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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】発光装置、光源装置及び計測装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20241126BHJP
   H01S 5/062 20060101ALI20241126BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01L33/00 J
H01S5/062
H01S5/026
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022014959
(22)【出願日】2022-02-02
(65)【公開番号】P2023112927
(43)【公開日】2023-08-15
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】大野 誠治
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-111063(JP,A)
【文献】特開平09-150542(JP,A)
【文献】特開2020-120018(JP,A)
【文献】特開2019-212742(JP,A)
【文献】特開2018-018947(JP,A)
【文献】特開2004-181741(JP,A)
【文献】特開2001-060716(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0375523(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 -33/64
H01S 5/00 - 5/50
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 -17/95
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00 -21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
G09G 3/12 - 3/14
G09G 3/30 - 3/3291
H04N 1/024- 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光点を有する発光部と、
前記発光部において点灯させる発光点を、シフト動作により設定するシフト部と、を備え、
前記シフト部は、
シフト動作が開始される開始点と、当該開始点を共有し、当該開始点からシフト動作する2個のブロックとを有し、当該2個のブロックに共通に設けられ、シフト信号によりシフト動作するブロックを選択する3相のシフト信号線を有する
発光装置。
【請求項2】
前記開始点は、前記3相のシフト信号線の1つに接続され、前記2個のブロックの一方は、当該開始点からサイクリックに当該3相のシフト信号線に接続され、当該2個のブロックの他方は、当該開始点からサイクリックの逆に当該3相のシフト信号線に接続されていることを特徴とする請求項に記載の発光装置。
【請求項3】
前記3相のシフト信号線に供給されるシフト信号の位相により、シフト方向が指定され、シフト動作を行うブロックが選択されることを特徴とする請求項に記載の発光装置。
【請求項4】
前記2個のブロックは、ひとつの半導体基板に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記シフト信号線は、前記半導体基板に設けられた共通の接続端子に接続されていることを特徴とする請求項に記載の発光装置。
【請求項6】
複数の発光点を有する発光部と、
前記発光部において点灯させる発光点を、シフト動作により設定するシフト部と、を備え、
前記シフト部は、
3相以上のシフト信号線を有し、開始点を共有する2個のブロックを含むブロックでそれぞれが構成された複数のブロック群を含み、
前記複数のブロック群の開始点が、それぞれが異なるシフト信号線に接続され、当該複数のブロック群に含まれる2個のブロックの一方は、当該開始点からサイクリックに当該シフト信号線に接続され、当該2個のブロックの他方は、当該開始点からサイクリックの逆に当該シフト信号線に接続され、シフト信号によりシフト動作するブロックが選択される、
発光装置。
【請求項7】
前記開始点が接続されたシフト信号線に供給されるシフト信号の位相により、前記シフト部が有する複数のブロック群からシフト動作を行うブロック群が選択されるとともに、他のシフト信号線に供給される他のシフト信号によりシフト方向が指定され、シフト動作を行うブロックが選択されることを特徴とする請求項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記シフト部は、配列の順にオン状態がシフトされるシフト素子で構成されていることを特徴とする請求項1又は6に記載の発光装置。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の発光装置と、
前記シフト部にシフト信号を供給し、前記発光装置における前記発光部に発光のための電流を供給する駆動部と、
を備える光源装置。
【請求項10】
請求項に記載の光源装置と、
前記光源装置の前記発光部から出射され、被計測物で反射された光を受光する受光部と、
を備える計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、光源装置及び計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、左右の回路ごとに、クロックパルスφ1,φ2、スタートパルスφS、書込み信号φIをそれぞれ別系統とし、電源VGKのみは共通とした自己走査型発光素子アレイチップが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-111063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の発光点を有する発光部と、シフト動作により点灯させる発光点を設定するシフト部とを備える発光装置がある。シフトしていくシフト動作は、シフト順に沿って先頭側から後尾側へと行われるので、シフト動作により設定される発光点の数が多いと、後尾側の発光点ほど設定に時間がかかる。そこで、シフト部を複数のブロックに分割することが考えられるが、ブロック毎にシフト動作させるシフト信号線を設けると、シフト信号線数が増えて、発光装置が大きくなったり、駆動が複雑になったりする。
本発明の目的は、シフト信号線数の増加を抑制しつつ、発光点を設定する時間が短縮できる発光装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、複数の発光点を有する発光部と、前記発光部において点灯させる発光点を、シフト動作により設定するシフト部と、を備え、前記シフト部は、シフト動作が開始される開始点と、当該開始点を共有し、当該開始点からシフト動作する2個のブロックとを有し、当該2個のブロックに共通に設けられ、シフト信号によりシフト動作するブロックを選択する3相のシフト信号線を有する発光装置である。
請求項に記載の発明は、前記開始点は、前記3相のシフト信号線の1つに接続され、前記2個のブロックの一方は、当該開始点からサイクリックに当該3相のシフト信号線に接続され、当該2個のブロックの他方は、当該開始点からサイクリックの逆に当該3相のシフト信号線に接続されていることを特徴とする請求項に記載の発光装置である。
請求項に記載の発明は、前記3相のシフト信号線に供給されるシフト信号の位相により、シフト方向が指定され、シフト動作を行うブロックが選択されることを特徴とする請求項に記載の発光装置である。
請求項4に記載の発明は、前記2個のブロックは、ひとつの半導体基板に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
請求項5に記載の発明は、前記シフト信号線は、前記半導体基板に設けられた共通の接続端子に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の発光装置である。
請求項に記載の発明は、複数の発光点を有する発光部と、前記発光部において点灯させる発光点を、シフト動作により設定するシフト部と、を備え、前記シフト部は、3相以上のシフト信号線を有し、開始点を共有する2個のブロックを含むブロックでそれぞれが構成された複数のブロック群を含み、前記複数のブロック群の開始点が、それぞれが異なるシフト信号線に接続され、当該複数のブロック群に含まれる2個のブロックの一方は、当該開始点からサイクリックに当該シフト信号線に接続され、当該2個のブロックの他方は、当該開始点からサイクリックの逆に当該シフト信号線に接続され、シフト信号によりシフト動作するブロックが選択される、発光装置である。
請求項に記載の発明は、前記開始点が接続されたシフト信号線に供給されるシフト信号の位相により、前記シフト部が有する複数のブロック群からシフト動作を行うブロック群が選択されるとともに、他のシフト信号線に供給される他のシフト信号によりシフト方向が指定され、シフト動作を行うブロックが選択されることを特徴とする請求項に記載の発光装置である。
請求項に記載の発明は、前記シフト部は、配列の順にオン状態がシフトされるシフト素子で構成されていることを特徴とする請求項1又は6に記載の発光装置である。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の発光装置と、前記シフト部にシフト信号を供給し、前記発光装置における前記発光部に発光のための電流を供給する駆動部と、を備える光源装置である。
請求項10に記載の発明は、請求項に記載の光源装置と、前記光源装置の前記発光部から出射され、被計測物で反射された光を受光する受光部と、を備える計測装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、シフト信号線数の増加を抑制しつつ、発光点を設定する時間が短縮できる。
請求項に記載の発明によれば、簡易なルールでシフト信号が構成できる。
請求項3に記載の発明によれば、ブロックを選択するシフト信号線を設けることを要しない。
請求項4に記載の発明によれば、1の半導体基板に設けない場合に比べ、発光装置が小型化できる。
請求項5に記載の発明によれば、共通の接続端子に接続されない場合に比べ、接続端子の数が削減される。
請求項に記載の発明によれば、2を超えるブロックが簡易なルールで構成できる。
請求項に記載の発明によれば、ブロック群を複数設けない場合に比べ、発光点を設定する時間がより短縮できる。
請求項に記載の発明によれば、オン状態を転送しない場合に比べ、シフト部が構成しやすい。
請求項に記載の発明によれば、三次元計測が行える光学装置が提供される。
請求項10に記載の発明によれば、三次元形状を計測できる計測装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態が適用される光源装置を説明する図である。(a)は、光源装置の概要図、(b)は、光源装置が備える発光装置の等価回路である。
図2】シフトサイリスタ、発光サイリスタと結合トランジスタとにより、発光装置の動作を説明する図である。(a)は、等価回路、(b)は、シフトサイリスタと結合トランジスタとの断面図である。
図3】発光装置のレイアウト及び断面を説明する図である。(a)は、レイアウト、(b)は、(a)のIIIB-IIIB線での断面である。
図4】発光装置の動作を説明する拡大図である。(a)は、発光装置の一方側の端部、(b)は、発光装置の他方側の端部である。
図5】発光装置の動作を説明するタイミングチャートである。
図6】比較のために示す発光装置の等価回路である。
図7】比較のために示す発光装置の動作を説明するタイミングチャートである。
図8】第2の実施の形態が適用される光源装置を説明する図である。(a)は、光源装置の概要図、(b)は、光源装置が備える発光装置の等価回路である。
図9】発光装置の動作を説明するタイミングチャートである。
図10】第3の実施の形態が適用される発光装置の等価回路である。
図11】発光装置の動作を説明するタイミングチャートである。
図12】発光点の変形例を説明する図である。(a)は、発光サイリスタのアノード側に発光ダイオード又はレーザダイオードを設けた場合、(b)は、発光サイリスタのカソード側に発光ダイオード又はレーザダイオードを設けた場合である。
図13】計測装置の構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
ここでは、発光部とシフト部とを備える発光装置において、発光部が複数の発光素子を発光点として有し、シフト部がシフト動作により点灯させる発光素子を設定し、設定された発光素子を点灯(発光)させる。以下では、発光素子を発光点と表記することがあり、点灯を発光と表記することがある。
【0009】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態が適用される光源装置1を説明する図である。図1(a)は、光源装置1の概要図、図1(b)は、光源装置1が備える発光装置10の等価回路である。図1(b)において、紙面の右方向を+x方向とする。サイリスタ及びトランジスタを記号で示し、抵抗を長方形で示す。他の場合も同様である。
【0010】
