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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
B25F5/00 H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021059277
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022155850
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】吉田 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】門前 哲也
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111584789(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0389035(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に設けられ、電池パックがそれぞれ装着可能な複数の電池パック装着部と、
前記電池パック装着部に装着された前記電池パックの電力により駆動する負荷部と、
を備えた電気機器であって、
前記複数の電池パック装着部はそれぞれ、前記電池パックの正極端子が接続される正極入力端子と、前記電池パックの前記正極端子と対を成す負極端子が接続される負極入力端子と、を備え、
前記複数の電池パック装着部のうちの一の電池パック装着部の前記正極入力端子と前記負極入力端子とを、前記負荷部を介さずに電気的に接続する接続経路と、
前記接続経路に設けられ、前記複数の電池パック装着部のうちの別の電池パック装着部の前記正極入力端子と前記負極入力端子と前記負荷部とをつなぐ放電経路を、導通状態と遮断状態の一方から他方に切り替えるよう機械的に構成された切替部と、を有し、
前記切替部は、前記一の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されていないときは前記放電経路を導通状態とし、前記一の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されると前記放電経路を遮断状態に切り替えるよう構成される、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記切替部は、前記一の電池パック装着部へ装着された前記電池パックの機械的な接触に連動して前記放電経路を前記導通状態と前記遮断状態の一方から他方に切り替えるよう自身の状態が切り替わる機械式スイッチで構成される、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気機器であって
前記別の電池パック装着部の前記正極入力端子と前記負極入力端子とを、前記負荷を介さずに電気的に接続する第2の接続経路と
前記第2の接続経路に設けられ、前記一の電池パック装着部の前記正極入力端子と前記負極入力端子と前記負荷部とをつなぐ第2の放電経路を、導通状態と遮断状態の一方から他方に切り替えるよう機械的に構成された第2の切替部を有し
前記第2の切替部は、前記別の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されていないときは前記第2の放電経路を導通状態とし、前記別の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されると前記第2の放電経路を遮断状態に切り替えるよう構成される、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電気機器であって、
前記一の電池パック装着部及び前記別の電池パック装着部の少なくとも一方に前記電池パックが装着されると、前記装着された電池パックからの電力で前記負荷部を駆動するよう構成した、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項5】
本体部と、
前記本体部に設けられ、電池パックが装着可能な電池パック装着部と、
前記電池パック装着部に装着された前記電池パックの電力により駆動する負荷部と、
を備えた電気機器であって、
前記本体部は、前記電池パック装着部と前記負荷部とをつなぐ放電経路を、導通状態と遮断状態の一方から他方に切り替えるよう機械的に構成された切替部を有し、
前記電池パック装着部は、電池パックをそれぞれ装着可能な複数の装着部を有し、
前記複数の装着部に含まれる第1及び第2装着部の両方又は一方のみに前記電池パックが装着されると、前記装着された電池パックからの電力で前記負荷部を駆動するよう構成し、
前記第1及び第2装着部の他方のみに電池パックが装着されると、前記装着された電池パックからの電力で前記負荷部を駆動できないよう構成した、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項6】
本体部と、
前記本体部に設けられ、電池パックが装着可能な電池パック装着部と、
前記電池パック装着部に装着された前記電池パックの電力により駆動する負荷部と、
を備えた電気機器であって、
前記本体部は、前記電池パック装着部と前記負荷部とをつなぐ放電経路を、導通状態と遮断状態の一方から他方に切り替えるよう機械的に構成された切替部を有し、
前記切替部は、前記電池パック装着部の本体側端子と前記電池パックの電池側端子とが接続される前に接続状態から遮断状態に切り替わるよう構成される、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項7】
本体部と、
前記本体部に対して着脱不能に設けられ、電池パックが装着可能な複数の電池パック装着部と、
前記電池パック装着部に装着された前記電池パックの電力により駆動する負荷部と、
を備えた電気機器であって、
前記本体部は、前記複数の電池パック装着部のそれぞれに装着された複数の前記電池パックを直列接続して前記負荷部を駆動する第1状態と、前記複数の電池パックよりも少ない数の電池パックにより前記負荷部を駆動する第2状態と、を切替可能に構成され、
前記装着された電池パックから前記負荷部に供給される電圧は、前記第1状態と前記第2状態とで異なる、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電気機器であって、
