(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】電動車両管理装置および電動車両管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20241126BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20241126BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q30/0207
(21)【出願番号】P 2022025765
(22)【出願日】2022-02-22
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 諄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 清教
(72)【発明者】
【氏名】浅野 琴美
(72)【発明者】
【氏名】小澤 環
(72)【発明者】
【氏名】西郷 雄介
【審査官】三吉 翔子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-191157(JP,A)
【文献】特開2009-134450(JP,A)
【文献】特開2004-139226(JP,A)
【文献】特開2005-202849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統への給電または前記電力系統からの充電の少なくとも一方を含む電力制御が可能な電動車両を管理する電動車両管理装置であって、
前記電動車両のユーザの第1通信部と通信する第2通信部と、
前記第2通信部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、娯楽施設に備えられている電力スタンドにおける前記電力制御に関して所定の条件が満たされた場合に、前記娯楽施設において特典を受けることが許可される許可信号が前記ユーザの前記第1通信部に送信されるように、前記第2通信部を制御
し、
前記娯楽施設は、飲食提供店舗が備えられている遊園地を含み、
前記許可信号は、前記飲食提供店舗を優先的に予約することが許可される信号を含み、
前記第2通信部は、仮装した前記遊園地の従業員が携帯する端末と通信し、
前記制御部は、前記飲食提供店舗における前記ユーザの予約時間に、予約された前記飲食提供店舗に向かう指示が前記従業員の前記端末に送信されるように、前記第2通信部を制御する、電動車両管理装置。
【請求項2】
前記遊園地内には、複数の娯楽設備が備えられており、
前記許可信号は、前記複数の娯楽設備の少なくとも一部を無料で利用することが許可される信号、および、前記複数の娯楽設備の少なくとも一部を優先的に利用することが許可される信号のうち少なくとも一方を含む、請求項1に記載の電動車両管理装置。
【請求項3】
前記娯楽施設には、前記娯楽施設内に入場可能な第1入口と、前記娯楽施設内に入場可能であるとともに前記第1入口とは異なる第2入口とが備えられており、
前記許可信号は、前記第2入口を利用することが許可される信号を含む、請求項1または2に記載の電動車両管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電力系統からの電力需給調整要求に対する前記電力制御による貢献度に基づいて、前記許可信号によって許可される前記特典を調整する制御を行う、請求項1~
3のいずれか1項に記載の電動車両管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ユーザにより携帯可能な前記第1通信部に前記許可信号が送信されるように、前記第2通信部を制御する、請求項1~
4のいずれか1項に記載の電動車両管理装置。
【請求項6】
前記所定の条件は、前記電力系統からの電力需給調整要求に前記ユーザが応じるとともに前記電力スタンドに前記電動車両が電気的に接続されたことを含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の電動車両管理装置。
【請求項7】
娯楽施設に備えられている電力スタンドと、
電力系統への給電または前記電力系統からの充電の少なくとも一方を含む電力制御が可能な電動車両を管理する電動車両管理装置と、を備え、
前記電動車両管理装置は、前記電動車両のユーザの第1通信部と通信する第2通信部と、前記第2通信部を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、前記電力スタンドにおける前記電力制御に関して所定の条件が満たされた場合に、前記娯楽施設において特典を受けることが許可される許可信号が前記ユーザの前記第1通信部に送信されるように、前記第2通信部を制御
し、
前記娯楽施設は、飲食提供店舗が備えられている遊園地を含み、
前記許可信号は、前記飲食提供店舗を優先的に予約することが許可される信号を含み、
前記第2通信部は、仮装した前記遊園地の従業員が携帯する端末と通信し、