図1(a)に示す光源装置1は、発光装置10と駆動部50とを備える。駆動部50は、電源電圧供給部51、シフト信号供給部52、接地電圧供給部53、点灯信号供給部54を備え、発光装置10を制御する。発光装置10は、VGK端子、φ1端子、φ2端子、GND端子、φI端子を備える。なお、GNDは、基準電圧である接地電圧を意味し、VGKは、電源電圧を意味する。VGK端子、φ1端子、φ2端子、GND端子、φI端子は、接続端子の一例である。
【0011】
(光源装置1)
駆動部50の電源電圧供給部51は、発光装置10のVGK端子に電源電圧VGKを供給する。駆動部50のシフト信号供給部52は、発光装置10のφ1端子及びφ2端子にシフト信号φ1、φ2を供給する。駆動部50の接地電圧供給部53は、発光装置10のGND端子に接地電圧GNDを供給する。駆動部50の点灯信号供給部54は、発光装置10のφI端子に点灯信号φIを供給する。シフト信号φ1、φ2は、図1(b)に示すシフト部12に供給され、シフトサイリスタT、Uのオン状態を順にシフトする。なお、オン状態を順にシフトすることを、オン状態を順に転送すると表記してもよい。よって、シフト信号φ1、φ2を転送信号φ1、φ2と表記してもよく、シフトサイリスタT、Uを転送サイリスタT、Uと表記してもよい。シフトサイリスタT、Uは、シフト素子の一例である。
【0012】
駆動部50は、後述する図5に示すシフト信号φ1、φ2、点灯信号φIを生成して発光装置10に供給する。なお、駆動部50は、自らシフト信号φ1、φ2、点灯信号φIを生成してもよく、光源装置1の外部に設けられた制御装置からの指示に基づいてシフト信号φ1、φ2、点灯信号φIを生成してもよい。
【0013】
(発光装置10)
図1(b)において、発光装置10を説明する。発光装置10は、発光部11とシフト部12とを備える。発光部11は、発光素子の一例として発光サイリスタL(1)~L(12)を備える。発光部11において、発光サイリスタL1(1)~L(12)は、一方向(+x方向)に配列されている。発光サイリスタL(1)~L(12)をそれぞれ区別しない場合は、発光サイリスタLと表記する。
【0014】
シフト部12は、2つのブロック#1、#2に分けられている。図1(b)では、ブロック#1(12)、#2(12)と表記する。ブロック#1は、シフトサイリスタT(1)~T(6)と結合トランジスタQ(1)~Q(6)とを備える。シフトサイリスタT(1)~T(6)と結合トランジスタQ(1)~Q(6)とは、一方側(-x方向側)から中央部に向けて配列されている。シフトサイリスタT(1)~T(6)をそれぞれ区別しない場合は、シフトサイリスタTと表記し、結合トランジスタQ(1)~Q(6)をそれぞれ区別しない場合は、結合トランジスタQと表記する。1個のシフトサイリスタTと1個の結合トランジスタQとがシフトユニット12aを構成する。シフトユニット12aを、シフトサイリスタT(1)と結合トランジスタQ(1)の部分を例に、一点鎖線で囲って示す。シフトユニット12aは、電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcと電源線抵抗RLとをさらに備える。ブロック#1では、シフトユニット12aが6個配列されている。シフトサイリスタTと結合トランジスタQとに数字を付して区別するが、他の構成要素については数字を付さない。図1(b)では、シフトサイリスタT(1)及び結合トランジスタ(1)の部分に、電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcと電源線抵抗RLの符号を表記し、他の部分では符号の表記を省略する。そして、ブロック#1は、一方側(-x方向側)の端部に電源線抵抗Rg(1)とスタート抵抗Rs(1)とを備える。
【0015】
シフトユニット12aの結合トランジスタQは、発光部11の発光サイリスタLの一つと接続されている。つまり、結合トランジスタQ(1)~Q(6)は、発光サイリスタL(1)~L(6)とこの順でそれぞれが接続されている。
【0016】
ブロック#2は、シフトサイリスタU(1)~U(6)と結合トランジスタP(1)~P(6)とを備える。シフトサイリスタU(1)~U(6)と結合トランジスタP(1)~P(6)とは、他方側(x方向側)から中央部に向けて配列されている。シフトサイリスタU(1)~U(6)をそれぞれ区別しない場合は、シフトサイリスタUと表記し、結合トランジスタP(1)~P(6)をそれぞれ区別しない場合は、結合トランジスタPと表記する。1個のシフトサイリスタUと1個の結合トランジスタPとがシフトユニット12bを構成する。シフトユニット12bを、シフトサイリスタU(1)と結合トランジスタP(1)の部分を例に、一点鎖線で囲って示す。なお、シフトユニット12bは、電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcと電源線抵抗RLとをさらに備える。ブロック#2では、シフトユニット12bが6個配列されて構成されている。シフトサイリスタUと結合トランジスタPとに数字を付して区別するが、他の構成要素については数字を付さない。そして、ブロック#2は、他方側(+x方向側)の端部に電源線抵抗Rg(2)とスタート抵抗Rs(2)とを備える。
【0017】
シフトユニット12bの結合トランジスタPは、発光部11の発光サイリスタLの一つと接続されている。つまり、結合トランジスタP(1)~P(6)は、発光サイリスタL(12)~L(7)とこの順でそれぞれが接続されている。
そして、ブロック#1の他方側(+x方向側)のシフトサイリスタT(6)と結合トランジスタQ(6)を備えるシフトユニット12aと、ブロック#2の一方側(-x方向側)のシフトサイリスタU(6)と結合トランジスタP(6)を備えるシフトユニット12bとが隣接している。
【0018】
発光装置10の一方側(-x方向側)の端部に、電流制限抵抗R1、R2、RI、及びVGK端子、φ1端子、φ2端子、GND端子、φI端子が設けられている。発光装置10は、VGK端子から電源電圧VGKが供給される電源線71、φ1端子からシフト信号φ1が供給されるシフト信号線72-1、φ2端子からシフト信号φ2が供給されるシフト信号線72-2、GND端子から接地電圧GNDが供給される接地線73-1、73-2、φI端子から電流制限抵抗RIを介して点灯信号φIが供給される点灯信号線74を備える。シフト信号φ1が供給されるφ1端子、シフト信号φ2が供給されるφ2端子は、ブロック#1、#2に共通であって、ブロック#1、#2には、同じシフト信号φ1、φ2が供給される。なお、シフト信号線72-1、72-2をそれぞれ区別しない場合は、シフト信号線72と表記し、接地線73-1、73-2をそれぞれ区別しない場合は、接地線73と表記する。
【0019】
発光装置10の接続関係は、拡大図によって説明する。なお、シフトサイリスタT、Uを区別せずシフトサイリスタと、発光サイリスタLを発光サイリスタと表記することがある。また、シフトサイリスタと発光サイリスタとを区別せずサイリスタと表記することがある。同様に、結合トランジスタP、Qを結合トランジスタと表記することがある。
【0020】
(シフトサイリスタ、発光サイリスタ及び結合トランジスタの動作)
ここでは、発光装置10の基本的な動作を説明する。
シフトサイリスタ、発光サイリスタは、npnp構造のサイリスタである。サイリスタは、n型のカソードK(以下では、カソードKと表記する。以下同様とする。)、p型のゲートGp(pゲートGp)、n型のゲートGn(nゲートGn)、p型のアノードA(アノードA)を備える。なお、発光サイリスタLは、pゲートGpを制御に用いないため、表記しない。なお、これらの符号は、サイリスタ毎に区別しないで用いる。
【0021】
結合トランジスタは、マルチコレクタのnpnバイポーラトランジスタである。結合トランジスタは、n型のエミッタE(エミッタE)、p型のベースB(ベースB)、n型のコレクタCf、Cs(コレクタCf、Cs)を備える。
【0022】
なお、上記の符号は、サイリスタ間、結合トランジスタ間において区別しないで用いる。後述するサイリスタを構成するバイポーラトランジスタについても同様とする、ただし、サイリスタは、後述するように、シングルコレクタのnpnバイポーラトランジスタとpnpバイポーラトランジスタとの組み合わせで構成されているが、エミッタE、ベースBの符号を共通に用い、コレクタCと表記する。
【0023】
サイリスタ及び結合トランジスタは、例えばGaAsなどのIIIV属の化合物半導体で構成されている。ここでは、この化合物半導体の接合の順方向電圧(拡散電位)Vdを1.5Vとし、化合物半導体で構成されるバイポーラトランジスタの飽和電圧Vcを0.3Vとする。接地電圧GNDを0V、電源電圧VGKを3.3Vとする。シフト信号φ1、φ2及び点灯信号φIは、接地電圧GND(「L」(0V))と電源電圧VGK(「H」(3.3V))とを有する信号とする。
【0024】
図2は、シフトサイリスタT(1)、発光サイリスタL(1)と結合トランジスタQ(1)とにより、発光装置10の動作を説明する図である。図2(a)は、等価回路、図2(b)は、シフトサイリスタT(1)と結合トランジスタQ(1)との断面図である。図2(a)では、シフトサイリスタT(2)を合わせて示している。
【0025】
図2(a)に示すように、シフトサイリスタT(1)は、npnバイポーラトランジスタTr1(以下では、npnトランジスタTr1と表記する。)とpnpバイポーラトランジスタTr2(以下では、pnpトランジスタTr2と表記する。)との組み合わせで構成されている。npnトランジスタTr1のベースBがpnpトランジスタTr2のコレクタCに接続され、npnトランジスタTr1のコレクタCがpnpトランジスタTr2のベースBに接続されている。npnトランジスタTr1のエミッタEがシフトサイリスタT(1)のカソードK、npnトランジスタTr1のコレクタC(pnpトランジスタTr2のベースB)がシフトサイリスタT(1)のnゲートGn、pnpトランジスタTr2のコレクタC(npnトランジスタTr1のベースB)がシフトサイリスタT(1)のpゲートGp、pnpトランジスタTr2のエミッタEがシフトサイリスタT(1)のアノードAである。カソードKであるnpnトランジスタTr1のエミッタは、接地電圧GNDが供給される接地線73-1に接続されている。アノードAであるpnpトランジスタTr2のエミッタEは、シフト信号φ1が供給されるシフト信号線72-1に接続されている。nゲートGnは、直列接続されたスタート抵抗Rs(1)と電源線抵抗Rg(1)との接続点に接続されている。スタート抵抗Rs(1)の他方(接続点でない方)は、シフト信号φ2が供給されるシフト信号線72-2に接続されている。電源線抵抗Rg(1)の他方(接続点でない方)は、電源電圧VGKが供給される電源線71に接続されている。
【0026】
npnトランジスタである結合トランジスタQ(1)において、エミッタEが、接地電圧GNDが供給される接地線73-1に接続され、ベースBが、シフトサイリスタT(1)のpゲートGp(npnトランジスタTr1のベースB及びpnpトランジスタTr2のコレクタC)に接続されている。コレクタCfが、直列接続された結合抵抗Rcと電源線抵抗Rgとを介して電源電圧VGKが供給される電源線71に接続されている。結合抵抗Rcと電源線抵抗Rgとの接続点は、シフトサイリスタT(2)のnゲートGnに接続されている。
【0027】
シフトサイリスタT(1)におけるnpnトランジスタTr1と、結合トランジスタQ(1)とは、カレントミラー回路を構成する。つまり、npnトランジスタTr1に流れる電流に比例した電流が、結合トランジスタQ(1)に流れる。
【0028】
結合トランジスタQ(1)のコレクタCsは、発光サイリスタL(1)のnゲートGnに接続されるとともに、電源線抵抗RLを介して、電源電圧VGKが供給される電源線71に接続されている。発光サイリスタL(1)は、アノードAが点灯信号線74に接続され、カソードKが接地電圧GNDが供給される接地線73-1に接続されている。
【0029】
まず、シフトサイリスタT(1)の動作を説明する。初めに、電源線71が電源電圧VGK(3.3V)、接地線73-1が接地電圧GND(0V)に設定され、シフト信号φ1、φ2が「L」(0V)であるとする。この時、シフトサイリスタT(1)を構成するnpnトランジスタTr1、pnpトランジスタTr2は、オフ状態にある。シフトサイリスタT(1)のnゲートGnは、直列接続されたスタート抵抗Rs(1)と電源線抵抗Rg(1)との接続点に接続されている。そして、スタート抵抗Rs(1)の他方(接続点でない方)は、「L」(0V)のシフト信号線72-2に接続され、電源線抵抗Rg(1)の他方(接続点でない方)は、3.3Vの電源線71に接続されている。よって、nゲートGnは、電圧差(3.3V)がスタート抵抗Rs(1)と電源線抵抗Rg(1)とで分圧された電圧になる。スタート抵抗Rs(1)と電源線抵抗Rg(1)との抵抗比を、一例として1:5とすると、nゲートGnは、0.55Vになる。
【0030】
ここで、シフト信号φ1が「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行すると、シフトサイリスタT(1)のpnpトランジスタTr2のエミッタE(「H」(3.3V))とベースB(pゲートGp)(0.55V)との電圧差が2.75Vと順方向電圧Vd(1.5V)以上、つまり順バイアスとなるので、pnpトランジスタTr2がオフ状態からオン状態に移行する。すると、pnpトランジスタTr2のコレクタC(npnトランジスタTr1のベースB)が、エミッタE(「H」(3.3V))から飽和電圧Vc(0.3V)を引いた3.0Vになる。npnトランジスタTr1のエミッタE(0V)とベースB(3.0V)との電圧差(3.0V)は、順方向電圧Vd(1.5V)以上、つまり順バイアスとなるので、npnトランジスタTr1がオフ状態からオン状態に移行する。シフトサイリスタT(1)におけるnpnトランジスタTr1とpnpトランジスタTr2とがオン状態になるので、シフトサイリスタT(1)がオフ状態からオン状態に移行する。シフトサイリスタTがオフ状態からオン状態に移行することを、ターンオンと表記する。なお、シフトサイリスタTがオン状態からオフ状態に移行することを、ターンオフと表記する。
