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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】車両運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/12 20200101AFI20241126BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20241126BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B60W30/12
B62D6/00
G08G1/16 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021173570
(22)【出願日】2021-10-25
(65)【公開番号】P2023063625
(43)【公開日】2023-05-10
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】麻生 和昭
【審査官】稲本 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-261449(JP,A)
【文献】特開2009-230627(JP,A)
【文献】特開2014-031039(JP,A)
【文献】特開2011-134071(JP,A)
【文献】国際公開第2017/029734(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B62D 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標走行ラインを設定し、該目標走行ラインに沿って自車両が走行するように該自車両を自律的に操舵する自律操舵を行う車線維持制御を実行する制御装置を備えた車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
前記車線維持制御の実行中、前記自車両の左側に存在する左側物標から右方向に所定左側離間距離だけ離れた位置を通って自車線に沿って延びる左限界ラインを左端ラインとして設定し、前記自車両の右側に存在する右側物標から左方向に所定右側離間距離だけ離れた位置を通って前記自車線に沿って延びる右限界ラインを右端ラインとして設定し、
前記左端ラインと前記右端ラインとが左右順に設定されている場合において、前記自車線の中央ラインが前記左端ラインと前記右端ラインとの間にあるときには、前記中央ラインを前記目標走行ラインとして設定し、前記中央ラインが前記左端ラインと前記右端ラインとの間にないときには、前記左端ライン及び前記右端ラインのうち、前記中央ラインに近い方のラインを前記目標走行ラインとして設定する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
前記左端ラインと前記右端ラインとが左右逆に設定されている場合、それら左端ラインと右端ラインとの間のラインを前記目標走行ラインとして設定するように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、前記左端ラインと前記右端ラインとが左右逆に設定されている場合、それら左端ラインと右端ラインとの間の中央のラインを前記目標走行ラインとして設定するように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
前記左限界ラインと前記右限界ラインとが左右逆に設定されている場合において、前記左限界ラインの対象優先度が前記右限界ラインの対象優先度よりも高い場合、前記右限界ラインを前記左限界ラインと一致するラインとして再設定し、前記右限界ラインの対象優先度が前記左限界ラインの対象優先度よりも高い場合、前記左限界ラインを前記右限界ラインと一致するラインとして再設定する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
対象優先度の異なる前記左限界ラインが少なくとも2つ存在する場合において、対象優先度の低い方の左限界ラインが対象優先度の高い方の左限界ラインよりも左側に設定されているときには、対象優先度の低い方の左限界ラインを対象優先度の高い方の左限界ラインと一致するラインとして再設定し、
対象優先度の異なる前記右限界ラインが少なくとも2つ存在する場合において、対象優先度の低い方の右限界ラインが対象優先度の高い方の右限界ラインよりも右側に設定されているときには、対象優先度の低い方の右限界ラインを対象優先度の高い方の右限界ラインと一致するラインとして再設定する、
ように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の車両運転支援装置において、
前記対象優先度は、前記目標走行ラインの設定に考慮する対象としての優先度であり、前記目標走行ラインの設定に考慮するべき要求が高いほど高くなる、
車両運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
目標走行ラインを設定し、その目標走行ラインに沿って自車両が走行するように自車両を自律的に操舵する自律操舵を行う車線維持制御を実行する車両運転支援装置が知られている。又、こうした車両運転支援装置として、目標走行ラインを自車線の中央のライン(車線中央ライン)に設定して車線維持制御を実行しているときに、自車両の運転者が車線中央ラインよりも左側又は右側に自車両を寄せて走行させることを希望している場合、目標走行ラインを左側又は右側にオフセットさせるように構成された車両運転支援装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
更に、車両運転支援装置として、上述したように目標走行ラインを左側又は右側にオフセットさせるとき、左側区画線や右側区画線から所定距離だけ自車線側に離間したライン(左限界ライン及び右限界ライン)を越えて目標走行ラインがオフセットされないように目標走行ラインのオフセット量を制限することにより、自車両の走行安全性を確保するように構成された車両運転支援装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。即ち、車両運転支援装置として、自車線の左側又は右側の安全性を考慮して目標走行ラインを設定するように構成された車両運転支援装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第WO2017/022474号
【発明の概要】
【0005】
自車線の左右の隣接車線を自車両と並んで走行する他車両が存在する場合、運転者は、そうした他車両から一定の距離を開けて自車両を走行させることを望むことが多い。従って、車線維持制御の実行時に自車線の左側又は右側の安全性を考慮して目標走行ラインを設定するのであれば、自車線の左右の区画線から一定の距離が保たれるように目標走行ラインを設定するのみならず、自車線の左右の隣接車線を自車両と並んで走行する他車両等、自車線の左右の区画線以外の物標からも一定の距離が保たれるように目標走行ラインを設定することが望まれる。
【0006】
このことを実現するためには、例えば、自車線の左右の区画線や隣接車線の他車両等を含む物標それぞれから適切な距離だけ離間したラインを取得し、それらラインによって規定される範囲(目標設定可能範囲)内のラインを目標走行ラインとして設定することが考えられる。
【0007】
しかしながら、このように目標走行ラインを設定した場合、目標走行ラインの設定に隣接車線の他車両等の物標からの距離が考慮されるため、目標設定可能範囲が自車線の左右の何れかに偏って取得されることがある。このとき、その目標設定可能範囲内で目標走行ラインを設定すると、目標走行ラインが自車線の過剰に左側の位置又は過剰に右側の位置に目標走行ラインが設定されてしまい、自車両の走行安全性等の観点から、適切な目標走行ラインが設定されないことがある。即ち、自車線の左右に自車両が距離をおくべき物標が複数存在する場合、適切な目標走行ラインが設定されないことがある。
【0008】
本発明の目的は、自車線の左右に自車両が距離をおくべき物標が存在する場合においても適切な目標走行ラインを設定することができる車両運転支援装置を提供することにある。
【0009】
