(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】車載システム及び運転診断プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20241126BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241126BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241126BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/16 F
G08G1/16 D
G08G1/00 D
G01C21/26 A
(21)【出願番号】P 2021128410
(22)【出願日】2021-08-04
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 將隼
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 朝樹
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一輝
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-108926(JP,A)
【文献】特開2021-056608(JP,A)
【文献】特開2020-095403(JP,A)
【文献】特開2017-102519(JP,A)
【文献】特開2008-070987(JP,A)
【文献】特表2012-514198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/01
G08G 1/16
G08G 1/00
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を推定する自車位置推定部(4a)と、
プローブデータに基づいたプローブデータ地図を自車外部から取得するプローブデータ地図取得部(2a)と、
自車周辺の周辺情報を検知する自律系センサ(12~14)と、
前記自律系センサの検知結果を用いて自車周辺の周辺情報を認識する自車周辺認識部(4b)と、
前記プローブデータ地図を用いて注意箇所を特定する注意箇所特定部(4c)と、
ドライバ状態を認識するドライバ状態認識部(4d)と、
前記プローブデータ地図により示される地物情報と、前記自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報とを照合し、前記プローブデータ地図の品質良否を判定する地図品質判定部(4e)と、
前記プローブデータ地図の品質良が判定されると、その品質良が判定されたプローブデータ地図により示される注意箇所に対してドライバが安全確認を行っているか否かをドライバ状態に基づいて判定する安全確認判定部(4f)と、
前記安全確認判定部の判定結果をドライバに報知する報知制御部(5a)と、を備える車載システム。
【請求項2】
前記安全確認判定部は、前記プローブデータ地図の品質否が判定されると、その品質否が判定されたプローブデータ地図により示される注意箇所に対してドライバが安全確認を行っているか否かを判定しない請求項1に記載した車載システム。
【請求項3】
前記安全確認判定部は、前記プローブデータ地図の品質否が判定されると、前記自律系センサの検知結果により示される注意箇所に対してドライバが安全確認を行っているか否かをドライバ状態に基づいて判定する請求項2に記載した車載システム。
【請求項4】
前記注意箇所特定部は、前記注意箇所としてドライバから死角となる箇所を特定する請求項1から3の何れか一項に記載した車載システム。
【請求項5】
前記報知制御部は、ドライバが安全確認を行っていると判定されると、安全確認を行っていることを示す安全確認の実施情報をドライバに報知する請求項
1から4の何れか一項に記載した車載システム。
【請求項6】
ドライバが安全確認を行っていると判定されると、ドライバへの特典となるポイントに換算されるドライバ運転データを自車外部へ送信する第1ドライバ運転データ送信部(2b)を備える請求項1から5の何れか一項に記載した車載システム。
【請求項7】
前記報知制御部は、ドライバが安全確認を行って
いないと判定されると、安全確認を行って
いないことを示す安全確認の
未実施情報をドライバに報知する請求項1から6の何れか一項に記載した車載システム。
【請求項8】
前記報知制御部は、前記安全確認の未実施情報をドライバに報知することとして、前記安全確認の未実施情報をドライバの視線方向に近い部位に表示すること及び警告音を音出力することの少なくとも何れか一つを行う請求
項7に記載した車載システム。
【請求項9】
ドライバが安全確認を行った以降に適正な運転を行っていると判定されると、ドライバへの特典となるポイントに換算されるドライバ運転データを自車外部へ送信する第2ドライバ運転データ送信部(2c)と、を備える請求項1から8の何れか一項に記載した車載システム。
【請求項10】
ドライバの運転操作に対して介入を行う運転介入実施部(4g)を備え、
前記運転介入実施部は、ドライバが安全確認を行った以降に適正な運転を行っていないと判定されると、ドライバの運転操作に対して介入を行う請求項9に記載した車載システム。
【請求項11】
車載システム(1)に、
自車位置を推定する自車位置推定手順と、
プローブデータに基づいたプローブデータ地図を自車外部から取得するプローブデータ地図取得手順と、
自車周辺の周辺情報を検知する自律系センサの検知結果を用いて自車周辺の周辺情報を認識する自車周辺認識手順と、
前記プローブデータ地図を用いて注意箇所を特定する注意箇所特定手順と、
