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特許7593396ナール加工が施された長尺状樹脂フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ナール加工が施された長尺状樹脂フィルム
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/04 20060101AFI20241126BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20241126BHJP
   G02B 1/11 20150101ALI20241126BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20241126BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B29C59/04 Z
G02B1/14
G02B1/11
G02B5/30
G02B5/02 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022511948
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2021011605
(87)【国際公開番号】W WO2021200322
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2020064116
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 尭永
(72)【発明者】
【氏名】石川 準二
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 渉
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-007236(JP,A)
【文献】特開2014-126822(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145718(WO,A1)
【文献】特開2014-108849(JP,A)
【文献】国際公開第2016/052109(WO,A1)
【文献】特開2018-173546(JP,A)
【文献】特開2005-104148(JP,A)
【文献】特開2017-047978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 59/04
G02B 5/02
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻き取られた長尺状樹脂フィルムであって、
フィルム幅の両端部にナール加工がされており、
観察者がロールに正対して、ロール上部から手前にフィルムを巻き出した時に、
右側端部のナールを右側ナール、
左側端部のナールを左側ナール、
右側ナールの巻芯部のナール高さをHnbr、
左側ナールの巻芯部のナール高さをHnbl、
右側ナールの表層部のナール高さをHner、
左側ナールの表層部のナール高さをHnel、
とし、前記巻芯部はロール状に巻き取られたフィルムの巻き始めから100mの箇所とし、前記表層部はロール状に巻き取られたフィルムの巻き終わりから100mの箇所とした場合に、
下記条件(1)~(3)を満たす長尺状樹脂フィルム。
(1)HnbrおよびHnblの両方が0.5~4μmである
(2)Hnbr/HnerおよびHnbl/Hnelの両方が0.3~0.9である
(3)HnerおよびHnelの両方が1.2~6μmである
【請求項2】
|(Hnbr-Hnbl)/〔(Hnbr+Hnbl)/2〕|で求められる、巻芯部の左右のナール高さ均一性の絶対値が、0.3以下である、請求項に記載の長尺状樹脂フィルム。
【請求項3】
長尺状樹脂フィルムの巻き外面をA面、巻き内面をB面とした場合、A面とB面の組成が異なる、請求項1又は2に記載の長尺状樹脂フィルム。
【請求項4】
長尺状樹脂フィルムの巻き外面をA面、巻き内面をB面とした場合、A面およびB面の少なくとも一つは第1のコート層の表面である、請求項1~のいずれかに記載の長尺状樹脂フィルム。
【請求項5】
延伸ポリエステルフィルムである、請求項1~のいずれかに記載の長尺状樹脂フィルム。
【請求項6】
請求項1~のいずれかに記載の長尺状樹脂フィルムと、当該長尺状樹脂フィルムの少なくとも片面に設けられた第2のコート層とを有する積層フィルム。
【請求項7】
第2のコート層が、ハードコート層、防眩層、反射防止層、低反射層、配向層、又は位相差層である、請求項に記載の積層フィルム。
【請求項8】
偏光子保護フィルム又は薄膜層転写用フィルムである、請求項またはに記載の積層フィルム。
【請求項9】
請求項1~のいずれかに記載の長尺状樹脂フィルムを巻き出す工程(A)、および、巻き出された長尺状樹脂フィルムの少なくとも片面に第2のコート層用の塗工液を塗工する工程(B)を含む積層フィルムの製造方法。
【請求項10】
積層フィルムが偏光子保護フィルムである、請求項に記載の積層フィルムの製造方法。
【請求項11】
積層フィルムが薄膜層転写用フィルムである、請求項に記載の積層フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻き取られた長尺状樹脂フィルムに関する。更に詳しくは、本発明は、ナール加工が施され、ロール状に巻き取られた長尺状樹脂フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂フィルムの両端部にナール加工(厚み出し加工)を行うことにより、樹脂フィルムの安定した巻き取りを可能にし、巻きずれや樹脂フィルムの傷付きを防止する技術が知られていた。しかし、ナール加工を行って樹脂フィルムを巻き取った場合でも、ロールの巻芯部ではナールが潰れ、上記の効果が十分に発揮できないことが知られていた。そのために様々なナール加工技術、例えば、ナール凸部の大きさを制御する方法(例えば特許文献1参照)、凹部に補強部を設ける方法(例えば特許文献2参照)、非接触方式によりナール設ける方法(例えば特許文献3参照)などが提案されていた。
【0003】
一方、樹脂フィルムは表面にコート層が塗工される場合が多いが、樹脂フィルムの帯電量が多い場合には、塗工時に塗膜のハジキが生じる、塗膜の厚みムラが大きくなる、液晶化合物の配向膜を設ける場合には配向が乱れる、といった問題があった。塗工時の樹脂フィルムの帯電は、樹脂フィルムを巻き取る際や巻き出す際に除電するなどで制御していたが、近年の高精度が要求される塗膜の塗工においては十分に対応できるものではなかった。この問題に対して、ナール加工を行い、巻き取られた樹脂フィルムの相対的な移動を抑制して、巻き取った樹脂フィルムの帯電量を抑制する提案(例えば特許文献4参照)もあるが、十分に制御できるものではなかった。特に、ナール加工を行った樹脂フィルムであっても、ロール巻芯部に近くなるほど帯電量が大きくなり、塗膜の乱れが生じるという問題点があった。特に、両表面で組成が異なる樹脂フィルムの場合は巻き出した時の帯電量が大きくなり、上記問題により、ロール状に巻き取った樹脂フィルムの最後までは安定した塗工ができず、損失が大きかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO11/030684
【文献】特開2013-166317号公報
【文献】WO10/001752
【文献】特開昭63-74850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の主たる目的は、ロール状に巻き取られた長尺状樹脂フィルムにおいて、巻き出した時の帯電が巻芯部まで抑制された長尺状樹脂フィルムを提供することである。本発明のさらなる目的は、保存や搬送後の巻きずれ、しわの発生が抑制され、高い平面性が維持された長尺状樹脂フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明の完成に至った。代表的な本発明は、以下のとおりである。
項1.
