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特許7593288制御装置、プログラム、飛行体、システム、及びシステムの動作方法
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  • 特許-制御装置、プログラム、飛行体、システム、及びシステムの動作方法 図1
  • 特許-制御装置、プログラム、飛行体、システム、及びシステムの動作方法 図2
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  • 特許-制御装置、プログラム、飛行体、システム、及びシステムの動作方法 図5
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  • 特許-制御装置、プログラム、飛行体、システム、及びシステムの動作方法 図7A
  • 特許-制御装置、プログラム、飛行体、システム、及びシステムの動作方法 図7B
  • 特許-制御装置、プログラム、飛行体、システム、及びシステムの動作方法 図8
  • 特許-制御装置、プログラム、飛行体、システム、及びシステムの動作方法 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】制御装置、プログラム、飛行体、システム、及びシステムの動作方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20241126BHJP
   B64D 27/24 20240101ALI20241126BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20241126BHJP
   G01C 21/20 20060101ALI20241126BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241126BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241126BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241126BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G08G5/00 A
B64D27/24
B64C27/04
G01C21/20
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
H02J7/00 B
H02J7/04 D
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021170428
(22)【出願日】2021-10-18
(65)【公開番号】P2023060696
(43)【公開日】2023-04-28
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 隆慶
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昭大郎
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特許第6480088(JP,B1)
【文献】特開2013-090360(JP,A)
【文献】特開2020-012695(JP,A)
【文献】特開2019-073056(JP,A)
【文献】特開2019-032661(JP,A)
【文献】特開2020-067879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/00
B64D 27/24
B64C 27/04
G01C 21/20
H01M 10/48
H01M 10/44
H02J 7/00
H02J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動ロータにより飛行する飛行体の飛行に係る消費電力の情報を格納する記憶部と、
前記飛行体が目的地へ飛行するときの単位領域ごとに飛行体に要求される飛行高度の情報に基づく飛行高度の変化量の合計を含む飛行条件に応じた消費電力と当該飛行体の充電残量とに基づいて、給電施設を経由する飛行経路での飛行を当該飛行体に指示する制御部と、を有する
制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記給電施設にて前記充電残量に応じた充電速度で充電を行うための指示を前記飛行体に送る、
制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記制御部は、前記飛行体が指定された到着時刻までに前記目的地に到着しない場合には、前記給電施設における充電時間を短縮するための指示を、前記飛行体に送る、
制御装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記制御部は、前記飛行体のバッテリの状態を加味して前記充電時間を短縮するための指示を生成する、
制御装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかにおいて、
前記飛行条件は、さらに、飛行距離、天候、風向き、及び操縦者の操縦技量の一以上を含む、
制御装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかにおいて、
前記制御部は、端末装置から前記目的地の情報を受ける、
制御装置。
【請求項7】
