(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】正極及びリチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/505 20100101AFI20241126BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20241126BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20241126BHJP
【FI】
H01M4/505
H01M4/36 E
H01M4/525
(21)【出願番号】P 2021185854
(22)【出願日】2021-11-15
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】松山 拓矢
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-517480(JP,A)
【文献】特開2012-204281(JP,A)
【文献】特開2015-176644(JP,A)
【文献】特開2006-222072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/505
H01M 4/525
H01M 4/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極であって、第1活物質と第2活物質とを含み、
前記第1活物質が、構成元素として少なくともLiとMnとOとを含み、且つ、O2型構造を有し、
前記第2活物質が、構成元素として少なくともLiと遷移金属元素とOとを含み、Mnを含まず、且つ、O2型構造を有する、
正極。
【請求項2】
前記第1活物質が、構成元素として少なくともLiと、Mnと、Ni及びCoのうちの少なくとも一方と、Oとを含む、
請求項1に記載の正極。
【請求項3】
前記第2活物質が、構成元素として少なくともLiとCoとOとを含む、
請求項1又は2に記載の正極。
【請求項4】
前記第1活物質と前記第2活物質との合計を100質量%として、前記第1活物質を10質量%以上90質量%以下含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の正極。
【請求項5】
前記第1活物質が、Li
x
Mn
a
Ni
b
Co
c
O
2±δ
(ここで、0<x<1、0<a<1、0≦b<1、0≦c<1であり、a+b+cは0.8以上1.2以下である)で示される化学組成を有し、
前記第2活物質が、Li
x
Ni
d
Co
e
O
2±δ
(ここで、0<x<1、0≦d<1、0<e≦1.2であり、d+eは0.8以上1.2以下である)で示される化学組成を有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の正極。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の正極を備える、
リチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は正極及びリチウムイオン電池を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、構成元素として少なくともLiとCoとNiとMnとOとを含み、且つ、O2型構造を有する正極活物質が開示されている。特許文献2には、O2型構造を有する正極活物質の表面に所定の複合酸化物及び複合フッ化物のうちの少なくとも一方を付着させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-176644号公報
【文献】特開2016-033887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者の新たな知見によると、構成元素として少なくともLiとMnとOとを含み、且つ、O2型構造を有する正極活物質は、3V(vs.Li/Li+)以下のMnのレドックス領域において抵抗が高くなる。このような正極活物質を用いて正極を構成した場合、Mnのレドックス領域において正極全体としての抵抗が上昇し、結果として正極の容量が低下する虞がある。この点、従来の正極には容量に関して向上の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
正極であって、第1活物質と第2活物質とを含み、
前記第1活物質が、構成元素として少なくともLiとMnとOとを含み、且つ、O2型構造を有し、
前記第2活物質が、構成元素として少なくともLiと遷移金属元素とOとを含み、Mnを含まず、且つ、O2型構造を有する、
正極
を開示する。
【0006】
本開示の正極において、前記第1活物質が、構成元素として少なくともLiと、Mnと、Ni及びCoのうちの少なくとも一方と、Oとを含むものであってもよい。
【0007】
本開示の正極において、前記第2活物質が、構成元素として少なくともLiとCoとOとを含むものであってもよい。
