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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241126BHJP
   H01R 13/533 20060101ALN20241126BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H01R13/533 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021172221
(22)【出願日】2021-10-21
(65)【公開番号】P2023062322
(43)【公開日】2023-05-08
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林田 篤史
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-228243(JP,A)
【文献】特開2014-87245(JP,A)
【文献】特開2012-54022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H01R 13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動ユニットと、
前記電動ユニットに着脱可能なコネクタと、を備え、
前記電動ユニットは、
前記コネクタを接続するための接続口を有するケースと、
前記ケース内に配置された基板と、
前記ケース内に配置された端子台と、を有し、
前記コネクタは、
前記端子台に電気的に接続可能な接続部と、
前記接続部を保持する保持体であって、通気孔を有する前記保持体と、
前記保持体内に配置された整流板と、を有し、
前記整流板は、前記通気孔と前記基板とを結ぶ経路に配置されている、電力変換装置。
【請求項2】
前記接続部は、
一対の接続端子と、
一対のボルトと、を有し、
前記一対の接続端子の一方の接続端子及び前記一対のボルトの一方のボルトは、前記通気孔と対向する位置に配置されている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記接続端子には、所定の金属からなるメッキが施されており、
前記ボルトには、前記所定の金属とは異なる金属からなるメッキが施されている、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記整流板は、前記一対のボルト間に配置されている、請求項2又は3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記保持体は、
前記一対の接続端子を保持しており、筒状に形成された保持体本体と、
前記保持体本体に接続されており、前記通気孔を有する蓋体と、を有し、
前記整流板は、前記蓋体に固定されている、請求項2から4のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記通気孔から前記接続部を経由して前記基板が位置する側とは反対側に向かう第1経路の面積は、前記通気孔から前記接続部を経由して前記基板が位置する側に向かう第2経路の面積よりも大きい、請求項1から5のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記端子台は、前記基板が位置する側とは反対側の端部に形成された切り欠きを有し、
前記切り欠きは、前記第1経路の面積を前記第2経路の面積よりも大きくする形状を有する、請求項6に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2011-147261号公報には、制御回路基板を含む電子部品群と、端子台と、電子部品群及び端子台を収容するケースと、を備える電力変換装置が開示されている。ケースには、通気孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-147261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2011-147261号公報に記載されるような電力変換装置では、ウィスカが発生する場合がある。そして、通気孔を通じてケース内に流入した気流によってウィスカが基板に到達した場合、短絡が生じる懸念がある。
【0005】
本開示の目的は、ウィスカに起因する短絡を抑制することが可能な電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面に従った電力変換装置は、電動ユニットと、前記電動ユニットに着脱可能なコネクタと、を備え、前記電動ユニットは、前記コネクタを接続するための接続口を有するケースと、前記ケース内に配置された基板と、前記ケース内に配置された端子台と、を有し、前記コネクタは、前記端子台に電気的に接続可能な接続部と、前記接続部を保持する保持体であって、通気孔を有する前記保持体と、前記保持体内に配置された整流板と、を有し、前記整流板は、前記通気孔と前記基板とを結ぶ経路に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ウィスカに起因する短絡を抑制することが可能な電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態の電力変換装置を概略的に示す斜視図である。