本発明に係る車両運転支援装置は、目標走行ラインを設定し、該目標走行ラインに沿って自車両が走行するように該自車両を自律的に操舵する自律操舵を行う車線維持制御を実行する制御装置を備えている。
【0010】
前記制御装置は、前記車線維持制御の実行中、前記自車両の左側に存在する左側物標から右方向に所定左側離間距離だけ離れた位置を通って自車線に沿って延びる左限界ラインを左端ラインとして設定し、前記自車両の右側に存在する右側物標から左方向に所定右側離間距離だけ離れた位置を通って前記自車線に沿って延びる右限界ラインを右端ラインとして設定するように構成されている。
【0011】
更に、前記制御装置は、前記左端ラインと前記右端ラインとが左右順に設定されている場合において、前記自車線の中央ラインが前記左端ラインと前記右端ラインとの間にあるときには、前記中央ラインを前記目標走行ラインとして設定し、前記中央ラインが前記左端ラインと前記右端ラインとの間にないときには、前記左端ライン及び前記右端ラインのうち、前記中央ラインに近い方のラインを前記目標走行ラインとして設定するように構成されている。
【0012】
これによれば、左端ラインと右端ラインとにより規定される範囲(目標設定可能範囲)内に自車線の中央ラインがある場合には、自車線の中央ラインが目標走行ラインとして設定されるので、適切な目標走行ラインを設定することができる。一方、目標設定可能範囲内に自車線の中央ラインがない場合でも、目標設定可能範囲を規定している左端ライン及び右端ラインのうち、自車線の中央ラインに近い方のラインが目標走行ラインとして設定されるので、適切な目標走行ラインを設定することができる。
【0013】
尚、本発明に係る車両運転支援装置において、前記制御装置は、前記左端ラインと前記右端ラインとが左右逆に設定されている場合、それら左端ラインと右端ラインとの間のラインを前記目標走行ラインとして設定するように構成されてもよい。
【0014】
左端ラインと右端ラインとが左右逆に設定されているときにそれら左端ラインと右端ラインとにより規定される範囲を目標設定可能範囲として取得し、その目標設定可能範囲内に自車線の中央ラインが存在する場合には、その中央ラインを目標走行ラインとして設定したり、その目標設定可能範囲内に自車線の中央ラインが存在しない場合には、左端ライン及び右端ラインのうち、中央ラインに近い方のラインを目標走行ラインとして設定したりしてしまうと、一方の物標からは十分な距離を確保することができるが、他方の物標からは十分な距離を確保することができないことがある。
【0015】
本発明によれば、左端ラインと右端ラインとが左右逆に設定されている場合、それら左端ラインと右端ラインとの間のラインが目標走行ラインとして設定される。このため、適切な目標走行ラインを設定することができる。
【0016】
又、本発明に係る車両運転支援装置において、前記制御装置は、前記左端ラインと前記右端ラインとが左右逆に設定されている場合、それら左端ラインと右端ラインとの間の中央のラインを前記目標走行ラインとして設定するように構成されてもよい。
【0017】
本発明によれば、左端ラインと右端ラインとが左右逆に設定されている場合、それら左端ラインと右端ラインとの間の中央のラインが目標走行ラインとして設定される。このため、より適切な目標走行ラインを設定することができる。
【0018】
又、本発明に係る車両運転支援装置において、前記制御装置は、前記左限界ラインと前記右限界ラインとが左右逆に設定されている場合において、前記左限界ラインの対象優先度が前記右限界ラインの対象優先度よりも高い場合、前記右限界ラインを前記左限界ラインと一致するラインとして再設定し、前記右限界ラインの対象優先度が前記左限界ラインの対象優先度よりも高い場合、前記左限界ラインを前記右限界ラインと一致するラインとして再設定するように構成されてもよい。
【0019】
左限界ラインと右限界ラインとが左右逆に設定されている場合、何れのラインを目標走行ラインの設定に考慮する対象として採用しても、一方の物標からは十分な距離を確保することができるが、他方の物標からは十分な距離を確保することができない可能性がある。しかしながら、それら物標の対象優先度が異なる場合、対象優先度の高い方のラインを目標走行ラインの設定に考慮する対象として採用すれば、より適切な目標走行ラインを設定することができる。
【0020】
本発明によれば、左限界ラインと右限界ラインとが左右逆に設定されている場合において、左限界ラインの対象優先度が右限界ラインの対象優先度よりも高い場合、右限界ラインが左限界ラインと一致するラインとして再設定され、右限界ラインの対象優先度が左限界ラインの対象優先度よりも高い場合、左限界ラインが右限界ラインと一致するラインとして再設定される。従って、より対象優先度の高いラインが左端ライン又は右端ラインとして目標走行ラインの設定に考慮されることになる。このため、より適切な目標走行ラインを設定することができる。
【0021】
又、本発明に係る車両運転支援装置において、前記制御装置は、対象優先度の異なる前記左限界ラインが少なくとも2つ存在する場合において、対象優先度の低い方の左限界ラインが対象優先度の高い方の左限界ラインよりも左側に設定されているときには、対象優先度の低い方の左限界ラインを対象優先度の高い方の左限界ラインと一致するラインとして再設定し、対象優先度の異なる前記右限界ラインが少なくとも2つ存在する場合において、対象優先度の低い方の右限界ラインが対象優先度の高い方の右限界ラインよりも右側に設定されているときには、対象優先度の低い方の右限界ラインを対象優先度の高い方の右限界ラインと一致するラインとして再設定するように構成されてもよい。
【0022】
対象優先度の異なる左限界ラインが2つ存在する場合、左限界ライン同士の位置関係と対象優先度の高低とに応じて何れの左限界ラインを左端ラインとして設定するかを決定すると、より適切な目標走行ラインを設定することができる。同様に、対象優先度の異なる右限界ラインが2つ存在する場合、右限界ライン同士の位置関係と対象優先度の高低とに応じて何れの右限界ラインを右端ラインとして設定するかを決定すると、より適切な目標走行ラインを設定することができる。
【0023】
本発明によれば、対象優先度の異なる左限界ラインが少なくとも2つ存在する場合において、対象優先度の低い方の左限界ラインが対象優先度の高い方の左限界ラインよりも左側に設定されているときには、対象優先度の低い方の左限界ラインが対象優先度の高い方の左限界ラインと一致するラインとして再設定される。従って、結果的には、対象優先度の高い方の左限界ラインが左端ラインとして設定される。又、対象優先度の異なる右限界ラインが少なくとも2つ存在する場合において、対象優先度の低い方の右限界ラインが対象優先度の高い方の右限界ラインよりも右側に設定されているときには、対象優先度の低い方の右限界ラインが対象優先度の高い方の右限界ラインと一致するラインとして再設定される。従って、結果的には、対象優先度の高い方の右限界ラインが右端ラインとして設定される。このため、より適切な目標走行ラインを設定することができる。
【0024】
又、本発明に係る車両運転支援装置において、前記対象優先度は、前記目標走行ラインの設定に考慮する対象としての優先度であり、前記目標走行ラインの設定に考慮するべき要求が高いほど高くなる。
【0025】
対象優先度は、左限界ライン又は右限界ラインを目標走行ラインの設定に考慮するか否かの決定に関わる。本発明によれば、目標走行ラインの設定に考慮する対象としての優先度であって、目標走行ラインの設定に考慮するべき要求が高いほど高くなる優先度が対象優先度として用いられる。このため、より適切な目標走行ラインを設定することができる。
【0031】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置及びそれが搭載される車両(自車両)を示した図である。
図2図2の(A)は、車線維持制御により自車両が目標走行ライン上を走行するように操舵トルクが制御されている場面を示した図であり、図2の(B)は、目標走行ラインから左側に外れた自車両が車線維持制御により右側に操舵されて目標走行ライン上を走行するように操舵トルクが制御された場面を示した図であり、図2の(C)は、目標走行ラインから右側に外れた自車両が車線維持制御により左側に操舵されて目標走行ライン上を走行するように操舵トルクが制御された場面を示した図である。
図3図3は、左限界ライン及び右限界ラインを示した図である。
