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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ヒートインシュレータ
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20241126BHJP
   F01N 13/14 20100101ALI20241126BHJP
   F02B 77/11 20060101ALI20241126BHJP
   F16B 5/00 20060101ALI20241126BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
F01N3/28 301W
F01N13/14
F02B77/11 D
F16B5/00 B
F16B2/08 S
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021195252
(22)【出願日】2021-12-01
(65)【公開番号】P2023081496
(43)【公開日】2023-06-13
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 正孝
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-127928(JP,A)
【文献】特表平4-501753(JP,A)
【文献】中国実用新案第211777682(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00
F01N 13/00
F02B 77/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マニバータの触媒ケースを断熱材を挟んで覆うと共に、前記触媒ケースの出口側に接続された排気管を覆う下流側インシュレータの上流側端縁部を覆う中空筒状のヒートインシュレータであって、
前記ヒートインシュレータは、
排気ガスの流れ方向に沿って配置されて中空の筒状体を形成する断面半円形状の一対の半割体を有し、
一対の前記半割体のそれぞれは、
両側縁から径方向外方へ延出された一対のフランジ部と、
前記下流側インシュレータの上流側端縁と前記断熱材の下流側端縁との間に対向する位置において、周方向に沿って径方向内側に窪むように形成された溝状のリブ部と、
を有し、
一対の前記半割体は、一対の前記フランジ部を互いに合わせた状態で、前記断熱材を挟んで前記触媒ケースを覆うと共に、前記下流側インシュレータの上流側端縁部を覆うように取り付けられた場合には、前記リブ部が周方向に連続するように配置されて、前記リブ部の底面部が前記触媒ケースに当接される、
ヒートインシュレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のヒートインシュレータにおいて、
一対の前記半割体のうちの一方の前記半割体は、一対の前記フランジ部のそれぞれの前記リブ部の周方向の両端部に対向する位置を含む複数箇所に、径方向外側へ延出された複数の延出片を有し、
一対の前記半割体は、一対の前記フランジ部を互いに合わせた状態で、複数の前記延出片を相対向する前記フランジ部の側縁部に沿って折り曲げたカシメ加工により互いに固定される、
ヒートインシュレータ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のヒートインシュレータにおいて、
一対の前記半割体のそれぞれは、前記リブ部の周方向両端に対向する一対の前記フランジ部の径方向内側の側縁部に形成された一対の貫通孔を有し、
一対の前記半割体の一対の前記フランジ部を互いに合わせた状態で、連通する一対の前記貫通孔に挿通されて、一対の前記リブ部を周方向に沿って前記触媒ケースに締め付け固定する締付けバンドを備えた、
ヒートインシュレータ。
【請求項4】
請求項1に記載のヒートインシュレータにおいて、
一対の前記半割体のそれぞれの一対の前記フランジ部は、前記リブ部の周方向両端に対向する部分が、前記リブ部の幅寸法に等しい幅寸法で切り欠かれており、
