(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】読取装置及び複写装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241126BHJP
H04N 1/12 20060101ALI20241126BHJP
H04N 1/10 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H04N1/00 519
H04N1/00 E
H04N1/12
H04N1/10
(21)【出願番号】P 2023115738
(22)【出願日】2023-07-14
(62)【分割の表示】P 2022119347の分割
【原出願日】2018-10-30
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】森 和紀
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-219917(JP,A)
【文献】特開平02-135468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/12
H04N 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を載置する原稿台を有する筐体と、
相対回動可能な第1部材と第2部材とを有するヒンジを介して前記筐体の上部においてヒンジを介して回動するカバーと、
前記カバーに搭載された給送部と、
前記原稿台に載置された原稿及び前記給送部が給送した原稿を読み取る読取部と、
前記第2部材に固定された状態で前記カバーの回動半径方向に延伸する補強フレームと、
前記原稿台に移動可能に収容される前記読取部としての第1読取部と、前記給送部において搬送経路の途中で原稿を読み取る第2読取部と、を備え、
前記第1部材が前記筐体を構成するフレームに固定され、
前記第2部材が前記給送部及び前記カバーを支持し、
前記給送部のフレームは、前記補強フレームと固定され
、
前記補強フレームは、前記給送部における前記回動半径方向と交差する幅方向において、前記給送部により搬送された原稿を読み取る読取位置にある前記第1読取部と前記第2読取部とのそれぞれの外側端部の間の範囲に配置されている、ことを特徴とする読取装置。
【請求項2】
原稿を載置する原稿台を有する筐体と、
相対回動可能な第1部材と第2部材とを有するヒンジを介して前記筐体の上部においてヒンジを介して回動するカバーと、
前記カバーに搭載された給送部と、
前記原稿台に載置された原稿及び前記給送部が給送した原稿を読み取る読取部と、
前記第2部材に固定された状態で前記カバーの回動半径方向に延伸する補強フレームと、を備え、
前記第1部材が前記筐体を構成するフレームに固定され、
前記第2部材が前記給送部及び前記カバーを支持し、
前記給送部のフレームは、前記補強フレームと固定され
、
前記給送部の前記フレームは、
前記回動半径方向の両側に配置された一対の側板フレームと、
前記一対の側板フレームを支持する支持フレームと、
を有し、
前記補強フレームは、前記支持フレームの上方に位置し、前記支持フレームに対して前記回動半径方向の両端部で固定され、前記両端部の固定箇所の間の範囲の少なくとも一部で前記支持フレームと隙間を隔てて配置されている、ことを特徴とする読取装置。
【請求項3】
前記補強フレームは、前記回動半径方向と交差する方向の断面の形状がU字状であって、当該補強フレームよりも下方に位置する前記支持フレームに対して、前記U字状の底部にて、前記回動半径の接線方向を軸線方向とするねじ部材により固定されている、ことを特徴とする請求項
2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記原稿台に移動可能に収容される前記読取部としての第1読取部と、前記給送部において搬送経路の途中で原稿を読み取る第2読取部とを備え、
前記補強フレームは、前記給送部における前記回動半径方向と交差する幅方向において、前記給送部により搬送された原稿を読み取る読取位置にある前記第1読取部と前記第2読取部とのそれぞれの外側端部の間の範囲に配置されている、ことを特徴とする
請求項2又は請求項3に記載の読取装置。
【請求項5】
前記補強フレームは、前記回動半径方向に前記給送部及びカバーの重心位置を超える位
置まで延伸している、ことを特徴とする請求項1
~請求項4のいずれか一項に記載の読取装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の読取装置と、
前記読取装置の前記読取部が読み取った原稿の画像を媒体に記録する記録部を前記筐体内に有する記録装置と、
を有し、
前記読取装置の下方に前記記録装置が配置されている、
ことを特徴とする複写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取る読取装置及び当該読取装置を備えた複写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、読取装置の一例としての画像読取ユニットを備えた複写機が開示されている。画像読取ユニットは、画像形成部の上に固定されたスキャナーと、これに支持されるシート分離搬送装置としての原稿自動搬送装置(ADF)とを有している。画像形成部の上に固定されたスキャナー及びADFを有する画像読取ユニットは、固定読取部や移動読取部を有している。
【0003】
