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特許7593321端末装置、基地局装置、端末装置の制御方法および基地局装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】端末装置、基地局装置、端末装置の制御方法および基地局装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/04 20090101AFI20241126BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20241126BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20241126BHJP
   H04W 72/232 20230101ALI20241126BHJP
   H04W 72/231 20230101ALI20241126BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20241126BHJP
【FI】
H04W28/04 110
H04W16/28
H04W72/0457 110
H04W72/232
H04W72/231
H04W84/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021539234
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(86)【国際出願番号】 JP2020030010
(87)【国際公開番号】W WO2021029296
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2019148932
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 大輝
(72)【発明者】
【氏名】内山 博允
(72)【発明者】
【氏名】草島 直紀
(72)【発明者】
【氏名】唐 懿夫
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/124259(WO,A1)
【文献】特開2017-034450(JP,A)
【文献】国際公開第2019/130524(WO,A1)
【文献】MediaTek Inc.,Summary for more delay-tolerant re-transmission mechanisms in NR-NTN,3GPP TSG RAN WG1 #97 R1-1907757,2019年05月17日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置であって、
通信部と制御部とを有し、
前記制御部は、
基地局装置からの準静的な通知、動的な通知、前記準静的な通知および前記動的な通知の組み合わせのいずれかで送出されるHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)feedbackの無効情報を、前記通信部を介して受信し、
前記HARQfeedbackの無効情報が示す1又は複数のHARQ feedbackが無効であると認識するよう構成され、
前記HARQfeedbackの無効情報は、セル毎、ビーム毎、コンポーネントキャリア毎、BWP(BandWidth Part)毎、UE(User Equipment)毎またはHARQ process毎に設定され、
前記準静的な通知が含まれる場合には、前記端末装置が前記HARQfeedbackを無効にするか否かを、前記基地局装置および前記端末装置間の伝搬距離に基づいて決定することを受信し、
前記動的な通知が含まれる場合には、HARQ processが尽きてしまった場合、または尽きる可能性があると判断した場合に、前記HARQfeedbackを無効にすることを受信する、
ことを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記動的な通知は、DCI(Downlink Control Information)またはUCI(Uplink Control Information)の通知である、
ことを特徴とする請求項に記載の端末装置。
【請求項3】
前記HARQfeedbackの無効情報は、1又は複数のHARQ processの中で無効である個数が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記HARQfeedbackの無効情報は、1又は複数のHARQ processの中で無効であるHARQ processの識別情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記HARQfeedbackの無効情報に基づいて再送を無効としていないHARQ processから再送を無効としたHARQ processへの切り替えに応じて誤り率特性の補償を切り替える、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記再送を無効としたHARQ processへの切り替えに応じて、前記再送を無効としていないHARQ processの時よりも前記誤り率特性の補償を高くする、
ことを特徴とする請求項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記1又は複数のHARQ processの数の増加または減少に応じて、当該増加または減少の情報を前記通信部を介して送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項8】
基地局装置であって、
通信部と制御部とを有し、
前記制御部は、
準静的な通知、動的な通知、前記準静的な通知および前記動的な通知の組み合わせのいずれかで送信するHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)feedbackの無効情報を、前記通信部を介して送信し、
前記HARQfeedbackの無効情報が示す1又は複数のHARQ processが無効であると認識するよう構成され、
前記HARQfeedbackの無効情報は、セル毎、ビーム毎、コンポーネントキャリア毎、BWP(BandWidth Part)毎、UE(User Equipment)毎またはHARQ process毎に設定され、
前記準静的な通知が含まれる場合には、端末装置が前記HARQfeedbackを無効にするか否かを、前記基地局装置および前記端末装置間の伝搬距離に基づいて決定することを送信し、
前記動的な通知が含まれる場合には、HARQ processが尽きてしまった場合、または尽きる可能性があると判断した場合に、前記HARQfeedbackを無効にすることを送信する、
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項9】
前記動的な通知は、DCI(Downlink Control Information)またはUCI(Uplink Control Information)の通知である、
ことを特徴とする請求項に記載の基地局装置。
【請求項10】
前記HARQfeedbackの無効情報は、1又は複数のHARQ processの中で無効である個数が含まれる、
ことを特徴とする請求項に記載の基地局装置。
【請求項11】
前記HARQfeedbackの無効情報は、1又は複数のHARQ processの中で無効であるHARQ processの識別情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項に記載の基地局装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記HARQfeedbackの無効情報に基づいて再送を無効としていないHARQ processから再送を無効としたHARQ processへの切り替えに応じて誤り率特性の補償を切り替える、
ことを特徴とする請求項に記載の基地局装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記再送を無効としたHARQ processへの切り替えに応じて、前記再送を無効としていないHARQ processの時よりも前記誤り率特性の補償を高くする、
ことを特徴とする請求項12に記載の基地局装置。
【請求項14】
端末装置の制御方法であって、
基地局装置からの準静的な通知、動的な通知、前記準静的な通知および前記動的な通知の組み合わせのいずれかで送出されるHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)feedbackの無効情報を、通信部を介して受信すること、
前記HARQfeedbackの無効情報が示す1又は複数のHARQ processが無効であると認識するよう構成され、
前記HARQfeedbackの無効情報は、セル毎、ビーム毎、コンポーネントキャリア毎、BWP(BandWidth Part)毎、UE(User Equipment)毎またはHARQ process毎に設定され、
前記準静的な通知が含まれる場合には、前記端末装置が前記HARQfeedbackを無効にするか否かを、前記基地局装置および前記端末装置間の伝搬距離に基づいて決定することを受信し、
前記動的な通知が含まれる場合には、HARQprocessが尽きてしまった場合、または尽きる可能性があると判断した場合に、前記HARQfeedbackを無効にすることを受信すること、
を含むことを特徴とする端末装置の制御方法。
【請求項15】
基地局装置の制御方法であって、
準静的な通知、動的な通知、前記準静的な通知および前記動的な通知の組み合わせのいずれかで送信するHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)feedbackの無効情報を、通信部を介して送信すること、
前記HARQfeedbackの無効情報が示す1又は複数のHARQ processが無効であると認識するよう構成され、
前記HARQfeedbackの無効情報は、セル毎、ビーム毎、コンポーネントキャリア毎、BWP(BandWidth Part)毎、UE(User Equipment)毎またはHARQ process毎に設定され、
前記準静的な通知が含まれる場合には、端末装置が前記HARQfeedbackを無効にするか否かを、前記基地局装置および前記端末装置間の伝搬距離に基づいて決定することを送信し、
前記動的な通知が含まれる場合には、HARQprocessが尽きてしまった場合、または尽きる可能性があると判断した場合に、前記HARQfeedbackを無効にすることを送信すること、
を含むことを特徴とする基地局装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、端末装置、基地局装置、端末装置の制御方法および基地局装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project) Rel.15 NR(New Radio)では、LTE(Long Term Evolution)と同様にHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)がサポートされている。HARQ では、初送のデータおよび再送されたデータを結合(Soft combining)して誤り訂正が行われる。これにより、符号化利得を得ることができる。この処理は、“HARQ process”と呼ばれるプロセスごとに実施される。すなわち、複数個(例えば16個)のHARQ processが存在する場合、並列でのHARQ処理を実施することが可能となる。
【0003】
NRでは様々なユースケースが想定されているため、ユースケースによっては、HARQ processの数が不足するかもしれない。例えば、低遅延処理・低遅延通信(例えばURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications))の場合、短時間でデータを次々と受信する可能性があり、HARQ処理が間に合わないことで、HARQ processの数が不足するかもしれない。また、NTN(Non-Terrestrial Network)通信の場合、伝搬遅延を起因としたHARQ process処理の遅延が生じ、HARQ processの数が不足するかもしれない。このHARQ processの数不足に関して、HARQ FEEDBACKをdeactivateすることや、disablingすることが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】PR-190710 Revised SID for Study on solutions for NR to support non-terrestrial networks (NTN)
【文献】R1-1906088, Nokia, Nokia Shanghai Bell, “Consideration on HARQ in NTN,” 3GPP TSG RAN1 Meeting#97, Reno, USA, May, 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、HARQ FEEDBACK disablingの具体的な方法は十分に検討されていない。端末装置に対するHARQ FEEDBACK disablingの詳細な設定方法が明確でない。このため、HARQ processの数不足が解消されず、所望の通信品質が得られない可能性がある。
【0006】
そこで、本開示では、所望の通信品質を得ることに寄与する端末装置、基地局装置、端末装置の制御方法および基地局装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示に係る一形態の端末装置は、通信部と制御部とを有する。制御部は、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)フィードバックの無効情報(disabling information)を、通信部を介して受信し、HARQの無効情報が示す1又は複数のHARQ フィードバックが無効であると認識するよう構成され、HARQの無効情報は、セル毎、ビーム毎、コンポーネントキャリア毎、BWP(BandWidth Part)毎、UE(User Equipment)毎またはHARQ process毎に設定される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
図2】通信システムが提供する無線ネットワークの一例を示す図である。
図3】通信システムが提供する衛星通信の概要を示す図である。
図4】衛星局が構成するセルの一例を示す図である。
図5】本開示の実施形態に係る管理装置の構成例を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る非地上局の構成例を示す図である。
図7】本開示の実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
図8】初期接続処理の一例を示すフローチャートである。
図9】HARQの手続きの一例を示すシーケンス図である。
図10】HARQ bufferの概要を説明する説明図である。
図11】本開示の実施形態に係るHARQ disabling処理の一例を示すシーケンス図である。
図12】本開示の実施形態に係るHARQ disabling処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0010】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて端末装置50、50および50のように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、端末装置50、50および50を特に区別する必要が無い場合には、単に端末装置50と称する。
【0011】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.はじめに
2.実施形態
2-1.通信システムの全体構成
2-2.管理装置の構成
2-3.基地局の構成
2-4.中継局の構成
2-5.端末装置の構成
2-6.初期接続処理
2-7.HARQの手続きの一例
2-8.伝搬遅延の問題
2-9.実施形態の概要
2-10.HARQ disabling処理の一例(下りリンク)
2-11.HARQ disabling処理の一例(上りリンク)
2-12.HARQ disabling対応の特性補償
3.変形例
3-1.HARQ process数を増やせる場合の変形例
3-2.その他の変形例
4.むすび
【0012】
<1.はじめに>
LTE、NR等の無線アクセス技術が3GPPで検討されている。LTEおよびNRは、セルラー通信技術の一種であり、基地局がカバーするエリアをセル状に複数配置することで端末装置の移動通信を可能にする。なお、以下の説明では、「LTE」には、LTE-A(LTE-Advanced)、LTE-A Pro(LTE-Advanced Pro)、およびEUTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)が含まれるものとする。また、NRには、NRAT(New Radio Access Technology)、およびFEUTRA(Further EUTRA)が含まれるものとする。
【0013】
NRは、LTEの次の世代(第5世代)の無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)である。NRは、eMBB(Enhanced Mobile Broadband)、mMTC(Massive Machine Type Communications)およびURLLCを含む様々なユースケースに対応できる無線アクセス技術である。NRは、これらのユースケースにおける利用シナリオ、要求条件、および配置シナリオなどに対応する技術フレームワークを目指して検討されている。
【0014】
例えば、広域カバレッジ、接続安定性などの要求の高まりから、NRのユースケースの一つとして非地上波ネットワーク(NTN)の検討が開始されている。非地上波ネットワークでは、衛星局や航空機局等、地上局以外の基地局を介して、端末装置に無線ネットワークが提供されることが予定されている。この地上局以外の基地局は、非地上局又は非地上基地局と称される。地上局により提供される無線ネットワークは地上波ネットワーク(TN:Terrestrial Network)と称される。地上波ネットワークと非地上波ネットワークとを同一の無線アクセス方式とすることで、地上波ネットワークおよび非地上波ネットワークの統合的な運用が可能となる。
【0015】
なお、本開示の実施形態において、地上局(地上基地局ともいう。)とは、地上に設置される基地局(中継局を含む。)のことをいう。「地上」は、地上(陸上)のみならず、地中、水上、水中も含む広義の地上である。
【0016】
また、いくつかの実施形態では、NRのユースケースの一つとしてNTNへの適用例について説明する。しかしながら、これらの実施形態の適用先はNTNには限定されず、他の技術やユースケース(e.g., URLLC)に適用されてもよい。
【0017】
<2.実施形態>
