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特許7593420経路設計システム、コスト関数学習装置、設計経路出力装置、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】経路設計システム、コスト関数学習装置、設計経路出力装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20241126BHJP
   G08G 1/127 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/127 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022578002
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(86)【国際出願番号】 JP2021003514
(87)【国際公開番号】W WO2022162935
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秋紗子
(72)【発明者】
【氏名】江藤 力
(72)【発明者】
【氏名】千葉 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】大井 憲人
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-180591(JP,A)
【文献】特開2008-175773(JP,A)
【文献】特開2009-042051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/127
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数の入力を受け付ける関数入力手段と、
中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、前記コスト関数を学習する学習手段と、
新たに経路設計を行う網についての前記中継地点情報、および、制約条件の入力を受け付ける条件入力手段と、
入力された前記中継地点情報に基づいて、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する中継地点選択手段と、
前記制約条件を満たすように前記網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する設計経路出力手段とを備え
前記コスト関数は、前記中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、前記中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数である
ことを特徴とする経路設計システム。
【請求項2】
設計経路出力手段は、一の中継地点の候補からの他の中継地点の候補へ移動する際に生じるコストに基づいて、特徴量として利用者数を項に含むコスト関数による算出される総コストが最小になる中継地点の組み合わせを求めることにより設計した経路を出力する
請求項1記載の経路設計システム。
【請求項3】
学習手段は、
中継地点の候補の選択において生じるコストを算出するコスト関数である第一コスト関数を学習する中継地点学習手段と、
経路の設計において生じるコストを算出するコスト関数である第二コスト関数を学習する経路学習手段とを含み、
中継地点選択手段は、前記第一コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を選択し、
設計経路出力手段は、前記第二コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する
請求項1または請求項2記載の経路設計システム。
【請求項4】
条件入力手段は、制約条件として、選択される候補になる中継地点の一覧の入力を受け付け、
中継地点選択手段は、受け付けた前記一覧から中継地点の候補を選択する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の経路設計システム。
【請求項5】
熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数の入力を受け付ける関数入力手段と、
中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、前記コスト関数を学習する学習手段とを備え
前記コスト関数は、前記中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、前記中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数である
ことを特徴とするコスト関数学習装置。
【請求項6】
熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数、並びに、新たに経路設計を行う網に関して、中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報および制約条件の入力を受け付ける条件入力手段と、
入力された前記中継地点情報に基づいて、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する中継地点選択手段と、
前記制約条件を満たすように前記網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する設計経路出力手段とを備え、
前記コスト関数は、前記中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、前記中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数であり、
前記条件入力手段は、前記中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータとを用いた逆強化学習により学習された前記コスト関数の入力を受け付ける
ことを特徴とする設計経路出力装置。
【請求項7】
熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数の入力を受け付け、
中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、前記コスト関数を学習し、
前記コスト関数は、前記中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、前記中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数である
ことを特徴とする経路設計方法。
【請求項8】
熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数、並びに、新たに経路設計を行う網に関して、中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報および制約条件の入力を受け付け、
入力された前記中継地点情報に基づいて、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択し、
前記制約条件を満たすように前記網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力し、
前記入力を受け付ける際、前記中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータとを用いた逆強化学習により学習された前記コスト関数の入力を受け付け
