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  • 特許-接点端子および接点装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】接点端子および接点装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/54 20060101AFI20241126BHJP
   H01H 1/26 20060101ALI20241126BHJP
   H01H 50/56 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01H50/54 A
H01H1/26 B
H01H50/56 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021057978
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154779
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 充夫
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】辻 真也
(72)【発明者】
【氏名】松永 清和
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-160166(JP,U)
【文献】特表2015-533452(JP,A)
【文献】実開昭63-134409(JP,U)
【文献】実開昭56-101828(JP,U)
【文献】特開2017-054758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/54
H01H 1/26
H01H 50/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に交差する第1面と、前記厚さ方向に交差すると共に前記第1面に対して間隔を空けて配置された第2面とを有する板状の本体部と、
前記第1面に設けられ、前記本体部を補強する第1補強部と
前記第2面に設けられ、前記本体部を補強する第2補強部と
を備え、
前記第1補強部が、複数の凹部および複数の凸部で構成され
前記第2補強部が、複数の凹部および複数の凸部で構成されている、接点端子。
【請求項2】
前記第1補強部が、前記第1面の一部に設けられ、前記第1面の長手方向に沿って延びている、請求項1の接点端子。
【請求項3】
前記第1補強部が、前記第1面の全体に亘って設けられている、請求項1の接点端子。
【請求項4】
前記本体部の厚さに対する前記第1補強部の最大高さの比が、1/50以上かつ3/50以下である、請求項1から3のいずれか1つの接点端子。
【請求項5】
前記第2補強部が、前記第2面の一部に設けられ、前記第2面の長手方向に沿って延びている、請求項1から4のいずれか1つの接点端子。
【請求項6】
前記第2補強部が、前記第2面の全体に亘って設けられている、請求項1から4のいずれか1つの接点端子。
【請求項7】
前記本体部の厚さに対する前記第2補強部の最大高さの比が、1/50以上かつ3/50以下である、請求項からのいずれか1つの接点端子。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1つの接点端子を備える、接点装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接点端子および接点装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、接点機構を備えた電磁継電器が開示されている。この電磁継電器の接点機構は、固定接点が設けられた固定接点端子と、可動接点が設けられた可動接点端子とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-54758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記電磁継電器では、固定接点端子および可動接点端子の各々がロール状態の金属材料から形成される場合がある。この場合、固定接点端子および可動接点端子の各々に、金属材料のロール方向に沿った反りが発生して、動作信頼性が低下するおそれがある。
【0005】
本開示は、動作信頼性を高めることが可能な接点端子および動作信頼性の高い接点装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例の接点端子は、
厚さ方向に交差する第1面と、前記厚さ方向に交差すると共に前記第1面に対して間隔を空けて配置された第2面とを有する板状の本体部と、
前記第1面に設けられ、前記本体部を補強する第1補強部と
を備え、
前記第1補強部が、複数の凹部または複数の凸部で構成されている。
【0007】
また、本開示の一例の接点装置は、
前記態様の接点端子を備える。
【発明の効果】
【0008】
前記接点端子によれば、本体部の第1面に設けられて本体部を補強する第1補強部を備えている。第1補強部が、複数の凹部および複数の凸部で構成されている。このような構成により、本体部の弾性を確保しつつ、本体部の変形を防ぐことができるので、動作信頼性を高めることが可能な接点端子を実現できる。
【0009】
前記接点装置によれば、前記接点端子により、動作信頼性の高い接点装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態の電磁継電器を示す斜視図。
図2】カバーを取り外した状態の図1の電磁継電器を示す斜視図。
図3図1の電磁継電器の可動接点端子を示す平面図。
図4図3のIV-IV線に沿った断面図。
図5図3の可動接点端子の変形例を示す平面図。
図6図5のVI-VI線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一例を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向あるいは位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した本開示の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致していない。