【0008】
本開示の正極は、前記第1活物質と前記第2活物質との合計を100質量%として、前記第1活物質を10質量%以上90質量%以下含むものであってもよい。
【0009】
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
上記本開示の正極を備える、リチウムイオン電池
を開示する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の正極においては、O2型構造を有する正極活物質として、Mnを含む第1活物質と、Mnを含まない第2活物質とが併用される。この場合、Mnのレドックス領域となる電位においても第2活物質の抵抗が小さく、正極全体としての抵抗の上昇が抑制される。結果として正極の容量が向上し易い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る正極の構成及び当該正極を備えるリチウムイオン電池の構成を概略的に示している。
【
図2】2種類のO2型正極活物質(第1活物質及び第2活物質)の混合比と、正極の放電容量との関係を示している。
【
図3】O2型正極活物質(第1活物質)とO3型正極活物質(第3活物質)との混合比と、正極の放電容量との関係を示している。
【
図4】SOC40%の場合及びSOC20%の場合の各々について、正極のDCIR抵抗を測定した結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.正極
本開示の正極は、第1活物質と第2活物質とを含む。前記第1活物質は、構成元素として少なくともLiとMnとOとを含み、且つ、O2型構造を有する。前記第2活物質は、構成元素として少なくともLiと遷移金属元素とOとを含み、Mnを含まず、且つ、O2型構造を有する。
図1に示されるように、一実施形態に係る正極10は、正極活物質層11と正極集電体12とを備えるものであってよく、この場合、正極活物質層11が第1活物質及び第2活物質を含み得る。
【0013】
1.1 正極活物質層
正極活物質層11は、正極活物質として少なくとも第1活物質と第2活物質とを含み、さらに任意に、電解質、導電助剤及びバインダー等を含んでいてよい。正極活物質層11における正極活物質、電解質、導電助剤及びバインダー等の各々の含有量は、目的とする電池性能に応じて適宜決定されればよい。例えば、正極活物質層11全体(固形分全体)を100質量%として、正極活物質の含有量が40質量%以上、50質量%以上又は60質量%以上であってもよく、100質量%以下又は90質量%以下であってもよい。正極活物質層11の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、略平面を有するシート状の正極活物質層11であってもよい。正極活物質層11の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、2mm以下又は1mm以下であってもよい。
【0014】
1.1.1 正極活物質
正極活物質層11は、正極活物質として少なくとも第1活物質と第2活物質とを含む。第1活物質は、構成元素として少なくともLiとMnとOとを含み、且つ、O2型構造を有する。第2活物質は、構成元素として少なくともLiと遷移金属元素とOとを含み、Mnを含まず、且つ、O2型構造を有する。このように、本開示の正極においては、O2型構造を有する正極活物質として、Mnを含む第1活物質と、Mnを含まない第2活物質とが併用されることで、Mnのレドックス領域となる3V(vs.Li/Li+)以下の電位においても第2活物質の抵抗が小さく、正極全体としての抵抗の上昇が抑制される。すなわち、第2活物質によって第1活物質の弱点を補完することができ、正極の容量が向上し易い。
【0015】
第1活物質は、構成元素として少なくともMnを含んでおり、Mnのレドックス領域において抵抗が高くなり易い。この点、第1活物質単独では高い正極容量は得られ難い。一方で、第1活物質を含む正極を用いてリチウムイオン電池を構成することで、二次電池としてのサイクル特性等を向上させ易い。
【0016】
第1活物質は、構成元素としてMnとともにMn以外の遷移金属元素を含んでいてもよい。特に、第1活物質が、構成元素として少なくともLiと、Mnと、Ni及びCoのうちの少なくとも一方と、Oとを含む場合、中でも、構成元素としてLi、Mn、Ni、Co及びOを含む場合に、リチウムイオン電池とした場合のサイクル特性等が一層向上し易い。
【0017】
