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特許7593373情報処理装置、投影方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、投影方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20241126BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20241126BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20241126BHJP
   G09G 5/22 20060101ALI20241126BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20241126BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20241126BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G09G5/00 510B
G06F3/0481
G09G5/00 510V
G09G5/00 550C
G09G5/02 B
G09G5/22 630G
G09G5/37 100
G09G5/37 320
G09G5/38
H04N5/74 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022081179
(22)【出願日】2022-05-17
(65)【公開番号】P2023169830
(43)【公開日】2023-11-30
【審査請求日】2024-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 隆慶
(74)【代理人】
【識別番号】100224694
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 孝志
(72)【発明者】
【氏名】加来 航
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-073399(JP,A)
【文献】特開2005-293290(JP,A)
【文献】特開2002-023603(JP,A)
【文献】特開2011-197381(JP,A)
【文献】特開2004-170736(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2301548(KR,B1)
【文献】特開2006-154691(JP,A)
【文献】特開2020-140055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00- 5/42
H04N 5/74
G06F 3/048-3/04895
G09B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
文字の書かれた第1領域を含む第1媒体の第1画像を取得し、
前記第1画像を第2媒体の所定の位置に投影し、
投影された前記第1画像で示される前記文字とは異なる色の線の書かれた第2領域を含む前記第2媒体の第2画像を取得し、
前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複する重複領域の色データを、重複に伴う明度又は彩度の低下が所定の割合だけ解消するように補正し、
補正された前記第2画像を前記第1媒体に前記文字の位置が一致するように投影する、情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記文字の色は、黒色であり、
前記制御部は、前記第1画像を前記第2媒体に投影する際に、前記第2媒体が置かれた載置台の全体に、前記第1領域を避けて照明光を照射する、情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記載置台は、前記第1画像を投影する投影光及び前記照明光以外の光から、遮光されている、情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記色データは、前記重複領域の色に対応するRGB値である、情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記重複領域の色に対応するRGB値を、前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複しない領域における前記線の色に対応するRGB値に基づいて補正する、情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記第1画像は、所定のフレーム数の第1画像であり、前記第2画像は、所定のフレーム数の第2画像である、情報処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記第1媒体に前記文字を書く第1ユーザ及び前記第2媒体に前記線を書く第2ユーザを各々正面から撮像した、所定のフレーム数の第3画像及び所定のフレーム数の第4画像を更に取得し、前記所定のフレーム数の第3画像及び前記所定のフレーム数の第4画像に基づいて、前記第1ユーザ及び前記第2ユーザの各々の正面に配置されたパネルに、互いの姿をリアルタイムに表示させる、情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が実行する投影方法であって、
文字の書かれた第1領域を含む第1媒体の第1画像を取得すること、
前記第1画像を第2媒体の所定の位置に投影すること、
投影された前記第1画像で示される前記文字とは異なる色の線の書かれた第2領域を含む前記第2媒体の第2画像を取得すること、
前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複する重複領域の色データを、重複に伴う明度又は彩度の低下が所定の割合だけ解消するように補正すること、及び
補正された前記第2画像を前記第1媒体に前記文字の位置が一致するように投影すること
を含む、投影方法。
【請求項9】
請求項8に記載の投影方法であって、
前記文字の色は、黒色であり、
前記第1画像を前記第2媒体に投影する際に、前記第2媒体が置かれた載置台の全体に、前記第1領域を避けて照明光を照射すること
を更に含む、投影方法。
【請求項10】
請求項9に記載の投影方法であって、
前記載置台は、前記第1画像を投影する投影光及び前記照明光以外の光から、遮光されている、投影方法。
【請求項11】
請求項8から10の何れか一項に記載の投影方法であって、
前記色データは、前記重複領域の色に対応するRGB値である、投影方法。
【請求項12】
請求項11に記載の投影方法であって、
前記重複領域の色に対応するRGB値を、前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複しない領域における前記線の色に対応するRGB値に基づいて補正すること
を更に含む、投影方法。
【請求項13】
請求項8から10のいずれか一項に記載の投影方法であって、
前記第1画像は、所定のフレーム数の第1画像であり、前記第2画像は、所定のフレーム数の第2画像である、投影方法。
【請求項14】
請求項13に記載の投影方法であって、
前記第1媒体に前記文字を書く第1ユーザ及び前記第2媒体に前記線を書く第2ユーザを各々正面から撮像した、所定のフレーム数の第3画像及び所定のフレーム数の第4画像を更に取得し、前記所定のフレーム数の第3画像及び前記所定のフレーム数の第4画像に基づいて、前記第1ユーザ及び前記第2ユーザの各々の正面に配置されたパネルに、互いの姿をリアルタイムに表示させること
を更に含む、投影方法。
【請求項15】
情報処理装置に、
文字の書かれた第1領域を含む第1媒体の第1画像を取得すること、
前記第1画像を第2媒体の所定の位置に投影すること、
投影された前記第1画像で示される前記文字とは異なる色の線の書かれた第2領域を含む前記第2媒体の第2画像を取得すること、
前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複する重複領域の色データを、重複に伴う明度又は彩度の低下が所定の割合だけ解消するように補正すること、及び
補正された前記第2画像を前記第1媒体に前記文字の位置が一致するように投影すること
を実行させる、プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムであって、
前記文字の色は、黒色であり、
前記第1画像を前記第2媒体に投影する際に、前記第2媒体が置かれた載置台の全体に、前記第1領域を避けて照明光を照射すること
を前記情報処理装置に更に実行させる、プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載のプログラムであって、
前記載置台は、前記第1画像を投影する投影光及び前記照明光以外の光から、遮光されている、プログラム。
【請求項18】
請求項15から17の何れか一項に記載のプログラムであって、