記複数の電池パック装着部のうちの一の電池パック装着部の正極入力端子と負極入力端子とを、前記負荷部を介さずに電気的に接続する接続経路と、
前記接続経路に設けられ、前記複数の電池パック装着部のうちの別の電池パック装着部の正極入力端子と負極入力端子と前記負荷部とをつなぐ放電経路を、導通状態と遮断状態の一方から他方に切り替えるよう機械的に構成された切替部と、を有し、
前記切替部は、前記一の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されていないときは前記放電経路を導通状態とし、前記一の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されると前記放電経路を遮断状態に切り替えるよう構成される、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項9】
本体部と、
前記本体部に対して着脱不能に設けられ、電池パックが装着可能な複数の電池パック装着部と、
前記電池パック装着部に装着された前記電池パックの電力により駆動する負荷部と、
を備えた電気機器であって、
前記複数の電池パック装着部はそれぞれ、前記電池パックの正極端子に接続される正極入力端子を1個のみ有し、前記電池パックの負極端子に接続される負極入力端子を1個のみ有し、
前記本体部は、前記複数の電池パック装着部のそれぞれに装着された複数の前記電池パックを直列接続して前記負荷部を駆動する第1状態と、前記複数の電池パックよりも少ない数の電池パックにより前記負荷部を駆動する第2状態と、を切替可能に構成される、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項10】
請求項9に記載の電気機器であって、
記複数の電池パック装着部のうちの一の電池パック装着部の前記正極入力端子と前記負極入力端子とを、前記負荷部を介さずに電気的に接続する接続経路と、
前記接続経路に設けられ、前記複数の電池パック装着部のうちの別の電池パック装着部の前記正極入力端子と前記負極入力端子と前記負荷部とをつなぐ放電経路を、導通状態と遮断状態の一方から他方に切り替えるよう機械的に構成された切替部と、を有し、
前記切替部は、前記一の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されていないときは前記放電経路を導通状態とし、前記一の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されると前記放電経路を遮断状態に切り替えるよう構成される、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の電気機器であって、
前記負荷部に供給される電力は、前記第1状態と前記第2状態とで異なる、
ことを特徴とする電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックの電力で駆動する電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、2つの電池パックを同時に接続しつつ収容可能な電池パック装着部を有する電気機器が記載されており、接続された電池パックを並列接続して電気機器を駆動すること、及び、電池パックが1つのみの場合でも電気機器を駆動できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-000835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には1つの電池パックでも電気機器を駆動できることが記載されているが、具体的な構成は記載されていない。また、特許文献1は複数の電池パックを直列接続して電気機器を駆動することは考慮していない。直列接続の場合、必要な数の電池パックがないと直列回路が形成されないため、1つの電池パックの接続だけでは電気機器を駆動することができないのが一般的である。
【0005】
本発明の第1の目的は、作業性を向上した電気機器を提供することである。本発明の第2の目的は、信頼性を向上した電気機器を提供することである。本発明の第3の目的は、複数の電池パックを直列接続して駆動する電気機器において1つの電池パックでも駆動可能にした電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、電気機器である。この電気機器は、
本体部と、
前記本体部に設けられ、電池パックがそれぞれ装着可能な複数の電池パック装着部と、
前記電池パック装着部に装着された前記電池パックの電力により駆動する負荷部と、
を備えた電気機器であって、
前記複数の電池パック装着部はそれぞれ、前記電池パックの正極端子が接続される正極入力端子と、前記電池パックの前記正極端子と対を成す負極端子が接続される負極入力端子と、を備え、
前記複数の電池パック装着部のうちの一の電池パック装着部の前記正極入力端子と前記負極入力端子とを、前記負荷部を介さずに電気的に接続する接続経路と、
前記接続経路に設けられ、前記複数の電池パック装着部のうちの別の電池パック装着部の前記正極入力端子と前記負極入力端子と前記負荷部とをつなぐ放電経路を、導通状態と遮断状態の一方から他方に切り替えるよう機械的に構成された切替部と、を有し、
前記切替部は、前記一の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されていないときは前記放電経路を導通状態とし、前記一の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されると前記放電経路を遮断状態に切り替えるよう構成される、ことを特徴とする。
この態様によれば、放電経路の導通、遮断を機械的に確実に切替可能である。また電気的な切替部に対して安定して動作可能である。よって、信頼性の向上、作業性の向上が可能となる。
【0007】
前記切替部は、前記一の電池パック装着部へ装着された前記電池パックの機械的な接触に連動して前記放電経路を前記導通状態と前記遮断状態の一方から他方に切り替えるよう自身の状態が切り替わる機械式スイッチで構成されてもよい。これによれば、切替部に対する特別な操作が不要で、信頼性の向上、作業性の向上が可能となる。
【0010】