図4図4は、物標のタイプ(種類)に応じて設定される左限界ライン及び右限界ラインを示した図である。
図5図5は、左端ラインと右端ラインとの間に車線中央ラインが存在する場面を示した図である。
図6図6の(A)は、左端ライン及び右端ラインが車線中央ラインの左側に設定されており且つ左端ラインと右端ラインとの間に車線中央ラインが存在しない場面を示した図であり、図6の(B)は、左端ライン及び右端ラインが車線中央ラインの右側に設定されており且つ左端ラインと右端ラインとの間に車線中央ラインが存在しない場面を示した図である。
図7図7の(A)は、左端ラインと右端ラインとが左右逆に設定されており且つ左端ラインと右端ラインとの間に車線中央ラインが存在する場面を示した図であり、図7の(B)も、左端ラインと右端ラインとが左右逆に設定されており且つ左端ラインと右端ラインとの間に車線中央ラインが存在する場面を示した図である。
図8図8の(A)は、左端ラインと右端ラインとが左右逆に設定されており且つ左端ラインと右端ラインとの間に車線中央ラインが存在しない場面を示した図であり、図8の(B)も、左端ラインと右端ラインとが左右逆に設定されており且つ左端ラインと右端ラインとの間に車線中央ラインが存在しない場面を示した図である。
図9図9の(A)は、2つの左限界ライン及び2つの右限界ラインが設定されている場面を示した図であり、図9の(B)も、2つの左限界ライン及び2つの右限界ラインが設定されている場面を示した図である。
図10図10の(A)は、2つの左限界ライン及び2つの右限界ラインが設定されている場面を示した図であり、図10の(B)も、2つの左限界ライン及び2つの右限界ラインが設定されている場面を示した図である。
図11図11の(A)は、2つの左限界ライン及び2つの右限界ラインが設定されている場面を示した図であり、図11の(B)も、2つの左限界ライン及び2つの右限界ラインが設定されている場面を示した図である。
図12図12は、2つの左限界ライン及び2つの右限界ラインが設定されている場面を示した図である。
図13図13の(A)は、2つの左限界ライン及び2つの右限界ラインが設定されている場面を示した図であり、図13の(B)も、2つの左限界ライン及び2つの右限界ラインが設定されている場面を示した図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置について説明する。図1に示したように、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置10は、自車両100に搭載されている。
【0034】
<ECU>
車両運転支援装置10は、制御装置としてのECU90を備えている。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称である。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。
【0035】
<駆動装置等>
又、自車両100には、駆動装置21、制動装置22及び操舵装置23が搭載されている。
【0036】
<駆動装置>
駆動装置21は、自車両100を走行させるために自車両100に付加される駆動トルク(駆動力)を出力する装置であり、例えば、内燃機関及びモータ等である。駆動装置21は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、駆動装置21の作動を制御することにより駆動装置21から出力される駆動トルクを制御することができる。
【0037】
<制動装置>
制動装置22は、自車両100を制動するために自車両100に付加される制動トルク(制動力)を出力する装置であり、例えば、ブレーキ装置である。制動装置22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、制動装置22の作動を制御することにより制動装置22から出力される制動トルクを制御することができる。
【0038】
<操舵装置>
操舵装置23は、自車両100を操舵するために自車両100に付加される操舵トルク(操舵力)を出力する装置であり、例えば、パワーステアリング装置である。操舵装置23は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、操舵装置23の作動を制御することにより操舵装置23から出力される操舵トルクを制御することができる。
【0039】
<センサ等>
更に、自車両100には、アクセルペダル31、アクセルペダル操作量センサ32、ブレーキペダル33、ブレーキペダル操作量センサ34、ハンドル35、ステアリングシャフト36、操舵角センサ37、操舵トルクセンサ38、車速検出装置41、周辺情報検出装置50及び運転支援スイッチ61が搭載されている。
【0040】
<アクセルペダル操作量センサ>
アクセルペダル操作量センサ32は、アクセルペダル31の操作量を検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。アクセルペダル操作量センサ32は、検出したアクセルペダル31の操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてアクセルペダル31の操作量(アクセルペダル操作量)を取得する。ECU90は、アクセルペダル操作量及び自車両100の車速(自車速)に基づいて要求駆動トルク(要求駆動力)を演算により取得する。要求駆動トルクは、駆動装置21に出力が要求されている駆動トルクである。ECU90は、要求駆動トルクが出力されるように駆動装置21の作動を制御する。
【0041】
<ブレーキペダル操作量センサ>
ブレーキペダル操作量センサ34は、ブレーキペダル33の操作量を検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。ブレーキペダル操作量センサ34は、検出したブレーキペダル33の操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてブレーキペダル33の操作量(ブレーキペダル操作量)を取得する。ECU90は、ブレーキペダル操作量に基づいて要求制動トルク(要求制動力)を演算により取得する。要求制動トルクは、制動装置22に出力が要求されている制動トルクである。ECU90は、要求制動トルクが出力されるように制動装置22の作動を制御する。
【0042】
<操舵角センサ>
操舵角センサ37は、中立位置に対するステアリングシャフト36の回転角度を検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。操舵角センサ37は、検出したステアリングシャフト36の回転角度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてステアリングシャフト36の回転角度(操舵角θ)を取得する。
【0043】
<操舵トルクセンサ>
操舵トルクセンサ38は、運転者がハンドル35を介してステアリングシャフト36に入力したトルクを検出するセンサであり、ECU90に電気的に接続されている。操舵トルクセンサ38は、検出したトルクの情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて運転者がハンドル35を介してステアリングシャフト36に入力したトルク(ドライバー操舵トルクTQ_D又は操舵操作力)を取得する。
【0044】
<車速検出装置>
車速検出装置41は、自車両100の車速(自車速)を検出する装置であり、例えば、車輪速センサである。車速検出装置41は、ECU90に電気的に接続されている。車速検出装置41は、検出した自車両100の車速の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の車速(自車速V)を取得する。
【0045】
ECU90は、操舵角θ、ドライバー操舵トルクTQ_D及び自車速Vに基づいてドライバー要求操舵トルクを演算により取得する。ドライバー要求操舵トルクは、操舵装置23に出力が要求されている操舵トルクである。ECU90は、後述する車線維持制御を実行していない場合、ドライバー要求操舵トルクが操舵装置23から出力されるように操舵装置23の作動を制御する。
【0046】
<周辺情報検出装置>
