(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】給気システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/72 20180101AFI20241126BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20241126BHJP
F24F 110/40 20180101ALN20241126BHJP
【FI】
F24F11/72
F24F7/06 B
F24F110:40
(21)【出願番号】P 2021088981
(22)【出願日】2021-05-27
【審査請求日】2024-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬杉 卓弥
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-009009(JP,A)
【文献】特開2013-113452(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0250722(US,A1)
【文献】特開2020-159649(JP,A)
【文献】特開2021-001721(JP,A)
【文献】特開2001-153441(JP,A)
【文献】特開2012-207889(JP,A)
【文献】特開2001-317772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/72
F24F 11/74
F24F 7/06
F24F 7/007
F24F 110/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象室の内部と外部との差圧を検知する差圧検知センサと、
前記対象室の内部に外部空気を供給する主給気ファンと、
前記差圧検知センサにより検知された差圧が予め決められた目標値に近接するよう、前記主給気ファンを所定の運転許容範囲の周波数で駆動させる制御部と
を備えた給気システムであって、
前記主給気ファンとは別個に少なくとも1つ設けられ、かつ前記対象室の内部に外部空気を供給する補助給気ファンを備え、
前記制御部は、前記主給気ファンのみを駆動させている状態において該主給気ファンが前記運転許容範囲の最大周波数で継続して駆動する時間が予め決められた第1基準時間以上となる場合には、前記補助給気ファンを駆動させる一方、前記主給気ファン及び前記補助給気ファンを駆動させている状態において前記主給気ファンが前記運転許容範囲の最小周波数で継続して駆動する時間が予め決められた第2基準時間以上となる場合には、前記補助給気ファンを駆動停止にさせることを特徴とする給気システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記主給気ファンのみを駆動させている状態において該主給気ファンが前記運転許容範囲の最大周波数で継続して駆動する時間が前記第1基準時間未満となる場合には、前記主給気ファンのみの駆動を継続させる一方、前記主給気ファン及び前記補助給気ファンを駆動させている状態において前記主給気ファンが前記運転許容範囲の最小周波数で継続して駆動する時間が前記第2基準時間未満となる場合には、前記主給気ファン及び前記補助給気ファンの駆動を継続させることを特徴とする請求項1に記載の給気システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記差圧検知センサにより検知された差圧が零に近接するよう、前記主給気ファンを駆動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の給気システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記補助給気ファンを駆動させる場合には、予め設定された周波数で駆動させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の給気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給気システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば店舗のような室には、給気システムが設けられている。給気システムは、給気ファンと差圧検知センサとを備えている。給気ファンは、店舗の内部に外部空気を供給するものである。差圧検知センサは、店舗の内部と外部との差圧を検知するものである。
【0003】