ロール状に巻き取られた長尺状樹脂フィルムであって、
フィルム幅の両端部にナール加工がされており、
観察者がロールに正対して、ロール上部から手前にフィルムを巻き出した時に、
右側端部のナールを右側ナール、
左側端部のナールを左側ナール、
右側ナールの巻芯部のナール高さをHnbr、
左側ナールの巻芯部のナール高さをHnbl、
右側ナールの表層部のナール高さをHner、
左側ナールの表層部のナール高さをHnel、
とした場合に、
下記条件(1)および(2)を満たす長尺状樹脂フィルム。
(1)HnbrおよびHnblの両方が0.5~4μmである
(2)Hnbr/HnerおよびHnbl/Hnelの両方が0.3~0.9である。
項2.
HnerおよびHnelの両方が1.2~6μmである、項1に記載の長尺状樹脂フィルム。
項3.
|(Hnbr-Hnbl)/〔(Hnbr+Hnbl)/2〕|で求められる、巻芯部の左右のナール高さ均一性の絶対値が、0.3以下である、項1または2に記載の長尺状樹脂フィルム。
項4.
長尺状樹脂フィルムの巻き外面をA面、巻き内面をB面とした場合、A面とB面の組成が異なる、項1~3のいずれかに記載の長尺状樹脂フィルム。
項5.
長尺状樹脂フィルムの巻き外面をA面、巻き内面をB面とした場合、A面及びB面の少なくとも一つは第1のコート層の表面である、項1~4のいずれかに記載の長尺状樹脂フィルム。
項6.
延伸ポリエステルフィルムである、項1~5のいずれかに記載の長尺状樹脂フィルム。
項7.
項1~6のいずれかに記載の長尺状樹脂フィルムと、当該長尺状樹脂フィルムの少なくとも片面に設けられた第2のコート層とを有する積層フィルム。
項8.
第2のコート層が、ハードコート層、防眩層、反射防止層、低反射層、配向層、又は位相差層である、項7に記載の積層フィルム。
項9.
偏光子保護フィルム又は薄膜層転写用フィルムである、項7または8に記載の積層フィルム。
項10.
項1~6のいずれかに記載の長尺状樹脂フィルムを巻き出す工程(A)、および、巻き出された長尺状樹脂フィルムの少なくとも片面に第2のコート層用の塗工液を塗工する工程(B)を含む積層フィルムの製造方法。
項11.
積層フィルムが偏光子保護フィルムである、項10に記載の積層フィルムの製造方法。
項12.
積層フィルムが薄膜層転写用フィルムである、項10に記載の積層フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のロール状に巻き取られた長尺状樹脂フィルムは、フィルムを巻き出した時の帯電量が巻芯部まで小さく、例えば、フィルムに塗工加工する場合、塗膜のハジキが少なく、フィルムの最後まで厚み精度に優れた塗膜を設けることができる。また、本発明の長尺状樹脂フィルムは、保存や搬送後の巻きずれ、しわの発生が抑制され、フィルム表面の傷付きがなく、フィルムの平面性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(長尺状樹脂フィルム)
本発明の長尺状樹脂フィルムは、ロール状に巻き取られている。長尺状樹脂フィルムを構成する樹脂(長尺樹脂フィルムが、基材フィルムと、基材フィルムの少なくとも片面に設けられたコート層(後述の第1のコート層)とを有する場合は、基材フィルムを構成する樹脂)としては、特に制限されず、任意の樹脂を使用することができる。当該樹脂としては、ポリエステル、ポリシクロオレフィン、トリアセチルセルロース、アクリル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレンが好ましく、ポリエステル、ポリシクロオレフィン、トリアセチルセルロースがより好ましく、ポリエステルがさらに好ましい。ポリエステルである場合、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートであることが好ましい。
【0009】
長尺状樹脂フィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルム(一軸延伸又は二軸延伸フィルム)であってもよい。長尺状樹脂フィルムは、好ましくは延伸フィルムであり、特に好ましくは延伸ポリエステルフィルムである。なお、本明細書において、「延伸ポリエステルフィルム」とは、ポリエステルフィルムからなる基材フィルムの少なくとも片面に後述の第1のコート層を積層して延伸したものも含む意味で用いる。
【0010】
長尺状樹脂フィルムの幅の下限は、好ましくは500mmであり、より好ましくは800mmであり、さらに好ましくは1000mmであり、特に好ましくは1200mmである。長尺状樹脂フィルムの幅の上限は、好ましくは4000mmであり、より好ましくは3500mmであり、さらに好ましくは3000mmであり、特に好ましくは2700mmであり、最も好ましくは2500mmである。
【0011】
長尺状樹脂フィルムの長さの下限は、好ましくは1000mであり、より好ましくは1500mであり、さらに好ましくは2000mである。長尺状樹脂フィルムの長さの上限は、好ましくは20000mであり、より好ましくは15000mであり、さらに好ましくは10000mであり、特に好ましくは7000mである。
【0012】
長尺状樹脂フィルムの厚みの下限は、好ましくは25μmであり、より好ましくは30μmであり、さらに好ましくは35μmであり、特に好ましくは40μmであり、最も好ましくは45μmである。当該下限以上にすることで効果的にしわを防止したり、巻きずれを防止したりすることができる。長尺状樹脂フィルムの厚みの上限は、好ましくは200μmであり、より好ましくは150μmであり、さらに好ましくは100μmであり、特に好ましくは90μmであり、最も好ましくは80μmである。当該上限以下にすることで取り扱い性が容易となる。
【0013】
長尺状樹脂フィルムは、フィルムの巻き外面をA面、巻き内面をB面とした場合、A面とB面の組成は互いに同一であっても異なっていてもよい。A面とB面の組成が異なる場合、フィルムを巻き出した時の帯電が大きくなりやすい。本発明は、このようなA面とB面の組成が異なる長尺状樹脂フィルムに適応されることが好ましい。
【0014】
A面とB面で組成が異なる場合とは、例えば、共押出で異種の原料樹脂を積層させた場合、A面側またはB面側のみにコート層(第1のコート層)を設けた場合(A面およびB面の一方が第1のコート層の表面であり、他方が基材フィルムの表面である場合)、A面側とB面側の両方にお互い組成の異なるコート層(それぞれ第1のコート層A、第1のコート層Bという)を設けた場合(A面が第1のコート層Aの表面であり、B面が第1のコート層Bの表面である場合)が挙げられ、いずれの場合でも本発明は好適に適応される。特に、本発明は、A面とB面を構成する層の樹脂組成が異なる長尺状樹脂フィルムに適応されることが好ましい。また、本発明は、A面およびB面の少なくとも一つは第1のコート層の表面である長尺状樹脂フィルムに適応されることが好ましい。
【0015】
(第1のコート層)
第1のコート層としては、易接着層、易滑層、平滑化層、ハードコート層、配向制御層、などが好ましい例として挙げられる。第1のコート層は、単層であっても2層以上の多層であってもよい。第1のコート層としては、製膜時にインラインで設けられたものであっても、製膜後にオフラインで設けられたものであってもよい。第1のコート層を設ける場合、第1のコート層も含んで本発明のナールを有する長尺状樹脂フィルムとする。