ADFは、本体カバーに、読取前の原稿を載置するための原稿載置台、原稿を搬送する原稿搬送部、読取後の原稿をスタックする原稿スタック台などを保持している。ADFは、台座部であるスキャナーに固定されたヒンジ機構により回動可能に支持されている。スキャナーの上面には原稿台ガラスが保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された画像読取ユニットでは、ADFを搭載するカバーを開
けたときにADFの重量によってADFが変形する恐れがある。このため、ADFのスキャナーに対する開閉を繰り返すうちに、ADFが変形し、ADFが搬送する原稿の位置がずれてしまう。このように原稿台と給送部とを備えた読取装置において、原稿の良好な読取画像が得られなくなるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する読取装置は、原稿を載置する原稿台を有する筐体と、前記筐体の上部においてヒンジを介して回動するカバーと、前記カバーに搭載された給送部と、前記原稿台に載置された原稿及び前記給送部が給送した原稿を読み取る読取部と、前記筐体を構成し前記原稿台を支持する第1フレームと、前記筐体を構成し前記ヒンジが固定された第2フレームと、を有する。
【0007】
上記課題を解決する読取装置は、原稿を載置する原稿台を有する筐体と、前記筐体の上部においてヒンジを介して回動するカバーと、前記カバーに搭載された給送部と、前記原稿台に載置された原稿及び前記給送部が給送した原稿を読み取る読取部と、を備え、前記ヒンジは、相対回動可能な第1部材と第2部材とを有し、前記第1部材が前記筐体を構成するフレームに固定され、前記第2部材が前記給送部及び前記カバーを支持し、前記第2部材に固定された状態で前記カバーの回動半径方向に延伸する補強フレームを備え、前記給送部のフレームは、前記補強フレームと固定されている。
【0008】
上記課題を解決する複写装置は、上記読取装置と、前記読取装置の前記読取部が読み取った原稿の画像を媒体に記録する記録部を前記筐体内に有する記録装置と、を有し、前記読取装置の下方に前記記録装置が配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】カバーの開状態にある読取装置を示す斜視図。
【
図5】ガラスを取り外した状態の原稿台を示す斜視図。
【
図11】外装カバーを取り外したADFを示す斜視図。
【
図12】カバーに搭載されたADFを示す側断面図。
【
図14】変更例におけるスキャナー装置を示す斜視図。
【
図15】ADFを搭載するカバーが開状態にあるスキャナー装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、記録装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、複写装置の一例としての複合機11は、水平な使用場所に設置された状態で、高さ、奥行、及び幅としてそれぞれ所定の長さを有する筐体12と、筐体12上に配置された読取装置13を備える。読取装置13は、筐体12上に配置された原稿台31を有する原稿読取装置14と、原稿台31に対して開閉可能に設けられたカバー15と、カバー15に搭載された給送部の一例としての自動原稿送り装置16(ADF(Auto Document Feeder))とを備えている。
【0011】
筐体12は、カバー15を開けて原稿Dを載置する原稿台31を上部に有している。カバー15は、筐体12の上部において一対のヒンジ30(
図3参照)を介して回動可能に設けられている。カバー15は、原稿台31の載置面を露出させる開位置と
図1に示す閉位置とに開閉可能な原稿台カバーを兼ねている。原稿台31にセットされた原稿Dは、原稿読取装置14内に配置された読取部の一例としての第1読取部41(
図4参照)によって読み取られる。
【0012】
自動原稿送り装置16は、複数の原稿Dを積層状態で載置可能な原稿トレイ17と、原稿トレイ17の下側に配置された排出部18とを備えている。そして、原稿トレイ17に積層状態でセットされた複数の原稿Dは、順次に排出部18へと送られる過程で原稿読取装置14内に配置された第1読取部41(
図4参照)によって読み取られる。
【0013】
複合機11において、読取装置13の下側の部分は、媒体の一例としての用紙Pに記録を行う記録装置29となっている。複合機11は、読取装置13と、読取装置13の第1読取部41が読み取った原稿Dの画像を用紙Pに記録する記録部26を筐体12内に有する記録装置29とを有している。複合機11では、読取装置13の下方に記録装置29が配置されている。
【0014】
筐体12の前面部分には、底部側から上に向かって順に、装着口12Aに着脱自在に装着される用紙カセット19と、記録済みの用紙Pが排出される排出口20とが設けられている。排出口20には、排出口20から排出される記録済みの用紙Pを支持する排出トレイ21が伸縮自在に取着されている。原稿読取装置14の前面部分には、各種の操作を行うための操作パネル22が設けられている。なお、筐体12の前面及び複合機11の前面とは、高さと幅を有し、ユーザーが複合機11の操作を主に行う側面のことをいう。つまり、複合機11は、操作パネル22が配置されている側の面が前面とされ、その反対側の面が背面(後面)とされている。
【0015】
操作パネル22は、ユーザーが複合機11に対して指示を与える際に操作される複数のボタンを含む操作部23と表示部24とを有している。操作部23は、例えば、複合機11の電源をオンとオフとで切り替える電源ボタンを含んでいる。表示部24は、複合機11のメニューやメッセージ等の各種情報を表示可能とされている。なお、表示部24をタッチパネルとし操作部23の一部を兼ねた構成としてもよい。
