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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】炊飯システム
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
A47J27/14 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021094111
(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公開番号】P2022186073
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 佑介
(72)【発明者】
【氏名】川端 英臣
(72)【発明者】
【氏名】河原田 崇
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-019479(JP,A)
【文献】特開平10-295182(JP,A)
【文献】特開平03-094708(JP,A)
【文献】特開2002-233451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の穀物が収容される第1の収容室と、
第2の穀物が収容される第2の収容室と、
内部が仕切り部材で、第1の空間と第2の空間とに仕切られた貯米庫と、
前記第1の収容室から第1の穀物を前記第1の空間に向けて搬送する第1の搬送装置と、
前記第2の収容室から第2の穀物を前記第2の空間に向けて搬送する第2の搬送装置と、
前記第1の搬送装置による第1の穀物の単位時間当たりの搬送量を制御するとともに、前記第2の搬送装置による第2の穀物の単位時間当たりの搬送量を制御する制御部と、
前記第1の空間と前記第2の空間の下方に配置され、前記第1の空間の第1の穀物と前記第2の空間の第2の穀物とが混合されて流出する流出口と、
前記流出口から流出した第1の穀物と第2の穀物とが混合された混合穀物を炊飯する炊飯装置と、
を備え
前記仕切り部材は、上部の固定壁と、前記固定壁の下端を中心として回転可能な可動壁とを有し、前記可動壁を移動させることで、前記第1の空間と前記第2の空間から前記貯米庫の下端の流出口に向けて流動する穀物の割合を変更させる
ことを特徴とする炊飯システム。
【請求項2】
前記第1の搬送装置による第1の穀物の搬送中に、前記第2の搬送装置による第2の穀物の搬送を行う前記制御部、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の炊飯システム。
【請求項3】
前記第1の収容室に配置され、第1の穀物の残量を検出する第1の残量検出部材と、
前記第2の収容室に配置され、第2の穀物の残量を検出する第2の残量検出部材と、
前記第1の搬送装置および前記第2の搬送装置の両方が穀物を搬送中に、前記第1の残量検出部材および前記第2の残量検出部材のいずれか一方が、穀物の残量不足を検出した場合に、前記第1の搬送装置および前記第2の搬送装置の両方を停止させる前記制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯システム。
【請求項4】
前記貯米庫に配置されて、貯米庫内の穀物の量を検出する第3の残量検出部材と、
前記炊飯装置で炊飯する穀物の量を、利用者が入力する入力部と、
前記第3の残量検出部材が検出する穀物の量が予め定められた量に達しない場合には、前記入力部で入力可能な穀物の量の上限を下げる前記制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の炊飯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物を調理する炊飯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
米や麦、雑穀等の穀物を炊飯する炊飯システムについて、下記の特許文献1に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1(特開2018-127340号公報)には、貯留ホッパ(12)に収容された米を、米搬送装置(1)で、貯米庫(3)に搬送し、貯米庫(3)の下方の自動洗米装置(4)で洗米し、洗米後のコメを自動洗米装置(4)の下方の炊飯釜(5)で炊飯する炊飯システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-127340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(従来技術の問題点)
近年の健康志向の高まりに伴って、白米に玄米を混ぜたり、うるち米に雑穀を混ぜたり、うるち米に麦、もち麦、もち米を混ぜたりといったような、混合穀物を炊飯する需要がある。
特許文献1に示す構成では、混合穀物を炊飯しようとすると、貯留ホッパ(12)に混合後の穀物を貯留する必要がある。しかしながら、このような構成では、毎日の献立の違いで、混合穀物の翌日に白米の炊飯を行いたい場合、一度、貯留ホッパに収容されている混合穀物を全て取り出した後に白米を再度収容する必要があり手間がかかる問題があった。また、一度貯留ホッパに混合米を収容した後、試食して白米と玄米の混合割合を変更したい場合に、貯留ホッパに混合米を収容した状態から、混合割合の変更、調整をしようとすると調整が困難である問題もあった。