【0016】
第1のコート層に用いられる樹脂としては、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン(ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエーテルポリウレタンなど)、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、スチレンアクリル共重合体、ポリビニルアルコールなどが好ましい例として挙げられる。また、第1のコート層がハードコート層などである場合、第1のコート層に用いられる樹脂は光硬化性樹脂であってもよく、二重結合含有化合物のモノマーやオリゴマーであってもよい。
【0017】
第1のコート層に用いられる樹脂は架橋剤を含有していることも好ましい。架橋剤としては、イソシアネート、メラミン等のアミノ樹脂、オキサゾリン化合物、エポキシ樹脂が好ましい例として挙げられる。光硬化性樹脂の場合、架橋剤は、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、アクリル変性ポリウレタン、アクリル変性エポキシ樹脂などの二重結合を複数含有する化合物(モノマー又はオリゴマー)であってもよい。
【0018】
第1のコート層には添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、粒子、界面活性剤、レベリング剤、耐電防止剤、触媒、これらの組合せなどが挙げられる。
【0019】
第1のコート層の厚みの下限は、好ましくは0.001μmであり、より好ましくは0.005μmであり、さらに好ましくは0.01μmであり、特に好ましくは0.02μmである。第1のコート層の厚みの上限は、好ましくは10μmであり、より好ましくは5μmであり、さらに好ましくは3μmであり、特に好ましくは2μmであり、最も好ましくは1μmである。
【0020】
(ナール加工)
長尺状樹脂フィルムは、フィルム幅の両端部にナール加工が施されたもの(ナール加工部を有するもの)であることが好ましく、ナール加工後にロール状に巻き取られたものであることが好ましい。ナール加工の方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ローレットに押し付けてフィルムを変形させる方法、レーザー光を照射して穴の周辺部に盛り上がりを作る方法、インクジェット等の方法で紫外線硬化樹脂やホットメルト樹脂のドットを設ける方法などが挙げられる。これらの方法により、フィルム表面に点状の凸部を設けることができる。
【0021】
「フィルム幅の両端部」とは、フィルム幅方向の各末端を起点として50mm以内(又は全幅が500mm未満の場合は全幅の10%以内)の領域をいう。フィルム幅方向の末端とナール位置(ナール加工部のフィルム末端側の縁)との間隔の下限は、右側および左側のいずれも、好ましくは0.5mmであり、より好ましくは1mmである。フィルム幅方向の末端とナール位置との間隔の上限は、右側および左側のいずれも、好ましくは20mmであり、より好ましくは15mmであり、さらに好ましくは10mmである。上記範囲とすることで、フィルム幅方向の両端部に安定したナール加工を行うことができるとともに、フィルムの有効幅を確保することができる。
【0022】
ナール加工部の幅の下限は、好ましくは3mmであり、より好ましくは5mmであり、さらに好ましくは7mmである。当該下限以上にすることでナールを潰れにくくするとすることができる。ナール加工部の幅の上限は、好ましくは30mmであり、より好ましくは25mmであり、さらに好ましくは20mmである。当該上限以下にすることでナール潰れ度合を適正化するとともに、フィルムの有効幅を確保することができる。
【0023】
ナール加工部の凸部の間隔(例えば、幅方向または長さ方向の間隔)の下限は、好ましくは0.5mmであり、より好ましくは0.6mmであり、さらに好ましくは0.7mmである。ナール加工部の凸部の間隔の上限は、好ましくは3mmであり、より好ましくは2.5mmであり、さらに好ましくは2mmであり、特に好ましくは1.5mmである。なお、ナール加工部の凸部の間隔は凸部の中心点の間隔であり、後述するホットナールの場合はローレットの突起の形状に合わせて突起周辺に盛り上がりができるが、例えば四角形の盛り上がりの中心の間隔を凸部の間隔とする。
【0024】
ナール加工部の凸部の密度の下限は、好ましくは10個/cmであり、より好ましくは15個/cmであり、さらに好ましくは25個/cmであり、特に好ましくは40個/cmであり、最も好ましくは60個/cmである。ナール加工部の凸部の密度の上限は、好ましくは400個/cmであり、より好ましくは300個/cmであり、さらに好ましくは250個/cmである。ナール加工部の凸部の密度により、ナールの潰れやすさを調整することができるが、上記範囲内とすることで、比較的簡便なナール加工で潰れやすさの調整が行いやすくなる。
【0025】
ナール加工部の凸部の配置としては、例えば、縦と横に整列した配置、隣り合う凹凸配列が半周期ずれた千鳥状配置、及び隣り合う凹凸配列が1/3または1/4ずれた斜形配置のいずれであってもよい。
【0026】
(ローレット)
ナール加工の一例として、一般的に広く行われている、ローレットにフィルムを押し付けてフィルムを変形させる方法に関して詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
ローレットの材質は金属であることが好ましい。金属としては、例えば、SUS、ステンレス、アルミニウム、チタン、硬質クロムなどが挙げられる。ローレットの表面にはメッキが施されていてもよい。
【0028】
ローレットの直径の下限は、好ましくは3cmであり、より好ましくは5cmである。ローレットの直径の上限は、好ましくは30cmであり、より好ましくは25cmであり、さらに好ましくは20cmである。上記範囲にすることで適正な大きさのナール加工装置とすることができる。
【0029】
ローレットの厚みの下限は、好ましくは3mmであり、より好ましくは5mmであり、さらに好ましくは7mmである。ローレットの厚みの上限は、好ましくは50mmであり、より好ましくは40mmであり、さらに好ましくは30mmである。
【0030】
ローレットの外周部には、付与される凸部の配置に合わせて、突起が設けられている。突起の高さの下限は、好ましくは0.05mmであり、より好ましくは0.1mmであり、さらに好ましくは0.15mmであり、特に好ましくは0.2mmである。突起の高さの上限は、好ましくは3mmであり、より好ましくは2.5mmであり、さらに好ましくは2mmであり、特に好ましくは1.5mmである。
【0031】
突起の形状は、上面から見て、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、菱形、台形、5角形、6角形やそれ以上の多角形などが挙げられるが、中でも、正方形、長方形、菱形が好ましい。また、立体的形状としては、円錐や多角錐などの錘形でも、円錐台、多角錘台などの錘台形でもよいが、錘台形で設けたナールの方が潰れにくい傾向がある。