前記別の電池パック装着部の前記正極入力端子と前記負極入力端子とを、前記負荷を介さずに電気的に接続する第2の接続経路と
前記第2の接続経路に設けられ、前記一の電池パック装着部の前記正極入力端子と前記負極入力端子と前記負荷部とをつなぐ第2の放電経路を、導通状態と遮断状態の一方から他方に切り替えるよう機械的に構成された第2の切替部を有し
前記第2の切替部は、前記別の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されていないときは前記第2の放電経路を導通状態とし、前記別の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されると前記第2の放電経路を遮断状態に切り替えるよう構成されてもよい。
【0011】
前記一の電池パック装着部及び前記別の電池パック装着部の少なくとも一方に前記電池パックが装着されると、前記装着された電池パックからの電力で前記負荷部を駆動するよう構成してもよい。これによれば、第1及び第2装着部の一方のみに電池パックが装着された場合でも駆動可能で、作業性が良い。
【0012】
本発明の別の態様は、電気機器である。この電気機器は、
本体部と、
前記本体部に設けられ、電池パックが装着可能な電池パック装着部と、
前記電池パック装着部に装着された前記電池パックの電力により駆動する負荷部と、
を備えた電気機器であって、
前記本体部は、前記電池パック装着部と前記負荷部とをつなぐ放電経路を、導通状態と遮断状態の一方から他方に切り替えるよう機械的に構成された切替部を有し、
前記電池パック装着部は、電池パックをそれぞれ装着可能な複数の装着部を有し、
前記複数の装着部に含まれる第1及び第2装着部の両方又は一方のみに前記電池パックが装着されると、前記装着された電池パックからの電力で前記負荷部を駆動するよう構成し、
前記第1及び第2装着部の他方のみに電池パックが装着されると、前記装着された電池パックからの電力で前記負荷部を駆動できないよう構成した、ことを特徴とする
の態様によれば、前記一方のみに電池パックが装着された場合でも駆動可能で、作業性が良い。また、バランス等を維持できる。
【0014】
本発明の別の態様は、電気機器である。この電気機器は、
本体部と、
前記本体部に設けられ、電池パックが装着可能な電池パック装着部と、
前記電池パック装着部に装着された前記電池パックの電力により駆動する負荷部と、
を備えた電気機器であって、
前記本体部は、前記電池パック装着部と前記負荷部とをつなぐ放電経路を、導通状態と遮断状態の一方から他方に切り替えるよう機械的に構成された切替部を有し、
前記切替部は、前記電池パック装着部の本体側端子と前記電池パックの電池側端子とが接続される前に接続状態から遮断状態に切り替わるよう構成される、ことを特徴とする
の態様によれば、切替部による短絡を防止できる。
【0015】
本発明の別の態様は、電気機器である。この電気機器は、
本体部と、
前記本体部に対して着脱不能に設けられ、電池パックが装着可能な複数の電池パック装着部と、
前記電池パック装着部に装着された前記電池パックの電力により駆動する負荷部と、
を備えた電気機器であって、
前記本体部は、前記複数の電池パック装着部のそれぞれに装着された複数の前記電池パックを直列接続して前記負荷部を駆動する第1状態と、前記複数の電池パックよりも少ない数の電池パックにより前記負荷部を駆動する第2状態と、を切替可能に構成され、
前記装着された電池パックから前記負荷部に供給される電圧は、前記第1状態と前記第2状態とで異な、ことを特徴とする
この態様によれば、1つの電池パックでも駆動可能にでき、作業性が良い。
【0016】
前記第1状態は、前記複数の電池パック装着部の全てに前記電池パックが装着された状態、又は、前記複数の電池パック装着部の一部に電池パックが装着された状態であり、
前記第2状態は、前記複数の電池パック装着部の一部よりも少ない数の電池パック装着部に電池パックが装着された状態であってもよい。
【0017】
記複数の電池パック装着部のうちの一の電池パック装着部の正極入力端子と負極入力端子とを、前記負荷部を介さずに電気的に接続する接続経路と、
前記接続経路に設けられ、前記複数の電池パック装着部のうちの別の電池パック装着部の正極入力端子と負極入力端子と前記負荷部とをつなぐ放電経路を、導通状態と遮断状態の一方から他方に切り替えるよう機械的に構成された切替部と、を有し、
前記切替部は、前記一の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されていないときは前記放電経路を導通状態とし、前記一の電池パック装着部へ前記電池パックが装着されると前記放電経路を遮断状態に切り替えるよう構成されてもよい。
本発明の別の態様は、電気機器である。この電気機器は、
本体部と、
前記本体部に対して着脱不能に設けられ、電池パックが装着可能な複数の電池パック装着部と、
前記電池パック装着部に装着された前記電池パックの電力により駆動する負荷部と、
を備えた電気機器であって、
前記複数の電池パック装着部はそれぞれ、前記電池パックの正極端子に接続される正極入力端子を1個のみ有し、前記電池パックの負極端子に接続される負極入力端子を1個のみ有し、
前記本体部は、前記複数の電池パック装着部のそれぞれに装着された複数の前記電池パックを直列接続して前記負荷部を駆動する第1状態と、前記複数の電池パックよりも少ない数の電池パックにより前記負荷部を駆動する第2状態と、を切替可能に構成される、ことを特徴とする。
【0018】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、作業性を向上した電気機器を提供することができる。また、信頼性を向上した電気機器を提供することができる。また、複数の電池パックを直列接続して駆動する電気機器において1つの電池パックでも駆動可能にした電気機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態1に係る電気機器1の、第1電池パック18及び第2電池パック28を装着した状態の斜視図。
図2】同左側面図。
図3】同背面図。
図4】同平面図。
図5】電気機器1の、第1電池パック18及び第2電池パック28を取り外した状態の斜視図。
図6図5の状態から左ハンドルハウジング6、第1電池パック装着部10、第1スイッチ14、第2電池パック装着部20、及び第2スイッチ24を取り外した状態の斜視図。