一対の前記半割体の一対の前記フランジ部を互いに合わせた状態で、一対の前記リブ部を周方向に沿って前記触媒ケースに締め付け固定する締付けバンドを備えた、
ヒートインシュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マニバータの輻射熱を遮るヒートインシュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、排気管等の輻射熱を遮るヒートインシュレータに関して種々提案されている。例えば、下記特許文献1に記載された排気管用遮熱板の取付構造では、一対の半割体から構成される円筒状の遮熱板が排気管の外周を被覆するように取り付けられる旨が記載されている。具体的には、円筒状の遮熱板は、排気管の外周面との間に隙間が形成された状態で、管軸方向の端部に排気管の外周面に当接する締着部が設けられ、更に、締着部の外側に締着バンドが巻き掛けられている。
【0003】
そして、締着部の周方向両端部から突出する舌片と、締着バンドの周方向両端部に形成された巻き締め用の延設部とを互いに重ね合わせた状態で、巻き締め固定する構成が記載されている。これにより、円筒状の遮熱板は、管軸方向の端部が、排気管の外周面に当接した状態で固定され、異音の発生を抑制できる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-286516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ターボチャージャのタービンハウジングに接続されたマニバータでは、触媒ケースの外周面に断熱部材を挟んで取り付けられるヒートインシュレータの下流側端部が、触媒ケースの出口側に接続される排気管を覆う下流側インシュレータの外側を覆うように固定される。その結果、ヒートインシュレータは、下流側端部が触媒ケースの外周面と隙間を形成した状態で固定されるため、ターボチャージャ等の振動に起因した下流側端部の共振による弾性変形によって異音が発生するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、ターボチャージャ等の振動に起因した異音の発生を抑制することができるヒートインシュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、マニバータの触媒ケースを断熱材を挟んで覆うと共に、前記触媒ケースの出口側に接続された排気管を覆う下流側インシュレータの上流側端縁部を覆う中空筒状のヒートインシュレータであって、前記ヒートインシュレータは、排気ガスの流れ方向に沿って配置されて中空の筒状体を形成する断面半円形状の一対の半割体を有し、一対の前記半割体のそれぞれは、両側縁から径方向外方へ延出された一対のフランジ部と、前記下流側インシュレータの上流側端縁と前記断熱材の下流側端縁との間に対向する位置において、周方向に沿って径方向内側に窪むように形成された溝状のリブ部と、を有し、一対の前記半割体は、一対の前記フランジ部を互いに合わせた状態で、前記断熱材を挟んで前記触媒ケースを覆うと共に、前記下流側インシュレータの上流側端縁部を覆うように取り付けられた場合には、前記リブ部が周方向に連続するように配置されて、前記リブ部の底面部が前記触媒ケースに当接される、ヒートインシュレータである。
【0008】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係るヒートインシュレータにおいて、一対の前記半割体のうちの一方の前記半割体は、一対の前記フランジ部のそれぞれの前記リブ部の周方向の両端部に対向する位置を含む複数箇所に、径方向外側へ延出された複数の延出片を有し、一対の前記半割体は、一対の前記フランジ部を互いに合わせた状態で、複数の前記延出片を相対向する前記フランジ部の側縁部に沿って折り曲げたカシメ加工により互いに固定される、ヒートインシュレータである。
