(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】粉体搬送装置、粉体容器、粉体供給装置および粉体利用装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
G03G15/08 347
(21)【出願番号】P 2021053531
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】奥野 太一郎
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-128203(JP,A)
【文献】特開2011-203346(JP,A)
【文献】特開昭62-075567(JP,A)
【文献】特開2010-054789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0008701(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体が落下して通過する内部空間の下方で前記内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部と、
前記落下通路部の下端に接続され、粉体が搬送される方向に延びる通路空間を有する搬送通路部と、
前記搬送通路部の通路空間内で回転して粉体を一方向に搬送する搬送部材と、
前記落下通路部の斜面部を含む部分を覆う状態で配置され、上端側の部分が固定される一方で下端が自由端として前記搬送部材に向き合う弾性シートと、
を備え、
前記弾性シートは、前記下端の前記搬送部材の粉体を搬送する搬送方向の上流側の端部寄りに当該下端から延長されて突出する突部を有し、
前記斜面部は、前記弾性シートの前記搬送方向の上流側の側端部を当該斜面部から離した状態に保つよう隆起する隆起部を有し、
前記搬送通路部の通路空間内に、前記弾性シートの一部を持ち上げるよう前記突部に接触した後に離れる動きを繰り返す接触体を有
し、
前記隆起部は、前記突部の前記搬送方向における中心の位置よりも当該搬送方向の上流側に存在する粉体搬送装置。
【請求項2】
粉体が落下して通過する内部空間の下方で前記内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部と、
前記落下通路部の下端に接続され、粉体が搬送される方向に延びる通路空間を有する搬送通路部と、
前記搬送通路部の通路空間内で回転して粉体を一方向に搬送する搬送部材と、
前記落下通路部の斜面部を含む部分を覆う状態で配置され、上端側の部分が固定される一方で下端が自由端として前記搬送部材に向き合う弾性シートと、
を備え、
前記弾性シートは、前記下端の前記搬送部材の粉体を搬送する搬送方向の上流側の端部寄りに当該下端から延長されて突出する突部と、前記搬送方向の上流側の側端から内側に向けて切り込まれる第1切り込みを有し、
前記搬送通路部の通路空間内に、前記弾性シートの一部を持ち上げるよう前記突部に接触した後に離れる動きを繰り返す接触体を有する粉体搬送装置。
【請求項3】
前記弾性シートは、前記搬送方向の上流側の側端から内側に向けて切り込まれる第1切り込みを有する請求項1に記載の粉体搬送装置。
【請求項4】
前記弾性シートは、
前記第1切り込みの終端から当該弾性シートの上端側に向けて切り込まれる第2切り込みを有する請求項
2又は3に記載の粉体搬送装置。
【請求項5】
前記第1切り込みは、その終端が、前記弾性シートのうち前記突部の前記搬送方向に沿う幅に相当する範囲内の位置に存在する請求項2又は
3に記載の粉体搬送装置。
【請求項6】
前記第2切り込みは、前記弾性シートの前記搬送方向と交差する方向に切り込まれている請求
項4に記載の粉体搬送装置。
【請求項7】
前記弾性シートは、前記第1切り込みの終端から当該弾性シートの上端側に向けて切り込まれる第2切り込みを有し、前記第2切り込みは、前記隆起部よりも前記搬送方向の下流側の位置に存在する請求項
3に記載の粉体搬送装置。
【請求項8】
前記接触体は、前記搬送部材の搬送方向の上流側の部分に設けられている請求項
1乃至7のいずれか1項に記載の粉体搬送装置。
【請求項9】
粉体が落下して通過する内部空間の下方で前記内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部と、前記落下通路部の下端に接続され、粉体が搬送される方向に延びる通路空間を有する搬送通路部とが設けられている容器本体と、
前記容器本体の粉体を前記落下通路部から前記搬送通路部に落下させて搬送する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の粉体搬送装置と、
を備える粉体容器。
【請求項10】
粉体が落下して通過する内部空間の下方で前記内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部と、前記落下通路部の下端に接続され、粉体が搬送される方向に延びる通路空間を有する搬送通路部とが設けられている粉体の収容部と、
前記収容部に収容されている粉体を受け入れる受入部と、
前記収容部に収容されている粉体を前記受入部に供給するよう搬送する供給搬送部と、
前記収容部において粉体を前記落下通路部から前記搬送通路部に落下させて搬送する、請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の粉体搬送装置と、
を備える粉体
供給装置。
【請求項11】
粉体が収容される粉体容器と、
前記粉体容器に収容されている粉体が供給されて消費される粉体消費装置と、
前記粉体容器に収容されている粉体を前記粉体消費装置に供給するよう搬送する供給搬送部と、
を備え、
前記粉体容器は、請求項9に記載の粉体容器で構成されている粉体
利用装置。
【請求項12】
粉体が収容される収容部と、
前記収容部に収容されている粉体が供給されて消費される粉体消費装置と、
前記収容部に収容されている粉体を前記粉体消費装置
まで搬送して供給する
粉体供給装置と、
を備え、
前記
粉体供給装置は、請求項10に記載の粉体
供給装置で構成されている粉体利用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉体搬送装置、粉体容器、粉体供給装置および粉体利用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現像剤収容部と、現像剤収容部の内部に回転可能に配置されて現像剤を回転軸方向に搬送する搬送部材と、現像剤収容部の内部に、上端部側が固定されるとともに揺動自在な自由端とされる下端部が搬送部材の上部に搬送方向に沿って配置され、下端部の搬送部材の搬送方向に沿った一部が回転する搬送部材の搬送方向における上流側と下流側の複数箇所と接触して弾性変形する弾性部材とを備えた現像剤収容容器と、その収容容器を用いた現像装置、画像形成ユニットおよび画像形成装置が記載されている。
また、特許文献1には、上記現像剤収容容器における弾性部材は、搬送部材と接触して変形した位置とその搬送部材と接触しない復帰位置とに移動可能であり、搬送部材の回転の際にその搬送部材の搬送方向に沿った上流側と下流側で搬送部材に接触して弾性変形したときに復帰位置に移動する時期が異なることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5099157号公報(請求項1、段落0098、
図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部の下端に接続された搬送通路部に落下する前の粉体を動かして崩すこととその崩した粉体を搬送通路部の粉体が搬送される方向に移動させることができる粉体搬送装置、粉体容器、粉体供給装置および粉体利用装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明(1)は、
粉体が落下して通過する内部空間の下方で前記内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部と、
前記落下通路部の下端に接続され、粉体が搬送される方向に延びる通路空間を有する搬送通路部と、
前記搬送通路部の通路空間内で回転して粉体を一方向に搬送する搬送部材と、
前記落下通路部の斜面部を含む部分を覆う状態で配置され、上端側の部分が固定される一方で下端が自由端として前記搬送部材に向き合う弾性シートと、
を備え、
前記弾性シートは、前記下端の前記搬送部材の粉体を搬送する搬送方向の上流側の端部寄りに当該下端から延長されて突出する突部を有し、
前記斜面部は、前記弾性シートの前記搬送方向の上流側の側端部を当該斜面部から離した状態に保つよう隆起する隆起部を有し、
前記搬送通路部の通路空間内に、前記弾性シートの一部を持ち上げるよう前記突部に接触した後に離れる動きを繰り返す接触体を有し、
前記隆起部は、前記突部の前記搬送方向における中心の位置よりも当該搬送方向の上流側に存在する粉体搬送装置である。
【0006】
また、この発明(2)は、
粉体が落下して通過する内部空間の下方で前記内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部と、
前記落下通路部の下端に接続され、粉体が搬送される方向に延びる通路空間を有する搬送通路部と、
前記搬送通路部の通路空間内で回転して粉体を一方向に搬送する搬送部材と、
前記落下通路部の斜面部を含む部分を覆う状態で配置され、上端側の部分が固定される一方で下端が自由端として前記搬送部材に向き合う弾性シートと、
を備え、
前記弾性シートは、前記下端の前記搬送部材の粉体を搬送する搬送方向の上流側の端部寄りに当該下端から延長されて突出する突部と、前記搬送方向の上流側の側端から内側に向けて切り込まれる第1切り込みを有し、
前記搬送通路部の通路空間内に、前記弾性シートの一部を持ち上げるよう前記突部に接触した後に離れる動きを繰り返す接触体を有する粉体搬送装置である。
【0008】
この発明(3)は、上記発明(1)の粉体搬送装置において、前記弾性シートは、前記搬送方向の上流側の側端から内側に向けて切り込まれる第1切り込みを有する粉体搬送装置である。
【0009】
この発明(4)は、上記発明(2)又は(3)の粉体搬送装置において、前記弾性シートは、前記第1切り込みの終端から当該弾性シートの上端側に向けて切り込まれる第2切り込みを有する粉体搬送装置である。
【0010】
この発明(5)は、上記発明(2)又は(3)の粉体搬送装置において、前記第1切り込みは、その終端が、前記弾性シートのうち前記突部の前記搬送方向に沿う幅に相当する範囲内の位置に存在する粉体搬送装置である。
【0011】
この発明(6)は、上記発明(4)の粉体搬送装置において、前記第2切り込みは、前記弾性シートの前記搬送方向と交差する方向に切り込まれている粉体搬送装置である。
【0012】
この発明(7)は、上記発明(3)の粉体搬送装置において、前記弾性シートは、前記第1切り込みの終端から当該弾性シートの上端側に向けて切り込まれる第2切り込みを有し、前記第2切り込みは、前記隆起部よりも前記搬送方向の下流側の位置に存在する粉体搬送装置である。
【0013】
この発明(8)は、上記発明(1)から(7)のいずれかの粉体搬送装置において、前記接触体は、前記搬送部材の搬送方向の上流側の部分に設けられている粉体搬送装置である。
【0014】
この発明(9)は、粉体が落下して通過する内部空間の下方で前記内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部と、前記落下通路部の下端に接続され、粉体が搬送される方向に延びる通路空間を有する搬送通路部とが設けられている容器本体と、
前記容器本体の粉体を前記落下通路部から前記搬送通路部に落下させて搬送する、上記発明(1)から(8)のいずれかの粉体搬送装置と、
を備える粉体容器である。
【0015】
また、この発明(10)は、粉体が落下して通過する内部空間の下方で前記内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部と、前記落下通路部の下端に接続され、粉体が搬送される方向に延びる通路空間を有する搬送通路部とが設けられている粉体の収容部と、
前記収容部に収容されている粉体を受け入れる受入部と、
前記収容部に収容されている粉体を前記受入部に供給するよう搬送する供給搬送部と、
前記収容部において粉体を前記落下通路部から前記搬送通路部に落下させて搬送する、上記発明(1)から(8)のいずれかの粉体搬送装置と、
を備える粉体供給装置である。
【0016】
