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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】異常検知装置および異常検知システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20241126BHJP
   H02G 7/12 20060101ALI20241126BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20241126BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
H02G7/12
H02G1/02
G01H17/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021108421
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006045
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100187643
【弁理士】
【氏名又は名称】白鳥 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】雲藤 勝義
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特公平06-067094(JP,B2)
【文献】特開2005-278367(JP,A)
【文献】特開2005-229715(JP,A)
【文献】特開2015-162095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
H02G 7/12
H02G 1/02
G01H 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の架空線を互いに離間させて連結するスペーサに取り付けられ、前記スペーサの異常を検知する異常検知装置であって、
前記スペーサの少なくとも一部の歪みを計測する歪み計測部と、
前記スペーサを介して前記複数の架空線の振動を計測する振動計測部と、
前記歪み計測部により計測された前記スペーサの歪みデータを外部に送信する送信部と、
前記歪み計測部、前記振動計測部および前記送信部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記振動計測部が前記複数の架空線の異常振動を計測していないときに、前記スペーサの歪みを計測せず、前記振動計測部が前記複数の架空線の異常振動を計測したときに、前記スペーサの歪みを計測するよう、前記歪み計測部を制御する
異常検知装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記振動計測部により計測された前記架空線の振動データと、前記歪み計測部により計測された前記歪みデータと、を関連付けながら送信するよう、前記送信部を制御する
請求項に記載の異常検知装置。
【請求項3】
前記歪み計測部は、前記スペーサにおいて前記複数の架空線間を連結するフレームを溶接した溶接箇所付近の歪みを計測するよう構成されている
請求項1または請求項2に記載の異常検知装置。
【請求項4】
複数の架空線を互いに離間させて連結するスペーサに取り付けられ、前記スペーサの異常を検知する装置であって、前記スペーサの少なくとも一部の歪みを計測する歪み計測部と、前記スペーサを介して前記複数の架空線の振動を計測する振動計測部と、前記歪み計測部により計測された前記スペーサの歪みデータを外部に送信する送信部と、前記歪み計測部、前記振動計測部および前記送信部を制御する制御部と、を有する異常検知装置と、
前記異常検知装置から前記歪みデータを受信し、前記歪みデータを集約する基地局と、
を備え
前記制御部は、
前記振動計測部が前記複数の架空線の異常振動を計測していないときに、前記スペーサの歪みを計測せず、前記振動計測部が前記複数の架空線の異常振動を計測したときに、前記スペーサの歪みを計測するよう、前記歪み計測部を制御する
異常検知システム。
【請求項5】
前記基地局は、前記歪みデータと、前記異常振動をトリガとして前記歪みを計測した回数と、を含む歪み履歴を記録する
請求項4に記載の異常検知システム。
【請求項6】
前記基地局は、前記歪み履歴に基づいて前記スペーサの寿命を評価する
請求項5に記載の異常検知システム。
【請求項7】
前記基地局は、前記振動計測部により計測された前記架空線の振動データと、前記歪み計測部により計測された前記スペーサの前記歪みデータとの相関関係を記録する
請求項5または請求項6に記載の異常検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異常検知装置および異常検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多導体方式において、複数の架空送電線(以下、架空線ともいう)の相互の間隔を一定に保つため、スペーサが取り付けられることがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-261030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、スペーサの異常を安定的に検知することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
複数の架空線を互いに離間させて連結するスペーサの少なくとも一部の歪みを計測する歪み計測部と、
前記歪み計測部により計測された前記スペーサの歪みデータを外部に送信する送信部と、
を有する
異常検知装置が提供される。
【0006】
本開示の他の態様によれば、