【0032】
突起が錘台形の場合、突起の上面の平坦部の合計面積は、突起が設けられているローレット外周部の面積に対して1%以上であることが好ましく、より好ましくは3%以上であり、さらに好ましくは5%以上である。この合計面積は、突起が設けられているローレット外周部の面積に対して50%以下が好ましく、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは30%以下である。上記範囲とすることで、錘台形の効果をより確かに発揮させることができる。
【0033】
(ナール加工条件)
ナール加工は、例えば、2つのローレットでフィルムを挟み、フィルム両面に対して行ってもよい。この場合、2つのローレットは、お互いのローレットの凹凸にかみ合うようなローレットの対であってもよく、かみ合うことなくお互い独立したナール加工を行うローレットの対であってもよい。また、ナール加工は、例えば、ローレット及び平滑なロールでフィルムを挟み、フィルム片面のみに対して行ってもよい。
【0034】
ナール加工は、フィルムをローレットに押し付けて行うことが好ましい。この押し付け力でナールの高さを調節することができる。押し付け力の下限は、好ましくは20Nであり、より好ましくは40Nであり、さらに好ましくは50Nである。押し付け力の上限は、好ましくは2000Nであり、より好ましくは1500Nであり、さらに好ましくは1000Nである。上記範囲にすることで、過度な設備を用いることなく、ナール加工を行うことができる。なお、押し付けは、ローレットの対、あるいは、ローレットおよび平滑ロールのどちらを可動させて押し付けてもよく、両方を可動させて押し付けてもよい。
【0035】
ローレットによるナール加工は、ローレットを加熱することなく行う方法(コールドナール法)でも、ローレットをフィルムの軟化温度(例えばガラス転移温度(Tg))以上に加熱して行う方法(ホットナール法)でもよいが、ホットナール法の方が、ナールは潰れにくい傾向がある。
【0036】
ローレットの表面温度は、好ましくは10℃以上であり、より好ましくは20℃以上である。ホットナール法の場合、ローレットの表面温度は、フィルムのTg以上であることが好ましく、より好ましくは(Tg+20℃)以上であり、さらに好ましくは(Tg+50℃)以上である。ローレットの表面温度は、フィルムの融点以下であることが好ましく、より好ましくは(融点-10℃)以下であり、さらに好ましくは(融点-20℃)以下である。上記範囲内とすることで、効率の良いナール加工が可能になり、ナール加工部で樹脂が溶融して髭状物が発生することや、ナール加工部でフィルムが波打ち状態になることを抑制することができる。
【0037】
具体的にはポリエチレンテレフタレートフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材フィルムの少なくとも片面に第1のコート層を設けたフィルム、これらを延伸したフィルム等を含む)の場合、ローレットの表面温度は、80~250℃が好ましく、より好ましくは100~240℃であり、さらに好ましくは120~230℃である。
【0038】
ローレットの表面温度を高くする方法としては、例えば、ローレット内にオイルなど加熱流体を流す方法、誘導加熱、赤外線加熱、熱風等による方法が挙げられる。また、フィルムのナール加工を施す部分(フィルムの端部)を赤外線や熱風等で予備加熱していてもよい。
【0039】
ナール加工の速度の下限は、好ましくは20m/minであり、より好ましくは30m/minであり、さらに好ましくは50m/minである。ナール加工の速度の上限は、好ましくは800m/minであり、より好ましくは600m/minであり、さらに好ましくは500m/minである。上記範囲とすることで、生産性の高いナール加工が可能であり、また、適正な条件で安定したナール加工が可能となる。なお、ナール加工の速度は、スリットやコーティングなど、ナール加工が付随する加工速度により制限を受ける。
【0040】
ナール高さは、ローレットの押し付け圧、ローレット表面温度、ナール加工の速度等を調節することで、調節することができる。
【0041】
(初期ナール高さ)
ナール加工直後のナール高さ(初期ナール高さ)の下限は、好ましくは1.5μmであり、より好ましくは2μmであり、さらに好ましくは2.5μmである。ナール加工直後のナール高さの上限は、好ましくは15μmであり、より好ましくは12μmであり、さらに好ましくは10μmであり、特に好ましくは7μmであり、最も好ましくは6μmである。
【0042】
ナール加工直後のナールは、ロール状に巻き取られた場合に容易に潰れる部分を有している。この理由としては、コールドナール法の場合は、ローレットの突起によってローレットの反対側にフィルムが押し出されてナールになるが、押し出されたナールでも圧力により容易に凹む部分を有していること等が考えられ、ホットナール法の場合は、ローレットの突起の周辺に樹脂の盛り上がりができるが、この盛り上がりも均一な高さの盛り上がりではなく不均一な高さであるために、盛り上がりの高い部分は低い圧力でも容易に潰れること等が考えられる。
【0043】
従って、初期ナール高さは、ロール状に巻き取られた直後に、最表層のフィルムから採取されたもので測定する。また、初期ナール高さは、上記のことを考慮し、表層部及び巻芯部のナール高さが後述する範囲になるように調整することが好ましい。
【0044】
(巻き取り)
長尺状樹脂フィルムは、円筒状のコアにロール状に巻き取られたものであることが好ましい。巻き取り張力の下限は、好ましくは50N/mであり、より好ましくは60N/mであり、さらに好ましくは70N/mであり、特に好ましくは80N/mであり、最も好ましくは90N/mである。巻き取り張力の上限は、好ましくは330N/mであり、より好ましくは300N/mであり、さらに好ましくは270N/mであり、特に好ましくは250N/mであり、最も好ましくは230N/mである。上記範囲にすることでナール潰れ度合を適正させ、保存時の巻きずれ、しわ、平面性の劣化などを防ぐことができる。
【0045】
巻き取り時には、タッチロールを押し当てて、巻き込まれる空気を抜きながら巻き取ることが好ましい。この場合、タッチロールの巻き取り接圧の下限は、好ましくは30N/mであり、より好ましくは40N/mであり、さらに好ましくは50N/mであり、特に好ましくは60N/mである。巻き取り接圧の上限は、好ましくは600N/mであり、より好ましくは500N/mであり、さらに好ましくは400N/mであり、特に好ましくは300N/mである。上記範囲にすることでナール潰れ度合を適正させ、保存時の巻きずれ、しわ、平面性の劣化などを防ぐことができる。
【0046】
(ロール状に巻き取られた長尺状樹脂フィルムのナール高さ)
本明細書において、右側、左側、表層部、および巻芯部とは、以下の通りである。
右側:観察者がロールに正対して、ロール上部から手前にフィルムを巻き出した場合の右側端部。
左側:観察者がロールに正対して、ロール上部から手前にフィルムを巻き出した場合の左側端部。
表層部:ロール状に巻き取られたフィルムの巻き終わりから100±1m(又はフィルム全長が1000m未満の場合は、フィルム全長の10%程度)の箇所。
