(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】スイッチ構造、および該スイッチ構造を有する音響処理装置
(51)【国際特許分類】
H01H 13/14 20060101AFI20241126BHJP
H01H 13/52 20060101ALI20241126BHJP
H01H 13/70 20060101ALI20241126BHJP
G10H 1/34 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01H13/14 A
H01H13/52 F
H01H13/70
G10H1/34
(21)【出願番号】P 2021159285
(22)【出願日】2021-09-29
【審査請求日】2024-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕史
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 勇二
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-093276(JP,A)
【文献】実開平04-096925(JP,U)
【文献】特開2006-012469(JP,A)
【文献】特開2005-353409(JP,A)
【文献】実開昭63-153431(JP,U)
【文献】特開2016-151698(JP,A)
【文献】実公平07-022019(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/14
H01H 13/52
H01H 13/70
G10H 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に対して移動する押下操作部に設けられ、前記押下操作部の中心軸線に平行な押し込み方向に押し込み操作される頭部と、
前記押し込み方向からみて前記頭部の外郭より内側において、前記頭部から前記押し込み方向に延びた第1の被ガイド部と、
前記中心軸線を中心とする円周方向における前記第1の被ガイド部とは異なる位置において、前記頭部から前記押し込み方向に延びた第2の被ガイド部と、
前記筐体に設けられ、前記中心軸線を中心とする径方向外側から前記第1の被ガイド部と対面する面状の第1の規制部と、
前記筐体に設けられ、前記中心軸線を中心とする径方向内側から前記第2の被ガイド部と対面する第2の規制部と、を有し、
前記押下操作部の押し込み行程において、前記第1の規制部によって前記第1の被ガイド部がガイドされつつ移動すると共に、前記第2の規制部によって前記第2の被ガイド部がガイドされつつ移動し、
前記押下操作部の押し込み行程において、前記第1の規制部によって移動を規制される前記第1の被ガイド部の方向と、前記第2の規制部によって移動を規制される前記第2の被ガイド部の方向とは平行でない、スイッチ構造。
【請求項2】
前記筐体に設けられ、前記中心軸線を中心とする径方向内側から前記第1の被ガイド部と対面する第3の規制部と、
前記筐体に設けられ、前記中心軸線を中心とする径方向外側から前記第2の被ガイド部と対面する第4の規制部と、をさらに有し、
前記押下操作部の押し込み行程において、前記第1の規制部と前記第3の規制部との間で前記第1の被ガイド部がガイドされつつ移動すると共に、前記第2の規制部と前記第4の規制部との間で前記第2の被ガイド部がガイドされつつ移動する、請求項1に記載のスイッチ構造。
【請求項3】
前記第1の被ガイド部と前記第1の規制部との組が複数あり、これら複数の組のうち第1の組に対して第2の組は、前記中心軸線を中心とする円周方向における90°を超える位相差の位置に配置される、請求項1または2に記載のスイッチ構造。
【請求項4】
前記第1の組と前記第2の組とは、前記中心軸線を挟んで対面位置に配置される、請求項3に記載のスイッチ構造。
【請求項5】
前記第2の被ガイド部と前記第2の規制部との組が複数あり、これら複数の組のうち第1の組に対して第2の組は、前記中心軸線を中心とする円周方向における90°を超える位相差の位置に配置される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスイッチ構造。
【請求項6】
前記第2の被ガイド部と前記第2の規制部との組のうち前記第1の組と前記第2の組とは、前記中心軸線を挟んで対面位置に配置される、請求項5に記載のスイッチ構造。
【請求項7】
前記第1の規制部によって移動を規制される前記第1の被ガイド部の方向と、前記第2の規制部によって移動を規制される前記第2の被ガイド部の方向とは直角を成す、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスイッチ構造。
