(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ライダ装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
(21)【出願番号】P 2021156099
(22)【出願日】2021-09-24
【審査請求日】2023-07-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】遠山 浩平
(72)【発明者】
【氏名】別府 太郎
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-134281(JP,A)
【文献】特開2014-142288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0076152(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110794380(CN,A)
【文献】特表2021-505889(JP,A)
【文献】特開2002-056643(JP,A)
【文献】国際公開第2011/145492(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0091500(KR,A)
【文献】特開2011-191695(JP,A)
【文献】特開2013-197020(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0212418(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/64
G01S 13/00 - 17/95
G01C 3/00 - 3/32
G02B 26/10 - 26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信光を照射し、前記送信光が照射された物体からの反射光を検出することにより、前記物体との距離を測定するように構成されたライダ装置(1)であって、
回転駆動される回転ミラー(31)と、揺動駆動される揺動ミラー(21)と、を有し、前記送信光及び前記反射光を偏向するように構成された測定部(2)と、
前記測定部を収容する内部空間を有し、前記内部空間と外部とを連通させる少なくとも1つの連通部(110)が形成された筐体(100)と、
前記少なくとも1つの連通部を覆うように設置される少なくとも1つの呼吸フィルタ(800)と、
を備え、
前記ライダ装置が設置された状態で、前記筐体における前記送信光及び前記反射光が通過する面を前面、前記前面とは反対側の面を背面とし、
前記少なくとも1つの連通部は、前記筐体における前記前面及び上面以外の面に配置され、
前記少なくとも1つの連通部は、前記筐体における前記背面に配置され
、
前記測定部(2)は、
前記送信光を出力するように構成された投光部(11)と、前記反射光を検出するように構成された受光部(12)と、を有する送受信ユニット(10)と、
前記揺動ミラーと、第1の方向に延びる揺動軸(221)を中心に前記揺動ミラーを揺動駆動するように構成された揺動モータ(22)と、を有する揺動スキャナ(20)と、
前記回転ミラーとしてのポリゴンミラーと、前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる回転軸(321)を中心に前記ポリゴンミラーを回転駆動するように構成された回転モータ(32)と、を有するポリゴンスキャナ(30)と、
を備え、
三次元直交座標系におけるx軸正方向を右方、x軸負方向を左方、y軸正方向を上方、y軸負方向を下方、z軸正方向を前方、z軸負方向を後方として、前記筐体における前記送信光及び前記反射光が通過する面である前面が前記前方を向き、前記第1の方向が前記z軸に沿う方向、前記第2の方向が前記y軸に沿う方向となり、前記ポリゴンミラーで反射された前記送信光が前記前面を通過して前記前方に向けて出射されるように前記ライダ装置が車両に設置された状態で、
前記送受信ユニット(11)と前記揺動スキャナ(20)と前記ポリゴンスキャナ(30)とが互いに前後方向及び上下方向に少なくとも一部が重なるように配置されることにより、左右方向の長さよりも前後方向の長さが短く、さらに前後方向の長さよりも上下方向の長さが短く構成されている、ライダ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のライダ装置であって、
前記少なくとも1つの呼吸フィルタと直列に並んで前記少なくとも1つの連通部を覆うように設置される、少なくとも1つの吸着フィルタ(900)を更に備え、
前記少なくとも1つの吸着フィルタは、排ガスを吸着可能なガス吸着フィルタ、及び、空気中に含まれる水分を吸着可能な吸湿フィルタ、のうちの少なくとも一方である、ライダ装置。
【請求項3】
送信光を照射し、前記送信光が照射された物体からの反射光を検出することにより、前記物体との距離を測定するように構成されたライダ装置(1)であって、
回転駆動される回転ミラー(31)と、揺動駆動される揺動ミラー(21)と、を有し、前記送信光及び前記反射光を偏向するように構成された測定部(2)と、
前記測定部を収容する内部空間を有し、前記内部空間と外部とを連通させる少なくとも1つの連通部(110)が形成された筐体(100)と、
前記少なくとも1つの連通部を覆うように設置される少なくとも1つの呼吸フィルタ(800)と、
前記少なくとも1つの呼吸フィルタと直列に並んで前記少なくとも1つの連通部を覆うように設置される、少なくとも1つの吸着フィルタ(900)と、
を備え、
前記少なくとも1つの吸着フィルタは、排ガスを吸着可能なガス吸着フィルタ、及び、空気中に含まれる水分を吸着可能な吸湿フィルタ、のうちの少なくとも一方であ
り、
前記ライダ装置が設置された状態で、前記筐体における前記送信光及び前記反射光が通過する面を前面、前記前面とは反対側の面を背面とし、
前記少なくとも1つの連通部は、前記筐体における前記背面に配置され
、
前記測定部(2)は、
前記送信光を出力するように構成された投光部(11)と、前記反射光を検出するように構成された受光部(12)と、を有する送受信ユニット(10)と、
前記揺動ミラーと、第1の方向に延びる揺動軸(221)を中心に前記揺動ミラーを揺動駆動するように構成された揺動モータ(22)と、を有する揺動スキャナ(20)と、
前記回転ミラーとしてのポリゴンミラーと、前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる回転軸(321)を中心に前記ポリゴンミラーを回転駆動するように構成された回転モータ(32)と、を有するポリゴンスキャナ(30)と、
を備え、
三次元直交座標系におけるx軸正方向を右方、x軸負方向を左方、y軸正方向を上方、y軸負方向を下方、z軸正方向を前方、z軸負方向を後方として、前記筐体における前記送信光及び前記反射光が通過する面である前面が前記前方を向き、前記第1の方向が前記z軸に沿う方向、前記第2の方向が前記y軸に沿う方向となり、前記ポリゴンミラーで反射された前記送信光が前記前面を通過して前記前方に向けて出射されるように前記ライダ装置が車両に設置された状態で、