前記コスト関数は、前記中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、前記中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数である
ことを特徴とする設計経路出力方法。
【請求項9】
コンピュータに、
熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数の入力を受け付ける関数入力処理、および、
中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、前記コスト関数を学習する学習処理を実行させ、
前記コスト関数は、前記中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、前記中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数である
ことを特徴とするコスト関数学習プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数、並びに、新たに経路設計を行う網に関して、中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報および制約条件の入力を受け付ける条件入力処理、
入力された前記中継地点情報に基づいて、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する中継地点選択処理、および、
前記制約条件を満たすように前記網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する設計経路出力処理を実行させ、
前記条件入力処理で、前記中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータとを用いた逆強化学習により学習された前記コスト関数の入力を受け付けさせ
前記コスト関数は、前記中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、前記中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数である
ことを特徴とする設計経路出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継地点を経由する経路を設計する経路設計システムおよび経路設計方法、経路の設計に利用するコスト関数を学習するコスト関数学習装置およびコスト関数学習プログラム、並びに、設計した経路を出力する設計経路出力装置、設計経路出力方法および設計経路出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
交通機関の路線や、通信を行うためのネットワークなど、経路の設計には様々な要因を考慮する必要がある。例えば、バスなどの公共交通機関では、地域住民の利便性と収益性とを両立させるような効率の良い路線設計が求められている。また、既設の路線についても、地域の開発状況や住民の人口動態に応じて、定期的な見直しが必要になる。
【0003】
特許文献1には、バス路線の定量的な評価結果に基づいて路線再編及びダイヤ改正の意思決定を支援するバス路線評価支援システムが記載されている。特許文献1に記載されたシステムは、路線世代ごとに複数の評価および分析のためのプロジェクトを作成し、個別に評価および分析を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-164889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、上述するバス路線の場合、新たなバス停の設置やルート変更は、住民からの陳情等に基づいて検討や更新が行われているという実態がある。また、バス停の設置には、バス停の土地を利用するための交渉や、カーブからの距離など、各種制約条件を満たすことが求められる。さらに、他の交通機関(その他のバスや、タクシーなど)との利害関係を全体的に把握して、ルートを設定することも必要になる。このような状況から、経路やバス停の設置場所の見直しを人手で高頻度に行うことは難しく、また経路の調整には多くのノウハウも必要になる。
【0006】
特許文献1に記載されたシステムを用いことで、評価データ値と分析対象(例えば、徒歩圏内)との相関性を個別に評価することは可能である。しかし、特許文献1に記載されたシステムで評価された結果は、考慮すべき要因を個々に示すものである。そのため、全体としての最適化を行うためには、上述するような多くのノウハウや多くの時間が必要になるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、高品質な経路設計を高速かつ効率的に行うことができる経路設計システムおよび経路設計方法、経路の設計に利用するコスト関数を学習するコスト関数学習装置およびコスト関数学習プログラム、並びに、設計した経路を出力する設計経路出力装置、設計経路出力方法および設計経路出力プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による路線設計システムは、熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、その中継地点の候補の選択および経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数の入力を受け付ける関数入力手段と、中継地点を示す情報にその中継地点の周辺情報およびその中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、コスト関数を学習する学習手段と、新たに経路設計を行う網についての中継地点情報、および、制約条件の入力を受け付ける条件入力手段と、入力された中継地点情報に基づいて、コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する中継地点選択手段と、制約条件を満たすように網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する設計経路出力手段とを備え、コスト関数が、中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数であることを特徴とする。
【0009】
本発明によるコスト関数学習装置は、熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、その中継地点の候補の選択および経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数の入力を受け付ける関数入力手段と、中継地点を示す情報にその中継地点の周辺情報およびその中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、コスト関数を学習する学習手段とを備え、コスト関数が、中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数であることを特徴とする。
【0010】
