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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】現像装置の組立方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
G03G15/08 233
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021069916
(22)【出願日】2021-04-16
(65)【公開番号】P2022164430
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢田 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】角谷 穂高
(72)【発明者】
【氏名】安田 敬
(72)【発明者】
【氏名】中島 敬悟
(72)【発明者】
【氏名】樋上 和馬
(72)【発明者】
【氏名】入山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】片桐 啓
(72)【発明者】
【氏名】金田 創運
(72)【発明者】
【氏名】岸 勲朗
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-086182(JP,A)
【文献】特開2010-091958(JP,A)
【文献】特開2010-191338(JP,A)
【文献】特開2001-281988(JP,A)
【文献】特開2017-134298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/08
13/095
15/00
15/08
15/095
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを担持する現像ローラと、
前記現像ローラを回転可能に支持する現像フレームと、
前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するゴム部及び前記ゴム部を支持するブレードを有する層厚規制ブレードと、
前記現像ローラの周面と接触するように前記現像フレームと前記現像ローラの軸線方向の端部との間に配置されるとともに、前記現像ローラの周面と接触する複数本の繊維、及び前記複数本の繊維が植設されたベースシートを有する表層を備えるサイドシールと、
前記層厚規制ブレードに対して前記現像ローラの回転方向の上流側で、前記軸線方向に延びるように前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するロアシールと、を備えた現像装置の組立方法であって、
前記層厚規制ブレードにおいて、前記ブレードに対し、前記表層の前記回転方向の下流側端部が前記軸線方向において前記ゴム部の一端部と隣接するように、前記表層を貼付ける貼付け工程と、
前記現像フレームに対し、前記層厚規制ブレードを組付ける第1組付け工程と、
前記現像フレームに対し、前記表層の前記回転方向の上流側端部が前記軸線方向において前記ロアシールの一端部に隣接するように、前記表層を組付ける第2組付け工程と、を備え、
前記第2組付け工程では、前記複数本の繊維の一部の繊維が前記ベースシートの端面から前記ロアシールの端面側に突出して前記ロアシールの端部と重畳するように前記表層は前記現像フレームに組付けられる現像装置の組立方法。
【請求項2】
トナーを担持する現像ローラと、
前記現像ローラを回転可能に支持する現像フレームと、
前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するゴム部及び前記ゴム部を支持するブレードを有する層厚規制ブレードと、
前記現像ローラの周面と接触するように前記現像フレームと前記現像ローラの軸線方向の端部との間に配置されるとともに、前記現像ローラの周面と接触する複数本の繊維、及び前記複数本の繊維が植設されたベースシートを有する表層を備えるサイドシールと、
前記層厚規制ブレードに対して前記現像ローラの回転方向の上流側で、前記軸線方向に延びるように前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するロアシールと、を備えた現像装置の組立方法であって、
前記層厚規制ブレードにおいて、前記ブレードに対し、前記表層の前記回転方向の下流側端部が前記軸線方向において前記ゴム部の一端部と隣接するように、前記表層を貼付ける貼付け工程と、
前記現像フレームに対し、前記層厚規制ブレードを組付ける第1組付け工程と、
前記現像フレームに対し、前記表層の前記回転方向の上流側端部が前記軸線方向において前記ロアシールの一端部に隣接するように、前記表層を組付ける第2組付け工程と、を備え、
前記貼付け工程の前に、
前記ロアシールの前記軸線方向の端部と、前記現像フレームとの間に配置されるようにロアサイドシールを貼付けるロアサイドシール貼付け工程と、
前記ロアサイドシール上に前記ロアシールを貼付けるロアシール貼付け工程を、順次行う現像装置の組立方法。
【請求項3】
トナーを担持する現像ローラと、
前記現像ローラを回転可能に支持する現像フレームと、
前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するゴム部及び前記ゴム部を支持するブレードを有する層厚規制ブレードと、