以下、本実施形態に係る通信システム1を説明する。通信システム1は、非地上局を備え、端末装置に対して非地上波ネットワークを使用した無線通信を提供する。また、通信システム1は、地上波ネットワークを使用した無線通信を提供していてもよい。なお、通信システム1が備える非地上波ネットワーク、地上波ネットワークは、NRで規定される無線アクセス方式を使用した無線ネットワークに限られない。通信システム1が備える非地上波ネットワークは、LTE、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、cdma2000(Code Division Multiple Access 2000)等、NR以外の無線アクセス方式の無線ネットワークであってもよい。
【0018】
なお、以下の説明では、基地局(以下、基地局装置ともいう。)という概念には、中継局(以下、中継装置(リレーノード)ともいう。)及び当該中継局に対して無線インタフェースを提供するドナー基地局が含まれていてもよい。また、基地局という概念には、基地局の機能を備えた構造物(Structure)のみならず、構造物に設置される装置も含まれる。構造物は、例えば、高層ビル、家屋、鉄塔、駅施設、空港施設、港湾施設、スタジアム等の建物である。なお、構造物という概念には、建物のみならず、トンネル、橋梁、ダム、塀、鉄柱等の構築物(Non-building structure)や、クレーン、門、風車等の設備も含まれる。また、構造物という概念には、地上(陸上)又は地中の構造物のみならず、桟橋、メガフロート等の水上の構造物や、海洋観測設備等の水中の構造物も含まれる。さらに、基地局は、複数の物理的又は論理的装置の集合で構成されていてもよい。例えば、本開示の実施形態において基地局は、BBU(Baseband Unit)及びRU(Radio Unit)の複数の装置に区別され、これら複数の装置の集合体として解釈されてもよい。さらに又はこれに代えて、本開示の実施形態において基地局は、BBU及びRUのうちいずれか又は両方であってもよい。BBUとRUとは所定のインタフェース(e.g., eCPRI)で接続されていてもよい。さらに又はこれに代えて、RUはRemote Radio Unit (RRU) 又は Radio DoT (RD)と称されていてもよい。さらに又はこれに代えて、RUは後述するgNB-DUに対応していてもよい。さらに又はこれに代えてBBUは、後述するgNB-CUに対応していてもよい。さらに又はこれに代えて、RUはアンテナと一体的に形成された装置であってもよい。基地局が有するアンテナ(e.g., RUと一体的に形成されたアンテナ)はAdvanced Antenna Systemを採用し、MIMO(e.g. FD-MIMO)やビームフォーミングをサポートしていてもよい。 Advanced Antenna Systemは、基地局が有するアンテナ(e.g., RUと一体的に形成されたアンテナ)は、例えば、64個の送信用アンテナポート及び64個の受信用アンテナポートを備えていてもよい。
【0019】
また、基地局は、移動可能に構成された基地局であってもよい。例えば、基地局は、移動体に設置される装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。移動体は、スマートフォンなどのモバイル端末や、地上(陸上)を移動する移動体(例えば、自動車、バス、トラック、列車、リニアモーターカー等の車両)であってもよいし、地中(例えば、トンネル内)を移動する移動体(例えば、地下鉄)であってもよい。また、移動体は、水上を移動する移動体(例えば、旅客船、貨物船、ホバークラフト等の船舶)であってもよいし、水中を移動する移動体(例えば、潜水艇、潜水艦、無人潜水機等の潜水船)であってもよい。また、移動体は、大気圏内を移動する移動体(例えば、飛行機、飛行船、ドローン等の航空機)であってもよいし、大気圏外を移動する宇宙移動体(例えば、人工衛星、宇宙船、宇宙ステーション、探査機等の人工天体)であってもよい。
【0020】
なお、基地局は、複数が互いに接続されていてもよい。1つ又は複数の基地局は無線アクセスネットワーク(Radio Access Network: RAN)に含まれていてもよい。すなわち、基地局は単にRAN、RANノード、AN(Access Network)、ANノードと称されてもよい。LTEにおけるRANはEUTRAN(Enhanced Universal Terrestrial RAN)と呼ばれる。NRにおけるRANはNGRANと呼ばれる。W-CDMA(UMTS)におけるRANはUTRANと呼ばれる。LTEの基地局は、eNodeB(Evolved Node B)又はeNBと称される。すなわち、EUTRANは1又は複数のeNodeB(eNB)を含む。また、NRの基地局は、gNodeB又はgNBと称される。すなわち、NGRANは1又は複数のgNBを含む。さらに、EUTRANは、LTEの通信システム(EPS)におけるコアネットワーク(EPC)に接続されたgNB(en-gNB)を含んでいてもよい。同様にNGRANは5G通信システム(5GS)におけるコアネットワーク5GCに接続されたng-eNBを含んでいてもよい。さらに又はこれに代えて、基地局がeNB、gNBなどである場合、3GPP Accessと称されてもよい。さらに又はこれに代えて、基地局が無線アクセスポイント(Access Point)である場合、Non-3GPP Accessと称されてもよい。さらに又はこれに代えて、基地局は、RRH(Remote Radio Head)と呼ばれる光張り出し装置であってもよい。さらに又はこれに代えて、基地局がgNBである場合、基地局は前述したgNB CU(Central Unit)とgNB DU(Distributed Unit)の組み合わせ又はこれらのうちいずれかと称されてもよい。gNB CU(Central Unit)は、UEとの通信のために、Access Stratumのうち、複数の上位レイヤ(e.g. RRC, SDAP, PDCP)をホストする。一方、gNB-DUは、Access Stratumのうち、複数の下位レイヤ(e.g. RLC, MAC, PHY)をホストする。すなわち、後述されるメッセージ・情報のうち、RRC signalling(準静的な通知)はgNB CUで生成され、一方でDCI(動的な通知)はgNB-DUは生成されてもよい。又はこれに代えて、RRC configuration(準静的な通知)のうち、例えばIE:cellGroupConfigなど一部のconfigurationについてはgNB-DUで生成され、残りのconfigurationはgNB-CUで生成されてもよい。これらのconfigurationは、後述されるF1インタフェースで送受信されてもよい。基地局は、他の基地局と通信可能に構成されていてもよい。例えば、複数の基地局装置がeNB同士又はeNBとen-gNBの組み合わせである場合、当該基地局間はX2インタフェースで接続されてもよい。さらに又はこれに代えて、複数の基地局がgNB同士又はgn-eNBとgNBの組み合わせである場合、当該装置間はXnインタフェースで接続されてもよい。さらに又はこれに代えて、複数の基地局がgNB CU(Central Unit)とgNB DU(Distributed Unit)の組み合わせである場合、当該装置間は前述したF1インタフェースで接続されてもよい。後述されるメッセージ・情報(RRC signalling又はDCIの情報)は複数基地局間で(例えばX2、Xn、F1インタフェースを介して)通信されてもよい。
【0021】
また、LTEおよびNRでは、端末装置(移動局、移動局装置、又は端末ともいう。)はUE(User Equipment)と称されることがある。これに代えて、端末装置は、MS(Mobile Station)やWTRU(Wireless Transmission Reception Unit)と呼ばれてもよい。なお、端末装置は、無線通信装置の一種であり、移動局、移動局装置、又は端末とも称される。本開示の実施形態において、端末装置という概念には、携帯端末等の持ち運び可能な端末装置のみならず、例えば、構造物や移動体に設置される装置も含まれる。
【0022】
<2-1.通信システムの全体構成>
図1は、本開示の実施形態に係る通信システム1の構成例を示す図である。通信システム1は、管理装置10と、非地上基地局(以下、単に基地局と称する)20と、地上基地局(以下、単に基地局と称する)30と、中継装置(以下、単に基地局と称する)40と、端末装置50と、を備える。通信システム1は、通信システム1を構成する各無線通信装置が連携して動作することで、ユーザに対し、移動通信が可能な無線ネットワークを提供する。無線通信装置は、無線通信の機能を有する装置のことであり、図1の例では、基地局20、30、40、および端末装置50が該当する。
【0023】
通信システム1は、管理装置10、基地局20、30、40、および端末装置50をそれぞれ複数備えていてもよい。図1の例では、通信システム1は、管理装置10として管理装置10、10等を備えている。また、通信システム1は、基地局20として基地局20、20等を備えており、基地局30として基地局30、30等を備えている。また、通信システム1は、基地局40として基地局40、40等を備えており、端末装置50として端末装置50、50、50等を備えている。なお、上述の通り、本開示の実施形態の適用先は非地上波通信(NTN)に限られない。すなわち、通信システムは、非地上局を含んでいなくてもよい。
【0024】
管理装置10は、無線ネットワークを管理する装置である。例えば、管理装置10は、MME(Mobility Management Entity)やAMF(Access and Mobility Management Function)として機能する装置である。MMEは、EUTRANとS1インタフェースで接続され、UEとの間のNAS(Non-Access Stratum)シグナリングの制御や、UEのモビリティの管理を行う。AMFは、NGRANとNGインタフェースで接続され、UEとの間のNAS(Non-Access Stratum)シグナリングの制御や、UEのモビリティの管理を行う。管理装置10は、コアネットワークCNに含まれていてもよい。コアネットワークCNは、例えば、EPC(Evolved Packet Core)や5GC(5G Core network)である。管理装置10は、複数の基地局20および複数の基地局30それぞれと接続される。管理装置10は、基地局20および基地局30の通信を管理する。コアネットワークは、管理装置10のようなコントロールプレーン(C-Plane)ノードのほかに、パケットデータネットワーク(PDN)又はデータネットワーク(DN)とRANとの間でユーザデータを転送する。ユーザプレーン(U-Plane)ノードを含んでいてもよい。EPCにおけるU-PlaneノードはServing Gateway(S-GW)やPDN-Gateway(P-GW)を含んでもよい。5GCにおけるU-Planeノードは、U-Plane Function(UPF)を含んでいてもよい。例えば、管理装置10は、通信システム1内の端末装置50(UE)が、どの位置に存在するかを、複数のセルからなるエリア単位(e.g. Tracking Area、RAN Notification Area)で端末装置50ごとに管理する。なお、管理装置10は、端末装置50がどの基地局(或いはどのセル)に接続しているか、どの基地局(或いはどのセル)の通信エリア内に存在しているか、等を端末装置50ごとにセル単位で把握して管理してもよい。
【0025】
基地局20は、端末装置50と無線通信する基地局である。図1の例では、基地局20は、基地局40と接続されており、基地局40を介して端末装置50と無線通信することも可能である。本実施形態では、基地局20は、空中又は宇宙を浮遊可能な基地局である。例えば、基地局20は、航空機局や衛星局等の非地上局装置である。
【0026】
航空機局は、例えば、航空機等、大気圏内を浮遊可能な無線通信装置である。航空機局は、例えば、航空機等に搭載される装置であってもよいし、航空機そのものであってもよい。なお、航空機という概念には、飛行機、グライダー等の重航空機のみならず、気球、飛行船等の軽航空機も含まれる。また、航空機という概念には、重航空機や軽航空機のみならず、ヘリコプターやオートジャイロ等の回転翼機も含まれる。なお、航空機局(又は、航空機局が搭載される航空機)は、ドローン(Aerial Vehicle)等の無人航空機であってもよい。なお、無人航空機という概念には、無人航空システム(UAS:Unmanned Aircraft Systems)、つなぎ無人航空システム(tethered UAS)も含まれる。また、無人航空機という概念には、軽無人航空システム(LTA:Lighter than Air UAS)、重無人航空システム(HTA:Heavier than Air UAS)が含まれる。その他、無人航空機という概念には、高高度無人航空システムプラットフォーム(HAPs:High Altitude UAS Platforms)も含まれる。さらに、航空機局がUEとして機能する場合、当該航空機局は、Aerial UEであってもよい。
【0027】
衛星局は、大気圏外を浮遊可能な無線通信装置である。衛星局は、人工衛星等の宇宙移動体に搭載される装置であってもよいし、宇宙移動体そのものであってもよい。衛星局となる衛星は、低軌道(LEO:Low Earth Orbiting)衛星、中軌道(MEO:Medium Earth Orbiting)衛星、静止(GEO:Geostationary Earth Orbiting)衛星、高楕円軌道(HEO:Highly Elliptical Orbiting)衛星の何れであってもよい。勿論、衛星局は、低軌道衛星、中軌道衛星、静止衛星、又は高楕円軌道衛星に搭載される装置であってもよい。
【0028】
基地局30は、端末装置50と無線通信する基地局である。図1の例では、基地局30は、基地局40と接続されており、基地局40を介して端末装置50と無線通信することも可能である。基地局30は、地上の構造物に配置される基地局であってもよいし、地上を移動する移動体に設置される基地局であってもよい。例えば、基地局30は、ビル等の構造物に設置されたアンテナおよびそのアンテナに接続する信号処理装置である。勿論、基地局30は、構造物や移動体そのものであってもよい。
【0029】
基地局40は、基地局の中継局となる装置である。基地局40は、基地局の一種である。基地局40は、基地局20と端末装置50との通信、又は基地局30と端末装置50との通信を中継する。基地局40は、地上局であってもよいし、非地上局であってもよい。基地局40は基地局20および基地局30とともに無線アクセスネットワークRANを構成してもよい。
【0030】
端末装置50は、例えば、携帯電話、スマートデバイス(スマートフォン、又はタブレット)、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータである。また、端末装置50は、M2M(Machine to Machine)デバイス、又はIoT(Internet of Things)デバイスであってもよい(例えば、MTC UE、NB-IoT UE、Cat.M UEと呼ばれてもよい)。また、端末装置50は、移動体に設置される無線通信装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。なお、端末装置50は、衛星通信を中継する中継局であってもよいし、衛星通信を受信する基地局であってもよい。端末装置50は、地上波ネットワークと非地上波ネットワークの双方に対応する。そのため、端末装置50は、基地局30等の地上局装置のみならず、基地局20等の非地上局装置とも通信可能である。
【0031】
図2は、通信システム1が提供する無線ネットワークの一例を示す図である。基地局20および基地局30はそれぞれセルを構成する。セルとは基地局により無線通信がカバーされるエリアである。基地局20および基地局30により構成されるセルは、マクロセル、マイクロセル、フェムトセル、およびスモールセルの何れであってもよい。なお、通信システム1は、単一の基地局で複数のセルを管理するように構成されていてもよいし、複数の基地局で1つのセルを管理するように構成されていてもよい。基地局により提供されるセルはServing cellと呼ばれる。Serving cellはPCell(Primary Cell)及びSCell(Secondary Cell)を含む。Dual Connectivity (e.g. EUTRA-EUTRA Dual Connectivity、EUTRA-NR Dual Connectivity(ENDC)、EUTRA-NR Dual Connectivity with 5GC、NR-EUTRA Dual Connectivity(NEDC)、NR-NR Dual Connectivity)がUE(e.g. 端末装置50)に提供される場合、MN(Master Node)によって提供されるPCell及びゼロ又は1以上のSCell(s)はMaster Cell Groupと呼ばれる。さらに、Serving cellはPSCell(Primary Secondary Cell又はPrimary SCG Cell)を含んでもよい。すなわち、Dual Connectivity がUEに提供される場合、SN(Secondary Node)によって提供されるPSCell及びゼロ又は1以上のSCell(s)はSecondary Cell Group(SCG)と呼ばれる。特別な設定(e.g., PUCCH on SCell)がされていない限り、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)はPCell及びPSCellで送信されるが、SCellでは送信されない。また、Radio Link FailureもPCell及びPSCellでは検出されるが、SCellでは検出されない(検出しなくてよい)。このようにPCell及びPSCellは、Serving Cell(s)の中で特別な役割を持つため、Special Cell(SpCell)とも呼ばれる。1つのセルには、1つのDownlink Component Carrierと1つのUplink Component Carrier が対応付けられてもよい。また、1つのセルに対応するシステム帯域幅は、複数の帯域幅部分(Bandwidth Part)に分割されてもよい。この場合、1又は複数のBandwidth PartがUEに設定され、1つのBandwidth PartがActive BWPとして、UEに使用されてもよい。また、セル毎、コンポーネントキャリア毎又はBWP毎に、端末装置50が使用できる無線資源(例えば、周波数帯域、ヌメロロジー(サブキャリアスペーシング)、スロットフォーマット(Slot configuration))が異なっていてもよい。
【0032】
図2の例では、基地局30、30は地上波ネットワークTN1を構成し、基地局30、30、30は地上波ネットワークTN2を構成する。地上波ネットワークTN1および地上波ネットワークTN2は、例えば、電話会社等の無線通信事業者(Mobile Network Operator:MNO)により運営される地上波ネットワークである。地上波ネットワークTN1および地上波ネットワークTN2は、異なる無線通信事業者(i.e., PLMNが異なるMNO)により運営されてもよいし、同じ無線通信事業者により運営されてもよい。地上波ネットワークTN1と地上波ネットワークTN2とを1つの地上波ネットワークとみなすことも可能である。
【0033】