第1活物質は、LixMnaNibCocO2±δで示される化学組成を有するものであってもよい。x、a、b及びcは、O2型構造を維持できる限り、特に限定されるものではない。例えば、xは0<x<1を満たす。xは、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上又は0.6以上であってもよく、0.9以下又は0.8以下であってもよい。また、例えば、a、b、cは、各々、0<a<1、0≦b<1、0≦c<1を満たす。aは、0超、0.1以上、0.2以上、0.3以上又は0.4以上であってもよく、0.9以下、0.8以下、0.7以下又は0.6以下であってもよい。bは、0以上又は0.1以上であってもよく、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下又は0.3以下であってもよい。cは、0以上、0.1以上又は0.2以上であってもよく、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下又は0.4以下であってもよい。a+b+cは、0.8以上又は0.9以上であってもよく、1.2以下又は1.1以下であってもよい。
【0018】
第2活物質は、構成元素としてMnを含んでおらず、Mnのレドックス電位においても拡散抵抗が小さい。一方で、第2活物質は、結晶構造中にNaが残存し易い等、第1活物質とは異なる課題がある。この点、第2活物質単独では、リチウムイオン電池とした場合のサイクル特性等を向上させ難く、また、高い正極容量も得られ難い。
【0019】
第2活物質を構成する遷移金属元素は、Mn以外の遷移金属元素であればよく、O2型構造を維持できる限り、その種類は特に限定されるものではない。例えば、CoやNi等が挙げられる。特に、第2活物質が、構成元素として少なくともLiとCoとOとを含む場合、上記の第1活物質と組み合わせることで正極容量を一層向上させ易い。
【0020】
第2活物質は、LixNidCoeO2±δで示される化学組成を有するものであってもよい。x、d及びeは、O2型構造を維持できる限り、特に限定されるものではない。例えば、xは0<x<1を満たす。xは、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上又は0.6以上であってもよく、0.9以下又は0.8以下であってもよい。また、例えば、dは、0≦d<1を満たし、eは、0<e≦1.2を満たす。dは、0以上又は0.1以上であってもよく、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下又は0.3以下であってもよい。eは、0超、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上又は0.5以上であってもよく、1.0以下又は0.9以下であってもよい。d+eは、0.8以上又は0.9以上であってもよく、1.2以下又は1.1以下であってもよい。
【0021】
正極活物質の表面には、Liイオン伝導性酸化物を含有する保護層が形成されていてもよい。すなわち、正極活物質層11には、第1活物質と、その表面に設けられた保護層と、を備える第1複合体が含まれていてもよいし、第2活物質と、その表面に設けられた保護層と、を備える第2複合体が含まれていてもよい。これにより、正極物活物質と硫化物(例えば、後述する硫化物固体電解質等)との反応等が抑制され易くなる。Liイオン伝導性酸化物としては、例えば、Li3BO3、LiBO2、Li2CO3、LiAlO2、Li4SiO4、Li2SiO3、Li3PO4、Li2SO4、Li2TiO3、Li4Ti5O12、Li2Ti2O5、Li2ZrO3、LiNbO3、Li2MoO4、Li2WO4が挙げられる。保護層の被覆率(面積率)は、例えば、70%以上であってもよく、80%以上であってもよく、90%以上であってもよい。保護層の厚さは、例えば、0.1nm以上又は1nm以上であってもよく、100nm以下又は20nm以下であってもよい。
【0022】
正極活物質の形状は、電池の活物質として一般的な形状であればよい。例えば、第1活物質及び第2活物質はともに粒子状であってもよい。正極活物質粒子は、中実の粒子であってもよく、中空の粒子であってもよく、空隙を有するものであってもよい。正極活物質粒子は、一次粒子であってもよいし、複数の一次粒子が凝集した二次粒子であってもよい。正極活物質粒子の平均粒子径(D50)は、例えば1nm以上、5nm以上又は10nm以上であってもよく、また500μm以下、100μm以下、50μm以下又は30μm以下であってもよい。尚、本願にいう平均粒子径D50とは、レーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒度分布における積算値50%での粒子径(メジアン径)である。
【0023】
正極10における第1活物質と第2活物質との含有比は特に限定されるものではない。特に、正極10が、第1活物質と第2活物質との合計を100質量%として、第1活物質を10質量%以上90質量%以下含む場合に、容量が一層向上し易い。
【0024】
正極活物質層11は、正極活物質として、上記の第1活物質及び第2活物質のみを含むものであってよい。或いは、正極活物質層11は、上記の第1活物質及び第2活物質に加えて、これらとは異なる種類の正極活物質(その他の正極活物質)を含んでいてもよい。本開示の技術による効果を一層高める観点からは、正極活物質層11におけるその他の正極活物質の含有量は少量であってよい。例えば、第1活物質及び第2活物質の合計が、正極活物質層11に含まれる全正極活物質の50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上又は99質量%以上を占めていてよい。