【0009】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明又は第2の発明に係るヒートインシュレータにおいて、一対の前記半割体のそれぞれは、前記リブ部の周方向両端に対向する一対の前記フランジ部の径方向内側の側縁部に形成された一対の貫通孔を有し、一対の前記半割体の一対の前記フランジ部を互いに合わせた状態で、連通する一対の前記貫通孔に挿通されて、一対の前記リブ部を周方向に沿って前記触媒ケースに締め付け固定する締付けバンドを備えた、ヒートインシュレータである。
【0010】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明に係るヒートインシュレータにおいて、一対の前記半割体のそれぞれの一対の前記フランジ部は、前記リブ部の周方向両端に対向する部分が、前記リブ部の幅寸法にほぼ等しい幅寸法で切り欠かれており、一対の前記半割体の一対の前記フランジ部を互いに合わせた状態で、一対の前記リブ部を周方向に沿って前記触媒ケースに締め付け固定する締付けバンドを備えた、ヒートインシュレータである。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、中空筒状のヒートインシュレータを構成する一対の半割体は、一対のフランジ部を互いに合わせた状態で、断熱材を挟んで触媒ケースを覆うと共に、下流側インシュレータの上流側端縁部を覆うように取り付けられる。また、一対の半割体は、径方向内側に窪むように形成された溝状のリブ部が、下流側インシュレータの上流側端縁と断熱材の下流側端縁との間に対向する位置において、周方向に連続するように配置されて、このリブ部の底面部が触媒ケースに当接される。
【0012】
従って、ヒートインシュレータは、下流側端縁部に形成された溝状のリブ部の底面部が、周方向に連続して触媒ケースに当接された状態でマニバータに取り付けられる。その結果、ターボチャージャ等の振動に起因したヒートインシュレータの下流側端部の共振による弾性変形を抑制し、ヒートインシュレータの異音の発生を抑制することができる。
【0013】
第2の発明によれば、一対の半割体は、一対のフランジ部を互いに合わせた状態で、複数の延出片を折り曲げたカシメ加工により固定した場合には、一対のリブ部の両端部に対向するフランジ部の位置が延出片のカシメ加工により固定される。これにより、ヒートインシュレータをマニバータに取り付けた場合に、一対の半割体のリブ部の底面部を、周方向に連続して触媒ケースに確実に当接させることができ、ヒートインシュレータの異音の発生を更に抑制することができる。
【0014】
第3の発明によれば、一対の半割体のリブ部の底面部を、周方向に連続して触媒ケースに当接させた状態で、締付けバンドによって一対のリブ部が周方向に沿って触媒ケースに締め付け固定される。これにより、ターボチャージャ等の振動に起因したヒートインシュレータの下流側端部の共振による弾性変形を効果的に抑制し、ヒートインシュレータの異音の発生を更に抑制することができる。
【0015】
第4の発明によれば、一対の半割体のリブ部の底面部を、周方向に連続して触媒ケースに当接させた状態で、締付けバンドによって一対のリブ部が周方向に沿って触媒ケースに締め付け固定される。これにより、ターボチャージャ等の振動に起因したヒートインシュレータの下流側端部の共振による弾性変形を効果的に抑制し、ヒートインシュレータの異音の発生を更に抑制することができる。また、締付けバンドを一対のリブ部に容易に巻き掛けて締め付け固定することができ、作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係るヒートインシュレータの一例を示す斜視図である。
図2図1に示すヒートインシュレータの下流側部分の拡大側面図である。
図3図1に示すヒートインシュレータの分解斜視図である。
図4図2の軸方向断面図である。
図5図4のV-V矢視断面図である。
図6図4のVI-VI矢視断面図である。
図7図4のVII-VII矢視断面図である。
図8】他の第1実施形態に係るヒートインシュレータの上流側部分の拡大断面図である。
図9】他の第2実施形態に係るヒートインシュレータの下流側部分の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、車両に搭載されたディーゼルエンジン(内燃機関)の排気系に本発明に係るヒートインシュレータを適用した場合について、図1乃至図7に基づいて説明する。尚、本発明に係るヒートインシュレータは、ガソリンエンジンの排気系にも適用できる。