複数の架空線を互いに離間させて連結するスペーサの少なくとも一部の歪みを計測する歪み計測部と、前記歪み計測部により計測された前記スペーサの歪みデータを外部に送信する送信部と、を有する異常検知装置と、
前記異常検知装置から前記歪みデータを受信し、前記歪みデータを集約する基地局と、
を備える
異常検知システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、スペーサの異常を安定的に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る異常検知システムを示す概略構成図である。
図2図2は、本開示の一実施形態に係る異常検出装置を示す概略構成図である。
図3図3は、本開示の一実施形態に係る異常検出装置を示すブロック図である。
図4図4は、本開示の一実施形態に係る基地局を示すブロック図である。
図5図5は、本開示の一実施形態に係る異常検知方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
<発明者の得た知見>
まず、発明者の得た知見について説明する。
【0010】
架空線上に着雪が発達した状態で、架空線に強風が吹き付けられると、架空線が異常振動を起こすことがある。このような異常振動を「ギャロッピング」という。
【0011】
近年では、上述のギャロッピングを抑制するため、ルーズスペーサが開発されている。ルーズスペーサでは、固定把持部と可動把持部とにより、架空線に成長する着雪の形状を変える(異ならせる)ことができる。これにより、それぞれの振動をずらし、多導体の強い共振を抑制することができる。その結果、ギャロッピングを抑制することができる。
【0012】
しかしながら、架空線上に着雪が大きく発達した場合には、ルーズスペーサの可動域の限界を超えて、ギャロッピングが生じてしまうことがある。このとき、ルーズスペーサには、大きな歪みが生じる可能性がある。ルーズスペーサにおける歪みが蓄積すると、ルーズスペーサに亀裂が生じるおそれがある。
【0013】
そこで、発明者は、鋭意検討の結果、スペーサに生じる歪みを直接計測し、スペーサの異常を安定的に検知する技術を見出した。
【0014】
本開示は、発明者が見出した上記知見に基づくものである。
【0015】
<本開示の実施態様>
次に、本開示の実施態様を列記して説明する。
【0016】
[1]本開示の一態様に係る異常検知装置は、
複数の架空線を互いに離間させて連結するスペーサの少なくとも一部の歪みを計測する歪み計測部と、
前記歪み計測部により計測された前記スペーサの歪みデータを外部に送信する送信部と、
を有する。
この構成によれば、スペーサの異常を安定的に検知することができる。
【0017】
[2]上記[1]に記載の異常検知装置において、
前記スペーサを介して前記複数の架空線の振動を計測する振動計測部と、
前記歪み計測部、前記振動計測部および前記送信部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記振動計測部が前記複数の架空線の異常振動を計測したときに、前記スペーサの歪みを計測するよう、前記歪み計測部を制御する。
この構成によれば、不要な歪みデータの蓄積を抑制することができる。
【0018】
[3]上記[2]に記載の異常検知装置において、
前記制御部は、前記振動計測部により計測された前記架空線の振動データと、前記歪み計測部により計測された前記歪みデータと、を関連付けながら送信するよう、前記送信部を制御する。
この構成によれば、振動データと歪みデータとの相関関係に基づいて、スペーサの寿命を詳細に評価することができる。
【0019】
[4]上記[1]から[3]のいずれか1つに記載の異常検知装置において、
前記歪み計測部は、前記スペーサにおいて前記複数の架空線間を連結するフレームを溶接した溶接箇所付近の歪みを計測するよう構成されている。
この構成によれば、最も破断する可能性が高い溶接個所の歪みを安定的に計測することができる。
【0020】
[5]本開示の他の態様に係る異常検知システムは、
複数の架空線を互いに離間させて連結するスペーサの少なくとも一部の歪みを計測する歪み計測部と、前記歪み計測部により計測された前記スペーサの歪みデータを外部に送信する送信部と、を有する異常検知装置と、
前記異常検知装置から前記歪みデータを受信し、前記歪みデータを集約する基地局と、
を備える。
この構成によれば、スペーサの異常を安定的に検知することができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0022】
<本開示の一実施形態>
(1)異常検知システム
本開示の一実施形態に係る異常検知システム10の概略について、図1図4を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る異常検知システムを示す概略構成図である。図2は、本実施形態に係る異常検出装置を示す概略構成図である。図3は、本実施形態に係る異常検出装置を示すブロック図である。図4は、本実施形態に係る基地局を示すブロック図である。なお、図1は、送電設備の一部を示しており、簡略化のため、架空線100などの一部を省略している。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の異常検知システム10は、例えば、スペーサ200などの異常を検知するよう構成されている。具体的には、異常検知システム10は、例えば、異常検知装置30と、基地局(管理センタ)50と、を備えている。
【0024】
[送電設備]
図1に示すように、本実施形態の異常検知システム10が適用される送電設備は、多導体方式で送電するよう構成され、例えば、複数の鉄塔900と、複数の架空線100と、スペーサ200と、を有している。
【0025】
複数の鉄塔900は、例えば、所定の間隔で設けられている。それぞれの鉄塔900は、架空線100を支持している。
