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特許7593229方向転換検出装置、車両、方向転換検出方法及びプログラム
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  • 特許-方向転換検出装置、車両、方向転換検出方法及びプログラム 図1
  • 特許-方向転換検出装置、車両、方向転換検出方法及びプログラム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】方向転換検出装置、車両、方向転換検出方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241126BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/09 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021085567
(22)【出願日】2021-05-20
(65)【公開番号】P2022178625
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 功
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-085813(JP,A)
【文献】特開2012-022391(JP,A)
【文献】特開2019-139401(JP,A)
【文献】特開2005-122274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
車両の特定方向への方向転換に係るイベントが発生した場合における、前記車両の転舵角及び前記イベントの発生時からのヨー角速度を積算して前記車両のヨー角度を取得し、
前記イベントの間の走行距離が第一閾値以上であるか否かを検出し、前記第一閾値未満であった場合、前記イベントは前記特定方向への方向転換又は前記車両の転回ではないと判断し、
前記走行距離が前記第一閾値以上であった場合、前記転舵角の最大値が第二閾値以下であり、且つ前記ヨー角度が第三閾値以下である場合を条件に前記車両の前記特定方向への方向転換を検出し、
前記走行距離が前記第一閾値以上であった場合、前記転舵角の最大値が前記第二閾値を超え、かつ前記ヨー角度が前記第三閾値を超える場合を条件に前記車両の転回を検出する
方向転換検出装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記イベントの時間が所定時間に満たない場合を転回の検出条件から除外する
請求項1に記載の方向転換検出装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
転回を検出した場合、当該転回に係る情報を前記車両の外部に提供する
請求項1又は2に記載の方向転換検出装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の方向転換検出装置と、
ステアリングの操舵角又は前記車両の操舵輪の舵角を検知する第一検知部と、
前記車両のヨーレートを検知する第二検知部と、
を備える車両。
【請求項5】
車両の特定方向への方向転換に係るイベントが発生した場合における、前記車両の転舵角及び前記イベントの発生時からのヨー角速度を積算して前記車両のヨー角度を取得し、
前記イベントの間の走行距離が第一閾値以上であるか否かを検出し、前記第一閾値未満であった場合、前記イベントは前記特定方向への方向転換又は前記車両の転回ではないと判断し、
前記走行距離が前記第一閾値以上であった場合、前記転舵角の最大値が第二閾値以下であり、且つ前記ヨー角度が第三閾値以下である場合を条件に前記車両の前記特定方向への方向転換を検出し、
前記走行距離が前記第一閾値以上であった場合、前記転舵角の最大値が前記第二閾値を超え、かつ前記ヨー角度が前記第三閾値を超える場合を条件に前記車両の転回を検出する
処理をコンピュータが実行する方向転換検出方法。
【請求項6】
車両の特定方向への方向転換に係るイベントが発生した場合における、前記車両の転舵角及び前記イベントの発生時からのヨー角速度を積算して前記車両のヨー角度を取得し、
前記イベントの間の走行距離が第一閾値以上であるか否かを検出し、前記第一閾値未満であった場合、前記イベントは前記特定方向への方向転換又は前記車両の転回ではないと判断し、
前記走行距離が前記第一閾値以上であった場合、前記転舵角の最大値が第二閾値以下であり、且つ前記ヨー角度が第三閾値以下である場合を条件に前記車両の前記特定方向への方向転換を検出し、