【請求項8】
前記押下操作部の非押下状態において、前記押し込み方向における前記頭部の下端位置は、前記第1の規制部の上端位置と同じかまたは前記上端位置より低い、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスイッチ構造。
【請求項9】
前記中心軸線を基準として、前記第1の規制部が配置された側における前記頭部の側面と、前記第1の規制部が配置された側における前記筐体の側面とは面一である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のスイッチ構造。
【請求項10】
前記中心軸線を基準として、前記第1の規制部が配置された側における前記頭部の端位置は、前記第1の規制部が配置された側における前記筐体の側面と同位置かまたは前記側面よりも突出している、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のスイッチ構造。
【請求項11】
前記中心軸線を基準として、前記第1の規制部は、前記押下操作部を操作するユーザが位置する側に配置される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のスイッチ構造。
【請求項12】
前記筐体に設けられ、前記押下操作部に押されることで弾性変形して反力を発生させる反力発生部を有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のスイッチ構造。
【請求項13】
押し込み行程において前記押下操作部と連動して移動する可動接点と、
前記筐体に設けられ、前記可動接点と接触することで電気的に導通状態となる固定接点と、を有する、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のスイッチ構造。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のスイッチ構造を有し、
前記押下操作部の押し込み操作に応じて音情報を入力する、音響処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ構造、および該スイッチ構造を有する音響処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押し込み操作される押下操作部を有するスイッチ構造が知られている。特許文献1には、鍵盤装置において、押下操作部としての鍵が押し込み方向に平行に変位する構造が開示されている。また、特許文献2には、押下操作部としてのキーから延びる板が、案内プレートから上方に延びる環状のカラーの外側に配置されるコンピュータ用のキーボードが開示されている。キーから延びる板がカラーにガイドされることで、押し込み方向への押下操作部の移動がガイドされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-151698号公報
【文献】実公平7-22019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、押し込み方向への鍵の平行移動を確保するための平行維持手段の構成が複雑である。また、特許文献2では、キーから延びるガイド用の板が外部から容易に目視可能であるので、外観向上の観点からは改善の余地がある。
【0005】
本発明の一つの目的は、簡単な構成で押下操作部の円滑な平行移動を確保すると共に、外観の低下を抑制することができるスイッチ構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態によれば、筐体に対して移動する押下操作部に設けられ、前記押下操作部の中心軸線に平行な押し込み方向に押し込み操作される頭部と、前記押し込み方向からみて前記頭部の外郭より内側において、前記頭部から前記押し込み方向に延びた第1の被ガイド部と、前記中心軸線を中心とする円周方向における前記第1の被ガイド部とは異なる位置において、前記頭部から前記押し込み方向に延びた第2の被ガイド部と、前記筐体に設けられ、前記中心軸線を中心とする径方向外側から前記第1の被ガイド部と対面する面状の第1の規制部と、前記筐体に設けられ、前記中心軸線を中心とする径方向内側から前記第2の被ガイド部と対面する第2の規制部と、を有し、前記押下操作部の押し込み行程において、前記第1の規制部によって前記第1の被ガイド部がガイドされつつ移動すると共に、前記第2の規制部によって前記第2の被ガイド部がガイドされつつ移動し、前記押下操作部の押し込み行程において、前記第1の規制部によって移動を規制される前記第1の被ガイド部の方向と、前記第2の規制部によって移動を規制される前記第2の被ガイド部の方向とは平行でない、スイッチ構造が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一形態によれば、簡単な構成で押下操作部の円滑な平行移動を確保すると共に、外観の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】スイッチ構造が適用される電子機器の部分斜視図である。
