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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】外装材の接続構造及び外装施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/12 20060101AFI20241126BHJP
   E04D 3/40 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
E04F13/12 101K
E04D3/40 P
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023012561
(22)【出願日】2023-01-31
(65)【公開番号】P2024108274
(43)【公開日】2024-08-13
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】中松 保二
(72)【発明者】
【氏名】竹山 忠司
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-127618(JP,U)
【文献】特開2000-186411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
E04D 3/00- 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
勾配屋根下地の勾配方向に複数並べて配置される屋根外装材のうち最も水下側の屋根外装材と、壁下地に上下方向に複数並べて配置される壁外装材のうち最も上側に配置されている上端壁外装材と、を接続する外装材の接続構造であって、
前記屋根外装材は、水下側の端部に下向きに折り返されてフック状に形成される屋根材係止部を有し、水上側の端部に、勾配屋根下地に固定され水上側に隣接する前記屋根外装材の端部に覆われる屋根材固定部と、水上側に隣接する前記屋根外装材の前記屋根材係止部が係止される屋根材被係止部と、を有し、
前記上端壁外装材は、上端部に形成され、前記勾配屋根下地に当接し当該勾配屋根下地に固定される上端固定部と、最も水下側の前記屋根外装材の前記屋根材係止部が係止される上端被係止部と、を有する、
ことを特徴とする外装材の接続構造。
【請求項2】
前記上端壁外装材以外の前記壁外装材は、前記屋根外装材と同一の部材であり、前記屋根材固定部及び前記屋根材被係止部と同一形状の外壁固定部及び外壁被係止部を上端部に配置し、前記屋根材係止部と同一形状の外壁係止部を下端部に配置するものであり、
前記上端壁外装材は、当該上端壁外装材以外の前記壁外装材の上端部を折り曲げて、前記外壁固定部及び前記外壁被係止部を前記上端固定部及び前記上端被係止部としたものであることを特徴とする請求項1に記載の外装材の接続構造。
【請求項3】
請求項2に記載の外装材の接続構造を施工する外装施工方法であって、
前記上端壁外装材の前記上端固定部を前記勾配屋根下地に当接させたときの前記壁外装材の割り付けに基づいて、最も下側の壁外装材を切断する工程と、
切断した前記壁外装材の前記外壁固定部を前記壁下地に固定した後、上側に隣接して配置される前記壁外装材の前記外壁係止部を下側の前記壁外装材の前記外壁被係止部に引っ掛けて、上側の前記壁外装材の前記外壁固定部を前記壁下地に固定する工程を繰り返し、
その後、前記上端壁外装材の前記外壁係止部をその下側の前記壁外装材の前記外壁被係止部に引っ掛けて、当該上端壁外装材の前記上端固定部を前記勾配屋根下地に固定し、
最も水下側の前記屋根外装材の前記屋根材係止部を前記上端壁外装材の前記上端被係止部に引っ掛けて、当該屋根外装材の前記屋根材固定部を前記勾配屋根下地に固定した後、水上側に隣接して配置される前記屋根外装材の前記屋根材係止部を水下側の前記屋根外装材の前記屋根材被係止部に引っ掛けて、水上側の前記屋根外装材の前記屋根材固定部を前記勾配屋根下地に固定する工程を繰り返して、