周辺情報検出装置50は、自車両100の周辺の情報を検出する装置であり、本例においては、画像センサ51及び電波センサ52を備えている。画像センサ51は、例えば、カメラである。電波センサ52は、例えば、レーダセンサ(ミリ波レーダ等)である。尚、周辺情報検出装置50は、超音波センサ(クリアランスソナー)等の音波センサやレーザーレーダ(LiDAR)等の光センサを備えていてもよい。
【0047】
<画像センサ>
画像センサ51は、ECU90に電気的に接続されている。画像センサ51は、自車両100の周辺を撮像し、撮像した画像に係る情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報(画像情報)に基づいて自車両100の周辺に関する情報(周辺検出情報IS)を取得することができる。
【0048】
<電波センサ>
電波センサ52は、ECU90に電気的に接続されている。電波センサ52は、電波を発信すると共に、物体で反射した電波(反射波)を受信する。電波センサ52は、発信した電波及び受信した電波(反射波)に係る情報(検知結果)をECU90に送信する。別の言い方をすると、電波センサ52は、自車両100の周辺に存在する物体を検知し、その検知した物体に係る情報(検知結果)をECU90に送信する。ECU90は、その情報(電波情報)に基づいて自車両100の周辺に存在する物体に係る情報(周辺検出情報IS)を取得することができる。
【0049】
<運転支援スイッチ>
運転支援スイッチ61は、後述する車線維持制御を実行するか否かを運転者に選択させるためのスイッチであり、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、運転支援スイッチ61がオン状態に操作されると、車線維持制御の実行が要求されたと判定する。一方、ECU90は、運転支援スイッチ61がオフ状態に操作されると、操作支援制御の実行が要求されなくなったと判定する。
【0050】
<車両運転支援装置の作動の概要>
次に、車両運転支援装置10の作動の概要について説明する。以下の説明において、「左」は、自車両100の進行方向に対して左側を表し、「右」は、自車両100の進行方向に対して右側を表している。
【0051】
車両運転支援装置10は、車線維持制御の実行が要求された場合、図2の(A)に示したように、自車両100の基準点(自車基準点Pref)が目標走行ラインLtgt上を移動するように自車両100を自律的に操舵する自律操舵を行う車線維持制御を実行するように構成されている。自車基準点Prefは、自車両100の位置を示す点であればよく、本例においては、自車両100の前端部上の位置であって自車両100の幅方向中央の位置である。尚、目標走行ラインLtgtの設定については、後述する。
【0052】
車両運転支援装置10は、図2の(B)に示したように、車線維持制御の実行時に自車基準点Prefが目標走行ラインLtgtから左側に外れた場合、自車両100が右側に寄るように自律操舵を行って自車基準点Prefが目標走行ラインLtgt上を移動するようにする。
【0053】
より具体的には、車両運転支援装置10は、自車基準点Prefと目標走行ラインLtgtとの間の距離(乖離量D)を周辺検出情報ISに基づいて取得し、その乖離量Dがゼロよりも大きく且つ自車基準点Prefが目標走行ラインLtgtよりも左側に位置する場合、自車両100を右側に移動させるための操舵トルクを乖離量Dに応じて算出し、その算出した操舵トルク(システム操舵トルクTQ_S)に相当する操舵トルクを操舵装置23から出力させる。
【0054】
一方、車両運転支援装置10は、図2の(C)に示したように、車線維持制御の実行時に自車基準点Prefが目標走行ラインLtgtから右側に外れた場合、自車両100が左側に寄るように自律操舵を行って自車基準点Prefが目標走行ラインLtgt上を移動するようにする。
【0055】
より具体的には、車両運転支援装置10は、乖離量Dを周辺検出情報ISに基づいて取得し、その乖離量Dがゼロよりも大きく且つ自車基準点Prefが目標走行ラインLtgtよりも右側に位置する場合、自車両100を左側に移動させるための操舵トルクを乖離量Dに応じて算出し、その算出した操舵トルク(システム操舵トルクTQ_S)に相当する操舵トルクを操舵装置23から出力させる。
【0056】
これにより、車線維持制御の実行中、自車基準点Prefが目標走行ラインLtgtに沿って移動するように自車両100が走行する。
【0057】
<目標走行ラインの設定>
次に、車両運転支援装置10による目標走行ラインLtgtの設定について説明する。
【0058】
図3に示したように、自車線LNの左側にも右側にも、左側区画線LML及び右側区画線LMRの他に、物体等の物標が存在しない場合、車両運転支援装置10は、左側区画線LMLから所定の距離(所定左側離間距離DL)だけ右方向へ離間した位置を通って自車線LNに沿って延びるラインを左限界ラインLLとして取得すると共に、右側区画線LMRから所定の距離(所定右側離間距離DR)だけ左方向へ離間した位置を通って自車線LNに沿って延びるラインを右限界ラインLRとして取得する。
【0059】
尚、本例において、物体は、自車線LNの左側又は右側の隣接車線を走行している他車両や自車線LNの左側又は右側に設置されている壁、道路に配置されている三角コーン等であり、車両運転支援装置10は、こうした物体を周辺検出情報IS(特に、電波情報)に基づいて検出し、それら物体の位置を周辺検出情報IS(特に、電波情報)に基づいて取得することができる。
【0060】
又、本例において、物標には、左側区画線LML及び右側区画線LMR及び道路脇に設けられている縁石も含まれる。車両運転支援装置10は、左側区画線LML及び右側区画線LMR並びに縁石を周辺検出情報IS(特に、画像情報)に基づいて検出し、それら左側区画線LML及び右側区画線LMR並びに縁石の位置を周辺検出情報IS(特に、画像情報)に基づいて取得することができる。
【0061】
車両運転支援装置10は、取得した左限界ラインLL及び右限界ラインLRをそれぞれ左端ラインLEL及び右端ラインLERとして設定し、それら左端ラインLELと右端ラインLERとの間の中央の位置を通って延びるライン(即ち、車線中央ラインLNC)を目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0062】
別の言い方をすると、車両運転支援装置10は、取得した左限界ラインLL及び右限界ラインLRをそれぞれ左端ラインLEL及び右端ラインLERとして設定し、それら左端ラインLELと右端ラインLERとの間にあるときには、それら左端ラインLELと右端ラインLERとにより規定される範囲(目標設定可能範囲)の中央のライン(即ち、車線中央ラインLNC)を目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0063】
本例において、車線中央ラインLNCは、自車線LNの幅の中央を自車線LNに沿って延びるラインである。自車線LNは、自車両100が走行している車線(走行車線)である。車両運転支援装置10は、周辺検出情報ISに基づいて左側区画線LML及び右側区画線LMRを取得し、それら左側区画線LMLと右側区画線LMRとの間の距離(車線幅LNW)を取得し、その車線幅LNWを自車両100の走行可能幅(自車両100が走行することが可能な幅)として取得し、その走行可能幅の中央を通るライン(中央ライン)を車線中央ラインLNCとして取得する。
【0064】
一方、自車線LNの左側に左側区画線LMLの他に物体等の物標が存在する場合、車両運転支援装置10は、それら物標それぞれについて左限界ラインLLを設定し、それら左限界ラインLLのうち、最も右側に位置する左限界ラインLLを左端ラインLELとして設定する。例えば、図4に示したように、車両運転支援装置10は、3つの左限界ラインLL(第1左限界ラインLL1、第2左限界ラインLL2及び第3左限界ラインLL3)を設定した場合、それら左限界ラインLLのうち、最も右側に位置する第3左限界ラインLL3を左端ラインLELとして設定する。
【0065】
尚、図4に示した第1左限界ラインLL1は、第1左側物標LOB1(図4においては、左側区画線LML)から右方向に所定の距離(第1左側離間距離DL1)だけ離間した位置を通って自車線LNに沿って延びるラインであり、第2左限界ラインLL2は、第2左側物標LOB2(例えば、自車線LNの左隣の車線を走行している乗用車等の比較的小さい車両)から右方向に所定の距離(第2左側離間距離DL2)だけ離間した位置を通って自車線LNに沿って延びるラインであり、第3左限界ラインLL3は、第3左側物標LOB3(例えば、自車線LNの左隣の車線を走行しているトラックやバス等の比較的大きい車両)から右方向に所定の距離(第3左側離間距離DL3)だけ離れた位置を通って自車線LNに沿って延びるラインである。