【0016】
図1に示すように、筐体12の後上部には、いわゆる手差し印刷を行うための用紙Pを支持して給送する用紙給送機構25が設けられている。用紙給送機構25は、ユーザーがスライドさせて延出させた給紙トレイ(図示略)上にセットされた複数の用紙Pを1枚ずつ筐体12内へ給送可能に構成されている。なお、本実施形態では、筐体12の前面から後面に向かう方向と平行な方向を奥行方向Xとし、奥行方向X及び鉛直方向Zの両方と直交する方向を幅方向Yとする。幅方向Y及び奥行方向Xは実質的に水平面に沿う。
【0017】
図1に示すように、筐体12の内部には、インクが収容されたタンク又はインクカートリッジよりなるインク供給源(図示略)と、インク供給源から供給されたインクを、用紙カセット19から供給された用紙Pに記録する記録部26がそれぞれ配置されている。記録部26は、インク供給源からチューブ(図示略)介して供給されるインクを吐出する記録ヘッド27と、記録ヘッド27を支持するキャリッジ28とを備える。また、筐体12内には、用紙カセット19又は用紙給送機構25から用紙Pを搬送する搬送部と、搬送された用紙Pを記録部26と対向する位置で支持する支持台(いずれも図示略)とが配置されている。キャリッジ28が用紙Pの幅方向に移動する過程で記録ヘッド27がインクを吐出することにより用紙Pに1動作分の記録を施す記録動作と、搬送部が用紙Pを次回の記録位置まで搬送する搬送動作とを交互に行うことで、用紙Pに記録がなされる。記録済みの用紙Pは、排出口20から排出トレイ21上に排出される。このように記録部26を収容する筐体12の部分は、読取装置13により読み取られた原稿Dの画像を用紙Pに記録するコピーを含む記録を行う記録装置29となっている。なお、記録部26は、シリアル記録方式に限らず、ライン記録方式でもよい。ライン記録方式の場合、記録ヘッド27は、想定最大幅の用紙Pの幅に亘る範囲を一度で記録可能な長尺状のラインヘッド、又は複数の単位ヘッドが用紙Pの幅に亘る範囲で複数配列されたマルチヘッドにより構成される。
【0018】
次に、
図2、
図3を参照して、読取装置13の詳細な構成を説明する。
図2に示すように、読取装置13は、筐体12の上部に組み付けられた原稿読取装置14と、原稿読取装置14に対して蓋として機能するカバー15と、カバー15の上部に搭載された自動原稿送り装置16(以下、「ADF16」ともいう。)とを有している。読取装置13は、原稿読取装置14とADF16とが上下に重なって構成されている。原稿トレイ17は、原稿Dがセットされる載置面17Aと、載置面17A上にセットされた原稿Dを奥行方向Xに位置決めする一対のエッジガイド17Bを備える。また、ADF16は、その上面部に開閉カバー16Aを有している。開閉カバー16Aは、ADF16の内部の搬送機構が露出する開位置と
図2に示す閉位置とに開閉可能に構成されている。
【0019】
図3は、ADF16を搭載するカバー15を原稿読取装置14に対して開けた状態を示す。ADF16を搭載するカバー15は、読取装置13の背面側となる端部を支点として、原稿読取装置14に対して開閉可能に構成されている。
図3に示すように、原稿読取装置14とADF16を搭載するカバー15とはヒンジ30を介して回動可能に連結されている。
【0020】
原稿台31は、上方の開口を有する四角枠状の本体ハウジング32と、本体ハウジングの上面部に設けられた四角枠状の枠体33と、本体ハウジング32の開口と枠体33との間に挟んで組み付けられた四角形の原稿台ガラス34(以下、単に「ガラス34」ともいう。)とを備える。原稿台31におけるガラス34に対して第1読取部41(
図4、
図5参照)の走査方向である幅方向Yの一方側の隣の位置には、幅方向Yと交差する奥行方向Xに沿って延びる長尺状の窓に組み付けられたガラスよりなる透明板35が設けられている。
【0021】
カバー15における原稿台31と対向する面(裏面)は、原稿台31上の原稿Dを上方から押さえ付ける原稿押さえ面36となっている。カバー15の裏面には、原稿押さえ面36の
図3における左側となる端部位置に、ADF16が搬送した原稿Dの一部が露出する開口37が設けられている。ガラス34上にセットされる原稿Dは、枠体33の内側端面に辺を揃えることで位置決めされる。原稿読取装置14は、原稿台31のガラス34上にセットされた原稿D又は原稿トレイ17から給送された原稿Dに記録されている文字、写真等の画像を読み取る。
【0022】
次に、
図4を参照して、読取装置13の詳細な構成について説明する。
図4に示すように、カバー15は、原稿台31に対して開閉可能な原稿台カバーを兼ねている。読取装置13は、カバー15を開けると露出する原稿台31のガラス34上に載置された原稿Dを読み取るフラットベッド型のスキャナー機能と、原稿トレイ17にセットされた複数枚の原稿DをADF16により1枚ずつ自動で給送して読み取るシートフィーダー型のスキャナー機能とを備える。
【0023】
原稿台31は、第1読取部41を移動可能に収容するハウジング38を備えている。フラットベッド型のスキャナー機能では、第1読取部41が幅方向Yに走査して原稿台31のガラス34上に載置された原稿Dを読み取る。第1読取部41は、ガラス34上の原稿Dの画像を読み取る第1センサー44と、第1センサー44を搭載するキャリッジ45とを有している。キャリッジ45は、ガラス34及び透明板35の直下の領域を幅方向Yに移動可能に設けられている。ユーザーからの読取指示の受付を待機しているとき、キャリッジ45は幅方向Yの一端の位置である待機位置で待機する。待機位置は、第1読取部41のホームポジションとなる。第1読取部41は、待機位置から幅方向Yに所定速度で走査することによって、ガラス34上にセットされた原稿Dの画像を読み取る。