建物の外装を形成することを特徴とする外装施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根面と壁面とが連続して形成される位置における屋根外装材と、壁外装材とを接続する外装材の接続構造及び当該外装材の接続構造を含む外装施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属薄板で形成された屋根材が知られている。このような屋根材には、一方の縁部に断面フック状に折り返された形状の係止部が形成され、他方の縁部に係止部が係止可能な形状に形成された被係止部が形成されている(特許文献1及び特許文献2参照)。そして、屋根の勾配方向に沿って複数枚の屋根材が固定される際に、隣接する一方の屋根材の係止部を、他方の屋根材の被係止部に係止して、屋根材の縁を重ね合わせるように配置することで、屋根材の上を流れる雨水が、屋根材の下に浸入することを抑制している。
【0003】
このような屋根材の軒先の部分には、軒先の屋根材を位置決めし、軒先に屋根材を固定する先端固定役物と呼ばれる金属材や、軒先の防水性を確保するための軒先水切が設けられていた(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭51-140327号公報
【文献】特開2021-147798号公報
【文献】特開2022-190961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のように、従来の軒先構造では、軒先水切や先端固定金物が必要となり、部品点数が増加するとともに、雨水の浸入対策としてシーリング処理も必要となり複雑で工数が多くなる。
【0006】
そこで、本発明は、単純な形状で防水性を確保することができ、より施工性を高めることができる壁と屋根との接続部分の外装材の接続構造及び外装施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の外装材の接続構造は、勾配屋根下地の勾配方向に複数並べて配置される屋根外装材のうち最も水下側の屋根外装材と、壁下地に上下方向に複数並べて配置される壁外装材のうち最も上側に配置される上端壁外装材と、を接続する外装材の接続構造であって、前記屋根外装材は、水下側の端部に下向きに折り返されてフック状に形成される屋根材係止部を有し、水上側の端部に、勾配屋根下地に固定され水上側に隣接する前記屋根外装材の端部に覆われる屋根材固定部と、水上側に隣接する前記屋根外装材の前記係止部が係止される屋根材被係止部と、を有し、前記上端壁外装材は、上端部に形成され、前記勾配屋根下地に当接し当該勾配屋根下地に固定される上端固定部と、最も水下側の前記屋根外装材の前記屋根材係止部が係止される上端被係止部と、を有する、ことを特徴としている。
【0008】
本発明の第二の外装材の接続構造は、第一の外装材の接続構造の特徴に加えて、前記上端壁外装材以外の前記壁外装材は、前記屋根外装材と同一形状の部材であり、前記屋根材固定部及び前記屋根材被係止部と同一形状の外壁固定部及び外壁被係止部を上端部に配置し、前記屋根材係止部と同一形状の外壁係止部を下端部に配置するものであり、前記上端壁外装材は、当該上端壁外装材以外の前記壁外装材の上端部を折り曲げて、前記外壁固定部及び前記外壁被係止部を前記上端固定部及び前記上端被係止部としたものであることを特徴としている。
【0009】
本発明の外装施工方法は、第一の外装材の接続構造又は第二の外装材の接続構造を施工する外装施工方法であって、前記上端壁外装材の前記上端固定部を前記勾配屋根下地に当接させたときの前記壁外装材の割り付けに基づいて、最も下側の前記壁外装材を切断する工程と、最も下側の前記壁外装材の前記外壁固定部を前記壁下地に固定した後、上側に隣接して配置される前記壁外装材の前記外壁係止部を下側の前記壁外装材の前記外壁被係止部に引っ掛けて、上側の前記壁外装材の前記外壁固定部を前記壁下地に固定する工程を繰り返し、その後、前記上端壁外装材の前記外壁係止部をその下側の前記壁外装材の前記外壁被係止部に引っ掛けて、当該上端壁外装材の前記上端固定部を前記勾配屋根下地に固定し、最も水下側の前記屋根外装材の前記屋根材係止部を前記上端壁外装材の前記上端被係止部に引っ掛けて、当該屋根外装材の前記屋根材固定部を前記勾配屋根下地に固定した後、水上側に隣接して配置される前記屋根外装材の前記屋根材係止部を水下側の前記屋根外装材の前記屋根材被係