(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20241126BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20241126BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241126BHJP
B41J 2/015 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/175 115
B41J2/175 503
B41J2/01 451
B41J2/015 101
(21)【出願番号】P 2021053647
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】志村 敦
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-054041(JP,A)
【文献】特開2021-030700(JP,A)
【文献】特開2020-142499(JP,A)
【文献】特開2020-044698(JP,A)
【文献】特開2018-043468(JP,A)
【文献】特開2011-251418(JP,A)
【文献】特開2008-044300(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0313058(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するプリントヘッドと、
前記プリントヘッドにデジタル信号を出力するデジタル信号出力回路と、
前記プリントヘッドに液体を供給する液体収容容器と、
を備え、
前記プリントヘッドは、
前記液体収容容器から液体が供給される供給口と、
液体を吐出する複数のノズルを有するノズルプレートと、
互いに向かい合って位置する第1辺及び第2辺と、互いに向かい合って位置する第3辺及び第4辺と、第1面と、前記第1面と異なる第2面と、を有する基板と、
前記デジタル信号が入力される複数の端子を有するコネクターと、
前記コネクターを介して前記デジタル信号が入力され、且つ前記プリントヘッドの異常の有無を示す異常検出信号を出力する第1集積回路と、
前記第1集積回路と電気的に接続された第2集積回路と、
を有し、
前記コネクターは、前記第3辺との距離が最も短い第1端部と前記第4辺との距離が最も短い第2端部とを含み、前記複数の端子が前記第1辺に沿って並ぶように前記第1面に設けられ、
前記第1集積回路は、前記第2面に設けられ、
前記第1端部と前記第1集積回路との最短距離は、前記第2端部と前記第1集積回路との最短距離よりも短く、
前記第2端部と前記第2集積回路との最短距離は、前記第1端部と前記第2集積回路との最短距離よりも短い、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記供給口は、鉛直方向において前記基板よりも上方に位置している、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記基板は、鉛直方向に沿って前記第1面が上方を向き、前記第2面が下方を向くように位置している、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記基板は、前記第1面が鉛直方向と直交するように位置している、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記プリントヘッドは、前記ノズルプレートを含む吐出モジュールを有し、
前記第1集積回路は、前記基板と前記吐出モジュールとの間に位置している、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記プリントヘッドは、前記供給口と連通する液体流路を有し、
前記液体流路は、前記基板が有する前記第1面と前記第2面とを貫通部を通過する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第1集積回路は、表面実装部品である、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第1集積回路と前記基板とは、バンプ電極を介して電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記第1集積回路は、前記プリントヘッドに異常が生じている場合、ローレベルの前記異常検出信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記第1集積回路は、前記プリントヘッドに異常が生じている場合、ハイレベルの前記異常検出信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記デジタル信号は、液体の吐出タイミングを規定する信号を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記デジタル信号は、クロック信号を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記デジタル信号よりも電圧値の大きな台形波形を含む台形波形信号を出力する台形波形信号出力回路を備え、
前記台形波形信号は、前記コネクターに入力される、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記第2集積回路は、前記第1集積回路の動作タイミングを規定する発振回路を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等の液体吐出装置は、プリントヘッドに設けられた圧電素子を駆動信号により駆動することで、キャビティーに充填されたインク等の液体をノズルから吐出し、媒体上に文字や画像を形成する。このような液体吐出装置において、ノズルから吐出された液体の多くは、媒体に着弾し画像を形成する。
【0003】
しかしながら、ノズルから吐出された液体の一部は、媒体に着弾する前にミスト化し液体ミストとして液体吐出装置の内部に浮遊する場合がある。また、ノズルから吐出された液体が媒体に着弾した後であっても、液体が吐出される媒体の搬送に伴い生じる気流により、着弾した液体がミスト化し液体ミストとして液体吐出装置の内部に浮遊する場合もある。このような液体吐出装置の内部に浮遊する液体ミストは、非常に微小であるが故に、レナード効果により帯電する。それに故に、当該液体ミストは、プリントヘッドに各種信号を伝搬する配線パターンや、ケーブルとプリントヘッドとを電気的に接続する端子などの導電部に引き寄せられ、その結果、プリントヘッドの内部に侵入する場合がある。
【0004】
プリントヘッドの内部に液体ミストが侵入した場合、液体ミストがプリントヘッドの内部に設けられた配線パターンや端子、電子部品などに引き寄せられる。そして、液体ミストが当該配線パターン間及び当該端子間に付着した場合、プリントヘッドに短絡異常が生じ、その結果、プリントヘッド及び液体吐出装置に誤動作が生じるおそれがあった。
【0005】
このような液体ミストがプリントヘッドの内部に侵入することに起因して生じるプリントヘッド及び液体吐出装置の誤動作は、プリントヘッドへの液体ミストの侵入に限るものではなく、例えば、プリントヘッドに供給されるインク等の液体が継手部分等から漏れ出し、漏れ出した液体がプリントヘッドの内部に侵入するとともに、侵入した液体がプリントヘッドの内部に設けられた配線パターンや端子に付着した場合にも生じ得る。
【0006】
このようなプリントヘッドの内部に液体が侵入することに起因して生じ得る問題に対して、例えば特許文献1には、液体を吐出するプリントヘッドが、当該プリントヘッドの異常を検出する集積回路を備えるとともに、プリントヘッドにインク等の液体が侵入した場合であっても、当該集積回路にインクが付着するおそれを低減することで、当該集積回路に誤動作が生じるおそれを低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、プリントヘッドの内部に侵入した液体の検出精度の観点において改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、
液体を吐出するプリントヘッドと、
前記プリントヘッドにデジタル信号を出力するデジタル信号出力回路と、
前記プリントヘッドに液体を供給する液体収容容器と、
を備え、
前記プリントヘッドは、
前記液体収容容器から液体が供給される供給口と、
液体を吐出する複数のノズルを有するノズルプレートと、
互いに向かい合って位置する第1辺及び第2辺と、互いに向かい合って位置する第3辺及び第4辺と、第1面と、前記第1面と異なる第2面と、を有する基板と、
前記デジタル信号が入力される複数の端子を有するコネクターと、
前記コネクターを介して前記デジタル信号が入力され、且つ前記プリントヘッドの異常の有無を示す異常検出信号を出力する第1集積回路と、
前記第1集積回路と電気的に接続された第2集積回路と、
を有し、
前記コネクターは、前記第3辺との距離が最も短い第1端部と前記第4辺との距離が最も短い第2端部とを含み、前記複数の端子が前記第1辺に沿って並ぶように前記第1面に設けられ、
前記第1集積回路は、前記第2面に設けられ、
前記第1端部と前記第1集積回路との最短距離は、前記第2端部と前記第1集積回路との最短距離よりも短く、
前記第2端部と前記第2集積回路との最短距離は、前記第1端部と前記第2集積回路との最短距離よりも短い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】駆動信号COMA,COMBの波形の一例を示す図である。
【
図3】駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。
【
図5】デコーダーにおけるデコード内容を示す図である。
【
図7】駆動信号選択回路の動作を説明するための図である。
【
図9】-Z側から見た場合のヘッドユニットの分解斜視図である。
【
図10】+Z側から見た場合のヘッドユニットの分解斜視図である。
【
図11】ヘッドユニットを+Z側から見た場合の図である。
【
図12】吐出ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図13】ヘッドチップの概略構造を示す断面図である。
【
図14】配線基板を-Z側から見た場合の配線基板の構成の一例を示す図である。
【
図15】配線基板を+Z側から見た場合の配線基板の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0012】
1.液体吐出装置の機能構成
本実施形態における液体吐出装置1の機能構成について
図1を用いて説明する。本実施形態における液体吐出装置1は、液体の一例としてインクを媒体に吐出することにより、媒体に所望の画像を形成する所謂インクジェットプリンターを例に挙げ説明を行う。このような、液体吐出装置1は、外部に設けられたコンピューター等の外部機器から有線通信
、又は無線通信によって送信される画像データを受信し、受信した画像データに基づく画像を媒体に形成する。
【0013】
図1は、液体吐出装置1の機能構成を示す図である。
図1に示すように、液体吐出装置1は、制御ユニット10、及びヘッドユニット20を備える。
【0014】
制御ユニット10は、メイン制御回路11と電源回路12とを有する。電源回路12には、液体吐出装置1の外部に設けられた不図示の商用交流電源から商用電圧が入力される。そして、電源回路12は、入力される商用電圧に基づいて、電圧値が42Vの直流電圧である電圧VHVと、電圧値が5Vの直流電圧である電圧VDDとを生成し、ヘッドユニット20に出力する。このような電源回路12は、例えば、交流電圧である商用電圧を直流電圧に変換するフライバック回路等のAC/DCコンバーターと、当該AC/DCコンバーターが出力する直流電圧の電圧値を変換するDC/DCコンバーターと、を含んで構成される。
【0015】
電源回路12で生成された電圧VHV,VDDが、ヘッドユニット20に供給されることで、ヘッドユニット20が有する各種構成が動作する。すなわち、電圧VHV,VDDは、ヘッドユニット20の電源電圧に相当する。なお、電圧VHV,VDDは、制御ユニット10を含む液体吐出装置1の各部の電源電圧としても用いられてよい。また、電源回路12は、電圧VHV,VDDに加えて、制御ユニット10、及びヘッドユニット20を含む液体吐出装置1の各部で使用される電圧値の電圧信号を生成し、対応する各構成に出力してもよい。
【0016】
メイン制御回路11には、液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューター等の外部機器から不図示のインターフェース回路を介して画像信号が入力される。そして、メイン制御回路11は、入力される画像信号に応じた画像を媒体に形成するための各種信号を生成し、対応する構成に出力する。
【0017】
具体的には、メイン制御回路11は、入力される画像信号に対して所定の画像処理を施した後、当該画像処理を施した信号を画像情報信号IPとしてヘッドユニット20に出力する。このメイン制御回路11から出力される画像情報信号IPは、差動信号等の電気信号であって、例えばPCIe(Peripheral Component Interconnect Express)の通信規格に準拠した信号である。ここで、メイン制御回路11で実行される画像処理には、例えば、入力される画像信号を赤、緑、青の色彩情報に変換した後、液体吐出装置1から吐出されるインクの色彩に対応する色彩情報に変換する色彩変換処理や、当該色彩情報を二値化するハーフトーン処理等が含まれる。なお、メイン制御回路11が実行する画像処理は、上述した色変換処理やハーフトーン処理に限るものではない。
【0018】