前記色データは、前記重複領域の色に対応するRGB値である、プログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のプログラムであって、
前記重複領域の色に対応するRGB値を、前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複しない領域における前記線の色に対応するRGB値に基づいて補正すること
を前記情報処理装置に更に実行させる、プログラム。
【請求項20】
請求項15から17のいずれか一項に記載のプログラムであって、
前記第1画像は、所定のフレーム数の第1画像であり、前記第2画像は、所定のフレーム数の第2画像である、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、投影方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像投影に関する技術が知られている。例えば、特許文献1には、半紙に書かれた文字と参照情報とを比較して修正すべき箇所を半紙上に投影する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-293290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現物の習字道具(半紙、筆、及び硯等)を使用する習字のeラーニングでは、講師側で添削結果を撮像するときに1回、生徒側で添削結果を投影するときに1回の合計2回、生徒の文字と講師の線(改良点を示す修正線)とが重複する領域で、講師の線の色の明度又は彩度が低下して色調が暗くなる、いわゆる黒ずみが生じる。黒ずみが生じると、生徒側での改良点の視認性及び添削結果の再現性が低下し、習字のeラーニングの学習効果を高めづらくなる。しかしながら、従来の画像投影ではこれらの問題が考慮されていない。したがって、画像投影に関する技術には改善の余地があった。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、画像投影に関する技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
文字の書かれた第1領域を含む第1媒体の第1画像を取得し、
前記第1画像を第2媒体の所定の位置に投影し、
投影された前記第1画像で示される前記文字とは異なる色の線の書かれた第2領域を含む前記第2媒体の第2画像を取得し、
前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複する重複領域の色データを補正し、
補正された前記第2画像を前記第1媒体に前記文字の位置が一致するように投影する。
【0007】
本開示の一実施形態に係る投影方法は、
情報処理装置が実行する投影方法であって、
文字の書かれた第1領域を含む第1媒体の第1画像を取得すること、
前記第1画像を第2媒体の所定の位置に投影すること、
投影された前記第1画像で示される前記文字とは異なる色の線の書かれた第2領域を含む前記第2媒体の第2画像を取得すること、
前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複する重複領域の色データを補正すること、及び
補正された前記第2画像を前記第1媒体に前記文字の位置が一致するように投影すること
を含む。
【0008】
本開示の一実施形態に係るプログラムは、
情報処理装置に、
文字の書かれた第1領域を含む第1媒体の第1画像を取得すること、
前記第1画像を第2媒体の所定の位置に投影すること、
投影された前記第1画像で示される前記文字とは異なる色の線の書かれた第2領域を含む前記第2媒体の第2画像を取得すること、
前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複する重複領域の色データを補正すること、
補正された前記第2画像を前記第1媒体に前記文字の位置が一致するように投影すること
を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、画像投影に関する技術が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】第1画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】第2画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図5】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
図6】第1画像の具体例を示す図である。
図7】第2画像の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について説明する。
【0012】
<実施形態の概要>
図1を参照して、本開示の実施形態に係るシステム1の概要について説明する。システム1は、第1画像処理装置10と、第2画像処理装置20と、情報処理装置30と、を備える。第1画像処理装置10、第2画像処理装置20、及び情報処理装置30は、例えばインターネット及び移動体通信網等を含むネットワーク40と通信可能に接続される。
【0013】
第1画像処理装置10は、本実施形態では撮像部と投影部(例えば、プロジェクタ)を備えた装置であるが、これに限らず任意の画像処理装置であってよい。プロジェクタは、LCD(liquid crystal display)プロジェクタ、LCOS(liquid crystal on silicon)プロジェクタ、又はDLP(digital light processing)プロジェクタ等、任意の方式のプロジェクタである。プロジェクタは、一般に、画像信号に基づいて変調された赤色(R)光、緑色(G)光、及び青色(B)光の3原色を投影面(半紙、壁、スクリーン等)に投光することで画像を投影する。なお、各色のレーザ光を、光走査手段により2次元走査して画像を投影してもよい。第1画像処理装置10は、本実施形態では習字の生徒(以下、「第1ユーザ」ともいう。)の頭上に設置されるが、これに限られず任意の位置に設置可能である。システム1が備える第1画像処理装置10の数は、任意に定め得る。
【0014】
第2画像処理装置20は、本実施形態では撮像部と投影部(例えば、プロジェクタ)を備えた装置であるが、これに限らず任意の画像処理装置であってよい。プロジェクタは、LCDプロジェクタ、DLPプロジェクタ、又はLCOSプロジェクタ等の任意の方式のプロジェクタである。プロジェクタは、一般に、画像信号に基づいて変調された赤色(R)光、緑色(G)光、及び青色(B)光の3原色を投影面に投光することで画像を投影する。なお、各色のレーザ光を、光走査手段により2次元走査して画像を投影してもよい。第2画像処理装置20は、本実施形態では習字の講師(以下、「第2ユーザ」ともいう。)の頭上に設置されるが、これに限られず任意の位置に設置可能である。システム1が備える第2画像処理装置20の数は、任意に定め得る。
【0015】
情報処理装置30は、例えばサーバ装置等のコンピュータである。情報処理装置30は、ネットワーク40を介して第1画像処理装置10及び第2画像処理装置20と通信可能である。
【0016】
まず、本実施形態の概要について説明し、詳細については後述する。情報処理装置30は、文字の書かれた第1領域を含む第1媒体の第1画像を取得する。情報処理装置30は、第1画像を第2媒体の所定の位置に投影する。情報処理装置30は、投影された第1画像で示される文字とは異なる色の線の書かれた第2領域を含む第2媒体の第2画像を取得する。情報処理装置30は、第2画像上の第1領域と第2領域とが重複する重複領域の色データを補正する。情報処理装置30は、補正された第2画像を第1媒体に文字の位置が一致するように投影する。
【0017】
このように、本実施形態によれば、重複領域の色データが補正された第2画像が、第1媒体に文字の位置が一致するように投影される。このため、例えば第2画像上の重複領域で黒ずみが生じた場合でも、当該黒ずみが所定の割合だけ解消されるように色データを補正した第2画像を第1媒体に投影することができる。したがって、第1ユーザ側での改良点の視認性及び添削結果の再現性が向上し、習字のeラーニングの学習効果を高めやすくなる点で、画像投影に関する技術が改善される。
【0018】
次に、システム1の各構成について詳細に説明する。
【0019】
<第1画像処理装置の構成>
図2に示すように、第1画像処理装置10は、通信部11と、撮像部12と、投影部13と、検知部14と、出力部15と、入力部16と、記憶部17と、制御部18と、を備える。
【0020】
通信部11は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応するが、これらに限られない。本実施形態において、第1画像処理装置10は、通信部11及びネットワーク40を介して第2画像処理装置20及び情報処理装置30と通信する。
【0021】
