(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/54 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
H01H50/54 E
H01H50/54 B
(21)【出願番号】P 2021152607
(22)【出願日】2021-09-17
【審査請求日】2024-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】堀江 彩太
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 博之
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 亮太
(72)【発明者】
【氏名】小川 真一
(72)【発明者】
【氏名】大塚 航平
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-161639(JP,A)
【文献】特開2011-228245(JP,A)
【文献】実開昭57-048541(JP,U)
【文献】特開2017-195161(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0139398(KR,A)
【文献】特開2021-048092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動方向に移動可能に設けられ、前記移動方向に延びる駆動軸と、
前記駆動軸を前記移動方向に移動させる駆動装置と、
前記駆動軸に接続される中心部を含み、長手方向に延びる可動片と、
前記可動片と向かい合う第1固定端子と、
前記可動片と向かい合い、前記長手方向に前記第1固定端子から離れて配置された第2固定端子と、
を備え、
前記可動片は、
前記第1固定端子と接触する第1接触部と、
前記第2固定端子と接触する第2接触部と、
を含み、
前記第1接触部は、前記中心部を通り前記長手方向に延びる前記可動片の中心線に対して偏心して配置される、
電磁継電器。
【請求項2】
前記第2接触部は、前記可動片の中心線に対して偏心して配置される、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記第1接触部と前記第2接触部とは、前記中心線に対して互いに反対側に偏心している、
請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記第1接触部と前記第2接触部とは、前記中心部に対して点対称に配置される、
請求項1から3のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記可動片は、前記第1接触部に隣接して配置される第1切り欠きを含む、
請求項1から4のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記可動片は、前記第2接触部に隣接して配置される第2切り欠きを含む、
請求項5に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記第1切り欠きと前記第2切り欠きとは、前記中心部に対して点対称に配置される、
請求項6に記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記第1固定端子は、前記第1切り欠きに隣接して配置される第3切り欠きを含む、
請求項5から7のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項9】
前記第2固定端子は、前記第2切り欠きに隣接して配置される第4切り欠きを含む、
請求項6又は7に記載の電磁継電器。
【請求項10】
前記可動片は、前記第1接触部に隣接して配置される第1凹部を含む、
請求項1から9のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項11】
前記可動片は、前記第2接触部に隣接して配置される第2凹部を含む、
請求項10に記載の電磁継電器。
【請求項12】
前記第1凹部と前記第2凹部とは、前記中心部に対して点対称に配置される、
請求項11に記載の電磁継電器。
【請求項13】
前記第1接触部は、前記可動片の表面に対して傾斜した第1接触面を含む、
請求項1から12のいずれかに記載の電磁継電器。
【請求項14】
前記第2接触部は、前記可動片の表面に対して傾斜した第2接触面を含む、
請求項13に記載の電磁継電器。
【請求項15】
前記第1接触面と前記第2接触面とは、前記中心線に対して、互いに反対の方向に傾斜している、