【0024】
シートフィーダー型のスキャナー機能では、ADF16が、原稿トレイ17に積載される原稿Dを順次供給し、その搬送経路Tの途中で原稿Dの画像を読取部41,42に読み取らせる。ADF16により給送された原稿Dを読み取る場合、第1読取部41は、その移動経路の幅方向Yの一端寄りとなる読取位置SPに配置される。つまり、第1読取部41は、透明板35の直下の位置である
図4に示す読取位置SPに配置される。
【0025】
図4に示すように、ADF16は、原稿トレイ17にセットされた原稿Dを搬送経路Tに沿って搬送する搬送部46を備える。搬送経路Tは、原稿トレイ17から排出部18に向けてU字状に湾曲するように延びている。搬送部46は、原稿トレイ17から給送した原稿Dを、途中で読取位置を経由する反転を伴う搬送経路Tで排出部18まで搬送する。
【0026】
搬送部46は、複数のローラーにより構成されている。搬送部46を構成するローラーは、回転することによって原稿Dを搬送する。これらのローラーは、搬送経路Tに沿って配置されている。搬送部46の搬送経路Tには、原稿トレイ17側から排出部18側に向かって順に、給送ローラー50、セパレートローラー51、第1ガイドローラー52、第2ガイドローラー53、第3ガイドローラー54、送りローラー55、及び、排出ローラー56が配置されている。
【0027】
給送ローラー50は、原稿トレイ17に積載される原稿Dに対して上方から接触可能な位置に配置されている。給送ローラー50は、原稿Dに接触した状態で回転することによって、原稿トレイ17から搬送経路Tへ原稿Dを供給する。給送ローラー50は、原稿トレイ17に複数の原稿Dが積載される場合、その最上位に位置する原稿Dから順に給送する。
【0028】
セパレートローラー51は、給送ローラー50から給送される原稿Dが複数に重なっている場合、それら複数の原稿Dを1枚ずつに分離させて搬送する。そのため、セパレートローラー51と対向する位置には、原稿Dを分離させるための分離ローラー51Aが配置されている。セパレートローラー51及び分離ローラー51Aは、搬送経路Tを挟み込むように配置されている。分離ローラー51Aは、セパレートローラー51が原稿Dを搬送する際に、摩擦力を作用させて原稿Dを1枚ずつに分離させる。
【0029】
第1ガイドローラー52は、第1駆動ローラー52Aと第1従動ローラー52Bとを含み、セパレートローラー51及び分離ローラー51Aにより分離された原稿Dを挟持した状態で回転する。第1ガイドローラー52は、搬送される原稿Dに対して駆動力を付与することによって、原稿Dを第2ガイドローラー53に向けて搬送する。
【0030】
第2ガイドローラー53は、第2駆動ローラー53Aと第2従動ローラー53Bとを含み、第1ガイドローラー52により搬送される原稿Dを挟持した状態で回転する。第2ガイドローラー53は、搬送される原稿Dに対して駆動力を付与することによって、原稿Dを第3ガイドローラー54に向けて搬送する。
【0031】
第3ガイドローラー54は、第3駆動ローラー54Aと第3従動ローラー54Bとを含み、第2ガイドローラー53により搬送される原稿Dを挟持した状態で回転する。第3ガイドローラー54は、搬送される原稿Dに対して駆動力を付与することによって、原稿Dを送りローラー55に向けて搬送する。
【0032】
送りローラー55は、送り駆動ローラー55Aと送り従動ローラー55Bとを含み、第3ガイドローラー54により搬送される原稿Dを挟持した状態で回転する。送りローラー55は、搬送される原稿Dに対して駆動力を付与することによって、第3ガイドローラー54から搬送される原稿Dを排出ローラー56に向けて搬送する。
【0033】
排出ローラー56は、排出駆動ローラー56Aと排出従動ローラー56Bとを含み、送りローラー55により搬送される原稿Dを挟持した状態で回転する。排出ローラー56は、搬送される原稿Dに対して駆動力を付与することによって、原稿Dを排出部18に向けて排出する。
【0034】
図4に示すように、ADF16は、搬送経路Tの途中で原稿Dを読み取る第2読取部42を備える。第2読取部42は、搬送経路Tにおける送りローラー55と排出ローラー56との間となる位置に配置され、搬送経路Tを搬送される原稿Dの第2面の画像を読み取る。原稿Dの第2面は、第1読取部41が読取位置SPで読み取る原稿Dの第1面とは反対側の面である。第2読取部42は、原稿Dの第2面の画像を読み取る第2センサー57を有している。複合機11は、両面読取命令を受信した場合、原稿トレイ17から給送した原稿Dの第1面と第2面との両面を読み取る。
【0035】
図5は、ガラス34、透明板35及び枠体33を取り外した原稿読取装置14を示す。
図5に示すように、原稿読取装置14を構成する原稿台31は、四角枠状のフレーム枠60を有し、その側方が全周を囲む四角枠状の合成樹脂製の外装カバー12Bで覆われている。フレーム枠60の下側には合成樹脂製のハウジング38の底部61が配置されており、ハウジング38内にフレーム枠60と底部61とにより上方に向かって開口する収容室62が形成されている。収容室62内には、第1読取部41が幅方向Yに往復移動可能に設けられている。第1読取部41は、収容室62内に幅方向Yに延びるように架設されたレール63に沿って移動可能に設けられたキャリッジ45と、キャリッジ45に搭載されたライン状の第1センサー44と、キャリッジ45に搭載されたライン状の光源47とを有している。光源47は、原稿台31のガラス34上にセットされた原稿Dの読取対処エリアに光を照射する。キャリッジ45は、収容室62内でレール63に沿って張設された無端状の搬送ベルト64の一部に固定され、キャリッジ45の動力源である不図示の電動モーターの駆動により、搬送ベルト64が正逆転することで、キャリッジ45は幅方向Yに往復移動する。