【0025】
1.1.2 電解質
電解質は、固体電解質であってもよいし、液体電解質(電解液)であってもよい。正極10が全固体電池用の正極である場合、正極活物質層11は電解質として固体電解質を含み得る。また、正極10が電解液電池用の正極である場合、正極活物質層11は電解質として電解液を含み得る。
【0026】
固体電解質は、電池の固体電解質として公知のものを用いればよい。固体電解質は無機固体電解質であっても、有機ポリマー電解質であってもよい。特に、無機固体電解質は、イオン伝導性及び耐熱性に優れる。無機固体電解質としては、例えば、ランタンジルコン酸リチウム、LiPON、Li1+XAlXGe2-X(PO4)3、Li-SiO系ガラス、Li-Al-S-O系ガラス等の酸化物固体電解質;Li2S-P2S5、Li2S-SiS2、LiI-Li2S-SiS2、LiI-Si2S-P2S5、Li2S-P2S5-LiI-LiBr、LiI-Li2S-P2S5、LiI-Li2S-P2O5、LiI-Li3PO4-P2S5、Li2S-P2S5-GeS2等の硫化物固体電解質を例示することができる。特に、硫化物固体電解質、中でもLi2S-P2S5を含む硫化物固体電解質の性能が高い。固体電解質は、非晶質であってもよいし、結晶であってもよい。固体電解質は例えば粒子状であってもよい。固体電解質は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0027】
電解液は、例えば、キャリアイオンとしてのリチウムイオンを含み得る。電解液は水系電解液であっても非水系電解液であってもよい。電解液の組成はリチウムイオン電池の電解液の組成として公知のものと同様とすればよい。例えば、電解液として、カーボネート系溶媒にリチウム塩を所定濃度で溶解させたものを用いることができる。カーボネート系溶媒としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)等が挙げられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6等が挙げられる。
【0028】
1.1.3 導電助剤
導電助剤としては、気相法炭素繊維(VGCF)やアセチレンブラック(AB)やケッチェンブラック(KB)やカーボンナノチューブ(CNT)やカーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料;ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料が挙げられる。導電助剤は、例えば、粒子状又は繊維状であってもよく、その大きさは特に限定されるものではない。導電助剤は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0029】
1.1.4 バインダー
バインダーとしては、例えば、ブタジエンゴム(BR)系バインダー、ブチレンゴム(IIR)系バインダー、アクリレートブタジエンゴム(ABR)系バインダー、スチレンブタジエンゴム(SBR)系バインダー、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)系バインダー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系バインダー、ポリイミド(PI)系バインダー等が挙げられる。バインダーは1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0030】
1.2 正極集電体
図1に示されるように、正極10は、上記の正極活物質層11と接触する正極集電体12を備えていてもよい。正極集電体12は、電池の正極集電体として一般的なものをいずれも採用可能である。また、正極集電体12は、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状、及び、発泡体等であってよい。正極集電体12は、金属箔又は金属メッシュによって構成されていてもよい。特に、金属箔が取扱い性等に優れる。正極集電体12は、複数枚の箔からなっていてもよい。正極集電体12を構成する金属としては、Cu、Ni、Cr、Au、Pt、Ag、Al、Fe、Ti、Zn、Co、ステンレス鋼等が挙げられる。特に、酸化耐性を確保する観点等から、正極集電体12がAlを含むものであってもよい。正極集電体12は、その表面に、抵抗を調整すること等を目的として、何らかのコート層を有していてもよい。また、正極集電体12は、金属箔や基材に上記の金属がめっき又は蒸着されたものであってもよい。また、正極集電体12が複数枚の金属箔からなる場合、当該複数枚の金属箔間に何らかの層を有していてもよい。正極集電体12の厚みは特に限定されるものではない。例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、1mm以下又は100μm以下であってもよい。
【0031】
1.3 その他
