(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】マーキング用治具
(51)【国際特許分類】
B25H 7/04 20060101AFI20241126BHJP
F16L 1/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B25H7/04 A
F16L1/00 X
(21)【出願番号】P 2021085324
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】岸 佑樹
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-179472(JP,A)
【文献】特開2011-208668(JP,A)
【文献】特開2017-219149(JP,A)
【文献】特開2010-043707(JP,A)
【文献】特開2017-101814(JP,A)
【文献】特開2007-040404(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0008965(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105189064(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25H7/04
F16L1/00
F16L11/11
F16L33/24
F16L33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管と前記管の外周を被覆しかつ軸線方向へ伸縮可能な被覆材とを有する複合管において前記管の先端から所定長さ離間した位置をマーキングするために用いられるマーキング用治具であって、
管の先端が挿入される筒状部と、
前記筒状部内に設けられ、前記管の先端の挿入位置を当接規定する当接部と、
前記当接部から前記所定長さ離間した位置に設けられ、前記筒状部を貫通するマーキング孔と、
前記筒状部において前記管の先端が挿入される側の端部の外面に設けられた鍔部とを備え、
前記筒状部に前記管の先端が挿入される際に、前記鍔部が前記被覆材の端面に当接することで、前記被覆材を押さえるマーキング用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、水道配管、温水配管、床暖房、ロードヒーティング等を構成する管を継手等に接続する作業において使用されるマーキング用治具に関するものである。より詳しくは、前記作業において、管の接続不良を防止する目的で、管の先端から所定長さ離間した位置を正確に計測してマーキングすることによって、継手内に挿入されるべき管の長さを容易に把握することができるように構成されたマーキング用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パイプ挿入孔を備えるマーキング用治具が開示されている。パイプ挿入孔の内奥部には、パイプの先端が当接される当接部を備えている。当接部をパイプ挿入孔の開口端から所定長さ離間した位置に設けているため、パイプの先端が当接部に当接された状態でパイプ挿入孔の開口端の位置にマーキングすることで、継手内に挿入されるべきパイプの長さを容易に把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水道配管等を構成する管には、管の保護や保温のために管の外周を樹脂製の被覆材で覆った複合管がある。このような複合管では、被覆材を手で押さえて軸線方向に縮め、管の先端を露出させた状態で管にマーキングする。特許文献1のマーキング用治具は、パイプ挿入孔の開口端の位置にマーキングするものである。よって、パイプ挿入孔の開口端と被覆材の端面との間において管が露出するように被覆材を手で押さえた状態でマーキングする。
【0005】
しかし、被覆材を手で押さえる作業と管に対してマーキング用治具を保持する作業とマーキングする作業とを同時に行わなければならないため、作業が煩雑で難しい。