ドライバ状態を認識するドライバ状態認識手順と、
前記プローブデータ地図により示される地物情報と、前記自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報とを照合し、前記プローブデータ地図の品質良否を判定する地図品質判定手順と、
前記プローブデータ地図の品質良が判定されると、その品質良が判定されたプローブデータ地図により示される注意箇所に対してドライバが安全確認を行っているか否かをドライバ状態に基づいて判定する安全確認判定手順と、
前記安全確認判定手順の判定結果をドライバに報知する報知制御手順と、を実行させる運転診断プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載システム及び運転診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドライバの運転時の運転状態情報を車載システムから運転診断サーバへ送信し、運転診断サーバにおいて、車載システムから受信した運転状態情報に基づいて運転診断を行う構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている手法では、アクセル操作、ブレーキ操作及び速度等の自車の挙動に基づいて運転診断を行う。しかしながら、例えば歩行者、自転車及び対向車の有無等、自車周辺の走行環境は様々であり、自車の挙動だけで運転診断を行う構成では、適切な運転診断結果を得られない場合がある。適切な運転診断結果を得られないと、車両からの安全安心感をドライバに適切に与えることができない問題がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両からの安全安心感をドライバに適切に与えることができる車載システム及び運転診断プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、自車位置推定部(4a)は、自車位置を推定する。プローブデータ地図取得部(2a)は、プローブデータに基づいたプローブデータ地図を自車外部から取得する。自律系センサ(12~14)は、自車周辺の周辺情報を検知する。自車周辺認識部(4b)は、自律系センサの検知結果を用いて自車周辺の周辺情報を認識する。注意箇所特定部(4c)は、プローブデータ地図を用いて注意箇所を特定する。ドライバ状態認識部(4d)は、ドライバ状態を認識する。地図品質判定部(4e)は、プローブデータ地図により示される地物情報と、自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報とを照合し、プローブデータ地図の品質良否を判定する。安全確認判定部(4f)は、プローブデータ地図の品質良が判定されると、その品質良が判定されたプローブデータ地図により示される注意箇所に対してドライバが安全確認を行っているか否かをドライバ状態に基づいて判定する。報知制御部(5a)は、安全確認判定部の判定結果をドライバに報知する。
【0007】
自車の挙動だけで運転診断を行う従来とは異なり、プローブデータ地図を用いて注意箇所を特定し、プローブデータ地図の品質良が判定されると、その品質良が判定されたプローブデータ地図により示される注意箇所に対してドライバが安全確認を行っているか否かをドライバ状態に基づいて判定し、その判定結果をドライバに報知するようにした。注意箇所に対してドライバが安全確認を行っていなければ、その旨を報知してドライバに認識させることで、安全確認への意識をドライバに持たせることができる。注意箇所に対してドライバが安全確認を行っていれば、その旨を報知してドライバに認識させることで、車両からの安全安心感をドライバに適切に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態を示し、車載システムの構成を示す機能ブロック図
【
図2】非車載システムを含む全体構成を示す機能ブロック図
【
図3】プローブデータ送信処理を示すフローチャート
【
図6】車載システムにおいて運転注意情報が表示される態様を示す図
【
図7】車載システムにおいて運転診断結果が表示される態様を示す図
【
図8】携帯情報端末において運転診断結果が表示される態様を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両に搭載されている車載システム1は、データコミュニケーションモジュール(以下、DCM(Data Communication Module)と称する)2と、セントラルECU(Electronic Control Unit)3と、ADAS(Advanced Driver Assistance System)ドメインECU4と、コックピットドメインECU5と、ボデーECU6と、パワートレインドメインECU7とを備える。
【0010】
DCM2及び各ECU3~7は、それぞれCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びI/O(Input/Output)を有するマイクロコンピュータを備える。マイクロコンピュータは、非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行することで、コンピュータプログラムに対応する処理を実行し、DCM2及び各ECU3~7の動作全般を制御する。マイクロコンピュータはプロセッサと同じ意味である。非遷移的実体的記憶媒体は、ハードウェアを他のコンピュータ資源と共有していても良い。DCM2及び各ECU3~7は、連携して車載システム1の動作全般を制御する。
【0011】
車載システム1は、
