(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】リアクトルの製造方法及び金型
(51)【国際特許分類】
H01F 41/12 20060101AFI20241126BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01F41/12 C
H01F37/00 M
H01F37/00 J
H01F41/12 B
(21)【出願番号】P 2022003798
(22)【出願日】2022-01-13
【審査請求日】2023-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】岸本 俊
(72)【発明者】
【氏名】横澤 諒
(72)【発明者】
【氏名】日向野 光康
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102538(JP,A)
【文献】特開2018-182082(JP,A)
【文献】特開平09-007857(JP,A)
【文献】特開平06-295826(JP,A)
【文献】特開平06-295827(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0075218(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0312517(US,A1)
【文献】特開2011-054612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/12
H01F 37/00
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルの中空部に、コア中心部と該コア中心部から外側へ夫々延びる一対のコア脚部とを有するコアの該コア中心部が挿入され、前記コア脚部と前記コア中心部とで前記コイルを挟み込むように、前記コイルに対し前記コアを組み付けるステップと、
該コイル及びコアを金型内に配置し、該金型に設けられた支持部により
該支持部が当接する前記コア脚部の外側
面を支持しつつ、該金型において前記コア脚部よりも前記コイル側に設けられたゲートから、樹脂を該金型内に流し込むことで前記コイル及びコアに対し樹脂で成形を行うステップと、
を含むリアクトルの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のリアクトルの製造方法であって、
前記コア脚部の外側面と金型の内側面との間に前記樹脂が流れる外周流路が形成され、前記コア脚部の内側面と前記コイルの外側面との間に前記樹脂が流れる内周流路が形成され、
前記金型には、前記コア脚部のゲート側の上端面に当接し、前記ゲートから前記外周流路へ樹脂が流れるのを阻止する阻止部が設けられている、
リアクトルの製造方法。
【請求項3】
請求項2記載のリアクトルの製造方法であって、
前記ゲートは、前記内周流路よりも内側に設けられている、
リアクトルの製造方法。
【請求項4】
請求項2又は3記載のリアクトルの製造方法であって、
前記ゲートから流し込まれた樹脂は、前記内周流路を流れ、前記コア脚部の上端面とは反対側の下端面と金型との間に形成された流路を流れ、前記外周流路に流入する、
リアクトルの製造方法。
【請求項5】
請求項2乃至4のうちのいずれか1項記載のリアクトルの製造方法であって、
前記ゲートから前記阻止部の内側面までの距離は、前記阻止部の外側面から前記外周流路の外側面までの距離よりも大きい、
リアクトルの製造方法。
【請求項6】
請求項2乃至5のうちのいずれか1項記載のリアクトルの製造方法であって、
前記コアは、断面形状が略E字状に形成された一対のコア部材に分割されており、
該コア部材の端面同士を突き合わせることで、前記コア中心部は前記コイルの中空部を通り、前記コア中心部及びコア脚部により互いに向き合う前記コイルの一方側及び他方側の夫々を一巡するように取り囲んだ状態になり、
前記阻止部には、前記端面同士を突き合せた位置に対応する位置に隙間が形成されており、前記ゲートから流し込まれた樹脂の一部は、該隙間を流れ、前記外周流路に流入する、
リアクトルの製造方法。
【請求項7】
コイルの中空部に、コア中心部と該コア中心部から外側へ夫々延びる一対のコア脚部とを有するコアの該コア中心部が挿入され、前記コア脚部と前記コア中心部とで前記コイルを挟み込むように、前記コイルに対し前記コアを組み付け、該コイル及びコアが内部に配置される金型であって、