巻芯部:ロール状に巻き取られたフィルムの巻き始めから100±1m(又はフィルム全長が1000m未満の場合は、フィルム全長の10%程度)の箇所。
【0047】
それぞれの箇所のナール高さの略号は、以下の通りである。
表層部右側ナール高さ:Hner
表層部左側ナール高さ:Hnel
なお、Hneは特に左右を限定せずに表層部のナール高さを表す。
巻芯部右側ナール高さ:Hnbr
巻芯部左側ナール高さ:Hnbl
なお、Hnbは特に左右を限定せずに巻芯部のナール高さを表す。
【0048】
巻芯部のナール高さ(HnbrおよびHnblの両方)の下限は、好ましくは0.5μmであり、より好ましくは0.7μmであり、さらに好ましくは0.9μmであり、特に好ましくは1μmであり、最も好ましくは1.1μmである。巻芯部のナール高さ(HnbrおよびHnblの両方)の上限は、好ましくは4μmであり、より好ましくは3.5μmであり、さらに好ましくは3.2μmであり、特に好ましくは3μmである。
【0049】
表層部のナール高さ(HnerおよびHnelの両方)の下限は、好ましくは1.2μmであり、より好ましくは1.3μmであり、さらに好ましくは1.4μmであり、特に好ましくは1.5μmであり、最も好ましくは1.6μmである。表層部のナール高さ(HnerおよびHnelの両方)の上限は、好ましくは6μmであり、より好ましくは5μmであり、さらに好ましくは4μmであり、特に好ましくは3.7μmであり、最も好ましくは3.5μmである。
【0050】
なお、ナールの潰れは、ロール状に巻き取ったあと1ヶ月位でほぼ定常状態となる。従って、巻芯部および表層部のナールの高さは、ロール状に巻き取ったあと1ヶ月を経過したものを測定することが好ましい。巻芯部および表層部のナール高さは、ナールの種類、初期ナール高さ、ナール形状、ナール幅、巻き張力、巻き取り接圧、巻き長さ等により、上記範囲内とすることが出来る。
【0051】
ナール残存率(Hnb/Hne)[右側ナール残存率(Hnbr/Hner)および左側ナール残存率(Hnbl/Hnel)の両方]の下限は、好ましくは0.3であり、より好ましくは0.35であり、さらに好ましくは0.4であり、特に好ましくは0.45である。ナール残存率(Hnb/Hne)[Hnbr/HnerおよびHnbl/Hnelの両方]の上限は、好ましくは0.9であり、より好ましくは0.85であり、さらに好ましくは0.8であり、特に好ましくは0.75であり、最も好ましくは0.7である。ナール残存率は、ナール種類、初期ナール高さ、ナール形状、ナール幅、ナール高さ均一性、巻き張力、巻き長さ等により、上記範囲内とすることが出来る。
【0052】
ナール減少量(Hne-Hnb)[右側ナール減少量(Hner-Hnbr)および左側ナール減少量(Hnel-Hnbl)の両方]の下限は、好ましくは0.2μmであり、より好ましくは0.23μmであり、さらに好ましくは0.25μmであり、特に好ましくは0.28μmであり、最も好ましくは0.3μmである。ナール減少量(Hne-Hnb)[Hner-HnbrおよびHnel-Hnblの両方]の上限は、好ましくは3μmであり、より好ましくは2.7μmであり、さらに好ましくは2.5μmであり、特に好ましくは2.2μmであり、最も好ましくは2μmである。ナール減少量は、ナール種類、初期ナール高さ、ナール形状、ナール幅、ナール高さ均一性、巻き張力、巻き長さ等により、上記範囲内とすることが出来る。
【0053】
巻芯部のナール高さ、ナール残存率、ナール減少量等を上記範囲にすることで、巻き出し帯電量を低くし、フィルム表面の傷を防止するとともに、巻きずれ、しわを防止し、平面性を確保することができる。これらの効果は、さらに表層部のナール高さ、ナール残存率、ナール減少量等も上記範囲にすることで、より好ましい方向に向上させることができる。
【0054】
巻芯部の左側と右側のナール高さ均一性の絶対値(|(Hnbr-Hnbl)/〔(Hnbr+Hnbl)/2〕|)の下限は、好ましくは0であり、より好ましくは0.01であり、上限は、好ましくは0.3であり、より好ましくは0.25であり、さらに好ましくは0.2であり、特に好ましくは0.15である。
【0055】
表層部の左側と右側のナール高さ均一性の絶対値(|(Hner-Hnel)/〔(Hner+Hnel)/2〕|)の下限は、好ましくは0であり、より好ましくは0.01であり、上限は、好ましくは0.3であり、より好ましくは0.25であり、さらに好ましくは0.2であり、特に好ましくは0.15である。
【0056】
巻芯部や表層部の左側と右側のナール高さ均一性を上記範囲とすることで、巻き出し帯電量をより低くし、フィルム表面の傷、巻きずれ、しわをより防止し、より平面性を確保するとともに、ロールから巻き出してフィルムを加工する時の蛇行やたるみを防止することができる。
【0057】
ナール高さは、フィルムの幅方向での長さ違いや弾性率などの物性差、巻き取り時の幅方向での張力の違いによって、左右での差が出やすくなる。フィルムの巻き取りまでの搬送ロール等の平行を精密に制御すること、延伸や熱固定などの製膜時に物性差が出ないよう、温度などの制御を行うこと等により、ナール高さの均一性の絶対値を低くすることができる。
【0058】
本発明のロール状に巻き取られた長尺状樹脂フィルムは、巻き出した時の帯電量が巻芯部まで低く維持されているため、例えば、巻き出して塗工などの加工を行う時に、塗工液のハジキや厚みむらが生じにくく、欠点のない塗工膜を得ることができる。
【0059】
(巻き出し帯電量)
巻芯部での巻き出し帯電量の上限は、絶対値で、好ましくは25kVであり、より好ましくは20kVであり、さらに好ましくは15kVであり、特に好ましくは12kVである。巻芯部での巻き出し帯電量の下限は、絶対値で、好ましくは0.1kVであり、より好ましくは0.5kVである。なお、巻き出し帯電量とは、100m/minで巻き出した直後のフィルムの幅方向の中央部の帯電量をいう。
【0060】
(積層フィルム)
本発明の長尺状樹脂フィルムは、各機能層を設けるための原反として用いられ、積層フィルムに加工されることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、長尺状樹脂フィルムと、長尺状樹脂フィルムの少なくとも片面に設けられた第2のコート層(塗工液を塗布して積層した塗膜)とを有することが好ましい。積層フィルムの製造方法は、長尺状樹脂フィルムを巻き出す工程(A)、および、巻き出された長尺状樹脂フィルムの少なくとも片面に第2のコート層用の塗工液を塗工する工程(B)を含むことが好ましい。積層フィルムは、長尺状樹脂フィルムの少なくとも片面に第2のコート層を積層した後ロール状に巻き取られたものであってもよいが、第2のコート層を積層した後(ロール状に巻き取ることなく)所定のサイズに裁断されたものであってもよい。
【0061】