また、メイン制御回路11は、入力される画像信号に基づいて、当該画像信号に基づく画像が形成される媒体を搬送するための搬送制御信号を生成し、不図示の媒体搬送ユニットに出力する。これにより媒体の搬送が開始される。
【0019】
以上のようにメイン制御回路11は、ヘッドユニット20の動作を制御する画像情報信号IPを生成しヘッドユニット20に出力するとともに、媒体の搬送を制御する。これにより、ヘッドユニット20は、媒体の所望の位置にインクを吐出することができる。このようなメイン制御回路11は、複数の機能を備えた1又は複数の半導体装置であって、例えばSoC(System on a Chip)を含んで構成されている。
【0020】
ヘッドユニット20は、ヘッド制御回路21、差動信号復元回路22、駆動信号出力回路50、及び吐出ヘッド100-1~100-mを備える。なお、以下の説明において、
吐出ヘッド100-1~100-mはいずれも同じ構成であり、区別する必要がない場合、吐出ヘッド100と称する場合がある。
【0021】
ヘッド制御回路21は、メイン制御回路11から入力される画像情報信号IPに基づいて、ヘッドユニット20の各部を制御するための制御信号を出力する。具体的には、ヘッド制御回路21は、画像情報信号IPに基づいて、吐出ヘッド100からのインクの吐出を制御する制御信号を差動信号に変換した差動信号dSCKと、差動信号dSIa1~dSIan,…,dSIm1~dSImnと、を生成し差動信号復元回路22に出力する。
【0022】
差動信号復元回路22は、入力される差動信号dSCK、及び差動信号dSIa1~dSIan,…,dSIm1~dSImnのそれぞれを復元することで、クロック信号SCK、及び印刷データ信号SIa1~SIan,…,SIm1~SImnを生成し、対応する吐出ヘッド100-1~100-mに出力する。
【0023】
詳細には、ヘッド制御回路21は、一対の信号dSCK+,dSCK-を含む差動信号dSCKを生成し、差動信号復元回路22に出力する。差動信号復元回路22は、入力される一対の信号dSCK+,dSCK-を含む差動信号dSCKを復元することで、クロック信号SCKを生成し、吐出ヘッド100-1~100-mに出力する。
【0024】
また、ヘッド制御回路21は、一対の信号dSIa1+~dSIan+,dSIa1-~dSIan-を含む差動信号dSIa1~dSIanを生成し、差動信号復元回路22に出力する。差動信号復元回路22は、入力される差動信号dSIa1~dSIanを復元することで対応するシングルエンドの信号である印刷データ信号SIa1~SIanを生成し、吐出ヘッド100-1に出力する。
【0025】
同様に、ヘッド制御回路21は、一対の信号dSIm1+~dSImn+,dSIm1-~dSImn-を含む差動信号dSIm1~dSImnを生成し、差動信号復元回路22に出力する。差動信号復元回路22は、入力される差動信号dSIm1~dSImnを復元することで対応するシングルエンドの信号である印刷データ信号SIm1~SImnを生成し、吐出ヘッド100-mに出力する。
【0026】
すなわち、吐出ヘッド100-i(iは1~mのいずれか)には、ヘッド制御回路21が出力する一対の信号dSCK+,dSCK-を含む差動信号dSCKが差動信号復元回路22によって復元されたクロック信号SCKと、一対の信号dSIi1+~dSIin+,dSIi1-~dSIin-を含む差動信号dSIi1~dSIinが差動信号復元回路22によって復元された印刷データ信号SIi1~SIinと、が入力される。
【0027】
ここで、ヘッド制御回路21から出力される差動信号dSCK、及び差動信号dSIa1~dSIan,…,dSIm1~dSImnは、それぞれが、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)転送方式の差動信号であってもよく、また、LVDS以外のLVPECL(Low Voltage Positive Emitter Coupled Logic)やCML(Current Mode Logic)等の各種の高速通信方式の差動信号であってもよい。また、ヘッドユニット20が、差動信号を生成する差動信号生成回路を有し、当該差動信号生成回路が、ヘッド制御回路21が出力する差動信号dSCKの基となる基制御信号oSCKと、差動信号dSIa1~dSIan,…,dSIm1~dSImnの基となる基制御信号oSIa1~oSIan,…,oSIm1~oSImnと、から差動信号dSCKと、差動信号dSIa1~dSIan,…,dSIm1~dSImnと、を生成し、差動信号復元回路22に出力してもよい。
【0028】
また、ヘッド制御回路21は、メイン制御回路11から入力される画像情報信号IPに
基づいて、m個の吐出ヘッド100からのインクの吐出タイミングを制御する制御信号としてラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを生成し、m個の吐出ヘッド100のそれぞれに出力する。
【0029】
さらに、ヘッド制御回路21は、メイン制御回路11から入力される画像情報信号IPに基づいて、m個の吐出ヘッド100を駆動させる駆動信号COMA,COMBの基となる基駆動信号dA,dBを生成し、駆動信号出力回路50に出力する。
【0030】
駆動信号出力回路50は、駆動回路51a,51bを含む。駆動回路51aには、基駆動信号dAが入力される。そして、駆動回路51aは、入力される基駆動信号dAをアナログ信号に変換した後、変換されたアナログ信号を電圧VHVに基づいてD級増幅することで、駆動信号COMAを生成し、m個の吐出ヘッド100に出力する。駆動回路51bには、基駆動信号dBが入力される。そして、駆動回路51bは、入力される基駆動信号dBをアナログ信号に変換した後、変換されたアナログ信号を電圧VHVに基づいてD級増幅することで、駆動信号COMBを生成し、m個の吐出ヘッド100に出力する。また、駆動信号出力回路50は、電圧VDDを昇圧又は降圧することで、m個の吐出ヘッド100からインクが吐出される場合の基準電位となる基準電圧信号VBSを生成し、m個の吐出ヘッド100に出力する。
【0031】
ここで、本実施形態では、駆動信号出力回路50が出力する駆動信号COMA,COMB、及び基準電圧信号VBSが、m個の吐出ヘッド100に共通に出力されるとして説明を行うが、駆動信号出力回路50は、複数の駆動回路51a,51bを備え、m個の吐出ヘッド100に対応する複数の駆動信号COMA,COMBを出力してもよい。また、駆動回路51a,51bは、入力される基駆動信号dA,dBに対応するアナログ信号を電圧VHVに基づいて増幅することができればよく、例えば、A級増幅回路、B級増幅回路、又はAB級増幅回路を含んで構成されていてもよい。
【0032】
吐出ヘッド100-1には、印刷データ信号SIa1~SIan、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、駆動信号COMA,COMB、及び基準電圧信号VBSが入力される。また、吐出ヘッド100-1は、診断回路250と、温度検出回路260と、駆動信号選択回路200-1~200-nと、駆動信号選択回路200-1~200-nのそれぞれに対応するヘッドチップ300-1~300-nと、を有する。
【0033】
吐出ヘッド100-1に含まれる温度検出回路260は、吐出ヘッド100-1の温度を検出し、検出した温度を示す温度情報信号THを出力する。この温度検出回路260が出力する温度情報信号THは、吐出ヘッド100-1の温度を示す情報を含んでもよく、また、吐出ヘッド100-1の温度が所定の温度以上であるか否かを示す情報を含んでもよい。そして、温度検出回路260が出力する温度情報信号THは、診断回路250に入力される。
【0034】
吐出ヘッド100-1に含まれる診断回路250は、吐出ヘッド100-1の異常の有無を検出し、検出結果を示す異常検出信号ADを生成し、ヘッド制御回路21に出力する。
【0035】
診断回路250は、温度検出回路260から入力される温度情報信号THに基づいて、吐出ヘッド100-1の温度が正常であるか否かを判断する。すなわち、診断回路250は、吐出ヘッド100-1の温度異常の有無を検出する。そして、診断回路250は、温度異常の有無を示す異常検出信号ADを生成し、ヘッド制御回路21に出力する。
【0036】
また、診断回路250には、印刷データ信号SIa1~SIan、クロック信号SCK
、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。そして、診断回路250は、入力される印刷データ信号SIa1~SIan、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHの論理レベルに基づいて、吐出ヘッド100-1の動作異常の有無を検出する。そして、診断回路250は、動作異常の有無を示す異常検出信号ADを生成し、ヘッド制御回路21に出力する。
【0037】
例えば、診断回路250は、入力される印刷データ信号SIa1~SIan、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHの論理レベルが正常な論理であるか否かに基づいて、入力される印刷データ信号SIa1~SIan、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHのそれぞれの伝搬経路の異常に起因する動作異常の有無を検出してもよい。また、診断回路250は、印刷データ信号SIa1~SIan、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHの論理レベルに基づいて、吐出ヘッド100-1に所定の動作を実行させ、当該所定の動作が正常に実行されたか否かによって、吐出ヘッド100-1の動作異常の有無を検出してもよい。
【0038】
また、診断回路250は、吐出ヘッド100-1の内部に侵入したインクミストが、吐出ヘッド100-1の内部に付着しているか否かを検出する。そして、診断回路250は、インクミストの付着の有無を示す異常検出信号ADを生成し、ヘッド制御回路21に出力する。
【0039】
そして、診断回路250は、吐出ヘッド100-1に異常が生じていないと判断した場合、クロック信号SCKをクロック信号cSCKとして駆動信号選択回路200-1~200-nに出力し、印刷データ信号SIa1~SIanのそれぞれを印刷データ信号cSIa1~cSIanとして対応する駆動信号選択回路200-1~200-nに出力し、ラッチ信号LATをラッチ信号cLATとして駆動信号選択回路200-1~200-nに出力し、チェンジ信号CHをチェンジ信号cCHとして駆動信号選択回路200-1~200-nに出力する。
【0040】
ここで、診断回路250が出力するクロック信号SCKとクロック信号cSCKとは、同じ信号であってもよく、同様に、印刷データ信号SIa1~SIanのそれぞれと印刷データ信号cSIa1~cSIanのそれぞれ、ラッチ信号LATとラッチ信号cLATと、及びチェンジ信号CHとチェンジ信号cCHとが同じ信号であってもよい。また、診断回路250は、クロック信号SCKを変換したクロック信号cSCKを出力してもよく、同様に、印刷データ信号SIa1~SIanのそれぞれを変換した印刷データ信号cSIa1~cSIanのそれぞれと、ラッチ信号LATを変換したラッチ信号cLATと、チェンジ信号CHを変換したチェンジ信号cCHとを出力してもよい。なお、本実施形態における液体吐出装置1では、診断回路250が出力するクロック信号SCKとクロック信号cSCKとが同じ信号であり、印刷データ信号SIa1~SIanのそれぞれと印刷データ信号cSIa1~cSIanのそれぞれとが同じ信号であり、ラッチ信号LATとラッチ信号cLATとが同じ信号であり、チェンジ信号CHとチェンジ信号cCHとが同じ信号であるとして説明を行う。
【0041】
また、診断回路250は、吐出ヘッド100で異常が生じているか否か、吐出ヘッド100で生じている場合には、当該異常が、温度異常であるのか、動作異常であるのか、また、吐出ヘッド100にインクミストが付着しているか否かを示す情報を示すコマンドを含む異常検出信号ADをヘッド制御回路21に出力してもよいが、吐出ヘッド100で、温度異常、動作異常、及びインクミストの付着が生じているか否かを示すハイレベル又はローレベルの異常検出信号ADをヘッド制御回路21に出力することが好ましい。すなわち、診断回路250は、吐出ヘッド100に異常が生じている場合、ローレベル又はハイレベルの異常検出信号ADを出力することが好ましい。
【0042】
これにより、ヘッド制御回路21はコマンドの解析を行うことなく短時間で吐出ヘッド100の異常の有無を検出するとともに、吐出ヘッド100における印刷処理の停止などを実行することができ、その結果、吐出ヘッド100で生じた異常が液体吐出装置1の各部に波及するおそれが低減する。
【0043】
吐出ヘッド100-1に含まれる駆動信号選択回路200-1には、印刷データ信号cSIa1、クロック信号cSCK、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH、及び駆動信号COMA,COMBが入力される。そして、吐出ヘッド100-1に含まれる駆動信号選択回路200-1は、印刷データ信号cSIa1に基づいて、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCHで規定されるタイミングで、駆動信号COMA,COMBに含まれる波形を選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成し、吐出ヘッド100-1に含まれるヘッドチップ300-1に出力する。これにより、ヘッドチップ300-1が有する後述する圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に伴い対応するノズルからインクが吐出される。