【0036】
ところで、読取装置13はビジネス用途で使用される場合、高速スキャンが要求される。そして、複合機11はビジネス用途で使用される場合、高速コピー印刷が要求される。
読取装置13は、高速スキャンに対応するため、ADF16の補強及び搬送部46の動力源であるモーターの大型化が必要になる。このため、ADF16の重量が大きくなる。
【0037】
図6、
図7は、原稿読取装置14から筐体12の外装等を構成する合成樹脂製の部材を取り外したフレーム構造を示している。
図6、
図7に示すように、原稿読取装置14は、フレーム構造の1つとして、原稿台31を構成する四角枠状のフレーム枠60を有する。
フレーム枠60は、一対のヒンジ30が配置される後側の位置に、幅方向Yに沿って延びる長尺状の第1フレーム71(リアフレーム)を有している。一対のヒンジ30は奥行方向Xに間隔を開けて配置されている。一対のヒンジ30は、フレーム枠60の第1フレーム71と幅方向Yに対向する位置に幅方向Yに沿って延びる状態で配置された長尺状の第2フレーム72に固定されている。第2フレーム72は、第1フレーム71の後側の位置に第1フレーム71と平行に配置されている。
【0038】
ここで、読取装置13は、筐体12を構成し原稿台31を支持する第1フレーム71と、筐体12を構成しヒンジ30が固定された第2フレーム72とを有している。詳しくは、フレーム枠60は、第1フレーム71と、第1フレーム71に対して第2フレーム72と反対側で対向する位置に平行に配置された第3フレーム73と、第1フレーム71と第3フレーム73のそれぞれの両端部と固定され、第1フレーム71と第3フレーム73との長手方向と交差する方向に延びる一対の第4フレーム74とを有する。ここで、第1フレーム71はフレーム枠60の後部を構成するリアフレームであり、第3フレーム73はフレーム枠60の前部を構成するフロントフレームである。また、一対の第4フレーム74は、フレーム枠60の幅方向Yの両側部を構成する一対のサイドフレームである。
【0039】
第1フレーム71及び第3フレーム73は、長手方向と交差する方向で切った断面の形状がU字状で、U字状の部分の開口を内方に向けた向きに配置されている。第1フレーム71は、下側に配置された断面L字状のロアフレーム71Aと、上側に配置された断面L字状のアッパーフレーム71Bとをねじ75で締結することで断面U字状に形成されている。また、第3フレーム73は、下側に配置された断面L字状のロアフレーム73Aと、上側に配置された断面L字状のアッパーフレーム73Bとをねじ76で締結することで断面U字状に形成されている。
【0040】
図6に示すように、第1フレーム71のU字状の部分には、1つ又は複数の柱部材77が介在している。
図6に示す例では、柱部材77は、第1フレーム71の長手方向(幅方向Y)の異なる位置に複数設けられている。柱部材77は、U字状の部分に配置されたときの鉛直方向Zの寸法である高さ寸法が精度よく形成されている。第1フレーム71を構成するロアフレーム71Aとアッパーフレーム71Bとの鉛直方向Zの相対位置を、間に介在される柱部材77の上端面と下端面とが接触する状態に調整した状態でねじ75を締結することで、第1フレーム71の上端面71Cの高さ位置を位置出ししている。このため、第1フレーム71の上端面71Cの高さ位置を精度よく位置出しできる。第1フレーム71の上端面71Cは、第4フレーム74の上端面よりも若干高く位置する。
【0041】
図6に示すように、第3フレーム73も第1フレーム71と同様に構成されている。すなわち、第3フレーム73のU字状の部分には、1つ又は複数の柱部材78が介在している。
図6に示す例では、柱部材78は、第3フレーム73の長手方向(幅方向Y)の異なる位置に複数設けられている。柱部材78は、U字状の部分に配置されたときの鉛直方向Zの寸法である高さ寸法が精度よく形成されている。第3フレーム73を構成するロアフレーム73Aとアッパーフレーム73Bとの鉛直方向Zの相対位置を、間に介在される柱部材78の上端面と下端面とが接触する状態に調整した状態でねじ76を締結することで、第3フレーム73の上端面73Cの高さ位置を位置出ししている。このため、第3フレーム73の上端面73Cの高さ位置を精度よく位置出しできる。第3フレーム73の上端面73Cは、第4フレーム74の上端面よりも若干高く位置する。このように一対のフレーム71,73は、長手方向と交差する断面の形状がU字状を有し、本実施形態では、一対のフレーム71,73の両方にそれぞれのU字状の部分に柱部材77,78を介在させている。
【0042】
第1フレーム71の上端面71Cと第3フレーム73の上端面73Cの高さ位置は同じであり、上端面71Cと上端面73Cによりガラス34の組付高さが決まる。上端面71Cと上端面73Cとの高さ位置の精度が出ることにより、ガラス34及び透明板35は鉛直方向Zに位置精度よく位置きめされる。このため、複合機11が水平に配置されれば、ガラス34及び透明板35は水平に配置される。なお、ガラス34及び透明板35は、上端面71Cに上方に突出する2つの位置決めピン79により奥行方向X及び幅方向Yに位置決めされる。
【0043】
また、