前記走行距離が前記第一閾値以上であった場合、前記転舵角の最大値が前記第二閾値を超え、かつ前記ヨー角度が前記第三閾値を超える場合を条件に前記車両の転回を検出する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の転回を検出する方向転換検出装置、車両、方向転換検出方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、確実にUターンを検出することを目的とする車両のUターン検出装置およびUターン検出方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-300169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の検出装置は車両右折時における道路上の所定特徴物を車載のカメラで捕捉して記憶し、車両が右旋回を完了したか監視するように構成されている。そのため、Uターンである転回の検出に際しては、カメラの撮像画像を処理する必要があり、処理に係るリソースの消費、及び処理の遅延の観点から改善の余地がある。
【0005】
本発明は、処理負荷の軽減及び処理の遅延の抑制を図りながら車両の転回を検出する方向転換検出装置、車両、方向転換検出方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の方向転換検出装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、車両の特定方向への方向転換に係るイベントが発生した場合における、前記車両の転舵角及び前記イベントの発生時からの前記車両のヨー角度を取得し、前記転舵角の最大値が第一閾値を超え、かつ前記ヨー角度が第二閾値を超える場合を条件に前記車両の転回を検出する。
【0007】
請求項1に記載の方向転換検出装置は、特定方向への方向転換に係るイベントが発生した場合に、転舵角の最大値が第一閾値を超え、かつヨー角度が第二閾値を超える場合をUターンである転回の検出条件とする。これにより、当該方向転換検出装置によれば、画像により転回を検出する場合に比べて、処理負荷の軽減及び処理の遅延の抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の方向転換検出装置は、請求項1に記載の方向転換検出装置であって、前記プロセッサは、前記イベントの時間が所定時間に満たない場合を転回の検出条件から除外する。
【0009】
請求項2に記載の方向転換検出装置によれば、短時間の方向転換を検出条件から除外することで、処理負荷の軽減及び処理の遅延の抑制をさらに図ることができる。
【0010】
請求項3に記載の方向転換検出装置は、請求項1又は2に記載の方向転換検出装置であって、前記プロセッサは、転回を検出した場合、当該転回に係る情報を前記車両の外部に提供する。
【0011】
請求項3に記載の方向転換検出装置によれば、転回に係る情報を基に事故のリスクが高い車両の情報を提供することができる。
【0012】
請求項4に記載の車両は、請求項1~3の何れか1項に記載の方向転換検出装置と、ステアリングの操舵角又は前記車両の操舵輪の舵角を検知する第一検知部と、前記車両のヨーレートを検知する第二検知部と、を備えている。
【0013】
請求項4に記載の車両によれば、画像により転回を検出する場合に比べて、処理負荷の軽減及び処理の遅延の抑制することができる。
【0014】
請求項5に記載の方向転換検出方法は、車両の特定方向への方向転換に係るイベントが発生した場合における、前記車両の転舵角及び前記イベントの発生時からの前記車両のヨー角度を取得し、前記転舵角の最大値が第一閾値を超え、かつ前記ヨー角度が第二閾値を超える場合を条件に前記車両の転回を検出する処理をコンピュータが実行する。
【0015】
請求項5に記載の方向転換検出方法では、コンピュータが特定方向への方向転換に係るイベントが発生した場合に、転舵角の最大値が第一閾値を超え、かつヨー角度が第二閾値を超える場合をUターンである転回の検出条件とする処理を実行する。これにより、当該方向転換検出方法によれば、画像により転回を検出する場合に比べて、処理負荷の軽減及び処理の遅延の抑制することができる。
【0016】
請求項6に記載のプログラムは、車両の特定方向への方向転換に係るイベントが発生した場合における、前記車両の転舵角及び前記イベントの発生時からの前記車両のヨー角度を取得し、前記転舵角の最大値が第一閾値を超え、かつ前記ヨー角度が第二閾値を超える場合を条件に前記車両の転回を検出する処理をコンピュータに実行させる。
【0017】
請求項6に記載のプログラムでは、コンピュータが特定方向への方向転換に係るイベントが発生した場合に、転舵角の最大値が第一閾値を超え、かつヨー角度が第二閾値を超える場合をUターンである転回の検出条件とする処理を実行する。これにより、当該プログラムによれば、画像により転回を検出する場合に比べて、処理負荷の軽減及び処理の遅延の抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、処理負荷の軽減及び処理の遅延の抑制を図りながら車両の転回を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る車両管理システムの概略構成を示す図である。
図2】実施形態の車両のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】実施形態の車載器の機能構成を示すブロック図である。
