厚みを検出する厚みセンサー、および、前記原稿の通過時間を検出するための原稿検出センサーなどである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記画像読取装置が、ユーザーの操作に従って前記原稿の搬送経路を選択する機能を備える場合がある。この機能は、例えば搬送路に配置されたセンサーの検出結果に応じて前記原稿の搬送経路の自動選択を行うことが難しい場合などに有効である。
【0007】
一方、積載可能な前記原稿の枚数が少ない簡易トレイが、2つの搬送路に対応する2つの排出トレイのうちの一方として採用される場合がある。ユーザーによって選択された前記搬送経路に対応する前記排出トレイが前記簡易トレイであり、かつ、供給トレイに積載された前記原稿の枚数が多い場合に、前記簡易トレイ上で前記原稿の過剰積載が生じるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、原稿の搬送路がユーザーの操作に従って選択される場合に、排出トレイ上での原稿の過剰積載を回避できる画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る画像読取装置は、それぞれ原稿を積載可能な第1トレイ、第2トレイおよび第3トレイと、原稿長さ検出部と、搬送装置と、画像読取部と、選択部と、制御部と、を備える。前記原稿長さ検出部は、前記第1トレイ上に載置されている前記原稿を、搬送方向の長さが予め定められた基準長さを超える第1サイズ原稿とそうではない第2サイズ原稿とに区別して検出可能である。前記搬送装置は、前記第1トレイ上の前記原稿を1枚ずつ前記第2サイズ原稿の搬送に対応した第1搬送路に沿って搬送し、さらに前記第2サイズ原稿を前記第2トレイ上へ排出する第1搬送処理と、前記第1トレイ上の前記を1枚ずつ前記第1サイズ原稿および前記第2サイズ原稿の搬送に対応した第2搬送路に沿って搬送し、さらに前記原稿を前記第3トレイ上へ排出する第2搬送処理と、を選択的に実行可能である。前記画像読取部は、前記第1搬送処理または前記第2搬送処理により搬送される前記原稿から画像を読み取る。前記選択部は、予め定められた選択操作に従って前記第1搬送処理および前記第2搬送処理の一方を指定搬送処理として選択する。前記制御部は、予め定められた開始イベントが発生した場合に、前記第2搬送処理が前記指定搬送処理として選択されおり、かつ、前記原稿長さ検出部により前記第1サイズ原稿が検出されているときに、前記搬送装置に前記第2搬送処理を実行させ、前記第2搬送処理による前記原稿の搬送枚数が予め定められた上限枚数に達したときに、前記搬送装置に前記第1搬送処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、原稿の搬送路がユーザーの操作に従って選択される場合に、排出トレイ上での原稿の過剰積載を回避できる画像読取装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像読取装置の構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る画像読取装置における原稿搬送装置の構成図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像読取装置における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る画像読取装置における搬送前処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る画像読取装置における搬送読取制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る画像読取装置における第1継続制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る画像読取装置における第2継続制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[画像読取装置1の構成]
実施形態に係る画像読取装置1は、原稿9を搬送し、搬送される原稿9の画像を読み取ることが可能な装置である。
【0014】
図1に示されるように、画像読取装置1は、本体部11および本体部11の上面を覆うカバー部12を備える。本体部11は、各種の機器を収容する筐体である。カバー部12は、本体部11の上面を覆う位置と本体部11の上面を開放する位置との間で変位可能に支持されている。カバー部12は、本体部11に設けられた不図示のヒンジにより変位可能に支持されている。
【0015】
さらに、画像読取装置1は、カバー部12の上面に配置されたコンタクトガラス64およびプラテンガラス65を備える。コンタクトガラス64およびプラテンガラス65は、それぞれ透明な板状部材である。
【0016】
さらに、画像読取装置1は、原稿搬送装置2、画像読取部6、移動機構7、制御装置8、操作装置801および表示装置802などを備える。原稿搬送装置2は、カバー部12に組み込まれている。
【0017】
原稿搬送装置2は、供給トレイ3a、第1排出トレイ3b、搬送路40、搬送装置4、供給原稿検出部5、搬送原稿センサー51およびトレイ閉センサー52などを備える。搬送路40は、原稿9が搬送される通路を形成している。
【0018】
供給トレイ3aおよび第1排出トレイ3bは、それぞれ原稿9を積載可能である。本実施形態において、第1排出トレイ3bは、供給トレイ3aの下方に配置されている。なお、供給トレイ3aは、第1トレイの一例であり、第1排出トレイ3bは第2トレイの一例である。
【0019】