コンピュータにより実行されることで、請求項1~6のいずれかに記載の制御装置として当該コンピュータを動作させる、プログラム。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載の制御装置を有する飛行体。
【請求項9】
電動ロータにより飛行する飛行体と、当該飛行体と通信する制御装置とを有するシステムであって、
前記制御装置は、前記飛行体の飛行に係る消費電力の情報を格納する記憶部と、前記飛行体が目的地へ飛行するとき単位領域ごとに飛行体に要求される飛行高度の情報に基づく飛行高度の変化量の合計を含む飛行条件に応じた消費電力と当該飛行体の充電残量とに基づいて、給電施設を経由する飛行経路での飛行を当該飛行体に指示する制御部とを有し、
前記飛行体は、前記制御部からの指示に基づいて飛行する
システム。
【請求項10】
請求項9において、
前記制御装置は、前記給電施設にて前記充電残量に応じた充電速度で充電を行うための指示を前記飛行体に送る、
システム。
【請求項11】
請求項9又は10において、
前記制御装置は、前記飛行体が指定された到着時刻までに前記目的地に到着しない場合には、前記給電施設における充電時間を短縮するための指示を、前記飛行体に送る、
システム。
【請求項12】
請求項11において、
前記制御装置は、前記飛行体のバッテリの状態を加味して前記充電時間を短縮するための指示を生成する、
システム。
【請求項13】
請求項9~12のいずれかにおいて、
前記飛行条件は、さらに、飛行距離、天候、風向き、及び操縦者の操縦技量の一以上を含む、
システム。
【請求項14】
請求項9~13のいずれかにおいて、
前記制御装置は、端末装置から前記目的地の情報を受ける、
システム。
【請求項15】
電動ロータにより飛行する飛行体と、当該飛行体と通信する制御装置とを有するシステムの動作方法であって、
前記制御装置が、前記飛行体の飛行に係る消費電力の情報を有し、前記飛行体が目的地へ飛行するとき単位領域ごとに飛行体に要求される飛行高度の情報に基づく飛行高度の変化量の合計を含む飛行条件に応じた消費電力と当該飛行体の充電残量とに基づいて、給電施設を経由する飛行経路での飛行を当該飛行体に指示する工程と、
前記飛行体が、前記制御装置からの指示に基づいて飛行する工程と、を含
動作方法。
【請求項16】
請求項15において、
前記制御装置が、前記給電施設にて前記充電残量に応じた充電速度で充電を行うための指示を前記飛行体に送る、
動作方法。
【請求項17】
請求項15又は16において、
前記制御装置が、前記飛行体が指定された到着時刻までに前記目的地に到着しない場合には、前記給電施設における充電時間を短縮するための指示を、前記飛行体に送る、
動作方法。
【請求項18】
請求項17において、
前記制御装置が、前記飛行体のバッテリの状態を加味して前記充電時間を短縮するための指示を生成する、
動作方法。
【請求項19】
請求項15~18のいずれかにおいて、
前記飛行条件が、さらに、飛行距離、天候、風向き、及び操縦者の操縦技量の一以上を含む、
動作方法。
【請求項20】
請求項15~19のいずれかにおいて、
前記制御装置が、端末装置から前記目的地の情報を受ける、
動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、プログラム、飛行体、システム、及びシステムの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積載したバッテリからの放電による電力で駆動するEV(Electric Vehicle)、eVTOL(electric Vertical Take Off and Landing)といった乗物が知られている。また、バッテリの効率的な充放電を管理する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、バッテリの温度、劣化度合いに基づき充電制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-000831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
eVTOL等の飛行体において、バッテリの充放電を合理的に行うことが要求される。
【0005】
本開示は、飛行体のバッテリの充放電を合理的に管理する制御装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における制御装置は、電動ロータにより飛行する飛行体の飛行に係る消費電力の情報を格納する記憶部と、前記飛行体が目的地へ飛行するときの飛行条件に応じた消費電力と当該飛行体の充電残量とに基づいて、給電施設を経由する飛行経路での飛行を当該飛行体に指示する制御部と、を有する。
【0007】
本開示におけるシステムは、電動ロータにより飛行する飛行体と、当該飛行体と通信する制御装置とを有するシステムであって、前記制御装置は、前記飛行体の飛行に係る消費電力の情報を格納する記憶部と、前記飛行体が目的地へ飛行するときの飛行条件に応じた消費電力と当該飛行体の充電残量とに基づいて、給電施設を経由する飛行経路での飛行を当該飛行体に指示する制御部とを有し、前記飛行体は、前記制御部からの指示に基づいて飛行する。
【0008】
本開示におけるシステムの動作方法は、電動ロータにより飛行する飛行体と、当該飛行体と通信する制御装置とを有するシステムの動作方法であって、前記制御装置が、前記飛行体の飛行に係る消費電力の情報を有し、前記飛行体が目的地へ飛行するときの飛行条件に応じた消費電力と当該飛行体の充電残量とに基づいて、給電施設を経由する飛行経路での飛行を当該飛行体に指示する工程と、前記飛行体が、前記制御部からの指示に基づいて飛行する工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示における制御装置等によれば、飛行体のバッテリの充放電を合理的に管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】運行管理システムの構成例を示す図である。