図7図6の状態に左ハンドルハウジング6及び第1電池パック装着部10を取り付けた状態の斜視図。
図8図7の状態に第1スイッチ14及び第1電池パック18を取り付けた状態の斜視図。
図9図8において左ハンドルハウジング6、第1スイッチ14及び第1電池パック18を分解状態とした斜視図。
図10図8の状態に第2電池パック装着部20、第2スイッチ24、及び第2電池パック28を分解状態で追加して示した斜視図。
図11】第2電池パック装着部20及び第2スイッチ24の分解斜視図。
図12】(A)は、第2電池パック装着部20及び第2スイッチ24の側面図。(B)は、同背面図。(C)は、図12(A)、(B)の状態において第2スイッチ24がオンであることを示す図。(D)は、図12(E)~(G)の状態において第2スイッチ24がオフであることを示す図。(E)は、第2電池パック28の装着過程における第2電池パック装着部20及び第2スイッチ24の側面図。(F)は、同背面図。(G)は、図12(E)のG-G断面図。
図13】(A)は、第1電池パック装着部10の電池接続端子(バッテリターミナル[1])及び第2電池パック装着部20の電池接続端子(バッテリターミナル[2])に第1電池パック18及び第2電池パック28を接続していない状態における、電気機器1の要部回路図。(B)は、第1電池パック18(又は第2電池パック28)の回路図。(C)は、図13(A)の状態に対してバッテリターミナル[1]に第1電池パック18を装着した状態における電気機器1の要部回路図。(D)は、図13(A)の状態に対してバッテリターミナル[1]、[2]に第1電池パック18及び第2電池パック28をそれぞれ装着した状態における電気機器1の要部回路図。(E)は、図13(A)の状態に対してバッテリターミナル[2]に第2電池パック28を装着した状態における電気機器1の要部回路図。
図14】第1電池パック18及び第2電池パック28を装着した状態の電気機器1の回路ブロック図。
図15】第1電池パック18を装着し第2電池パック28を装着していない状態の電気機器1の回路ブロック図。
図16】第1電池パック18を装着せず第2電池パック28を装着した状態の電気機器1の回路ブロック図。
図17】電気機器1の制御フローチャート(その1)。
図18】電気機器1の制御フローチャート(その2)。
図19】電気機器1の制御フローチャート(その3)。
図20】モータ50に流れる電流(モータ電流)Iに対するモータ50の回転数N、インバータ回路46への入力電圧V、モータ50のトルクT、及びモータ50の出力Pの特性図。
図21】モータ50のトルクTに対するモータ50の回転数N及びモータ電流Iの特性図。
図22】本発明の実施の形態2に関し、(A)は、バッテリターミナル[1]、[2]に第1電池パック18及び第2電池パック28を接続していない状態における要部回路図。(B)は、図22(A)の状態に対してバッテリターミナル[1]に第1電池パック18を装着した状態における要部回路図。(C)は、図22(A)の状態に対してバッテリターミナル[2]に第2電池パック28を装着した状態における要部回路図。(D)は、図22(A)の状態に対してバッテリターミナル[1]、[2]に第1電池パック18及び第2電池パック28をそれぞれ装着した状態における要部回路図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下において、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示である。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態は、電気機器1に関する。電気機器1は、コードレスタイプの携帯丸鋸である。図1により、電気機器1における互いに直交する前後、上下、左右の各方向を定義する。
【0023】
電気機器1は、ベース2と、本体(本体部)3と、を備える。ベース2は、例えばアルミ等の金属製の略長方形の板材である。ベース2の長手方向は、電気機器1の作業方向と一致する。ベース2の底面は、被削材との摺動面である。本体3は、ベース2の上方に連結される。本体3は、ベース2に対して左右の少なくとも一方向に傾動可能であり、またベース2に対して上下方向に揺動可能である。
【0024】
本体3は、モータハウジング4、右ハンドルハウジング5、左ハンドルハウジング6、及びギヤケース9を備える。モータハウジング4、右ハンドルハウジング5、左ハンドルハウジング6、及びギヤケース9は、相互に組み合わされて一体化され、本体3のハウジングを構成する。
【0025】
モータハウジング4は、例えば樹脂成形体であり、図13図16に示すモータ(負荷部)50を内部に収容する。ギヤケース9は、例えばアルミ等の金属製であり、モータ50の回転を減速する図示しない減速機構を収容すると共に、図2に示す鋸刃8の上部を覆う。モータ50の回転は、減速機構により減速されて、鋸刃8に伝達される。
【0026】
右ハンドルハウジング5及び左ハンドルハウジング6は、例えば樹脂成形体であり、相互に作業者の把持部を成し、トリガスイッチ7を保持する。作業者は、トリガスイッチ7の操作により、モータ50の駆動、停止を指示できる。
【0027】
本体3には、電池パック装着部として、第1電池パック装着部(第1装着部)10と、第2電池パック装着部(第2装着部)20と、が着脱不能に設けられる。第1電池パック装着部10は、右ハンドルハウジング5及び左ハンドルハウジング6に挟み込まれるようにして、右ハンドルハウジング5及び左ハンドルハウジング6の後下部に位置し、下方に臨む。第2電池パック装着部20は、左ハンドルハウジング6の後下部の左面に位置し、左方に臨む。
【0028】
第1電池パック装着部10には、第1電池パック18が着脱可能に装着される。第2電池パック装着部20には、第2電池パック28が着脱可能に装着される。第1電池パック18及び第2電池パック28は、互いに同じ電池パックであってもよいし、互いに定格電圧等が異なる電池パックであってもよい。ここでは、一例として、第1電池パック18及び第2電池パック28の定格電圧を共に12Vとする。図5に示すように、第2電池パック装着部20は、電池接続端子(本体側端子)21を有する。第1電池パック装着部10も、同様の電池接続端子(本体側端子)を有する(図示省略)。
【0029】