地上波ネットワークTN1と地上波ネットワークTN2はそれぞれコアネットワークに接続される。図2の例では、地上波ネットワークTN2を構成する基地局30は、管理装置10等により構成されるコアネットワークCNに接続される。地上波ネットワークTN2の無線アクセス方式がLTEなのであれば、コアネットワークCNはEPCである。また、地上波ネットワークTN2の無線アクセス方式がNRなのであれば、コアネットワークCNは5GCである。勿論、コアネットワークCNは、EPCや5GCに限られず、他の無線アクセス方式のコアネットワークであってもよい。なお、図2の例では、地上波ネットワークTN1はコアネットワークに接続されていないが、地上波ネットワークTN1はコアネットワークCNに接続されてもよい。また、地上波ネットワークTN1は、コアネットワークCNとは異なる不図示のコアネットワークに接続されてもよい。
【0034】
コアネットワークCNはゲートウェイ装置や関門交換機等を備え、ゲートウェイ装置を介して公衆ネットワークPNに接続されている。公衆ネットワークPNは、例えば、インターネット、地域IP網、電話網(携帯電話網、固定電話網等)、等の公衆データネットワークである。ゲートウェイ装置は、例えば、インターネットや地域IP網等に繋がるサーバ装置である。関門交換機は、例えば、電話会社の電話網に繋がる交換機である。管理装置10がゲートウェイ装置や関門交換機としての機能を有していてもよい。
【0035】
図2に示す基地局20および基地局40は、何れも、衛星局や航空機局等の非地上局装置である。非地上波ネットワークを構成する衛星局群(又は単一の衛星局)はスペースボーンプラットフォーム(Spaceborne Platform)と称される。また、非地上波ネットワークを構成する航空機局群(又は単一の航空機局)はエアボーンプラットフォーム(Airborne Platform)と称される。図2の例では、基地局20、基地局40、および基地局40がスペースボーンプラットフォームSBP1を構成し、基地局20がスペースボーンプラットフォームSBP2を構成する。また、基地局20がエアボーンプラットフォームABP1を構成する。
【0036】
端末装置50は、基地局30と基地局20の双方と通信可能である。図2の例では、端末装置50は、地上波ネットワークTN1を構成する基地局30と通信可能である。また、端末装置50は、スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2を構成する基地局20と通信可能である。また、端末装置50は、エアボーンプラットフォームABP1を構成する基地局20とも通信可能である。なお、端末装置50は、他の端末装置50(図2の例では端末装置50)と直接通信可能であってもよい。
【0037】
基地局20は、中継局60を介して地上波ネットワーク又はコアネットワークと接続する。スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2を構成する基地局20は、中継局60を介して地上波ネットワークTN1に接続する。また、スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2、およびエアボーンプラットフォームABP1を構成する基地局20は、中継局60を介してコアネットワークCNに接続する。なお、基地局20は中継局60を介さずに基地局20同士で直接通信することも可能である。
【0038】
中継局60は、例えば、航空局や地球局である。航空局は、航空機局と通信を行うために、地上又は地上を移動する移動体に設置された無線局である。また、地球局は、衛星局(宇宙局)と通信するために、地球(空中を含む。)に位置する無線局である。地球局は、大型地球局であってもよいし、VSAT(Very Small Aperture Terminal)等の小型地球局であってもよい。なお、地球局は、VSAT制御地球局(親局、HUB局ともいう。)であってもよいし、VSAT地球局(子局ともいう。)であってもよい。また、地球局は、地上を移動する移動体に設置される無線局であってもよい。例えば、船舶に搭載される地球局として、船上地球局(ESV:Earth Stations on board Vessels)が挙げられる。また、地球局には、航空機(ヘリコプターを含む。)に設置され、衛星局と通信する航空機地球局が含まれていてもよい。また、地球局には、地上を移動する移動体に設置され、衛星局を介して航空機地球局と通信する航空地球局が含まれていてもよい。なお、中継局60は、衛星局や航空機局と通信する携帯移動可能な無線局であってもよい。中継局60は通信システム1の一部とみなすことが可能である。
【0039】
スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2を構成する各装置は、端末装置50と衛星通信を行う。衛星通信とは、衛星局と端末装置50との無線通信のことである。図3は、通信システム1が提供する衛星通信の概要を示す図である。衛星局は、主に、静止衛星局と低軌道衛星局とに分けられる。
【0040】
静止衛星局は、高度およそ35786kmに位置し、地球の自転速度と同じ速度で地球を公転する。図3の例であれば、スペースボーンプラットフォームSBP2を構成する基地局20が静止衛星局である。静止衛星局は地上の端末装置50との相対速度がほぼ0であり、地上の端末装置50からは静止しているかのように観測される。基地局20は、地球上に位置する端末装置50、50、50等と衛星通信を行う。
【0041】
低軌道衛星局は、静止衛星局や中軌道衛星局に比べて低い高度で周回する衛星局である。低軌道衛星局は、例えば、高度500kmから2000kmの間に位置する衛星局である。図3の例であれば、スペースボーンプラットフォームSBP1を構成する基地局20、20が低軌道衛星局である。なお、図3には、スペースボーンプラットフォームSBP1を構成する衛星局として基地局20と基地局20の2つしか示されていない。しかしながら、実際には、スペースボーンプラットフォームSBP1を構成する衛星局は、2以上(例えば、数十から数千)の基地局20によって低軌道衛星コンステレーションが形成されている。低軌道衛星局は、静止衛星局とは異なり、地上の端末装置50との相対速度があり、地上の端末装置50からは移動しているかのように観測される。基地局20、20はそれぞれセルを構成し、地球上に位置する端末装置50、50、50等と衛星通信を行う。
【0042】
図4は、衛星局が構成するセルの一例を示す図である。図4には、低軌道衛星局である基地局20が形成するセルC2が示されている。低軌道を周回する衛星局は、地上に所定の指向性を持って地上の端末装置50と通信を行う。例えば、図4に示す角度R1は40°である。図4の場合、基地局20が形成するセルC2の半径D1は、例えば、1000kmである。低軌道衛星局は、一定の速度をもって移動する。低軌道衛星局が地上の端末装置50に衛星通信を提供することが困難になった場合には、後続の低軌道衛星局が衛星通信を提供する。図4の例の場合、基地局20が地上の端末装置50に衛星通信を提供することが困難になった場合は、後続の基地局20が衛星通信を提供する。なお、上記した角度R1および半径D1の値はあくまで一例であり上記に限られない。
【0043】
上述したように、端末装置50は非地上波ネットワークを使った無線通信が可能である。また、通信システム1の基地局20および基地局40は、非地上波ネットワークを構成する。これにより、通信システム1は、地上波ネットワークがカバーできないエリアに位置する端末装置50へサービスを拡張することが可能になる。例えば、通信システム1は、IoT(Internet of Things)デバイスやMTC(Machine Type Communications)デバイス等の端末装置50に対し、パブリックセーフティ通信やクリティカル通信を提供することが可能になる。また、非地上波ネットワークを使用することによりサービス信頼性や復帰性が向上するので、通信システム1は、物理攻撃又は自然災害に対するサービスの脆弱性を低減することが可能になる。また、通信システム1は、飛行機の乗客やドローンなど航空機端末装置へのサービス接続や船や電車などの移動体端末装置へのサービス接続を実現できる。その他、通信システム1は、A/Vコンテンツ、グループ通信、IoTブロードキャストサービス、ソフトウェアダウンロードサービス、緊急メッセージなどの高効率マルチキャストサービス、高効率ブロードキャストサービス等の提供を実現できる。さらに、通信システム1は、地上波ネットワークと非地上波ネットワーク間のトラフィックオフロードも実現できる。これらの実現のため、通信システム1が提供する非地上波ネットワークは、通信システム1が提供する地上波ネットワークと、上位層で運用統合がなされることが望ましいがこれには限られない。また、通信システム1が提供する非地上波ネットワークは、通信システム1が提供する地上波ネットワークと、無線アクセス方式が共通であることが望ましいがこれには限られない。
【0044】
次に、本実施形態に係る通信システム1を構成する各装置の構成を具体的に説明する。
【0045】
<2-2.管理装置の構成>
管理装置10は、無線ネットワークを管理する装置である。例えば、管理装置10は基地局20、および基地局30の通信を管理する装置である。コアネットワークがEPCなのであれば、管理装置10は、例えば、MME(Mobility Management Entity)としての機能を有する装置である。また、コアネットワークが5GCなのであれば、管理装置10は、例えば、AMF(Access and Mobility Management Function)としての機能を有する装置である。なお、管理装置10はゲートウェイの機能を有していてもよい。例えば、コアネットワークがEPCなのであれば、管理装置10は、S-GW(Serving Gateway)やP-GW(Packet Data Network Gateway)としての機能を有していてもよい。また、コアネットワークが5GCなのであれば、管理装置10は、UPF(User Plane Function)としての機能を有していてもよい。なお、管理装置10は必ずしもコアネットワークを構成する装置でなくてもよい。例えば、コアネットワークがW-CDMAやcdma2000のコアネットワークなのであれば、管理装置10はRNC(Radio Network Controller)として機能する装置であってもよい。
【0046】
図5は、本開示の実施形態に係る管理装置10の構成例を示す図である。管理装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。なお、図5に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、管理装置10の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。例えば、管理装置10は、複数のサーバ装置により構成されていてもよい。
【0047】
通信部11は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。通信部11は、ネットワークインタフェースであってもよいし、機器接続インタフェースであってもよい。例えば、通信部11は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースであってもよいし、USB(Universal Serial Bus)ホストコントローラ、USBポート等により構成されるUSBインタフェースであってもよい。また、通信部11は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。通信部11は、管理装置10の通信手段として機能する。通信部11は、制御部13の制御に従って基地局30や中継局60と通信する。
【0048】
記憶部12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部12は、管理装置10の記憶手段として機能する。記憶部12は、例えば、端末装置50の接続状態を記憶する。例えば、記憶部12は、端末装置50のRRC(Radio Resource Control)の状態やECM(EPS Connection Management)の状態を記憶する。記憶部12は、端末装置50の位置情報を記憶するホームメモリとして機能してもよい。
【0049】
制御部13は、管理装置10の各部を制御するコントローラ(controller)である。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部13は、管理装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部13は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、およびFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0050】
<2-3.基地局の構成>
次に、基地局の構成を説明する。通信システム1は、基地局として、基地局20と、基地局30と、基地局40と、を備える。基地局20~40は何れも移動可能であってもよい。以下、基地局の構成として基地局20の構成を説明する。なお、基地局30、基地局40の構成は、以下に示す基地局20の構成と同じであってもよい。
【0051】
図6は、本開示の実施形態に係る基地局20の構成例を示す図である。基地局20は、無線通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。なお、図6に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、基地局20の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0052】
無線通信部21は、他の無線端末装置(例えば、端末装置50や中継局60)と無線通信する無線通信インタフェースである。無線通信部21は1又は複数の無線アクセス方式に対応する。例えば、無線通信部21は、NRおよびLTEの双方に対応する。無線通信部21は、NRやLTEに加えて、W-CDMAやcdma2000に対応していてもよい。無線通信部21は、受信処理部211、送信処理部212、アンテナ213を備える。無線通信部21は、受信処理部211、送信処理部212、およびアンテナ213をそれぞれ複数備えていてもよい。なお、無線通信部21が複数の無線アクセス方式に対応する場合、無線通信部21の各部は、無線アクセス方式毎に個別に構成されうる。例えば、受信処理部211および送信処理部212は、LTEとNRとで個別に構成されてもよい。
【0053】
受信処理部211は、アンテナ213を介して受信された上りリンク信号の処理を行う。受信処理部211は、無線受信部211aと、多重分離部211bと、復調部211cと、復号部211dと、を備える。
【0054】
無線受信部211aは、上りリンク信号に対して、ダウンコンバート、不要な周波数成分の除去、増幅レベルの制御、直交復調、デジタル信号への変換、ガードインターバルの除去、高速フーリエ変換による周波数領域信号の抽出等を行う。多重分離部211bは、無線受信部211aから出力された信号から、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)等の上りリンクチャネルおよび上りリンク参照信号を分離する。復調部211cは、上りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase shift Keying)等の変調方式を使って受信信号の復調を行う。復調部211cが使用する変調方式は、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、又は256QAM等であってもよい。復号部211dは、復調された上りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された上りリンクデータおよび上りリンク制御情報は制御部23へ出力される。
【0055】
送信処理部212は、下りリンク制御情報および下りリンクデータの送信処理を行う。送信処理部212は、符号化部212aと、変調部212bと、多重部212cと、無線送信部212dと、を備える。
【0056】
符号化部212aは、制御部23から入力された下りリンク制御情報および下りリンクデータを、ブロック符号化、畳み込み符号化、ターボ符号化等の符号化方式を用いて符号化を行う。変調部212bは、符号化部212aから出力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の所定の変調方式で変調する。多重部212cは、各チャネルの変調シンボルと下りリンク参照信号とを多重化し、所定のリソースエレメントに配置する。無線送信部212dは、多重部212cからの信号に対して、各種信号処理を行う。例えば、無線送信部212dは、高速フーリエ変換による時間領域への変換、ガードインターバルの付加、ベースバンドのデジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、アップコンバート、余分な周波数成分の除去、電力の増幅等の処理を行う。送信処理部212で生成された信号は、アンテナ213から送信される。
【0057】
記憶部22は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部22は、基地局20の記憶手段として機能する。記憶部22は、切替情報を記憶する。切替情報は、端末装置50が基地局の切り替えに使用する情報である。切替情報には、例えば、リソース情報、トリガ情報、タイミングアドバンス情報等の情報が含まれる。
【0058】
リソース情報は、接続中の端末装置50が、移動可能に構成された切替先候補の基地局と無線通信するために用いる無線リソースに関する情報である。また、トリガ情報は、端末装置50が接続先の基地局を切り替えるか否かを判定するために用いる情報である。また、タイミングアドバンス情報は、端末装置50が切替先候補の基地局へ接続するためのタイミングアドバンスに関する情報である。リソース情報、トリガ情報、およびタイミングアドバンス情報については後に詳述する。
【0059】
制御部23は、基地局20の各部を制御するコントローラ(controller)である。制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部23は、基地局20内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部23は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、およびFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0060】
<2-5.端末装置の構成>
次に、端末装置50の構成を説明する。図7は、本開示の実施形態に係る端末装置50の構成例を示す図である。端末装置50は、無線通信部51と、記憶部52と、ネットワーク通信部53と、入出力部54と、制御部55と、を備える。なお、図7に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、端末装置50の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。また、図7に示した構成は例示であり、無線通信部51と、記憶部52と、ネットワーク通信部53と、入出力部54と、制御部55とは全てが必須の構成要素ではない。例えば、本開示の実施形態の観点から、少なくともネットワーク通信部53と、入出力部54は必須野構成要素ではなくてもよい。
