(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】スタックマニホールド
(51)【国際特許分類】
H01M 8/2465 20160101AFI20241126BHJP
H01M 8/2483 20160101ALI20241126BHJP
B29C 45/14 20060101ALN20241126BHJP
【FI】
H01M8/2465
H01M8/2483
B29C45/14
(21)【出願番号】P 2021075113
(22)【出願日】2021-04-27
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】脇本 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】池田 健司
(72)【発明者】
【氏名】伊東 佑斗
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-057173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
B29C 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルが積層されたセルスタックの一端面に設けられて前記セルスタックへの流体の供給及び前記セルスタックからの前記流体の排出を行う燃料電池のスタックマニホールドであって、
厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有した金属製のプレート部と、前記セルスタックに対して前記プレート部を絶縁するために前記プレート部に形成された樹脂部と、を有する本体部と、
前記本体部における厚さ方向の一端面に取り付けられ、且つ補機を取り付け可能な取付板部と、
前記本体部と前記取付板部との間に配置されて前記本体部及び前記取付板部の両方に接触する補強部と、を備え
、
前記本体部は、複数の前記貫通孔が形成されて前記取付板部と対向し且つ前記樹脂部が形成された主壁部と、前記主壁部の周縁から前記取付板部側に向かって延びる側壁部とを備えており、
前記取付板部は、前記側壁部の先端面及び前記側壁部の内側の開口部全体を覆っていることを特徴とするスタックマニホールド。
【請求項2】
前記補強部は、板金によって形成されるとともに一方向の中央部に波状に屈曲してなる波状部が形成され、
前記波状部は、前記主壁部及び前記取付板部の両方に接触していることを特徴とする請求項
1に記載のスタックマニホールド。
【請求項3】
前記補強部は、前記一方向の両端部が前記側壁部の内面に接触していることを特徴とする請求項
2に記載のスタックマニホールド。
【請求項4】
前記主壁部における前記波状部との接触部分には、前記樹脂部が存在しない非樹脂部が形成されていることを特徴とする請求項
2または請求項
3に記載のスタックマニホールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池のスタックマニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスタックマニホールドとして、例えば特許文献1に示すものが知られている。こうしたスタックマニホールドは、セルスタックの端部に取り付けられる鋼板製のエンドプレートと、エンドプレートに形成された樹脂部と、エンドプレートにおけるセルスタック側とは反対側の面に取り付けられた鋼板製の補強部材とを備えている。補強部材には、補機を接続するための支持部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のようなスタックマニホールドは、単に補強部材の両端部をボルトによりエンドプレートの外縁部と共にセルスタックを収容するケースに対して締結することによってエンドプレートに補強部材を取り付けただけの構造になっている。このため、スタックマニホールドの強度を高める上では改善の余地を残すものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するスタックマニホールドは、複数のセルが積層されたセルスタックの一端面に設けられて前記セルスタックへの流体の供給及び前記セルスタックからの前記流体の排出を行う燃料電池のスタックマニホールドであって、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有した金属製のプレート部と、前記セルスタックに対して前記プレート部を絶縁するために前記プレート部に形成された樹脂部と、を有する本体部と、前記本体部における厚さ方向の一端面に取り付けられ、且つ補機を取り付け可能な取付板部と、前記本体部と前記取付板部との間に配置されて前記本体部及び前記取付板部の両方に接触する補強部と、を備えたことを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、本体部に取付板部が取り付けられるとともに補強部が本体部及び取付板部の両方に接触した状態で本体部と取付板部との間に配置されているため、補強部によって本体部及び取付板部の両方を効果的に補強することができる。したがって、スタックマニホールドの強度を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の燃料電池の全体構成を示す模式図。