【0006】
本発明は、貯留ホッパが1つの従来構成に比べて、複数の穀物を混合して炊飯する手間を軽減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1の穀物が収容される第1の収容室と、第2の穀物が収容される第2の収容室と、内部が仕切り部材で、第1の空間と第2の空間とに仕切られた貯米庫と、前記第1の収容室から第1の穀物を前記第1の空間に向けて搬送する第1の搬送装置と、前記第2の収容室から第2の穀物を前記第2の空間に向けて搬送する第2の搬送装置と、前記第1の搬送装置による第1の穀物の単位時間当たりの搬送量を制御するとともに、前記第2の搬送装置による第2の穀物の単位時間当たりの搬送量を制御する制御部と、前記第1の空間と前記第2の空間の下方に配置され、前記第1の空間の第1の穀物と前記第2の空間の第2の穀物とが混合されて流出する流出口と、前記流出口から流出した第1の穀物と第2の穀物とが混合された混合穀物を炊飯する炊飯装置と、を備え、前記仕切り部材は、上部の固定壁と、前記固定壁の下端を中心として回転可能な可動壁とを有し、前記可動壁を移動させることで、前記第1の空間と前記第2の空間から前記貯米庫の下端の流出口に向けて流動する穀物の割合を変更させることを特徴とする炊飯システムである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記第1の搬送装置による第1の穀物の搬送中に、前記第2の搬送装置による第2の穀物の搬送を行う前記制御部、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の炊飯システムである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記第1の収容室に配置され、第1の穀物の残量を検出する第1の残量検出部材と、前記第2の収容室に配置され、第2の穀物の残量を検出する第2の残量検出部材と、前記第1の搬送装置および前記第2の搬送装置の両方が穀物を搬送中に、前記第1の残量検出部材および前記第2の残量検出部材のいずれか一方が、穀物の残量不足を検出した場合に、前記第1の搬送装置および前記第2の搬送装置の両方を停止させる前記制御部と、を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯システムである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記貯米庫に配置されて、貯米庫内の穀物の量を検出する第3の残量検出部材と、前記炊飯装置で炊飯する穀物の量を、利用者が入力する入力部と、前記第3の残量検出部材が検出する穀物の量が予め定められた量に達しない場合には、前記入力部で入力可能な穀物の量の上限を下げる前記制御部と、を備えたことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の炊飯システムである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、第1の空間と第2の空間に仕切られた貯米庫から第1の穀物と第2の穀物とを混合して流出させると共に、第1の搬送装置による第1の穀物の単位時間当たりの搬送量と第2の搬送装置による第2の穀物の単位時間当たりの搬送量を制御することで、貯留ホッパが1つの従来構成に比べて、複数の穀物を混合して炊飯する手間を軽減することができる。また、請求項1に記載の発明によれば、仕切り部材で混合割合を変更することが可能であり、炊飯ごとに混合割合を変更することが可能である。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、第1の穀物の搬送時期と第2の穀物の搬送時期とをずらす場合に比べて、バランスよく混合された混合穀物を得ることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2の効果に加えて、一方の穀物の残量が不足した状態で搬送を継続する場合に比べて、バランスよく混合された混合穀物を得ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないしのいずれかの効果に加えて、第3の残量検出部材が残量不足を検出した場合に炊飯不能にする場合に比べて、貯米庫に残った穀物で炊飯を継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明にかかる実施の形態における炊飯システムの説明図である。
図2図2は実施の形態の第1の搬送装置の説明図である。
図3図3は実施の形態における混合室の説明図である。
図4図4は実施の形態の貯米庫の蓋の説明図であり、図4(A)は斜視図、図4(B)は図4(A)のIVB-IVB線断面図、図4(C)は図4(A)のIVC-IVC線断面図である。