【0012】
本開示の一実施形態の接点装置は、電磁継電器1であり、図1および図2に示すように、ベース11およびケース12で構成された略直体状のハウジング10と、ベース11に取り付けられた可動接点端子31を備えている。本実施形態では、ハウジング10の内部に、電磁石装置20および接点機構部30が収容されている。可動接点端子31は、本開示の接点端子の一例であり、接点機構部30の一部を構成している。
【0013】
電磁石装置20は、図2に示すように、ベース11に固定されたスプール21と、コイル22と、電源電圧が入力される2つのコイル端子23とを有している。スプール21は、ベース11の厚さ方向に延びる胴部(図示せず)を有している。コイル22は、スプール21の胴部に巻回されている。各コイル端子23は、コイル22に接続されている。
【0014】
接点機構部30は、図2に示すように、電磁石装置20に隣接して配置され、可動接点端子31と、第1固定接点端子32と、第2固定接点端子33と、可動部34とを有している。
【0015】
可動接点端子31、第1固定接点端子32および第2固定接点端子33の各々は、一例として、略矩形の板状を有し、ハウジング10の外部からハウジング10の内部まで延びている。可動接点端子31、第1固定接点端子32および第2固定接点端子33の各々は、厚さ方向の面同士が相互に対向し、かつ、ベース11の長手方向に沿って間隔を空けて配置されている。可動接点端子31は、ハウジング10の内部に配置されている端部に設けられた可動接点311を有している。第1固定接点端子32および第2固定接点端子33の各々は、ハウジング10の内部に配置されている端部に設けられ、可動接点311に対向する固定接点321、331を有している。
【0016】
図3および図4に示すように、可動接点端子31は、本体部41と、第1補強部42と、第2補強部43を有している。
【0017】
本体部41は、板状で、その厚さ方向に交差する第1面411と、厚さ方向に交差すると共に第1面411に対して間隔を空けて配置された第2面412とを有している。本実施形態では、第1面411および第2面412の各々は、略矩形状を有している。本体部41のその長手方向の一端には、可動接点311を固定するための貫通孔413が設けられている。本体部41のその長手方向の他端には、ベース11に固定された端子(図示せず)に本体部41を固定するための一対の貫通孔414が設けられている。本体部41のその長手方向の中間には、可動部34が接続される貫通孔415が設けられている。
【0018】
第1補強部42は、第1面411に設けられ、第2補強部43は、第2面412に設けられている。第1補強部42および第2補強部43の各々は、複数の凹部44および複数の凸部45で構成されている。本実施形態では、第1補強部42は、第1面411の一部に設けられ、第1面411の長手方向に沿って延びている。第2補強部43は、第2面412の一部に設けられ、第2面412の長手方向に沿って延びている。
【0019】
第1補強部42および第2補強部43の各々は、本体部41の厚さに対する最大高さの比が、1/50以上かつ3/50以下になるように構成されている。例えば、本体部41の厚さが0.5mmである場合、第1補強部42および第2補強部43の各々は、10μm~30μmの最大高さを有し、第1面411の第1補強部42が設けられていない部分、および、第2面412の第2補強部43が設けられていない部分は、約2μmの最大高さを有している。
【0020】
最大高さは、例えば、第1補強部42または第2補強部43を粗さ計で測定した粗さ曲線から抜き出された部分における、平均線から最も離れた凹部44の頂点と平均線から最も離れた凸部45の頂点との和の値から求められる。
【0021】
可動部34は、ベース11の長手方向における電磁石装置20および第1固定接点端子32の間に配置されている。可動部34は、電磁石装置20の励磁/非励磁に応じてベース11の長手方向に沿って移動するように構成されている。可動部34は、可動接点端子31に接続されている。可動部34がベース11の長手方向に沿って移動することにより、可動接点311が、ベース11の長手方向に沿って移動して固定接点321、331に対して接触または開離する。
【0022】
可動接点端子31および電磁継電器1は、次のような効果を発揮できる。
【0023】
可動接点端子31が、本体部41の第1面411に設けられて本体部41を補強する第1補強部42を備えている。第1補強部42が、複数の凹部44および複数の凸部45で構成されている。このような構成により、本体部41の弾性を確保しつつ、本体部41の変形を防ぐことができるので、例えば、電磁継電器1に適用した場合に動作信頼性を高めることが可能な可動接点端子31を実現できる。
【0024】
第1補強部42が、第1面411の一部に設けられ、第1面411の長手方向に沿って延びている。このような構成により、例えば、電磁継電器1に適用した場合に動作信頼性を高めることが可能な可動接点端子31を簡単な構成で実現できる。
【0025】
本体部41の厚さに対する第1補強部42の最大高さの比が、1/50以上かつ3/50以下である。このような構成により、本体部41の弾性を確保しつつ、反り等の本体部の変形をより確実に防ぐことができる。
【0026】
可動接点端子31が、第2面412に設けられ、本体部41を補強する第2補強部43を備えている。第2補強部43が、複数の凹部44および複数の凸部45で構成されている。このような構成により、本体部41の弾性を確保しつつ、本体部の変形をより確実に防ぐことができる。
【0027】
第2補強部43が、第2面412の一部に設けられ、第2面412の長手方向に沿って延びている。このような構成により、例えば、電磁継電器1に適用した場合に動作信頼性を高めることが可能な可動接点端子31を簡単な構成で実現できる。
【0028】
本体部41の厚さに対する第2補強部43の最大高さの比が、1/50以上かつ3/50以下である。このような構成により、本体部41の弾性を確保しつつ、反り等の本体部の変形をより確実に防ぐことができる。
【0029】