前記コア脚部の外側
面に当接し支持する支持部と、
前記コア脚部よりも前記コイル側に設けられると共に、前記金型内に樹脂を流し込むためのゲートと、
を備える金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアクトルを製造するためのリアクトルの製造方法及び金型に関する。
【背景技術】
【0002】
コイルの中空部に、コア中心部とコア中心部から外側へ夫々延びる一対のコア脚部とを有するコアのコア中心部が挿入され、コア脚部とコア中心部とでコイルを挟み込むように、コイルに対しコアを組み付けるステップと、組み付けられたコイル及びコアを金型内に配置し、ゲートから樹脂を金型内に流し込むことでコイル及びコアに対し樹脂の成形を行うステップと、を含むリアクトルの製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リアクトルの小型化を目的として、コア脚部を薄肉化することが行われる。この場合、従来、ゲートがコア脚部側に設けられていると、コア脚部の外側の外周流路よりも内側の内周流路の方がゲートからの樹脂の流路長がより長くなる。これにより、射出初期段階でコア脚部の内側の内周流路よりも外側の外周流路の方により多くの樹脂が流れ込むため、コア脚部には外側から内側に向けて圧力が掛かる。さらに、コア脚部の内側には支えがない。したがって、その外周流路の樹脂の圧力でコア脚部が内側に倒れ込み変形することで破損する虞がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、コアの破損を防止できるリアクトルの製造方法及び金型を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
コイルの中空部に、コア中心部と該コア中心部から外側へ夫々延びる一対のコア脚部とを有するコアの該コア中心部が挿入され、前記コア脚部と前記コア中心部とで前記コイルを挟み込むように、前記コイルに対し前記コアを組み付けるステップと、
該コイル及びコアを金型内に配置し、該金型に設けられた支持部により前記コア脚部の外側を支持しつつ、該金型において前記コア脚部よりも前記コイル側に設けられたゲートから、樹脂を該金型内に流し込むことで前記コイル及びコアに対し樹脂で成形を行うステップと、
を含むリアクトルの製造方法
である。
この一態様において、前記コア脚部の外側面と金型の内側面との間に前記樹脂が流れる外周流路が形成され、前記コア脚部の内側面と前記コイルの外側面との間に前記樹脂が流れる内周流路が形成され、前記金型には、前記コア脚部のゲート側の上端面に当接し、前記ゲートから前記外周流路へ樹脂が流れるのを阻止する阻止部が設けられていてもよい。
この一態様において、前記ゲートは、前記内周流路よりも内側に設けられていてもよい。
この一態様において、前記ゲートから流し込まれた樹脂は、前記内周流路を流れ、前記コア脚部の上端面とは反対側の下端面と金型との間に形成された流路を流れ、前記外周流路に流入してもよい。
この一態様において、前記ゲートから前記阻止部の内側面までの距離は、前記阻止部の外側面から前記外周流路の外側面までの距離よりも大きくてもよい。
この一態様において、前記コアは、断面形状が略E字状に形成された一対のコア部材に分割されており、該コア部材の端面同士を突き合わせることで、前記コア中心部は前記コイルの中空部を通り、前記コア中心部及びコア脚部により互いに向き合う前記コイルの一方側及び他方側の夫々を一巡するように取り囲んだ状態になり、前記阻止部には、前記端面同士を突き合せた位置に対応する位置に隙間が形成されており、前記ゲートから流し込まれた樹脂の一部は、該隙間を流れ、前記外周流路に流入してもよい。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
コイルの中空部に、コア中心部と該コア中心部から外側へ夫々延びる一対のコア脚部とを有するコアの該コア中心部が挿入され、前記コア脚部と前記コア中心部とで前記コイルを挟み込むように、前記コイルに対し前記コアを組み付け、該コイル及びコアが内部に配置される金型であって、
前記コア脚部の外側を支持する支持部と、
前記コア脚部よりも前記コイル側に設けられると共に、前記金型内に樹脂を流し込むためのゲートと、
を備える金型
であってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コアの破損を防止できるリアクトルの製造方法及び金型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】コイルにコアを組み付ける状態を示す図である。
【
図2】金型内にコイル及びコアが配置された状態での金型内における樹脂の流路を示す断面図である。
【
図3】
図2のコイル及びコアをA方向(正面)から見た断面図である。
【
図4】
図2のコイル及びコアを上方(B方向)から見た上視図である。
【
図6】金型内における樹脂の流動過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係るリアクトルの製造方法は、コンバータに適用されるリアクトルを製造するための方法である。コンバータは、例えば電動機を備えた電気自動車やハイブリッド車両等の車両に設けられ、バッテリの電圧を昇圧して電動機に供給するものである。
【0010】
本実施形態に係るリアクトルの製造方法において、
図1に示す如くコイル1にコア2を組み付けた後、このコイル1及びコア2に対し、取付用のフランジ部等を有する所定形状が形成されるように、金型内においてモールド用樹脂によりインサート成形を行うものである。
【0011】
続いて、本実施形態に係るリアクトルの製造方法を詳細に説明する。まず、中空部11が形成されるように平角線が巻き回され、コイル1が加工される。次に、コイル1を金型に設置し、コイル1が所定形状となるように樹脂で成形するコイルモールドを行う。このコイルモールドを行うことにより、コイル1の中空部11の内周面を含めコイル1の表面が終端部を除いて樹脂で覆われた状態となる。
【0012】
コイルモールドを行う代わりに、例えばボビン等の絶縁部品をコイル1とコア2との間に介在させてもよい。なお、コイルモールドを行う方が、部品点数を削減できる点でより好ましい。
【0013】
次に、コイルモールドされた状態のコイル1にコア2を組み付ける。コア2は磁性体で構成されている。コア2は、断面形状が略E字状に形成された一対のコア部材21に分割されている。コア2の各コア部材21は、コア中心部211とコア中心部211から外側へ夫々延びる一対のコア脚部212とを有する。
【0014】
コア2のコア中心部211が中空部11に挿入され、コア脚部212とコア中心部211とでコイル1を挟み込むように、コイル1に対しコア2を組み付ける。具体的には、一対のコア部材21の端面同士を突き合わせることで、コア中心部211が中空部11を通る。これにより、コア中心部211及びコア脚部212は、互いに向き合うコイル1の一方側12及び他方側13の夫々を一巡するように取り囲んだ状態になる。コア部材21の端面同士は、例えば、紫外線硬化型の接着剤などで接合される。
【0015】
続いて、接着剤が硬化してコイル1にコア2が組み付けられたものを、所定形状を与える金型内に配置する。金型内に樹脂を流し込むことで、コイル1及びコア2に対し樹脂で成形を行う。金型は、例えば、上型と下型とで構成されている。
【0016】
図2は、金型内にコイル及びコアが配置された状態での金型内における樹脂の流路を示す断面図である。樹脂の流路は、樹脂が成形される部分に相当する。
図3は、
図2のコイル及びコアをA方向(正面)から見た断面図である。
図2及び
図3に描かれる流路の外側に金型が存在している。また、
図2において、分かり易くするため、コイル1及びコア2の左側のみを表示し、右側を省略している。
【0017】
金型3には、金型3内に樹脂を流し込むためのゲート31が設けられている。金型3には、例えば、
図2に示す如く、4つのゲート31が設けられているがこれに限定されない。金型3に設けられるゲート31の数は、任意でよく、樹脂の射出力などを考慮してゲート31の数は設定されてもよい。
【0018】
図3に示す如く、コア脚部212の外側面と金型3の内側面との間に樹脂が流れる外周流路S1が形成されている。コア脚部212の内側面とコイル1の外側面との間に樹脂が流れる内周流路S2が形成されている。
【0019】
ゲート31は、コア脚部212よりもコイル側に設けられている。ゲート31は、
図3に示す如く、内周流路S2よりも内側に設けられているのが好ましい。これにより、射出初期段階で、より多くの樹脂を内周流路S2側に流すことができる。なお、
図3に示すゲート31の位置は一例であり、これに限定されない。ゲート31は、コア脚部212よりもコイル側に設けられていれば、任意の位置に設けられていてもよい。