本発明の目的は、被覆材を有する複合管に対してもマーキング作業が容易なマーキング用治具を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1の発明は、管と前記管の外周を被覆しかつ軸線方向へ伸縮可能な被覆材とを有する複合管において前記管の先端から所定長さ離間した位置をマーキングするために用いられるマーキング用治具であって、管の先端が挿入される筒状部と、前記筒状部内に設けられ、前記管の先端の挿入位置を当接規定する当接部と、前記当接部から前記所定長さ離間した位置に設けられ、前記筒状部を貫通するマーキング溝と、前記筒状部において前記管の先端が挿入される側の端部の外面に設けられた鍔部とを備え、前記筒状部に前記管の先端が挿入される際に、前記鍔部が前記被覆材の端面に当接することで、前記被覆材を押さえる。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、筒状部に管の先端が挿入される際に、鍔部が被覆材を押さえるため、筒状部を貫通するマーキング溝の位置では管が露出する。したがって、手で被覆材を押さえなくても、マーキング用治具により管の先端を被覆材から露出でき、被覆材を有する複合管に対してもマーキング作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図8】マーキング用治具の使用方法を説明するための図。
【
図11】管が挿入されたワンタッチ継手を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、当該マーキング用治具について詳細に説明する前に、当該マーキング用治具を用いてマーキングが施された樹脂管及び当該樹脂管が接続されたワンタッチ継手について説明する。
【0010】
図11に示すように、複合管29は、例えば給水・給湯用配管に用いられるものであって、樹脂管22と樹脂管22の外周を被覆する被覆材23とを有する。樹脂管22は架橋ポリエチレンやポリブテン等の合成樹脂材料からなっている。被覆材23はポリエチレン等の合成樹脂材料からなっているとともに、大径部と小径部とが軸線方向(
図11の左右方向)において交互に設けられた蛇腹状をなしており、軸線方向への伸縮が可能となっている。ワンタッチ継手20に樹脂管22を挿入するため、被覆材23を軸線方向に縮めることで、樹脂管22の先端が被覆材から露出されている。
【0011】
樹脂管22の外周面において、樹脂管22の先端28から、軸線方向(
図11の左右方向)に所定距離だけ離れた位置には、十字状をなすマーク16が、マーカーによって描かれている。マーク16は、樹脂管22の周方向に延びる周方向線14と、樹脂管22の軸線方向に延びる軸方向線15とを有している。作業者は、マーク16の周方向線14を目印として作業を行うことで、樹脂管22をワンタッチ継手20に対して適切な深さで挿入し接続することができる。
【0012】
ここで、樹脂管22のサイズ(呼び径)は、「13A(外径17mm,内径12.8mm)」である。本実施形態では、樹脂管22以外にも、呼び径が「16A(外径21.5mm,内径16.2mm)」の樹脂管24が用いられている。複合管30は樹脂管24と樹脂管24の外周を被覆する被覆材25とを有する。
【0013】
樹脂管22、24は、相互にサイズが異なるのみで、その他の構成は同様であり、特に区別して説明する必要が無い場合には樹脂管22についてのみ説明して、繰り返しの説明を省略する。また、ワンタッチ継手20は、各サイズの樹脂管22、24に対して個別に対応したサイズのものがそれぞれ別個に存在することは言うまでもない。
【0014】
樹脂管22の先端28には、インコア60が挿入されている。インコア60は、円筒状をなす筒部61と、筒部61の一端に筒部61に対して直交するように外方へ延びる円環状の鍔部62とを有している。インコア60は、真鍮や青銅等の金属材料からなっている。筒部61の他端の外周面には、先端に向かうにしたがい縮径するテーパ面63が形成され、このテーパ面63によって、インコア60を樹脂管22へ容易に挿入することができる。
【0015】
ワンタッチ継手20は、略円筒状の本体31と押し輪41とを有している。本体31及び押し輪41は、それぞれ真鍮や青銅等の金属材料からなっている。本体31の一端の外周面には、雄ねじ部32が形成され、図示しない水道管等の管体に螺合可能となっている。本体31の他端の外周面には、雌ねじ部36が形成されており、押し輪41の雄ねじ部42が螺入されている。押し輪41には挿入孔43が形成されている。樹脂管22は、挿入孔43を介してワンタッチ継手20へと挿入される。
【0016】
本体31の内周面には、本体31の軸線と直交する平面上に、当該軸線を中心とした円環状の当接面33が形成されている。ワンタッチ継手20に挿入された樹脂管22は、当接面33に対してインコア60の鍔部62の先端面が当接することで、先端28のワンタッチ継手20への挿入位置が当接規定されている。この状態では、マーク16の周方向線14と押し輪41の挿入孔43の開口端面とが、軸線方向においてほぼ同じ位置となる。このことを目視で確認することにより、作業者は、樹脂管22がワンタッチ継手20に対して適切な深さで挿入されていると判断する。
