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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】無人搬送車
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20241126BHJP
   G05D 1/247 20240101ALI20241126BHJP
【FI】
G06K7/10 284
G05D1/247
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022021259
(22)【出願日】2022-02-15
(65)【公開番号】P2023118348
(43)【公開日】2023-08-25
【審査請求日】2024-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】北村 瑞紀
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102016(JP,A)
【文献】特開2018-41343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G05D 1/247
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導走行経路を検知する経路検知部と、
前記誘導走行経路上に配置された無線タグの識別情報を検知するタグ検知部と、
前記無線タグの識別情報と当該識別情報に関連付けられた走行指令情報とが所定順序で配列された運行データを記憶する記憶部と、
前記タグ検知部で検知された無線タグの識別情報に基づいて前記運行データを参照することによって前記誘導走行経路上の走行を制御する走行制御部と、
前記タグ検知部で検知された無線タグの識別情報が前記運行データにおいて次に検知すべき無線タグの識別情報と一致するか否かを判断し、前記識別情報同士が一致しない場合に前記タグ検知部による前記無線タグの読み飛ばしが生じたと判断する判断部と、
を備える無人搬送車。
【請求項2】
前記走行制御部は、前記判断部により前記無線タグの読み飛ばしが生じたと判断された場合に、前記誘導走行経路上の走行を停止させ、
前記判断部は、読み飛ばしが生じたと判断した後、前記タグ検知部が最初に検知した無線タグの識別情報を基準として、次に検知すべき無線タグの識別情報を決定する、
請求項1に記載の無人搬送車。
【請求項3】
前記運行データは、前記所定順序の最後の無線タグの識別情報よりも後に予備の無線タグの識別情報を含む、
請求項1又は2に記載の無人搬送車。
【請求項4】
前記運行データは、走行開始後最初に前記無線タグの検知がなされるまでの初期走行指令情報を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の無人搬送車。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
敷設された磁気テープ等に沿って走行させる誘導走行式の無人搬送車が知られている。無人搬送車では、走行中にRFID(Radio Frequency IDentifier)タグ等の無線タグの検知がなされ、検知された無線タグに関連付けられた走行指令情報に基づいて走行速度等が制御される。実際の無人搬送車の走行の場面では、例えば無線タグの故障、磁気テープに対する走行ずれ等に起因して無線タグの読み飛ばしが生じてしまうことが考えられる。
【0003】
無線タグの読み飛ばしを防止する技術としては、例えば特許文献1,2に記載のものがある。特許文献1には、無線タグをグループ化して、グループを構成する無線タグが全て読み取られたか否かを判定することによって、無線タグの読み落しを防止する技術が開示されている。特許文献2には、所定の軌道線に沿って自動走行する無人搬送車が床面に設けられた磁気マーカを検出してカウントアップすることによって、磁気マーカの読み飛ばしを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-009521号公報
【文献】特開2016-115207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この場合、安全性の観点から無人搬送車を直ちに停止させることが望ましい。特許文献1,2の技術では、対象の無線タグを全て読み取った後でなければ読み落としを検知することができないと考えられる。無線タグの読み飛ばしが生じた無人搬送車では、予め設定されたものとは異なる走行制御がなされてしまうおそれがある。このため、無線タグの読み飛ばしが生じた場合には、その時点で読み飛ばしを検知できることが好ましい。