【0018】
本発明に係るヒートインシュレータ1等の概略構成について図1乃至図3に基づいて説明する。図1及び図3に示すように、中空筒状のヒートインシュレータ1は、ステンレス製やアルミ製で、マニバータ2の円筒状の触媒ケース6の外側を覆って、マニバータ2の輻射熱を遮っている。図3に示すように、マニバータ2は、ステンレス製で、排気ガス流れ方向の上流側から下流側に亘って、上流側接続管3、拡径部5、触媒ケース6、下流コーン部7、排気接続管8が順に配置されている。
【0019】
上流側接続管3の排気ガス流れ方向(矢印11方向)における上流側端部は、図示しないターボチャージャのタービンハウジングの排気ガス出口通路に接続される。また、図示しないタービンハウジングの排気ガス入口には、図示しない排気マニホールドが接続される。上流側接続管3の下流側端部は、短い中空筒状に形成された拡径部5の排気ガス流れ方向の上流側端面の中央部に形成された排気ガス入口に接続されている。
【0020】
触媒ケース6の上流側端部は、全面に亘って拡径部5の下流側端面の中央部に形成されたガス出口に同軸に接続され、拡径部5に流入した排気ガスが触媒ケース6に流れ込むように形成されている。そして、円筒状の触媒ケース6内には、NOx吸蔵還元型触媒(NSR(NOx Storage Reduction)触媒)15が設けられている。NOx吸蔵還元型触媒(以下、「NSR触媒」という。)15は、空燃比がリーンなリーン空燃比であるときに、排気ガス中のNOxを吸蔵する。ここで言う「吸蔵」は、NSR触媒15が排気ガス中のNOxを化学的に吸蔵する態様、及び物理的に吸着する態様を含むものとする。
【0021】
そして、NSR触媒15がNOxを吸蔵している状態において、空燃比が理論空燃比よりも燃料リッチなリッチ空燃比になると、NSR触媒15に吸蔵されているNOxが該NSR触媒15から脱離して放出されつつ、排気ガス中の未燃燃料成分によってN2に還元浄化される。尚、触媒ケース6内には、NSR触媒15に限らず、酸化触媒、DPF(Diesel Particulate Filter)、SCR(選択還元触媒:Selective Catalytic Reduction)等を設けてもよい。
【0022】
触媒ケース6の下流側端部には、排気ガスの流れ方向における下流側に向けて窄まった下流コーン部7が一体的に設けられ、触媒ケース6に流入した排気ガスが下流コーン部7に流れ込むように形成されている。下流コーン部7の排気ガス出口には排気接続管8の上流側端部が接続されている。そして、排気接続管8の下流側端部には、下流側に配置される排気管に接続するためのフランジ部8Aが設けられている。従って、下流コーン部7と排気接続管8は、触媒ケース6の出口側に接続された排気管の一例を構成する。
【0023】
図1乃至図4に示すように、マニバータ2は、触媒ケース6の下流側端部と、下流コーン部7と、排気接続管8との表面が、断面略半円形状で下流側に向けて窄まった各断熱材21A、21Bで、図3中、上下方向から覆われる。そして、各断熱材21A、21Bの外側表面には、断面略半円形状で下流側に向けて窄まった各下流側インシュレータ22A、22Bが、図3中、上下方向から全面に亘って重ね合わされて、不図示のボルトで下流コーン部7と排気接続管8に締結されている。各下流側インシュレータ22A、22Bは、ステンレス製である。また、各断熱材21A、21Bは、所定厚さ(例えば、約5mm~10mmの厚さ)に形成されている。
【0024】
ここで、図3中、矢印上は、上側方向を示し、矢印下は、下側方向を示している。また、矢印右は、右側方向を示し、矢印左は、左側方向を示している。
【0025】
図4に示すように、各断熱材21A、21Bと各下流側インシュレータ22A、22Bのそれぞれの上流側端縁部が、触媒ケース6の下流側端縁部を覆うように取り付けられる。また、図3に示すように、マニバータ2の触媒ケース6は、円筒状の表面が、各断熱材28A、28Bによって覆われる。各断熱材28A、28Bは、内周面の直径が触媒ケース6の外径にほぼ等しい断面半円形状で所定厚さ(例えば、約5mm~10mmの厚さ)に形成されている。