【
図2】音響処理装置を+Y側からみた正面図である。
【
図3】筐体と一部の操作スイッチとを示す音響処理装置の分解斜視図である。
【
図4】受け部を+Z側からみた上面図に、操作スイッチの部分水平断面図を併せて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態に係るスイッチ構造が適用される電子機器の部分斜視図である。この電子機器は、一例として音響処理装置100として構成される。音響処理装置100は、例えば音情報を入力するシーケンサであり、複数種類の操作子を有する。ユーザは、操作子を操作(押し込み操作)することによって、リズム、メロディのほか、エフェクトなどのパラメータを含む音情報を入力することができる。また、音響処理装置100は発音機能を有してもよい。
【0011】
以降、各部の方向を、
図1等に示したX、Y、Z座標軸を基準として呼称する。ここでは便宜上、Z方向を上下方向とし、特に+Z方向が上方、-Z方向が下方とする。ただし、音響処理装置100が使用される際の姿勢は限定されないので、使用時にはZ方向は必ずしも上下方向とはならない。音響処理装置100のユーザは、通常、音響処理装置100に対して+Y側に位置する。従って、+X側はユーザからみて左側である。
【0012】
図2は、音響処理装置100を+Y側からみた正面図である。
図1に示すように、音響処理装置100は、筐体10のほか、操作子の一種として操作スイッチ40(押下操作部)を有する。操作スイッチ40は1つ以上であればよく、数は限定されない。複数の操作スイッチ40のそれぞれの構成は互いに共通であるので、以降、任意の1つの操作スイッチ40について説明する。
【0013】
操作スイッチ40は、筐体10に対してZ方向に移動(変位)する。操作スイッチ40は頭部47を有し、頭部47が中心軸線CO(
図2)に平行な押し込み方向に押し込み操作される。中心軸線COは、頭部47の操作面の重心を通り操作面に垂直な直線である。操作スイッチ40は、筐体10に組み付けられた状態においては、中心軸線COはZ方向と平行となる。
【0014】
図1、
図2では、非押下状態(押し込んでいない状態)の操作スイッチ40が示されている。頭部47が押し込み操作されると、操作スイッチ40は-Z方向に移動する。押し込み状態から頭部47への押し込み操作を解除すると、後述するドーム形状のスイッチ部60(反力発生部)からの反力によって操作スイッチ40は非押下状態に復帰する。
【0015】
図3は、筐体10と一部の操作スイッチ40とを示す音響処理装置100の分解斜視図である。筐体10には、操作スイッチ40のそれぞれに対応して、複数の受け部20が設けられている。受け部20のそれぞれの構成は互いに共通であるので、以降、任意の1つの受け部20について説明する。
【0016】
図4は、受け部20を+Z側からみた上面図に、操作スイッチ40の部分水平断面図を併せて示す図である。
図3に示すように、操作スイッチ40は、第1の被ガイド部41A、41B、第2の被ガイド部43A、43Bを有する。
図4では、操作スイッチ40については第1の被ガイド部41A、41Bおよび第2の被ガイド部43A、43Bの断面が示されている。
図5は、
図4のA-A線に沿う断面図である。
図6は、
図4のB-B線に沿う断面図である。
【0017】
まず、操作スイッチ40を説明する。
図3に示すように、操作スイッチ40の頭部47からは、第1の被ガイド部41A、41Bが押し込み方向に延びている。第1の被ガイド部41A、41Bは、押し込み方向からみて頭部47の外郭より内側に設けられる(
図4)。また、頭部47からは、第2の被ガイド部43A、43Bが押し込み方向に延びている。
図4に示すように、第2の被ガイド部43A、43Bは、中心軸線COを中心とする円周方向における第1の被ガイド部41A、41Bとは異なる位置(異なる位相)に位置する。受け部20に対する操作スイッチ40の組み付け状態において、被ガイド部41A、41B、43A、43Bはいずれも、Z方向に平行な板状の部分である。
【0018】
図4、
