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特許7593295ゲート駆動回路,電力変換装置およびゲート駆動回路の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ゲート駆動回路,電力変換装置およびゲート駆動回路の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20241126BHJP
   H03K 17/691 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H03K17/691
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021178462
(22)【出願日】2021-11-01
(65)【公開番号】P2023067333
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 勇
(72)【発明者】
【氏名】土居 敬一郎
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-111635(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0147544(US,A1)
【文献】国際公開第2019/193834(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
H03K 17/691
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート指令のオン指令とオフ指令に基づいて、第1変調信号と第2変調信号を出力する変調回路と、
前記第1変調信号が印加されるオン側1次巻線および前記オン側1次巻線に印加された電圧を変圧して出力するオン側2次巻線,オン側3次巻線を有する第1パルストランスと、前記オン側2次巻線の出力を整流する第1ダイオード回路と、前記オン側3次巻線の出力を整流する第2ダイオード回路と、を具備するオン側整流回路と、
前記第2変調信号が印加されるオフ側1次巻線および前記オフ側1次巻線に印加された電圧を変圧して出力するオフ側2次巻線,オフ側3次巻線を有する第2パルストランスと、前記オフ側2次巻線の出力を整流する第3ダイオード回路と、前記オフ側3次巻線の出力を整流する第4ダイオード回路と、を具備するオフ側整流回路と、
を備え、前記第1~第4ダイオード回路の出力に応じて駆動対象の半導体素子を制御するゲート駆動回路であって、
前記変調回路は、
前記ゲート指令のオン指令幅およびオフ指令幅に応じて、前記第1変調信号および前記第2変調信号の周波数を可変とすることを特徴とするゲート駆動回路。
【請求項2】
前記変調回路は、
前記ゲート指令をクロック信号に同期させる同期回路と、
前記同期回路の出力の立ち上がりエッジを検出する立ち上がりエッジ検出部と、
前記同期回路の出力の立ち下がりエッジを検出する立ち下がりエッジ検出部と、
前記立ち上がりエッジを検出するとカウントを開始し、前記立ち下がりエッジを検出するとカウントを停止し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を加算するオンパルス幅測定部と、
前記立ち下がりエッジを検出するとカウントを開始し、前記立ち上がりエッジを検出するとカウントを停止し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を加算するオフパルス幅測定部と、
前記オンパルス幅測定部の出力を1/2にするオン側1ビットシフト回路と、
前記オフパルス幅測定部の出力を1/2にするオフ側1ビットシフト回路と、
前記オン側1ビットシフト回路の出力を前記立ち下がりエッジのタイミングでラッチするオン側ラッチ回路と、
前記オフ側1ビットシフト回路の出力を前記立ち上がりエッジのタイミングでラッチするオフ側ラッチ回路と、
前記オン側ラッチ回路の出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算する第1ダウンカウンタと、
前記オン側ラッチ回路の出力と前記第1ダウンカウンタの出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算する第2ダウンカウンタと、
前記オフ側ラッチ回路の出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算する第3ダウンカウンタと、
前記オフ側ラッチ回路の出力と前記第3ダウンカウンタの出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算する第4ダウンカウンタと、
前記第1,第2ダウンカウンタのカウンタがゼロになるまで前記第1変調信号を出力し、前記第3,第4ダウンカウンタのカウンタがゼロになるまで前記第2変調信号を出力する変調信号生成回路と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のゲート駆動回路。
【請求項3】
前記変調回路は、
コンデンサと、
前記コンデンサの両端間に直列接続されたオン側第1,第2半導体素子と、前記コンデンサの両端間に直列接続されたオン側第3,第4半導体素子と、を有するオン信号生成用フルブリッジ回路と、
前記コンデンサの両端間に直列接続されたオフ側第1,第2半導体素子と、前記コンデンサの両端間に直列接続されたオフ側第3,第4半導体素子と、を有するオフ信号生成用フルブリッジ回路と、
を備え、前記オン側第1,第2半導体素子の接続点と前記オン側第3,第4半導体素子の接続点との間に前記第1パルストランスの前記オン側1次巻線が接続され、前記オフ側第1,第2半導体素子の接続点と前記オフ側第3,第4半導体素子の接続点との間に前記第2パルストランスの前記オフ側1次巻線が接続されたことを特徴とする請求項1記載のゲート駆動回路。
【請求項4】
前記変調回路は、
前記ゲート指令をクロック信号に同期させる同期回路と、
前記同期回路の出力の立ち上がりエッジを検出する立ち上がりエッジ検出部と、
前記同期回路の出力の立ち下がりエッジを検出する立ち下がりエッジ検出部と、
前記立ち上がりエッジを検出するとカウントを開始し、前記立ち下がりエッジを検出するとカウントを停止し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を加算するオンパルス幅測定部と、