供給原稿検出部5は、供給トレイ3a上に載置された原稿9を検出する。供給原稿検出部5は、第1供給原稿センサー5aおよび第2供給原稿センサー5bを含む。第1供給原稿センサー5aおよび第2供給原稿センサー5b各々が、供給トレイ3a上に載置された原稿9を検出可能である。
【0020】
例えば、第1供給原稿センサー5aおよび第2供給原稿センサー5b各々は、それぞれ不図示の第1変位部材および第1検出センサーを備える。
【0021】
前記第1変位部材は、供給トレイ3a上の原稿9の荷重を受けて初期位置である上位置からそれより下方の下位置へ変位する。前記第1検出センサーは、前記下位置へ変位した前記第1変位部材を検出する。
【0022】
搬送原稿センサー51は、供給トレイ3aから搬送路40へ送り出された原稿9を検出する。例えば、搬送原稿センサー51は、それぞれ不図示の第2変位部材および第2検出センサーを備える。
【0023】
前記第2変位部材は、供給トレイ3aから搬送路40へ送り出された原稿9と接触することにより、基準位置から退避位置へ変位する。前記検出センサーは、前記退避位置へ変位した前記第2変位部材を検出する。
【0024】
搬送装置4は、供給トレイ3a上の原稿9を1枚ずつ搬送路40へ送り出し、さらにその原稿9を搬送路40に沿って搬送し、さらにその原稿9を第1排出トレイ3b上へ排出する。
【0025】
以下の説明において、原稿9が供給トレイ3aから送り出される方向に向かう水平な方向を第1方向D1と称し、第1方向D1に対し反対の方向を第2方向D2と称する。また、第1方向D1および第2方向D2に直行する水平な方向を第3方向D3と称する。
【0026】
図2に示されるように、搬送路40は、搬入路40a、折り返し路40bおよび第1搬出路40cを含む。搬入路40aは、供給トレイ3aに対応する搬入口401から第1方向D1へ向かう通路である。搬送原稿センサー51は、搬入路40aへ送り出される原稿9を検出する。
【0027】
折り返し路40bは、搬入路40aに連なり、第1方向D1から第2方向D2へ折り返す湾曲した通路である。第1搬出路40cは、折り返し路40bに連なり、第2方向D2へ向かい、第1排出トレイ3bに対応する第1排出口403に至る通路である。第1搬出路40cは、コンタクトガラス64の上面に沿う位置を経由し、第1排出口403に至る。
【0028】
搬送装置4は、供給トレイ3aに対応する送出機構41と、搬送路40に沿って配置された複数組の搬送ローラー対43と、を備える。
【0029】
送出機構41は、供給トレイ3a上の原稿9を1枚ずつ搬入路40aへ送り出す。本実施形態において、送出機構41は、供給トレイ3a上の原稿9のうち最上位の1枚を搬入路40aへ送り出す。
【0030】
複数組の搬送ローラー対43は、不図示のモーターによって回転駆動されることにより、原稿9を搬送路40に沿って搬送する。
【0031】
画像読取部6は、原稿9に形成されている画像を読み取り、読み取った画像のデータを出力する画像読取処理を実行する。画像読取部6は、搬送路40に沿って搬送される原稿9に対する前記画像読取処理を実行可能である。さらに、画像読取部6は、プラテンガラス65上に載置された原稿9に対する前記画像読取処理も実行可能である。以下の説明において、画像読取部6によって原稿9から読み取られた画像のことを読取画像と称する。
【0032】
本実施形態において、画像読取部6は、第1画像読取部61、第2画像読取部62およびAFE(Analog Front End)60を含む。
【0033】
以下の説明において、供給トレイ3aに載置された原稿9の上面を第1面と称し、供給トレイ3aに載置された原稿9の下面を第2面と称する。
【0034】
第1画像読取部61は、コンタクトガラス64に対応する位置に配置された状態で、第1搬出路40cを通過する原稿9の前記第1面の画像を読み取る。第2画像読取部62は、搬入路40aを通過する原稿9の前記第2面の画像を読み取る。
【0035】
本実施形態において、第1画像読取部61および第2画像読取部62の各々は、発光部6a、レンズ6bおよびイメージセンサー6cを備える(
図1参照)。発光部6a、レンズ6bおよびイメージセンサー6cは、それぞれ第3方向D3に沿って延びて形成されている。
【0036】
発光部6aは、原稿9に光を照射する。レンズ6bは、原稿9に反射した光をイメージセンサー6cへ導く。イメージセンサー6cは、原稿9に反射した光の強度を検出し、検出信号を前記読取画像の信号として出力するラインセンサーである。
【0037】
AFE60は、前記読取画像の信号をデジタルの画像データへ変換し、その画像データを出力する。前記デジタルの画像データが、前記読取画像のデータである。
【0038】
図1に示される例において、第1画像読取部61および第2画像読取部62の各々は、発光部6a、レンズ6bおよびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)タイプのイメージセンサー6cが一体化されたCIS(Contact Image Sensor)である。
【0039】
移動機構7は、第1画像読取部61をコンタクトガラス64に対向する位置からプラテンガラス65に対向する位置に亘る範囲で移動させる。
【0040】
原稿9が搬送装置4によって搬送される場合に、移動機構7は、第1画像読取部61をコンタクトガラス64に対向する位置に保持する。
【0041】
一方、原稿9がプラテンガラス65上に載置される場合に、移動機構7は、第1画像読取部61をプラテンガラス65に沿って移動させる。これにより、第1画像読取部61の発光部6aの光がプラテンガラス65上の原稿9に走査されつつ、第1画像読取部61のイメージセンサー6cが原稿9の画像を読み取る。
【0042】
即ち、搬送装置4が動作するときの画像読取部6は、搬送路40に沿って搬送される原稿9に対する前記画像読取処理を実行する。一方、搬送装置4が動作しないときの画像読取部6は、プラテンガラス65上に載置された原稿9に対する前記画像読取処理を実行する。
【0043】
なお、第1画像読取部61のイメージセンサー6cがCCD(Charge Coupled Device)タイプのセンサーであってもよい。この場合、移動機構7は、発光部6aおよびレンズ6bを移動させ、CCDタイプのイメージセンサー6cは、予め定められた位置に固定される。
【0044】
操作装置801は、人の操作を受け付ける装置であり、例えば、操作ボタンおよびタッチパネルを含む。表示装置802は、情報を表示する装置であり、例えば、液晶表示ユニットなどのパネル表示装置を含む。
【0045】
制御装置8は、各種のデータ処理および画像読取装置1の制御を実行する。
図3に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81と、RAM(Random Access Memory)82、二次記憶装置83および信号インターフェイス84などの周辺機器とを備える。さらに、制御装置8は、他装置との通信を行う通信装置85も備える。
【0046】
二次記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置83は、前記コンピュータープログラムおよび各種のデータの記憶および更新が可能である。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置83として採用される。
【0047】
信号インターフェイス84は、各種のセンサーが出力する信号をデジタルデータへ変換し、変換後のデジタルデータをCPU81へ伝送する。さらに、信号インターフェイス84は、CPU81が出力する制御指令を制御信号へ変換し、前記制御信号を制御対象の機器へ伝送する。
【0048】
CPU81は、コンピュータープログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。RAM82は、コンピューター読み取り可能な揮発性の記憶装置である。RAM82は、CPU81が実行する前記コンピュータープログラムおよびCPU81が各種の処理を実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。
【0049】
CPU81は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される複数の処理モジュールを含む。前記複数の処理モジュールは、主処理部8a、搬送制御部8bおよび読取制御部8cなどを含む。
【0050】
主処理部8aは、操作装置801に対する操作に応じて各種の処理を開始させる制御、および、表示装置802の制御などを実行する。
【0051】
搬送制御部8bは、搬送装置4を制御することにより、原稿9の搬送を制御する。読取制御部8cは、画像読取部6を制御することにより、画像読取部6に前記画像読取処理を実行させる。
【0052】
本実施形態において、原稿搬送装置2は、原稿9を積載可能な第2排出トレイ3cをさらに備える(
図1,2参照)。第2排出トレイ3cは、第3トレイの一例である。搬送装置4は、折り返し搬送処理とストレート搬送処理とを選択的に実行可能である。
【0053】
前記折り返し搬送処理は、供給トレイ3a上の原稿9を、折り返し路40bを経由して搬送し第1排出トレイ3bへ排出する処理である。前記ストレート搬送処理は、供給トレイ3a上の原稿9を、折り返し路40bの手前で分岐した搬送路に沿って搬送し、第1排出トレイ3bとは異なる第2排出トレイ3c上へ排出する処理である。
【0054】
図1,2に示されるように、第2排出トレイ3cは、供給トレイ3aおよび第1排出トレイ3bに対し第1方向D1へ離れた位置に配置されている。第2排出トレイ3cは、カバー部12の外縁に沿って折り畳み可能である。
【0055】
また、搬送路40は、第2搬出路40dをさらに含む。第2搬出路40dは、搬入路40aに連なり第1方向D1へ向かい第2排出トレイ3cに対応する第2排出口404に至る通路である。
【0056】
即ち、搬送路40は、搬入路40aから折り返し路40bおよび第2搬出路40dへ分岐している。
【0057】
以下の説明において、搬送路40における搬入路40aから折り返し路40bを経由して第1搬出路40cに至る通路を第1搬送路40a-40cと称する。また、搬送路40における搬入路40aから第2搬出路40dに至る通路を第2搬送路40a-40dと称する。
【0058】
さらに、搬送装置4は、経路切替機構44を備える。また、画像読取装置1は、画像読取部6の一部を成す第3画像読取部63をさらに備える。
【0059】
経路切替機構44は、搬入路40aに沿って搬送される原稿9を折り返し路40bおよび第2搬出路40dの一方へ選択的に案内する。換言すれば、経路切替機構44は、原稿9を第1搬送路40a-40cおよび第2搬送路40a-40dのいずれか一方に沿って選択的に案内する。
【0060】
搬送装置4は、送出機構41および複数組の搬送ローラー対43が動作しつつ、経路切替機構44が原稿9を折り返し路40bへ案内する第1動作を行うことが可能である。
【0061】
さらに、搬送装置4は、送出機構41および複数組の搬送ローラー対43が動作しつつ、経路切替機構44が原稿9を第2搬出路40dへ案内する第2動作を行うことが可能である。
【0062】
搬送装置4は、前記第1動作を行うことにより、供給トレイ3a上の原稿9を1枚ずつ第1搬送路40a-40cに沿って搬送し、さらに原稿9を第1排出トレイ3b上へ排出する第1搬送処理を実行する。前記第1搬送処理は、前記折り返し搬送処理である。
