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特許7593351電動車両管理装置および電動車両管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】電動車両管理装置および電動車両管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241126BHJP
   G06Q 30/0207 20230101ALI20241126BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q30/0207
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022025764
(22)【出願日】2022-02-22
(65)【公開番号】P2023122202
(43)【公開日】2023-09-01
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 諄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 清教
(72)【発明者】
【氏名】浅野 琴美
(72)【発明者】
【氏名】小澤 環
(72)【発明者】
【氏名】西郷 雄介
【審査官】三吉 翔子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-191157(JP,A)
【文献】特開2009-141991(JP,A)
【文献】特開2019-082750(JP,A)
【文献】特開2020-102025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統への給電または前記電力系統からの充電の少なくとも一方を含む電力制御が電力スタンドとの間において可能な電動車両を管理する電動車両管理装置であって、
前記電動車両のユーザの第1通信部と通信する第2通信部と、
前記第2通信部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記電動車両が前記電力スタンドに電気的に接続される前に前記電力系統からの電力需給調整要求に前記ユーザが応答した場合に、前記電動車両が前記電力スタンドに電気的に接続されたことに応じて視聴可能になるコンテンツが、前記電動車両が前記電力スタンドに電気的に接続される前に前記ユーザの前記第1通信部に送信されるように、前記第2通信部を制御する、電動車両管理装置。
【請求項2】
前記コンテンツは、動画、音楽、および、WEB会話の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電動車両管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電力系統からの前記電力需給調整要求に対する前記電力制御による貢献度に基づいて、前記第1通信部に送信される前記コンテンツを調整する制御を行う、請求項1または2に記載の電動車両管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電動車両に搭載されている前記第1通信部に前記コンテンツが送信されるように、前記第2通信部を制御する、請求項1~3のいずれか1項に記載の電動車両管理装置。
【請求項5】
前記コンテンツは、複数の予め準備された準備コンテンツのうち前記ユーザによって選択された少なくとも1つの前記準備コンテンツを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の電動車両管理装置。
【請求項6】
前記コンテンツは、予め準備された複数の準備コンテンツのうち少なくとも1つを含み、
前記制御部は、
前記複数の準備コンテンツのいずれかの視聴を前記ユーザが要求した場合は、前記ユーザが要求した前記準備コンテンツを、前記第2通信部を通じて前記第1通信部に送信し、
前記複数の準備コンテンツのいずれの視聴も前記ユーザが要求しなかった場合は、前記ユーザの過去の前記コンテンツの視聴履歴に基づいて、前記第1通信部に送信する前記準備コンテンツを選択する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電動車両管理装置。
【請求項7】
電力スタンドと、
電力系統への給電または前記電力系統からの充電の少なくとも一方を含む電力制御が可能な電動車両を管理する電動車両管理装置と、を備え、