止部に引っ掛けて、水上側の前記屋根外装材の前記屋根材固定部を前記勾配屋根下地に固定する工程を繰り返して、建物の外装を形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の外装材の接続構造によると、屋根外装材が、水下側の端部に、下向きに折り返されてフック状に形成される屋根材係止部を有し、水上側の端部に、勾配屋根下地に固定され水上側に隣接する屋根外装材の端部に覆われる屋根材固定部と、水上側に隣接する屋根外装材の係止部が係止される屋根材被係止部と、を有するので、水下側に固定された屋根外装材の水上側の端部の屋根材被係止部に、水上側に隣接する屋根外装材の屋根材係止部が係止されることで、簡単な施工で、水下側の屋根外装材の屋根材固定部を水上側に隣接する屋根外装材で覆って、屋根外装材の上を流れる雨水が当該屋根外装材の下に浸入することを防止することができる。そして、上端壁外装材の上端部に、勾配屋根下地に当接し当該勾配屋根下地に固定される上端固定部が形成されており、最も水下側の屋根外装材の屋根材係止部が係止される上端被係止部が形成されているので、上端被係止部に、最も水下側の屋根外装材の係止部が係止されることで、簡単な施工で、壁外装材の上端固定部を屋根外装材で覆って、屋根外装材と壁外装材との接続箇所の防水性を高めることができる。単に上端壁外装材の上端被係止部に屋根外装材の係止部を固定するだけでよいので、軒先の水切材や水下側の屋根を固定するための役物などを固定する必要がなくなり、施工性を向上させることができる。
【0011】
本発明の外装材の接続構造によると、壁外装材のうち、上端壁外装材以外の壁外装材は、屋根外装材と同一の部材であるので、同じ部材を屋根外装材と壁外装材とに共用することができ、部品点数を削減することができる。そして、壁外装材は、屋根材固定部及び屋根材被係止部と同一形状の外壁固定部及び外壁被係止部を上端部に配置し、屋根材係止部と同一形状の外壁係止部を下端部に配置するものであるので、下側に固定される壁外装材の外壁被係止部に、上側に隣接する壁外装材の外壁係止部を係止することで、壁外装材の施工作業を簡単にすることができる。さらに、上端壁外装材は、上端壁外装材以外の壁外装材の上端部を折り曲げて、外壁固定部及び外壁被係止部を上端固定部及び上端被係止部としたものであるので、屋根外装材及び壁外装材と同じ部材を現場で簡単に加工して上端壁外装材とすることができ、部品点数を削減することができるとともに、壁面から屋根面を連続して施工することができ簡単に、かつ、手早く施工することができる。
【0012】
本発明の外装施工方法によると、上端壁外装材の上端固定部を勾配屋根下地に当接させたときの壁外装材の割り付けに基づいて、最も下側の壁外装材を切断することで、最も下側の壁外装材の外壁被係止部を適切な位置に配置することができ、順次上側に隣接して配置される壁外装材の外壁係止部を下側の壁外装材の外壁被係止部に引っ掛けて、上側の壁外装材の外壁固定部を壁下地に固定する工程を繰り返し、その後、上端壁外装材の外壁係止部をその下側の壁外装材の外壁被係止部に引っ掛けて、当該上端壁外装材の上端固定部を勾配屋根下地に固定して、外壁面を形成するので、壁下地材の全面を覆うように壁外装材を適切に配置することができる。さらに、最も水下側の屋根外装材の屋根材係止部を上端壁外装材の上端被係止部に引っ掛けて、当該屋根外装材の屋根材固定部を勾配屋根下地に固定した後、水上側に隣接して配置される屋根外装材の屋根材係止部を水下側の屋根外装材の屋根材被係止部に引っ掛けて、水上側の屋根外装材の屋根材固定部を勾配屋根下地に固定する工程を繰り返して勾配屋根の外装を形成するので、壁外装材と屋根外装材とを同じ手順で連続して施工することができ、容易かつ素早く施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】外装材の接続構造の全体構成を説明する部分断面図。
図2】屋根外装材の外観構成を説明する斜視図。
図3】屋根外装材の形状を説明する側面図及び一部拡大図。
図4】壁外装材の形状を説明する側面図。
図5】上端壁外装材の形状を説明する側面図。
図6】壁外装材の上端部を折り曲げて上端壁外装材を形成する状態を説明する一部拡大図。
図7】最も下側の壁外装材を準備する工程を説明する図。