【0017】
本体31の内周面には、環状溝34,35が形成されている。環状溝34,35には、断面円形状のシールリング51,52がそれぞれ収容されている。ワンタッチ継手20に挿入された樹脂管22は、シールリング51,52によって、外周面の環状領域が押圧される。したがって、シールリング51,52によって、本体31の内周面と樹脂管22の外周面との間がシールされ、ワンタッチ継手20の内部におけるシール性が確保されている。
【0018】
本体31と押し輪41との間には、ロックリング53,55が配置されている。ワンタッチ継手20に挿入された樹脂管22は、外周面に対してロックリング53,55が食い込むことで、ワンタッチ継手20からの抜け止めがなされている。
【0019】
次に、本実施形態のマーキング用治具について説明する。
図1~
図3に示すように、マーキング用治具1は、樹脂管22に対してマーク16を描くために用いられる第1筒状部101と、樹脂管24に対してマーク16を描くために用いられる第2筒状部102とが、ポリプロピレン等の合成樹脂材料によって一体成形されている。
【0020】
複数(本実施形態においては2つ)のサイズの樹脂管22、24に対応すべく、第1、第2筒状部101、102を一体化することで、例えばサイズ毎に別体とされた小さなマーキング用治具を複数持ち運ぶような面倒や紛失のおそれがない。
【0021】
第1、第2筒状部101、102は、それぞれ有底円筒状をなしている。第1、第2筒状部101、102は、対応する樹脂管22、24の外径に応じて、内径が設定されている。当該内径の相違に応じて、第1、第2筒状部101、102の外径も相違するように設定されている。
【0022】
図1~
図5に示すように、第1筒状部101と第1筒状部101よりも外径が大きい第2筒状部102とは、軸線が互いに平行となるように並列に配置されている。第1筒状部101と第2筒状部102との軸線間の距離は、第1筒状部101の半径と第2筒状部102の半径との和よりも小さい。第1筒状部101の内部空間と第2筒状部102の内部空間とは、一部が重なり合うとともに連通されている。第1筒状部101と第2筒状部102とを、内部空間の一部を共有するように形成することで、複数のサイズに対応するものであっても高さ方向(
図2の上下方向)の長さを短くでき、マーキング用治具1は携帯性や作業性に優れたものとなっている。
【0023】
図2に示すように、第1筒状部101の中心軸Lは、第2筒状部102の内部空間の外部に位置している。正面視で、第1筒状部101と第2筒状部102との連通部分の幅は、樹脂管22の外径よりも狭くなっている。したがって、第1筒状部101に挿入された樹脂管22が第2筒状部102の側にずれてしまうことを防止でき、樹脂管22にマーキング用治具1を安定して取り付けられる。
【0024】
図4及び
図5に示すように第1筒状部101の外底面には、ストラップ取付部13が軸方向に突設されている。ストラップ取付部13には、ストラップホール13aが径方向(
図4の紙面表裏方向)に貫通形成されている。したがって、ストラップホール13aにストラップ(図示しない)を取り付けるとともに、ストラップを例えば作業者のズボンのベルトホール(図示しない)に対して連結することで、マーキング用治具1の持ち運びがさらに便利となる。
【0025】
図1に示すように、第1、第2筒状部101、102の外周面には、表示部9が設けられている。表示部9には、対応する樹脂管24のサイズ(「16A」)と、マーキング位置(マーキング孔11)を示す矢印及び「マーク」、「位置」なる文字と、確認窓5を示す「カクニンマド」なる文字とが表示されている。なお、第1筒状部101の表示部9には、対応する樹脂管22のサイズ(「13A」)とマーキング位置を示す矢印が表示されており、マーキング位置を示す文字及び確認窓5を示す文字等は表示されていない。
【0026】
次に、マーキング用治具1のマーキング機能及び斜め切断判別機能について詳細に説明する。なお、第1、第2筒状部101、102は、当該各機能について同様な構成を有しているため、特に区別して説明する必要が無い場合には、呼び径が「16A」の樹脂管24に対応する第2筒状部102についてのみ説明して、繰り返しの説明を省略する。
【0027】
図2及び
図9に示すように、第2筒状部102の内底面には、当接部3が設定されている。当接部3には、第2筒状部102に挿入された樹脂管24の先端28が当接される。当該当接により、第2筒状部102に対する樹脂管24の先端28の挿入位置が規定される。