前記電動車両管理装置は、前記電動車両のユーザの第1通信部と通信する第2通信部と、前記第2通信部を制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、前記電動車両が前記電力スタンドに電気的に接続される前に前記電力系統からの電力需給調整要求に前記ユーザが応答した場合に、前記電動車両が前記電力スタンドに電気的に接続されたことに応じて視聴可能になるコンテンツが、前記電動車両が前記電力スタンドに電気的に接続される前に前記ユーザの前記第1通信部に送信されるように、前記第2通信部を制御する、電動車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動車両管理装置および電動車両管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2020-102025号公報(特許文献1)に記載の充電処理システムは、再生可能エネルギを利用して発電されたCOフリー電力を供給可能な給電設備と、サーバとを備える。サーバは、COフリー充電が行われる電動車両のユーザに対して、給電設備の周辺に存在する店舗において使用可能なクーポンを発行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-102025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、上記のように、サーバは、COフリー充電が行われる電動車両のユーザに対して、給電設備の周辺に存在する店舗において使用可能なクーポンを発行する。しかしながら、上記特許文献1に記載の充電処理システムでは、給電設備の周辺の店舗を利用しないユーザは利得を得られない。したがって、給電設備の周辺の店舗を利用しないユーザに、充電等の電力制御に対する報酬として優遇サービスを提供するサーバ(電動車両管理装置)が望まれている。
【0005】
本開示は、かかる課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、電力スタンドの周辺の店舗を利用しないユーザに、充電等の電力制御に対する報酬として優遇サービスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の局面に従う電動車両管理装置は、電力系統への給電または電力系統からの充電の少なくとも一方を含む電力制御が可能な電動車両を管理する電動車両管理装置であって、電動車両のユーザの第1通信部と通信する第2通信部と、第2通信部を制御する制御部と、を備え、制御部は、電力スタンドにおける電力制御に関する所定の条件が満たされた場合に、視聴可能なコンテンツがユーザの第1通信部に送信されるように、第2通信部を制御する。
【0007】
上記第1の局面に従う電動車両管理装置では、上記のように、制御部は、電力スタンドにおける電力制御に関する所定の条件が満たされた場合に、視聴可能なコンテンツがユーザの第1通信部に送信されるように、第2通信部を制御する。これにより、ユーザは、コンテンツの視聴という、買い物における優遇サービスとは異なる優遇サービスを受けることができる。したがって、上記のように構成された電動車両管理装置によれば、電力スタンドの周辺の店舗を利用しないユーザに、充電等の電力制御に対する報酬として優遇サービスを提供することができる。
【0008】
また、上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、コンテンツは、動画、音楽、および、WEB会話の少なくとも1つを含む。このように構成すれば、店舗において買い物をする予定のないユーザは、動画、音楽、および、WEB会話の少なくとも1つを楽しむことができる。
【0009】
また、上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、制御部は、電力系統からの電力需給調整要求に対する電力制御による貢献度に基づいて、第1通信部に送信されるコンテンツを調整する制御を行う。このように構成すれば、電力制御による貢献度と送信されるコンテンツとの関係を適切に調整することによって、ユーザの電力制御に対する意欲を容易に増大させることができる。
【0010】
また、上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、制御部は、電動車両に搭載されている第1通信部にコンテンツが送信されるように、第2通信部を制御する。このように構成すれば、携帯用の通信機等を有していないユーザでも、電動車両の第1通信部によってコンテンツを取得することができる。
【0011】
また、上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、コンテンツは、複数の予め準備された準備コンテンツのうちユーザによって選択された少なくとも1つの準備コンテンツを含む。このように構成すれば、ユーザは、視聴するコンテンツを選択することができる。その結果、送信されるコンテンツに対するユーザの満足度をより高くすることができる。
【0012】
また、上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、所定の条件は、電力系統からの電力需給調整要求にユーザが応じるとともに電力スタンドに電動車両が電気的に接続されたことを含む。このように構成すれば、ユーザが電力制御を行わずにコンテンツを取得するのを抑制することができる。すなわち、悪意のあるユーザによりコンテンツが取得されるのを抑制することができる。
【0013】
本開示の第2の局面に従う電動車両管理システムは、電力スタンドと、電力系統への給電または電力系統からの充電の少なくとも一方を含む電力制御が可能な電動車両を管理する電動車両管理装置と、を備え、電動車両管理装置は、電動車両のユーザの第1通信部と通信する第2通信部と、第2通信部を制御する制御部と、を含み、制御部は、電力スタンドにおける電力制御に関する所定の条件が満たされた場合に、視聴可能なコンテンツがユーザの第1通信部に送信されるように、第2通信部を制御する。
