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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】車両支援システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/02 20120101AFI20241126BHJP
   B60W 50/04 20060101ALI20241126BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241126BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B60W50/02
B60W50/04
G08G1/00 X
G08G1/09 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021044770
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022143961
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】後藤 健文
(72)【発明者】
【氏名】岩本 貴之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 国仁
(72)【発明者】
【氏名】浦野 博充
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-008587(JP,A)
【文献】特開2021-002272(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0072967(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0092522(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 50/02
B60W 50/04
G08G 1/00
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段を介して相互に接続される第1及び第2の車両に備えられる車両支援システムであって、
前記第1の車両における車掌機能を担う第1の車掌制御手段と、
前記車掌機能の失陥が発生したか否かを判定する判定手段と、
前記失陥が発生したと判定された場合、前記失陥に関連する前記車掌機能に係る前記第1の車両における車内情報を、前記通信手段を介して伝達し、前記第2の車両で生成される指示に基づいて前記失陥を補完する失陥補完手段と、
前記第2の車両における前記車掌機能を担うと共に、伝達された前記車内情報に基づいて、前記失陥に関連する前記車掌機能を補完するように前記指示を生成し、前記通信手段を介して前記第1の車掌制御手段に少なくとも部分的に代わって担う第2の車掌制御手段と
を備えることを特徴とする車両支援システム。
【請求項2】
前記失陥が発生したと判定された場合、前記第1の車両の現在地から到達可能な一時退避場所まで走行し停車する退避行動を実行する旨の指令を前記第1の車両で生成する退避行動生成手段と、
前記一時退避場所に前記第2の車両を手配する車両手配手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の車両支援システム。
【請求項3】
前記判定手段は、前記失陥の判定に加えて、前記失陥の状態を診断して診断結果情報を生成し、
前記失陥補完手段は、前記車内情報に加えて、前記診断結果情報を前記第2の車両に伝達し、
前記第2の車掌制御手段は、前記診断結果情報に示される前記失陥の状態に基づいて前記第1の車両が自律走行できない場合には、前記第1の車両が前記第2の車両を追従走行するように前記指示を生成することを特徴とする請求項1又は2記載の車両支援システム。
【請求項4】
前記判定手段は、前記失陥の判定に加えて、前記失陥の状態を診断して診断結果情報を生成し、
前記失陥補完手段は、前記車内情報に加えて、前記診断結果情報を前記第2の車両に伝達し、
前記第2の車掌制御手段は、前記診断結果情報に示される前記失陥の状態に基づいて前記第1の車両がセンサ失陥に陥っている場合には、前記第2の車両に備えられており且つ前記センサ失陥に係るセンサに対応するセンサの出力情報に基づいて、前記センサ失陥に係るセンサの認識範囲をカバーするように前記指示を生成することを特徴とする請求項1又は2記載の車両支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば無人自動運転による交通サービスにおいて、自動運転車両である一の車両で車掌機能に失陥が生じた際に、他の車両により当該一の車両の走行を支援する車両支援システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば運転不能となった一の車両を正常に運転可能な先導車両が誘導する隊列運転を実行し、退避場所まで移動させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015―108860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