【0026】
そして、各断熱材28A、28Bは、各下流側インシュレータ22A、22B及び各断熱材21A、21Bの上流側端縁よりも少し上流側の位置(例えば、約2cm~4cm上流側の位置)から触媒ケース6の上流側端縁から少し下流側の位置までの間に配置可能な長さに形成されている。従って、各断熱材28A、28Bは、触媒ケース6の長さよりも短い長さに形成されている。各断熱材28A、28Bは、触媒ケース6を通る軸線方向に対してほぼ直交する方向の両側から、つまり、図3中、左右方向の両側から触媒ケース6の表面に当接される。
【0027】
また、図4に示すように、触媒ケース6を覆う各断熱材28A、28Bの各下流側端縁29A、29Bと、触媒ケース6の下流側端部と下流コーン部7等を覆う各断熱材21A、21Bの各上流側端縁31A、31Bとの間には、所定幅(例えば、幅約2cm~4cm)の隙間が全周に亘って形成される。従って、触媒ケース6は、各断熱材28A、28Bの各下流側端縁29A、29Bと、各断熱材21A、21Bの各上流側端縁31A、31Bとの間の外周面は、断熱材によって覆われていない。
【0028】
また、図1及び図3に示すように、触媒ケース6の外側を各断熱材28A、28Bを挟んで覆う中空筒状のヒートインシュレータ1は、一対の半割体1A、1Bから構成されている。各半割体1A、1Bは、触媒ケース6を各断熱材28A、28Bを挟んで覆う断面略半円形状の各半円部35A、35Bを有している。
【0029】
図3に示すように、各半円部35A、35Bは、上流側端縁から全周に亘って径方向内側へ延出された上流側接触部37A、37Bを有している。上流側接触部37A、37Bは、各半円部35A、35Bの上流側端縁から各断熱材28A、28Bの厚さにほぼ等しい長さだけ半径方向内側へ延出されて、更に、上流側へ所定長さ(例えば、約1cm~2cm)延出された軸方向断面略半U字状に形成されている。
【0030】
また、半割体1Aは、半円部35Aの周方向両側縁から全幅に亘って、径方向外方へ所定長さ(例えば、約1cm~2cm)延出された一対のフランジ部41A、41Bを有している。半割体1Bは、半円部35Bの周方向両側縁から全幅に亘って、径方向外方へ所定長さ(例えば、約1cm~2cm)延出された一対のフランジ部42A、42Bを有している。
【0031】
そして、図1乃至図7に示すように、半割体1Aの一対のフランジ部41A、41Bと、半割体1Bの一対のフランジ部42A、42Bとが、図3中、左右方向の両側から互いに合わされて、各断熱材28A、28Bの外側に当接される。また、図1乃至図5に示すように、各半円部35A、35Bの下流側端縁が、各下流側インシュレータ22A、22Bの上流側端縁部の外側面に当接されて、配置される。
【0032】
また、図3に示すように、各半円部35A、35Bの下流側端縁から少し上流側の位置には、周方向に沿って、径方向内側へ断面略U字形の溝状に窪んだ各リブ部45A、45Bが相対向するように形成されている。各半円部35A、35Bの内周面から径方向内側へ突出する各リブ部45A、45Bの突出高さは、各断熱材28A、28Bの厚さとほぼ等しい寸法に形成されている。また、図4に示すように、各リブ部45A、45Bは、各半円部35A、35Bの下流側端縁部において、各断熱材28A、28Bの各下流側端縁29A、29Bと、各断熱材21A、21Bの各上流側端縁31A、31Bとの間の隙間に対向する位置に形成されている。
【0033】
また、図2乃至図4に示すように、各リブ部45A、45Bの周方向両端に対向する各フランジ部41A、41B、42A、42Bの径方向内側の側縁部には、各リブ部45A、45Bの溝形状にほぼ等しい形状の各貫通孔46が形成されている。各リブ部45A、45Bの径方向外側の底面と各貫通孔46の径方向内側部分の内周面とは連続するように形成されている。
【0034】
従って、図1図4乃至図7に示すように、半割体1Aの一対のフランジ部41A、41Bと、半割体1Bの一対のフランジ部42A、42Bとが、互いに合わされて中空筒状体を形成した場合には、各リブ部45A、45Bは、周方向に連続するように配置される。そして、各リブ部45A、45Bの周方向両端部に連続して形成された各貫通孔46が、互いに対向して配置されて、連通する。