前記立ち下がりエッジを検出するとカウントを開始し、前記立ち上がりエッジを検出するとカウントを停止し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を加算するオフパルス幅測定部と、
前記オンパルス幅測定部の出力を1/2にするオン側1ビットシフト回路と、
前記オフパルス幅測定部の出力を1/2にするオフ側1ビットシフト回路と、
前記オン側1ビットシフト回路の出力を前記立ち下がりエッジのタイミングでラッチするオン側ラッチ回路と、
前記オフ側1ビットシフト回路の出力を前記立ち上がりエッジのタイミングでラッチするオフ側ラッチ回路と、
前記オン側ラッチ回路の出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算し、カウント値が0になるまで前記オン側第1,第4半導体素子のゲート指令を出力する第1ダウンカウンタと、
前記オン側ラッチ回路の出力と前記第1ダウンカウンタの出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算し、カウント値が0になるまで前記オン側第2,第3半導体素子のゲート指令を出力する第2ダウンカウンタと、
前記オフ側ラッチ回路の出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算し、カウント値が0になるまで前記オフ側第1,第4半導体素子のゲート指令を出力する第3ダウンカウンタと、
前記オフ側ラッチ回路の出力と前記第3ダウンカウンタの出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算し、カウント値が0になるまで前記オフ側第2,第3半導体素子のゲート指令を出力する第4ダウンカウンタと、
を備えたことを特徴とする請求項3記載のゲート駆動回路。
【請求項5】
前記オンパルス幅測定部および前記オフパルス幅測定部はn(n:1以上の整数)段構成であり、
1段目に、
D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に第1オン側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力を入力し、Q端子の出力が1bit信号となる前記第1オン側Dフリップフロップ回路、を有し、
2段目に、
前記第1オン側Dフリップフロップ回路のQ端子の出力と第2オン側Dフリップフロップ回路のQ端子の出力を入力する第2オン側XOR回路と、
D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に前記第2オン側XOR回路の出力を入力し、Q端子の出力が2bit信号となる前記第2オン側Dフリップフロップ回路と、を有し、
3段目に、
前記第1オン側Dフリップフロップ回路のQ端子の出力と前記第2オン側Dフリップフロップ回路のQ端子の出力を入力する第3オン側AND回路と、
前記第3オン側AND回路の出力と第3オン側Dフリップフロップ回路のQ端子の出力を入力する第3オン側XOR回路と、
D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に前記第3オン側XOR回路の出力を入力し、Q端子の出力が3bit信号となる前記第3オン側Dフリップフロップ回路と、を有し、
4段目~n段目に、
k(k:4~nの整数)-1bit信号と(k-2)bit・(k-3)bit…2bit・1bit信号を入力する第kオン側AND回路と、
前記第kオン側AND回路の出力と第kオン側Dフリップフロップ回路のQ端子の出力を入力する第kオン側XOR回路と、
D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に前記第kオン側XOR回路の出力を入力し、Q端子の出力がkbit信号となる前記第kオン側Dフリップフロップ回路と、
を有することを特徴とする請求項2または4記載のゲート駆動回路。
【請求項6】
前記第1~第4ダウンカウンタはn(n:1以上の整数)段構成であり、
1段目に、
D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に第1オフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力を入力し、Q端子の出力が1bit信号となる前記第1オフ側Dフリップフロップ回路、を有し、
2段目に、
前記第1オフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力と第2オフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力を入力する第2オフ側XOR回路と、
D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に前記第2オフ側XOR回路の出力を入力し、Q端子の出力が2bit信号となる前記第2オフ側Dフリップフロップ回路と、を有し、
3段目に、
前記第1オフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力と前記第2オフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力を入力する第3オフ側AND回路と、
前記第3オフ側AND回路の出力と第3オフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力を入力する第3オフ側XOR回路と、
D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に前記第3オフ側XOR回路の出力を入力し、Q端子の出力が3bit信号となる前記第3オフ側Dフリップフロップ回路と、を有し、
4段目~n段目に、
/k(k:4~nの整数)-1bit信号と/(k-2)bit・/(k-3)bit…/2bit・/1bit信号を入力する第kオフ側AND回路と、
前記第kオフ側AND回路の出力と第kオフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力を入力する第kオフ側XOR回路と、
D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に前記第kオフ側XOR回路の出力を入力し、Q端子の出力がkbit信号となる前記第kオフ側Dフリップフロップ回路と、
を有することを特徴とする請求項2または4記載のゲート駆動回路。
【請求項7】
請求項1記載の駆動対象の半導体素子を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