図2】サーバ装置の構成例を示す図である。
図3】飛行体の構成例を示す図である。
図4】端末装置の構成例を示す図である。
図5】運行管理システムの動作例を示すシーケンス図である。
図6】サーバ装置の動作例を示すフローチャート図である。
図7A】高度情報と飛行経路の例を示す図である。
図7B】飛行経路の例を示す図である。
図8】飛行体の消費電力について説明する図である。
図9】飛行経路の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、一実施形態における運行管理システムの構成例を示す図である。運行管理システム1は、オンデマンドで乗客を搬送する飛行体の運行を管理するシステムである。運行管理システム1は、ネットワーク11を介して互いに情報通信可能に接続される、それぞれ一以上のサーバ装置10、飛行体12、及び端末装置13を有する。
【0013】
サーバ装置10は、例えば、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属し、各種機能を実装するサーバとして機能するサーバコンピュータである。サーバ装置10は、飛行体12による運行サービスを提供する事業者により利用される。
【0014】
飛行体12は、一以上の乗員が搭乗可能な乗用車と略同様の大きさのキャビンと、揚力及び推力を発生させるための一以上の電動ロータを含む機構とを有し、少なくとも部分的に有視界飛行方式(VFR:Visual Flight Rules)により操縦される、例えばeVTOLである。飛行体12は、電動ロータを駆動するための、モータを含む駆動機構とその制御装置、及び駆動機構に電力を供給するバッテリを有する。バッテリは、例えば、リチウムイオンバッテリである。飛行体12は、計器飛行方式(IFR:Instrument Flight Rules)による操縦が行われてもよい。また、飛行体12は、通信機能と情報処理機能とを備え、移動通信ネットワークを介してネットワーク11に接続される。
【0015】
端末装置13は、通信機能を備えた情報処理装置であって、飛行体12に搭乗する乗客により用いられ、各種情報通信と情報処理を実行する。端末装置13は、例えば、スマートフォン、タブレット端末といった情報処理端末である。
【0016】
ネットワーク11は、例えばインターネットであるが、アドホックネットワーク、LAN(Local Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、もしくは他のネットワーク又はこれらいずれかの組合せが含まれる。
【0017】
運行管理システム1において、サーバ装置10が「制御装置」に対応する。サーバ装置10は、電動ロータにより飛行する飛行体12の飛行に係る消費電力の情報を格納する記憶部を有する。また、サーバ装置10は、飛行体12が目的地へ飛行するときの飛行条件に応じた消費電力と飛行体12の充電残量とに基づいて、給電施設を経由する飛行経路での飛行を飛行体12に指示する制御部を有する。
【0018】
飛行体12は、軽量化の必要から、比較的小さい体積のバッテリを搭載する。すると、一回の充電量がバッテリの体積に制約されることにより、頻繁にバッテリを充放電することになる。バッテリの頻繁な充放電は、バッテリの劣化につながりやすく、特に、100%又は0%付近での高速充電は、バッテリの劣化を加速するおそれがある。一方で、飛行体12のロータを駆動するモータは、飛行体12の飛行条件に応じて異なる負荷を受け、したがって消費電力が変動する。本実施形態によれば、飛行体12が運行するときの飛行条件に応じた消費電力と飛行体12のバッテリの充電残量とに基づいて、適切なタイミングで飛行体12が給電施設で充電できるような飛行経路を設定する。よって、飛行体のバッテリの充放電を合理的に管理することが可能となる。ひいては、飛行体12のバッテリの劣化を無用に加速するような充放電が回避されることで、飛行体12の良好な稼働が維持される。
【0019】
図2は、サーバ装置10の構成例について説明するための図である。サーバ装置10は、通信部21、記憶部22、制御部23、入力部25、及び出力部26を有する。サーバ装置10は、例えば、一のコンピュータである。または、サーバ装置10は、情報通信可能に接続されて連携動作する二以上のコンピュータで構成されてもよい。その場合、図2に示す構成は二以上のコンピュータに適宜に配置される。
【0020】
通信部21は、一以上の通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部21は、サーバ装置10の動作に用いられる情報を受信し、またサーバ装置10の動作によって得られる情報を送信する。サーバ装置10は、通信部21によりネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由で飛行体12、又は端末装置13と情報通信を行う。
【0021】
記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する一以上の半導体メモリ、一以上の磁気メモリ、一以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)である。RAMは、例えば、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)である。ROMは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)である。記憶部22は、サーバ装置10の動作に用いられる情報と、サーバ装置10の動作によって得られた情報とを格納する。