図2に示すように、例えばデジタル通信回線を含む通信ネットワークを介して地図生成サーバ8及び運転データ管理サーバ9とデータ通信可能に接続される。地図生成サーバ8は、OEMやデータサプライヤ等により管理されるサーバであり、複数のプローブデータを統合してプローブデータ地図を生成する機能を有する。運転データ管理サーバ9は、OEMやデータサプライヤ等により管理されるサーバであり、ドライバ運転データを管理する機能を有する。又、運転データ管理サーバ9は、通信ネットワークを介して提携サービスサーバ10とデータ通信可能に接続される。提携サービスサーバ10は、ドライバに付与するポイントを管理する機能を有する。ドライバに付与されるポイントは、例えば自動車保険の保険料、駐車場の利用料金、車両のメンテナンス費用、OTA課金、物品の購入料金、映画館や飲食店等の施設の利用料金等の様々な用途の対価として利用可能である。
【0012】
車載システム1と地図生成サーバ8及び運転データ管理サーバ9とは複数対一の関係にある。即ち、複数の車両に搭載されている複数の車載システム1が一の地図生成サーバ8とデータ通信可能に接続され、複数の車両に搭載されている複数の車載システム1が一の運転データ管理サーバ9とデータ通信可能に接続される。
【0013】
DCM2は、車載通信機としてV2X(Vehicle to X)の通信機能を有し、上記した地図生成サーバ8及び運転データ管理サーバ9を含むインフラ設備等との間のデータ通信における車両側の通信制御を行う。DCM2は、プローブデータ地図取得部2aと、第1ドライバ運転データ送信部2bと、第2ドライバ運転データ送信部2cとを備える。
【0014】
セントラルECU3は、ADASドメインECU4、コックピットドメインECU5及びパワートレインドメインECU7を統合管理する。ADASドメインECU4は、自車位置推定部4aと、自車周辺認識部4bと、注意箇所特定部4cと、ドライバ状態認識部4dと、地図品質判定部4eと、安全確認判定部4fと、運転介入実施部4gとを備える。コックピットドメインECU5は、報知制御部5aを備える。
【0015】
ロケータ11は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から受信されたGNSS衛星信号に含まれる各種パラメータを用いて位置座標を計算し、その計算した位置座標をジャイロセンサや車速センサ等の検知結果により補正し、その補正した位置座標を自車位置推定部4aへ出力する。尚、GNSSは、汎地球測位航法衛星システムの総称であり、GPS(Global Positioning System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、Galileo、BeiDou、IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)等の多様なシステムが実現されている。自車位置推定部4aは、ロケータ11から位置座標を入力すると、その入力した位置座標を用いて自車位置を推定し、その推定した自車位置をDCM2へ出力する。
【0016】
ミリ波レーダ12は、ミリ波を自車周辺へ照射して自車周辺をセンシングし、その検知結果を自車周辺認識部4bへ出力する。ミリ波レーダ12は、直進性が強い、回路やアンテナ設計の小型化が可能である、広帯域幅により高距離分解能及び高角度分解能である、天候等の環境変化に強い等の利点がある。ソナー13は、例えば超音波を自車周辺へ照射して自車周辺をセンシングし、その検知結果を自車周辺認識部4bへ出力する。ソナー13は、ガラス面や水面にも反射する等の利点がある。LiDAR(Light Detection and Ranging)14は、レーザ光を自車周辺へ照射して自車周辺をセンシングし、その検知結果を自車周辺認識部4bへ出力する。LiDAR14は、非金属にも反射する、夜間や降雨でも検知可能である等の利点がある。カメラ15は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の画像センサを含み、自車周辺を撮像し、その撮像したカメラ画像を自車周辺認識部4bへ出力する。ミリ波レーダ12、ソナー13、LiDAR14及びカメラ15は、自律系センサに相当する。尚、ミリ波レーダ12、ソナー13、LiDAR14及びカメラ15の全てを備える必要はなく、少なくとも何れか一つの自律系センサを備える構成でも良い。又、ミリ波レーダ12、ソナー13、LiDAR14及びカメラ15とは別の自律系センサを備える構成でも良い。
【0017】
自車周辺認識部4bは、ミリ波レーダ12から検知結果を入力し、ソナー13から検知結果を入力し、LiDAR14から検知結果を入力し、カメラ15からカメラ画像を入力すると、その入力した検知結果及びカメラ画像を用いて自車周辺を認識し、その認識した自車周辺の周辺情報をDCM2、地図品質判定部4e、安全確認判定部4f及び運転介入実施部4gへ出力する。周辺情報には、静的な情報として、道路の路面上にペイントされている区画線、停止線、横断歩道等の位置や種別、道路の路面上から立設されている信号機、道路標識等の位置や種別、道路幅、道路種別、車線数等の地物情報が含まれる。又、周辺情報には、動的静的な情報として、歩行者、自転車及び対向車の位置等が含まれる。
【0018】
DCM2は、自車位置推定部4aから自車位置を入力し、自車周辺認識部4bから自車周辺の周辺情報を入力すると、その入力した自車位置と自車周辺の周辺情報と時刻とが対応付けられたプローブデータを通信ネットワークを介して地図生成サーバ8へ送信する。この場合、DCM2は、例えば走行距離が一定距離に達したタイミング、経過時間が一定時間に達したタイミング等でプローブデータを通信ネットワークを介して地図生成サーバ8へ送信する。
【0019】