1によれば、一の車両が各種の車掌機能を有していても、それ若しくはそれらの失陥により乗員への車掌動作を実行できない状態のままでの退避走行を余儀なくされたり、一の車両が自走可能であっても車掌機能の失陥により自律判断で走行できないが故に牽引を余儀なくされたりするという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上述した技術的問題に鑑みなされたものであり、無人自動運転車両である一の車両における車掌機能が失陥した場合に、他の車両により当該車掌機能を補うことで当該一の車両の走行を支援可能な車両支援システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両支援システムの一の態様は上記課題を解決するために、通信手段を介して相互に接続される第1及び第2の車両に備えられる車両支援システムであって、前記第1の車両における車掌機能を担う第1の車掌制御手段と、前記車掌機能の失陥が発生したか否かを判定する判定手段と、前記失陥が発生したと判定された場合、前記失陥に関連する前記車掌機能に係る前記第1の車両における車内情報を、前記通信手段を介して伝達し、前記第2の車両で生成される指示に基づいて前記失陥を補完する失陥補完手段と、前記第2の車両における車掌機能を担うと共に、前記伝達された車内情報に基づいて、前記失陥に関連する前記車掌機能を補完するように前記指示を生成し、前記通信手段を介して前記第1の車掌制御手段に少なくとも部分的に代わって担う第2の車掌制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両支援システムの一態様によれば、第1の車両で車掌機能に失陥が発生した際に、正常な車両である第2の車両が有する車掌機能で補完或いは補助することにより、良好に第1の車両の走行を実行可能にする。
が可能となる。
【0008】
本発明によるこのような作用効果は、以下に説明する発明の実施形態により、より明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る車両支援システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る車両支援制御に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3】第2実施形態に係る車両支援システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図4】第3実施形態に係る車両支援システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
先ず図1及び図2を参照して本発明に係る車両支援システムの第1実施形態について説明する。
【0011】
本発明に係る車両支援システムは、通信手段を介して相互に接続される第1の車両としての自動運転車両V1及び第2の車両としての補完車両V2に備えられるものである。自動運転車両V1及び補完車両V2は、適宜、直接相互に無線接続(例えば、近距離無線高速通信で接続)されてよい。車両支援システムには、例えば、自動運転車両V1及び補完車両V2が相互通信可能なサーバ(不図示)が含まれてよい。
【0012】
自動運転車両V1は、無人自動運転車両であり、図1に示すように、例えば、自律走行機能10、車掌機能20、車両ハードウェア30、及び失陥対応装置40を有する。更に、自動運転車両V1は、サーバ(不図示)及び補完車両V2との相互通信を可能にする不図示の通信インターフェースも有している。自律走行機能10は、自動運転車両V1を無人自動運転車両として自律走行させる際の主となる機能である。自律走行機能10として、例えば、自律走行制御部(不図示)によって車両ハードウェア30を制御する制御値が算出される。自律走行制御部(不図示)は、後述する各種センサの出力情報に基づいて、制御値を算出する。当該制御値には、自動運転車両V1を自律走行させるための、例えば、操舵制御、速度制御及び制動制御に関する制御値が含まれる。
【0013】
「車掌機能」は、自律走行のためのエンジンや走行用モータといった基本的な駆動或いは動力機能以外の自動運転車両V1に係る各種機能であり、自動運転車両V1の走行、停車、駐車等に何らかの形で関連する、又は乗員の快適性、安全性、乗り心地等に何らかの形で関連する各種機能である。「車掌機能」には、例えば、乗員への車内アナウンス等の各種状況に応じた適切な乗員への対応、ドアの開閉或いはドア開閉タイミングの判断、車内状況把握、発進可否判断等の機能が含まれる。車掌機能20は、例えば、車掌機能を実現するための車両ハードウェア30を制御する制御値を算出する第1の車掌制御部21を有してよい。第1の車掌制御部21は、その一部が自動運転車両V1に接続された部分(例えば、サーバ)に構成されてもよい。或いは、第1の車掌制御部21は、その主要部や全部が自動運転車両V1に備えられてもよい。図1では、第1の車掌制御部21の全部が自動運転車両V1に設けられた例が示されている。また、車掌機能20には、車掌機能に必要な情報(例えば、車内アナウンス、各種合図等に必要な音声情報)が一時的或いは長期的に保持される記憶部が備えられてよい。
【0014】