ゲート指令のオン指令とオフ指令に基づいて、第1変調信号と第2変調信号を出力する変調回路と、
前記第1変調信号が印加されるオン側1次巻線および前記オン側1次巻線に印加された電圧を変圧して出力するオン側2次巻線,オン側3次巻線を有する第1パルストランスと、前記オン側2次巻線の出力を整流する第1ダイオード回路と、前記オン側3次巻線の出力を整流する第2ダイオード回路と、を具備するオン側整流回路と、
前記第2変調信号が印加されるオフ側1次巻線および前記オフ側1次巻線に印加された電圧を変圧して出力するオフ側2次巻線,オフ側3次巻線を有する第2パルストランスと、前記オフ側2次巻線の出力を整流する第3ダイオード回路と、前記オフ側3次巻線の出力を整流する第4ダイオード回路と、を具備するオフ側整流回路と、
を備え、前記第1~第4ダイオード回路の出力に応じて駆動対象の半導体素子を制御するゲート駆動回路の制御方法であって、
前記変調回路は、前記ゲート指令のオン指令幅およびオフ指令幅に応じて、前記第1変調信号および前記第2変調信号の周波数を可変とすることを特徴とするゲート駆動回路の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子のゲート駆動回路,電力変換装置およびゲート駆動回路の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図10図11に特許文献1における回路構成及び動作例を示す。図10図11は半導体素子のゲート駆動回路に関する発明を示しており、DC/AC変換回路、変調回路によりパルストランスを駆動しゲート信号とゲート駆動用の電力の両方を伝送することで光ファイバなどの通信ケーブルを省略し、低コスト化を実現している。
【0003】
図10図11の制御例ではゲート信号が入力されている期間のみ、変調回路の出力電圧を大きくすることでゲート信号の出力状態を判別し、信号の判別を行っているものと推察される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-271041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図10の構成の場合、パルストランスの磁気飽和を防ぐために、ゲート入力信号はパルストランスの駆動周期の整数倍としなければならず、出力できるゲート入力信号のパルス幅の時間分解能が低くなってしまうという問題がある。図11の波形が、ゲート入力信号のオン期間をパルストランスの駆動周期の10倍とした例である。なお、このパルストランスの駆動周期は、常時固定値である。
【0006】
パルストランスの駆動周波数を増加させることでゲート入力信号のパルス幅の時間分解能を向上できるが、パルストランスを駆動するDC/AC変換回路のスイッチング周波数を高くしなければならないためスイッチング損失が増大してしまい現実的ではない。
【0007】
以上示したようなことから、パルストランスの磁気飽和を防ぎつつ、パルストランスの駆動周波数を抑制し、ゲート指令のパルス幅の時間分解能を向上させたゲート駆動回路を提供することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記従来の問題に鑑み、案出されたもので、その一態様は、ゲート指令のオン指令とオフ指令に基づいて、第1変調信号と第2変調信号を出力する変調回路と、前記第1変調信号が印加されるオン側1次巻線および前記オン側1次巻線に印加された電圧を変圧して出力するオン側2次巻線,オン側3次巻線を有する第1パルストランスと、前記オン側2次巻線の出力を整流する第1ダイオード回路と、前記オン側3次巻線の出力を整流する第2ダイオード回路と、を具備するオン側整流回路と、前記第2変調信号が印加されるオフ側1次巻線および前記オフ側1次巻線に印加された電圧を変圧して出力するオフ側2次巻線,オフ側3次巻線を有する第2パルストランスと、前記オフ側2次巻線の出力を整流する第3ダイオード回路と、前記オフ側3次巻線の出力を整流する第4ダイオード回路と、を具備するオフ側整流回路と、を備え、前記第1~第4ダイオード回路の出力に応じて駆動対象の半導体素子を制御するゲート駆動回路であって、前記変調回路は、前記ゲート指令のオン指令幅およびオフ指令幅に応じて、前記第1変調信号および前記第2変調信号の周波数を可変とすることを特徴とする。
【0009】
また、その一態様として、前記変調回路は、前記ゲート指令をクロック信号に同期させる同期回路と、前記同期回路の出力の立ち上がりエッジを検出する立ち上がりエッジ検出部と、前記同期回路の出力の立ち下がりエッジを検出する立ち下がりエッジ検出部と、前記立ち上がりエッジを検出するとカウントを開始し、前記立ち下がりエッジを検出するとカウントを停止し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を加算するオンパルス幅測定部と、前記立ち下がりエッジを検出するとカウントを開始し、前記立ち上がりエッジを検出するとカウントを停止し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を加算するオフパルス幅測定部と、前記オンパルス幅測定部の出力を1/2にするオン側1ビットシフト回路と、前記オフパルス幅測定部の出力を1/2にするオフ側1ビットシフト回路と、前記オン側1ビットシフト回路の出力を前記立ち下がりエッジのタイミングでラッチするオン側ラッチ回路と、前記オフ側1ビットシフト回路の出力を前記立ち上がりエッジのタイミングでラッチするオフ側ラッチ回路と、前記オン側ラッチ回路の出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算する第1ダウンカウンタと、前記オン側ラッチ回路の出力と前記第1ダウンカウンタの出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算する第2ダウンカウンタと、前記オフ側ラッチ回路の出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算する第3ダウンカウンタと、前記オフ側ラッチ回路の出力と前記第3ダウンカウンタの出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算する第4ダウンカウンタと、前記第1,第2ダウンカウンタのカウンタがゼロになるまで前記第1変調信号を出力し、前記第3,第4ダウンカウンタのカウンタがゼロになるまで前記第2変調信号を出力する変調信号生成回路と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、他の態様として、前記変調回路は、コンデンサと、前記コンデンサの両端間に直列接続されたオン側第1,第2半導体素子と、前記コンデンサの両端間に直列接続されたオン側第3,第4半導体素子と、を有するオン信号生成用フルブリッジ回路と、前記コンデンサの両端間に直列接続されたオフ側第1,第2半導体素子と、前記コンデンサの両端間に直列接続されたオフ側第3,第4半導体素子と、を有するオフ信号生成用フルブリッジ回路と、を備え、前記オン側第1,第2半導体素子の接続点と前記オン側第3,第4半導体素子の接続点との間に前記第1パルストランスの前記オン側1次巻線が接続され、前記オフ側第1,第2半導体素子の接続点と前記オフ側第3,第4半導体素子の接続点との間に前記第2パルストランスの前記オフ側1次巻線が接続されたことを特徴とする。