【0063】
また、搬送装置4は、前記第2動作を行うことにより、供給トレイ3a上の原稿9を1枚ずつ第2搬送路40a-40dに沿って搬送し、さらに原稿9を第2排出トレイ3c上へ排出する第2搬送処理を実行する。前記第2搬送処理は、前記ストレート搬送処理である。
【0064】
第3画像読取部63は、第2搬出路40dを通過する原稿9の前記第1面の画像を読み取る。第3画像読取部63は、第2画像読取部62と同じ構成を備える。
【0065】
第2排出トレイ3cは、第2排出口404を閉じる閉位置と第2排出口404を開放する開位置との間で変位可能に支持されている。第2排出口404は、第2搬送路40a-40dの排出口である。第2排出トレイ3cは、前記開位置に存在する状態で原稿9を積載可能である。
【0066】
トレイ閉センサー52は、第2排出トレイ3cが前記閉位置に存在するトレイ閉状態を検出する。例えば、トレイ閉センサー52は、前記閉位置の第2排出トレイ3cを検出する接触式のリミットセンサーまたは非接触式のフォトセンサーなどである。トレイ閉センサー52は、トレイ閉検出部の一例である。
【0067】
搬送装置4は、搬送制御部8bによる制御に従って、前記第1搬送処理および前記第2搬送処理を選択的に実行可能である。
【0068】
以上に示されるように、搬送装置4は、供給トレイ3a上の原稿9を1枚ずつ搬送路40に沿って搬送した上で原稿9を搬送路40から第1排出トレイ3bまたは第2排出トレイ3cへ排出することが可能である。
【0069】
以下の説明において、搬送装置4の作動を伴う前記画像読取処理のことを搬送モード読取処理と称する。
【0070】
搬送制御部8bは、前記搬送モード読取処理が実行されるときに、原稿9ごとに搬送装置4に前記第1搬送処理および前記第2搬送処理のいずれを実行させるかを制御することができる。
【0071】
画像読取部6は、前記第1搬送処理または前記第2搬送処理により搬送される原稿9から画像を読み取ることができる。
【0072】
ところで、画像読取装置1が、ユーザーの操作に従って原稿9の搬送経路を選択する機能を備える場合がある。この機能は、例えば搬送路40に配置されたセンサーの検出結果に応じて原稿9の搬送経路の自動選択を行うことが難しい場合などに有効である。
【0073】
後述するように、主処理部8aは、ユーザーによる操作装置801に対する操作に従って原稿9の搬送経路を選択する処理を実行可能である。
【0074】
一方、積載可能な原稿9の枚数が少ない簡易トレイが、2つの搬送路に対応する2つの排出トレイのうちの一方として採用される場合がある。本実施形態において、第2排出トレイ3cは、第1排出トレイ3aよりも積載可能な原稿9の枚数が少ない前記簡易トレイである。
【0075】
ユーザーによって選択された前記搬送経路に対応する前記排出トレイが第2排出トレイ3cであり、かつ、供給トレイ3aに積載された原稿9の枚数が多い場合に、第2排出トレイ3c上で原稿9の過剰積載が生じるおそれがある。
【0076】
画像読取装置1のCPU81は、後述する搬送前処理および搬送読取制御を実行する。これにより、画像読取装置1は、原稿9の搬送経路がユーザーの操作に従って選択される場合に、第2排出トレイ3c上での原稿9の過剰積載を回避することができる。
【0077】
本実施形態において、第1搬送路40a-40cは、搬送方向の長さが予め定められた基準長さよりも短い原稿9の搬送に適さない。一方、第2搬送路40a-40dは、前記基準長さよりも短い原稿9および前記基準長さよりも長い原稿9のいずれも搬送可能である。
【0078】
以下の説明において、搬送方向の長さが前記基準長さ以上の原稿9のことを第1サイズ原稿と称し、搬送方向の長さが前記基準長さよりも短い原稿9のことを第2サイズ原稿と称する。前記第2サイズ原稿が第1搬送路40a-40cに沿って搬送されるとジャムが生じやすい。
【0079】
第1供給原稿センサー5aは、供給トレイ3aに載置された原稿9が前記第1サイズ原稿および前記第2サイズ原稿のいずれである場合でも、その原稿9を検出する位置に配置されている。一方、第2供給原稿センサー5bは、供給トレイ3a上の前記第1サイズ原稿を検出するが、供給トレイ3a上の前記第2サイズ原稿を検出しない位置に配置されている。
【0080】
即ち、第1供給原稿センサー5aおよび第2供給原稿センサー5bの両方が原稿9を検出している状態は、供給原稿検出部5が、供給トレイ3a上に前記第1サイズ原稿が載置されていることを検出している状態である。
【0081】
一方、第1供給原稿センサー5aが原稿9を検出しており、かつ、第2供給原稿センサー5bが原稿9を検出していない状態は、供給原稿検出部5が、供給トレイ3a上に前記第2サイズ原稿が載置されていることを検出している状態である。
【0082】
即ち、供給原稿検出部5は、供給トレイ3a上に載置されている原稿9を、前記第1サイズ原稿と前記第2サイズ原稿とに区別して検出可能である。供給原稿検出部5は、原稿長さ検出部の一例である。
【0083】
また、原稿搬送装置2は、一対のサイドカーソル30、カーソル支持機構31およびカーソル位置センサー53をさらに備える(
図1参照)。カーソル位置センサー53は、カーソル位置検出部の一例である。
【0084】
一対のサイドカーソル30は、供給トレイ3aに前記搬送方向に交差する幅方向に沿って移動可能に設けられている。一対のサイドカーソル30は、人の操作によって供給トレイ3a上の原稿9の両側辺に沿わされる部材である。前記幅方向は第3方向D3である。
【0085】
一対のサイドカーソル30は、供給トレイ3a上の原稿9の両側辺に沿わされることにより、原稿9が供給トレイ3aから搬送路40へ送り出される際に、原稿9を前記搬送方向に沿って案内する。