図6に示すように、第1の被ガイド部41A、41Bは、中心軸線COを挟んで対面位置に位置する。言い換えると、第1の被ガイド部41Aと第1の被ガイド部41Bとは、互いに、中心軸線COを中心とする円周方向における180°の位相差の位置に配置されている。第1の被ガイド部41Aの、中心軸線COを中心とする径方向外側には、2本のリブ42Aが突出形成されている。第1の被ガイド部41Bの、中心軸線COを中心とする径方向外側には、2本のリブ42Bが突出形成されている。
図4、
図5に示すように、第2の被ガイド部43Aと第2の被ガイド部43Bとは、中心軸線COを挟んで対面位置に位置する。第2の被ガイド部43Aの、中心軸線COを中心とする径方向内側には、2本のリブ44Aが突出形成されている。第2の被ガイド部43Bの、中心軸線COを中心とする径方向内側には、2本のリブ44Bが突出形成されている。リブ42A、42B、44A、44Bはいずれも、Z方向に平行である。
【0019】
また、第1の被ガイド部41A、41Bにはそれぞれ、穴45A、45Bが形成される(
図3、
図6)。第2の被ガイド部43A、43Bの各先端にはそれぞれ、フック部46A、46Bが設けられる(
図5)。
【0020】
また、
図5、
図6に示すように、操作スイッチ40の頭部47からは、突部48が-Z方向に突出している(
図3も参照)。突部48は、被ガイド部41A、41B、43A、43Bに囲まれ中心軸線COが通る領域に配置される。突部48は、操作スイッチ40の押下操作に連動して、後述するドーム形状のスイッチ部60を押圧する部分である。
【0021】
次に、受け部20を説明する。
図3、
図4、
図5、
図6に示すように、筐体10には基板65が設けられる。受け部20は、スイッチ部60と固定接点64とを有する。固定接点64は基板65上に配置される。スイッチ部60は、被押圧部61と、被押圧部61の下部に接続されたスカート部62とを有する。スカート部62の下部は基板65に固定されている。スカート部62は弾性を有する。被押圧部61は非押下状態においては突部48と接触している。スカート部62は、弾性力によって、被押圧部61を介して操作スイッチ40の突部48を+Z方向へ常に付勢している。従って、スイッチ部60は、操作スイッチ40に押されることで弾性変形して反力を発生させる反力発生部としての機能を果たす。
【0022】
被押圧部61の下部には、固定接点64と対面する可動接点63が設けられている。押し込み行程において、可動接点63は操作スイッチ40と連動して移動する。被押圧部61は突部48に押圧されて下方(-Z方向)に移動し、可動接点63が固定接点64に接触すると電気的に導通状態となる。すなわち、スイッチとしてメイク状態となる(ONとなる)。なお、電気的に導通状態となることで、例えば、操作スイッチ40が操作されたことが検出され、操作スイッチ40の操作に応じた動作が実行される。なお、操作スイッチ40の操作に応じた動作の内容は限定されない。
【0023】
なお、本実施の形態では、可動接点63がスイッチ部60に設けられたが、それは必須でない。例えば、可動接点は操作スイッチ40に設けられてもよい。従って、反力を発生させる機能とスイッチをメイクさせる機能とを別々に設けてもよい。
【0024】
図3に示すように、受け部20には、第1の被ガイド部41Aに対応して、第1の規制部21Aおよび第3の規制部22Aが設けられ、第1の被ガイド部41Bに対応して、第1の規制部21Bおよび第3の規制部22Bが設けられる。また、受け部20には、第2の被ガイド部43Aに対応して、第2の規制部24Aおよび第4の規制部23Aが設けられ、第2の被ガイド部43Bに対応して、第2の規制部24Bおよび第4の規制部23Bが設けられる。
【0025】
第1の規制部21A、21Bからは、互いに対面する方向に引っ掛け部25A、25Bが突出している(
図4)。
図3に示すように、受け部20に対して操作スイッチ40を組み付けると、引っ掛け部25A、25Bが、第1の被ガイド部41A、41Bの各穴45A、45Bに引っ掛かることで、第1の被ガイド部41A、41Bの抜けが抑止される(
図6)。それと共に、第2の被ガイド部43A、43Bの各フック部46A、46Bが、第4の規制部23A、23Bに引っ掛かることで、第2の被ガイド部43A、43Bの抜けが抑止される(
図5)。
【0026】
図4に示すように、第1の規制部21A、第3の規制部22Aはそれぞれ、第1の被ガイド部41Aに対し、中心軸線COを中心とする径方向外側、径方向内側から対面し、第1の被ガイド部41Aと係わり合う。第1の規制部21B、第3の規制部22Bはそれぞれ、第1の被ガイド部41Bに対し、中心軸線COを中心とする径方向外側、径方向内側から対面し、第1の被ガイド部41Bと係わり合う。
【0027】