第1電池パック装着部10には、第1スイッチ(第1切替部)14が設けられる。第1スイッチ14は、第1電池パック装着部10に着脱される第1電池パック18の機械的な接触に連動してオンオフが切り替わるよう機械的に構成されたスイッチ(機械式スイッチ)である。第1スイッチ14は、第1電池パック装着部10に第1電池パック18が装着されていないときはオン(導通状態)である。第1スイッチ14は、第1電池パック装着部10に第1電池パック18が装着される過程で、第1電池パック装着部10(電池接続端子)と第1電池パック18とが互いに電気的に接続される前にオフ(遮断状態)となる。第1スイッチ14は、第1電池パック装着部10(電池接続端子)と第1電池パック18とが互いに電気的に接続された後もオフである。
【0030】
同様に、第2電池パック装着部20には、第2スイッチ(第2切替部)24が設けられる。第2スイッチ24は、第2電池パック装着部20に着脱される第2電池パック28の機械的な接触に連動してオンオフが切り替わるよう機械的に構成されたスイッチ(機械式スイッチ)である。第2スイッチ24は、第2電池パック装着部20に第2電池パック28が装着されていないときはオン(導通状態)である。第2スイッチ24は、第2電池パック装着部20に第2電池パック28が装着される過程で、第2電池パック装着部20(電池接続端子21)と第2電池パック28とが互いに電気的に接続される前にオフ(遮断状態)となる。第2スイッチ24は、第2電池パック装着部20(電池接続端子21)と第1電池パック18とが互いに電気的に接続された後もオフである。
【0031】
図11に示すように、第2電池パック装着部20は、電池ハウジング22、23をネジ止め等により互いに組み合わせたものである。電池ハウジング23には、図5に示す電池接続端子21が一体に設けられる。第1電池パック装着部10も、第2電池パック装着部20と同様に構成される。
【0032】
第2スイッチ24は、電池ハウジング22に、ネジ止め等により固定される。第2スイッチ24は、スイッチ本体25、アーム26、及びローラ27を有する。スイッチ本体25は、接点部を内蔵する。アーム26は、スイッチ本体25から延びる。ローラ27は、アーム26の先端に設けられる。ローラ27は、第2電池パック28の外面と接触する。アーム26がスイッチ本体25側に傾動するとスイッチ本体25内の接点がターンオフ(第2スイッチ24がターンオフ)する構成である。第1スイッチ14も、第2スイッチ24と同構成である。
【0033】
図12(A)~(G)は、第2電池パック装着部20への第2電池パック28の装着過程で第2スイッチ24がターンオフする様子を示す。図12(A)、(B)に示すように、第2電池パック28の装着前は、アーム26は、スイッチ本体25側に倒れていない初期位置にある。このとき、図12(C)に示すように、第2スイッチ24はオンである。
【0034】
第2電池パック装着部20に第2電池パック28を装着していくと、図12(E)~(G)に示すようにローラ27が第2電池パック28の外面によってスイッチ本体25側に押される。これにより、アーム26がスイッチ本体25側に傾動し、図12(D)に示すように第2スイッチ24がターンオフする。
【0035】
図12(E)~(G)は、第2電池パック装着部20に第2電池パック28を装着していく途中の状態であり、図12(G)に示すように、第2電池パック装着部20の電池接続端子21と、第2電池パック28の端子(電池側端子)29とは、互いに非接触である。すなわち、第2スイッチ24は、第2電池パック装着部20に第2電池パック28を装着する過程で、第2電池パック装着部20の電池接続端子21と第2電池パック28の端子29とが互いに接触するより先に、ターンオフする(接続状態から遮断状態に切り替わる)。
【0036】
第2電池パック装着部20から第2電池パック28を取り外すと、図12(A)、(B)に示す状態に戻り、図12(C)に示すように第2スイッチ24はターンオンする。第2スイッチ24は、第2電池パック装着部20から第2電池パック28を取り外す過程で、第2電池パック装着部20の電池接続端子21と第2電池パック28の端子29とが互いに非接触となった後に、ターンオンする(遮断状態から接続状態に切り替わる)。
【0037】
図示は省略するが、第1電池パック装着部10に第1電池パック18を着脱する場合にも、第2電池パック装着部20に第2電池パック28を着脱する場合と同様のことがいえる。
【0038】
図13(A)に示すように、第1スイッチ14は、第1電池パック装着部10の電池接続端子であるバッテリターミナル[1]の正極入力端子と負極入力端子とを電気的に接続する接続経路(バッテリターミナル[2]とモータ50とをつなぐ放電経路)に設けられる。第2スイッチ24は、第2電池パック装着部20の電池接続端子21であるバッテリターミナル[2]の正極入力端子と負極入力端子とを電気的に接続する接続経路(バッテリターミナル[1]とモータ50とをつなぐ放電経路)に設けられる。
【0039】
図13(B)に示すように、第1及び第2電池パック18、28はそれぞれ、二次電池セル18a、28aと、正極端子19a、29aと、負極端子19b、29bと、を含む。正極端子19a、29aは、バッテリターミナル[1]、[2]の正極入力端子にそれぞれ接続される。負極端子19b、29bは、バッテリターミナル[1]、[2]の負極入力端子にそれぞれ接続される。
【0040】
図13(C)に示すように、バッテリターミナル[1]に第1電池パック18が電気的に接続され、バッテリターミナル[2]に第2電池パック28が電気的に接続されていないとき、第1スイッチ14はオフ(遮断状態)、第2スイッチ24はオン(導通状態)である。このとき、第1電池パック18の二次電池セル18a、バッテリターミナル[1]の正極入力端子、第2スイッチ24、インバータ回路46(モータ50)、バッテリターミナル[1]の負極入力端子、第1電池パック18の二次電池セル18a、という放電経路が形成される。インバータ回路46には、第1電池パック18の出力電圧が入力される。図13(C)の状態は、第2状態に対応する。
【0041】
図13(D)に示すように、バッテリターミナル[1]、[2]に第1電池パック18及び第2電池パック28がそれぞれ電気的に接続されているとき、第1スイッチ14及び第2スイッチ24は共にオフである。このとき、第1電池パック18の二次電池セル18a、バッテリターミナル[1]の正極入力端子、バッテリターミナル[2]の負極入力端子、第2電池パック28の二次電池セル28a、バッテリターミナル[2]の正極入力端子、インバータ回路46(モータ50)、バッテリターミナル[1]の負極入力端子、第1電池パック18の二次電池セル18a、という放電経路が形成される。この放電経路において、第1電池パック18及び第2電池パック28は、互いに直列接続される。インバータ回路46には、第1電池パック18及び第2電池パック28の直列合成電圧が入力される。図13(D)の状態は、第1状態に対応する。