前記制御部は、前記飲食提供店舗における前記ユーザの予約時間に、予約された前記飲食提供店舗に向かう指示が前記従業員の前記端末に送信されるように、前記第2通信部を制御する、電動車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動車両管理装置および電動車両管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2020-102025号公報(特許文献1)に記載の充電処理システムは、再生可能エネルギを利用して発電されたCO2フリー電力を供給可能な給電設備と、サーバとを備える。サーバは、CO2フリー充電が行われる電動車両のユーザに対して、給電設備の周辺に存在する店舗において使用可能なクーポンを発行する。これにより、店舗周辺の給電設備における給電が促進されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、上記のように、CO2フリー充電が行われる電動車両のユーザに対して、給電設備の周辺に存在する店舗において使用可能なクーポンが発行されることにより、店舗周辺の給電設備における給電が促進されている。しかしながら、上記特許文献1に記載の充電処理システムでは、娯楽施設に備えられる給電設備において充電等の電力制御を促進させることが考慮されていない。したがって、娯楽施設に備えられる給電設備(電力スタンド)においてユーザによる充電等の電力制御を促進させることが可能なサーバ(電動車両管理装置)が望まれている。
【0005】
本開示は、かかる課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、娯楽施設に備えられる電力スタンドにおいてユーザによる充電等の電力制御を促進させることが可能な電動車両管理装置および電動車両管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の局面に従う電動車両管理装置は、電力系統への給電または電力系統からの充電の少なくとも一方を含む電力制御が可能な電動車両を管理する電動車両管理装置であって、電動車両のユーザの第1通信部と通信する第2通信部と、第2通信部を制御する制御部と、を備え、制御部は、娯楽施設に備えられている電力スタンドにおける電力制御に関して所定の条件が満たされた場合に、娯楽施設において特典を受けることが許可される許可信号がユーザの第1通信部に送信されるように、第2通信部を制御する。
【0007】
上記第1の局面に従う電動車両の管理装置では、上記のように、制御部は、娯楽施設に備えられている電力スタンドにおける電力制御に関して所定の条件が満たされた場合に、娯楽施設において特典を受けることが許可される許可信号がユーザの第1通信部に送信されるように、第2通信部を制御する。これにより、特典を目当てに娯楽施設の電力スタンドにおいて電力制御を行うユーザを増加させることができる。すなわち、娯楽施設に備えられる電力スタンドにおいてユーザによる充電等の電力制御を促進させることができる。
【0008】
上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、娯楽施設は、遊園地を含み、遊園地内には、複数の娯楽設備が備えられており、許可信号は、複数の娯楽設備の少なくとも一部を無料で利用することが許可される信号、および、複数の娯楽設備の少なくとも一部を優先的に利用することが許可される信号のうち少なくとも一方を含む。このように構成すれば、遊園地の娯楽設備において利用できる特典を目当てに遊園地の電力スタンドにおいて電力制御を行うユーザを増加させることができる。すなわち、遊園地に備えられる電力スタンドにおいてユーザによる充電等の電力制御を促進させることができる。
【0009】
上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、娯楽施設には、娯楽施設内に入場可能な第1入口と、娯楽施設内に入場可能であるとともに第1入口とは異なる第2入口とが備えられており、許可信号は、第2入口を利用することが許可される信号を含む。このように構成すれば、第2入口を利用することが許可されたユーザは、第2入口から娯楽施設内に優先的に入場することができる。
【0010】
上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、娯楽施設には、飲食提供店舗が備えられており、許可信号は、飲食提供店舗を優先的に予約することが許可される信号を含む。このように構成すれば、飲食提供店舗を優先的に予約することが許可されたユーザは、飲食を希望する飲食提供店舗を容易に予約することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、娯楽施設は、遊園地を含み、第2通信部は、仮装した遊園地の従業員が携帯する端末と通信し、制御部は、飲食提供店舗におけるユーザの予約時間に、予約された飲食提供店舗に向かう指示が従業員の端末に送信されるように、第2通信部を制御する。このように構成すれば、飲食提供店舗を優先的に予約したユーザは、上記飲食提供店舗において、仮装した従業員によるパフォーマンス等を楽しむことができる。