【0006】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、無線タグの読み飛ばしを走行中に速やかに検知する無人搬送車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る無人搬送車は、誘導走行経路を検知する経路検知部と、誘導走行経路上に配置された無線タグの識別情報を検知するタグ検知部と、無線タグの識別情報と当該識別情報に関連付けられた走行指令情報とが所定順序で配列された運行データを記憶する記憶部と、タグ検知部で検知された無線タグの識別情報に基づいて運行データを参照することによって誘導走行経路上の走行を制御する走行制御部と、タグ検知部で検知された無線タグの識別情報が運行データにおいて次に検知すべき無線タグの識別情報と一致するか否かを判断し、識別情報同士が一致しない場合にタグ検知部による無線タグの読み飛ばしが生じたと判断する判断部と、を備える。
【0008】
この無人搬送車では、誘導走行経路上の走行中に無線タグの識別情報が検知されると、運行データの走行指令情報に従って走行が制御される。また、検知された無線タグの識別情報が、運行データにおいて次に検知すべき無線タグの識別情報と一致するか否かが判断され、一致しない場合に無線タグの読み飛ばしが生じたと判断される。すなわち、この無人搬送車では、走行中に無線タグを検知したタイミングで、無線タグの読み飛ばしが発生したか否かが判定される。したがって、無線タグの読み飛ばしを走行中に速やかに検知することができる。
【0009】
無人搬送車において、走行制御部は、判断部により無線タグの読み飛ばしが生じたと判断された場合に、誘導走行経路上の走行を停止させる。判断部は、読み飛ばしが生じたと判断した後、タグ検知部が最初に検知した無線タグの識別情報を基準として、次に検知すべき無線タグの識別情報を決定する。このような構成によれば、無線タグの読み飛ばしの発生後に走行を再開させる場合であっても、最初の無線タグの検知によって次に検知すべき無線タグが自動で決定される。これにより、無線タグの読み飛ばしが生じた位置に関わらず、走行を再開させることができる。
【0010】
無人搬送車において、運行データは、所定順序の最後の無線タグの識別情報よりも後に予備の無線タグの識別情報を含む。この場合、誘導走行経路上の最後に配置された無線タグを読み飛ばした場合であっても、予備の無線タグを検知することにより、最後の無線タグの読み飛ばしを検知することができる。
【0011】
無人搬送車において、運行データは、走行開始後最初に前記無線タグの検知がなされるまでの初期走行指令情報を含む。この場合、無線タグの読み飛ばしの発生後に走行を再開させる場合であっても、走行開始後に最初の無線タグを検知するまでの間のスムーズな運行が可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、無線タグの読み飛ばしを走行中に速やかに検知する無人搬送車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】無人搬送車の一例を示す概要図である。
図2】無人搬送車の構成の一例を示すブロック図である。
図3】運行データの一例を示す図である。
図4】無人搬送車の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】無線タグの読み飛ばしの一例を示す図である。
図6】無線タグの読み飛ばしの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る無人搬送車の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本開示の一実施形態に係る無人搬送車1の一例を示す概要図である。無人搬送車1は、例えば物流倉庫等において稼働する誘導走行式の車両である。物流倉庫等には、例えば磁気テープ又は磁気棒等の誘導走行経路GRが敷設されている。誘導走行経路GR上には、例えばRFIDタグ等の無線タグT1、T2及びT3、並びに予備の無線タグT4が誘導走行の始点側から順に配置されている。「誘導走行経路GR上」とは、例えば誘導走行経路GRに重なる位置に限られず、誘導走行経路GR上のある位置に対応して誘導走行経路GRから離間した位置を含む概念である。
【0016】
以下、無人搬送車1の誘導走行の終点を無線タグT3として説明する。予備の無線タグT4は、終点である無線タグT3の予備の終点として機能する。予備の無線タグT4は、通常の誘導走行における終点である無線タグT3よりも後の位置に配置されている。
【0017】
各無線タグは、それぞれ無線タグの識別情報を記憶している。無線タグの識別情報は、無線タグを一意に特定する識別子である。無線タグの識別情報としては、例えばタグ番号等が挙げられる。無人搬送車1は、無線タグの識別情報と、走行速度等を制御するための走行指令情報とが関連付けられた運行データを記憶している。