【0011】
また、その一態様として、前記変調回路は、前記ゲート指令をクロック信号に同期させる同期回路と、前記同期回路の出力の立ち上がりエッジを検出する立ち上がりエッジ検出部と、前記同期回路の出力の立ち下がりエッジを検出する立ち下がりエッジ検出部と、前記立ち上がりエッジを検出するとカウントを開始し、前記立ち下がりエッジを検出するとカウントを停止し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を加算するオンパルス幅測定部と、前記立ち下がりエッジを検出するとカウントを開始し、前記立ち上がりエッジを検出するとカウントを停止し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を加算するオフパルス幅測定部と、前記オンパルス幅測定部の出力を1/2にするオン側1ビットシフト回路と、前記オフパルス幅測定部の出力を1/2にするオフ側1ビットシフト回路と、前記オン側1ビットシフト回路の出力を前記立ち下がりエッジのタイミングでラッチするオン側ラッチ回路と、前記オフ側1ビットシフト回路の出力を前記立ち上がりエッジのタイミングでラッチするオフ側ラッチ回路と、前記オン側ラッチ回路の出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算し、カウント値が0になるまで前記オン側第1,第4半導体素子のゲート指令を出力する第1ダウンカウンタと、前記オン側ラッチ回路の出力と前記第1ダウンカウンタの出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算し、カウント値が0になるまで前記オン側第2,第3半導体素子のゲート指令を出力する第2ダウンカウンタと、前記オフ側ラッチ回路の出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算し、カウント値が0になるまで前記オフ側第1,第4半導体素子のゲート指令を出力する第3ダウンカウンタと、前記オフ側ラッチ回路の出力と前記第3ダウンカウンタの出力と前記クロック信号を入力し、前記クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算し、カウント値が0になるまで前記オフ側第2,第3半導体素子のゲート指令を出力する第4ダウンカウンタと、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、その一態様として、前記オンパルス幅測定部および前記オフパルス幅測定部はn(n:1以上の整数)段構成であり、1段目に、D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に第1オン側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力を入力し、Q端子の出力が1bit信号となる前記第1オン側Dフリップフロップ回路、を有し、2段目に、前記第1オン側Dフリップフロップ回路のQ端子の出力と第2オン側Dフリップフロップ回路のQ端子の出力を入力する第2オン側XOR回路と、D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に前記第2オン側XOR回路の出力を入力し、Q端子の出力が2bit信号となる前記第2オン側Dフリップフロップ回路と、を有し、3段目に、前記第1オン側Dフリップフロップ回路のQ端子の出力と前記第2オン側Dフリップフロップ回路のQ端子の出力を入力する第3オン側AND回路と、前記第3オン側AND回路の出力と第3オン側Dフリップフロップ回路のQ端子の出力を入力する第3オン側XOR回路と、D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に前記第3オン側XOR回路の出力を入力し、Q端子の出力が3bit信号となる前記第3オン側Dフリップフロップ回路と、を有し、4段目~n段目に、k(k:4~nの整数)-1bit信号と(k-2)bit・(k-3)bit…2bit・1bit信号を入力する第kオン側AND回路と、前記第kオン側AND回路の出力と第kオン側Dフリップフロップ回路のQ端子の出力を入力する第kオン側XOR回路と、D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に前記第kオン側XOR回路の出力を入力し、Q端子の出力がkbit信号となる前記第kオン側Dフリップフロップ回路と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、その一態様として、前記第1~第4ダウンカウンタはn(n:1以上の整数)段構成であり、1段目に、D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に第1オフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力を入力し、Q端子の出力が1bit信号となる前記第1オフ側Dフリップフロップ回路、を有し、2段目に、前記第1オフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力と第2オフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力を入力する第2オフ側XOR回路と、D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に前記第2オフ側XOR回路の出力を入力し、Q端子の出力が2bit信号となる前記第2オフ側Dフリップフロップ回路と、を有し、3段目に、前記第1オフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力と前記第2オフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力を入力する第3オフ側AND回路と、前記第3オフ側AND回路の出力と第3オフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力を入力する第3オフ側XOR回路と、D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に前記第3オフ側XOR回路の出力を入力し、Q端子の出力が3bit信号となる前記第3オフ側Dフリップフロップ回路と、を有し、4段目~n段目に、/k(k:4~nの整数)-1bit信号と/(k-2)bit・/(k-3)bit…/2bit・/1bit信号を入力する第kオフ側AND回路と、前記第kオフ側AND回路の出力と第kオフ側Dフリップフロップ回路の/Q端子の出力を入力する第kオフ側XOR回路と、D-FF端子に前記クロック信号を入力し、D端子に前記第kオフ側XOR回路の出力を入力し、Q端子の出力がkbit信号となる前記第kオフ側Dフリップフロップ回路と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パルストランスの磁気飽和を防ぎつつ、パルストランスの駆動周波数を抑制し、ゲート指令のパルス幅の時間分解能を向上させたゲート駆動回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1におけるゲート駆動回路を示す回路構成図。
図2】ゲート駆動回路の各波形を示すタイムチャート。
図3】実施形態1における変調回路を示すブロック図。
図4】実施形態1における変調回路の各波形を示すタイムチャート。
図5】オンパルス幅測定部、オフパルス幅測定部(n段のアップカウンタ)を示す図。
図6】n段のダウンカウンタを示す図。
図7】実施形態2における変調回路を示す図。
図8】実施形態2における変調回路の制御部を示すブロック図。
図9】実施形態2における変調回路の制御部の各波形を示すタイムチャート。
図10】特許文献1のゲート駆動回路を示す回路構成図。
図11】特許文献1のゲート駆動回路の各波形を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明におけるゲート駆動回路の実施形態1,2を図1図9に基づいて詳述する。
【0017】
[実施形態1]
本実施形態1は、ゲート指令を測定し、そのパルス幅に応じてパルストランスの駆動周波数を変更することで変調回路のスイッチング損失を増大させることなく装置の出力パルス(ゲート指令のパルス幅)の時間分解能を向上させる。
【0018】
本実施形態1におけるゲート駆動回路の回路図を図1、ゲート駆動回路の各波形を示すタイムチャートを図2、変調回路のブロック図を図3、変調回路の各波形のタイムチャートを図4に示す。
【0019】
まず、図1のゲート駆動回路について説明する。図1に示すように、本実施形態1のゲート駆動回路は、変調回路2,3と、オン側整流回路4と、オフ側整流回路5と、復調回路6と、ゲート回路7と、を有し、駆動対象の半導体素子8を制御する。
【0020】
ゲート指令のオン指令が変調回路2に出力される。また、ゲート指令のオフ指令が変調回路3に出力される。図1ではオン指令が入力される変調回路2とオフ指令が入力される変調回路3を示しているが、オン指令、オフ指令が1つの変調回路に入力される構成でもよい。
【0021】
変調回路2に、オン側整流回路4の第1パルストランスTr1のオン側1次巻線が接続される。第1パルストランスTr1はオン側1次巻線とオン側1次巻線に印加された電圧を変圧して出力するオン側2次巻線とオン側3次巻線とを有する。第1パルストランスTr1のオン側2次巻線には第1ダイオード回路db1が接続され、第1パルストランスTr1のオン側3次巻線には第2ダイオード回路db2が接続される。
【0022】
変調回路3に、オフ側整流回路5の第2パルストランスTr2のオフ側1次巻線が接続される。第2パルストランスTr2はオフ側1次巻線とオフ側1次巻線に印加された電圧を変圧して出力するオフ側2次巻線とオフ側3次巻線とを有する。第2パルストランスTr2のオフ側2次巻線には第3ダイオード回路db3が接続され、第2パルストランスTr2のオフ側3次巻線には第4ダイオード回路db4が接続される。第1~第4ダイオード回路db1~db4は例えばフルブリッジ回路とする。
【0023】
次に、復調回路6について説明する。第1ダイオード回路db1の一方の端子には第1ダイオードD1のアノードが接続される。第2ダイオード回路db2の一方の端子には第2ダイオードD2のアノードが接続される。第3ダイオード回路db3の一方の端子には第3ダイオードD3のアノードが接続される。第4ダイオード回路db4の一方の端子には第4ダイオードD4のアノードが接続される。
【0024】
第1,第3ダイオードD1,D3のカソードと第2,第4ダイオード回路db2,db4の他方の端子との間に第1,第2コンデンサC1,C2が直列接続される。第1,第3ダイオード回路db1,db3の他方の端子は第1,第2コンデンサC1,C2の接続点に接続される。また、第2ダイオードD2,第4ダイオードD4のカソードは第1,第2コンデンサC1,C2の接続点に接続される。
【0025】
第1ダイオードD1のアノードには第1抵抗R1の一端が接続される。第1抵抗R1の他端には第2半導体素子Q2の第2端子(ドレイン端子)、第3半導体素子Q3の第1端子(ゲート端子)、第4半導体素子Q4の第1端子(ゲート端子)が接続される。
【0026】
第2ダイオードD2のアノードには第4抵抗R4の一端と第1半導体素子Q1の第1端子(ゲート端子)が接続される。第4抵抗R4の他端には、第2,第4ダイオード回路db2,db4の他方の端子が接続される。
【0027】
第4ダイオードD4のアノードには第2抵抗R2の一端が接続される。第2抵抗R2の他端には第1半導体素子Q1の第2端子(ドレイン端子)と第3抵抗R3の一端が接続される。第1半導体素子Q1の第3端子(ソース端子)は第2,第4ダイオード回路db2,db4の他方の端子に接続される。
【0028】
第3抵抗R3の他端には第5抵抗R5の一端と第2半導体素子Q2の第1端子(ゲート端子)が接続される。第5抵抗R5の他端は第2,第4ダイオード回路db2,db4の他方の端子に接続される。第2半導体素子Q2の第3端子(ソース端子)は第2,第4ダイオード回路db2,db4の他方の端子に接続される。
【0029】