正極10は、上記構成に加えて、電池の正極として一般的な構成を備えていてもよい。例えば、タブや端子等である。正極10は、正極活物質として上記の第1活物質及び第2活物質を併用すること以外は、公知の方法により製造することができる。例えば、上記の各種成分を含む正極合剤を乾式又は湿式にて成形すること等によって正極活物質層11を容易に形成可能である。正極活物質層11は、正極集電体12とともに成形されてもよいし、正極集電体12とは別に成形されてもよい。
【0032】
2.リチウムイオン電池
本開示のリチウムイオン電池は上記の正極を備える。例えば、
図1に示されるように、一実施形態に係るリチウムイオン電池100は、正極10と電解質層20と負極30とを有する。正極10については上述した通りである。
【0033】
2.1 電解質層
電解質層20は少なくとも電解質を含む。リチウムイオン電池100が固体電池(固体電解質を含む電池であって、一部に液体電解質が併用されたものであってもよいし、液体電解質を含まない全固体電池であってもよい)である場合、電解質層20は、固体電解質を含み、さらに任意にバインダー等を含んでいてもよい。この場合、電解質層20における固体電解質とバインダー等との含有量は特に限定されない。一方で、リチウムイオン電池100が電解液電池である場合、電解質層20は、電解液を含み、さらに、当該電解液を保持するとともに、正極活物質層11と負極活物質層31との接触を防止するためのセパレータ等を有していてもよい。電解質層20の厚みは特に限定されるものではなく、例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、2mm以下又は1mm以下であってもよい。
【0034】
固体電解質、電解液及びバインダー等については上述した通りである。セパレータは、リチウムイオン電池において通常用いられるセパレータであればよく、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル及びポリアミド等の樹脂からなるもの等が挙げられる。セパレータは、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。複層構造のセパレータとしては、例えばPE/PPの2層構造のセパレータ、又は、PP/PE/PP若しくはPE/PP/PEの3層構造のセパレータ等を挙げることができる。セパレータは、セルロース不織布、樹脂不織布、ガラス繊維不織布といった不織布からなるものであってもよい。
【0035】
2.2 負極
図1に示されるように、負極30は、負極活物質層31と負極集電体32とを備えるものであってよい。
【0036】
2.2.1 負極活物質層
負極活物質層31は、少なくとも負極活物質を含み、さらに任意に、電解質、導電助剤及びバインダー等を含んでいてもよい。負極活物質層31における負極活物質、電解質、導電助剤及びバインダー等の各々の含有量は、目的とする電池性能に応じて適宜決定されればよい。例えば、負極活物質層31全体(固形分全体)を100質量%として、負極活物質の含有量が40質量%以上、50質量%以上又は60質量%以上であってもよく、100質量%以下又は90質量%以下であってもよい。負極活物質層31の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、略平面を有するシート状の負極活物質層であってもよい。負極活物質層31の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、2mm以下又は1mm以下であってもよい。
【0037】
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出する電位(充放電電位)が上記の正極活物質と比べて卑な電位である種々の物質が採用され得る。例えば、SiやSi合金や酸化ケイ素等のシリコン系活物質;グラファイトやハードカーボン等の炭素系活物質;チタン酸リチウム等の各種酸化物系活物質;金属リチウムやリチウム合金等が採用され得る。負極活物質は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0038】
負極活物質の形状は、電池の負極活物質として一般的な形状であればよい。例えば、負極活物質は粒子状であってもよい。負極活物質粒子は、一次粒子であってもよいし、複数の一次粒子が凝集した二次粒子であってもよい。負極活物質粒子の平均粒子径(D50)は、例えば1nm以上、5nm以上、又は10nm以上であってもよく、また500μm以下、100μm以下、50μm以下、又は30μm以下であってもよい。或いは、負極活物質はリチウム箔等のシート状(箔状、膜状)であってもよい。すなわち、負極活物質層31が負極活物質のシートからなるものであってもよい。
【0039】