ここで、自律走行制御部(不図示)及び第1の車掌制御部21は、各制御対象の動作を制御するための各種演算処理を行ない、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びその動作に必要なRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の各種記録媒体を有する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)として構成されてよい。
【0015】
車両ハードウェア30は、自動運転車両V1の制御系を除くハードウェア類全般であり、例えば、自律走行機能、車掌機能等による制御に係る駆動機構、操舵機構、電装類、センサ類等を含む。電装類には、例えば、スピーカー、車内外のライト類、モニタ等が含まれてよい。センサ類には自律走行のためのセンサとして、例えば、画像データを得るためのカメラ、距離データを得るためのレーダセンサ(例えばLiDAR)、及び位置データを得るためのGPSやオドメーターの他、加速度や姿勢データを得るための慣性計測ユニット等が含まれる。
【0016】
失陥対応装置40は、自動運転車両V1に失陥が発生した際にその失陥に対応するために設けられた装置である。失陥対応装置40は、例えば、CPU及びその動作に必要なRAM及びROM等の各種記録媒体を備えた電子制御ユニット(ECU)を含み、当該電子制御ユニットは、ソフトウェア及びハードウェアの協働による機能ブロックとして、例えば、図1に示す失陥状態診断部41、失陥情報提供部42、退避行動生成部43、及び失陥補完部44を生成する。
【0017】
失陥状態診断部41は、例えば、自動運転車両V1に失陥が発生したか否かを判断する。また、失陥状態診断部41は、例えば、失陥が発生した場合は、その失陥の詳細を把握する。失陥状態診断部41は、例えば、発生した失陥の状態に基づいて、車両ハードウェア30の失陥か、自律走行機能10の自律走行制御部(不図示)の失陥か、自律走行機能10で使用するセンサの失陥か等を診断する。
【0018】
失陥情報提供部42は、補完車両を手配するために、例えば、失陥状態、自動運転車両V1の現在位置、一時退避場所等を含む失陥発生情報を、サーバ(不図示)に送信する。退避行動生成部43は、失陥発生時に、自動運転車両V1が安全な一時退避場所まで移動して停車できるように、例えば、車両ハードウェア30に制御値を送信する、或いは、自律走行機能10の目的地を当該退避場所に切り替える。
【0019】
失陥補完部44は、補完車両V2と協働して発生した失陥を補完するように機能する。失陥補完部44は、例えば、補完車両V2と直接的に或いはサーバ(不図示)を介して相互通信可能に接続されてよい。失陥補完部44は、例えば、発生した失陥に関する情報や自動運転車両V1の車内の状況に関する車内情報(例えば、車内カメラ情報、車内音声情報)等を補完車両V2へ送信してよい。失陥補完部44は、例えば、発生した失陥の補完に関する指示を補完車両V2から受信し、当該指示に従って処理を行ってよい。失陥補完部44は、例えば、レーダセンサから出力される出力情報等に基づいて、先行する車両を追従して隊列走行を行う追従走行機能を有していてよい。
【0020】
なお、失陥対応装置40の各部41~44には、処理に必要とする情報が一時的或いは長期的に保持される記憶部が備えられてよい。失陥対応装置40は、自律走行機能10内の構成としてもよいが、本形態のように、失陥対応装置40が自律走行機能10とは異なる構成として配置されることにより、例えば、自律走行制御部における自律走行のための演算を行うハードウェアが失陥した場合でも、失陥対応が可能となる。
【0021】
補完車両V2は、自動運転車両V1で発生した失陥を補完するために用意される補完車両である。補完車両V2は、補完車両V2は、無人自動運転車両であってもよいし、半自動或いはマニュアルで運転手が運転する車両でもよい。本形態の補完車両V2は、特に、自動運転車両V1の車掌機能20に対応する車掌機能50、及びサーバ(不図示)及び自動運転車両V1と相互通信可能にする不図示の通信インターフェースを備えた車両である。車掌機能50は、補完車両V2自体の車掌機能を担ってもよい。補完車両V2は、自動運転車両V1と同様の構成でもよい。なお、「車掌機能」の意義は上述した通りである。
【0022】
車掌機能50は、例えば、車掌機能を実現するための車両ハードウェア30を制御する制御値を算出する第2の車掌制御部51を有してよい。第2の車掌制御部51は、その一部が補完車両V2に接続された部分(例えば、サーバ)に構成されてもよい。或いは、第2の車掌制御部51は、その主要部や全部が補完車両V2に備えられてもよい。図1では、第2の車掌制御部51の全部が補完車両V2に設けられた例が示されている。第2の車掌制御部51は、各制御対象の動作を制御するための各種演算処理を行ない、例えば、CPU及びその動作に必要なRAM及びROM等の各種記録媒体を有する電子制御ユニット(ECU)として構成されてよい。第2の車掌制御部51は、第1の車掌制御部21と同等以上の性能を有していてもよい。なお、補完車両V2を運転手が運転する場合、補完車両V2における車掌機能の一部の制御は、運転手によって行われてもよい。
【0023】
