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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ケース及び機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20241126BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20241126BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H05K5/02 P
H05K5/02 B
F16B5/07 L
G03B21/14 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022151360
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2018103461の分割
【原出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2023002531
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 航平
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-135655(JP,A)
【文献】実開平02-008179(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
F16B 5/07
G03B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被係合部を、内部側に有する第1ケース部材と、
前記被係合部に係合する係合部を、内部側に有する第2ケース部材と、を備え、
前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材は、前記被係合部と前記係合部との係合を解除するための部材であって、軸部と、前記軸部から径方向に突出する突起部を有する係合解除部材を挿入可能な開口部を有し、
前記開口部は、前記軸部の外径より幅が広く、且つ前記突起部と前記軸部とを合わせた外径よりも幅が狭い短軸幅の長孔形状を有し、
前記第1ケース部材は、前記被係合部が形成された側板を有し、前記開口部は前記側板に形成されており、
記第2ケース部材は、前記係合部が形成された底板を有することを特徴とするケース。
【請求項2】
前記開口部の長軸幅は、前記軸部の前記突起部を含む外径よりも幅広に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記開口部は、前記係合解除部材が挿入されている状態で、前記突起部と前記係合部が当接可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のケース。
【請求項4】
前記被係合部は、前記側板の内面から突出する受けリブを有し、
前記係合部は、前記底板の内面から立設する弾発可能な柱状部と、前記柱状部の先端側に前記受けリブに対して係合する係合突起部を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のケース。
【請求項5】
前記柱状部は前記係合突起部よりも先端側に延設される解除突起部を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のケース。
【請求項6】
前記開口部は、前記係合解除部材が挿入されている状態で、前記突起部と前記解除突起部が当接可能な位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載のケース。
【請求項7】
前記受けリブは第1小突起部を有し、
前記係合突起部は前記第1小突起部と係合する第2小突起部を有する、
ことを特徴とする請求項4乃至請求項6にいずれかに記載のケース。
【請求項8】
前記被係合部は、前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とを組み合わせる際に前記係合部を前記受けリブに案内する案内リブを有することを特徴とする請求項4乃至請求項7の何れかに記載のケース。
【請求項9】
前記案内リブは、前記受けリブから連設される第1案内リブと、前記係合部に対して前記第1案内リブの反対側に並設される第2案内リブと、を含むことを特徴とする請求項8に記載のケース。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9の何れかに記載のケースを備え、