図4】実施形態の車載器において実行される検出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の方向転換検出装置を含む車両管理システムについて説明する。車両管理システムは、タクシー及びトラック等の運送車両の管理を行うシステムである。当該車両管理システムは、運送車両の右折に係る右折情報、及び、Uターンと称される転回に係る転回情報を取得して、事故のリスクの高い運送車両の運転状況を解析する。なお、本明細書では、左側通行の道路における車両が走行する場合の運転状況の解析を想定している。つまり「右折」とは、対向車線を跨いだ方向転換を意味する。本実施形態における右折は、特定方向への方向転換に相当する。
【0021】
(全体構成)
図1に示されるように、実施形態の車両管理システム10は、車両12と、センタサーバ30と、を含んで構成されている。また、車両12には方向転換検出装置としての車載器20が搭載されている。車載器20とセンタサーバ30とは、ネットワークNを通じて相互に接続されている。
【0022】
センタサーバ30は、車両12の車載器20から右折情報及び転回情報を取得し、車両12の運転状況を解析する。センタサーバ30は、例えば、運送車両である車両12を管理する運送会社に設置されている。
【0023】
(車両)
図2に示されるように、本実施形態に係る車両12は、車載器20と、複数のECU(Electronic Control Unit)22と、複数の車載機器24と、を含んで構成されている。
【0024】
車載器20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、車内通信I/F(Interface)20D、及び無線通信I/F20Eを含んで構成されている。CPU20A、ROM20B、RAM20C、車内通信I/F20D、及び無線通信I/F20Eは、内部バス20Gを介して相互に通信可能に接続されている。
【0025】
CPU20Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20Aは、ROM20Bからプログラムを読み出し、RAM20Cを作業領域としてプログラムを実行する。
【0026】
ROM20Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。本実施形態のROM20Bには、後述する検出処理を実行するための処理プログラム100が記憶されている。
RAM20Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0027】
車内通信I/F20Dは、ECU22と接続するためのインタフェースである。当該インタフェースは、CANプロトコルによる通信規格が用いられている。車内通信I/F20Dは、外部バス20Hに対して接続されている。
【0028】
無線通信I/F20Eは、センタサーバ30と通信するための無線通信モジュールである。当該無線通信モジュールは、例えば、5G、LTE、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられている。無線通信I/F20Eは、ネットワークNに対して接続されている。
【0029】
ECU22は、ADAS(Advanced Driver Assistance System)-ECU22A、ステアリングECU22B、ボデーECU22C及び情報系ECU22Dを含む。
【0030】
ADAS-ECU22Aは、先進運転支援システムを統括制御する。ADAS-ECU22Aには、車載機器24を構成する車速センサ25及びヨーレートセンサ26が接続されている。ヨーレートセンサ26は第二検知部の一例である。
【0031】
ステアリングECU22Bは、パワーステアリングを制御する。ステアリングECU22Bには、車載機器24を構成する舵角センサ27が接続されている。舵角センサ27はステアリングの舵角を検出するセンサである。舵角センサ27は第一検知部の一例である。
【0032】
ボデーECU22Cは、ウインカー等のライト類を制御する。ボデーECU22Cには、車載機器24を構成するウインカースイッチ28が接続されている。
【0033】
情報系ECU22Dは、カーナビゲーションシステム、及びオーディオ等を制御する。情報系ECU22Dには、車載機器24を構成するGPS装置29が接続されている。GPS装置29は車両12の現在位置を測定する装置である。GPS装置29は、GPS衛星からの信号を受信する図示しないアンテナを含んでいる。なお、GPS装置29は、車載器20に対して直接接続されていてもよい。
【0034】
図3に示されるように、本実施形態の車載器20では、CPU20Aが処理プログラム100を実行することで、受付部200、算出部210、検出部220及び通知部230として機能する。
【0035】
受付部200は、各ECU22から各車載機器24の情報を受け付ける。具体的に、受付部200は、ADAS-ECU22Aを介して車両12の車速、走行距離及びヨー角速度の情報を受け付ける。また、受付部200は、ステアリングECU22Bを介して、ステアリングの舵角の情報を受け付ける。また、受付部200は、ボデーECU22Cを介して、ウインカーの状態の情報を受け付ける。さらに、受付部200は、情報系ECU22Dを介して車両12の位置情報を受け付ける。