失陥対応装置40が提供する失陥対応に関する処理の一例について、図2のフローチャートを用いて説明する。自動運転車両V1が自動運転を開始すると、例えば、失陥状態診断部41が、自動運転車両V1に失陥が発生したか否かを判別する(ステップS101)。失陥の発生を判別する際に、失陥状態診断部41は、例えば、その失陥の状態に基づいて失陥内容を診断してよい。例えば、本形態においては、車掌機能20の失陥と診断されてよい。失陥状態診断部41は失陥の診断結果に関する診断結果情報を生成してよい。診断結果情報には、例えば、失陥の状態が含まれてもよい。失陥の状態として、例えば、自動運転車両V1が自律走行機能10による自律走行が可能か否か、或いは、失陥補完部44の追従走行機能による追従走行が可能か否かの判別が含まれてよい。失陥状態診断部41は、例えば、失陥状況に基づいて自律走行制御部に失陥が発生していると判断した場合、自律走行機能10による自律走行は不可能と判別してよい。失陥が発生していないと判別された場合は(ステップS101:No)、例えば、自律走行による自動運転は継続され、失陥状態診断部41は失陥発生に関する監視を継続してよい。
【0024】
失陥が発生したと判別された場合(ステップS101:Yes)、例えば、退避行動生成部43が自動運転車両V1を一時退避場所に緊急退避させるための制御値を生成し、生成した制御値によって車両ハードウェア30を制御してよい(ステップS102)。或いは、自動運転車両V1が自律走行可能な場合は、退避行動生成部43は、自動運転車両V1が一時退避場所に移動できるように、自律走行機能10の目的地を当該退避場所に切り替えてもよい。これにより、自動運転車両V1は一時退避場所へ移動し停車可能となる。退避行動生成部43は、例えば、一時退避場所として、予め設定された複数の一時退避場所から自動運転車両V1の現在位置に最も近い場所を選択してよい。
【0025】
続いて、例えば失陥補完部44は、発生した失陥の補完が可能か否かを失陥状態診断部41の診断結果に基づいて判別してよい(ステップS103)。例えば、自動運転車両V1が補完車両V2と協働で或いは単独で、自律走行或いは追従走行が可能である場合、当該補完が可能であると判別され、いずれの走行も不可能である場合、発生した失陥が補完不可能であると判別されてよい。補完不可能と判別された場合(ステップS103:No)、例えば、失陥情報提供部42が、失陥発生情報をレッカー車或いは代替サービス車を手配するための所定の緊急連絡先(例えば、サーバ(不図示)、或いは管理施設)へ送信してよい(ステップS104)。発生した失陥が補完可能であると判別された場合(ステップS103:Yes)、例えば、失陥情報提供部42が、補完車両V2を手配するために、失陥発生情報を所定の緊急連絡先(例えば、補完車両V2を管理するサーバ(不図示)或いは管理施設)へ送信してよい(ステップS105)。
【0026】
手配された補完車両V2は、例えば、一時退避場所で停車している自動運転車両V1と合流してよい(ステップS106)。補完車両V2は、自動運転車両V1と合流すると、自動運転車両V1の失陥補完部44と相互通信可能に接続する。自動運転車両V1と補完車両V2とは、例えば、近距離無線高速通信によって接続されてよい。なお、当該接続の際に、セキュリティ確保のため、例えば、サーバ(不図示)を介した認証プロセスを設けてもよい。当該接続後、失陥補完部44により、補完車両V2から得る情報に基づいて失陥が補完或いは補助された状態での自動運転車両V1の走行が開始される(ステップS107)。車掌機能20の失陥の場合、例えば、車掌機能20の第1の車掌制御部21に代わって車掌機能50の第2の車掌制御部51が自動運転車両V1の車掌機能を担った状態で、自動運転車両V1の走行が開始される。
【0027】
具体的には、例えば、補完車両V2に相互通信可能に接続された自動運転車両V1の失陥補完部44は、自動運転車両V1の車内情報(車内カメラ情報、車内音声情報等)及び自動運転車両V1の失陥に関する診断結果情報を、補完車両V2の第2の車掌制御部51へ送信してよい。第2の車掌制御部51は、例えば、失陥補完部44から取得した車内情報に基づいて自動運転車両V1の車内状況を把握し、自動運転車両V1の車両ハードウェア30を制御するための制御内容を決定する。制御内容として、例えば、ドア開閉判断、発進可否判断、発進タイミング判断、車内アナウンス内容等が決定される。第2の車掌制御部51は、決定された制御内容を含む指示を失陥補完部44へ送信する。失陥補完部44は、第2の車掌制御部51から送信された指示に基づいて、対応する車両ハードウェア30の動作を制御してよい。即ち、失陥補完部44は、補完車両V2から送信された指示に基づいて車掌機能を実行してよい。以後、第2の車掌制御部51は、走行中の自動運転車両V1の車内情報を適宜取得し、当該車内情報に基づいて、自動運転車両V1の車掌機能を担うように指示を生成してよい。
【0028】
なお、自動運転車両V1の車掌機能の一部にのみ失陥が生じている場合、第2の車掌制御部51は、失陥に関わる一部の車掌機能を補完するように指示を生成してよい。この場合、失陥補完部44は、失陥が生じている一部の車掌機能に関する指示に基づいて車両ハードウェア30を制御し、失陥に関わらない部分に関しては、第1の車掌制御部21に制御させてよい。
【0029】