次に、ゲート回路7について説明する。第3半導体素子Q3の第1端子(ゲート端子)は第1抵抗R1の他端と第2半導体素子Q2の第2端子(ドレイン端子)と接続される。第3半導体素子Q3の第2端子(ドレイン端子)は第1ダイオードD1のカソードと接続される。第3半導体素子Q3の第3端子(ソース端子)はオン側抵抗Ronの一端と接続される。
【0030】
第4半導体素子Q4の第1端子(ゲート端子)は第1抵抗R1の他端と第2半導体素子Q2の第2端子(ドレイン端子)と接続される。第4半導体素子Q4の第2端子(ドレイン端子)はオフ側抵抗Roffの一端と接続される。第4半導体素子Q4の第3端子(ソース端子)は第2,第4ダイオード回路db2,db4の他方の端子と接続される。
【0031】
オン側抵抗Ronとオフ側抵抗Roffの他端は駆動対象の半導体素子8の第1端子(ゲート端子)に接続される。駆動対象の半導体素子8の第3端子(ソース端子)は第2,第4ダイオードD2,D4のカソードに接続される。
【0032】
ここで、第1パルストランスTr1のオン側1次巻線に印加する第1変調信号(電圧)をvTr1とし、第2パルストランスTr2のオフ側1次巻線に印加する第2変調信号(電圧)をvTr2とする。また、第1コンデンサC1の電圧をVg+とし、第2コンデンサC2の電圧をVg-とする。さらに、駆動対象の半導体素子8のゲート電圧(ゲート-ソース間の電圧)をVgsとする。
【0033】
図1の回路は特許文献1と同様にオン信号、オフ信号に対して第1,第2パルストランスTr1,Tr2を駆動する周波数で変調することにより第1,第2パルストランスTr1,Tr2をドライブし、電力を伝送すると同時に、復調回路6に信号を入力することによりゲート回路7にオンオフ指令を伝達する。この時、ゲート指令として入力されるパルス幅をカウンタにより計測し、その幅を一周期とした周波数で第1,第2パルストランスTr1,Tr2を駆動することによりゲート指令のパルス幅に適した周波数で第1,第2パルストランスTr1,Tr2を変調できるため高分解能化を実現できる。
【0034】
図1の回路はゲートオン指令生成用の第1パルストランスTr1とゲートオフ指令生成用の第2パルストランスTr2を具備している点に特徴がある。オン指令を送信したい場合には第1パルストランスTr1に電圧を印加し、オフ指令を送信したい場合には第2パルストランスTr2に電圧を印加すればよい。
【0035】
第1,第2パルストランスTr1,Tr2に3次巻線を設けることでゲート電圧Vgsに負バイアスを印加することができる。Vg+は2次巻線による電圧を整流した電圧,Vg-は3次巻線による電圧を整流した電圧となる。電圧Vg+,Vg-の大きさは第1,第2パルストランスTr1,Tr2の巻数比と第1,第2パルストランスTr1,Tr2に印加する電圧(第1,第2変調信号)vTr1,vTr2により調節できる。
【0036】
プッシュプル回路を構成する第3,第4半導体素子Q3,Q4の出力はオン側とオフ側でゲート抵抗値を分けることを想定し、抵抗を介して結線することでダイオードを省略する構成としている。プッシュプル回路の出力は抵抗を介さずに結線してもよい。
【0037】
まず、オン時の動作について概説する。動作タイムチャートを図2に示す。図2のタイムチャートでは説明を簡略化するために第1~第4半導体素子Q1,Q2,Q3,Q4のゲート電圧閾値は無視するものとする。図2に示すようにゲート指令がhighになると第1パルストランスTr1に第1変調信号vTr1の電圧が印加され、第1,第2ダイオード回路db1,db2を介して第1,第2コンデンサC1,C2が充電される。
【0038】
この時、第1半導体素子Q1のゲート-ソース間に電圧が印加され第1半導体素子Q1が導通し、第2半導体素子Q2がオフ状態となる。第2半導体素子Q2がオフ状態となるので第3,第4半導体素子Q3,Q4のゲート電圧が第1抵抗R1を介して充電される。すると、第3,第4半導体素子Q3,Q4のゲート電圧は第1コンデンサC1と同電位となり、第3半導体素子Q3が導通し、ゲート電圧Vgsが第1コンデンサC1の充電電圧vg+まで上昇する。
【0039】
次に、オフ時の動作について概説する。図2に示すようにゲート指令がlowになると第2パルストランスTr2に第2変調信号vTr2の電圧が印加され、第3,第4ダイオード回路db3,db4を介して第1,第2コンデンサC1,C2が充電される。
【0040】
この時、第2半導体素子Q2のゲート-ソース間は第2抵抗R2を介して充電されるため第2半導体素子Q2が導通する。すると、第3,第4半導体素子Q3,Q4のゲート電圧が第2コンデンサC2と同電位となるため、第4半導体素子Q4が導通しゲート電圧Vgsが第2コンデンサC2の充電電圧-vg-まで低下する。以上の動作を1周期とすることで駆動対象の半導体素子8のオンオフ動作を制御することができる。
【0041】
次に、本実施形態1における第1,第2変調信号vTr1,vTr2の生成方法について述べる。第1,第2変調信号vTr1,vTr2の生成は図3に示した変調回路2,3の構成例を用いることで実現できる。
【0042】
同期回路9は、ゲート指令(発信器出力)とクロック信号を入力し、ゲート指令(発振器出力)をクロック信号に同期させる。立ち上りエッジ検出回路10は、同期回路9の立ち上りエッジを検出する。立ち下りエッジ検出回路11は、同期回路9の立ち下りエッジを検出する。
【0043】
オンパルス幅測定部(アップカウンタ)12は、同期回路9の立ち上りエッジを検出するとカウントを開始し、立ち下りエッジを検出するとカウントを停止し、クロック信号が入力されるたびにカウント値を加算する。オフパルス幅測定部(アップカウンタ)13は同期回路9の立ち下がりエッジを検出するとカウントを開始し、立ち上りエッジを検出するとカウントを停止し、クロック信号が入力されるたびにカウント値を加算する。
【0044】
この時、立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジは同期回路9の働きにより、クロック信号と同期しているものとする。これによりオンパルス幅及びオフパルス幅を測定することが可能である。
【0045】
オン側1ビットシフト回路14によりオンパルス幅測定部12の出力(カウント値)を1/2とする。オフ側1ビットシフト回路15によりオフパルス幅測定部13の出力(カウント値)を1/2とする。
【0046】
オン側ラッチ回路16は、立ち下りエッジを検出したタイミングでオン側1ビットシフト回路14の出力をラッチする。オフ側ラッチ回路17は、立ち上りエッジを検出したタイミングでオフ側1ビットシフト回路15の出力をラッチする。
【0047】