負極活物質層31に含まれ得る電解質としては、上述の固体電解質や電解液が挙げられる。リチウムイオン電池100が固体電池(同上)である場合、負極活物質層31は、固体電解質、中でも硫化物固体電解質、さらにその中でもLi2S-P2S5を含む硫化物固体電解質を含む場合に、電池の性能が向上し易い。負極活物質層31に含まれ得る導電助剤としては上述の炭素材料や上述の金属材料が挙げられる。負極活物質層31に含まれ得るバインダーは、例えば、上述の正極活物質層11に含まれ得るバインダーとして例示したものの中から適宜選択されればよい。
【0040】
2.2.2 負極集電体
図1に示されるように、負極30は、上記の負極活物質層31と接触する負極集電体32を備えていてもよい。負極集電体32は、電池の負極集電体として一般的なものをいずれも採用可能である。また、負極集電体32は、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状、及び、発泡体等であってよい。負極集電体32は、金属箔又は金属メッシュであってもよく、或いは、カーボンシートであってもよい。特に、金属箔が取扱い性等に優れる。負極集電体32は、複数枚の箔やシートからなっていてもよい。負極集電体32を構成する金属としては、Cu、Ni、Cr、Au、Pt、Ag、Al、Fe、Ti、Zn、Co、ステンレス鋼等が挙げられる。特に、還元耐性を確保する観点及びリチウムと合金化し難い観点から、負極集電体32がCu、Ni及びステンレス鋼から選ばれる少なくとも1種の金属を含むものであってもよい。負極集電体32は、その表面に、抵抗を調整すること等を目的として、何らかのコート層を有していてもよい。また、負極集電体32は、金属箔や基材に上記の金属がめっき又は蒸着されたものであってもよい。また、負極集電体32が複数枚の金属箔からなる場合、当該複数枚の金属箔の間に何らかの層を有していてもよい。負極集電体32の厚みは特に限定されるものではない。例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、1mm以下又は100μm以下であってもよい。
【0041】
2.3 その他
リチウムイオン電池100は、上記の各構成が外装体の内部に収容されたものであってもよい。外装体は、電池の外装体として公知のものをいずれも採用可能である。また、複数の電池100が、任意に電気的に接続され、また、任意に重ね合わされて、組電池とされていてもよい。この場合、公知の電池ケースの内部に当該組電池が収容されてもよい。リチウムイオン電池100は、このほか必要な端子等の自明な構成を備えていてよい。リチウムイオン電池100の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型、及び角型等を挙げることができる。
【0042】
リチウムイオン電池100は、公知の方法を応用することで製造することができる。例えば以下のようにして製造することができる。ただし、リチウムイオン電池100の製造方法は、以下の方法に限定されるものではなく、例えば、乾式成形等によって各層が形成されてもよい。
(1)負極活物質層を構成する負極活物質等を溶媒に分散させて負極層用スラリーを得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができ、N-メチルピロリドン(NMP)であってもよい。その後、ドクターブレード等を用いて負極層用スラリーを、負極集電体の表面に塗工し、その後乾燥させることで、当該負極集電体の表面に負極活物質層を形成し、負極とする。
(2)正極活物質層を構成する正極活物質等を溶媒に分散させて正極層用スラリーを得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができ、N-メチルピロリドン(NMP)であってもよい。ドクターブレード等を用いて正極層用スラリーを正極集電体の表面に塗工し、その後乾燥させることで、正極集電体の表面に正極活物質層を形成し、正極とする。
(3)負極と正極とで電解質層(固体電解質層又はセパレータ)を挟み込むように各層を積層し、負極集電体、負極活物質層、電解質層、正極活物質層及び正極集電体をこの順に有する積層体を得る。積層体には必要に応じて端子等のその他の部材を取り付ける。
(4)積層体を電池ケースに収容し、電解液電池の場合は電池ケース内に電解液を充填し、積層体を電解液に浸漬するようにして、電池ケース内に積層体を密封することで、二次電池とする。尚、電解液電池の場合に上記(3)の段階で負極活物質層、セパレータ及び正極活物質層に電解液を含ませてもよい。
【0043】
3.電池システム
本開示の技術は、リチウムイオン電池の充放電を制御するシステムとしての側面も有する。すなわち、本開示の電池システムは、上記のリチウムイオン電池100と、前記リチウムイオン電池100の充電及び放電を制御する制御部(不図示)とを備え、前記制御部は、放電終止電位における正極電位が3V(vs.Li/Li+)以下となるように、前記リチウムイオン電池100の放電を制御してもよい。上述したように、本開示の技術によれば、Mnのレドックス領域となる電位である3V(vs.Li/Li+)以下においても第2活物質の抵抗が小さく、正極全体としての抵抗の上昇が抑制される。すなわち、放電終止電位における正極電位がMnのレドックス領域となる電位となるように制御されたとしても、正極の抵抗の上昇が抑制され、高い放電容量が得られ易い。