【0031】
シフトサイリスタT(1)がターンオンすると、シフトサイリスタT(1)において、nゲートGnは、飽和電圧Vcの0.3Vになる。また、アノードAは、電流制限抵抗R1及びシフトサイリスタT(1)の内部抵抗により決まる電圧になる。ここでは、アノードAは、1.8Vになるとする。つまり、シフトサイリスタT(1)がターンオンすると、シフト信号線72-1は、3.3Vから1.8Vに移行する。
【0032】
以上説明したように、シフトサイリスタT(1)は、nゲートGnの電圧がアノードAの電圧より順方向電圧Vd(1.5V)以上低い値となれば、ターンオンする。なお、シフトサイリスタT(1)は、シフト信号線72-1の電圧(アノードAとカソードKとの間の電圧)が、上記の1.8V未満になると、ターンオフする。例えば、アノードAが「L」(0V)になると、アノードAとカソードKとの間の電圧が0Vになるので、シフトサイリスタT(1)は、ターンオフする。一方、シフト信号線72-1の電圧(アノードAとカソードKとの間の電圧)が1.8V以上であれば、シフトサイリスタT(1)のオン状態が維持される。よって、1.8Vを維持電圧と表記する。
【0033】
次に、結合トランジスタQ(1)の動作を説明する。
シフトサイリスタT(1)がオフ状態であれば、npnトランジスタTr1は、オフ状態である。よって、結合トランジスタQ(1)も、オフ状態である。このとき、結合トランジスタQ(1)において、エミッタEは、接地電圧GND(0V)に設定されている。コレクタCfは、直列に接続された電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcとを介して電源電圧VGK(3.3V)になっている。また、コレクタCsは、電源線抵抗RLを介して電源電圧VGK(3.3V)になっている。
【0034】
シフトサイリスタT(1)がターンオンする、つまりnpnトランジスタTr1がオン状態になると、上述したように、シフトサイリスタT(1)のpゲートGpが3.0Vになる。すると、結合トランジスタQ(1)は、ベースBがシフトサイリスタT(1)のpゲートGpに接続されているので、エミッタE-ベースB間が順方向電圧Vd(1.5V)以上、つまり順バイアスになり、結合トランジスタQ(1)は、オフ状態からオン状態に移行する。すると、コレクタCf、Csが飽和電圧Vc(0.3V)となる。電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcとの接続点(シフトサイリスタT(2)のnゲートGn)は、電源線71の電圧(3.3V)とコレクタCfの電圧(0.3V)との電圧差(3.0V)が電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcとで分圧された電圧となる。電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcとの抵抗比を一例として5:1とすると、電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcとの接続点(シフトサイリスタT(2)のnゲートGn)は、0.8Vとなる。
【0035】
シフトサイリスタT(2)のアノードAは、シフト信号φ2が供給されるシフト信号線72-2に接続されている。シフト信号φ2は、「L」(0V)であるので、シフトサイリスタT(2)は、ターンオンしない。しかし、シフト信号φ2が「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行すると、シフトサイリスタT(2)のアノードAが「H」(3.3V)になり、nゲートGn(0.8V)との電圧差(2.5V)が順方向電圧Vd(1.5V)以上、つまり順バイアスになって、シフトサイリスタT(2)がターンオンする。このように複数の素子があって、その複数の素子のうちターンオンする素子が次々に移行していく動作がシフト動作である。また、本明細書の実施の形態において、このシフト動作によってターンオンやターンオフさせられる素子がシフト素子である。
【0036】
最後に、発光サイリスタL(1)の動作を説明する。
結合トランジスタQ(1)のコレクタCsは、発光サイリスタL(1)のnゲートGnに接続されている。よって、結合トランジスタQ(1)のコレクタCsが飽和電圧Vc(0.3V)となると、発光サイリスタL(1)のnゲートGnが0.3Vになる。このとき、点灯信号φIが「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行すると、点灯信号線74に接続された発光サイリスタL(1)のアノードAが「H」(3.3V)になる。発光サイリスタL(1)において、アノードA(「H」(3.3V))とnゲートGn(0.3V)との電圧差(3.0V)が順方向電圧Vd(1.5V)以上、つまり順バイアスとなるので、発光サイリスタL(1)がターンオンして点灯(発光)する。発光サイリスタL(1)は、結合トランジスタQ(1)がオフ状態からオン状態に移行すると、nゲートGnが0.3Vになって、点灯可能な状態になる。そして、点灯信号φIが「H」(3.3V)になると、発光サイリスタL(1)が点灯する。なお、発光サイリスタL(1)を点灯させない場合(非点灯を維持する場合)には、点灯信号φIを「L」(0V)に維持すればよい。
【0037】
シフトサイリスタT(1)及び発光サイリスタL(1)は、アノードA-nゲートGn間が順方向電圧Vd(1.5V)以上、つまり順バイアスになると、ターンオンする。そして、シフトサイリスタT(1)がオフ状態からオン状態に移行すると、結合トランジスタQ(1)がオフ状態からオン状態に移行する。すると、発光サイリスタL(1)のnゲートGnが結合トランジスタQ(1)の飽和電圧Vc(0.3V)になる。
【0038】
以上説明したように、接地線73(接地線73-1、73-2)が接地電圧GND(0V)、電源線71が電源電圧VGK、シフト信号φ1が供給されるシフト信号線72-1とシフト信号φ2が供給されるシフト信号線72-2が「L」(0V)に設定されると、シフトサイリスタT(1)がオン状態に移行可能な状態になる。この状態を、初期状態と表記する。ただし、初期状態では、シフト信号φ1(シフト信号線72-1)が「L」(0V)であると、シフトサイリスタT(1)は、オン状態に移行しない。シフト信号φ1(シフト信号線72-1)が「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行すると、シフトサイリスタT(1)がオフ状態からオン状態に移行(ターンオン)する。シフトサイリスタT(1)がターンオンすると、結合トランジスタQ(1)がオフ状態からオン状態に移行する。そして、発光サイリスタL(1)が点灯可能な状態になる。また、結合トランジスタQ(1)がオン状態になると、シフトサイリスタT(2)がオン状態に移行可能な状態になる。しかし、シフト信号φ2(シフト信号線72-2)が「L」(0V)であると、シフトサイリスタT(2)は、オン状態に移行しない。また、シフトサイリスタT(1)は、シフト信号φ1(シフト信号線72-1)が「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行すると、カソードKとアノードAとが「L」(0V)になって、ターンオフする。
【0039】
図2(b)に示すように、発光装置10は、n型の半導体基板80上にn型の半導体層81、p型の半導体層82、n型の半導体層83、及びp型の半導体層84が積層されて構成されている。シフトサイリスタT(1)は、n型の半導体層81をカソードK、p型の半導体層82をpゲートGp、n型の半導体層83をnゲートGn、及びp型の半導体層84をアノードAとして構成されている。一方、結合トランジスタQ(1)は、n型の半導体層81をエミッタE、p型の半導体層82をベースB、n型の半導体層83をコレクタCf、Csとして構成されている。ここで、シフトサイリスタT(1)のカソードKと結合トランジスタQ(1)のエミッタEとは、n型の半導体層81を介して電気的に接続されている。同様に、シフトサイリスタT(1)のpゲートGpと結合トランジスタQ(1)のベースBとは、p型の半導体層82を介して電気的に接続されている。そして、シフトサイリスタT(1)のnゲートGnと結合トランジスタQ(1)のコレクタCf、Csとは、共にn型の半導体層83で構成されているが、分離されている。このようにして、シフトサイリスタT(1)と結合トランジスタQ(1)とが構成されている。なお、発光サイリスタL(1)は、シフトサイリスタT(1)と同様の構成である。そして、他のシフトサイリスタT、U、結合トランジスタQ、P、発光サイリスタLも同様である。
【0040】
図3は、発光装置10のレイアウト及び断面を説明する図である。図3(a)は、レイアウト、図3(b)は、図3(a)のIIIB-IIIB線での断面である。図3(a)では、発光サイリスタL(1)~L(4)の部分を示している。図3(b)では、発光サイリスタL(1)、シフトサイリスタT(1)、結合トランジスタQ(1)、結合トランジスタQ(1)に接続された結合抵抗Rc、電源線抵抗Rgの部分の断面を示している。
【0041】
図3(b)に示すように、発光装置10は、n型の半導体基板80上にn型の半導体層81、p型の半導体層82、n型の半導体層83、及びp型の半導体層84が積層されて構成されている。そして、シフトサイリスタT、U、発光サイリスタL、結合トランジスタQ、Pなどの素子は、一部の半導体層がエッチングにより除去されて分離された複数のアイランドから構成されている。以下では、シフトサイリスタT(1)、結合トランジスタQ(1)、発光サイリスタL(1)などが構成されるアイランド(アイランド301~307)を中心に説明する。
【0042】
アイランド301に発光サイリスタL(1)が設けられている。アイランド302に図2(b)に示したシフトサイリスタT(1)及び結合トランジスタQ(1)が設けられている。アイランド303に電源線抵抗RL、アイランド304に電源線抵抗Rg及び結合抵抗Rcが設けられている。アイランド305に電源線抵抗Rg(1)及びスタート抵抗Rs(1)が設けられている。アイランド306に電流制限抵抗R1、アイランド307に電流制限抵抗R2が設けられている。
【0043】
以下では、図3(a)、(b)を参照してレイアウト及び断面を説明する。
アイランド301の周囲は、n型の半導体層81、p型の半導体層82、n型の半導体層83、p型の半導体層84がエッチングにより除去されている(図3(b)参照)。p型の半導体層84上にp型の半導体層とオーミック接触しやすいpオーミック電極321が設けられている。p型の半導体層84を除去して露出させたn型の半導体層83上にn型の半導体層とオーミック接触しやすいnオーミック電極331が設けられている。nオーミック電極331は、発光サイリスタL(1)のnゲートGnである。
【0044】
アイランド302の周囲は、n型の半導体層81、p型の半導体層82、n型の半導体層83、p型の半導体層84がエッチングにより除去されている(図2(b)参照)。p型の半導体層84上にpオーミック電極322が設けられている。pオーミック電極322は、シフトサイリスタT(1)のアノードに接続される電極(アノード電極)であって、シフト信号φ1が供給されるシフト信号線72-1に接続されている。p型の半導体層84を除去して露出させたn型の半導体層83上にnオーミック電極332、333、334が設けられている。nオーミック電極332、334は、結合トランジスタQ(1)のコレクタCs、Cfに接続される電極(コレクタ電極)である。なお、pオーミック電極322とnオーミック電極332、334との間のn型の半導体層83は除去されている(図2(b)参照)。nオーミック電極333は、シフトサイリスタT(1)のnゲートGnに接続される電極(nゲート電極)である。
【0045】
アイランド303の周囲は、半導体層81~84がエッチングにより除去されている。さらに、アイランド303において、p型の半導体層84が除去されて露出されたn型の半導体層83上に、2個のnオーミック電極335、336が設けられている。2個のnオーミック電極335、336間におけるn型の半導体層83が電源線抵抗RLである。
【0046】
アイランド304は、アイランド303と同様に構成されている。p型の半導体層84が除去されて露出されたn型の半導体層83上に、3個のnオーミック電極337、338、339が設けられている。そして、nオーミック電極337、338間におけるn型の半導体層83が結合抵抗Rc、nオーミック電極338、339間におけるn型の半導体層83が電源線抵抗Rgである。
【0047】
アイランド305は、アイランド304と同様に構成され、スタート抵抗Rs(1)と電源線抵抗Rg(1)とが設けられている。アイランド306、307は、アイランド303と同様に構成され、電流制限抵抗R1、R2が設けられている。
【0048】
半導体基板80の裏面には、接地電圧GNDが供給される裏面電極79が設けられている。
【0049】