本発明による設計経路出力装置は、熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、その中継地点の候補の選択および経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数、並びに、新たに経路設計を行う網に関して、中継地点を示す情報にその中継地点の周辺情報およびその中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報および制約条件の入力を受け付ける条件入力手段と、入力された中継地点情報に基づいて、コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する中継地点選択手段と、制約条件を満たすように網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する設計経路出力手段とを備え、コスト関数が、中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数であり、条件入力手段が、中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータとを用いた逆強化学習により学習されたコスト関数の入力を受け付けることを特徴とする。
【0011】
本発明による経路設計方法は、熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、その中継地点の候補の選択および経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数の入力を受け付け、中継地点を示す情報にその中継地点の周辺情報およびその中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、コスト関数を学習する学習手段とを備え、コスト関数が、中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数であることを特徴とする。
【0012】
本発明による設計経路出力方法は、熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、その中継地点の候補の選択および経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数、並びに、新たに経路設計を行う網に関して、中継地点を示す情報にその中継地点の周辺情報およびその中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報および制約条件の入力を受け付け、入力された中継地点情報に基づいて、コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択し、制約条件を満たすように網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力し、上記入力を受け付ける際、中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータとを用いた逆強化学習により学習されたコスト関数の入力を受け付け、コスト関数が、中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数であることを特徴とする。
【0013】
本発明によるコスト関数学習プログラムは、コンピュータに、熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、その中継地点の候補の選択および経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数の入力を受け付ける関数入力処理、および、中継地点を示す情報にその中継地点の周辺情報およびその中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、コスト関数を学習する学習処理を実行させ、コスト関数が、中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数であることを特徴とする。
【0014】
本発明による設計経路出力プログラムは、コンピュータに、熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された関数であって、その中継地点の候補の選択および経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するための関数であるコスト関数、並びに、新たに経路設計を行う網に関して、中継地点を示す情報にその中継地点の周辺情報およびその中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報および制約条件の入力を受け付ける条件入力処理、入力された中継地点情報に基づいて、コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する中継地点選択処理、および、制約条件を満たすように網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する設計経路出力処理を実行させ、条件入力処理で、中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータとを用いた逆強化学習により学習されたコスト関数の入力を受け付けさせ、コスト関数が、中継地点における各時間帯の利用者数を示す特徴量、および、中継地点が新設された地点か否かを示す特徴量の線形和で表わされた関数であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高品質な路線設計を高速かつ効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による経路設計システムの一実施形態の構成例を示すブロック図である。
図2】経路設計データの一例を示す説明図である。
図3】路線を更新する処理の例を示す説明図である。
図4】学習装置の動作例を示すフローチャートである。
図5】設計経路出力装置の動作例を示すフローチャートである。
図6】経路設計システムの変形例を示すブロック図である。
図7】新たな経路を設計する処理の例を示す説明図である
図8】本発明による経路設計システムの概要を示すブロック図である。
図9】本発明によるコスト関数学習装置の概要を示すブロック図である。
図10】本発明による設計経路出力装置の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の経路設計システムは、道路網や通信ネットワーク網などの各種の網における中継地点(例えば、バス停や中継機器)を経由する経路を設計するシステムである。以下の説明では、説明を簡易化するため、道路網において中継地点であるバス停を経由するバスの路線の設計を行う場合について例示する。ただし、本発明の経路設計システムで設計する経路は、バスの路線に限定されない。例えば、電車や船、飛行機、ネットワークルーティングなどを設計する状況においても、本発明の経路設計システムを適用することが可能である。
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明による経路設計システムの一実施形態の構成例を示すブロック図である。本実施形態の経路設計システム1は、経路設計データ記憶装置10と、学習装置20と、設計経路出力装置30と、表示装置40とを備えている。
【0020】
表示装置40は、経路設計システム1による各種処理結果を出力する装置である。表示装置40は、例えば、ディスプレイ装置によって実現される。なお、図1では、設計経路出力装置30に接続された表示装置40を1台例示しているが、学習装置20に接続される表示装置40と、設計経路出力装置30に接続される表示装置40とが、別々に設けられていてもよい。
【0021】