請求項14に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁継電器には、プランジャ型と呼ばれる種類のものがある。プランジャ型の電磁継電器は、可動片と、第1可動接点と、第2可動接点と、駆動軸と、コイルと、可動鉄心とを備えている(例えば特許文献1参照)。第1,第2可動接点は、可動片の長手方向に互いに離れて配置され、可動片に接続されている。駆動軸は、可動片の中心部に接続されている。駆動軸は、可動片の移動方向に延びている。駆動軸は、可動鉄心に接続されている。コイルによる磁力によって可動鉄心が移動することで、可動片が移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したプランジャ型の電磁継電器では、第1可動接点の中心と第2可動接点の中心とは、可動片の中心線上に位置するように配置される。この場合、短絡電流によって発生する反発力が、可動片の移動方向と平行、且つ、接点が乖離する方向に、可動片に作用する。そのため、接点を安定的に接触させるための必要な接触力が大きくなる。それにより、駆動装置が大型化してしまう。本発明の目的は、駆動装置の大型化を抑えながら、電磁継電器の耐短絡性能を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る電磁継電器は、駆動軸と、駆動装置と、可動片と、第1固定端子と、第2固定端子とを備える。駆動軸は、移動方向に移動可能に設けられる。駆動軸は、移動方向に延びる。駆動装置は、駆動軸を移動方向に移動させる。可動片は、駆動軸に接続される中心部を含む。可動片は、長手方向に延びる。第1固定端子は、可動片と向かい合う。第2固定端子は、可動片と向かい合い、長手方向に第1固定端子から離れて配置される。可動片は、第1接触部と第2接触部とを含む。第1接触部は、第1固定端子と接触する。第2接触部は、第2固定端子と接触する第1接触部は、可動片の中心線に対して偏心して配置される。可動片の中心線は、中心部を通り、長手方向に延びる。
【0006】
本態様に係る電磁継電器では、第1接触部は、中心部を通り長手方向に延びる可動片の中心線に対して偏心して配置される。そのため、短絡電流によって発生する反発力は、可動片の移動方向に対して斜めに、可動片に作用する。それにより、第1接触部が開離する方向への反発力が低減される。よって、本態様に係る電磁継電器では、駆動装置の大型化を抑えながら、電磁継電器の耐短絡性能が向上する。
【0007】
第2接触部は、可動片の中心線に対して偏心して配置されてもよい。この場合、第2接触部が開離する方向への反発力が低減される。それにより、駆動装置の大型化を抑えながら、電磁継電器の耐短絡性能が向上する。
【0008】
第1接触部と第2接触部とは、中心線に対して互いに反対側に偏心してもよい。この場合、第1接触部に作用する反発力と、第2接触部に作用する反発力とは、互いに反対方向に斜めに作用する。従って、可動片を傾かせる方向への反発力が互いに打ち消される。それにより、可動片を安定的に移動させることができる。
【0009】
第1接触部と第2接触部とは、中心部に対して点対称に配置されてもよい。この場合、可動片をさらに安定的に移動させることができる。
【0010】
可動片は、第1切り欠きを含んでもよい。第1切り欠きは、第1接触部に隣接して配置されてもよい。この場合、第1切り欠きによって、可動片において電流が流れる部分が小さくなる。それにより、第1切り欠きが設けられた部分での反発力が小さくなることで、反発力が、可動片の移動方向に対して斜めに作用する。
【0011】
可動片は、第2切り欠きを含んでもよい。第2切り欠きは、第2接触部に隣接して配置されてもよい。この場合、第2切り欠きによって、可動片において電流が流れる部分が小さくなる。それにより、第2切り欠きが設けられた部分での反発力が小さくなることで、反発力が、可動片の移動方向に対して斜めに作用する。
【0012】
第1切り欠きと第2切り欠きとは、中心部に対して点対称に配置されてもよい。この場合、可動片を安定的に移動させることができる。
【0013】
第1固定端子は、第3切り欠きを含んでもよい。第3切り欠きは、第1切り欠きに隣接して配置されてもよい。この場合、第3切り欠きによって、第1固定端子において電流が流れる部分が小さくなる。それにより、第3切り欠きが設けられた部分での反発力が小さくなることで、反発力が、可動片の移動方向に対して斜めに作用する。
【0014】
第2固定端子は、第4切り欠きを含んでもよい。第4切り欠きは、第2切り欠きに隣接して配置されてもよい。第4切り欠きによって、第2固定端子において電流が流れる部分が小さくなる。それにより、第4切り欠きが設けられた部分での反発力が小さくなることで、反発力が、可動片の移動方向に対して斜めに作用する。
【0015】