撮像部12は、1つ以上のカメラを含む。撮像部12に含まれる各カメラは、例えばCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を有するいわゆるデジタルカメラである。撮像部12は、所定のフレームレートで被写体の撮像を行い、当該撮像によって得られた撮像画像の画像データを出力する。撮像部12を介して得られる画像データは、フレーム画像として動画像を構成することが可能である。一実施形態において、撮像部12は、第1媒体の画像を取得する。
【0022】
投影部13は、画像表示素子と、光源と、投影レンズと、を含む。画像表示素子としては、例えば第1画像処理装置10がLCD又はLCOS方式のプロジェクタである場合には液晶が、DLP方式のプロジェクタである場合にはDMD(Digital Micromirror Device)が使用される。光源は、画像表示素子に投影光を照射し、投影部13を通して投影面に画像を投影する。光源は、投影光に加えて照明光も照射し得る。投影光の照射範囲及び照明光の照射範囲は、同じであっても異なっていてもよい。投影レンズは、投影面に画像表示素子の画像を任意の倍率で拡大又は縮小して表示させる。一実施形態において、投影部13は、第1媒体に画像を投影する。
【0023】
検知部14は、投影部13から画像が投影される投影面の状態を示す情報を取得可能な任意のセンサモジュールを含む。例えば、投影面の状態は、投影面と投影部13との距離、投影面の変位、又はこれらの組合せを含む。例えば、センサモジュールは、レーザセンサ、光電センサ、超音波センサ、又はこれらの組合せを含む。
【0024】
出力部15は、少なくとも1つの出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。出力部15は、第1画像処理装置10の動作によって得られるデータを出力する。出力部15は、第1画像処理装置10に備えられる代わりに、外部の出力機器として第1画像処理装置10に接続されてもよい。接続用インタフェースとしては、例えば、USB(Universal Serial Bus)又はBluetooth(登録商標)等の規格に対応したインタフェースを用いることができる。
【0025】
入力部16は、少なくとも1つの入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又はマイクロフォンである。入力部16は、第1画像処理装置10の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。入力部16は、第1画像処理装置10に備えられる代わりに、外部の入力機器として第1画像処理装置10に接続されてもよい。接続用インタフェースとしては、例えば、USB又はBluetooth(登録商標)等の規格に対応したインタフェースを用いることができる。
【0026】
記憶部17は、1つ以上のメモリを含む。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部17に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部17は、第1画像処理装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部17は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。記憶部17に記憶された情報は、例えば通信部11を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。本実施形態において、記憶部17は、撮像部12を介して撮像された画像又は動画像及び検知部14を介して取得された情報を記憶することができる。
【0027】
制御部18は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるがこれらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)であるがこれに限られない。専用回路は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)であるがこれに限られない。制御部18は、第1画像処理装置10全体の動作を制御する。
【0028】
<第2画像処理装置の構成>
図3に示すように、第2画像処理装置20は、通信部21と、撮像部22と、投影部23と、検知部24と、出力部25と、入力部26と、記憶部27と、制御部28と、を備える。
【0029】
通信部21は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば4G又は5G等の移動体通信規格に対応するが、これらに限られない。本実施形態において、第2画像処理装置20は、通信部21及びネットワーク40を介して第1画像処理装置10及び情報処理装置30と通信する。
【0030】
撮像部22は、1つ以上のカメラを含む。撮像部22に含まれる各カメラは、例えばCCD又はCMOSイメージセンサ等の撮像素子を有するいわゆるデジタルカメラである。撮像部22は、所定のフレームレートで被写体の撮像を行い、当該撮像によって得られた撮像画像の画像データを出力する。撮像部22を介して得られる画像データは、フレーム画像として動画像を構成することも可能である。一実施形態において、撮像部22は、第2媒体の画像を取得する。
【0031】
投影部23は、画像表示素子と、光源と、投影レンズと、を含む。画像表示素子としては、例えば第2画像処理装置20がLCD又はLCOS方式のプロジェクタである場合には液晶が、DLP方式のプロジェクタである場合にはDMDが使用される。光源は、画像表示素子に投影光を照射し、投影部23を通して投影面に画像を投影する。光源は、投影光に加えて照明光も照射し得る。投影光の照射範囲及び照明光の照射範囲は、同じであっても異なっていてもよい。投影レンズは、投影面に画像表示素子の画像を任意の倍率で拡大又は縮小して表示させる。一実施形態において、投影部23は、第2媒体に画像を投影する。
【0032】
検知部24は、投影部23から画像が投影される投影面の状態を示す情報を取得可能な任意のセンサモジュールを含む。例えば、投影面の状態は、投影面と投影部23との距離、投影面の変位、又はこれらの組合せを含む。例えば、センサモジュールは、レーザセンサ、光電センサ、超音波センサ、又はこれらの組合せを含む。
【0033】
出力部25は、少なくとも1つの出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。出力部25は、第2画像処理装置20の動作によって得られるデータを出力する。出力部25は、第2画像処理装置20に備えられる代わりに、外部の出力機器として第2画像処理装置20に接続されてもよい。接続用インタフェースとしては、例えば、USB又はBluetooth(登録商標)等の規格に対応したインタフェースを用いることができる。
【0034】
入力部26は、少なくとも1つの入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又はマイクロフォンである。入力部26は、第2画像処理装置20の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。入力部26は、第2画像処理装置20に備えられる代わりに、外部の入力機器として第2画像処理装置20に接続されてもよい。接続用インタフェースとしては、例えば、USB又はBluetooth(登録商標)等の規格に対応したインタフェースを用いることができる。
【0035】
記憶部27は、1つ以上のメモリを含む。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部27に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部27は、第2画像処理装置20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部27は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。記憶部27に記憶された情報は、例えば通信部21を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。本実施形態において、記憶部27は、撮像部22を介して撮像された画像又は動画像及び検知部24を介して取得された情報を記憶することができる。
【0036】
制御部28は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU若しくはGPU等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるがこれらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGAであるがこれに限られない。専用回路は、例えばASICであるがこれに限られない。制御部28は、第2画像処理装置20全体の動作を制御する。
【0037】
<情報処理装置の構成>
図4に示すように、情報処理装置30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、を備える。
【0038】