変換信号生成用カウンタ(第1ダウンカウンタ)18は、オン側ラッチ回路16の出力とクロック信号を入力し、クロック信号を入力されるたびにカウント値を減算する。変調信号生成用カウンタ(第2ダウンカウンタ)19は、オン側ラッチ回路16の出力と第1ダウンカウンタ18の出力とクロック信号を入力し、クロック信号を入力するたびにカウント値を減算する。変調信号生成用カウンタ(第3ダウンカウンタ)20は、オフ側ラッチ回路17の出力とクロック信号を入力し、クロック信号が入力されるたびにカウント値を減算する。変調信号生成用カウンタ(第4ダウンカウンタ)21は、オフ側ラッチ回路17の出力と第3ダウンカウンタ20の出力とクロック信号を入力し、クロック信号を入力するたびにカウント値を減算する。
【0048】
変調信号生成回路22は、第1~第4ダウンカウンタ18~21の出力を入力し、カウント値が0になるまで変調信号を出力するように回路(AC/DC変換回路)を組むことで、指令であるパルス幅を1周期とするduty50%の第1,第2変調信号vTr1,vTr2を生成できる。
【0049】
したがって、第1,第2変調信号vTr1,vTr2の周波数を駆動対象の半導体素子8のスイッチング周波数の2倍に抑えることが可能となり、第1,第2パルストランスTr1,Tr2の駆動周波数を高くすることなくゲート指令のパルス幅の時間分解能を向上することができる。
【0050】
次に、オンパルス幅測定部12,オフパルス幅測定部13(アップカウンタ)について説明する。図5は例としてn(n:1以上の整数)段構成のアップカウンタを示す。
【0051】
1段目において、第1オン側Dフリップフロップ回路23aは、D-FF端子にクロック信号CLKを入力する。D端子に第1オン側Dフリップフロップ回路23aの/Q端子の出力を入力する。第1オン側Dフリップフロップ回路23aのQ端子の出力が1bit信号として出力される。
【0052】
2段目において、第2オン側XOR回路24bは、第1オン側Dフリップフロップ回路23aのQ端子の出力と第2オン側Dフリップフロップ回路23bのQ端子の出力を入力する。
【0053】
第2オン側Dフリップフロップ回路23bのD-FF端子にクロック信号CLKを入力し、D端子に第2オン側XOR回路24bの出力を入力する。第2オン側Dフリップフロップ回路23bのQ端子の出力が2bit信号として出力される。
【0054】
3段目において、第3オン側AND回路25cは、1bit信号と2bit信号とを入力する。
【0055】
第3オン側XOR回路24cは、第3オン側AND回路25cの出力と第3オン側Dフリップフロップ回路23cのQ端子の出力を入力する。
【0056】
第3オン側Dフリップフロップ回路23cは、D-FF端子にクロック信号CLKを入力し、D端子に第3オン側XOR回路24cの出力を入力する。第3オン側Dフリップフロップ回路23cのQ端子の出力が3bit信号として出力される。
【0057】
このように、アップカウンタはn段で構成される。k段目(k:4~nの整数)では、第kAND回路25kはk-1bit信号と(k-2)bit・(k-3)bit…2bit・1bit信号が入力される。
【0058】
第kXOR回路24kは第kAND回路25kの出力信号と第kDフリップフロップ回路23kのQ端子の出力を入力する。
【0059】
第kDフリップフロップ回路23kは、D-FF端子にクロック信号CLKを入力し、D端子に第kXOR回路24kの出力信号を入力する。第kDフリップフロップ回路18kのQ端子の出力がkbit信号となる。
【0060】
次に、第1~第4ダウンカウンタ18~21について説明する。図6にn段構成のダウンカウンタを示す。
【0061】
1段目において、第1オフ側Dフリップフロップ回路26aは、D-FF端子にクロック信号CLKを入力し、D端子に第1オフ側Dフリップフロップ回路26aの/Q端子の出力を入力する。第1オフ側Dフリップフロップ回路26aのQ端子の出力が1bit信号として出力される。
【0062】
2段目において、第2オフ側XOR回路27bは、第1オフ側Dフリップフロップ回路26aの/Q端子の出力と第2オフ側Dフリップフロップ回路26bの/Q端子の出力を入力する。
【0063】
第2オフ側Dフリップフロップ回路26bはD-FF端子にクロック信号CLKを入力し、D端子に第2オフ側XOR回路27bの出力を入力する。第2オフ側Dフリップフロップ回路26bのQ端子の出力が2bit信号として出力される。
【0064】
3段目において、第3オフ側AND回路28cは、第1オフ側Dフリップフロップ回路26aの/Q端子の出力と、第2オフ側Dフリップフロップ回路26bの/Q端子の出力を入力する。
【0065】
第3オフ側XOR回路27cは、第3オフ側AND回路28cの出力と第3オフ側Dフリップフロップ回路26cの/Q端子の出力を入力する。
【0066】
第3オフ側Dフリップフロップ回路26cは、D-FF端子にクロック信号CLKを入力し、D端子に第3オフ側XOR回路27cの出力を入力する。第3オフ側Dフリップフロップ回路26cのQ端子の出力が3bit信号として出力される。
【0067】
このように、ダウンカウンタはn段で構成される。k段目(k:4~nの整数)では、第kAND回路28kは/k-1bit信号と/(k-2)bit・/(k-3)bit…/2bit・/1bit信号が入力される。
【0068】
第kXOR回路27kは第kAND回路28kの出力信号と第kDフリップフロップ回路26kの/Q端子の出力を入力する。
【0069】
第kDフリップフロップ回路26kは、D-FF端子にクロック信号CLKを入力し、D端子に第kXOR回路27kの出力信号を入力する。第kDフリップフロップ回路26kのQ端子の出力がkbit信号となる。
【0070】
図5図6のアップカウンタ,ダウンカウンタはクロック信号が入力されるとカウント値が変更される構成であり、図5はカウントするたびにbitが加算されていき、図6はカウントするたびにカウント値が減算されていく。
【0071】
2進数の出力(1bit~nbit)を読み取りクロック周期と掛け合わせることでパルス幅を判断することができる。カウンタの段数は計測したいパルス幅に応じて増設することで対応することが可能である。
【0072】
以上のような回路構成及び制御方法を用いることでゲート指令に対して高い分解能でゲート電圧を出力できるようになる。
【0073】
以上示したように、本実施形態1によれば、ゲート信号に応じて第1,第2変調信号vTr1,vTr2の周波数を可変にできる。これにより、第1,第2パルストランスTr1,Tr2の磁気飽和を抑制しつつ、第1,第2パルストランスTr1,Tr2を駆動する変調信号生成回路(DC/AC変換回路)のスイッチング損失を必要最小限に抑制できる。さらに、ゲート指令のパルス幅の時間分解能を低減させないため、指令パルスをより精度良く再現・出力できる。