例えば、第2の車掌制御部51は、受信した診断結果情報が、自動運転車両V1は自律走行機能10による自律走行可能であることを示す場合、第2の車掌制御部51は、例えば、自動運転車両V1が自律走行機能10を使用して補完車両V2と自律走行で隊列走行するように、自動運転車両V1に関する制御内容を決定し、当該制御内容に基づいて指示を生成してよい。失陥補完部44は、第2の車掌制御部51から送信された指示に基づいて、車掌機能20に関する車両ハードウェア30の動作を制御してよい。これにより、自動運転車両V1は、車掌機能について補完車両V2に支援されつつ自律走行可能となる。
【0030】
一方、例えば、第2の車掌制御部51は、受信した診断結果情報が、自動運転車両V1は自律走行は不可能だが失陥補完部44の追従走行機能による追従走行は可能であることを示す場合、第2の車掌制御部51は、例えば、自動運転車両V1が失陥補完部44の追従走行機能により補完車両V2を追従して隊列走行するように、車掌機能に関する制御内容を決定し、当該制御内容に基づいて指示を生成してよい。失陥補完部44は受信した指示に基づいて、車掌機能20に関する車両ハードウェア30を制御すると共に、自動運転車両V1に補完車両V2を追従させるための追従走行を制御する。例えば、失陥補完部44は、自動運転車両V1を補完車両V2に追従して隊列走行させるために必要な情報(例えば、補完車両V2との車間距離や速度情報等)をセンサ等から取得して、自動運転車両V1を当該隊列走行させるための各種制御値を演算し、車両ハードウェア30を制御してよい。また、失陥補完部44は、追従性能を高めるために、補完車両V2と接続された通信を介して、補完車両V2の制御値や制御計画等の情報を取得してもよい。これにより、自動運転車両V1は、補完車両V2に支援されつつ追従走行可能となる。
【0031】
なお、ステップS102において、例えば、退避行動生成部43は、自動運転車両V1を一時退避場所まで徐行運転させてもよい。この場合、例えば、自動運転車両V1及び補完車両V2は停車せずに徐行状態でステップS103~ステップS107における処理を行ってもよい。例えば、手配された補完車両V2は、徐行運転中の自動運転車両V1と合流してよい(ステップS106)。補完車両V2は、自動運転車両V1と合流すると、自動運転車両V1の失陥補完部44と相互通信可能に接続してよい。当該接続後、失陥補完部44により、補完車両V2から得る情報に基づいて失陥が補完或いは補助された状態で、自動運転車両V1の走行が開始されてよい(ステップS107)。
【0032】
上述した処理において、第1の車掌制御部21、第2の車掌制御部51、失陥状態診断部41、失陥情報提供部42、退避行動生成部43、及び、失陥補完部44のそれぞれは、本発明に係る第1の車掌制御手段、第2の車掌制御手段、判定手段、車両手配手段、退避行動生成手段、及び、失陥補完手段のそれぞれに対応する。
【0033】
<第2実施形態>
第1実施形態における失陥補完部44によって制御される追従走行に関して、失陥補完部44は、自動運転車両V1を補完車両V2に追従させるために必要な情報を、補完車両V2から直接取得してもよい。当該形態を、第2実施形態として、図3を用いて説明する。なお、図3において、第1実施形態と同趣旨の構成については図1と同じ符号を付し、これら構成についての説明は省略する。
【0034】
第2実施形態における補完車両V2は、例えば、車掌機能50の他に車両後継機能60を有している。車両後継機能60は、自動運転車両V1に補完車両V2を追従させるための機能である。車両後継機能60は、例えば、電子制御ユニット(ECU)を有し、この電子制御ユニットは、ソフトウェア及びハードウェアの協働による機能ブロックとして、例えば、図3に示す後継車両認識部61及び後継車両制御演算部62を生成する。
【0035】
後継車両認識部61は、例えば、後継車両(本形態では自動運転車両V1)の位置や速度を認識する。後継車両の位置や速度は、例えば、補完車両V2に設けられた各種センサの出力情報に基づいて認識されてもよいし、或いは/及び自動運転車両V1に設けられた各種センサの出力情報に基づいて認識されてもよい。後継車両制御演算部62は、例えば、後継車両認識部61によって後継車両として認識された自動運転車両V1の走行を制御するための制御値を算出する。例えば、第2の車掌制御部51は、後継車両制御演算部62によって算出された制御値を含めた指示を、自動運転車両V1の失陥補完部44へ送信する。失陥補完部44は、受信した当該制御値に基づいて、自動運転車両V1の対応する車両ハードウェア30を制御してよい。
【0036】
<第3実施形態>
自動運転車両V1のセンサに失陥が発生した場合、失陥補完部44は、当該センサ失陥を補完することも可能としてよい。当該形態を第3実施形態として、図2及び図4を用いて説明する。なお、図4において、第1実施形態と同趣旨の構成については図1と同じ符号を付し、これら構成についての説明は省略する。本形態では、特に、自動運転車両V1の後方センサが失陥した場合について説明する。
【0037】
第3実施形態における補完車両V2は、例えば、センサ補完機能70を有している。センサ補完機能70は、例えば、電子制御ユニット(ECU)を有し、この電子制御ユニットは、ソフトウェア及びハードウェアの協働による機能ブロックとして、例えば、図4に示す追従走行部71及び周囲認識部72を生成する。追従走行部71は、補完車両V2の追従走行機能を利用して、例えば、補完車両V2に備えられた各種センサの出力情報に基づいて補完車両V2を先行車両(本形態では自動運転車両V1)に追従させる。周囲認識部72は、補完車両V2の周囲の環境情報を自動運転車両V1へ提供する。