【0061】
無線通信部51は、他の無線通信装置(例えば、基地局20、30、40)と無線通信する無線通信インタフェースである。無線通信部51は1又は複数の無線アクセス方式に対応する。例えば、無線通信部51は、NRおよびLTEの双方に対応する。無線通信部51は、NRやLTEに加えて、W-CDMAやcdma2000に対応していてもよい。無線通信部51は、受信処理部511、送信処理部512、アンテナ513を備える。無線通信部51は、受信処理部511、送信処理部512、およびアンテナ513をそれぞれ複数備えていてもよい。なお、無線通信部51が複数の無線アクセス方式に対応する場合、無線通信部51の各部は、無線アクセス方式毎に個別に構成されうる。例えば、受信処理部511および送信処理部512は、LTEとNRとで個別に構成されてもよい。
【0062】
受信処理部511は、アンテナ513を介して受信された下りリンク信号の処理を行う。受信処理部511は、無線受信部511aと、多重分離部511bと、復調部511cと、復号部511dと、を備える。
【0063】
無線受信部511aは、下りリンク信号に対して、ダウンコンバート、不要な周波数成分の除去、増幅レベルの制御、直交復調、デジタル信号への変換、ガードインターバルの除去、高速フーリエ変換による周波数領域信号の抽出等を行う。多重分離部511bは、無線受信部511aから出力された信号から、下りリンクチャネル、下りリンク同期信号、および下りリンク参照信号を分離する。下りリンクチャネルは、例えば、PBCH(Physical Broadcast Channel)、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)等のチャネルである。復調部211cは、下りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の変調方式を使って受信信号の復調を行う。復号部511dは、復調された下りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された下りリンクデータおよび下りリンク制御情報は制御部23へ出力される。
【0064】
送信処理部512は、上りリンク制御情報および上りリンクデータの送信処理を行う。送信処理部512は、符号化部512aと、変調部512bと、多重部512cと、無線送信部512dと、を備える。
【0065】
符号化部512aは、制御部55から入力された上りリンク制御情報および上りリンクデータを、ブロック符号化、畳み込み符号化、ターボ符号化等の符号化方式を用いて符号化を行う。変調部512bは、符号化部512aから出力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の所定の変調方式で変調する。多重部512cは、各チャネルの変調シンボルと上りリンク参照信号とを多重化し、所定のリソースエレメントに配置する。無線送信部512dは、多重部512cからの信号に対して、各種信号処理を行う。例えば、無線送信部512dは、逆高速フーリエ変換による時間領域への変換、ガードインターバルの付加、ベースバンドのデジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、アップコンバート、余分な周波数成分の除去、電力の増幅等の処理を行う。送信処理部512で生成された信号は、アンテナ513から送信される。
【0066】
記憶部52は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部52は、端末装置50の記憶手段として機能する。記憶部52は、切替情報を記憶する。切替情報は、基地局20、30、又は40から取得する情報であり、端末装置50が基地局の切り替えに使用する。切替情報には、例えば、リソース情報、トリガ情報、タイミングアドバンス情報等の情報が含まれる。リソース情報、トリガ情報、およびタイミングアドバンス情報については後に詳述する。
【0067】
ネットワーク通信部53は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。例えば、ネットワーク通信部53は、NIC等のLANインタフェースである。ネットワーク通信部53は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。ネットワーク通信部53は、端末装置50のネットワーク通信手段として機能する。ネットワーク通信部53は、制御部55の制御に従って、他の装置と通信する。
【0068】
入出力部54は、ユーザと情報をやりとりするためのユーザインタフェースである。例えば、入出力部54は、キーボード、マウス、操作キー、タッチパネル等、ユーザが各種操作を行うための操作装置である。又は、入出力部54は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等の表示装置である。入出力部54は、スピーカー、ブザー等の音響装置であってもよい。また、入出力部54は、LED(Light Emitting Diode)ランプ等の点灯装置であってもよい。入出力部54は、端末装置50の入出力手段(入力手段、出力手段、操作手段又は通知手段)として機能する。
【0069】
制御部55は、端末装置50の各部を制御するコントローラである。制御部55は、例えば、CPU、MPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部55は、端末装置50内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部55は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、およびFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0070】
<2-6.初期接続処理>
次に、通信システム1の動作について説明する。まず、初期接続処理を説明する。初期接続(Initial Access)とは、UE(端末装置50)がいずれのRAN(基地局)基地局20基地局30ともコネクションを確立していないアイドル状態(RRC_IDLE)から、いずれかのRANとの接続を確立した接続状態(RRC_CONNECTED)に遷移するための処理である。
【0071】
図8は、初期接続処理の一例を示すフローチャートである。以下、図8を参照しながら、初期接続処理を説明する。以下に示す初期接続処理は、例えば、UE(端末装置50)に電源が投入された場合に実行される。
【0072】
まず、アイドル状態の端末装置50は、セルサーチを行う。セルサーチは、セルのPhysical Cell ID(PCI)を検出し、時間及び周波数同期を得るためのUE向けの手順である。本実施形態のセルサーチには、同期信号の検出とPBCHの復号の工程が含まれる。NRにおける同期信号(SS)は、Primary Synchronization Signal (PSS) and Secondary Synchronization Signal (SSS)を含む。NRでは、PSS、SSS、PBCHとが1つのセットとなって送信される。このセットをSS/PBCH block(SSB)と呼ぶ。また、SSBは単位時間(e.g., half frame (5ms))当たりに複数送信される。half frameあたりに送信される複数のSSBは、SSB burst, SS burst, SSB burst set又は SS burst setと呼ばれる。SSB burstはSSB burstのperiodicityで周期的に繰り返して送信される。1つのSSB burst内の複数のSSBのそれぞれには、Index(SSB Index)が割り当てられている。1つのSSB Indexは例えば1つのビームに関連付けられている。また、1つのSSB burst内の複数のSSBの数は、周波数バンドに関連付けられたSubcarrier Spacingに依存する。UE(端末装置50)の制御部55は、セルのSSBを検出する(ステップS101)。より具体的には、UEはSSB burstの中から最も品質がよいビームに対応するSSBを検出する。制御部55は、検出した同期信号に基づいて、セルと下りリンクでの同期を行う。そして、下りリンクの同期確立後、制御部55は、PBCHの復号を試み、システム情報の一部であるMIB(Master Information Block)を取得する(ステップS102)。
【0073】
システム情報は、当該システム情報を送信するセルにおける設定を報知する情報である。システム情報には、例えば、セルへのアクセス(e.g. Random Access)に関する情報(e.g., RACH-Config)、セル選択に関する情報、他RATや他システムに関する情報等が含まれる。システム情報には、MIBとSIB(System Information Block)とが含まれる。MIBは、SIB等を受信するのに必要な物理層の情報であり、PBCHによって報知される固定のペイロードサイズの情報である。MIBには、下りリンクのシステム帯域幅、システムフレーム番号の一部、SIBのスケジューリング情報等が含まれる。SIBは、MIB以外のシステム情報であり、PDSCHによって報知される。
【0074】
なお、システム情報は、第1のシステム情報と第2のシステム情報と第3のシステム情報に分類することができる。第1のシステム情報及び第2のシステム情報には、セルへのアクセスに関する情報、その他のシステム情報の取得に関する情報、及びセル選択に関する情報が含まれる。LTEでは、MIBに含まれる情報が第1のシステム情報である。また、SIBのうちのSIB1及びSIB2に含まれる情報が第2のシステム情報である。残りのシステム情報が第3のシステム情報である。
【0075】
NRにおいても、システム情報はNRセルから報知される。システム情報を運ぶ物理チャネルは、スロット又はミニスロットで送信されてもよい。ミニスロットとは、スロットのシンボル数よりも少ないシンボル数で定義される。ミニスロットでシステム情報を運ぶ物理チャネルが送信されることで、ビームスイープに必要な時間が短縮されて、オーバヘッドを縮小することができる。NRの場合、第1のシステム情報は、NR-PBCHで送信され、第2のシステム情報は、NR-PBCHとは異なる物理チャネルで送信される。
【0076】
端末装置50の制御部55は、MIB(すなわち、第1のシステム情報)に基づき、第2のシステム情報を取得する(ステップS103)。上述したように、第2のシステム情報は、SIB1とSIB2とで構成される。SIB1は、セルのアクセス規制情報とSIB1以外のシステム情報のスケジューリング情報である。SIB1には、NRであれば、セル選択に関する情報(例えば、cellSelectionInfo)、セルアクセスに関連する情報(例えば、cellAccessRelatedInfo)、接続確立失敗制御に関する情報(例えば、connEstFailureControl)、SIB1以外のシステム情報のスケジューリング情報(例えば、si-SchedulingInfo)、サービングセルの設定、などが含まれる。サービングセルの設定は、セル固有のパラメータが含まれており、下りリンク設定、上りリンク設定、TDD設定情報、などが含まれている。上りリンク設定の中にRACH設定、などが含まれる。また、LTEであれば、SIB1には、セルのアクセス情報、セル選択情報、最大上りリンク送信電力情報、TDD設定情報、システム情報の周期、システム情報のマッピング情報、SI(System Information)窓の長さ等が含まれる。また、SIB2には、NRであれば、セル再選択情報(例えば、cellReselectionInfoCommon)、セル再選択サービング周波数情報(例えば、cellReselectionServingFreqInfo)が含まれる。LTEであれば、SIB2には、接続禁止情報、セル共通の無線リソース設定情報(radioResourceConfigCommon)、上りリンクキャリア情報等が含まれる。セル共通の無線リソース設定情報の中には、セル共通のPRACH(Physical Random Access Channel)及びRACH(Random Access Channel)の設定情報が含まれる。
【0077】
なお、制御部55がリンクの確立に必要なシステム情報を取得できなかった場合、端末装置50の制御部55は、そのセルへのアクセスは禁止されていると判断する。例えば、第1のシステム情報及び第2のシステム情報の全てを取得できなかった場合、制御部55は、そのセルへのアクセスは禁止されていると判断する。この場合、制御部55は、初期接続処理を終了する。
【0078】
システム情報を取得できた場合、制御部55は、第1のシステム情報及び/又は第2のシステム情報に基づき、ランダムアクセス手続き(Random Access Procedure)を実行する(ステップS104)。ランダムアクセス手続きは、RACH手続き(Random Access Channel Procedure)やRA手続き(RA Procedure)と称されることがある。RACH手順において、まずUEはRandom Access Preambleを送信し、その後設定されたIE ra-ResponseWindowが示す期間だけRA-RNTI によって識別されたRandom Access Responseのために、そのセルのPDCCHをモニタリングする。一方、送信したPreambleが衝突することなくRANに届いた場合、送信したプリアンブルのインデックスであるPREAMBLE_INDEXに対応するPreamble identifierを含むRandom Access ResponseがRANからUEへ送信される。UEは、ra-ResponseWindoがランニングしている間に、送信したPREAMBLE_INDEXに対応するPreamble identifierを含むRandom Access Responseを受信した場合、UEはランダムアクセス手続きが成功裏(Successful)に完了したと認識する。そして、UEはMsg3にてRRCSetupRequest messageを送信し、RRCSetupRequest message に応答してRRCSetupメッセージをRANから受信した場合、UE(端末装置50)はアイドル状態(RRC_IDLE)から接続状態(RRC_CONNECTED)に遷移し(RRC Connectedに入り)、現在のセル(RACH手順を行い、RRC Setup手順を行ったセル)をPrimary Cellだと認識する。
【0079】
<2-7.HARQの手続きの一例>
ここで、端末装置50の制御部55と、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)とによる通信処理(例えば上記の初期接続処理)においては、データの誤り訂正のためにHybrid ARQ(HARQ)が用いられている。例えば、PDSCHデータ送信、PUSCHデータ送信、PSSCHデータ送信には、HARQが用いられる。
【0080】
HARQは、初送のデータおよび再送されたデータを結合(Soft combining)して誤り訂正を実施することにより、符号化利得を得る手段である。基地局装置または端末装置50は、HARQを実施するため、復号に失敗したデータをHARQ bufferに保持しておき、再送されたデータと保持をしておいたデータを結合し、誤り訂正を実施する。より具体的には、1つのHARQ processは次の動作を含んでいてもよい。UE(端末装置50)内のMACエンティティは、受信したデータが新規送信か再送信かを、当該データの送信リソースをスケジュールしたDCI内のNew Date Indicator (NDI)から判定する。もし、受信したデータが新規送信である場合、MACエンティティは受信データのデコードを試みる。もし、受信したデータが再送信である場合、且つそのトランスポートブロックのデータがまだ成功裏(successfully)にデコードされていない場合、MACエンティティはこのトランスポートブロックのためのソフトバッファの中に現在あるデータと受信したデータとを結合(combine)することを物理レイヤに指示し、結合したデータのデコードを試みる。もし、MACエンティティによってデコードを試みられたデータが成功裏にデコードされた場合、又は前にデータが成功裏にデコードされていた場合、デコードされたMAC PDUは上位レイヤ又はディスアセンブリ及びデマルチプレキシングエンティティ(disassembly and demultiplexing entity)へ運ばれる。もし、MACエンティティによってデコードを試みられたデータが成功裏にデコードされなかった場合、及び前にデータが成功裏にデコードされていない場合、そのトランスポートブロックのためのソフトバッファ内のデータはデコードが試みられたデータへ置き換えるよう物理レイヤへ指示する。そして、MACエンティティはそのトランスポートブロック内のデータのacknowledgement(s)、すなわHARQ Feedback(ACK/NACK)の生成を物理レイヤへ指示する。
【0081】
HARQの処理は、識別情報(例えばHARQ process identifier)が付与されたHARQ processごとに実施される。すなわち、複数個のHARQ processが存在する場合、並列でのHARQ処理を実施することが可能となる。基地局装置または端末装置50は、一つまたは複数個のHARQ processを保持することが可能である。より具体的には、MACエンティティは、サービングセルごとにHARQエンティティを備える。HARQエンティティは多数の並列HARQプロセスを維持する。なお、HARQの処理はダウンリンクのみならず、アップリンクにも適用され得る。この場合、MACエンティティは、アップリンクが設定されたサービングセルごとのHARQエンティティを備える。上述したように、各HARQプロセスには、HARQ process identifierが関連付けられる。ダウンリンク用のHARQプロセスの数とアップリンク用のHARQプロセスの数は異なっていてもよいし同じであってもよい。HARQエンティティは、例えば、HARQ情報や関連するTBを、対応するHARQプロセスに転送する。
【0082】
以降の説明における基地局装置は、衛星局やドローン、気球、飛行機など、通信装置として動作する基地局20であるか、基地局30であるか否かにかかわらず実施可能である。基地局30端末装置また、以降の説明において具体例を示す際に、具体的な値を示して説明をしている箇所があるが、値はその例に寄らず、別の値を使用してもよい。
【0083】
また、以降の説明においてリソースは、Frequency、Time、Resource Element(REG、CCE、CORESETを含む)、Resource Block、Bandwidth Part、Component Carrier、Symbol、Sub-Symbol、Slot、Mini-Slot、Subslot、Subframe、Frame、PRACH occasion、Occasion、Code、Multi-access physical resource、Multi-access signature、Subcarrier Spacing (Numerology)などを表す。また、以降の説明におけるHARQ process identifierは、HARQ process numberと読み替えてもよい。