前記現像ローラの周面と接触するように前記現像フレームと前記現像ローラの軸線方向の端部との間に配置されるとともに、前記現像ローラの周面と接触する複数本の繊維、及び前記複数本の繊維が植設されたベースシートを有する表層を備えるサイドシールと、
前記層厚規制ブレードに対して前記現像ローラの回転方向の上流側で、前記軸線方向に延びるように前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するロアシールと、を備えた現像装置の組立方法であって、
前記層厚規制ブレードにおいて、前記ブレードに対し、前記表層の前記回転方向の下流側端部が前記軸線方向において前記ゴム部の一端部と隣接するように、前記表層を貼付ける貼付け工程と、
前記現像フレームに対し、前記層厚規制ブレードを組付ける第1組付け工程と、
前記現像フレームに対し、前記表層の前記回転方向の上流側端部が前記軸線方向において前記ロアシールの一端部に隣接するように、前記表層を組付ける第2組付け工程と、を備え、
前記貼付け工程では、前記軸線方向の端面が前記ゴム部の前記軸線方向の端面に対向した状態で前記ゴム部に隣接するサイドエッジシールを介在させて、前記ブレードに対し前記下流側端部を貼付ける現像装置の組立方法。
【請求項4】
トナーを担持する現像ローラと、
前記現像ローラを回転可能に支持する現像フレームと、
前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するゴム部及び前記ゴム部を支持するブレードを有する層厚規制ブレードと、
前記現像ローラの周面と接触するように前記現像フレームと前記現像ローラの軸線方向の端部との間に配置されるとともに、前記現像ローラの周面と接触する複数本の繊維、及び前記複数本の繊維が植設されたベースシートを有する表層を備えるサイドシールと、
前記層厚規制ブレードに対して前記現像ローラの回転方向の上流側で、前記軸線方向に延びるように前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するロアシールと、を備えた現像装置の組立方法であって、
前記層厚規制ブレードにおいて、前記ブレードに対し、前記表層の前記回転方向の下流側端部が前記軸線方向において前記ゴム部の一端部と隣接するように、前記表層を貼付ける貼付け工程と、
前記現像フレームに対し、前記層厚規制ブレードを組付ける第1組付け工程と、
前記現像フレームに対し、前記表層の前記回転方向の上流側端部が前記軸線方向において前記ロアシールの一端部に隣接するように、前記表層を組付ける第2組付け工程と、を備え、
前記第2組付け工程では、前記現像フレームに対し、前記上流側端部が移動可能に組付けられる現像装置の組立方法。
【請求項5】
前記第2組付け工程では、前記ベースシートの端面が前記軸線方向において前記ロアシールの端面と対向するように前記表層は前記現像フレームに組付けられる、請求項1から4のいずれか1項に記載の現像装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、現像装置の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プリンタなどの画像形成装置は、現像剤としてのトナーを表面に担持する現像ローラが設けられた現像装置を備える。このような現像装置では、例えば特許文献1に記載されているように、現像ローラの周囲からのトナー漏れを抑えるために、シールを設けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017‐134298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像形成装置では、画像形成処理の高速化の要望や画像形成処理による印刷物の画質の向上の要望に応えるために、現像ローラの回転速度を高めることが検討されている。
【0005】
しかしながら、上記のような従来技術において、現像ローラの回転速度を高める場合、現像装置では、トナーが外部に漏れ出るという問題点を生じるおそれがあった。
【0006】
本開示は、現像ローラの回転速度を高める場合でも、トナーの漏れを抑えることができる現像装置の組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の第1態様の現像装置の組立方法は、トナーを担持する現像ローラと、前記現像ローラを回転可能に支持する現像フレームと、前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するゴム部及び前記ゴム部を支持するブレードを有する層厚規制ブレードと、前記現像ローラの周面と接触するように前記現像フレームと前記現像ローラの軸線方向の端部との間に配置されるとともに、前記現像ローラの周面と接触する複数本の繊維、及び前記複数本の繊維が植設されたベースシートを有する表層を備えるサイドシールと、前記層厚規制ブレードに対して前記現像ローラの回転方向の上流側で、前記軸線方向に延びるように前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するロアシールと、を備えた現像装置の組立方法であって、前記層厚規制ブレードにおいて、前記ブレードに対し、前記表層の前記回転方向の下流側端部が前記軸線方向において前記ゴム部の一端部と隣接するように、前記表層を貼付ける貼付け工程と、前記現像フレームに対し、前記層厚規制ブレードを組付ける第1組付け工程と、前記現像フレームに対し、前記表層の前記回転方向の上流側端部が前記軸線方向において前記ロアシールの一端部に隣接するように、前記表層を組付ける第2組付け工程と、を備える。
【0008】