地図生成サーバ8は、車載システム1から送信されたプローブデータを受信すると、複数のプローブデータを統合してプローブデータ地図を生成する。地図生成サーバ8は、例えば車載システム1から送信されたプローブデータを受信する毎に、その受信したプローブデータに含まれる地物情報を、その時点で保存している最新のプローブデータ地図に逐次反映させることでプローブデータ地図を逐次更新する。
【0020】
地図生成サーバ8は、プローブデータ地図の送信条件が成立すると、その時点で保存している最新のプローブデータ地図を車載システム1へ送信する。地図生成サーバ8は、例えばプローブデータ地図を区画毎のセグメント単位で管理しており、車載システム1から送信された自車位置を受信すると、その受信した自車位置に対応するセグメントのプローブデータ地図を特定し、その特定したプローブデータ地図を、通信ネットワークを介して自車位置の送信元である車載システム1へ送信する。
【0021】
DCM2において、プローブデータ地図取得部2aは、地図生成サーバ8から送信されたプローブデータ地図を受信すると、その受信したプローブデータ地図を注意箇所特定部4c及び地図品質判定部4eへ出力する。
【0022】
地図品質判定部4eは、自車周辺認識部4bから自車周辺の周辺情報を入力し、DCM2からプローブデータ地図を入力すると、そのプローブデータ地図と自車周辺の周辺情報とを照合し、プローブデータ地図の品質良否を判定する。地図品質判定部4eは、例えばプローブデータ地図により示される地物情報と、自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報とが一致するか否かを判定し、プローブデータ地図の品質良否を判定する。具体的には、地図品質判定部4eは、プローブデータ地図により示される地物の位置及び種別と、自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報に含まれる地物の位置及び種別とが一致するか否かを判定し、プローブデータ地図の品質良否を判定する。
【0023】
地図品質判定部4eは、例えばプローブデータ地図により示される地物情報が自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報と一致する一致度を数値化し、その数値化した数値を閾値と比較する。地図品質判定部4eは、プローブデータ地図により示される地物情報と自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報とのずれが小さく、その一致度を示す数値が閾値以上であると判定すると、プローブデータ地図の品質良を判定する。地図品質判定部4eは、プローブデータ地図の品質良を判定すると、その品質良と判定したプローブデータ地図を注意箇所特定部4cへ出力する。一方、地図品質判定部4eは、プローブデータ地図により示される地物情報と自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報とのずれが大きく、その一致度を示す数値が閾値未満であると判定すると、プローブデータ地図の品質否を判定する。
【0024】
外部アレイマイク16は、自車周辺を集音した音声情報を注意箇所特定部4cへ出力する。外部アレイマイク16も、上記したミリ波レーダ12、ソナー13、LiDAR14及びカメラ15と同様に自律系センサに相当する。注意箇所特定部4cは、地図品質判定部4eからプローブデータ地図を入力すると、注意箇所を特定し、その特定結果を安全確認判定部4fへ出力する。注意箇所とは、例えば交差点の死角等であり、ドライバが運転中において安全確認を必要とする箇所である。この場合、注意箇所特定部4cは、外部アレイマイク16から音声情報を入力すると、その入力した音声情報も参考にして注意箇所を特定する。尚、注意箇所特定部4cは、地図品質判定部4eからプローブデータ地図を入力しない場合には、自律系センサの検知結果を用いて注意箇所を特定し、その特定結果を安全確認判定部4fへ出力する。
【0025】
ドライバの状態を監視するドライバステータスモニタ(登録商標)(以下、DSM(Driver Status Monitor)と称する)17は、ドライバの顔をドライバモニタカメラにより撮像し、ドライバの顔画像から顔向き、視線方向、首振り等を判定し、その判定結果をドライバ状態認識部4dへ出力する。
【0026】
ドライバ状態認識部4dは、DSM17から判定結果を入力すると、その判定結果を用いてライバ状態を認識し、その認識したドライバ状態を示すドライバ状態情報をDCM2、安全確認判定部4f及び運転介入実施部4gへ出力する。
【0027】
安全確認判定部4fは、自車周辺認識部4bから自車周辺の周辺情報を入力し、ドライバ状態認識部4dからドライバ状態情報を入力すると、その入力した自車周辺の周辺情報とドライバ状態情報とを用いてアラートを発動する必要があるか否かを判定する。安全確認判定部4fは、注意箇所が発生している状況においてドライバの視線方向が当該注意箇所の方向に向いているか否かを判定し、ドライバが安全確認を行っているか否かをドライバ状態に基づいて判定し、アラートを発動する必要があるか否かを判定する。
【0028】
安全確認判定部4fは、ドライバの視線方向が注意箇所の方向に向いていると判定すると、アラートを発動する必要がないと判定する。一方、安全確認判定部4fは、ドライバの視線方向が注意箇所の方向に向いていないと判定すると、アラートを発動する必要があると判定し、報知指示を報知制御部5aへ出力する。報知制御部5aは、安全確認判定部4fから報知指示を入力すると、駆動指示をヘッドアップディスプレイ(以下、HUD(Head-Up Display)と称する)18、スピーカ19及びアンビエント灯20へ出力すると共に、報知指示をボデーECU6へ出力する。報知制御部5aは、HUD18、スピーカ19、アンビエント灯20及びサイド電子ミラー21においてドライバの視線方向に近い箇所にアラートを発動し、ドライバが安全確認を行っていないことを示す安全確認の未実施情報をドライバに報知する。