前記送受信ユニット(11)と前記揺動スキャナ(20)と前記ポリゴンスキャナ(30)とが互いに前後方向及び上下方向に少なくとも一部が重なるように配置されることにより、左右方向の長さよりも前後方向の長さが短く、さらに前後方向の長さよりも上下方向の長さが短く構成されている、ライダ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のライダ装置であって、
前記少なくとも1つの連通部は、前記筐体における前記送信光及び前記反射光が通過する面以外の面に配置される、ライダ装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のライダ装置であって、
前記少なくとも1つの呼吸フィルタとして、複数の呼吸フィルタを備え、
前記筐体は、前記少なくとも1つの連通部として複数の連通部を有し、
前記複数の呼吸フィルタは、前記複数の連通部を覆うように設置される、ライダ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のライダ装置であって、
発熱する電子部品である発熱部品(3,10)を更に備え、
前記発熱部品は、前記筐体における前記少なくとも1つの呼吸フィルタが配置された面から離れた位置に配置される、ライダ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のライダ装置であって、
前記筐体の前記内部空間の空気を撹拌するように構成された少なくとも1つの撹拌翼(120a,120b,120c)を更に備え、
前記少なくとも1つの撹拌翼は、前記回転ミラーに設けられて前記回転ミラーと共に回転するように構成された回転翼(120a,120c)、及び、前記揺動ミラーに設けられて前記揺動ミラーと共に揺動するように構成された揺動翼(120b)のうちの少なくとも一方であり、
前記回転翼の回転及び前記揺動翼の揺動のうちの少なくとも一方により、前記筐体の前記内部空間の空気が撹拌される、ライダ装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のライダ装置であって
、
前記投光部から出力された前記送信光を前記揺動ミラーの方向に反射させるとともに、前記揺動ミラーにて反射された前記反射光を前記受光部の方向に反射させるように、前記送信光及び前記反射光の経路上に配置される、折り返しミラー(40)
をさらに備え、
三次元直交座標系におけるx軸正方向を右方、x軸負方向を左方、y軸正方向を上方、y軸負方向を下方、z軸正方向を前方、z軸負方向を後方として、前記筐体における前記送信光及び前記反射光が通過する面である前面が前記前方を向き、前記第1の方向が前記z軸に沿う方向、前記第2の方向が前記y軸に沿う方向となり、前記ポリゴンミラーで反射された前記送信光が前記前面を通過して前記前方に向けて出射されるように前記ライダ装置が設置された状態で、
前記送受信ユニットは、前記揺動スキャナの左方又は右方に配置され、前記投光部が前記x軸に沿う方向に前記送信光を出力するように構成されており、
前記折り返しミラーは、前記送信光を前記y軸に沿う方向に反射するように前記揺動ミラーの下方又は上方に配置されており、
前記揺動スキャナは、前記折り返しミラーにて反射された前記送信光を前記ポリゴンミラーの方向へ反射させるとともに、前記ポリゴンミラーにて反射された前記反射光を前記折り返しミラーの方向へ反射させるように配置されており、
前記ポリゴンスキャナは、前記揺動スキャナを挟んで前記送受信ユニットとは反対側に配置されている、ライダ装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のライダ装置であって
、
前記投光部から出力された前記送信光を前記揺動ミラーの方向に反射させるとともに、前記揺動ミラーにて反射された前記反射光を前記受光部の方向に反射させるように、前記送信光及び前記反射光の経路上に配置される、折り返しミラー(40)
をさらに備え、
三次元直交座標系におけるx軸正方向を右方、x軸負方向を左方、y軸正方向を上方、y軸負方向を下方、z軸正方向を前方、z軸負方向を後方として、前記筐体における前記送信光及び前記反射光が通過する面である前面が前記前方を向き、前記第1の方向が前記z軸に沿う方向、前記第2の方向が前記y軸に沿う方向となり、前記ポリゴンミラーで反射された前記送信光が前記前面を通過して前記前方に向けて出射されるように前記ライダ装置が設置された状態で、
前記送受信ユニットは、前記揺動スキャナの後方に配置され、前記投光部が前記z軸に沿う方向に前記送信光を出力するように構成されており、
前記折り返しミラーは、前記送信光を前記y軸に沿う方向に反射するように前記揺動ミラーの下方又は上方に配置されており、
前記揺動スキャナは、前記折り返しミラーにて反射された前記送信光を前記ポリゴンミラーの方向へ反射させるとともに、前記ポリゴンミラーにて反射された前記反射光を前記折り返しミラーの方向へ反射させるように配置されており、
前記ポリゴンスキャナは、前記揺動スキャナの左方又は右方に配置されている、ライダ装置。
【請求項10】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のライダ装置であって
、
三次元直交座標系におけるx軸正方向を右方、x軸負方向を左方、y軸正方向を上方、y軸負方向を下方、z軸正方向を前方、z軸負方向を後方として、前記筐体における前記送信光及び前記反射光が通過する面である前面が前記前方を向き、前記第1の方向が前記z軸に沿う方向、前記第2の方向が前記y軸に沿う方向となり、前記ポリゴンミラーで反射された前記送信光が前記前面を通過して前記前方に向けて出射されるように前記ライダ装置が設置された状態で、
前記送受信ユニットは、前記揺動スキャナの下方又は上方に配置され、前記投光部が前記y軸に沿う方向に前記送信光を出力するように構成されており、
前記揺動スキャナは、前記投光部から出力された前記送信光を前記ポリゴンミラーの方向へ反射させるとともに、前記ポリゴンミラーにて反射された前記反射光を前記受光部の方向へ反射させるように配置されており、
前記ポリゴンスキャナは、前記揺動スキャナの左方又は右方に配置されている、ライダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ライダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送信光を照射し、照射した送信光の物体からの反射光を検出して、その物体までの距離や相対速度を検出するライダ装置が知られている。なお、ライダは、LiDARとも表記され、Light Detection and Rangingの略語である。ライダ装置では、送信光を偏向走査するために、一般的に、回転駆動される偏向ミラーが用いられている。光源から出力された送信光は、偏向ミラーで反射され、偏向ミラーの回転角度に応じた方向に向けて筐体外へ出射される。これにより、あらかじめ設定された走査範囲内が走査される。
【0003】
特許文献1には、回転駆動されるポリゴンミラーを用いて送信光を偏向走査するライダ装置が開示されている。特許文献1には、当該ライダ装置において、ブラケットに設置されたポリゴンミラーが回転することにより筐体の内部空間に空気の流れが発生し、筐体の内部空間に収容されている部品が冷却されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、以下の課題が見出された。