第2の規制部24A、第4の規制部23Aはそれぞれ、第2の被ガイド部43Aに対し、中心軸線COを中心とする径方向内側、径方向外側から対面し、第2の被ガイド部43Aと係わり合う。第2の規制部24B、第4の規制部23Bはそれぞれ、第2の被ガイド部43Bに対し、中心軸線COを中心とする径方向内側、径方向外側から対面し、第2の被ガイド部43Bと係わり合う。
【0028】
操作スイッチ40の押し込み行程において、第1の規制部21Aと第3の規制部22Aとの間で第1の被ガイド部41Aがガイドされつつ移動すると共に、第1の規制部21Bと第3の規制部22Bとの間で第1の被ガイド部41Bがガイドされつつ移動する。また、第2の規制部24Aと第4の規制部23Aとの間で第2の被ガイド部43Aがガイドされつつ移動すると共に、第2の規制部24Bと第4の規制部23Bとの間で第2の被ガイド部43Bがガイドされつつ移動する。
【0029】
第1の被ガイド部41A、41BがZ方向に移動する際、リブ42A、42Bは、規制部21A、21Bに対して接触しつつ滑るかまたは接触しない。第2の被ガイド部43A、43BがZ方向に移動する際、リブ44A、44Bは、規制部24A、24Bに対して接触しつつ滑るかまたは接触しない。リブ42A、42B、44A、44BはZ方向に形成されているので、滑り摩擦を低減し、操作スイッチ40の移動の円滑化に寄与する。ただし、リブ42A、42B、44A、44Bを設けることは必須でない。
【0030】
ここで、第1の規制部21Aと第3の規制部22Aとによって移動を規制される第1の被ガイド部41Aの方向はY方向であり、第1の規制部21Bと第3の規制部22Bとによって移動を規制される第1の被ガイド部41Bの方向もY方向である。一方、第2の規制部24Aと第4の規制部23Aとによって移動を規制される第2の被ガイド部43Aの方向はX方向であり、第2の規制部24Bと第4の規制部23Bとによって移動を規制される第2の被ガイド部43Bの方向もX方向である。Y方向とX方向とは直角をなし、平行でない。
【0031】
従って、操作スイッチ40は、規制部21A~24A、21B~24BによってX-Y平面の移動が規制されつつZ方向に移動する。また、Z方向から見て、規制部21A、21B、24A、24Bは全体として環状の矩形をなす。第2の被ガイド部43A、43Bは、規制部21A、21B、24A、24Bがなす矩形の外側に位置するので、中心軸線COから極力遠い位置に配置可能である。従って、ガイド機能が安定し、操作スイッチ40が円滑に平行移動する。さらに、規制部21A、21B、24A、24Bは、Z方向に平行な板状(面状)の壁部である。そのため、操作スイッチ40全体が、Z軸に対して角度を有する方向に傾くことが抑制される。この点も、操作スイッチ40が円滑に平行移動することに寄与する。また、平行移動のための構成が複雑でない。なお、ここでいう平行移動とは、操作スイッチ40の頭部47の操作面がZ軸に対してほぼ垂直のままZ方向に変位することである。
【0032】
機種によっては、基板65上に、固定接点64を避けて発光部(図示せず)を設けてもよい。
図1に示すように、頭部47には透光部49が設けられている。発光部の光が透光部49を通じて視認される。なお、発光部は常時発光してもよいし、スイッチメイク時にだけ発光してもよい。
【0033】
図2に示すように、操作スイッチ40の非押下状態において、押し込み方向における頭部47の下端位置47bは、第1の規制部21Aの上端位置21Axと同じかまたは上端位置21Axより低い。操作スイッチ40が押下状態となっても、下端位置47bは上端位置21Axより高くなることはない。ここで、中心軸線COを基準として、第1の被ガイド部41A(
図4)は、ユーザが位置する側(+Y側)に位置する。従って、頭部47および第1の規制部21Aに隠れて第1の被ガイド部41Aがユーザから目視されないようにすることができる。従って、ユーザからみた外観の向上に寄与する。
【0034】
また、
図4に示すように、中心軸線COを基準とする第1の規制部21Aが配置された側(+Y側)における頭部47の側面47a(前面)と、+Y側における筐体10の側面10aとは面一である。この観点でも、外観向上に寄与する。
【0035】
音響処理装置100は、例えば次のように製造される。作業者は、筐体10および操作スイッチ40をそれぞれ樹脂により成形する。作業者は、基板65上に固定接点64およびスイッチ部60を実装し、筐体10に基板65を配置する。作業者は、各受け部20に操作スイッチ40を押し込んで嵌め込む。すると、第1の規制部21A、21Bの引っ掛け部25A、25Bが第1の被ガイド部41A、41Bの穴45A、45Bに引っ掛かると共に、第2の被ガイド部43A、43Bのフック部46A、46Bが第4の規制部23A、23Bに引っ掛かる。このようにして、操作スイッチ40が、受け部20に対して押し込み方向に移動可能で且つ抜け止め状態で受け部20に装着される。