さらに、この発明(11)は、粉体が収容される粉体容器と、前記粉体容器に収容されている粉体が供給されて消費される粉体消費装置と、前記粉体容器に収容されている粉体を前記粉体消費装置に供給するよう搬送する供給搬送部と、を備え、
前記粉体容器は、上記発明(9)の粉体容器で構成されている粉体利用装置である。
【0017】
また、この発明(12)は、粉体が収容される収容部と、前記収容部に収容されている粉体が供給されて消費される粉体消費装置と、前記収容部に収容されている粉体を前記粉体消費装置まで搬送して供給する粉体供給装置と、を備え、
前記粉体供給装置は、上記発明(10)の粉体供給装置で構成されている粉体利用装置である。
【発明の効果】
【0018】
上記発明(1)の粉体搬送装置によれば、内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部の下部に接続された搬送通路部に落下する前の粉体を動かして崩すこととその崩した粉体を搬送通路部の粉体が搬送される搬送方向に移動させることができる。
また、上記発明(1)の粉体搬送装置によれば、隆起部が弾性シートの突部の搬送方向における中心の位置よりも当該搬送方向の上流側に存在していない場合に比べて、崩した粉体を搬送方向に移動させやすくなる。
【0019】
上記発明(2)の粉体搬送装置によれば、内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部の下部に接続された搬送通路部に落下する前の粉体を動かして崩すこととその崩した粉体を搬送通路部の粉体が搬送される搬送方向に移動させることができる。
【0020】
上記発明(3)によれば、弾性シートが第1切り込みを有しない場合に比べて、崩した粉体を搬送方向に移動させやすくなる。
【0021】
上記発明(4)によれば、弾性シートが第2切り込みを有しない場合に比べて、持ち上げられる弾性シートの一部が、第1切り込みよりも上方の部分も含めて搬送方向の上流側から下流側に撓むように弾性変形しやすくなる。
【0022】
上記発明(5)によれば、第1切り込みの終端が弾性シートのうち突部の搬送方向に沿う幅に相当する範囲内の位置に存在していない場合に比べて、接触体の突部への接触で持ち上げられる弾性シートの一部が、搬送方向の上流側から下流側に撓むように弾性変形しやすくなる。
【0023】
上記発明(6)によれば、第2切り込みが弾性シートの搬送方向と交差する方向に切り込まれていない場合に比べて、接触体の突部への接触で持ち上げられる弾性シートの一部が、第1切り込みよりも上方の部分も含めて搬送方向の上流側から下流側に安定して撓んで弾性変形しやすくなる。
【0024】
上記発明(7)によれば、第2切り込みが隆起部よりも搬送方向の下流側の位置に存在していない場合に比べて、接触体の突部への接触で持ち上げられる弾性シートの一部の持ち上げられるときの変位量がより多くなる。
【0025】
上記発明(8)によれば、接触体が搬送部材の搬送方向の上流側の部分に設けられていない場合に比べて、接触体を簡易に構成することができる。
【0026】
上記発明(9)の粉体容器によれば、上記粉体搬送装置を備えていない場合に比べて、容器本体における内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部の下部に接続された搬送通路部に落下する前の粉体を動かして崩すこととその崩した粉体を搬送通路部の粉体が搬送される方向に移動させることができ、容器本体からの粉体の凝集によるばらつきの少ない送り出しと容器本体における粉体の残る量の低減とが可能になる。
【0027】
上記発明(10)の粉体供給装置によれば、上記粉体搬送装置を含めて構成されていない場合に比べて、収容部における内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部の下部に接続された搬送通路部に落下する前の粉体を動かして崩すこととその崩した粉体を搬送通路部の粉体が搬送される方向に移動させることができ、収容部からの粉体の凝集によるばらつきの少ない送り出しと収容部における粉体の残る量の低減とが可能になる。
【0028】
上記発明(11)の粉体利用装置によれば、粉体容器が上記粉体搬送装置を備える粉体容器で構成されていない場合に比べて、粉体容器において内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部の下部に接続された搬送通路部に落下する前の粉体を動かして崩すこととその崩した粉体を搬送通路部の粉体が搬送される方向に移動させることができ、粉体容器からの粉体の凝集によるばらつきの少ない送り出しと粉体容器における粉体の残る量の低減とが可能になり、粉体容器の粉体が粉体消費装置にむけて滞ることなく搬送される。
【0029】
上記発明(12)の粉体利用装置によれば、粉体供給装置が上記粉体搬送装置を備える粉体供給装置で構成されていない場合に比べて、収容部において内部空間を狭めるよう傾斜する斜面部を有する落下通路部の下部に接続された搬送通路部に落下する前の粉体を動かして崩すこととその崩した粉体を搬送通路部の粉体が搬送される方向に移動させることができ、収容部からの粉体の凝集によるばらつきの少ない送り出しと収容部における粉体の残る量の低減とが可能になり、収容部の粉体が粉体消費装置にむけて滞ることなく搬送される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】(A)は実施の形態1に係る画像形成装置の外観の状態を示す斜視図、(B)は(A)の画像形成装置のサイドカバーを開けたときの状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1の画像形成装置の内部の構成を示す概要図である。
【
図3】
図2の画像形成装置の一部である作像装置等の構成を示す概要図である。
【
図4】
図1の画像形成装置から着脱式の容器が取り外されたときの状態を示す斜視図である。
【
図5】
図1の画像形成装置における現像剤供給装置および回収装置等の構成を模式的に示す概要図である。
【
図7】
図6の現像剤容器のVII-VII線に沿う断面から奥側の概略斜視図である。
【
図8】
図7の現像剤容器のVIII-VIII線に沿う断面から奥側の概要図である。
【
図9】
図6の現像剤容器のIX-IX線に沿う断面から奥側の概要図である。
【
図10】
図7の現像剤容器の弾性シート未装着の状態を示す概略斜視図である。
【
図11】
図7の現像剤容器の搬送部における搬送部材を示す斜視図である。
【
図12】
図7の現像剤容器における弾性シートを示す斜視図である。
【
図14】
図7の現像剤容器における弾性シートとその弾性変形の状態例を示す概要図である。
【
図15】
図7の現像剤容器における弾性シートの弾性変形の状態例を示す概略斜視図である。
【
図16】
図12の弾性シートの弾性変形の状態を例示する斜視図である。
【
図17】実施の形態1の変形例1に係る現像剤容器を示す概略断面斜視図である。
【
図18】
図17の現像剤容器における弾性シートとその弾性変形の状態例を示す概略斜視図である。
【
図19】実施の形態1の変形例2に係る現像剤容器を示す概略断面斜視図である。
【
図20】
図19の現像剤容器における弾性シートとその弾性変形の状態例を示す概略斜視図である。
【
図21】実施の形態2に係る粉体供給装置を一部断面で示す概要図である。
【
図22】
図21の収容部のXXII-XXII線に沿う断面から奥側の概略斜視図である。
【
図23】実施の形態3に係る粉体塗装装置を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、この発明を実施するための形態(本明細書では単に「実施の形態」という。)について図面を参照しながら説明する。
【0032】
実施の形態1.
図1と
図2は、実施の形態1に係る粉体利用装置1の一例である画像形成装置1Aを示す図面である。
図1には画像形成装置1Aの外観の状態が示され、
図2には画像形成装置1Aの内部の状態が示されている。
以下の説明では、図面に矢印Xで示す方向を画像形成装置1Aの正面における幅方向とし、矢印Yで示す方向を画像形成装置1Aの正面における高さ方向とし、矢印Zで示す方向を上記幅方向および高さ方向の双方に直交する画像形成装置1Aの正面から背面に至る奥行方向とする。
【0033】
画像形成装置1Aは、
図1、
図2等に示されるように、粉体18の一例としての現像剤18A(
図3参照)からなる画像をシート状物19の一例である記録シート19Aに形成する装置である。上記現像剤としては、例えば、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分の現像剤が使用される。
【0034】
実施の形態1に係る画像形成装置1Aは、情報端末機、パーソナルコンピュータ等の外部機器から入力される画像の情報に対応した画像を記録シート19Aに形成する機能を有したプリンタとして構成されている。上記画像の情報は、例えば、文字、図形、写真、模様等の画像に関する情報である。
また、画像形成装置1Aは、現像剤18Aを収容する粉体容器6の一例である現像剤容器61と、現像剤容器61に収容された現像剤18Aが供給されて消費される粉体消費装置2の一例である像形成装置2Aと、現像剤容器61等が着脱可能に装着されるとともに像形成装置2A等が配置される筐体10を備えている。
【0035】
筐体10は、支持フレーム、外装パネル等の材料を組み合わせて箱等の外観形状になるよう製作される構造物である。
筐体10は、その一側面部に、開閉動するサイドカバー12が設けられている。また筐体10は、その上面部に、画像が形成された後に排出される記録シート19Aを収容する排出収容部13が設けられている。さらに筐体10は、サイドカバー12を開けた部分に、後述する現像剤容器61および回収容器65を着脱可能に装着するための構造部分としての容器装着部14が設けられている。
【0036】
像形成装置2Aは、
図2に示されるように、画像の情報に基づく可視像を作成する作像装置20と、作像装置20で作成される可視像を一時的に保持した後に記録シート19Aに二次転写する中間転写装置30と、中間転写装置30の二次転写する位置に供給すべき記録シート19Aを収容して供給するシート供給装置40と、中間転写装置30で二次転写された可視像を記録シート19Aに定着させる定着装置45等を備えている。この像形成装置2Aは、中間転写装置30を使用する、いわゆる中間転写方式を適用した像形成装置である。
【0037】
作像装置20は、例えば電子写真方式によりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色の可視像になるトナー像をそれぞれ専用に作成する4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kにて構成されている。
【0038】
4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kはいずれも、
図2および
図3に示されるように、矢印Aで示す方向に回転して潜像又は可視像を保持する像保持体の一例であるドラム形態の感光体21を有している。
また、作像装置20Y,20M,20C,20Kは、その感光体21の周囲に、感光体21の外周面を所要の電位に帯電させる帯電装置22、感光体21の帯電された外周面に露光により静電潜像を形成する露光装置23、静電潜像を現像剤18A(実際にはトナー)により現像して可視像としてのトナー像にする現像装置24Y,24M,24C,24K、トナー像を中間転写装置30に転写する一次転写装置25、感光体21の外周面を清掃する第1清掃装置26等の機器が配置されている。
図2では、21から26の符号をイエロー(Y)の作像装置20Yにのみ全部記載し、他の色の作像装置20M,20C,20Kにはその一部の符号のみを記載している。また
図3では、ブラック色の作像装置20Kが代表して示されている。
【0039】
中間転写装置30は、
図2に示されるように、作像装置20Y,20M,20C,20Kの各感光体21からトナー像が一次転写されて保持する中間転写体の一例である中間転写ベルト31を備えている。中間転写ベルト31は、トナー像を静電気力により保持できる無端状のベルトであり、その内側に配置される複数の支持ロール32(例えば2つの支持ロール32a,32b)により、作像装置20Y,20M,20C,20Kの各一次転写位置TP1を順次通過して矢印Bで示す方向に回転するよう支持されている。
また、中間転写装置30は、中間転写ベルト31の周囲に、中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー像を記録シート19Aに二次転写する二次転写装置35、中間転写ベルト31の外周面を清掃する第2清掃装置36等の機器が配置されている。