【0020】
金型3には、コア脚部212の外側面に当接し、その外側面を支持する外側支持部32が設けられている。また、金型3には、コア脚部212の下端面に当接しその下端面を支持する下端支持部33が設けられている。外側支持部32及び下端支持部33は、金型3に一体的に形成されていてもよい。
【0021】
ところで、 リアクトルの小型化を目的として、コア脚部を薄肉化することが行われる。この場合、従来、ゲートがコア脚部側に設けられていると、コア脚部の外側の外周流路よりも内側の内周流路の方がゲートからの樹脂の流路長がより長くなる。これにより、射出初期段階でコア脚部の内側の内周流路よりも外側の外周流路の方により多くの樹脂が流れ込むため、コア脚部には外側から内側に向けて圧力が掛かる。さらに、コア脚部の内側には支えがない。したがって、その外周流路の樹脂の圧力でコア脚部が内側に倒れ込み変形することで破損する虞がある。
【0022】
これに対し、本実施形態に係るリアクトルの製造方法において、金型3に設けられた外側支持部32によりコア脚部212の外側面を支持しつつ、金型3においてコア脚部212よりもコイル側に設けられたゲート31から、樹脂を金型3内に流し込むことでコイル1及びコア2に対し樹脂で成形を行う。
【0023】
ゲート31がコイル側に設けられているため、コア脚部212の内側の内周流路S2よりも外側の外周流路S1の方がゲート31からの樹脂の流路長がより長くなる。これにより、射出初期段階でコア脚部212の外側の外周流路S1よりも内側の内周流路S2の方により多くの樹脂が流れ込むため、コア脚部212には内側から外側に向けて圧力が掛かる。しかし、金型3の外側支持部32によりコア脚部212の外側面が支持される。これにより、コア脚部212が外側に倒れ込み変形しないため、コア2の破損を防止できる。
【0024】
さらに、本実施形態において、金型3には、コア脚部212のゲート31側の上端面に当接し、ゲート31から外周流路S1へ樹脂が流れるのを阻止する阻止部34が設けられているのが好ましい。阻止部34は、例えば、矩形の板状部材として構成されている。
【0025】
阻止部34は、金型3に一体的に形成されていてもよい。さらに、阻止部34は、金型3に上下方向へスライド可能に設けられ、バネ部材などにより、コア脚部212へ向けて付勢されていてもよい。これにより、コア2の寸法のばらつきを吸収し、阻止部34先端とコア脚部212の上端面とを密着させることができ、外周流路S1へ樹脂が流れるのを確実に阻止できる。
【0026】
ゲート31から流し込まれた樹脂は、阻止部34によって外周流路S1へ流れるのを阻止され、内周流路S2を流れる。そして、その樹脂は、コア脚部212の下端面と金型3との間に形成された流路を流れ、外周流路S1に流入する。これにより、コア脚部212の内周流路S2よりも外周流路S1の方がゲート31からの樹脂の流路長がさらに長くなる。これにより、射出初期段階でコア脚部212の外側の外周流路S1よりも内側の内周流路S2の方により多くの樹脂が流れ込むため、コア脚部212には内側から外側に向けて圧力が掛かる。しかし、金型3の外側支持部32によりコア脚部212の外側面が支持される。これにより、コア脚部212が外側に倒れ込み変形するのを抑制できるため、コア2の破損を防止できる。
【0027】
ゲート31から阻止部34の内側面までの距離は、阻止部34の外側面から外周流路S1の外側面までの距離よりも大きい。これにより、内周流路S2側の流路を大きく確保し、内周流路S2側に多くの樹脂を流すことができる。なお、阻止部34は、コア脚部212の上端面に当接しつつ、可能な限り外側に位置しているのが好ましい。これにより、上記のように、内周流路S2側に多くの樹脂を流すことができる。
【0028】
図4は、
図2のコイル及びコアを上方(B方向)から見た上視図である。
図4に示すように金型3の4箇所に阻止部34が夫々設けられている。なお、阻止部34には、コア部材21の端面同士を突き合せた位置に対応する位置に隙間341が形成されていてもよい。
【0029】
上述の如く、ゲート31から流し込まれた大部分の樹脂は、阻止部34によって外周流路S1へ流れるのを阻止され、内周流路S2を流れる。一方で、ゲート31から流し込まれた樹脂の一部は、隙間341を流れ、外周流路S1に流入する。これにより、コア部材21の端面同士を突き合せた接合部に対して樹脂を形成することができる。
【0030】