可動片は、第1凹部を含んでもよい。第1凹部は、第1接触部に隣接して配置されてもよい。この場合、第1凹部によって、可動片において電流が流れる部分が小さくなる。それにより、第1凹部が設けられた部分での反発力が小さくなることで、反発力が、可動片の移動方向に対して斜めに作用する。反発力が低減される。
【0016】
可動片は、第2凹部を含んでもよい。第2凹部は、第2接触部に隣接して配置されてもよい。この場合、第2凹部によって、可動片において電流が流れる部分が小さくなる。それにより、第2凹部が設けられた部分での反発力が小さくなることで、反発力が、可動片の移動方向に対して斜めに作用する。
【0017】
第1凹部と第2凹部とは、中心部に対して点対称に配置されてもよい。この場合、可動片を安定的に移動させることができる。
【0018】
第1接触部は、可動片の表面に対して傾斜した第1接触面を含んでもよい。この場合、第1接触面が傾斜していることで、短絡電流によって発生する反発力は、可動片の移動方向に対して斜めに、可動片に作用する。それにより、第1接触部が開離する方向への反発力が低減される。
【0019】
第2接触部は、可動片の表面に対して傾斜した第2接触面を含んでもよい。この場合、第2接触面が傾斜していることで、短絡電流によって発生する反発力は、可動片の移動方向に対して斜めに、可動片に作用する。それにより、第2接触部が開離する方向への反発力が低減される。
【0020】
第1接触面と第2接触面とは、中心線に対して、互いに反対の方向に傾斜していてもよい。この場合、第1接触部に作用する反発力と、第2接触部に作用する反発力とは、互いに反対方向に斜めに作用する。従って、可動片を傾かせる方向への反発力が互いに打ち消される。それにより、可動片を安定的に移動させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、駆動装置の大型化を抑えながら、電磁継電器の耐短絡性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図4】可動片の長手方向から見た接点装置を示す図である。
【
図5】第1変形例に係る可動片と可動接点とを示す上面図である。
【
図6】第2変形例に係る可動片と可動接点と固定端子とを示す上面図である。
【
図7】第3変形例に係る可動片と可動接点とを示す上面図である。
【
図8】
図7におけるVIII-VIII断面図である。
【
図9】第4変形例に係る可動片と可動接点とを示す上面図である。
【
図10】第5変形例に係る可動片と可動接点とを示す上面図である。
【
図11】第6変形例に係る接点装置を示す左側面図である。
【
図12】第6変形例に係る接点装置を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る電磁継電器について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る電磁継電器1の断面図である。
図1に示すように、電磁継電器1は、ケース2と、接点装置3と、駆動装置4とを備えている。ケース2は、樹脂、或いはセラミックなどの絶縁材で形成されている。ケース2内には、接点装置3が収容されている。接点装置3は、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動片8と、可動機構9と、第1固定接点10と、第2固定接点11と、第1可動接点12と、第2可動接点13とを含む。
【0024】
なお、以下の説明において、第1固定接点10と第1可動接点12とが互いに向かい合う方向が、移動方向(Z1,Z2)と定義される。移動方向(Z1,Z2)は、接触方向(Z1)と開離方向(Z2)とを含む。可動接点12,13が固定接点10,11に近づく方向が、接触方向(Z1)と定義される。可動接点12,13が固定接点10,11から離れる方向が、開離方向(Z2)と定義される。
【0025】
可動片8が延びる方向が、長手方向(X1,X2)と定義される。長手方向(X1,X2)は、移動方向(Z1,Z2)に対して垂直な方向である。長手方向(X1,X2)は、第1長手方向(X1)と第2長手方向(X2)とを含む。第2長手方向(X2)は、第1長手方向(X1)と反対の方向である。第2固定接点11から第1固定接点10へ向かう方向が、第1長手方向(X1)と定義される。第1固定接点10から第2固定接点11へ向かう方向が、第2長手方向(X2)と定義される。
【0026】
図3に示すように、移動方向(Z1,Z2)及び長手方向(X1,X2)に垂直な方向が、横方向(Y1,Y2)と定義される。横方向(Y1,Y2)は、第1横方向(Y1)と第2横方向(Y2)とを含む。第2横方向(Y2)は、第1横方向(Y1)と反対の方向である。
【0027】