【0040】
作像装置20Y,20M,20C,20Kは、外部機器等から図示しない制御装置を通して画像形成動作の指令を受けると、矢印Aで示す方向に回転する各感光体21に対して帯電装置22による帯電の動作、露光装置23による露光の動作、現像装置24Y,24M,24C,24Kによる現像の動作がそれぞれ順番に実行され、これにより、その各感光体21の外周面に4色(Y,M,C,K)のいずれか1色からなるトナー像が専用にそれぞれ作成されるよう作動する。例えば、作像装置20Yにおける感光体21の外周面にはイエロー(Y)色のトナー像が作成され、作像装置20Mにおける感光体21の外周面にはマゼンタ(M)色のトナー像が作成される。
【0041】
また、作像装置20Y,20M,20C,20Kと中間転写装置30は、矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト31に対して中間転写ベルト31と一次転写装置25とが対向する各一次転写位置TP1において一次転写装置25による転写の動作がそれぞれ実行され、これにより、その各感光体21に作成されたトナー像が中間転写ベルト31にそれぞれ所定のタイミングで一次転写されるよう作動する。一次転写後の各感光体21は、その外周面が各第1清掃装置26により残留するトナー等の不要物がそれぞれ除去されて清掃される。
【0042】
さらに、中間転写装置30は、中間転写ベルト31の二次転写装置35と対向する二次転写位置TP2において二次転写装置35による転写の動作が実行され、これにより、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像がシート供給装置40から供給される記録シート19Aの片面に一括して二次転写されるよう作動する。二次転写後の中間転写ベルト31は、その外周面が第2清掃装置36により残留するトナー等の不要物が除去されて清掃される。
【0043】
シート供給装置40は、二次転写位置TP2に供給すべき記録シート19Aを収容するとともにその記録シート19Aを二次転写位置TP2に供給する装置である。シート供給装置40は、例えば、記録シート19Aを積載して収容するとともに筐体10の外側に引き出し可能に取り付けられる収容体41と、収容体41に収容されている記録シート19Aを1枚ずつ送り出す送出装置42等を備えている。
シート供給装置40は、画像形成動作時等の所要の時期になると、送出装置42が始動して収容体41から記録シート19Aを1枚ずつ送り出すよう作動する。
【0044】
シート供給装置40から送り出される記録シート19Aは、
図2に示されるように、一対の搬送ロール44a,44b、図示しない案内部材等で構成された供給搬送路Tr1を経由して中間転写装置30の二次転写位置TP2まで搬送される。記録シート19Aとしては、筐体10内での搬送が可能であってトナー像の転写および定着が可能な普通紙、コート紙、厚紙、封筒等のシート状の記録媒体であれば使用することができ、その材質、形態等の構成については特に制約されない。
【0045】
定着装置45は、記録シート19Aの導入口や排出口が設けられた図示しない筐体の内部空間に、図示しない加熱手段を有するロール形態、ベルト・ニップ形態等からなる加熱用回転体46、ロール形態等からなる加圧用回転体47等の機器が配置されている。
定着装置45は、画像形成動作時等の所要の時期になると、加熱用回転体46が定着温度まで加熱されるとともに加熱用回転体46と加圧用回転体47が圧接した状態で所要の方向に回転するよう始動して、その圧接するニップ部に二次転写位置TP2から送り込まれるトナー像が二次転写された記録シート19Aを導入および通過させるよう作動する。これにより、記録シート19A上のトナー像は、ニップ部で加熱、加圧等の定着処理を受けて溶融させられることで記録シート19Aの片面に定着される。
【0046】
定着装置45による定着の動作が終了した記録シート19Aは、
図2に示されるように、排出口15の内側の手前位置に配置される一対の排出ロール48、図示しない案内部材等で構成される排出搬送路Tr3を経由して搬送された後、排出口15から排出されて排出収容部13に収容される。
以上により、画像形成装置1Aによる記録シート19Aの片面に対する画像形成動作が終了する。
【0047】
この画像形成装置1Aでは、例えば、4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kのすべてを作動させることにより4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成される多色画像を形成する動作、4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kの1つを作動させることにより単色のトナー像からなる単色画像、例えば黒画像を形成する動作等に代表される種類の異なる画像形成動作を任意に選択して行うことができる。
【0048】
<現像剤の補給>
また、画像形成装置1Aでは、現像装置24Y,24M,24C,24Kにおいて現像の動作が行われることにより現像剤18A、実際にはトナー18At(
図9参照)が消費されて減少することから、その減少した分にほぼ相当する量のトナー18Atを補給する必要がある。このため、画像形成装置1Aでは、
図5に概念的に示されるように、粉体供給装置7の一例である現像剤供給装置7Aが装備されている。
【0049】
現像剤供給装置7Aは、
図5に示されるように、現像剤18Aのトナー18Atを収容する粉体容器6の一例又は収容部71の一例でもある現像剤容器61Y,61M,61C,61Kと、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kに収容されている現像剤18Aのトナー18Atをそれぞれ受け入れる受入部75の一例である現像装置24Y,24M,24C,24Kと、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kに収容されている現像剤18Aのトナー18Atを現像装置24Y,24M,24C,24Kまでそれぞれ供給するよう搬送する供給搬送部77の一例である補給路部27Y,27M,27C,27Kを備えている。
【0050】
この現像剤供給装置7Aは、上記トナー18Atの補給が必要な時期になると、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kに収容されている各現像剤18Aのトナー18Atを、補給路部27Y,27M,27C,27Kによりそれぞれ搬送して現像装置24Y,24M,24C,24Kに個別に供給するよう作動する。
【0051】
このうち収容部71の一例でもある現像剤容器61Y,61M,61C,61Kは、現像剤18Aの4色(Y,M,C,K)からなるトナー18Atがそれぞれ個別に収容される容器である。また、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kは、その各内部にトナー18Atを搬送する後述する搬送部材64,67が配置されている。
この現像剤容器61Y,61M,61C,61Kの詳細については、後述する。
【0052】
また、受入部75の一例である現像装置24Y,24M,24C,24Kは、使用する現像剤18Aのトナー18Atの色が4色(Y,M,C,K)のいずれかの1色であって互いに異なっている点で相違するのみであり、それ以外は同じ構成からなるものが適用されている。
すなわち、現像装置24Y,24M,24C,24Kは、
図3に現像装置24Kが代表して示されているように、現像剤収容室と現像用開口を有する容器状の筐体24aに、現像剤18Aを保持して現像用開口と対向する感光体21の現像域に供給する現像ロール24b,筐体24aの現像剤収容室内に収容されている現像剤18Aを撹拌しながら搬送するスクリューオーガ等の撹拌搬送部材24c,24d、現像ロール24b上に保持される現像剤18Aの量、例えば保持される現像剤18Aの層の厚さを調整する調整部材24e等が配置されている。
【0053】
さらに、供給搬送部77の一例である補給路部27Y,27M,27C,27Kは、補給すべきトナー18Atを搬送する搬送通路が形成された構造部分である。補給路部27Y,27M,27C,27Kは、
図8に二点鎖線で示されるように、現像装置24Y,24M,24C,24Kの筐体24aの一側部に、撹拌搬送部材24cの一端を容器装着部14が存在する側に延長して配置してなる円筒状の構造物として設けられている。撹拌搬送部材24cの延長する部分は、補給路部27に適合する構成であればよく、その構成については特に限定されない。また、撹拌搬送部材24cの延長する部分は、撹拌搬送部材24cの動作と同期して回転駆動する。
【0054】
この補給路部27Y,27M,27C,27Kは、現像装置24Y,24M,24C,24Kを筐体10内の取り付け位置に設置したとき、
図4に示されるように、容器装着部14に設けられている図示しない通し受け部から外側に突出した状態で存在する。また、補給路部27Y,27M,27C,27Kは、
図8に示されるように、その突出する先端部に、補給されるトナー18Atを受け入れる受口27b、その受口27bを開閉する図示しない開閉蓋等が設けられている。
【0055】
現像剤容器61Y,61M,61C,61Kが装着される容器装着部14には、
図4に示されるように、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kの各内部に配置される後述する搬送部材64,67に回転動力をそれぞれ伝達するための駆動伝達部28が設けられている。
駆動伝達部28には、図示しない接続用の駆動歯車が配置されている。その駆動歯車は、画像形成装置1Aの筐体10内に配置された図示しない回転駆動装置からの回転動力を受けて伝達する。その回転駆動装置は、画像形成装置1Aにおいてトナー18Atの補給が必要な状態を検出する図示しない検出部からの検出情報を得たときに所要の時間だけ回転駆動する。
これにより、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kに収容されているトナー18Atは、所要の時間だけ回転駆動する搬送部材64,67により所要の量だけ補給路部27Y,27M,27C,27Kに送り出されるようになっている。
【0056】
<現像剤容器>
現像剤容器61Y,61M,61C,61Kは、そのいずれも粉体容器6の一例であって、
図6から
図10等に示されるように、現像剤18Aのトナー18Atが収容される容器本体60と、その収容されているトナー18Atを容器本体60内で落下させて搬送する粉体搬送装置5の一例である現像剤搬送装置5Aとを備えている。
【0057】
上記容器本体60は、
図6に示されるように、例えば上下方向に長いほぼ直方体の形状からなる外観形状を有している。また、容器本体60は、
図6、
図7等に示されるように、その内部に、現像剤18Aのトナー18Atが収容される内部空間S1を有する収容空間部62と、収容空間部62の下方側にそれぞれ接続されるよう設けられた搬送部63および搬出部66を備えている。
【0058】
容器本体60の収容空間部62は、トナー18Atが収容されて貯蔵される構造部分である。
この収容空間部62は、
図6から
図10に示されるように、互いにほぼ直交して上下方向にほぼ垂直に延びる面からなる4つの垂直面部62a,62b,62c,62dと、垂直面部62bの下部に内部空間S1を狭めるよう傾斜する第1斜面部62eと、垂直面部62bと向き合う垂直面部62aの下部に内部空間S1を狭めるよう傾斜する第2斜面部62fとで囲まれる空間が形成された構造になっている。
また、収容空間部62は、その上端に、
図7および
図9に示されるように、開口部62tが設けられた天井面部が形成されている。その開口部62tは、トナー18Atを主に充填するときに使用されるものであり、使用しないときには蓋体62uで塞がれている。
この収容空間部62は、トナー18Atの補給時に、収容されているトナー18Atが主に重力により下方の搬送部63に落下して移動するようになっている。
【0059】
容器本体60の搬送部63は、収容空間部62の下端に接続されて現像剤18Aのトナー18Atが搬送される方向に延びるよう設けられる構造部分である。
この搬送部63は、
図6、
図8、
図9等に示されるように、第1斜面部62eの下端と第2斜面部62fの下端との双方から下方に突出してU字状の断面形状からなるとともに垂直面部62cの側から垂直面部62dの側にむけて直線的に延びる溝状の通路空間S2が形成されている。また、搬送部63の垂直面部62dがある側の端部の下部には、トナー18Atを搬出部66に送り出す送出口63cが設けられている。