通信部31は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば移動体通信規格、有線LAN(Local Area Network)規格、又は無線LAN規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、情報処理装置30は、通信部31及びネットワーク40を介して第1画像処理装置10及び第2画像処理装置20と通信する。
【0039】
記憶部32は、1つ以上のメモリを含む。記憶部32に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部32は、情報処理装置30の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部32は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、データベース、及び地図情報等を記憶してもよい。記憶部32に記憶された情報は、例えば通信部31を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0040】
制御部33は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。制御部33は、情報処理装置30全体の動作を制御する。
【0041】
<情報処理装置の動作フロー>
図5を参照して、本実施形態に係る情報処理装置30の動作について説明する。図5の動作は、本実施形態に係る投影方法に相当する。図5の動作は、所定の周期で繰り返し実行される。本実施形態では、図5の動作は、後述する作品提出の意思表示が検知される度に、実行される。しかしながら、所定の周期は、これに限られず任意に定め得る。
【0042】
以下の説明において、「課題作品」とは、第1ユーザが、白色の半紙(以下、「第1ユーザ側の半紙」ともいう。)に所定の色の墨汁を付けた筆で文字を書くことで得られる文字の書かれた半紙のことである。所定の色は、本実施形態では黒色であり、したがって、文字の色は、黒色である。しかしながら、文字の色は、これに限られず任意の色が採用可能である。「添削結果」とは、第2ユーザが、第2ユーザ側の白色の半紙(以下、「第2ユーザ側の半紙」ともいう。)に投影された第1ユーザ側の半紙を示す画像の領域のうち、文字の書かれた第1領域の少なくとも一部に重ねて、文字の色とは異なる色の墨汁を付けた筆で改良点を示す線を追記することで得られる半紙のことである。文字の色とは異なる色は、本実施形態では朱色であり、したがって、線の色は、朱色である。しかしながら、線の色は、これに限られず、文字の色とは異なる任意の色が採用可能である。
【0043】
また、以下の説明において、第1ユーザ及び第2ユーザは、それぞれ床に正座するのではなく椅子に座った姿勢で、載置台(例えば、机)に置かれた同じサイズ(例えば、縦334mm×横243mm)の矩形の半紙(例えば、パルプ半紙)に、それぞれ異なる色の墨汁を付けた筆で文字又は線を書くものとする。また、載置台の汚損防止のために、載置台と半紙との間にフェルト製の同じサイズ(例えば、縦360mm×260mm)の矩形の下敷きが敷かれるものとする。しかしながら、半紙及び下敷きの材料及びサイズは、これらの例に限られず任意に選択可能である。
【0044】
ステップS100:情報処理装置30の制御部33は、文字の書かれた第1領域を含む第1媒体の第1画像を取得する。
【0045】
具体的には、情報処理装置30の通信部31は、ネットワーク40を介して第1画像処理装置10の通信部11から、撮像部12により撮像された、第1ユーザによる文字の書かれた領域を含む、第1ユーザ側の半紙の画像を受信する。文字の書かれた領域(墨汁で書かれた文字自体)は、本実施形態の第1領域に、第1ユーザ側の半紙は、本実施形態の第1媒体に、当該半紙の画像は、本実施形態の第1画像に相当する。なお、撮像部12により撮像された半紙の撮像画像には、半紙の周囲(例えば、下敷き又は載置台)の画像も含まれることがあるが、この場合は、受信した撮像画像の画像解析を行うことで、半紙の部分のみの画像を抽出し、これを第1画像(第1ユーザ側の半紙の画像)として記憶することが望ましい。情報処理装置30の制御部33は、通信部31を介して受信された第1ユーザ側の半紙の画像を記憶部32に記憶しておく。そして、制御部33は、図5の動作を実行する度に、第1ユーザ側の半紙の画像を記憶部32から読み出すことで、第1画像を取得する。例えば、制御部33は、図6に示すような文字の書かれた領域R1を含む第1ユーザ側の半紙M1の画像S1を取得してもよい。領域R1は、本実施形態の第1領域に、第1ユーザ側の半紙M1は、本実施形態の第1媒体に、画像S1は、本実施形態の第1画像に相当する。
【0046】
また、制御部33は、文字の書かれた第1領域の、第1画像上の位置を算出する。具体的には、制御部33は、第1画像の各画素につき色の特徴値を算出することで、第1画像に含まれる画素の中から、第1領域に対応する一群の画素(以下、「第1画素群」ともいう。)を抽出する。色の特徴値は、本実施形態ではRGB色空間におけるR値、G値、B値(以下、「RGB値」ともいう。)であるが、これに限られず任意の値が採用可能である。例えば、色の特徴値は、RGB値の代わりに又はそれに加えて、HSV色空間における色相H、彩度S、明度Vであってもよい。第1画素群の抽出には、任意の手法が採用可能である。例えば、第1画素群は、他の領域に対応する画素とは異なる、第1画素群特有のRGB値を有する。したがって、制御部33は、第1画像の各画素のRGB値を比較することで、第1画像に含まれる画素の中から第1画素群を抽出し得る。制御部33は、抽出された第1画素群に含まれる各画素に対応する第1画像上の二次元座標値を算出し、算出された二次元座標値を各画素と対応付けて、記憶部32に記憶する。なお、第1画素群の位置を示す情報は、本実施形態では第1画像の二次元座標値として算出されるが、これに限られず任意の情報が採用可能である。
【0047】
本実施形態において、第1ユーザ側の半紙の画像の撮像は、任意のタイミングで実行可能である。例えば、情報処理装置30の制御部33は、課題作品を第2ユーザに提出する第1ユーザの意思表示(以下、「作品提出の意思表示」ともいう。)が検知された場合に、第1ユーザ側の半紙の画像を撮像する指示を、第1画像処理装置10の通信部11に送信してもよい。第1画像処理装置10の制御部18は、通信部11を介して受信された指示に応じて、第1ユーザ側の半紙の画像の撮像を撮像部22に実行させてもよい。
【0048】
作品提出の意思表示の検知には、任意の手法が採用可能である。例えば、制御部33は、所定の条件が満たされた場合に、作品提出の意思表示が検知されたと判定してもよい。所定の条件は、任意に定め得るが、以下に具体例として第1例及び第2例を示す。
【0049】
第1例は、第1ユーザによる作品提出の意思表示が明示的に行われる場合である。この場合、所定の条件は、第1ユーザによる所定の操作が検知されたことであり得る。例えば、所定の操作は、第1ユーザが第1画像処理装置10の入力部16に含まれるタッチスクリーンを操作して作品提出を提出するためのボタン等のアイコンをタッチすること、又は第1ユーザが入力部16に含まれる物理キーを押下することであり得る。所定の操作が検知された場合、第1画像処理装置10の制御部18は、通信部11及びネットワーク40を介して情報処理装置30の通信部31に、第1ユーザによる所定の操作が検知されたことを示す情報を送信してもよい。当該情報が通信部31により受信された場合、制御部33は、所定の条件が満たされたと判定し、作品提出の意思表示が検知されたと判定し得る。
【0050】
第2例は、第1ユーザによる作品提出の意思表示が暗黙的に行われる場合である。この場合、所定の条件は、第1ユーザによる所定の挙動が検知されたことであり得る。例えば、所定の挙動は、第1ユーザが所定の位置(例えば、載置台に置かれた硯の上)に筆を置き、筆から手を離したことであり得る。所定の挙動の検知には、任意の手法が採用可能である。例えば、第1画像処理装置10の撮像部12は、第1ユーザ及び載置台を被写体として所定のフレームレートで撮像し、当該撮像によって得られた撮像画像の画像データを出力してもよい。第1画像処理装置10の制御部18は、通信部11及びネットワーク40を介して情報処理装置30の通信部31に、当該画像データを送信してもよい。情報処理装置30の制御部33は、通信部31により受信された画像データの画像解析を行うことで、第1ユーザの挙動が所定の挙動に該当するか否かを判定してもよい。画像解析の結果、第1ユーザの挙動が所定の挙動に該当すると判定された場合、制御部33は、所定の条件が満たされたと判定し、作品提出の意思表示が検知されたと判定し得る。
【0051】
なお、本実施形態において、課題作品の第2ユーザへの提出は、ネットワーク40を介して、第1画像処理装置10から情報処理装置30に課題作品を示す情報が送信され、情報処理装置30から第2画像処理装置20に当該情報が転送されることで実行される。しかしながら、課題作品の第2ユーザへの提出は、これに限られず任意の手法が採用可能である。例えば、課題作品を示す情報は、第1画像処理装置10から情報処理装置30と第2画像処理装置20の両方に直接送信されてもよい。