上記の構成によれば、貼付け工程が第1組付け工程の前に行われるとともに、第2組付け工程が第1組付け工程の後に行われる。これにより、現像フレームに対して、複数本の繊維が植設されたベースシートを有する表層を備えるとともに、一体的に構成された長尺のサイドシールを組付ける場合でも、簡単に、かつ、精度よくサイドシールを組付けることができる。この結果、現像ローラの回転速度を高める場合でも、トナーの漏れを抑えることができる現像装置を容易に組み立てることが可能となる。
【0009】
本開示の第2態様は、第1態様の現像装置の組立方法であって、前記第2組付け工程では、前記ベースシートの端面が前記軸線方向において前記ロアシールの端面と対向するように前記表層は前記現像フレームに組付けられてもよい。
【0010】
上記構成によれば、現像ローラの軸線方向において、ベースシートの端面とロアシールの端面とが互いに対向しているので、ベースシート及びロアシールの一方が他方に重畳することに起因する段差を生じることなく、これらのベースシート及びロアシールを設けることができる。これにより、上記段差に起因した隙間が生じないので、トナーが隙間から漏れるのを確実に抑制することができる。
【0011】
本開示の第3態様は、第1態様または第2態様の現像装置の組立方法であって、前記第2組付け工程では、前記複数本の繊維の一部の繊維が前記ベースシートの端面から前記ロアシールの端面側に突出して前記ロアシールの端部と重畳するように前記表層は前記現像フレームに組付けられてもよい。
【0012】
上記構成によれば、複数本の繊維の一部の繊維がロアシールの端部と重畳しているので、ベースシートの端面とロアシールの端面との間に空間が生じている場合でも、空間内へのトナーの蓄積及び空間からのトナーの漏れを大幅に抑制することができる。この結果、現像ローラの回転速度を高める場合でも、トナーの漏れを抑えることができる。
【0013】
本開示の第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1つの現像装置の組立方法であって、前記貼付け工程の前に、前記ロアシールの前記軸線方向の端部と、前記現像フレームとの間に配置されるようにロアサイドシールを貼付けるロアサイドシール貼付け工程と、前記ロアサイドシール上に前記ロアシールを貼付けるロアシール貼付け工程を、順次行ってもよい。
【0014】
上記の構成によれば、ロアサイドシールが現像フレーム上でロアシールの軸線方向の端部を支えることができるので、当該ロアシールの軸線方向の端部が上記現像ローラから離間するのを確実に防ぐことができる。
【0015】
本開示の第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1つの現像装置の組立方法であって、前記貼付け工程では、前記軸線方向の端面が前記ゴム部の前記軸線方向の端面に対向した状態で前記ゴム部に隣接するサイドエッジシールを介在させて、前記ブレードに対し前記下流側端部を貼付けてもよい。
【0016】
上記構成によれば、サイドエッジシールによってゴム部からのトナーの漏れを抑制することができる。また、ゴム部が摩耗した場合でも、サイドエッジシールが現像ローラによって押圧されることにより弾性変形して、現像ローラに対して隙間が生じるのを防いでシール性を確保することができる。
【0017】
本開示の第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1つの現像装置の組立方法であって、前記第2組付け工程では、前記現像フレームに対し、前記上流側端部が移動可能に組付けられてもよい。
【0018】
上記構成によれば、サイドシールの表層の上流側端部が移動可能に現像フレームに組付けられているので、現像ローラが現像フレームに取り付けられたときに、現像ローラ側からの押圧に起因してサイドシールの表層にしわなどの変形が生じるのを抑制することができ、当該サイドシールのシール性が低下するのを抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一態様によれば、現像ローラの回転速度を高める場合でも、トナーの漏れを抑えることができる現像装置の組立方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の一実施形態に係る現像装置の正面図である。
図2】上記現像装置の要部構成を示す側面図である。
図3】(A)は、上記現像装置の要部構成を示す拡大平面図であり、(B)は、図3(A)のB-B線断面図であり、(C)は、上記現像装置に含まれたサイドシールとロアシールの構成例を示す拡大平面図である。
図4】(A)は、上記現像装置に含まれた層厚規制ブレードの正面図であり、(B)は、上記層厚規制ブレードに貼付けられたサイドシールの表層とサイドエッジシールを示す分解斜視図であり、(C)は、図4(A)に示したサイドシールを、上記層厚規制ブレードの裏側から見た場合での斜視図である。(D)は、図4(A)の紙面に垂直な方向で断面をとった場合でのサイドシールの表層、サイドエッジシール、及びゴム部の関係を示す拡大断面図である。
図5】上記サイドシールの下層を示す斜視図である。
図6】(A)は、上記現像装置に含まれた現像ローラを組付けた場合でのサイドシールの表層及び下層の具体的な動作例を説明する図であり、(B)は、上記現像ローラが回転したときでのサイドシールの表層上のトナーの具体的な動作例を説明する図である。