【0044】
同様に、吐出ヘッド100-1に含まれる駆動信号選択回路200-nには、印刷データ信号cSIan、クロック信号cSCK、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH、及び駆動信号COMA,COMBが入力される。そして、吐出ヘッド100-1に含まれる駆動信号選択回路200-nは、印刷データ信号cSIanに基づいて、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCHで規定されるタイミングで、駆動信号COMA,COMBに含まれる波形を選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成し、吐出ヘッド100-1に含まれるヘッドチップ300-nに出力する。これにより、ヘッドチップ300-nが有する後述する圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に伴い対応するノズルからインクが吐出される。
【0045】
すなわち、駆動信号選択回路200-1~200-nのそれぞれは、駆動信号COMA,COMBを駆動信号VOUTとして対応するヘッドチップ300-1~300-nに含まれる圧電素子60に供給するか否かを切り替える。ここで、吐出ヘッド100-1と吐出ヘッド100-2~100-mのそれぞれとは、入力される信号が異なるのみであり、構成、及び動作は同様である。したがって、吐出ヘッド100-2~100-mの構成、及び動作の説明は省略する。また、以下の説明において、吐出ヘッド100に含まれる駆動信号選択回路200-1~200-nはいずれも同様の構成であり、また、ヘッドチップ300-1~300-nはいずれも同様の構成である。そのため、駆動信号選択回路200-1~200-nを区別する必要がない場合、単に駆動信号選択回路200と称し、ヘッドチップ300-1~300-nを区別する必要がない場合、単にヘッドチップ300と称する場合がある。この場合において、駆動信号選択回路200とヘッドチップ300とが互いに対応し、駆動信号選択回路200がヘッドチップ300に駆動信号VOUTを出力するとして説明を行う。この場合において駆動信号選択回路200には、印刷データ信号cSI、クロック信号cSCK、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH、及び駆動信号COMA,COMBが入力されるとして説明を行う。
【0046】
以上のように構成された液体吐出装置1において、媒体に対してインクを吐出する吐出ヘッド100がプリントヘッドの一例であり、吐出ヘッド100にデジタル信号である印刷データ信号SIa1~SIan、及びクロック信号SCKを出力する差動信号復元回路22と、デジタル信号であるラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを出力するヘッド制御回路21の一方がデジタル信号出力回路の一例である。なお、本実施形態では、ヘッド制御回路21が、印刷データ信号SIa1~SIanの基となる差動信号dSIa1~dSIanと、クロック信号SCKの基となる差動信号dSCKとを出力するとして説明を行ったが、ヘッド制御回路21が、シングルエンドの印刷データ信号SIa1~SIa
nとクロック信号SCKとを出力してもよい。この場合、液体吐出装置1は、差動信号復元回路22を含まなくてもよい。
【0047】
2.駆動信号選択回路の構成、及び動作
次に、駆動信号選択回路200の構成、及び動作について説明する。前述の通り、駆動信号選択回路200は、入力される駆動信号COMA,COMBの波形を選択又は非選択とすることで、駆動信号VOUTを生成し、対応するヘッドチップ300に出力する。そこで、駆動信号選択回路200の構成、及び動作を説明するにあたり、まず、駆動信号選択回路200に入力される駆動信号COMA,COMBの波形の一例、及び駆動信号選択回路200が出力する駆動信号VOUTの波形の一例について説明する。
【0048】
図2は、駆動信号COMA,COMBの波形の一例を示す図である。
図2に示すように、駆動信号COMAは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、チェンジ信号CHが立ち上がってからラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形である。台形波形Adp1が、ヘッドチップ300に供給された場合、ヘッドチップ300が有する対応するノズルから小程度の量のインクが吐出され、台形波形Adp2が、ヘッドチップ300に供給された場合、ヘッドチップ300が有する対応するノズルから小程度の量よりも多い中程度の量のインクが吐出される。
【0049】
また、
図2に示すように、駆動信号COMBは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた波形である。台形波形Bdp1が、ヘッドチップ300に供給された場合、ヘッドチップ300が有する対応するノズルからインクは吐出されない。この台形波形Bdp1は、ノズルの開孔部付近のインクを微振動させて、インク粘度の増大を防止するための波形である。また、台形波形Bdp2が、ヘッドチップ300に供給された場合、台形波形Adp1が供給された場合と同様に、ヘッドチップ300が有する対応するノズルから小程度の量のインクが吐出される。
【0050】
ここで、
図2に示すように、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のそれぞれの開始タイミング、及び終了タイミングでの電圧値は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2は、それぞれが電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する波形である。そして、期間T1と期間T2とからなる周期Taが、媒体に新たなドットを形成する印刷周期に相当する。
【0051】
なお、
図2では、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とが同じ波形であるとして図示しているが、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とが異なる波形であってもよい。また、台形波形Adp1がヘッドチップ300に供給された場合と、台形波形Bdp1がヘッドチップ300に供給された場合とで、共に対応するノズルから小程度の量のインクが吐出されるとして説明を行うが、これに限るものではない。すなわち、駆動信号COMA,COMBの波形は、
図2に示す一例に限られるものではなく、ヘッドチップ300が有するノズルから吐出されるインクの性質や、インクが着弾する媒体の材質等に応じて、様々な波形の組み合わせの信号が用いられてもよい。
【0052】
以上のような駆動信号出力回路50が出力する駆動信号COMA,COMBは、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKよりも電圧値の大きな信号であって、高電位の電圧VHVに基づいて増幅された台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdpを含む。この駆動信号COMA,COMBの少なくとも一方が台形波形信号の一例であり、駆動信号COMA,COMBを出力する駆動回路51a,51b、及び駆動回路51a,51bを含む駆動信号出力回路50の少なくともいずれかが台形波形信号出力回路の一例である。
【0053】
図3は、媒体に形成されるドットの大きさが大ドットLD、中ドットMD、小ドットSD、及び非記録NDのそれぞれに対応する駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。
【0054】
図3に示すように、媒体に大ドットLDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルから小程度の量のインクと中程度の量のインクとが吐出される。したがって、周期Taにおいて、それぞれのインクが媒体に着弾し合体することで、媒体には、大ドットLDが形成される。
【0055】
また、媒体に中ドットMDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルから小程度の量のインクが2回吐出される。したがって、周期Taにおいて、それぞれのインクが媒体に着弾し合体することで、媒体には、中ドットMDが形成される。
【0056】
媒体に小ドットSDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルから小程度の量のインクが1回吐出される。したがって、周期Taにおいて、このインクが媒体に着弾し、媒体には、小ドットSDが形成される。
【0057】
媒体にドットを形成しない非記録NDに対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルの開孔部付近のインクが微振動するのみでインクは吐出されない。したがって、周期Taにおいて、インクが媒体に着弾せず、媒体には、ドットが形成されない。
【0058】
ここで、電圧Vcで一定の波形とは、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択されていない場合にヘッドチップ300に供給される電圧であって、具体的には、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2の直前の電圧Vcがヘッドチップ300に保持された電圧値の波形である。そのため、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択されていない場合、電圧Vcが駆動信号VOUTとしてヘッドチップ300に供給されることとなる。
【0059】
次に、駆動信号選択回路200の構成、及び動作について説明する。
図4は、駆動信号選択回路200の構成を示す図である。
図4に示すように、駆動信号選択回路200は、選択制御回路210と複数の選択回路230とを含む。また、
図4には、駆動信号選択回路200から出力される駆動信号VOUTが供給されるヘッドチップ300の一例を図示している。
図4に示すように、ヘッドチップ300は、それぞれが圧電素子60を有するp個の吐出部600を含む。
【0060】
選択制御回路210には、印刷データ信号cSI、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH、及びクロック信号cSCKが入力される。また、選択制御回路210には、シフトレジスター(S/R)212とラッチ回路214とデコーダー216との組が、ヘッド
チップ300が有するp個の吐出部600の各々に対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200は、ヘッドチップ300が有するp個の吐出部600と同数のシフトレジスター212とラッチ回路214とデコーダー216との組を含む。
【0061】
印刷データ信号cSIは、クロック信号cSCKに同期した信号であって、p個の吐出部600の各々に対して、大ドットLD、中ドットMD、小ドットSD、及び非記録NDのいずれかを選択するための2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を含む、合計2pビットの信号である。駆動信号選択回路200に入力された印刷データ信号cSIは、p個の吐出部600に対応して、印刷データ信号cSIに含まれる2ビット分の印刷データ[SIH,SIL]毎に、シフトレジスター212に保持される。具体的には、選択制御回路210は、p個の吐出部600に対応したp段のシフトレジスター212が互いに縦続接続されるとともに、印刷データ信号cSIとしてシリアルで入力された印刷データ[SIH,SIL]が、クロック信号cSCKに従って順次後段に転送される。なお、
図4では、シフトレジスター212を区別するために、印刷データ信号cSIが入力されるシフトレジスター212を、上流側から順に1段、2段、…、p段と表記している。
【0062】
p個のラッチ回路214の各々は、p個のシフトレジスター212の各々で保持された2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号cLATの立ち上がりでラッチする。
【0063】
図5は、デコーダー216におけるデコード内容を示す図である。デコーダー216は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]に従い選択信号S1,S2を出力する。例えば、デコーダー216は、2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1の論理レベルを、期間T1,T2においてH,Lレベルとして選択回路230に出力し、選択信号S2の論理レベルを、期間T1,T2においてL,Hレベルとして選択回路230に出力する。
【0064】
選択回路230は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200が有する選択回路230の数は、対応するヘッドチップ300が有する吐出部600と同じp個である。
図6は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の構成を示す図である。
図6に示すように、選択回路230は、NOT回路であるインバーター232a,232bとトランスファーゲート234a,234bとを有する。
【0065】