【0052】
ステップS101:制御部33は、ステップS100で取得された第1画像を第2媒体の所定の位置に投影する。第2媒体の所定の位置は、本実施形態では第1画像が投影時に第2媒体の輪郭線に収まるような第2媒体上の位置であり、第2媒体の二次元座標値として示される。しかしながら、第2媒体の所定の位置は、これらの例に限られず任意の位置及び値が採用可能である。
【0053】
具体的には、制御部33は、第2媒体における位置合わせの基準点を設定し、基準点に基づいて第1画像と第2媒体との位置合わせを行い、第2媒体における第1画像の投影を行うことで、第1画像を第2媒体の所定の位置に投影する。第2媒体における位置合わせの基準点は、第2媒体の任意の点が採用可能である。例えば、制御部33は、基準点として、第2媒体(矩形の半紙)の四隅を設定する。この場合、制御部33は、通信部31及びネットワーク40を介して第2画像処理装置20から、第2媒体の撮像画像を受信し、受信された撮像画像の画像解析を行うことで、投影面となる第2媒体の四隅を特定し、特定された四隅を基準点として設定し得る。そして、制御部33は、通信部31及びネットワーク40を介して第2画像処理装置20の通信部21に、設定された基準点を送信する。第2画像処理装置20の制御部28は、投影部23に第1画像を第2媒体に投影させながら、投影された第1画像の四隅が通信部21を介して受信された基準点(すなわち、第2媒体の四隅)の枠内に収まるように、第1画像と第2媒体との位置合わせを行う。例えば、第1媒体と第2媒体を同じサイズの半紙とし、第1画像の四隅が第2媒体の四隅と一致するように、必要に応じて第1画像の拡大、縮小、傾き修正等の処理を行って、第1画像を第2媒体上に投影することが望ましい。こうして、図6に示す画像S1が、投影時に図7に示すような第2ユーザ側の半紙M2の輪郭線に収まるような半紙M2上の位置に、位置合わせされる。これにより、第1画像が投影時に第2媒体の輪郭線に収まり、第1画像が第2媒体の所定の位置に投影される。
【0054】
本実施形態において、第1画像で示される文字は、光を持たない黒色であることから、第2媒体に鮮明に投影しづらい。そこで、制御部33は、第1画像を第2媒体に投影する際に、第2媒体が置かれた載置台(すなわち、載置台の天板)の全体に、第1領域を避けて照明光を照射することが好ましい。第1領域を避けた照明光の照射には、任意の手法が採用可能である。例えば、制御部33は、第1画素群に含まれる各画素に対応する第1画像上の二次元座標値を、記憶部32から読み出す。制御部33は、例えばマスキングにより照明範囲を制限することで、記憶部32から読み出された二次元座標値で示される位置に投影部23の光源からの照明光が照射されないように制御する。そして、制御部33は、上述したように第1画像を第2媒体の所定の位置に投影しながら、第2媒体が置かれた載置台の全体に、照明光を照射する。これにより、第2媒体が置かれた載置台の全体に、第1領域を避けて照明光が照射され得る。その結果、第1画像を第2媒体に投影する際に、第1領域に相当する文字の書かれた領域が他の領域に比べて暗くなる。したがって、第1画像で示される文字を第2媒体に鮮明に投影しやすくなる。なお、照明光は、本実施形態では投影部23の光源から照射されるが、これに限られない。例えば、照明光は、投影部23とは別体の外部光源から照射されてもよい。ここで、第2ユーザ側の載置台の全体ではなく載置台に置かれた第2媒体にだけ光を照射すると、第2媒体上の第1領域に相当する部分と他の部分とのコントラスト比が不足し、第2媒体上の第1領域が黒色よりも明るい色(例えば、ライトグレー)に見え、第1媒体の再現性が低下し得る。このため、照明光は、第2媒体が置かれた載置台の全体に照射することが好ましい。
【0055】
また、載置台は、第1画像を投影する投影光及び照明光以外の光から、遮光されていることがより好ましい。載置台の遮光には、任意の手法が採用可能である。例えば、載置台が矩形状の机である場合、載置台を遮光性パネル(例えば、不透明のアクリルボード)でコの字状に囲う、すなわち第2ユーザが着席している側を除く3辺を囲うことで、載置台を遮光してもよい。第1画像を投影する投影光及び照明光以外の光から、載置台を遮光することで、載置台の第1領域に相当する部分と残りの部分とのコントラスト比を高めやすくなる。その結果、第1画像で示される文字を第2媒体に更に鮮明に投影しやすくなる。
【0056】
ステップS102:制御部33は、投影された第1画像で示される文字とは異なる色の線の書かれた第2領域を含む第2媒体の第2画像を取得する。
【0057】
具体的には、情報処理装置30の通信部31は、ネットワーク40を介して第2画像処理装置20の通信部21から、撮像部22により撮像された、第2ユーザ側の半紙の1組の画像を受信する。1組の画像は、第1画像が投影された第2ユーザ側の半紙を撮像した画像(以下、「文字の画像」ともいう。)と、第2ユーザ側の半紙に第1画像が投影された状態で、第2ユーザによる線の書かれた第2ユーザ側の半紙を撮像した画像(以下、「添削結果の画像」ともいう。)と、第1画像の投影を中断する等して第2ユーザ側の半紙に第1画像が投影されない状態で、第2ユーザによる線の書かれた第2ユーザ側の半紙を撮像した画像(以下、「線の画像」ともいう。)とを含む。線の書かれた領域は、本実施形態の第2領域に、第2ユーザ側の半紙は、本実施形態の第2媒体に、1組の画像は、本実施形態の第2画像に相当する。なお、撮像部22により撮像された半紙の撮像画像には、半紙の周囲(例えば、下敷き又は載置台)の画像も含まれることがあるが、この場合は、受信した撮像画像の画像解析を行うことで、半紙の部分のみの画像を抽出し、これを第2画像(文字の画像、添削結果の画像、及び線の画像を含む1組の画像)として記憶することが望ましい。情報処理装置30の制御部33は、通信部31を介して受信された1組の画像を紐付けて、記憶部32に記憶しておく。そして、制御部33は、図5の動作を実行する度に、1組の画像を記憶部32から読み出すことで、第2画像を取得する。
【0058】
例えば、制御部33は、図7に示すような文字の書かれた領域R1、線の書かれた領域R2、及び領域R1と領域R2とが重複する重複領域R3を含む第2ユーザ側の半紙M2の画像S2(添削結果の画像に相当)と、領域R1のみを含む半紙M2の画像(文字の画像に相当)と、領域R2のみを含む半紙M2の画像(線の画像に相当)との3種類の画像を、1組の画像として取得してもよい。領域R2(朱線自体)は、本実施形態の第2領域に、第2ユーザ側の半紙M2は、本実施形態の第2媒体に、3種類の画像は、本実施形態の1組の画像からなる第2画像に相当する。なお、図7では、図面の理解を容易にするために、領域R1を白抜きの実線、領域R2を白抜きの破線で示し、網掛け部分が重複領域R3に相当する。
【0059】
本実施形態において、第2ユーザ側の半紙の1組の画像の撮像は、任意のタイミングで実行可能である。例えば、「文字の画像」について、情報処理装置30の制御部33は、第2ユーザ側の半紙に第1画像を投影させた状態で当該半紙を撮像する指示を、第2画像処理装置20の通信部21に送信してもよい。第2画像処理装置20の制御部28は、通信部21を介して受信された指示に応じて、投影部23による第2ユーザ側の半紙への第1画像の投影を継続させながら、当該半紙の画像の撮像を撮像部22に実行させてもよい。これにより、「文字の画像」が撮像され得る。
【0060】
また、「添削結果の画像」及び「線の画像」について、制御部33は、添削結果を第1ユーザに通知する第2ユーザの意思表示(以下、「結果通知の意思表示」ともいう。)が検された場合に、第2ユーザ側の半紙の画像を撮像する指示を、第2画像処理装置20の通信部21に送信してもよい。第2画像処理装置20の制御部28は、通信部21を介して受信された指示に応じて、投影部23による第2ユーザ側の半紙への第1画像の投影を継続又は中断させながら、当該半紙の画像の撮像を撮像部22に実行させてもよい。これにより、「添削結果の画像」及び「線の画像」が撮像され得る。
【0061】
結果通知の意思表示の検知には、任意の手法が採用可能である。例えば、制御部33は、所定の条件が満たされた場合に、結果通知の意思表示が検知されたと判定してもよい。所定の条件は、任意に定め得るが、以下に具体例として第3例及び第4例を示す。
【0062】
第3例は、第2ユーザによる結果通知の意思表示が明示的に行われる場合である。この場合、所定の条件は、第2ユーザによる所定の操作が検知されたことであり得る。例えば、所定の操作は、第2ユーザが第2画像処理装置20の入力部26に含まれるタッチスクリーンを操作して添削結果を通知するためのボタン等のアイコンをタッチすること、又は第2ユーザが入力部26に含まれる物理キーを押下することであり得る。所定の操作が検知された場合、第2画像処理装置20の制御部28は、通信部21及びネットワーク40を介して情報処理装置30の通信部31に、第2ユーザによる所定の操作が検知されたことを示す情報を送信してもよい。当該情報が通信部31により受信された場合、制御部33は、所定の条件が満たされたと判定し、結果通知の意思表示が検知されたと判定し得る。
【0063】