図7】上記現像装置の組立方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の一実施形態について図1図7を参照しつつ説明する。本実施形態では、現像剤の一例である、トナーを周面3Aに担持する現像ローラ3を備えた現像装置1について説明する。また、本実施形態の現像装置1は、例えば、レーザープリンタやLEDプリンタを含んだ電子写真プリンタ等の画像形成装置に設けられる。
【0022】
〔現像装置1の全体構成〕
図1は、本開示の一実施形態に係る現像装置1の正面図である。図2は、上記現像装置1の要部構成を示す側面図である。図1において、本実施形態の現像装置1は、現像フレーム2、現像ローラ3、及び層厚規制ブレード4を具備する。現像装置1は、現像フレーム2の内側から外側へのトナーの漏洩を抑制するシール部材として、サイドシール5、ロアシール6、ロアサイドシール8、及びサイドエッジシール9を備える。
【0023】
現像フレーム2は、現像装置1の外容器を構成しており、その内部に現像装置1の要部構成を収容する。現像フレーム2は、現像ローラ3の回転軸3Bを軸支することによって現像ローラ3を回転可能に支持する。図2を参照して、現像フレーム2は、軸線方向が現像ローラ3の軸線方向と平行に配置された供給ローラ7を回転可能に支持する。現像ローラ3及び供給ローラ7は、図2において、各々不図示のモータなどの駆動機構によって反時計周りに回転駆動されるようになっている。
【0024】
層厚規制ブレード4は、現像フレーム2に設けられるとともに、例えば、略L字状の形状に形成されたブレード本体4A及び現像ローラ3の周面3Aに接触するゴム部4Bを有する。ブレード本体4Aは、ゴム部4Bを支持するブレードの一例であり、例えば、金属を用いて構成されている。ゴム部4Bは、例えば、シリコーンゴムやウレタンゴムなどのゴム部材を用いて構成されており、現像ローラ3の周面3A上に担持されるトナーの厚みを所定値に規制する。層厚規制ブレード4は、例えば、ボルトなどのねじ、及び/または両面テープなどの固定部材によって現像フレーム2に固定されている。
【0025】
ブレード本体4Aは、略L字状の形状にプレス加工された板金に、ゴム部4Bを支持する平らな板金を溶接あるいはねじ留めにより結合したものでもよいし、1枚の板金をプレス加工で略L字状に加工したものでもよい。
【0026】
現像フレーム2では、供給ローラ7の上側にトナーを収容した不図示のトナーカートリッジやトナータンクなどのトナー収容部が着脱自在に連結されており、トナー収容部からのトナーは、供給ローラ7を介して現像ローラ3の周面3A上に供給される。このとき、トナーは、供給ローラ7と現像ローラ3との間で、例えば正極性に摩擦帯電される。現像ローラ3の周面3A上に供給されたトナーは、層厚規制ブレード4のゴム部4Bによってさらに摩擦帯電されつつ、上記所定値の厚みの薄層に規制されて周面3Aに担持される。
【0027】
本実施形態におけるトナーには、例えば、正帯電性であって非磁性の1成分トナーが用いられている。この1成分トナーは、例えば、懸濁重合法によって球状に形成したスチレンーアクリル系樹脂に、カーボンブラック等の周知の着色剤及び4級アンモニウム塩等の荷電制御剤を添加したものである。さらに、この1成分トナーには、平均粒径5μm~10μmのトナー母粒子が用いられており、その表面には外添剤として、例えばシリカが添加されている。なお、平均粒径5μm~7μmの微細なトナー母粒子を用いることにより、上記画像形成装置での画像形成処理後の印刷物の画質を向上させることが可能となる。
【0028】
サイドシール5は、図1及び図2に示すように、現像ローラ3の周面3Aと接触するように現像フレーム2と現像ローラ3の軸線方向の端部との間に配置されている。つまり、サイドシール5は、現像フレーム2に対して、現像ローラ3の周面3Aの長手方向である軸線方向の両端部に当接するように設けられており、現像ローラ3の左右の各端部でのトナーに対するシール性を高めて当該トナーの漏洩を抑制している。サイドシール5は、図2に示すように、現像ローラ3側に設けられた表層5Aと、現像フレーム2側に設けられて、表層5Aを支持する下層5Bとを備えている。
【0029】
ロアシール6は、図1及び図2に示すように、層厚規制ブレード4に対して現像ローラ3の回転方向の上流側で、上記軸線方向に延びるように現像フレーム2に設けられるとともに、現像ローラ3の周面3Aに接触するようになっている。ロアシール6は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂を用いて構成されており、不図示の両面テープやボルトなどの固定部材を介して現像フレーム2に固定されている。ロアシール6は、現像ローラ3の下側部分でのトナーに対するシール性を高めて当該トナーの漏洩を抑制している。
【0030】
図2に示すように、ロアサイドシール8がロアシール6の軸線方向の端部と、現像フレーム2との間に設けられている。すなわち、2つのロアサイドシール8が、現像ローラ3の軸線方向の左右の端部において、サイドシール5に対し軸線方向の内側で、ロアシール6の下面と現像フレーム2の表面との間にそれぞれ設置されている。
【0031】
〔現像装置1の要部構成〕
図3図5を参照して、本実施形態の現像装置1の要部構成について具体的に説明する。図3(A)は、上記現像装置1の要部構成例を示す拡大平面図であり、図3(B)は、図3(A)のB-B線断面図であり、図3(C)は、上記現像装置1に含まれたサイドシール5とロアシール6の構成例を示す拡大平面図である。図4(A)は、上記現像装置1に含まれた層厚規制ブレード4の正面図であり、図4(B)は、上記層厚規制ブレード4に貼付けられたサイドシール5の表層5Aとサイドエッジシール9を示す分解斜視図であり、図4(C)は、図4(A)に示したサイドシール5を、上記層厚規制ブレード4の裏側から見た場合での斜視図であり、図4(D)は、図4(A)の紙面に垂直な方向で断面をとった場合でのサイドシール5の表層5A、サイドエッジシール9、及びゴム部4Bの関係を示す拡大断面図である。図5は、上記サイドシール5の下層5Bを示す斜視図である。