次に、接続関係を説明する。なお、接続に用いられる配線(電源線71、シフト信号線72-1、72-2、点灯信号線74)を直線で示している。
アイランド301の発光サイリスタL(1)のアノード電極であるpオーミック電極321は、点灯信号φIが供給される点灯信号線74に接続されている。アイランド301の発光サイリスタL(1)のnゲートGnであるnオーミック電極331は、アイランド302の結合トランジスタQ(1)のコレクタ電極であるnオーミック電極332に接続されている。nオーミック電極332は、アイランド303に設けられた電源線抵抗RLの一方のnオーミック電極335に接続されている。アイランド303の他方のnオーミック電極336は、電源電圧VGKが供給される電源線71に接続されている。
【0050】
アイランド302のシフトサイリスタT(1)のアノード電極であるpオーミック電極322は、シフト信号線72-1に接続されている。シフト信号線72-1は、アイランド306の設けられた電流制限抵抗R1を介して、シフト信号φ1が供給されるφ1端子に接続されている。アイランド302のシフトサイリスタT(1)のnゲート電極であるnオーミック電極333は、アイランド305に設けられた電源線抵抗Rg(1)とスタート抵抗Rs(1)との接続点であるnオーミック電極(符号なし)に接続されている。アイランド302の結合トランジスタQ(1)のコレクタ電極であるnオーミック電極334は、アイランド304の結合抵抗Rcのnオーミック電極337に接続されている。
【0051】
アイランド304の結合抵抗Rcのnオーミック電極338は、シフトサイリスタT(2)のnゲート電極であるnオーミック電極(符号なし)に接続されている。アイランド304の電源線抵抗Rgのnオーミック電極339は、電源電圧VGKが供給される電源線71に接続されている。
【0052】
アイランド305のスタート抵抗Rs(1)のnオーミック電極(符号なし)は、シフト信号φ2が供給されるシフト信号線72-2に接続されている。アイランド305の電源線抵抗Rg(1)のnオーミック電極(符号なし)は、電源線71に接続されている。シフト信号線72-2は、アイランド307の電流制限抵抗R2を介してシフト信号φ2が供給されるφ2端子に接続されている。
【0053】
なお、シフト信号線72-1は、奇数番号のシフトサイリスタTのアノード電極であるpオーミック電極に接続され、シフト信号線72-2は、偶数番号のシフトサイリスタTのアノード電極であるpオーミック電極に接続されている。
【0054】
他のシフトサイリスタT、U、結合トランジスタQ、P、発光サイリスタLは、シフトサイリスタT(1)、結合トランジスタQ(1)、発光サイリスタL(1)と同様に構成されている。また、スタート抵抗Rs(2)及び電源線抵抗Rg(2)は、スタート抵抗Rs(1)及び電源線抵抗Rg(1)と同様に構成されている。
【0055】
以上説明したように、発光装置10は、ひとつの半導体で構成された半導体基板80に設けられている。つまり、シフト部12のブロック#1、#2は、ひとつの半導体で構成された半導体基板80に設けられている。そして、シフト部12に供給されるシフト信号φ1、φ2が供給されるφ1端子、φ2端子は、上記の半導体で構成された半導体基板80に設けられている。
【0056】
図4は、発光装置10の動作を説明する拡大図である。図4(a)は、発光装置10の一方側(-x方向側)の端部、図4(b)は、発光装置10の他方側(+x方向側)の端部である。図4(a)の発光装置10の一方側(-x方向側)は、図2(a)と同様である。ただし、シフトサイリスタT(1)をサイリスタの記号で示し、結合トランジスタQ(2)などを追記している。一方、図4(b)の発光装置10の他方側(+x方向側)では、シフトサイリスタU(1)、U(2)、結合トランジスタP(1)、P(2)、発光サイリスタL(12)、L(11)及び電源線抵抗Rg、結合抵抗Rc、電源線抵抗RLを示している。さらに、他方側(+x方向側)の端部に、電源線抵抗Rg(2)、スタート抵抗Rs(2)を示している。なお、シフトサイリスタT(1)、結合トランジスタQ(1)、発光サイリスタL(1)に、アノードA、カソードK、nゲートGn、pゲートGp、エミッタE、ベースB、コレクタCf、Csの符号を付す。以下では、図に符号を付さない場合であっても、アノードA、カソードK、nゲートGn、pゲートGp、エミッタE、ベースB、コレクタCの表記を用いる。
【0057】
図4(a)、(b)には、電源電圧VGKが供給される電源線71、シフト信号φ1、φ2が供給されるシフト信号線72-1、72-2、接地電圧GNDが供給される接地線73(接地線73-1、73-2)、及び点灯信号φIが供給される点灯信号線74が示されている。これらは、図4(a)、(b)に示す発光装置10の一方側(-x方向側)と他方側(+x方向側)とで接続されている(破線参照)。
【0058】
前述したように、図3(a)に示す、発光装置10の一方側(-x方向側)の端部におけるブロック#1では、スタート抵抗Rs(1)の他方(電源線抵抗Rg(1)と接続された接続点でない方)は、シフト信号φ2が供給されるシフト信号線72-2に接続されている。そして、シフトサイリスタT(1)のアノードAは、シフト信号φ1が供給されるシフト信号線72-1に接続され、シフトサイリスタT(2)のアノードAは、シフト信号φ2が供給されるシフト信号線72-2に接続されている。つまり、図1(b)に示したように、シフトサイリスタTは、番号順にシフト信号線72-1とシフト信号線72-2とに交互に接続されている。
【0059】
一方、図4(b)に示す、発光装置10の他方側(+x方向側)の端部におけるブロック#2では、スタート抵抗Rs(2)の他方(電源線抵抗Rg(2)と接続された接続点でない方)は、シフト信号φ1が供給されるシフト信号線72-1に接続されている。そして、シフトサイリスタU(1)のアノードAは、シフト信号φ2が供給されるシフト信号線72-2に接続され、シフトサイリスタU(2)のアノードAは、シフト信号φ1が供給されるシフト信号線72-1に接続されている。つまり、図1(b)に示したように、シフトサイリスタUのアノードAは、番号順にシフト信号線72-2とシフト信号線72-1とに交互に接続されている。
【0060】
前述した図2(a)において、接地線73(接地線73-1、73-2)が接地電圧GND(0V)、電源線71が電源電圧VGK(3.3V)、シフト信号φ1が供給されるシフト信号線72-1とシフト信号φ2が供給されるシフト信号線72-2が「L」(0V)に設定されると、シフトサイリスタT(1)がオン状態に移行可能な状態になると説明した。このとき、図4(b)におけるブロック#2においても、電源電圧VGK(3.3V)と接地電圧GND(0V)との差電圧(3.3V)が電源線抵抗Rg(2)とスタート抵抗Rs(2)とで分圧された電圧がシフトサイリスタU(1)のnゲートGnに印加される。ここで、電源線抵抗Rg(2)とスタート抵抗Rs(2)との抵抗比を5:1とすると、シフトサイリスタU(1)のnゲートGnは、シフトサイリスタT(1)のnゲートGnと同様に、0.55Vになる。よって、シフトサイリスタU(1)は、シフトサイリスタT(1)と同様にオン状態に移行可能な状態になっている。なお、接地線73(接地線73-1、73-2)が接地電圧GND(0V)、電源線71が電源電圧VGK、シフト信号φ1が供給されるシフト信号線72-1とシフト信号φ2が供給されるシフト信号線72-2が「L」(0V)に設定された状態を初期状態と表記する。
【0061】
初期状態において、シフト信号φ1(シフト信号線72-1)が「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行すると、アノードAがシフト信号線72-1に接続されたシフトサイリスタT(1)がターンオンして、オフ状態からオン状態に移行する。このとき、オン状態に移行可能な状態になっていたシフトサイリスタU(1)は、アノードAが「L」(0V)のシフト信号線72-2に接続されているので、ターンオンせずオフ状態が維持される。そして、シフトサイリスタT(1)がターンオンすることにより、シフト信号φ1(シフト信号線72-1)が1.8Vに移行するため、シフトサイリスタU(1)のnゲートGnが、0.55Vから2.05Vに移行する。一方、シフトサイリスタT(1)がオン状態になると、シフトサイリスタT(2)のnゲートGnが0.8Vになって、オン状態に移行可能な状態になっている。
【0062】
次に、シフト信号φ2(シフト信号線72-2)が「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行すると、シフトサイリスタT(2)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。しかし、シフトサイリスタU(1)は、nゲートGnが2.05Vであって、シフト信号線72-2が「H」(3.3V)になっても、電圧差(1.25V)が順方向電圧Vd(1.5V)より小さい、つまり順バイアスにならない。よって、シフトサイリスタU(1)は、ターンオンできない。このように、初期状態の後に、シフト信号φ1(シフト信号線72-1)が「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行すると、ブロック#1のシフトサイリスタT(1)がターンオンする。そして、後述する図4に示すように、シフト信号φ1、φ2を交互に「L」(0V)と「H」(3.3V)とすることで、ブロック#1におけるシフトサイリスタTにおいて、オン状態がシフトされていく。
【0063】
一方、初期状態において、シフト信号φ2(シフト信号線72-2)が「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行すると、アノードAがシフト信号線72-2に接続されたシフトサイリスタU(1)がターンオンする。そして、後述する図5に示すように、シフト信号φ1、φ2を交互に「L」(0V)と「H」(3.3V)とすることで、ブロック#2におけるシフトサイリスタTにおいて、オン状態がシフトされていく。つまり、ブロック#1とブロック#2とにおいて状態が逆になる。つまり、2相のシフト信号φ1、φ2の位相により、シフト動作させるブロックが選択される。シフト信号φ1、φ2は、2以上相の一例である。
【0064】
上記した、ブロック#1を動作させる場合において、電圧関係を説明する。
シフトサイリスタT(1)がオフ状態からオン状態に移行する場合のアノードA-nゲートGn間の電圧差は2.75Vであり、シフトサイリスタT(2)がオフ状態からオン状態に移行する場合のアノードA-nゲートGn間の電圧差は2.5Vであり、発光サイリスタL(1)がオフ状態からオン状態に移行する場合のアノードA-nゲートGn間の電圧差は3.0Vである。これらの値は、順方向電圧Vd(1.5V)以上、つまり順バイアスになるように設定されている。一方、ブロック#1のシフトサイリスタT(1)をターンオンさせた後は、シフト信号線72-2が「H」(3.3V)になってもブロック#2のシフトサイリスタU(1)がターンオンしないようにすることが必要となる。このため、シフト信号線72-2が「H」(3.3V)になっても、シフトサイリスタU(1)のnゲートGnとシフト信号線72-2との間の電圧差(ここでは、1.25V)が、順方向電圧Vd(1.5V)未満となるようにしている。これらの電圧差は、電源電圧VGK、電源線抵抗Rg(1)とスタート抵抗Rs(1)との比、電源線抵抗Rg(2)とスタート抵抗Rs(2)との比、電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcとの比によって決められる。
【0065】
図5は、発光装置10の動作を説明するタイミングチャートである。横軸は時間であって、時間が時刻a~時刻pのアルファベット順に経過するとする。図5では、シフト信号φ1、φ2及び点灯信号φIの時間に対する変化を示し、オン状態になるシフトサイリスタT、U及び発光サイリスタLの番号を表記している。
【0066】
ここでは、発光装置10において、発光サイリスタL(4)と発光サイリスタL(11)とを点灯させるとする。なお、初期状態から発光サイリスタL(4)を点灯させた後、発光装置10を初期状態に戻したのちに、発光サイリスタL(11)を点灯させるとする。このようにすることで、発光サイリスタLを任意に選んで点灯させられる。言い換えると、発光サイリスタLをランダムに点灯させられる。
【0067】
図1(b)から分かるように、発光サイリスタL(4)は、ブロック#1のシフトサイリスタT(4)をオン状態にすることで点灯させられる。発光サイリスタL(11)は、ブロック#2におけるシフトサイリスタU(2)をオン状態にすることで点灯させられる。
【0068】
図1を参照しつつ、図5のタイミングチャートを説明する。
時刻aの前は、初期状態である。前述したように、初期状態とは、接地線73(接地線73-1、73-2)が接地電圧GND(0V)、電源線71が電源電圧VGKに設定され、シフト信号φ1、φ2が「L」(0V)に設定された状態である。このとき、シフトサイリスタT(1)、U(1)は、オン状態に移行可能な状態になっている。
時刻aにおいて、シフト信号φ1を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、ブロック#1のシフトサイリスタT(1)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。