【
図2】燃料電池のスタックマニホールドをセルスタック側から見たときの状態を示す背面図。
【
図3】スタックマニホールドをセルスタック側とは反対側から見たときの状態を示す正面図。
【
図6】プレート部を金型にセットしたときの状態を示す断面模式図。
【
図7】プレート部がセットされた状態の金型のキャビティに溶融樹脂を射出するときの状態を示す要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、スタックマニホールドの一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、例えば電気自動車等の車両に搭載される燃料電池11は、ケース12内に収容されたセルスタック13を備えている。セルスタック13は、複数の矩形板状のセル14をセル14の厚さ方向に積層することによって形成される。燃料電池11には、セルスタック13への水素を含む燃料ガス、空気を含む酸化剤ガス、及び冷却水(冷却液)などの流体の供給及びセルスタック13からの上記流体の排出を行うためのスタックマニホールド15が取り付けられている。燃料電池11は、スタックマニホールド15を介してセルスタック13に供給される水素と空気とを用いて発電を行う。
【0009】
図1~
図3に示すように、セルスタック13におけるセル14の積層方向(
図1の左右方向)の一端面にはスタックマニホールド15が設けられ、他端面にはエンドプレート16が設けられている。スタックマニホールド15及びエンドプレート16は、ケース12に対して複数のボルト17で締結されることで、これらの片方の面がセルスタック13におけるセル14の積層方向の両面に対してそれぞれ取り付けられている。
【0010】
図2、
図4及び
図5に示すように、スタックマニホールド15は、一端面に開口部18を有した有底矩形箱状の本体部19と、本体部19の一端面に取り付けられた取付板部20と、本体部19と取付板部20との間に配置された補強部21とを備えている。
【0011】
本体部19は、金属製のプレート部22と、プレート部22に形成された樹脂製の樹脂部23とを備えている。プレート部22は、金属板をプレス加工することによって形成される。樹脂部23は、インサート成型によってプレート部22に形成される。プレート部22は、矩形板状の底壁部24と、底壁部24の周縁から取付板部20側に向かって延びる矩形環状の側壁部25とを備えている。底壁部24には、厚さ方向に貫通する複数(本例では6つ)の円形の貫通孔26が形成されている。各貫通孔26は、底壁部24における長辺方向の外縁部よりも若干中央部寄りの位置に配置されている。
【0012】
本実施形態では、底壁部24における長辺方向の両側に貫通孔26が3つずつ短辺方向に並ぶように配置されている。樹脂部23は、底壁部24における外縁部よりも内側の両面及び各貫通孔26の内周面にわたって形成されている。樹脂部23は、セルスタック13(
図1参照)及び上記流体に対してプレート部22を絶縁する。
【0013】
本実施形態では、樹脂部23と底壁部24とによって主壁部27が構成されている。主壁部27は、取付板部20と厚さ方向で対向している。したがって、本体部19は、複数の貫通孔26が形成されて取付板部20と対向し且つ樹脂部23が形成された主壁部27と、主壁部27の周縁から取付板部20側に向かって延びる側壁部25とを備えている。
【0014】
取付板部20は、金属板をプレス加工することによって形成され、厚さ方向で本体部19と対応する矩形状をなしている。取付板部20における底壁部24の各貫通孔26と対応する位置には、円形の第1挿通孔28が貫通して形成されている。取付板部20は、本体部19における厚さ方向の一端面、すなわち側壁部25の先端面及び側壁部25の内側の開口部18全体を覆うように、本体部19に取り付けられている。取付板部20は、本体部19の側壁部25に対してかしめ又は溶接などによって取り付けられる。この場合、本体部19と取付板部20との間には、閉空間が形成される。
【0015】
取付板部20の中央部には、長辺方向に並ぶ一対の取付孔29が厚さ方向に貫通して形成されている。取付板部20における本体部19側の面の一対の取付孔29と対応する位置には、一対のナット30が一対の取付孔29とそれぞれ連通するように固定されている。一対のナット30は、取付板部20に対してかしめ又は溶接などによって固定される。
【0016】
取付板部20における本体部19側とは反対側の面には、
図3及び
図4に示すように、補機31が一対のナット30と一対のねじ32とによって取り付けられる。この場合、補機31には、一対の取付孔29と対応する一対の挿通孔(図示略)が貫通して形成されている。そして、一対のねじ32を上記一対の挿通孔(図示略)及び一対の取付孔29に挿通した状態で一対のナット30にそれぞれ螺合させることにより、補機31が取付板部20に取り付けられる。