【0060】
また、搬送部63には、
図7から
図9に示されるように、その通路空間S2内で回転してトナー18Atを一方向としての搬送方向D1に搬送する搬送部材64が配置されている。
搬送部材64は、回転軸64aの外周面に螺旋状に突出して延びる搬送突部64bを設けたスクリューオーガ等の部材が適用されている。この搬送部材64は、回転軸64aを中心にして所定の方向に回転させられることにより、収容空間部62から搬送部63に落下するトナー18Atを搬送突部64bにて搬送方向D1に移動させて送出口63cから送り出すように搬送する。搬送部材64によるトナー18Atの搬送方向D1については、回転軸64aの長手方向(軸線の方向)に沿う方向とみなすことができる。
【0061】
搬送部材64は、
図11等に示されるように、回転軸64aの搬送方向D1の上流側の端部に円板状の支持部64cが設けられており、回転軸64aの搬送方向D1の下流側の端部にバケット状の送り出し部64eが設けられている。
送り出し部64eは、搬送部63の通路空間S2を搬送されて移動するトナー18Atをすくって一時的に収容するとともに搬送部材64が回転して送出口63cを通過する際にそのトナー18Atを送出口63cへ送り出す凹部64dと、その凹部64dの底面になるとともに回転軸64aを中心線とする断面が扇状の形状をなす円筒外周面からなる外周面部64fとを有する構造部分である。外周面部64fは、搬送部材64が回転して送出口63cを通過する際に送出口63cを一時的に塞ぎ、これによりトナー18Atの送出口63cへの送り出しや漏れを一時的に防止するように機能する。
【0062】
容器本体60の搬出部66は、搬送部63から送り出されるトナー18Atを補給路部27Y,27M,27C,27Kにそれぞれ搬出するよう設けられる構造部分である。
この搬出部66は、搬送部63の下方において送出口63cの部分に接続された状態でほぼ平行した状態で配置された円筒状の構造部分の内部に、垂直面部62dの側から垂直面部62cの側にむけて延びる円柱状の通路空間S3が形成されている。また、搬出部66の垂直面部62bがある側の端部の下部には、トナー18Atを排出する排出口66cが設けられている。
【0063】
また、搬出部66には、
図7から
図9に示されるように、その通路空間S3内で回転してトナー18Atを搬送方向D1とは逆方向になる搬出方向D2に搬出する搬送部材67が配置されている。
搬送部材67は、一端側に配置される回転軸部67aに螺旋状に延びる線材部67bを取り付けたアジテータ等の部材が適用されている。この搬送部材67は、回転軸部67aを中心にして所定の方向に回転させられることにより、搬送部63の送出口63cから搬出部66に送り出されるトナー18Atを線材部67bにて搬出方向D2に移動させて排出口66cから排出させるよう搬送する。
【0064】
さらに、搬出部66には、
図8等に示されるように、排出口66cを開閉する移動式シャッター69が設けられている。
移動式シャッター69は、一端が開口する円筒状の本体を有しており、その本体が搬出部66の通路空間S3内で移動可能に設置されている。移動式シャッター69は、その本体の下部のうち排出口66cと向き合うことが可能になる位置に開口69cが設けられており、その本体の閉鎖した側の端部の外側に凹部69dが設けられている。凹部69dは、現像剤容器61を容器装着部14に装着する際、現像装置24Y,24M,24C,24Kの各筐体24aの側面部からそれぞれ突出する押付け部24pが突き当てられる部分である。
また、移動式シャッター69は、搬出部66の通路空間S3内でスプリングばね693のばね力により押されて矢印D2で示す方向に移動する状態に保たれている。
【0065】
移動式シャッター69は、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kが容器装着部14に装着されていないときは、搬出部66の空間内でスプリングばね693のばね力により押されて矢印D2で示す方向に移動する状態に保たれる。これにより、搬出部66の排出口66cは、移動式シャッター69の本体が搬出部66の排出口66cと向き合う位置に移動することで閉じた状態になる。
一方、移動式シャッター69は、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kが容器装着部14に装着されたときは、
図8に示されるように、現像装置24Y,24M,24C,24Kにおける押付け部24pが凹部69dに突き当たって矢印D1で示す方向に押すことにより、搬出部66の空間内を矢印D1で示す方向に移動させられる。これにより、搬出部66の排出口66cは、移動式シャッター69の開口69cが搬出部66の排出口66cと向き合う位置に移動することで開いた状態になる。
【0066】
搬送部材64と搬送部材67は、
図7又は
図8に示されるように、その各回転軸64a又は回転軸部67aにそれぞれ取り付けられた伝達歯車68A,68Bから回転動力がそれぞれ伝達されることで回転する。伝達歯車68Bは、伝達歯車68Aとかみ合っている。また伝達歯車68Bは、現像剤容器61が容器装着部14に装着されると、その容器装着部14に設けられた駆動伝達部28の図示しない駆動歯車と直接又は図示しない歯車列を介して噛み合って接続されるようになっており、それにより回転動力が伝達される。
【0067】
<現像剤搬送装置>
上記現像剤搬送装置5Aは、
図7から
図9に示されるように、トナー18Atが落下して通過する内部空間S1の下方で内部空間S1を狭めるよう傾斜する斜面部52を有する落下通路部51と、その落下通路部51の下端に接続され、トナー18Atが搬送される搬送方向D1に延びる通路空間S2を有する搬送通路部53と、その搬送通路部53の通路空間S2で回転してトナー18Atを一方向である搬送方向D1に搬送する搬送部材54と、斜面部52を含む部分を覆う状態で配置される弾性シート55とを備えている。
また、上記現像剤搬送装置5Aは、搬出部66と搬送部材67も備えている。
【0068】
ここで、現像剤搬送装置5Aにおける上記落下通路部51は、容器本体60における収容空間部62のうち少なくとも第1斜面部62eとその周辺部分になる。上記斜面部52は、収容空間部62における第1斜面部62eになる。また、上記搬送通路部53は、容器本体60における搬送部63になる。さらに、上記搬送部材54は、容器本体60における搬送部63に配置される搬送部材64になる。ちなみに、内部空間S1は、粉体が収容される収容空間でもある。
【0069】
上記弾性シート55は、外力を受けたときに撓むよう変形する一方でその外力が除かれると復元する弾性を有するとともに外力を受けないときは形を保つ保形性を有するシート状の部材である。実施の形態1における弾性シート55としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂を用いて縦長のほぼ長方形に成形した、100~200μm程度の厚さからなるシートが適用されている。
【0070】
弾性シート55は、
図7から
図9に示されるように、その上端55a側の所要の部分55gが落下通路部51を構成する垂直面部62bの上部に固定され、その下端55bが自由端として搬送通路部53内の搬送部材54に向き合う状態で配置されている。
弾性シート55の上端55a側の部分55gは、例えば、垂直面部62bと向き合う面の上半分の部分であり、その部分が接着剤等の手段を介して垂直面部62bの上部に接着されている。
弾性シート55の自由端である下端55bは、第1斜面部62eである斜面部52の下端から下方に突出して搬送部材64の搬送突部64bに接近した位置で、搬送部材64の回転軸64aと平行する方向にほぼ直線状に延びる形状の端部として形成されている。
【0071】
また、弾性シート55は、
図7、
図12等に示されるように、収容空間部62における垂直面部62bと第1斜面部62eとの境界部(線)に対応する部分55hで、その垂直面部62bと第1斜面部62eにそれぞれ追従して接触しやすい状態になるよう屈曲している。
また、弾性シート55は、
図8に示されるように、収容空間部62における垂直面部62dの側の下部に、垂直面部62dから内部空間S1の内側にむけて斜めに切り欠かれた切欠き部55eが形成されている。切欠き部55eは、容器本体60の駆動伝達格納部625との干渉を避けるために切除された部分である。駆動伝達格納部625は、容器本体60のうち第1斜面部62eの下部から下方にある搬送部63および搬出部66の端部に至るまでの部位において、収容空間部62の内側に入り込むよう設けられた構造部分である。
【0072】
そして、現像剤搬送装置5Aにおいては、
図7から
図9に示されるように、弾性シート55の下端55bに突部551が設けられており、また、搬送部63の通路空間S2内に弾性シート55の一部を持ち上げるよう突部551に接触した後に離れるという一連の動きを繰り返す接触体59が設けられている。
また、現像剤搬送装置5Aでは、
図7から
図10に示されるように、斜面部52の一部に弾性シート55の搬送方向D1の上流側の側端55c(の一部)を斜面部52から離した状態に保つよう隆起する隆起部56が設けられている。
さらに、現像剤搬送装置5Aでは、
図7、
図8等に示されるように、弾性シート55の搬送方向D1の上流側の側端55cから内側に向けて切り込まれる第1切り込み57が設けられているとともに、第1切り込み57の終端57eから弾性シート55の上端55a側に向けて切り込まれる第2切り込み58が設けられている。
【0073】
突部551は、弾性シート55の下端55bの搬送部材54のトナー18Atを搬送する搬送方向D1の上流側の端部寄りに、その下端55bからそのまま延長されて突出する形状からなる部分である。
【0074】
この突部551は、弾性シート55の搬送方向D1の上流側の端部寄りの位置に設けられるが、より具体的には、
図13等に示されるように、弾性シート55の下端55bの搬送方向D1に沿う全幅W2の1/4の範囲内に存在するよう設けることが好ましい。
この範囲内に突部551が存在しない場合は、例えば、弾性シート55の一部が後述するよう搬送方向D1の下流側にむけて反り返って撓むように弾性変形しにくくなること等が発生するおそれがある。弾性シート55の一部は、少なくとも搬送方向D1の上流側になる側端55cおよび下端55bが含まれる部分である。
【0075】
また、突部551は、平面形状が四角形になっているが、その平面形状はこれに限定されない。突部551の突出する寸法については、接触体59と接触するとともに、その接触により弾性シート55の一部が持ち上げられて搬送方向D1の下流側にむけて反り返って撓むよう弾性変形することを実現できる寸法であればよい。なお、突部551は、弾性シート55の下端55bのうち搬送方向D1の下流側になる領域(半分の領域)に設けられることがない。
【0076】
接触体59は、
図7から
図9、
図11等に示されるように、搬送部材54の搬送方向D1の上流側の端部に設けられている。
具体的には、接触体59は、
図11等に示されるように、搬送部材54の回転軸54aのうちで搬送方向D1の上流側の端部において回転軸54aの外周面から立ち上がるとともに回転軸54aの軸方向とほぼ平行した状態になる板状の構造部分として設けられている。
また、実施の形態1における接触体59は、
図11に示されるように、搬送部材54における支持部64cと搬送突部64bとの間に存在するとともに、支持部64cおよび搬送突部64bの頂部(外周部)の高さと同じ高さになるよう設けられている。
【0077】
接触体59は、搬送部材54の回転駆動に伴って回転軸54aの周りを周回するように移動し、その移動の途上で弾性シート55の突部551に一時的に接触してから通過するように動くようになっている。
【0078】
隆起部56は、
図9、
図10等に示されるように、斜面部52の搬送方向D1の上流側の端部付近において円弧状に隆起した構造部分として設けられている。
また、隆起部56は、斜面部52の上下方向の全範囲のうち上半分の範囲内に存在するよう設けられている。
さらに、隆起部56は、
図8又は
図13に示されるように、突部551の搬送方向D1における中心の位置Pcよりも搬送方向D1の上流側に存在するよう設けられている。隆起部56が突部551の中心の位置Pcから搬送方向D1の下流側に存在するよう設けられている場合は、弾性シート55の撓みによる現像剤の搬送不良により現像された像の濃度が変動する等の不具合が発生するおそれがある。
【0079】
第1切り込み57は、弾性シート55の搬送方向D1の上流側になる側端55cから搬送方向D1にほぼ平行に直線状に延びる切り込みとして設けられている。