時刻bにおいて、シフト信号φ2を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(2)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。
時刻cにおいて、シフト信号φ1を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(1)がターンオフしてオン状態からオフ状態に移行する。時刻bから時刻cまでの間は、シフトサイリスタT(1)、T(2)がオン状態になっている。
【0069】
時刻dにおいて、シフト信号φ1を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(3)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。
時刻eにおいて、シフト信号φ2を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(2)がターンオフしてオン状態からオフ状態に移行する。時刻dから時刻eまでの間は、シフトサイリスタT(2)、T(3)がオン状態になっている。
【0070】
時刻fにおいて、シフト信号φ2を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(4)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。
時刻gにおいて、シフト信号φ1を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(3)がターンオフしてオン状態からオフ状態に移行する。時刻fから時刻gまでの間は、シフトサイリスタT(3)、T(4)がオン状態になっている。このとき、シフトサイリスタT(4)に接続された結合トランジスタP(4)がオン状態になり、結合トランジスタQ(4)のコレクタCfに接続された発光サイリスタL(4)のnゲートGnが0.3Vとなる。
【0071】
時刻hにおいて、点灯信号φIを「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、発光サイリスタL(4)のアノードAが「H」(3.3V)になる。このとき、アノードA(「H」(3.3V))とnゲートGn(0.3V)との電圧差(3.0V)は、順方向電圧Vd(1.5V)より大きく、順バイアスであるので、発光サイリスタL(4)がターンオンして点灯(オフ状態からオン状態に移行)する。
【0072】
時刻iにおいて、点灯信号φIを「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、発光サイリスタL(4)のアノードAとカソードKとが0Vになるので、発光サイリスタL(4)がターンオフして消灯(オン状態からオフ状態に移行)する。
【0073】
時刻jにおいて、シフト信号φ2を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(4)がオン状態からオフ状態に移行し、初期状態に戻る。つまり、全てのシフトサイリスタTがオフ状態になる。前述したように、シフトサイリスタT(1)、U(1)がオン状態に移行可能な状態になる。
【0074】
時刻kにおいて、シフト信号φ2を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、前述したように、ブロック#2のシフトサイリスタU(1)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。
時刻lにおいて、シフト信号φ1を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタU(2)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。
時刻mにおいて、シフト信号φ2を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタU(1)がターンオフしてオン状態からオフ状態に移行する。時刻lから時刻mまでの間は、シフトサイリスタU(1)、U(2)がオン状態になっている。このとき、シフトサイリスタU(2)に接続された結合トランジスタP(2)がオン状態になり、結合トランジスタP(2)のコレクタCfに接続された発光サイリスタL(11)のnゲートGnが0.3Vとなる。
【0075】
時刻nにおいて、点灯信号φIを「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、時刻hにおける発光サイリスタL(4)と同様にして、発光サイリスタL(11)がターンオンして点灯(オフ状態からオン状態に移行)する。
時刻oにおいて、点灯信号φIを「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、発光サイリスタL(11)がターンオフして消灯(オン状態からオフ状態に移行)する。
【0076】
時刻pにおいて、シフト信号φ1を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタU(2)がターンオフしてオン状態からオフ状態に移行し、初期状態に戻る。つまり、全てのシフトサイリスタTがオフ状態になる。
【0077】
以上説明したように、シフト部12は、隣接する2個のシフトサイリスタTの内、シフトの川上に位置するシフトサイリスタTがオン状態になった後、シフトの川下に位置するシフトサイリスタTをオン状態にする。その後、シフトの川上に位置するシフトサイリスタTをオフ状態にする。このように、隣接する2個のシフトサイリスタTが同時にオン状態になる期間を設けつつ、シフト信号を変化させることで、シフトサイリスタTのオン状態がシフトされる。
【0078】
発光装置10において、発光サイリスタL(4)を点灯させるためにシフト信号φ1、φ2を「L」(0V)と「H」(3.3V)とで切り替える回数(以下では、ステップ数と表記する)は、“4”である。一方、発光サイリスタL(11)を点灯させるためのステップ数は、“2”である。
【0079】
図6は、比較のために示す発光装置10′の等価回路である。紙面の右方向を+x方向とする。図1と同様の部分は、同じ符号を付して説明を省略する。発光装置10′は、図1(a)に示した光源装置1の発光装置10を置き換えたものである。よって、駆動部50によって制御される。発光装置10′を従来例、又は従来例の発光装置10′と表記することがある。
【0080】
発光装置10′は、発光部11とシフト部12とを備える。発光部11は、発光素子として発光サイリスタL(1)~L(12)を備える。発光サイリスタLは、一方側(+x方向側)に配列されている。シフト部12は、シフトサイリスタT(1)~T(12)と結合トランジスタQ(1)~Q(12)とを備える。1個のシフトサイリスタTと1個の結合トランジスタQとで1個のシフトユニット12aを構成する。シフトユニット12aは、電源線抵抗Rgと結合抵抗Rcと電源線抵抗RLとをさらに備える。発光装置10′では、12個のシフトユニット12aが一方側(-x方向側)から他方側(+x方向側)に向かって配列されている。そして、発光装置10′は、一方側(-x方向側)に電源線抵抗Rg(1)とスタート抵抗Rs(1)とを備える。つまり、発光装置10′のシフト部12は、図1に示した発光装置10のシフト部12におけるブロック#1であって、シフトサイリスタT及び結合トランジスタQで構成されるシフトユニット12aを12個にした構成である。シフトサイリスタT及び結合トランジスタQと、発光サイリスタLとの接続関係は、発光装置10と同様である。また、シフトサイリスタT、結合トランジスタQ及び発光サイリスタLの動作も発光装置10と同様である。
【0081】
図7は、比較のために示す発光装置10′の動作を説明するタイミングチャートである。横軸は時間であって、時間が時刻a~時刻ahのアルファベット順に経過するとする。図7では、シフト信号φ1、φ2及び点灯信号φIの時間に対する変化を示す。なお、図7では、オン状態であるシフトサイリスタT及び発光サイリスタLの番号を表記している。
【0082】
ここでも、発光サイリスタL(4)と発光サイリスタL(11)とを点灯させるとする。なお、発光サイリスタL(4)を点灯させた後、発光装置10を初期状態に戻したのちに、発光サイリスタL(11)を点灯させるとする。
【0083】
図6から分かるように、発光サイリスタL(4)は、シフトサイリスタT(4)をオン状態にすることで点灯させられる。発光サイリスタL(11)は、シフトサイリスタT(11)をオン状態にすることで点灯させられる。
【0084】
図6を参照しつつ、図7のタイミングチャートを説明する。
時刻aの前は、初期状態である。時刻aから時刻kまでは、図5に示したタイミングチャートと同じである。つまり、時刻aから時刻gまでの期間において、シフトサイリスタT(1)からシフトサイリスタT(4)へとオン状態がシフトする。シフトサイリスタT(4)がオン状態である時刻hにおいて、点灯信号φIを「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、発光サイリスタL(4)がターンオンして点灯する。次に、時刻iにおいて、点灯信号φIを「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、発光サイリスタL(4)がターンオフして消灯する。そして、時刻jにおいて、シフト信号φ2を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(4)がターンオフしてオン状態からオフ状態に移行し、初期状態に戻る。
【0085】
時刻kにおいて、シフト信号φ1を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(1)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。そして、時刻kから時刻afまでの期間において、シフトサイリスタT(1)からシフトサイリスタT(11)へとオン状態がシフトする。そして、シフトサイリスタT(11)がオン状態である時刻afにおいて、点灯信号φIを「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、発光サイリスタL(11)がターンオンして点灯する。次に、時刻agにおいて、点灯信号φIを「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、発光サイリスタL(11)がターンオフして消灯する。そして、時刻ahにおいて、シフト信号φ1を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(11)がターンオフしてオン状態からオフ状態に移行し、初期状態に戻る。
【0086】
図7から分かるように、発光装置10′において、発光サイリスタL(4)を点灯させるためのステップ数は、“4”である。一方、発光サイリスタL(11)を点灯させるためのステップ数は、“11”である。すなわち、発光サイリスタL(4)を点灯させるためのステップ数は、発光装置10と発光装置10′とで同じ“4”である。しかし、発光サイリスタL(11)を点灯させるためのステップ数は、発光装置10での“2”に対して、発光装置10′では“11”と大きくなっている。つまり、発光装置10では、発光サイリスタL(11)を点灯させるまでの時間、つまりシフトにかける時間が短縮されている。
【0087】
発光サイリスタLの数を12とした場合、番号n(nは、1から12の整数)の発光サイリスタL(n)を点灯させる場合、n≦6では、ステップ数は、第1の実施の形態が適用される発光装置10と、従来例の発光装置10′とで同じ“n”である。しかし、n≧7では、ステップ数は、従来例の発光装置10′のステップ数が“n”であるのに対し、第1の実施の形態が適用される発光装置10のステップ数は、“13-n”になる。すなわち、発光サイリスタLの数を12とした場合、従来例の発光装置10′では、最大のステップ数は“12”であるのに対して、第1の実施の形態が適用される発光装置10では、最大のステップ数は半分の“6”になり、点灯させる発光サイリスタLを設定するシフトに要する時間がおおよそ半減される。
【0088】
これは、発光装置10では、シフト部12を2つのブロック#1、#2から構成したことによる。図1に示した発光装置10のシフト信号線72の数は、図6に示した従来例の発光装置10′と同じ2本である。発光装置10では、シフト信号線72の数の増加を抑制しつつ、シフトに要する時間を、従来例の発光装置10′に比べ短くしている。
【0089】
ブロック#1において、シフトサイリスタT(1)がシフトの開始点であり、ブロック#2において、シフトサイリスタU(1)がシフトの開始点である。第1の実施の形態における発光装置10では、ブロック毎に開始点が異なっている。
【0090】
図1に示した発光装置10では、発光サイリスタL(発光点)の数を12個としたが、12個以外であってもよい。また、ブロック#1、#2に含まれる発光サイリスタL(発光点)の数を6個としたが、6個以外であってもよい。ブロック#1とブロック#2とで含まれる発光サイリスタL(発光点)の数が異なってもよい。
【0091】
また、図1の第1の実施の形態が適用される光源装置1では、ブロック#1では、シフトサイリスタTのオン状態が一方側(-x方向側)から中央部にシフトされ、ブロック#2では、シフトサイリスタUのオン状態が他方側(+x方向側)から中央部にシフトされた。しかし、ブロック#1において、シフトサイリスタTのオン状態が中央部から一方側(-x方向側)にシフトされてもよく、ブロック#2において、シフトサイリスタUのオン状態が中央部から他方側(+x方向側)にシフトされように構成してもよい。