【0026】
複数の架空線100は、例えば、複数の鉄塔900の間に架線されている。架空線100は、例えば、1相あたり4本設けられている。架空線100は、例えば、いわゆる架空送電線として構成されている。具体的には、架空線100は、例えば、鋼心アルミ撚線(ACSR)などである。
【0027】
スペーサ200は、例えば、複数の架空線100を互いに離間させて連結するよう構成されている。
【0028】
具体的には、図2に示すように、スペーサ200は、例えば、ルーズスペーサとして構成され、可動把持部(ルーズ把持部)220と、固定把持部240と、フレーム260と、を有している。
【0029】
可動把持部220は、例えば、架空線100を軸として回転可能としつつ、架空線100を把持するように構成されている。可動把持部220は、例えば、2つ設けられている。
【0030】
固定把持部240は、例えば、架空線100を把持した状態で固定されるよう構成されている。固定把持部240は、例えば、2つ設けられている。
【0031】
フレーム260は、例えば、可動把持部220と固定把持部240とにより把持された複数の架空線100間を連結するよう構成されている。可動把持部220および固定把持部240のそれぞれとフレーム260とは溶接されている。
【0032】
ルーズスペーサとしてのスペーサ200が装着された架空線100に着雪が発生した場合、架空線100を把持した状態で固定された固定把持部240において、雪が成長する方向は、風上側に一様に成長することから、固定把持部240に対して揚力が発生する。これに対し、架空線100に対して回転可能に架空線100を把持した可動把持部220において、雪が成長する方向をルーズにする(非一様にする)。これにより、可動把持部220に対する揚力を抑制することができ、揚力の発生状態をアンバランスにすることができる(相殺することができる)。その結果、ギャロッピングの発生を抑止することができる。
【0033】
スペーサ200は、例えば、架空線100の架線方向に沿って、所定の間隔で複数設けられている。スペーサ200の間隔は、例えば、50m程度である。
【0034】
[異常検知装置]
図2および図3に示すように、本実施形態の異常検知装置30は、例えば、スペーサ200に取り付けられ、スペーサ200の異常を検知するよう構成されている。
【0035】
具体的には、異常検知装置30は、例えば、歪み計測部310と、振動計測部320と、制御部340と、送信部360と、電池370と、本体部(筐体)380と、取付部390と、を有している。
【0036】
(歪み計測部)
歪み計測部310は、例えば、スペーサ200の少なくとも一部の歪みを計測するよう構成されている。
【0037】
具体的には、歪み計測部310は、例えば、歪みゲージと、回路基板と、を有している。歪みゲージは、例えば、スペーサ200に追従するように変形し、変形に応じて電気抵抗を変化させるよう構成されている。回路基板は、例えば、いわゆるホイーストンブリッジ回路を有し、歪みゲージの電気抵抗の変化を電圧の変化に変換するよう構成されている。このような構成により、歪みゲージの電気抵抗の変化に対応する電圧の変化に基づいて、スペーサ200の歪みを計測することができる。
【0038】
以下、歪み計測部310により計測されたスペーサ200の歪みに関するデータを「歪みデータ」ともいう。
【0039】
本実施形態では、歪み計測部310は、例えば、スペーサ200において複数の架空線100間を連結するフレーム260を溶接した溶接箇所(WP)付近の歪みを計測するよう構成されている。なお、「溶接箇所付近の歪みを計測する」とは、溶接箇所で生じる歪みの成分のうち少なくとも一部を計測すると言い換えることができる。
【0040】
具体的には、歪み計測部310の歪みゲージは、例えば、スペーサ200にの溶接箇所に取り付けられる。歪みゲージは、例えば、フレーム260の内周面(複数の架空線100の配置中心側の面)に取り付けられることが好ましい。これにより、最も破断する可能性が高い溶接個所の歪みを安定的に計測することができる。
【0041】
また、本実施形態では、歪み計測部310は、例えば、スペーサ200の複数箇所の歪みを計測するよう、複数設けられている。歪み計測部310a~310dは、例えば、2つの可動把持部220および2つの固定把持部240とフレーム260との溶接箇所に、それぞれ設けられている。上述のギャロッピング時には、スペーサ200は複雑な振動をする可能性があるため、不特定の様々な箇所で歪みが生じる可能性がある。そこで、本実施形態では、上述のようにスペーサ200の複数箇所に歪み計測部310を設けることで、スペーサ200の不特定の箇所で生じうる歪みを確実に計測することができる。
【0042】
それぞれの歪み計測部310は、例えば、歪みゲージの電気抵抗の変化に対応する電圧を増幅する増幅回路312を介して、後述の制御部340に接続されている。
【0043】
(振動計測部)
振動計測部320は、例えば、スペーサ200を介して複数の架空線100の振動を計測するよう構成されている。
【0044】
具体的には、振動計測部320は、例えば、加速度センサ321と、角速度センサ322と、を有している。
【0045】
加速度センサ321は、例えば、互いに直交する3方向(x方向、y方向、z方向)における振動の加速度を計測し、加速度に対応する電圧を出力するよう構成されている。なお、加速度センサ321は、例えば、サーボ型であってもよいし、半導体型であってもよい。
【0046】
角速度センサ322は、例えば、振動の角速度を計測し、角速度に対応する電圧を出力するよう構成されている。なお、角速度センサ322は、例えば、ジャイロ型であってもよいし、半導体型であってもよい。
【0047】
以下、振動計測部320によりスペーサ200を介して計測された架空線100の振動に関するデータを「振動データ」ともいう。
【0048】