第2のコート層用の塗工液に用いられる樹脂としては、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリウレタン(例えば、ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン)、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、スチレンアクリル共重合体、ポリビニルアルコールなどの樹脂、放射線硬化性の塗膜を設けるのであれば、アクリルモノマー、アクリルオリゴマー、重合性液晶化合物などが好ましく用いられる。中でも、アクリルモノマー、アクリルオリゴマー、重合性液晶化合物が好ましく用いられる。
【0062】
第2のコート層用の塗工液の溶剤としては、トルエンなどの芳香族炭化水素、アルコール、ケトン、エステルが好ましく、放射線硬化性の塗工液であれば無溶剤であってもよい。
【0063】
第2のコート層の厚み(得られる塗膜の乾燥後の厚み)の下限は、好ましくは0.001μmであり、より好ましくは0.005μmであり、さらに好ましくは0.01μmであり、特に好ましくは0.02μmである。塗工層の厚みの上限は、好ましくは20μmであり、より好ましくは15μmであり、さらに好ましくは10μmであり、特に好ましくは7μmであり、最も好ましくは5μmである。
【0064】
第2のコート層(得られる塗膜)としては、ハードコート層、防眩層、反射防止層、低反射層、配向層(例えば、光配向層)、位相差層(例えば、λ/4位相差層、λ/2位相差層)などの光学機能層であることが好ましい。また、第2のコート層は、例えば、接着剤や粘着剤であってもよい。第2のコート層は、単層であっても2層以上の多層(例えば、配向層および位相差層)であってもよい。
【0065】
第2のコート層の表面は、必ずしも本発明の長尺状樹脂フィルムの表面と同じ特徴を有している必要はない。また、積層フィルムは、フィルム幅の両端部(ナール部分)を裁断したものであってもよい。なお、長尺状樹脂フィルム自体が第1のコート層を有していない場合であっても、長尺状樹脂フィルム上に積層するコート層は第2のコート層という。
【0066】
積層フィルムの用途としては、防眩性フィルム、低反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電性フィルム基材、偏光子保護フィルム、位相差層が液晶化合物からなる位相差フィルム、これらの機能層を転写するための薄膜層転写用フィルムなどが好ましい。
【実施例
【0067】
(1)ナール高さ
デジタルマイクロメーター(ソニーマニュファクチュアリングシステムズ株式会社 μ-mate M-30)を用いた。
ナールの幅の中央部分を約5cmの間隔でMD(流れ方向、長手方向、縦方向等ともいう)に沿って10箇所測定しその平均値を「ナール部厚み」とし、ナール加工部のフィルム中央側の縁から約1cmの内側を約5cmの間隔でMDに沿って10箇所測定しその平均値を「フィルム部厚み」とし、「ナール部厚み-フィルム部厚み」をナール高さとした。
測定は、ロール状に巻き取られ、常温で1ヶ月保管後のフィルムを巻き出し、フィルムの右側および左側のそれぞれで、表層部と巻芯部の合計4箇所で行った。
【0068】
なお、右側、左側、表層部、および巻芯部は、以下の通りである。
右側:観察者がロールに正対して、ロール上部から手前にフィルムを巻き出した場合の右側端部。
左側:観察者がロールに正対して、ロール上部から手前にフィルムを巻き出した場合の左側端部。
表層部:ロール状に巻き取られたフィルムの巻き終わりから100mの箇所。
巻芯部:ロール状に巻き取られたフィルムの巻き始めから100mの箇所。
【0069】
それぞれの箇所のナール高さの略号は、以下の通りである。
表層部右側ナール高さ:Hner
表層部左側ナール高さ:Hnel
巻芯部右側ナール高さ:Hnbr
巻芯部左側ナール高さ:Hnbl
【0070】
(2)ナール残存率
以下の通りである。
右側ナール残存率:Hnbr/Hner
左側ナール残存率:Hnbl/Hnel
【0071】
(3)ナール減少量
以下の通りである。
右側ナール減少量:Hner-Hnbr
左側ナール減少量:Hnel-Hnbl
【0072】
(4)ナール高さ均一性
以下の通りである。
巻芯部左右ナール高さ均一性:(Hnbr-Hnbl)/〔(Hnbr+Hnbl)/2〕の絶対値
表層部左右ナール高さ均一性:(Hner-Hnel)/〔(Hner+Hnel)/2〕の絶対値
(5)巻き出し帯電量
常温で1ヶ月保管後のロール状フィルムを表層から100m/minの速度で巻き出し、巻芯部のフィルム中央部のフィルム帯電量を測定した。測定は春日電機(株)製KSD-0103 を用い、フィルムのロールからの剥離直後の部分を測定した。
(6)巻きずれ
常温で1ヶ月保管後のロール状フィルムの端面を観察した。
◎:巻き取った直後の状態と変わらず、凸凹はなかった。
○:わずかに凸凹の増加、又はタケノコ状変形が認められた。
△:凸凹の増加、又はタケノコ状変形が認められたが、実使用に問題のないレベルであった。
×:実使用できないレベルの凸凹の増加、又はタケノコ状変形が認められた。
【0073】
(7)しわ
常温で1ヶ月保管後のロール状フィルムを巻き出し、全長でのしわを観察した。
◎:全くしわはなかった。
○:全長の中の一部にわずかにしわが認められた。
△:全長の中の一部に弱いしわが認められたが、問題のないレベルであった。
×:全長の中の一部に実使用できないレベルのしわが認められた。
(8)フィルム平面性
常温で1ヶ月保管後のロール状フィルムを巻き出し、表層から80~90mの位置のフィルムを長さ3mに切り取り、表面が艶消し黒色で平らである天板を有するテーブルの上に置き、フィルムに映る天井の蛍光灯の形状で平面性を評価した。なお、巻き取った直後のフィルムの平面状態と見比べた。
◎:巻き取った直後のサンプルと変わりはなかった。
○:わずかに平面性が悪化していた。
△:平面性は悪化していたが、問題のないレベルであった。
×:平面性が悪化し、実使用できないレベルであった。
【0074】
(第1のコート層用易接着層成分の製造)
(ポリエステル樹脂の重合)
攪拌機、温度計、及び部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート194.2質量部、ジメチルイソフタレート184.5質量部、ジメチル-5-ナトリウムスルホイソフタレート14.8質量部、ジエチレングリコール233.5質量部、エチレングリコール136.6質量部、及びテトラ-n-ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃の温度で4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで混合物を255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、30Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂は、淡黄色透明であった。共重合ポリエステル樹脂の還元粘度を測定したところ、0.70dl/gであった。DSCによるガラス転移温度は40℃であった。
【0075】
(ポリエステル水分散体の調製)
攪拌機、温度計及び還流装置を備えた反応器に、ポリエステル樹脂30質量部、及びエチレングリコールn-ブチルエーテル15質量部を入れ、110℃で加熱しながら攪拌することにより樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、ポリエステル溶液を攪拌しつつ、水55質量部を徐々に添加した。添加終了後、混合液を攪拌しつつ室温まで冷却して、固形分30質量%の乳白色のポリエステル水分散体を得た。