【0084】
ここで、基地局装置(例えば基地局20、30)から端末装置50に対するPDSCHデータ送信を例示してHARQの手続きを説明する。図9は、HARQの手続きの一例を示すシーケンス図である。
【0085】
図9に示すように、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、無線通信(例えば無線通信部21)を介してPDSCHデータをHARQを用いて端末装置50へ送信する(ステップS201)。すなわち、UE(端末装置50)は、PDSCHデータを受信する。より具体的には、UEは、例えば、Discontinuous Reception(DRX),BWP, SCellのConfigurationなど、PDCCHのモニタリングに関するconfigurationに基づいて決定される期間で、PDCCHをモニタリングしている。ここで当該UE当てのデータがあった場合(i.e. PDCCHがUE当てのデータ(PDSCH)の割り当てを示している場合)、UEは対応するPDSCHでデータを受信する。そしてUEはPDCCHがPDSCHデータ(DL送信)を示していることをトリガとして、データ(PDSCHで運ばれているTransport Block)に関連付けられたHARQ processのためのdrx-HARQ-RTT-TimerDLをスタートさせる。drx-HARQ-RTT-TimerDLをスタートさせるタイミングは、DL HARQ feedbackを運ぶ対応する送信の最後のOFDMシンボルの後の最初のOFDMシンボルである。このPDSCHデータ送信のHARQ処理には、HARQ process identifierとしてHARQ process #1が割り当てられているものとする。
【0086】
基地局装置からのPDSCHデータを受けた端末装置50の制御部55(e.g., MACエンティティ)は、PDSCHデータ(i.e., PDSCHが運ぶTransport Block内のデータ)の復号を試みる。ここでの復号は、上述の通り、受信したデータが新規送信であった場合には、新たに復号を試み、受信したデータが再送信であった場合には、すでにソフトバッファに格納されていたデータと受信したデータを結合したうえで復号を試みる。ここで、PDSCHデータの復号は、失敗した(not successfully decoded)ものとする(ステップS202)。
【0087】
PDSCHデータの復号失敗により、端末装置50の制御部55(e.g., MACエンティティ)は、記憶部52に確保した記憶領域におけるHARQ process #1のHARQ bufferに復号が失敗したPDSCHデータを格納する(ステップS204)。すでにHARQ bufferにデータ格納されていた場合は置き換える。次いで無線通信部51を介してNACKを基地局装置に送信する(ステップS203)。端末装置さらに、UEは、もし動作させていたdrx-HARQ-RTT-TimerDLが満了した場合、そのHARQ processのデータが成功裏に復号されなかったら、drx-RetransmissionTimerDLをスタートさせる。drx-RetransmissionTimerDLをスタートさせるタイミングは、drx-HARQ-RTT-TimerDLの満了後の最初のOFDMシンボルである。図9の場合、ステップS202において、HARQ process #1に対応するデータのデコードが失敗しているので、drx-RetransmissionTimerDLがスタートする。
【0088】
図10は、HARQ bufferの概要を説明する説明図である。図10に示すように、記憶部52には、HARQ processごとの記憶領域521が割り当てられている。これにより、端末装置50は、一つまたは複数個のHARQ processを保持することが可能である。なお、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)についても端末装置50と同様、記憶部(例えば記憶部22)において一つまたは複数個のHARQ processを保持することが可能となっている。
【0089】
図示例において、制御部55は、復号が失敗したPDSCHデータに関するHARQ process #1の記憶領域522におけるHARQ buffer522aに、PDSCHデータを格納する。すでにHARQ bufferにデータ格納されていた場合は置き換える。
【0090】
図9に戻り、NACKを受けた基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、無線通信(例えば無線通信部21)を介してPDSCHデータを端末装置50へ再送する(ステップS205)。言い換えるとUE(端末装置50)は、PDSCHデータの再送を受信する。より具体的には、UEはdrx-RetransmissionTimerDLが動作している間、PDCCHをモニタする。drx-RetransmissionTimerDLはRANからのDL再送がUEによって期待される時間を示す。したがって、drx-RetransmissionTimerDLが動作している間にDL再送がUEへ送られる。
【0091】
PDSCHデータの再送を受けた端末装置50の制御部55は、HARQ process #1のHARQ buffer522aに格納していたデータと、再送データとをSoft combiningしてPDSCHデータを復号する(ステップS206)。ここで、PDSCHデータの復号は、成功したものとする(ステップS207)。
【0092】
PDSCHデータの復号成功により、端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介してACKを基地局装置に送信する(ステップS208)。次いで、端末装置50の制御部55は、HARQ process #1のHARQ buffer522a内データをクリアする(ステップS209)。
【0093】
<2-8.伝送遅延の問題>
例えば、NTN通信の場合、端末装置50と、飛行機やドローンなどを含む基地局装置(例えば基地局20、基地局30)との伝搬距離が長いため、伝搬遅延が大きくなる。
【0094】
伝搬遅延が大きい場合、基地局装置または端末装置50のHARQ bufferに空きが無くなり、HARQ process数が不足する場合がある。例えば、基地局装置がデータを送信し、端末装置50はそのデータを受信するとした場合、復号が成功すれば、端末装置50は基地局装置にACKを返してHARQ buffer内のデータをFlush(クリア)して処理は終了になる。一方で、復号に失敗した場合、端末装置50は基地局装置にNACKを返し、NACK返信後に再送されるデータとSoft combiningを実施するために、HARQ buffer内に受信したデータを保持しておく必要がある。
【0095】
基地局装置および端末装置50は、一つまたは複数個のHARQ processを並列で使用することができ、伝搬遅延が小さい場合はNACKを返してから再送データが送信されるまでの時間が短く、HARQ processが不足するといった問題は生じない。しかしながら、伝搬遅延が大きい場合は、NACKを返して再送されるまでの時間が長くなるため、HARQ processが不足する(もしくは不足状態の解消までに時間がかかる)可能性がある。
【0096】
<2-9.実施形態の概要>
上記の伝送遅延の問題に鑑み、本実施形態における基地局装置および端末装置50では、制御部(例えば制御部23、55)の制御のもと、HARQにおける再送のためのフィードバックをDisableにする無効情報を無線通信部(例えば無線通信部21、51)を介して通知する(HARQ feedback disabling)。このように、再送のためのフィードバックをDisableにすること(HARQ feedback disabling)により、HARQ bufferに受信データを溜めずに、すぐにBuffer内のデータをフラッシュ(クリア)し、HARQ processが不足しないようにする。
【0097】
HARQ feedback disablingとは、すなわち、単一または空間多重された複数個のTransport blockに対して初送のみ、または繰り返し送信をして、端末装置50からのACK/NACK通知無しで、データの送信を完了することである。この時、端末装置50のACK/NACK返信はしなくてもよい。
【0098】
例えば、下りリンクを考慮した場合、PDSCH送信に対するHARQ feedbackは、端末装置50から送信されるUCI(Uplink Control Information)が相当する。一例として、基地局装置(例えば、基地局20、基地局30)から送信されたPDSCHの復号に失敗した場合、端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介してUCI(NACK)を基地局装置に送信する。これにより、基地局装置の制御部(例えば制御部23)は、無線通信部(例えば無線通信部21)を介してデータを再送する。一方で、基地局装置から送信されたPDSCHの復号に成功した場合、端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介してUCI(ACK)を基地局装置に送信し、基地局装置は次の新しいデータを送信する。
【0099】
また、上りリンクを考慮した場合、PUSCH送信に対するHARQ feedbackは、例えば、基地局装置から送信されるDCI(Downlink Control Information)が相当するか、または、明示的なACK/NACK情報が相当する。例えば、端末装置50から送信されたPUSCHの復号に失敗した場合、基地局装置の制御部(例えば制御部23)は、無線通信部(例えば無線通信部21)を介して再送を示す情報を含むDCIを端末装置50に送信する。これにより、端末装置50の制御部55はデータを再送する。一方で、端末装置50から送信されたPUSCHの復号に成功した場合、基地局装置の制御部(例えば制御部23)は、無線通信部(例えば無線通信部21)を介して初送を示す情報を含むDCIを端末装置50に送信する。これにより、端末装置50の制御部55は次の新しいデータを送信する。
【0100】
また、サイドリンクを考慮した場合、PSSCH送信に対するHARQ feedbackは、端末装置50から送信されるSCI(Sidelink Control Information)、またはACK/NACK情報が相当する。例えば、端末装置50から送信されたPSSCHの復号に失敗した場合、端末装置50の制御部55は、再送を示す情報を含むSCIを無線通信部51を介して端末装置50に送信する。これにより、端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介してデータを再送する。一方で、端末装置50から送信されたPSSCHの復号に成功した場合、端末装置50の制御部55は、初送を示す情報を含むSCIを無線通信部51を介して端末装置50に送信する。これにより、端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介して次の新しいデータを送信する。
【0101】
また、例えば、端末装置50から送信されたPSSCHの復号に失敗した場合、端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介してNACKを端末装置50に送信する。これにより、端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介してデータを再送する。一方で、端末装置50から送信されたPSSCHの復号に成功した場合、端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介してACKを端末装置50に送信する。これにより、端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介して次の新しいデータを送信する。
【0102】
以上のように、HARQ feedbackとは、上記UCI、DCI、SCI、ACK/NACK情報などの情報に相当する。そして、HARQ feedback disablingをする場合、基地局装置(例えば、基地局20、基地局30)および端末装置50は、上記UCI、DCI、SCI、ACK/NACK情報などの送信および受信を待たずに、次の新しいデータの送信および受信が可能となる。この時、基地局装置(例えば、基地局20、基地局30)および端末装置50のHARQ bufferでは、送信および受信データを保持する必要が無くなる。なお、HARQ feedback disabling/enablingについては、下りリンクおよび上りリンクおよびサイドリンクのいずれにおいても適用可能であり、いずれかに限定されるものではない。
【0103】
なお、本実施形態では、HARQ process毎にHARQ feedback disablingを行う構成を例示しているが、HARQ feedback disablingを行う単位は適宜設定してもよい。例えば、HARQ process毎以外に、セル毎、ビーム毎、コンポーネントキャリア毎、BWP(BandWidth Part)毎またはUE(User Equipment)毎にHARQ feedback disablingを行ってもよい。具体的には、本実施形態で例示しているHARQ processを、セル、セクター、ビーム、コンポーネントキャリア、BWP、UEと読み替えることで、HARQ feedback disablingを行う単位を適宜変更できる。
【0104】
例えば、セル・セクター単位では、Serving cellごとに(つまりHARQ entityごとに)、HARQ feedbackのenable/disableを切り替えてもよい。言い換えると、セル内の複数の端末には共通のconfiguration又はタイミングでHARQ feedbackのenable/disableを切り替えてもよい。また、ビーム(すなわち、SSB又はCSI-RS)単位では、送信ビームごと、または受信ビームごとに、HARQ feedbackのenable/disableを切り替えてもよい。また、コンポーネントキャリア単位では、コンポーネントキャリアごとに、HARQ feedbackのenable/disableを切り替えてもよい。また、Bandwidth Part(BWP)単位では、BWPごとに、HARQ feedbackのenable/disableを切り替えてもよい。また、UE単位では、端末ごとに、HARQ feedbackのenable/disableを切り替えてもよい。また、HARQ process単位では、HARQ processごと(つまりTBごと)に、HARQ feedbackのenable/disable を切り替えてもよい。また、パケット単位では、送信パケットごとに、HARQ feedbackのenable/disable を切り替えてもよい。なお、上記で示した単位は、組み合わせて切り替えてもよい。
【0105】
ここで、下りリンク・上りリンクのそれぞれについて、HARQ process単位のHARQ feedback disabling処理の具体例を説明する。
【0106】
<2-10.HARQ disabling処理の一例(下りリンク)>
図11は、本開示の実施形態に係るHARQ disabling処理の一例を示すシーケンス図である。具体的には、図11は、下りリンクにおけるHARQ process単位のHARQ feedback disabling処理を例示している。また、図11の事例では、HARQ process #1はHARQ feedback enableとし、HARQ process #2はHARQ feedback disableとする。
【0107】
図11に示すように、まず、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、HARQ feedback disablingをするトリガとして、無線通信(例えば無線通信部21)を介して所定のHARQ processをdisableとする通知をUE(端末装置50)へ行う(ステップS301)。
【0108】
具体的には、ステップS301において、基地局装置は、HARQ process #2のHARQ feedbackをdisablingする通知を行う。この通知には、例えば準静的な通知(例えばRRC(Radio Resource Control) signaling(e.g., RRC Reconfiguration message, RRC Setup message, RRC Resume message)など)と、動的な通知(e.g., DCI)とがある。基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、上記の通知手法のいずれを行ってもよい。また、UE(端末装置50)が、複数の基地局とDual Connectivityを行う場合、準静的な通知は、SRB0,1,2を介してMNから受信してもよいし、SRB3を介してSNから直接受信してもよい。また、動的な通知は、MN,SNのそれぞれから直接受信してもよい。例えば、ENDCの場合、SNが生成した準静的な通知がX2インタフェースを介してMNへ送信され、MNからUEへRRC signalingで提供されてもよい。さらに、ENDCの場合、動的な通知は、MNがホストするPHYレイヤ及びSNがホストするPHYレイヤからそれぞれ独立してUEへ提供されてもよい。なお、準静的な通知と、動的な通知とは、いずれか一つを行ってもよいし、組み合わせて行ってもよい。準静的な通知は、報知情報(e.g., MIB, SIB)でUEへ送信されてもよい。
【0109】
準静的な通知には、explicit(明示的)にHARQ disablingを通知する手法と、implicit(暗示的)にHARQ disablingを通知する手法とがある。明示的な通知では、例えば、System information/RRC signaling でHARQ disableを通知する。
【0110】
暗示的な通知では、System informationまたはRRC signalingで通知される別の情報に基づいて端末装置50がHARQ feedbackをdisablingするか否かを決定するような通知を行う。例えば、暗示的な通知では、System information等における次の情報で端末装置50がdisablingを決定(認識(consider))してもよい。
・基地局装置および端末装置50の位置情報
・基地局装置と端末装置50間の伝搬距離、伝搬遅延情報
・基地局装置および端末装置50の高度
・基地局装置および端末装置50の移動速度
・Timing advanceの情報
・Power controlの情報
【0111】
例えば、端末装置50の制御部55は、Timing advanceが所定の値よりも大きい場合は、HARQ feedbackをDisableする。また、端末装置50の制御部55は、Timing advanceが所定の値よりも小さい場合は、HARQ feedbackをEnableする。
【0112】
また、端末装置50の制御部55は、Power controlの情報に基づいてHARQ feedbackをdisablingするか否かを決定してもよい。例えば、端末装置50の制御部55は、Power controlが所定の値よりも大きい場合は、HARQ feedbackをDisableする。また、端末装置50の制御部55は、Power controlが所定の値よりも小さい場合は、HARQ feedbackをEnableする。