【0032】
尚、本実施形態の現像装置1の要部構成は、図1の左右方向において実質的に対称構造であるので、以下の説明では、例えば、図1の左側部分を図示して説明する。また、図3(A)では、図面の簡略化のために、現像ローラ3の図示は省略する。
【0033】
図3(A)に示すように、サイドシール5の表層5Aでは、同図の上側端部、すなわち現像ローラ3の回転方向の下流側端部がサイドエッジシール9を介在させて層厚規制ブレード4のブレード本体4Aに取り付けられている。また、サイドシール5の表層5Aでは、同図の下側端部、すなわち現像ローラ3の回転方向の上流側端部が現像フレーム2に組付けられた下層5Bと相対的に移動可能に設けられている。なお、現像ローラ3は、その回転軸3Bが現像フレーム2に設けられた軸受け2Aに回転可能に支持されて図3(A)の下側から上側に向かう方向に回転駆動される。
【0034】
ロアサイドシール8は、図3(A)に点線にて示すように、例えば、矩形状に構成されており、ロアシール6の軸線方向の端部を支持するように、現像フレーム2に固定されている。このように、ロアサイドシール8が、現像フレーム2上でロアシール6の軸線方向の端部を支えることができるので、当該ロアシール6の軸線方向の端部が現像ローラ3から離間するのを抑制することができる。この結果、ロアシール6のシール性を維持することができる。
【0035】
ロアサイドシール8は、例えば、スポンジなどの弾性体を用いて構成されている。これにより、ロアシール6は現像ローラ3と弾性接触することができ、現像ローラ3の回転速度を高める場合でも、ロアシール6によるシール性を確保しつつ、現像ローラ3の円滑な回転動作を容易に行わせることができる。
【0036】
図3(B)に示すように、サイドシール5の表層5Aは、ベースシート5AAと、ベースシート5AAに植設された複数本の繊維5ABとを備えている。繊維5ABは、現像ローラ3の周面3Aと接触する。尚、図3(B)では、図面の簡略化のために、サイドエッジシール9などの図示は省略している。
【0037】
ベースシート5AAは、例えば、布などの柔軟性を有する素材を用いて構成されている。また、繊維5ABは、例えば、超高分子量ポリエチレンやポリパラフェニレンベンゾビスオキサドール(PBO)繊維などを用いて構成されている。表層5Aでは、後に詳述するように、繊維5ABは、ベースシート5AAに対して所定方向に配列された状態で植え付けられている。
【0038】
図3(A)に示すように、サイドシール5の表層5Aでは、現像ローラ3の回転方向の下流側端部が当該現像ローラ3の軸線方向においてゴム部4Bの一端部と隣接するようにサイドエッジシール9を介在させてブレード本体4Aに貼付けされている。また、サイドシール5の表層5Aでは、現像ローラ3の回転方向の上流側端部が当該現像ローラ3の軸線方向においてロアシール6の一端部に隣接している。
【0039】
より具体的にいえば、図3(C)に示すように、サイドシール5の表層5Aでは、ベースシート5AAの端面5AA1は現像ローラ3の軸線方向においてロアシール6の端面6Aと対向している。ここでいう対向とは、端面5AA1と端面6Aとが、図3(C)に例示するように、微小な空間を隔てて並べられる状態や、このような空間を隔てることなく端面5AA1及び端面6A同士が互いに接触する状態をいう。ここでいう対向には、端面5AA1及び端面6Aの一方が他方に重畳して厚さ方向に重なる状態を含まない。
【0040】
また、サイドシール5の表層5Aでは、繊維5ABの一部の繊維は、図3(C)に例示するように、ベースシート5AAの端面5AA1からロアシール6の端面6A側に突出してロアシール6の端部と重畳している。
【0041】
図4(A)に示すように、層厚規制ブレード4のブレード本体4Aでは、図の左右方向の各端部にサイドシール5の表層5Aが貼付けられた状態で現像フレーム2に組付けられるように構成されている。
【0042】
図4(B)に示すように、サイドエッジシール9は、例えば、両面テープT1を介してブレード本体4Aに固定される。サイドエッジシール9は、例えば、スポンジなどの弾性体を用いて構成されており、サイドシール5の表層5Aを弾性支持する。
【0043】
サイドシール5の表層5Aは、図4(B)に示すように、部分5A1と部分5A2とを含む。部分5A1は、現像ローラ3の周面3Aに沿うように配置される長方形状のベースシート5AA及び繊維5ABを有する。部分5A2は、部分5A1からロアシール6側に突出した繊維5ABからなる。部分5A1は、サイドエッジシール9の長さ寸法よりも長い寸法を有する長尺に構成されている。また、表層5Aは、例えば、両面テープT2を介してサイドエッジシール9に固定される。
【0044】
図4(C)の“L”にて示すように、両面テープT2は、ブレード本体4Aから所定の寸法、例えば、6mm程度はみ出した状態でサイドエッジシール9に貼り付けられる。また、サイドシール5の表層5Aは、ブレード本体4Aから所定の寸法、例えば、15mm程度はみ出した状態でブレード本体4Aに固定される。そして、層厚規制ブレード4が現像フレーム2に組付けられたときに、サイドシール5の表層5Aは、当該サイドシール5の下層5Bに対して、両面テープT2のはみ出し部分を介して固着される。さらに、両面テープT2のはみ出し部分以外の、上記上流側端部を含んだ表層5Aのはみ出し部分が下層5Bに移動可能に組付けられる。