【0066】
本例において、所定左側離間距離DLは、物標のタイプ(種類)毎に予め設定されており、運転者がその物標からより長い距離をとって自車両100を走行させることを希望するものであるほど、長い距離に設定されている。
【0067】
従って、図4に示したように、自車線LNの左隣の車線を走行している乗用車等の比較的小さい車両についての所定左側離間距離DL(第2左側離間距離DL2)は、左側区画線LMLについての所定左側離間距離DL(第1左側離間距離DL1)よりも長い距離に設定されている。又、自車線LNの左隣の車線を走行しているトラックやバス等の比較的大きい車両についての所定左側離間距離DL(第3左側離間距離DL3)は、自車線LNの左隣の車線を走行している乗用車等の比較的小さい車両についての所定左側離間距離DL(第2左側離間距離DL2)よりも長い距離に設定されている。
【0068】
同様に、自車線LNの右側に右側区画線LMRの他に物標が存在する場合、車両運転支援装置10は、それら物標それぞれについて右限界ラインLRを設定し、それら右限界ラインLRのうち、最も左側に位置する右限界ラインLRを右端ラインLERとして設定する。例えば、図4に示したように、車両運転支援装置10は、3つの右限界ラインLR(第1右限界ラインLR1、第2右限界ラインLR2及び第3右限界ラインLR3)を設定した場合、それら右限界ラインLRのうち、最も左側に位置する第3右限界ラインLR3を右端ラインLERとして設定する。
【0069】
尚、図4に示した第1右限界ラインLR1は、第1右側物標ROB1(図4においては、右側区画線LMR)から右方向に所定の距離(第1右側離間距離DR1)だけ離間した位置を通って自車線LNに沿って延びるラインであり、第2右限界ラインLR2は、第2右側物標ROB2(例えば、自車線LNの右隣の車線を走行している乗用車等の比較的小さい車両)から左方向に所定の距離(第2右側離間距離DR2)だけ離間した位置を通って自車線LNに沿って延びるラインであり、第3右限界ラインLR3は、第3右側物標ROB3(例えば、自車線LNの右隣の車線を走行しているトラックやバス等の比較的大きい車両)から左方向に所定の距離(第3右側離間距離DR3)だけ離れた位置を通って自車線LNに沿って延びるラインである。
【0070】
本例において、所定右側離間距離DRは、物標のタイプ(種類)毎に予め設定されており、運転者がその物標からより長い距離をとって自車両100を走行させることを希望するものであるほど、長い距離に設定されている。
【0071】
従って、図4に示したように、自車線LNの右隣の車線を走行している乗用車等の比較的小さい車両についての所定右側離間距離DR(第2右側離間距離DR2)は、右側区画線LMRについての所定右側離間距離DR(第1右側離間距離DR1)よりも長い距離に設定されている。又、自車線LNの右隣の車線を走行しているトラックやバス等の比較的大きい車両についての所定右側離間距離DR(第3右側離間距離DR3)は、自車線LNの右隣の車線を走行している乗用車等の比較的小さい車両についての所定右側離間距離DR(第2右側離間距離DR2)よりも長い距離に設定されている。
【0072】
そして、図5に示したように、左端ラインLELと右端ラインLERとが左右順に設定されている場合(即ち、左端ラインLELが右端ラインLERの左側に設定されており、従って、右端ラインLERが左端ラインLELの右側に設定されている場合)において、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在するときには、車両運転支援装置10は、車線中央ラインLNCを目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0073】
又、図6の(A)に示したように、左端ラインLELと右端ラインLERとが左右順に設定されている場合において、左端ラインLELも右端ラインLERも車線中央ラインLNCの左側に設定されているため、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在しないときには、車両運転支援装置10は、左端ラインLELと右端ラインLERとのうち、車線中央ラインLNCに最も近いラインを目標走行ラインLtgtとして設定する。図6の(A)に示した場面においては、左端ラインLEL及び右端ラインLERが車線中央ラインLNCの左側に設定されているので、車両運転支援装置10は、より車線中央ラインLNCに近い右端ラインLERを目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0074】
同様に、図6の(B)に示したように、左端ラインLELと右端ラインLERとが左右順に設定されている場合において、左端ラインLELも右端ラインLERも車線中央ラインLNCの右側に設定されているため、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在しないときには、車両運転支援装置10は、左端ラインLELと右端ラインLERとのうち、車線中央ラインLNCに最も近いラインを目標走行ラインLtgtとして設定する。図6の(B)に示した場面においては、左端ラインLEL及び右端ラインLERが車線中央ラインLNCの右側に設定されているので、車両運転支援装置10は、より車線中央ラインLNCに近い左端ラインLELを目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0075】
このように、車両運転支援装置10は、左端ラインLELと右端ラインLERとが左右順に設定されている場合、左端ラインLELと右端ラインLERと車線中央ラインLNCとの位置関係に応じて目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0076】
又、図7の(A)及び図7の(B)に示したように、左端ラインLELと右端ラインLERとが左右逆に設定されている場合(即ち、左端ラインLELが右端ラインLERの右側に設定されており、従って、右端ラインLERが左端ラインLELの左側に設定されている場合)、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在していても、その車線中央ラインLNCとは無関係に、車両運転支援装置10は、左端ラインLELと右端ラインLERとの間のラインを目標走行ラインLtgtとして設定する。このとき、目標走行ラインLtgtとして設定されるラインは、左端ラインLELと右端ラインLERとの間のラインであれば、如何なるラインであってもよいが、本例においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの中央のラインである。
【0077】
図7の(A)に示した場面においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの中央のラインが車線中央ラインLNCの左側にあるため、目標走行ラインLtgtは、車線中央ラインLNCの左側に設定される。又、図7の(B)に示した場面においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの中央のラインが車線中央ラインLNCの右側にあるため、目標走行ラインLtgtは、車線中央ラインLNCの右側に設定される。
【0078】
又、図8の(A)及び図8の(B)に示したように、左端ラインLELと右端ラインLERとが左右逆に設定されている場合において、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在していないときにも、車線中央ラインLNCとは無関係に、車両運転支援装置10は、左端ラインLELと右端ラインLERとの間のラインを目標走行ラインLtgtとして設定する。このとき、目標走行ラインLtgtとして設定されるラインは、左端ラインLELと右端ラインLERとの間のラインであれば、如何なるラインであってもよいが、本例においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの中央のラインである。
【0079】