特許文献1に記載の構成では、筐体の内部空間に空気の流れを発生させることにより筐体の内部空間の温度を均一化できるものの、筐体の内部空間が密閉されており、筐体の内部空間と外部との間で空気の入れ替えが起こらないため、冷却効率が悪い。一方で、筐体の内部空間が密閉されていないと、車両が走行時に巻き上げた水や雨水などの液体が筐体の内部空間へ浸入し、収容されている部品に悪影響を及ぼすことが懸念される。
【0006】
本開示の一局面は、筐体の内部空間へ液体が浸入することを防ぎつつ、筐体の内部空間に収容される部品の冷却性能を高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、送信光を照射し、送信光が照射された物体からの反射光を検出することにより、物体との距離を測定するように構成されたライダ装置(1)であって、測定部(2)と、筐体(100)と、少なくとも1つの呼吸フィルタ(800)と、を備える。測定部は、回転駆動される回転ミラー(31)と、揺動駆動される揺動ミラー(21)と、を有し、送信光及び反射光を偏向するように構成される。筐体は、測定部を収容する内部空間を有し、内部空間と外部とを連通させる少なくとも1つの連通部(110)が形成される。少なくとも1つの呼吸フィルタは、少なくとも1つの連通部を覆うように設置される。ライダ装置が設置された状態で、筐体における送信光及び反射光が通過する面を前面、前面とは反対側の面を背面とすると、少なくとも1つの連通部は、筐体における前面及び上面以外の面に配置される。
【0008】
このような構成によれば、呼吸フィルタにより、筐体の内部空間へ液体が浸入することを防ぎつつ、筐体の内部空間と外部との間で空気の入れ替えを行うことができる。これにより、筐体の内部空間の空気よりも低温の外気が筐体の内部空間へ流入するとともに、筐体の内部空間の温まった空気が外部に出て行く。さらに、回転ミラーの回転及び揺動ミラーの揺動により筐体の内部空間の空気が撹拌されることで、上記空気の入れ替えが促進される。よって、筐体の内部空間へ液体が浸入することを防ぎつつ、筐体の内部空間に収容される部品の冷却性能を高めることができる。
【0009】
本開示の別の態様は、送信光を照射し、送信光が照射された物体からの反射光を検出することにより、物体との距離を測定するように構成されたライダ装置(1)であって、測定部(2)と、筐体(100)と、少なくとも1つの呼吸フィルタ(800)と、少なくとも1つの吸着フィルタ(900)と、を備える。測定部は、回転駆動される回転ミラー(31)と、揺動駆動される揺動ミラー(21)と、を有し、送信光及び反射光を偏向するように構成される。筐体は、測定部を収容する内部空間を有し、内部空間と外部とを連通させる少なくとも1つの連通部(110)が形成される。少なくとも1つの呼吸フィルタは、少なくとも1つの連通部を覆うように設置される。少なくとも1つの吸着フィルタは、少なくとも1つの呼吸フィルタと直列に並んで少なくとも1つの連通部を覆うように設置される。少なくとも1つの吸着フィルタは、排ガスを吸着可能なガス吸着フィルタ、及び、空気中に含まれる水分を吸着可能な吸湿フィルタ、のうちの少なくとも一方である。
【0010】
このような構成によれば、呼吸フィルタにより、筐体の内部空間へ液体が浸入することを防ぎつつ、筐体の内部空間と外部との間で空気の入れ替えを行うことができる。これにより、筐体の内部空間の空気よりも低温の外気が筐体の内部空間へ流入するとともに、筐体の内部空間の温まった空気が外部に出て行く。さらに、回転ミラーの回転及び揺動ミラーの揺動により筐体の内部空間の空気が撹拌されることで、上記空気の入れ替えが促進される。よって、筐体の内部空間へ液体が浸入することを防ぎつつ、筐体の内部空間に収容される部品の冷却性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】測定部を前方から見た模式図に筐体及び呼吸フィルタの位置を示した図である。
【
図6】測定部を上方から見た模式図に筐体及び呼吸フィルタの位置を示した図である。
【
図7】測定部を右方から見た模式図に筐体及び呼吸フィルタの位置を示した図である。
【
図8】回転翼が設けられたポリゴンミラーを上方から見た図である。
【
図9】揺動翼が設けられた揺動ミラーを右方から見た図である。
【
図10】測定部を前方から見た模式図に筐体及び2つの呼吸フィルタの位置を示した図である。
【
図11】回転翼が設けられたポリゴンミラーを右方から見た図である。
【
図12】送受信ユニット、揺動スキャナ、ポリゴンスキャナ及び折り返しミラーの配置の一例を示す模式図に筐体及び呼吸フィルタの位置を示した図である。
【
図13】送受信ユニット、揺動スキャナ及びポリゴンスキャナの配置の一例を示す模式図に筐体及び呼吸フィルタの位置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.全体構成]
図1に示すライダ装置1は、送信光を出射し、送信光が照射された物体からの反射光を受光することによって物体との距離や相対速度を測定する測距装置である。ライダ装置1は、車両に搭載して使用され、車両の前方に存在する様々な物体の検出に用いられる。
【0013】
ライダ装置1は、筐体100と、光学窓200と、ヒートシンク700と、呼吸フィルタ800と、を備える。
以下の説明においては、三次元直交座標系におけるx軸正方向を右方、x軸負方向を左方、y軸正方向を上方、y軸負方向を下方、z軸正方向を前方、z軸負方向を後方と規定する。その上で、このような三次元直交座標系において、ライダ装置1の幅方向がx軸方向、高さ方向がy軸方向、奥行き方向がz軸方向となり、送信光が前方に向けて出射されるようにライダ装置1が設置された状態を想定して、ライダ装置1の構成等を説明する。
【0014】
筐体100は、1面が開口された直方体状に形成された樹脂製又は金属製の箱体である。
図3に示すように、筐体100は、後述する測定部2を収容する内部空間を有する。
図1に戻り、光学窓200は、送信光及び反射光を透過する材料で形成され、筐体100の開口部を覆うように設置される。筐体100における光学窓200が設置された面は、筐体100における送信光及び反射光が通過する面であり、当該面を前面、前面とは反対側の面を背面とする。筐体100の前面は前方を向いており、送信光は筐体100の前面を通過して前方に向けて出射される。なお、筐体100の側面とは、上面、下面、前面及び背面以外の面であり、右側面と左側面とがある。
【0015】
ヒートシンク700は、筐体100の内部空間や後述する制御基板600に実装された電子部品等において発生する熱を放熱するために、筐体100の外面に設置される。ヒートシンク700は、板状のベースの上に複数のフィンが立設された一般的な形状を有している。なお、ヒートシンクの形状は上記フィンが立設された形状以外であってもよく、例えば、板状のベースの上に複数のピンが立設された形状でもよい。ピンとは、ベースから離れる方向に延びる細い円柱状の部材である。ヒートシンク700は、例えば、アルミニウム、銅等の、熱伝導性に優れる金属材料で構成される。本実施形態では、ヒートシンク700は筐体100の上面に沿うように設置されている。
【0016】
呼吸フィルタ800は、通気性及び防水性を有する撥水フィルタである。
図1及び
図2に示すように、筐体100には、内部空間と外部とを連通させる連通部110が形成されている。連通部110は、本実施形態では、筐体100に形成された円形の貫通孔である。筐体100に形成される貫通孔は円形以外であってもよく、例えば、四角形であってもよい。なお、