【0012】
上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、制御部は、電力系統からの電力需給調整要求に対する電力制御による貢献度に基づいて、許可信号によって許可される特典を調整する制御を行う。このように構成すれば、電力制御による貢献度と許可される特典との関係を適切に調整することによって、娯楽施設におけるユーザの電力制御に対する意欲を容易に増大させることができる。
【0013】
上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、制御部は、ユーザにより携帯可能な第1通信部に許可信号が送信されるように、第2通信部を制御する。ここで、携帯不可な通信部に許可信号が送信される場合では、上記携帯不可な通信部から携帯可能な第1通信部に許可信号を転送する必要があるため、ユーザの手間が増大する。一方、携帯可能な第1通信部に許可信号が送信される場合、上記転送の手間を省略することができる。すなわち、許可信号が受信された第1通信部を娯楽施設内において使用するための手間を少なくすることができる。
【0014】
上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、上記所定の条件は、電力系統からの電力需給調整要求にユーザが応じるとともに電力スタンドに電動車両が電気的に接続されたことを含む。このように構成すれば、ユーザが電力制御を行わずに許可信号を取得するのを抑制することができる。その結果、悪意のあるユーザにより許可信号が取得されるのを抑制することができる。
【0015】
本開示の第2の局面に従う電動車両管理システムは、娯楽施設に備えられている電力スタンドと、電力系統への給電または電力系統からの充電の少なくとも一方を含む電力制御が可能な電動車両を管理する電動車両管理装置と、を備え、電動車両管理装置は、電動車両のユーザの第1通信部と通信する第2通信部と、第2通信部を制御する制御部とを含み、制御部は、電力スタンドにおける電力制御に関して所定の条件が満たされた場合に、娯楽施設において特典を受けることが許可される許可信号がユーザの第1通信部に送信されるように、第2通信部を制御する。
【0016】
上記第2の局面に従う電動車両管理システムでは、上記のように、制御部は、娯楽施設に備えられている電力スタンドにおける電力制御に関して所定の条件が満たされた場合に、娯楽施設において特典を受けることが許可される許可信号がユーザの第1通信部に送信されるように、第2通信部を制御する。これにより、特典を目当てに娯楽施設の電力スタンドにおいて電力制御を行うユーザを増加させることができる。すなわち、娯楽施設に備えられる電力スタンドにおいてユーザによる充電等の電力制御を促進させることが可能な電動車両管理システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、娯楽施設に備えられる電力スタンドにおいてユーザによる充電等の電力制御を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施の形態に係るサーバを管理する管理システムおよび系統管理サーバを示す図である。
【
図2】一実施の形態に係るサーバおよび電動車両の詳細な構成を示す図である。
【
図4】遊園地の従業員の端末の一例を示す図である。
【
図6】一実施の形態に係るサーバ等の制御を示すシーケンス図である。
【
図7】特典の選択を要求するか否かを確認するメッセージ画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0020】
図1は、本開示の実施の形態に係るサーバ100を管理する管理システム1、系統管理サーバ200、および、電力系統PGの概略的な構成を示す図である。なお、サーバ100および管理システム1は、それぞれ、本開示の「電動車両管理装置」および「電動車両管理システム」の一例である。
【0021】
管理システム1は、サーバ100と、電動車両10と、EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)20とを管理する(備える)システムである。サーバ100は、系統管理サーバ200、電動車両10、および、後述の携帯端末14(
図2参照)の各々と通信可能(無線通信可能)に構成されている。また、EVSE20は、遊園地300に備えられている。管理システム1は、遊園地300に備えられている複数のEVSE20を管理している。なお、EVSE20および遊園地300は、それぞれ、本開示の「電力スタンド」および「娯楽施設」の一例である。
【0022】