図8】最も下側の壁外装材を壁下地にビス止めする工程を説明する図。
図9】上側の外装材の外壁係止部を下側の外装材の外壁被係止部に係止する状態を説明する図。
図10】上端壁外装材を固定して外壁面を完成させた状態を説明する図。
図11】上端壁外装材の上端固定部を勾配屋根下地の水下端部にビス固定する状態を説明する図。
図12】上端壁外装材の上端被係止部に最も水下側の屋根外装材の屋根材係止部を係止する状態を説明する図。
図13】水下側の屋根外装材の屋根材被係止部に水上側の屋根外装材の屋根材係止部を係止する状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の外装材の接続構造1及び外装施工方法について各図を参照しつつ説明する。本実施形態の外装材の接続構造1が設けられる建物は、勾配屋根を有しており、当該勾配屋根に屋根の付帯部としてのドーマーが形成されている。ドーマーは、2つの互いに離反する方向に下り勾配の勾配屋根面2と、勾配屋根面2の水下端縁から鉛直に形成される外壁面3とを有する切妻型のドーマーである。本実施形態における外装材の接続構造1は、このドーマーの勾配屋根面2及び外壁面3を形成する外装材の接続構造1及び、当該勾配屋根面2及び外壁面3を形成する外装施工方法である。なお、本発明における外装材の接続構造1及び外装施工方法は、ドーマーの勾配屋根面2及び外壁面3を形成するものに限定されるものではなく、勾配屋根面2から軒が突出されておらず、勾配屋根面2の水下端縁と外壁面3の上端縁とが連続する構造であれば、ドーマー以外の屋根の付帯部や建物自体の勾配屋根面2及び外壁面3の外装材の接続構造1及び外装施工方法であってもよい。
【0015】
外装材の接続構造1は、図1に示すように、勾配屋根下地4の上に固定され敷設される屋根外装材5のうち最も水下側の屋根外装材5と、壁下地8に固定され配置される壁外装材6のうち上端壁外装材7と、が互いに接続されて形成されている。勾配屋根下地4は、例えば垂木等の木製斜材が架設された図示しない小屋組みの上に木製板材40を固定し、その上面に防水シート41を貼付して形成されている。また壁下地8は、例えば木製柱材の屋外側に壁合板80を張り付けて固定し、その屋外側の面に防水シート41を貼付して形成されている。勾配屋根下地4の防水シート41と壁下地8の防水シート41とは連続して張り付けられており、勾配屋根下地4と壁下地8との間の防水性を保っている。
【0016】
屋根外装材5は、図2及び図3に示すように、板厚の薄い金属板を折曲して形成された金属屋根瓦であり、水下側の端部に下向きに折り返されてフック状に形成される屋根材係止部50を有し、水上側の端部に、勾配屋根下地4に固定され水上側に隣接する屋根外装材5の端部に覆われる屋根材固定部51と、水上側に隣接する屋根外装材5の屋根材係止部50が係止される屋根材被係止部52と、を有する。屋根材係止部50は、図3βに示すように、水下側の一端から下方向に垂れ下がり、さらに下端を水上側に折曲して形成されており、水下側に隣接する屋根材被係止部52に引っ掛けられるフック状である。屋根材固定部51は、図3αに示すように、屋根外装材5の水上側の端部に平板状に形成されており、勾配屋根下地4にビス9で留め付けられる。屋根材被係止部52は、屋根材固定部51に隣接して屋根材固定部51の水下側に形成されている。屋根材被係止部52は、平坦な屋根材固定部51から膨出するように水下側に形成され、膨出した部分の下に折り返されて屋根材係止部50を引っ掛けることができるV字溝状に形成されている。なお、図示しないが屋根外装材5の下部には例えばポリスチレンフォームで形成された断熱材や消音材などの機能性を持った材料が充填されるものであってもよい。
【0017】