【0036】
本実施の形態によれば、中心軸線COを中心として、規制部21A、22Aは、第1の被ガイド部41Aに対し、径方向外側、径方向内側から対面する。規制部21B、22Bは、第1の被ガイド部41Bに対し、径方向外側、径方向内側から対面する。規制部24A、23Aは、第2の被ガイド部43Aに対し、径方向内側、径方向外側から対面する。規制部24B、23Bは、第2の被ガイド部43Bに対し、径方向内側、径方向外側から対面する。そして、操作スイッチ40の押し込み行程において、規制部21A、22A間で第1の被ガイド部41Aがガイドされつつ移動すると共に、規制部21B、22B間で第1の被ガイド部41Bがガイドされつつ移動する。また、規制部24A、23A間で第2の被ガイド部43Aがガイドされつつ移動すると共に、規制部24B、23B間で第2の被ガイド部43Bがガイドされつつ移動する。規制部21A、22A、21B、22Bによって移動を規制される被ガイド部41A、41Bの方向(Y方向)と、規制部24A、23A、24B、23Bによって移動を規制される被ガイド部43A、43Bの方向(X方向)とは平行でない。よって、簡単な構成で押下操作部(操作スイッチ40)の円滑な平行移動を確保すると共に、外観の低下を抑制することができる。
【0037】
次に、変形例を考察する。
【0038】
第1の被ガイド部41Aおよび規制部21A、22Aと第1の被ガイド部41Bおよび規制部21B、22Bとは、中心軸線COを挟んで対面位置に配置された。すなわち、両者は、中心軸線COを中心とする円周方向における180°の位相差の位置に配置された。よって操作スイッチ40のガイド機能が安定する。しかし、操作スイッチ40の円滑な平行移動を確保する観点からは、これに限定されない。両者は、中心軸線COを中心とする円周方向における90°を超える位相差の位置に配置されればよい。また、第1の被ガイド部、第1の規制部および第3の規制部は2組設けられたが、3組以上設けられてもよい。その場合でも、複数の組のうち2つの組に着目したとき、これら2つの組の両者が、中心軸線COを中心とする円周方向における90°を超える位相差の位置に配置されればよい。
【0039】
同様に、第2の被ガイド部43Aおよび規制部24A、23Aと第2の被ガイド部43Bおよび規制部24B、23Bとは、中心軸線COを挟んで対面位置に配置された。よって操作スイッチ40のガイド機能が安定する。しかし、操作スイッチ40の円滑な平行移動を確保する観点からは、両者は、中心軸線COを中心とする円周方向における90°を超える位相差の位置に配置されればよい。また、第2の被ガイド部、第2の規制部および第4の規制部は2組設けられたが、3組以上設けられてもよい。その場合でも、複数の組のうち2つの組に着目したとき、これら2つの組の両者が、中心軸線COを中心とする円周方向における90°を超える位相差の位置に配置されればよい。
【0040】
なお、簡単な構成で押下操作部の円滑な平行移動を確保すると共に外観の低下を抑制する効果を確保する最低限の構成を考える場合、構成を簡略化してもよい。例えば、以下の説明するように、被ガイド部41A、41B、43A、43B、規制部21A~24A、21B~24Bの一部を廃止することが可能である。
【0041】
まず、第1の規制部21Aは、第1の被ガイド部41Aと係わり合うことで、中心軸線COから遠ざかる第1の方向(+Y方向)への第1の被ガイド部41Aの移動を規制する。第3の規制部22Aは、第1の被ガイド部41Aと係わり合うことで、第1の方向とは反対の第2の方向(-Y方向)への操作スイッチ40(第1の被ガイド部41A)の移動を規制する。ここで、第1の規制部21Bは、第1の被ガイド部41Bと係わり合うことで第2の方向(-Y方向)への操作スイッチ40の移動を規制する。
【0042】
第3の規制部22Aおよび第1の規制部21Bはいずれも、第1の規制部21Aと協働して、押し込み行程における操作スイッチ40の移動をガイドする。また、-Y方向への移動規制に限れば、第1の規制部21Bは第3の規制部22Aと同様の機能を果たす。従って、第3の規制部22Aおよび第1の規制部21Bのうちいずれかを廃止してもよい。例えば、第1の規制部21Aおよび第3の規制部22Aを設け、第1の規制部21Bを廃止する場合、第1の被ガイド部41Bおよび第3の規制部22Bも廃止可能である。
【0043】