第4例は、第2ユーザによる結果通知の意思表示が暗黙的に行われる場合である。この場合、所定の条件は、第2ユーザによる所定の挙動が検知されたことであり得る。例えば、所定の挙動は、第2ユーザが所定の位置(例えば、載置台に置かれた硯の上)に筆を置き、筆から手を離したことであり得る。所定の挙動の検知には、任意の手法が採用可能である。例えば、第2画像処理装置20の撮像部22は、第2ユーザ及び載置台を被写体として所定のフレームレートで撮像し、当該撮像によって得られた撮像画像の画像データを出力してもよい。第2画像処理装置20の制御部28は、通信部21及びネットワーク40を介して情報処理装置30の通信部31に、当該画像データを送信してもよい。情報処理装置30の制御部33は、通信部31により受信された画像データの画像解析を行うことで、第2ユーザの挙動が所定の挙動に該当するか否かを判定してもよい。画像解析の結果、第2ユーザの挙動が所定の挙動に該当すると判定された場合、制御部33は、所定の条件が満たされたと判定し、結果通知の意思表示が検知されたと判定し得る。
【0064】
なお、本実施形態において、添削結果の第1ユーザへの通知は、ネットワーク40を介して、第2画像処理装置20から情報処理装置30に添削結果を示す情報が送信され、情報処理装置30から第1画像処理装置10に当該情報が転送されることで実行される。しかしながら、添削結果の第1ユーザへの通知は、これに限られず任意の手法が採用可能である。例えば、添削結果を示す情報は、第2画像処理装置20から情報処理装置30と第1画像処理装置10の両方に直接送信されてもよい。
【0065】
ステップS103:制御部33は、ステップS102で取得された第2画像上の重複領域があるか否かを判定する。「重複領域」とは、第1領域と第2領域とが重複する領域のことである。重複領域があると判定された場合(ステップS103-Yes)、プロセスは、ステップS104に進む。重複領域がないと判定された場合、(ステップS103-No)、プロセスは、ステップS106に進む。
【0066】
具体的には、制御部33は、ステップS102で取得された1組の画像(「文字の画像」、「添削結果の画像」、及び「線の画像」を含む。)からなる第2画像に対して以下の画像解析を行うことで、第1領域及び第2領域それぞれの、第2画像上の位置を算出する。
【0067】
制御部33は、「文字の画像」に含まれる画素の中から、第1領域に対応する一群の画素(以下、「第2画素群」ともいう。)を抽出する。第2画素群の抽出には、任意の手法が採用可能である。例えば、第2画素群は、第1画像について上述した第1画素群と同様、他の領域に対応する画素とは異なる、第2画素群特有のRGB値を有する。したがって、制御部33は、文字の画像の各画素のRGB値を比較することで、文字の画像に含まれる画素の中から第2画素群を抽出し得る。制御部33は、抽出された第2画素群に含まれる各画素に対応する文字の画像上の二次元座標値を算出し、算出された二次元座標値を各画素と対応付けて、記憶部32に記憶する。なお、第2画素群の位置を示す情報は、本実施形態では文字の画像の二次元座標値として算出されるが、これに限られず任意の情報が採用可能である。
【0068】
また、制御部33は、「線の画像」に含まれる画素の中から、第2領域に対応する一群の画素(以下、「第3画素群」ともいう。)を抽出する。第3画素群の抽出には、任意の手法が採用可能である。例えば、第3画素群は、上述した第1画素群と同様、他の領域に対応する画素とは異なる、第3画素群特有のRGB値を有する。したがって、制御部33は、線の画像の各画素のRGB値を比較することで、線の画像に含まれる画素の中から第3画素群を抽出し得る。制御部33は、抽出された第3画素群に含まれる各画素に対応する線の画像上の二次元座標値を算出し、算出された二次元座標値を各画素と対応付けて、記憶部32に記憶する。なお、第3画素群の位置を示す情報は、本実施形態では線の画像の二次元座標値として算出されるが、これに限られず任意の情報が採用可能である。
【0069】
そして、制御部33は、このように算出された第2画素群及び第3画素群それぞれの二次元座標値を比較することで、「添削結果の画像」上の重複領域があるか否かを判定する。本実施形態において、文字の画像上の二次元座標値、線の画像上の二次元座標値、及び添削結果の画像上の二次元座標値で示される位置は、互いに等しい。したがって、比較の結果、二次元座標値の等しい少なくとも1つの画素が特定された場合、制御部33は、第2画像上の重複領域があると判定することができる。制御部33は、特定された少なくとも1つの画素からなる画素群(以下、「第4画素群」ともいう。)に含まれる各画素に対応する添削結果の画像上の二次元座標値を算出し、算出された二次元座標値を各画素と対応付けて、記憶部32に記憶する。第4画素群は、本実施形態の重複領域に相当する。図7に示す例では、制御部33は、領域R1と領域R2とが重複する重複領域R3(網掛け部分)を重複領域として特定し、第2画像上の重複領域があると判定し得る。なお、第4画素群の位置を示す情報は、本実施形態では添削結果の画像の二次元座標値として算出されるが、これに限られず任意の情報が採用可能である。
【0070】
ステップS104:重複領域があると判定された場合(ステップS103-Yes)、制御部33は、重複領域の色データを補正する。
【0071】
具体的には、制御部33は、ステップS103で特定された重複領域の色に対応するRGB値を、第2画像上の第1領域と第2領域とが重複しない領域における線の色に対応するRGB値に基づいて補正する。図7に示す例では、制御部33は、重複領域R3の色に対応するRGB値を、画像S2上の領域R1と領域R2とが重複しない領域における線の色に対応するRGB値に基づいて補正し得る。第2画像(ここでは、「添削結果の画像」)の重複領域R3の色に対応するRGB値が補正された画像を、「補正された第2画像」という。
【0072】
RGB値の補正には、任意の手法が採用可能である。例えば、制御部33は、第3画素群の画素のうち、第4画素群に含まれない1つの画素を選択する。当該1つの画素は、黒ずみの影響を受けていない第3画素群の画素であり、第3画素群の本来の色に対応するRGB値を保持する。制御部33は、選択された1つの画素に対応するRGB値を記憶部32から読み出す。制御部33は、第4画素群の各画素の色に対応するRGB値を算出する。制御部33は、選択された1つの画素に対応するRGB値と、算出された第4画素群の各画素の色に対応するRGB値との差分を算出する。制御部33は、算出された差分に基づいて、第4画素群の各画素の色に対応するRGB値を、選択された1つの画素に対応するRGB値に所定の割合だけ近づくように補正し得る。所定の割合は、画素ごとに任意に定め得る。例えば、所定の割合を小さくするほど(すなわち、0%に近付けるほど)、差分が保持され、重複領域の外観を維持しやすくなる。一方、所定の割合を大きくするほど(すなわち、100%に近付けるほど)、差分が小さくなり、重複領域における第3画素群が本来の色に近付き、改良点の視認性を高めやすくなる。したがって、所定の割合は、添削結果の外観を維持する程度と改良点の視認性とのバランスを考慮して設定し得る。
【0073】
また、制御部33は、重複領域の色に対応するRGB値を、第2画像上の第1領域と第2領域とが重複しない領域における線の色に対応するRGB値に加えて、第1領域の文字の色に対応するRGB値に基づいて補正してもよい。具体的には、制御部33は、所定の値として、第1領域の文字の色に対応するRGB値に応じて、R値、G値、及びB値の一部又は全部を所定の割合だけ増加させる増分率を設定してもよい。例えば、本実施形態のように第1領域の文字の色が黒色である場合、第4画素群に対応する各画素の色に対応するR値、G値、及びB値の全てが低下する。この場合、制御部33は、所定の値として、R値、G値、及びB値の全てを所定の割合だけ増加させる増分率(例えば、+10%)を設定し得る。増分率は、第1領域の文字の色に対応するRGB値に応じて、R値、G値、B値のそれぞれにつき個別に設定可能である。
【0074】
また、本実施形態では、所定の値は、第1画像処理装置10側での添削結果の投影時に生じる黒ずみの影響を考慮して設定される。これにより、第2画像処理装置20側での添削結果の撮像時に1回、第1画像処理装置10側での添削結果の投影時に1回の合計2回生じる黒ずみの影響を、所望の程度緩和することができる。したがって、第1ユーザ側での改良点の視認性及び添削結果の再現性が向上し、習字のeラーニングの学習効果を更に高めやすくなる。しかしながら、重複領域の色データの補正には、これらの例に限られず任意の手法が採用可能である。
【0075】
ステップS105:制御部33は、補正された第2画像を第1媒体に文字の位置が一致するように投影する。
【0076】