実施の形態1における第1切り込み57は、単なる切り込み線で構成されているものでなく、弾性シート55を所要の幅で切除して切り欠いたような形態の切り込みになっている。第1切り込み57について所要の幅をもって切り欠いた形態で構成した場合は、弾性シート55の撓みが拡大して現像剤の搬送力が向上する等の利点がある。
【0080】
また、第1切り込み57は、斜面部52を覆う部分における上下方向の全範囲のうちほぼ中央の位置に存在するよう設けられている。
さらに、第1切り込み57は、
図8又は
図13に示されるように、その切り込みの終端52eが、弾性シート55のうち突部551の搬送方向D1に沿う幅W3に相当する範囲内の位置に存在するよう設けられている。
第1切り込み57は終端57eが弾性シート55のうち突部551の幅W3に相当する範囲に達しない位置に存在するような短いものである場合は、弾性シート55の撓みによる現像剤の搬送力が低下して現像される像の濃度が変動する等の不具合がある。反対に、その終端57eが弾性シート55のうち突部551の幅W3に相当する範囲を超えた位置に存在するような長いものである場合は、現像剤が動きにくくなって容器内に留まりやすくなり、現像剤が使用されないで容器内に残るロスが増加する等の不具合がある
【0081】
第1切り込み57は、
図8又は
図13に示されるように、隆起部56の下端56bよりも下方の位置に存在するよう設けられている。隆起部56の下端56bよりも下方の位置は、例えば、下端56bから5~10mm程度の距離だけ離れた位置である。第1切り込み57が隆起部56の下端56bよりも下方の位置に存在しない場合は、弾性シート55の撓みによる現像剤の搬送力が低下して現像される像の濃度が変動する等の不具合がある。
【0082】
第2切り込み58は、弾性シート55の上端55a側に向けて切り込まれているが、弾性シート55の搬送方向D1と交差する方向に切り込まれている。このときの交差する方向とは、搬送方向D1と直交する方向を中心にして例えば±5°の角度で交差する範囲内の方向であることが好ましい。
図12等に示される符号581は、第2切り込み58の上端に設けられた不要な切り込み拡大を防止するための貫通孔を示す。
第2切り込み58は、その終端(上端)58eが隆起部56の上端56aよりも上方の位置に存在するよう設けられていることが好ましい。
【0083】
また、第2切り込み58は、
図8又は
図13に示されるように、隆起部56よりも搬送方向D1の下流側の位置に存在するよう設けられている。隆起部56よりも搬送方向D1の下流側の位置は、例えば、隆起部56から2~5mm程度の距離だけ離れた位置である。第2切り込み58が隆起部56よりも搬送方向D1の下流側の位置に存在しない場合は、弾性シート55の撓みによる現像剤の搬送力が低下して現像される像の濃度が変動する等の不具合がある。
【0084】
この現像剤搬送装置5Aでは、斜面部52に隆起部56が設けられ、弾性シート55に第1切り込み57および第2切り込み58が設けられているため、弾性シート55が一部異なった状態になる。
すなわち、弾性シート55は、
図9に示されるように、斜面部52を覆う部分で搬送方向D1の上流側になる端部のうち第1切り込み57および第2切り込み58に囲まれてかつ隆起部56の上に存在する一部分55iが、隆起部56の上に乗って斜面部52から離れて浮いた状態になる。一方、弾性シート55の斜面部52を覆う部分のうち上記一部分55iを除く部分は、斜面部52にほぼ接触した状態におかれる。
【0085】
<現像剤等の回収に関する構成>
ちなみに、画像形成装置1Aでは、
図5に概念的に示されるように、作像装置20Y,20M,20C,20Kにおける各第1清掃装置26により除去された不要物(主にトナー)が第1回収路部29Y,29M,29C,29Kを経由して第1回収容器65Y,67M,67C,67Kにそれぞれ回収され、また中間転写装置30における第2清掃装置36により除去された不要物(主にトナー)が第2回収路部37を経由して第2回収容器68に回収される仕組みになっている。
【0086】
第1回収路部29Y,29M,29C,29Kは、例えば、第1清掃装置26Y,26M,26C,26Kの各筐体26aの一側面部に、搬送部材26cを容器装着部14側に延長させて配置してなる円筒状の構造物として設けられている。第2回収路部37は、例えば、第2清掃装置36の各筐体36aの一側面部に、搬送部材36cを容器装着部14側に延長させて配置してなる円筒状の構造物として設けられている。
【0087】
第1回収路部29Y,29M,29C,29Kと第2回収路部37は、第1清掃装置26Y,26M,26C,26Kと第2清掃装置36が筐体10内に設置されると、
図4に示されるように、容器装着部14に設けられた図示しない通し受け部から外側にそれぞれ突出した状態になり、また、その突出した各端部の下面部には図示しない排出口および開閉蓋がそれぞれ設けられている。また、第1回収路部29Y,29M,29C,29Kと第2回収路部37は、容器装着部14において第1回収容器65Y,65M,65C,65Kと第2回収容器68に設けられている図示しない回収受入部とそれぞれ接続される仕組みになっている。
【0088】
実施の形態1における第1回収容器65Y,65M,65C,65Kは、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kとそれぞれ一体に設けられている。
なお、第1回収容器65Y,65M,65C,65Kは、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kと別体の独立した容器として構成してもよい。またこの場合、第1回収容器65Y,65M,65C,65Kは、1つの第1回収容器65として構成してもよい。1つの第1回収容器65として構成した場合は、各第1清掃装置26でそれぞれ回収された主にトナーである不要物が1つの第1回収容器65にまとめて収容される。
【0089】
<現像剤容器における現像剤搬送装置の動作>
次に、現像剤供給装置7Aにおける現像剤容器61Y,61M,61C,61Kに備わる現像剤搬送装置5Aの動作について説明する。
【0090】
はじめに、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kでは、現像剤供給装置7Aにおいてトナー18Atの補給が必要な時期になると、その補給をすべき該当する現像剤容器61の搬送部材64および搬送部材67が、容器装着部14における駆動伝達部28から伝達歯車68A,68Bを介して伝達される回転動力により所定の方向に所要の時間だけ回転駆動する。
【0091】
これにより、トナー18Atの補給をすべき該当する現像剤容器61では、
図14に示されるように、その搬送部63でもある搬送通路部53の通路空間S2内において矢印で示す方向に回転する搬送部材64でもある搬送部材54の搬送力によりトナー18Atが搬送方向D1に移動するよう搬送される。
また、搬送通路部53の搬送方向D1の下流側の端部側に搬送されたトナー18Atは、搬送部材54における送り出し部64eの凹部64dにすくい取られた後、その凹部64dが搬送通路部53の送出口63cに向き合ったときに送出口63cから搬出部66に落下するよう送り出される。
【0092】
続いて、上記該当する現像剤容器61では、搬出部66の通路空間S3内において所定の方向に回転する搬送部材67の搬送力により、搬送部63から導入されたトナー18Atが搬出方向D2に移動するよう搬送される。
搬出部66の搬出方向D2の下流側の端部側に搬送されたトナー18Atは、移動式シャッター69の開口69cを通過して搬出部66の排出口66cから、該当する現像剤容器61に接続された補給路部27に落下するよう排出される。
【0093】
最後に、現像剤供給装置7Aにおける補給路部27に排出されたトナー18Atは、その補給路部27と対応する現像装置24における撹拌搬送部材24cの延長された部分が撹拌搬送部材24cと同じ方向に回転していることにより、現像装置24の筐体24a内に搬送されて補給される。
【0094】
そして、上記補給をすべき該当する現像剤容器61では、上記トナー18Atの補給時に搬送通路部53の通路空間S2内で搬送部材54が回転すると、その搬送部材54に設けられた接触体59が弾性シート55の突部551に一時的又は周期的に接触した後に通過するという一連の動きが繰り返される。
【0095】
この際、上記該当する現像剤容器61の現像剤搬送装置5Aにおける弾性シート55は、接触体59が突部551に接触すると、その突部551が矢印で示す方向に回転する搬送部材54に合わせて動く接触体59により下から持ち上げられるので、
図14又は
図15に二点鎖線で例示されるように、その搬送方向D1の上流側の側端55cが下端55bから次第に持ち上げられる。
【0096】
これにより、弾性シート55は、
図15および
図16に二点鎖線で例示されるように、その搬送方向D1の上流側の一部55kが搬送方向D1の下流側にむけて斜め上方に反り返って撓むように弾性変形する。このときの弾性シート55の一部55kは、第1切り込み57および第2切り込み58を境にして、隆起部56に乗る一部分55iを除く部分が弾性変形する。また、弾性変形する弾性シートの一部55kは、斜面部52から上方に離れた状態になる。
図15および
図16における二点鎖線Lは、弾性シートの弾性変形する一部55kとそれ以外の部分すなわち弾性変形しない部分との境界線の一例を示す。
【0097】
またこの際、接触体59が突部551との接触から離れて通過すると、上記したように弾性変形した弾性シート55の一部55kは、接触体59の持ち上げる作用がなくなるので元の状態に復帰する。つまり、このときの弾性シート55の一部55kは、斜面部52に接触するような状態に戻る。
このように弾性シート55は、接触体59が突部551との接触および離間を繰り返すように動くことにより、その一部55kが上記した弾性変形とその弾性変形からの復元とを繰り返すように変動する。
【0098】
この結果、上記該当する現像剤容器61の収容空間部62に収容されているトナー18Atは、現像剤搬送装置5Aにおける弾性シート55の一部55kが上記したように弾性変形したときに動かされる。
特にトナー18Atが収容空間部62の内部空間S1を狭めるよう傾斜する斜面部52を有する落下通路部51の下部に接続された搬送通路部53に落下する前に凝集しそうな状態又は凝集した状態にあるときには、その状態にあるトナー18Atは、上記した弾性変形する弾性シート55の一部55kの動きによりほぐされて崩される。
しかも、この場合、崩されたトナー18Atは、弾性シート55の一部55kが上記したように搬送方向D1の下流側にむけて斜め上方に反り返って撓むような状態で弾性変形するので、
図15および
図16に二点鎖線の矢印Rで例示されるように、搬送方向D1の下流側に移動させられる。
【0099】
このように現像剤搬送装置5Aにおける弾性シート55は、その一部55kが上記したような状態で弾性変形することにより、落下通路部51にあるトナー18Atを単に崩して搬送通路部53に落下させることにとどまらず搬送通路部53の搬送方向D1の下流側に移動させることも可能になり、搬送通路部53における搬送部材54によるトナー18Atの搬送方向D1への搬送を補助するよう機能する。
【0100】
したがって、上記トナー18Atの補給をすべき該当する現像剤容器61においては、現像剤搬送装置5Aにおける弾性シート55の動きにより、落下通路部51にあるトナー18Atが少なくとも凝集により滞留することなく搬送通路部53に落下させて搬送方向D1に安定して搬送されるようになり、ひいては搬送通路部53から搬出部66を通して容器本体60から送り出される。
【0101】
これにより、上記該当する現像剤容器61では、トナー18Atが搬送通路部53に落下する前に凝集しそうな状態又は凝集した状態にあるときであっても、その状態にあるトナー18Atが弾性シート55Bの一部55kの動きによりほぐされて崩され、しかも、崩されたトナー18Atが搬送方向D1の下流側に移動させられる。
また、このことにより、現像剤搬送装置5Aを備えた現像剤容器61Y,61M,61C,61Kをはじめとし、この現像剤容器61Y,61M,61C,61Kを用いる現像剤供給装置7Aでは、容器本体60内に収容されているトナー18Atが容器本体60から凝集によるばらつきの少ない状態で円滑に送り出されるようになり、またトナー18Atが凝集して容器本体60に残る量も低減されるようになる。
【0102】