選択信号S1は、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232aによって論理反転されて、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付された負制御端にも入力される。また、トランスファーゲート234aの入力端には、駆動信号COMAが供給される。選択信号S2は、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232bによって論理反転されて、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付された負制御端にも入力される。また、トランスファーゲート234bの入力端には、駆動信号COMBが供給される。そして、トランスファーゲート234a,234bの出力端が共通に接続され、この出力端から駆動信号VOUTが出力される。
【0066】
具体的には、トランスファーゲート234aは、選択信号S1がHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通とし、選択信号S1がLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通とする。また、トランスファーゲート234bは、選択信号S2がHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通とし、選択信号S2がLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通とする。すなわち、選択回路230は、入力される選択信号S1,S2に基づいて駆動信号COMA,COMBの波形を選択し、選択した波形の駆動信号VOUTを
出力する。
【0067】
図7を用いて、駆動信号選択回路200の動作について説明する。
図7は、駆動信号選択回路200の動作を説明するための図である。印刷データ信号cSIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]は、クロック信号cSCKに同期してシリアルで入力されて、吐出部600に対応するシフトレジスター212において順次転送される。そして、クロック信号cSCKの入力が停止すると、各シフトレジスター212には、p個の吐出部600のそれぞれに対応した2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号cSIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]は、シフトレジスター212のp段、…、2段、1段の吐出部600に対応した順に入力される。
【0068】
そして、ラッチ信号cLATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、シフトレジスター212に保持されている2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。なお、
図7において、LT1、LT2、…、LTpは、1段、2段、…、p段のシフトレジスター212に対応するラッチ回路214によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を示している。
【0069】
デコーダー216は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2のそれぞれにおいて、選択信号S1,S2の論理レベルを
図5に示す内容で出力する。
【0070】
具体的には、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Hレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2を選択する。その結果、
図3に示した大ドットLDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0071】
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Hレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Bdp2を選択する。その結果、
図3に示した中ドットMDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0072】
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2,Bdp2のいずれも選択しない。その結果、
図3に示した小ドットSDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0073】
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてL,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてH,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Bdp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2,Bdp2のいずれも選択しない。その結果、
図3に示した非記録NDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0074】
以上のように、駆動信号選択回路200は、印刷データ信号cSI、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH、及びクロック信号cSCKに基づいて、駆動信号COMA,COMBの波形を選択し、駆動信号VOUTとして出力する。そして、駆動信号選択回路2
00が、駆動信号COMA,COMBの波形を選択又は非選択とすることによって、媒体に形成されるドットのサイズが制御され、その結果、液体吐出装置1において、媒体に所望のサイズのドットが形成される。
【0075】
ここで、印刷データ信号cSIに対応して吐出ヘッド100に入力されるデジタル信号である印刷データ信号SI、ラッチ信号cLATに対応して吐出ヘッド100に入力されるデジタル信号であるラッチ信号LAT、及びチェンジ信号cCHに対応して吐出ヘッド100に入力されるデジタル信号であるチェンジ信号CHの少なくともいずれかがインクの吐出タイミング規定する信号の一例である。すなわち、ヘッド制御回路21が出力するデジタル信号であって、診断回路250に入力されるデジタル信号には、インクの吐出タイミングを規定する信号と、クロック信号SCKとが含まれる。
【0076】
3.液体吐出装置の構造
次に、液体吐出装置1の概略構造について説明を行う。
図8は、液体吐出装置1の概略構造を示す図である。ここで、以下の説明では、ヘッドユニット20が6個の吐出ヘッド100を有するとして説明を行う。この場合において、6個の吐出ヘッド100を、吐出ヘッド100-1~100-6と称する場合がある。また、以下の説明では、媒体Pが搬送される搬送方向に相当するY方向、Y方向と直交し水平面に平行な方向であって主走査方向に相当するX方向、及び液体吐出装置1の上下方向であって液体吐出装置1が設置された場合における鉛直方向に相当するZ方向を用いて説明を行う。そして、以下の説明において、X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれの向きを特定する場合、図示するX方向を示す矢印の先端側を+X側、起点側を-X側と称し、図示するY方向を示す矢印の先端側を+Y側、起点側を-Y側と称し、図示するZ方向を示す矢印の先端側を+Z側、起点側を-Z側と称する場合がある。なお、以下の説明では、X方向、Y方向、及びZ方向が、互いに直交しているとして説明を行うが、液体吐出装置1の各構成が直交して配置されている場合に限られるものではない。
【0077】
図8に示すように、液体吐出装置1は、上述した制御ユニット10、及びヘッドユニット20に加えて、媒体Pを搬送する搬送ユニット40、及びインクを貯留する液体容器5を備える。
【0078】
制御ユニット10は、前述したとおりメイン制御回路11と電源回路12とを備え、ヘッドユニット20を含む液体吐出装置1の動作を制御する。また、制御ユニット10は、メイン制御回路11と電源回路12とに加え、液体吐出装置1の各種情報を記憶する記憶回路や液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューター等と通信を行うためのインターフェース回路等を備えてもよい。
【0079】
そして、制御ユニット10は、液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューター等の外部機器から入力される画像信号を受信し、受信した画像信号に基づいて、媒体Pの搬送を制御するための搬送制御信号として媒体搬送信号PTを生成し搬送ユニット40に出力する。これにより、搬送ユニット40は、媒体PをY方向に沿って搬送する。このような搬送ユニット40は、媒体Pを搬送するための不図示のローラーや、当該ローラーを回転させるモーター等を含んで構成される。
【0080】
液体容器5は、媒体Pに吐出されるインクが貯留されている。具体的には、液体容器5は、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKの4色のインクが個別に貯留される4個の容器を含む。この液体容器5に貯留されているインクは、不図示のチューブ等を介してヘッドユニット20が有する吐出ヘッド100に供給される。この吐出ヘッド100にインクを供給する液体容器5が液体収容容器の一例である。なお、液体容器5が備える容器の数は、4個に限られるものではない。さらに、液体容器5には、シアンC、マゼン
タM、イエローY、ブラックK以外の色のインクに替えて、若しくは加えて、異なる色のインクが貯留される容器を備えてもよく、また、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKのいずれかの容器を複数個備えていてもよい。
【0081】
ヘッドユニット20は、X方向に並んで配置された吐出ヘッド100-1~100-6を備える。ヘッドユニット20が備える吐出ヘッド100-1~100-6は、X方向に沿って、媒体Pの幅以上となるように、-X側から+X側に向かって、吐出ヘッド100-1、吐出ヘッド100-2、吐出ヘッド100-3、吐出ヘッド100-4、吐出ヘッド100-5、吐出ヘッド100-6の順に並んで配置されている。そして、ヘッドユニット20は、液体容器5から供給されたインクを吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれに分配するとともに、制御ユニット10から入力される画像情報信号IPに基づいて動作することで、液体容器5から供給されたインクを吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれから媒体Pの所望の位置に吐出する。なお、ヘッドユニット20が有する吐出ヘッド100は6個に限られるものではなく、5個以下、又は7個以上であってもよい。
【0082】
以上のように、液体吐出装置1では、制御ユニット10が、ホストコンピューター等から入力される画像信号に基づく画像情報信号IPを生成し、生成した画像情報信号IPを用いてヘッドユニット20の動作を制御するとともに、搬送ユニット40における媒体Pの搬送を制御する。これにより、吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれが吐出したインクを媒体Pの所望の位置に着弾させることができる。その結果、媒体Pに所望の画像が形成される。
【0083】
4.ヘッドユニットの構造
次に、ヘッドユニット20の構造について説明する。
図9は、-Z側から見た場合のヘッドユニット20の分解斜視図である。また、
図10は、+Z側から見た場合のヘッドユニット20の分解斜視図である。
【0084】
図9及び
図10に示すように、ヘッドユニット20は、液体容器5から供給されるインクをヘッドユニット20の内部に導入する導入流路部G1と、導入されたインクを吐出ヘッド100に供給する供給流路部G2と、インクを吐出する複数の吐出ヘッド100を有する液体吐出部G3と、吐出ヘッド100からのインクの吐出を制御する吐出制御部G4と、導入流路部G1、供給流路部G2、液体吐出部G3、及び吐出制御部G4を収容する収容部G5と、を備える。
【0085】
ヘッドユニット20において、導入流路部G1、供給流路部G2、液体吐出部G3、及び吐出制御部G4は、Z方向に沿って、-Z側から+Z側に向かい、吐出制御部G4、導入流路部G1、供給流路部G2、液体吐出部G3の順に積層されている。そして、収容部G5が、積層された吐出制御部G4、導入流路部G1、供給流路部G2、及び液体吐出部G3を収容するように設けられている。なお、導入流路部G1、供給流路部G2、液体吐出部G3、吐出制御部G4、及び収容部G5は、不図示の接着剤やネジ等の固定手段によって互いに固定される。
【0086】
図9及び
図10に示すように、導入流路部G1は、ヘッドユニット20に供給されるインクの種類の数に応じた複数の導入口SI1と、当該インクの種類の数及びヘッドユニット20が有する吐出ヘッド100の数に応じた複数の排出口DI1とを有する。複数の導入口SI1は、導入流路部G1の-Z側の面において、導入流路部G1の-Y側の辺に沿って並んで位置している。そして、導入口SI1のそれぞれには、
図8に示す液体容器5からインクが供給される不図示のチューブ等が接続される。また、複数の排出口DI1は、導入流路部G1の+Z側の面に位置している。このような導入流路部G1の内部には、
導入口SI1と、当該導入口SI1に対応する排出口DI1とを連通するインク流路が形成されている。