図5図5は実施の形態の制御部の説明図であり、機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例である実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施の形態の説明においては、機体の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前、後進方向を後として説明する。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0016】
図1は、本発明にかかる実施の形態における炊飯システムの説明図である。
図1において、本発明の実施の形態の炊飯システム1は、第1の搬送装置2と、第2の搬送装置3と、炊飯装置4と、を有する。炊飯装置4は、上部に混合室の一例としての貯米庫6を有する。貯米庫6には、内部に米や麦等の穀物が収容可能である。
貯米庫6の下方には、自動洗米装置7が配置されている。自動洗米装置7は貯米庫6から供給された米を洗米する。自動洗米装置7の下方には、炊飯釜8が配置されている。炊飯釜8は、自動洗米装置7で洗米された穀物が供給され、炊飯を行う。
なお、自動洗米装置7や炊飯釜8は、従来公知であり、例えば、特許文献1や特許第4341211号公報等に記載されており、種々の構成を採用可能であるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0017】
図2は実施の形態の第1の搬送装置の説明図である。
図1図2において、実施の形態の第1の搬送装置2は、後部の上面から第1のホース10が上方に延びており、第1のホース10の終端は貯米庫6に接続されている。第1の搬送装置2は、第1の収容室の一例として、内部に穀物(第1の穀物)を収容可能な第1のホッパ11を備えている。第1のホッパ11の下方には、計量部材の一例としてのロータリバルブ12が配置されている。ロータリバルブ12は、所定量の穀物が収容可能な空間が設けられて回転する部材であり、公知の構成である。ロータリバルブ12で所定量が計量されて下方に送られた穀物は、搬送部材の一例としてのブロワ13で第1のホース10を通じて貯米庫6に送られる。
【0018】
図1図2において、第1のホッパ11の内部には、第1の残量検出部材の一例として、穀物の残量を検出する第1の穀物センサ14が配置されている。
図1において、実施の形態の第2の搬送装置3は、第1の搬送装置2と同様に構成されており、第2のホース15や第2の収容室の一例としての第2のホッパ16、第2の穀物センサ19等を有する。第2のホッパ16には、穀物(第2の穀物)が収容可能であり、第1のホッパ11とは異なる種類の穀物を収容することが望ましいが、同一の種類の穀物とすることも可能である。例えば、異なる種類の穀物は、一方がうるち米で他方が玄米や雑穀、麦とすることが可能であり、同一種類の穀物としては、両方うるち米で、品種(コシヒカリやササニシキ等)が異なるものを収容することも可能である。
【0019】
図3は実施の形態における混合室の説明図である。
図3において、実施の形態の混合室の一例としての貯米庫6の上面には、蓋20が装着されている。蓋20には、各ホース10,15が接続されている。したがって、各ホース10,15を搬送されてきた穀物は、それぞれ貯米庫6に供給される。
【0020】
図4は実施の形態の貯米庫の蓋の説明図であり、図4(A)は斜視図、図4(B)は図4(A)のIVB-IVB線断面図、図4(C)は図4(A)のIVC-IVC線断面図である。
図4において、蓋20の前部には、取手部20aが形成されている。取手部20aは、左右方向に延びる溝状に形成されている。また、実施の形態の取手部20aは、左右方向の中央部から外側にいくにつれて後方に傾斜する形状に形成されている。図4Bにおいて、実施の形態の取手部20aは、溝状の底部20bが、左右方向の外側にいくに連れて下方に傾斜する形状に形成されている。図4(C)において、実施の形態の蓋20の上面は、取手部20aよりも前側の部分20cでは、前方に行くにつれて下方に傾斜する形状に形成されている。また、蓋20の上面は、取手部20aよりも後側の部分20dでは、後方に行くにつれて下方に傾斜する形状に形成されている。
【0021】
図3において、貯米庫6の内部には、内部に仕切り部材21が配置されている。したがって、貯米庫6の内部は、仕切り部材21で、第1のホース10からの穀物が収容される第1の空間6aと、第2のホース15からの穀物が収容される第2の空間6bとに仕切られる。
実施の形態の仕切り部材21は、上部の固定壁21aと、固定壁21aの下端を中心として回転可能な可動壁21bとを有する。可動壁21bは、図示しないモータで回転位置(傾斜位置)を移動、停止可能に構成されている。したがって、可動壁21bを移動させることで、第1の空間6aと第2の空間6bから貯米庫6の下端の流出口22に向けて流動する穀物の割合、すなわち、混合割合(ブレンド比率)を調整することが可能である。
貯米庫6には、第3の残量検出部材の一例としての残米センサ23が配置されている。実施の形態の残米センサ23は、第1の空間6aに配置された第1の残米センサ23aと、第2の空間6bに配置された第2の残米センサ23bとを有する。
【0022】
図1において、炊飯装置4の上部の前面には、入力部の一例としての操作パネル31が配置されている。操作パネル31は、残量不足を表示する表示画面を有し、炊飯する穀物の量や、穀物の比率、炊飯時間、洗米時間等を利用者が入力して設定することが可能である。