【0045】
図4(D)に示すように、層厚規制ブレード4では、サイドエッジシール9の上記軸線方向の端面がゴム部4Bの上記軸線方向の端面に対向した状態でゴム部4Bに隣接するようにブレード本体4Aに固定されて、サイドエッジシール9が現像フレーム2に設けられる。これにより、サイドエッジシール9によってゴム部4Bからのトナーの漏れを抑制することができる。また、サイドエッジシール9が弾性体を用いて構成されているので、ゴム部4Bが摩耗した場合でも、サイドエッジシール9が現像ローラ3によって押圧されることにより弾性変形して、現像ローラ3に対して隙間が生じるのを抑制することができる。これにより、サイドエッジシール9のシール性を確保することができる。
【0046】
さらに、層厚規制ブレード4が現像フレーム2に組付けられた場合、図4(D)に示すように、サイドエッジシール9は、その端面がサイドシール5の表層5Aのベースシート5AAの端面と対向するようにブレード本体4Aに配置される。
【0047】
図5に示すように、サイドシール5の下層5Bは、多孔質形状を有するスポンジなどの弾性体を用いて一体的に構成されている。下層5Bは、現像フレーム2の所定の位置に設けられたくぼみなどの不図示の取付部にはめ込まれることによって現像フレーム2に組付けられる。また、下層5Bは、現像ローラ3側の表面に、上記多孔質形状に含まれた貫通していない窪み形状を備えており、トナーが漏れ出たとしても当該窪み形状によってトナーを保持することができるようになっており、サイドシール5のシール性を向上させている。
【0048】
また、サイドシール5では、表層5Aが下層5Bに弾性的に支持されるので、サイドシール5は、現像ローラ3の軸線方向の端部と弾性接触することができる。この結果、本実施形態の現像装置1では、現像ローラ3の回転速度を高める場合でも、サイドシール5によるシール性を確保しつつ、現像ローラ3の円滑な回転動作を容易に行わせることができる。
【0049】
〔サイドシール5の動作例〕
図6(A)は、上記現像装置1に含まれた現像ローラ3を組付けた場合でのサイドシール5の表層5A及び下層5Bの具体的な動作例を説明する図であり、図6(B)は、上記現像ローラ3が回転したときでのサイドシール5の表層5A上のトナーTNの具体的な動作例を説明する図である。
【0050】
図6(A)に示すように、現像ローラ3が、現像フレーム2に対して、矢印P方向に移動されつつ、組付けられると、現像ローラ3の周面3Aは、サイドシール5の表層5AにP方向への押圧力を付与した状態で当接する。このとき、表層5Aの上記上流側端部は、下層5Bに固着されておらず当該下層5Bに相対的に移動可能であるので、同図の矢印Mにて示すように、上記押圧力に応じて、移動する。この結果、サイドシール5では、表層5A及び下層5Bでのしわなどの変形の発生が抑えられることとなり、変形に起因するサイドシール5のシール性の低下を抑制することができる。
【0051】
図6(B)に示すように、サイドシール5の表層5Aでは、繊維5ABが図の斜め右上方向に配列された状態で、図4(B)に示したベースシート5AAに植設されている。このため、トナーTNが繊維5AB上に重畳したとしても、現像ローラ3が図の矢印T方向に回転すると、当該トナーTNには現像ローラ3の回転に伴って繊維5ABから図の矢印K方向の力が作用する。この結果、現像フレーム2の内部側から繊維5AB上に漏れ出たトナーTNは、現像ローラ3の回転に伴って現像フレーム2の内部側に戻される。
【0052】
このように、本実施形態の現像装置1では、複数本の繊維5ABは現像ローラ3の回転方向の上流側から下流側に向かうにつれ、軸線方向の外側から内側にトナーTNを送るように構成されている。この結果、本実施形態の現像装置1では、サイドシール5において、トナーTNを軸線方向の内側に容易に送ることができるので、当該サイドシール5のシール性をも容易に向上させることができる。
【0053】
〔現像装置1の要部構成の組立方法〕
図7は、上記現像装置1の組立方法を示すフローチャートである。図7では、本実施形態の現像装置1の要部構成に関する組立方法について主に説明する。
【0054】
図7に示すように、ステップS1で、供給ローラ7が、現像フレーム2の所定の位置に組付けられる。次に、ステップS2で、ロアサイドシール8が、現像ローラ3の軸線方向の左右の各端部の位置に対応して、現像フレーム2に貼り付けられる。すなわち、このステップS2では、後述の貼付け工程の前に、ロアシール6の軸線方向の端部と、現像フレーム2との間に配置されるようにロアサイドシール8を貼付けるロアサイドシール貼付け工程が実行される。
【0055】
続いて、ステップS3で、サイドシール5の下層5Bが、現像フレーム2の上記取付部に組付けられる。次に、ステップS4で、ロアシール6が、左右のロアサイドシール8を覆うように現像フレーム2に貼り付けられる。すなわち、このステップS4では、後述の貼付け工程の前に、ロアサイドシール8上にロアシール6を貼付けるロアシール貼付け工程が実行される。
【0056】
続いて、ステップS5で、層厚規制ブレード4の組立が行われる。具体的には、ブレード本体4Aに対して、ゴム部4Bを有するブレード本体4Aの左右の端部に、図4(B)に示した両面テープT1、サイドエッジシール9、両面テープT2、及びサイドシール5の表層5Aが貼付けられる。すなわち、このステップS5では、層厚規制ブレード4において、ブレード本体4Aに対し、表層5Aの上記回転方向の下流側端部が上記軸線方向においてゴム部4Bの一端部と隣接するように、表層5Aを貼付ける貼付け工程が実行される。