【0092】
また、ブロック#1において、発光サイリスタL(4)を点灯させた後に、シフトの川下に位置する発光サイリスタL(6)を点灯させる場合、発光サイリスタL(4)の点灯の後、初期状態に戻さず、シフトを進めて、発光サイリスタL(6)を点灯させるようにしてもよい。ブロック#2においても同様である。
【0093】
また、発光装置10に他のブロックを並列に設け、他のブロックをブロック#1又はブロック#2と並行に点灯させてもよい。
【0094】
さらに、図5のタイミングチャートにおいて、時刻hに発光サイリスタL(4)を点灯させた後に、シフト信号φ2を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させて、シフトサイリスタT(4)をターンオフしてもよい。このようにすると、シフト部12の消費電力が低減できる。他の実施の形態においても、同様である。
【0095】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態が適用される光源装置1における発光装置10は、シフトの開始点が異なるブロック(ブロック#1、#2)を有するシフト部12を備えていた。第2の実施の形態が適用される光源装置2における発光装置20は、シフトの開始点を共有するブロックを有するシフト部を備えている。
【0096】
図8は、第2の実施の形態が適用される光源装置2を説明する図である。図8(a)は、光源装置2の概要図、図8(b)は、光源装置2が備える発光装置20の等価回路である。図8(b)において、紙面の右方向を+x方向とする。サイリスタ及びトランジスタを記号で示し、抵抗を長方形で示す。第1の実施の形態と同様の部分は、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0097】
図8(a)に示す光源装置2は、発光装置20と駆動部60とを備える。駆動部60は、電源電圧供給部61、シフト信号供給部62、接地電圧供給部63、点灯信号供給部64を備え、発光装置20を制御する。発光装置20は、VGK端子、φ0端子、φ1端子、φ2端子、GND端子、φI端子を備える。光源装置2は、第1の形態が適用される光源装置1とは、3個のシフト信号(シフト信号φ0、φ1、φ2)を用いる点で異なっている。
【0098】
(光源装置2)
駆動部60の電源電圧供給部61は、発光装置20のVGK端子に電源電圧VGKを供給する。駆動部60のシフト信号供給部62は、発光装置20のφ0端子、φ1端子、φ2端子にシフト信号φ0、φ1、φ2を供給する。駆動部60の接地電圧供給部63は、発光装置20のGND端子に接地電圧GNDを供給する。駆動部60の点灯信号供給部64は、発光装置20のφI端子に点灯信号φIを供給する。シフト信号φ0、φ1、φ2は、図8(b)に示すシフト部22に供給され、シフトサイリスタTのオン状態を順にシフトする。
【0099】
(発光装置20)
発光装置20は、発光部21とシフト部22とを備える。シフト部22は、2つのブロック#1、#2に分けられている。図8(b)では、ブロック#1(22)、#2(22)と表記する。
【0100】
発光部21は、7個の発光サイリスタL(-3)~L(3)を備えている。発光サイリスタL(-3)~L(3)は、一方側(-x方向側)から他方側(+x方向側)に配列されている。
【0101】
シフト部22のブロック#1は、シフトサイリスタT(0)~T(3)と結合トランジスタQ(0)~Q(3)とを備える。シフトサイリスタT(0)~T(3)と結合トランジスタQ(0)~Q(3)は、中央部から他方側(+x方向側)に向けて配列されている。一方、ブロック#2は、シフトサイリスタT(0)~T(-3)と結合トランジスタQ(0)及び結合トランジスタQ(-1)~Q(-3)とが、中央部から一方側(-x方向側)に向けて配列されている。なお、シフトサイリスタT(0)は、ブロック#1とブロック#2とで共通である。
【0102】
結合トランジスタQ(-3)~Q(3)は、ダブルコレクタのnpnトランジスタである。シフトサイリスタT(-3)~T(3)と結合トランジスタQ(-3)~Q(3)と発光サイリスタL(-3)~L(3)との接続関係は、第1の実施の形態と同様である。
【0103】
結合トランジスタQ(0)は、シングルコレクタのnpnトランジスタである。エミッタEが、接地電圧GNDが供給される接地線73-2に接続され、ベースBが、シフトサイリスタT(0)のpゲートGpに接続されている。コレクタCが、直列接続された結合抵抗Rcと電源線抵抗Rgとを介して電源電圧VGKが供給される電源線71に接続されている。結合抵抗Rcと電源線抵抗Rgとの接続点は、シフトサイリスタT(-1)のnゲートGnに接続されている。
【0104】
シフトサイリスタT(1)~T(3)と結合トランジスタQ(1)~Q(3)と発光サイリスタL(1)~L(3)の接続関係と、シフトサイリスタT(-1)~T(-3)と結合トランジスタQ(-1)~Q(-3)と発光サイリスタL(-1)~L(-3)の接続関係とは、シフトサイリスタT(0)を挟んで、シフト信号線72-0、72-1、72-3を除いて、対称に配置されている。
【0105】
シフトサイリスタT(0)のアノードA(図2(a)参照)は、シフト信号φ0が供給されるシフト信号線72-0に接続され、nゲートGnは、スタート抵抗Rsを介して、シフト信号φ1が供給されるシフト信号線72-1に接続されている。このとき、シフトサイリスタT(1)のアノードAは、シフト信号φ1が供給されるシフト信号線72-1接続されている。そして、シフトサイリスタT(2)のアノードAは、シフト信号φ2が供給されるシフト信号線72-2に接続されている。さらに、シフトサイリスタT(3)のアノードAは、シフト信号φ0が供給されるシフト信号線72-0に接続されている。つまり、シフトサイリスタTは、番号をp(整数)とした場合、p≧0の場合、q=Mod(p、3)で表されるシフト信号線72-qに接続されている。p≦-1の場合も同様で、q=Mod(p、3)で表されるシフト信号線72-qに接続されている。なお、Mod(a、b)とは、aのbを法とする剰余系である。言い換えれば、シフト信号線72-qとした場合、シフトサイリスタTでは、アノードAは、pが正のp=1、2、3では、m=1、2、0というように、サイクリック(循環的)にシフト信号線72-mに接続されている。pが負のp=-1、-2、-3では、m=2、1、0というように、サイクリックの逆にシフト信号線72-mに接続されている。シフトサイリスタTの数が上記以外であっても同様に接続さればよい。なお、シフトサイリスタT(0)のアノードAが接続されるシフト信号線72の番号qが異なる場合には、pが正のp=1、2、3、…シフトサイリスタTのアノードAは、サイクリックにおいてqの次の番号にあたるシフト信号線72から接続され、pが負のp=-1、-2、-3、…のシフトサイリスタTのアノードAは、サイクリックの逆においてqの次の番号にあたるシフト信号線72から接続されればよい。
【0106】
(発光装置20の動作)
図9は、発光装置20の動作を説明するタイミングチャートである。横軸は時間であって、時間が時刻a~時刻tのアルファベット順に経過するとする。図9では、シフト信号φ0、φ1、φ2及び点灯信号φIの時間に対する変化を示す。なお、図9では、オン状態になるシフトサイリスタT及び発光サイリスタLの番号を表記している。
【0107】
ここでは、発光装置20において、発光サイリスタL(3)と発光サイリスタL(-3)とを点灯させるとする。なお、初期状態から発光サイリスタL(3)を点灯させた後、発光装置20を初期状態に戻したのちに、発光サイリスタL(-3)を点灯させるとする。このようにすることで、発光サイリスタLを任意に選んで点灯させられる。言い換えると、発光サイリスタLをランダムに点灯させられる。
【0108】
図8(b)から分かるように、発光サイリスタL(3)は、ブロック#1のシフトサイリスタT(3)をオン状態にすることで点灯させられる。発光サイリスタL(-3)は、ブロック#2におけるシフトサイリスタT(-3)をオン状態にすることで点灯させられる。
【0109】
図8を参照しつつ、図9のタイミングチャートを説明する。
時刻aの前は、初期状態である。前述したように、初期状態とは、接地線73(接地線73-1、73-2)が接地電圧GND(0V)、電源線71が電源電圧VGKに設定され、シフト信号φ0、φ1、φ2が「L」(0V)に設定された状態である。このとき、シフトサイリスタT(0)は、nゲートGnがスタート抵抗Rsを介して0.55Vになり、オン状態に移行可能な状態になる。
【0110】
時刻aにおいて、シフト信号φ0を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(0)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。このとき、結合トランジスタQ(0)及び結合トランジスタQ(0)がオン状態になる。すると、結合トランジスタQ(0)のコレクタCfに結合抵抗Rcを介して接続されたシフトサイリスタT(1)のnゲートGnが0.8Vになる。同様に、結合トランジスタQ(0)のコレクタCfに結合抵抗Rcを介して接続されたシフトサイリスタT(-1)のnゲートGnが0.8Vになる。つまり、シフトサイリスタT(1)及びシフトサイリスタT(-1)が共に、オン状態に移行可能な状態になる。
【0111】
時刻bにおいて、シフト信号φ1を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフト信号φ1が供給されるシフト信号線72-1にアノードAが接続されたシフトサイリスタT(1)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。一方、シフト信号φ2が「L」(0V)であるシフト信号線72-2にアノードAが接続されたシフトサイリスタT(-1)は、ターンオンできない。そして、シフトサイリスタT(1)に結合トランジスタQ(1)を介してnゲートGn(0.8V)が接続されたシフトサイリスタT(2)がオン状態に移行可能になる。
【0112】
時刻cにおいて、シフト信号φ0を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(0)がターンオフしてオン状態からオフ状態に移行する。これにともなって、シフトサイリスタT(0)に接続されている結合トランジスタQ(0)及び結合トランジスタQ(0)がオン状態からオフ状態に移行する。すると、シフトサイリスタT(-1)のnゲートGnは、電源電圧VGK(3.3V)が供給される電源線71の電圧になる。時刻bから時刻cまでの間は、シフトサイリスタT(0)、T(1)がオン状態になっている。
【0113】
時刻dにおいて、シフト信号φ2を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(2)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。このとき、シフトサイリスタT(-1)は、アノードAが「H」(3.3V)に移行したシフト信号線72-2に接続されているが、nゲートGnが3.3Vになっているため、ターンオンしない。
【0114】
時刻eにおいて、シフト信号φ1を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(1)がターンオフしてオン状態からオフ状態に移行する。時刻dから時刻eまでの間は、シフトサイリスタT(1)、T(2)がオン状態になっている。
【0115】
時刻fにおいて、シフト信号φ0を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(3)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。
時刻gにおいて、シフト信号φ2を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(2)がターンオフしてオン状態からオフ状態に移行する。時刻fから時刻gまでの間は、シフトサイリスタT(2)、T(3)がオン状態になっている。このとき、シフトサイリスタT(3)に接続された結合トランジスタQ(3)がオン状態になり、結合トランジスタQ(3)のコレクタCfに接続された発光サイリスタL(3)のnゲートGnが0.3Vとなっている。
【0116】
時刻hにおいて、点灯信号φIを「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、発光サイリスタL(3)のアノードAが「H」(3.3V)になる。このとき、アノードA(「H」(3.3V))とnゲートGn(0.3V)との電圧差(3.0V)は、順方向電圧Vd(1.5V)以上、つまり順バイアスであるので、発光サイリスタL(3)がターンオンして点灯(オフ状態からオン状態に移行)する。
【0117】
時刻iにおいて、点灯信号φIを「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、発光サイリスタL(3)のアノードAとカソードKとが0Vになるので、発光サイリスタL(3)がターンオフして消灯(オン状態からオフ状態に移行)する。
【0118】