【0086】
カーソル支持機構31は、一対のサイドカーソル30を前記幅方向に沿って移動可能に支持する。例えば、カーソル支持機構31は、一対のサイドカーソル30を前記幅方向に沿って相互に接近する方向、または、相互に離隔する方向へ連動して移動させるラックアンドピニオン機構である。
【0087】
前記ラックアンドピニオン機構は、一対のサイドカーソル30にそれぞれ連結された一対のラックギヤと、それら一対のラックギヤと噛み合うピニオンギヤとを含む。
【0088】
カーソル位置センサー53は、一対のサイドカーソル30の前記幅方向の位置を検出する。例えば、カーソル位置センサー53は、前記ラックアンドピニオン機構における前記ピニオンギヤの回転量、または、前記ラックギヤの変位量を検出するポテンショメーターである。
【0089】
主処理部8aは、予め定められた開始イベントが発生したときに、前記搬送前処理を開始する(
図4参照)。搬送制御部8bは、前記搬送前処理が終了するまで搬送装置4の作動を禁止する。
【0090】
さらに、搬送制御部8bは、前記搬送前処理の終了に続けて、前記搬送読取制御を開始する(
図5参照)。
【0091】
例えば、前記開始イベントは、供給トレイ3a上の原稿9が供給原稿検出部5によって検出されている状況下で、操作装置801に対する予め定められた開始操作が検出された、というイベントである。
【0092】
[搬送前処理]
以下、
図4に示されるフローチャートを参照しつつ、前記搬送前処理の手順の一例について説明する。
【0093】
以下の説明において、S101,S102,…は、前記搬送前処理における複数の工程の識別符号を表す。前記搬送前処理において、まず、工程S101の処理が開始される。
【0094】
<工程S101>
工程S101において、主処理部8aは、操作装置801に対する予め定められた選択操作に従って指定トレイを選択する。その際、主処理部8aは、表示装置802に予め定められた選択メニュー画面を表示させる。
【0095】
前記指定トレイは、原稿9の排出先として選択される第1排出トレイ3bおよび第2排出トレイ3cの一方である。本実施形態において、前記指定トレイを選択することは、前記第1搬送処理および前記第2搬送処理の一方を指定搬送処理として選択することを意味する。
【0096】
工程S101の処理を実行する主処理部8aは、予め定められた選択操作に従って前記第1搬送処理および前記第2搬送処理の一方を前記指定搬送処理として選択する選択部の一例である。
【0097】
工程S101において、搬送制御部8bは、前記第1搬送処理および前記第2搬送処理のうち前記指定トレイに対応する一方を対象搬送処理として設定する。前記対象搬送処理は、搬送制御部8bが搬送装置4に実行させる搬送処理である。
【0098】
なお、本実施形態において、前記対象搬送処理は、状況に応じて変更され得る。前記対象搬送処理の変更については後述する(工程S108参照)。
【0099】
主処理部8aは、前記指定トレイを選択した後、処理を工程S102へ移行させる。なお、工程S101の処理は、前記開始イベントが発生する前に実行されてもよい。
【0100】
<工程S102>
工程S102において、搬送制御部8bは、供給原稿検出部5、トレイ閉センサー52およびカーソル位置センサー53からセンサー情報を取得し、処理を工程S103へ移行させる。
【0101】
前記センサー情報は、供給原稿検出部5、トレイ閉センサー52およびカーソル位置センサー53の検出結果の情報である。
【0102】
<工程S103>
工程S103において、搬送制御部8bは、供給原稿検出部5の検出結果とカーソル位置センサー53の検出結果との間で予め定められたカーソル整合条件が成立するか否かを判定する。
【0103】
前記カーソル整合条件が成立しない状況は、一対のサイドカーソル30が供給トレイ3a上の原稿9の両側辺に沿わされていない可能性が高い状況を表す。
【0104】
原稿9が、規格サイズの用紙である場合、原稿9の縦寸法および横寸法の対応関係は、原稿9のサイズに応じて予め定まっている。
【0105】
前記カーソル整合条件は、前記第1サイズ原稿に対応する第1許容範囲の条件と、前記第2サイズ原稿に対応する第2許容範囲の条件とを含む。前記第1許容範囲は、前記第1サイズ原稿に対応するカーソル位置センサー53の検出結果の許容範囲を表す。前記第2許容範囲は、前記第2サイズ原稿に対応するカーソル位置センサー53の検出結果の許容範囲を表す。
【0106】
搬送制御部8bは、供給原稿検出部5が前記第1サイズ原稿を検出しており、かつ、カーソル位置センサー53の検出結果が前記第1許容範囲内である場合に、前記カーソル整合条件が成立すると判定する。
【0107】
さらに、搬送制御部8bは、供給原稿検出部5が前記第2サイズ原稿を検出しており、かつ、カーソル位置センサー53の検出結果が前記第2許容範囲内である場合にも、前記カーソル整合条件が成立すると判定する。
【0108】
また、搬送制御部8bは、その他の場合に、前記カーソル整合条件が成立しないと判定する。搬送制御部8bは、前記カーソル整合条件が成立すると判定する場合に処理を工程S106へ移行させ、前記カーソル整合条件が成立しないと判定する場合に処理を工程S104へ移行させる。
【0109】
<工程S104>
工程S104において、主処理部8aは、一対のサイドカーソル30の位置の調整を促すカーソル調整情報を表示装置802を通じて出力する。その後、主処理部8aは処理を工程S105へ移行させる。
【0110】
表示装置802は情報出力装置の一例である。また、工程S104の処理を実行する主処理部8aは第2通知部の一例である。