加速度センサ321は、例えば、x方向、y方向およびz方向の加速度に対応する電圧をそれぞれ増幅する増幅回路323x、323yおよび323zと、増幅された各電圧をフィルタリングするフィルタ324x、324yおよび324zと、を介して、後述の制御部340に接続されている。
【0049】
角速度センサ322は、例えば、角速度に対応する電圧をフィルタリングするフィルタ325を介して、後述の制御部340に接続されている。
【0050】
(送信部)
送信部360は、例えば、歪み計測部310により計測されたスペーサ200の歪みデータと、振動計測部320により計測された架空線100の振動データとを、無線により外部に送信するよう構成されている。
【0051】
(電池)
電池370は、例えば、各部に電力を供給するよう構成されている。
【0052】
具体的には、電池370は、例えば、レギュレータ372a、372bおよび372cを介して、歪み計測部310、振動計測部320、後述の制御部340および送信部360にそれぞれ電力を供給するよう構成されている。
【0053】
(制御部)
制御部340は、例えば、歪み計測部310と、振動計測部320と、送信部360と、を制御するよう構成されている。
【0054】
具体的には、制御部340は、例えば、CPU(Central Processing Unit)342と、セラミック発振子343と、メモリ344と、RTC(Real Time Clock)346と、水晶振動子347と、電池345と、RS232C348と、を有している。
【0055】
メモリ344は、例えば、各部の制御に係るプログラム、計測により得られた各データ等を記録(格納)するよう構成されている。メモリ344は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)と、を有している。
【0056】
CPU342は、例えば、発信源としてのセラミック発振子343からのクロックにより、メモリ344に格納された所定のプログラムを実行するよう構成されている。
【0057】
また、CPU342には、内部バスを介して、RTC346が接続されている。RTC346は、例えば、水晶振動子347および電池345に接続され、電池345から供給される電力により、制御部340への電力供給が切られている間も現在時刻を計測するよう構成されている。RTC346が計測する時刻は、例えば、各データを取得するタイミングをとる際などに用いられる。
【0058】
また、CPU342には、インタフェースとしてのRS232C348を介して、送信部360が接続されている。
【0059】
また、CPU342には、ID入力部378に接続されている。ここでいうIDとは、鉄塔900または架空線100に割り当てられた識別番号などである。ID入力部378により入力されたIDがCPU342に送信されるようになっている。送信部360からのデータ送信の際に、IDを付与しつつデータを送信することで、データをスペーサ200ごとに識別することができる。
【0060】
また、CPU342には、上述のように、レギュレータ372bを介して、電池370に接続されている。これにより、CPU342に電力が供給される。
【0061】
また、CPU342には、レギュレータ372aおよびレギュレータ372bに接続されている。
【0062】
なお、CPU342には、上述のように、増幅回路などを介して、歪み計測部310および振動計測部320が接続されている。
【0063】
以上のような構成を有するCPU342は、例えば、所定のプログラムを実行することで、例えば、計測制御部342a、送信制御部342bおよび電力制御部342cとして機能するように構成されている。
【0064】
計測制御部342aは、例えば、歪み計測部310および振動計測部320を制御する。本実施形態の計測制御部342aは、例えば、振動計測部320が複数の架空線100の異常振動を計測したときに、スペーサ200の歪みを計測するよう、歪み計測部310を制御する。
【0065】
送信制御部342bは、例えば、振動計測部320により計測された架空線100の振動データと、歪み計測部310により計測された歪みデータと、を関連付けながら送信するよう、送信部360を制御する。
【0066】
電力制御部342cは、例えば、電池370から歪み計測部310、振動計測部320および送信部360にそれぞれ供給される電力を調整するよう、レギュレータ372aおよびレギュレータ372cを制御する。
【0067】
上述の制御部340の各部を実現するための所定プログラムは、例えば、制御部340が構成するコンピュータにインストールして用いられる。プログラムは、例えば、そのインストールに先立ち、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよい。或いは、プログラムは、例えば、図示されていない通信部を通じて当該コンピュータへ提供されるものであってもよい。
【0068】
上述の制御部340が機能する各部による異常検知方法については、詳細を後述する。
【0069】
(本体部および取付部)
図2に示すように、本体部380は、例えば、歪み計測部310の一部および送信部360のアンテナ部分を除いて、振動計測部320、制御部340、送信部360および電池370などを収容している。
【0070】
取付部390は、例えば、本体部380をスペーサ200に取り付けるよう構成されている。具体的には、取付部390は、例えば、板状に構成され、その中央に本体部380を保持している。また、取付部390は、例えば、複数の架空線100の配置中心を挟んで対向する一対のフレーム260を把持するよう、一対のフレーム160に対してボルトなどにより締結されている。
【0071】
(設置数)
本実施形態では、異常検知装置30は、例えば、複数のスペーサ200にそれぞれ対応するように、複数設けられている。複数の異常検知装置30は、スペーサ200ごとに異常を検知するよう構成されている。