このような給気システムでは、差圧検知センサの検知結果により、店舗の内部の圧力が店舗の外部の圧力(大気圧)と同等になるよう、若しくは店舗の内部の圧力が店舗の外部の圧力(大気圧)よりも大きくなるよう、給気ファンを駆動させて、店舗の正圧化を図っている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した給気システムでは、差圧検知センサの検知結果により給気ファンを駆動させていたので、駆動対象となる給気ファン毎に差圧検知センサを必要としていた。そのため、室内面積が大きい大型店舗に給気システムを適用する際には、店舗内部に対する外部空気の供給量を十分に確保する観点から給気ファンを複数台設置する必要があり、これにより差圧検知センサも複数台設置することが必要とされていた。このように給気ファンだけでなく比較的高価な差圧検知センサも複数台設置するために、結果的に、製造コストの増大化を招来していた。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、比較的大型の対象室にも適用可能であり、かつ製造コストの増大化を抑制することができる給気システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る給気システムは、対象室の内部と外部との差圧を検知する差圧検知センサと、前記対象室の内部に外部空気を供給する主給気ファンと、前記差圧検知センサにより検知された差圧が予め決められた目標値に近接するよう、前記主給気ファンを所定の運転許容範囲の周波数で駆動させる制御部とを備えた給気システムであって、前記主給気ファンとは別個に少なくとも1つ設けられ、かつ前記対象室の内部に外部空気を供給する補助給気ファンを備え、前記制御部は、前記主給気ファンのみを駆動させている状態において該主給気ファンが前記運転許容範囲の最大周波数で継続して駆動する時間が予め決められた第1基準時間以上となる場合には、前記補助給気ファンを駆動させる一方、前記主給気ファン及び前記補助給気ファンを駆動させている状態において前記主給気ファンが前記運転許容範囲の最小周波数で継続して駆動する時間が予め決められた第2基準時間以上となる場合には、前記補助給気ファンを駆動停止にさせることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記給気システムにおいて、前記制御部は、前記主給気ファンのみを駆動させている状態において該主給気ファンが前記運転許容範囲の最大周波数で継続して駆動する時間が前記第1基準時間未満となる場合には、前記主給気ファンのみの駆動を継続させる一方、前記主給気ファン及び前記補助給気ファンを駆動させている状態において前記主給気ファンが前記運転許容範囲の最小周波数で継続して駆動する時間が前記第2基準時間未満となる場合には、前記主給気ファン及び前記補助給気ファンの駆動を継続させることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記給気システムにおいて、前記制御部は、前記差圧検知センサにより検知された差圧が零に近接するよう、前記主給気ファンを駆動させることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記給気システムにおいて、前記制御部は、前記補助給気ファンを駆動させる場合には、予め設定された周波数で駆動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、主給気ファンとは別個に少なくとも1つ設けられ、かつ対象室の内部に外部空気を供給する補助給気ファンを備え、差圧検知センサにより検知された差圧が予め決められた目標値に近接するよう、主給気ファンを所定の運転許容範囲の周波数で駆動させる制御部が、主給気ファンのみを駆動させている状態において主給気ファンが運転許容範囲の最大周波数で継続して駆動する時間が予め決められた第1基準時間以上となる場合には、補助給気ファンを駆動させる一方、主給気ファン及び補助給気ファンを駆動させている状態において主給気ファンが運転許容範囲の最小周波数で継続して駆動する時間が予め決められた第2基準時間以上となる場合には、補助給気ファンを駆動停止にさせるので、比較的高価な差圧検知センサを増大させずに主給気ファンを駆動させつつ補助給気ファンを必要に応じて駆動させることができ、これにより、比較的大型の対象室にも適用可能であり、かつ製造コストの増大化を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である給気システムを模式的に示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態である給気システムの特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した制御部が実施する補助給気ファン駆動制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る給気システムの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態である給気システムを模式的に示す模式図であり、
図2は、本発明の実施の形態である給気システムの特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。
【0015】
ここで例示する給気システムは、例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗1を対象室とするものである。かかる店舗1には、図には明示しない空調装置や出入口が設けられているとともに、排気装置10が設けられている。