前記開口部は、吸気口又は排気口であることを特徴とする機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース及びこのケースを備えた機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーソナルコンピュータの画面やビデオ画面、或いはメモリカード等に記憶されている画像等をスクリーンに投影する投影装置が提案されている。例えば、特許文献1には、本体キャビネットに収容される投影装置(プロジェクタ)が開示されている。本体キャビネットは、上キャビネットと下キャビネットにより構成されている。このような本体キャビネットは、例えば、上キャビネット又は下キャビネットの一方から垂下されるボス等の先端の螺子孔に、他方に設けられた螺子用孔から螺子等を挿通させて、上キャビネット及び下キャビネットを組み合わせた状態で螺子締結する等により固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-237724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上キャビネット及び下キャビネットを固定する螺子を外部から視認可能な場合等では、その固定方法が容易に推測できるため、使用者が不用意に分解してしまうことが想定される。分解が容易であると投影装置等の製品を安全に使用できない場合がある。一方で、レーザダイオードが何らかの要因で保守交換が必要になったとき等の場合に備え、その分解方法を知っている者のみが分解できる機構にする必要もある。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、安全性を向上させたケース及び器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のケースは、被係合部を、内部側に有する第1ケース部材と、前記被係合部に係合する係合部を、内部側に有する第2ケース部材と、を備え、前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材は、前記被係合部と前記係合部との係合を解除するための部材であって、軸部と、前記軸部から径方向に突出する突起部を有する係合解除部材を挿入可能な開口部を有し、前記開口部は、前記軸部の外径より幅が広く、且つ前記突起部と前記軸部とを合わせた外径よりも幅が狭い短軸幅の長孔形状を有し、前記第1ケース部材は、前記被係合部が形成された側板を有し、前記開口部は前記側板に形成されており、前記第2ケース部材は、前記係合部が形成された底板を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の機器は、上述のケースを備え、前記開口部は、吸気口又は排気口であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安全性を向上させたケース及び器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る投影装置の外観斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る脚部材及び収容部を示す図であり、(a)は脚部材が収容された図1のケースのII-II断面図であり、(b)は図2(a)のP部方向から見た脚部材及び収容部の平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る脚部材及び収容部を示す図であり、(a)は突起部により脚部材の脱落が規制されている様子を示し、(b)は脚部材が取り外された様子を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る被係合部及び係合部の周辺のケース内部を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る被係合部と係合部の係合方法を示す図であり、(a)は第1ケース部材と第2ケース部材とを組み合わせる際に、係合部が被係合部に向かって移動する途中の様子を示し、(b)は係合部と被係合部とが係合した様子を示す。
図6】本発明の実施形態に係る係合部と被係合部の係合解除方法を示す図であり、(a)は脚部材を開口部から挿入して移動させた様子を示し、(b)は脚部材の突起部により係合部の係合状態を解除する様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。図1は、本実施形態に係る投影装置10の外観斜視図である。投影装置10本体の説明において、左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影方向の前後方向を示す。
【0012】