【0072】
[基地局]
図1および図4に示すように、本実施形態の基地局50は、例えば、異常検知装置30から歪みデータなどを受信し、歪みデータなどを集約するするよう構成されている。
【0073】
具体的には、図4に示すように、基地局50は、例えば、管理制御部500と、受信部550と、を有している。
【0074】
受信部550は、例えば、異常検知装置30から送信されたスペーサ200の歪みデータおよび架空線100の振動データを、無線により受信するよう構成されている。
【0075】
管理制御部500は、例えば、コンピュータとして構成され、例えば、CPU510と、RAM520と、記憶装置530と、I/Oポート540と、を有している。RAM520、記憶装置530、およびI/Oポート540は、CPU510とデータ交換可能に構成されている。I/Oポート540は、例えば、受信部550に接続されている。
【0076】
記憶装置530は、例えば、異常検知プログラム、スペーサ寿命評価プログラム、異常検知装置30から得られた各種データなどを記憶するよう構成されている。記憶装置530は、例えば、HDDまたはSSDなどである。
【0077】
RAM520は、CPU510によって記憶装置530から読み出されるプログラムや情報等が一時的に保持されるよう構成されている。
【0078】
CPU510は、記憶装置530に格納された所定のプログラムを実行することで、例えば、データ集約部512と、歪み履歴記録部514と、相関関係記録部516と、解析部517と、寿命評価部518と、として機能するように構成されている。
【0079】
データ集約部512は、例えば、異常検知装置30から送信された歪みデータおよび振動データを受信部550により受信し、歪みデータおよび振動データを集約するよう構成されている。
【0080】
歪み履歴記録部514は、例えば、受信部550により受信した歪みデータおよび振動データと、架空線100の異常振動をトリガとしてスペーサ200の歪みを計測した回数と、を含む歪み履歴を記録するよう構成されている。
【0081】
相関関係記録部516は、例えば、振動計測部320により計測された架空線100の振動データと、歪み計測部310により計測されたスペーサ200の歪みデータとの相関関係を記録するよう構成されている。
【0082】
解析部517は、例えば、振動計測部320により計測された架空線100の振動データに基づいて、振動振幅、振動周波数および捻回角のうち少なくともいずれかを解析するよう構成されている。
【0083】
寿命評価部518は、例えば、上述の歪み履歴および相関関係に基づいてスペーサ200の寿命を評価するよう構成されている。
【0084】
上述の管理制御部500の各部を実現するための所定プログラムは、例えば、管理制御部500が構成するコンピュータにインストールして用いられる。プログラムは、例えば、そのインストールに先立ち、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよい。或いは、プログラムは、例えば、受信部550を通じて当該コンピュータへ提供されるものであってもよい。
【0085】
上述の管理制御部500が機能する各部による異常検知方法およびスペーサ寿命評価方法については、詳細を後述する。
【0086】
(2)異常検知方法およびスペーサ寿命評価方法
次に、図5を参照し、本実施形態の異常検知方法について説明する。図5は、本実施形態に係る異常検知方法を示すフローチャートである。なお、本実施形態の異常検知方法は、スペーサ寿命評価方法と考えてもよい。
【0087】
本実施形態の異常検知方法は、例えば、準備工程S100と、振動計測工程S220と、異常振動判断工程S240と、歪み計測工程S260と、送信工程S280と、情報集約工程S320と、解析工程S340と、寿命評価工程S360と、終了判断工程S380と、を有している。以下、異常検知装置30の各部、および基地局50の各部の動作は、それぞれ、制御部340および管理制御部500により制御される。
【0088】
(S100:準備工程)
まず、異常検知システム10を準備する。
【0089】
具体的には、例えば、送電設備における送電が停止されている期間において、複数のスペーサ200のそれぞれに対して異常検知装置30を設置し、各計測およびデータ送信が可能な状態に異常検知装置30を準備する。また、基地局50をデータ受信可能な状態に準備する。
【0090】
(S220:振動計測工程)
異常検知システム10の準備が完了したら、振動計測部320により、スペーサ200を介して複数の架空線100の振動を計測する。
【0091】
具体的には、加速度センサ321により、x方向、y方向およびz方向における振動の加速度を計測する。また、角速度センサ322により、振動の角速度を計測する。
【0092】
なお、上述の振動計測部320による計測は、連続動作であっても、一定間隔を開けた間欠動作であってもよい。
【0093】
(S240:異常振動判断工程)
次に、異常検知装置30の制御部340は、振動計測工程S220において振動計測部320により計測された振動データに基づいて、複数の架空線100の異常振動を計測したか否かを判断する。
【0094】
具体的には、加速度センサ321により計測されたx方向、y方向およびz方向における振動の加速度が、所定の閾値を超えたか否かを判断する。または、角速度センサ322により計測した振動の角速度が、所定の閾値を超えたか否かを判断する。
【0095】
架空線100の異常振動を計測していないと判断した場合には(S240でNo)、振動計測工程S220を継続する。
【0096】
(S260:歪み計測工程)
架空線100の異常振動を計測したと判断した場合には(S240でYes)、歪み計測部310により、スペーサ200の少なくとも一部の歪みを計測する。
【0097】