【0014】
上記第2の局面に従う電動車両管理システムでは、上記のように、制御部は、電力スタンドにおける電力制御に関する所定の条件が満たされた場合に、視聴可能なコンテンツがユーザの第1通信部に送信されるように、第2通信部を制御する。これにより、ユーザは、コンテンツの視聴という、買い物における優遇サービスとは異なる優遇サービスを受けることができる。したがって、電力スタンドの周辺の店舗を利用しないユーザに、充電等の電力制御に対する報酬として優遇サービスを提供することが可能な電動車両管理システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、電力スタンドの周辺の店舗を利用しないユーザに、充電等の電力制御に対する報酬として優遇サービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施の形態に係るサーバを管理する管理システムおよびサーバと通信する各種サーバを示す図である。
図2】一実施の形態に係るサーバおよび電動車両の詳細な構成を示す図である。
図3】一実施の形態に係るサーバ等の制御を示すシーケンス図である。
図4】視聴を要求するコンテンツの選択画面の一例を示す図である。
図5】コンテンツの選択を要求するか否かを確認するメッセージ画面の一例を示す図である。
図6】視聴可能となったコンテンツの選択画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0018】
図1は、本開示の実施の形態に係るサーバ100を管理する管理システム1、系統管理サーバ200、コンテンツサーバ300、および、電力系統PGの概略的な構成を示す図である。なお、サーバ100および管理システム1は、それぞれ、本開示の「電動車両管理装置」および「電動車両管理システム」の一例である。
【0019】
管理システム1は、サーバ100と、電動車両10と、EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)20とを管理する(備える)システムである。サーバ100は、系統管理サーバ200、コンテンツサーバ300、電動車両10、および、後述の携帯端末15(図2参照)の各々と通信可能(無線通信可能)に構成されている。なお、EVSE20は、本開示の「電力スタンド」の一例である。
【0020】
電力系統PGは、図示しない発電所および送配電設備によって構築される電力網である。この実施の形態では、電力会社が発電事業者および送配電事業者を兼ねる。電力会社は、一般送配電事業者に相当し、電力系統PGを保守および管理する。電力会社は、電力系統PGの管理者に相当する。
【0021】
系統管理サーバ200は、電力系統PG(電力網)の需給を管理する。また、系統管理サーバ200は、電力会社に帰属する。系統管理サーバ200は、系統管理サーバ200が管理する各電力調整リソースによる電力の発電および消費に基づいて、電力系統PGの電力需要量を調整するための要求(需給調整要求)をサーバ100に送信する。具体的には、系統管理サーバ200は、上記電力調整リソースの発電電力または消費電力が通常よりも大きくなると見込まれる場合(または現時点で大きい場合)に、通常時よりも電力需要量を増加または低下させるための要求をサーバ100に送信する。
【0022】
サーバ100は、アグリゲータが管理するサーバである。アグリゲータとは、地域や所定の施設等の複数の電力調整リソースを束ねてエネルギーマネジメントサービスを提供する電気事業者である。
【0023】
サーバ100は、電力系統PGの電力需要量を増加または低下させるための1つの手段として、電動車両10に、電力系統PGへの給電(外部給電)および電力系統PGからの充電(外部充電)を含む制御(以下では、単に「電力制御」と記載する)を行ってもらうように要求(要請)する。サーバ100は、電動車両10に上記要求をするための要求信号を、電動車両10または電動車両10のユーザが所有する携帯端末15(図2参照)等に送信する。
【0024】
また、サーバ100は、登録された複数の電動車両10の情報(以下、「車両情報」とも称する)と、登録された各ユーザの情報(以下、「ユーザ情報」とも称する)と、登録されたEVSE20の情報(以下、「EVSE情報」とも称する)と、を管理するように構成される。ユーザ情報、車両情報、および、EVSE情報は、識別情報(ID)で区別されてメモリ102(図2参照)に記憶されている。
【0025】
ユーザIDは、ユーザを識別するための識別情報であり、ユーザに携帯される携帯端末15(図2参照)を識別する情報(端末ID)としても機能する。サーバ100は、携帯端末15から受信した情報をユーザIDごとに区別して保存するように構成される。ユーザ情報には、ユーザが携帯する携帯端末15の通信アドレスと、ユーザに帰属する電動車両10の車両IDとが含まれる。
【0026】