図2図1に示される電力変換装置の平面図である。
図3図2におけるIII-III線での断面図である。
図4】端子台及びコネクタの斜視図である。
図5】コネクタの斜視図である。
図6】コネクタの分解斜視図である。
図7】整流部の変形例を示す正面図である。
図8】整流部の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態の電動車両における電力変換装置を概略的に示す斜視図である。図2は、図1に示される電力変換装置の平面図である。図3は、図2におけるIII-III線での断面図である。電力変換装置10は、例えば、電動車両に搭載される。
【0011】
図1及び図2に示されるように、電力変換装置10は、電動ユニット100と、コネクタ200と、を備えている。
【0012】
電動ユニット100は、インバータ等を有している。電力変換装置10は、例えば、車室の前方に搭載される。図3に示されるように、電動ユニット100は、ケース110と、基板120と、端子台130と、を有している。
【0013】
ケース110は、導電性を有している。ケース110は、例えば、アルミニウムからなる。ケース110は、コネクタ200を接続するための接続口110h(図3を参照)を有している。ケース110は、側面112を有しており、その側面112に接続口110hが設けられている。
【0014】
基板120は、ケース110内に配置されている。本実施形態では、基板120は、ケース110内における上方に配置されている。図3に示されるように、基板120は、接続口110hの開口方向(図3における左右方向)と平行でかつ上下方向と直交する姿勢で配置されている。基板120には、種々の電子部品が実装されており、所定の回路パターンが形成されている。
【0015】
端子台130は、ケース110内に配置されている。図3に示されるように、端子台130は、基板120の下方に配置されている。図4に示されるように、端子台130は、ベース132と、一対のバスバー134と、を有している。
【0016】
ベース132は、一対のバスバー134を保持している。本実施形態では、ベース132は、一対のバスバー134が上下方向に間隔を置いて並ぶように一対のバスバー134を保持している。ベース132は、樹脂からなる。図4に示されるように、ベース132の下部には、切り欠き132aが設けられている。切り欠き132aは、ベース132のうち基板120が位置する側とは反対側の端部に形成されている。
【0017】
各バスバー134は、板状に形成されている。一対のバスバー134の一方は、正極端子として機能し、他方は、負極端子として機能する。
【0018】
コネクタ200は、電動ユニット100の接続口110hに対して着脱可能である。コネクタ200として、PNコネクタが挙げられる。コネクタ200は、車両の搭載された蓄電装置(図示略)から延びるケーブル20の先端に接続されている。コネクタ200は、ケーブル20を介して蓄電装置と電動ユニット100とを接続する。
【0019】
図5及び図6に示されるように、コネクタ200は、接続部210と、保持体220と、整流部230と、を有している。
【0020】
接続部210は、端子台130の一対のバスバー134に電気的に接続可能である。接続部210は、一対の接続端子212と、一対のボルト214と、を有している。
【0021】
各接続端子212は、端子台130の各バスバー134に接続される。各接続端子212には、所定の金属からなるメッキが施されている。具体的に、各接続端子212には、Snメッキが施されている。
【0022】
各ボルト214は、各接続端子212を各バスバー134に固定するための部材である。各ボルト214には、前記所定の金属とは異なる金属からなるメッキが施されている。具体的に、各ボルト214には、Znメッキが施されている。
【0023】
保持体220は、接続部210を保持している。保持体220は、電動ユニット100のケース110内と外部とを連通させる通気孔224hを有している。保持体220は、保持体本体222と、蓋体224と、を有している。
【0024】
保持体本体222は、接続部210を保持している。保持体本体222は、一対の接続端子212が上下方向に間隔を置いて並ぶように一対の接続端子212を保持している。保持体本体222は、筒状に形成されている。保持体本体222は、樹脂からなる。
【0025】
蓋体224は、保持体本体222に接続されている。蓋体224は、保持体本体222のうち電動ユニット100が位置する側とは反対側(図3における左側)の開口を閉塞する形状を有している。蓋体224は、通気孔224hを有している。この通気孔224hと対向する位置に、一方の接続端子212及び一方のボルト214が配置されている。蓋体224のうち通気孔224hの内側には、通気膜が設けられている。
【0026】
整流部230は、保持体220内に配置されている。整流部230は、蓋体224の内側面に固定されている。整流部230は、樹脂からなる。
【0027】