【0018】
例えば、無人搬送車1を自動走行させるために、無人搬送車1に対して誘導走行経路GRを指定する投入作業が行われる。無人搬送車1は、誘導走行経路GRに沿って、所定の走行速度で方向Dに進む。無人搬送車1は、走行中に誘導走行経路GR上の無線タグT1、T2及びT3のタグ番号を順に検知する。無人搬送車1は、運行データを参照して各タグ番号に関連付けられた走行指令情報に基づいて走行速度等を制御する。
【0019】
図2は、本開示の一実施形態に係る無人搬送車1の構成を示すブロック図である。無人搬送車1は、経路検知部2、タグ検知部3、記憶部4及び制御部10を備えている。
【0020】
経路検知部2は、誘導走行経路GRを検知し、検知した誘導走行経路GRに関する電気信号を制御部10に出力する。経路検知部2は、例えば磁気センサである。
【0021】
タグ検知部3は、誘導走行経路GR上に配置された無線タグの識別情報を検知する。例えばタグ検知部3は、走行中に無線タグのタグ番号を検知し、検知したタグ番号を制御部10に出力する。タグ検知部3は、例えばRFIDリーダである。
【0022】
記憶部4は、無線タグの識別情報と当該識別情報に関連付けられた走行指令情報とが所定順序で配列された運行データを記憶している。記憶部4は、無人搬送車1の走行開始前に、運行データを予め記憶している。記憶部4は、無人搬送車1とは別の装置であってもよく、無人搬送車1の一構成要素(例えば制御部10の一構成要素)であってもよい。
【0023】
図3を参照して、記憶部4が記憶している運行データの一例を説明する。運行データは、例えば「コース番号」、「ステップ番号」、「タグ番号」、「走行指令情報」等の情報を含む。コース番号は、誘導走行経路を一意に特定する情報である。ステップ番号は、誘導走行経路上における走行制御の順序(例えば昇順)を示す情報である。タグ番号は、誘導走行経路上に配置された無線タグの識別情報である。走行指令情報は、無人搬送車1の走行速度等を制御する情報である。運行データは、上述した情報に限られず、他の情報を含んでもよい。
【0024】
例えば、運行データは、誘導走行経路GRを特定するコース番号「1」を含む。コース番号「1」には、ステップ番号「1、2、3、4、5」等が関連付けられている。この場合、無人搬送車1では、誘導走行経路GR上における走行の進行状況に応じて、ステップ番号「1~5」のいずれかに対応するタグ番号の走行制御が行われる。なお、図3において、走行指令情報には「加速」等が設定されているが、実際には詳細な走行速度等が設定され得る。
【0025】
運行データは、ステップ番号「1」に対応する最初のタグ番号「0999」を含む。タグ番号「0999」には、走行開始後最初に無線タグの検知がなされるまでの走行指令情報「加速」が関連付けられている。このように、運行データは、走行開始後最初に無線タグの検知がなされるまでの初期走行指令情報を含む。最初のタグ番号「0999」を記憶している無線タグは、誘導走行経路GR上に配置されていてもよいし、配置されていなくてもよい。すなわち、無人搬送車1は、タグ検知部3によって最初のタグ番号「0999」を検知して走行を開始してもよいし、検知することなく走行を開始してもよい。
【0026】
運行データは、ステップ番号「2」に対応するタグ番号「0001」を含む。タグ番号「0001」は、誘導走行経路GR上に配置された無線タグT1の識別情報に対応している。タグ番号「0001」には、走行指令情報として「加速」が関連付けられている。
【0027】
運行データは、ステップ番号「3」に対応するタグ番号「0002」を含む。タグ番号「0002」は、誘導走行経路GR上に配置された無線タグT2の識別情報に対応している。タグ番号「0002」には、走行指令情報として「減速」が関連付けられている。
【0028】
運行データは、ステップ番号「4」に対応するタグ番号「0003」を含む。タグ番号「0003」は、誘導走行経路GR上に配置された無線タグT3の識別情報に対応している。タグ番号「0003」には、走行指令情報として「停止」が関連付けられている。無線タグT3は終点として機能するため、タグ番号「0003」に関連付けられた走行指令情報「停止」は、走行の終了を示している。
【0029】
運行データは、ステップ番号「5」に対応するタグ番号「0004」を含む。タグ番号「0004」は、誘導走行経路GR上に配置された予備の無線タグT4の識別情報に対応している。タグ番号「0004」には、走行指令情報として「停止(予備)」が関連付けられている。このように、運行データは、最後の無線タグT3の識別情報よりも後に予備の無線タグT4の識別情報を含む。
【0030】