【0022】
制御部23は、一以上のプロセッサ、一以上の専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化したGPU(Graphics Processing Unit)等の専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。制御部23は、サーバ装置10の各部を制御しながら、サーバ装置10の動作に係る情報処理を実行する。
【0023】
入力部25は、一以上の入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクロフォンである。入力部25は、サーバ装置10の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、入力される情報を制御部23に送る。
【0024】
出力部26は、一以上の出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイである。出力部26は、サーバ装置10の動作によって得られる情報を出力する。
【0025】
サーバ装置10の機能は、制御プログラムを、制御部23に含まれるプロセッサが実行することにより実現される。制御プログラムは、コンピュータをサーバ装置10として機能させるためのプログラムである。また、サーバ装置10の一部又は全ての機能が、制御部23に含まれる専用回路により実現されてもよい。また、制御プログラムは、サーバ装置10に読取り可能な非一過性の記録・記憶媒体に格納され、サーバ装置10が媒体から読み取ってもよい。
【0026】
図3は、飛行体12の構成例を示す。飛行体12は、通信部31、記憶部32、制御部33、測位部34、入力部35、出力部36、及び検知部37を有する。これらの一以上が一の制御装置として構成されてもよいし、各部が飛行体12の機内ネットワークを介して情報通信可能に接続されてもよい。また、制御装置がタブレット端末を含むパーソナルコンピュータ、スマートフォン端末、ナビゲーション装置により構成されてもよい。
【0027】
通信部31は、一以上の通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、若しくは5G(5th Generation)などの移動通信規格に対応したインタフェースである。通信部31は、制御部33の動作に用いられる情報を受信し、また制御部33の動作によって得られる情報を送信する。制御部33は、通信部31により、移動体通信の基地局を介してネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由でサーバ装置10と情報通信を行う。
【0028】
記憶部32は、一以上の半導体メモリ、一以上の磁気メモリ、一以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部32は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部32は、制御部33の動作に用いられる情報と、制御部33の動作によって得られた情報とを格納する。
【0029】
制御部33は、一以上のプロセッサ、一以上の専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA又はASICである。制御部33は、飛行体12の動作に係る情報処理を実行する。
【0030】
測位部34は、自律航法、電子航法、GNSS(Global Navigation Satellite System)等により飛行体12の位置を取得するためのセンサ又は受信機を含む。自律航法のためのセンサは、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、方位磁石、高度計等を含む。電子航法のための受信機は、例えば、VOR(VHF omni-directional radio range)、ILS(Instrument Landing System)など地上の電波施設からの電波を受信するための受信機を含む。さらに、GNSS受信機は、例えば、GPS(Global Positioning System)、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)、BeiDou、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、及びGalileoの少なくともいずれかを含む。測位部34は、飛行体12の位置情報を取得して、位置情報を制御部33に送る
【0031】
入力部35は、一以上の入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクロフォンである。入力インタフェースは、さらに、撮像画像又は画像コードを取り込むカメラ、又はIC(Integrated Circuit)カードリーダーを含んでもよい。入力部35は、制御部33の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、入力される情報を制御部33に送る。
【0032】
出力部36は、一以上の出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。出力部36は、制御部33の動作によって得られる情報を出力する。
【0033】
検知部37は、飛行体12の各部の状態又は動作を検知する一以上のセンサ類、又はセンサ類とのインタフェースを有し、センサ類による検知結果を示す情報を制御部33へ送る。センサ類は、モータを含む駆動機構、バッテリの充電残量、温度等の状態又は動作を検知するセンサを含む。また、センサ類は、飛行体12の外部環境の状態を検知する、風速センサ、風向センサ、気温センサ、気圧センサ、湿度センサ、照度センサ、雨量センサ、カメラ等を含む。