図6に示すように、一対の第4フレーム74は、それぞれ第1フレーム71の両端部及び第3フレーム73の両端部と複数のねじ66の締結により固定されている。また、一対の第4フレーム74は、ヒンジ30が位置する後方へは第1フレーム71を超える位置まで延び、それぞれの後端部が第2フレーム72の両端部と複数のねじ67の締結により固定されている。すなわち、本実施形態では、原稿台31のフレーム枠60は、フレーム枠60を第1フレーム71とともに構成し第1フレーム71の長手方向と交差する方向に延びる一対のサイドフレームとして一対の第4フレーム74を備える。そして、第2フレーム72は、一対の第4フレーム74と固定されている。ここで、ヒンジ30にかかる回動トルクの腕の方向に長い第4フレーム74は、回動トルクに対する剛性が高い。第2フレーム72を、この回動トルクに対する剛性の高い第4フレーム74に固定し、第1フレーム71とは離間させることで、第1フレーム71への変形を抑える。なお、第2フレーム72は、ヒンジ30に対してねじ68の締結により固定されている。
【0044】
図7、
図8に示すように、第1フレーム71と第2フレーム72との間に、隙間G1が形成されている。第2フレーム72は、フレーム枠60に対しては一対の第4フレーム74と固定されている。ここで、隙間G1は、カバー15が開けられたときにヒンジ30からADF16の重量により第2フレーム72が受ける回動トルクにより、第2フレーム72が最大限に変形しても、第2フレーム72が第1フレーム71と接触しない隙間寸法に設定されている。
【0045】
また、
図8~
図9に示すように、ハウジング38の底部61には、第2フレーム72と第4フレーム74と対向するそれぞれの位置に、第2フレーム72と第4フレーム74が変形したときに当たる度当て部の一例としての突部61A,61Bがそれぞれ設けられている。すなわち、第2フレーム72とフレーム枠60の下方に位置する底部61には、第2フレーム72と対向する位置に突部61Aが位置し、第4フレーム74のヒンジ30寄りの部分と対向する位置に突部61Bが位置する。突部61A,61Bは、第2フレーム72と第4フレーム74の各下面に対して隙間を介した下方に配置されている。本例では、突部61A,61Bは、底部61の上面から突出するリブよりなる。
【0046】
図9に示すように、原稿台31の左後端部には、第2フレーム72と対向する位置に隙間を介して突部61Bが配置されている。また、
図10に示すように、原稿台31の右後端部には、第2フレーム72と対向する位置に隙間を介して突部61Bが配置されている。
図9、
図10に示す例では、第2フレーム72の下側に第4フレーム74が重なって位置する部分の下方に突部61Aが配置されているので、第2フレーム72と重なる第4フレーム74の部分と下方に対向する位置に隙間を介して突部61Bが配置されている。すなわち、第2フレーム72と重なる第4フレーム74の部分と突部61Bとの間に必要な寸法の隙間が設けられている。この点で、第4フレーム74のヒンジ30寄りの部分(後部分)の下方に必要な寸法の隙間を隔てて突部61A,61Bが位置する構成とも言える。このように本例では、左右一対の第4フレーム74のヒンジ30寄りの部分の下方に左右2つずつ計4つの突部61A,61Bを設けている。
【0047】
ADF16の閉状態では、第4フレーム74と突部61A,61Bとの間に隙間があり、ADF16を開けてその自重が後側に移り、ADF16の重量がかかって第2フレーム72と第4フレーム74が下方へ変形したときに、各フレーム72,74を突部61A,61Bで受ける。隙間は、公差上、ADF16の閉状態において第4フレーム74が突部61A,61Bと当たらない寸法に設定されている。これは、ADF16の閉状態で隙間がを設定せず当たった状態にあると、公差内のばらつきでフレーム枠60が変形してその上面に保持されたガラス34の位置が鉛直方向Zにずれ、ガラス34の初期位置の精度が低下する恐れがあるからである。ガラス34の初期位置の精度を高くするため、ADF16の閉状態において、第4フレーム74のヒンジ30寄りの部分と突部61A,61Bとの間に隙間を設けている。なお、第4フレーム74が第2フレーム72の下側に重ならず、第2フレーム72が突部61Aと対向する構成や、突部61Aが第4フレーム74と重ならない第2フレーム72の部分と対向する位置に配置された構成の場合は、第2フレーム72の下方に隙間を介して突部61Aが配置される。
【0048】
図11は、ADF16の外装カバーを取り外した状態を示す。
図11に示すように、ADF16は、搬送部46を支持するフレーム80を有する。フレーム80は、回動半径方向に所定の間隔を隔てて対向する一対の側板フレーム81と、一対の側板フレーム81を支持する複数の支持フレーム82とを有している。側板フレーム81の外側には、歯車機構83、搬送部46の駆動源となる不図示の電動モーター及び各種のセンサー84を含む複数の部品が組み付けられている。また、フレーム80には、搬送部46を覆うとともに搬送経路T(
図4参照)を形成する複数のホルダー部材85が取り付けられている。
【0049】
図12に示すように、ヒンジ30は、相対回動可能に連結された第1部材30Aと第2部材30Bとを備える。第1部材30Aが第2フレーム72に固定されている。また、第2部材30BがADF16及びカバー15を支持している。ADF16は、第2部材30Bに固定された状態でカバー15の回動半径方向に延伸する補強フレーム86を備える。
ADF16のフレーム80は、補強フレーム86と固定されている。なお、カバー15を閉じた
図12に示す閉状態では、回動半径方向は奥行方向Xに一致する。
【0050】
図12に示すように、補強フレーム86は、回動半径方向にADF16及びカバー15の重心位置CGを超える位置まで延伸している。本例では、補強フレーム86は、その先端が、ADF16の回動半径方向の先端側となる手掛け側の側板フレーム81に接触するか又は僅かに隙間を隔てた位置まで延伸している。