車両IDは、電動車両10を識別するための識別情報である。車両IDは、ナンバープレートであってもよいし、VIN(Vehicle Identification Number)であってもよい。車両情報には、各電動車両10の行動予定が含まれる。
【0027】
EVSE-IDは、EVSE20を識別するための識別情報である。EVSE情報には、各EVSE20の通信アドレスと、各EVSE20に接続された電動車両10の状態とが含まれる。また、EVSE情報には、互いに接続されている電動車両10とEVSE20との組合せを示す情報(たとえば、EVSE-IDと車両IDとの組合せ)も含まれる。
【0028】
コンテンツサーバ300は、映画や音楽等の複数のコンテンツCを管理するサーバである。コンテンツサーバ300のメモリ302(図2参照)には、複数のコンテンツCが格納されている。なお、図2に示す複数のコンテンツCは、互いに同じ符号が付されているが、互いに種類の異なるコンテンツである。なお、図2では、分かりやすくするためにコンテンツCが概略的に図示されている。また、メモリ302に格納されているコンテンツCは、本開示の「準備コンテンツ」の一例である。また、後述するようにユーザに送信されるコンテンツCは、本開示の「コンテンツ」の一例である。
【0029】
電動車両10は、外部給電および外部充電を含む電力制御が可能に構成されている。上記電力制御は、電動車両10と電力系統PGとの間においてEVSE20を介して行われる。電動車両10は、たとえば、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)車、BEV(Battery Electric Vehicle)車、および、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)車を含む。また、電動車両10は、個人が所有する車両(POV(Personally Owned Vehicle))と、MaaS(Mobility as a Service)事業者が管理する車両(MaaS車両)との少なくとも一方を含んでもよい。なお、電動車両10は、外部給電および外部充電の一方のみが可能に構成されていてもよい。
【0030】
電動車両10は、走行用モータ11(図2参照)と、走行用モータ11へ電力を供給するバッテリ12(図2参照)とを備える。バッテリ12は、走行用の電力を蓄電する二次電池を含む。二次電池は、複数のリチウムイオン電池または複数のニッケル水素電池を含む組電池である。なお、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタのような他の蓄電装置を採用してもよい。
【0031】
また、電動車両10には、DCM(Data Communication Module)13(図2参照)が搭載されている。DCM13は、サーバ100と通信可能に構成されている。また、DCM13は、コンテンツサーバ300と通信可能に構成されていてもよい。なお、電動車両10は、5G(第5世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。また、DCM13は、本開示の「第1通信部」の一例である。
【0032】
EVSE20は、車両用給電設備を意味する。電動車両10は、EVSE20に電気的に接続可能に構成される。たとえば、EVSE20につながる充電ケーブル21(図2参照)が電動車両10のインレットに接続されることによって、EVSE20と電動車両10との間で電力の授受を行うことが可能になる。管理システム1に管理されているEVSE20の数は任意であり、5個程度であってもよいし、10個以上であってもよいし、100個以上であってもよい。
【0033】
EVSE20は、DC方式のEVSEを含む。したがって、電動車両10からEVSE20へ直流電力が供給され、EVSE20に内蔵されるインバータによってDC/AC変換が行なわれる。電動車両10のバッテリ12の充放電電力を調整する充放電器14(図2参照)は、たとえばDC/DCコンバータによって充放電電力を調整するように構成される。ただし、EVSE20がDC方式であることは必須ではなく、AC方式であってもよい。
【0034】
図2に示すように、サーバ100は、プロセッサ101と、メモリ102と、通信部103とを含む。なお、プロセッサ101および通信部103は、それぞれ、本開示の「制御部」および「第2通信部」の一例である。
【0035】
メモリ102には、プロセッサ101に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。通信部103は、各種通信I/Fを含む。プロセッサ101は、通信部103を制御する。具体的には、プロセッサ101は、通信部103を通じて外部(系統管理サーバ200、コンテンツサーバ300、DCM13、および、携帯端末15)と通信する。
【0036】
コンテンツサーバ300は、プロセッサ301と、メモリ302と、通信部303とを含む。通信部303は、サーバ100の通信部103と通信可能に構成されている。メモリ302には、プロセッサ301に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。通信部303は、各種通信I/Fを含む。
【0037】