【0034】
制御部33の機能は、制御プログラムを、制御部33に含まれるプロセッサで実行することにより実現される。制御プログラムは、プロセッサを制御部33として機能させるためのプログラムである。また、制御部33の一部又は全ての機能が、制御部33に含まれる専用回路により実現されてもよい。
【0035】
制御部33は、通信部31、記憶部32、測位部34、入力部35、出力部36、及び検知部37と各種情報を授受しながらこれら各部を制御するとともに、出力部36を介して飛行体12の操縦に必要な各種情報を操縦者に提示する。
【0036】
図4は、端末装置13の構成を説明するための図である。端末装置13は、例えばスマートフォン、タブレット端末といった情報処理装置である。端末装置13は、通信部41、記憶部42、制御部43、測位部44、入力部45、及び出力部46を有する。
【0037】
通信部41は、有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュール、LTE、4G、5G等の移動体通信規格に対応するモジュール等を有する。端末装置13は、通信部41により、近傍のルータ装置又は移動体通信の基地局を介してネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由でサーバ装置10等と情報通信を行う。
【0038】
記憶部42は一以上の半導体メモリ、一以上の磁気メモリ、一以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部42は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部42は、制御部43の動作に用いられる情報と、制御部43の動作によって得られた情報とを格納する。
【0039】
制御部43は、例えば、CPU、MPU(Micro Processing Unit)等の一以上の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した一以上の専用プロセッサを有する。あるいは、制御部43は、一以上の、FPGA、ASIC等の専用回路を有してもよい。制御部43は、制御・処理プログラムに従って動作したり、あるいは、回路として実装された動作手順に従って動作したりすることで、端末装置13の動作を統括的に制御する。そして、制御部43は、通信部41を介してサーバ装置10等と各種情報を送受し、本実施形態にかかる動作を実行する。
【0040】
測位部44は、一以上のGNSS受信機を含む。GNSSには、例えば、GPS、QZSS、BeiDou、GLONASS、及びGalileoの少なくともいずれかが含まれる。測位部44は、端末装置13の位置情報を取得する。
【0041】
入力部45は、一以上の入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクロフォンである。入力インタフェースは、さらに、撮像画像又は画像コードを取り込むカメラ、又はICカードリーダーを含んでもよい。入力部45は、制御部43の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、入力される情報を制御部43に送る。
【0042】
出力部46には、一以上の出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。出力部46は、制御部43の動作によって得られる情報を出力する。
【0043】
制御部43の機能は、制御部43に含まれるプロセッサが制御プログラムを実行することにより実現される。制御プログラムは、プロセッサを制御部43として機能させるためのプログラムである。また、制御部43の一部又は全ての機能が、制御部43に含まれる専用回路により実現されてもよい。
【0044】
図5は、運行管理システム1の動作手順を説明するためのシーケンス図である。このシーケンス図は、サーバ装置10、飛行体12及び端末装置13の連係動作にかかる手順を示す。図5におけるサーバ装置10、飛行体12及び端末装置13の各種情報処理に係るステップは、それぞれの制御部23、33及び43により実行される。また、サーバ装置10、飛行体12及び端末装置13の各種情報の送受に係るステップは、それぞれの制御部23、33及び43が、それぞれ通信部21、31及び41を介して互いに情報を送受することにより実行される。サーバ装置10、飛行体12及び端末装置13では、それぞれ制御部23、33及び43が、それぞれ送受する情報を記憶部22、32及び42及びに適宜格納する。さらに、制御部23、33及び43は、それぞれ入力部25、35及び45により各種情報の入力を受け付け、それぞれ出力部26、36及び46により各種情報を出力する。ここでは、サーバ装置10がそれぞれ一の飛行体12及び端末装置13と連係する動作手順例が示されるが、図5で示す手順は、サーバ装置10と、それぞれ二以上の飛行体12及び端末装置13のそれぞれとの連係において実行されてもよい。
【0045】
ステップS500において、端末装置13は、乗客から運行条件の入力を受け付ける。運行条件は、飛行体12による運行を利用する際の乗客数、及び乗客が指定する出発地、出発時刻、目的地、到着時刻等の情報を含む。制御部53は、運行条件の入力画面を出力部56により表示し、乗客が入力する情報を入力部45のタッチパネル等により受け付ける。
【0046】
ステップS502において、端末装置13は、運行条件の情報をサーバ装置10へ送る。サーバ装置10は、端末装置13から送られる情報を受ける。