経路設計データ記憶装置10は、過去に設計された経路に関するデータ(以下、経路設計データと記す。)を記憶する。具体的には、経路設計データは、中継地点を示す情報に、その中継地点の周辺情報(例えば、近隣の中継地点との距離、デパートの有無)および、その中継地点の利用情報(例えば、交通機関の利用者数、通過するパケット数、新設か否かを示す情報)を対応付けたデータ(以下、中継地点情報と記す)と、各中継地点を経由する経路の実績データ(以下、経路実績情報)とを含むデータである。
【0022】
図2は、経路設計データの一例を示す説明図である。図2に例示する経路設計データは、各中継地点の時間帯ごとの利用者数、近隣バス停との距離、その中継地点周囲のデパートの有無およびその中継地点が新設されたか否かを示す中継地点情報P1と、それらの中継地点を結んだ過去の経路の実績を示す経路実績情報P2とを含む。
【0023】
また、図2に例示する経路設計データは、すでに稼働している経路を設計した際の情報であり、専門家が各種の要因を考慮して作成したデータであることから、熟練者によるデータと言うことができる。なお、図2に示す中継地点情報および経路実績情報は、それぞれ例示であり、他の情報が含まれていてもよい。他の情報として、例えば、エリア別の人口密度や、建物情報、中継地点の設定難易度、周辺の道路情報等が挙げられる。なお、これらの具体的内容については後述される。
【0024】
学習装置20は、コスト関数入力部21と、データ抽出部22と、中継地点学習部23と、経路学習部24と、学習結果出力部25と、記憶部26とを含む。
【0025】
コスト関数入力部21は、後述する中継地点学習部23および経路学習部24が学習に用いるコスト関数の入力を受け付ける。具体的には、コスト関数入力部21は、中継地点の候補の選択において生じるコストを算出するコスト関数(以下、第一コスト関数と記す。)と、経路の設計において生じるコストを算出するコスト関数(以下、第二コスト関数と記す。)の入力を受け付ける。
【0026】
なお、コスト関数入力部21は、第一コスト関数と第二コスト関数の2種類のコスト関数の代わりに、1種類のコスト関数の入力を受け付けてもよい。中継地点の選択および経路設計に関連の低い特徴量は、後述する機械学習の結果として重みが低く設定されるため、結果的に中継地点の選択および経路設計において、熟練者が意図する特徴量が抽出されることになる。
【0027】
コスト関数は、図2に例示する経路設計データに含まれるような、熟練者が中継地点の候補の選択および経路を設計する際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表される。なお、この重視度合いは、設計の際の熟練者の意図を表わしていると言うこともできる。そのため、コスト関数によって算出される値は、中継地点の選択および経路設計の評価に用いられる評価指標とも言える。
【0028】
また、コスト関数入力部21は、コスト関数と共に、満たすべき制約条件の入力を受け付けてもよい。コスト関数および制約条件は、設計者等により予め定められる。すなわち、中継地点の選択および経路設計において考慮すべき特徴量の候補が分析者等により予め選択され、コスト関数として定義される。コスト関数入力部21は、例えば、利用者数および満足度の少なくとも一つを特徴量に含むコスト関数の入力を受け付けてもよい。
【0029】
より具体的には、各時間帯における利用者数と、中継地点が新設か否かとを、熟練者が意図する項目(特徴量)として考慮する場合、コスト関数は、以下に例示する式1で表わされる。式1におけるxijおよびyが特徴量を示し、αおよびβが重み(重視度合い)を示す。具体的には、xijは、中継地点iにおける時間帯jの利用者数を示し、yは、中継地点iが新設された地点か否かを示す。
【0030】
【数1】
【0031】
上記に示すような時間による変化(例えば、6時から8時の利用者数、8時から10時の利用者数、など)を特徴量として用いることで、経路を流動的に自動生成することも可能になる。
【0032】
なお、上記に示す特徴量は例示であり、コスト関数は、その他の特徴量を含んでいてもよい。例えば、他の特徴量として、エリア別人口密度が挙げられる。人口が多い方が利用者は多いため、例えば、中継地点を設定する際に生じるコストは人口が多いほど低く算出される。一方、人口が少ない方がニッチなルートとして有用であるため、例えば、経路を設計する際に生じるコストは人口が少ないほど低く算出される。
【0033】
また、他の特徴量として、建物情報(存在有無)が挙げられる。駅や病院、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの建物の存在は、人の流れを大きく呼び込むものであるため、これらの建物が存在するほどコストが低く算出される。また、他の特徴量として、道路の勾配が挙げられる。勾配が強いほど視認性や速度の低下につながるため、勾配が高い道路ほどコストが高く算出される。その他、周辺の自然環境や寺院の有無、公共の土地か否かなどが特徴量として用いられてもよい。
【0034】
また、飛行機の経路を設計する場合、天気や季節風を示す特徴量が用いられてもよい。
【0035】
データ抽出部22は、経路を設計する範囲の経路設計データを経路設計データ記憶装置10から抽出する。経路を設計する範囲は、設計者等により予め指定される。なお、抽出された経路設計データは、後述する中継地点学習部23および経路学習部24が学習に用いるデータであるため、抽出された経路設計データのことをトレーニングデータと言うこともある。
【0036】
また、データ抽出部22は、コスト関数に含まれる特徴量に合わせるため、経路設計データに含まれる項目を特徴量へ変換する処理(演算や2値への変換等)やデータの統合処理、データクレンジングなどを行ってもよい。
【0037】
中継地点学習部23は、データ抽出部22によって抽出されたトレーニングデータを用いた逆強化学習により、上述するコスト関数(具体的には、第一コスト関数)を学習する。
【0038】
中継地点学習部23が逆強化学習を行う方法は任意である。中継地点学習部23は、例えば、入力されたコスト関数および制約条件に基づいて中継地点を選択する数理最適化処理の実行と、生成された熟練者の中継地点とトレーニングデータとの差分を小さくするようにコスト関数のパラメータ(重視度合い)を更新するコスト関数の推定処理を繰り返すことで、コスト関数を学習してもよい。
【0039】
中継地点学習部23が経路設計データを用いて逆強化学習によりコスト関数を学習することにより、中継地点を選択する際に意図する特徴量を抽出することが可能になる。
【0040】
経路学習部24は、データ抽出部22によって抽出されたトレーニングデータを用いた逆強化学習により、上述するコスト関数(具体的には、第二コスト関数)を学習する。
【0041】
経路学習部24が逆強化学習を行う方法も任意である。経路学習部24は、例えば、入力されたコスト関数および制約条件に基づいて経路を設計する数理最適化処理の実行と、設計された熟練者の経路とトレーニングデータとの差分を小さくするようにコスト関数のパラメータ(重視度合い)を更新するコスト関数の推定処理を繰り返すことで、コスト関数を学習してもよい。
【0042】
経路学習部24が経路設計データを用いて逆強化学習によりコスト関数を学習することにより、経路を設計する際に意図する特徴量を抽出することが可能になる。
【0043】
なお、中継地点学習部23および経路学習部24が、一つの学習手段として構成されていてもよい。すなわち、学習手段が、中継地点学習部23および経路学習部24を含んでいてもよい。このとき、この学習手段が、トレーニングデータを用いた逆強化学習により、コスト関数を学習してもよい。
【0044】
学習結果出力部25は、学習されたコスト関数を出力する。具体的には、学習結果出力部25は、コスト関数(より具体的には、第一コスト関数および第二コスト関数)に含まれる特徴量と、その特徴量の重みとを対応付けて出力する。学習結果出力部25は、学習されたコスト関数を記憶部26に記憶させてもよく、設計経路出力装置30にコスト関数の情報を送信して記憶部35に記憶させてもよい。