【0113】
動的な通知では、例えば、HARQ processが尽きてしまった場合、または尽きる可能性があると判断した場合に、全てまたは一部のHARQ processのHARQ feedbackをdisableする(dynamic HARQ disablingを導入)。
【0114】
なお、動的な通知には、explicit(明示的)にHARQ disablingを通知する手法と、implicit(暗示的)にHARQ disablingを通知する手法とがある。
【0115】
明示的なものでは、例えば次の手法がある。
・DCIにHARQ disabling fieldを追加して通知
・UCIでHARQ disabling requestを通知
ここで、HARQ disabling requestは、端末装置50が基地局装置に対し、HARQ disablingをリクエストするための通知情報である。HARQ disabling requestを受信した基地局装置は、通知された情報に基づいて、HARQ disablingを実施してもよい。
・HARQ Feedbackを、止めてはいけないTransport block、止めてもよいTransport Blockを通知する
【0116】
暗示的なものでは、例えば次の手法がある。
・PDCCHのその他物理情報で通知(CORESET、search space、scrambling(DMRS、RNTI))
・Reference signal sequence/portで通知
・DMRS sequence initializationで切り替える
・Antenna portで切り替える
【0117】
なお、動的にHARQ disablingする場合、基地局装置の制御部(例えば制御部23)または端末装置50の制御部55は、DisableしたHARQ feedbackを動的にEnableにする動作をおこなってもよい。また、どのタイミングでDisable/Enableになるかは、規格で規定されてもよいし、RANからUEへ通知してもよい。
【0118】
例えば、HARQ feedbackを動的にDisable/Enableにする動作は次の条件(a-1、a-2、b-1、b-2)で適用してもよい。
(a-1)disabling/enablingのindicationを含むDCIを受信したsubframe n(又はSlot n)から適用
(a-2)disabling/enablingのindicationを含むDCIを受信したsubframe nからスタートしてn+kのサブフレーム(又はslot nからスタートしてslot n+k)から適用(e.g, k=4)
(b-1)disabling/enablingのindicationを含むDCIが示すHARQ process numberが示すprocessから適用
(b-2)disabling/enablingのindicationを含むDCIが示すHARQ process numberが示すprocessの次のprocessから適用
【0119】
上述した(a-1)~(b-2)のうち、少なくとも1つが適用されることを準静的な通知又は動的な通知で基地局からUEへ通知されてもよい。また、上述の(a-2)のkの値も準静的な通知又は動的な通知で基地局からUEへ通知されてもよい。
【0120】
また、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、HARQ feedback disablingを実施する対象を選択してもよい。
【0121】
例えば、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、セル、セクター、ビーム単位でHARQ feedbackをDisableする場合、HARQ feedback disableを実施するセル、セクター、ビームに属する端末装置50をHARQ feedback disableの対象とする。そして、制御部(例えば制御部23)は、対象とする端末装置50宛にHARQ feedback のDisablingを通知する。HARQ feedback disableの対象がセル内の全ての端末装置であれば(i.e. HARQ feedback disableがCell specificで設定されたのであれば)、その通知はSystem informationを使用して行われてもよい。また、HARQ feedback disableの対象がある特定の端末装置専用であれば(i.e. HARQ feedback disableがUE specificで設定されたのであれば)、その通知はDedicatedなRRC signaling(e.g. RRCReconfiguration message, RRCSetup message, RRCResume message)を使用して行われてもよい。当該DedicatedなRRC signalingは、HARQ feedback disableがServing cell単位、ビーム(e.g. SSB, CSI-RS)単位のconfigurationを1又は複数含んでいてもよい。
【0122】
また、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、コンポーネントキャリア、BWP単位でHARQ feedbackをDisableする場合、HARQ feedback disableを実施するコンポーネントキャリア、BWPで通信をする端末装置50をHARQ feedback Disableの対象とする。そして、制御部(例えば制御部23)は、対象とする端末装置50宛にHARQ feedback のDisablingを、RRC signalingやDCIで通知する。
【0123】
また、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、UE単位でHARQ feedback をDisableする場合、HARQ feedback disableを実施するUEをHARQ feedback Disableの対象とする。そして、制御部(例えば制御部23)は、対象とするUEの端末装置50宛にHARQ feedback のDisablingを、RRC signalingやDCIで通知する。
【0124】
また、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、HARQ process単位でHARQ feedback をDisableする場合、HARQ feedback disableを実施するHARQ processでは、HARQ feedbackをDisableする。
【0125】
例えば、HARQ process数が全部でX個あると仮定する(ここでは、HARQ processを例に挙げて説明しているが、HARQ processを、セル、セクター、ビーム、コンポーネントキャリア、BWP、UEと読み替えてもよい)。
【0126】
まず、(X-A)個のHARQ processにおけるHARQ feedback をenableのままとし、A個のHARQ process におけるHARQ feedbackをDisableにする。ここで、Aの値は、explicit(明示的)またはimplicit(暗示的)に通知される。
【0127】
例えば、Aの値の明示的な通知は次のいずれであってもよい。
・SIB(System Information Block)で通知
・RRC signalingで通知
・DCIで通知
【0128】
また、Aの値の暗示的な通知は次のいずれであってもよい。
・PDCCHのその他物理情報で通知(CORESET、search space、scrambling(DMRS、RNTI))
・Reference signal sequence/portで通知
・基地局のTypeで通知
【0129】
なお、基地局のTypeで通知の場合、例えば、基地局がGEOの場合はA=X、MEOの場合はA=Y(Y<=X)、LEOの場合はA=Z(Z<=Y)などがある。
【0130】
また、個数ではなく、DisableにするHARQ process番号を、明示的に通知してもよい。例えば、DisableにするHARQ process番号の通知では、HARQ process ID=14,15をDisableにするなどがある。
【0131】
また、X個のHARQ processに加えて、Disabling用のHARQ processをB個追加してもよい。DisablingしたHARQ processでは、HARQ bufferにデータを保持しておく必要がないと考えられるため、既存のHARQ processに加えてDisabling用のHARQ processを追加することが可能である。なお追加するB個は一つでもよいし複数個でもよい。
【0132】
上記では、Disabling用のHARQ processとして説明をしたが、再送処理をしないため、HARQ processの一つに含めなくてもよい。すなわち、Disabling用のProcessとしてHARQ processとは別物として取り扱ってもよい。
【0133】
また、HARQ feedbackがDisableと設定された場合、例外として、以下の場合はDisableしないものとしてもよい。
・Random access responseのUL grantで送信をするUL送信は、HARQ process identifier 0を使用するが、この送信においてはHARQ feedbackがDisableとされる条件に含まれていたとしても、HARQ feedback をDisablingしないものとする。
・HARQ processに対応するPDCCHで運ばれるDCI内のNew data indicatorがNew dataを示していない場合(New data indicator bit =0の場合)、HARQ feedbackをdisableにしないように実装してもよい。
【0134】
また、HARQ feedback をDisablingした場合のDCI通知では、HARQ process identifier を通知するための4bitの通知領域(HARQ process number)、および初送または再送のいずれかを通知するための1bitの通知領域(New Data Indicator: NDI)がある。なお、HARQ feedbackをすべてのHARQ processでDisableした場合(セル単位、コンポーネントキャリア単位でのDisablingなど)、本通知領域は不要の領域となる。このような不要な通知領域は、ゼロパディング、他の用途での利用などの用途がある。例えば、このような不要な通知領域は、下記で記述する、誤り率特性補償手段に関する情報の通知領域として利用してもよい。
【0135】
次いで、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、無線通信(例えば無線通信部21)を介してDCIおよびPDSCHデータ(以下、PDSCHデータ)をHARQを用いて端末装置50へ送信する(ステップS302)。このデータ送信のHARQ処理には、HARQ process identifierとしてHARQ process #1が割り当てられているものとする。基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、記憶部(例えば記憶部22)におけるHARQ process #1のHARQ bufferに送信したPDSCHデータを保持する(ステップS303)。
【0136】
基地局装置からHARQ process #1のPDSCHデータを受けた端末装置50の制御部55は、PDSCHデータの復号を行う。さらに、UE(端末装置50)は、PDSCHデータの受信(すなわち、当該PDSCHをスケジュールしたPDCCHがDL送信を示していたこと)に応答してdrx-HARQ-RTT-TimerDLをスタートする。ここで、HARQ process #1のPDSCHデータの復号は、失敗したものとする(ステップS304)。
【0137】
HARQ process #1のPDSCHデータの復号失敗により、端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介してHARQ process #1のNACKを基地局装置に送信する(ステップS305)。次いで、端末装置50の制御部55は、記憶部52におけるHARQ process #1のHARQ buffer522aに復号が失敗したPDSCHデータを格納する(ステップS306)。
【0138】
次いで、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、無線通信(例えば無線通信部21)を介して、HARQ process #2のPDSCHデータを端末装置50へ送信する(ステップS307)。
【0139】
このHARQ process #2は、再送の処理がDisableとされている(HARQ feedback disabling)。したがって、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、記憶部(例えば記憶部22)におけるHARQ process #2のHARQ bufferには送信したPDSCHデータを保持しない(ステップS308)。
【0140】
基地局装置からHARQ process #2のPDSCHデータを受けた端末装置50の制御部55は、PDSCHデータの復号を行う。ここで、HARQ process #2のPDSCHデータの復号は、失敗したものとする(ステップS309)。
【0141】
HARQ process #2については、事前の通知(ステップS301)において再送の処理がDisableとされている。したがって、端末装置50の制御部55は、記憶部52におけるHARQ process #2のHARQ bufferには復号が失敗したPDSCHデータを保持しない(ステップS310)。さらに、UE(端末装置50)は、受信したPDSCHデータをスケジュールしたPDCCHがDL送信を示していた場合であっても、対応するHARQ processのフィードバックがdisableにされていたなら、drx-HARQ-RTT-TimerDLをスタートさせない。すなわち、この場合、HARQ process #2に対応するdrx-HARQ-RTT-TimerDLはスタートしない。言い換えると、UE(端末装置50)は、当該UE向けのPDCCHがDL送信を示している場合、対応するHARQ processにおけるHARQ feedbackがdisableか否かを判定し、もしdisableならdrx-HARQ-RTT-TimerDLをスタートさせず、もしenableならdrx-HARQ-RTT-TimerDLをスタートさせる、という動作を行ってもよい。
【0142】
HARQ process #1のNACKを受けた基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、無線通信(例えば無線通信部21)を介してPDSCHデータを端末装置50へ再送する(ステップS311)。
【0143】
PDSCHデータの再送を受けた端末装置50の制御部55は、HARQ process #1のHARQ buffer522aに格納していたデータと、再送データとをSoft combiningしてPDSCHデータを復号する(ステップS312)。ここで、PDSCHデータの復号は、成功したものとする(ステップS313)。
【0144】
PDSCHデータの復号成功により、端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介してHARQ process #1のACKを基地局装置に送信する(ステップS314)。HARQ process #1のACKを受けた基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、記憶部(例えば記憶部22)におけるHARQ process #1のHARQ buffer内データをクリアする(ステップS315)。同様に、HARQ process #1のACKを送信した端末装置50の制御部55は、HARQ process #1のHARQ buffer522a内データをクリアする(ステップS316)。
【0145】
<2-11.HARQ disabling処理の一例(上りリンク)>
図12は、本開示の実施形態に係るHARQ disabling処理の一例を示すシーケンス図である。具体的には、図12は、上りリンクにおけるHARQ process単位のHARQ feedback disabling処理を例示している。また、図12の事例では、HARQ process #1はHARQ feedback enableとし、HARQ process #2はHARQ feedback disableとする。
【0146】
図12に示すように、まず、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、上記のステップS301と同様に、無線通信(例えば無線通信部21)を介して所定のHARQ processをdisableとする通知を行う(ステップS401)。
【0147】
次いで、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、無線通信(例えば無線通信部21)を介してDCI送信(HARQ process #1)を行う(ステップS402)。
【0148】
DCI送信を受けた端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介してPUSCHデータ送信(HARQ process #1)を行う(ステップS403)。端末装置50の制御部55は、記憶部52におけるHARQ process #1のHARQ buffer522aに送信したPUSCHデータを保持する(ステップS405)。
【0149】
端末装置50からのPUSCHデータ送信(HARQ process #1)を受けた基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、PUSCHデータの復号を行う。ここで、HARQ process #1のPUSCHデータの復号は、失敗したものとする(ステップS404)。
【0150】
HARQ process #1のPUSCHデータの復号失敗により、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、記憶部(例えば記憶部22)におけるHARQ process #1のHARQ bufferに復号が失敗したPUSCHデータを保持する(ステップS406)。
【0151】
次いで、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、無線通信(例えば無線通信部21)を介してDCI送信(HARQ process #2)を行う(ステップS407)。
【0152】
DCI送信を受けた端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介してPUSCHデータ送信(HARQ process #2)を行う(ステップS408)。HARQ process #2については、事前の通知(ステップS401)において再送の処理がDisableとされている。したがって、端末装置50の制御部55は、記憶部52におけるHARQ process #2のHARQ bufferには送信したPUSCHデータを保持しない(ステップS411)。
【0153】