【0047】
ステップS504において、サーバ装置10は、飛行体12から飛行体12の位置情報及び状態情報を受ける。状態情報は、飛行体12のモータの電流値、温度、モータに電源を供給するバッテリの充電残量等の情報を含む。例えば、飛行体12は、任意の周期(例えば数秒周期)で位置情報及び状態情報をサーバ装置10へ送る。または、サーバ装置10は、飛行体12に位置情報及び状態情報を要求し、飛行体12が要求に応じて位置情報と状態情報をサーバ装置10へ送ってもよい。位置情報及び状態情報には、飛行体12の識別情報が付される。これにより、サーバ装置10は、複数の飛行体12が存在する場合であっても、各飛行体12の識別情報と位置情報及び状態情報とを対応づけられる。
【0048】
ステップS506において、サーバ装置10は飛行計画を作成する。ステップS506における制御部23の詳細な動作手順が、図6に示される。
【0049】
図6は、サーバ装置10の制御部23の動作手順例を示すフローチャート図である。
【0050】
ステップS600において、制御部23は、運行条件を取得する。制御部23は、端末装置13から受けた運行条件を記憶部22から読み出す。
【0051】
ステップS602において、制御部23は、高度情報を取得する。高度情報は、例えば、地図上の任意の大きさの単位領域ごとに、単位領域の状態に応じて飛行体12に要求される飛行高度の情報を有する。単位領域の状態は、人物、建築物等の密集度合い、又は、地表面の標高である。また、ここで、飛行高度は海抜高度である。飛行体12は、非密集地域の上の空域では、地表面の物体から150m以上の上空を飛行することが要求され、密集地域の上空では地表面の物体から300m以上の上空を飛行することが要求される。更に、地表面の標高が地表面からの要求される距離に加減算される。よって、飛行体12に要求される飛行高度、すなわち海抜高度は、飛行する単位領域の状態によって変化する。よって、飛行体12は、飛行経路に沿って飛行する際、飛行する単位領域の状態に応じて変化する飛行高度で飛行するために、随時、上昇又は下降をする。かかる高度情報は、予め地図情報と共に記憶部22に格納される。制御部23は、運行条件に含まれる出発地と目的地に対応する領域の高度情報を読み出す。
【0052】
図7Aは、高度情報の例を模式的に示す。制御部23は、例えば、出発地71と目的地72を対角とする矩形領域70の高度情報を記憶部22から読み出す。矩形領域70は、空白又はハッチングされたマス目により表される単位領域を有する。各単位領域は、例えば、数十メートル~数百メートル四方の矩形領域である。ここでは、単位領域は、その上空を飛行する飛行体12に要求される飛行高度の順に、低高度領域73、中高度領域74、及び高高度領域75に分類される。低高度領域73は、例えば、飛行高度150m以上が要求される領域であって、人口、建築、車両等が密集していない地表面、船舶等が密集していない水面の領域に対応する。中高度領域74は、例えば、飛行高度200m以上が要求される領域であって、例えば、管制から飛行高度が指定される領域に対応する。高高度領域75は、例えば、飛行高度300m以上が要求される領域であって、人口、建築、車両等が密集している地表面、船舶等が密集している水面の領域に対応する。密集の有無は、例えば、各単位領域における人口、建築物の数、車両数、船舶数等が、任意に設定される基準値を満たすか否かに応じて判断される。なお、ここに示す高度情報は一例であって、例えば、山間部等、標高が比較的高い単位領域では、標高が加算された数百m以上の飛行高度が要求されてもよい。
【0053】
図6のステップS604において、制御部23は、バッテリ情報を取得する。制御部23は、飛行体12から受けた状態情報から、バッテリの充電残量を含むバッテリ情報を取得する。
【0054】
ステップS606において、制御部23は、操縦士情報を取得する。制御部23は、飛行体12から受けた識別情報に対応する操縦士情報を、記憶部22から読み出す。記憶部22には、飛行体12の識別情報毎に対応づけられた操縦士情報が予め格納される。操縦士情報は、操縦士の識別情報と、各操縦士の熟練度を示す情報とを含む。熟練度を示す情報は、例えば、累計訓練時間、累計飛行時間、操縦技術に関する認定資格の有無といった情報を含む。かかる操縦士情報は、例えば運行事業者の操作により一回的にサーバ装置10へ入力、格納され、随時更新される。
【0055】
ステップS608において、制御部23は、天候情報を取得する。天候情報は、例えば、各単位領域の風向きの情報を含む。制御部23は、例えば、天候情報を配信するサーバから矩形領域70に対応する天候情報を取得して、各単位領域の風向きの情報を取得する。
【0056】
ステップS610において、制御部23は、飛行経路を導出する。制御部23は、任意のアルゴリズムを用いて、飛行体12の現在位置から出発地、更に出発地から目的地へ至る飛行経路を導出する。例えば、図7Aには、出発地71から目的地72への3通りの飛行経路76、77及び78の例が示される。
【0057】
図7Bは、図7Aにおける3通りの飛行経路76、77及び78におけるそれぞれの飛行高度の変化を模式的に示す。図7Bの縦軸方向は飛行高度、横軸方向は通過する単位領域と飛行距離を示す。
【0058】
例えば、飛行経路76は、出発地71の後、低高度領域73、高高度領域75及び中高度領域74を通過し、低高度領域73を再び経て目的地72へ至る。よって、飛行体12に要求される飛行高度は、出発地71における0mから、低高度領域73における150m、高高度領域75における300m、中高度領域74における200m、低高度領域における150m、そして、目的地72における0mと、順次変化する。よって、この場合、飛行体12が上昇及び下降することによる高度の変化量の合計は、上昇と下降にそれぞれ係る300mの和の600mである。