【0016】
空調装置は、店舗1の内部(以下、店内ともいう)の空気(以下、内部空気ともいう)の温度・湿度や清浄度などを調節し、快適な状態に保つものであり、室内機を備えている。室内機は、店内の天井等に設置されており、店舗1の外部(以下、店外ともいう)に設置された室外機と冷媒管路を通じて接続されている。このような空調装置では、室内機と室外機との間で冷媒が、圧縮、凝縮、断熱膨張及び蒸発を繰り返しながら循環することにより、内部空気の温度等を調整している。
【0017】
出入口は、店舗1の外壁2の一部に設けられている。この出入口は、店舗1の顧客等が店内に出入りするためのものである。この店内には、食物の調理を行う調理領域や、例えばショーケース等の商品収納装置が設置されている。
【0018】
排気装置10は、複数(図示の例では5つ)設けられており、互いに離隔した個所において、排気流路11を備えている。排気流路11は、店内と店外とを連通する態様で屋根裏に設けられており、その途中に排気ファン12が配設されている。排気ファン12は、店舗1の換気や臭気等の排出を目的として店舗1に設置された操作部(図示せず)が操作されることにより、駆動するものである。このような排気装置10は、排気ファン12が駆動する場合に、排気流路11の導入口13より内部空気を導入し、排気流路11を通過させた後に店外に排出させるものである。
【0019】
尚、上記排気装置10は、店内と店外とを連通する排気流路11を備えるものとして説明したが、排気装置10は、店舗(対象室)1の外壁2に形成された排気孔に対し、換気扇と称される排気ファンを設置して構成されるものであってもよい。この場合、排気孔における店内を臨む開口が導入口となり、排気ファンの駆動により、導入口より内部空気を導入し、店外に排出することになる。
【0020】
給気システムは、差圧検知装置20、主給気装置30、補助給気装置40及び制御部50を備えて構成されている。差圧検知装置20は、差圧検知用ダクト21及び差圧検知センサ22を備えている。
【0021】
差圧検知用ダクト21は、店内と店外とを連通する態様で屋根裏に設置されている。この差圧検知用ダクト21は、一端の開口23が店内を臨み、他端の開口24が店外を臨んでいる。かかる差圧検知用ダクト21は、自身の軸方向に沿って空気を流通させるものである。
【0022】
差圧検知センサ22は、差圧検知用ダクト21の任意の個所に配設してあり、店内と店外との差圧を検知するものである。この差圧検知センサ22は、検知結果を差圧信号として制御部50に与えるものである。
【0023】
主給気装置30は、主給気流路31を備えている。主給気流路31は、店内と店外とを連通する態様で屋根裏に設けられており、一端が店外を臨んで第1外気導入口32が設けられており、途中で2つに分岐されてそれぞれの他端が店内を臨んで第1給気口33が設けられている。
【0024】
また主給気流路31において、第1外気導入口32と分岐個所との間には、主給気ファン34が配設されている。主給気ファン34は、駆動機構である主給気ファンモータ34aが制御部50から与えられる指令に応じて駆動することにより駆動するものである。
【0025】
このような主給気装置30は、主給気ファン34が駆動する場合に、第1外気導入口32より外部空気を導入し、主給気流路31を通過させた後に第1給気口33より店内に吹き出させるものである。
【0026】
補助給気装置40は、主給気装置30から離隔した個所に配設されている。この補助給気装置40は、補助給気流路41を備えている。補助給気流路41は、店内と店外とを連通する態様で屋根裏に設けられており、一端が店外を臨んで第2外気導入口42が設けられており、途中で2つに分岐されてそれぞれの他端が店内を臨んで第2給気口43が設けられている。
【0027】
また補助給気流路41において、第2外気導入口42と分岐個所との間には、補助給気ファン44が配設されている。補助給気ファン44は、駆動機構である補助給気ファンモータ44aが制御部50から与えられる指令に応じて駆動することにより駆動するものである。
【0028】
このような補助給気装置40は、補助給気ファン44が駆動する場合に、第2外気導入口42より外部空気を導入し、補助給気流路41を通過させた後に第2給気口43より店内に吹き出させるものである。
【0029】
制御部50は、記憶部55に記憶されたプログラムやデータにしたがって給気システムの各部の動作を統括的に制御するものであり、主給気ファン駆動制御部51及び補助給気ファン駆動制御部52を備えている。
【0030】
主給気ファン駆動制御部51は、差圧検知センサ22から与えられた差圧信号により、差圧が目標値(例えば0Pa)に近接するようにインバータ装置35を介して主給気ファンモータ34aを駆動させるものである。
【0031】
ここで主給気ファン駆動制御部51は、差圧が目標値に近接するよう予め決められた運転許容範囲(例えば20Hz~60Hz)の周波数にてインバータ装置35を介して主給気ファンモータ34aを駆動させることにより、PID制御により主給気ファン34の回転数を増減駆動させる。
【0032】