具体的には、異常検知装置30の制御部340は、架空線100の異常振動を計測したと判断したときに、所定の計測開始信号を歪み計測部310に送信する。歪み計測部310は、計測開始信号をトリガーとして、スペーサ200の歪みを計測する。歪みを計測したら、歪み計測部310は、スペーサ200の歪みに対応した電圧を制御部340に向けて出力する。歪み計測部310からの電圧を制御部340が取得したら、制御部340は、歪み計測部310により計測されたスペーサ200の歪みデータをメモリ344に記録する。
【0098】
なお、このとき、制御部340は、振動計測部320により計測された架空線100の振動データ(すなわち、架空線100が異常振動してから所定の期間計測された振動データ)もメモリ344に記録する。
【0099】
(S280:送信工程)
歪み計測工程S260が完了したら、異常検知装置30は、歪み計測部310により計測されたスペーサ200の歪みデータと、振動計測部320により計測された架空線100の振動データと、を送信部360により外部に送信する。
【0100】
(S320:情報集約工程)
異常検知装置30の送信部360から歪みデータおよび振動データを送信したら、基地局50は、異常検知装置30からの歪みデータおよび振動データを受信部550により受信し、歪みデータおよび振動データを記憶装置530に集約する。
【0101】
このとき、本実施形態では、受信部550により受信した歪みデータおよび振動データと、架空線100の異常振動をトリガとしてスペーサ200の歪みを計測した回数と、を含む歪み履歴を記憶装置530に記録する。このように記録された歪み履歴に基づいて、後述のようにスペーサ200の寿命を評価することができる。
【0102】
また、このとき、本実施形態では、振動計測部320により計測された架空線100の振動データと、歪み計測部310により計測されたスペーサ200の歪みデータと、の相関関係を記憶装置530に記録する。例えば、スペーサ200に所定の歪みが生じたときに、どのような架空線100の振動が生じていたかを、相関関係として記録する。これにより、振動データと歪みデータとの相関関係に基づいて、後述のようにスペーサ200の寿命を詳細に評価することができる。
【0103】
(S340:解析工程)
各データを記録したら、基地局50は、振動計測部320により計測された架空線100の振動データに基づいて、振動振幅、振動周波数および捻回角のうち少なくともいずれかを解析する。その後、振動データから得られた振動振幅、振動周波数および捻回角のうち少なくともいずれかの解析結果を、歪みデータとの相関関係に記録する。
【0104】
具体的には、例えば、振動周波数と歪みデータとの相関関係に基づいて、サブスパン振動の発生の有無を把握することができる。ここでいう「サブスパン」とは多導体の1相内のスペーサの間隔のことを意味し、「サブスパン振動」とはサブスパン内の架空線100の共振のことを意味する。サブスパン振動における振動周波数は3Hz~5Hz程度と大きくなるため、スペーサ200の破断(破壊)に進展するリスクが高くなる。そこで、上述の解析結果に基づいて、サブスパン振動の発生を把握することで、スペーサ200の破断に進展するリスクを早期に発見することができる。
【0105】
(S360:寿命評価工程)
解析工程S340が完了したら、基地局50は、上述の歪み履歴および相関関係に基づいてスペーサ200の寿命を評価する。
【0106】
このとき、本実施形態では、例えば、歪みデータにおけるスペーサ200の歪みの大きさと、歪みを計測した回数とを乗算することで、歪み履歴の評価値を求める。次に、歪み履歴の評価値が、スペーサ200が破断するおそれを示す所定の限界値を超えたか否かを判断する。歪み履歴の評価値が限界値未満であるときには、スペーサ200が破断するまでの寿命を予測する。一方で、歪み履歴の評価値が限界値超であるときには、すでにスペーサ200が破断するおそれがあるため、スペーサ200の交換を準備する。
【0107】
なお、歪みデータにおけるスペーサ200の歪みの大きさが0となっている場合には、スペーサ200がすでに破断していることを意味する。このため、上述における歪み履歴の評価値の判断を行わずに、スペーサ200の交換を準備する。
【0108】
また、このとき、本実施形態では、上述の解析工程S340において振動データから得られた振動振幅、振動周波数および捻回角のうち少なくともいずれかの解析結果と、歪みデータとの相関関係に基づいて、スペーサ200の寿命を評価してもよい。
【0109】
具体的には、例えば、振動周波数と歪みデータとの相関関係に基づいて、サブスパン振動の発生が把握されたときに、サブスパン振動の振動周波数および発生回数などに基づいて、スペーサ200が破断するまでの寿命を予測してもよい。
【0110】
(S380:終了判断工程)
寿命評価工程S360が完了したら、異常検知システム10による異常検知および寿命評価を終了させるか否かを判断する。
【0111】
具体的には、例えば、寿命評価工程S360の結果に基づいて、スペーサ200が破断するおそれがない場合には、異常検知システム10による異常検知および寿命評価を終了させない(S380でNo)。この場合、振動計測工程S220以降の工程を繰り返す。
【0112】
一方で、例えば、寿命評価工程S360の結果に基づいて、スペーサ200が破断するおそれがある場合には、異常検知システム10による異常検知および寿命評価を終了させる(S380でYes)。この場合、送電設備の送電を停止させる期間を調整し、停電期間内にスペーサ200の交換を実施する。
【0113】
以上により、本実施形態の異常検知工程およびスペーサ寿命評価工程を終了する。
【0114】
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0115】
(a)本実施形態では、歪み計測部310は、スペーサ200の少なくとも一部の歪みを計測するよう構成されている。送信部360は、歪み計測部310により計測されたスペーサ200の歪みデータなどを外部に送信するよう構成されている。