ここで、電力制御を行った電動車両10のユーザに対して、EVSE20の周辺に存在する店舗において利用可能な優遇サービスを提供する電力管理システムが知られている。しかしながら、この充電処理システムでは、EVSE20の周辺の店舗を利用しないユーザにとって利得がない。したがって、EVSE20の周辺の店舗を利用しないユーザに、充電等の電力制御に対する報酬として優遇サービスを提供することが望まれている。
【0038】
そこで、本実施の形態では、プロセッサ101は、EVSE20における電力制御に関する所定の条件が満たされた場合に、視聴可能なコンテンツCがユーザのDCM13に送信されるように、通信部103を制御する。すなわち、通信部103は、プロセッサ101による制御(指令)に基づいて、コンテンツCをDCM13に送信する。
【0039】
具体的には、プロセッサ101は、通信部103に、コンテンツサーバ300のメモリ302からコンテンツCを取得させる。そして、プロセッサ101は、通信部103に、取得されたコンテンツCをDCM13へ送信させる。
【0040】
なお、プロセッサ101は、コンテンツサーバ300の通信部303に、DCM13へコンテンツCを送信させてもよい。すなわち、通信部303は、DCM13へ直接コンテンツCを送信してもよい。
【0041】
なお、プロセッサ101は、コンテンツCがユーザの携帯端末15に送信されるように、通信部103を制御してもよい。
【0042】
また、上記の所定の条件は、電力系統PGからの電力需給調整要求にユーザが応じる(電力制御に参加する旨を示す)とともにEVSE20に電動車両10が電気的に接続されたことを含む。すなわち、ユーザは、電力需給調整要求に応じる一方でEVSE20に電動車両10を電気的に接続させなければ、コンテンツCを取得することができない。また、ユーザは、電力需給調整要求に応じずに、EVSE20に電動車両10を電気的に接続させても、コンテンツCを取得することができない。
【0043】
なお、所定時間以上(たとえば15分以上)電力制御が行われたこと(または所定時間以上の電力制御を行う設定がユーザによりなされたこと)を条件にコンテンツCがユーザに送信されてもよい。また、EVSE20に電動車両10が電気的に接続された場合、電力需給調整要求にユーザが応じていなくても、コンテンツCがユーザに送信されてもよい。
【0044】
また、電力需給調整要求にユーザが応じた場合、EVSE20に電動車両10が電気的に接続される前にコンテンツCがユーザに送信されてもよい。この場合、EVSE20に電動車両10が電気的に接続されたことに基づいて、送信されたコンテンツCが視聴可能となってもよい。
【0045】
なお、コンテンツCを取得したにも拘わらず電力制御を行わなかったユーザには、次回の電力制御において、所定のペナルティが課せられてもよい。たとえば、上記のユーザが電力制御を行ってもコンテンツCが提供されないように制御されてもよい。
【0046】
また、コンテンツCは、動画、音楽、および、WEB会話を含む。動画は、映画、ドラマ、および、アニメーション等の様々な映像付きコンテンツを含む。また、音楽は、流行の楽曲およびクラシック等や、落語や漫才等をも含む広い意味での音声コンテンツを含む。また、WEB会話とは、たとえば外国語講師とのWEB会話を可能とする教育コンテンツを含む。なお、コンテンツCは、動画、音楽、および、WEB会話以外のコンテンツ(たとえばゲームやアプリ)を含んでいてもよい。
【0047】
また、プロセッサ101は、電力系統PGからの電力需給調整要求に対する電力制御による貢献度に基づいて、DCM13に送信されるコンテンツCを調整する制御を行う。たとえば、プロセッサ101は、上記貢献度が大きい場合、DCM13に送信されるコンテンツCの個数(種類)を多くする制御を行う。また、プロセッサ101は、上記貢献度が大きい場合、DCM13に送信されるコンテンツCの視聴可能期間を長くする制御を行ってもよい。また、WEB会話に関しては、プロセッサ101は、上記貢献度が大きい場合、ネイティブの外国人講師との会話を選択可能にしてもよい。
【0048】
なお、プロセッサ101は、たとえば、電動車両10とサーバ100との間で約定された内容(充電/放電時間、充電/放電量)に基づいて、上記貢献度を算出する。また、プロセッサ101は、上記約定された内容と、電動車両10が実行した電力制御の内容(充電/放電時間、充電/放電量)とに基づいて、上記貢献度を算出してもよい。また、プロセッサ101は、外部充電(給電)による電動車両10のSOCの変化量、および、やり取りされた電力の絶対量等に基づいて、上記貢献度を算出してもよい。
【0049】
コンテンツCは、電動車両10による電力制御が行われている間(電動車両10とEVSE20とが電気的に接続されている間)にDCM13に送信される。また、コンテンツCは、電力制御が終了した後に、DCM13に送信されてもよい。
【0050】
また、ユーザのDCM13に送信されるコンテンツCは、コンテンツサーバ300のメモリ302に予め準備された複数のコンテンツCのうちユーザによって選択された少なくとも1つのコンテンツCを含む。すなわち、ユーザは、メモリ302に予め準備された複数のコンテンツCの中から、任意のコンテンツCを選択することが可能である。そして、プロセッサ101は、ユーザにより選択されたコンテンツCをメモリ302から取得するとともに、取得されたコンテンツCをDCM13に送信する。