同様に、第2の規制部24Aは、中心軸線COを中心とする径方向内側から第2の被ガイド部43Aと係わり合うことで、第1の方向とは平行でなく中心軸線COに近づく第3の方向(-X方向)への第2の被ガイド部43Aの移動を規制する。第4の規制部23Aは、第2の被ガイド部43Aと係わり合うことで、第3の方向とは反対の第4の方向(+X方向)への操作スイッチ40(第2の被ガイド部43A)の移動を規制する。ここで、第2の規制部24Bは、第2の被ガイド部43Bと係わり合うことで第4の方向(+X方向)への操作スイッチ40の移動を規制する。
【0044】
第4の規制部23Aおよび第2の規制部24Bはいずれも、第2の規制部24Aと協働して、押し込み行程における操作スイッチ40の移動をガイドする。また、+X方向への移動規制に限れば、第2の規制部24Bは、第4の規制部23Aと同様の機能を果たす。従って、第4の規制部23Aおよび第2の規制部24Bのうちいずれかを廃止してもよい。例えば、第2の規制部24Aおよび第4の規制部23Aを設け、第2の規制部24Bを廃止する場合、第2の被ガイド部43Bおよび第4の規制部23Bも廃止可能である。
【0045】
これらを総合的に考慮すると次のようになる。まず条件を示す。
【0046】
条件(a):第1の被ガイド部41A、第1の規制部21Aおよび第3の規制部22Aを有すること
条件(b):第1の被ガイド部41A、第1の規制部21Aおよび第1の規制部21Bを有すること(ただし、第1の規制部21Bにより規制される部分として第1の被ガイド部41Bまたはこれに相当する部分も必要)
条件(c):第2の被ガイド部43A、第2の規制部24Aおよび第4の規制部23Aを有すること
条件(d):第2の被ガイド部43A、第2の規制部24Aおよび第2の規制部24Bを有すること(ただし、第2の規制部24Bにより規制される部分として第2の被ガイド部43Bまたはこれに相当する部分も必要)
上記効果を確保する最低限の構成を考える場合、以上の条件(a)~(d)のうち、「(a)または(b)の少なくとも一方」且つ「(c)または(d)の少なくとも一方」を満たせばよい。なお、上記条件は、第1の被ガイド部41Aおよび第2の被ガイド部43Aに着目しているが、第1の被ガイド部41Bおよび第2の被ガイド部43Bに着目した場合、「A」と「B」とを書き替えたもので理解される。
【0047】
一例を挙げれば、被ガイド部41A、43A、規制部21A、22A、24A、23Aを有し、被ガイド部41B、43B、規制部21B、22B、24B、23Bを廃止してもよい。あるいは、被ガイド部41A、43B、規制部21A、22A、24B、23Bを有し、被ガイド部41B、43A、規制部21B、22B、24A、23Aを廃止してもよい。
【0048】
また、被ガイド部41A、41B、43A、43B、規制部21A、21B、24A、24Bを有し、規制部22A、22B、23A、23Bを廃止してもよい。あるいは、第1の被ガイド部41Aの目視抑止も確保する観点で規制部21Aを必須とする前提で、被ガイド部41A、41B、43A、43B、規制部21A、21B、23A、23Bを有し、規制部22A、22B、24A、24Bを廃止してもよい。
【0049】
なお、第1の方向(+Y方向)と第3の方向(-X方向)とは直角を成す。しかし、操作スイッチ40のX-Y平面での移動を規制しつつ押し込み方向へ円滑に平行移動する効果を得る観点からは、第1の方向と第3の方向とが平行でなければよい。
【0050】
なお、被ガイド部41A、41B、43A、43B、規制部21A~24A、21B~24Bの一部を廃止する場合であっても、第1の被ガイド部41Aおよび規制部21A、22Aと第1の被ガイド部41Bおよび規制部21B、22Bとは、中心軸線COを挟んで対面位置に配置されなくてもよい。同様に、第2の被ガイド部43Aおよび規制部24A、23Aと第2の被ガイド部43Bおよび規制部24B、23Bとは、中心軸線COを挟んで対面位置に配置されなくてもよい。具体的には次のような配置とすればよい。
【0051】
まず、第1の被ガイド部と第1の規制部との組が複数あるとし、これら複数の組のうち第1の被ガイド部41Aおよび第1の規制部21Aの組を「第1の組」とし、第1の被ガイド部41Bおよび第1の規制部21Bの組を「第2の組」とする。第1の組に対して、第2の組は、中心軸線COを中心とする円周方向における90°を超える位相差の位置に配置される。この場合、第2の組に含まれる第1の規制部21Bが、第1の組に含まれる第1の規制部21Aと協働して操作スイッチ40の移動をガイドする点で、第3の規制部22Aと同様の機能を果たす。つまり、第1の被ガイド部41Aのガイドという観点からみると第1の規制部21Bが第3の規制部に該当する。
【0052】