また、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kにおいては、弾性シート55に第1切り込み57および第2切り込み58が設けられているので、接触体59が突部551に接触したときに弾性変形する弾性シート55の一部55kが、上記したように第1切り込み57および第2切り込み58を境にして、隆起部56に乗る一部分55iを除く部分が弾性変形するようになり、これにより、弾性シート55の撓みによる現像剤の搬送性能が向上する等の利点がある。
【0103】
また、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kにおいては、隆起部56が弾性シート55の突部551の搬送方向D1における中心の位置Pc(
図13参照)よりも搬送方向D1の上流側の位置に存在しているので、その位置に隆起部56が存在していない場合に比べると、弾性シート55の一部55kが上記したようにトナー18Atの搬送方向D1の下流側にむけて斜め上方に反り返って撓むような状態で弾性変形しやくなる。これによって、その弾性変形するときの弾性シート55の一部55kにより崩したトナー18Atをその搬送方向D1に移動させやすくなる。
【0104】
さらに、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kにおいては、弾性シート55における第1切り込みの終端57eが突部551の搬送方向D1に沿う幅W3に相当する範囲内の位置に存在しているので、その位置に第1切り込みの終端57eが存在していない場合に比べると、接触体59の突部551への接触で持ち上げられるときの弾性シート55の一部55kがトナー18Atの搬送方向D1の上流側から下流側に撓むように弾性変形しやすくなる。これによっても、その弾性変形するときの弾性シート55の一部55kにより崩したトナー18Atをその搬送方向D1に移動させやすくなる。
【0105】
しかも、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kにおいては、弾性シート55に第1切り込みの終端57eから上端55aにむけて切り込まれる第2切り込み58が設けられているので、その第2切り込み58が設けられていない場合に比べると、接触体59の突部551への接触で持ち上げられる弾性シート55の一部55kが第1切り込み57よりも上方の部分も含めてトナー18Atの搬送方向D1の上流側から下流側にむけて撓むように弾性変形しやすくなる。これによっても、その弾性変形するときの弾性シート55の一部55kにより崩したトナー18Atをその搬送方向D1に移動させやすくなる。
【0106】
また、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kにおいては、第2切り込み58が弾性シート55においてトナー18Atの搬送方向D1と交差する方向に切り込まれているので、その交差する方向に第2切り込み58が切り込まれていない場合に比べると、接触体59の突部551への接触で持ち上げられる弾性シート55の一部55kが第1切り込み57よりも上方の部分も含めてトナー18Atの搬送方向D1の上流側から下流側にむけて安定して撓んで弾性変形しやすくなる。
【0107】
また、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kにおいては、第1切り込み57が隆起部56の下端56bよりも下方の位置に存在するので、その下方の位置に第1切り込み57が存在しない場合に比べると、接触体59の突部551への接触で持ち上げられる弾性シート55の一部55k(厳密には隆起部56の下端56bよりも下方の位置に存在する部分)の持ち上げられるときの斜面部52に対する変位量(離れる距離)が多くなる。これにより、現像剤容器61Y等では、その弾性変形するときの弾性シート55の一部55kによりトナー18Atを崩しやすくなるとともに、その崩したトナー18Atをその搬送方向D1に移動させやすくなる。また、弾性シート55の一部55kのうち隆起部56の下端56bよりも下方の位置に存在する部分と斜面部52との間にトナー8Atが入り込んだときに留まったままになることが抑制されるようにもなる。
【0108】
さらに、現像剤容器61Y,61M,61C,61Kにおいては、第2切り込み58が隆起部56よりもトナー18Atの搬送方向D1の下流側の位置に存在しているので、その下流側の位置に第2切り込み58が存在していない場合に比べると、接触体59の突部551への接触で持ち上げられる弾性シート55の一部55kの持ち上げられるときの斜面部52に対する変位量がより多くなる。
【0109】
そして、現像剤搬送装置5Aを備えた現像剤容器61Y,61M,61C,61Kをはじめとし、この現像剤容器61Y,61M,61C,61Kを用いる現像剤供給装置7Aを採用した画像形成装置1Aでは、その各現像剤容器61が現像剤搬送装置5Aを備える現像剤容器でない場合に比べると、上述したように、その各現像剤容器61において斜面部52を有する落下通路部51の下部に接続された搬送通路部53に落下する前のトナー18Atを動かして崩すことと、その崩したトナー18Atを搬送通路部におけるトナー18Atの搬送方向D1に移動させることが可能になる。
この結果、その各現像剤容器61からのトナー18Atの凝集に起因したばらつきが少ない送り出しと各現像剤容器61におけるトナー18Atの残る量の低減とが可能になり、最終的に、各現像剤容器61内のトナー18Atが像形成装置2Aに、実際には像形成装置2Aにおける各現像装置24にむけて滞ることなく搬送される。
【0110】
<実施の形態1の変形例>
図17には、実施の形態1の変形例1に係る現像剤容器61Y,61M,61C,61Kが示されている。
この変形例1に係る現像剤容器61Y,61M,61C,61Kは、実施の形態1に係る現像剤容器61Y,61M,61C,61K(
図7等を参照)と対比した場合、実施の形態1に係る現像剤搬送装置5Aを、第1切り込み57および第2切り込み58が設けられていない弾性シート55Bを採用した現像剤搬送装置5Bに変更した点で異なるものである。
【0111】
このため、上記現像剤搬送装置5Bは、弾性シート55Bが実施の形態1における第1切り込み57および第2切り込み58(
図8等参照)を有していない以外は、実施の形態1に係る現像剤搬送装置5Aと同じ構成からなるものである。また、この現像剤搬送装置5Bでは、弾性シート55Bに第1切り込み57および第2切り込み58がないので、弾性シート55Bの斜面部52を覆う部分のうちトナー18Atの搬送方向D1の上流側の側端55cを含む側部の一部が、隆起部56の上に乗って斜面部52から離れて浮いた状態になる。
【0112】
そして、変形例1に係る現像剤容器61Y,61M,61C,61Kにおいても、トナー18Atを補給すべき該当する現像剤容器61では、補給の時期になると、その該当する現像剤容器61における現像剤搬送装置5Bの搬送通路部53の通路空間S2内で搬送部材54が回転して、接触体59が弾性シート55Bの突部551に接触した後に通過するという一連の動きが繰り返される。
【0113】
この際、現像剤搬送装置5Bにおける弾性シート55Bは、突部551が接触体59の接触により下から持ち上げられるので、
図18に二点鎖線で例示されるように、弾性シート55Bの搬送方向D1の上流側の一部55kbが、搬送方向D1の下流側にむけて斜め上方に反り返って撓むように弾性変形する。
このときの弾性シート55Bの一部55kbは、上流側の側端55cを含む側部が弾性変形する。また、このときの弾性シート55Bの一部55kbは、搬送方向D1の上流側の側端55cを含む側部が常に隆起部56により斜面部52から浮いて持ち上げられている状態に保たれているので、隆起部56がない場合に比べると、搬送方向D1の下流側にむけて反り返って撓むように弾性変形しやすくなっている。
図18に二点鎖線で示す曲線Lbは、弾性シート55Bの弾性変形する一部55kbとそれ以外の弾性変形しない部分との境界線の一例を示す。この曲線Lbからなる境界線の一端は、例えば、弾性シート55Bにおける上流側の側端55cのうち隆起部56を超えた上方の一部55ceに至るような状態になる。このため、このときの弾性シート55Bの一部55kbは、実施の形態1における弾性シート55の一部55kよりも広い部分が弾性変形するようになる。
【0114】
この結果、上記該当する現像剤容器61では、その収容空間部62に収容されているトナー18Atが落下通路部51の下部に接続された搬送通路部53に落下する前にトナー18Atが弾性変形する弾性シート55Bの一部55kbの動きによりほぐされて崩され、しかも、その崩されたトナー18Atが弾性シート55Bの一部55kbの弾性変形により、
図18に二点鎖線の矢印Rbで例示されるように搬送方向D1の下流側に移動させられる。
これにより、トナー18Atが搬送通路部53に落下する前に凝集しそうな状態又は凝集した状態にあるときであっても、その状態にあるトナー18Atが弾性シート55Bの一部55kbの動きによりほぐされて崩されるとともに、その崩されたトナー18Atが搬送方向D1の下流側に移動させられる。
【0115】
次に、
図19には、実施の形態1の変形例2に係る現像剤容器61Y,61M,61C,61Kが示されている。
この変形例2に係る現像剤容器61Y,61M,61C,61Kは、実施の形態1に係る現像剤容器61Y,61M,61C,61K(
図7等を参照)と対比した場合、実施の形態1に係る現像剤搬送装置5Aを、隆起部56を設けない現像剤搬送装置5Cに変更した点で異なるものである。
【0116】
このため、現像剤搬送装置5Cは、容器本体60の斜面部52に実施の形態1における隆起部56(
図10等参照)を有していない以外は、実施の形態1に係る現像剤搬送装置5Aと同じ構成からなるものである。また、現像剤搬送装置5Cでは、斜面部52に隆起部56がないので、弾性シート55の斜面部52を覆う部分が斜面部62にほぼ接触した状態になる。
【0117】
そして、変形例2に係る現像剤容器61Y,61M,61C,61Kにおいても、トナー18Atを補給すべき該当する現像剤容器61では、補給の時期になると、その該当する現像剤容器61における現像剤搬送装置5Cの搬送通路部53の通路空間S2内で搬送部材54が回転して、接触体59が弾性シート55Bの突部551に接触した後に通過するという一連の動きが繰り返される。
【0118】
この際、現像剤搬送装置5Cにおける弾性シート55は、突部551が接触体59の接触により下から持ち上げられるので、
図20に二点鎖線で例示されるように、弾性シート55の搬送方向D1の上流側の一部55kcが、搬送方向D1の下流側にむけて斜め上方に反り返って撓むように弾性変形する。
このときの弾性シート55の一部55kcは、第1切り込み57および第2切り込み58を境にした範囲が主に上記したような状態で弾性変形する。また、このときの弾性シート55のうち搬送方向D1の上流側の側端55cと第1切り込み57および第2切り込み58とに囲まれる部分55jは、上記弾性変形する程度が殆んどないか又は少なく、斜面部52に接近した状態か又はほぼ接触した状態におかれる。
【0119】
この結果、上記該当する現像剤容器61では、その収容空間部62に収容されているトナー18Atが落下通路部51の下部に接続された搬送通路部53に落下する前にトナー18Atが弾性変形する弾性シート55の一部55kcの動きによりほぐされて崩され、しかも、その崩されたトナー18Atが弾性シート55の一部55kcの弾性変形により、
図20に二点鎖線の矢印Rcで例示されるように搬送方向D1の下流側に移動させられる。
これにより、トナー18Atが搬送通路部53に落下する前に凝集しそうな状態又は凝集した状態にあるときであっても、その状態にあるトナー18Atが弾性シート55の一部55kcの動きによりほぐされて崩されるとともに、その崩されたトナー18Atが搬送方向D1の下流側に移動させられる。
【0120】
なお、上記変形例1においては、弾性シート55に第1切り込み57のみを設けて第2切り込み58を設けないという構成を採用することも可能である。
この第1切り込み57のみを設けた弾性シート55を採用した場合は、第1切り込み57がない場合に比べると、搬送方向D1の下流側にむけて反り返って撓むように弾性変形しやすくなる。その結果、崩したトナー18Atを搬送方向D1の下流側に移動させやすくなる。
【0121】
また、上記変形例2においても、弾性シート55に第1切り込み57のみを設けて第2切り込み58を設けないという構成を採用することも可能である。
この第1切り込み57のみを設けた弾性シート55を採用した場合は、第1切り込み57がない場合に比べると、搬送方向D1の下流側にむけて反り返って撓むように弾性変形しやすくなる。その結果、この場合も、崩したトナー18Atを搬送方向D1の下流側に移動させやすくなる。
【0122】
実施の形態2.