【0051】
ここで、図4に示すように、プロセッサ101は、電動車両10のカーナビゲーションの表示画面16等に、コンテンツCの選択画面16aを表示させてもよい。選択画面16aには、たとえばコンテンツサーバ300に格納されているコンテンツCの一覧が表示されている。選択画面16aには、たとえばコンテンツCのサムネイル等が表示されている。選択画面16aにおいてユーザにより選択されたコンテンツCが、表示画面16において視聴可能となる。なお、選択可能なコンテンツCの種類(個数)等は、上記貢献度に基づいて決定される。各コンテンツCのサムネイルの近傍に、上記貢献度に基づいて決定された視聴可能期間が表示(図4の映画A1の下部参照)されていてもよい。なお、図4に示す選択画面16aは一例であって、これに限られない。
【0052】
また、プロセッサ101は、ユーザによるコンテンツCの選択要求がない場合は、ユーザに送信するコンテンツCをランダムに選択する。なお、プロセッサ101により選択されるコンテンツCの種類(個数)および視聴可能期間等は、上記貢献度に基づいて決定される。
【0053】
(電動車両管理方法)
次に、図3のシーケンス図を参照して、サーバ100による電動車両10の管理方法を説明する。
【0054】
まず、ステップS1では、サーバ100(通信部103)は、系統管理サーバ200から電力の需給調整要求を受信する。系統管理サーバ200は、上記のように、系統管理サーバ200が管理する各電力調整リソースによる電力の発電および消費に基づいて、上記需給調整要求をサーバ100に送信する。
【0055】
次に、ステップS2では、サーバ100(プロセッサ101)は、ステップS1において受信された需給調整要求に基づいて、電動車両10のユーザに電力制御(外部充電または外部給電)を要求する。なお、サーバ100は、電力制御を要求するための問い合わせ信号を、電動車両10に直接送信してもよいし、電動車両10のユーザの携帯端末15に送信してもよい。
【0056】
次に、ステップS3では、ユーザ(電動車両10)は、ステップS2における電力制御の要求に対して、受認する旨(電力制御に参加する旨)をサーバ100に送信したとする。
【0057】
次に、ステップS4において、電動車両10は、EVSE20と電気的に接続されることにより、ステップS2における電力制御の要求に対応する電力制御を開始したとする。
【0058】
次に、ステップS5では、サーバ100(プロセッサ101)は、電力制御に対するユーザの貢献度を算出する。たとえば、プロセッサ101は、ステップS2およびS3において電動車両10とサーバ100との間で約定された内容(充電/放電時間、充電/放電量)に基づいて、上記貢献度を算出する。また、ユーザによる電力制御の積算値(これまでの電力制御の回数、および、これまでの充電(放電)量の積算値等)に基づいて、上記貢献度が算出されてもよい。なお、ステップS5における上記貢献度の算出は、ステップS3とステップS4との間において行われてもよい。
【0059】
次に、ステップS6では、サーバ100(プロセッサ101)は、視聴するコンテンツCを選択するかをユーザ(電動車両10)に確認する。たとえば、サーバ100(プロセッサ101)は、電動車両10の表示画面16(または携帯端末15)に、視聴するコンテンツCを選択するか否かを確認するためのメッセージ画面16c(図5参照)が表示されるように、通信部103を制御してもよい。
【0060】
メッセージ画面16cには、「YES」と記載されたボタン16dと、「NO」と記載されたボタン16eとが表示されている。「YES」と記載されたボタン16dが選択されることにより、コンテンツCの選択を要求する旨を示す情報がサーバ100に送信される。「NO」と記載されたボタン16eが選択されることにより、コンテンツCの選択を要求しない旨を示す情報がサーバ100に送信される。なお、ステップS6の処理は、ステップS5の処理の前に行われてもよい。
【0061】
次に、ステップS7において、ユーザ(電動車両10)は、ステップS6における確認に対して応答したとする。すなわち、メッセージ画面16cの「YES」と記載されたボタン16dおよび「NO」と記載されたボタン16eのいずれかが選択されたとする。
【0062】
次に、ステップS8では、サーバ100(プロセッサ101)は、ユーザによるコンテンツCの選択要求があるか否かを判定する。ステップS7においてユーザがコンテンツCの選択を要求した場合(すなわち「YES」と記載されたボタン16dが選択された場合)、サーバ100(プロセッサ101)は上記選択要求があると判定して、処理はステップS81に進む(S8においてYes)。また、ステップS7においてユーザがコンテンツCの選択を要求しなかった場合(すなわち「NO」と記載されたボタン16eが選択された場合)、サーバ100(プロセッサ101)は上記選択要求がないと判定して、処理はステップS83に進む(S8においてNo)。
【0063】