端末装置50からのPUSCHデータ送信(HARQ process #2)を受けた基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、PUSCHデータの復号を行う。ここで、HARQ process #2のPUSCHデータの復号は、失敗したものとする(ステップS409)。
【0154】
このHARQ process #2は、再送の処理がDisableとされている(HARQ feedback disabling)。したがって、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、記憶部(例えば記憶部22)におけるHARQ process #2のHARQ bufferには受信したPUSCHデータを保持しない(ステップS410)。
【0155】
次いで、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、無線通信(例えば無線通信部21)を介してDCI送信(HARQ process #1の再送要求)を行う(ステップS412)。
【0156】
DCI送信(HARQ process #1の再送要求)を受けた端末装置50の制御部55は、無線通信部51を介してPUSCHデータ送信(HARQ process #1の再送)を行う(ステップS413)。
【0157】
PUSCHデータの再送を受けた基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、HARQ process #1のHARQ bufferに格納していたデータと、再送データとをSoft combiningしてPUSCHデータを復号する(ステップS414)。ここで、PUSCHデータの復号は、成功したものとする(ステップS415)。
【0158】
PUSCHデータの復号成功により、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)は、記憶部(例えば記憶部22)におけるHARQ process #1のHARQ buffer内データをクリアする(ステップS416)。端末装置50の制御部55は、基地局装置からのDCI送信(HARQ process #1の再送要求)が無いため、HARQ process #1のHARQ buffer522a内データをクリアする(ステップS417)。
【0159】
<2-12.HARQ disabling対応の特性補償>
HARQ feedbackをDisablingした場合、復号誤りが発生しても再送をすることができないため、初送時の復号誤りを減らすことが重要である。そこで、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)および端末装置50の制御部55は、次の(A)~(C)の手法を用いて復号誤りを減らすようにする。
(A) HARQ feedback disabling導入と同時に、CQIを拡張する
(B) HARQ feedback disabling導入と同時に、MCS Tableを低Spectral efficiency のTableに切り替える
(C) HARQ feedback disabling を有効にした場合、同一Transport Block (TB)のRepetition送信に切り替える
【0160】
(A)の手法については、例えば次のとおりである。HARQ feedback disablingを有効にしたHARQ process では、拡張したCQIに基づき決定し、HARQ feedback disablingが無効のHARQ processでは、従来のCQIに基づき決定する。
【0161】
基地局装置(例えば基地局20、基地局30)はHARQ enabling用CQI(または従来のCQI)とHARQ disabling用CQIの2種類を知る必要がある。そこで、(a)としては、端末装置50は、1種類の基準CQI(例えばenabling用、long term CQIなど)を返す。基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(制御部23)は、一方のCQI(例えばenabling用)から他方のCQI(例えばdisabling用)を推定して、MCSを決定する。なお、推定を補助する情報(例えば2種類のQCI間オフセット値)を予め端末装置50から基地局装置にレポートしてもよい。
【0162】
また、(b)としては、端末装置50は、2種類のCQI(both enabling用 and disabling用)を返す。基地局装置(例えば基地局20、基地局30)は、それに基づいてMCSを決定する。そして、2種類のCQI indexを端末装置50はフィードバックする。
【0163】
また、HARQ enabling用CQIとHARQ disabling用CQIの両方を定義する場合は、target BLERも両方定義する。例えば、HARQ enabling用CQIのTarget BLER=0.1、HARQ disabling用CQIのTarget BLER=0.00001などのように定義する。
【0164】
CQIテーブルについては次のとおりである。
・HARQ feedback enabling用CQIとHARQ feedback disabling用CQIの両方を定義する場合、CQIテーブルを両方定義する必要がある。
・新たなTarget BLERに対応したCQIテーブルを追加する。
・既存のCQIテーブルを基に算出してもよい。例えば、既存テーブルのCode rateに、1未満の係数を乗算したCode rateを使用する。
・既存テーブルのModulationを、一段階下げた値を使用してもよい。例えば、256QAM→64QAM、64QAM→16QAM、16QAM→QPSK、QPSK→BPSKとする。なお、QPSKの場合はQPSKのまま維持する。
【0165】
CQI計算方法については次のとおりである。
・CSI reference resourceを、以下のように想定する。
1)Repetitionを所定回数実施する。
2)Repetitionが複数回の場合、Redundancy version を[0,0,0,0]または[0,2,3,1]または[0,3,0,3]とする。
3)HARQ process の enable または disableで計算手段を切り替える。例えば、HARQ process毎に、CSI reference resourceの計算方法を変える。
4)CQI offsetを追加する。例えば、CQI offset=1で、CQI計算結果がCQI=8だった場合、CQI=7をレポートする。
【0166】
(B)の手法については、例えば次のとおりである。HARQ feedback disablingを有効にしたHARQ processでは、他のMCS Tableと比べて低Spectral efficiencyのMCS Tableに基づき決定する。また、HARQ feedback disablingが無効のHARQ processでは、他のMCS Tableと比べて高Spectral efficiencyのMCS Tableに基づき決定する。
【0167】
また、HARQ feedback enabling用MCSとHARQ feedback disabling用のMCSの両方を定義する場合、MCS tableを両方定義する。例えば、HARQ feedback enabling用MCS Tableは、既存のMCS table 1 or 2を、HARQ feedback disabling用MCS Tableは、既存のMCS table 3を使用する。
【0168】
また、既存のMCSテーブルを基に算出してもよい。例えば、既存テーブルのCode rateに、1未満の係数を乗算したCode rateを使用してもよい。
【0169】
また、既存テーブルのModulationを、一段階下げた値を使用してもよい。例えば、256QAM→64QAM、64QAM→16QAM、16QAM→QPSK、QPSK→BPSKとする。なお、QPSKの場合はQPSKのまま維持する。
【0170】
また、HARQ enabling用MCSとHARQ disabling用MCSの両方を定義する場合は、target BLERを両方定義する。例えば、HARQ enabling用CQIのTarget BLER=0.1、HARQ disabling用CQIのTarget BLER=0.00001などのように定義する。
【0171】
(C)の手法については、例えば次のとおりである。Repetition送信は、同一のRedundancy Version (RV) での送信でもよいし、異なるRVでの送信でもよい。また、HARQ feedback disablingを有効にしたHARQ processでは、同一TBのRepetition送信し、HARQ feedback disablingが無効のHARQ processでは、TBを単一送信してもよい。また、HARQ feedback disablingを有効にしたHARQ processでは、同一TBのRepetition送信回数を増やし、HARQ feedback disablingが無効のHARQ processでは、同一TBのRepetition送信回数を増やさずに送信してもよい。
【0172】
<3-1.HARQ process数を増やせる場合の変形例>
次に、端末装置50におけるHARQ process数を増やせる場合(HARQ feedback disablingした後のHARQ feedback enablingを含む)の変形例を説明する。
【0173】
HARQ process数やHARQ bufferに関するbuffer sizeを増やせる端末装置50は、制御部55の制御のもと、capability情報(UE radio access capability)をNon-terrestrial network(例えば基地局装置)に送る。capability情報を送るタイミングは、RRC Connected後すぐにRAN(衛星)がEnquiryを出し、それに対する応答でもよい。または、RRC Setup Complete時でもよい。
【0174】
ここで、Capability情報は、以下の情報を含む。
・HARQ process 数を増やせるかどうかの可否情報
・Buffer sizeを増やせるかどうかの可否情報
・HARQ process 数の最大サポートサイズ情報
・Buffer sizeの最大サポートサイズ情報
【0175】
HARQ process数を減らすまたは増やした場合、端末装置50の制御部55は、HARQ process数を増やすこと、または減らすこと、またはDefault値に戻すことの切り替えに関する情報を通知する。この通知には、explicit(明示的)な通知と、Implicit(暗示的)な通知とがある。
【0176】
明示的な通知では、例えばSystem informationまたは RRC signalingまたはMAC CEでの通知、DCIまたはUCIでの通知がある。この明示的な通知では、最大数の切り替えを通知する情報を追加してもよい。なお、TNからNTNへHOする場合は、HO command(RRCReconfiguration including ReconfigurationWithSync)に含めて通知してもよい。
【0177】
暗示的な通知では、System informationまたは RRC signalingで通知される別の情報に基づいて端末装置50がHARQ feedbackをdisablingするか否かを決定するような通知を行う。例えば、暗示的な通知では、System information等における次の情報で端末装置50がdisablingを決定してもよい。
・基地局装置および端末装置50の位置情報
・基地局装置と端末装置50間の伝搬距離、伝搬遅延情報
・基地局装置および端末装置50の高度
・基地局装置および端末装置50の移動速度
・Timing advanceの情報
【0178】
例えば、端末装置50の制御部55は、Timing advanceが所定の値よりも大きい場合は、HARQ process数を増やしてもよい。また、Timing advanceが所定の値よりも小さい場合は、HARQ process数を減らす、またはDefault値に戻してもよい。
【0179】
また、端末装置50の制御部55は、Power control の情報に基づいてHARQ process数を決定してもよい。例えば、Power controlが所定の値よりも大きい場合は、HARQ process数を増やしてもよい。また、Power controlが所定の値よりも小さい場合は、HARQ process数を減らす、またはDefault値に戻してもよい。
【0180】
また、端末装置50の制御部55は、HARQ process 数を通知してもよい。この通知には、explicit(明示的)な通知と、Implicit(暗示的)な通知とがある。
【0181】
明示的な通知では、例えばSystem informationまたはRRC signalingまたはMAC CEでの通知がある。この通知では、HARQ process 数の絶対値を通知する、HARQ process数を複数パターンで切り替え(16,32,48,64の4パターンで切り替えるなど)て通知するなどの手法がある。
【0182】
また、明示的な通知では、DCIまたはUCIでの通知がある。このDCIまたはUCIでの通知では、HARQ process数を通知するfieldを追加する。
【0183】
なお、TNからNTNへHOする場合は、HO command(RRCReconfiguration including ReconfigurationWithSync)に含めて通知してもよい。
【0184】
暗示的な通知では、System informationまたは RRC signalingで通知される別の情報に基づいて端末装置50がHARQ feedbackをdisablingするか否かを決定するような通知を行う。例えば、暗示的な通知では、System information等における次の情報で端末装置50がdisablingを決定してもよい。
・基地局装置および端末装置50の位置情報
・基地局装置と端末装置50間の伝搬距離、伝搬遅延情報
・基地局装置および端末装置50の高度
・基地局装置および端末装置50の移動速度
・Timing advanceの情報
【0185】
例えば、端末装置50の制御部55は、Timing advanceの値に応じて、HARQ process数を決定する。また、端末装置50の制御部55は、Power controlの値に応じて、HARQ process 数を決定してもよい。また、端末装置50の制御部55は、PDCCHのその他物理情報で通知(CORESET、search space、scrambling(DMRS、RNTI))してもよい。
【0186】
また、基地局装置(例えば基地局20、基地局30)の制御部(例えば制御部23)および端末装置50の制御部55において、HARQ process 数を増加後または減少後のHARQ process identifierを通知する手法としては次のものがある。
【0187】
(A)explicit(明示的)にHARQ process identifierを通知する場合
・DCIのHARQ processにおける通知fieldのbit数を増やす。
・UCIでHARQ process identifierを通知する。
【0188】
(B)implicit(暗示的)にHARQ process identifierを通知する場合
・PDCCHのその他物理情報で通知(CORESET、search space、scrambling(DMRS、RNTI))する。
・CORESET #AでDCIが通知された場合は、HARQ process identifierは#0~15、CORESET #BでDCIが通知された場合は、HARQ process identifierは#(0~15)+16、と読み替える。
・Slot番号(or SFN)で、DCIによって通知されたHARQ process identifierの解釈を変える。
【0189】
例えば、Slot #0でDCIが通知された場合は、HARQ process identifierは#0~15、Slot #1でDCIが通知された場合は、HARQ process identifierは#(0~15)+16、と読み替える。また、偶数SlotでDCIが通知された場合は、HARQ process identifierは#0~15、奇数Slot でDCIが通知された場合は、HARQ process identifierは#(0~15)+16、と読み替える。なお、偶数と奇数が逆でもよい。
【0190】
・Reference signal sequence/ portで通知する。例えば、DCIで通知されるDMRS sequence initializationで切り替える。DMRS sequence initializationが0の場合は、HARQ process identifierは#0~15、DMRS sequence initializationが1の場合は、HARQ process identifierは#(0~15)+16と読み替える。また、Antenna portで切り替えてもよい。例えば、Antenna port #0で送受信をする場合は、HARQ process identifierは#0~15、Antenna port #1で送受信をする場合は、HARQ process identifierは#(0~15)+16と読み替える。
【0191】
また、HARQ process数を増加(HARQ feedback Enablingによるfeedback可能なHARQ process数の増加(回復)を含む)または減少(HARQ feedback Disablingによるfeedback可能なHARQ process数の減少を含む)した場合のDRX動作は次のとおりである。
【0192】
例えば、NTN通信で使用されるHARQRTTTimer(drx-HARQ-RTT-TimerDL, drx-HARQ-RTT-TimerUL)、drx-RetransmissionTimer(drx-RetransmissionTimerDL, drx-RetransmissionTimerUL)は、TN通信で使用されるHARQRTTTimer(drx-HARQ-RTT-TimerDL, drx-HARQ-RTT-TimerUL)、drx-RetransmissionTimer(drx-RetransmissionTimerDL, drx、drx-RetransmissionTimer(drx-RetransmissionTimerDL, drx-RetransmissionTimerUL)と異なる値がRANにより設定されてもよい。
【0193】
1つのHARQRTTTimerおよび1つのdrx-RetransmissionTimerは1つのHARQ processに関連付けられる。したがって、例えば、NTN通信で使用されるHARQ processの数がTN通信で使用されるHARQ processの数よりも多い場合、HARQRTTTimer、drx-RetransmissionTimerのstart/stopの頻度も多いかもしれない。drx-RetransmissionTimerのstartの頻度が多くなると、PDCCH monitoringの頻度や時間(例えばActive Time)も多くなるためUE power savingの観点では不都合かもしれない。
【0194】