【0111】
なお、主処理部8aは、前記カーソル調整情報を通信装置85を通じてユーザーの情報端末などの他装置へ出力してもよい。通信装置85および前記情報端末も前記情報出力装置の一例である。
【0112】
<工程S105>
工程S105において、搬送制御部8bは、予め定められた解除条件が成立するか否かを判定する。前記解除条件は、前記カーソル整合条件を十分条件として含む。
【0113】
例えば、前記解除条件が、操作装置801に大して予め定められた解除操作が行われるという解除操作条件と、前記カーソル整合条件と、の論理和の条件である。
【0114】
搬送制御部8bは、前記解除条件が成立すると判定する場合に処理を工程S106へ移行させる。その際、主処理部8aは、前記カーソル調整情報の出力を停止する。
【0115】
一方、搬送制御部8bは、前記解除条件が成立しないと判定する場合に処理を工程S104へ移行させる。即ち、搬送制御部8bは、前記解除条件が成立すると判定するまで工程S104の処理を行いつつ待機する。
【0116】
<工程S106>
工程S106において、搬送制御部8bは、予め定められた搬送整合条件が成立するか否かを判定する。
【0117】
前記搬送整合条件は、前記指定トレイに対応する前記指定搬送処理が供給原稿検出部5によって検出される原稿9の長さと整合していることを表す条件である。
【0118】
即ち、前記指定搬送処理が前記第1搬送処理である場合に、供給原稿検出部5が前記第1原稿サイズの原稿9を検出していれば前記搬送整合条件は成立し、そうでなければ前記搬送整合条件は成立しない。
【0119】
さらに、前記指定搬送処理が前記第2搬送処理である場合に、供給原稿検出部5が前記第1原稿サイズまたは前記第2原稿サイズの原稿9を検出していれば前記搬送整合条件は成立し、そうでなければ前記搬送整合条件は成立しない。
【0120】
即ち、前記指定搬送処理が前記第1搬送処理であり、かつ、供給原稿検出部5によって前記第2サイズ原稿が検出されている場合にのみ、前記搬送整合条件が不成立と判定される。
【0121】
搬送制御部8bは、前記搬送整合条件が成立すると判定する場合に処理を工程S109へ移行させ、前記搬送整合条件が成立しないと判定する場合に処理を工程S107へ移行させる。
【0122】
<工程S107>
工程S107において、主処理部8aは、原稿9が第2排出トレイ3cへ搬送されることを表す搬送変更情報を表示装置802を通じて出力する。その後、主処理部8aは、処理を工程S108へ移行させる。
【0123】
前記搬送変更情報は、前記第2搬送処理が実行されることを表す情報であるとも言える。工程S107の処理を実行する主処理部8aは、第1通知部の一例である。
【0124】
<工程S108>
工程S108において、搬送制御部8bは、前記対象搬送処理を前記第1搬送処理から前記第2搬送処理へ変更する。その後、搬送制御部8bは処理を工程S109へ移行させる。
【0125】
<工程S109>
工程S109において、搬送制御部8bは、トレイ準備がOKであるか否かを判定する。搬送制御部8bは、前記トレイ準備がOKであると判定する場合に前記搬送前処理を終了させ、前記トレイ準備がOKではないと判定する場合に処理を工程S110へ移行させる。
【0126】
具体的には、搬送制御部8bは、前記対象搬送処理が前記第2搬送処理に設定されており、かつ、トレイ閉センサー52が前記トレイ閉状態を検出している場合に、前記トレイ準備がOKではないと判定し、そうでない場合に前記トレイ準備がOKであると判定する。
【0127】
<工程S110>
工程S110において、主処理部8aは、第2排出トレイ3cを開くことを促すトレイ開情報を表示装置802を通じて出力する。その後、主処理部8aは、前記搬送前処理を終了させる。
【0128】
工程S110の処理は、前記開始イベントが発生した場合に、トレイ閉センサー52により前記トレイ閉状態が検出されており、かつ、供給原稿検出部5により前記第2サイズ原稿が検出されているときに実行される。
【0129】
なお、主処理部8aは、工程S109において前記トレイ準備がOKであると判定されたときに、前記トレイ開情報の出力を停止する。工程S109および工程S110の処理を実行する主処理部8aは、前記第1通知部の一例である。
【0130】
[搬送読取制御]
次に、
図5に示されるフローチャートを参照しつつ、前記搬送読取制御の手順の一例について説明する。前述したように、前記搬送読取制御は、前記搬送前処理に続いて実行させる。
【0131】
以下の説明において、S201,S202,…は、前記搬送読取制御における複数の工程の識別符号を表す。前記搬送読取制御において、まず、工程S201の処理が実行される。
【0132】
<工程S201>
工程S201において、搬送制御部8bは、搬送装置4に前記対象搬送処理を実行させる。搬送制御部8bは、前記対象搬送処理の開始に応じて処理を工程S202へ移行させる。
【0133】
搬送制御部8bは、搬送装置4に前記第2搬送処理を実行させるごとに原稿9の搬送枚数をカウントアップすることにより、第2搬送処理数をカウントする。搬送制御部8bは、搬送原稿センサー51の検出結果の変化に応じて前記第2搬送処理数をカウントする。
【0134】
前記第2搬送処理数は、前記第2搬送処理による原稿9の搬送枚数である。また、前記第2搬送処理数は、第2排出トレイ3cに積載される原稿9の枚数でもある。
【0135】
<工程S202>
工程S202において、読取制御部8cは、前記対象搬送処理によって搬送される原稿9に対する前記画像読取処理を実行させる。読取制御部8cは、前記画像読取処理の開始に応じて処理を工程S203へ移行させる。
【0136】