【0028】
第2筒状部102の内周面には、周方向に等間隔で複数(本実施形態においては4つ)の凸部10が形成されている。凸部10は、樹脂管24の外周面に対して適度な締め代を付与することで、第2筒状部102に対する樹脂管24の挿入のし易さと、樹脂管24を第2筒状部102から容易に抜け出させないこととを両立している。なお、第1筒状部101の4つの凸部10のうちの2つは、第1筒状部101と第2筒状部102との境界部分に配置されている。当該2つの凸部10により、第1筒状部101に挿入された樹脂管22が第2筒状部102の側にずれてしまうことが防止できる。
【0029】
図6に示すように、第2筒状部102には、平面視で矩形状をなす確認窓5が設けられている。確認窓5は、第2筒状部102の外面で開口されているとともに、第2筒状部102の内空間まで貫通して形成されている。確認窓5は、当接部3を外部から容易に視認可能な位置に設けられている。したがって、作業者は、確認窓5を介することによって、第2筒状部102に挿入された樹脂管24について、その先端28と当接部3との当接の具合を容易に確認できる。
【0030】
図4~
図6に示すように、第2筒状部102には、第2筒状部102の径方向に貫通した十字状のマーキング孔11が形成されている。マーキング孔11は、第2筒状部102の開口端付近から軸線方向へ直線状に延びる軸方向溝17と、軸方向溝と直角に交わり周方向へ延びる周方向溝18とを有している。周方向溝18は、当接部3から所定距離(樹脂管24に対応するサイズのワンタッチ継手への挿入深さ)だけ離れた位置に設けられている。
図8に示すように、第2筒状部102に樹脂管24が挿入された状態では、樹脂管24の外周面の一部が、マーキング孔11を介して外部に露出される。
【0031】
マーキング用治具1を用いて樹脂管24にマーク16を施すには、樹脂管24を、マーキング用治具1においてサイズが対応する第2筒状部102へと挿入する。そして、樹脂管24の先端28が当接部3に当接された状態において、マーカーを周方向溝18に沿って周方向へと動かすことで、周方向線14を描く。また、マーカーを軸方向溝17に沿って軸方向へと動かすことで、軸方向線15を描く。
【0032】
前述したように、マーク16の周方向線14は、樹脂管24が(樹脂管24に対応するサイズの)ワンタッチ継手20に対して適切な深さで挿入接続されていることを作業者が確認するための目印である。それに対してマーク16の軸方向線15、さらに詳述すれば軸方向線15においてワンタッチ継手20内に入り込む部分は、作業者がマーキング用治具1を使用せずに樹脂管24とワンタッチ継手20との接続作業を行っていないかを、後で監督者がチェックするためのものである。
【0033】
すなわち、マーク16が周方向線14のみである場合、作業者がマーキング用治具1を使用せずに、換言すれば周方向線14を描くことなく、樹脂管24とワンタッチ継手20とを感覚のみに頼って接続し、当該接続作業の後に周方向線14を便宜的に描いて監督者を欺く手抜き作業が考えられる。しかし、樹脂管24の外周面において軸方向線15が描かれる部分は、当該接続作業の後には隠れてしまうため、軸方向線15は、周方向線14とは異なり、当該接続作業の前に描かざるを得ない。
【0034】
つまり、監督者は、樹脂管24が挿入接続された状態にあるワンタッチ継手20の挿入孔43付近の狭い隙間を介して、奥方に微かに見える軸方向線15の存在により、軸方向線15を描く作業が当該接続作業の前に行われたことを確信するとともに、取り決め通りにマーキング用治具1を用いて周方向線14が描かれたであろうことを推定する。
【0035】
さて、
図6に示すように、第2筒状部102には、基準目印7が設けられている。基準目印7は、確認窓5を介して視認できる樹脂管24の先端28について、斜め切断が過大であるのか否かを、先端28の端面の外周縁との相対的な位置関係で判別するためのものである。基準目印7は、確認窓5の内面において周方向(
図6の左右方向)の前後に位置する両壁面に、それぞれ軸線方向(
図6の上下方向)への段差を形成することで設けられている。
【0036】
したがって、樹脂管24の先端28と当接部3とが当接された状態において、確認窓5を介して当該当接部分を確認することで、先端28の端面の外周縁と基準目印7との相対的な位置関係によって、樹脂管24の先端28の斜め切断が過大であるのか否かを判別することができる。
【0037】
図1~