【0051】
図12、
図13に示すように、ADF16のフレーム80は、
図11に示す支持フレーム82の他に、一対の側板フレーム81を支持する支持フレーム82Aを備える。支持フレーム82Aは、側板フレーム81の高さ方向、つまりADF16の回動円弧の接線方向の中間位置よりも下方の位置で側板フレーム81に固定されている。また、
図13に示すように、支持フレーム82Aは、幅方向Yにおいて側板フレーム81に対して原稿トレイ17(
図11参照)側と反対側寄りに位置に固定されている。補強フレーム86は、支持フレーム82Aの上方に位置している。補強フレーム86は、支持フレーム82Aに対して回動半径方向の両端部の二箇所で固定され、両端部の固定箇所の間の範囲の少なくとも一部で支持フレーム82Aとの間に隙間G2を隔てて配置されている。
【0052】
図12に示すように、支持フレーム82Aは、その長手方向の両端部に補強フレーム86に向かって突出する一対の突部87を有している。本例では、一対の突部87は、支持フレーム82Aの板金を絞り成形して設けた円錐台形状の絞り部よりなる。そして、補強フレーム86は支持フレーム82Aに対して絞り部よりなる一対の突部87に接触する状態で、一対の突部87にねじ88を締結することで支持フレーム82Aに対して固定されている。そのため、補強フレーム86と支持フレーム82Aは、一対の突部87の間で隙間G2を隔てている。例えば、ADF16を開けたときに補強フレーム86がADF16の重量で長手方向の中央部が上方へ膨らむ湾曲状に変形しても、支持フレーム82Aが補強フレーム86の変形により上向きの力を受けて変形することが抑制される。
【0053】
図4、
図13に示すように、補強フレーム86は、回動半径方向と交差する方向の断面の形状がU字状である。
図12、
図13に示すように、補強フレーム86は、補強フレーム86よりも下方に位置する支持フレーム82Aに対して、U字状の底部86Aにてねじ部材の一例としてのねじ88により固定されている。ねじ88は、ADF16の回動円弧の底部86Aにおける接線方向を軸線方向とする向きに締結されている。換言すれば、ADF16の閉状態においてねじ88はその軸線方向を鉛直方向Zに一致させた向きで締結され、補強フレーム86と支持フレーム82Aとを固定している。
【0054】
図4に示すように、ADF16内において、搬送経路Tの途中で原稿Dを読み取る第2読取部42は、奥行方向Xにおいて、読取位置SPにあるときの第1読取部41と異なる位置に配置されている。補強フレーム86は、ADF16における回動半径方向と交差する幅方向Yにおいて読取位置にあるときの第1読取部41と第2読取部42とのそれぞれの外側端部の間の範囲SA内に配置されている。ここで、範囲SAは、
図4に示す例では、読取位置にある第1読取部41の原稿トレイ17側と反対側の第1端部と、第2読取部42の原稿トレイ17側の第2端部とを含む第1端部から第2端部までの範囲となる。
図4に示す例では、補強フレーム86は、幅方向Yに全部が範囲SA内に位置する。なお、補強フレーム86の幅方向Yにおける位置は、補強フレーム86の全部が範囲SA内にある必要はなく補強フレーム86の一部が範囲SA内にあればよい。
【0055】
次に、複合機11の作用について説明する。
複合機11は、ユーザーによる操作部23の操作又は不図示のホスト装置の操作により、読取命令又はコピー命令を受信すると、指示された読取動作又はコピー動作を行う。ユーザーは操作の前に予め原稿Dを原稿台31のガラス34の上面にセットしたり、原稿トレイ17に原稿Dを1枚又は複数枚セットしたりする。ユーザーが原稿Dを原稿台31にセットする際は、
図3に示すようにカバー15を開けて原稿台31のガラス34を露出させ、原稿Dをガラス34上に枠体33に辺を揃えて所定位置にセットする。
【0056】
このように原稿台31に原稿Dをセットする度、及び原稿台31から原稿Dを取り出す度に、ユーザーによるADF16の開閉が行われる。こうして複合機11では、ADF16の開閉が繰り返し行われる。
図3に示すADF16の開状態では、カバー15及びADF16の重量をヒンジ30が受けるので、ヒンジ30を介してその荷重を原稿台31が受けることになる。
【0057】
本実施形態の読取装置13では、原稿台31を支持する第1フレーム71と、ヒンジ30を固定する第2フレーム72とが分けられている。そのため、ADF16を搭載するカバー15を開閉するときにADF16及びカバー15の荷重がヒンジ30を介して原稿台31を支持する第1フレーム71に伝わり難くなる。この結果、この種の荷重に起因する第1フレーム71の変形を防ぎ、第1フレーム71に支持された原稿台31の位置ずれが抑制される。よって、原稿台31にセットされる原稿Dの位置ずれが抑制されるうえ、原稿台31内の第1読取部41の位置ずれが抑制される。
【0058】
原稿台31の変形は、例えば、原稿台31のガラス34上に枠体33の辺に揃えて所定位置にセットされた原稿Dの位置ずれを招く。この場合、第1読取部41が原稿Dのずれた領域を読み取ってしまい、得られた読取画像が位置ずれする。また、原稿台31の変形は、例えば、原稿台31内で第1読取部41の奥行方向Xの両端部で高さ位置の差を生じさせ、第1読取部41とガラス34との平行度が低下する。この場合、第1読取部41の異なる二箇所で、第1読取部41からガラス34上の所定位置にセットされた原稿Dまでの距離に差が生じ、原稿Dの位置が部分的に焦点距離からずれる恐れがある。特に第1読取部41が、CCDに比べ、被写界深度の浅いCISである場合、ガラス34上の原稿D又は給送されて開口37から露出する原稿Dの部分が、第1読取部41の被写界深度内に収まらず、原稿Dの読取画像が部分的にぼけてしまう。しかし、本実施形態では、原稿台31の変形が抑制されるため、第1読取部41とガラス34との平行度が保たれるうえ、第1読取部41とガラス34との距離が予め定められた一定範囲内に保たれる。よって、原稿台31上にセットされた原稿Dも、ADF16が搬送した原稿Dも、これらの原稿Dを読み取った際に良質な読取画像が得られる。