【0045】
また、学習結果出力部25は、コスト関数の内容を表示装置40に表示してもよい。表示装置40にコスト関数の内容を表示することにより、熟練者が中継地点の選択および経路設計において重視する項目を視認することが可能になる。
【0046】
記憶部26は、学習されたコスト関数を記憶する。また、記憶部26は、中継地点学習部23および経路学習部24が逆強化学習に用いる各種パラメータを記憶していてもよい。記憶部26は、例えば、磁気ディスク等により実現される。
【0047】
コスト関数入力部21と、データ抽出部22と、中継地点学習部23と、経路学習部24と、学習結果出力部25とは、プログラム(学習プログラム、経路設計プログラム)に従って動作するコンピュータのプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit ))によって実現される。
【0048】
例えば、プログラムは、学習装置20の記憶部26に記憶され、プロセッサは、そのプログラムを読み込み、プログラムに従って、コスト関数入力部21、データ抽出部22、中継地点学習部23、経路学習部24および学習結果出力部25として動作してもよい。また、学習装置20の機能がSaaS(Software as a Service )形式で提供されてもよい。
【0049】
コスト関数入力部21と、データ抽出部22と、中継地点学習部23と、経路学習部24と、学習結果出力部25とは、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry )、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。
【0050】
また、学習装置20の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0051】
なお、学習装置20は、複数のコスト関数を学習してもよい。例えば、学習装置20は、複数の地区(地区A、地区Bなど)における過去の実績(トレーニングデータ)を用いて、複数のコスト関数を学習してもよい。
【0052】
設計経路出力装置30は、条件入力部31と、中継地点選択部32と、経路設計部33と、設計経路出力部34と、記憶部35とを含む。
【0053】
記憶部35は、後述する中継地点選択部32が中継地点の候補を選択する際に利用する各種情報、および、経路設計部33が経路を設計する際に利用する各種情報を記憶する。他にも、記憶部35は、対象とする地域の地図情報や、その地域で中継地点の候補になる場所、その中継地点の周辺の建物情報や、人口動態などの関連情報を記憶する。また、記憶部35は、学習装置20によって学習されたコスト関数を記憶してもよい。記憶部35は、例えば、磁気ディスク等により実現される。
【0054】
条件入力部31は、新たに経路設計を行う網についての中継地点情報、並びに、中継地点の候補を選択する際の制約条件、および、経路を設計する際の制約条件の入力を受け付ける。条件入力部31は、中継地点の候補を選択する際の制約条件として、例えば、法的な制約(例えば、急カーブの地点には設置できない、歩道から10m内の地点にはバス停は設置できない、など)や、他の交通機関との兼ね合いに基づく制約(例えば、既設の他のバス停付近には設置しない、など)を示す条件の入力を受け付けてもよい。また、条件入力部31は、経路を設計する際の制約条件として、例えば、スタート地点およびゴール地点の条件や、交通網の制約(例えば、一方通行)を示す条件の入力を受け付けてもよい。
【0055】
なお、学習されたコスト関数は、熟練者の意図を反映していると想定されることから、明示的な制約条件の入力がなくても、制約違反になるような中継地点の候補の選択や、制約違反になるような経路の設計が、暗黙的に抑制されると想定される。例えば、過去に歩道から10mより近い地点にバス停を設置したことがない場合、学習されたコスト関数を用いることで、歩道から10mより近い地点に設置する選択が行われる可能性は低くなると想定される。
【0056】
さらに、条件入力部31は、制約条件の入力以外に、新たに経路設計を行う網について、中継地点の周辺情報および中継地点の利用情報の入力を受け付ける。具体的には、条件入力部31は、経路を設計する際の関連情報の入力を受け付けてもよい。例えば、バス路線を設計する際の地域情報が更新されている場合、条件入力部31は、その地域の最新状況を示す中継地点の周辺情報として、エリア別人口密度や、建物(店舗)情報、再開発情報など地域情報の入力を受け付けてもよい。また、コスト関数が他の交通機関による走行履歴(例えば、タクシーの運転記録など)を考慮する場合、条件入力部31は、このような走行履歴の入力を受け付けてもよい。
【0057】
条件入力部31は、制約条件として、後述する中継地点選択部32が選択する候補とする中継地点の一覧の入力を受け付けてもよい。また、条件入力部31は、制約条件として、後述する中継地点選択部32が中継地点を設定可能な網内の範囲を示す情報の入力を受け付けてもよい。
【0058】
なお、コスト関数が記憶部35に記憶されていない場合、条件入力部31がコスト関数の入力を受け付けてもよい。
【0059】
中継地点選択部32は、入力された中継地点情報に基づいて、コスト関数(より具体的には、第一コスト関数)により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する。なお、選択される中継地点の候補の一覧が、設計者等により予め定められていてもよい。すなわち、中継地点選択部32は、中継地点の候補の一覧から中継地点の候補を選択してもよい。また、中継地点を設定可能な網内の範囲が制約条件として入力された場合、中継地点選択部32は、入力された網内の範囲から中継地点の候補を選択してもよい。
【0060】
また、中継地点選択部32は、選択された中継地点の候補を除外して、さらに中継地点の候補を選択する処理を、予め定めた回数繰り返すことで、複数の中継地点の候補を選択してもよい。
【0061】
経路設計部33は、網内における一部または全部の選択された中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように経由する経路のうち、コスト関数(より具体的には、第二コスト関数)により算出されるコストが最小になる経路を設計する。なお、設計される経路は、選択されたすべての中継地点の候補を経由する経路である必要はない。また、経路設計部33は、中継地点選択部32によって選択された中継地点以外に、既存の中継地点を含めて経路を設計してもよい。
【0062】
具体的には、経路設計部33は、中継地点選択部32によって選択された中継地点の候補からの他の中継地点の候補へ移動する際に生じるコストに基づいて、総コストが最小になる中継地点の組み合わせを求めることにより経路を設計してもよい。
【0063】
経路設計部33が総コストを最小にするような経路の組み合わせを求める方法は任意である。経路設計部33は、組み合わせ最適化問題として経路を設計してもよい。経路設計部33は、例えば、ダイクストラ法のアルゴリズムにおいて用いられる距離の代わりに、コスト関数により算出されるコストを用いて、コストを最小化する経路を解く問題として経路を設計してもよい。
【0064】
設計経路出力部34は、設計された経路を出力する。例えば、バス路線を設計する場合、設計経路出力部34は、経路である出力地点と到着地点とを結ぶバスの移動ルートと、中継地点である停留所の位置とを出力してもよい。
【0065】