尚、図8の(A)に示した場面においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの中央のラインが車線中央ラインLNCの左側にあるため、目標走行ラインLtgtは、車線中央ラインLNCの左側に設定される。又、図8の(B)に示した場面においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの中央のラインが車線中央ラインLNCの右側にあるため、目標走行ラインLtgtは、車線中央ラインLNCの右側に設定される。
【0080】
車両運転支援装置10は、以上説明したようにして目標走行ラインLtgtを設定する。
【0081】
尚、車両運転支援装置10は、左端ラインLELと右端ラインLERとが左右順に設定されている場合、以下で説明するように目標走行ラインLtgtを設定するように構成されもよい。
【0082】
即ち、図9の(A)に示したように、対象優先度の異なる2つの左限界ラインLL(第1左限界ラインLL1及び第2左限界ラインLL2)が設定されており且つ対象優先度の異なる2つの右限界ラインLR(第1右限界ラインLR1及び第2右限界ラインLR2)が設定されており且つ第2右限界ラインLR2も第2左限界ラインLL2も第1左限界ラインLL1の左側に設定されている場面において、第1左限界ラインLL1の対象優先度が第2右限界ラインLR2の対象優先度よりも高いときには、車両運転支援装置10は、対象優先度の低い第2右限界ラインLR2を対象優先度の高い第1左限界ラインLL1と一致するラインとして再設定するように構成されてもよい。
【0083】
即ち、車両運転支援装置10は、左限界ラインLLと右限界ラインLRとが左右逆に設定されている場合において、左限界ラインLLの対象優先度が右限界ラインLRの対象優先度よりも高い場合、右限界ラインLRを左限界ラインLLと一致するラインとして再設定するように構成されてもよい。
【0084】
又、図9の(A)に示した場面において、第1左限界ラインLL1の対象優先度が第2左限界ラインLL2の対象優先度よりも高いときには、車両運転支援装置10は、対象優先度の低い第2左限界ラインLL2を対象優先度の高い第1左限界ラインLL1と一致するラインとして再設定するように構成されてもよい。
【0085】
即ち、車両運転支援装置10は、対象優先度の異なる左限界ラインLLが少なくとも2つ存在する場合において、対象優先度の低い方の左限界ラインLLが対象優先度の高い方の左限界ラインLLよりも左側に設定されているときには、対象優先度の低い方の左限界ラインLLを対象優先度の高い方の左限界ラインLLと一致するラインとして再設定するように構成されてもよい。
【0086】
そして、図9の(A)に示した場面においては、車両運転支援装置10は、第1左限界ラインLL1(再設定後の第2右限界ラインLR2又は再設定後の第2左限界ラインLL2)を左端ラインLELとして設定し、第1右限界ラインLR1を右端ラインLERとして設定したうえで、先に述べたようにして、目標走行ラインLtgtを設定する。即ち、図9の(A)に示した場面においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在するので、車両運転支援装置10は、車線中央ラインLNCを目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0087】
従って、図9の(A)に示した場面において、車両運転支援装置10は、対象優先度の高い第1左限界ラインLL1よりも左側に設定されている第2右限界ラインLR2及び第2左限界ラインLL2をキャンセルし、残る第1左限界ラインLL1及び第1右限界ラインLR1をそれぞれ左端ラインLEL及び右端ラインLERを設定しているとも言える。
【0088】
尚、対象優先度は、目標走行ラインLtgtの設定に考慮する対象としての優先度であり、目標走行ラインLtgtの設定に考慮するべき要求が高いほど高くなる。例えば、左側区画線LML及び右側区画線LMRについてそれぞれ設定される左限界ラインLL及び右限界ラインLRの対象優先度は、それ以外の物標について設定される左限界ラインLL及び右限界ラインLRの対象優先度よりも高い。このように、対象優先度は、左限界ラインLL又は右限界ラインLRを目標走行ラインLtgtの設定に考慮するか否かの決定に関わるパラメータである。
【0089】
又、図9の(B)に示したように、対象優先度の異なる2つの左限界ラインLL(第1左限界ラインLL1及び第2左限界ラインLL2)が設定されており且つ対象優先度の異なる2つの右限界ラインLR(第1右限界ラインLR1及び第2右限界ラインLR2)が設定されており且つ第2右限界ラインLR2も第2左限界ラインLL2も第1右限界ラインLR1の右側に設定されている場面において、第1右限界ラインLR1の対象優先度が第2左限界ラインLL2の対象優先度よりも高いときには、車両運転支援装置10は、対象優先度の低い第2左限界ラインLL2を対象優先度の高い第1右限界ラインLR1と一致するラインとして再設定するように構成されてもよい。
【0090】
即ち、車両運転支援装置10は、左限界ラインLLと右限界ラインLRとが左右逆に設定されている場合において、右限界ラインLRの対象優先度が左限界ラインLLの対象優先度よりも高い場合、左限界ラインLLを右限界ラインLRと一致するラインとして再設定するように構成されてもよい。
【0091】
又、図9の(B)に示した場面において、第1右限界ラインLR1の対象優先度が第2右限界ラインLR2の対象優先度よりも高いときには、車両運転支援装置10は、対象優先度の低い第2右限界ラインLR2を対象優先度の高い第1右限界ラインLR1と一致するラインとして再設定するように構成されてもよい。
【0092】
即ち、車両運転支援装置10は、対象優先度の異なる左限界ラインLLが少なくとも2つ存在する場合において、対象優先度の低い方の右限界ラインLRが対象優先度の高い方の右限界ラインLRよりも右側に設定されているときには、対象優先度の低い方の右限界ラインLRを対象優先度の高い方の右限界ラインLRと一致するラインとして再設定するように構成されてもよい。
【0093】
そして、図9の(B)に示した場面においては、車両運転支援装置10は、第1左限界ラインLL1を左端ラインLELとして設定し、第1右限界ラインLR1(再設定後の第2左限界ラインLL2又は再設定後の第2右限界ラインLR2)を右端ラインLERとして設定したうえで、先に述べたようにして、目標走行ラインLtgtを設定する。即ち、図9の(B)に示した場面においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在するので、車両運転支援装置10は、車線中央ラインLNCを目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0094】
従って、図9の(B)に示した場面において、車両運転支援装置10は、対象優先度の高い第1右限界ラインLR1よりも右側に設定されている第2左限界ラインLL2及び第2右限界ラインLR2をキャンセルし、残る第1左限界ラインLL1及び第1右限界ラインLR1をそれぞれ左端ラインLEL及び右端ラインLERを設定しているとも言える。
【0095】
車両運転支援装置10がこのように構成されている場合、例えば、図10の(A)に示したように、対象優先度の異なる2つの左限界ラインLL(第1左限界ラインLL1及び第2左限界ラインLL2)が設定されており且つ対象優先度の異なる2つの右限界ラインLR(第1右限界ラインLR1及び第2右限界ラインLR2)が設定されており且つ第2右限界ラインLR2は第1左限界ラインLL1の右側に設定されているが第2左限界ラインLL2は第1左限界ラインLL1の左側に設定されている場面においては、第1左限界ラインLL1の対象優先度が第2右限界ラインLR2の対象優先度よりも高くても、第2右限界ラインLR2が第1左限界ラインLL1の右側に設定されている(即ち、第2右限界ラインLR2と第1左限界ラインLL1とが左右順に設定されている)ので、車両運転支援装置10は、第2右限界ラインLR2の再設定を行わない。
【0096】
又、図10の(A)に示した場面において、第1左限界ラインLL1の対象優先度が第2左限界ラインLL2の対象優先度よりも高いときには、車両運転支援装置10は、対象優先度の低い第2左限界ラインLL2を対象優先度の高い第1左限界ラインLL1と一致するラインとして再設定する。