【0038】
図2に示す失陥の発生から補完による走行開始までの処理の流れは、第1実施形態と同様である。特に、本形態では、何らかの失陥が発生した場合、例えば、失陥状態診断部41は、失陥の状態に基づいて後方センサの失陥と診断し、自律走行が可能か否かを判別して診断結果情報を生成してよい(ステップS102)。続いて、例えば、失陥状態診断部41の診断結果情報に基づいて、失陥補完が可能か否かが判別される(ステップS103)。例えば、自動運転車両V1の自律走行が可能である場合、失陥補完が可能であると判別され(ステップS103:Yes)、ステップS105の処理がされてよい。一方、例えば、自動運転車両V1の自律走行が不可能である場合、失陥補完が不可能であると判別され(ステップS103:No)、ステップS104の処理がされてよい。補完車両V2が自動運転車両V1に合流すると(ステップS106)、自動運転車両V1の失陥補完部44は、後方センサの失陥に関する診断結果情報を車内情報と共に補完車両V2へ送信する。
【0039】
後方センサの失陥に関する診断結果情報を受信した補完車両V2ではセンサ補完機能70が作動し、当該診断結果情報等を送信した自動運転車両V1は自律走行を継続或いは再開してよい(ステップS107)。センサ補完機能70が作動されると、追従走行部71は、補完車両V2を自動運転車両V1に追従走行させてよい。周囲認識部72は、例えば、補完車両V2の環境情報として、失陥したセンサに対応する補完車両V2のセンサ(即ち、後方センサ)の出力情報を取得し、当該環境情報を自動運転車両V1の失陥補完部44へ送信する。環境情報には、例えば、各種センサの出力情報の他、各種センサの出力情報から認識された補完車両V2の環境に関する認識情報が含まれてよい。追従走行部71は、例えば、周囲認識部72から送信される認識情報を利用して補完車両V2を追従走行させてよい。このように、本形態では、補完車両V2が自動運転車両V1を追従する。後方センサの失陥を補完するには、補完車両V2は、自動運転車両V1を追従するように走行することが望ましいためである。追従走行部71及び周囲認識部72は、自動運転車両V1の走行中、継続して上記処理を実行してよい。
【0040】
自動運転車両V1の失陥補完部44は、受信した環境情報を自律走行機能10へ送信する。環境情報を失陥補完部44から受信した自律走行制御部は、例えば、当該環境情報に基づいて自律走行のための制御値を算出する。当該算出の際、自律走行のための各種判断は、自動運転車両V1が補完車両V2の分大きくなったと仮定して行われる。このように、自動運転車両V1は、補完車両V2から取得した環境情報に基づいて自律走行可能となる。
【0041】
一方、第2の車掌制御部51は、例えば、補完車両V2の後方センサの出力情報によって(或いは、他の情報も加えて)、自動運転車両V1の失陥した後方センサの認識範囲をカバーするように、自動運転車両V1の車掌機能20に関する指示を生成し、失陥補完部44へ送信してよい。失陥補完部44は、受信した指示を車掌機能20へ送信する。更に、車掌機能20も失陥している場合は、第2の車掌制御部51は、失陥補完部44から取得した情報(例えば、車内情報)及び上記出力情報に基づいて、当該失陥を補完するように、かつ、自動運転車両V1の失陥した後方センサの認識範囲をカバーするように、車掌機能20に関する自動運転車両V1の車両ハードウェア30を制御するための制御内容を決定してよい。第2の車掌制御部51は、決定された制御内容を含む指示を失陥補完部44へ送信してよい。失陥補完部44は、第2の車掌制御部51から送信された指示に基づいて対応する車両ハードウェア30の動作を制御してよい。即ち、失陥補完部44は、第1の実施形態と同様に第2の車掌制御部51から送信された指示に基づいて車掌機能を実行してよい。
【0042】
本発明に係る車両支援システムにおいては、遠隔操作によらない失陥対応が可能であるため、例えば、電波状況が悪い環境(例えば、低速通信は可能だが、高速通信ができない電波状況)であっても失陥対応が可能である。
【0043】
また、本発明に係る車両支援システムは、遠隔操作による失陥対応が困難な場合でも容易に対応可能である。例えば、上記実施形態において、更に、失陥状態診断部41が失陥の状態からバッテリ異常と診断した場合に対応するため、失陥補完部44は、例えば、自動運転車両V1及び補完車両V2が停車中に或いは隊列走行中に、自動運転車両V1のバッテリに接続して無線充電により給電を行うように構成されてよい。この場合、例えば、バッテリ異常に関する情報が補完車両V2へ送信される診断結果情報に含まれてよい。そして、例えば、当該診断結果情報を受信した補完車両V2の第2の車掌制御部51は、自動運転車両V1の失陥補完部44を介して自動運転車両V1のバッテリが無線充電されるように指示を生成して失陥補完部44へ送信してよい。
【0044】