図2は
図1のII-II断面図であり、筐体100における連通部110の周りのみを拡大して示した断面図である。
図2において、左側が筐体100の内部空間、右側が筐体100の外部であり、連通部110は筐体100の内部空間と外部とを連通する。呼吸フィルタ800は、連通部110を覆う(換言すると、切断面において連通部110を塞ぐ)ように筐体100に設置されており、筐体100の内部空間に液体が入り込むのを抑制しつつ、連通部110を介した内部空間と外部との通気が可能に構成されている。液体としては、たとえば雨水、洗車に用いられる水、車両が走行時に巻き上げた水、融雪剤として用いられる塩化カルシウムの融雪による溶液、ブレーキオイルなどの有機系溶剤が想定される。なお、呼吸フィルタ800は、ベントフィルタとも称される。
【0017】
連通部110(具体的には、連通部110及び呼吸フィルタ800)は、筐体100における前面以外の面に配置される。連通部110及び呼吸フィルタ800は、呼吸フィルタ800に水が溜まることを抑制する観点で、筐体100における上面以外の面、すなわち、筐体100の下面、側面又は背面に配置されることが好ましい。本実施形態では、連通部110及び呼吸フィルタ800は、筐体100の右側面に配置されている。
【0018】
図2に示すように、ライダ装置1は、呼吸フィルタ800と直列に並んで連通部110を覆う(換言すると、切断面において連通部110を塞ぐ)ように設置される、少なくとも1つの吸着フィルタ900を備える。少なくとも1つの吸着フィルタ900は、排ガスを吸着可能なガス吸着フィルタ、及び、空気中に含まれる水分を吸着可能な吸湿フィルタ、のうちの少なくとも一方である。ガス吸着フィルタは、少なくとも排ガス中に含まれる腐食性ガスを吸着可能なフィルタである。腐食性ガスは、例えば、一酸化炭素(CO)、亜硫酸ガス(SO
2)、窒素酸化物(NOx)、硫化水素(H
2S)等である。本実施形態では、ライダ装置1は、吸着フィルタ900としてガス吸着フィルタ900を備えており、ガス吸着フィルタ900は、呼吸フィルタ800よりも筐体100の内部空間側に配置されている。
【0019】
図3に示すように、ライダ装置1は、制御基板600を備える。制御基板600は、電子部品が実装された電子制御回路を有する、板状の基板である。制御基板600には、後述する制御部3が実装されている。本実施形態では、制御基板600は、制御部3が筐体100の上面とヒートシンク700との間に挟まれるように設置されている。制御部3の少なくとも一部は、図示しないが、ヒートシンク700に対向するように制御基板600の上面に配置されている。
【0020】
筐体100の内部空間には、測定部2が収容される。測定部2は、送受信ユニット10と、揺動スキャナ20と、ポリゴンスキャナ30と、を備える。
図4に示すように、送受信ユニット10は、投光部11及び受光部12が1つのユニットとして構成されたものである。投光部11及び受光部12は、送受信ユニット10の内部に収容されている。投光部11は、送信光を出力する。受光部12は、送信光が照射された物体からの反射光を受光し、電気信号に変換する。測定部2は、投光部11から出力された送信光を、揺動スキャナ20及びポリゴンスキャナ30で偏向走査し、あらかじめ設定された走査範囲内に出射させる。さらに、測定部2は、反射光を受光部12にて検出する。本実施形態では、測定部2は、ライダ装置1に1つ備えられている。なお、測定部2の詳細な説明については後述する。
【0021】
図3に戻り、制御部3は、測定部2を用いて送信光を反射した物体との距離や相対速度を測定する、電子制御装置である。具体的には、制御部3は、受光部12から出力された電気信号の波形と投光部11が出力した送信光の波形の差分に基づいて、その物体との距離や相対速度を求める。また別の方式では、制御部3は、受光部12から出力された電気信号の波形に基づき反射光が受光されたタイミングを特定し、送信光を投光部11が出力したタイミングとの差分に基づいて、その物体との距離を求める。なお、制御部3は、距離や相対速度以外にも、その物体の位置する方位などの物体に関する情報を求めることができる。
【0022】
[1-2.測定部]
図4に示すように、測定部2は、より具体的には、送受信ユニット10と、揺動スキャナ20と、ポリゴンスキャナ30と、折り返しミラー40と、を備える。
【0023】
送受信ユニット10に収容された投光部11は、送信光を出力する。本実施形態では、投光部11は、x軸に沿う方向に送信光を出力するように構成される。なお、送信光の光路を太矢印で示している。
【0024】
投光部11は、図示しない光源及びレンズを備える。光源には、半導体レーザが用いられる。レンズは、光源の発光面に対向して配置される。レンズは、光源から発せられる光ビームを所望の形状(幅、出射角など)に成形するためのレンズである。
【0025】
送受信ユニット10に収容される受光部12は、反射光を受光するように構成された、図示しない受光素子を備える。受光素子は、複数のAPDを1列に配置したAPDアレイを有する。APDは、アバランシェフォトダイオードである。また、受光素子はAPDに限らず、例えば単一のフォトダイオードでもよい。
【0026】
揺動スキャナ20は、揺動ミラー21と、揺動モータ22と、を備える。
揺動ミラー21は、送信光及び反射光を反射する反射面を有する平板状の部材である。
揺動モータ22は、第1の方向に延びる揺動軸221を中心に揺動ミラー21を揺動駆動するように構成される。第1の方向とは、具体的には、z軸に沿う方向である。揺動モータ22は、揺動軸221が中心を通る棒状の軸部材22aを備え、軸部材22aを揺動軸221を中心に揺動させる。軸部材22aの回転タイミング、回転移動方向及び角速度等は、制御部3により制御される。揺動モータ22は、例えば、ガルバノモータであってもよい。揺動ミラー21は、反射面と反対側の面において、軸部材22aが当該面のz軸方向の中心線に沿うように、軸部材22aに固定されている。揺動モータ22は、揺動ミラー21の後方に配置される。
【0027】
ポリゴンスキャナ30は、ポリゴンミラー31と、回転モータ32と、を備える。なお、ポリゴンミラー31が回転ミラーに相当する。
ポリゴンミラー31は、送信光及び反射光を反射する複数の反射面を有する回転多面鏡である。ポリゴンミラー31は、例えば、角柱状又は角錐台状の形状をしており、各側面に反射面が配置されている。ポリゴンミラー31は、反射面の個数が5面以下となるように構成される。本実施形態では、ポリゴンミラー31の反射面は5面であり、ポリゴンミラー31は、上面及び底面が正五角形となる正五角柱形状をしている。
【0028】
回転モータ32は、第1の方向と直交する第2の方向に延びる回転軸321を中心にポリゴンミラー31を回転駆動するように構成される。第2の方向とは、具体的には、y軸に沿う方向である。ポリゴンミラー31の回転タイミング、回転移動方向及び角速度等は、制御部3により制御される。ポリゴンミラー31は、上面及び底面の中心を回転軸321が通るように回転モータ32に固定される。
【0029】
すなわち、送信光は、揺動スキャナ20によりy軸に沿う方向(すなわち、上下方向)に走査され、さらに、ポリゴンスキャナ30によりx軸に沿う方向(すなわち、左右方向)に走査されることにより、二次元走査される。
【0030】