【0087】
供給流路部G2は、ヘッドユニット20が有する吐出ヘッド100の数に応じた複数の液体供給ユニットU2を有する。また、複数の液体供給ユニットU2のそれぞれは、ヘッドユニット20に供給されるインクの種類の数に応じた複数の導入口SI2と、ヘッドユニット20に供給されるインクの種類の数に応じた複数の排出口DI2とを有する。複数の導入口SI2は、液体供給ユニットU2の-Z側に位置し、導入流路部G1が有する排出口DI1と接続される。すなわち、供給流路部G2は、導入流路部G1が有する排出口DI1のそれぞれに対応する導入口SI2を有する。また、排出口DI2は、液体供給ユニットU2の-Z側に位置している。このような液体供給ユニットU2の内部には、導入口SI2と、当該導入口SI2に対応する排出口DI2とを連通するインク流路が形成されている。
【0088】
液体吐出部G3は、吐出ヘッド100-1~100-6と支持部材35とを有する。吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれは、支持部材35の+Z側に位置し、不図示の接着剤やネジ等の固定手段によって支持部材35に固定されている。また、吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれの-Z側には、複数の導入口SI3が位置している。この吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれが有する複数の導入口SI3は、支持部材35に形成された開口部を挿通し、液体吐出部G3の-Z側に露出する。そして、複数の導入口SI3は、供給流路部G2が有する複数の排出口DI2と接続される。すなわち、液体吐出部G3は、供給流路部G2が有する排出口DI2のそれぞれに対応する導入口SI3を有する。
【0089】
ここで、液体容器5に貯留されているインクが、ヘッドユニット20が有する複数の吐出ヘッド100に供給されるまでのインクの流れについて説明する。液体容器5に貯留されているインクは、不図示のチューブ等を介して導入流路部G1が有する導入口SI1から導入される。導入口SI1から導入されたインクは、導入流路部G1の内部に設けられた不図示のインク流路によって複数の吐出ヘッド100に対応して分配された後、排出口DI1、及び導入口SI2を介して液体供給ユニットU2に供給される。そして、液体供給ユニットU2に供給されたインクは、液体供給ユニットU2の内部に設けられたインク流路、排出口DI2、及び導入口SI3を介して、液体吐出部G3が有する複数の吐出ヘッド100のそれぞれに供給される。すなわち、本実施形態において、導入流路部G1及び液体供給ユニットU2は、排出口DI1からヘッドユニット20に供給されるインクを、吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれに分配し供給する分配流路部材として機能する。
【0090】
ここで、吐出ヘッド100-1~100-6のヘッドユニット20における配置の一例について説明する。
図11は、ヘッドユニット20を+Z側から見た場合の図である。
図11に示すように、ヘッドユニット20において、吐出ヘッド100-1~100-6は、それぞれが、X方向に並んで配置された6個のヘッドチップ300を有する。また、各ヘッドチップ300は、供給されるインクを媒体Pに吐出する複数のノズルNを有する。この各ヘッドチップ300が有する複数のノズルNは、Z方向に垂直な方向であって、且つX方向とY方向とが成す平面において、列方向RDに沿って並んで配置されている。以下の説明において、列方向RDに沿って並んで配置された複数のノズルNをノズル列と称する場合がある。なお、吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれが有するヘッドチップ300の数は6個に限られるものではない。
【0091】
次に、吐出ヘッド100の構造の一例について説明する。
図12は、吐出ヘッド100の概略構成を示す分解斜視図である。
図12に示すように、吐出ヘッド100は、フィル
ター部110、シール部材120、配線基板130、ホルダー140、6個のヘッドチップ300、及び固定板150を備える。そして、吐出ヘッド100は、Z方向に沿って-Z側から+Z側に向かい、フィルター部110、シール部材120、配線基板130、ホルダー140、固定板150の順に重ね合されて構成されるとともに、ホルダー140と固定板150との間に6個のヘッドチップ300が収容される。
【0092】
フィルター部110は、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。フィルター部110は、4個のフィルター113と、4個の導入口SI3とを有する。4個の導入口SI3は、フィルター部110の-Z側に位置し、フィルター部110の内部に位置する4個のフィルター113に対応して設けられている。このフィルター113は、導入口SI3から導入されるインクに含まれる気泡や異物を捕集する。そして、導入口SI3には、液体容器5からインクが供給される。この導入口SI3が供給口の一例である。
【0093】
シール部材120は、フィルター部110の+Z側に位置し、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。シール部材120の四隅には、後述する液体流路145が挿通される貫通開口125が設けられている。このようなシール部材120は、例えば、ゴム等の弾性部材によって形成されている。
【0094】
配線基板130は、シール部材120の+Z側に位置し、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。また、配線基板130の四隅には、後述する液体流路145が通過する切欠部135が形成されている。このような配線基板130には、吐出ヘッド100に供給された駆動信号COMA,COMBや電圧VHV,VDD等の各種信号をヘッドチップ300に伝搬するための配線が形成されているとともに、前述した診断回路250が設けられる。すなわち、配線基板130は、導入口SI3よりも+Z側に位置している。換言すれば、導入口SI3は、鉛直方向において配線基板130よりも上方に位置している。なお、配線基板130の構成の具体例については後述する。
【0095】
ホルダー140は、配線基板130の+Z側に位置し、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。ホルダー140は、ホルダー部材141,142,143を有する。ホルダー部材141,142,143は、Z方向に沿って、-Z側から+Z側に向かいホルダー部材141、ホルダー部材142、ホルダー部材143の順に積層されている。また、ホルダー部材141とホルダー部材142との間、及びホルダー部材142とホルダー部材143との間は、接着剤等によって接着されている。
【0096】
また、ホルダー部材143の内部には、+Z側に不図示の開口部を有する収容空間が形成されている。このホルダー部材143の内部に形成された収容空間にヘッドチップ300が収容される。ここで、ホルダー部材143の内部に形成される収容空間は、6個のヘッドチップ300のそれぞれを個別に収容可能な複数の空間であってもよく、6個のヘッドチップ300を共通に収容可能な1つの空間であってもよい。
【0097】
また、ホルダー140には、6個のヘッドチップ300のそれぞれに対応するスリット孔146が設けられている。このスリット孔146には、駆動信号COMA,COMBや電圧VHV,VDD等の各種信号をヘッドチップ300に伝搬するためのフレキシブル配線基板346が挿通される。そして、ホルダー部材143の内部に形成された収容空間に収容された6個のヘッドチップ300は、接着剤等によりホルダー140に固定される。
【0098】
ホルダー140の-Z側の面の四隅には、4個の液体流路145が設けられている。液体流路145のそれぞれは、シール部材120に設けられた貫通開口125を挿通し、フィルター部110に接続される。これにより、導入口SI3から供給されたインクが、液体流路145を介してホルダー140に供給される。そして、ホルダー140に供給されたインクは、ホルダー140の内部で6個のヘッドチップ300に対応して分配された後、6個のヘッドチップ300のそれぞれに供給される。
【0099】
固定板150は、ホルダー140の+Z側に位置し、ホルダー部材143の内部に形成された6個のヘッドチップ300が収容される収容空間を封止する。固定板150は、平面部151、及び折曲部152,153,154を有する。平面部151は、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。平面部151には、ヘッドチップ300を露出させるための6個の開口部155が形成されている。そして、ヘッドチップ300は、平面部151に開口部155を介して2列のノズル列が露出するように固定板150に固定される。
【0100】
折曲部152は、平面部151のX方向に沿って延在する一方の辺と接続し-Z側に折り曲げられた平面部151と一体の部材であり、折曲部153は、平面部151の列方向RDに沿って延在する一方の辺と接続し-Z側に折り曲げられた平面部151と一体の部材であり、折曲部154は、平面部151の列方向RDに沿って延在する他方の辺と接続し-Z側に折り曲げられた平面部151と一体の部材である。
【0101】
ヘッドチップ300は、ホルダー140の+Z側であって固定板150の-Z側に位置する。そして、ヘッドチップ300は、ホルダー140のホルダー部材143と固定板150とで形成された収容空間に収容されるとともに、ホルダー部材143、及び固定板150に固定される。
【0102】
ここで、ヘッドチップ300の構造の一例について説明する。
図13は、ヘッドチップ300の概略構造を示す断面図である。なお、
図13に示すヘッドチップ300の断面図は、ヘッドチップ300を少なくとも1つのノズルNを含むように列方向RDと垂直な方向に切断した場合を示している。
図13に示すように、ヘッドチップ300は、インクを吐出する複数のノズルNが設けられたノズルプレート310と、連通流路355、個別流路353、及びリザーバーRを画定する流路形成基板321と、圧力室Cを画定する圧力室基板322と、保護基板323と、コンプライアンス部330と、振動板340と、圧電素子60と、フレキシブル配線基板346と、リザーバーR及び液体導入口351を画定するケース324と、を有する。そして、ヘッドチップ300には、ホルダー140に設けられた不図示の液体排出口から液体導入口351を介してインクが供給される。
【0103】
ヘッドチップ300に供給されたインクは、リザーバーR、個別流路353、圧力室C、及び連通流路355を含み構成されたインク流路350を介して、ノズルNに到達する。そして、ノズルNの到達したインクは、圧電素子60の駆動に伴い吐出される。
【0104】
具体的には、インク流路350は、流路形成基板321、圧力室基板322、ケース324が、Z方向に沿って積層されることで構成されている。液体導入口351からケース324の内部に導入されたインクは、リザーバーRに貯留される。リザーバーRは、ノズル列を構成する複数のノズルNのそれぞれに対応する複数の個別流路353に連通する共通流路である。リザーバーRに貯留されたインクは、個別流路353を介して圧力室Cに供給される。
【0105】
圧力室Cは、貯留されるインクに圧力を加えることで、圧力室Cに供給されるインクを、連通流路355を介してノズルNから吐出する。圧力室Cの-Z側には、圧力室Cを封
止するように振動板340が位置し、振動板340の-Z側には、圧電素子60が位置している。圧電素子60は、圧電体と、圧電体の両面に形成された一対の電極とによって構成されている。圧電素子60が有する一対の電極の一方には、フレキシブル配線基板346を介して駆動信号VOUTが供給され、圧電素子60が有する一対の電極の他方には、フレキシブル配線基板346を介して基準電圧信号VBSが供給される。そして、圧電体は、一対の電極間に生じた電位差に応じて変位する。すなわち、圧電体を含む圧電素子60が駆動する。そして、圧電素子60の駆動に伴い、圧電素子60が設けられた振動板340が変形することで、圧力室Cの内圧が変化し、その結果、圧力室Cに貯留されているインクが、連通流路355を介してノズルNから吐出される。
【0106】
また、流路形成基板321の+Z側には、ノズルプレート310と、コンプライアンス部330とが固定されている。ノズルプレート310は、連通流路355の+Z側に位置している。ノズルプレート310には、複数のノズルNが列方向RDに沿って並設されている。すなわち、ノズルプレート310は、インクを吐出する複数のノズルNを有する。コンプライアンス部330は、リザーバーR及び個別流路353の+Z側に位置し、封止膜331と、支持体332とを含む。封止膜331は、可撓性を有する膜状部材であり、リザーバーR及び個別流路353の+Z側を封止する。そして、封止膜331の外周縁が枠状の支持体332によって支持されている。また、支持体332の+Z側は、固定板150の平面部151に固定されている。以上のように構成されたコンプライアンス部330によって、ヘッドチップ300が保護されるとともに、リザーバーRの内部や個別流路253の内部におけるインクの圧力変動が低減される。
【0107】
ここで、圧電素子60、振動板340、ノズルN、個別流路353、圧力室C、及び連通流路355を含む構成が上述した吐出部600に相当する。そして、ノズルプレート310を含むヘッドチップ300が吐出モジュールの一例である。
【0108】