【0097】
そして、図10の(A)に示した場面においては、車両運転支援装置10は、第1左限界ラインLL1(再設定後の第2左限界ラインLL2)を左端ラインLELとして設定し、又、対象優先度の低い第2右限界ラインLR2が対象優先度の高い第1右限界ラインLR1の左側に設定されているので、第2右限界ラインLR2を右端ラインLERとして設定したうえで、先に述べたようにして、目標走行ラインLtgtを設定する。即ち、図10の(A)に示した場面においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在しないので、車両運転支援装置10は、車線中央ラインLNCに近い方のライン(右端ラインLER)を目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0098】
又、図10の(B)に示したように、対象優先度の異なる2つの左限界ラインLL(第1左限界ラインLL1及び第2左限界ラインLL2)が設定されており且つ対象優先度の異なる2つの右限界ラインLR(第1右限界ラインLR1及び第2右限界ラインLR2)が設定されており且つ第2左限界ラインLL2は第1右限界ラインLR1の左側に設定されているが第2右限界ラインLR2は第1右限界ラインLR1の右側に設定されている場面においては、第1右限界ラインLR1の対象優先度が第2左限界ラインLL2の対象優先度よりも高くても、第2左限界ラインLL2が第1右限界ラインLR1の左側に設定されている(即ち、第2左限界ラインLL2と第1右限界ラインLR1とが左右順に設定されている)ので、車両運転支援装置10は、第2左限界ラインLL2の再設定を行わない。
【0099】
又、図10の(B)に示した場面において、第1右限界ラインLR1の対象優先度が第2右限界ラインLR2の対象優先度よりも高いときには、車両運転支援装置10は、対象優先度の低い第2右限界ラインLR2を対象優先度の高い第1右限界ラインLR1と一致するラインとして再設定する。
【0100】
そして、図10の(B)に示した場面においては、車両運転支援装置10は、第1右限界ラインLR1(再設定後の第2右限界ラインLR2)を右端ラインLERとして設定し、又、対象優先度の低い第2左限界ラインLL2が対象優先度の高い第1左限界ラインLL1の右側に設定されているので、第2左限界ラインLL2を左端ラインLELとして設定したうえで、先に述べたようにして、目標走行ラインLtgtを設定する。即ち、図10の(B)に示した場面においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在しないので、車両運転支援装置10は、車線中央ラインLNCに近い方のライン(左端ラインLEL)を目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0101】
又、図11の(A)に示したように、対象優先度の異なる2つの左限界ラインLL(第1左限界ラインLL1及び第2左限界ラインLL2)が設定されており且つ対象優先度の異なる2つの右限界ラインLR(第1右限界ラインLR1及び第2右限界ラインLR2)が設定されており且つ第2右限界ラインLR2は第1左限界ラインLL1の右側に設定されているが第2左限界ラインLL2は第1左限界ラインLL1の左側に設定されている場面においては、第1左限界ラインLL1の対象優先度が第2右限界ラインLR2の対象優先度よりも高くても、第2右限界ラインLR2が第1左限界ラインLL1の右側に設定されている(即ち、第2右限界ラインLR2と第1左限界ラインLL1とが左右順に設定されている)ので、先に述べたように、車両運転支援装置10は、第2右限界ラインLR2の再設定を行わない。
【0102】
又、図11の(A)に示した場面において、第1左限界ラインLL1の対象優先度が第2左限界ラインLL2の対象優先度よりも高いときには、先に述べたように、車両運転支援装置10は、対象優先度の低い第2左限界ラインLL2を対象優先度の高い第1左限界ラインLL1と一致するラインとして再設定する。
【0103】
そして、図11の(A)に示した場面においては、車両運転支援装置10は、第1左限界ラインLL1(再設定後の第2左限界ラインLL2)を左端ラインLELとして設定し、又、対象優先度の低い第2右限界ラインLR2が対象優先度の高い第1右限界ラインLR1の左側に設定されているので、第2右限界ラインLR2を右端ラインLERとして設定したうえで、先に述べたようにして、目標走行ラインLtgtを設定する。即ち、図11の(A)に示した場面においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在するので、車両運転支援装置10は、車線中央ラインLNCを目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0104】
又、図11の(B)に示したように、対象優先度の異なる2つの左限界ラインLL(第1左限界ラインLL1及び第2左限界ラインLL2)が設定されており且つ対象優先度の異なる2つの右限界ラインLR(第1右限界ラインLR1及び第2右限界ラインLR2)が設定されており且つ第2左限界ラインLL2は第1右限界ラインLR1の左側に設定されているが第2右限界ラインLR2は第1右限界ラインLR1の右側に設定されている場面においては、第1右限界ラインLR1の対象優先度が第2左限界ラインLL2の対象優先度よりも高くても、第2左限界ラインLL2が第1右限界ラインLR1の左側に設定されている(即ち、第2左限界ラインLL2と第1右限界ラインLR1とが左右順に設定されている)ので、車両運転支援装置10は、第2左限界ラインLL2の再設定を行わない。
【0105】
又、図11の(B)に示した場面において、第1右限界ラインLR1の対象優先度が第2右限界ラインLR2の対象優先度よりも高いときには、先に述べたように、車両運転支援装置10は、対象優先度の低い第2右限界ラインLR2を対象優先度の高い第1右限界ラインLR1と一致するラインとして再設定する。
【0106】
そして、図11の(B)に示した場面においては、車両運転支援装置10は、第1右限界ラインLR1(再設定後の第2右限界ラインLR2)を右端ラインLERとして設定し、又、対象優先度の低い第2左限界ラインLL2が対象優先度の高い第1左限界ラインLL1の右側に設定されているので、第2左限界ラインLL2を左端ラインLELとして設定したうえで、先に述べたようにして、目標走行ラインLtgtを設定する。即ち、図11の(B)に示した場面においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在するので、車両運転支援装置10は、車線中央ラインLNCを目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0107】
又、図12に示したように、対象優先度の異なる2つの左限界ラインLL(第1左限界ラインLL1及び第2左限界ラインLL2)が設定されており且つ対象優先度の異なる2つの右限界ラインLR(第1右限界ラインLR1及び第2右限界ラインLR2)が設定されており且つ第2左限界ラインLL2も第2右限界ラインLR2も第1左限界ラインLL1と第1右限界ラインLR1との間に設定されている場面においては、第1左限界ラインLL1の対象優先度が第2右限界ラインLR2の対象優先度よりも高くても、第2右限界ラインLR2が第1左限界ラインLL1の右側に設定されている(即ち、第2右限界ラインLR2と第1左限界ラインLL1とが左右順に設定されている)ので、車両運転支援装置10は、第2右限界ラインLR2の再設定を行わない。又、第1右限界ラインLR1の対象優先度が第2左限界ラインLL2の対象優先度よりも高くても、第2左限界ラインLL2が第1右限界ラインLR1の左側に設定されている(即ち、第2左限界ラインLL2と第1右限界ラインLR1とが左右順に設定されている)ので、車両運転支援装置10は、第2左限界ラインLL2の再設定を行わない。
【0108】