電力系統PGは、図示しない発電所および送配電設備によって構築される電力網である。この実施の形態では、電力会社が発電事業者および送配電事業者を兼ねる。電力会社は、一般送配電事業者に相当し、電力系統PGを保守および管理する。電力会社は、電力系統PGの管理者に相当する。
【0023】
系統管理サーバ200は、電力系統PG(電力網)の需給を管理する。また、系統管理サーバ200は、電力会社に帰属する。系統管理サーバ200は、系統管理サーバ200が管理する各電力調整リソースによる電力の発電および消費に基づいて、電力系統PGの電力需要量を調整するための要求(需給調整要求)をサーバ100に送信する。具体的には、系統管理サーバ200は、上記電力調整リソースの発電電力または消費電力が通常よりも大きくなると見込まれる場合(または現時点で大きい場合)に、通常時よりも電力需要量を増加または低下させるための要求をサーバ100に送信する。
【0024】
サーバ100は、アグリゲータが管理するサーバである。アグリゲータとは、地域や所定の施設等の複数の電力調整リソースを束ねてエネルギーマネジメントサービスを提供する電気事業者である。
【0025】
サーバ100は、電力系統PGの電力需要量を増加または低下させるための1つの手段として、電動車両10に、電力系統PGへの給電(外部給電)および電力系統PGからの充電(外部充電)を含む制御(以下では、単に「電力制御」と記載する)を行ってもらうように要求(要請)する。サーバ100は、電動車両10に上記要求をするための要求信号を、電動車両10または電動車両10のユーザが所有する携帯端末14(
図2参照)等に送信する。
【0026】
また、サーバ100は、登録された複数の電動車両10の情報(以下、「車両情報」とも称する)と、登録された各ユーザの情報(以下、「ユーザ情報」とも称する)と、登録されたEVSE20の情報(以下、「EVSE情報」とも称する)と、を管理するように構成される。ユーザ情報、車両情報、および、EVSE情報は、識別情報(ID)で区別されてメモリ102(
図2参照)に記憶されている。
【0027】
ユーザIDは、ユーザを識別するための識別情報であり、ユーザに携帯される携帯端末14(
図2参照)を識別する情報(端末ID)としても機能する。サーバ100は、携帯端末14から受信した情報をユーザIDごとに区別して保存するように構成される。ユーザ情報には、ユーザが携帯する携帯端末14の通信アドレスと、ユーザに帰属する電動車両10の車両IDとが含まれる。
【0028】
車両IDは、電動車両10を識別するための識別情報である。車両IDは、ナンバープレートであってもよいし、VIN(Vehicle Identification Number)であってもよい。車両情報には、各電動車両10の行動予定が含まれる。
【0029】
EVSE-IDは、EVSE20を識別するための識別情報である。EVSE情報には、各EVSE20の通信アドレスと、各EVSE20に接続された電動車両10の状態とが含まれる。また、EVSE情報には、互いに接続されている電動車両10とEVSE20との組合せを示す情報(たとえば、EVSE-IDと車両IDとの組合せ)も含まれる。
【0030】
電動車両10は、外部給電および外部充電を含む電力制御が可能に構成されている。上記電力制御は、電動車両10と電力系統PGとの間においてEVSE20を介して行われる。電動車両10は、たとえば、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)車、BEV(Battery Electric Vehicle)車、および、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)車を含む。また、電動車両10は、個人が所有する車両(POV(Personally Owned Vehicle))と、MaaS(Mobility as a Service)事業者が管理する車両(MaaS車両)との少なくとも一方を含んでもよい。なお、電動車両10は、外部給電および外部充電の一方のみが可能に構成されていてもよい。
【0031】
電動車両10は、走行用モータ11(
図2参照)と、走行用モータ11へ電力を供給するバッテリ12(
図2参照)とを備える。バッテリ12は、走行用の電力を蓄電する二次電池を含む。二次電池は、複数のリチウムイオン電池または複数のニッケル水素電池を含む組電池である。なお、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタのような他の蓄電装置を採用してもよい。
【0032】
また、電動車両10は、DCM(Data Communication Module)を含んでいてもよいし、5G(第5世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。
【0033】
EVSE20は、車両用給電設備を意味する。電動車両10は、EVSE20に電気的に接続可能に構成される。たとえば、EVSE20につながる充電ケーブル21(