例えば、上記実施形態において、更に、失陥状態診断部41が、失陥の状態から夜間におけるライト失陥(例えば、ヘッドライト失陥)と診断した場合は、補完車両V2が対応するライトをつけて自動運転車両V1の先行車両(或いは、例えば、テールライト失陥の場合は後継車両)として走行してもよい。この場合、ライト失陥に関する情報が補完車両V2へ送信される診断結果情報に含まれてよい。そして、例えば、当該診断結果情報を受信した補完車両V2の第2の車掌制御部51は、ライト失陥に対応する自車のライト(例えば、ヘッドライト)を点灯してよい。このように、ライト失陥が補完される場合、補完車両V2と自動運転車両V1との車間は小さいことが望ましい。従って、実施形態2のように、車両間の相互通信によって補完車両V2と自動運転車両V1とが仮想的に1つの車両となる態様(例えば、補完車両V2がトラクタ、自動運転車両V1が荷台車両)が特に適している。
【0045】
以上詳細に説明したように、各実施形態によれば、一の車両で車掌機能に失陥が発生した際に、正常な車両である他の車両が有する車掌機能で補完或いは補助することにより、良好に一の車両の走行を実行可能にする。
【0046】
付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0047】
[付記1]
本発明に係る付記1に記載の車両支援システムは、通信手段を介して相互に接続される第1及び第2の車両に備えられる車両支援システムであって、前記第1の車両における車掌機能を担う第1の車掌制御手段と、前記車掌機能の失陥が発生したか否かを判定する判定手段と、前記失陥が発生したと判定された場合、前記失陥に関連する前記車掌機能に係る前記第1の車両における車内情報を、前記通信手段を介して伝達し、前記第2の車両で生成される指示に基づいて前記失陥を補完する失陥補完手段と、前記第2の車両における車掌機能を担うと共に、前記伝達された車内情報に基づいて、前記失陥に関連する前記車掌機能を補完するように前記指示を生成し、前記通信手段を介して前記第1の車掌制御手段に少なくとも部分的に代わって担う第2の車掌制御手段とを備える。
【0048】
付記1記載の車両支援システムによれば、第1及び第2の車両は、通信手段を介して相互に接続され、典型的には、複数の車両と共に、更にサーバや遠隔制御センターなどと共に同一の通信ネットワークに収容され、或いは二者間で直接相互に無線接続(例えば、近距離無線高速通信で接続)される。第1の車掌制御手段は、第1の車両に少なくとも部分的に備えられている。即ち、第1の車掌制御手段は、その一部が通信手段を介して第1の車両に接続された部分から構成されてもよいし、或いは、第1の車掌制御手段は、その主要部や全部が第1の車両に備えられてもよい。第2の車掌制御手段についても、同様にその一部が通信手段を介して第2の車両に接続された部分から構成されてもよいし、或いは、第2の車掌制御手段は、その主要部や全部が第2の車両に備えられてもよい。
【0049】
「車掌機能」とは、電車、バス等の車掌が行う業務に対応する機能であり、車両の発車、走行、停車、駐車等に何らかの形で関連する、又は乗員の快適性、安全性、乗り心地等に何らかの形で関連する各種機能である。なお、第1の車両は典型的には自律走行可能な自動運転車両であり、第2の車両は自動運転車両であってもよいし或いは人が半自動やマニュアルで運転する車両であってもよい。
【0050】
第1の車両の走行中或いは停車中に、第1の車掌制御手段における車掌機能の失陥が発生すると、少なくとも部分的に第1の車両に備えられた判定手段により、該失陥が発生したものと判定される。すると、この場合、少なくとも部分的に第1の車両に備えられた失陥補完手段により、該失陥に関連する前記車掌機能に係る前記第1の車両における車内情報が、第2の車両へ伝達される。ここに「車内情報」とは、前述の車掌機能を行うために必要な或いは車掌機能の要因となる当該車両に関連する各種の情報を示し、例えば、車内カメラ情報、車内音声情報等がある。加えて、ここでの伝達としては、車内情報の伝達に限らず、第1の車両の識別情報や第1の車両で発生した失陥の種類や属性を示す情報や、第1の車両の現在位置或いは一時退避場所を示す位置情報も、車内情報に紐付けられる形式で伝達されてよい。
【0051】
このように車内情報が第1の車両から第2の車両に伝達されると、該伝達された車内情報に基づいて、前記失陥に関連する車掌機能は、第1の車掌制御手段の一部或いは全部に代わって、本来第2の車両用に備えられた第2の車掌制御手段によって、通信手段を介して行われる。第2の車両に少なくとも部分的に或いはその主要部が設けられた第2の車掌制御手段によって、通信手段を介して、第1の車両に向けて、該失陥に関連する車掌機能に係る“指示”が生成され送信される。言い換えれば、第1の車両に係る失陥機能を補完するための信号の授受が、第1及び第2の車両間で通信手段を介して行われる。こうして第2の車掌制御手段による失陥機能の補完によって、失陥に関連する車掌機能が第1の車両で実行され、車掌機能失陥に対して完全に又は或る程度の補助或いは補完がなされた状態での走行が可能となる。第1の車両は、車掌機能が補完された状態で、一時退避所から所定の目的地(例えば、修理施設や長期的退避場所)へ向かうことが可能となる。
【0052】