【0017】
なお、補機31としては、セルスタック13に供給される気体に対し水分を付与する加湿器、セルスタック13から排出される気体から水分を分離する気液分離器、上記流体をセルスタック13に向けて送出するポンプ、及び上記流体を流す配管などが挙げられる。
【0018】
図2、
図4及び
図5に示すように、補強部21は、金属板をプレス加工することによって形成されている。すなわち、補強部21は、厚さ方向で本体部19の底壁部24と対応する矩形板状をなす板金によって形成されている。補強部21は、本体部19と取付板部20との間、すなわち本体部19と取付板部20との間に形成された閉空間に収容されている。
【0019】
補強部21における底壁部24の各貫通孔26と対応する位置には、円形の第2挿通孔33が貫通して形成されている。補強部21は、一方向である長辺方向の中央部に波状に屈曲してなる波状部34が形成されている。各第2挿通孔33は、補強部21における波状部34から外れた位置に配置されている。
【0020】
波状部34は、略U字状の山部と谷部とが補強部21の長辺方向において交互に現れるようにジグザグに屈曲して形成される。波状部34は、山部及び谷部のうちの一方が主壁部27に接触し他方が取付板部20に接触している。すなわち、波状部34は、主壁部27及び取付板部20の両方に接触している。換言すれば、補強部21は、本体部19及び取付板部20の両方に接触している。
【0021】
主壁部27における波状部34との接触部分には、樹脂部23が存在しない非樹脂部35が形成されている。非樹脂部35は、主壁部27における波状部34との接触部分に、波状部34と樹脂部23との接触を避けるように樹脂部23に形成した孔部によって構成されている。したがって、波状部34は、主壁部27における非樹脂部35においてプレート部22の底壁部24に対して直接接触している。
【0022】
底壁部24における樹脂部23が形成された部分であって非樹脂部35と対応しない部分には、複数の孔36が貫通して形成されている。すなわち、複数の孔36は、底壁部24における非樹脂部35と対応する部分同士の間に形成されている。なお、補強部21は、長辺方向の両端部が取付板部20側に屈曲した状態で側壁部25の内面に接触している。
【0023】
樹脂部23における各貫通孔26と対応する位置には、取付板部20の第1挿通孔28まで延びる円筒状のパイプ部37が樹脂部23と一体に形成されている。各パイプ部37は、第2挿通孔33及び第1挿通孔28に挿通されている。本実施形態において、各パイプ部37の先端面は、取付板部20の外面と面一になっているが、必ずしも取付板部20の外面と面一になっている必要はない。
【0024】
各パイプ部37には、セルスタック13(
図1参照)への上記流体の供給及びセルスタック13からの上記流体の排出を行うための配管38を接続することが可能となっている。つまり、各パイプ部37及び各配管38は、セルスタック13(
図1参照)への上記流体の供給及びセルスタック13からの上記流体の排出を行うための流路を形成している。
【0025】
本体部19の底壁部24の外縁部には、スタックマニホールド15をケース12(
図1参照)に対して締結するボルト17が挿通される複数(本例では10個)の第1ボルト孔39が底壁部24の外周に沿って適宜間隔を置いて貫通して形成されている。取付板部20の外縁部には、ボルト17が挿通される複数(本例では10個)の第2ボルト孔40が取付板部20の外周に沿って適宜間隔を置いて貫通して形成されている。各第1ボルト孔39と各第2ボルト孔40とは、スタックマニホールド15の厚さ方向において対応している。
【0026】
補強部21の外縁部には、円筒状をなす金属製のカラー41が挿通される複数(本例では6個)のカラー挿通孔42及びカラー41が挿通される複数(本例では4個)の切欠部43が補強部21の外周に沿って適宜間隔を置いて貫通して形成されている。各カラー挿通孔42は、補強部21における長辺方向の両端部に形成されている。各切欠部43は、波状部34に形成されている。
【0027】
各カラー挿通孔42及び各切欠部43は、各第1ボルト孔39及び各第2ボルト孔40の両方と対応するように配置されている。各カラー41には、ボルト17が挿通可能になっている。各カラー41は、カラー挿通孔42又は各切欠部43に挿通された状態で、両端部がそれぞれ底壁部24及び取付板部20に対してかしめ又は溶接などによって固定される。各第1ボルト孔39及び各第2ボルト孔40は、各カラー41内と連通している。
【0028】
スタックマニホールド15は、ボルト17を、各第2ボルト孔40、各カラー41、及び各第1ボルト孔39に順次挿通した状態で、ケース12(
図1参照)に対して締結することにより、セルスタック13(
図1参照)に取り付けられる。
【0029】
次に、インサート成型によって樹脂部23をプレート部22に形成して本体部19を形成するときの作用について説明する。