第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動片8と、第1固定接点10と、第2固定接点11と、第1可動接点12と、第2可動接点13とは、導電性を有する材料で形成されている。例えば、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動片8とは、銅系金属などの端子材として公知の金属材料製である。ただし、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動片8とは、これらと異なる材料製であってもよい。第1固定接点10と、第2固定接点11と、第1可動接点12と、第2可動接点13とは、銅系金属、或いは銀系金属などの接点材として公知の金属材料製である。
【0028】
第1固定端子6と第2固定端子7とは、長手方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。第1固定端子6と第2固定端子7とは、ケース2内からケース2の外方へ突出している。第1固定端子6には、第1固定接点10が接続されている。第2固定端子7には、第2固定接点11が接続されている。第1固定接点10と第2固定接点11とは、ケース2内に配置されている。
【0029】
可動片8と第1可動接点12と第2可動接点13とは、ケース2内に配置されている。第1可動接点12と第2可動接点13とは、可動片8に接続されている。第1可動接点12は、第1固定接点10に向かい合っている。第2可動接点13は、第2固定接点11に向かい合っている。第1可動接点12は、第2可動接点13から、長手方向(X1,X2)に離れて配置されている。
【0030】
可動片8は、移動方向(Z1,Z2)に移動可能である。可動片8は、
図1に示す開位置と、
図2に示す閉位置とに移動可能である。
図1に示すように、可動片8が開位置で、可動接点12,13は、固定接点10,11から離れている。
図2に示すように、可動片8が閉位置で、可動接点12,13は、固定接点10,11に接触している。
【0031】
可動機構9は、可動片8を支持する。可動機構9は、駆動軸15と接点バネ16とを含む。駆動軸15は、可動片8に連結される。駆動軸15は、移動方向(Z1,Z2)に延びており、可動片8を移動方向(Z1,Z2)に貫通している。駆動軸15は、移動方向(Z1,Z2)に移動可能に設けられる。接点バネ16は、可動片8を接触方向(Z1)へ向けて付勢する。
【0032】
図3は、可動片8及び可動接点12,13の上面図である。
図3に示すように、可動片8は、中心部14を含む。中心部14は、可動片8の長手方向(X1,X2)における中心に位置する。中心部14は、可動片8の横方向(Y1,Y2)における中心に位置する。中心部14は、駆動軸15に接続される。中心部14には、駆動軸15が通される孔が設けられている。可動片8の中心線C1は、中心部14を通り、長手方向(X1,X2)に延びている。
【0033】
第1可動接点12,13と第2可動接点12,13とは、中心線C1に対して互いに反対側に偏心している。すなわち、横方向(Y1,Y2)において、第1可動接点12の中心は、中心線C1からズレている。横方向(Y1,Y2)において、第2可動接点13の中心は、中心線C1からズレている。詳細には、第1可動接点12は、中心線C1に対して、第1横方向(Y1)に偏心している。第2可動接点13は、中心線C1に対して、第2横方向(Y2)に偏心している。第1可動接点12と第2可動接点13とは、中心部14に対して点対称に配置される。
【0034】
移動方向(Z1,Z2)から見て、第1可動接点12は、中心線C1に重なっている。移動方向(Z1,Z2)から見て、第2可動接点13は、中心線C1に重なっている。可動片8は、第1縁17と第2縁18とを含む。第1縁17は、可動片8の第1横方向(Y1)における縁である。第2縁18は、可動片8の第2横方向(Y2)における縁である。第1縁17と第2縁18とは、長手方向(X1,X2)に延びている。
【0035】
第1可動接点12は、第2縁18よりも第1縁17の近くに配置される。第2可動接点13は、第1縁17よりも第2縁18の近くに配置される。横方向(Y1,Y2)において、第1可動接点12と第2縁18との間の距離L2は、第1可動接点12と第1縁17との間の距離L1よりも大きい。横方向(Y1,Y2)において、第2可動接点13と第1縁17との間の距離L4は、第2可動接点13と第2縁18との間の距離L3よりも大きい。
【0036】
図1及び
図2に示すように、駆動装置4は、駆動軸15を移動方向(Z1,Z2)に移動させる。駆動装置4は、コイル21と、スプール22と、可動鉄心23と、固定鉄心24と、ヨーク25と、復帰バネ26とを含む。駆動装置4は、電磁力によって、可動機構9を介して、可動片8を開位置と閉位置とに移動させる。コイル21は、スプール22に巻回されている。可動鉄心23と、固定鉄心24とは、スプール22内に配置されている。可動鉄心23は、駆動軸15に接続されている。可動鉄心23は、移動方向(Z1,Z2)に移動可能である。固定鉄心24は、可動鉄心23と向かい合って配置されている。復帰バネ26は、可動鉄心23を開離方向(Z2)に付勢している。