図2参照)が電動車両10のインレットに接続されることによって、EVSE20と電動車両10との間で電力の授受を行うことが可能になる。管理システム1に管理されている(遊園地300に備えられている)EVSE20の数は任意であり、5個程度であってもよいし、10個以上であってもよいし、100個以上であってもよい。
【0034】
EVSE20は、DC方式のEVSEを含む。したがって、電動車両10からEVSE20へ直流電力が供給され、EVSE20に内蔵されるインバータによってDC/AC変換が行なわれる。電動車両10のバッテリ12の充放電電力を調整する充放電器13(
図2参照)は、たとえばDC/DCコンバータによって充放電電力を調整するように構成される。ただし、EVSE20がDC方式であることは必須ではなく、AC方式であってもよい。
【0035】
図2に示すように、サーバ100は、プロセッサ101と、メモリ102と、通信部103とを含む。なお、プロセッサ101および通信部103は、それぞれ、本開示の「制御部」および「第2通信部」の一例である。
【0036】
メモリ102には、プロセッサ101に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。通信部103は、各種通信I/Fを含む。プロセッサ101は、通信部103を制御する。具体的には、プロセッサ101は、通信部103を通じて、系統管理サーバ200と通信する。また、プロセッサ101は、通信部103を通じて、ユーザにより携帯可能な携帯端末14(たとえば、スマートフォンまたはタブレット等)と通信する。なお、プロセッサ101は、通信部103を通じて、電動車両10のDCM等と通信する。
【0037】
ここで、電力制御を行った電動車両10のユーザに対して、EVSE20の周辺に存在する店舗において利用可能な優遇サービスを提供する電力管理システムが知られている。しかしながら、この充電処理システムでは、遊園地300等の娯楽施設に備えられるEVSE20において充電等の電力制御を促進させることが考慮されていない。したがって、遊園地300等の娯楽施設に備えられるEVSE20においてユーザによる充電等の電力制御を促進させることが望まれている。
【0038】
そこで、本実施の形態では、プロセッサ101は、遊園地300に備えられているEVSE20における電力制御に関して所定の条件が満たされた場合に、遊園地300において特典を受けることが許可される許可信号がユーザの携帯端末14に送信されるように、通信部103を制御する。すなわち、通信部103は、プロセッサ101による制御(指令)に基づいて、上記許可信号を携帯端末14に送信する。
【0039】
なお、通信部103は、上記許可信号を電動車両10のDCM等に送信してもよい。この場合、ユーザは、電動車両10に送信された許可信号を携帯端末14に転送してもよい。
【0040】
また、上記の所定の条件は、電力系統PGからの電力需給調整要求にユーザが応じる(電力制御に参加する旨を示す)とともに遊園地300のEVSE20に電動車両10が電気的に接続されたことを含む。すなわち、ユーザは、電力需給調整要求に応じる一方でEVSE20に電動車両10を電気的に接続させなければ、特典を受けることが許可されない。また、ユーザは、電力需給調整要求に応じずに、EVSE20に電動車両10を電気的に接続させても、特典を受けることが許可されない。
【0041】
なお、所定時間以上(たとえば15分以上)電力制御が行われたこと(または所定時間以上の電力制御を行う設定がユーザによりなされたこと)を条件に上記許可信号がユーザに送信されてもよい。また、EVSE20に電動車両10が電気的に接続された場合、電力需給調整要求にユーザが応じていなくても、上記許可信号がユーザに送信されてもよい。
【0042】
また、電力需給調整要求にユーザが応じた場合、EVSE20に電動車両10が電気的に接続される前に上記許可信号がユーザに送信されてもよい。この場合、EVSE20に電動車両10が電気的に接続されたことに基づいて、送信された許可信号が有効化されてもよい。
【0043】
なお、特典が許可される許可信号を取得して電力制御を行わなかったユーザには、遊園地300のEVSE20または他の施設のEVSE20における次回の電力制御において、所定のペナルティが課せられてもよい。具体的には、上記のユーザが電力制御を行っても所定の報酬(上記許可信号または金銭の報酬等)がユーザに与えられないように制御されてもよい。
【0044】
ここで、
図3に示すように、遊園地300内には、複数の娯楽設備310が備えられている。たとえば、娯楽設備310は、観覧車311およびジェットコースター312等を含む。また、遊園地300内には、複数の飲食提供店舗320が備えられている。たとえば、飲食提供店舗320は、洋食店321および和食店322等を含む。なお、上記の遊園地300の構成はあくまで一例であり、上記の例に限られない。たとえば、遊園地300内には、1つの飲食提供店舗320のみが備えられていてもよい。
【0045】