折り返しミラー40は、送信光及び反射光を反射する反射面を有する平板状の部材である。折り返しミラー40は、投光部11から出力された送信光を揺動ミラー21の方向に反射させるとともに、揺動ミラー21にて反射された反射光を受光部12の方向に反射させるように、送信光及び反射光の経路上に配置される。具体的には、折り返しミラー40は、送信光をy軸に沿う方向に反射するように揺動ミラー21の下方に配置される。なお、折り返しミラー40は、上記配置となるように固定されたミラーである。
【0031】
送受信ユニット10、揺動スキャナ20、ポリゴンスキャナ30及び折り返しミラー40は、投光部11から出力された送信光が、折り返しミラー40、揺動ミラー21、ポリゴンミラー31の順に反射されて走査範囲内に出射され、反射光が、ポリゴンミラー31、揺動ミラー21、折り返しミラー40の順に反射されて受光部12で受光されるように配置されている。より具体的な配置について、
図5~
図7を用いて、以下に説明する。なお、
図5~
図7には、測定部2に対する筐体100及び呼吸フィルタ800の位置を模式的に示している。連通部110及び吸着フィルタ900については、呼吸フィルタ800と略同じ位置にあるため、記載を省略した。
【0032】
図5及び
図6に示すように、送受信ユニット10は、揺動スキャナ20の左方に配置されている。なお、
図5においては、送信光の光路を太矢印で示している。投光部11は、x軸に沿って右方向へと送信光を出力する。
【0033】
折り返しミラー40は、投光部11から出力された送信光が、折り返しミラー40にて略90°上方に進行方向が曲げられて、揺動ミラー21の反射面に入射されるように、揺動ミラー21の下方に配置される。
【0034】
ポリゴンスキャナ30は、揺動スキャナ20を挟んで送受信ユニット10とは反対側、すなわち、揺動スキャナ20の右方に配置されている。ポリゴンスキャナ30は、折り返しミラー40から到来した送信光が、揺動ミラー21にて右方向に偏向されて、ポリゴンミラー31の反射面に入射され、前方に向けて反射されるように配置される。
【0035】
すなわち、送受信ユニット10、揺動スキャナ20及びポリゴンスキャナ30は、ライダ装置1の左右方向に並んで配置されている。一方、
図5及び
図7に示すように、送受信ユニット10と揺動スキャナ20とは、上下方向において少なくとも一部が重なるように配置されている。なお、揺動スキャナ20及びポリゴンスキャナ30についても、上下方向において少なくとも一部が重なるように配置されている。また、
図6及び
図7に示すように、送受信ユニット10、揺動スキャナ20及びポリゴンスキャナ30は、前後方向において少なくとも一部が重なるように配置されている。本実施形態では、送受信ユニット10、揺動スキャナ20及びポリゴンスキャナ30は、上下方向及び前後方向において大部分が重なるように配置されている。また、送受信ユニット10、揺動スキャナ20及びポリゴンスキャナ30は、いずれも上下方向よりも前後方向の長さが長く構成されている。
【0036】
測定部2は、
図5に示すように、測定部2は、左右方向(すなわち、幅方向)の長さが上下方向(すなわち、高さ方向)の長さよりも長くなる。また、
図6に示すように、左右方向(すなわち、幅方向)の長さが前後方向(すなわち、奥行き方向)の長さよりも長くなる。また、
図7に示すように、測定部2は、前後方向(すなわち、奥行き方向)の長さが上下方向(すなわち、高さ方向)の長さよりも長くなる。なお、折り返しミラー40は、測定部2の幅方向、奥行き方向及び高さ方向の長さに影響しない程度に小さく構成可能であるため、上記では記載を省略した。
ライダ装置1の大きさは測定部2の大きさに依存するため、ライダ装置1は、測定部2と同様、幅方向>奥行き方向>高さ方向、の順で長さが長くなる。
【0037】
[1-3.呼吸フィルタ及び発熱部品の配置]
ライダ装置1には、発熱する電子部品である発熱部品が備えられており、発熱部品で発生する熱により筐体100の内部空間の空気の温度が上昇する。主な発熱部品として、例えば、光源、光増幅器、演算素子等が挙げられる。以降、連通部110及び呼吸フィルタ800と発熱部品との位置関係について記載する際の「発熱部品」とは、発熱部品のうち特に注力して冷却したいもの(例えば、発熱部品のうち発熱量が相対的に大きいもの)を意味する。具体的には、送受信ユニット10や制御部3が上記の意味の「発熱部品」に該当する。
【0038】
発熱部品、具体的には、送受信ユニット10及び制御部3は、筐体100における呼吸フィルタ800が配置された面から離れた位置に配置される。本実施形態では、
図5に示すように、呼吸フィルタ800は筐体100の右側面に配置されており、送受信ユニット10は筐体100の左側面に近接して配置されており、制御部3を備える制御基板600は筐体100の上面に沿って配置されている。すなわち、連通部110及び呼吸フィルタ800は、ポリゴンスキャナ30に近接する側面に配置される。
【0039】
[1-4.筐体の内部空間の冷却促進機構]
筐体100の内部空間の空気の熱は、筐体100を介して、又は筐体100及びヒートシンク700を介して、外部へと放熱される。これにより、筐体100の内部空間が冷却される。
【0040】
さらに、筐体100の内部空間の冷却は、呼吸フィルタ800による空気の入れ替えと、ポリゴンミラー31の回転及び揺動ミラー21の揺動より促進される。
呼吸フィルタ800により、筐体100の内部空間の空気よりも低温の外気が筐体100の内部空間へ流入するとともに、発熱部品で発生する熱により温まった筐体100の内部空間の空気が外部に出て行く。このような空気の入れ換えが起こることにより、筐体100の内部空間の空気の温度は、外気に近づくように冷却される。また、筐体100の内部空間へ外気が流入することにより、筐体100の内部空間の空気の対流が促進される。さらに、ポリゴンミラー31の回転及び揺動ミラー21の揺動により筐体100の内部空間の空気が撹拌されることで、上記空気の入れ替え及び対流がより促進される。対流の促進により、発熱部品から筐体100の内部空間の空気への熱伝達が促進されるとともに、筐体100の内部空間の表面全体において、筐体100の内部空間の空気から筐体100への熱伝達が促進される。このため、筐体100の内部空間の空気の熱が、筐体100の内部空間の表面全体から放熱されやすくなる。このようにして、筐体100の内部空間の冷却が促進される。
【0041】
[1-5.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)ライダ装置1は、ポリゴンミラー31及び揺動ミラー21を有する測定部2と、測定部2を収容する内部空間と外部とを連通させる連通部110が形成された筐体100と、連通部110を覆うように設置される呼吸フィルタ800と、を備える。このような構成によれば、呼吸フィルタ800により、筐体100の内部空間へ液体が浸入することを防ぎつつ、筐体100の内部空間と外部との間で空気の入れ替えを行うことができる。これにより、筐体100の内部空間の空気の温度が外気に近づくように冷却される。また、筐体100の内部空間へ外気が流入することにより、筐体100の内部空間の空気の対流が促進される。さらに、ポリゴンミラー31の回転及び揺動ミラー21の揺動により筐体100の内部空間の空気が撹拌されることで、上記空気の入れ替え及び対流がより促進される。よって、本実施形態の上記構成を有しない場合と比較して、筐体100の内部空間の冷却を促進することができる。したがって、筐体100の内部空間へ液体が浸入することを防ぎつつ、筐体100の内部空間に収容される部品の冷却性能を高めることができる。