壁外装材6のうち、最も上側の上端壁外装材7以外の壁外装材6は、図4に示すように、上述の屋根外装材5と配置される箇所が異なる他は、同一の部材である。具体的には、上端屋根外装材7以外の壁外装材6は、板厚の薄い金属板を折曲して形成された金属壁材であり、屋根材固定部51及び屋根材被係止部52と同一形状の外壁固定部60及び外壁被係止部62を上端部63に配置し、屋根材係止部50と同一形状の外壁係止部61を下端部に配置して、壁下地8に固定されている。外壁係止部61は、壁外装材6の下端が屋内方向に折れ曲がり、さらに上方向に折り返されて形成され、下側に隣接する外壁被係止部62に引っ掛けられるフック状である。外壁固定部60は、壁外装材6の上端に鉛直な平板状に形成されており、壁下地8にビス9で留め付けられる。外壁被係止部62は、外壁固定部60に隣接して外壁固定部60の下側に形成されている。外壁被係止部62は、平坦な外壁固定部60から膨出するように下側に形成され、膨出した部分の内側に折り返されて外壁係止部61を引っ掛けることができる逆V字状に形成されている。なお、壁外装材6の内側には屋根外装材5と同様に例えばポリスチレンフォームで形成された断熱材や消音材などの機能性を持った材料が充填されるものであってもよい。
【0018】
上端壁外装材7は、図5及び図6に示すように、上述した上端壁外装材7以外の壁外装材6の上端部63を折り曲げて形成されている。具体的には、上述した壁外装材6の外壁固定部60が勾配屋根下地4に当接するように、上端壁外装材7以外の壁外装材6の上端部63に形成された外壁固定部60及び外壁被係止部62を勾配屋根面2側に倒す方向に折り曲げて、当該外壁固定部60及び外壁係止部61を上端固定部70及び上端被係止部71としたものである。上端壁外装材7の下端部には、他の壁外装材6と同様に外壁係止部61が形成されている。外壁係止部61は、下端から屋内方向に折れ曲がり、さらに上方向折り返されて形成され、下側に隣接する外壁被係止部62に引っ掛けられるフック状である。上端固定部70は、屋根勾配に沿う平板状で、勾配屋根下地4の水下側の端部にビス9で留め付けられる。上端被係止部71は、上端固定部70に隣接して、勾配屋根下地4から突出して形成されている。上端被係止部71は、平坦な上端固定部70から膨出するように下側に形成され、最も水下側の屋根材係止部50を引っ掛けることができる形状となっている。
【0019】
上端壁外装材7は、その他の壁外装材6の上端部63を屋根勾配下地4に沿うように建築現場で折り曲げ加工して用いられる。屋根外装材5と上端壁外装材7以外の壁外装材6は、同一の部材であり、上端壁外装材7もその他の壁外装材6の上端部63を折り曲げ加工するのみで形成されるものであるので、外壁面3及び勾配屋根面2は同じ部材で構成されることとなり、外壁面材と屋根面材とを別々に用意する場合に比べて部材の管理や調達を容易にすることができる。
【0020】
なお、屋根外装材5及び壁外装材6を同一の部材で構成し、上端壁外装材7をその他の壁外装材6の上端部を折り曲げて形成することで部品点数を削減し、コストや施工性を向上させることができるが、本発明の外装材の接続構造1はこれに限定されるものではなく、屋根外装材5、壁外装材6、及び上端壁外装材7が異なる部材で構成されていてもよい。この場合でも上端壁外装材7に勾配屋根下地4にビス止め可能な上端固定部70と上端被係止部71が形成され、屋根外装材5の屋根材係止部50が上端被係止部71に係止可能な形状であれば施工性を向上させることができる。
【0021】
外装材の接続構造1を用いた外装面を施工する外装施工方法は、まず最も下側の壁外装材6を準備する。具体的には、図7に示すように、壁下地8の高さを計測し、1枚の壁外装材6を割り付ける高さで、壁下地8の高さを割って、その余りを算出する。そして、この余りの数値に基づいて上端壁外装材7以外の壁外装材6の下側部分64を切り取って、上側の残った部分65を最も下側の壁外装材6とする。すなわち、上端から順に、上端壁外装材7及び最も上側以外の壁外装材6を割り付けた場合に、壁下地8の下部に生じうる余白部66の高さに適合するように最も下側の壁外装材6を切断する。
【0022】
そして、図8及び図9に示すように、最も下側の壁外装材6の外壁固定部60を壁下地8にビス9を打ち込んで固定する。その後、図9及び図10に示すように、当該壁外装材6の上側に隣接して配置される壁外装材6の外壁係止部61を下側の壁外装材6の外壁被係止部62に引っ掛けて、上側の壁外装材6の外壁固定部60を壁下地8に固定する。
【0023】