図2に戻り、制御部10は、無人搬送車1の走行を制御する電子制御ユニットである。制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)等を有している。制御部10では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。制御部10は、機能要素として取得部11、判断部12、走行制御部13、及び通知部14を有している。
【0031】
取得部11は、検知された誘導走行経路GRに関する電気信号を経路検知部2から取得する。取得部11は、検知された無線タグの識別情報をタグ検知部3から取得する。取得部11は、記憶部4を参照して運行データを取得する。
【0032】
判断部12は、タグ検知部3で検知された無線タグの識別情報が運行データにおいて次に検知すべき無線タグの識別情報と一致するか否かを判断する。例えば、判断部12は、運行データにおいて現在のステップ番号における走行制御中にタグ検知部3で検知されたタグ番号が、運行データにおいて次のステップ番号に対応するタグ番号と一致するか否かを判断する。一例では、判断部12は、現在のステップ番号「1」における走行制御中に、タグ検知部3で検知されたタグ番号「0001」が、運行データにおいて次のステップ番号「2」に対応するタグ番号「0001」と一致するか否かを判断する。識別情報同士が一致する場合、判断部12は、タグ検知部3による無線タグの読み飛ばしが生じていないと判断する。識別情報同士が一致しない場合、判断部12は、タグ検知部3による無線タグの読み飛ばしが生じたと判断する。
【0033】
無線タグの読み飛ばしが生じると、後述する走行制御部13によって無人搬送車1の走行が停止される。その後、誘導走行経路GR上の途中から無人搬送車1の走行が再開されることが考えられる。その結果、タグ検知部3が最初に検知した無線タグの識別情報は、運行データの所定順序と一致しない可能性がある。そこで、判断部12は、読み飛ばしが生じたと判断した後、タグ検知部3が最初に検知した無線タグの識別情報を基準として、次に検知すべき無線タグの識別情報を決定する。一例では、判断部12は、読み飛ばしが生じたと判断した後、タグ検知部3が最初に検知したタグ番号が「0002」である場合、運行データを参照して、タグ番号「0002」を基準として、現在のステップ番号が「3」であると判断する。また、判断部12は、運行データを参照して、次のステップ番号「4」に対応するタグ番号「0003」を次に検知すべき無線タグの識別情報として決定する。
【0034】
走行制御部13は、経路検知部2によって誘導走行経路GRが検知されたことに従って、走行を開始する。例えば、走行制御部13は、車体が備えているモータ及び車輪等を制御して、誘導走行経路GRに沿って無人搬送車1を走行させる。走行制御部13は、タグ検知部3によって走行の開始を示す無線タグが検知されたことに従って、走行を開始してもよい。
【0035】
走行制御部13は、タグ検知部3で検知された無線タグの識別情報に基づいて運行データを参照することによって誘導走行経路GR上の走行を制御する。一例では、走行制御部13は、タグ検知部3によって検知された無線タグT1のタグ番号「0001」を用いて運行データを参照する。走行制御部13は、タグ番号「0001」に関連付けられた走行指令情報「加速」に従って、無人搬送車1の走行速度を加速させる。
【0036】
走行制御部13は、判断部12により無線タグの読み飛ばしが生じたと判断された場合に、誘導走行経路GR上の走行を停止させる。
【0037】
通知部14は、判断部12により無線タグの読み飛ばしが生じたと判断された場合に、異常を外部のシステム等に通知する。異常には、読み飛ばしが生じた無線タグのタグ番号等の情報を含んでもよい。通知部14は、異常のログを記憶部4に記憶してもよい。
【0038】
(正常動作)
図4を参照して、無人搬送車1の正常動作の一例を説明する。図4は、無人搬送車1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0039】
走行制御部13は、走行を開始する(ステップS1)。例えば、走行制御部13は、経路検知部2によって誘導走行経路GRが検知されたことに従って、走行を開始する。走行制御部13は、タグ検知部3によって走行の開始を示す無線タグが検知されたことに従って、走行を開始してもよい。
【0040】
一例では、走行制御部13は、運行データを参照して、最初のステップ番号「1」に対応するタグ番号「0999」に関連付けられた走行開始時の走行指令情報「加速」に従って、無人搬送車1の走行速度を加速させる。
【0041】
取得部11は、走行中に無線タグの識別情報が検知されたか否かを判定する(ステップS2)。例えば、取得部11は、タグ検知部3からタグ番号を新しく取得した場合、走行中に無線タグの識別情報が検知されたと判定する。取得部11は、タグ検知部3からタグ番号を新しく取得していない場合、走行中に無線タグの識別情報が検知されていないと判定する。