投影装置10は、図1に示す様に略直方体形状をしている。投影装置(機器)10は、上側に配置される上ケース部材21(第1ケース部材)と下側に配置される下ケース部材22(第2ケース部材)を含むケース20と、このケース20に脱着可能なコネクタカバー30とを備える。コネクタカバー30は、左側板215の外周縁を覆うように凹状に形成される。
【0013】
左側板215には、図示しないアナログRGB映像信号が入力される映像信号入力用のD-SUB端子、S端子、RCA端子、音声出力端子、及び、電源アダプタやプラグ等の各種端子が設けられる。また、左側板215には、吸気孔を設けてもよい。
【0014】
投影装置10は、内部に光源装置を備える。光源装置は、青色波長帯域光、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光を時分割で出射させて順次DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)等の表示素子に入射させる。投影装置10はその表示素子をデータに応じて各色の光が時分割反射されるように制御することにより、スクリーン等にカラー画像を投影することができる。
【0015】
上ケース部材21は、天板211と、天板211の周縁から下ケース部材22側へ延設される側板とを備える。側板には、前側板212、右側板213及び後側板214が含まれる。投影装置10は、上ケース部材21の前側板212に吸気用の開口部231を有し、右側板213に排気用の開口部231を有している。開口部231は、投影装置10内の各種機器等の冷却用等に使用される。また、後側板214には、図示はしないが背面側吸気孔とスピーカの放音用の孔部を有する。
【0016】
上ケース部材21の天板211の後方にはキー/インジケータ部241が設けられる。このキー/インジケータ部241には、電源スイッチキー、投影のオン又はオフを切り替える投影スイッチキーや、電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、光源ユニットや表示素子又は制御回路などが過熱したときに報知をする加熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
【0017】
天板211には、右側から左側のコネクタカバー30に亘って左右方向に延びる略V形状の切込み溝242が形成される。切込み溝242には、投影口243が形成される。投影口243は、斜め前方に画像光を出射することができる。
【0018】
下ケース部材22は、底板221を有する。下ケース部材22の底板221上に配置される各種機器や回路基板は、上ケース部材21により覆われる。
【0019】
底板221には、一つ又は複数の脚部材40が取り付けられる。脚部材40は、下ケース部材22に対する没入量を調整可能に形成され、ケース20全体の高さや傾きを調節することができる。これにより、投影口243から出射される画像光の出射角度や投影位置を調節することができる。
【0020】
図2(a)は脚部材40が収容された図1のケース20のII-II断面図であり、図2(b)は図2(a)のP部方向から見た脚部材40及び取付部50の平面図である。脚部材40は全体が略円柱状に形成され、同軸上に頭部41と軸部42とを有する。頭部41は軸部42よりも大径に短円柱状に形成される。頭部41の外側面411にはローレット加工が施され、指等で頭部41を挟持して脚部材40の全体を容易に回動させることができる。また、頭部41の端面には当接部412が形成される。当接部412は、投影装置10を使用する際に載置面と当接する部位である。当接部412にはゴム等の緩衝部材を設けることができる。
【0021】
軸部42は、頭部41よりも長円柱状に形成される。軸部42の頭部41側には雄螺子部421が形成される。軸部42の先端側は略円筒状に形成されており、その円筒状部分の対向する2箇所(図2(a)では手前側及び奥側の2箇所)は略矩形状に切り欠かれている(図2(b)も参照)。そのため、軸部42の先端側には二股に分岐した2つの弾性変形部422が形成される。弾性変形部422は、先端部側から見ると各々略円弧状に湾曲した板状に形成される。
【0022】
各弾性変形部422の先端側の外側面には、突起部423が軸部42の径方向外側の側方へ突出するように形成される。突起部423は略直角三角形の板状に形成される。突起部423は、頭部41側の側面423aが弾性変形部422の外側面に対し略垂直となるように形成され、反対側の側面423bが傾斜するように形成される。
【0023】
下ケース部材22の底板221には、脚部材40を取り付けるための取付部50が形成される。取付部50は底板221の内外に略円形に貫通する取付孔として形成される。取付部50の内側には大径部51及び小径部52が形成される。大径部51の縁部は、脚部材40の頭部41よりも小径に形成され、脚部材40の軸部42を挿入可能としつつ脚部材40の取付部50内への没入量を規制することができる。