図6に示すように、インサート成型によって樹脂部23をプレート部22に形成するための金型44は、プレート部22がセットされる可動型45と、溶融樹脂を射出するためのゲート46を有した固定型47とを備えている。そして、樹脂部23をプレート部22に形成する場合には、まず、可動型45にプレート部22をセットした状態で、可動型45を固定型47側へ向かって移動させて金型44を閉じる。この場合、プレート部22は、固定型47にセットするようにしてもよい。
【0030】
これにより、金型44とプレート部22との間に樹脂部23を成型するためのキャビティ48が形成される。続いて、
図7に示すように、キャビティ48内にゲート46から溶融樹脂を射出すると、溶融樹脂がキャビティ48内を
図7の矢印で示すように順次流れてキャビティ48内に溶融樹脂が充填される。このとき、プレート部22の底壁部24には、底壁部24を貫通する孔36が形成されているため、孔36を通じて底壁部24の表面側(ゲート46側)から裏面側(ゲート46側とは反対側)へ溶融樹脂が流れる。
【0031】
このため、底壁部24の表面側及び裏面側で溶融樹脂の流動状態が均一に近づくので、底壁部24における孔36の周辺には溶融樹脂による圧力が均等に近い状態でかかるようになる。加えて、底壁部24の裏面における非樹脂部35を形成する部分には、可動型45が直接接触するため、ゲート46から射出される溶融樹脂から底壁部24の表面に付与される圧力を可動型45によって受けることができる。したがって、底壁部24が溶融樹脂による圧力を受けて変形することが効果的に抑制される。
【0032】
キャビティ48に充填された溶融樹脂は冷却されて固化することにより樹脂部23となって底壁部24に形成される。その後、可動型45を固定型47から離れるように移動させることによって金型44を開いて製品としての本体部19を取り出す。この場合、底壁部24の表面側の樹脂部23と裏面側の樹脂部23とが孔36を通じて繋がっている。このため、樹脂部23が孔36に入り込むことによるアンカー効果により、プレート部22と樹脂部23との熱膨張率の差によってプレート部22から樹脂部23が浮き上がることが抑制される。
【0033】
次に、スタックマニホールド15の作用について説明する。
スタックマニホールド15は、複数のボルト17によってケース12に締結されることによってセルスタック13に押し付けられているため、常に、厚さ方向における圧縮力を受けている。したがって、スタックマニホールド15は、機械的特性が不足すると、変形したり破損したりするおそれがある。
【0034】
この点、本実施形態のスタックマニホールド15では、本体部19に取付板部20が取り付けられるとともに補強部21における特に剛性の高い波状部34が本体部19及び取付板部20の両方に接触した状態で本体部19と取付板部20との間に配置されている。このため、補強部21によって本体部19及び取付板部20の両方を効果的に補強することができる。
【0035】
加えて、補強部21は、長辺方向の両端部が取付板部20側に屈曲した状態で側壁部25の内面に接触している。このため、補強部21の波状部34に対して厚さ方向から圧縮力が作用した場合に、補強部21の波状部34が撓んで長辺方向に伸びることが側壁部25によって抑制される。したがって、補強部21の剛性を高めることができる。
【0036】
よって、スタックマニホールド15の強度が効果的に高められるので、スタックマニホールド15の耐久性(寿命)を延ばすことができる。
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
【0037】
(1)スタックマニホールド15は、複数のセル14が積層されたセルスタック13の一端面に設けられてセルスタック13への流体の供給及びセルスタック13からの流体の排出を行う。スタックマニホールド15は、本体部19と、取付板部20と、補強部21とを備えている。本体部19は、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔26を有した金属製のプレート部22と、セルスタック13に対してプレート部22を絶縁するためにプレート部22に形成された樹脂部23とを有している。取付板部20は、本体部19における厚さ方向の一端面に取り付けられ、且つ補機31を取り付け可能に構成されている。補強部21は、本体部19と取付板部20との間に配置されて本体部19及び取付板部20の両方に接触している。
【0038】
この構成によれば、本体部19に取付板部20が取り付けられるとともに補強部21が本体部19及び取付板部20の両方に接触した状態で本体部19と取付板部20との間に配置されている。このため、補強部21によって本体部19及び取付板部20の両方を効果的に補強することができる。したがって、スタックマニホールド15の強度を効果的に高めることができる。
【0039】
(2)スタックマニホールド15において、本体部19は、複数の貫通孔26が形成されて取付板部20と対向し且つ樹脂部23が形成された主壁部27と、主壁部27の周縁から取付板部20側に向かって延びる側壁部25とを備えている。取付板部20は、側壁部25の先端面及び側壁部25の内側の開口部18全体を覆っている。