【0042】
走行中に無線タグの識別情報が検知された場合(ステップS2においてYES)、処理はステップS3に進む。走行中に無線タグの識別情報が検知されていない場合(ステップS2においてNO)、処理はステップS5に進む。
【0043】
判断部12は、タグ検知部3で検知された無線タグの識別情報が運行データにおいて次に検知すべき無線タグの識別情報と一致するか否かを判断する(ステップS3)。一例では、タグ番号「0001」がタグ検知部3により検知された場合、判断部12は、現在のステップ番号「1」における走行制御中に、タグ検知部3で検知されたタグ番号「0001」が、運行データにおいて次のステップ番号「2」に対応するタグ番号「0001」と一致するか否かを判断する。
【0044】
識別情報同士が一致する場合(ステップS3においてYES)、処理はステップS4に進む。ここでは、識別情報同士が一致する場合について説明し、識別情報同士が一致しない場合については後述する。
【0045】
走行制御部13は、タグ検知部3で検知された無線タグの識別情報に基づいて運行データを参照することによって誘導走行経路GR上の走行を制御する(ステップS4)。一例では、走行制御部13は、タグ検知部3によって検知された無線タグT1のタグ番号「0001」を用いて運行データを参照する。走行制御部13は、タグ番号「0001」に関連付けられた走行指令情報「加速」に従って、無人搬送車1の走行速度を加速させる。
【0046】
走行制御部13は、走行を終了するか、又は継続するかを判定する(ステップS5)。例えば、走行制御部13は、検知されたタグ番号に、走行の終了を示す走行指令情報が関連付けられているか否かに基づいて、走行を終了するか、又は継続するかを判定する。一例では、走行制御部13は、走行指令情報が「停止」である場合に走行の終了と判定し、走行指令情報が「停止」以外である場合に走行の継続と判定する。
【0047】
走行の終了と判定された場合(ステップS5においてYES)、処理は終了する。走行の継続と判定された場合(ステップS5においてNO)、処理はステップS2に戻る。一例では、タグ番号「0001」を検知した後の処理として、タグ番号「0002」及び「0003」を順に検知し、それぞれの検知に応じた処理が行われる。
【0048】
(読み飛ばしの第1例)
図4及び図5を参照して、無線タグの読み飛ばしの第1例を説明する。図5は、無人搬送車1が誘導走行経路GRに沿って走行している途中で、無線タグT2を読み飛ばした例を示している。読み飛ばしの第1例において、ステップS1及びS2の処理は、上述した正常動作と同様であるため、説明を省略する。
【0049】
判断部12は、タグ検知部3で検知された無線タグの識別情報が運行データにおいて次に検知すべき無線タグの識別情報と一致するか否かを判断する(ステップS3)。一例では、判断部12は、現在のステップ番号「2」における走行制御中に、タグ検知部3で検知されたタグ番号「0003」が、運行データにおいて次のステップ番号「3」に対応するタグ番号「0002」と一致するか否かを判断する。
【0050】
識別情報同士が一致しない場合(ステップS3においてNO)、処理はステップS6に進む。ここでは、検知されたタグ番号「0003」と次に検知すべきタグ番号「0002」とが一致しないため、処理はステップS6に進む。判断部12は、走行中にタグ番号「0002」を記憶している無線タグの読み飛ばしが生じたと判断する。
【0051】
走行制御部13は、判断部12により無線タグの読み飛ばしが生じたと判断された場合に、誘導走行経路GR上の走行を停止させる(ステップS6)。無人搬送車1は、タグ番号「0003」を検知した場所(無線タグT3の位置)付近で停止する。
【0052】
通知部14は、判断部12により無線タグの読み飛ばしが生じたと判断された場合に、異常を外部のシステム等に通知する(ステップS7)。異常には、読み飛ばしが生じた無線タグT2のタグ番号「0002」を含んでもよい。ステップS7の後、処理は終了する。
【0053】