【0024】
小径部52内には脚部材40の雄螺子部421と螺合可能な雌螺子部521が形成される。また、図2(b)に示すように、小径部52の対向する内壁には、貫通方向に沿って横断面視矩形凹状の溝部523が形成される。雌螺子部521の一部は溝部523により切欠かれている。
【0025】
脚部材40を挿入する場合、脚部材40が突起部423を溝部523に位置合わせした状態で小径部52の貫通方向外側から内側に移動させると(図3(b)参照)、弾性変形部422が内側へ撓むように変形する。そして、脚部材40を下ケース部材22内へ移動させると、突起部423が小径部52を通過する。これにより、雄螺子部421が雌螺子部521の位置まで到達することができ、雄螺子部421及び雌螺子部521により脚部材40を取付部50に螺入させることができる。脚部材40の取付部50への没入量は任意に調整することができる。脚部材40を取付部50内に螺入させていくと、図2(a)に示すように頭部41と取付部50の縁部が当接する状態となる。
【0026】
一方、脚部材40を取り外す場合、先ず脚部材40を回動させて脚部材40を螺合状態から解除する。そうすると、突起部423の側面423aと小径部52の内端面522とは当接可能となるとともに、脚部材40が底板221から不用意に脱落することが規制される(図3(a)参照)。突起部423を上述の溝部523に位置合わせした状態で脚部材40を小径部52の貫通方向外側(図3(a)の下方側)へ移動させると、弾性変形部422が内側へ撓むように変形して突起部423が小径部52内を通過可能となる。そして、脚部材40をさらに移動させると、突起部423が小径部52内から抜けて脚部材40を取り外すことができる(図3(b)参照)。
【0027】
このように脚部材40及び取付部50を形成することで突起部423は、脚部材40が取付部50に対して予め定めた回動角の範囲のときに取付部50から取り外しを可能とし、脚部材40が取付部50に対して予め定めた他の回動角の範囲のときに取付部50からの脱落を規制することができる。
【0028】
次に、上ケース部材21及び下ケース部材22を組み合わせるための構造について説明する。図1において、上ケース部材21と下ケース部材22は、上下方向に互いに組み合わされて固定される。固定方法としては上ケース部材21の内部に、上ケース部材21から下ケース部材22側へ延設させた螺子孔を有するボスを複数設け、そのボスに対応する位置に下ケース部材22に設けられた螺子用貫通孔から適宜の螺子を挿入して螺子固定することができる。本実施形態では、上ケース部材21及び下ケース部材22の内部にそれぞれ被係合部及び係合部を設けて、上ケース部材21及び下ケース部材22を固定している。
【0029】
図4は、リブ部60(被係合部)及びフック部70(係合部)の周辺におけるケース20の内部を示す斜視図である。上ケース部材21は、側板(本図の例では前側板212)の内部にリブ部60を有する。また、下ケース部材22は、底板221の内部から上方の天板211(図1参照)側へ立設するフック部70を有する。なお、リブ部60及びフック部70は、上ケース部材21及び下ケース部材22内の任意の箇所に設けることができる。例えば、リブ部60及びフック部70は、前側板212、右側板213、後側板214及び左側板215のいずれか一部又は複数の箇所に設けることができる。リブ部60及びフック部70の具体的な構成については、図5を参照しながら説明する。
【0030】
図5は、リブ部60とフック部70との係合方法を示す図である。図5(a)は上ケース部材21と下ケース部材22とを組み合わせる際にフック部70がリブ部60に向かって移動する途中の様子を示し、図5(b)はフック部70とリブ部60とが係合した様子を示す。
【0031】
リブ部60は、受けリブ61及びこの受けリブ61から底板221側へ直角状に連設される第1案内リブ62を有する。また、リブ部60は、第1案内リブ62に並設される第2案内リブ63を有する。受けリブ61は略角板状に形成される。受けリブ61は第1案内リブ62との接続端側であって第1案内リブ62の反対側の面に、横断面視略円弧状の第1小突起部611を有する。つまり第1小突起部611は天板211側に突出している。
【0032】
また、第1案内リブ62及び第2案内リブ63は、天板211及び底板221方向の略上下方向に亘って延設される。第1案内リブ62は、受けリブ61と接続される縦板部621と、その縦板部621から緩やかに湾曲した後に延設される傾斜板部622とを有する。また、第2案内リブ63は、縦板部631と、その縦板部631から緩やかに湾曲した後に延設される傾斜板部632とを有する。縦板部621,631及び傾斜板部622,632は略矩形板状に形成される。また、第1案内リブ62と第2案内リブ63とは、図5(b)等に示す側面視、略線対称となるように配置される。そして、縦板部621と縦板部631との間隔幅は略一定に設定され、傾斜板部622と傾斜板部632との間隔幅は第1案内リブ62及び第2案内リブ63の下方端に向かって徐々に拡幅するように設定される。図5(a)に示すように、第1案内リブ62の下端、第2案内リブ63の下端、及びこれらが設けられた前側板212の下端は、略同一面上に位置される。