【0035】
また、各リブ部45A、45Bの底面部が、各断熱材28A、28Bの各下流側端縁29A、29Bと、各断熱材21A、21Bの各上流側端縁31A、31Bとの間の隙間に進入して、触媒ケース6の表面に当接される。また、各半割体1A、1Bの各半円部35A、35Bの上流側端縁部に形成された各上流側接触部37A、37Bは、周方向に連続するように配置されて、触媒ケース6の表面に当接される(図8参照)。
【0036】
また、図1乃至図3に示すように、一方の半割体1Aの各フランジ部41A、41Bには、所定幅(例えば、幅約2cm~4cm)で径方向外側へ所定長さ(例えば、長さ約1cm~2cm)延出された4個の各延出片47が、2個ずつ所謂ヘム加工用(カシメ加工用)に設けられている。具体的には、2個の延出片47が、リブ部45Aの周方向の両端部に対向する各フランジ部41A、41Bの各位置に設けられている。
【0037】
また、2個の延出片47が、上流側接触部37Aから少し下流側における周方向の両端部に対向する各フランジ部41A、41Bの各位置に設けられている。そして、図1図2図4及び図6に示すように、各フランジ部41A、41Bに形成された各延出片47は、所謂ヘム加工によって、相対向する各フランジ部42A、42Bの径方向外側の側縁部に沿って折り曲げられて、一対の半割体1A、1Bを互いに固定(接合)する。
【0038】
その結果、一対の半割体1A、1Bが接合されて、中空筒状のヒートインシュレータ1を構成する。また、各半割体1A、1Bの各リブ部45A、45Bは、周方向に連続するように配置されて、各リブ部45A、45Bの底面部が、触媒ケース6の表面に当接された状態で固定される。また、各半割体1A、1Bの上流側端縁部に形成された各上流側接触部37A、37Bは、周方向に連続するように配置されて、触媒ケース6の表面に当接された状態で固定される。
【0039】
尚、半割体1Aの各フランジ部41A、41Bに形成される複数の延出片47は、リブ部45Aの周方向の両端部に対向する各フランジ部41A、41Bの2カ所の位置を含む、各フランジ部41A、41Bの5カ所以上の位置に設けてもよい。また、各延出片47は、他方の半割体1Bの各フランジ部42A、42Bに設けるようにしてもよい。この場合には、複数の延出片47は、リブ部45Bの周方向の両端部に対向する各フランジ部42A、42Bの2カ所の位置を含む、各フランジ部42A、42Bの5カ所以上の位置に設けてもよい。
【0040】
次に、図1乃至図4図6に示すように、一対の半割体1A、1Bが各延出片47の所謂ヘム加工によって接合された後、ステンレス製等の金属製の結束バンド等で構成された締付けバンド49が、各リブ部45A、45Bの両端部に設けられて連通する各貫通孔46に挿通されて、締め付け固定される。その結果、各リブ部45A、45Bの底面部が、触媒ケース6の表面に当接された状態で、締付けバンド49によって締め付け固定される。尚、締付けバンド49は、ステンレス製等の金属製のジュビリクリップで構成してもよい。
【0041】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るヒートインシュレータ1では、一対の半割体1A、1Bは、各フランジ部41A、41B、42A、42Bを互いに合わせた状態で、各断熱材28A、28Bを挟んで触媒ケース6を覆うと共に、各下流側インシュレータ22A、22Bの上流側端縁部を覆うように取り付けられる。また、一対の半割体1A、1Bは、径方向内側に窪むように形成された溝状の各リブ部45A、45Bが、各下流側インシュレータ22A、22Bの上流側端縁と各断熱材28A、28Bの下流側端縁との間に対向する位置において、周方向に連続するように配置される。
【0042】
また、一対の半割体1A、1Bは、周方向に連続するように配置された各リブ部45A、45Bの底面部が、触媒ケース6の外側面に当接された状態で取り付けられる。従って、ヒートインシュレータ1は、下流側端縁部に形成された溝状の各リブ部45A、45Bの底面部が、周方向に連続して触媒ケース6の外側面に当接された状態でマニバータ2に取り付けられる。その結果、ターボチャージャ等の振動に起因したヒートインシュレータ1の下流側端部の共振による弾性変形を抑制し、ヒートインシュレータ1の異音の発生を抑制することができる。