【0057】
また、貼付け工程では、図3(A)に示したように、表層5Aは軸線方向の端面がゴム部4Bの軸線方向の端面に対向した状態でゴム部4Bに隣接するサイドエッジシール9を介在させて、ブレード本体4Aに対し下流側端部が貼付けられる。
【0058】
続いて、ステップS6で、層厚規制ブレード4の組付けが行われる。具体的には、ステップS5で組立てられた層厚規制ブレード4が、現像フレーム2に対して、上記固定部材によって固定される。このステップS6では、第1組付け工程と第2組付け工程とが順次実行される。第1組付け工程では、現像フレーム2に対し、層厚規制ブレード4を組付ける。第2組付け工程では、現像フレーム2に対し、サイドシール5の表層5Aの回転方向の上流側端部が上記軸線方向においてロアシール6の一端部に隣接するように、当該表層5Aを組付ける。
【0059】
また、第2組付け工程では、図3(C)に示したように、ベースシート5AAの端面5AA1が上記軸線方向においてロアシール6の端面6Aと対向するように表層5Aは現像フレーム2に組付けられる。
【0060】
さらに、第2組付け工程では、図3(C)に示したように、複数本の繊維5ABの一部の繊維がベースシート5AAの端面5AA1からロアシール6の端面6A側に突出してロアシール6の端部と重畳するように表層5Aは現像フレーム2に組付けられる。
【0061】
その上、第2組付け工程では、図6(A)に示したように、現像フレーム2に対し、表層5Aの上流側端部が移動可能に組付けられる。
【0062】
以上のように、本実施形態の現像装置1の組立方法では、貼付け工程が第1組付け工程の前に行われるとともに、第2組付け工程が第1組付け工程の後に行われる。これにより、本実施形態の現像装置1の組立方法では、現像フレーム2に対して、複数本の繊維5ABが植設されたベースシート5AAを有する表層5Aを備えるとともに、一体的に構成された長尺のサイドシール5を組付ける場合でも、簡単に、かつ、精度よく当該サイドシール5を組付けることができる。この結果、本実施形態では、現像ローラ3の回転速度を高める場合でも、トナーの漏れを抑えることができる現像装置1を容易に組み立てることが可能となる。
【0063】
続いて、ステップS7で、現像ローラ3が、現像フレーム2に組付けられて、本実施形態の現像装置1の要部構成の組立は完了する。
【0064】
以上のように、本実施形態の現像装置1では、現像ローラ3の軸線方向において、ベースシート5AAの端面5AA1とロアシール6の端面6Aとが互いに対向している。このため、ベースシート5AA及びロアシール6の一方が他方に重畳することに起因する段差を生じることなく、これらのベースシート5AA及びロアシール6を設けることができる。これにより、上記段差に起因した隙間が生じないので、トナーが隙間から漏れるのを確実に抑制することができる。また、複数本の繊維5ABの一部の繊維がロアシール6の端部と重畳しているので、ベースシート5AAの端面5AA1とロアシール6の端面6Aとの間に空間が生じている場合でも、空間内へのトナーの蓄積及び空間からのトナーの漏れを大幅に抑制することができる。この結果、本実施形態の現像装置1では、現像ローラ3の回転速度を高める場合でも、トナーの漏れを抑えることができる。また、印刷物の画質改善や現像ローラ3の高速化のために、流動性の高いトナー、つまり上記平均粒径が小さい、微細なトナー母粒子を有するトナーを用いた場合でも、本実施形態の現像装置1では、当該トナーの漏れを抑えることができる。
【0065】
なお、サイドシール5の上にロアシール6を重ねると、現像ローラ3を組付けたときにサイドシール5の端部がロアシール6の厚みにより現像ローラ3の表面から離れる方向に押されてトナーが漏れやすくなる。一方、ロアシール6の上にサイドシール5を重ねると、現像ローラ3を組付けたときにロアシール6の端部がサイドシール5の厚みにより現像ローラ3の表面から離れる方向に押されてトナーが漏れやすくなる。本実施形態品のように、サイドシール5とロアシール6とを重ねないことで上記の問題は生じない。
【0066】
また、サイドシール5とロアシール6が重ならないように組立てると、その間にわずかに空間ができることもあるが、その空間はサイドシール5の表層5Aの繊維5ABによって塞がれるため、当該空間からトナーが漏れ出ることはない。
【0067】
また、本実施形態の現像装置1では、複数本の繊維5ABが植設されたベースシート5AAを有する表層5Aを備えるとともに、一体的に構成された長尺のサイドシール5が用いられているので、サイドシール5によるシール性を容易に向上させることができる。この結果、本実施形態の現像装置1では、現像ローラ3の回転速度を高める場合でも、トナーの漏れを抑えることができる。
【0068】
尚、上記の説明では、本開示を現像装置に適用した場合について例示したが、本開示はこれに限定されるものではなく、例えば、ユーザが画像形成装置などから適宜交換可能に構成された現像カートリッジに本開示を適用することもできる。
【0069】
〔補足事項〕