時刻jにおいて、シフト信号φ0を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(3)がオン状態からオフ状態に移行し、初期状態に戻る。つまり、全てのシフトサイリスタTがオフ状態になる。そして、発光サイリスタL(0)がオン状態に移行可能な状態になる。
【0119】
時刻kにおいて、シフト信号φ0を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、前述したように、ブロック#1のシフトサイリスタT(1)及びブロック#2のシフトサイリスタT(-1)が共に、オン状態に移行可能な状態になる。
【0120】
時刻lにおいて、シフト信号φ2を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(-1)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。すると、シフトサイリスタT(-1)に接続された結合トランジスタQ(-1)がオン状態になり、シフトサイリスタT(-2)がオン状態へ移行可能な状態になる。
時刻mにおいて、シフト信号φ0を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(0)がターンオフしてオン状態からオフ状態に移行する。時刻lから時刻mまでの間は、シフトサイリスタT(0)、T(-1)がオン状態になっている。
【0121】
時刻nにおいて、シフト信号φ1を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(-2)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。すると、シフトサイリスタT(-2)に接続された結合トランジスタQ(-2)がオン状態になり、シフトサイリスタT(-3)がオン状態へ移行可能な状態になる。
時刻oにおいて、シフト信号φ2を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(-1)がターンオフする。
【0122】
時刻pにおいて、シフト信号φ0を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(-3)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。このとき、シフトサイリスタT(3)に接続された結合トランジスタQ(3)がオン状態になり、結合トランジスタQ(-3)のコレクタCfに接続された発光サイリスタL(-3)のnゲートGnが0.3Vとなる。
【0123】
時刻qにおいて、シフト信号φ1を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(-2)がターンオフする。
【0124】
時刻rにおいて、点灯信号φIを「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、発光サイリスタL(-3)のアノードAが「H」(3.3V)になる。このとき、アノードA(「H」(3.3V))とnゲートGn(0.3V)との電圧差(3.0V)は、順方向電圧Vd(1.5V)以上、つまり順バイアスであるので、発光サイリスタL(3)がターンオンして点灯(オフ状態からオン状態に移行)する。
【0125】
時刻sにおいて、点灯信号φIを「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、発光サイリスタL(-3)のアノードAとカソードKとが0Vになるので、発光サイリスタL(-3)がターンオフして消灯(オン状態からオフ状態に移行)する。
【0126】
時刻tにおいて、シフト信号φ0を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(-3)がオン状態からオフ状態に移行し、初期状態に戻る。つまり、全てのシフトサイリスタTがオフ状態になる。
【0127】
以上説明したように、シフトサイリスタT(0)のアノードAが接続されたシフト信号φ0を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させ、シフトサイリスタT(0)をオン状態にした後、シフトサイリスタT(1)のアノードAが接続されたシフト信号φ1を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(0)、T(1)、T(2)、…の順にオン状態がシフトする。一方、シフトサイリスタT(0)のアノードAが接続されたシフト信号φ0を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させ、シフトサイリスタT(0)をオン状態にした後、シフトサイリスタT(-1)のアノードAが接続されたシフト信号φ2を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(0)、T(-1)、T(-2)、…の順にオン状態がシフトする。つまり、シフト信号φ0を「H」(3.3V)にした後に、シフト信号φ1を「H」(3.3V)にするか、シフト信号φ2を「H」(3.3V)にするかにより、シフト方向が指定される。つまり、3相のシフト信号φ0、φ1、φ2の位相により、シフト方向が指定される。
【0128】
発光サイリスタLの数を7とした場合、発光装置20において、番号p(pは、-3から3の整数)の発光サイリスタL(p)を点灯させる場合、ステップ数は、“p+1”である。すなわち、発光サイリスタLの数を7とした場合、図6に示した従来例の発光装置10′では、最大のステップ数は“7”であるのに対して、第2の実施の形態が適用される発光装置20では、最大のステップ数は“4”になり、点灯させる発光サイリスタLを設定するシフトに要する時間がおおよそ半減される。
【0129】
これは、発光装置20では、シフト部22を2つのブロック#1、#2から構成したことによる。図9(b)に示した発光装置20のシフト信号線72の数は、図6に示した従来例の発光装置10′の2本に対して、3本と増加している。しかし、2個のブロック(ブロック#1、#2)に対してシフト信号線72を個別に設ける場合の4本に比べ、シフト信号線72の数の増加を抑制しつつ、シフトに要する時間を、従来例の発光装置10′に比べ短くしている。
【0130】
ブロック#1において、シフトサイリスタT(0)がシフトの開始点であり、ブロック#2において、シフトサイリスタT(0)がシフトの開始点である。第2の実施の形態における発光装置10では、ブロック間で開始点を共有する。
【0131】
図8に示した発光装置20では、発光サイリスタL(発光点)の数を7個としたが、7個以外であってもよい。また、ブロック#1、#2に含まれる発光サイリスタL(発光点)の数を4個としたが、4個以外であってもよい。ブロック#1とブロック#2とで含まれる発光サイリスタL(発光点)の数が異なってもよい。
【0132】
[第3の実施の形態]
第2の実施の形態が適用される光源装置2における発光装置20は、シフトの開始点が共通であるブロックを有する2個のシフト部を備えていた。第3の実施の形態の形態が適用される光源装置3における発光装置30は、発光装置20と同様の構成を複数備える。なお、発光装置20と同様の構成を、発光装置20と表記し、異なる部分を別途説明する。
【0133】
図10は、第3の実施の形態が適用される発光装置30の等価回路である。なお、発光装置30を備える光源装置3は、図8に示した光源装置2の発光装置20を発光装置30に置き換えた構成である。つまり、光源装置3は、光源装置2と同様の駆動部60を備える。そこで、光源装置3の図を省略し、発光装置30に光源装置3であることを付記する。以下で用いるシフトサイリスタT、発光サイリスタLなどのカソードK、アノードA、nゲートGn、pゲートGpなどの符号は、図2、4を参照し、図10には符号を付さない。
【0134】
(発光措置30)
発光装置30は、一例として3個の発光装置20を備える。各発光装置20を、ブロック群(ブロック群@0、@1、@2)と表記する。後述するように、ブロック群は、シフト信号線72-0、72-1、72-2との接続関係が異なっている。ブロック群@0、@1、@2は、発光装置20(図8(b)参照)で説明したように、発光部(図8(b)の発光部21参照)に7個の発光サイリスタLを備える。また、ブロック群@0~@2は、シフト部(図8(b)のシフト部22参照)に7個のシフトサイリスタTと、8個の結合トランジスタQとを備える。図10では、発光サイリスタLをL(n、p)と表記し、シフトサイリスタTをT(n、p)と表記する。nは、ブロック群@の番号0、1、2である。pは、各ブロック群@における素子(発光サイリスタL、シフトサイリスタT)の番号である。ブロック群@0は、図8(b)に示した発光装置20である。そこで、ブロック群@0では発光装置20の発光サイリスタL(0)が発光サイリスタL(0、0)、発光サイリスタL(1)が発光サイリスタL(0、1)、発光サイリスタL(-1)が発光サイリスタL(0、-1)である。他の発光サイリスタL、シフトサイリスタTも同様であり、他のブロック群@1、@2も同様とする。結合トランジスタQについては、表記を省略する。
【0135】
各ブロック群のシフト部は、2個のブロックを備える。そこで、ブロック群@0がブロック#1、#2、ブロック群@1がブロック#3、#4、ブロック群@2がブロック#5、#6を備えるとする。
【0136】
図10では、ブロック群@0~@2を紙面において上下方向に配置しているが、配線の接続関係は、並列接続である。よって、ブロック群@0~@2を紙面の左右方向に並ぶように配置してもよい。
【0137】
ブロック群@0、@1、@2におけるシフト信号線72-0、72-1、72-2との接続関係を説明する。シフトサイリスタT(n、0)のアノードA(図3参照)は、シフト信号線72-nに接続されている。そして、シフトサイリスタT(n、0)のnゲートGnは、スタート抵抗Rsを介してシフト信号線72-mに接続されている。ここで、m=Mod(n+1、3)である。つまり、シフトサイリスタT(0、0)のアノードAは、シフト信号線72-0に接続され、シフトサイリスタT(0、0)のnゲートGnは、スタート抵抗Rsを介してシフト信号線72-1に接続されている。シフトサイリスタT(1、0)のアノードAは、シフト信号線72-1に接続され、シフトサイリスタT(1、0)のnゲートGnは、スタート抵抗Rsを介してシフト信号線72-2に接続されている。シフトサイリスタT(2、0)のアノードAは、シフト信号線72-2に接続され、シフトサイリスタT(0、0)のnゲートGnは、スタート抵抗Rsを介してシフト信号線72-0に接続されている。
【0138】
そして、ブロック群@nにおける番号pのシフトサイリスタT(n、p)のアノードAは、q=Mod(n+p、3)で表されるシフト信号φqが供給されるシフト信号線72-qに接続されている。例えば、シフトサイリスタT(0、1)のアノードAは、シフト信号線72-1に接続される。シフトサイリスタT(1、2)のアノードは、シフト信号線72-0に接続される。シフトサイリスタT(2、-1)のアノードは、シフト信号線72-1に接続される。言い換えれば、シフト信号線72-qとした場合、ブロック群@0に属するシフトサイリスタT(0、p)では、アノードAは、pが正のp=1、2、3では、q=1、2、0というように、サイクリックにシフト信号線72-qに接続されている。pが負のp=-1、-2、-3では、q=2、1、0というように、サイクリックの逆にシフト信号線72-qに接続されている。また、ブロック群@1に属するシフトサイリスタT(1、p)では、アノードAは、pが正のp=1、2、3では、q=2、0、1というように、サイクリックにシフト信号線72-qに接続されている。pが負のp=-1、-2、-3では、q=0、2、1というように、サイクリックの逆にシフト信号線72-qに接続されている。さらに、ブロック群@2に属するシフトサイリスタT(2、p)では、アノードAは、pが正のp=1、2、3では、q=0、1、2というように、サイクリックにシフト信号線72-qに接続されている。pが負のp=-1、-2、-3では、q=1、0、2というように、サイクリックの逆にシフト信号線72-qに接続されている。つまり、シフトサイリスタT(n、0)が接続されたシフト信号線72に対して、pが正のp=1、2、3、…シフトサイリスタTのアノードAは、サイクリックにおいてqの次の番号にあたるシフト信号線72から接続され、pが負のp=-1、-2、-3、…のシフトサイリスタTのアノードAは、サイクリックの逆においてqの次の番号にあたるシフト信号線72から接続されればよい。シフトサイリスタTの数が上記以外であっても同様に接続さればよい。
【0139】
電源線71、接地線73、点灯信号線74の接続関係は、発光装置20と同様である。
【0140】
(発光装置30の動作)
図11は、発光装置30の動作を説明するタイミングチャートである。横軸は時間であって、時間が時刻a~時刻adのアルファベット順に経過するとする。図11では、シフト信号φ0、φ1、φ2及び点灯信号φIの時間に対する変化を示す。なお、図11では、オン状態になるシフトサイリスタT及び発光サイリスタLの番号を表記している。
【0141】
ここでは、発光装置30において、発光サイリスタL(0、3)と発光サイリスタL(0、-3)と発光サイリスタL(2、0)と発光サイリスタL(2、1)とを点灯させるとする。なお、初期状態から発光サイリスタL(0、3)を点灯させた後、発光装置20を初期状態に戻したのちに、発光サイリスタL(0、-3)を点灯させるとする。他の発光サイリスタLについても同様とする。このようにすることで、発光サイリスタLを任意に選んで点灯させられる。言い換えると、発光サイリスタLをランダムに点灯させられる。