【0040】
この構成によれば、本体部19と取付板部20とで形成される閉空間に補強部21を収容することができる。このため、スタックマニホールド15の外観向上に寄与できる。加えて、取付板部20が側壁部25の先端面の一部及び側壁部25の内側の開口部18の一部を覆う場合に比べて取付板部20を大きくできるので、取付板部20に対する補機31の取り付け位置の自由度を高めることができる。
【0041】
(3)スタックマニホールド15において、補強部21は、板金によって形成されるとともに長辺方向の中央部に波状に屈曲してなる波状部34が形成されている。波状部34は、主壁部27及び取付板部20の両方に接触している。
【0042】
この構成によれば、補強部21が板金によって形成されているため、補強部21の長辺方向における波状部34の長さ、厚さ方向における波状部34の幅、及び長辺方向における波状部34のピッチを容易に変更することができる。このため、補強部21の強度を容易に調整することができる。すなわち、補強部21の必要強度を容易に確保できる。
【0043】
(4)スタックマニホールド15において、補強部21は、長辺方向の両端部が側壁部25の内面に接触している。
この構成によれば、補強部21の波状部34に対して厚さ方向から圧縮力が作用した場合に、補強部21の波状部34が撓んで長辺方向に伸びることが側壁部25によって抑制される。このため、補強部21の剛性を高めることができる。
【0044】
(5)スタックマニホールド15において、主壁部27における波状部34との接触部分には、樹脂部23が存在しない非樹脂部35(孔部)が形成されている。
この構成によれば、波状部34が主壁部27におけるプレート部22に直接接触するため、主壁部27が波状部34から押圧された場合に、波状部34からの押圧力を樹脂部23ではなくプレート部22で受けることができる。このため、主壁部27が波状部34からの押圧力を受けても当該押圧力によって樹脂部23が破損することを抑制できる。また、波状部34が非樹脂部35に入り込むため、樹脂部23による補強部21の位置決め効果を得られることが期待できる。
【0045】
(変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
・非樹脂部35は省略してもよい。
・補強部21は、必ずしも長辺方向の両端部が側壁部25の内面に接触している必要はない。
【0047】
・補強部21は、必ずしも板金によって形成される必要はない。すなわち、補強部21は、例えば、筒状の部材あるいは柱状の部材などによって構成するようにしてもよい。
・補強部21は、必要な強度が確保可能であれば、例えば合成樹脂によって構成するようにしてもよい。
【0048】
・補強部21において、波状部34を省略してもよい。
・補強部21において、波状部34は、必ずしも主壁部27及び取付板部20の両方に接触している必要はない。すなわち、例えば、主壁部27及び取付板部20のうちの一方に補強部21における波状部34を接触させ、他方に補強部21における波状部34以外の部分を接触させるようにしてもよい。
【0049】
・補強部21における波状部34以外の部分を取付板部20に重ね合わせて、カラー41の一端部を補強部21における波状部34以外の部分と共に取付板部20に対してかしめ又は溶接によって取り付けるようにしてもよい。
【0050】
・補強部21における波状部34以外の部分をプレート部22の底壁部24に重ね合わせて、カラー41の一端部を補強部21における波状部34以外の部分と共に底壁部24に対してかしめ又は溶接によって取り付けるようにしてもよい。
【0051】
・本体部19における側壁部25を省略し、側壁部25の代わりに取付板部20に側壁部25と同様の側壁部(図示略)を設けるようにしてもよい。
・取付板部20に側壁部25と同様の側壁部(図示略)を設け、当該側壁部(図示略)と本体部19の側壁部25との先端面同士を接合するようにしてもよい。この場合、取付板部20の側壁部(図示略)の高さ分だけ本体部19の側壁部25の高さを低くしてもよい。
【0052】
・取付板部20は、必ずしも側壁部25の先端面及び側壁部25の内側の開口部18全体を覆う必要はない。すなわち、取付板部20は、側壁部25の先端面の一部及び側壁部25の内側の開口部18の一部を覆うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
11…燃料電池
12…ケース
13…セルスタック
14…セル
15…スタックマニホールド
16…エンドプレート
17…ボルト
18…開口部
19…本体部
20…取付板部
21…補強部
22…プレート部
23…樹脂部
24…底壁部
25…側壁部
26…貫通孔
27…主壁部
28…第1挿通孔
29…取付孔
30…ナット
31…補機
32…ねじ
33…第2挿通孔
34…波状部
35…非樹脂部
36…孔
37…パイプ部
38…配管
39…第1ボルト孔
40…第2ボルト孔
41…カラー
42…カラー挿通孔
43…切欠部
44…金型
45…可動型
46…ゲート
47…固定型
48…キャビティ