図21には、実施の形態2に係る粉体供給装置7の他の例である固定型の粉体供給装置7Bが示されている。
この粉体供給装置7Bは、粉体18を収容する収容部71と、収容部71に収容されている粉体18を受け入れる受入部75と、収容部71に収容されている粉体18を受入部75まで搬送して供給する供給搬送部77とを備えている。
【0123】
収容部71は、着脱交換されることがなく固定して配置される構造部分であり、粉体18を収容する収容空間部72を有している。
この収容空間部72は、互いにほぼ直交して上下方向にほぼ垂直に延びる面からなる4つの垂直面部72a,72b,72c,72dと、垂直面部72bの下部に内部空間S1を下方側に狭めるよう傾斜する斜面部72eとで囲まれる内部空間S5が形成された構造になっている。
また、収容空間部72は、その上端に、
図22等に示されるように、開口部72tが設けられた天井面部が形成されている。その開口部72tは、粉体18を主に充填するときに使用されるものであり、使用しないときには蓋体72uで塞がれている。
粉体18としては、例えば、実施の形態1で例示した現像剤18A(又はトナー18At)の他、粉体塗料18B等が挙げられる。
【0124】
また、収容部71は、
図21および
図22に示されるように、収容空間部72の下部に接続されて粉体18を搬送する搬送方向D1に延びる通路空間S6を有する搬送部73が設けられている。搬送部73には、その通路空間S6内で回転して粉体18を搬送方向D1に移動させるよう搬送する搬送部材74が配置されている。
上記搬送部73は、例えば、実施の形態1における容器本体60の搬送部63(
図7から
図9を参照)とほぼ同じ構成になっている。
図22における符号73cは、搬送部73における粉体18の送出口を示す。
上記搬送部材74は、例えば、実施の形態1における搬送部材64(
図7から
図9を参照)とほぼ同じ構成になっている。
図22における符号74aは搬送部材74の回転軸を、符号74bは搬送部材74の搬送突部を、符号74eは搬送部材74の送り出し部を、符号74fは送り出し部74eの外周面部を、符号78は回転軸74aに取り付けられる伝達歯車を、それぞれ示す。伝達歯車78は、必要な時期に、図示しない回転駆動装置から回転動力が伝達される。
【0125】
受入部75は、供給される粉体18を使用して消費する部分として構成されている。この場合の受入部75としては、例えば、粉体18が現像剤18Aである場合には現像装置が適用され、粉体18が粉体塗料18Bである場合には粉体塗料付着装置が適用される。
この受入部75は、上記した粉体18を使用して消費する部分であることに限らず、例えば、収容部71から送りされて供給される粉体18を一時的に保留するよう受け入れる中継用の受入部として構成したものであってもよい。
【0126】
供給搬送部77は、収容部71と受入部75を接続するように配置される搬送管79aと、受入部75から送り出される粉体を搬送管79a内で受入部75まで回転して搬送するスクリーオーガ等の搬送部材79bと、搬送部材79bを回転駆動させる図示しない駆動装置とを備えている。搬送管79aには、収容部71における送出口73cと接続される受口79acが設けられているとともに、受入部75における受口77cと接続される図示しない排出口が設けられている。
【0127】
また、収容部71は、粉体18を落下させて通過させる上記斜面部72eを有する収容空間部72から搬送部73に落下させて搬送する粉体搬送装置5を備えている。
粉体搬送装置5は、
図21および
図22に示されるように、粉体18が落下して通過する内部空間S5の下方で内部空間S5を狭めるよう傾斜する斜面部52を有する落下通路部51と、その落下通路部51の下部に接続され、粉体18が搬送される搬送方向D1に延びる通路空間S6を有する搬送通路部53と、その搬送通路部53の通路空間S2で回転して粉体18を一方向である搬送方向D1に搬送する搬送部材54と、収容空間部72における斜面部52を含む部分を覆う状態で配置される弾性シート55を備えている。
【0128】
ここで、粉体搬送装置5における上記落下通路部51は、収容部71の収容空間部72における少なくとも斜面部72eとその周辺部分になる。上記斜面部52は、収容空間部72における斜面部72eになる。また、上記搬送通路部53は、収容空間部72における搬送部63になる。さらに、上記搬送部材54は、収容空間部72における搬送部73に配置される搬送部材74になる。
【0129】
また、実施の形態2に係る粉体搬送装置5としては、
図21又は
図22に示されるように、実施の形態1に係る現像剤搬送装置5A(
図7から
図9等を参照)の構成をほぼ同様に採用している。
すなわち、実施の形態2に係る粉体搬送装置5では、
図22に示されるように、弾性シート55に現像剤搬送装置5Aにおける上記突部551、第1切り込み57および第2切り込み58を同様に設け、また搬送部73の通路空間S6内に上記接触体59を同様に設け、さらに斜面部52の一部に上記隆起部56を同様に設けている。
【0130】
そして、この粉体供給装置7Bは、上記粉体18の供給が必要な時期になると、粉体搬送装置5が駆動することにより収容部71に収容されている粉体18を供給搬送部77にむけて送り出すよう搬送し、その送り出された粉体18を供給搬送部77により受入部75まで搬送して供給するよう作動する。
具体的には、粉体供給装置7Bで粉体18の供給時期になると、はじめに、収容部71において粉体搬送装置5の搬送部材54が、図示しない回転駆動装置から伝達歯車78を介して伝達される回転動力により所定の方向に所要の時間だけ回転駆動する。
【0131】
これにより、収容部71では、
図21に示されるように、その搬送部73でもある搬送通路部53の通路空間S6内において所要の方向に回転する搬送部材74でもある搬送部材54の搬送力にて粉体18が搬送方向D1に移動するよう搬送される。
また、搬送通路部53の搬送方向D1の下流側の端部側に搬送された粉体18は、搬送部材54における送り出し部64eの凹部にすくい取られた後、その凹部が搬送通路部53の送出口53cに向き合ったときに送出口53cから落下するように送り出される。その送り出される粉体18が、受口79acを通して供給搬送部77の搬送管79aに送られる。
粉体供給装置7Bでは、収容部71から供給搬送部77に送り出された粉体18が搬送部材79bにより受入部75にむけて搬送され、受入部75の受口77cを通して受入部75の内部に送り込まれて供給される。
【0132】
そして、収容部71では、上記粉体18の供給時に搬送通路部53の通路空間S6内で搬送部材54が回転すると、その搬送部材54に設けられた接触体59が弾性シート55の突部551に一時的又は周期的に接触した後に通過するという一連の動きが繰り返される。
【0133】
この際、収容部71の粉体搬送装置5における弾性シート55は、接触体59が突部551に接触すると、その突部551が矢印で示す方向に回転する搬送部材54に合わせて動く接触体59により下から次第に持ち上げられる。これにより、弾性シート55は、実施の形態1における弾性シート55の場合(
図15、
図16を参照)とほぼ同様に、その搬送方向D1の上流側の一部(55k)が搬送方向D1の下流側にむけて斜め上方に反り返って撓むように弾性変形する。
またこの際、接触体59が突部551との接触から離れて通過すると、上記したように弾性変形した弾性シート55の一部は、接触体59の持ち上げる作用がなくなるので元の状態に復帰する。
このように弾性シート55は、接触体59が突部551との接触および離間を繰り返すよう動くことにより、その一部が上記した弾性変形とその弾性変形からの復元とを繰り返すように動く。
【0134】
この結果、収容部71の収容空間部72に収容されている粉体18は、粉体搬送装置5における弾性シート55の一部が上記したように弾性変形したときに動かされる。
この粉体供給装置7Bにおいても、特に粉体18が収容空間部72の内部空間S5を狭めるよう傾斜する斜面部52を有する落下通路部51の下部にある搬送通路部53に落下する前に凝集しそうな状態又は凝集した状態にあるときには、その状態にある粉体18が上記した弾性変形する弾性シート55の一部の動きによりほぐされて崩される。
しかも、この場合、崩された粉体18は、弾性シート55の一部が上記したように搬送方向D1の下流側にむけて斜め上方に反り返って撓むような状態で弾性変形するので、実施の形態1に係る現像剤搬送装置5Aの場合とほぼ同様に、搬送方向D1の下流側に移動させられる。
【0135】
このように粉体搬送装置5における弾性シート55は、その一部が上記したような状態で弾性変形することにより、落下通路部51にある粉体18を単に崩して搬送通路部53に落下させることにとどまらず搬送通路部53の搬送方向D1の下流側に移動させることも可能になり、搬送通路部53における搬送部材54による粉体18の搬送方向D1への搬送を補助するよう機能する。
【0136】
したがって、この粉体供給装置7Bおいても、粉体搬送装置5における弾性シート55の動きにより、収容部71の落下通路部51にある粉体18が少なくとも凝集により滞留することなく搬送通路部53に落下して搬送方向D1に安定して搬送されるようになり、ひいては搬送通路部53から供給搬送部77にむけて送り出され、最終的に供給搬送部77により受入部75まで供給される。
【0137】
このことによって、粉体搬送装置5を備えた収容部71をはじめとし、その収容部71を用いる粉体供給装置7Bでは、収容部71内に収容されている粉体18が収容部71の収容空間部72から凝集によるばらつきの少ない状態で円滑に送り出されるようになり、また粉体18が凝集して収容空間部72に残る量も低減されるようになる。またこのことによって、収容部71内に収容されている粉体18が受入部75に安定して供給される。
【0138】
<実施の形態2の変形例>
収容部71は、上記したように粉体18を供給する経路における最上流の位置に配置されて粉体18を収容する部分に限らず、例えば、
図21に二点鎖線で例示されるように最上流の位置に配置される別の収容部600と受入部75との間に配置されて当該別の収容部600に収容された粉体18を受入部75に供給する途上で収容して一時的に保留する中継用の収容部であってもよい。
また、収容部71と受入部75はいずれも、単数である場合に限らず、それぞれ複数ある構成であってもよい。収容部71と受入部75が複数ある場合は、その複数の収容部71のすべてに粉体搬送装置5がそれぞれ装備される。
【0139】
実施の形態2に係る粉体供給装置7Bは、粉体搬送装置5について、実施の形態1の上記変形例1に係る現像剤搬送装置5B(
図17等を参照)の構成をほぼ同様に採用した粉体搬送装置(5B)として構成することも可能である。この場合の粉体搬送装置(5B)は、上記したように第1切り込み57および第2切り込み58が設けられていない弾性シート55Bを採用することになる。
【0140】
また、実施の形態2に係る粉体供給装置7Bは、粉体搬送装置5について、実施の形態1の上記変形例2に係る現像剤搬送装置5C(
図19等を参照)の構成をほぼ同様に採用した粉体搬送装置(5C)として構成することも可能である。この場合の粉体搬送装置(5C)は、上記したように斜面部52に隆起部56を設けない構成を採用することになる。
【0141】
実施の形態3.