本実施の形態では、上記許可信号は、複数の娯楽設備310の少なくとも一部を無料で利用することが許可される信号を含む。また、上記許可信号は、複数の娯楽設備310の少なくとも一部を優先的に利用することが許可される信号を含む。たとえば、許可信号を取得しているユーザは、通常のユーザ(許可信号を取得していないユーザ)が入場する入口とは別の専用入口から娯楽設備310に入場可能となってもよい。なお、上記許可信号は、複数の娯楽設備310の少なくとも一部を無料で利用することが許可される信号、および、複数の娯楽設備310の少なくとも一部を優先的に利用することが許可される信号のうち一方のみを含んでいてもよい。
【0046】
また、上記許可信号は、複数の飲食提供店舗320の少なくとも一部において特典が許可される信号を含んでいてもよい。飲食提供店舗320における特典は、飲食代金の割引き、および、無料で一品追加のサービス等を含んでいてもよい。
【0047】
また、遊園地300には、遊園地300内に入場可能な通常入口331と、遊園地300内に入場可能であるとともに通常入口331とは異なる優先入口332とが備えられている。なお、通常入口331および優先入口332は、それぞれ、本開示の「第1入口」および「第2入口」の一例である。
【0048】
本実施の形態では、上記許可信号は、優先入口332を利用することが許可される信号を含む。たとえば、上記許可信号が受信された携帯端末14を優先入口332に設けられるセンサ等にかざすことにより、優先入口332が開状態とされてもよい。
【0049】
また、上記許可信号は、飲食提供店舗320を優先的に予約することが許可される信号を含む。具体的には、上記許可信号を受信した携帯端末14を用いることにより、通常のユーザ(許可信号を取得していないユーザ)が予約できない予約枠を利用することが可能となる。たとえば、上記許可信号に含まれるパスワードを飲食提供店舗320の予約サイトにおいて入力することにより、上記予約枠が利用可能となってもよい。
【0050】
また、サーバ100の通信部103は、仮装した遊園地300の従業員340が携帯する端末341(たとえばスマートフォンまたはタブレット)と通信する。なお、従業員340は、たとえば遊園地300内のキャラクタの着ぐるみ等を着て仮装している。
【0051】
本実施の形態では、サーバ100のプロセッサ101は、飲食提供店舗320におけるユーザの予約時間に、予約された飲食提供店舗320に向かう指示が従業員340の端末341に送信されるように、通信部103を制御する。これにより、従業員340の端末341の表示画面341a(
図4参照)には、ユーザにより予約された飲食提供店舗320に向かうように指示するメッセージが表示される。また、上記メッセージと共に予約時間が表示画面341aに表示されてもよい。なお、プロセッサ101は、たとえば予約時間よりも所定の時間前(たとえば5分前)に従業員340の端末341に上記メッセージを送信するように構成されていてもよい。
【0052】
なお、プロセッサ101は、各従業員340の端末341の位置を、端末341に設けられたGPS(Global Positioning System)等により検知していてもよい。そして、プロセッサ101は、GPS等の検知結果に基づいて、ユーザにより予約された飲食提供店舗320の最も近くに位置する端末341に、上記メッセージを送信してもよい。
【0053】
本実施の形態では、プロセッサ101は、電力系統PGからの電力需給調整要求に対する電力制御による貢献度に基づいて、上記許可信号によって許可される特典を調整する。たとえば、プロセッサ101は、上記貢献度が大きい場合、特典を受けられる娯楽設備310(飲食提供店舗320)の個数等を多くする制御を行ってもよい。また、プロセッサ101は、上記貢献度が大きい場合、娯楽設備310(飲食提供店舗320)において特典を受けられる時間を長くする制御を行ってもよい。
【0054】
なお、プロセッサ101は、たとえば、電動車両10とサーバ100との間で約定された内容(充電/放電時間、充電/放電量)に基づいて、上記貢献度を算出する。また、プロセッサ101は、上記約定された内容と、電動車両10が実行した電力制御の内容(充電/放電時間、充電/放電量)とに基づいて、上記貢献度を算出してもよい。また、プロセッサ101は、外部充電(給電)による電動車両10のSOCの変化量、および、やり取りされた電力の絶対量等に基づいて、上記貢献度を算出してもよい。
【0055】
上記許可信号は、電動車両10による電力制御が行われている間(電動車両10とEVSE20とが電気的に接続されている間)に携帯端末14に送信される。また、上記許可信号は、電力制御が終了した後に、携帯端末14に送信されてもよい。
【0056】
また、プロセッサ101は、ユーザの選択(要求)した特典を許可する許可信号が携帯端末14に送信されるように、通信部103を制御する。すなわち、ユーザは、予め準備された複数の特典の中から、任意の特典を選択することが可能である。そして、通信部103は、ユーザにより選択された特典を許可する許可信号をユーザの携帯端末14に送信する。
【0057】
ここで、