【0029】
アラートは、例えば注意箇所への安全確認を促すメッセージやアイコン等である。ドライバの視線方向が自車進行方向の真前方を向いていれば、報知制御部5aは、例えばHUD18のドライバ正面にメッセージやアイコン等を表示させる。ドライバの視線方向が自車進行方向の右寄り前方を向いていれば、報知制御部5aは、例えばHUD18のドライバ正面右寄りにメッセージやアイコン等を表示させる。ドライバの視線方向が自車進行方向の左寄り前方を向いていれば、報知制御部5aは、例えばHUD18のドライバ正面左寄りにメッセージやアイコン等を表示させる。又、報知制御部5aは、例えば注意箇所への安全確認を促すメッセージをスピーカ19から音出力させても良い。このようにしてアラートが発動されることで、注意箇所に対しての注意が疎かになっていることをドライバに自覚させることができる。
【0030】
尚、DCM2において、第1ドライバ運転データ送信部2bは、ドライバの視線方向が注意箇所の方向に向いており、アラートを発動する必要がないと安全確認判定部4fにより判定された場合には、ドライバの視線方向が注意箇所の方向に向いていること、即ち、ドライバが安全確認を行っていることに対してポイントを付与すべくドライバ運転データを通信ネットワークを介して運転データ管理サーバ9へ送信する。ドライバ運転データには、ドライバを特定可能なドライバ情報、自車走行位置、アクセル操作、ブレーキ操作、ステアリング操作及び速度等の自車の挙動を示す情報が含まれる。
【0031】
運転データ管理サーバ9は、車載システム1から送信されたドライバ運転データを受信すると、その受信したドライバ運転データを提携サービスサーバ10へ送信する。提携サービスサーバ10は、運転データ管理サーバ9から送信されたドライバ運転データを受信すると、その受信したドライバ運転データを用いて運転診断を行い、その運転診断結果に応じたポイントをドライバに対応付けて付与する。提携サービスサーバ10は、運転診断結果に関係なく一定数のポイントを付与しても良いし、運転診断結果の高低に応じて異なる数のポイントを付与しても良い。提携サービスサーバ10は、このようにしてポイントをドライバに対応付けて付与すると、ポイントを付与したことをドライバに通知するためのポイントデータを運転データ管理サーバ9へ送信する。
【0032】
運転データ管理サーバ9は、提携サービスサーバ10から送信されたポイントデータを受信すると、その受信したポイントデータをDCM2へ送信する。DCM2は、運転データ管理サーバ9から送信されたポイントデータを受信すると、その受信したポイントデータを安全確認判定部4fへ出力する。安全確認判定部4fは、DCM2からポイントデータを入力すると、報知指示を報知制御部5aへ出力する。
【0033】
報知制御部5aは、安全確認判定部4fから報知指示を入力すると、駆動指示をHUD18、スピーカ19、アンビエント灯20へ出力し、ポイントが付与されたことを示すポイント付与情報を報知し、ドライバが安全確認を行っていることを示す安全確認の実施情報をドライバに報知する。ポイント付与情報は、例えばポイントを付与したことをドライバに通知するためのメッセージやアイコン等であり、報知制御部5aは、例えばHUD18にメッセージやアイコン等を表示させる。又、報知制御部5aは、例えば「チャリン」というような硬貨が落ちたことを表現する効果音やポイントが付与されたことを示すメッセージをスピーカ19から音出力させても良い。このようにしてポイント付与情報が報知されることで、注意箇所に対して安全確認を行ったことでポイントが付与されたことをドライバに認識させることができ、注意箇所に対しての安全確認を継続して行う意識をドライバに持たせることができる。
【0034】
エアバック22に付帯されているセンサ群23は、例えば車速センサ、加速度センサ及びヨーレートセンサを含み、それぞれ車速、加速度及びヨーレートを検知し、その検知結果を運転介入実施部4gへ出力する。センサ群23は、ADASドメインECU4又はセントラルECU3に付帯されていても良い。
【0035】
運転介入実施部4gは、自車周辺認識部4bから自車周辺の周辺情報を入力し、ドライバ状態認識部4dからドライバ状態情報を入力し、エアバック22に付帯されているセンサ群23から検知結果を入力すると、その入力した自車周辺の周辺情報とドライバ状態情報と検知結果とを用いてドライバの運転操作に対して介入を行う必要があるか否かを判定する。運転介入実施部4gは、例えばドライバの視線方向が自車進行方向に向いているか否か、自車進行方向が危険であるか否か、車速、加速度及びヨーレートが正常であるか否か等を判定し、ドライバの運転操作に対して介入を行う必要があるか否かを判定する。
【0036】
運転介入実施部4gは、例えばドライバの視線方向が自車進行方向に向いている、自車進行方向が危険でない、車速、加速度及びヨーレートが正常であると判定し、ドライバの運転が適切であると判定すると、ドライバの運転操作に対して介入を行う必要がないと判定する。一方、運転介入実施部4gは、例えばドライバの視線方向が自車進行方向に向いていない、自車進行方向が危険である、車速、加速度及びヨーレートが正常でないの何れかを判定し、ドライバの運転が適切でないと判定すると、ドライバの運転操作に対して介入を行う必要があると判定し、運転介入指示をパワートレインドメインECU7へ出力する。
【0037】