第1の車掌制御手段のうち失陥に関わらない部分については、第1の車掌制御手段がその部分を担うように構成してもよい。即ち第1及び第2の車掌制御手段の協働で、失陥発生後の車掌機能を実行するように構成してもよく、この場合、第2の車掌制御手段は、第1の車掌制御手段を部分的に補完する役割を果たす。加えて、第1の車掌制御手段は、失陥の際に、失陥補完手段及び第2の車掌制御手段との協働作業で車掌機能を担えるように構成されてもよい。或いは、失陥発生後は専ら第2の車掌制御手段によって車掌機能を実行するように構成してもよく、この場合、第2の車掌制御手段は、第1の車掌制御手段を全面的に補完或いは代替する役割を果たす。
【0053】
なお、第2の車掌制御手段は、第2の車両において、好ましくは、自動若しくは半自動又はマニュアル操作で、少なくとも部分的に第1の車両における車掌機能と同等の車掌機能を担うように構成されている。いずれの場合にも、このような補助或いは補完が何らなかった場合に比較して、より良好に或いはより確実又は快適に、失陥が生じた第1の車両の走行(即ち、自走若しくは誘導又は牽引)が実行されることになる。
【0054】
以上の結果、付記1記載の車両支援システムによれば、第1の車両で車掌機能に失陥が発生した際に、正常な車両である第2の車両が有する車掌機能で補助或いは補完することが可能となる。例えば、第1の車両が自律走行については不可能ながらも追従走行については可能である場合、第2の車両の車掌機能の助けを借りることで、車掌機能の提供を継続しつつ走行可能となる。往々にしてレッカー車の手配や代替サービスが不要となり得、実用上大変便利である。
【0055】
[付記2]
付記2記載の車両支援システムは、前記失陥が発生したと判定された場合、前記第1の車両の現在地から到達可能な一時退避場所まで走行し停車する退避行動を実行する旨の指令を前記第1の車両で生成する退避行動生成手段と、前記一時退避場所に前記第2の車両を手配する車両手配手段と、を更に備える付記1記載の車両支援システムである。
【0056】
付記2記載の車両支援システムによれば、失陥が発生すると、第1の車両は先ず、基本的に第1の車両の近隣であり且つ比較的安全な場所として設定されている一時退避場所まで走行して停車することを、退避行動生成手段により生成された指令に従って試みることが可能となる。このような第1の車両の一時退避場所への移動に相前後して或いは並行して、車両手配手段により、第2の車両が一時退避場所へ手配される。車両手配手段は、例えば、第2の車両を管理するサーバや管理施設等を介して手配してよい。第2の車両は、一時退避場所に到着した第1の車両と、或いは一時退避場所に移動中の第1の車両と合流可能となる。なお、一時退避場所については、当初或いは従前に設定されていた当該第1の車両の走行における目的地を、当該一時退避場所に変更するように構成してもよい。
【0057】
[付記3]
付記3記載の車両支援システムは、前記判定手段は、前記失陥の判定に加えて、前記失陥の状態を診断して診断結果情報を生成し、前記失陥補完手段は、前記車内情報に加えて、前記診断結果情報を前記第2の車両に伝達し、前記第2の車掌制御手段は、前記診断結果情報に示される前記失陥の状態に基づいて前記第1の車両が自律走行できない場合には、前記第1の車両が前記第2の車両を追従走行するように前記指示を生成する付記1又は2記載の車両支援システムである。
【0058】
付記3記載の車両支援システムによれば、第1の車両で自律走行できない類の失陥が発生すると、第2の車掌制御手段による補助或いは補完によって、第1の車両が第2の車両に追従して第1及び第2の車両による隊列走行が可能となる。なお、自律走行のみならず、第1の車両で自走自体が不可能である場合には、第2の車掌制御手段による補助或いは補完に代えて、伝統的レッカー車手配や代替サービス車両を別途手配するように構成してもよい。
【0059】
[付記4]
付記4記載の車両支援システムは、前記判定手段は、前記失陥の判定に加えて、前記失陥の状態を診断して診断結果情報を生成し、前記失陥補完手段は、前記車内情報に加えて、前記診断結果情報を前記第2の車両に伝達し、前記第2の車掌制御手段は、前記診断結果情報に示される前記失陥の状態に基づいて前記第1の車両がセンサ失陥に陥っている場合には、前記第2の車両に備えられており且つ前記センサ失陥に係るセンサに対応するセンサの出力情報に基づいて、前記センサ失陥に係るセンサの認識範囲をカバーするように前記指示を生成する付記1又は付記2に記載の車両支援システムである。
【0060】
付記4記載の車両支援システムによれば、第1の車両でセンサの失陥が発生すると、第2の車両のセンサを利用しての走行が可能となる。「カバーする」態様は、センサ失陥に係るセンサに対応する第2の車両のセンサの出力情報自体がカバーする態様でもよいし、当該出力情報に他の情報を加えてカバーする態様でもよい。
【0061】
本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両支援システムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
10 自律走行機能
20 車掌機能
21 第1の車掌制御部(第1の車掌制御手段)
30 車両ハードウェア
40 失陥対応装置
41 失陥状態診断部(判定手段)
42 失陥情報提供部(車両手配手段)
43 退避行動生成部(退避行動生成手段)
44 失陥補完部(失陥補完手段)
50 車掌機能
51 第2の車掌制御部(第2の車掌制御手段)
V1 自動運転車両(第1の車両)
V2 補完車両(第2の車両)
図1
図2
図3
図4