【0076】
(ポリビニルアルコール水溶液の調製)
攪拌機及び温度計を備えた容器に、水90質量部を入れ、攪拌しながらポリビニルアルコール樹脂(クラレ製、重合度500及びケン化度74%)10質量部を徐々に添加した。添加終了後、混合液を攪拌しながら、95℃まで加熱し、樹脂を溶解させた。樹脂が溶解した後、混合液を攪拌しながら室温まで冷却して、固形分10質量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。
【0077】
(易接着層P1で用いるブロックポリイソシアネート架橋剤の調製)
攪拌機、温度計及び還流冷却管を備えたフラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA)100質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、及びポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量750)30質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液の温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、さらに水を加えて固形分40質量%のブロックポリイソシアネート水分散液を得た。
【0078】
(易接着層P1用塗布液の調製)
下記の原料を混合してP1用塗布液を作製した。
水 40.61質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリエステル水分散体 11.67質量%
ポリビニルアルコール水溶液 15.00質量%
ブロックイソシアネート系架橋剤(水溶液) 0.67質量%
粒子(平均粒径100nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
1.25質量%
触媒(有機スズ系化合物 固形分濃度14質量%) 0.3質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度10質量%) 0.5質量%
【0079】
(易接着層P2で用いるポリウレタン樹脂の調製)
脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするポリウレタン樹脂を次の手順で作製した。撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート43.75質量部、ジメチロールブタン酸12.85質量部、数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール153.41質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液の温度を40℃まで下げた後、トリエチルアミン8.77質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整し、水を2000min-1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して分散させた。その後、減圧下で、混合液からアセトン及び水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂水溶液)を調製した。得られた、脂肪族系ポリカーボネートポリオールを構成成分とするポリウレタン樹脂のガラス転移点温度は-30℃であった。
【0080】
(易接着層P2で用いるオキサゾリン系架橋剤の調製)
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロート、及び攪拌機を備えたフラスコに、水性媒体としてのイオン交換水58質量部とイソプロパノール58質量部との混合物、及び、重合開始剤(2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)・二塩酸塩)4質量部を投入した。一方、滴下ロートに、オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体としての2-イソプロペニル-2-オキサゾリン16質量部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレングリコールの平均付加モル数・9モル、新中村化学製)32質量部、及びメタクリル酸メチル32質量部の混合物を投入し、窒素雰囲気下、70℃において1時間にわたり滴下した。滴下終了後、反応溶液を9時間攪拌し、冷却することで固形分濃度40質量%のオキサゾリン基を有する水溶性樹脂(オキサゾリン系架橋剤水溶液)を得た。
【0081】
(易接着層P2用塗布液の調製)
下記の原料を混合し、機能性層との接着性に優れた塗布層を形成するためのP2用塗布液を作製した。
水 55.62質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂水溶液 11.29質量%
オキサゾリン系架橋剤水溶液 2.26質量%
粒子(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
0.71質量%
粒子(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
0.07質量%
界面活性剤(シリコン系、固形分濃度100質量%) 0.05質量%
【0082】
(基材フィルム用ポリエステル樹脂の製造)
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸86.4質量部及びエチレングリコール64.6質量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモン0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物0.064質量部、トリエチルアミン0.16質量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行い、ゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
【0083】
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却及び固化させ、ペレット状にカットした。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は0.68dL/gであり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった(以後、PETと略す)。なお、固有粘度はフェノール/テトラクロロエタン=60/40(質量比)溶液で、Hugginsの定数が0.38であると仮定して測定した値である。
【0084】
(フィルムAの製造)