工程S201および工程S202の処理により、1枚の原稿9の搬送が実行され、さらに、その1枚の原稿9についての前記画像読取処理が実行される。
【0137】
<工程S203>
工程S203において、搬送制御部8bは、供給原稿検出部5、トレイ閉センサー52およびカーソル位置センサー53から前記センサー情報を取得し、処理を工程S204へ移行させる。
【0138】
<工程S204>
工程S204において、搬送制御部8bは、供給原稿検出部5が供給トレイ3a上の原稿9を検出している場合に処理を工程S205へ移行させ、そうでない場合に前記搬送読取制御を終了させる。
【0139】
<工程S205>
工程S205において、搬送制御部8bは、工程S201で実行される前記対象搬送処理が前記第1搬送処理である場合に処理を工程S206へ移行させる。一方、搬送制御部8bは、工程S201で実行される前記対象搬送処理が前記第2搬送処理である場合に処理を工程S207へ移行させる。
【0140】
<工程S206>
工程S206において、搬送制御部8bは、後述する第1継続制御を実行する。そして、搬送制御部8bは、前記第1継続制御が終了したときに、処理を工程S201へ移行させる。
【0141】
<工程S207>
工程S207において、搬送制御部8bは、後述する第2継続制御を実行する。そして、搬送制御部8bは、前記第2継続制御が終了したときに、処理を工程S201へ移行させる。
【0142】
[第1継続制御]
次に、
図6に示されるフローチャートを参照しつつ、前記第1継続制御の手順の一例について説明する。
【0143】
以下の説明において、S301,S302,…は、前記第1継続制御における複数の工程の識別符号を表す。前記第1継続制御において、まず、工程S301の処理が実行される。
【0144】
<工程S301>
工程S301において、搬送制御部8bは、
図4の工程S106と同様に、工程S203で得られた前記センサー情報に基づいて前記搬送整合条件が成立するか否かを判定する。
【0145】
供給トレイ3a上において、前記第1サイズ原稿が前記第2サイズ原稿の上に重ねられていた場合に、この工程S301において、工程S106と異なる判定結果が得られる場合がある。
【0146】
搬送制御部8bは、前記搬送整合条件が成立すると判定する場合に前記第1継続制御を終了させ、前記搬送整合条件が成立しないと判定する場合に処理を工程S302へ移行させる。
【0147】
<工程S302>
工程S302において、主処理部8aは、
図4の工程S107と同様に、前記搬送変更情報を表示装置802を通じて出力する。その後、主処理部8aは、処理を工程S303へ移行させる。工程S302の処理を実行する主処理部8aも前記第1通知部の一例である。
【0148】
<工程S303>
工程S303において、搬送制御部8bは、
図4の工程S108と同様に、前記対象搬送処理を前記第1搬送処理から前記第2搬送処理へ変更する。その後、搬送制御部8bは処理を工程S304へ移行させる。
【0149】
<工程S304>
工程S304において、搬送制御部8bは、
図4の工程S109と同様に、前記トレイ準備がOKであるか否かを判定する。搬送制御部8bは、前記トレイ準備がOKであると判定する場合に前記第1継続制御を終了させ、前記トレイ準備がOKではないと判定する場合に処理を工程S305へ移行させる。
【0150】
<工程S305>
工程S305において、主処理部8aは、
図4の工程S110と同様に、前記トレイ開情報を表示装置802を通じて出力する。その後、主処理部8aは、前記第1継続制御を終了させる。
【0151】
なお、主処理部8aは、工程S304において前記トレイ準備がOKであると判定されたときに、前記トレイ開情報の出力を停止する。工程S304および工程S305の処理を実行する主処理部8aは、前記第1通知部の一例である。
【0152】
工程S303~S305の処理により、残りの前記第2サイズ原稿は、第2排出トレイ3cが開かれることを条件に、画像が読み取られるとともに、前記第2搬送処理によって第2排出トレイ3cへ搬送される。
【0153】
[第2継続制御]
次に、
図7に示されるフローチャートを参照しつつ、前記第2継続制御の手順の一例について説明する。
【0154】
以下の説明において、S401,S402,…は、前記第2継続制御における複数の工程の識別符号を表す。前記第2継続制御において、まず、工程S401の処理が実行される。
【0155】
<工程S401>
工程S401において、搬送制御部8bは、前記第2搬送処理数が予め定められた上限枚数に達しているか否かを判定する。前記上限枚数は、第2排出トレイ3cに積載可能な原稿9の最大枚数である。
【0156】
搬送制御部8bは、前記第2搬送処理数が前記上限枚数に達していると判定する場合に処理を工程S402へ移行させ、そうでない場合に前記第2継続制御を終了させる。
【0157】
<工程S402>
工程S402において、搬送制御部8bは、供給原稿検出部5によって前記第1サイズ原稿が検出されているか否かを確認する。搬送制御部8bは、前記第1サイズ原稿が検出されている場合に処理を工程S403へ移行させ、そうでない場合に処理を工程S405へ移行させる。
【0158】
<工程S403>
工程S403において、主処理部8aは、
図4の工程S107と同様に、前記搬送変更情報を表示装置802を通じて出力する。その後、主処理部8aは、処理を工程S404へ移行させる。工程S403の処理を実行する主処理部8aも前記第1通知部の一例である。
【0159】
<工程S404>
工程S404において、搬送制御部8bは、前記対象搬送処理を前記第2搬送処理から前記第1搬送処理へ変更する。その後、搬送制御部8bは前記第2継続制御を終了させる。
【0160】