【0059】
また、飛行経路77は、出発地71の後、低高度領域73、中高度領域74を通過し、低高度領域73を再び経て目的地72へ至る。よって、飛行体12に要求される飛行高度は、出発地71における0mから、低高度領域73における150m、中高度領域74における200m、低高度領域における150m、そして、目的地72における0mと、順次変化する。よって、この場合、飛行体12が上昇及び下降することによる高度の変化量の合計は400mである。
【0060】
更に、飛行経路78は、出発地71の後、低高度領域73のみを通過して目的地72へ至る。よって、飛行体12に要求される飛行高度は、出発地71における0mから、低高度領域73における150m、そして、目的地72における0mと、順次変化する。よって、この場合、飛行体12が上昇及び下降することによる高度の変化量の合計は300mである。
【0061】
図7A、7Bの例に示すように、飛行経路によって飛行高度の変化量は異なる。飛行体12の電動ロータはモータにより駆動されるところ、飛行体12の飛行動作において、垂直方向への上昇及び下降の際にモータは比較的大きな負荷を受けるので、消費電力も大きくなる。よって、飛行経路毎に、飛行距離のほかに、飛行高度の変化量の大きさに応じて、消費電力が異なる。
【0062】
図6のステップ612で、制御部23は、消費電力情報を取得する。消費電力情報は、飛行体12の飛行に係る消費電力の情報である。消費電力情報は、予め記憶部22に格納される。消費電力情報は、飛行体12の飛行条件に応じて変化する消費電力値を有する。飛行条件は、飛行経路における飛行距離、飛行高度の変化量、風向き、操縦者の操縦技量等である。
【0063】
図8は、消費電力情報における飛行条件と消費電力値の対応関係を模式的に示す。図8の横軸は飛行距離、縦軸は消費電力値を示す。また、飛行高度の変化量が比較的大きい場合と比較的小さい場合の飛行距離と消費電力値の対応関係が、それぞれ対応関係80と81に示される。対応関係80、81に示されるように、飛行距離の増加に応じて消費電力値は増加する。また、同じ飛行距離で比較すると、飛行高度の変化量が大きいほど消費電力値は大きくなる。更に、消費電力値は、飛行体12が受ける風の向きに応じて変化する。飛行体12が上昇又は下降する際に向風を受けると追加的な揚力が得られるので、向風以外のときと比べてモータの負荷が軽減され、消費電力値は小さく抑えられる。更に、消費電力値は、操縦士の操縦技量に応じて変化する。操縦士の操縦技量が高いほど、無駄な出力を削減することができるので、消費電力値は小さく抑えられる。
【0064】
図6のステップ614において、制御部23は、導出した飛行経路により飛行体12が飛行する場合に、途中で充電が必要か否かを、飛行体12の消費電力と充電残量とを用いて判断する。制御部23は、導出した飛行経路における飛行体12の飛行条件、すなわち、飛行距離、飛行高度の変化量、風向き、操縦技量等を導出し、これらの要因に応じた消費電力を、消費電力情報から導出する。そして、制御部23は、飛行体12の飛行に伴って増加する消費電力を導出し、消費電力の増加に応じて減少する充電残量を導出する。飛行体12が目的地に到着する時点で、任意に定める最低充電残量を飛行体12が有していることが予測される場合、制御部23は、充電が不要と判断する。最低充電残量は、目的地から最寄りの給電施設まで飛行体12が飛行するのに必要な充電残量である。制御部23は、目的地から最寄りの給電施設を検索し、目的地から最寄りの給電施設までの距離に応じた最低充電残量を、消費電力情報を用いて導出する。制御部23は、目的地に到着した時点で飛行体12が最低充電残量を有していないことが予測される場合、充電が必要と判断する。制御部23は、充電が不要な場合には(No)ステップS620に進み、充電が必要な場合には(Yes)、ステップS616に進む。
【0065】
ステップS616において、制御部23は、給電計画を作成する。給電計画作成は、飛行体12が充電することが可能な給電施設の特定、特定した給電施設を経由する飛行経路への変更、及び給電施設での充電時間の決定を含む。
【0066】
制御部23は、飛行体12の現在位置又は飛行経路付近の給電施設を地図情報から検索し、検索した給電施設毎に飛行体12の現在位置又は出発地からの飛行経路を導出する。また、制御部23は、各飛行経路での飛行条件に対応する消費電力値と充電残量とから、飛行体12の充電残量で最も早いタイミングで到達可能な給電施設を特定する。
【0067】
さらに、制御部23は、特定した給電施設を経由するように、当初の飛行経路を修正する。例えば、図9に示すように、飛行体12の現在位置90から出発地91まで、出発地91から目的地92まで、それぞれ当初の飛行経路93、94が導出された場合において、現在位置90から最寄りの給電施設95を特定した場合には、飛行経路93が給電施設95を経由する飛行経路97に変更される。あるいは、飛行経路94の最寄りの給電施設96が特定された場合は、飛行経路94が給電施設96を経由する飛行経路98に変更される。
【0068】
さらに、制御部23は、特定した給電施設まで飛行し到着した時点での飛行体12の充電残量を導出し、満充電のための充電時間を導出する。例えば、制御部23は、充電残量が20%~80%の範囲内のときには急速充電、充電残量が20%~80%の範囲外のときには低速充電を行うことを前提として、充電時間を導出する。記憶部22には、予め、飛行体12毎のバッテリの仕様に関する情報が格納される。この情報を用いて、制御部23は、充電時間を導出する。そうすることで、充電残量に応じて急速充電、低速充電を切り替えることで、バッテリの劣化を抑制することが可能となる。
【0069】