【0033】
フック部70は、略長矩形板状に形成される。フック部70は、柱状部71と、この柱状部71の先端側から受けリブ61側へ突出する係合突起部72とを有する。柱状部71と、受けリブ61及び縦板部621とは、リブ部60とフック部70の係合状態において略隣接する位置に配置される。また、柱状部71は、係合突起部72よりも先端側に解除突起部711を有する。解除突起部711も略矩形板状に形成される。係合突起部72は、略短矩形板状に形成され、図5(b)等に示すように横断面視略凸円弧状の先端部を有する。
【0034】
係合突起部72、底板221側の面に、横断面視略円弧状の第2小突起部721を有する。係合突起部72には、その第2小突起部721と柱状部71との間に凹溝722が形成される。
【0035】
図5(a)に示すように、上ケース部材21と下ケース部材22は、上下方向に組み合わせるように近づけていくと、フック部70の先端側が第1案内リブ62及び第2案内リブ63の各傾斜板部622,632に案内されて、フック部70が縦板部621及び縦板部631の間に容易に挿通される。このとき、フック部70は、係合突起部72が縦板部621と当接することにより第2案内リブ63側へ弾性変形する。
【0036】
上ケース部材21と下ケース部材22をさらに近づけていくと、図5(b)に示すように、係合突起部72は第1案内リブ62の縦板部621を乗り越えて受けリブ61方向へ弾発し、係合突起部72と受けリブ61とが係合する状態となる。このとき、係合突起部72の第2小突起部721が受けリブ61の第1小突起部611を乗り越えて、第1小突起部611が凹溝722に係合する。そのため、係合突起部72と受けリブ61との係合状態が容易に解除されることを防止することができる。
【0037】
次に、上ケース部材21と下ケース部材22との分解方法について説明する。図6(a)及び図6(b)は、リブ部60とフック部70との係合を解除する様子を示す図である。図6(a)は脚部材40を開口部231Aから挿入して移動させた様子を示し、図6(b)は脚部材40の突起部423によりフック部70の係合状態を解除した様子を示す。
【0038】
本実施形態では、開口部231は投影装置10内部の冷却用の流通路であり吸気又は排気用の開口孔(吸気口又は排気口)として複数形成される。複数の開口部231のうちの一部の開口部231A(図6では最も下方に位置する開口部231)は、リブ部60及びフック部70の解除のための鍵孔として機能させることができる。開口部231Aは長軸及び短軸を有する長孔形状に形成されており、長軸方向の端部232は脚部材40の軸部42と略同径又は軸部42よりもやや大径の半円状に形成される。また、開口部231Aの短軸幅は、軸部42の突起部423を含む外径よりも幅狭であり、且つ、軸部42の突起部423を含まない外径よりも幅広に形成される。開口部231Aの長軸幅は、軸部42の突起部423を含む外径よりも幅広に形成される。従って、軸部42は、突起部423が開口部231の短軸幅の方向に向けられた回動角前後においては挿入が規制される。
【0039】
本実施形態のケース20の解除方法は、図2に示した下ケース部材22に設けられる取付部50に着脱可能な脚部材40を取り外す工程、図6(a)及び図6(b)に示した上ケース部材21に設けられた開口部231に、脚部材40の軸部42を挿入移動させる工程、及び、突起部423をフック部70の係合部分に当接させ、リブ部60及びフック部70の係合状態を解除する工程等を含む。なお、上ケース部材21と下ケース部材22が前述した螺子等の締結具で固定されている場合は、その締結状態を予め解除させる工程を行うことができる。
【0040】
まず、図2で、脚部材40は、回動により雄螺子部421と雌螺子部521との螺止状態を解除させられる。そして、脚部材40は、取付部50に対して予め定めた回動角の範囲のときに突起部423が小径部52内の軸方向に延設される図示しない溝部に沿って、取付部50から離間する方向(図2の下方向)に移動することができる。その後、突起部423が小径部52内から抜けると、脚部材40は取付部50から取り外される。
【0041】