【0036】
算出部210は、受付部200において受け付けられた車両12のヨー角速度を積算してヨー角度を算出する。また、算出部210は、受付部200において受け付けられたステアリングの操舵角に基づいて操舵輪の転舵角を算出する。さらに、算出部210は、右折イベントが発生した場合の経過時間を算出する。ここで、右折イベントとは、車両12が右折を行う際の運転状況を解析するために実行されるイベントである。
【0037】
検出部220は、後述する検出処理により、車両12の右折及び転回をそれぞれ検出する機能を有している。
【0038】
通知部230は、検出部220が右折を検出した場合、センタサーバ30に右折情報を通知する。また、通知部230は、検出部220が転回を検出した場合、センタサーバ30に転回情報を通知する。
【0039】
(制御の流れ)
本実施形態の車載器20において実行される検出処理の流れについて、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0040】
図4のステップS100において、車載器20のCPU20Aは取得・算出処理を実行する。これにより、CPU20Aは車両12の車速、ウインカーの状態、走行距離、転舵角、及びヨー角度を取得する。
【0041】
ステップS101において、CPU20Aは車両12が走行中か否かを判定する。具体的に、CPU20Aはシフトセレクタが「Pレンジ」及び「Rレンジ」以外であって、かつ車速が0km/hより大きい場合に走行中であると判定する。CPU20Aは車両12が走行中であると判定した場合(ステップS101でYESの場合)、ステップS102に進む。一方、CPU20Aは車両12が走行中ではないと判定した場合(ステップS101でNOの場合)、ステップS100に戻る。
【0042】
ステップS102において、CPU20Aは右折イベントが発生したか否かを判定する。具体的に、CPU20Aは右方向の転舵角が所定の角度以上の場合であって、かつ右ウインカーが動作している場合に右折イベントが発生していると判定する。CPU20Aは右折イベントが発生していると判定した場合(ステップS102でYESの場合)、ステップS103に進む。一方、CPU20Aは右折イベントが発生していないと判定した場合(ステップS102でNOの場合)、ステップS100に戻る。
【0043】
ステップS103において、CPU20Aは右折イベントが発生してから所定時間以上か否かを判定する。CPU20Aは右折イベントが発生してから所定時間以上であると判定した場合(ステップS103でYESの場合)、ステップS104に進む。一方、CPU20Aは右折イベントが発生してから所定時間以上ではないと判定した場合(ステップS103でNOの場合)、ステップS100に戻る。ステップS103により、微小な進路変更、例えば車線変更が、右折及び転回の検出条件から除外される。
【0044】
ステップS104において、CPU20Aは右折イベント中の車両12の走行距離が第一設定値以上であるか否かを判定する。CPU20Aは右折イベント中の車両12の走行距離が予め設定された第一設定値以上であると判定した場合(ステップS104でYESの場合)、ステップS105に進む。一方、CPU20Aは右折イベント中の車両12の走行距離が予め設定された第一設定値以上ではないと判定した場合(ステップS104でNOの場合)、ステップS100に戻る。ステップS104により、車線変更及び生活道路等における右折イベントが、右折及び転回の検出条件から除外される。
【0045】
ステップS105において、CPU20Aは転舵角の最大値が第二設定値以下でかつヨー角度が第三設定値以下であるか否かを判定する。第二設定値は、第一閾値の一例であり、第三設定値は、第二閾値の一例である。CPU20Aは転舵角の最大値が第二設定値以下でかつヨー角度が第三設定値以下であると判定した場合(ステップS105でYESの場合)、ステップS106に進む。一方、CPU20Aは転舵角の最大値が第二設定値以下でかつヨー角度が第三設定値以下ではないと判定した場合(ステップS105でNOの場合)、ステップS107に進む。
【0046】
ステップS106において、CPU20Aは検出対象とされる右折を検出し、右折情報をセンタサーバ30に通知する。そして、ステップS100に戻る。
【0047】
ステップS107において、CPU20Aは転舵角の最大値が第二設定値を超えてかつヨー角度が第三設定値を超えているか否かを判定する。CPU20Aは転舵角の最大値が第二設定値を超えてかつヨー角度が第三設定値を超えていると判定した場合(ステップS107でYESの場合)、ステップS108に進む。一方、CPU20Aは転舵角の最大値が第二設定値を超えてかつヨー角度が第三設定値を超えてはいないと判定した場合(ステップS107でNOの場合)、ステップS100に戻る。
【0048】
ステップS108において、CPU20Aは検出対象とされる転回を検出し、転回情報をセンタサーバ30に通知する。そして、ステップS100に戻る。