図12に戻り、吐出ヘッド100は、液体容器5から供給されるインクを複数のノズルNに対して分配するとともに、フレキシブル配線基板346を介して供給される駆動信号VOUT、及び基準電圧信号VBSに基づき生じる圧電素子60の駆動によりノズルNからインクを吐出する。ここで、駆動信号VOUTを出力する駆動信号選択回路200は、配線基板130に設けられていてもよく、また、ヘッドチップ300のそれぞれに対応するフレキシブル配線基板346に設けられていてもよい。以下の説明では駆動信号選択回路200を含む半導体装置が、ヘッドチップ300のそれぞれに対応するフレキシブル配線基板346にCOF(Chip On Film)実装されているとして説明を行う。これにより、配線基板130の小型化が可能となり、したがって、吐出ヘッド100の小型化が可能となる。
【0109】
図9、及び
図10に戻り、吐出制御部G4は、導入流路部G1の-Z側に位置し、配線基板410と配線基板420とを含む。
【0110】
配線基板410は、面411と、面411の反対側に位置する面412とを含む。そして、配線基板410は、面412が導入流路部G1、供給流路部G2、及び液体吐出部G3側を向き、面411が導入流路部G1、供給流路部G2、及び液体吐出部G3とは反対側を向くように配置される。
【0111】
配線基板410の面411には、駆動信号COMA,COMBを出力する駆動信号出力回路50が設けられている。また、配線基板410の面412には、接続部413が設けられている。接続部413は、配線基板410と配線基板420とを電気的に接続し、駆動信号出力回路50で生成された駆動信号COMA,COMBを伝搬するとともに、駆動信号出力回路50が出力する駆動信号COMA,COMBの基となる基駆動信号dA,d
Bを含む複数の信号を伝搬する。
【0112】
配線基板420は、面421と、面421の反対側に位置する面422とを含む。そして、配線基板420は、面422が導入流路部G1、供給流路部G2、及び液体吐出部G3側を向き、面421が導入流路部G1、供給流路部G2、及び液体吐出部G3とは反対側を向くように配置される。また、配線基板420の-Y側には、導入流路部G1が有する導入口SI1が通過するための切欠部427が形成されている。
【0113】
配線基板420の面421には、半導体装置423、接続部424,425,426が設けられている。接続部424は、配線基板410に設けられた接続部413と接続される。これにより、配線基板420は、配線基板410と電気的に接続する。このような接続部424としては、配線基板410と配線基板420とをケーブルを用いずに電気的に接続するBtoB(Board To Board)コネクターが用いられる。半導体装置423は、前述したヘッド制御回路21の少なくとも一部を構成する回路部品であって、例えば、SoC等で構成されている。半導体装置423は、接続部424よりも配線基板420の-X側の領域に設けられている。接続部426には、ヘッドユニット20の電源電圧として機能する電圧VHV,VDDが入力される。この接続部426は、半導体装置423の-Y側であって、切欠部427の-X側に位置している。接続部425には、制御ユニット10が出力する画像情報信号IPが入力される。すなわち、接続部425は、入力される画像情報信号IPが伝搬する複数の端子を有する。このような接続部425は、半導体装置423の-Y側であって、且つ接続部426の-X側において、画像情報信号IPが入力される複数の端子がX方向に沿って並ぶように配置される。
【0114】
ここで、接続部425に入力される画像情報信号IPは、前述のとおり、PCIe等の高速通信の通信規格に準拠した信号である。そのため、接続部425、及び接続部425に接続されるケーブルは、数Gbpsの信号を安定して伝搬することが可能な構成であることが好ましく、接続部425は、例えば、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)通信規格に準拠したHDMIコネクターや、USB(Universal Serial Bus)通信規格に準拠したUSBコネクター等の高速伝送用コネクターが用いられることが好ましい。
【0115】
一方、接続部426は、電圧VHV,VDDが伝搬されるが故に、高電圧の信号を安定して伝搬可能なケーブルが接続可能であって、例えばフレキシブルケーブルが接続可能なFFCコネクターが用いられることが好ましい。
【0116】
収容部G5は、開口孔451,452,453が形成された筐体450を含む。筐体450は、Z方向に沿ってみた場合に、X方向に沿って延在する一対の長辺と、Y方向に沿って延在する一対の短辺とを含む略矩形状であって、例えば、アルミなどの金属、若しくは樹脂等により形成されている。
【0117】
筐体450の+Z側には、開口部454が形成されている。開口部454には、導入流路部G1、供給流路部G2、液体吐出部G3、及び吐出制御部G4が収容される。すなわち、開口部454は、導入流路部G1、供給流路部G2、液体吐出部G3、及び吐出制御部G4を収容する収容空間を構成する。そして、開口部454に収容された導入流路部G1、供給流路部G2、液体吐出部G3、及び吐出制御部G4は、不図示の接着剤やネジ等の固定手段により筐体450に固定される。ここで、開口部454は、導入流路部G1、供給流路部G2、及び液体吐出部G3を収容した状態で、液体吐出部G3が有する支持部材35より封止される構成であってもよい。
【0118】
筐体450の開口孔451,452,453は、筐体450の-Y側において、X方向
に沿って-X側から+X側に向かい開口孔451、開口孔452、開口孔453の順に並んで位置している。開口孔451には、収容空間に収容された吐出制御部G4が有する接続部425が挿通する。開口孔452には、収容空間に収容された吐出制御部G4が有する接続部426が挿通する。開口孔453には、導入流路部G1が有する導入口SI1が、配線基板420の切欠部427を通過した後、挿通する。すなわち、開口孔451,452,453は、筐体450の内部に収容された導入流路部G1、供給流路部G2、及び液体吐出部G3にインクを供給する導入口SI1や、液体吐出部G3、及び吐出制御部G4に各種信号を伝搬するための接続部425,426を、ヘッドユニット20の外部に露出する。これにより、収容部G5は、導入流路部G1、供給流路部G2、液体吐出部G3、及び吐出制御部G4を、筐体450にて保護するとともに、インクを供給する導入口SI1や、液体吐出部G3、及び吐出制御部G4に各種信号を伝搬するための接続部425,426がヘッドユニット20の外部に露出するが故に、ヘッドユニット20の交換作業が容易となり、液体吐出装置1のメンテナンス性を向上させることができる。
【0119】
5.配線基板の構成と集積回路によるインク付着検出
以上のように、本実施形態における吐出ヘッド100は、印刷データ信号SIに対応する印刷データ信号cSI、クロック信号SCKに対応するクロック信号cSCK、ラッチ信号LATに対応するラッチ信号cLAT、及びチェンジ信号CHに対応するチェンジ信号cCHにより規定されるタイミングで、駆動信号COMA,COMBに含まれる台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2を選択することで、駆動信号VOUTを生成する。そして、吐出ヘッド100は、生成した駆動信号VOUTを吐出部600に含まれる圧電素子60に供給する。これにより圧電素子60が駆動信号VOUTの電位に応じて駆動し、圧電素子60の駆動量に応じた量のインクが、媒体Pに吐出される。その結果、媒体Pに画像が形成される。
【0120】
このような吐出ヘッド100に仮に異常が生じた場合、吐出ヘッド100が吐出するインクの吐出精度が低下し、媒体Pに形成される画像の品質が低下する。このような画像品質が低下するおそれを低減するために、本実施形態における液体吐出装置1では、吐出ヘッド100の異常の有無を診断する診断回路250を有する。
【0121】
診断回路250は、前述の通り、吐出ヘッド100に異常が生じているか否かの診断として、吐出ヘッド100の動作異常の有無や吐出ヘッド100に温度異常の有無を診断する。さらに、本実施形態における診断回路250は、吐出ヘッド100の内部に侵入したインクミストが、吐出ヘッド100の内部に付着しているか否かの検出も実行する。
【0122】
ここで、吐出ヘッド100の内部に侵入するインクミストには、ノズルNから吐出されたインクが、媒体Pに着弾する前に一部がミスト化することで液体吐出装置1の内部に浮遊しているインクミストや、ノズルNから吐出されたインクが媒体Pに着弾した後に、媒体Pの搬送に伴い生じる気流によって再浮遊するとともにミスト化することで液体吐出装置1の内部に浮遊するインクミスト等が挙げられる。このような、液体吐出装置1の内部に浮遊しているインクミストは、非常に微小であるが故にレナード効果により帯電している。そのため、当該インクミストは、吐出ヘッド100に各種信号を伝搬する配線パターンや端子などの導電部に引き寄せられ、吐出ヘッド100の内部に侵入する。
【0123】
そして、吐出ヘッド100の内部にインクミストが侵入し、侵入したインクミストが、吐出ヘッド100の内部に設けられた配線や端子、電子部品等に付着した場合、吐出ヘッド100に短絡異常等の各種の異常が生じるおそれがある。本実施形態の液体吐出装置1において診断回路250は、吐出ヘッド100に生じている動作異常や温度異常の有無を検出するとともに、吐出ヘッド100の内部にインクが付着しているか否かを検出することで、吐出ヘッド100の内部にインクが付着することに起因して異常が生じるおそれを
低減している。
【0124】
ここで、診断回路250が、吐出ヘッド100の内部にインクが付着しているか否かを検出するための具体的な構成について説明する。
【0125】
図14は、診断回路250を含む集積回路550を有する配線基板130を-Z側から見た場合の配線基板130の構成の一例を示す図である。また、
図15は、配線基板130を+Z側から見た場合の配線基板130の構成の一例を示す図である。なお、
図14には、配線基板130を-Z側から見た場合に視認できない構成の一部を破線で図示し、同様に、
図15には、配線基板130を+Z側から見た場合に視認できない構成の一部を破線で図示している。
【0126】
診断回路250が、吐出ヘッド100の内部にインクミストが付着しているか否かを検出するための構成について説明するに際して、まず、診断回路250を含む集積回路550が設けられている配線基板130の構成について説明する。
【0127】
図14及び
図15に示すように、配線基板130は、基板500、接続部520、及び集積回路550を有する。なお、配線基板130は、基板500、接続部520、及び集積回路550に加えて、抵抗素子、容量素子、誘導素子、及び半導体素子等の各種電子部品を有してもよい。さらに、図示を省略するが配線基板130は、上述した温度検出回路260を含んでもよい。
【0128】
基板500は、互いに向かい合って位置する辺511及び辺512と、互いに向かい合って位置する辺513及び辺514と、を有する略平行四辺形状であって、面501と、面501と異なり面501と向かい合って位置する面502と、を有する。ここで、辺511が第1辺の一例であり、辺512が第2辺の一例であり、辺513が第3辺の一例であり、辺514が第4辺の一例である。また、面501が第1面の一例であり、面502が第2面の一例である。
【0129】
そして、基板500は、辺511が、X方向に沿って延在し、辺512が、辺511よりも-Y側に位置しX方向に沿って延在し、辺513が、列方向RDに沿って延在し、辺514が、辺513よりも+X側に位置し列方向RDに沿って延在するとともに、面501が-Z側、面502が+Z側となるように設けられている。すなわち、基板500は、辺511と辺512とが、Y方向に沿った方向において互いに向かい合って位置し、辺513と辺514とが、X方向に沿った方向において互いに向かい合って位置するとともに、鉛直方向に沿って面501が上方を向き、面502が下方を向くように位置している。この場合において、基板500は、面501が鉛直方向と直交するように位置していることが好ましい。
【0130】
また、基板500の四隅には、切欠部135が形成されている。切欠部135には、ホルダー140に設けられた液体流路145が通過する。換言すれば、吐出ヘッド100は、導入口SI3と連通する液体流路145を有し、液体流路145の少なくとも一部は、基板500が有する面501と面502とを貫通する切欠部135を通過する。ここで、切欠部135は、基板500の+Z側に位置するホルダー140に設けられた液体流路145と基板500の-Z側に位置するフィルター部110が有する導入口SI3とを連通可能に接続できる構成であればよく、切り欠きに限るものではない。すなわち、基板500は、液体流路145を挿通させるために面501と面502と貫通するように設けられた孔を有してもよい。ここで、液体流路145が通過する切欠部135が貫通部の一例である。
【0131】
また、基板500には、基板500の面501と面502とを貫通する4つのFPC挿通孔136と、基板500の辺513、及び辺514のそれぞれの一部が切り欠かれた2つのFPC切欠部137と、が形成されている。4つのFPC挿通孔136及びFPC切欠部137のそれぞれには、ホルダー140の内部に収容された6個のヘッドチップ300のそれぞれが有するフレキシブル配線基板346が通過する。4つのFPC挿通孔136及びFPC切欠部137のそれぞれを通過したフレキシブル配線基板346は、基板500の面501に形成された接続端子138と電気的に接続される。これにより、配線基板130とヘッドチップ300とが電気的に接続される。
【0132】
なお、以下の説明では、基板500は、面501と、面501と向かい合って位置する面502との構成について説明を行うが、基板500は、面501と面502との間に複数の配線層を含む所謂多層基板であってもよい。
【0133】