【0042】
図13(E)に示すように、バッテリターミナル[1]に第1電池パック18が電気的に接続されず、バッテリターミナル[2]に第2電池パック28が電気的に接続されているとき、第1スイッチ14はオン、第2スイッチ24はオフである。このとき、第2電池パック28の二次電池セル28a、バッテリターミナル[2]の正極入力端子、インバータ回路46(モータ50)、第1スイッチ14、バッテリターミナル[2]の負極入力端子、第2電池パック28の二次電池セル28a、という放電経路が形成される。インバータ回路46には、第2電池パック28の出力電圧が入力される。図13(E)の状態は、第2状態に対応する。
【0043】
図14は、第1電池パック18及び第2電池パック28を装着した状態(図13(D)に対応)の電気機器1の回路ブロック図である。図15は、第1電池パック18を装着し第2電池パック28を装着していない状態(図13(C)に対応)の電気機器1の回路ブロック図である。図16は、第1電池パック18を装着せず第2電池パック28を装着した状態(図13(E)に対応)の電気機器1の回路ブロック図である。
【0044】
電気機器1は、制御基板30及びインバータ基板45を備える。電気機器1は、制御基板30に、出力信号回路電源供給回路31、モータ電流検出回路32、スイッチ操作検出回路33、印加電圧設定回路34、インバータ温度検出回路35、低圧電源供給回路36、回転子位置検出回路37、モータ回転数検出回路38、電池温度検出回路39、電池電圧検出回路40、及び制御部としての演算部41を備える。電気機器1は、インバータ基板45に、インバータ回路46、制御信号出力回路47、及びインバータ温度センサ48を備える。電気機器1は、モータ50の近傍に、ホールIC(磁気センサ)42を備える。
【0045】
出力信号回路電源供給回路31は、第1電池パック18及び/又は第2電池パック28の出力電圧を、ゲート駆動用電圧に変換し、制御信号出力回路47及び低圧電源供給回路36に供給する。低圧電源供給回路36は、出力信号回路電源供給回路31の出力電圧を制御系電源電圧に変換し、演算部41やホールIC42等に供給する。モータ電流検出回路32は、モータ50の電流経路に設けられた抵抗Rの両端の電圧によりモータ50に流れる電流(モータ電流)を検出し、演算部41に送信する。スイッチ操作検出回路33は、トリガスイッチ7の操作(オンオフ)を検出し、演算部41に送信する。印加電圧設定回路34は、トリガスイッチ7の操作量を検出し、演算部41に送信する。
【0046】
インバータ温度検出回路35は、インバータ回路46の近傍に設けられたインバータ温度センサ48の出力信号によりインバータ回路46の温度を検出し、演算部41に送信する。回転子位置検出回路37は、モータ50の回転に応じたホールIC42の出力信号により、モータ50の回転位置(ロータ回転位置)を検出し、演算部41に送信する。モータ回転数検出回路38は、回転子位置検出回路37の出力信号によりモータ50の回転数を検出し、演算部41に送信する。電池温度検出回路39は、第1及び第2電池パック18、28にそれぞれ設けられた第1及び第2電池温度センサ43、44の出力信号により第1及び第2電池パック18、28の温度を検出し、演算部41に送信する。電池電圧検出回路40は、第1及び第2電池パック18、28の各出力電圧(図13(A)等に示すバッテリターミナル[1]、[2]の各々の正極入力端子と負極入力端子との間の電圧)を検出し、演算部41に送信する。
【0047】
演算部41は、電気機器1の全体の動作を制御する。演算部41は、トリガスイッチ7の操作に応じて、インバータ回路46の制御を通じてモータ50の駆動を制御する。演算部41は、第1電池パック18、第2電池パック28、又はインバータ回路46の高温異常時にモータ50の回転を停止する高温保護機能、モータ電流が過電流閾値を超えた場合にモータ50の回転を停止する過電流保護機能、及び第1電池パック18又は第2電池パック28の出力電圧が過放電閾値以下に低下した場合にモータ50の回転を停止する過放電保護機能を有する。
【0048】
インバータ回路46は、三相ブリッジ接続されたFETやIGBT等のスイッチング素子Q1~Q6を有する。インバータ回路46は、第1電池パック18及び/又は第2電池パック28からの供給電力を、モータ50の駆動電力に変換し、モータ50に供給する。制御信号出力回路47は、演算部41の制御に従い、インバータ回路46のスイッチング素子Q1~Q6のオンオフを制御する。
【0049】
図17図19は、電気機器1の制御フローチャートである。演算部41は、トリガスイッチ7がオンになると(S1)、バッテリターミナル[1]の正極入力端子と負極入力端子との間の電圧E1を検出、判別する(S2)。
【0050】
演算部41は、電圧E1が0V<E1≦7.5Vの場合、第1電池パック18を残量不足(NG電池)と判断し、モータ50を起動することなくエラー停止する(S3)。演算部41は、電圧E1が7.5V<E1の場合、バッテリターミナル[2]の正極入力端子と負極入力端子との間の電圧E2を検出、判別する(S4)。
【0051】
演算部41は、電圧E2が0V<E2≦7.5Vの場合、第2電池パック28を残量不足(NG電池)と判断し、モータ50を起動することなくエラー停止する(S5)。演算部41は、電圧E2が7.5V<E2の場合、第1及び第2電池パック18、28の温度を検出、判別する(S6)。
【0052】
演算部41は、第1及び第2電池パック18、28の少なくとも一方の温度が高温閾値の一例である80℃以上の場合(S6のYES)、高温保護機能により、モータ50を起動することなくエラー停止する(S7)。その後、トリガスイッチ7がオフになると(S8)、S1の前まで戻る。
【0053】
演算部41は、第1及び第2電池パック18、28の温度が共に80℃未満の場合(S6のNO)、モータ50を起動し(S9)、モータ50への印加電圧の進角(以下、単に「進角」と表記)をB度に設定する(S10)。演算部41は、モータ50の駆動中に過電流保護条件が満たされると(S11のYES)、過電流保護によりモータ50を停止する(S12)。その後、トリガスイッチ7がオフになると(S13)、S1の前まで戻る。