本開示は、トナーを担持する現像ローラと、前記現像ローラを回転可能に支持する現像フレームと、前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するゴム部及び前記ゴム部を支持するブレードを有する層厚規制ブレードと、前記現像ローラの周面と接触するように前記現像フレームと前記現像ローラの軸線方向の端部との間に配置されるサイドシールと、前記層厚規制ブレードに対して前記現像ローラの回転方向の上流側で、前記軸線方向に延びるように前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するロアシールと、を備え、前記サイドシールは、前記現像ローラの周面と接触する複数本の繊維、及び前記複数本の繊維が植設されたベースシートを有する表層を備え、前記サイドシールでは、前記ベースシートの端面は、前記軸線方向において前記ロアシールの端面と対向し、かつ、前記複数本の繊維の一部の繊維は、前記ベースシートの端面から前記ロアシールの端面側に突出して前記ロアシールの端部と重畳している構成を備えた現像装置に係る発明を含むものである。
【0070】
上記の構成によれば、現像ローラの軸線方向において、ベースシートの端面とロアシールの端面とが互いに対向しているので、ベースシート及びロアシールの一方が他方に重畳することに起因する段差を生じることなく、これらのベースシート及びロアシールを設けることができる。これにより、上記段差に起因した隙間が生じないので、トナーが隙間から漏れるのを確実に抑制することができる。また、複数本の繊維の一部の繊維がロアシールの端部と重畳しているので、ベースシートの端面とロアシールの端面との間に空間が生じている場合でも、空間内へのトナーの蓄積及び空間からのトナーの漏れを大幅に抑制することができる。この結果、現像ローラの回転速度を高める場合でも、トナーの漏れを抑えることができる。
【0071】
さらに、本開示は、トナーを担持する現像ローラと、前記現像ローラを回転可能に支持する現像フレームと、前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するゴム部及び前記ゴム部を支持するブレードを有する層厚規制ブレードと、前記現像ローラの周面と接触するように前記現像フレームと前記現像ローラの軸線方向の端部との間に配置されるサイドシールと、前記層厚規制ブレードに対して前記現像ローラの回転方向の上流側で、前記軸線方向に延びるように前記現像フレームに設けられるとともに、前記現像ローラの周面に接触するロアシールと、を備え、前記サイドシールは、前記現像ローラの周面と接触する複数本の繊維、及び前記複数本の繊維が植設されたベースシートを有する表層を備え、前記サイドシールの前記表層では、前記回転方向の下流側端部が、前記軸線方向において前記ゴム部の一端部と隣接するように前記ブレードに貼付けされ、前記回転方向の上流側端部が、前記軸線方向において前記ロアシールの一端部に隣接している構成を備えた現像装置に係る発明を含むものである。
【0072】
上記の構成によれば、複数本の繊維が植設されたベースシートを有する表層を備えるとともに、一体的に構成された長尺のサイドシールが用いられているので、サイドシールによるシール性を容易に向上させることができる。この結果、現像ローラの回転速度を高める場合でも、トナーの漏れを抑えることができる。
【0073】
また、上記現像装置において、前記ロアシールの前記軸線方向の端部と、前記現像フレームとの間に設けられたロアサイドシールを更に備えてもよい。
【0074】
上記の構成によれば、ロアサイドシールが現像フレーム上でロアシールの軸線方向の端部を支えることができるので、当該ロアシールの軸線方向の端部が上記現像ローラから離間するのを抑制することができる。
【0075】
また、上記現像装置において、前記ロアサイドシールは、弾性体を用いて構成されてもよい。
【0076】
上記の構成によれば、ロアシールは現像ローラと弾性接触することができ、現像ローラの回転速度を高める場合でも、ロアシールによるシール性を確保しつつ、現像ローラの円滑な回転動作を容易に行わせることができる。
【0077】
また、上記現像装置において、前記サイドシールは、前記表層を支持する下層を更に備え、前記下層は、弾性体を用いて構成されてもよい。
【0078】
上記の構成によれば、サイドシールは現像ローラの軸線方向の端部と弾性接触することができ、現像ローラの回転速度を高める場合でも、サイドシールによるシール性を確保しつつ、現像ローラの円滑な回転動作を容易に行わせることができる。
【0079】
また、上記現像装置において、弾性体を用いて構成されるとともに、前記軸線方向の端面が前記ゴム部の前記軸線方向の端面に対向した状態で前記ゴム部に隣接するように前記現像フレームに設けられたサイドエッジシールを更に備えてもよい。
【0080】
上記の構成によれば、サイドエッジシールによってゴム部からのトナーの漏れを抑制することができる。また、ゴム部が摩耗した場合でも、サイドエッジシールが現像ローラによって押圧されることにより弾性変形して、現像ローラに対して隙間が生じるのを防いでシール性を確保することができる。
【0081】
また、上記現像装置において、前記複数本の繊維は、前記現像ローラの回転方向の上流側から下流側に向かうにつれ、前記軸線方向の外側から内側に前記トナーを送るように構成されてもよい。
【0082】
上記構成によれば、サイドシールにおいて、トナーを軸線方向の内側に容易に送ることができるので、当該サイドシールのシール性をも容易に向上させることができる。
【0083】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1 現像装置
2 現像フレーム
3 現像ローラ
4 層厚規制ブレード
4A ブレード本体
4B ゴム部
5 サイドシール
5A 表層
5AA ベースシート
5AA1 端面
5AB 繊維
5B 下層
6 ロアシール
8 ロアサイドシール
9 サイドエッジシール
TN トナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7