したがって、NTN通信で使用されるHARQ processの数がTN通信で使用されるHARQ processの数よりも多い場合、少なくともNTN通信で使用されるdrx-RetransmissionTimerの値は、TN通信で使用されるdrx-RetransmissionTimerの値よりも短く設定されてもよい。これにより、HARQ processの数よりも多くなった場合であっても、NTN通信においてUEがPDCCH monitoringすべきdrx-RetransmissionTimerのrunning期間の合計は、NTN通信でrunning HARQ processの数とTN通信で使用されるdrx-RetransmissionTimerの値との単純な積よりも短くなるため、UE power savingを維持しつつ、本実施形態の効果を奏することができる。
【0195】
また、NTN通信では、送信元から送信されたある送信信号が受信元に到達されるべきタイミングと実際に受信されたタイミングのズレがTN通信に比べて、大きいかもしれない。また、NTN通信における基地局(RAN)と移動局(UE)との間のRTTは、TN通信におけるRTTに比べ大きいかもしれない。これらは基地局(RAN)と移動局(UE)との距離の長さに起因するかもしれない。したがってそのズレを吸収するために、NTN通信のためのHARQRTTTimer、drx-RetransmissionTimerの値は、TN通信のためのHARQRTTTimer、drx-RetransmissionTimerの値よりも大きい値が設定されてもよい。
【0196】
これら、NTN通信で使用されるHARQRTTTimer、drx-RetransmissionTimerの値は、TN通信で使用されるHARQRTTTimer、drx-RetransmissionTimerの値とは別に設定されて(例えばDRX-Configに含められて)RANからUEへ送信されてもよいし、NTN通信用のdefault-DRX-ConfigとしてUEにあらかじめ設定されていてもよい。
【0197】
UEが、TN通信の基地局とRRC Connectedな状態でNTN通信の基地局と通信可能な場合(例えば、TN通信の基地局をMNとし、NTN通信の基地局をSNとするDual Connectivityが設定されている場合や、TN通信の基地局をanchor carrierとして、NTN通信の基地局とNTN通信する場合)NTN通信で使用されるHARQRTTTimer、drx-RetransmissionTimerの値と、TN通信で使用されるHARQRTTTimer、drx-RetransmissionTimerの値との両方が、1つのRRCReconfigurationに含められて送信されてもよい。
【0198】
なお、上述したHARQRTTTimerおよびdrx-RetransmissionTimerは、DL用のタイマー(例えばdrx-HARQ-RTT-TimerDLおよびdrx-RetransmissionTimerDL)であってもよいし、UL用のタイマー(例えばdrx-HARQ-RTT-TimerULおよびdrx-RetransmissionTimerUL)であってもよいし、その両方であってもよい。
【0199】
また、上述したHARQRTTTimerおよびdrx-RetransmissionTimerの値は、それぞれ、subframe単位の値が設定されていてもよいし、symbol単位の値が設定されていてもよい。また、上述したHARQRTTTimerおよびdrx-RetransmissionTimerの値は、PDCCH period(pp)単位の値が設定されていてもよい。HARQRTTTimerおよびdrx-RetransmissionTimerの値がPDCCH period(pp)単位の場合、UE自身のカバレッジレベル(無線品質に基づく指標。例えばcoverage enhancement level)に応じた値を乗算することで、UEが実際に使用すべきHARQRTTTimerおよびdrx-RetransmissionTimerの値を導出してもよい。UE自身のカバレッジレベルに応じた値は、RRC signalling(例えばRRCReconfiguration)でRANからUEへ送信されてもよい。
【0200】
<3-2.その他の変形例>
例えば、3GPP Rel.15において、HARQ Feedback(ACK/NACK)の送信タイミングは次のように規定されている。DCI format 1_0の場合、当該DCIは、PDSCH-to-HARQ-timing-indicator fieldを含み、その値は{1,2,3,4,5,6,7,8}にマップされている。UEはPDSCH(SPS(Semi-Persistent Scheduling)PDSCH)の受信をslot nで終えた場合、slot n+kでPUCCH(i.e. HARQ Feedback(ACK/NACK))を送信する。ここで、kはDCI format 1_0のPDSCH-to-HARQ-timing-indicator fieldによって提供される。DCI format 1_1の場合、当該DCIに含まれるPDSCH-to-HARQ-timing-indicator field(0, 1, 2, or 3 bits)は、HARQ feedbackを送信すべきPUCCHのスロットの数にマップされており、RRC parameterのdl-DataToUL-ACKによって提供される値のうち、いずれを参照すべきかを示す。すなわち、DCI format 1_1内のPDSCH-to-HARQ-timing-indicator fieldが示すビットの組み合わせ対応するdl-DataToUL-ACKの値をkとして用い、UEはslot n+kでPUCCH(i.e. HARQ Feedback(ACK/NACK))を送信する。なお、dl-DataToUL-ACKは、上述の準静的な通知でRANからUEへ送信されてもよい。
【0201】
DCI format 1_1の場合のPDSCH-to-HARQ-timing-indicator fieldと、使用されるべきdl-DataToUL-ACKの値との関係は次の表1の通りである。
【表1】
【0202】
もし、HARQ feedbackを動的にDisable/Enableにするタイミング(上述した条件(a-1、a-2、b-1、b-2)のうちいずれか)が、DCIに含まれるPDSCH-to-HARQ-timing-indicator fieldが示すPUCCH(i.e. HARQ Feedback(ACK/NACK))を送信すべきslot n+kよりも早い場合、UE(端末装置50)は当該PDSCH-to-HARQ-timing-indicator fieldの値を無視(ignore)してもよい。すなわち、HARQ feedbackを行わなくてもよい。より具体的には、上述した条件(a-2)が示すサブフレームn+k又はスロットn+kが、DCIに含まれるPDSCH-to-HARQ-timing-indicator fieldが示すPUCCH(i.e. HARQ Feedback(ACK/NACK))を送信すべきslot n+kよりも早い場合、UE(端末装置50)は当該PDSCH-to-HARQ-timing-indicator fieldの値を無視(ignore)してもよい。言い換えると、上述した条件(a-2)が示すサブフレームn+k又はスロットn+kが、DCIに含まれるPDSCH-to-HARQ-timing-indicator fieldが示すPUCCH(i.e. HARQ Feedback(ACK/NACK))を送信すべきslot n+kよりも早い場合、UE(端末装置50)は、PDSCH-to-HARQ-timing-indicator fieldから導かれるslot n+kでPUCCH(i.e. HARQ Feedback(ACK/NACK))を送信することを期待されない(not expected)。この場合、HARQ feedback disablingを行うタイミング(e.g., n+k)を示す通知と、PDSCH-to-HARQ-timing-indicator fieldとは同じDCIに含まれていてもよいし、別のDCIに含まれていてもよい。
【0203】
また、本開示の実施形態では、Enabling/Disablingの対象はHARQ Feedbackであるとして説明してきたが、Enabling/Disablingの対象はHARQ processそのもの、又はHARQ Feedback以外のHARQ process内の処理であってもよい。
【0204】
上記のEnabling/DisablingはActivation/Deactivationの表現が代わりに使われてもよい。また、本実施形態の管理装置10、基地局20、30、40または端末装置50を制御する制御装置は、専用のコンピュータシステム、又は汎用のコンピュータシステムによって実現してもよい。
【0205】
例えば、上述の動作(例えば、初期接続処理、HARQ処理等)を実行するための通信プログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布する。そして、例えば、該プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行することによって制御装置を構成する。このとき、制御装置は、管理装置10、基地局20、30、40または端末装置50の外部の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)であってもよい。また、制御装置は、基地局20、30、40または端末装置50の内部の装置(例えば、制御部13、制御部23、又は制御部55)であってもよい。
【0206】
また、上記通信プログラムをインターネット等のネットワーク上のサーバ装置が備えるディスク装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をサーバ装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0207】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0208】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0209】
また、上記してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない領域で適宜組み合わせることが可能である。また、上記してきた各実施形態のフローチャート又はシーケンス図に示された各ステップは、適宜順序を変更することが可能である。
【0210】
<4.むすび>
以上説明したように、本開示の一実施形態によれば、端末装置50は、HARQにおける再送のためのFeedbackをDisableにする通知を受けて、再送のためのFeedbackをDisableにする(HARQ feedback disabling)ことができる。これにより、HARQ processの数不足の解消に寄与することができ、通信品質悪化の抑止に貢献できる。
【0211】
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の各実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0212】
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0213】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
端末装置であって、
通信部と制御部とを有し、
前記制御部は、
HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)feedbackの無効情報を、前記通信部を介して受信し、
前記HARQfeedbackの無効情報が示す1又は複数のHARQ feedbackが無効であると認識するよう構成され、
前記HARQfeedbackの無効情報は、セル毎、ビーム毎、コンポーネントキャリア毎、BWP(BandWidth Part)毎、UE(User Equipment)毎またはHARQ process毎に設定される、
ことを特徴とする端末装置。
(2)
前記HARQfeedbackの無効情報は、基地局装置からの準静的な通知、動的な通知、前記準静的な通知および前記動的な通知の組み合わせのいずれかで送出される、
ことを特徴とする(1)に記載の端末装置。
(3)
前記準静的な通知は、RRC(Radio Resource Control)のシグナル通知である、
ことを特徴とする(2)に記載の端末装置。
(4)
前記動的な通知は、DCI(Downlink Control Information)またはUCI(Uplink Control Information)の通知である、
ことを特徴とする(2)または(3)に記載の端末装置。
(5)
前記HARQfeedbackの無効情報は、1又は複数のHARQ processの中で無効である個数が含まれる、
ことを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか一に記載の端末装置。
(6)
前記HARQfeedbackの無効情報は、1又は複数のHARQ processの中で無効であるHARQ processの識別情報が含まれる、
ことを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか一に記載の端末装置。
(7)
前記制御部は、前記HARQfeedbackの無効情報に基づいて再送を無効としていないHARQ processから再送を無効としたHARQ processへの切り替えに応じて誤り率特性の補償を切り替える、
ことを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか一に記載の端末装置。
(8)
前記制御部は、前記再送を無効としたHARQ processへの切り替えに応じて、前記再送を無効としていないHARQ processの時よりも前記誤り率特性の補償を低くする、
ことを特徴とする(7)に記載の端末装置。
(9)
前記制御部は、前記1又は複数のHARQ processの数の増加または減少に応じて、当該増加または減少の情報を前記通信部を介して送信する、
ことを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか一に記載の端末装置。
(10)
基地局装置であって、
通信部と制御部とを有し、
前記制御部は、
HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)feedbackの無効情報を、前記通信部を介して送信し、
前記HARQfeedbackの無効情報が示す1又は複数のHARQ processが無効であると認識するよう構成され、
前記HARQfeedbackの無効情報は、セル毎、ビーム毎、コンポーネントキャリア毎、BWP(BandWidth Part)毎、UE(User Equipment)毎またはHARQ process毎に設定される、
ことを特徴とする基地局装置。
(11)
前記制御部は、前記HARQfeedbackの無効情報を、準静的な通知、動的な通知、前記準静的な通知および前記動的な通知の組み合わせのいずれかで送信する、
ことを特徴とする(10)に記載の基地局装置。
(12)
前記準静的な通知は、RRC(Radio Resource Control)のシグナル通知である、
ことを特徴とする(11)に記載の基地局装置。
(13)
前記動的な通知は、DCI(Downlink Control Information)またはUCI(Uplink Control Information)の通知である、
ことを特徴とする(11)または(12)に記載の基地局装置。
(14)
前記HARQfeedbackの無効情報は、1又は複数のHARQ processの中で無効である個数が含まれる、
ことを特徴とする(10)乃至(13)のいずれか一に記載の基地局装置。
(15)
前記HARQfeedbackの無効情報は、1又は複数のHARQ processの中で無効であるHARQ processの識別情報が含まれる、
ことを特徴とする(10)乃至(14)のいずれか一に記載の基地局装置。
(16)
前記制御部は、前記HARQfeedbackの無効情報に基づいて再送を無効としていないHARQ processから再送を無効としたHARQ processへの切り替えに応じて誤り率特性の補償を切り替える、
ことを特徴とする(10)乃至(15)のいずれか一に記載の基地局装置。
(17)
前記制御部は、前記再送を無効としたHARQ processへの切り替えに応じて、前記再送を無効としていないHARQ processの時よりも前記誤り率特性の補償を低くする、
ことを特徴とする(16)に記載の基地局装置。
(18)
端末装置の制御方法であって、
HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)feedbackの無効情報を、通信部を介して受信すること、
前記HARQfeedbackの無効情報が示す1又は複数のHARQ processが無効であると認識するよう構成され、
前記HARQfeedbackの無効情報は、セル毎、ビーム毎、コンポーネントキャリア毎、BWP(BandWidth Part)毎、UE(User Equipment)毎またはHARQ process毎に設定されること、
を含むことを特徴とする端末装置の制御方法。
(19)
基地局装置の制御方法であって、
HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)feedbackの無効情報を、通信部を介して送信すること、
前記HARQfeedbackの無効情報が示す1又は複数のHARQ processが無効であると認識するよう構成され、
前記HARQfeedbackの無効情報は、セル毎、ビーム毎、コンポーネントキャリア毎、BWP(BandWidth Part)毎、UE(User Equipment)毎またはHARQ process毎に設定されること、
を含むことを特徴とする基地局装置の制御方法。
【符号の説明】
【0214】
1…通信システム
10…管理装置
11…通信部
12、22、52…記憶部
13、23、55…制御部
20、30、40…基地局
21、51…無線通信部
50…端末装置
53…ネットワーク通信部
54…入出力部
211…受信処理部
211a、511a…無線受信部
211b、511b…多重分離部
211c、511c…復調部
211d、511d…復号部
212…送信処理部
212a、512a…符号化部
212b、512b…変調部
212c、512c…多重部
212d、512d…無線送信部
213、513…アンテナ
521、522、523…記憶領域
521a、522a、523a…HARQ buffer
ABP1…エアボーンプラットフォーム
C2…セル
CN…コアネットワーク
D1…半径
PN…公衆ネットワーク
R1…角度
RAN…無線アクセスネットワーク
SBP1、SBP2…スペースボーンプラットフォーム
TN1、TN2…地上波ネットワーク
図1
図2
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図6
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図10
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図12