図5に示すように、プロセッサ101は、ユーザの携帯端末14に、特典の選択画面14aを表示させてもよい。選択画面14aには、遊園地300において利用可能な特典の一覧が表示されている。選択画面14aにおいてユーザにより選択された特典が、選択された特典に対応する娯楽設備310(飲食提供店舗320)において利用可能となる。なお、選択可能な特典の種類(個数)等は、上記貢献度に基づいて決定される。上記貢献度に基づいて決定された各特典に対応する利用可能期間(または使用可能回数)が選択画面14aに表示されてもよい。なお、
図5に示す選択画面14aは一例であって、これに限られない。
【0058】
また、プロセッサ101は、ユーザによる特典の選択要求がない場合は、ユーザに許可する特典をランダムに選択する。なお、プロセッサ101により選択される特典の種類(個数)および使用可能期間等は、上記貢献度に基づいて決定される。
【0059】
(電動車両管理方法)
次に、
図6のシーケンス図を参照して、サーバ100による電動車両10の管理方法を説明する。
【0060】
まず、ステップS1では、サーバ100(通信部103)は、系統管理サーバ200から電力の需給調整要求を受信する。系統管理サーバ200は、上記のように、系統管理サーバ200が管理する各電力調整リソースによる電力の発電および消費に基づいて、上記需給調整要求をサーバ100に送信する。
【0061】
次に、ステップS2では、サーバ100(プロセッサ101)は、ステップS1において受信された需給調整要求に基づいて、電動車両10のユーザに電力制御(外部充電または外部給電)を要求する。なお、サーバ100は、電力制御を要求するための問い合わせ信号を、電動車両10に直接送信してもよいし、ユーザの携帯端末14に送信してもよい。
【0062】
次に、ステップS3では、ユーザは、ステップS2における電力制御の要求に対して、受認する旨(電力制御に参加する旨)をサーバ100に送信したとする。
【0063】
次に、ステップS4において、電動車両10は、EVSE20と電気的に接続されることにより、ステップS2における電力制御の要求に対応する電力制御を開始したとする。
【0064】
次に、ステップS5では、サーバ100(プロセッサ101)は、電力制御に対するユーザの貢献度を算出する。たとえば、プロセッサ101は、ステップS2およびS3において電動車両10とサーバ100との間で約定された内容(充電/放電時間、充電/放電量)に基づいて、上記貢献度を算出する。また、ユーザによる電力制御の積算値(これまでの電力制御の回数、および、これまでの充電(放電)量の積算値等)に基づいて、上記貢献度が算出されてもよい。なお、ステップS5における上記貢献度の算出は、ステップS3とステップS4との間において行われてもよい。
【0065】
次に、ステップS6では、サーバ100(プロセッサ101)は、利用する特典を選択するか否かをユーザに確認する。たとえば、サーバ100(プロセッサ101)は、ユーザの携帯端末14(または電動車両10)に、特典を選択するか否かを確認するためのメッセージ画面14b(
図7参照)が表示されるように、通信部103を制御してもよい。メッセージ画面14bには、「YES」と記載されたボタン14cと、「NO」と記載されたボタン14dとが表示されている。「YES」と記載されたボタン14cが選択されることにより、特典の選択を要求する旨を示す情報がサーバ100に送信される。「NO」と記載されたボタン14dが選択されることにより、特典の選択を要求しない旨を示す情報がサーバ100に送信される。また、ステップS6の処理は、ステップS5の処理の前に行われてもよい。
【0066】
次に、ステップS7において、ユーザは、ステップS6における確認に対して応答したとする。すなわち、メッセージ画面14bの「YES」と記載されたボタン14cおよび「NO」と記載されたボタン14dのいずれかが選択されたとする。
【0067】
次に、ステップS8では、サーバ100(プロセッサ101)は、ユーザによる特典の選択要求があるか否かを判定する。ステップS7においてユーザが特典の選択を要求した場合(すなわち「YES」と記載されたボタン14cが選択された場合)、サーバ100(プロセッサ101)は上記選択要求があると判定して、処理はステップS81に進む(S8においてYes)。また、ステップS7においてユーザが特典の選択を要求しなかった場合(すなわち「NO」と記載されたボタン14dが選択された場合)、サーバ100(プロセッサ101)は上記選択要求がないと判定して、処理はステップS83に進む(S8においてNo)。
【0068】
ステップS81では、サーバ100(プロセッサ101)は、特典の選択画面14a(
図5参照)のデータがユーザの携帯端末14に送信されるように、通信部103を制御する。これにより、携帯端末14に選択画面14aが表示される。この際、選択画面14aにおいて選択可能な特典の種類(個数)および利用可能期間等が、ステップS5において算出された貢献度に基づいて調整(制限)される。
【0069】