【0116】
ここで、従来では、スペーサに取り付けられた状態で、架空線の振動を検知する装置が、すでに実現化されていた。しかしながら、架空線の振動データは、振動振幅、振動周波数および捻回角などを含んでいた。このため、基地局で振動データを集約しても、どのような振動データの因子がスペーサの破断に影響しているかを直接把握することが困難であった。
【0117】
これに対し、スペーサ200の歪みは、架空線100の振動に起因して生じたスペーサ200の変位そのものであるため、スペーサ200の破断への直接的な影響を把握することができる。
【0118】
そこで、本実施形態では、歪み計測部310によりスペーサ200の歪みを直接計測し、送信部360により歪みデータなどを外部に送信する。その後、スペーサ200から離れた基地局50において歪みデータを受信することで、歪みデータを集約することができる。これにより、スペーサ200の破断に直接影響するスペーサ200の歪みデータに基づいて、スペーサ200の異常を安定的に検知することができる。すなわち、スペーサ200の破断を早期に検知したり、スペーサ200の寿命を評価したりすることが可能となる。
【0119】
(b)本実施形態では、異常検知装置30は、歪み計測部310とともに、振動計測部320を有している。本実施形態の制御部340(計測制御部342a)は、振動計測部320が複数の架空線100の異常振動を計測したときに、スペーサ200の歪みを計測するよう、歪み計測部310を制御する。
【0120】
ここで、例えば、無風状態では、架空線100の異常振動は発生せず、スペーサ200の歪みは発生しない。このため、歪み計測部310により常時連続的に歪みデータを計測すると、制御部340のメモリ334に、必要以上に歪みデータが蓄積し、データ容量が増加してしまうおそれがある。
【0121】
これに対し、本実施形態では、架空線100の異常振動が発生したときにだけ、歪みデータを計測することで、制御部340のメモリ334において、不要な歪みデータの蓄積を抑制することができ、データ容量の過剰な増加を抑制することができる。また、架空線100の異常振動が発生したときの歪みデータの抽出作業を省略することができる。その結果、異常検知装置30および異常検知システム10を効率よく運用することが可能となる。
【0122】
(c)本実施形態では、制御部340(送信制御部342b)は、振動計測部320により計測された架空線100の振動データと、歪み計測部310により計測された歪みデータと、を関連付けながら送信するよう、送信部360を制御する。これにより、基地局50において、架空線100の振動データと、スペーサ200の歪みデータとの相関関係を記憶装置530に記録することができる。
【0123】
その結果、振動データと歪みデータとの相関関係に基づいて、スペーサ200の寿命を詳細に評価することができる。具体的には、例えば、上述のように、振動周波数と歪みデータとの相関関係に基づいて、サブスパン振動の発生の有無を把握することができる。サブスパン振動の発生を把握することで、スペーサ200の破断に進展するリスクを早期に発見することができる。
【0124】
(d)本実施形態では、歪み計測部310は、スペーサ200において複数の架空線100間を連結するフレーム260を溶接した溶接箇所付近の歪みを計測するよう構成されている。これにより、最も破断する可能性が高い溶接個所の歪みを安定的に計測することができる。その結果、溶接箇所の歪みデータに基づいて、スペーサ200の寿命予測の精度を向上させることができる。
【0125】
また、スペーサ200の溶接箇所付近における歪みデータと、架空線100の振動データとの相関関係を評価することで、どのような振動データの因子が、スペーサ200の溶接箇所の破断に影響するかを把握することが可能となる。
【0126】
<本開示の他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0127】
上述の実施形態では、スペーサ200がルーズスペーサとして構成されている場合について説明したが、この場合に限られない。スペーサ200は、ルーズ性を有しない通常のスペーサ(非ルーズスペーサ)として構成されていてもよい。
【0128】
上述の実施形態では、歪み計測部310がスペーサ200の溶接箇所付近を計測するよう構成されている場合について説明したが、この場合に限られない。歪み計測部310は、スペーサ200の他の箇所を計測するよう構成されていてもよい。様々な箇所の計測結果を比較することで、スペーサ200の異常検知の精度を向上させてもよい。
【0129】
上述の実施形態では、異常検知装置30が歪み計測部310とともに振動計測部320を有している場合について説明したが、この場合に限られない。異常検知装置30は、振動計測部320を有していなくてもよい。ただし、異常検知装置30が振動計測部320を有していたほうが、スペーサ200の異常検知の精度を向上させることができるため、好ましい。
【0130】
上述の実施形態では、異常検知装置30の制御部340が図3に示した構成を有する場合について説明したが、この場合に限られない。制御部340は、CPU、RAMおよび記憶装置を有する汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。
【0131】
上述の実施形態では、基地局50の管理制御部500は、CPU、RAMおよび記憶装置を有する汎用のコンピュータとして構成されている場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、基地局50の管理制御部500は、1つの半導体チップにCPU、RAMおよび記憶装置などを搭載したいわゆるワンチップマイコンとして構成されていてもよい。
【0132】