【0054】
演算部41は、S2において電圧E1が0Vの場合(すなわち第1電池パック18が装着されていない場合)、電圧E2を検出、判別する(S21)。演算部41は、電圧E2が0V<E2≦7.5Vの場合、第2電池パック28を残量不足(NG電池)と判断し、モータ50を起動することなくエラー停止する(S22)。演算部41は、電圧E2が0Vの場合(すなわち第2電池パック28が装着されていない場合)、モータ50を停止状態に維持する(S23)。演算部41は、電圧E2が7.5V<E2の場合、第2電池パック28の温度を検出、判別する(S24)。
【0055】
演算部41は、第2電池パック28の温度が80℃以上の場合(S24のYES)、高温保護機能により、モータ50を起動することなくエラー停止する(S25)。その後、トリガスイッチ7がオフになると(S26)、S1の前まで戻る。
【0056】
演算部41は、第2電池パック28の温度が80℃未満の場合(S24のNO)、モータ50を起動し(S27)、進角をA度(A>B)に設定する(S28)。演算部41は、モータ電流(負荷電流)がi2以下であれば(S29のNO)進角をA度に維持し(S28)、負荷電流がi2を超えると(S29のYES)進角をB度に変更する(S30)。演算部41は、過電流保護条件が満たされない場合(S31のNO)において、負荷電流がi1(i2>i1)以上であれば(S32のNO)進角をB度に維持し(S30)、負荷電流がi1を下回ると(S32のYES)進角をA度に戻す(S28)。演算部41は、モータ50の駆動中に過電流保護条件が満たされると(S31のYES)、過電流保護によりモータ50を停止する(S33)。その後、トリガスイッチ7がオフになると(S34)、S1の前まで戻る。
【0057】
演算部41は、S4において電圧E2が0Vの場合(すなわち第2電池パック28が装着されていない場合)、第1電池パック18の温度を検出、判別する(S41)。演算部41は、第1電池パック18の温度が80℃以上の場合(S41のYES)、高温保護機能により、モータ50を起動することなくエラー停止する(S42)。その後、トリガスイッチ7がオフになると(S43)、S1の前まで戻る。
【0058】
演算部41は、第1電池パック18の温度が80℃未満の場合(S41のNO)、モータ50を起動し(S44)、進角をA度(A>B)に設定する(S45)。図19に示すS44~S51の処理は、図18に示すS27~S34の処理と同様である。すなわち、演算部41は、モータ電流(負荷電流)がi2以下であれば(S46のNO)進角をA度に維持し(S45)、負荷電流がi2を超えると(S46のYES)進角をB度に変更する(S47)。演算部41は、過電流保護条件が満たされない場合(S48のNO)において、負荷電流がi1(i2>i1)以上であれば(S49のNO)進角をB度に維持し(S47)、負荷電流がi1を下回ると(S49のYES)進角をA度に戻す(S45)。演算部41は、モータ50の駆動中に過電流保護条件が満たされると(S48のYES)、過電流保護によりモータ50を停止する(S50)。その後、トリガスイッチ7がオフになると(S51)、S1の前まで戻る。
【0059】
図20は、モータ電流Iに対するモータ50の回転数N、インバータ回路46への入力電圧V、モータ50のトルクT、及びモータ50の出力Pの特性図である。図21は、モータ50のトルクTに対するモータ50の回転数N及びモータ電流Iの特性図である。これらの図において、「24V」は、第1及び第2電池パック18、28の双方を装着した場合の特性を示す。「12V」は、第1及び第2電池パック18、28の一方を装着した場合の特性を示す。「18V」は、比較用として、定格電圧18Vの電池パックを一つ装着した携帯丸鋸の特性を示す。
【0060】
図20及び図21より、「12V」の場合、軽負荷時は「18V」の場合と同等の切断速度となり、粘りは「18V」と同等になる。これは、「12V」の場合の進角自動切替制御によるものである。すなわち、軽負荷時は進角を速度重視のA度とし、高負荷時は進角をトルク重視のB度とすることで、軽負荷時の切断性能を高めつつ粘りも出すことができる。また、「24V」の場合、トルクと回転数の関係から明らかなように、「18V」の場合を凌駕する切断速度となる。
【0061】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0062】
(1) 第1及び第2電池パック装着部10、20がモータ50に対して直列接続された構成であって、第1スイッチ14は、第1電池パック装着部10に第1電池パック18が装着されていないときはオンであり、第2電池パック装着部20に装着した第2電池パック28からモータ50への放電経路を成し、第2電池パック28からモータ50への電力供給を可能とする。同様に第2スイッチ24は、第2電池パック装着部20に第2電池パック28が装着されていないときはオンであり、第1電池パック装着部10に装着した第1電池パック18からモータ50への放電経路を成し、第1電池パック18からモータ50への電力供給を可能とする。よって、第1及び第2電池パック装着部10、20がモータ50に対して直列接続された構成、すなわち第1及び第2電池パック18、28を直列接続する構成であっても、第1及び第2電池パック18、28の一方のみの接続だけでモータ50を駆動でき、作業性が良い。
【0063】
(2) 第1スイッチ14は、第1電池パック装着部10に第1電池パック18が装着された状態ではオフであり、第1電池パック18の正極、負極端子間の短絡を防止する。第1スイッチ14は、第1電池パック装着部10に第1電池パック18が装着される過程で、第1電池パック装着部10と第1電池パック18とが電気的に接続される前にターンオフするため、第1電池パック18の正極、負極端子間の短絡防止が確実となり、信頼性が高められる。同様に第2スイッチ24は、第2電池パック装着部20に第2電池パック28が装着された状態ではオフであり、第2電池パック28の正極、負極端子間の短絡を防止する。第2スイッチ24は、第2電池パック装着部20に第2電池パック28が装着される過程で、第2電池パック装着部20と第2電池パック28とが電気的に接続される前にターンオフするため、第2電池パック28の正極、負極端子間の短絡防止が確実となり、信頼性が高められる。
【0064】