【0037】
電磁継電器1では、コイル21が通電されると、コイル21による磁力によって、可動鉄心23が固定鉄心24に吸引される。それにより、可動鉄心23と駆動軸15とが、復帰バネ26の付勢力に抗して、接触方向(Z1)に移動する。それにより、可動片8が、
図2に示す閉位置へ移動し、可動接点12,13が固定接点10,11に接触する。なお、可動接点12,13が固定接点10,11に接触した後、駆動軸15がさらに接触方向(Z1)へ移動することによって、接点バネ16が圧縮される。
【0038】
コイル21への通電がオフにされると、可動鉄心23と駆動軸15とが、復帰バネ26の付勢力によって、開離方向(Z2)へ移動する。それにより、可動片8が
図1に示す開位置へ移動し、可動接点12,13が固定接点10,11から離れる。
【0039】
以上説明した本実施形態に係る電磁継電器1では、第1可動接点12と第2可動接点13とは、可動片8の中心線C1に対して偏心して配置される。
図4は、長手方向(X1,X2)から見た接点装置3を示す図である。
図4に示すように、第1可動接点12と第2可動接点13とが偏心して可動片上に配置されることで、短絡電流によって発生する反発力F1は、可動片8の移動方向(Z1,Z2)に対して斜めに、可動片8に作用する。それにより、反発力が移動方向(Z1,Z2)に平行な方向に作用する場合と比べて、開離方向(Z2)への反発力が低減される。よって、電磁継電器1では、駆動装置4の大型化を抑えながら、電磁継電器1の耐短絡性能が向上する。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
駆動装置4の構造は、上記の実施形態のものに限らず変更されてもよい。例えば、上記の実施形態では、駆動装置4は、接点装置3の開離方向(Z2)に配置されている。しかし、駆動装置4は、接点装置3に対して、長手方向(X1,X2)、或いは横方向(Y1,Y2)に配置されておよい。開離方向(Z2)と接触方向(Z1)とは、上記の実施形態と逆の方向であってもよい。
【0042】
接点装置3の構造は、上記の実施形態のものに限らず変更されてもよい。例えば、第1固定接点10は、第1固定端子6と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2固定接点11は、第2固定端子7と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第1可動接点12は、可動片8と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2可動接点13は、可動片8と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第1固定接点10と第2固定接点11とは、省略されてもよい。第1可動接点12と第2可動接点13とは、省略されてもよい。可動片8は、第1固定端子6と第2固定端子7とに直接的に接触してもよい。すなわち、可動片8の第1接触部と第2接触部とは、第1可動接点12と第2可動接点13とに限らず、可動片8の一部であってもよい。
【0043】
可動片8の構造は、上記の実施形態のものに限らず変更されてもよい。例えば、
図5は、第1変形例に係る可動片8と可動接点12,13とを示す上面図である。
図5に示すように、可動片8は、第1切り欠き31と第2切り欠き32とを含んでもよい。第1切り欠き31は、第1可動接点12に隣接して配置されてもよい。第1切り欠き31は、第1可動接点12に対して、第2横方向(Y2)に位置してもよい。第2切り欠き32は、第2可動接点13に隣接して配置されてもよい。第2切り欠き32は、第2可動接点13に対して、第1横方向(Y1)に位置してもよい。第1切り欠き31と第2切り欠き32とは、中心部14に対して点対称に配置されてもよい。
【0044】
第1変形例に係る可動片8では、第1切り欠き31と第2切り欠き32とによって、電流が流れる部分が小さくなる。それにより、第1切り欠き31と第2切り欠き32とが設けられた部分での反発力が小さくなることで、反発力が、可動片8の移動方向(Z1,Z2)に対して斜めに作用する。
【0045】
図6は、第2変形例に係る可動片8と可動接点12,13と固定端子6,7とを示す上面図である。