工程S404の処理により、残りの前記第1サイズ原稿は、画像が読み取られるとともに、前記第1搬送処理によって第1排出トレイ3bへ搬送される。
【0161】
<工程S405>
工程S405において、主処理部8aは、第2排出トレイ3c上の原稿9を除去することを促す原稿除去情報を表示装置802を通じて出力する。その後、主処理部8aは、処理を工程S406へ移行させる。
【0162】
<工程S406>
工程S406において、主処理部8aは、操作装置801に対して予め定められた確認操作が行われたか否かを判定する。前記確認操作は、第2排出トレイ3c上の原稿9が除去されたことを確認する操作である。
【0163】
主処理部8aは、操作装置801に対する前記確認操作が行われたと判定する場合に前記第2継続制御を終了させ、そうでない場合に処理を工程S405へ移行させる。
【0164】
なお、主処理部8aは、工程S406において前記確認操作が行われたと判定されたときに、前記原稿除去情報の出力を停止する。
【0165】
工程S405および工程S406の処理により、第2排出トレイ3c上の原稿9が除去された上で、残りの原稿9について、前記第2搬送処理および前記画像読取処理が継続される。
【0166】
以上に示されるように、
図4の工程S107~S108および
図5の工程S201の処理、または、
図6の工程S302~S303の処理および
図5の工程S201の処理は、前記開始イベントが発生した場合に、以下の特定状況が生じているときに実行される。
【0167】
前記特定状況は、前記第1搬送処理が前記指定搬送処理として選択されており、かつ、トレイ閉センサー52により前記トレイ閉状態が検出されておらず、かつ、供給原稿検出部5により前記第2サイズ原稿が検出されている状況である。
【0168】
工程S107または工程S302において、主処理部8aは、前記第2搬送処理が実行されることを表す前記搬送変更情報を表示装置802を通じて出力する。
【0169】
さらに、工程S107または工程S302の後、工程S108および工程S201、または、工程S303および工程S201において、搬送制御部8bは、前記第2搬送処理を搬送装置4に実行させる。
【0170】
即ち、搬送制御部8bは、前記搬送前処理において、前記指定搬送処理の内容と供給原稿検出部5の検出結果とに応じて、適切な搬送処理を選択する。これにより、原稿9の搬送路がユーザーの操作に従って選択される場合に、原稿9のサイズに整合しない搬送路の選択に従って原稿9が搬送されることが回避される。このような制御は、原稿9が2つの搬送路の分岐点に到達するまでに搬送路40に配置されたセンサーによって原稿9の長さを検出できない場合に有効である。
【0171】
また、前記開始イベントが発生した場合に、供給原稿検出部5の検出結果とカーソル位置センサー53の検出結果との間で予め定められた前記カーソル整合条件が成立しないときに、工程S104~S105の処理が実行される。
【0172】
工程S104~S105において、主処理部8aは、前記カーソル調整情報を表示装置802を通じて出力し、さらに、少なくとも前記カーソル整合条件が成立したときに前記カーソル調整情報の出力を停止する。
【0173】
また、搬送制御部8bは、前記カーソル調整情報が出力される場合に、予め定められた前記解除条件が成立するまで、搬送装置4の作動を禁止する(工程S104~S105参照)。
【0174】
即ち、搬送制御部8bは、一対のサイドカーソル30の位置が適切でない可能性が高い場合に、前記解除条件が成立するまで搬送装置4の作動を禁止する。これにより、原稿9が搬送路40へ斜行状態で送り出されることが回避される。
【0175】
また、主処理部8aは、前記開始イベントが発生した場合に、トレイ閉センサー52により前記トレイ閉状態が検出されており、かつ、供給原稿検出部5により前記第2サイズ原稿が検出されているときに、工程S110の処理を実行する(
図4の工程S106~S110参照)。
【0176】
さらに、搬送制御部8bは、工程S110で前記トレイ開情報が出力された後に、トレイ閉センサー52により前記トレイ閉状態が検出されなくなるのを待って、搬送装置4に前記第2搬送処理を実行させる(
図4の工程S109,S110および
図5の工程S201参照)。
【0177】
従って、第2排出トレイ3cが閉じられた状態のまま前記第2搬送処理が実行されてしまうことが回避される。
【0178】
また、搬送制御部8bは、前記開始イベントが発生した場合に、前記第2搬送処理が前記指定搬送処理として選択されており、かつ、供給原稿検出部5により前記第1サイズ原稿が検出されているときに、搬送装置4に前記第2搬送処理を実行させる(
図4の工程S106および
図5の工程S201参照)。
【0179】
その後、搬送制御部8bは、前記第2搬送処理による原稿9の搬送枚数が予め定められた前記上限枚数に達したときに、搬送装置4に前記第1搬送処理を実行させる(
図7の工程S401~S404および
図5の工程S201参照)。
【0180】
従って、原稿9の搬送路がユーザーの操作に従って選択される場合に、第2排出トレイ3c上での原稿9の過剰積載が回避される。
【符号の説明】
【0181】
1 :画像読取装置
3a :供給トレイ(第1トレイ)
3b :第1排出トレイ(第2トレイ)
3c :第2排出トレイ(第3トレイ)
4 :搬送装置
5 :供給原稿検出部
6 :画像読取部
8b :搬送制御部
8c :読取制御部
30 :サイドカーソル
40a-40c :第1搬送路
40a-40d :第2搬送路
51 :搬送原稿センサー
52 :トレイ閉センサー
53 :カーソル位置センサー
61 :第1画像読取部
62 :第2画像読取部
63 :第3画像読取部
64 :コンタクトガラス