次に、ステップS82では、ユーザは、選択画面14aに表示された複数の特典のうち少なくとも1つを選択する。たとえば、選択画面14aに表示された特典のうち少なくとも1つが選択された状態で、選択画面14aの「完了」と記載されたボタン14e(
図5参照)が選択されると、ユーザにより選択された特典の情報がサーバ100に送信されてもよい。
【0070】
一方、ステップS83では、サーバ100(プロセッサ101)は、予め準備された複数の特典のうち少なくとも1つをランダムに選択する。この際、サーバ100(プロセッサ101)は、選択する特典の種類(個数)および利用可能期間等を上記貢献度に基づいて調整する。なお、プロセッサ101は、ユーザの過去の特典の利用履歴等を参照して、特典を選択してもよい。
【0071】
次に、ステップS9では、サーバ100(プロセッサ101)は、ステップS82またはステップS83において選択された特典を許可する許可信号がユーザの携帯端末14に送信されるように、通信部103を制御する。ユーザは、上記許可信号を受信することにより、上述した各種特典を受けることが可能となる。
【0072】
なお、サーバ100(プロセッサ101)は、ユーザによる電力制御が終了(電動車両10とEVSE20との電気的接続が解除)されたことに基づき、上記許可信号の送信を終了してもよい。
【0073】
以上のように、本実施の形態においては、プロセッサ101は、遊園地300に備えられているEVSE20における電力制御に関して所定の条件が満たされた場合に、遊園地300において特典を受けることが許可される許可信号がユーザの携帯端末14に送信されるように、通信部103を制御する。これにより、電力制御を行うことにより遊園地300において利用可能な特典が与えられるので、特典を目当てに遊園地300を利用するユーザを増加させることができる。
【0074】
また、上記実施の形態では、電力制御に対する貢献度に基づいて、許可される特典の個数(種類)等が調整される例を示したが、本開示はこれに限られない。許可される特典の個数(種類)等が上記貢献度によらず固定(一律)であってもよい。
【0075】
また、上記実施の形態では、サーバ100が特典を許可する許可信号をユーザに送信する例を示したが、本開示はこれに限られない。サーバ100とは別個のサーバが、サーバ100からの指令を受けて上記許可信号をユーザに送信してもよい。
【0076】
また、上記実施の形態では、遊園地300における特典が許可される例を示したが、本開示はこれに限られない。遊園地以外の娯楽(行楽)施設(たとえば、水族館、映画館、ショッピングモール、リゾート地、スキー場、および、キャンプ場等)において上記のような特典が与えられてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態では、許可信号が、複数の娯楽設備310の少なくとも一部を無料で利用することが許可される信号を含む例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、許可信号を取得したユーザは、定価よりも割り引かれた入場料で遊園地300に入場することを許可されてもよい。
【0078】
また、上記実施の形態では、娯楽設備310や飲食提供店舗320等が優先的に利用(予約)可能となること等を特典の例に示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、遊園地300の商品を無料で1つ貰えることを特典としてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態では、サーバ100(プロセッサ101)が特典を選択するか否かの確認をユーザに対して行う例を示したが、本開示はこれに限られない。サーバ100(プロセッサ101)は、上記確認を行わずに、ユーザの選択する特典を携帯端末14に送信するか、または、自身がランダムに選択した特典を携帯端末14に送信するかのいずれか一方の処理を行うように構成されていてもよい。
【0080】
また、上記実施の形態では、上記許可信号が、飲食提供店舗320を優先的に予約することが許可される信号を含む例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、上記許可信号は、飲食提供店舗320に優先的に入店することが許可される信号を含んでいてもよい。
【0081】
なお、上記の各種変形例を任意に組み合わせて上記実施の形態の構成に適応させてもよい。
【0082】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
10 電動車両,14 携帯端末(第1通信部),20 EVSE(電力スタンド),100 サーバ(電動車両管理装置),101 プロセッサ(制御部),103 通信部(第2通信部),300 遊園地(娯楽施設),310 娯楽設備,320 飲食提供店舗,331 通常入口(第1入口),332 優先入口(第2入口),340 従業員,341 端末,PG 電力系統。