図6に示すように、第1固定端子6は、第3切り欠き33を含んでもよい。第3切り欠き33は、第1切り欠き31に隣接して配置されてもよい。第3切り欠き33は、第1切り欠き31に対して、第2横方向(Y2)に配置されてもよい。第2固定端子7は、第4切り欠き34を含んでもよい。第4切り欠き34は、第2切り欠き32に隣接して配置されてもよい。第4切り欠き34は、第2切り欠き32に対して、第1横方向(Y1)に配置されてもよい。
【0046】
第2変形例に係る可動片8では、第3切り欠き33によって、第1固定端子6において電流が流れる部分が小さくなる。また、第4切り欠き34によって、第2固定端子7において電流が流れる部分が小さくなる。それにより、第3切り欠き33と第4切り欠き34とが設けられた部分での反発力が小さくなることで、反発力が、可動片8の移動方向(Z1,Z2)に対して斜めに作用する。
【0047】
図7は、第3変形例に係る可動片8と可動接点12,13とを示す上面図である。
図8は、
図7におけるVIII-VIII断面図である。
図7及び
図8に示すように、可動片8は、第1凹部35と第2凹部36とを含んでもよい。第1凹部35と第2凹部36とは、可動片8の表面37から凹んだ形状を有してもよい。第1凹部35は、第1可動接点12に隣接して配置されてもよい。第1凹部35は、第1可動接点12と第2縁18との間に設けられてもよい。
【0048】
第2凹部36は、第2可動接点13に隣接して配置されてもよい。第2凹部36は、第2可動接点13と第1縁17との間に設けられてもよい。第1凹部35と第2凹部36とは、中心部14に対して点対称に配置されてもよい。第3変形例に係る可動片8では、第1凹部35と第2凹部36とによって、電流が流れる部分が小さくなる。それにより、第1凹部35と第2凹部36とが設けられた部分での反発力が小さくなることで、反発力が、可動片8の移動方向(Z1,Z2)に対して斜めに作用する。
【0049】
図9は、第4変形例に係る可動片8と可動接点12,13とを示す上面図である。
図9に示すように、可動片8は、上述した第1切り欠き31と、第2切り欠き32と、第1凹部35と、第2凹部36とを含んでもよい。
【0050】
図10は、第5変形例に係る可動片8と可動接点12,13とを示す上面図である。
図10に示すように、第1可動接点12と第2可動接点13とは、中心線C1に対して同じ方向に偏心していてもよい。例えば、第1可動接点12と第2可動接点13とは、共に、中心線C1に対して第2横方向(Y2)に偏心していてもよい。或いは、第1可動接点12と第2可動接点13とは、共に、中心線C1に対して第1横方向(Y1)に偏心していてもよい。上述した変形例においても、第5変形例と同様に、第1可動接点12と第2可動接点13とは、中心線C1に対して同じ方向に偏心していてもよい。
【0051】
図11は、第6変形例に係る接点装置3を示す左側面図である。
図12は、第6変形例に係る接点装置3を示す右側面図である。
図11に示すように、第1可動接点12は、第1接触面38を含んでもよい。第1接触面38は、可動片8の表面37に対して傾斜していてもよい。
図12に示すように、第2可動接点13は、第2接触面39を含んでもよい。第2接触面39は、可動片8の表面37に対して傾斜していてもよい。
【0052】
第1固定接点10は、第3接触面41を含んでもよい。第3接触面41は、第1接触面38と接触してもよい。第3接触面41は、第1接触面38と同方向に傾斜していてもよい。第2固定接点11は、第4接触面42を含んでもよい。第4接触面42は、第2接触面39と接触してもよい。第4接触面42は、第2接触面39と同方向に傾斜していてもよい。
【0053】
第1接触面38と第2接触面39とは、互いに反対の方向に傾斜していてもよい。詳細には、第1接触面38は、第2横方向(Y2)に向かって、可動片8の表面37に対する高さが低くなるように、傾斜していてもよい。第2接触面39は、第1横方向(Y1)に向かって、可動片8の表面37に対する高さが低くなるように、傾斜していてもよい。
【0054】
第6変形例に係る可動片8では、第1接触面38と第2接触面39とが傾斜していることで、短絡電流によって発生する反発力F1,F2は、可動片8の移動方向(Z1,Z2)に対して斜めに、可動片8に作用する。それにより、開離方向(Z2)への反発力F1が低減される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、駆動装置の大型化を抑えながら、電磁継電器の耐短絡性能が向上する。
【符号の説明】
【0056】
4:駆動装置、 6:第1固定端子、 7:第2固定端子、 8:可動片、 10:第1固定接点、 11:第2固定接点、 12:第1可動接点、 13:第2可動接点、 14:中心部、 15:駆動軸、 31:第1切り欠き、 32:第2切り欠き、 33:第3切り欠き、 34:第4切り欠き、 35:第1凹部、 36:第2凹部、 38:第1接触面、 39:第2接触面、 Z1,Z2:移動方向