【0043】
また、一対の半割体1A、1Bは、各フランジ部41A、41B、42A、42Bを互いに合わせた状態で、複数の延出片47を折り曲げた所謂ヘム加工(カシメ加工)により固定される。そして、各リブ部45A、45Bの両端部に対向する各フランジ部41A、41B、42A、42Bの位置が、延出片47を折り曲げた所謂ヘム加工(カシメ加工)により固定される。これにより、ヒートインシュレータ1をマニバータ2に取り付けた場合に、一対の半割体1A、1Bの各リブ部45A、45Bの底面部を、周方向に連続して触媒ケース6の外側面に確実に当接させることができ、ヒートインシュレータ1の異音の発生を更に抑制することができる。
【0044】
また、一対の半割体1A、1Bの各リブ部45A、45Bの底面部を、周方向に連続して触媒ケース6の外側面に当接させた状態で、締付けバンド49によって各リブ部45A、45Bが周方向に沿って触媒ケース6に締め付け固定される。これにより、ターボチャージャ等の振動に起因したヒートインシュレータ1の下流側端部の共振による弾性変形を効果的に抑制し、ヒートインシュレータ1の異音の発生を更に抑制することができる。
【0045】
本発明のヒートインシュレータは、前記実施形態で説明した構成、構造、外観、形状、処理手順等に限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変更、改良、追加、削除が可能である。尚、以下の説明において上記図1図7の前記実施形態に係るヒートインシュレータ1等と同一符号は、前記実施形態に係るヒートインシュレータ1等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0046】
[他の第1実施形態]
(A)例えば、図8に示すように、半割体1Aの半円部35Aでは、各フランジ部41A、41Bの上流側(図8中、右側方向)の先端部は、軸方向断面略半U字状に形成された上流側接触部37Aの上流側先端まで設けられている。そして、軸方向断面略半U字状に形成された上流側接触部37Aの周方向両端に対向する各フランジ部41A、41Bの径方向内側の側縁部に、締付けバンド49を挿通可能な断面略矩形状の各貫通孔52を形成するようにしてもよい。上流側接触部37Aの径方向外側の底面と各貫通孔52の径方向内側部分の内周面とは連続するように形成されている。
【0047】
また、同様に、半割体1Bの半円部35Bでは、各フランジ部42A、42Bの上流側の先端部は、軸方向断面略半U字状に形成された上流側接触部37Bの上流側先端まで設けられている。そして、軸方向断面略半U字状に形成された上流側接触部37Bの周方向両端に対向する各フランジ部42A、42Bの径方向内側の側縁部に、締付けバンド49を挿通可能な断面略矩形状の各貫通孔52を形成するようにしてもよい。上流側接触部37Bの径方向外側の底面と各貫通孔52の径方向内側部分の内周面とは連続するように形成されている。
【0048】
従って、半割体1Aの一対のフランジ部41A、41Bと、半割体1Bの一対のフランジ部42A、42Bとが、互いに合わされた場合には、各上流側接触部37A、37Bは、周方向に連続するように配置される。そして、各上流側接触部37A、37Bの周方向両端部に連続して形成された各貫通孔52が、互いに対向して配置されて、連通する。そして、一対の半割体1A、1Bが各延出片47の所謂ヘム加工によって接合された後、ステンレス製等の金属製の結束バンド等で構成された締付けバンド49が、各上流側接触部37A、37Bの両端部に設けられて連通する各貫通孔52に挿通されて、締め付け固定される。
【0049】
その結果、各上流側接触部37A、37Bの底面部が、触媒ケース6の表面に当接された状態で、締付けバンド49によって締め付け固定される。これにより、ターボチャージャ等の振動に起因したヒートインシュレータ1の上流側端部の共振による弾性変形を効果的に抑制し、ヒートインシュレータ1の異音の発生を更に抑制することができる。
【0050】
[他の第2実施形態]