また、各搬送装置2,3の上部の前面にも、穀物の残量が不足が検知された場合に、報知するためのランプや、報知を確認したことを入力するための入力ボタン等を有する操作パネル32が配置されている。なお、実施の形態では、残量不足が報知されると炊飯システム1が停止し、穀物が補充されてセンサ14,19が残量ありを検出した状態でボタン入力がされると再開するように構成されているが、穀物の補充がされなくても、利用者の入力で、炊飯する穀物の量の変更や混合比率の変更等をして、洗米や炊飯を継続するようにすることも可能である。
実施の形態の炊飯システム1では、各搬送装置2,3および炊飯装置4の各部の制御を行う制御部41が、炊飯装置4に設置されている。
【0023】
(実施の形態の制御部の説明)
図5は実施の形態の制御部の説明図であり、機能ブロック図である。
図5において、制御部41は、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部41は、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部41は、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御部41は、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。よって、制御部41は、いわゆるマイクロコンピュータ(コンピュータ装置の一例)により構成されており、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0024】
(制御部の機能)
制御部41は、穀物センサ14,19や残米センサ23、その他の図示しないセンサ等の信号出力要素からの入力信号が入力される。
制御部41は、ロータリバルブ12やブロワ13や、可動壁21bのモータ等の各制御要素に制御信号を出力する。
実施の形態の制御部41は次の機能を有している。
【0025】
第1の搬送装置の制御手段42は、第1の搬送装置2を制御して第1の穀物を貯米庫6に搬送する。実施の形態の第1の搬送装置の制御手段42は、第1の残米センサ23aの検知結果に基づいて、第1の空間6aの穀物量が予め定められた量に達しない場合、すなわち、第1の空間6aの穀物の最上位面が第1の残米センサ23aに達しない場合に、ロータリバルブ12やブロワ13を作動させて、第1の穀物を貯米庫6に搬送する。
また、実施の形態の第1の搬送装置の制御手段42は、操作パネル31で設定された第1の穀物と第2の穀物の混合割合(ブレンド比率)に応じて、第1の穀物の搬送量を制御する。一例として、第1の穀物と第2の穀物の混合割合が、3:1の場合、第1の穀物の搬送量が第2の穀物の3倍になるように、ロータリバルブ12の回転回数または回転速度やブロワ13の風量を制御する。
例えば、ロータリバルブ12の1回転で計量される穀物の量が100gの場合、3倍にするには、回転回数を3倍にして搬送量を3倍にすることも可能であるし、回転速度を3倍速にして搬送量を3倍にすることも可能である。
【0026】
なお、第1の搬送装置の制御手段42は、第1の空間6aの穀物量が予め定められた量に達しない場合でも、第1の穀物センサ14および第2の穀物センサ19の一方が残量不足を検出した場合は、ロータリバルブ12やブロワ13を作動させず、第1の穀物から貯米庫6への第1の穀物の搬送を行わない。結果として、第1の搬送装置2が作動中(第1の穀物の搬送中)は、第2の搬送装置3の作動中(第2の穀物が搬送されること)となり、一方が残量不足になると、両方の搬送装置2,3が停止することとなる。
また、第1の搬送装置の制御手段42は、第1の穀物センサ14が残量不足を検出した場合には、第1の搬送装置2の操作パネルで残量不足を利用者に報知する。
第2の搬送装置の制御手段43は、第2の搬送装置3を制御して第2の穀物を貯米庫6に搬送する。なお、第2の搬送装置の制御手段43は、前述した第1の搬送装置の制御手段42と同様の機能を有するため、詳細な説明は省略する。
【0027】
混合割合の調整手段44は、貯米庫6から自動洗米装置7に供給される穀物における第1の穀物と第2の穀物との混合割合(ブレンド比率)を調整する。実施の形態の混合割合の調整手段44は、第1の搬送装置2と第2の搬送装置3の搬送量が、操作パネル31で設定された混合割合通りである場合には、可動壁21bを初期位置に保持する。したがって、各搬送装置2,3の搬送量の比率に応じた混合比率で貯米庫6から自動洗米装置7に混合穀物を送ることが可能である。
【0028】
混合割合の調整手段44は、貯米庫6に穀物が残っている状態で、操作パネル31で混合比率が変更された場合は、貯米庫6に収容されている変更前の混合比率と、変更後の混合比率に基づいて、可動壁21bを移動させる。一例として、第1の穀物と第2の穀物の混合比率が3:1から2:1に変更になった場合、第1の空間6aから流出口22への流量と、第2の空間6bから流出口22への流量との比率が2:3となるように可動壁21bを傾斜させることで、流出口22から流出する第1の穀物と第2の穀物の割合を、(第1の穀物):(第2の穀物)=3×2:1×3=2:1とすることが可能である。