脚部材40を挿入移動させる工程について、取付部50から取り外された脚部材40は、例えば図6(a)の破線で示す脚部材40A(係合解除部材)のように突起部423が開口部231Aの長尺方向を向いた状態で開口部231A内に挿入される。その後、脚部材40の軸部42は、開口部231Aの端部232方向に挿入状態を維持して移動することができる。そして、図6(b)の破線矢印で示すように、軸部42を端部232の内縁に略当接した状態でフック部70の係合方向とは反対方向に突起部423が移動するように回動又は回転させると、突起部423と、フック部70の解除突起部711とが当接する。このように、開口部231Aは、脚部材40の軸部42を挿入移動させると突起部423がフック部70の係合解除方向に(図6(b)の例では係合方向の反対側から)当接可能な位置に配置される。
【0042】
軸部42を更に回動させると、図5(b)等で示した第2小突起部721が第1小突起部611を乗り越えて、係合突起部72と受けリブ61の係合状態が解除される(図6(b)参照)。このように脚部材40はフック部70をリブ部60から係合解除可能に構成される。なお、リブ部60及びフック部70の係合箇所が複数設けられている場合も、同様の手順で全ての係合状態を解除することができる。
【0043】
そして、全てのリブ部60及びフック部70の係合状態を解除した後、上ケース部材21及び下ケース部材22を離間する方向に引き離すと、上ケース部材21及び下ケース部材22を容易に分解することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、フック部70が弾発可能な係合部として形成される例について示したが、フック部70が下ケース部材22に対して固定された被係合部であり、リブ部60が弾発可能な係合部として形成してもよい。この場合は、脚部材40を開口部231Aに挿入移動等させることにより、突起部423をリブ部60に当接させて、リブ部60及びフック部70の係合状態を解除するように構成することができる。
【0045】
また、係合状態を解除するために脚部材40を挿入移動させる操作は、リブ部60及びフック部70の形状、位置及び係合方法に応じて適宜の操作とすることができ、例えば、脚部材40を開口部231A等の開口部に挿入した後に脚部材40を平行移動させたり、脚部材40を開口部に予め定めた位置や角度で挿入して押し込む等により、係合状態を解除させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、上ケース部材21が天板211、前側板212、右側板213及び後側板214を備え、下ケース部材22が底板221を備える構成について説明したが、例えば上ケース部材21が左右の側板を備えて下ケース部材22が前後の側板を備える等、下ケース部材22が側板を備える構成としてもよい。この場合、下ケース部材22から延設される側板にリブ部60及びフック部70の係合状態を解除するための開口部231Aを設ける構成とすることができる。
【0047】
また、係合状態を解除するために使用する開口部231Aは、吸気用や排気用の開口部以外にも、通常は他の用途に使用される開口部としてもよいし、係合状態を解除するための専用の開口部としてもよい。
【0048】
さらに、本実施形態では、開口部231Aが上ケース部材21又は下ケース部材22に貫通する貫通孔を例示したが、開口部231Aを上ケース部材21又は下ケース部材22の一部に切欠部として形成してもよいし、ケース20が上ケース部材21、下ケース部材22及び他の部材の3個以上の部材を含む構成とすることで開口部231Aを当該他の部材に設けてもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施形態のケース20は、被係合部を有する第1ケース部材と、被係合部に係合する係合部を有する第2ケース部材と、側方に突出する突起部423が形成された軸部42を有し、第1ケース部材又は第2ケース部材に設けられる取付部50に着脱可能な脚部材40と、脚部材40の軸部42を挿入移動させると突起部423が係合部の係合解除方向に当接可能な位置に配置される開口部231Aと、を備える。
【0050】
上ケース部材21及び下ケース部材22は内部に設けられた被係合部及び係合部によって固定されるため、外部からその係合状態を視認するのが難しく、脚部材40を分解のための鍵として使用していることを推測することも困難である。そのため、分解方法を知らない者にとっては、上ケース部材21及び下ケース部材22の分解方法を推測することが困難である。また、ケース20が備える脚部材40が専用工具として機能するため他の汎用工具で分解することが困難である。一方、分解方法を知る者にとっては、係合解除方法と、脚部材40を挿入する場所が分かれば、上ケース部材21及び下ケース部材22を分解することは容易である。また、分解の為の専用工具を予め準備する必要が無いため、作業性を向上させることができ、部品交換等の保守の際に分解を容易に行うことができる。従って、安全性を向上させたケース20並びにケース20を備えた光源装置及び投影装置10を構成することができる。