接続部520は、複数の端子521を有する。そして、接続部520は、複数の端子521が辺511に沿って並んで位置するように、基板500の面501に設けられている。このように構成された接続部520には、配線基板420と配線基板130とを電気的に接続するための不図示のフレキシブルケーブル等が取り付けられる。すなわち、接続部520は、不図示のフレキシブルケーブルを介して、配線基板420と配線基板130とを電気的に接続する。これにより、配線基板420が出力するヘッドチップ300-1~300-6に対応する6つの印刷データ信号SI、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHや、駆動信号COMA,COMBが入力される。接続部520がコネクターの一例である。そして、接続部520を介して配線基板420から各種信号が配線基板130に入力されるとともに、配線基板130を含む吐出ヘッド100が出力する各種信号が配線基板420に出力される。
【0134】
集積回路550は、互いに向かい合って位置する辺551及び辺552と、互いに向かい合って位置する辺553及び辺554と、を有する略矩形状の半導体装置であって、診断回路250を含む。そして、集積回路550は、辺551が、辺511に沿ってX方向に沿って延在し、辺552が、辺551の-Y側においてX方向に沿って延在し、辺553が、Y方向に沿って延在し、辺554が、辺553の-X側においてY方向に沿って延在するように、基板500の面502に設けられている。このような集積回路550は、表面実装部品であって、好ましくはバンプ電極を介して基板500と電気的に接続されている。
【0135】
なお、集積回路550は、表面実装部品であって、例えば、辺551,552,553,554に沿って形成された複数の電極を介して基板500と電気的に接続するQFN(Quad Flat No leaded package)であってもよく、また、QFNが有する複数の電極に変えて複数の端子を介して基板500と電気的に接続するQFP(Quad Flat Package)であってもよいが、上述したように、集積回路550と基板500とがバンプ電極を介して電気的に接続することで、集積回路550において基板500と電気的に接続するバンプ電極を高密度に設けることが可能となり、集積回路550の小型化が可能となる。
【0136】
また、
図14及び
図15に示すように集積回路550は、辺511に沿って延在する接続部520の近傍に位置している。この場合において、集積回路550には、接続部520が有する複数の端子521の内、集積回路550の近傍に位置する端子521から6つの印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKは、接続部520が入力されることが好ましく、具体的には、接続部520において辺511に沿って並んで設けられた複数の端子521の内、集積回路550の近傍に配された-X側の端子521から入力されることが好ましい。これにより、6つの印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKが伝搬する配線長
を短くすることが可能となり、6つの印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKにノイズ等が重畳するおそれが低減する。
【0137】
以上のように配線基板130には、接続部520を介して6つのヘッドチップ300に対応する6つの印刷データ信号SIと、ラッチ信号LATと、チェンジ信号CHと、クロック信号SCKと、駆動信号COMA,COMBと、基準電圧信号VBSと、電圧VHV,VDDと、を含む複数の信号が入力される。そして、配線基板130に入力された複数の信号の内、6つの印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKは、集積回路550に入力される。集積回路550に含まれる診断回路250は、入力される6つの印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKの論理レベルに基づいて、吐出ヘッド100の動作異常の有無を診断する。
【0138】
すなわち、集積回路550は診断回路250を含み、集積回路550に含まれる診断回路250には、接続部520を介して6つの印刷データ信号SIと、ラッチ信号LATと、チェンジ信号CHと、クロック信号SCKとが入力される。そして、集積回路550に含まれる診断回路250は、吐出ヘッド100の異常の有無を診断し、異常検出信号ADを出力する。
【0139】
診断回路250において、吐出ヘッド100に動作異常が生じていない診断された場合、集積回路550は、6つの印刷データ信号SIのそれぞれに対応する6つの印刷データ信号cSIと、ラッチ信号LATに対応するラッチ信号cLATと、チェンジ信号CHに対応するチェンジ信号cCHと、クロック信号SCKに対応するクロック信号cSCKと、を生成し、対応する接続端子138に供給する。
【0140】
また、配線基板130に入力された複数の信号の内、駆動信号COMA,COMB、基準電圧信号VBS、及び電圧VHV,VDDは、基板500に設けられた不図示の配線パターンで伝搬され、対応する接続端子138に供給される。
【0141】
接続端子138に供給された印刷データ信号cSI、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH、クロック信号cSCK、駆動信号COMA,COMB、基準電圧信号VBS、及び電圧VHV,VDDは、接続端子138と電気的に接続されているフレキシブル配線基板346を伝搬し、フレキシブル配線基板346にCOF実装された駆動信号選択回路200に入力される。そして、駆動信号選択回路200が、入力される印刷データ信号cSI、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH、クロック信号cSCK、駆動信号COMA,COMB、基準電圧信号VBS、及び電圧VHV,VDDに基づいて、駆動信号VOUTを生成し、ヘッドチップ300に出力する。これにより、ヘッドチップ300が有するノズルNから所定のタイミングで所定量のインクが吐出される。
【0142】
ここで、
図14及び
図15に示すように、診断回路250を含む集積回路550は、基板500の面502に設けられ、接続部520は、基板500の面501に設けられている。すなわち、配線基板130において、接続部520と集積回路550とは、基板500の異なる実装面に設けられている。そして、基板500は、集積回路550がヘッドチップ300側となるように吐出ヘッド100に設けられている。すなわち、集積回路550は、基板500とヘッドチップ300との間に位置している。
【0143】
前述の通り、配線基板130が有する接続部520には、配線基板420と配線基板130とを電気的に接続するための不図示のフレキシブルケーブルが挿入される。そのため、吐出ヘッド100において接続部520の近傍には、当該フレキシブルケーブルが通過するための吐出ヘッド100の内部と外部とを挿通する間隙が形成される。そして、接続
部520の近傍に吐出ヘッド100の内部と外部とを挿通する間隙が形成されているが故に、インクミストの多くが、接続部520の近傍から吐出ヘッド100の内部に侵入すると考えられる。
【0144】
図14及び
図15に示すように、診断回路250を含む集積回路550を6つの印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKのそれぞれが入力される接続部520の近傍に配置すると、6つの印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKのそれぞれが伝搬する配線長を短くすることができる。これにより、6つの印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKにノイズが重畳するおそれが低減する。すなわち、集積回路550を接続部520の近傍に配置することで、集積回路550が有する診断回路250による吐出ヘッド100の動作異常の有無の検出精度を向上することができる。
【0145】
一方で、集積回路550を接続部520の近傍に配置した場合、接続部520の近傍から多くのインクミストが侵入するが故に、集積回路550に意図せずインクミストが付着し、その結果、集積回路550に誤動作が生じるおそれが高まる。すなわち、集積回路550を接続部520の近傍に配置した場合、集積回路550が有する診断回路250における吐出ヘッド100の動作異常の有無の検出精度が低下するおそれがある。
【0146】
このような問題に対して、配線基板130において、接続部520と集積回路550とを、基板500の異なる実装面に設けることで、基板500が集積回路550にインクミストが付着するおそれを低減する遮蔽壁として機能し、その結果、集積回路550を接続部520の近傍に配置した場合であっても、集積回路550に意図せずインクミストが付着するおそれを低減することができる。よって、診断回路250による吐出ヘッド100の動作異常の有無の検出精度を向上することができるとともに、インクミストの影響により集積回路550に誤動作が生じるおそれを低減することができる。
【0147】
さらに、本実施形態における液体吐出装置1では、前述のとおり、吐出ヘッド100にインクを供給する導入口SI3が、配線基板130の-Z側に位置している。すなわち、導入口SI3は、鉛直方向において、基板500よりも上方に位置している。そのため、基板500が、吐出ヘッド100にインクを供給する導入口SI3と集積回路550との間に位置することとなり、その結果、ヘッドユニット20や吐出ヘッド100のメンテナンス等のために吐出ヘッド100を取り外す際に、吐出ヘッド100にインクを導入する導入口SI3からインクが漏れ出した場合であっても、当該漏れ出したインクが集積回路550に意図せず付着するおそれが低減する。すなわち、導入口SI3からインクが漏れ出した場合であっても、漏れ出したインクの影響により集積回路550に誤動作が生じるおそれも低減される。
【0148】
以上のように、診断回路250を含む集積回路550を基板500の面502に設け、接続部520を基板500の面501に設けることで、診断回路250による吐出ヘッド100の動作異常の有無の検出精度を向上することができるとともに、インクミスト等の影響により集積回路550に誤動作が生じるおそれも低減することができる。
【0149】
また、本実施形態に示す診断回路250は、吐出ヘッド100の内部にインクミストが付着しているか否かの検出も行う。しかしながら、吐出ヘッド100の内部に侵入したインクミストは、吐出ヘッド100の内部で拡散する。それ故に、診断回路250には、吐出ヘッド100の内部の広範囲においてインクミストを効率よく捕捉し、当該インクミストの付着の有無を検出することが求められる。
【0150】
そこで、本実施形態における液体吐出装置1において吐出ヘッド100は、診断回路250を含む集積回路550に加えて、集積回路550と電気的に接続している集積回路560を用いて吐出ヘッド100の内部にインクミストが付着しているか否かの検出を行う。これにより、吐出ヘッド100の内部に広範囲に拡散するインクミストを効率よく捕捉することができ、診断回路250における配線基板130へのインクの付着の有無の検出精度が向上する。
【0151】
図14及び
図15に示すように、集積回路560は、集積回路550と配線パターン561を介して電気的に接続し、集積回路550の+X側に位置している。この場合において、集積回路560と集積回路550とは、接続部520が有する複数の端子521が並ぶ方向であって、基板500の辺511に沿った方向において、辺513側に集積回路550が位置し、辺514側に集積回路560が位置するように並んで設けられている。すなわち、集積回路560と集積回路550とは、基板500の辺511に沿って設けられた接続部520の辺513側の端部の近傍に集積回路550が位置し、辺514側の端部の近傍に集積回路560が位置するように基板500に設けられている。換言すれば、接続部520の内、辺513の近傍に位置する端部と集積回路550との最短距離は、接続部520の内、辺514の近傍に位置する端部と集積回路550との最短距離よりも短く、接続部520の内、辺514の近傍に位置する端部と集積回路560との最短距離は、接続部520の内、辺513の近傍に位置する端部と集積回路560との最短距離よりも短くなるように、集積回路550と集積回路560とは、基板500に設けられている。
【0152】
以上のように基板500に設けられた集積回路560は、配線パターン561を介して集積回路550と電気的に接続されている。このような集積回路560は、集積回路550の動作タイミングを規定するタイミング信号を出力するタイミングジェネレーターであって、発振回路を含んで構成されていてもよい。
【0153】
以上のようなタイミング信号を出力する集積回路560に、インクミストが付着した場合、集積回路560が集積回路550に出力するタイミング信号に乱れが生じる。集積回路550は、集積回路560から入力されるタイミング信号に乱れが生じているか否かを検出することで、吐出ヘッド100に侵入したインクミストが集積回路560に付着しているか否かを検出する。具体的には、集積回路550は、集積回路560から入力されるタイミング信号の周期が所定の周期以上、又は所定の周期以下となった場合に、集積回路560にインクミストが付着していると判断する。
【0154】