補助給気ファン駆動制御部52は、判定処理部52a及び補助給気ファン駆動処理部52bを備えている。判定処理部52aは、補助給気ファン44が駆動停止している場合には補助給気ファン44を駆動させるか否かを判定し、補助給気ファン44が駆動している場合には補助給気ファン44を駆動停止にさせるか否かを判定するものである。
【0033】
より詳細に説明すると、判定処理部52aは、主給気ファン34のみが駆動している場合、すなわち補助給気ファン44が駆動停止している場合には、上記主給気ファン駆動制御部51により主給気ファン34が運転許容範囲の最大周波数(例えば60Hz)で継続して駆動する時間(以下、最大周波数継続駆動時間ともいう)T1が、記憶部55から読みだした閾値である第1基準時間以上であるか否かを判断し、T1が第1基準時間以上であると判断したときに補助給気ファン44を駆動させる旨の判定を行う一方、T1が第1基準時間未満であると判断したときに、補助給気ファン44の駆動停止を維持する旨の判定を行うものである。
【0034】
また判定処理部52aは、主給気ファン34及び補助給気ファン44が駆動停止している場合には、上記主給気ファン駆動制御部51により主給気ファン34が運転許容範囲の最小周波数(例えば20Hz)で継続して駆動する時間(以下、最小周波数継続駆動時間ともいう)T2が、記憶部55から読みだした閾値である第2基準時間以上であるか否かを判断し、T2が第2基準時間以上であると判断したときに補助給気ファン44を駆動停止させる旨の判定を行う一方、T2が第2基準時間未満であると判断したときに、補助給気ファン44の駆動を維持する旨の判定を行うものである。
【0035】
補助給気ファン駆動処理部52bは、補助給気ファンモータ44aに対して駆動指令又は駆動停止指令を与えて、補助給気ファン44を予め設定された回転数により駆動又は駆動停止させるものである。つまり、補助給気ファン駆動制御部52は、補助給気ファン44を予め設定された周波数で駆動又は駆動停止させるオンオフ制御を行うものである。
【0036】
尚、制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。
【0037】
以上のような構成を有する給気システムにおいては、少なくとも1つの排気装置10が駆動している条件下にて、制御部50の主給気ファン駆動制御部51が、差圧検知センサ22から与えられた差圧信号により、差圧が目標値(例えば0Pa)に近接するよう、すなわち店内の圧力が店外の圧力(大気圧)と同等となるよう、インバータ装置35を介して主給気ファンモータ34aを運転許容範囲内の周波数で駆動させて給気ファンを駆動させることにより、第1外気導入口32より導入された店外の外部空気は、主給気流路31を通過し、第1給気口33より店内に吹き出される。
【0038】
この場合に、第1給気口33が、空調装置の空気吹出口よりも導入口13に近接する態様で配設されていることが好ましい。第1給気口33が、空調装置の空気吹出口よりも導入口13に近接する態様で配設されていることにより、第1給気口33より吹き出された外部空気は、その大部分が店内を循環することなく、導入口13を通じて排気流路11に導入されて店外に排出される。
【0039】
つまり、主給気装置30を通じて店内に吹き出され、該店内を循環する空気量を低減させることができ、店内における外部空気の侵入量を低減することができる。
【0040】
そして、制御部50は、内蔵する時計部を通じて所定の時間が経過したことを条件として、次のような補助給気ファン駆動制御処理を継続的に行う。
【0041】
図3は、
図2に示した制御部50が実施する補助給気ファン駆動制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0042】
この補助給気ファン駆動制御処理において、制御部50の補助給気ファン駆動制御部52は、主給気ファン34のみが駆動しているか否かを判断する(ステップS101)。尚、上述した動作の説明では主給気ファン34の駆動しか述べていないので、現時点では主給気ファン34のみが駆動している状態に該当する。
【0043】
主給気ファン34のみが駆動していると判断した場合(ステップS101:Yes)、補助給気ファン駆動制御部52は、判定処理部52aを通じて最大周波数継続駆動時間T1を算出し(ステップS102)、この算出したT1が記憶部55から読みだした第1基準時間以上であるか否かを判断する(ステップS103)。
【0044】
T1が第1基準時間以上であると判断した場合(ステップS103:Yes)、補助給気ファン駆動制御部52は、判定処理部52aを通じて補助給気ファン44を駆動させる旨の判定を行い、補助給気ファン駆動制御部52を通じて補助給気ファンモータ44aに駆動指令を送出して補助給気ファン44を駆動させ(ステップS104)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0045】
これによれば、第2外気導入口42より導入された店外の外部空気は、補助給気流路41を通過し、第2給気口43より店内に吹き出される。
【0046】