パワートレインドメインECU7は、運転介入実施部4gから運転介入指示を入力すると、運転介入指示をブレーキ装置24へ出力する。ブレーキ装置24に付帯されているセンサ群25は、例えば車速センサ、加速度センサ及びヨーレートセンサを含み、それぞれ車速、加速度及びヨーレートを検知し、その検知結果をブレーキ装置24へ出力する。センサ群25は、パワートレインドメインECU7又はセントラルECU3に付帯されていても良い。ブレーキ装置24は、パワートレインドメインECU7から運転介入指示を入力すると、例えばセンサ群25の検知結果を用いて衝突被害軽減ブレーキ(以下、AEB(Autonomous Emergency Braking)と称する)制御を行う。尚、運転操作に対する介入としてはAEB制御に加え、操舵制御や姿勢制御等を行っても良く、例えば横滑り防止制御(以下、ESC(Electronic Stability Control)を行っても良い。
【0038】
DCM2において、第2ドライバ運転データ送信部2cは、例えばドライバの視線方向が自車進行方向に向いており、自車進行方向が危険でなく、車速、加速度及びヨーレートが正常であると判定され、ドライバの運転操作に対して介入を行う必要がないと判定された場合には、ドライバの運転操作に対して介入を行う必要がないこと、即ち、ドライバが安全確認を行った以降においても安全運転を継続して行っていることに対してポイントを付与すべくドライバ運転データを通信ネットワークを介して運転データ管理サーバ9へ送信する。以下、運転データ管理サーバ9及び提携サービスサーバ10は、上記した第1ドライバ運転データ送信部2bがドライバ運転データを送信したときと同様の処理を行い、ポイントをドライバに対応付けて付与する。
【0039】
上記したようにドライバが運転中にポイント付与情報が車載システム1で報知されるが、ドライバが運転終了時に運転診断結果が車載システム1で報知されても良い。又、例えばスマートフォン等のドライバの携帯情報端末のアドレスが予め登録されていることで、ドライバが運転終了時に運転診断結果が運転データ管理サーバ9から通信ネットワークを介してドライバの携帯情報端末へ送信され、運転診断結果が携帯情報端末で報知されても良い。
【0040】
次に、上記した構成の作用について
図3から
図8を参照して説明する。車載システム1が行う処理としてプローブデータ送信処理及び運転診断処理について説明する。車載システム1は、プローブデータ送信プログラムによりプローブデータ送信処理を行い、運転診断プログラムにより運転診断処理を行う。
【0041】
(1)プローブデータ送信処理(
図3参照)
車載システム1は、例えばイグニッションオンによりプローブデータ送信処理の開始条件が成立すると、プローブデータ送信処理を開始する。車載システム1は、プローブデータ送信処理を開始すると、ロケータ11から入力した位置座標を用いて自車位置推定部4aにより自車位置を推定する(S1)。車載システム1は、ミリ波レーダ12入力した検知結果、ソナー13から入力した検知結果、LiDAR14から入力した検知結果及びカメラ15から入力したカメラ画像を用いて自車周辺認識部4bにより自車周辺を認識する(S2)。車載システム1は、自車位置推定部4aにより推定した自車位置と、自車周辺認識部4bにより認識した自車周辺の周辺情報と、時刻とを対応付けてプローブデータを生成し(S3)、その生成したプローブデータをデータ保存領域に保存する(S4)。
【0042】
車載システム1は、プローブデータの送信条件が成立したか否かを判定し(S5)、例えば走行距離が一定距離に達したタイミング、経過時間が一定時間に達したタイミング等でプローブデータの送信条件が成立したと判定すると(S5:YES)、データ保存領域に保存されているプローブデータをDCM2から通信ネットワークを介して地図生成サーバ8へ送信する(S6)。
【0043】
車載システム1は、例えばイグニッションオフによりプローブデータ送信処理の終了条件が成立したか否かを判定し(S7)、イグニッションオンのままでプローブデータ送信処理の終了条件が成立していないと判定すると(S7:NO)、上記したステップS1に戻り、ステップS1以降を繰り返す。車載システム1は、イグニッションオフによりプローブデータ送信処理の終了条件が成立したと判定すると(S7:YES)、プローブデータ送信処理を終了する。
【0044】
(2)運転診断処理(
図4から
図5参照)
車載システム1は、例えばイグニッションオンにより運転診断処理の開始条件が成立すると、運転診断処理を開始する。車載システム1は、運転診断処理を開始すると、ロケータ11から入力した位置座標を用いて自車位置推定部4aにより自車位置を推定する(S11、自車位置推定手順に相当する)。車載システム1は、ミリ波レーダ12入力した検知結果、ソナー13から入力した検知結果、LiDAR14から入力した検知結果及びカメラ15から入力したカメラ画像を用いて自車周辺認識部4bにより自車周辺を認識する(S12)。
【0045】
車載システム1は、自車位置推定部4aにより推定した自車位置をDCM2から通信ネットワークを介して地図生成サーバ8へ送信し(S13)、地図生成サーバ8からのプローブデータ地図の受信を待機する(S14)。地図生成サーバ8は、車載システム1から送信された自車位置を受信すると、その受信した自車位置に対応するセグメントのプローブデータ地図を特定し、その特定したプローブデータ地図を、通信ネットワークを介して自車位置の送信元である車載システム1へ送信する。尚、S11~S13を、プローブデータ送信処理のS1~S6で行っても良い。即ち、車載システム1は、プローブデータを送信することで自車位置を送信しても良く、地図生成サーバ8は、車載システム1から送信されたプローブデータを受信すると、その受信したプローブデータから自車位置を特定し、その特定した自車位置に対応するセグメントのプローブデータ地図を特定し、その特定したプローブデータ地図を、通信ネットワークを介して自車位置の送信元である車載システム1へ送信しても良い。
【0046】