【0042】
また、筐体100の内部空間の冷却が促進されることで、筐体100の内部空間と外部との温度差が低減されるため、筐体100の内部空間に結露が生じることを抑制でき、光学窓200の曇りを抑制できる。
【0043】
また、呼吸フィルタ800を備えることで、筐体100の内部空間の圧力調整が可能となる。このため、発熱部品の発熱により筐体100の内部空間の圧力が増加した場合に、呼吸フィルタ800により筐体100の内部空間の圧力を低減することができる。
【0044】
(1b)連通部110は、筐体100における前面以外の面に配置される。このような構成によれば、送信光及び反射光が通過可能な範囲を広く取ることができる。
連通部110(具体的には、連通部110及び呼吸フィルタ800)は、筐体100における右側面、左側面、背面、上面及び下面のいずれに設置された場合であっても、上述したように筐体100の内部空間の冷却促進効果を有するが、配置によって若干その作用が異なる。以下に、連通部110及び呼吸フィルタ800の配置による冷却促進作用について説明する。
【0045】
本実施形態のように、連通部110及び呼吸フィルタ800が、筐体100におけるスキャナに近接する側面に配置された場合の冷却促進作用について説明する。スキャナに近接する側面とは、本実施形態では、ポリゴンスキャナ30に近接する側面であり、具体的には右側面である。この場合、呼吸フィルタ800の近くでスキャナのミラーの回転又は揺動(本実施形態では、ポリゴンミラー31の回転)による空気の流れが発生するため、呼吸フィルタ800から外気が流入しやすく、流入した外気が筐体100の内部空間全体に流れやすい。このため、筐体100の内部空間の空気の対流を促進する効果が高まる。
【0046】
連通部110及び呼吸フィルタ800が、筐体100における発熱部品に近接する側面に配置された場合の冷却促進作用について説明する。発熱部品は、ここでは、最も注力して冷却したい発熱部品である光源を想定している。発熱部品に近接する側面とは、本実施形態では、送受信ユニット10に近接する側面であり、具体的には左側面である。この場合、発熱部品である送受信ユニット10と外気の流入口である呼吸フィルタ800とが近くなるため、流入した外気による送受信ユニット10の放熱効果が高まる。
【0047】
連通部110及び呼吸フィルタ800が、筐体100の背面、上面又は下面に配置された場合の冷却促進作用について説明する。これらの場合は、連通部110及び呼吸フィルタ800がこれらの面におけるスキャナ側又は発熱部品側のいずれに位置するかにより、上述したスキャナに近接する側面又は発熱部品に近接する側面に呼吸フィルタ800が配置された場合の作用と同様の作用を有する。また、連通部110及び呼吸フィルタ800が筐体100の上面に配置された場合、筐体100の内部空間において温まった空気が上方へと流れ、上面に位置する呼吸フィルタ800から外部へと出て行きやすくなる。また、連通部110及び呼吸フィルタ800が筐体100の下面に配置された場合、筐体100の内部空間に下方から流入した外気が発熱部品から吸熱しつつ上方へと流れ、筐体100の上面からヒートシンク700を介して放熱されやすくなる。
【0048】
(1c)連通部110及び呼吸フィルタ800は、筐体100における上面以外の面に配置される。このような構成によれば、呼吸フィルタ800に水が溜まることを抑制できる。
【0049】
(1d)ライダ装置1は、呼吸フィルタ800と直列に並んで連通部110を覆うように設置される、ガス吸着フィルタ900を備える。車両に搭載されるライダ装置1は、呼吸フィルタ800を備えることにより筐体100の内部空間へ液体が浸入することを抑制できるが、車両の排ガスは呼吸フィルタ800を通過する。本実施形態の構成によれば、呼吸フィルタ800を通過した排ガス中に含まれる腐食性ガスにより、筐体100の内部空間に収容される部品が腐食することを抑制できる。また、本実施形態の構成によれば、筐体100の内部空間に収容される各部品について、例えばメッキを施すなどして、腐食性ガスの対策を行うよりも、簡易かつ低コストで腐食性ガスの対策ができる。
【0050】
(1e)送受信ユニット10は、揺動スキャナ20の左方に配置され、投光部11がx軸に沿う方向に送信光を出力するように構成される。折り返しミラー40は、投光部11から出力された送信光をy軸に沿う方向に反射するように揺動ミラー21の下方に配置される。ポリゴンスキャナ30は、揺動スキャナ20を挟んで送受信ユニット10とは反対側に配置される。このような構成によれば、送受信ユニット10、揺動スキャナ20及びポリゴンスキャナ30がライダ装置1の幅方向に並んで配置されているため、測定部2の幅方向の長さが長くなるものの、高さ方向及び奥行方向の長さを抑制することが可能となる。横幅を広げて送受信ユニット10を配置したことから、送受信ユニット10の上方に空きスペースができ、送受信ユニット10の周りで空気が流通しやすくなるため、対流による冷却効果を得やすくなる。また、例えば筐体100の右側面と左側面とに連通部110がある構成のように、筐体100の内部空間が流路として機能し得る場合は、筐体100の内部空間が幅方向に延びる細長い空間となることで流路が狭くなるため、流速が速くなり、空気の入れ替え及び対流が促進される効果が期待できる。なお、本実施形態の構成は、ライダ装置1を車両のグリルや車室内に搭載する場合のように、ライダ装置1の高さ及び奥行きを抑制したい場合にも適している。
【0051】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0052】
図8及び
図9に示すように、第2実施形態のライダ装置1は、筐体100の内部空間の空気を撹拌するように構成された少なくとも1つの撹拌翼120a,120bを更に備えている点で、第1実施形態と相違する。少なくとも1つの撹拌翼120a,120bは、ポリゴンミラー31に設けられてポリゴンミラー31と共に回転するように構成された回転翼120a、及び、揺動ミラー21に設けられて揺動ミラー21と共に揺動するように構成された揺動翼120bのうちの少なくとも一方である。なお、上記「ポリゴンミラー31に設けられ」とは、ポリゴンミラー31と一体的に回転するように設けられることを意味する。例えば、回転翼120aは、ポリゴンミラー31と一体的に回転するように回転モータ32に設けられてもよい。また、上記「揺動ミラー21に設けられ」とは、揺動ミラー21と一体的に揺動するように設けられることを意味する。例えば、揺動翼120bは、揺動ミラー21と一体的に揺動するように揺動モータ22に設けられてもよい。回転翼120aの回転及び揺動翼120bの揺動のうちの少なくとも一方により、筐体100の内部空間の空気が撹拌される。第2実施形態のライダ装置1は、回転翼120a及び揺動翼120bの両方を備えている。
【0053】
図8に示すように、回転翼120aは、ポリゴンミラー31の各反射面における回転軸321に沿って伸びる端部から延出するように設けられた板状の羽根であり、ポリゴンミラー31と共に回転軸321を中心に回転される。