【0029】
設定上限の制限手段45は、残米センサ23が検出する穀物の量が予め定められた量に達しない場合には、操作パネル31で入力可能な穀物の量の上限を下げる(制限する)。実施の形態の設定上限の制御手段45は、穀物が貯米庫6に供給されずに2つの残米センサ23a,23bのいずれかが残量不足を検出した場合、すなわち、各搬送装置2,3が停止し且つ残米センサ23a,23bのいずれかが残量不足を検出した場合に、利用者が操作パネル31を操作して、次回の炊飯量の設定を行う際に、操作パネル31で設定可能な炊飯量の上限を下げる。一例として、貯米庫6の穀物の残量が「5升」相当よりも少なくなると、残米センサ23a,23bが残量不足を検出する場合は、設定上限の制限手段45は、余裕(マージン)を含めて、次回に設定可能な炊飯量の上限を「3升」に下げる。
【0030】
(実施の形態の作用)
前記構成を備えた実施の形態の炊飯システム1では、複数の搬送装置2,3からそれぞれ穀物が1つの貯米庫6に搬送される。そして、貯米庫6から混合された穀物が自動洗米装置7に送られ、洗米、炊飯される。貯留ホッパが1つの従来構成では、混合穀物を使用する場合には、混合割合に応じて穀物を計量して混合し、混合された後の穀物を貯留ホッパに収容する必要があった。これに対して、実施の形態では、設定された混合割合に応じて、搬送装置2,3からの搬送量が調整され、貯米庫6で目的の混合割合で混合される。よって、実施の形態の炊飯システム1では、従来構成に比べて、複数の穀物を混合して炊飯する手間が軽減される。
【0031】
また、実施の形態の炊飯システム1では、各搬送装置2,3が同時期に作動して穀物が送られており、貯米庫6には同時期に穀物が流入する。搬送装置2,3の作動に時間的なずれ(タイムラグ)があれば、貯米庫6に流入する穀物が偏ることとなり、結果として自動洗米装置7に送られる混合穀物の割合に偏りが発生する恐れがあるが、実施の形態ではこれが抑制され、バランスよく混合された目的の混合割合の混合穀物を得やすい。
さらに、実施の形態の炊飯システム1では、一方の搬送装置2,3が残量不足で停止すると、他方の搬送装置2,3も停止する。したがって、貯米庫6に流入する穀物の偏りが抑制され、目的の混合割合の混合穀物を得やすい。
【0032】
また、実施の形態の炊飯システム1では、途中で混合割合が変更された場合、可動壁21bが移動して、流出口22から流出する穀物の混合割合が、目的の混合割合に調整される。したがって、1回1回の炊飯ごとに穀物の混合割合を調整することが可能である。
また、実施の形態の炊飯システム1では、残米センサ23で残量不足が検出された場合、次回の炊飯量の設定を行う際に、操作パネル31で設定可能な炊飯量の上限が制限される。残米センサ23で残量不足が発生した場合に炊飯不能とする場合に比べて、貯米庫6に残っている穀物を使用して、炊飯可能な量の炊飯を実行することが可能である。したがって、搬送装置2,3に補充されるまでの間に、少量でも炊飯を継続することが可能である。よって、時間を有効活用でき、炊飯の作業効率を高くすることが可能である。
【0033】
実施の形態において、2つの搬送装置2,3を使用して貯米庫6に穀物を搬送する構成を例示したが、これに限定されない。3つ以上の搬送装置を使用することも可能である。なお、3つ以上の搬送装置を使用する場合、使用頻度、混合割合の高い穀物を2つの搬送装置のホッパに収容し、使用頻度の低い穀物を1つの搬送装置のホッパに収容することも可能である。また、3つ以上の搬送装置を使用する場合、全ての搬送装置を同時に作動させる必要はなく、例えば、3つの搬送装置を使用する構成で、同時に作動させるのは2つの搬送装置とすることも可能である。
また、2つの搬送装置2,3を同一の構成とせず、使用頻度、混合割合の高い穀物を搬送する搬送装置のロータリバルブやブロワを、使用頻度の低い穀物の搬送装置に比べて、大型のものとすることも可能である。
【0034】
また、実施の形態において、混合割合の調整を、搬送装置2,3の搬送量と、可動壁21bの移動との両方を使用する構成が望ましいが、これに限定されない。いずれか一方とすることが可能である。例えば、搬送量のみで混合割合の調整を行う場合、仕切り部材21を設ける必要がなくなる。一方、可動壁21bで混合割合の調整を行う場合、搬送量の制御は不要であり搬送装置2,3は常時一定の搬送量で搬送する構成とすることも可能である。
【0035】
さらに、実施の形態において、貯米庫6で2種類の穀物を一度貯留して、貯米庫6から自動洗米装置7に穀物を搬送する構成を例示したがこれに限定されない。例えば、各搬送装置2,3で自動洗米装置7に送る穀物の量を計量して搬送し、貯米庫6は、2つの穀物を合流させて自動洗米装置7に流すだけの構成とすることも可能である。この場合、貯米庫6の残米センサ23は不要となる。
【符号の説明】
【0036】
1…炊飯システム、
2…第1の搬送装置、
3…第2の搬送装置、
4…炊飯装置、
6…混合室、
11…第1の収容室、
14…第1の残量検出部材、
16…第2の収容室、
19…第2の残量検出部材、
21…仕切り部材、
23…第3の残量検出部材、
31…入力部、
41…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5