図3に示すように、マーキング用治具1において開口端側の端部の外周面には環状の鍔部8が設けられている。鍔部8は、複合管30に対してマーキング用治具1を取り付ける際、被覆材25を押さえて樹脂管24の先端28を露出させるためのものである。鍔部8は、第1、第2筒状部101、102に対して直交するように外方へ延びている。
図9に示すように、鍔部8において第2筒状部102に対応する部分は、マーキング用治具1が取り付けられる複合管30の被覆材25の外径よりも外方まで延びている。第2筒状部102において鍔部8に対応する部分の内径は被覆材25の外径よりも小さい。
【0038】
呼び径が「16A」の樹脂管24を有する複合管30に対してマーキング用治具1を取り付けるには、被覆材25の端面とマーキング用治具1の鍔部8を当接させた状態で、樹脂管24の先端28を第2筒状部102に挿入する。
図8及び
図9に示すように、被覆材25の端面が鍔部8に当接していることで、樹脂管24の挿入にともなって被覆材25が軸線方向へ縮められ、樹脂管24において第2筒状部102の内部に配置された部分は被覆材25から露出された状態となる。したがって、被覆材25を手で押さえる手間なく、樹脂管24の外周面においてマーキング孔11の位置に対応する部分を露出できる。なお、呼び径が「13A」の樹脂管22を有する複合管29に対してマーキング用治具を取り付けるには、同様にして樹脂管22の先端28を第1筒状部101に挿入する。
【0039】
鍔部8は、複合管30の被覆材25の外方まで延びているため、被覆材25の端面を押さえる際、鍔部8が被覆材25の内部に入り込むことを防止できる。また、第2筒状部102において鍔部8に対応する部分の内径は被覆材25の外径よりも小さいため、第2筒状部102の内部に被覆材25が入り込むことを防止できる。したがって、被覆材25の端面を、第1筒状部101側を除いて全体的に押圧でき、被覆材25を安定して軸線方向へ縮められる。
【0040】
鍔部8により被覆材25を軸線方向へ縮めると、マーキング用治具1は被覆材25の弾性復元力により樹脂管24から抜け出す方向へ押圧される。ここで、第2筒状部102の内周面の凸部10は樹脂管24の外周面に対して適度な締め代を付与しているため、マーキング用治具1が樹脂管24から抜け出すことを抑制できる。したがって、マーキング用治具1を複合管30に対して手で保持しておく必要がない。
【0041】
図2に示すように、鍔部8の外周面には、凹部12が形成されている。第2筒状部102の底面には、貫通孔19が形成されている。なお、第1筒状部の底面には、貫通孔19は形成されていない。
【0042】
第2筒状部102の内部には、貫通孔19を挿通させるようにしてマーカーの一部を収容可能である。当該収容状態において、マーカーのクリップ部を凹部12を介して鍔部8に引っ掛けることで、マーカーがマーキング用治具1に安定して保持できるとともに、マーカーがマーキング用治具1から脱落し難くなっている。このように、マーキング用治具1は、マーカーと一体的に取り扱うことができ、持ち運びや収納に便利である。
【0043】
図6及び
図7に示すように、凹部12は、鍔部8の外周面においてマーキング孔11の軸方向溝17に対応する位置に設けられている。これにより、軸方向溝17の鍔部8側の端部において軸方向線15を描く際、マーカーが鍔部8と干渉することを抑制でき、軸方向溝17の端部までマーカーの先端を差し込むことができる。
【0044】
図4及び
図6に示すように、マーキング孔11は、第2筒状部102の外周面とマーキング孔11の内周面とがなす角部11aが面取りされている。したがって、マーキング孔11にマーカーを沿わせてマーク16を施す際、マーカーと第2筒状部102との干渉を抑制でき、マーカーの先端をマーキング孔11に差し入れやすい。
【0045】
<変形例>
なお、本発明は、例えば次の態様でも実施可能である。
○筒状部を一つとし、1つのサイズの複合管専用とすること。
【0046】
○第1筒状部101と第2筒状部102とを、それぞれの開口端が互いに反対側を向くように配置すること。この場合、樹脂管22の先端を挿入する位置と樹脂管24の先端を挿入する位置とが離れているため、樹脂管22を第1筒状部101に挿入する際、樹脂管22の先端がずれて対応サイズの異なる第2筒状部102に挿入されてしまうことを防止できる。
【0047】
○その他の複合管としては、発泡した保温材で被覆したものが挙げられる。
【符号の説明】
【0048】
1…マーキング用治具、3…当接部、8…鍔部、11…マーキング孔、22,24…管としての樹脂管、23,25…被覆材、29,30…複合管、101…第1筒状部、102…第2筒状部。