【0051】
また、第1ケース部材又は第2ケース部材の一方が、被係合部が形成された側板を有し、第1ケース部材又は第2ケース部材の他方が、係合部が形成された底板を有するケース20は、被係合部及び係合部の構成を容易とし、側板の位置が目印となって被係合部及び係合部を係合させる際の位置合わせも容易に行うことができる。
【0052】
また、開口部231Aが側板に形成されるケース20は、脚部材40が届く範囲に被係合部及び係合部を形成することが可能なため、分解方法を知る者にとっては容易に係合状態を解除することができる。
【0053】
また、リブ部60が側板の内面から突出する受けリブ61を有し、フック部70が底板221の内面から立設する弾発可能な柱状部71と、柱状部71の先端側に受けリブ61に対して係合する係合突起部72を有するケース20は、柱状部71の弾発により受けリブ61と係合突起部72を係合させて、被係合部及び係合部の係合状態を確実に保持することができる。
【0054】
また、柱状部71が係合突起部72よりも先端側に延設される解除突起部711を有するケース20は、被係合部及び係合部の係合解除を、脚部材40を使用した予め定めた方法により容易に行うことができる。
【0055】
また、受けリブ61が第1小突起部611を有し、係合突起部72が第1小突起部611と係合する第2小突起部721を有するケース20は、被係合部と係合部との係合状態をより確実に保持することができる。また、脚部材40により係合箇所を押圧して係合状態を解除する際も、ある程度以上の押圧力を必要とするため、不用意に係合状態が解除されることも防止することができる。
【0056】
また、被係合部が第1ケース部材と第2ケース部材とを組み合わせる際に係合部を受けリブ61に案内する案内リブ62,63を有するケース20は、被係合部と係合部とを係合させる際に、被係合部と係合部との位置合わせを容易に行うことができる。
【0057】
また、案内リブ62,63が、受けリブ61から連設される第1案内リブ62と、係合部に対して第1案内リブ62の反対側に並設される第2案内リブ63とを含むケース20は、被係合部と係合部とを係合させる際は、被係合部と係合部との位置合わせを容易に行うことができ、係合状態を解除させる際は、柱状部71が脚部材40により必要以上に付勢されても柱状部71を第2案内リブ63に当接させることができ、柱状部71の折損等を防ぐことができる。
【0058】
また、突起部423が軸部42の先端側に形成され、開口部231Aが突起部423を含む軸部42の外径よりも幅狭で且つ突起部423を含まない軸部42の外径よりも幅広にした短軸幅を有する長孔であるケース20は、突起部423の膨出した寸法分、開口部231Aから離れた内部に被係合部及び係合部を配置させて、係合解除も可能な構成とすることができる。そのため、係合解除方法を知らない者にとっては、係合位置や係合方法を視認することが困難なケース20を構成することができる。
【0059】
また、開口部231Aが冷却用の流通路であるケース20は、その開口部231Aが係合解除用の開口部であると推測することを困難にすることができる。
【0060】
また、脚部材40が軸部42に雄螺子部421を有し、取付部50に形成された雌螺子部に螺入して取付部50に対する没入量を調整可能に形成されるケース20は、脚部材40が被係合部と係合部の係合状態を解除するための鍵として使用される工具であると推測されることを困難にすることができる。
【0061】
また、突起部423が三角形状に形成され、取付部50に取り付けられているときは脚部材40が取付部50から不用意に脱落すること防止するケース20は、突起部423が係合状態を解除するために使用される突起であると推認されることを困難にすることができる。
【0062】
また、ケース20の分解方法は、側方に突出する突起部423が形成された軸部42を有し、第1ケース部材又は第2ケース部材に設けられる取付部50に着脱可能な脚部材40を、ケース20に設けられた開口部231Aに挿入移動させる工程と、突起部423を係合部の係合解除方向に当接させ、被係合部及び係合部の係合状態を解除する工程と、を含む。これにより、分解しようとする使用者等が分解方法を特定することを困難としつつ、その分解方法を知る者は容易に分解することができ、安全性を向上させたケース20の分解方法とすることができる。
【0063】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0064】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 被係合部を、内部側に有する第1ケース部材と、
前記被係合部に係合する係合部を、内部側に有する第2ケース部材と、