そして、図10に示すように、上側の壁外装材6の外壁係止部61を下側の壁外装材6の外壁被係止部62に引っ掛けて、上側の壁外装材6の外壁固定部60を壁下地8にビス9を打ち込んで固定する工程を繰り返す。その後、図6に示すように、壁外装材6の上端部63を屋根勾配に沿うように折り曲げ加工して上端壁外装材7を形成し、図10及び図11に示すように、当該上端壁外装材7の外壁係止部61をその下側の壁外装材6の外壁被係止部62に引っ掛けて、上端壁外装材7の上端固定部70を勾配屋根下地4の水下側の端部付近にビス9で固定する。
【0024】
次に、図12に示すように、最も水下側の屋根外装材5の屋根材係止部50を上端壁外装材7の上端被係止部71に引っ掛けて、当該屋根外装材5の屋根材固定部51を勾配屋根下地4に固定する。さらに、図13に示すように、水上側に隣接して配置される屋根外装材5の屋根材係止部50を水下側の屋根外装材5の屋根材被係止部52に引っ掛けて、水上側の屋根外装材5の屋根材固定部51を勾配屋根下地4に固定する工程を繰り返して、図1に示すように、勾配屋根面2及び外壁面3からなる外装を形成する。
【0025】
このように、上端壁外装材7の上端被係止部71に最も水下側の屋根外装材5の屋根材係止部50を引っ掛けるだけで、屋根外装材5と壁外装材6との接続部を施工することができるので、壁外装材6の施工と屋根外装材5の施工とを途切れることなく連続して施工することができる。また、壁外装材6と屋根外装材5とが連続することで、鼻隠しなどの見切り材や屋根の水下端縁の水切材を設けることなく、意匠性や防水性を確保することができ、最も水下側の屋根外装材5を固定するための先端固定役物などの金物を必要とすることなく施工することができるので、必要な部材を削減できるとともに、これらの部材が不要となることで工数を短縮することもできる。
【0026】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【0027】
<第一の特徴>
本発明の第一の外装材の接続構造は、勾配屋根下地の勾配方向に複数並べて配置される屋根外装材のうち最も水下側の屋根外装材と、壁下地に上下方向に複数並べて配置される壁外装材のうち最も上側に配置されている上端壁外装材と、を接続する外装材の接続構造であって、前記屋根外装材は、水下側の端部に下向きに折り返されてフック状に形成される屋根材係止部を有し、水上側の端部に、勾配屋根下地に固定され水上側に隣接する前記屋根外装材の端部に覆われる屋根材固定部と、水上側に隣接する前記屋根外装材の前記屋根材係止部が係止される屋根材被係止部と、を有し、前記上端壁外装材は、上端部に形成され、前記勾配屋根下地に当接し当該勾配屋根下地に固定される上端固定部と、最も水下側の前記屋根外装材の前記屋根材係止部が係止される上端被係止部と、を有する、ことを特徴としている。
【0028】
これによると、屋根外装材が、水下側の端部に、下向きに折り返されてフック状に形成される屋根材係止部を有し、水上側の端部に、勾配屋根下地に固定され水上側に隣接する屋根外装材の端部に覆われる屋根材固定部と、水上側に隣接する屋根外装材の係止部が係止される屋根材被係止部と、を有するので、水下側に固定された屋根外装材の水上側の端部の屋根材被係止部に、水上側に隣接する屋根外装材の係止部が係止されることで、簡単な施工で、水下側の屋根外装材の屋根材固定部を水上側に隣接する屋根外装材で覆って、屋根外装材の上を流れる雨水が当該屋根外装材の下に浸入することを防止することができる。そして、上端壁外装材の上端部に、勾配屋根下地に当接し当該勾配屋根下地に固定される上端固定部が形成されており、最も水下側の屋根外装材の屋根材係止部が係止される上端被係止部が形成されているので、上端被係止部に、最も水下側の屋根外装材の係止部が係止されることで、簡単な施工で、壁外装材の上端固定部を屋根外装材で覆って、屋根外装材と壁外装材との接続箇所の防水性を高めることができる。単に壁外装材の上端被係止部に屋根外装材の係止部を固定するだけでよいので、軒先の水切材や水下側の屋根を固定するための役物などを固定する必要がなくなり、施工性を向上させることができる。
【0029】
<第二の特徴>
本発明の第二の外装材の接続構造は、第一の外装材の接続構造の特徴に加えて、前記上端壁外装材以外の前記壁外装材は、前記屋根外装材と同一の部材であり、前記屋根材固定部及び前記屋根材被係止部と同一形状の外壁固定部及び外壁被係止部を上端部に配置し、前記屋根材係止部と同一形状の外壁係止部を下端部に配置するものであり、前記上端壁外装材は、当該上端壁外装材以外の前記壁外装材の上端部を折り曲げて、前記外壁固定部及び前記外壁被係止部を前記上端固定部及び前記上端被係止部としたものであることを特徴としている。