図23には、実施の形態3に係る粉体利用装置1の他の例である粉体塗装装置1Bが示されている。
【0142】
粉体塗装装置1Bは、
図23に示されるように、粉体18の他例である粉体塗料18Bが収容される収容部71と、収容部71に収容されている粉体塗料18Bが供給されて消費される粉体消費装置2の他の例である粉体塗料付着装置2Bと、収容部71に収容されている粉体塗料18Bを粉体塗料付着装置2Bまで搬送して供給する粉体供給装置7Bとを備えている。
【0143】
この収容部71、粉体塗料付着装置2Bおよび粉体供給装置7Bは、筐体29の内部に配置されている。また、筐体29の内部には、シート状物19の他の例であって粉体塗装がなされる被塗装体19Bを粉体塗料付着装置2Bや後述する加熱装置86を通過させるように搬送する搬送装置85と、粉体塗料付着装置2Bで被塗装体19Bに付着された粉体塗料18Bを加熱することにより溶融・硬化させて被塗装体19Bに固着させる加熱装置86等が配置されている。被塗装体19Bとしては、シートが適用され、金属、セラミック、合成樹脂等からなる導電性でシート状の部材が適用される。
【0144】
粉体塗料付着装置2Bは、粉体塗料18Bを収容する収容室を有する筐体81の内部に、その収容室内の粉体塗料18Bを撹拌して搬送するスクリューオーガ等の2つの撹拌搬送部材82A,82Bや、撹拌搬送部材82Bから供給される粉体塗料18Bを保持して粉体塗料18Bと対峙する付着位置まで搬送して粉体塗料18Bに付着させる付着ロール83等が配置されている。
【0145】
付着ロール83は、矢印で示す所要の方向に回転する導電性で円筒状の保持搬送体と、その保持搬送体の内部空間に配置されるマグネット部材等で構成されている。また付着ロール83は、その保持搬送体に粉体塗料18Bを被塗装体19Bに静電的に付着させる電圧等が供給される。
【0146】
粉体塗料18Bは、非磁性で熱硬化性の塗布粉体18Btと磁性キャリアとで構成されている。磁性キャリアは、筐体81の収容室内に予め収容されている。また、粉体塗料18Bは、塗布粉体18Btが撹拌搬送部材82A,82Bの撹拌搬送により所要の極性に摩擦帯電させられた後、付着ロール83の保持搬送体の外周面に穂立ち状に形成される磁性キャリアに付着して磁気ブラシとして保持される。
また、粉体塗料18B(の塗布粉体18Bt)は、粉体塗装により消費されるので、その不足した分が粉体供給装置7Bから補給される。
【0147】
搬送装置85は、一対の搬送ロール対85a,85b,85e等や単体の搬送ロール85c,85d等で構成されている。また搬送装置85は、粉体塗料18Bを接地して搬送するようになっている。搬送装置85としては、ベルト式搬送装置を用いることも可能である。
加熱装置86は、被塗装体19B上の粉体塗料18Bを加熱するための熱源を備えている。熱源は、搬送される被塗装体19Bの被塗装面に付着した塗布粉体18Btの層と対向して配置されている。熱源としては、例えば、ハロゲンランプ、セラミックヒータ、赤外線ランプ等の公知の熱源が挙げられる。またこの他の熱源としては、例えば、赤外線レーザを照射して塗布粉体18Btを加熱するレーザ照射装置であってもよい。
【0148】
そして、粉体供給装置7Bは、収容部71に収容されている粉体塗料18B(の塗布粉体18Bt)を粉体塗料付着装置2B(の筐体81の収容室)まで搬送して供給するものであり、本例では実施の形態2に係る粉体供給装置7B(
図21、
図22)を適用している。
このため、粉体供給装置7Bは、
図23に示されるように、収容部71に粉体搬送装置5を備えている。粉体搬送装置5としては、実施の形態1に係る現像剤搬送装置5A(
図7から
図9など)が適用されるが、実施の形態1の変形例1としての粉体搬送装置5B(
図17)や、実施の形態1の変形例としての現像剤搬送装置5C(
図19)を適用することも可能である。
【0149】
粉体塗装装置1Bは、次のように作動する。
【0150】
粉体塗装装置1Bは、粉体塗装時になると、被塗装体19Bが搬送装置85により筐体29の内部に導入されて粉体塗料付着装置2Bの付着位置を通過するように搬送される。この際、粉体塗料付着装置2Bでは、粉体塗料18B(の塗布粉体18Bt)が付着ロール83を介して被塗装体19Bの片面に層状に付着させられる。
続いて、粉体塗料付着装置2Bで粉体塗料18Bが付着された被塗装体19Bが搬送装置85により加熱装置86を通過するように搬送される。加熱装置86では、粉体塗料18B(の塗布粉体18Bt)が加熱されて熱硬化させられる。
以上により、被塗装体19Bの片面に粉体塗料18B(の塗布粉体18Bt)からなる塗膜が形成されて粉体塗装が完了する。粉体塗装が完了した被塗装体19Bは、搬送装置85により筐体29の外に搬出される。
【0151】
また、粉体塗装装置1Bにおいては、粉体塗料付着装置2Bに粉体塗料18B(の塗布粉体18Bt)を補給する時期になると、粉体供給装置7Bが作動して収容部71に収容されている粉体塗料18B(の塗布粉体18Bt)が供給搬送部77により搬送されて粉体塗料付着装置2Bに供給される。
そして、この補給時期には、粉体供給装置7Bに収容部71では粉体搬送装置5Aが駆動して収容部71に収容されている粉体塗料18B(の塗布粉体18Bt)が搬送されて供給搬送部77にむけて送り出される。
【0152】
この粉体供給装置7Bにおいても、実施の形態2に係る粉体供給装置7Bの場合とほぼ同様にして、粉体搬送装置5Aにおける弾性シート55の動きにより、収容部71の落下通路部51にある粉体塗料18Bが少なくとも凝集により滞留することなく搬送通路部53に落下して搬送方向D1に安定して搬送されるようになり、ひいては搬送通路部53から供給搬送部77にむけて送り出される。これにより、その粉体塗料18Bが最終的に供給搬送部77により粉体塗料付着装置2Bまで供給される。
【0153】
このことによって、粉体搬送装置5を備えた収容部71をはじめとし、その収容部71を用いる粉体供給装置7Bでは、収容部71内に収容されている粉体塗料18Bが収容部71の収容空間部72から凝集によるばらつきの少ない状態で円滑に送り出されるようになり、また粉体18が凝集して収容空間部72に残る量も低減されるようになる。またこのことによって、収容部71内に収容されている粉体塗料18Bが粉体塗料付着装置2Bに安定して供給される。
【0154】
<他の変形例>
実施の形態1、3等では、粉体利用装置1として画像形成装置1Aや粉体塗装装置1Bを例示したが、粉体搬送装置5(5A,5B,5C)が現像剤18Aや粉体塗料18B以外の別の粉体18にも有効に適用できる場合は、粉体利用装置1としてはその別の粉体18を利用する装置であってもよい。
【0155】
また、画像形成装置1Aとしては、実施の形態1では像形成装置2Aが4つある構成例を示したが、像形成装置2Aが1つ、3つ、又は5つ以上備えた画像形成装置1Aであってもよい。また、画像形成装置1Aとしては、直接転写方式の画像形成装置であっても構わない。
さらに、粉体塗装装置1Bとしては、固定式の収容部71に代えて、筐体29に着脱可能に装着して使用する粉体塗料18B(の塗布粉体18Bt)の粉体容器6を適用してもよい。
【符号の説明】
【0156】
1 …粉体利用装置
1A…画像形成装置(粉体利用装置の一例)
1B…粉体塗装装置(粉体利用装置の一例)
2 …粉体消費装置
2A…像形成装置(粉体消費装置の一例)
2B…粉体塗料付着装置(粉体消費装置の一例)
5 …粉体搬送装置
5A,5B,5C…現像剤搬送装置
6 …粉体容器
61…現像剤容器(粉体容器の一例)
7,7B…粉体供給装置
18 …粉体
18A…現像剤(粉体の一例)
18B…粉体塗料(粉体の一例)
24…現像装置(収容部の一例)
51…落下通路部
52…斜面部
53…搬送通路部
54…搬送部材
55…弾性シート
55a…上端
55b…下端
55k…一部
551…突部
56…隆起部
57…第1切り込み
57e…終端
58…第2切り込み
59…接触体
71…収容部
75…受入部
77…供給搬送部
D1…搬送方向
S1,S5…内部空間
S2,S6…通路空間