フィルム原料として、PETのペレットを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機に供給し、285℃で溶解した。この溶融ポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却及び固化し、未延伸フィルムを作った。
【0085】
次いで、この未延伸PETフィルムの片面にP1用塗布液、反対面にP2用塗布液をいずれも乾燥後の塗布量が0.12g/mになるように塗布した後、乾燥機に導き、80℃で20秒間乾燥させた。
【0086】
この塗布層を形成した未延伸フィルムをテンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度135℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に4.0倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃で30秒間処理し、その後、130℃まで冷却したフィルムの両端部をシェア刃で切断し、0.5kg/mmの張力で耳部を切り取った後に巻き取り、フィルム厚み70μmの一軸配向PETフィルムAを得た。なお、フィルム全体の極限粘度は0.65dL/gであった。得られたフィルムAを1300mm幅にスリットし、両端にナール加工を行った後にローレットを当てた面を外側にして巻き取り、長さ3500mのロールを得た。ロールはポリエチレンの袋に入れて口部をゴムで縛り、コアの両端部分にロールの外径より大きな側板をはめ込み、25℃の場所で保管した。
【0087】
(フィルムBの製造)
P1用塗布液を塗布しなかったこと(片面にP2用塗布液を塗布したこと)、厚みを50μmとしたこと以外はフィルムAと同様に行ってフィルムBを製造し、同様にスリット、ナール加工を行ってロールを得た。
【0088】
(ナール加工)
ナール加工は、スリットしたフィルムの左右両端部をローレット加工した上ロールと鏡面加工の下ロールの間を通過させて行い、上ロールの押し付け圧を調整してナール部の高さを調節した。ナール加工の幅は下ロールの厚みを変えて調節した。ローレットの加熱は誘導加熱により行った。
ナール加工部とフィルム末端との間隔:3mm
ナール加工速度:185m/分
【0089】
(ローレット)
ローレットは、厚み20mm、直径100mmの円盤状であり、外周表面には斜め45度に10mmの長さに下記の10個の突起が配列されている(10mm×10mmに対し10個×10個の突起)。
【0090】
ローレットの突起形状
四角錐型A:底辺長さ1000μm×1000μm、高さ900μm
四角錐型B:底辺長さ1000μm×1000μm、高さ330μm
四角錐台型:四角錐型Aを高さ600μmまで研磨したもの
【0091】
実施例1~11、比較例1~7
フィルムAおよびフィルムBを用い、各条件でナール加工を行った結果を実施例、比較例として表1及び表2に示した。また、フィルムAとフィルムBで、下記のように塗膜を設けた。なお、ロール状に巻き取られたフィルムは同一条件で2本準備し、1本をナール高さ測定および巻き出し帯電量測定、ならびに、ロール巻き状態の評価に用い、他方を塗工液の塗工評価に用いた。なお、表1及び表2の巻き取り張力は、フィルム両端にナール加工を行った後に、フィルムを円筒状のコアにロール状に巻き取る際の張力である。また、巻き取り接圧は、巻き取り時に、タッチロールを押し当てながら巻き取ったが、その際の、タッチロールの巻き取り接圧である。
【0092】
フィルムAのロールを巻き出し、易接着層P2面にグラビアコーターにより下記組成の防眩層用塗工液を塗工し、90℃のオーブンで乾燥後、紫外線を照射して塗膜を硬化させて、第2のコート層として防眩層を設けた。
(防眩層用塗工液の組成)
KAYARAD PET-30日本化薬(株)製 38.7質量部
ビスコート#360 大阪有機化学工業(株)製 9.7質量部
エポスター MA1006 日本触媒(株)製 0.1質量部
イルガキュア184 1.5質量部
メチルイソブチルケトン 30.0質量部
メチルエチルケトン 20.0質量部
フッ素系界面活性剤 0.02質量部
【0093】
(フィルムAの塗膜均一評価)
フィルムAのロールの巻き始めから100m~150mにあたる部分の防眩層の状態を観察し、塗膜均一性評価とした。
◎:50m中にムラはなく均一であった。
○:50m中にわずかなムラ又はハジキと思われる箇所が数カ所あった。
△:50m中に明らかにムラ又はハジキが認められる箇所が数カ所あった。
×:50m中で頻繁にムラ又はハジキが認められた。
【0094】
フィルムBのロールを巻き出し、易接着層を設けていない面に下記組成の光配向層用塗工液をグラビアコーターにより塗工し、80℃で乾燥後、厚み150nmの塗膜を形成した。引き続き、偏光UV光を照射し、第2のコート層として光配向層を積層したフィルムBを得た。UV光の偏光方向はフィルムBの長手方向に対して45度とした。
(光配向層用塗工液)
特開2013-33248号公報の実施例1、実施例2、及び実施例3の記載に基づき、下記式(1)で表されるポリマーのシクロペンタノンへの5質量%溶液を製造した。
【0095】
式(1)で表されるポリマー 5質量部
【化1】
界面活性剤 0.1質量部
シクロペンタノン 95質量部
【0096】
(配向液晶化合物配向層の成形)
引き続き、光配向層面に、下記組成の配向液晶化合物層形成用塗工液をバーコート法により塗工した。110℃で3分間乾燥し、紫外線を照射して硬化させ、第2のコート層として配向液晶化合物層(λ/4位相差層)をフィルムに形成させた。
(配向液晶化合物層形成用塗工液)
棒状液晶化合物(BASF社製のLC242) 95質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 5質量部
イルガキュア379 3質量部
界面活性剤 0.1質量部
メチルエチルケトン 250質量部
【0097】
(フィルムBの塗膜均一評価)
フィルムBのロールの巻き始めから100m~150mにあたる部分のλ/4位相差層の状態を観察した。観察は、照明器具として蛍光灯型LEDが天井に設置された室内で、表面が鏡面となったアルミニウム板の上にλ/4位相差層面が下となるようにλ/4位相差層を積層したフィルムBを置き、さらにその上に偏光板をフィルムBの長手方向と偏光板の消光軸方向(吸収軸方向)が平行となるように設置し、上から円偏光板としての反射防止の均一性を観察し、塗膜均一性評価とした。
◎:50m中にムラはなく均一な反射防止状態であった。
○:50m中にわずかに反射防止状態が低下している箇所が数カ所あった。
△:50m中に明らかに反射防止状態が低下している箇所が数カ所あった。
×:50m中で頻繁に反射防止状態が低下している箇所があった。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のロール状に巻き取られた長尺状フィルムは、フィルムを巻き出した時の帯電量が巻芯部まで小さく、例えば、フィルムに塗工加工した場合に、塗膜のハジキが少なく、フィルムの最後まで厚み精度に優れた塗膜を設けることができる。また、本発明の長尺状樹脂フィルムは、保存や搬送後の巻きずれ、しわの発生が抑制され、フィルム表面の傷付きがなく、フィルムの平面性に優れる。