図8はポリゴンミラー31を上方から見た図であるため、回転翼120aの上部のみが示されているが、実際には、回転翼120aはポリゴンミラー31の反射面における回転軸321に沿って伸びる端部の全体から延出する羽根である。回転翼120aは、ポリゴンミラー31の反射面において反射される送信光及び反射光の光路に影響しない程度において、反射面から延出させることができる。本実施形態の回転翼120aは、ポリゴンミラー31の各反射面の上記端部の一方において反射面が延長されて形成された羽根であるため、回転翼120aにおいても送信光及び反射光を反射することができる。このような回転翼120aであれば、ポリゴンミラー31の製造時にポリゴンミラー31の各反射面の上記端部の一方を延長しておくことで作成できるため、製造が容易である。また、回転翼120aの分だけ反射面の面積を大きくすることができ、各反射面で反射されて受光部12により受光される反射光の光量が増加するため、ライダ装置1の検知距離を長くすることができる。
【0054】
図9に示すように、揺動翼120bは、揺動スキャナ20の軸部材22aに設置されるプロペラ翼であり、揺動ミラー21と共に揺動軸221を中心に揺動される。本実施形態の揺動翼120bは、揺動スキャナ20の製造後、軸部材22aに後付けされる。このような揺動翼120bであれば、要望に合わせて揺動翼120bの有無やその形状を変更することが容易である。
【0055】
[2-2.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、第2実施形態によれば、回転翼120aの回転及び揺動翼120bの揺動のうちの少なくとも一方により、筐体100の内部空間の空気を撹拌することができる。これにより、回転翼120a及び揺動翼120bを有しない構成と比較して、筐体100の内部空間と外部との間での空気の入れ替え及び筐体100の内部空間の空気の対流がより促進される。よって、筐体100の内部空間に収容される部品の冷却性能をより高めることができる。
【0056】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0057】
(3a)上記実施形態では、ライダ装置1は、連通部110及び呼吸フィルタ800を1つずつ備える構成であったが、連通部110及び呼吸フィルタ800の個数はこれに限定されるものではない。ライダ装置は複数の呼吸フィルタ800を備え、筐体は複数の連通部110を有しており、複数の呼吸フィルタは複数の連通部110を覆うように設置される構成でもよい。例えば、
図10に示すように、筐体は左側面及び右側面に1つずつ連通部110を有しており、2つの呼吸フィルタ800のそれぞれが各連通部110を覆う構成でもよい。なお、
図10には、測定部2に対する筐体100及び2つの呼吸フィルタ800の位置を模式的に示している。2つの連通部110及び2つの吸着フィルタ900については、呼吸フィルタ800と略同じ位置にあるため、記載を省略した。このような構成によれば、一方の呼吸フィルタ800から流入した外気がポリゴンミラー31の回転及び揺動ミラー21の揺動により他方の呼吸フィルタ800の方向に流れ、他方の呼吸フィルタ800から外部へと出て行きやすくなる。また例えば、図示しないが、筐体は上面及び下面に1つずつ連通部110を有しており、2つの呼吸フィルタ800のそれぞれが各連通部110を覆う構成でもよい。このような構成によれば、下面の呼吸フィルタ800から筐体100の内部空間へと流入した外気が上方へ流れて、上面の呼吸フィルタ800から外部へと出て行きやすくなる。上記ように連通部110及び呼吸フィルタ800が2つずつ設けられる場合、連通部110及び呼吸フィルタ800が1つずつ設けられている構成と比較して、筐体100の内部空間と外部との空気の入れ替え及び筐体100の内部空間の空気の対流をより促進することができる。
【0058】
(3b)上記実施形態では、連通部110(具体的には、連通部110及び呼吸フィルタ800)は筐体100の右側面に配置されるが、連通部110及び呼吸フィルタ800の配置はこれに限定されるものではない。連通部110及び呼吸フィルタ800は、筐体100における右側面、左側面、背面、上面及び下面のいずれに設置されてもよく、いずれの面に配置された場合であっても上述したように筐体100の内部空間の冷却促進効果を有する。なお、連通部110及び呼吸フィルタ800がこれらの面に配置された場合の冷却促進作用は、上述したように、筐体100におけるスキャナに近接する側面、筐体100における発熱部品に近接する側面、背面、上面又は下面のいずれの面に連通部110及び呼吸フィルタ800が配置されたかにより異なる。
【0059】
例えば、筐体100における右側面、左側面、背面、上面及び下面のいずれかの面において、特に冷却したい発熱部品に最も近接する位置に連通部110及び呼吸フィルタ800を配置してもよい。
【0060】
(3c)上記実施形態では、発熱部品は、筐体100における呼吸フィルタ800が配置された面から離れた位置に配置されたが、発熱部品及び呼吸フィルタ800の配置は、これに限定されるものではない。例えば、発熱部品は、呼吸フィルタ800が配置された面に近接する位置に配置されてもよい。
【0061】
(3d)上記実施形態では、測定部2は、回転ミラーとしてポリゴンミラー31を有するが、回転ミラーはこれに限定されるものではない。例えば、測定部は、回転ミラーとして、両面に反射面を有する板状の偏向ミラーを有する構成でもよい。
【0062】
(3e)上記実施形態では、ライダ装置1は、吸着フィルタ900としてガス吸着フィルタを備える構成であるが、ライダ装置は、吸着フィルタ900として吸湿フィルタを備える構成でもよい。吸湿フィルタを備える場合、湿気を含んだ空気が連通部110から筐体100の内部空間へ流入することによる筐体100の内部空間に収容される部品の錆びや湿気による故障を抑制できる。また、連通部110に吸湿フィルタを設置することにより、筐体100の内部空間に収容される各部品について湿気対策を行うよりも、簡易かつ低コストで湿気対策ができる。
【0063】
ライダ装置は、吸着フィルタ900として、ガス吸着フィルタ及び吸湿フィルタの両方を備える構成でもよい。また、ライダ装置は、吸着フィルタ900を備えない構成でもよい。
【0064】
(3f)上記第2実施形態では、回転翼120aは、ポリゴンミラー31の各反射面における回転軸321に沿って伸びる端部から延出するように設けられた板状の羽根であったが、回転翼の構成はこれに限定されるものではない。例えば、
図11に示すように、回転翼120cは、回転モータ32の回転軸321に設置されるプロペラ翼であり、ポリゴンミラー31と共に回転軸321を中心に回転する構成でもよい。当該回転翼120cは、ポリゴンスキャナ30の製造後、回転モータ32の回転軸321に後付けされる構成でもよい。
【0065】
また、上記第2実施形態では、揺動翼120bは、揺動スキャナ20の軸部材22aに設置されるプロペラ翼であったが、揺動翼の構成はこれに限定されるものではない。例えば、図示しないが、揺動翼は、揺動ミラー21の反射面における揺動軸221に沿って伸びる端部から延出するように設けられた板状の羽根であってもよい。当該揺動翼は、揺動ミラー21の反射面における揺動軸221に沿って伸びる両端部が延長されて形成された羽根であり、当該揺動翼においても送信光及び反射光を反射できる構成でもよい。
【0066】