また、設計経路出力部34は、新しい経路の設計案とともに、利用者数の見通しや、収益性の見通しなどを合わせて出力してもよい。さらに、設計経路出力部34は、設計した経路に含まれる各中継地点およびその中継地点を結ぶ経路を地図上に重畳させて出力してもよい。これにより、設計された経路をより具体的に把握することが可能になる。
【0066】
図3は、路線を更新する処理の例を示す説明図である。例えば、過去路線データ41を示す情報が、経路設計データとして経路設計データ記憶装置10に記憶されているとする。経路設計データには、例えば、設計時のエリア別人口密度や建物(店舗)情報、再開発情報、道路情報などが含まれる。また、経路設計データ記憶装置10は、その過去路線データ41が示す経路での利用客数や収益性、その過去路線データ41を設計した際の制約条件を、併せて記憶していてもよい。
【0067】
これらの情報に基づいて、中継地点学習部23および経路学習部24は、過去に人手で設計された高品質な路線(成功路線)がどのようなポリシに基づいて作成されたかを示すモデル(すなわち、コスト関数)を学習する。
【0068】
次に、条件入力部31は、制約条件の入力を受け付ける。図3に示す例では、制約条件42として、スタート地点およびゴール地点が指定されたことを示す。なお、条件入力部31は、他の制約条件(関連情報)として、更新済みの地域情報の入力を受け付けてもよい。
【0069】
中継地点選択部32は、入力された制約条件および関連情報から、中継地点の候補を選択する。また、経路設計部33は、入力された制約条件および関連情報から、新たな経路を設計する。図3に示す例では、新たな中継地点431および中継地点432を経由する新たな経路43が設計されたことを示す。そして、設計経路出力部34は、設計された経路43を出力する。また、設計経路出力部34は、経路43とともに、利用者数の見通しや収益性の見通しなどを出力してもよい。
【0070】
条件入力部31と、中継地点選択部32と、経路設計部33と、設計経路出力部34とは、プログラム(設計経路出力プログラム、経路設計プログラム)に従って動作するコンピュータのプロセッサ(例えば、CPU)によって実現される。
【0071】
次に、本実施形態の経路設計システムの動作を説明する。図4は、本実施形態の学習装置20の動作例を示すフローチャートである。コスト関数入力部21は、コスト関数の入力を受け付ける(ステップS11)。なお、コスト関数入力部21は、2種類のコスト関数(第一コスト関数、および、第二コスト関数)の入力を受け付けてもよい。データ抽出部22は、経路設計データ記憶装置10からトレーニングデータを抽出する(ステップS12)。中継地点学習部23は、トレーニングデータを用いた逆強化学習により、中継地点の候補の選択において生じるコストを算出する第一コスト関数を学習する(ステップS13)。また、経路学習部24は、トレーニングデータを用いた逆強化学習により、経路の設計において生じるコストを算出する第二コスト関数を学習する(ステップS14)。そして、学習結果出力部25は、学習されたコスト関数を出力する(ステップS15)。
【0072】
図5は、本実施形態の設計経路出力装置30の動作例を示すフローチャートである。条件入力部31は、新たに経路設計を行う網についての周辺情報および利用情報、並びに、制約条件の入力を受け付ける(ステップS21)。中継地点選択部32は、入力された中継地点の周辺情報および中継地点の利用情報に基づいて、コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する(ステップS22)。経路設計部33は、制約条件を満たすように網内における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を設計する(ステップS23)。そして、設計経路出力部34は、設計された経路を出力する出力する(ステップS24)。
【0073】
以上のように、本実施形態では、コスト関数入力部21が、コスト関数の入力を受け付け、中継地点学習部23および経路学習部24が、トレーニングデータを用いた逆強化学習によりコスト関数を学習する。また、条件入力部31が、新たに経路設計を行う網についての周辺情報および利用情報、並びに、制約条件の入力を受け付け、中継地点選択部32が、コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する。そして、経路設計部33が、制約条件を満たすように網内における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を設計し、設計経路出力部34が、設計された経路を出力する。このように、いわゆる熟練者によって設計された路線は、高品質と言うことができることから、高品質な路線設計を高速かつ効率的に行うことができる。
【0074】
すなわち、本実施形態では、逆強化学習を用いて過去の路線設計データから制約条件をクリアしたと認められる路線設計を学習し、その結果得られた路線設計モデルを用いて、路線更新または新規路線設計を行う。よって、人手に依存せず公共交通機関の路線設計を実現できるため、効率的かつ高品質な路線更新および設計を定常的に実施することが可能になる。
【0075】
次に、本実施形態の経路設計システムの変形例を説明する。図6は、本実施形態の経路設計システムの変形例を示すブロック図である。図6に例示する経路設計システム2は、経路設計データ記憶装置10と、学習装置20aと、学習装置20bと、設計経路出力装置30と、表示装置40とを備えている。経路設計データ記憶装置10、設計経路出力装置30および表示装置40の内容は、上記実施形態と同様である。
【0076】
学習装置20aは、第一コスト関数を学習する装置である。学習装置20aは、コスト関数入力部21aと、データ抽出部22と、中継地点学習部23と、学習結果出力部25aと、記憶部26とを含む。データ抽出部22、中継地点学習部23、および、記憶部26の内容は、上記実施形態と同様である。
【0077】
コスト関数入力部21aは、学習に用いるコスト関数として第一コスト関数の入力を受け付ける。それ以外については、コスト関数入力部21と同様である。また、学習結果出力部25aは、学習された第一コスト関数を出力する。それ以外については、学習結果出力部25と同様である。
【0078】
学習装置20bは、第二コスト関数を学習する装置である。学習装置20bは、コスト関数入力部21bと、データ抽出部22と、経路学習部24と、学習結果出力部25bと、記憶部26とを含む。データ抽出部22、経路学習部24、および、記憶部26の内容は、上記実施形態と同様である。
【0079】
コスト関数入力部21bは、学習に用いるコスト関数として第二コスト関数の入力を受け付ける。それ以外については、コスト関数入力部21と同様である。また、学習結果出力部25bは、学習された第二コスト関数を出力する。それ以外については、学習結果出力部25と同様である。
【0080】
以下、具体例を用いて、本実施形態の経路設計システム1の動作を説明する。図7は、新たな経路を設計する処理の例を示す説明図である。本具体例では、異なる地区におけるトレーニングデータを用いて、本実施形態の学習装置20により2種類のコスト関数が学習されているとする。
【0081】
具体的には、地区Aにおける過去の実績を用いて図7に例示するコスト関数Aが学習され、地区Bにおける過去の実績を用いて図7に例示するコスト関数Bが学習されたとする。ここで、xは、中継地点iにおける利用者数を示す特徴量であり、yは、中継地点iが新設された地点か否かを示す特徴量であるとする。なお、ここでは、コスト関数の内容を報酬として表わしているため、中継地点選択部32は、報酬が最大になる中継地点を選択するものとする。
【0082】