<本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様を付記する。
【0133】
(付記1)
複数の架空線を互いに離間させて連結するスペーサの少なくとも一部の歪みを計測する歪み計測部と、
前記歪み計測部により計測された前記スペーサの歪みデータを外部に送信する送信部と、
を有する
異常検知装置。
【0134】
(付記2)
前記スペーサを介して前記複数の架空線の振動を計測する振動計測部と、
前記歪み計測部、前記振動計測部および前記送信部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記振動計測部が前記複数の架空線の異常振動を計測したときに、前記スペーサの歪みを計測するよう、前記歪み計測部を制御する
付記1に記載の異常検知装置。
【0135】
(付記3)
前記制御部は、前記振動計測部により計測された前記架空線の振動データと、前記歪み計測部により計測された前記歪みデータと、を関連付けながら送信するよう、前記送信部を制御する
付記2に記載の異常検知装置。
【0136】
(付記4)
前記歪み計測部は、前記スペーサにおいて前記複数の架空線間を連結するフレームを溶接した溶接箇所付近の歪みを計測するよう構成されている
付記1から付記3のいずれか1項に記載の異常検知装置。
【0137】
(付記5)
前記歪み計測部は、前記フレームの内周面に取り付けられる
付記4に記載の異常検知装置。
【0138】
(付記6)
前記歪み計測部は、前記スペーサの複数箇所の歪みを計測するよう構成されている
付記1から付記5のいずれか1項に記載の異常検知装置。
【0139】
(付記7)
複数の架空線を互いに離間させて連結するスペーサの少なくとも一部の歪みを計測する歪み計測部と、前記歪み計測部により計測された前記スペーサの歪みデータを外部に送信する送信部と、を有する異常検知装置と、
前記異常検知装置から前記歪みデータを受信し、前記歪みデータを集約する基地局と、
を備える
異常検知システム。
【0140】
(付記8)
前記異常検知装置は、
前記スペーサを介して前記複数の架空線の振動を計測する振動計測部と、
前記歪み計測部、前記振動計測部および前記送信部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記振動計測部が前記複数の架空線の異常振動を計測したときに、前記スペーサの歪みを計測するよう、前記歪み計測部を制御し、
前記基地局は、
前記歪みデータと、前記異常振動をトリガとして前記歪みを計測した回数と、を含む歪み履歴を記録する
付記7に記載の異常検知システム。
【0141】
(付記9)
前記基地局は、前記歪み履歴に基づいて前記スペーサの寿命を評価する
付記8に記載の異常検知システム。
【0142】
(付記10)
前記基地局は、
前記振動計測部により計測された前記架空線の振動データと、前記歪み計測部により計測された前記スペーサの歪みデータとの相関関係を記録する
付記8又は付記9に記載の異常検知システム。
【0143】
(付記11)
複数の架空線を互いに離間させて連結するスペーサの少なくとも一部の歪みを計測する工程と、
前記歪みを計測する工程で計測された前記スペーサの歪みデータを外部に送信する工程と、
を有する
異常検知方法。
【0144】
(付記12)
複数の架空線を互いに離間させて連結するスペーサを介して、前記複数の架空線の異常振動を計測したときに、前記スペーサの少なくとも一部の歪みを計測する工程と、
前記歪みを計測する工程により得られた歪みデータと、前記異常振動をトリガとして前記歪みを計測した回数と、を含む歪み履歴に基づいて、前記スペーサの寿命を評価する工程と、
を有する
スペーサ寿命評価方法。
【0145】
(付記13)
複数の架空線を互いに離間させて連結するスペーサの少なくとも一部の歪みを計測するよう、歪み計測部を制御する計測制御部と、
前記歪み計測部により計測された前記スペーサの歪みデータを外部に送信するよう、送信部を制御する送信制御部と、
としてコンピュータを機能させる
異常検知プログラム、
または、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0146】
(付記14)
複数の架空線を互いに離間させて連結するスペーサを介して、前記複数の架空線の異常振動を計測したときに、前記スペーサの少なくとも一部の歪みを計測するよう、歪み計測部を制御する計測制御部と、
前記歪み計測部により計測された歪みデータと、前記異常振動をトリガとして前記歪みを計測した回数と、を含む歪み履歴に基づいて、前記スペーサの寿命を評価する寿命評価部と、
としてコンピュータを機能させる
スペーサ寿命評価方法、
または、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【符号の説明】
【0147】
10 異常検知システム
30 異常検知装置
50 基地局
100 架空線
200 スペーサ
220 可動把持部
240 固定把持部
260 フレーム
310、310a~310d 歪み計測部
312 増幅回路
320 振動計測部
321 加速度センサ
322 角速度センサ
323x~323z 増幅回路
324x~324z フィルタ
325 フィルタ
334 メモリ
340 制御部
342 CPU
342a 計測制御部
342b 送信制御部
342c 電力制御部
343 セラミック発振子
344 メモリ
345 電池
346 RTC
347 水晶振動子
360 送信部
370 電池
372a~372c レギュレータ
378 ID入力部
380 本体部
390 取付部
500 管理制御部
510 CPU
512 データ集約部
514 歪み履歴記録部
516 相関関係記録部
517 解析部
518 寿命評価部
520 RAM
530 記憶装置
540 I/Oポート
550 受信部
900 鉄塔
図1
図2
図3
図4
図5