また、第2の被ガイド部と第2の規制部との組が複数あるとし、これら複数の組のうち第2の被ガイド部43Aおよび第2の規制部24Aの組を「第3の組」とし、第2の被ガイド部43Bおよび第2の規制部24Bの組を「第4の組」とする。第3の組に対して、第4の組は、中心軸線COを中心とする円周方向における90°を超える位相差の位置に配置される。この場合、第4の組に含まれる第2の規制部24Bが、第3の組に含まれる第2の規制部24Aと協働して操作スイッチ40の移動をガイドする点で、第4の規制部23Aと同様の機能を果たす。つまり、第2の被ガイド部43Aのガイドという観点からみて第2の規制部24Bが第4の規制部に該当する。
【0053】
【0054】
図7~
図9は、変形例における、受け部20を+Z側からみた上面図に、操作スイッチ40の部分水平断面図を併せて示す模式図である。
図7~
図9では、被ガイド部および規制部の形状は簡略化されて模式的に図示されている。
【0055】
まず、被ガイド部41A、41B、43A、43B、規制部21A~24A、21B~24Bは、板状(面状)に限定されない。特に、規制部21A~24A、21B~24Bは、被ガイド部41A、41B、43A、43Bの移動規制効果を発揮できれば形状は問わない。例えば、被ガイド部41A、41B、43A、43Bの内側に配置される規制部22A、22B、24A、24Bは、円柱形状等のように、対面する部材に線当たりで接触する形状であってもよい。特に、被ガイド部41A、41B、43A、43Bの内側に配置される規制部の形状の自由度が高いので、省スペースを図り、基板65上の空間を大きく確保するのに有利である。
【0056】
被ガイド部41A、41B、43A、43B、規制部21A~24A、21B~24Bの一部がZ方向から見て湾曲する例を
図7に示す。例えば、
図7に示すように、第1の被ガイド部41Aが+Y側に凸の円弧状となるよう湾曲してもよい。第1の被ガイド部41Aの湾曲に合せて第1の規制部21Aおよび第3の規制部22Aも湾曲している。なお、このほかの被ガイド部41B、43A、43B、規制部23A、24A、21B~24Bの一部または全部が湾曲していてもよい。また、これらの各部は中心軸線COに近づく方向に凸であってもよい。
【0057】
また、
図4に示す例では、+Y側における頭部47の側面47aと筐体10の側面10aとは面一であった。しかし、
図7に示すように、中心軸線COを基準とする第1の規制部21Aが配置された側(ユーザ側)における頭部47の端位置P1は、同じ側における筐体10の側面10aと同位置かまたは側面10aよりも突出していてもよい。
【0058】
なお、Z方向からみた受け部20の形状は、
図4に示す例では四角形であったが、
図8、
図9に示すように、その他の多角形でもよいし、
図7に示すように湾曲部(円弧部)を含む形状であってもよい。ここでいう受け部20の形状は、規制部21A、21B、24A、24Bにより認識される形状であるとする。
【0059】
例えば、
図8に示す例では、受け部20の形状は六角形であり、第1の被ガイド部41A、第1の規制部21Aおよび第3の規制部22Aの組が2組あり、第1の被ガイド部41B、第1の規制部21Bおよび第3の規制部22Bの組が2組ある。ユーザ側における頭部47の端位置P1は筐体10の側面10aよりも突出している。
【0060】
図9に示す例では、受け部20の形状は三角形であり、第1の被ガイド部41A、第1の規制部21Aおよび第3の規制部22Aの組は1組だけとなっている。+Y側における頭部47の側面47aと筐体10の側面10aとは面一である。
【0061】
なお、
図7~
図9に示す変形例を採用する場合でも、上記考察した最低限の構成を採用してもよい。例えば、
図8に示す例で、第3の規制部22A、22Bを廃止してもよいし、
図7~
図9に示す例で、第4の規制部23A、23Bを廃止してもよい。
【0062】
なお、本実施の形態または変形例において、第3の規制部22Aは向かう合う方向に突出し、分離した構成であった。しかしこれは製造上の都合や強度確保の観点から決定された設計である。従って、上記効果を求める観点からは、2つの第3の規制部22Aを接続して1本のブリッジ状の規制部として構成してもよい。
【0063】
なお、本発明のスイッチ構造は、音響処理装置100に限定されず、スイッチを備える他の各種の機器や電子機器に適用可能である。
【0064】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施の形態や変形例の一部を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 筐体、 21A、21B 第1の規制部、 21Ax 上端位置、 22A、22B 第3の規制部、 24A、24B 第2の規制部、 23A、23B 第4の規制部、 40 操作スイッチ、 41A、41B 第1の被ガイド部、 43A、43B 第2の被ガイド部、 47 頭部、 60 スイッチ部、 100 音響処理装置