【0030】
これによると、壁外装材のうち、上端壁外装材以外の壁外装材は、屋根外装材と同一の部材であるので、同じ部材を屋根外装材と壁外装材とに共用することができ、部品点数を削減することができる。そして、壁外装材は、屋根材固定部及び屋根材被係止部と同一形状の外壁固定部及び外壁被係止部を上端部に配置し、屋根材係止部と同一形状の外壁係止部を下端部に配置するものであるので、下側に固定される壁外装材の外壁被係止部に、上側に隣接する壁外装材の外壁係止部を係止することで、壁外装材の施工作業を簡単にすることができる。さらに、上端壁外装材は、最も上側以外の外装材の上端部を折り曲げて、外壁固定部及び外壁被係止部を上端固定部及び上端被係止部としたものであるので、屋根外装材及び壁外装材と同じ部材を現場で簡単に加工して上端壁外装材とすることができ、部品点数を削減することができるとともに、壁面から屋根面を連続して施工することができ簡単に、かつ、手早く施工することができる。
【0031】
<第三の特徴>
本発明の外装施工方法は、第一の外装材の接続構造又は第二の外装材の接続構造を施工する外装施工方法であって、記上端壁外装材の前記上端固定部を前記勾配屋根下地に当接させたときの前記壁外装材の割り付けに基づいて、最も下側の壁外装材を切断する工程と、切断した前記壁外装材の前記外壁固定部を前記壁下地に固定した後、上側に隣接して配置される前記壁外装材の前記外壁係止部を下側の前記壁外装材の前記外壁被係止部に引っ掛けて、上側の前記壁外装材の前記外壁固定部を前記壁下地に固定する工程を繰り返し、その後、前記上端壁外装材の前記外壁係止部をその下側の前記壁外装材の前記外壁被係止部に引っ掛けて、当該上端壁外装材の前記上端固定部を前記勾配屋根下地に固定し、最も水下側の前記屋根外装材の前記屋根材係止部を前記上端壁外装材の前記上端被係止部に引っ掛けて、当該屋根外装材の前記屋根材固定部を前記勾配屋根下地に固定した後、水上側に隣接して配置される前記屋根外装材の前記屋根材係止部を水下側の前記屋根外装材の前記屋根材被係止部に引っ掛けて、水上側の前記屋根外装材の前記屋根材固定部を前記勾配屋根下地に固定する工程を繰り返して、建物の外装を形成することを特徴としている。
【0032】
これによると、上端壁外装材の上端固定部を勾配屋根下地に当接させたときの壁外装材の割り付けに基づいて、最も下側の壁外装材を切断することで、最も下側の壁外装材の外壁被係止部を適切な位置に配置することができ、順次上側に隣接して配置される壁外装材の外壁係止部を下側の壁外装材の外壁被係止部に引っ掛けて、上側の壁外装材の外壁固定部を壁下地に固定する工程を繰り返し、その後、上端壁外装材の外壁係止部をその下側の壁外装材の外壁被係止部に引っ掛けて、当該上端壁外装材の上端固定部を勾配屋根下地に固定して、外壁面を形成するので、壁下地材を覆うように壁外装材を適切に配置することができる。さらに、最も水下側の屋根外装材の屋根材係止部を上端壁外装材の上端被係止部に引っ掛けて、当該屋根外装材の屋根材固定部を勾配屋根下地に固定した後、水上側に隣接して配置される屋根外装材の屋根材係止部を水下側の屋根外装材の屋根材被係止部に引っ掛けて、水上側の屋根外装材の屋根材固定部を勾配屋根下地に固定する工程を繰り返して勾配屋根の外装を形成するので、壁外装材と屋根外装材とを同じ手順で連続して施工することができ、容易かつ素早く施工することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る外装材の接続構造及び外装施工方法は、例えば住宅の屋根のドーマーなどの付帯部の外装の構造として好適である。
【符号の説明】
【0034】
1 外装材の接続構造
4 勾配屋根下地
5 屋根外装材
6 壁外装材
7 上端壁外装材
8 壁下地
50 屋根材係止部
51 屋根材固定部
52 屋根材被係止部
60 外壁固定部
61 外壁係止部
62 外壁被係止部
70 上端固定部
71 上端被係止部
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