【0074】
[実施形態2]
本実施形態2では実施形態1の変調回路として図7の構成を適用した場合について説明する。オン信号を伝送する第1パルストランスTr1を駆動するオン信号生成用フルブリッジ回路29と、オフ信号を伝送する第2パルストランスTr2を駆動するオフ信号生成用フルブリッジ回路30を具備している点に特徴がある。
【0075】
コンデンサCにオン信号生成用フルブリッジ回路29とオフ信号生成用フルブリッジ回路30が並列接続される。コンデンサCの両端間にオン側第1,第2半導体素子S1on,S2onが直列接続される。また、コンデンサCの両端間にオン側第3,第4半導体素子S3on,S4onが直列接続される。オン側第1~第4半導体素子S1on~S4onがオン信号生成用フルブリッジ回路29となる。
【0076】
オン側第1,第2半導体素子S1on,S2onの接続点とオン側第3,第4半導体素子S3on,S4onの接続点との間にコンデンサCh1と第1パルストランスTr1のオン側1次巻線が接続される。
【0077】
コンデンサCの両端間にオフ側第1,第2半導体素子S1off,S2offが直列接続される。また、コンデンサCの両端間にオフ側第3,第4半導体素子S3off,S4offが直列接続される。オフ側第1~第4半導体素子S1off~S4offがオフ信号生成用フルブリッジ回路30となる。
【0078】
オフ側第1,第2半導体素子S1off,S2offの接続点とオフ側第3,第4半導体素子S3off,S4offの接続点との間にコンデンサCh2と第2パルストランスTr2のオフ側1次巻線が接続される。
【0079】
コンデンサCh1,Ch2は直流成分をカットし、第1,第2パルストランスTr1,Tr2の磁気飽和を防ぐために接続しているが省略してもよい。
【0080】
第1,第2変調信号vTr1,vTr2の生成は図8に示した制御部を用いてオン信号生成用フルブリッジ回路29、オフ信号生成用フルブリッジ回路30を制御することで実現できる。動作タイムチャートを図9に示す。基本的な動作は実施形態1と同様である。
【0081】
図8に示したオンパルス幅測定部(アップカウンタ)12は、同期回路9の立ち上りエッジを検出するとカウントを開始し、立ち下りエッジを検出するとカウントを停止し、クロック信号が入力されるたびにカウント値を加算する。オフパルス幅測定部(アップカウンタ)13は同期回路9の立ち下がりエッジを検出するとカウントを開始し、立ち上りエッジを検出するとカウントを停止し、クロック信号が入力されるたびにカウント値を加算する。この時、立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジは同期回路9の働きにより、クロックと同期しているものとする。
【0082】
これによりオンパルス幅及びオフパルス幅を測定することが可能である。そしてオン側,オフ側1ビットシフト回路14,15によりカウント値を1/2とする。
【0083】
オン側ラッチ回路16は、立ち下りエッジを検出したタイミングでオン側1ビットシフト回路14の出力をラッチする。オフ側ラッチ回路17は、立ち上りエッジを検出したタイミングでオフ側1ビットシフト回路15の出力をラッチする。
【0084】
オン側,オフ側ラッチ回路16,17の出力を後段のゲート生成用カウンタ(第1~第4ダウンカウンタ)18~21に入力し、カウント値が0になるまでゲート指令を出力するように回路を組むことで、指令であるパルス幅を1周期とするduty50%の変調信号を生成できる。
【0085】
具体的な動作として、オン信号を生成する場合には第1ダウンカウンタ18がカウントをしている期間(カウント値が0になるまで)はオン側第1,第4半導体素子S1on,S4onのゲート指令をhighとし、オン側第2,第3半導体素子S2on,S3onのゲート指令をlowとする。
【0086】
第2ダウンカウンタ19がカウントをしている期間(カウント値が0になるまで)はオン側第2,第3半導体素子S2on,S3onのゲート指令をhighとしオン側第1,第4半導体素子S1on,S4onのゲート指令をlowとする。
【0087】
オフ信号を生成する場合には第3ダウンカウンタ20がカウントをしている期間(カウント値が0になるまで)はオフ側第1,第4半導体素子S1off,S4offのゲート指令をhighとし、オフ側第2,第3半導体素子S2off,S3offのゲート指令をlowとする。
【0088】
第4ダウンカウンタ21がカウントをしている期間(カウント値が0になるまで)はオフ側第2,第3半導体素子S2off,S3offのゲート指令をhighとしオフ側第1,第4半導体素子S1off,S4offのゲート指令をlowとする。
【0089】
これにより、第1,第2変調信号vTr1,vTr2の周波数を駆動対象のスイッチング周波数の2倍に抑えることが可能となり、第1,第2パルストランスTr1,Tr2の駆動周波数を高くすることなくゲート指令のパルス幅の時間分解能を向上できるためフルブリッジ回路の損失を低減しつつ分解能を向上することができる。
【0090】
以上示したように、本実施形態2によれば、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0091】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0092】
例えば、実施形態1,2の駆動対象の半導体素子8は電力変換装置(コンバータやインバータ等)に用いられる。
【符号の説明】
【0093】
2,3…変調回路
4…オン側整流回路
5…オフ側整流回路
6…復調回路
7…ゲート回路
8…駆動対象の半導体素子
db1~db4…第1~第4ダイオード回路
9…同期回路
10…立ち上がりエッジ検出回路
11…立ち下がりエッジ検出回路
12…オンパルス幅測定部(アップカウンタ)
13…オフパルス幅測定部(アップカウンタ)
14…オン側1ビットシフト回路
15…オフ側1ビットシフト回路
16…オン側ラッチ回路
17…オフ側ラッチ回路
18~21…変調信号生成用カウンタ(第1~第4ダウンカウンタ)
22…変調信号生成回路
23,26…Dフリップフロップ回路
24,27…XOR回路
25,28…AND回路
29…オン信号生成用フルブリッジ回路
30…オフ信号生成用フルブリッジ回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11