(3g)上記実施形態では、送受信ユニット10が揺動スキャナ20の左方に配置され、ポリゴンスキャナ30が揺動スキャナ20の右方に配置され、折り返しミラー40が揺動ミラー21の下方に配置される。しかし、送受信ユニット10、揺動スキャナ20、ポリゴンスキャナ30及び折り返しミラー40の配置はこれに限定されるものではない。例えば、送受信ユニット10が揺動スキャナ20の右方に配置され、ポリゴンスキャナ30が揺動スキャナ20の左方に配置されてもよい。また例えば、折り返しミラー40は、送信光をy軸に沿う方向に反射するように揺動ミラー21の上方に配置されてもよい。すなわち、送信光が揺動ミラー21の上方を通るよう投光部11から出力され、折り返しミラー40は、当該送信光が、折り返しミラー40にて略90°下方に進行方向が曲げられて、揺動ミラー21の反射面に入射されるように、揺動ミラー21の上方に配置されてもよい。
【0067】
また、送受信ユニット10が揺動スキャナ20の後方に配置され、折り返しミラー40が揺動ミラー21の下方又は上方に配置され、ポリゴンスキャナ30が揺動スキャナ20の左方又は右方に配置されてもよい。このような配置の一例として、
図12に、送受信ユニット10が揺動スキャナ20の後方に配置され、折り返しミラー40が揺動ミラー21の下方に配置され、ポリゴンスキャナ30が揺動スキャナ20の右方に配置される例を示す。なお、
図12及び後述する
図13には、測定部2に対する筐体100及び呼吸フィルタ800の位置を模式的に示している。連通部110及び吸着フィルタ900については、呼吸フィルタ800と略同じ位置にあるため、記載を省略した。このような配置においては、投光部11は、z軸に沿う方向に送信光を出力し、折り返しミラー40は、投光部11から出力された送信光をy軸に沿う方向に反射する。具体的には、折り返しミラー40は、投光部11から出力された送信光が、折り返しミラー40にて略90°上方又は下方に進行方向が曲げられて、揺動ミラー21の反射面に入射されるように、揺動ミラー21の下方又は上方に配置される。送受信ユニット10と揺動スキャナ20とは、上下方向において少なくとも一部が重なるように配置されていてもよい。このような構成によれば、測定部2の奥行き方向の長さが長くなるものの、幅方向及び高さ方向の長さを抑制することが可能となる。奥行きを広げて送受信ユニット10を配置したことから、送受信ユニット10の周りに空きスペースができ、送受信ユニット10の周りで空気が流通しやすくなるため、対流による冷却効果を得やすくなる。また、幅方向の長さが抑制されるため、例えば連通部110及び呼吸フィルタ800が筐体100におけるスキャナに近接する側面に配置された場合に、連通部110及び呼吸フィルタ800から発熱部品までの距離が近くなり、流入した外気がより発熱部品まで行き渡りやすくなることが期待できる。なお、当該構成は、ライダ装置を車両のルーフトップに搭載する場合のように、ライダ装置の幅及び高さを抑制したい場合にも適している。
【0068】
また、送受信ユニット10が揺動スキャナ20の下方又は上方に配置され、ポリゴンスキャナ30が揺動スキャナ20の左方又は右方に配置されてもよい。このような配置の一例として、
図13に、送受信ユニット10が揺動スキャナ20の下方に配置され、ポリゴンスキャナ30が揺動スキャナ20の右方に配置される例を示す。このような配置においては、投光部11がy軸に沿う方向に送信光を出力し、投光部11から出力された送信光が直接揺動ミラー21の反射面に入射される。このような構成によれば、測定部2の高さ方向の長さが長くなるものの、幅方向及び奥行き方向の長さを抑制することが可能となる。高さを広げて送受信ユニット10を配置したことから、送受信ユニット10の周りに空きスペースができ、送受信ユニット10の周りで空気が流通しやすくなるため、対流による冷却効果を得やすくなる。また、幅方向の長さが抑制されるため、上述した効果と同様の効果が期待できる。なお、当該構成は、ライダ装置を車両側方に搭載する場合のように、ライダ装置の幅及び奥行きを抑制したい場合にも適している。
【0069】
(3h)上記実施形態では、ポリゴンミラー31の複数の反射面は、5面以下であるように構成される。しかし、反射面の個数は5面以下に限られない。例えば、ポリゴンミラーの複数の反射面は、6面であってもよい。なお、ポリゴンミラー31の複数の反射面が5面以下である場合は、ポリゴンミラー31の外接円の半径を変えることなく、ポリゴンミラーの反射面が6面以上である場合と比較して、各反射面あたりの面積を大きくすることができる。各反射面あたりの面積が大きくなった分、各反射面で反射されて受光部12により受光される反射光の光量が増加する。よって、ポリゴンミラー31の大きさを大きくすることなく、すなわち、ライダ装置1全体としての大きさを大きくすることなく、ライダ装置1の検知距離を長くすることができる。
【0070】
さらに、ポリゴンミラー31の反射面が5面以下である場合、ポリゴンミラーの反射面が6面以上である場合と比較して、各反射面において送信光を走査可能な角度範囲を大きくできる。例えば、ポリゴンスキャナは120°の走査角度範囲を有することが望まれている。ポリゴンミラーの反射面が6面の場合、各反射面において送信光を走査可能な角度範囲は、計算上120°であるが、実際的には、走査可能な角度範囲は最大でも約110°くらいまでとなる。これに対して、ポリゴンミラーの反射面が5面である場合、各反射面において送信光を走査可能な角度範囲は、計算上144°であり、余裕を持って120°の走査角度範囲とすることが可能となる。なお、ポリゴンミラーの反射面が4面以下である場合は、各反射面において送信光を走査可能な角度範囲は、より大きくなる。
なお、ライダ装置の動作周期を考慮すると、ポリゴンミラーの反射面は5面であることがより好ましい。
【0071】
(3i)上記実施形態では、揺動スキャナ20とポリゴンスキャナ30とをそれぞれ1つずつ有する測定部2が、ライダ装置1に1つ備えられている。すなわち、ライダ装置1は、回転ミラーとしてのポリゴンミラー31と揺動ミラー21とを1つずつ備える。しかし、回転ミラー及び揺動ミラーの個数はこれに限定されるものではない。例えば、ライダ装置は、複数の回転ミラー及び揺動ミラーを備える構成であってもよい。回転ミラー及び揺動ミラーを複数個備えることで、筐体の内部空間の空気をより撹拌でき、対流をより促進できる。
【0072】
(3j)ライダ装置1において、筐体100の内部空間に対流を促進する形状を設けてもよい。例えば、対流を促進する形状として、筐体の内部空間の角部にC面取り加工やR面取り加工を施した部分である面取り部を設けてもよい。また例えば、筐体における呼吸フィルタ800が配置された面と直交する面に、外気の流入方向に対して直交する方向に延びるリブが外気の流入方向に複数個並んだ構造であるリブ構造を設けてもよい。当該リブ構造における複数のリブは、例えば、隣り合う2つのリブの対向面が、リブの先端に向かうにつれて互いに離れるように、なだらかに傾斜しており、隣り合う2つのリブの間で空気の流れが生じるように構成されていてもよい。このような対流を促進する形状を設けることにより、筐体100の内部空間の空気の対流が促進され、放熱効果が高まることが期待できる。
【0073】
(3k)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…ライダ装置、2…測定部、21…揺動ミラー、31…ポリゴンミラー、100…筐体、110…連通部、800…呼吸フィルタ、900…吸着フィルタ。