ステップS81では、サーバ100(プロセッサ101)は、コンテンツCの選択画面16a(図4参照)のデータが電動車両10のDCM13に送信されるように、通信部103を制御する。具体的には、通信部103は、プロセッサ101の制御に基づき、コンテンツサーバ300から選択画面16aのデータを取得し、取得された選択画面16aのデータをDCM13に送信する。なお、選択画面16aのデータがコンテンツサーバ300からDCM13に直接送信されるように、プロセッサ101がコンテンツサーバ300を制御してもよい。これにより、電動車両10の表示画面16(図4参照)に選択画面16aが表示される。
【0064】
この際、選択画面16aにおいて選択可能なコンテンツCの種類(個数)および視聴可能期間等が、ステップS5において算出された貢献度に基づいて調整(制限)されてもよい。
【0065】
次に、ステップS82では、ユーザ(電動車両10)は、選択画面16aに表示された複数のコンテンツCのうち少なくとも1つを選択する。たとえば、選択画面16aに表示された少なくとも1つのコンテンツCが選択された状態で、選択画面16aにおいて「完了」と記載されたボタン16bが選択されると、ユーザにより選択されたコンテンツCの情報がサーバ100に送信されてもよい。
【0066】
一方、ステップS83では、サーバ100(プロセッサ101)は、コンテンツサーバ300のメモリ302に格納された複数のコンテンツCのうち少なくとも1つをランダムに選択する。この際、サーバ100(プロセッサ101)は、選択するコンテンツCの種類(個数)および視聴可能期間等を上記貢献度に基づいて調整する。なお、プロセッサ101は、ユーザの過去のコンテンツCの視聴履歴等を参照して、コンテンツCを選択してもよい。
【0067】
次に、ステップS9では、サーバ100(プロセッサ101)は、ステップS82またはステップS83において選択されたコンテンツCを要求する信号がコンテンツサーバ300に送信されるように、通信部103を制御する。
【0068】
次に、ステップS10では、コンテンツサーバ300は、ステップS9において受信された要求信号に基づき、選択されたコンテンツCをサーバ100(通信部103)に送信する。なお、コンテンツサーバ300がユーザに直接コンテンツCを送信するように、サーバ100がコンテンツサーバ300に指令を出してもいい。
【0069】
そして、ステップS11では、サーバ100(プロセッサ101)は、ステップS10において受信されたコンテンツCが電動車両10のDCM13に送信されるように、通信部103を制御する。これにより、電動車両10の表示画面16に選択画面16f(図6参照)が表示される。選択画面16fには、たとえば、視聴可能となったコンテンツCの一覧が表示される。選択画面16fにおいてユーザによりコンテンツCが選択されると、選択されたコンテンツCが開始される。
【0070】
なお、サーバ100(プロセッサ101)は、ユーザによる電力制御が終了(電動車両10とEVSE20との電気的接続が解除)されたことに基づき、コンテンツCの送信を終了してもよい。
【0071】
以上のように、本実施の形態においては、プロセッサ101は、EVSE20における電力制御に関する所定の条件が満たされた場合に、視聴可能なコンテンツCがユーザのDCM13に送信されるように、サーバ100の通信部103を制御する。これにより、外部充電等の電力制御を行っている間に電動車両10内においてコンテンツCを楽しむことができる。その結果、電力制御に対するユーザの意欲を増大させることができる。
【0072】
また、上記実施の形態では、電力制御に対する貢献度に基づいて、送信されるコンテンツCの個数(種類)等が調整される例を示したが、本開示はこれに限られない。送信されるコンテンツCの個数(種類)等が上記貢献度によらず固定(一律)であってもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、サーバ100とコンテンツサーバ300とが別個に設けられている例を示したが、本開示はこれに限られない。サーバ100にコンテンツCが格納されていてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、サーバ100(プロセッサ101)がコンテンツCを選択するか否かの確認をユーザに対して行う例を示したが、本開示はこれに限られない。サーバ100(プロセッサ101)は、上記確認を行わずに、ユーザの選択するコンテンツCをDCM13に送信するか、または、自身がランダムに選択したコンテンツCをDCM13に送信するかのいずれか一方の処理を行うように構成されていてもよい。
【0075】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
10 電動車両,13 DCM(第1通信部),20 EVSE(電力スタンド),100 サーバ(電動車両管理装置),101 プロセッサ(制御部),103 通信部(第2通信部),C コンテンツ(準備コンテンツ),PG 電力系統。
図1
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図3
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図5
図6