【0044】
制御部は、上記の通りにリチウムイオン電池100の充電及び放電を制御可能なものであればよい。制御部によってリチウムイオン電池100の充放電を制御する際、リチウムイオン電池100の充電終止電位は特に限定されるものではなく、目的とする電池性能に応じて決定され得る。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を示しつつ、本開示の技術についてさらに詳細に説明するが、本開示の技術は以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
1.正極活物質の作製
以下の手順で正極活物質としての第1活物質及び第2活物質を作製した。第1活物質及び第2活物質は、ともに、O2型構造を有するものであり、第1活物質はMnを含み、第2活物質はMnを含まないものである。また、第3活物質として、O3型構造を有するLiNi0.5Mn0.5O2を準備した。
【0047】
1.1 第1活物質(Li0.7Mn0.5Ni0.2Co0.3O2)
Mn(NO3)2・6H2Oを43.06gと、Ni(NO3)2・6H2Oを17.97gと、Co(NO3)2・6H2Oを26.98gと、を純水250gに溶解させて溶液1Aを得た。Na2CO3を31.8gと、アンモニア水を10.1mLと、を純水250gに溶解させて溶液2Aを得た。溶液1Aと溶液2Aとを、純水100mLが入ったビーカーに同時に滴下して混合溶液3Aを得た。得られた混合溶液3Aを50℃で一晩撹拌した。撹拌後、混合溶液3Aを純水で洗浄し、その後、120℃で48時間以上乾燥させることで、中間物質1A((Mn0.5Ni0.2Co0.3)CO3)を得た。
【0048】
中間物質1Aを13.5gと、Na2CO3を4.28gと、を乳鉢で混合し、静水圧プレスで押し固めた後、600℃で6時間保持し、その後、900℃で24時間保持して焼成を行うことで、中間物質2A(Na0.7Mn0.5Ni0.2Co0.3O2)を得た。
【0049】
中間物質2Aを3.5gと、LiClを4.77gと、LiNO3を7.75gと、を混合し、280℃で1時間保持することで溶解させた。その後、純水で洗浄し、濾過及び乾燥させることで、第1活物質としてのLi0.7Mn0.5Ni0.2Co0.3O2を得た。
【0050】
1.2 第2活物質
Co(NO3)2・6H2Oを89.93g、純水250gに溶解させて溶液1Bを得た。Na2CO3を31.8gと、アンモニア水を10.1mLと、を純水250gに溶解させて溶液2Bを得た。溶液1Bと溶液2Bとを、純水100mLが入ったビーカーに同時に滴下して混合溶液3Bを得た。得られた混合溶液3Bを50℃で一晩撹拌した。撹拌後、混合溶液3Bを純水で洗浄し、その後、120℃で48時間以上乾燥させることで、中間物質1B(CoCO3)を得た。
【0051】
中間物質1Bを13.5gと、Na2CO3を5.1gと、を乳鉢で混合し、静水圧プレスで押し固めた後、600℃で6時間保持し、その後、900℃で24時間保持して焼成を行うことで、中間物質2B(Na0.7CoO2)を得た。
【0052】
中間物質2Bを3.5gと、LiClを4.77gと、LiNO3を7.75gと、を混合し、280℃で1時間保持することで溶解させた。その後、純水で洗浄し、濾過及び乾燥させることで、第2活物質としてのLi0.7CoO2を得た。
【0053】
2.正極の作製
正極活物質を85質量%(第1活物質と第2活物質との質量比率を100:0~0:100まで検討、又は、第1活物質と第3活物質との質量比率を100:0~0:100まで検討)と、導電助剤としてのアセチレンブラック(LI400)を10質量%と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデンを5質量%と、を混合し、N-メチル-2-ピロリドンを用いてスラリー化した後、正極集電体としてのAl箔上に塗布した。この後、120℃で真空乾燥及び成形し、正極を得た。
【0054】
2.1 第1活物質と第2活物質とを組み合わせた場合
比較例1、実施例1~6及び比較例2においては、正極を作製する際、正極活物質として第1活物質及び第2活物質の少なくとも一方を用いた。
【0055】
2.1.1 比較例1
正極活物質における第1活物質と第2活物質との質量比率を100:0とした。
【0056】
2.1.2 実施例1
正極活物質における第1活物質と第2活物質との質量比率を90:10とした。
【0057】
2.1.3 実施例2
正極活物質における第1活物質と第2活物質との質量比率を80:20とした。
【0058】
2.1.4 実施例3
正極活物質における第1活物質と第2活物質との質量比率を70:30とした。
【0059】
2.1.5 実施例4
正極活物質における第1活物質と第2活物質との質量比率を50:50とした。
【0060】
2.1.6 実施例5
正極活物質における第1活物質と第2活物質との質量比率を30:70とした。
【0061】
2.1.7 実施例6