【0142】
図10に示すように、発光サイリスタL(0、3)は、シフトサイリスタT(0、3)をオン状態にすることで点灯させられる。発光サイリスタL(0、-3)は、シフトサイリスタT(0、-3)をオン状態にすることで点灯させられる。発光サイリスタL(2、0)は、シフトサイリスタT(2、0)をオン状態にすることで点灯させられる。発光サイリスタL(2、1)は、シフトサイリスタT(2、1)をオン状態にすることで点灯させられる。
【0143】
図10を参照しつつ、図11のタイミングチャートを説明する。
時刻aの前は、初期状態である。前述したように、初期状態とは、接地線73が接地電圧GND(0V)、電源線71が電源電圧VGKに設定され、シフト信号φ0、φ1、φ2が「L」(0V)に設定された状態である。このとき、シフトサイリスタT(0、0)、シフトサイリスタT(1、0)、シフトサイリスタT(2、0)は、nゲートGnが0.55Vになり、オン状態に移行可能な状態になる。
【0144】
時刻aにおいて、シフト信号φ0を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(0、0)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。このとき、シフトサイリスタT(1)及びシフトサイリスタT(-1)のnゲートGnが0.8Vになって、オン状態に移行可能な状態になる。これは、図9に示した発光装置20の場合と同様である。なお、シフト信号φ1及びシフト信号φ2は、「L」(0V)に維持されているので、シフトサイリスタT(1、0)、シフトサイリスタT(2、0)はターンオンしない。
【0145】
時刻bから時刻tまでは、図9に示した発光装置20と同様に動作する。すなわち、時刻hで発光サイリスタL(0、3)が点灯し、時刻rで発光サイリスタL(0、-3)が点灯する。この期間においては、ブロック群@0のブロック#1又はブロック#2において、シフトが進む。そして、ブロック群@1、@2では、シフトサイリスタTは、動作しない。
【0146】
時刻tにおいて、シフト信号φ0を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(0、-3)がオン状態からオフ状態に移行し、初期状態に戻る。つまり、全てのシフトサイリスタTがオフ状態になる。このとき、シフトサイリスタT(0、0)、シフトサイリスタT(1、0)、シフトサイリスタT(2、0)は、nゲートGnが0.55Vになり、オン状態に移行可能な状態になる。
【0147】
時刻uにおいて、シフト信号φ2を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(2、0)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。すると、シフトサイリスタT(2、0)に接続された結合トランジスタQ(符号不記載)がオン状態になり、結合トランジスタQのコレクタCsに接続された発光サイリスタL(2、0)のnゲートGnが0.3Vとなる。
【0148】
時刻vにおいて、点灯信号φIを「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、発光サイリスタL(2、0)のアノードが「H」(3.3V)になる。このとき、アノード(「H」(3.3V))とnゲートGn(0.3V)との電圧差(3.0V)は、順方向電圧Vd(1.5V)以上、つまり順バイアスであるので、発光サイリスタL(2、0)がターンオンして点灯(オフ状態からオン状態に移行)する。
【0149】
時刻wにおいて、点灯信号φIを「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、発光サイリスタL(2、0)のアノードとカソードとが0Vになるので、発光サイリスタL(2、0)がターンオフして消灯(オン状態からオフ状態に移行)する。
【0150】
時刻xにおいて、シフト信号φ2を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(2、0)がターンオフしてオン状態からオフ状態に移行し、初期状態に戻る。つまり、全てのシフトサイリスタTがオフ状態になる。このとき、シフトサイリスタT(0、0)、シフトサイリスタT(1、0)、シフトサイリスタT(2、0)がオン状態に移行可能な状態になる。
【0151】
時刻yにおいて、シフト信号φ2を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(2、0)がターンオンしてオフ状態からオン状態に移行する。前述したように、シフトサイリスタT(2、1)及びシフトサイリスタT(2、-1)が共に、オン状態に移行可能な状態になる。
【0152】
時刻zにおいて、シフト信号φ0を「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、シフトサイリスタT(2、1)のアノードが「H」(3.3V)になり、ターンオンする。このとき、シフトサイリスタT(2、1)に接続された結合トランジスタQ(符号不記載)がオン状態になり、結合トランジスタQのコレクタCsに接続された発光サイリスタL(2、1)のnゲートGnが0.3Vとなる。
【0153】
時刻aaにおいて、シフト信号φ2を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(2、0)がターンオフする。
【0154】
時刻abにおいて、点灯信号φIを「L」(0V)から「H」(3.3V)に移行させると、発光サイリスタL(2、1)がターンオンして点灯(オフ状態からオン状態に移行)する。
【0155】
時刻acにおいて、点灯信号φIを「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、発光サイリスタL(2、1)がターンオフして消灯(オン状態からオフ状態に移行)する。
【0156】
時刻adにおいて、シフト信号φ0を「H」(3.3V)から「L」(0V)に移行させると、シフトサイリスタT(2、1)がターンオフし、初期状態に戻る。
【0157】
以上説明したように、発光装置20と同様なブロック群@0、@1、@2を設けても、シフト信号φ0、φ1、φ2を供給する3個のシフト信号線72-0、72-1、72-2により、ブロック群及びグロック群に含まれるブロックを選択してシフトさせられる。つまり、3相のシフト信号φ0、φ1、φ2の位相により、シフト動作させるブロック群及びブロックが選択される。
【0158】
発光装置30に含まれる21個の発光サイリスタLの点灯を制御するには、図6に示した従来例の発光装置10′では、最大のステップ数は“21”であるのに対して、発光装置30では、最大のステップ数は、1/5以下の“4”に減る。つまり、点灯させる発光サイリスタLを設定するシフトに要する時間が1/5程度に減らせる。
【0159】
なお、発光点である発光サイリスタLの数は、21個に限られない。また、ブロック群の数は、3個(ブロック群@0、@1、@2)に限らない。ブロック群の数n(nは、3以上の整数)に対応してn個のシフト信号線を設ければ、個別にブロック群が選択される。つまり、3相以上のシフト信号線を設ければよい。また、ブロック群に含まれるブロック内の発光サイリスタLの数は、ブロック間で同数であってもよく、異なってもよい。
【0160】
また、第1の実施の形態から第3の実施の形態で示した発光装置10、20、30は、発光点の一例として、発光サイリスタLを示した。発光サイリスタLのアノード側又はカソード側に発光ダイオードLED又はレーザダイオードLDを設けてもよい。発光ダイオードLED又はレーザダイオードLDを発光点として用いることで、発光に適した構成として、発光特性が向上させられる。レーザダイオードLDは、面発光素子であるとよい。さらに、面発光素子は、垂直共振器面発光レーザであることがよい。垂直共振器面発光レーザとすると、発光強度が大きくなる。
【0161】
図12は、発光点の変形例を説明する図である。図12(a)は、発光サイリスタLのアノード側に発光ダイオードLED又はレーザダイオードLDを設けた場合、図12(b)は、発光サイリスタLのカソード側に発光ダイオードLED又はレーザダイオードLDを設けた場合である。図12(a)、(b)では、発光ダイオードLED又はレーザダイオードLDをLED/LDと表記している。この場合、発光サイリスタLを発光制御サイリスタとして用いる。
【0162】
第1の実施の形態及び第2の実施形態では、2相のシフト信号線と2個のブロックや、3相のシフト信号線と2個のブロックなどの例を説明したが、3相のシフト信号線と3個のブロック等、2以上のシフト信号線と2以上個のブロックでなら、どう構成してもよい。
【0163】
第1の実施の形態から第3の実施の形態で示した発光装置10、20、30は、カソードコモンで記載したが、アノードコモンとしてもよい。このとき、nゲート層(n型の半導体層83)にnオーミック電極を設けたが、pゲート層(p型の半導体層82)にpオーミック電極を設けるように構成すればよい。
また、発光装置10のシフト部12において、シフトサイリスタ間を、結合トランジスタで接続したが、結合トランジスタの代わりにダイオードや抵抗で接続してもよい。
【0164】
(計測装置100)
第1の実施の形態から第3の実施の形態で示した光源装置1、2、3は、被計測物の三次元形状(以下では、3D形状と表記する。)を計測する計測装置に適用しうる。計測装置は、光の飛行時間による、いわゆるToF(Time of Flight)法に基づいて、3D形状を計測する装置である。計測装置は、光源装置と三次元センサ(以下では、3Dセンサと表記する。)とを備える。ToF法では、光源装置から光が出射されたタイミングから被計測物で反射して3Dセンサが受光するタイミングまでの時間を計測する。そして、三次元センサから取得される時間から、被計測物までの距離が算出され、被計測物の3D形状が特定される。また、三次元形状を計測することを、三次元計測、3D計測又は3Dセンシングと表記することがある。三次元センサは、受光部の一例である。
【0165】
このような計測装置は、特定された3D形状から被計測物を認識することに適用される。例えば、携帯型情報処理装置などに搭載され、アクセスしようとするユーザの顔の認識などに利用される。つまり、アクセスしたユーザの顔の3D形状を取得し、アクセスすることが許可されているか否かを識別し、アクセスが許可されているユーザであると認識された場合にのみ、自装置(携帯型情報処理装置)の使用を許可する。
また、この計測装置は、拡張現実(AR:Augmented Reality)など、継続的に被計測物の3D形状を計測する場合にも適用される。
【0166】
このような計測装置は、携帯型情報処理装置以外のパーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置に適用しうる。
【0167】
図13は、計測装置100の構成を説明するブロック図である。計測装置100は、発光装置10、20、30と駆動部50、60とを備える光源装置1、2、3と、3Dセンサ5とを備える。光源装置1、2、3は、被計測物に向けて光を出射する。3Dセンサ5は、被計測物で反射されて戻ってきた光(反射光)を取得する。3Dセンサ5は、ToF法により計測した、出射されてから反射光を受光するまでの時間に基づいた被計測物までの距離に関する情報(距離情報)を出力する。なお、計測装置100には、計測制御部200を含んでもよい。計測制御部200は、CPU、ROM、RAMなどを含むコンピュータとして構成され、3Dセンサ5から取得した距離情報に基づいて、被計測物の3次元形状を特定する。
【0168】
本発明は、次のように捉えてもよい。
シフト部のシフト素子は、サイリスタで構成されていることを特徴とする発光装置である。サイリスタでない場合に比べ、オン状態のシフトがしやすい。
発光部における発光点は、サイリスタ機能を有する発光素子であることを特徴とする発光装置である。サイリスタ機能を有さない場合に比べ、発光素子の発光制御がしやすい。
前記シフト部の前記サイリスタがオン状態になることにより、前記発光素子がサイリスタ機能により発光可能な状態に移行することを特徴とする発光装置である。シフト部の制御と発光素子の発光制御とが分けられる。
前記発光素子は、直列接続された面発光素子とサイリスタとで構成されていることを特徴とする発光装置である。面発光素子でない場合に比べ、発光特性が向上させやすい。
前記面発光素子は、垂直共振器面発光レーザであることを特徴とする発光装置である。垂直共振器面発光レーザでない場合に比べ、発光強度が大きくできる。
【符号の説明】
【0169】
1、2、3…光源装置、5…3Dセンサ、10、10′、20、30…発光装置、11、21…発光部、12、22…シフト部、50、60…駆動部、51、61…電源電圧供給部、52、62…シフト信号供給部、53、63…接地電圧供給部、54、64…点灯信号供給部、71…電源線、72、72-0、72-1、72-2…シフト信号線、73、73-1、73-2…接地線、74…点灯信号線、100…計測装置、200…計測制御部、φ0、φ1、φ2…シフト信号、φI…点灯信号、#1、#2、#3、#4、#5、#6…ブロック、@0、@1、@2…ブロック群、GND…接地電圧、L…発光サイリスタ、T…シフトサイリスタ、VGK…電源電圧、Vc…飽和電圧、Vd…順方向電圧(拡散電位)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13