図5及び図6に示されるように、整流部230は、整流板232を有している。整流板232は、通気孔224hから流入した気流を整流する。整流板232は、通気孔224hと基板120とを結ぶ経路に配置されている。本実施形態では、整流板232は、蓋体224の内側面から一対のボルト214間に至るように延びる形状を有している。整流板232は、一対のボルト214間を仕切る姿勢で配置されている。具体的に、整流板232は、各ボルト214の軸方向(図3における左右方向)と平行でかつ上下方向と直交する姿勢で配置されている。
【0028】
図3に示されるように、通気孔224hから接続部210を経由して基板120が位置する側(図3における上側)とは反対側に向かう第1経路(矢印AR1で示される経路)の面積は、通気孔224hから接続部210を経由して基板120が位置する側に向かう第2経路(矢印AR2で示される経路)の面積よりも大きい。具体的に、ベース132の切り欠き132aは、前記第1経路の面積を前記第2経路の面積よりも大きくする形状を有している。これにより、通気孔224hから接続部210を経由して基板120が位置する側とは反対側(図3における下側)に向かう第1経路の面積が大きく確保されている。このため、通気孔224hから流入した気体(空気等)は、図3において矢印AR1で示されるように、主として端子台130の下方に向かう方向、換言すれば、基板120から離間する方向に流れる。
【0029】
以上に説明したように、本実施形態の電力変換装置10では、通気孔224hと基板120とを結ぶ経路に整流板232が配置されているため、通気孔224hから流入した気体が基板120に到達することが抑制される。よって、接続部210においてウィスカが発生したとしても、そのウィスカに起因する短絡が抑制される。
【0030】
なお、上記実施形態では、通気孔224hの上方に基板120が配置された例が示されたが、通気孔224hと基板120とを結ぶ経路に整流板232が配置されるのであれば、通気孔224hと基板120の位置関係は上記実施形態の例に限られない。
【0031】
また、図7及び図8に示されるように、整流板232は、通気孔224hを包囲するとともに、蓋体224の内側面からボルト214に向かって延びる形状を有していてもよい。
【0032】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0033】
上記実施形態における電力変換装置は、電動ユニットと、前記電動ユニットに着脱可能なコネクタと、を備え、前記電動ユニットは、前記コネクタを接続するための接続口を有するケースと、前記ケース内に配置された基板と、前記ケース内に配置された端子台と、を有し、前記コネクタは、前記端子台に電気的に接続可能な接続部と、前記接続部を保持する保持体であって、通気孔を有する前記保持体と、前記保持体内に配置された整流板と、を有し、前記整流板は、前記通気孔と前記基板とを結ぶ経路に配置されている。
【0034】
この電力変換装置では、通気孔と基板とを結ぶ経路に整流板が配置されているため、通気孔から流入した気体が基板に到達することが抑制される。よって、ウィスカに起因する短絡が抑制される。
【0035】
また、前記接続部は、一対の接続端子と、一対のボルトと、を有している。前記一対の接続端子の一方の接続端子及び前記一対のボルトの一方のボルトは、前記通気孔と対向する位置に配置されていてもよい。
【0036】
また、前記接続端子には、所定の金属からなるメッキが施されており、前記ボルトには、前記所定の金属とは異なる金属からなるメッキが施されている。
【0037】
また、前記整流板は、前記一対のボルト間に配置されていることが好ましい。
【0038】
また、前記保持体は、前記一対の接続端子を保持しており、筒状に形成された保持体本体と、前記保持体本体に接続されており、前記通気孔を有する蓋体と、を有していてもよい。この場合において、前記整流板は、前記蓋体に固定されていてもよい。
【0039】
また、前記通気孔から前記接続部を経由して前記基板が位置する側とは反対側に向かう第1経路の面積は、前記通気孔から前記接続部を経由して前記基板が位置する側に向かう第2経路の面積よりも大きいことが好ましい。
【0040】
このようにすれば、主として通気孔から接続部を経由して基板が位置する側とは反対側に向かう気流が形成されるため、ウィスカが基板に到達することがより確実に抑制される。
【0041】
また、前記端子台は、前記基板が位置する側とは反対側の端部に形成された切り欠きを有し、前記切り欠きは、前記第1経路の面積を前記第2経路の面積よりも大きくする形状を有することが好ましい。
【0042】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10 電力変換装置、20 ケーブル、100 電動ユニット、110 ケース、110h 接続口、120 基板、130 端子台、132 ベース、132a 切り欠き、134 接続端子、200 コネクタ、210 接続部、212 バスバー、214 ボルト、220 保持体、222 保持体本体、224 蓋体、224h 通気口、230 整流部、232 整流板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8