車載システム1は、地図生成サーバ8から送信されたプローブデータ地図をDCM2により受信したと判定すると(S14:YES、プローブデータ地図取得手順に相当する)、その受信したプローブデータ地図と自車周辺の周辺情報とを照合し(S15)、プローブデータ地図の品質を地図品質判定部4eにより判定する(S16)。車載システム1は、プローブデータ地図により示される地物情報と自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報とのずれが小さく、プローブデータ地図の品質良を判定すると(S16:YES)、その品質良と判定したプローブデータ地図を用いて注意箇所を特定する(S17)。
【0047】
一方、車両システム1は、プローブデータ地図により示される地物情報と自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報とのずれが大きく、プローブデータ地図の品質否を判定すると(S16:NO)、自律系センサの検知結果を用いて注意箇所を特定する(S18、注意箇所特定手順に相当する)。
【0048】
車載システム1は、ドライバモニタカメラにより撮像したドライバの顔画像の判定結果を入力し、ドライバ状態をドライバ状態認識部4dにより認識する(S19、ドライバ状態認識手順に相当する)。車載システム1は、注意箇所が発生している状況においてドライバの視線方向が当該注意箇所の方向に向いているか否かを判定し、ドライバが安全確認を行っているか否かをドライバ状態に基づいて判定し、アラートを発動する必要があるか否かを安全確認判定部4fにより判定する(S20、安全確認判定手順に相当する)。
【0049】
車載システム1は、ドライバの視線方向が注意箇所の方向に向いていると判定し、アラートを発動する必要がないと判定すると(S20:NO)、ドライバが安全確認を行っていることに対してポイントを付与すべくドライバ運転データをDCM2から通信ネットワークを介して運転データ管理サーバ9へ送信し(S21)、運転データ管理サーバ9からのポイントデータの受信を待機する(S22)。
【0050】
運転データ管理サーバ9は、車載システム1から送信されたドライバ運転データを受信すると、その受信したドライバ運転データを提携サービスサーバ10へ送信する。提携サービスサーバ10は、運転データ管理サーバ9から送信されたドライバ運転データを受信すると、その受信したドライバ運転データを用いて運転診断を行い、その運転診断結果に応じたポイントをドライバに対応付けて付与し、ポイントを付与したことをドライバに通知するためのポイントデータを運転データ管理サーバ9へ送信する。運転データ管理サーバ9は、提携サービスサーバ10から送信されたポイントデータを受信すると、その受信したポイントデータを車載システム1へ送信する。
【0051】
車載システム1は、運転データ管理サーバ9から送信されたポイントデータをDCM2により受信したと判定すると(S22:YES)、HUD18、スピーカ19、アンビエント灯20等を駆動し、ポイントが付与されたことを示すポイント付与情報を報知制御部5aにより報知する(S23、報知制御手順に相当する)。
【0052】
一方、車載システム1は、ドライバの視線方向が注意箇所の方向に向いていないと判定し、アラートを発動する必要があると判定すると(S20:YES)、HUD18、スピーカ19、アンビエント灯20等を駆動し、ドライバの視線方向に近い箇所にアラートを報知制御部5aにより発動する。(S24、報知制御手順に相当する)。即ち、
図6に示すように、車載システム1は、例えば自車左前方において建物Aの陰から歩行者Bが飛び出す可能性があり、自車左前方を注意箇所として特定したが、ドライバの視線方向が自車左前方の方向に向いていないと判定すると、アラートを発動する必要があると判定する。車載システム1は、例えばドライバの視線方向が自車進行方向の真前方を向いていると判定すると、例えばドライバ正面に「左前方注意」等のメッセージMをHUD18により表示させる。尚、アラートの発動をドライバが認識可能であれば、アラートを発動する態様はどのような態様でも良い。
【0053】
車載システム1は、ポイント付与情報を報知制御部5aにより報知した以降では、自車周辺の周辺情報を入力し、ドライバ状態情報を入力し、エアバック22に付帯されているセンサ群23から検知結果を入力し、ドライバの運転操作に対して介入を行う必要があるか否かを運転介入実施部4gにより判定する(S25)。車載システム1は、例えばドライバの視線方向が自車進行方向に向いており、自車進行方向が危険でなく、車速、加速度及びヨーレートが正常であると判定し、ドライバの運転操作に対して介入を行う必要がないと判定すると(S25:NO)、ドライバが安全確認を行った以降においても安全運転を継続して行っていることに対してポイントを付与すべくドライバ運転データをDCM2から通信ネットワークを介して運転データ管理サーバ9へ送信し(S26)、運転データ管理サーバ9からのポイントデータの受信を待機する(S27)。
【0054】
運転データ管理サーバ9は、車載システム1から送信されたドライバ運転データを受信すると、その受信したドライバ運転データを提携サービスサーバ10へ送信する。提携サービスサーバ10は、運転データ管理サーバ9から送信されたドライバ運転データを受信すると、その受信したドライバ運転データを用いて運転診断として安全運転の度合いを評価し、その運転診断結果に応じたポイントをドライバに対応付けて付与し、ポイントを付与したことをドライバに通知するためのポイントデータを運転データ管理サーバ9へ送信する。運転データ管理サーバ9は、提携サービスサーバ10から送信されたポイントデータを受信すると、その受信したポイントデータを車載システム1へ送信する。
【0055】