このような状況のもと、図7に例示するようなバス停の候補D3を有する新たな地区Cのバス路線の経路を計画することを想定する。コスト関数Aおよびコスト関数Bは、本実施形態の学習装置20により学習されていることから、特徴量の重み付けが重視度合いに対応する。ここで、利益を大きく(言い換えると、利用者数を増加させるように)路線設計を行おうとする場合、xの係数が大きいコスト関数が、利益を大きくするように意図したコスト関数であると言える。そこで、コスト関数Aを用いて経路を設計することとする。
【0083】
図7に例示するバス停の候補D3を想定した場合、地点(i)、(iv)および(v)が示す中継地点(バス停)を新ルートとして採用することで、コスト関数Aを最大化できる。
【0084】
次に、本発明の概要を説明する。図8は、本発明による経路設計システムの概要を示すブロック図である。本発明による経路設計システム70(例えば、経路設計システム1)は、熟練者が中継地点(例えば、バス停)の候補の選択および経路(例えば、路線)の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された、その中継地点の候補の選択および経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するコスト関数の入力を受け付ける関数入力手段71(例えば、コスト関数入力部21)と、中継地点を示す情報にその中継地点の周辺情報およびその中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、コスト関数(例えば、第一コスト関数および第二コスト関数)を学習する学習手段72(例えば、中継地点学習部23、経路学習部24)と、新たに経路設計を行う網についての中継地点情報、および、制約条件の入力を受け付ける条件入力手段73(例えば、条件入力部31)と、入力された中継地点情報に基づいて、コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する中継地点選択手段74(例えば、中継地点選択部32)と、制約条件を満たすように網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する設計経路出力手段75(例えば、経路設計部33、設計経路出力部34)とを備えている。
【0085】
そのような構成により、高品質な路線設計を高速かつ効率的に行うことができる。
【0086】
具体的には、設計経路出力手段75は、一の中継地点の候補からの他の中継地点の候補へ移動する際に生じるコストに基づいて、総コストが最小になる中継地点の組み合わせを求めることにより設計した経路を出力してもよい。
【0087】
また、学習手段72は、中継地点の候補の選択において生じるコストを算出するコスト関数である第一コスト関数を学習する中継地点学習手段(例えば、中継地点学習部23)と、経路の設計において生じるコストを算出するコスト関数である第二コスト関数を学習する経路学習手段(経路学習部24)とを含んでいてもよい。そして、中継地点選択手段74は、第一コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を選択し、設計経路出力手段75は、第二コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力してもよい。
【0088】
条件入力手段73は、制約条件として、選択される候補になる中継地点の一覧の入力を受け付け、中継地点選択手段74は、受け付けた一覧から中継地点の候補を選択してもよい。
【0089】
また、条件入力手段73は、制約条件として、中継地点を設定可能な網の範囲を示す情報の入力を受け付け、中継地点選択手段74は、入力された網の範囲から中継地点の候補を選択してもよい。
【0090】
また、設計経路出力手段75は、設計した経路に含まれる各中継地点およびその各中継地点を結ぶ経路を地図上に重畳させて出力してもよい。
【0091】
また、経路設計システム70は、コスト関数に含まれる特徴量と、その特徴量の重視度合いとを対応付けて出力する学習結果出力手段(例えば、学習結果出力部25)を備えていてもよい。
【0092】
また、学習手段72は、利用者数および満足度の少なくとも一つを特徴量に含むコスト関数を学習してもよい。
【0093】
図9は、本発明によるコスト関数学習装置の概要を示すブロック図である。本発明によるコスト関数学習装置80(例えば、学習装置20)は、関数入力手段81と、学習手段82とを備えている。関数入力手段81および学習手段82の内容は、図8に例示する関数入力手段71および学習手段72と同様である。
【0094】
図10は、本発明による設計経路出力装置の概要を示すブロック図である。本発明による設計経路出力装置90(例えば、設計経路出力装置30)は、条件入力手段91と、中継地点選択手段92と、設計経路出力手段93とを備えている。条件入力手段91、中継地点選択手段92および設計経路出力手段93の内容は、図8に例示する条件入力手段73、中継地点選択手段74および設計経路出力手段75と同様である。
【0095】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0096】
(付記1)熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するコスト関数の入力を受け付ける関数入力手段と、
中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、前記コスト関数を学習する学習手段と、
新たに経路設計を行う網についての前記中継地点情報、および、制約条件の入力を受け付ける条件入力手段と、
入力された前記中継地点情報に基づいて、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する中継地点選択手段と、
前記制約条件を満たすように前記網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する設計経路出力手段とを備えた
ことを特徴とする経路設計システム。
【0097】
(付記2)設計経路出力手段は、一の中継地点の候補からの他の中継地点の候補へ移動する際に生じるコストに基づいて、総コストが最小になる中継地点の組み合わせを求めることにより設計した経路を出力する
付記1記載の経路設計システム。
【0098】
(付記3)学習手段は、
中継地点の候補の選択において生じるコストを算出するコスト関数である第一コスト関数を学習する中継地点学習手段と、
経路の設計において生じるコストを算出するコスト関数である第二コスト関数を学習する経路学習手段とを含み、
中継地点選択手段は、前記第一コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を選択し、
設計経路出力手段は、前記第二コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する
付記1または付記2記載の経路設計システム。
【0099】
(付記4)条件入力手段は、制約条件として、選択される候補になる中継地点の一覧の入力を受け付け、
中継地点選択手段は、受け付けた前記一覧から中継地点の候補を選択する
付記1から付記3のうちのいずれか1つに記載の経路設計システム。
【0100】
(付記5)条件入力手段は、制約条件として、中継地点を設定可能な網の範囲を示す情報の入力を受け付け、
中継地点選択手段は、入力された網の範囲から中継地点の候補を選択する
付記1から付記4のうちのいずれか1つに記載の経路設計システム。
【0101】
(付記6)設計経路出力手段は、設計した経路に含まれる各中継地点および当該各中継地点を結ぶ経路を地図上に重畳させて出力する
付記1から付記5のうちのいずれか1つに記載の経路設計システム。
【0102】