図5は、
図4をD線で切断した断面図である。なお、
図3は、
図4をC線で切断した断面図である。
図5に示す断面図において、
図3に示す断面図と同様に、上述したゲート31、阻止部34、コア中心部211、コア脚部212、内周流路S2、及び、外周流路S1が夫々設けられている。
【0031】
コア脚部212の外側面と金型3の内側面との間に樹脂が流れる外周流路S1が形成されている。コア脚部212の内側面とコイル1の外側面との間に樹脂が流れる内周流路S2が形成されている。ゲート31は、内周流路S2よりも内側に設けられている。阻止部34は、コア脚部212のゲート31側の上端面に当接し、ゲート31から外周流路S1へ樹脂が流れるのを阻止する。
【0032】
ゲート31から流し込まれた樹脂は、阻止部34によって外周流路S1へ流れるのを阻止され、内周流路S2を流れる。そして、その樹脂は、コア脚部212の下端面と金型3との間に形成された流路を流れ、外周流路S1に流入する。これにより、コア脚部212の内周流路S2よりも外周流路S1の方がゲート31からの樹脂の流路長がさらに長くなる。これにより、射出初期段階でコア脚部212の外側の外周流路S1よりも内側の内周流路S2の方により多くの樹脂が流れ込むため、コア脚部212には内側から外側に向けて圧力が掛かる。しかし、金型3の外側支持部32によりコア脚部212の外側面が支持される。これにより、コア脚部212が外側に倒れ込み変形するのを抑制できるため、コア2の破損を防止できる。
【0033】
続いて、金型3内における樹脂の流動過程を、
図6を用いてより詳細に説明する。まず、
図6(A)に示す如く、樹脂がゲート31から金型3内に流入する。次に、
図6(B)に示す如く、流入した樹脂の一方は、阻止部34に到達するが、阻止部34により外周流路S1に流入するのを阻止される。流入した樹脂の他方は、内周流路S2に流入する。
【0034】
さらに、
図6(C)に示す如く、樹脂は内周流路S2を流れ、コア脚部212の下端面と金型3との間の流路を流れ、外周流路S1に流入する。一方で、阻止部34によって外周流路S1へ流れるのを阻止された樹脂の一部は、隙間341を流れ、外周流路S1に流入する。
【0035】
図6(D)に示す如く、樹脂により内周流路S2が満たされた後、遅れて、樹脂により外周流路S1が満たされる。
【0036】
以上、本実施形態に係るリアクトルの製造方法において、金型3に設けられた外側支持部32によりコア脚部212の外側面を支持しつつ、金型3においてコア脚部212よりもコイル側に設けられたゲート31から、樹脂を金型3内に流し込むことでコイル1及びコア2に対し樹脂で成形を行う。
【0037】
ゲート31がコイル側に設けられているため、コア脚部212の内側の内周流路S2よりも外側の外周流路S1の方がゲート31からの樹脂の流路長がより長くなる。これにより、射出初期段階でコア脚部212の外側の外周流路S1よりも内側の内周流路S2の方により多くの樹脂が流れ込むため、コア脚部212には内側から外側に向けて圧力が掛かる。しかし、金型3の外側支持部32によりコア脚部212の外側面が支持される。これにより、コア脚部212が外側に倒れ込み変形しないため、コア2の破損を防止できる。
【0038】
また、金型3には、コア脚部212のゲート31側の上端面に当接し、ゲート31から外周流路S1へ樹脂が流れるのを阻止する阻止部34が設けられているのが好ましい。
【0039】
ゲート31から流し込まれた樹脂は、阻止部34によって外周流路S1へ流れるのを阻止され、内周流路S2を流れる。そして、その樹脂は、コア脚部212の下端面と金型3との間に形成された流路を流れ、外周流路S1に流入する。これにより、コア脚部212の内周流路S2よりも外周流路S1の方がゲート31からの樹脂の流路長がさらに長くなる。これにより、コア脚部212には内側から外側に向けて圧力が掛かるが、金型3の外側支持部32によりコア脚部212の外側面が支持される。これにより、コア脚部212が外側に倒れ込み変形するのを抑制できるため、コア2の破損を防止できる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 コイル、2 コア、3 金型、11 中空部、12 一方側、13 他方側、21 コア部材、21 各コア部材、21 コア部材、31 ゲート、32 外側支持部、33 下端支持部、34 阻止部、211 コア中心部、212 コア脚部、341 隙間、S1 外周流路、S2 内周流路