正極活物質における第1活物質と第2活物質との質量比率を10:90とした。
【0062】
2.1.8 比較例2
正極活物質における第1活物質と第2活物質との質量比率を0:100とした。
【0063】
2.2 第1活物質と第3活物質とを組み合わせた場合
比較例1及び3~9においては、正極を作製する際、正極活物質として第1活物質及び第3活物質の少なくとも一方を用いた。比較例1については上述した通りである。
【0064】
2.2.1 比較例3
正極活物質における第1活物質と第3活物質との質量比率を90:10とした。
【0065】
2.2.2 比較例4
正極活物質における第1活物質と第3活物質との質量比率を80:20とした。
【0066】
2.2.3 比較例5
正極活物質における第1活物質と第3活物質との質量比率を70:30とした。
【0067】
2.2.4 比較例6
正極活物質における第1活物質と第3活物質との質量比率を50:50とした。
【0068】
2.2.5 比較例7
正極活物質における第1活物質と第3活物質との質量比率を30:70とした。
【0069】
2.2.6 比較例8
正極活物質における第1活物質と第3活物質との質量比率を10:90とした。
【0070】
2.2.7 比較例9
正極活物質における第1活物質と第3活物質との質量比率を0:100とした。
【0071】
3.負極の準備
負極には、所定の大きさにカットした金属リチウムを用いた。
【0072】
4.電解液の準備
非水電解液として、ダイキン社製の電解液(1.0M LiPF6/TW5(TFPC)+F3(TFEMC) 30:70vol%+ TL16(LiDFOB 0.98wt%))を用いた。
【0073】
5.コインセルの作製
不活性雰囲気下において、実施例1~6及び比較例1~9のいずれかの正極と、上記の負極とを用いたコイン型セルに上記の電解液を注液させることにより、評価用のコインセルを作製した。
【0074】
6.放電容量の測定
作製した各々のコインセルについて、25℃の恒温槽内で、放電終止電位2.0V(vs.Li/Li
+)、充電終止電位4.8V(vs.Li/Li
+)として、電流密度0.1CでCC充放電を行い、放電容量を測定した。実施例1~6及び比較例1、2についての結果を
図2に、比較例1、3~9についての結果を
図3に示す。
図2及び3に示される結果から明らかなように、正極において、正極活物質として第1活物質と第2活物質とを組み合わせた場合、第1活物質単独の場合、第2活物質単独の場合、及び、第1活物質と第3活物質とを組み合わせた場合と比較して、放電容量が相乗的に高くなる。
【0075】
7.正極のDCIR抵抗の測定
正極活物質として第1活物質を単独で用いた場合(正極A)、正極活物質として第2活物質を単独で用いた場合(正極B)、及び、正極活物質として第1活物質と第2活物質とを組み合わせた場合(正極C、第1活物質:第2活物質=70:30(質量比))の各々の正極について、SOC40%又は20%におけるDCIR抵抗を測定した。結果を
図4に示す。
図4に示されるように、第1活物質のみを用いた正極Aは、正極B及びCと比較して、DCIR抵抗が高くなる。SOC40%においてはMnのレドックス領域となるため、第1活物質の抵抗が高くなり、正極A全体としての抵抗が高くなったものと考えられる。これに対し、第2活物質のみを用いた正極Bは同じSOCでもDCIR抵抗が高くならない。第1活物質と第2活物質とを併用した正極Cについても、DCIR抵抗が正極Aほどは高くならない。
【0076】
8.まとめ
構成元素として少なくともLiとMnとOとを含み、且つ、O2型構造を有する第1活物質は、Mnのレドックス領域において抵抗が高くなる。そのため、上記比較例1のように、正極活物質として第1活物質のみを用いて正極を構成した場合、Mnのレドックス領域において正極全体としての抵抗が上昇し、結果として正極の容量が低下する。これに対し、上記実施例1~6のように、O2型構造を有する正極活物質として、Mnを含む第1活物質と、Mnを含まない第2活物質とを併用した場合、Mnのレドックス領域となる電位においても第2活物質の抵抗が小さく、正極全体としての抵抗の上昇が抑制され、結果として正極の容量が向上する。尚、第2活物質は、結晶構造中にNaが残存し易い等、第1活物質とは異なる課題がある。この点、上記比較例2のように、第2活物質単独では高い正極容量が得られない。また、上記比較例3~9のように、第1活物質と第3活物質を組み合わせた場合は、組み合わせによる有利な効果が発揮され難く、第1活物質単独の場合よりも正極容量がむしろ低下する。
【0077】
尚、上記実施例においては、リチウムイオン電池として電解液電池を構成した場合を例示したが、上記の効果はリチウムイオン電池の種類(電解液電池、全固体電池)によらず奏されるものといえる。また、負極についても上記実施例のような金属リチウムを用いた形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0078】
10 正極
11 正極活物質層
12 正極集電体
20 電解質層
30 負極
31 負極活物質層
32 負極集電体
100 リチウムイオン電池