車載システム1は、運転データ管理サーバ9から送信されたポイントデータをDCM2により受信したと判定すると(S27:YES)、HUD18、スピーカ19、アンビエント灯20等を駆動し、ポイントが付与されたことを示すポイント付与情報を報知制御部5aにより報知する(S28)。
【0056】
一方、車載システム1は、例えばドライバの視線方向が自車進行方向に向いていない、自車進行方向が危険である、車速、加速度及びヨーレートが正常でない、の何れかを判定し、ドライバの運転操作に対して介入を行う必要があると判定すると(S25:YES)、例えばABS制御をパワートレインドメインECU7により行い、ドライバの運転操作に対して介入を行う(S29)。
【0057】
車載システム1は、例えばイグニッションオフにより運転診断処理の終了条件が成立したか否かを判定し(S30)、イグニッションオンのままで運転診断処理の終了条件が成立していないと判定すると(S30:NO)、上記したステップS11に戻り、ステップS11以降を繰り返す。車載システム1は、イグニッションオフにより運転診断処理の終了条件が成立したと判定すると(S30:YES)、例えば運転診断結果をセンターディスプレイやメータディスプレイ等に表示させ(S31)、運転診断処理を終了する。
図7に示すように、車載システム1は、例えばデータ管理センタ9が6個の項目A~Fについて行った運転診断結果をセンターディスプレイやメータディスプレイ等に表示させる。6個の項目A~Fは、それぞれドライバの運転が安全であるか否かを示す指標の一つであり、例えば急加速の頻度、急減速の頻度、急操舵の頻度等を5段階で評価するものである。
【0058】
又、
図8に示すように、ドライバの携帯情報端末51は、運転データ管理サーバ9から送信された運転診断結果を受信すると、その受信した運転診断結果をディスプレイ52に表示させる。尚、運転診断結果をドライバが認識可能であれば、車載システム1のセンターディスプレイやメータディスプレイ等に表示される運転診断結果及び携帯情報端末51のディスプレイ52に表示される運転診断結果は、どのような態様で表示されても良い。
【0059】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
車載システム1において、自車の挙動だけで運転診断を行う従来とは異なり、プローブデータ地図を用いて注意箇所を特定し、注意箇所に対してドライバが安全確認を行っているか否かをドライバ状態に基づいて判定し、その判定結果をドライバに報知するようにした。注意箇所に対してドライバが安全確認を行っていなければ、その旨をドライバに報知して認識させることで、安全確認への意識をドライバに持たせることができる。注意箇所に対してドライバが安全確認を行っていれば、その旨をドライバに報知して認識させることで、車両からの安全安心感をドライバに適切に与えることができる。
【0060】
プローブデータ地図により示される地物情報と自律系センサの検知結果により示される自車周辺の周辺情報とを照合し、プローブデータ地図の品質良を判定すると、その品質良が判定されたプローブデータ地図により示される注意箇所に対してドライバが安全確認を行っているか否かをドライバ状態に基づいて判定するようにした。信頼性が高いプローブデータ地図を用いて注意箇所を特定する精度を高めた上で、注意箇所に対してドライバが安全確認を行っているか否かを判定することができる。
【0061】
プローブデータ地図の品質否を判定すると、その品質否が判定されたプローブデータ地図により示される注意箇所に対してドライバが安全確認を行っているか否かを判定せず、自律系センサの検知結果により示される注意箇所に対してドライバが安全確認を行っているか否かをドライバ状態に基づいて判定するようにした。プローブデータ地図の信頼性が低い場合には、自律系センサの検知結果を用いて注意箇所を特定することで、注意箇所に対してドライバが安全確認を行っているか否かを判定することができる。
【0062】
ドライバが安全確認を行っていると判定すると、ドライバへの特典となるポイントに換算されるドライバ運転データをデータ管理サーバ9へ送信するようにした。ドライバが安全確認を行っていることに対してポイントを付与するサービスを展開することができる。ドライバにおいては、安全確認を行うことでポイントを獲得することができる。
【0063】
ドライバが安全確認を行った以降に適正な運転を行っていると判定すると、ドライバへの特典となるポイントに換算されるドライバ運転データをデータ管理サーバ9へ送信するようにした。ドライバが安全確認を行った以降に適正な運転を行っていることに対してポイントを付与するサービスを展開することができる。ドライバにおいては、安全確認を行った以降に適正な運転を行うことでポイントを更に獲得することができる。
【0064】
ドライバが安全確認を行った以降に適正な運転を行っていないと判定すると、ドライバの運転操作に対して介入を行うようにした。ドライバが安全確認を行った以降に適正な運転を行っていないことに対して例えばABS制御等を行うことで適切に対処することができる。
【0065】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0066】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【符号の説明】
【0067】
図面中、1は車載システム、2aはプローブデータ地図取得部、2bは第1ドライバ運転データ送信部、2cは第2ドライバ運転データ送信部、4aは自車位置推定部、4bは自車周辺認識部、4cは注意箇所特定部、4dはドライバ状態認識部、4eは地図品質判定部、4fは安全確認判定部、4gは運転介入実施部、5aは報知制御部、12はミリ波レーダ(自律系センサ)、13はソナー(自律系センサ)、14はLiDAR(自律系センサ)、15はカメラ(自律系センサ)、16は外部アレイマイク(自律系センサ)である。