そして、図12に示した場面においては、対象優先度の低い第2左限界ラインLL2が対象優先度の高い第1左限界ラインLL1の右側に設定されているので、第2左限界ラインLL2を左端ラインLELとして設定し、対象優先度の低い第2右限界ラインLR2が対象優先度の高い第1右限界ラインLR1の左側に設定されているので、第2右限界ラインLR2を右端ラインLERとして設定したうえで、先に述べたようにして、目標走行ラインLtgtを設定する。即ち、図12に示した場面においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在するので、車両運転支援装置10は、車線中央ラインLNCを目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0109】
又、図13の(A)及び図13の(B)に示したように、対象優先度の異なる2つの左限界ラインLL(第1左限界ラインLL1及び第2左限界ラインLL2)が設定されており且つ対象優先度の異なる2つの右限界ラインLR(第1右限界ラインLR1及び第2右限界ラインLR2)が設定されており且つ第2左限界ラインLL2も第2右限界ラインLR2も第1左限界ラインLL1と第1右限界ラインLR1との間に設定されている場面においては、第1左限界ラインLL1の対象優先度が第2右限界ラインLR2の対象優先度よりも高くても、第2右限界ラインLR2が第1左限界ラインLL1の右側に設定されている(即ち、第2右限界ラインLR2と第1左限界ラインLL1とが左右順に設定されている)ので、先に述べたように、車両運転支援装置10は、第2右限界ラインLR2の再設定を行わない。又、第1右限界ラインLR1の対象優先度が第2左限界ラインLL2の対象優先度よりも高くても、第2左限界ラインLL2が第1右限界ラインLR1の左側に設定されている(即ち、第2左限界ラインLL2と第1右限界ラインLR1とが左右順に設定されている)ので、先に述べたように、車両運転支援装置10は、第2左限界ラインLL2の再設定を行わない。
【0110】
そして、図13の(A)及び図13の(B)に示した場面においては、対象優先度の低い第2左限界ラインLL2が対象優先度の高い第1左限界ラインLL1の右側に設定されているので、第2左限界ラインLL2を左端ラインLELとして設定し、対象優先度の低い第2右限界ラインLR2が対象優先度の高い第1右限界ラインLR1の左側に設定されているので、第2右限界ラインLR2を右端ラインLERとして設定したうえで、先に述べたようにして、目標走行ラインLtgtを設定する。
【0111】
即ち、図13の(A)に示した場面においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在せず、又、左端ラインLEL及び右端ラインLERが車線中央ラインLNCの左側に設定されているので、車両運転支援装置10は、車線中央ラインLNCに近い方のライン(右端ラインLER、即ち、本例においては、第2右限界ラインLR2)を目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0112】
一方、図13の(B)に示した場面においては、左端ラインLELと右端ラインLERとの間に車線中央ラインLNCが存在せず、又、左端ラインLEL及び右端ラインLERが車線中央ラインLNCの右側に設定されているので、車両運転支援装置10は、車線中央ラインLNCに近い方のライン(左端ラインLEL、即ち、本例においては、第2左限界ラインLL2)を目標走行ラインLtgtとして設定する。
【0113】
尚、上では対象優先度の異なる2つの左限界ラインLL及び2つの右限界ラインLRが設定されている場合を例に車両運転支援装置10の作動を説明したが、対象優先度の異なる3つ以上の左限界ラインLL及び対象優先度の異なる3つ以上の右限界ラインLRが設定されている場合も、同様にして、対象優先度の異なる2つの左限界ラインLL同士、対象優先度の異なる2つの右限界ラインLR同士、及び、対象優先度の異なる1つの左限界ラインLLと1つの右限界ラインLRとをそれぞれ比較することを順次行って、左端ラインLELを設定すると共に、右端ラインLERを設定して、目標走行ラインLtgtを設定することができる。
【0114】
又、図9乃至図11を参照して説明したようにして左限界ラインLL及び右限界ラインLRを再設定した結果、複数の左限界ラインLLが残った場合、車両運転支援装置10は、図4を参照して説明したように、それら左限界ラインLLのうち、最も右側に位置する左限界ラインLLを左端ラインLELとして設定し、複数の右限界ラインLRが残った場合、車両運転支援装置10は、図4を参照して説明したように、それら右限界ラインLRのうち、最も左側に位置する右限界ラインLRを右端ラインLERとして設定する。
【0115】
<効果>
車両運転支援装置10によれば、左端ラインLELと右端ラインLERとが左右順に設定されている場合において、左端ラインLELと右端ラインLERとにより規定される範囲(目標設定可能範囲)内に車線中央ラインLNCがあるときには、車線中央ラインLNCが目標走行ラインLtgtとして設定されるので、適切な目標走行ラインLtgtを設定することができる。一方、目標設定可能範囲内に車線中央ラインLNCがない場合でも、目標設定可能範囲を規定している左端ラインLEL及び右端ラインLERのうち、車線中央ラインLNCに近い方のラインが目標走行ラインLtgtとして設定されるので、適切な目標走行ラインLtgtを設定することができる。
【0116】
更に、左端ラインLELと右端ラインLERとが左右逆に設定されている場合、それら左端ラインLELと右端ラインLERとの間のライン(特に、中央のライン)が目標走行ラインLtgtとして設定される。このため、適切な目標走行ラインLtgtを設定することができる。
【0117】
<車両運転支援装置の具体的な作動>
次に、車両運転支援装置10の具体的な作動について説明する。車両運転支援装置10のECU90のCPUは、図14に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図14に示したルーチンのステップ1400から処理を開始し、その処理をステップ1405に進め、先に述べたようにして目標走行ラインLtgtを設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1410に進め、ステップ1405で設定した目標走行ラインLtgtについての乖離量Dがゼロよりも大きいか否かを判定する。
【0118】
CPUは、ステップ1410にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1415に進め、自車基準点Prefが目標走行ラインLtgtよりも右側にずれているか否かを判定する。
【0119】
CPUは、ステップ1415にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1420に進め、自車両100を左方向に旋回させて自車基準点Prefを目標走行ラインLtgt上に戻すために必要なシステム操舵トルクTQ_Sを算出する。次いで、CPUは、処理をステップ1425に進め、操舵装置23に操舵トルク出力指令を送出してステップ1420で算出したシステム操舵トルクTQ_Sを操舵装置23から出力させる。次いで、CPUは、処理をステップ1495に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0120】
一方、CPUは、ステップ1415にて「No」と判定した場合、処理をステップ1430に進め、自車両100を右方向に旋回させて自車基準点Prefを目標走行ラインLtgt上に戻すために必要なシステム操舵トルクTQ_Sを算出する。次いで、CPUは、処理をステップ1435に進め、操舵装置23に操舵トルク出力指令を送出してステップ1430で算出したシステム操舵トルクTQ_Sを操舵装置23から出力させる。次いで、CPUは、処理をステップ1495に進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0121】
一方、CPUは、ステップ1410にて「No」と判定した場合、処理をステップ1495に直接進め、本ルーチンの処理を一旦終了する。
【0122】
以上が車両運転支援装置10の具体的な作動である。
【0123】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0124】
10…車両運転支援装置、23…操舵装置、50…周辺情報検出装置、51…画像センサ、52…電波センサ、61…運転支援スイッチ、90…ECU、100…自車両
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