前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材に設けられた取付部に着脱可能に設けられ、前記係合部を、前記被係合部から係合解除可能な係合解除部材と、
を備えることを特徴とするケース。
[2] 前記係合解除部材は、軸部と、前記軸部から径方向に突出する突起部と、を有し、
前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材には、前記軸部の外径より幅が広く、且つ前記突起部を含む前記軸部の外径よりも幅が狭い短軸幅の長孔形状の開口部が形成されており、
前記係合解除部材の前記軸部及び前記突起部が、前記開口部に挿入された状態で移動することにより、前記突起部が前記係合部を押して前記被係合部に係合する前記係合部の係合が解除される、
ことを特徴とする前記[1]に記載のケース。
[3] 前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材の一方は、前記被係合部が形成された側板を有し、前記開口部は前記側板に形成されており、
前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材の他方は、前記係合部が形成された底板を有する、
ことを特徴とする前記[2]に記載のケース。
[4] 前記被係合部は、前記側板の内面から突出する受けリブを有し、
前記係合部は、前記底板の内面から立設する弾発可能な柱状部と、前記柱状部の先端側に前記受けリブに対して係合する係合突起部を有する、
ことを特徴とする前記[3]に記載のケース。
[5] 前記柱状部は前記係合突起部よりも先端側に延設される解除突起部を有する、
ことを特徴とする前記[4]に記載のケース。
[6] 前記受けリブは第1小突起部を有し、
前記係合突起部は前記第1小突起部と係合する第2小突起部を有する、
ことを特徴とする前記[4]又は前記[5]に記載のケース。
[7] 前記被係合部は、前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とを組み合わせる際に前記係合部を前記受けリブに案内する案内リブを有することを特徴とする前記[4]乃至前記[6]の何れかに記載のケース。
[8] 前記案内リブは、前記受けリブから連設される第1案内リブと、前記係合部に対して前記第1案内リブの反対側に並設される第2案内リブと、を含むことを特徴とする前記[7]に記載のケース。
[9] 前記係合解除部材は、高さ又は傾きを調節する脚部材であり、
前記取付部は、前記底板に形成されており、
前記脚部材は、前記軸部に雄螺子部を有し、前記取付部に形成された雌螺子部に螺入して前記取付部に対する没入量を調整可能に形成されることを特徴とする前記[3]乃至前記[8]の何れかに記載のケース。
[10] 前記突起部は、三角形状に形成され、前記取付部に取り付けられているときは前記係合解除部材が前記取付部からの脱落を防止することを特徴とする前記[2]乃至前記[9]の何れかに記載のケース。
[11] 前記[2]乃至前記[10]の何れかに記載のケースを備え、
前記開口部は、吸気口又は排気口であることを特徴とする機器。
[12] 被係合部を有する第1ケース部材と、前記被係合部に係合する係合部を有する第2ケース部材と、を備えるケースの分解方法であって、
径方向に突出する突起部が形成された軸部を有し、前記第2ケース部材に設けられる取付部に着脱可能な脚部材を、前記第1ケース部材に形成された開口部に挿入し回転させる工程と、
前記突起部を前記係合部の係合解除方向に当接させ、前記被係合部及び前記係合部の係合状態を解除する工程と、
を含むことを特徴とするケースの分解方法。
【符号の説明】
【0065】
10 投影装置(機器) 20 ケース
21 上ケース部材(第1ケース部材) 22 下ケース部材(第2ケース部材)
30 コネクタカバー 40 脚部材(係合解除部材)
40A 脚部材(係合解除部材) 41 頭部
42 軸部 50 取付部
51 大径部 52 小径部
60 リブ部(被係合部) 61 受けリブ
62 第1案内リブ 63 第2案内リブ
70 フック部(係合部) 71 柱状部
72 係合突起部
211 天板 212 前側板
213 右側板 214 後側板
215 左側板 221 底板
231 開口部 231A 開口部
232 端部 241 インジケータ部
242 切込み溝 243 投影口
411 外側面 412 当接部
421 雄螺子部 422 弾性変形部
423 突起部
423a 側面 423b 側面
521 雌螺子部 522 内端面
523 溝部 611 第1小突起部
621 縦板部 622 傾斜板部
631 縦板部 632 傾斜板部
711 解除突起部 721 第2小突起部
722 凹溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6