【0049】
(まとめ)
本実施形態では左側通行の道路において、事故のリスクの高い右折を検出することを目的としている。本実施形態の車載器20は、車両12の右折開始を契機とする右折イベントが発生した場合に、各種条件を満たすことで右折又は転回を検出するように構成されている。
【0050】
ここで、本実施形態の車載器20は、右折イベントが発生してから所定時間に満たない場合を右折又は転回の検出条件から除外することで、車線変更に伴う微小の右折動作を右折として検出しない。つまり、車線変更を右折又は転回の判定から除外することができる。
【0051】
また、本実施形態の車載器20は、右折イベントが発生してからの車両12の走行距離が予め設定された第一設定値に満たない場合を右折の検出条件から除外することで、対向車線が存在しない生活道路における右折を検出しない。つまり、生活道路における右折を右折の判定から除外することができる。
【0052】
本実施形態の車載器20は、転舵角の最大値が予め設定された第二設定値以下であることに加え、ヨー角度が予め設定された第三設定値以下である場合に右折を検知するように構成した。また、本実施形態の車載器20は、転舵角の最大値が予め設定された第二設定値を超えた場合に加え、ヨー角度が予め設定された第三設定値を超えた場合に転回を検知するように構成した。
【0053】
本実施形態によれば、転舵角の最大値が第二設定値を超えた場合を右折の検出条件から除外することで、転回を右折の判定から除外することができる。そして、ヨー角度が予め設定された第三設定値を超えた場合を右折の検出条件から除外することで、右折ではなく転回と判定する精度を確保することができる。つまり、第三設定値を検出条件とするのは必須ではないが、転回の判定精度が向上する。
【0054】
また、従来技術として、車両に搭載されたカメラの画像を基に右折を判定する方法もあるが、本実施形態によれば、画像により右折又は転回を検出する場合に比べて、車載器20の処理負荷の軽減及び処理の遅延の抑制することができる。また、本実施形態によれば、検出処理において、車線変更及び生活道路における右折を、予め右折及び転回の検出条件から除外することで、車載器20の処理負荷の軽減及び処理の遅延の抑制をさらに図ることができる。
【0055】
さらに、本実施形態の車載器20によれば、右折を検出した場合に右折情報をセンタサーバ30に通知し、転回を検出した場合に転回情報をセンタサーバ30に通知することで、センタサーバ30は事故のリスクが高い情報を収集することができる。これにより、センタサーバ30から車両12の管理者に事故のリスクを提供することができ、管理者は右折又は転回の頻度の高い車両12の運転者に対して注意喚起を行うことができる。
【0056】
[備考]
上記実施形態では、右折又は転回を検出する条件として操舵輪の転舵角を用いたが、これに限らず、ステアリングのギア比が固定されている場合には、ステアリングの操舵角を検出条件に直接用いてもよい。また、上記実施形態の車載器20では、ステアリングの操舵角に基づいて転舵角を算出したが、これに限らず、車載器20は転舵角を検出するセンサにより転舵角を直接取得してもよい。この場合、転舵角を検出するセンサが第一検知部に相当する。
【0057】
上記実施形態では、車速センサ25に基づいて右折イベントが発生した後の車両12の走行距離を取得していたが、この限りではなく、GPS装置29に基づいて右折イベントが発生した後の車両12の走行距離を取得してもよい。
【0058】
上記実施形態では、車載器20において検出処理が実行されるように構成したが、センタサーバ30において検出処理を実行してもよい。この場合、センタサーバ30は、車載器20から車両12の車速、ウインカーの状態、走行距離、転舵角、及びヨー角度を取得することで、検出処理を行い右折又は転回を検出することができる。
【0059】
なお、上記実施形態でCPU20Aがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各種処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上述した検出処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0060】
また、上記実施形態において、各プログラムはコンピュータが読み取り可能な非一時的記録媒体に予め記憶(インストール)されている態様で説明した。例えば、車載器20における処理プログラム100はROM20Bに予め記憶されている。しかしこれに限らず、各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0061】
上記実施形態で説明した処理の流れは、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
12 車両
20 車載器(方向転換検出装置)
20A CPU(プロセッサ)
26 ヨーレートセンサ(第二検知部)
27 舵角センサ(第一検知部)
100 処理プログラム(プログラム)
図1
図2
図3
図4