(3) 第1及び第2スイッチ14、24は、それぞれ第1及び第2電池パック装着部10、20に着脱される第1及び第2電池パック18、28の機械的な接触に連動して機械的かつ自動的にオンオフが切り替わる。このため、電気的なオンオフの切替と比較して動作が安定かつ確実であり、また作業者による別途の操作が不要なため、作業性が良く、信頼性が高い。
【0065】
(4) 第1及び第2電池パック18、28の一方のみが接続された場合は、軽負荷時は進角を大きくしてモータ50の回転数を高くし高速切断を可能としつつ、高負荷時は進角を小さくしてモータ50のトルクを高くし粘りを出すことができ、作業性が良い。
【0066】
(実施の形態2)
図22を参照し、本発明の実施の形態2を説明する。本実施の形態は、電気機器に関する。この電気機器は、実施の形態1の第1スイッチ14が無くなり、実施の形態1の第2スイッチ24が第2スイッチ24Aに替わったものである。第2スイッチ24Aは、第2スイッチ24と同様に、第2電池パック装着部20に対する第2電池パック28の着脱に連動してオンオフが切り替わる。図22(A)に示すように、第2スイッチ24Aは、バッテリターミナル[1]の正極入力端子及びバッテリターミナル[2]の負極入力端子の相互接続部と、インバータ回路46と、をつなぐ放電経路に設けられる。
【0067】
図22(B)に示すように、バッテリターミナル[1]に第1電池パック18が電気的に接続され、バッテリターミナル[2]に第2電池パック28が電気的に接続されていないとき、第2スイッチ24Aはオン(導通状態)である。このとき、第1電池パック18の二次電池セル18a、バッテリターミナル[1]の正極入力端子、第2スイッチ24A、インバータ回路46(モータ50)、バッテリターミナル[1]の負極入力端子、第1電池パック18の二次電池セル18a、という放電経路が形成される。インバータ回路46には、第1電池パック18の出力電圧が入力される。図22(B)の状態は、第2状態に対応する。
【0068】
図22(C)に示すように、バッテリターミナル[1]に第1電池パック18が電気的に接続されず、バッテリターミナル[2]に第2電池パック28が電気的に接続されているとき、第2スイッチ24Aはオフである。このとき、第2電池パック28とインバータ回路46(モータ50)とを含む閉回路(放電経路)は形成されず、第2電池パック28の電力でモータ50を駆動できない。
【0069】
図22(D)に示すように、バッテリターミナル[1]、[2]に第1電池パック18及び第2電池パック28がそれぞれ電気的に接続されているとき、第2スイッチ24Aはオフである。このとき、第1電池パック18の二次電池セル18a、バッテリターミナル[1]の正極入力端子、バッテリターミナル[2]の負極入力端子、第2電池パック28の二次電池セル28a、バッテリターミナル[2]の正極入力端子、インバータ回路46(モータ50)、バッテリターミナル[1]の負極入力端子、第1電池パック18の二次電池セル18a、という放電経路が形成される。この放電経路において、第1電池パック18及び第2電池パック28は、互いに直列接続される。インバータ回路46には、第1電池パック18及び第2電池パック28の直列合成電圧が入力される。図22(D)の状態は、第1状態に対応する。
【0070】
本実施の形態では、第1電池パック装着部10は、優先ポートであり、第1電池パック装着部10のみに電池パックを接続した場合でもモータ50を駆動させられる。一方、第2電池パック装着部20は非優先ポートであり、第2電池パック装着部20のみに電池パックを接続した場合はモータ50を駆動させられない。第1電池パック装着部10は、第2電池パック装着部20と比較して、左右方向において把持部に近い位置にあり、第1電池パック装着部10のみに電池パックを接続した場合は、第2電池パック装着部20のみに電池パックを接続した場合と比較して、重心位置が把持部に近くなり、バランスが良い。このため、第1電池パック装着部10を優先ポートとすることで、1つの電池パックのみの電力でモータ50を駆動する場合の作業性を高めることができる。第2電池パック装着部20のみに電池パックを接続したほうが、第1電池パック装着部10のみに電池パックを接続した場合よりも重心位置が左右方向において把持部に近くなる場合は、第2電池パック装着部20を優先ポートとしてもよい。
【0071】
本実施の形態によれば、実施の形態1と比較して、第2電池パック装着部20に電池パックを接続しただけではモータ50を駆動できないものの、第1スイッチ14が不要となるため、部品点数を抑制できる。
【0072】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0073】
電池パック装着部の数は3個以上であってもよい。3個以上の電池パック装着部の各々に、第1スイッチ14のようなスイッチを設けてもよい。本発明の電気機器は、携帯丸鋸以外の作業機であってもよいし、作業機以外の電気機器であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…電気機器、2…ベース、3…本体(本体部)、4…モータハウジング、5…右ハンドルハウジング、6…左ハンドルハウジング、7…トリガスイッチ、8…鋸刃、9…ギヤケース、10…第1電池パック装着部(第1装着部)、14…第1スイッチ(第1切替部)、18…第1電池パック、18a…二次電池セル、19a…正極端子、19b…負極端子、20…第2電池パック装着部(第2装着部)、21…電池接続端子(本体側端子)、22、23…電池ハウジング、24…第2スイッチ(第2切替部)、25…スイッチ本体、26…アーム、27…ローラ、28…第2電池パック、28a…二次電池セル、29…端子(電池側端子)、29a…正極端子、29b…負極端子、30…制御基板、31…出力信号回路電源供給回路、32…モータ電流検出回路、33…スイッチ操作検出回路、34…印加電圧設定回路、35…インバータ温度検出回路、36…低圧電源供給回路、37…回転子位置検出回路、38…モータ回転数検出回路、39…電池温度検出回路、40…電池電圧検出回路、41…演算部(制御部)、42…ホールIC(磁気センサ)、43…第1電池温度センサ、44…第2電池温度センサ、45…インバータ基板、46…インバータ回路、47…制御信号出力回路、48…インバータ温度センサ、50…モータ(負荷部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22