(B)また、例えば、前記実施形態に係るヒートインシュレータ1に替えて、図9に示すヒートインシュレータ61を取り付けてもよい。図9に示すように、ヒートインシュレータ61は、前記実施形態に係るヒートインシュレータ1とほぼ同じ構成である。但し、半割体1Aの一対のフランジ部41A、41Bと、半割体1Bの一対のフランジ部42A、42Bは、各リブ部45A、45Bの周方向両端に対向する部分が、各リブ部45A、45Bの幅寸法にほぼ等しい幅寸法で切り欠かれている点で異なっている。
【0051】
また、半割体1Aの各フランジ部41A、41Bには、リブ部45Aの周方向両端部に対向する位置よりも少し上流側の位置に、2個の延出片47が設けられている点で異なっている。従って、このように構成された半割体1Aの一対のフランジ部41A、41Bと、半割体1Bの一対のフランジ部42A、42Bとが、互いに合わされて中空筒状体を形成した場合には、各リブ部45A、45Bは、周方向に連続するように配置される。また、各リブ部45A、45Bの底面部が、各断熱材28A、28Bの各下流側端縁29A、29Bと、各断熱材21A、21Bの各上流側端縁31A、31Bとの間の隙間に進入して、触媒ケース6の表面に当接される。
【0052】
そして、各フランジ部41A、41Bに形成された各延出片47を、所謂ヘム加工によって、相対向する各フランジ部42A、42Bの径方向外側の側縁部に沿って折り曲げて、一対の半割体1A、1Bを互いに固定(接合)する。その結果、一対の半割体1A、1Bが接合されて、中空筒状のヒートインシュレータ1を構成する。また、各半割体1A、1Bの各リブ部45A、45Bは、周方向に連続するように配置されて、各リブ部45A、45Bの底面部が、触媒ケース6の表面に当接された状態で固定される。
【0053】
尚、半割体1Aの各フランジ部41A、41Bには、リブ部45Aの周方向両端部に対向する位置よりも少し下流側の位置に、2個の延出片47を設けるようにしてもよい。また、半割体1Aの各フランジ部41A、41Bには、リブ部45Aの周方向両端部に対向する位置よりも少し上流側の位置と下流側の位置に、それぞれ2個の延出片47を設けるようにしてもよい。そして、各フランジ部41A、41Bに形成された各延出片47を、所謂ヘム加工によって、相対向する各フランジ部42A、42Bの径方向外側の側縁部に沿って折り曲げて、一対の半割体1A、1Bを互いに固定(接合)するようにしてもよい。
【0054】
次に、一対の半割体1A、1Bが各延出片47の所謂ヘム加工によって接合された後、ステンレス製等の金属製の結束バンド等で構成された締付けバンド49が、各リブ部45A、45Bに巻き掛けられて、締め付け固定される。その結果、各リブ部45A、45Bの底面部が、触媒ケース6の表面に当接された状態で、締付けバンド49によって締め付け固定される。尚、締付けバンド49は、ステンレス製等の金属製のジュビリクリップで構成してもよい。
【0055】
従って、一対の半割体1A、1Bは、周方向に連続するように配置された各リブ部45A、45Bの底面部が、触媒ケース6の外側面に当接された状態で、各延出片47を折り曲げた所謂ヘム加工(カシメ加工)により固定される。更に、締付けバンド49によって各リブ部45A、45Bが周方向に沿って触媒ケース6に締め付け固定される。これにより、ターボチャージャ等の振動に起因したヒートインシュレータ61の下流側端部の共振による弾性変形を効果的に抑制し、ヒートインシュレータ1の異音の発生を更に抑制することができる。また、締付けバンド49を各リブ部45A、45Bに容易に巻き掛けて締め付け固定することができ、作業効率の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0056】
1、61 ヒートインシュレータ
1A、1B 半割体
2 マニバータ
6 触媒ケース
8 排気接続管
22A、22B 下流側インシュレータ
21A、21B、28A、28B 断熱材
41A、41B、42A、42B フランジ部
45A、45B リブ部
46 貫通孔
47 延出片
49 締付けバンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9