この場合に、第2給気口43が、空調装置の空気吹出口よりも導入口13に近接する態様で配設されていることが好ましい。第2給気口43が、空調装置の空気吹出口よりも導入口13に近接する態様で配設されていることにより、第2給気口43より吹き出された外部空気は、その大部分が店内を循環することなく、導入口13を通じて排気流路11に導入されて店外に排出される。
【0047】
つまり、主給気装置30を通じて店内に吹き出され、該店内を循環する空気量を低減させることができ、店内における外部空気の侵入量を低減することができる。
【0048】
そして、補助給気流路41を通じて外部空気を店内に供給することにより店内の圧力が増大することになり、これにより、主給気ファン駆動制御部51にPID制御により運転許容範囲内の周波数で駆動する主給気ファンモータ34aの周波数が低下し、主給気ファン34の駆動回転数が低減する方向に推移することになる。
【0049】
一方、T1が第1基準時間未満であると判断した場合(ステップS103:No)、補助給気ファン駆動制御部52は、現状を維持し、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、主給気ファン34のみの駆動により外部空気が店内の供給されることになる。
【0050】
上記補助給気ファン駆動制御処理において、制御部50の補助給気ファン駆動制御部52は、主給気ファン34のみが駆動していないと判断した場合(ステップS101:No)、主給気ファン34及び補助給気ファン44が駆動しているか否かを判断する(ステップS105)。
【0051】
主給気ファン34及び補助給気ファン44が駆動していると判断した場合(ステップS105:Yes)、補助給気ファン駆動制御部52は、判定処理部52aを通じて最小周波数継続駆動時間T2を算出し(ステップS106)、この算出したT2が記憶部55から読みだした第2基準時間以上であるか否かを判断する(ステップS107)。
【0052】
T2が第2基準時間以上であると判断した場合(ステップS107:Yes)、補助給気ファン駆動制御部52は、判定処理部52aを通じて補助給気ファン44を駆動停止させる旨の判定を行い、補助給気ファン駆動制御部52を通じて補助給気ファンモータ44aに駆動停止指令を送出して補助給気ファン44を駆動停止にさせ(ステップS108)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0053】
これによれば、補助給気流路41を通じての外部空気の供給が規制され、これにより、主給気ファン駆動制御部51にPID制御により運転許容範囲内の周波数で駆動する主給気ファンモータ34aの周波数が増加し、主給気ファン34の駆動回転数が増大する方向に推移することになる。
【0054】
一方、T2が第2基準時間未満であると判断した場合(ステップS107:No)、補助給気ファン駆動制御部52は、現状を維持し、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、主給気ファン34及び補助給気ファン44の駆動により、外部空気が店内の供給されることになる。
【0055】
以上説明したように、本発明の実施の形態である給気システムによれば、主給気装置30とは別個に補助給気装置40を備え、差圧検知センサ22により検知された差圧が目標値に近接するよう主給気ファン34を所定の運転許容範囲の周波数で駆動させる制御部50は、主給気ファン34のみを駆動させている状態において該主給気ファン34の最大周波数継続駆動時間が第1基準時間以上となる場合には、補助給気ファン44を駆動させる一方、主給気ファン34及び補助給気ファン44を駆動させている状態において最小周波数継続駆動時間が第2基準時間以上となる場合には、補助給気ファン44を駆動停止にさせるので、比較的高価な差圧検知センサ22を増大させずに主給気ファン34を駆動させつつ補助給気ファン44を必要に応じて駆動させることができ、これにより、比較的大型の店舗1にも適用可能であり、かつ製造コストの増大化を抑制することができる。
【0056】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0057】
上述した実施の形態では、補助給気装置40が1つであったが、本発明においては、補助給気装置40が複数設けられていてもよい。
【0058】
上述した実施の形態では、目標値が例えば0Paとして、店内の圧力が店外の圧力(大気圧)と同等となるように主給気ファン34を駆動させていたが、本発明においては、目標値は0Paに限定されず、目標値が所定値として、店内の圧力が店外の圧力よりも大きくなるように主給気ファンを駆動させてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…店舗(対象室)、10…排気装置、20…差圧検知装置、21…差圧検知用ダクト、22…差圧検知センサ、30…主給気装置、31…主給気流路、34…主給気ファン、34a…主給気ファンモータ、35…インバータ装置、40…補助給気装置、41…補助給気流路、44…補助給気ファン、44a…補助給気ファンモータ、50…制御部、51…主給気ファン駆動制御部、52…補助給気ファン駆動制御部、52a…判定処理部、52b…補助給気ファン駆動処理部、55…記憶部。