ステップ618において、制御部23は、導出した飛行経路により飛行体12が飛行することで、指定された到着時刻までに目的地に到着可能か否かを判断する。制御部23は、飛行体12の到着時刻を、任意に設定される飛行体12の標準的な飛行速度と移動距離とから導出する。制御部23は、指定到着時刻までに目的地に到着可能な場合(Yes)、ステップS620に進んで、飛行計画を確定する。一方、指定到着時刻までに目的地に到着可能でない場合(No)、制御部23は、ステップS614に進んで、給電施設における充電時間を変更する。例えば、制御部23は、目標とする充電残量を任意に予め設定される縮小幅で小さくすることで、充電時間を短縮する。そうして、制御部23は、指定到着時刻までに到着可能な充電時間に変更し(ステップS618のYes)、ステップS620において飛行計画を確定する。このようにして、飛行体12のバッテリを充電するとともに、指定到着時刻までの到着可能性を担保することで、乗客の利便性に資することが可能となる。
【0070】
図5に戻り、ステップS508において、サーバ装置は、飛行計画の情報を端末装置13へ送る。飛行計画は、出発地から目的地までの飛行経路の情報、出発予定時刻、到着予定時刻等を含む。
【0071】
ステップS510において、端末装置13は、飛行計画を出力し、乗客から確認の入力を受け付ける。制御部43は、飛行計画を表示するとともに、確認の入力画面を出力部46により表示する。乗客は、飛行計画を確認し、その飛行計画で飛行体12への搭乗を望む場合には、確認の入力をする。制御部43は、乗客が入力する情報を入力部45のタッチパネル等により受け付ける。
【0072】
ステップS512において、端末装置13は、飛行要求の情報をサーバ装置10へ送る。飛行要求の情報は、乗客情報を含む。乗客情報は、乗客を識別するための、氏名、住所、生年月日、ユーザ登録番号、ユーザアカウントの情報等を含む。乗客情報は、ユーザ登録情報として記憶部42に予め格納されていてもよいし、乗客が端末装置13へ入力してもよい。サーバ装置10は、端末装置13から送られる情報を受ける。
【0073】
ステップS516において、サーバ装置10は、確認・要求された飛行計画に対応する飛行指示を生成する。そして、ステップS516において、サーバ装置10は、飛行指示を飛行体12へ送る。飛行指示は、飛行経路により飛行するために必要な情報を含む。飛行指示には、飛行経路、飛行高度、出発地及び目的地、経由すべき給電施設の位置、給電施設にて充電にかけられる充電時間等の情報が含まれる。飛行体12は、サーバ装置10から送られる情報を受ける。
【0074】
ステップS518において、飛行体12は、サーバ装置10からの飛行指示に基づいて飛行する。飛行体12は、飛行するために必要な情報を表示等により出力して操縦者に提示し、操縦者が飛行指示に従って操縦することで飛行体12は飛行する。
【0075】
ステップS520において、サーバ装置10は、バッテリ使用履歴を更新する。バッテリ使用履歴は、例えば、飛行指示に従って飛行体12が飛行したときの電力消費に対応する、バッテリの消耗度合いを示すスコアである。使用履歴は、予め記憶部22に格納される。制御部23は、飛行体12に指示した飛行指示に応じて、バッテリの消耗度合いを示すスコアを更新する。
【0076】
サーバ装置10は、バッテリ使用履歴を格納・更新することで、バッテリ使用履歴を利用して、バッテリの点検、交換等を運行サービス提供事業者に通知することが可能である。例えば、制御部23は、バッテリ使用履歴のスコアが任意に設定される基準値に達するか、一定程度以上接近したときに、運行サービス提供事業者の情報処理装置に通知を送ることで、飛行体12のバッテリの点検、交換を促すことが可能である。
【0077】
本実施形態によれば、飛行体12のバッテリの充放電をより合理的に管理することが可能となる。ひいては、飛行体12のバッテリの劣化を無用に加速するような充放電が回避されることで、飛行体12の良好な稼働が維持される。また、バッテリの消耗度合いを把握して点検、交換等の予見性を担保することが可能となる。
【0078】
制御部23は、ステップS614で飛行体12の消費電力を導出して充電残量を導出する際、飛行体12から取得したモータの状態を加味してもよい。例えば、モータの温度が任意に設定される基準より高く、消費電力が大きいことが推測される場合には、消費電力値を大きくするように補正することが可能である。
【0079】
制御部23は、ステップS616で飛行体12の充電計画を作成する際、飛行体12のバッテリ使用履歴を加味してもよい。例えば、バッテリの使用履歴を示すスコアが任意に設定される基準より高く、バッテリのある程度の消耗が推測される場合には、目標とする充電量を小さくするように補正することが可能である。
【0080】
上述の説明において、サーバ装置10が「制御装置」に対応した。ただし、制御装置による情報処理の一部以上は飛行体12により実行されてもよい。すなわち、上述したサーバ装置10の動作の一部又は全部を、サーバ装置10とともに又はサーバ装置10に代わり、飛行体12の制御部33が担ってもよい。
【0081】
上述において、実施形態を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段、ステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 運行管理システム
10 サーバ装置
11 ネットワーク
12 飛行体
13 端末装置
21、31、41 通信部
22、32、42 記憶部
23、33、43 制御部
34、44 測位部
25、35、45 入力部
26、36、46 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9