電磁継電器1によれば、可動接点端子31により、動作信頼性の高い電磁継電器1を実現できる。
【0030】
可動接点端子31は、次のように構成することもできる。
【0031】
可動接点端子31は、少なくとも第1補強部42を備えていればよく、第2補強部43は省略できる。
【0032】
第1補強部42は、第1面411の一部に設けられている場合に限らず、図5および図6に示すように、第1面411の全面に亘って設けられていてもよい。このように構成することで、本体部41の弾性を確保しつつ、本体部の変形をより確実に防ぐことができる。
【0033】
第1補強部42は、第1面411の長手方向に沿って延びている場合に限らず、例えば、第1面411の短手方向に沿って延びていてもよい。例えば、反りが発生し易い方向に沿って延びるように第1補強部42を設けることで、本体部41の反りをより確実に防ぐことができる。
【0034】
第1補強部42は、例えば、電磁継電器1の設計等に応じて、任意の数の凹部44および凸部45で構成することができる。凹部44および凸部45の形状および配置は、任意に設定することができる。
【0035】
第1補強部42の凹部44および凸部45は、第1面411の第1補強部42が設けられていない部分よりも大きい最大高さが得られる任意の構成を採用できる。例えば、凹部44および凸部45の各々の形状、寸法および配置は、電磁継電器1の設計等に応じて、任意に設定することができる。
【0036】
第2補強部43は、第2面412の一部に設けられている場合に限らず、図5および図6に示すように、第2面412の全面に亘って設けられていてもよい。このように構成することで、本体部41の弾性を確保しつつ、本体部の変形をより確実に防ぐことができる。
【0037】
第2補強部43は、第2面412の長手方向に沿って延びている場合に限らず、例えば、第2面412の短手方向に沿って延びていてもよい。例えば、反りが発生し易い方向に沿って延びるように第2補強部43を設けることで、本体部41の反りをより確実に防ぐことができる。
【0038】
第2補強部43は、例えば、電磁継電器1の設計等に応じて、任意の数の凹部44および凸部45で構成することができる。凹部44および凸部45の形状および配置は、任意に設定することができる。
【0039】
第2補強部43の凹部44および凸部45は、第2面412の第2補強部43が設けられていない部分よりも大きい最大高さが得られる任意の構成を採用できる。例えば、凹部44および凸部45の各々の形状、寸法および配置は、電磁継電器1の設計等に応じて、任意に設定することができる。
【0040】
本開示の接点端子は、可動接点端子31に限らず、例えば、第1固定接点端子32および/または第2固定接点端子33に適用できる。
【0041】
本開示の接点端子は、電磁継電器1に限らず、例えば、スイッチに適用できる。
【0042】
電磁継電器1は、本開示の接点端子を備えた任意の構成を採用できる。
【0043】
以上、図面を参照して本開示における種々の実施形態を詳細に説明したが、最後に、本開示の種々の態様について説明する。なお、以下の説明では、一例として、参照符号も添えて記載する。
【0044】
本開示の第1態様の接点端子は、
厚さ方向に交差する第1面411と、前記厚さ方向に交差すると共に前記第1面411に対して間隔を空けて配置された第2面412とを有する板状の本体部41と、
前記第1面411に設けられ、前記本体部41を補強する第1補強部42と
を備え、
前記第1補強部42が、複数の凹部44および複数の凸部45で構成されている。
【0045】
本開示の第2態様の接点端子は、
前記第1補強部42が、前記第1面411の一部に設けられ、前記第1面411の長手方向に沿って延びている。
【0046】
本開示の第3態様の接点端子は、
前記第1補強部42が、前記第1面411の全体に亘って設けられている。
【0047】
本開示の第4態様の接点端子は、
前記本体部41の厚さに対する前記第1補強部42の最大高さの比が、1/50以上かつ3/50以下である。
【0048】
本開示の第5態様の接点端子は、
前記第2面412に設けられ、前記本体部41を補強する第2補強部43を備え、
前記第2補強部43が、複数の凹部44および複数の凸部45で構成されている。
【0049】
本開示の第6態様の接点端子は、
前記第2補強部43が、前記第2面412の一部に設けられ、前記第2面412の長手方向に沿って延びている。
【0050】
本開示の第7態様の接点端子は、
前記第2補強部43が、前記第2面412の全体に亘って設けられている。
【0051】
本開示の第8態様の接点端子は、
前記本体部41の厚さに対する前記第2補強部43の最大高さの比が、1/50以上かつ3/50以下である。
【0052】
本開示の第9態様の接点装置は、
前記態様の接点端子を備える。
【0053】
なお、前記様々な実施形態または変形例のうちの任意の実施形態または変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせまたは実施例同士の組み合わせまたは実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態または実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
【0054】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示の接点端子は、例えば、電磁継電器に適用できる。
【0056】
本開示の接点装置は、例えば、セーフティリレーに適用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 電磁継電器
10 ハウジング
11 ベース
12 ケース
20 電磁石装置
21 スプール
22 コイル
23 コイル端子
30 接点機構部
31 可動接点端子
311 可動接点
32 第1固定接点端子
321 固定接点
33 第2固定接点端子
331 固定接点
34 可動部
41 本体部
411 第1面
412 第2面
413、414、415 貫通孔
42 第1補強部
43 第2補強部
44 凹部
45 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6