ここで、前述の通り接続部520の近傍には、配線基板420と配線基板130とを電気的に接続するためのフレキシブルケーブルが通過するための間隙が形成される。そのため、吐出ヘッド100の内部に侵入するインクミストの多くは、当該間隙を介して接続部520の近傍から侵入するものと考えられる。このような接続部520の近傍であって、接続部520が延在する方向に沿って、集積回路550と集積回路560とを並んで設けることで、集積回路550及び集積回路560は効率よくインクミストを捕捉することができる。その結果、集積回路550に含まれる診断回路250は、吐出ヘッド100の内部に侵入するインクの付着の有無を効率よく検出することができる。
【0155】
なお、本実施形態において、集積回路560は、集積回路550の動作タイミングを規定するタイミング信号を出力するタイミングジェネレーターであるとして説明を行ったが、集積回路560は、タイミングジェネレーターに限るものではなく、インクの付着の有無ように、集積回路550に所定の信号を出力できる構成であればよい。また、集積回路560は、基板500の面501及び面502のいずれに設けられていてもよい。
【0156】
ここで、集積回路550が第1集積回路の一例であり、集積回路560が第2集積回路
の一例である。また、接続部520において基板500の辺513側に位置する端部が第1端部の一例であり、基板500の辺514側に位置する端部が第2端部の一例である。
【0157】
6.作用効果
以上のように、本実施形態における液体吐出装置1では、診断回路250を含む集積回路550は、基板500の面502に設けられ、接続部520は、基板500の面501に設けられている。これにより、接続部520の近傍に生じる間隙から多くのインクミストが吐出ヘッド100の内部に侵入した場合であっても、当該インクミストは、基板500により遮られるが故に、インクミストが意図せず集積回路550に付着するおそれが低減する。その結果、集積回路550にインクミスト付着することに起因して、集積回路550に誤動作が生じるおそれが低減する。
【0158】
また、本実施形態における液体吐出装置1では、集積回路550と、集積回路550と電気的に接続された集積回路560と、を用いて吐出ヘッド100の内部にインクが付着しているか否かを検出する。それ故に、集積回路550のみでインクが付着しているか否かを検出する場合と比較して吐出ヘッド100の内部の広範囲におけるインクの付着の有無を検出することが可能となり、集積回路550における吐出ヘッド100の内部に侵入したインクの検出精度が向上する。
【0159】
さらに、集積回路550と集積回路560とは、多くのインクミストが吐出ヘッド100の内部に侵入し得る接続部520の希望において、離間して設けられている。これにより、集積回路550及び集積回路560において、効率よくインクを捕捉することが可能となり、その結果、集積回路550における吐出ヘッド100の内部に侵入したインクの検出精度がさらに向上する。
【0160】
また、集積回路560を、集積回路550の動作タイミングを規定するタイミング信号を出力するタイミングジェネレーターと兼ねることで、吐出ヘッド100に新たな回路素子を付加する必要がなく、吐出ヘッド100が大型化するおそれも低減する。
【0161】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0162】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0163】
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
【0164】
液体吐出装置の一態様は、
液体を吐出するプリントヘッドと、
前記プリントヘッドにデジタル信号を出力するデジタル信号出力回路と、
前記プリントヘッドに液体を供給する液体収容容器と、
を備え、
前記プリントヘッドは、
前記液体収容容器から液体が供給される供給口と、
液体を吐出する複数のノズルを有するノズルプレートと、
互いに向かい合って位置する第1辺及び第2辺と、互いに向かい合って位置する第3辺及び第4辺と、第1面と、前記第1面と異なる第2面と、を有する基板と、
前記デジタル信号が入力される複数の端子を有するコネクターと、
前記コネクターを介して前記デジタル信号が入力され、且つ前記プリントヘッドの異常の有無を示す異常検出信号を出力する第1集積回路と、
前記第1集積回路と電気的に接続された第2集積回路と、
を有し、
前記コネクターは、前記第3辺との距離が最も短い第1端部と前記第4辺との距離が最も短い第2端部とを含み、前記複数の端子が前記第1辺に沿って並ぶように前記第1面に設けられ、
前記第1集積回路は、前記第2面に設けられ、
前記第1端部と前記第1集積回路との最短距離は、前記第2端部と前記第1集積回路との最短距離よりも短く、
前記第2端部と前記第2集積回路との最短距離は、前記第1端部と前記第2集積回路との最短距離よりも短い。
【0165】
この液体吐出装置によれば、第1集積回路とコネクターとは、基板の異なる面に設けられている。これにより、コネクターの近傍に生じる間隙からプリントヘッドの内部にインクミストが侵入した場合であっても、コネクターと第1集積回路との間に位置する基板によりインクミストの侵入が遮断されるが故に、プリントヘッドの異常の有無を示す異常検出信号を出力する第1集積回路に当該インクミストが付着するおそれが低減する。よって、意図しないインクミストの付着により第1集積回路の動作に異常が生じるおそれが低減する。
【0166】
また、この液体吐出装置によれば、第1集積回路と電気的に接続された第2集積回路を有する。これにより、仮に第2集積回路にインクが付着した場合、第2集積回路はインクが付着した旨の信号を第1集積回路に伝搬することができる。すなわち、第1集積回路は、第2集積回路から入力される信号に基づいて、プリントヘッドの内部に侵入したインクミストを検出することができる。したがって、第1集積回路は、プリントヘッドの内部の広範囲にわたり、インクミストを検出することができる。すなわち、第1集積回路におけるインクミストの検出精度が向上する。
【0167】
また、この液体吐出装置によれば、上述した第1集積回路と第2集積回路とは、コネクターにおいて第3辺との距離が最も短い第1端部と第1集積回路との最短距離が、コネクターにおいて第4辺との距離が最も短い第2端部と第1集積回路との最短距離よりも短く、上記第2端部と第2集積回路との最短距離が、上記第1端部と第2集積回路との最短距離よりも短くなるように設けられる。すなわち、第1集積回路と第2集積回路とは、インクミストが侵入するおそれの高いコネクターの近傍において、複数の端子が並ぶ第1辺に沿った方向に離間して設けられている。これにより、プリントヘッドの内部に侵入したインクが第1集積回路及び第2集積回路において捕捉される確率が高まり、その結果、第1集積回路及び第2集積回路におけるインクミストの検出精度がさらに向上する。
【0168】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記供給口は、鉛直方向において前記基板よりも上方に位置していてもよい。
【0169】
この液体吐出装置によれば、インクの供給口からインクが漏れ出した場合であっても、漏れ出したインクが集積回路に意図せず付着するおそれが低減し、その結果、集積回路に誤動作が生じるおそれが低減する。
【0170】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記基板は、鉛直方向に沿って前記第1面が上方を向き、前記第2面が下方を向くように位置していてもよい。
【0171】
この液体吐出装置によれば、インクの供給口からインクが漏れ出した場合であっても、漏れ出したインクが集積回路に意図せず付着するおそれが低減し、その結果、集積回路に誤動作が生じるおそれが低減する。
【0172】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記基板は、前記第1面が鉛直方向と直交するように位置していてもよい。
【0173】
この液体吐出装置によれば、インクの供給口からインクが漏れ出した場合であっても、漏れ出したインクが集積回路に意図せず付着するおそれが低減し、その結果、集積回路に誤動作が生じるおそれが低減する。
【0174】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記プリントヘッドは、前記ノズルプレートを含む吐出モジュールを有し、
前記第1集積回路は、前記基板と前記吐出モジュールとの間に位置していてもよい。
【0175】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記プリントヘッドは、前記供給口と連通する液体流路を有し、
前記液体流路は、前記基板が有する前記第1面と前記第2面とを貫通部を通過してもよい。
【0176】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1集積回路は、表面実装部品であってもよい。
【0177】
この液体吐出装置によれば、集積回路と基板とを電気的に接続する電極の高密度化が可能となり、集積回路の小型化、及び集積回路が設けられる基板の小型化が可能となる。
【0178】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1集積回路と前記基板とは、バンプ電極を介して電気的に接続されていてもよい。
【0179】
この液体吐出装置によれば、集積回路と基板とを電気的に接続する電極のさらなる高密度化が可能となり、集積回路のさらなる小型化、及び集積回路が設けられる基板のさらなる小型化が可能となる。
【0180】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1集積回路は、前記プリントヘッドに異常が生じている場合、ローレベルの前記異常検出信号を出力してもよい。
【0181】
この液体吐出装置によれば、プリントヘッドに異常が生じているか否かを簡潔な信号で、迅速に伝達することが可能となり、その結果、プリントヘッドに生じた異常に対する適切な処置を早期に実行することができる。
【0182】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1集積回路は、前記プリントヘッドに異常が生じている場合、ハイレベルの前記異常検出信号を出力してもよい。
【0183】
この液体吐出装置によれば、プリントヘッドに異常が生じているか否かを簡潔な信号で
、迅速に伝達することが可能となり、その結果、プリントヘッドに生じた異常に対する適切な処置を早期に実行することができる。
【0184】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記デジタル信号は、液体の吐出タイミングを規定する信号を含んでもよい。
【0185】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記デジタル信号は、クロック信号を含んでもよい。
【0186】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記デジタル信号よりも電圧値の大きな台形波形を含む台形波形信号を出力する台形波形信号出力回路を備え、
前記台形波形信号は、前記コネクターに入力されてもよい。
【0187】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第2集積回路は、前記第1集積回路の動作タイミングを規定する発振回路を含んでもよい。
【0188】
この液体吐出装置によれば、第2集積回路が第1集積回路の動作タイミングを規定する回路を兼ねることで、プリントヘッドの内部に侵入したインクミストを検出するための新たな集積回路を設けることなく、第1集積回路及び第2集積回路においてプリントヘッドの内部に侵入したインクミストを捕捉することができる。よって、第2集積回路を備えることに起因してプリントヘッドが大型化するおそれが低減する。
【符号の説明】
【0189】
1…液体吐出装置、5…液体容器、10…制御ユニット、11…メイン制御回路、12…電源回路、20…ヘッドユニット、21…ヘッド制御回路、22…差動信号復元回路、35…支持部材、40…搬送ユニット、50…駆動信号出力回路、51a,51b…駆動回路、60…圧電素子、100…吐出ヘッド、110…フィルター部、113…フィルター、120…シール部材、125…貫通開口、130…配線基板、135…切欠部、136…FPC挿通孔、137…FPC切欠部、138…接続端子、140…ホルダー、141,142,143…ホルダー部材、145…液体流路、146…スリット孔、150…固定板、151…平面部、152,153,154…折曲部、155…開口部、200…駆動信号選択回路、210…選択制御回路、212…シフトレジスター、214…ラッチ回路、216…デコーダー、230…選択回路、232a,232b…インバーター、234a,234b…トランスファーゲート、250…診断回路、253…個別流路、260…温度検出回路、300…ヘッドチップ、310…ノズルプレート、321…流路形成基板、322…圧力室基板、323…保護基板、324…ケース、330…コンプライアンス部、331…封止膜、332…支持体、340…振動板、346…フレキシブル配線基板、350…インク流路、351…液体導入口、353…個別流路、355…連通流路、410…配線基板、411,412…面、413…接続部、420…配線基板、421,422…面、423…半導体装置、424,425,426…接続部、427…切欠部、450…筐体、451,452,453…開口孔、454…開口部、500…基板、501,502…面、511,512,513,514…辺、520…接続部、521…端子、550…集積回路、551,552,553,554…辺、560…集積回路、561…配線パターン、600…吐出部、C…圧力室、DI1,DI2…排出口、G1…導入流路部、G2…供給流路部、G3…液体吐出部、G4…吐出制御部、G5…収容部、N…ノズル、P…媒体、R…リザーバー、SI1,SI2,SI3…導入口、U2…液体供給ユニット