具体的には、制御部33は、補正された第2画像に含まれる第2画素群(第1領域に対応)の輪郭線が投影時に第1媒体に書かれた文字(墨汁で書かれた文字自体)の輪郭線と一致するような第1媒体上の位置を特定する。かかる第1媒体上の位置は、本実施形態では第1媒体の二次元座標値として示されるが、これに限らず任意の値が採用可能である。かかる第1媒体上の位置の特定には、任意の手法が採用可能である。例えば、制御部33は、第1画像を記憶部32から読み出し、第1媒体に占める、第1媒体に書かれた文字の面積を算出する。制御部33は、第2画像を記憶部32から読み出し、第2画像に占める、第2画素群の面積を算出する。制御部33は、第2画素群の面積が、投影面である第1媒体に書かれた文字の面積と一致するまで、縦横比を維持しながら、第2画像を拡大又は縮小する。制御部33は、このときの拡大又は縮小倍率を、投影倍率として算出する。この際、制御部33は、必要に応じて傾き修正等の他の処理で使用される値(以下、「他の調整値」ともいう。)も算出する。制御部33は、通信部31及びネットワーク40を介して第1画像処理装置10の通信部11に、算出された投影倍率及び/又は他の調整値を送信する。第1画像処理装置10の制御部18は、通信部11を介して受信された投影倍率及び/又は他の調整値に従って、投影部13に第2画像を第1媒体に投影させる。そして、制御部18は、第2画像に含まれる第2画素群の輪郭線が、第1媒体に書かれた文字の輪郭線とずれなく重なるように位置合わせする。例えば、色データが補正された図7に示す画像S2の輪郭線が、図6に示す第1ユーザ側の半紙M1に書かれた文字に対応する領域R1の輪郭線とずれなく重なるように位置合わせされる。これにより、補正された第2画像が、第1媒体に文字の位置が一致するように投影される。しかしながら、第1媒体における第2画像の投影には、これらの例に限られず任意の手法が採用可能である。
【0077】
ステップS106:重複領域がないと判定された場合(ステップS103-No)、制御部33は、第2画像の色データを補正せずに、第2画像を第1媒体に文字の位置が一致するように投影する。第2画像の投影手法は、色データの補正を行わない点を除けばステップS105で上述したのと同様であるので、説明を省略する。
【0078】
以上述べたように、本実施形態に係る情報処理装置30は、文字の書かれた第1領域を含む第1媒体の第1画像を取得する。情報処理装置30は、第1画像を第2媒体の所定の位置に投影する。情報処理装置30は、投影された第1画像で示される文字とは異なる色の線の書かれた第2領域を含む第2媒体の第2画像を取得する。情報処理装置30は、第2画像上の第1領域と第2領域とが重複する重複領域の色データを補正する。情報処理装置30は、補正された第2画像を第1媒体に文字の位置が一致するように投影する。
【0079】
かかる構成によれば、重複領域の色データが補正された第2画像が、第1媒体に文字の位置が一致するように投影される。このため、例えば第2画像上の重複領域で黒ずみが生じた場合でも、当該黒ずみが所定の割合だけ解消されるように色データを補正した第2画像を第1媒体に投影することができる。したがって、第1ユーザ側での改良点の視認性及び添削結果の再現性が向上し、習字のeラーニングの学習効果を高めやすくなる点で、画像投影に関する技術が改善される。
【0080】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0081】
例えば、上述した実施形態において、情報処理装置30の構成及び動作を、互いに通信可能な複数のコンピュータに分散させた実施形態も可能である。また例えば、情報処理装置30の一部又は全部の構成要素を第1画像処理装置10及び第2画像処理装置20に設けた実施形態も可能である。
【0082】
また例えば、上述の実施形態において、第1ユーザ側で課題作品が完成した後に第1画像(静止画)が撮像され、第1画像が第2ユーザ側で投影され、第2ユーザ側で第1画像が投影された後及び添削結果が完成した後に第2画像(静止画)が撮像され、補正された第2画像が第1ユーザ側で投影される。これに対して、本実施形態の第1変形例では、第1ユーザと第2ユーザとの間で、経時的に変化する互いの半紙の状態(例えば、外観)を示す動画像データをリアルタイムに送受信し、互いの半紙にリアルタイムに投影してもよい。第1変形例では、第1ユーザと第2ユーザとの間で互いの半紙の動画像データが送受信され、互いの半紙に動画像がリアルタイムに投影される。
【0083】
具体的には、第1変形例において、第1画像は、所定のフレーム数の第1画像であり、第2画像は、所定のフレーム数の第2画像である。第1変形例において、情報処理装置30は、第1領域を含む第1媒体の第1画像を、所定のフレーム数だけ取得する。情報処理装置30は、所定のフレーム数の第1画像を第2媒体の所定の位置に投影する。情報処理装置30は、第2領域を含む第2媒体の第2画像を、所定のフレーム数だけ取得する。情報処理装置30は、第2画像上の第1領域と第2領域とが重複する重複領域の色データを補正する。情報処理装置30は、補正された第2画像を第1媒体に文字の位置が一致するように投影する。
【0084】
所定のフレーム数の第1画像は、第1画像処理装置10の撮像部12によって第1期間、所定のフレームレートで撮像される第1画像(第1映像)であってもよい。例えば、第1期間は、第1画像処理装置10側の開始イベント(例えば、第1ユーザが入力部16に含まれるボタン等のアイコン若しくは物理キーを押下したこと又は硯上の筆を手に取ったこと)が検知された時点から終了イベント(例えば、作品提出の意思表示)が検知される時点までの期間であってもよい。開始イベント及び終了イベントの検知は、上述した第1例及び第2例の場合と同様に実行可能である。或いは、第1期間は、授業の開始時刻から終了時刻までの期間であってもよい。第1画像処理装置10の制御部18は、情報処理装置30を介して第2画像処理装置20に、又は情報処理装置30と第2画像処理装置20の両方に直接、所定のフレーム数の第1画像をリアルタイムに送信してもよい。第2画像処理装置20側では、受信された所定のフレーム数の第1画像を動画像として第2媒体に投影することで、経時的に変化する第1ユーザ側の半紙の状態をリアルタイムに表示し得る。
【0085】
所定のフレーム数の第2画像は、第2画像処理装置20の撮像部22によって第2期間、所定のフレームレートで撮像される第2画像(第2映像)であってもよい。例えば、第2期間は、第2画像処理装置20側で「文字の画像」が撮像された時点から、その後、第2画像処理装置20側の開始イベント(例えば、第2ユーザが入力部26に含まれるボタン等のアイコン若しくは物理キーを押下したこと又は硯上の筆を手に取ったこと)が検知され、終了イベント(例えば、結果通知の意思表示)が検知される時点までの期間であってもよい。開始イベント及び終了イベントの検知は、上述した第3例及び第4例の場合と同様に実行可能である。或いは、第2期間は、授業の開始時刻から終了時刻までの期間であってもよい。第2画像処理装置20の制御部28は、情報処理装置30を介して第1画像処理装置10に、又は情報処理装置30と第1画像処理装置10の両方に直接、所定のフレーム数の第2画像をリアルタイムに送信してもよい。第1画像処理装置10側では、受信された所定のフレーム数の第2画像を動画像として第1媒体に投影することで、経時的に変化する第2ユーザ側の半紙の状態をリアルタイムに表示し得る。
【0086】
第1変形例によれば、第1ユーザ及び第2ユーザは、互いの作業結果だけでなく作業プロセス(例えば、書き順又は筆の運び方等)も確認しあうことが可能となる。その結果、習字のeラーニングにおいて対面授業と同等の臨場感を創出しやすくなる。
【0087】
また例えば、本実施形態の第2変形例では、第1変形例に加えて、第1ユーザ及び第2ユーザを各々正面から撮像した、所定のフレーム数の画像データも取得し、第1画像処理装置10と第2画像処理装置20との間で、情報処理装置30を介して間接的に又は直接、リアルタイムに送受信してもよい。第1画像処理装置10及び第2画像処理装置20は、それぞれ第1ユーザと第2ユーザの各々の正面に位置する液晶ディスプレイ等のパネルに、互いの姿をリアルタイムに表示させてもよい。
【0088】
具体的には、第2変形例において、情報処理装置30の制御部33は、第1媒体に文字を書く第1ユーザ及び第2媒体に線を書く第2ユーザを各々正面から撮像した、所定のフレーム数の第3画像及び所定のフレーム数の第4画像を更に取得し、所定のフレーム数の第3画像及び所定のフレーム数の第4画像に基づいて、第1ユーザ及び第2ユーザの各々の正面に配置されたパネル(例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置)に、互いの姿をリアルタイムに表示させる。例えば、第1ユーザ及び第2ユーザの撮像は、各々の正面に配置されたパネルに設置されたカメラ等、外部の撮像装置を介して行われてもよい。
【0089】
所定のフレーム数の第3画像は、第1画像処理装置10の撮像部12によって第3期間、所定のフレームレートで撮像される第3画像(第3映像)であってもよい。例えば、第3期間は、上記第1期間と同じであってもよいが、異なってもよい。例えば、第1期間が第1画像処理装置10側の開始イベントが検知された時点から終了イベントが検知される時点までの期間である場合、第3期間は、授業の開始時刻から終了時刻までの期間であってもよい。第1画像処理装置10の制御部18は、情報処理装置30を介して第2画像処理装置20に、又は情報処理装置30と第2画像処理装置20の両方に直接、所定のフレーム数の第3画像をリアルタイムに送信してもよい。第2画像処理装置20側では、受信された所定のフレーム数の第3画像を動画像として第2ユーザの正面に配置されたパネルに表示させることで、経時的に変化する第1ユーザの様子をリアルタイムに表示し得る。