ステップS7の後、誘導走行経路GR上の途中から無人搬送車1の走行が再開されてもよい。例えば、無人搬送車1の走行を再開させるためには、無人搬送車1に対して誘導走行経路GRを指定する投入作業が行われる。誘導走行経路GRの途中で投入作業が行われることにより、誘導走行経路GR上の途中から無人搬送車1の走行が再開される。その結果、タグ検知部3が最初に検知した無線タグの識別情報は、運行データの所定順序と一致しない可能性がある。無人搬送車1の走行再開時には、走行制御部13は、運行データを参照して、タグ検知部3が最初に検知したタグ番号に関連付けられた走行指令情報に従って、無人搬送車1の走行を制御する。すなわち、運行データの所定の順序の途中から走行制御が行われ得る。この場合、判断部12は、読み飛ばしが生じたと判断した後、タグ検知部3が最初に検知した無線タグの識別情報を基準として、次に検知すべき無線タグの識別情報を決定する。一例では、判断部12は、読み飛ばしが生じたと判断した後、タグ検知部3が最初に検知したタグ番号が「0002」である場合、運行データを参照して、タグ番号「0002」を基準として、現在のステップ番号が「3」であると判断する。また、判断部12は、運行データを参照して、次のステップ番号「4」に対応するタグ番号「0003」を次に検知すべき無線タグの識別情報として決定する。
【0054】
(読み飛ばしの第2例)
図4及び図6を参照して、無線タグの読み飛ばしの第2例を説明する。図6は、無人搬送車1が誘導走行経路GRに沿って走行している途中で、無線タグT3を読み飛ばした例を示している。読み飛ばしの第2例において、ステップS1及びS2の処理は、上述した正常動作と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
判断部12は、タグ検知部3で検知された無線タグの識別情報が運行データにおいて次に検知すべき無線タグの識別情報と一致するか否かを判断する(ステップS3)。一例では、判断部12は、現在のステップ番号「3」における走行制御中に、タグ検知部3で検知されたタグ番号「0004」が、運行データにおいて次のステップ番号「4」に対応するタグ番号「0003」と一致するか否かを判断する。
【0056】
識別情報同士が一致しない場合(ステップS3においてNO)、処理はステップS6に進む。ここでは、検知されたタグ番号「0004」と次に検知すべきタグ番号「0003」とが一致しないため、処理はステップS6に進む。判断部12は、タグ番号「0003」を記憶している無線タグの読み飛ばしが生じたと判断する。
【0057】
走行制御部13は、判断部12により無線タグの読み飛ばしが生じたと判断された場合に、誘導走行経路GR上の走行を停止させる(ステップS6)。無人搬送車1は、タグ番号「0004」を検知した場所(予備の無線タグT4の位置)付近で停止する。
【0058】
通知部14は、判断部12により無線タグの読み飛ばしが生じたと判断された場合に、異常を外部のシステム等に通知する(ステップS7)。異常には、読み飛ばしが生じた無線タグT3のタグ番号「0003」を含んでもよい。ステップS7の後、処理は終了する。
【0059】
以上説明したように、無人搬送車1では、誘導走行経路GR上の走行中に無線タグの識別情報が検知されると、運行データの走行指令情報に従って走行が制御される。また、検知された無線タグの識別情報が、運行データにおいて次に検知すべき無線タグの識別情報と一致するか否かが判断され、一致しない場合に無線タグの読み飛ばしが生じたと判断される。すなわち、この無人搬送車1では、走行中に無線タグを検知したタイミングで、無線タグの読み飛ばしが発生したか否かが判定される。したがって、無線タグの読み飛ばしを走行中に速やかに検知することができる。
【0060】
無人搬送車1において、走行制御部13は、判断部12により無線タグの読み飛ばしが生じたと判断された場合に、誘導走行経路GR上の走行を停止させる。判断部12は、読み飛ばしが生じたと判断した後、タグ検知部3が最初に検知した無線タグの識別情報を基準として、次に検知すべき無線タグの識別情報を決定する。このような構成によれば、無線タグの読み飛ばしの発生後に走行を再開させる場合であっても、最初の無線タグの検知によって、次に検知すべき無線タグが自動で決定される。これにより、無線タグの読み飛ばしが生じた位置に関わらず、走行を再開させることができる。
【0061】
無人搬送車1において、運行データは、所定順序の最後の無線タグT3の識別情報(タグ番号「0003」)よりも後に予備の無線タグT4の識別情報(タグ番号「0004」)を含んでいる。この場合、誘導走行経路GR上の最後に配置された無線タグT3を読み飛ばした場合であっても、予備の無線タグT4を検知することにより、最後の無線タグT3の読み飛ばしを検知することができる。
【0062】
無人搬送車1において、運行データは、走行開始後最初に無線タグの検知がなされるまでの初期走行指令情報を含んでいる。この場合、無線タグの読み飛ばしの発生後に走行を再開させる場合であっても、走行開始後に最初の無線タグを検知するまでの間のスムーズな運行が可能になる。
【符号の説明】
【0063】
1…無人搬送車、2…経路検知部、3…タグ検知部、4…記憶部、10…制御部、11…取得部、12…判断部、13…走行制御部、14…通知部。

図1
図2
図3
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図5
図6