(付記7)コスト関数に含まれる特徴量と、当該特徴量の重視度合いとを対応付けて出力する学習結果出力手段を備えた
付記1から付記6のうちのいずれか1つに記載の経路設計システム。
【0103】
(付記8)学習手段は、利用者数および満足度の少なくとも一つを特徴量に含むコスト関数を学習する
付記1から付記7のうちのいずれか1つに記載の経路設計システム。
【0104】
(付記9)熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するコスト関数の入力を受け付ける関数入力手段と、
中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、前記コスト関数を学習する学習手段とを備えた
ことを特徴とするコスト関数学習装置。
【0105】
(付記10)熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するコスト関数、並びに、新たに経路設計を行う網に関して、中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報および制約条件の入力を受け付ける条件入力手段と、
入力された前記中継地点情報に基づいて、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する中継地点選択手段と、
前記制約条件を満たすように前記網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する設計経路出力手段とを備え、
前記条件入力手段は、前記中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータとを用いた逆強化学習により学習された前記コスト関数の入力を受け付ける
ことを特徴とする設計経路出力装置。
【0106】
(付記11)熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するコスト関数の入力を受け付け、
中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、前記コスト関数を学習する学習手段とを備えた
ことを特徴とする経路設計方法。
【0107】
(付記12)新たに経路設計を行う網についての前記中継地点情報、および、制約条件の入力を受け付け、
入力された前記中継地点情報に基づいて、コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択し、
前記制約条件を満たすように前記網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する
付記11記載の経路設計方法。
【0108】
(付記13)熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するコスト関数、並びに、新たに経路設計を行う網に関して、中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報および制約条件の入力を受け付け、
入力された前記中継地点情報に基づいて、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択し、
前記制約条件を満たすように前記網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力し、
前記条件入力の際、前記中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータとを用いた逆強化学習により学習された前記コスト関数の入力を受け付ける
ことを特徴とする設計経路出力方法。
【0109】
(付記14)コンピュータに、
熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するコスト関数の入力を受け付ける関数入力処理、および、
中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、前記コスト関数を学習する学習処理
を実行させるためのコスト関数学習プログラムを記憶するプログラム記憶媒体。
【0110】
(付記15)コンピュータに、
熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するコスト関数、並びに、新たに経路設計を行う網に関して、中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報および制約条件の入力を受け付ける条件入力処理、
入力された前記中継地点情報に基づいて、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する中継地点選択処理、および、
前記制約条件を満たすように前記網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する設計経路出力処理を実行させ、
前記条件入力処理で、前記中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータとを用いた逆強化学習により学習された前記コスト関数の入力を受け付けさせる
ための設計経路出力プログラムを記憶するプログラム記憶媒体。
【0111】
(付記16)コンピュータに、
熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するコスト関数の入力を受け付ける関数入力処理、および、
中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータを用いた逆強化学習により、前記コスト関数を学習する学習処理
を実行させるためのコスト関数学習プログラム。
【0112】
(付記17)コンピュータに、
熟練者が中継地点の候補の選択および経路の設計の際に意図すると想定される各特徴量に重視度合いがそれぞれ重み付けされた項の線形和で表された、当該中継地点の候補の選択および当該経路の設計の少なくとも一方において生じるコストを算出するコスト関数、並びに、新たに経路設計を行う網に関して、中継地点を示す情報に当該中継地点の周辺情報および当該中継地点の利用情報を対応付けたデータである中継地点情報および制約条件の入力を受け付ける条件入力処理、
入力された前記中継地点情報に基づいて、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる中継地点の候補を、入力された制約条件を満たすように選択する中継地点選択処理、および、
前記制約条件を満たすように前記網における一部または全部の中継地点を経由する経路のうち、前記コスト関数により算出されるコストが最小になる経路を出力する設計経路出力処理を実行させ、
前記条件入力処理で、前記中継地点情報と、各中継地点を経由する経路の実績データである経路実績情報とを含むトレーニングデータとを用いた逆強化学習により学習された前記コスト関数の入力を受け付けさせる
ための設計経路出力プログラム。
【0113】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0114】
1,2 経路設計システム
10 経路設計データ記憶装置
20,20a,20b 学習装置
21,21a,21b コスト関数入力部
22 データ抽出部
23 中継地点学習部
24 経路学習部
25,25a,25b 学習結果出力部
26 記憶部
30 設計経路出力装置
31 条件入力部
32 中継地点選択部
33 経路設計部
34 設計経路出力部
35 記憶部
40 表示装置
図1
図2
図3
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図10