【0090】
所定のフレーム数の第4画像は、第2画像処理装置20の撮像部22によって第4期間、所定のフレームレートで撮像される第4画像(第4映像)であってもよい。例えば、第4期間は、上記第2期間と同じであってもよいが、異なってもよい。例えば、第2期間が第2画像処理装置20側で「文字の画像」が撮像された時点から開始イベント及び終了イベントが検知される時点までの期間である場合、第4期間は、授業の開始時刻から終了時刻までの期間であってもよい。第2画像処理装置20の制御部28は、情報処理装置30を介して第1画像処理装置10に、又は情報処理装置30と第1画像処理装置10の両方に直接、所定のフレーム数の第4画像をリアルタイムに送信してもよい。第1画像処理装置10側では、受信された所定のフレーム数の第4画像を動画像として第1ユーザの正面に配置されたパネルに表示させることで、経時的に変化する第2ユーザの様子をリアルタイムに表示し得る。
【0091】
第2変形例によれば、第1ユーザ及び第2ユーザは、互いの表情又は姿勢等の追加的な情報も確認しあうことが可能となる。その結果、習字のeラーニングにおいて対面授業と同等の臨場感を更に創出しやすくなる。
【0092】
また、例えば汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係る情報処理装置30として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る情報処理装置30の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。
【0093】
以下に本開示の実施形態の一部について例示する。しかしながら、本開示の実施形態はこれらに限定されない点に留意されたい。
[付記1]
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
文字の書かれた第1領域を含む第1媒体の第1画像を取得し、
前記第1画像を第2媒体の所定の位置に投影し、
投影された前記第1画像で示される前記文字とは異なる色の線の書かれた第2領域を含む前記第2媒体の第2画像を取得し、
前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複する重複領域の色データを補正し、
補正された前記第2画像を前記第1媒体に前記文字の位置が一致するように投影する、情報処理装置。
[付記2]
付記1に記載の情報処理装置であって、
前記文字の色は、黒色であり、
前記制御部は、前記第1画像を前記第2媒体に投影する際に、前記第2媒体が置かれた載置台の全体に、前記第1領域を避けて照明光を照射する、情報処理装置。
[付記3]
付記2に記載の情報処理装置であって、
前記載置台は、前記第1画像を投影する投影光及び前記照明光以外の光から、遮光されている、情報処理装置。
[付記4]
付記1から3の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記色データは、前記重複領域の色に対応するRGB値である、情報処理装置。
[付記5]
付記4に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記重複領域の色に対応するRGB値を、前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複しない領域における前記線の色に対応するRGB値に基づいて補正する、情報処理装置。
[付記6]
付記1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記第1画像は、所定のフレーム数の第1画像であり、前記第2画像は、所定のフレーム数の第2画像である、情報処理装置。
[付記7]
付記6に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記第1媒体に前記文字を書く第1ユーザ及び前記第2媒体に前記線を書く第2ユーザを各々正面から撮像した、所定のフレーム数の第3画像及び所定のフレーム数の第4画像を更に取得し、前記所定のフレーム数の第3画像及び前記所定のフレーム数の第4画像に基づいて、前記第1ユーザ及び前記第2ユーザの各々の正面に配置されたパネルに、互いの姿をリアルタイムに表示させる、情報処理装置。
[付記8]
情報処理装置が実行する投影方法であって、
文字の書かれた第1領域を含む第1媒体の第1画像を取得すること、
前記第1画像を第2媒体の所定の位置に投影すること、
投影された前記第1画像で示される前記文字とは異なる色の線の書かれた第2領域を含む前記第2媒体の第2画像を取得すること、
前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複する重複領域の色データを補正すること、及び
補正された前記第2画像を前記第1媒体に前記文字の位置が一致するように投影すること
を含む、投影方法。
[付記9]
付記8に記載の投影方法であって、
前記文字の色は、黒色であり、
前記第1画像を前記第2媒体に投影する際に、前記第2媒体が置かれた載置台の全体に、前記第1領域を避けて照明光を照射すること
を更に含む、投影方法。
[付記10]
付記9に記載の投影方法であって、
前記載置台は、前記第1画像を投影する投影光及び前記照明光以外の光から、遮光されている、投影方法。
[付記11]
付記8から10の何れか一項に記載の投影方法であって、
前記色データは、前記重複領域の色に対応するRGB値である、投影方法。
[付記12]
付記11に記載の投影方法であって、
前記重複領域の色に対応するRGB値を、前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複しない領域における前記線の色に対応するRGB値に基づいて補正すること
を更に含む、投影方法。
[付記13]
付記8から12のいずれか一項に記載の投影方法であって、
前記第1画像は、所定のフレーム数の第1画像であり、前記第2画像は、所定のフレーム数の第2画像である、投影方法。
[付記14]
付記13に記載の投影方法であって、
前記第1媒体に前記文字を書く第1ユーザ及び前記第2媒体に前記線を書く第2ユーザを各々正面から撮像した、所定のフレーム数の第3画像及び所定のフレーム数の第4画像を更に取得し、前記所定のフレーム数の第3画像及び前記所定のフレーム数の第4画像に基づいて、前記第1ユーザ及び前記第2ユーザの各々の正面に配置されたパネルに、互いの姿をリアルタイムに表示させること
を更に含む、投影方法。
[付記15]
情報処理装置に、
文字の書かれた第1領域を含む第1媒体の第1画像を取得すること、
前記第1画像を第2媒体の所定の位置に投影すること、
投影された前記第1画像で示される前記文字とは異なる色の線の書かれた第2領域を含む前記第2媒体の第2画像を取得すること、
前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複する重複領域の色データを補正すること、及び
補正された前記第2画像を前記第1媒体に前記文字の位置が一致するように投影すること
を実行させる、プログラム。
[付記16]
付記15に記載のプログラムであって、
前記文字の色は、黒色であり、
前記第1画像を前記第2媒体に投影する際に、前記第2媒体が置かれた載置台の全体に、前記第1領域を避けて照明光を照射すること
を前記情報処理装置に更に実行させる、プログラム。
[付記17]
付記16に記載のプログラムであって、
前記載置台は、前記第1画像を投影する投影光及び前記照明光以外の光から、遮光されている、プログラム。
[付記18]
付記15から17の何れか一項に記載のプログラムであって、
前記色データは、前記重複領域の色に対応するRGB値である、プログラム。
[付記19]
付記18に記載のプログラムであって、
前記重複領域の色に対応するRGB値を、前記第2画像上の前記第1領域と前記第2領域とが重複しない領域における前記線の色に対応するRGB値に基づいて補正すること
を前記情報処理装置に更に実行させる、プログラム。
[付記20]
付記15から19のいずれか一項に記載のプログラムであって、
前記第1画像は、所定のフレーム数の第1画像であり、前記第2画像は、所定のフレーム数の第2画像である、プログラム。
【符号の説明】
【0094】
1 システム
10 第1画像処理装置
11 通信部
12 撮像部
13 投影部
14 検知部
15 出力部
16 入力部
17 記憶部
18 制御部
20 第2画像処理装置
21 通信部
22 撮像部
23 投影部
24 検知部
25 出力部
26 入力部
27 記憶部
28 制御部
30 情報処理装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
40 ネットワーク
M1 第1ユーザ側の半紙
M2 第2ユーザ側の半紙
R1 文字の書かれた領域
R2 線の書かれた領域
R3 重複領域
S1 第1ユーザ側の半紙の画像
S2 第2ユーザ側の半紙の画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7