【0059】
また、第1フレーム71と第2フレーム72の間に隙間G1があるため、ADF16及びカバー15を開閉するときに、それらの荷重に起因し第2フレーム72が変形しても、変形した第2フレーム72が第1フレーム71に接触しない。このため、変形した第2フレーム72が第1フレーム71に接触したことに起因し第1フレーム71が変形することを回避できる。この点から、第1フレーム71に固定された原稿台31の位置ずれが効果的に抑制される。この結果、原稿台31の位置ずれに起因する読取画像の位置ずれ及び画質の低下を一層確実に抑制できる。
【0060】
さらに、読取装置13では、原稿台31に対してカバー15が閉じた状態でヒンジ30を介したカバー15の回動半径方向が長手方向となりカバー回動時のトルクに強い方向に延びた一対の第4フレーム74(サイドフレーム)と第2フレーム72は固定される。そのため、カバー15の開閉が繰り返し行われても、ヒンジ30を介して伝わる荷重は回動トルクに対する剛性の高い第4フレーム74が受けるので、原稿台31の変形又は位置ずれが抑制される。
【0061】
また、ADF16のフレーム80は、ヒンジ30を構成する第2部材30Bに固定された状態でカバー15の回動半径方向に延伸する補強フレーム86に固定されているので、ADF16及びカバー15の開閉を繰り返しても、ADF16の変形が抑制される。このため、ADF16が原稿台31上へ原稿Dを給送したとき、カバー15の回動半径方向両端部での原稿Dと第1読取部41との距離の差が小さく抑制される。よって、第1読取部41が原稿Dを読み取った際に、原稿Dの全体がぼけのない高画質な画像として読み取られる。
【0062】
よって、スキャン又はコピーの高速化の要求からADF16の重量が大きくなっても、ユーザーが読取動作を指示した際は、原稿Dの高画質な読取画像を高速に取得でき、ユーザーがコピーを指示した際は、原稿Dの高画質なコピーを高速に取得できる。
【0063】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)読取装置13は、原稿Dを載置する原稿台31を有する筐体12と、筐体12の上部においてヒンジ30を介して回動するカバー15と、カバー15に搭載されたADF16と、原稿台31に載置された原稿D及びADF16が給送した原稿Dを読み取る第1読取部41とを有する。また、読取装置13は、筐体12を構成し原稿台31を支持する第1フレーム71と、筐体12を構成しヒンジ30が固定された第2フレーム72と、を有する。よって、読取装置13は、原稿台31を支持する第1フレーム71が、ヒンジ30を固定する第2フレーム72と分けられているので、ADF16を搭載するカバー15を開閉するときにADF16及びカバー15の荷重がヒンジ30を介して原稿台31を支持する第1フレーム71に伝わり難くなる。この結果、この種の荷重に起因する第1フレーム71の変形を抑制し、第1フレーム71に支持された原稿台31の位置ずれが抑制される。よって、原稿台31にセットされた原稿Dの位置ずれを抑制できる。したがって、原稿台31とADF16とを備えた読取装置13において、原稿Dの良質な読取画像を得ることができる。
【0064】
(2)読取装置13は、第1フレーム71と第2フレーム72との間に、隙間G1が形成されている。よって、ADF16及びカバー15を開閉するときに、それらの荷重に起因し第2フレーム72が変形しても、変形した第2フレーム72が第1フレーム71に接触しにくい。このため、変形した第2フレーム72が第1フレーム71に接触したことに起因し第1フレーム71が変形することを回避できる。この結果、第1フレーム71に支持された原稿台31の位置ずれが抑制される。原稿台31の位置ずれに起因する読取画像の画質の低下を一層確実に抑制できる。
【0065】
(3)読取装置13は、筐体12を構成し原稿台31のフレーム枠60を第1フレーム71とともに構成し当該第1フレーム71の長手方向と交差する方向に延びる一対のサイドフレームを備える。第2フレーム72は、一対のサイドフレームと固定されている。よって、読取装置13において、原稿台31に対してカバー15が閉じた状態でヒンジ30を介したカバー15の回動半径方向が長手方向となりカバー15回動時のトルクに強い方向に延びた一対のサイドフレームと固定されるので、カバー15の開閉の繰り返しによる原稿台31の変形又は位置ずれを抑制できる。
【0066】
(4)原稿台31は、第1読取部41を移動可能に収容するハウジング38を備える。
ハウジング38の底部61には、第2フレーム72とサイドフレームの一例である第4フレーム74との両方と対向する位置に、これらが下方へ変形したときにそれぞれ当たる度当て部の一例としての突部61A,61Bが設けられている。よって、カバー15を開けたときにADF16の重量によってヒンジ30を介して伝わる回動トルクにより、仮に第2フレーム72と第4フレーム74のうち一方又は両方が下方へ変形しても、それぞれ突部61A,61Bに当たることで、第2フレーム72と第4フレーム74の変形量が所定量以下に抑えられる。この結果、原稿台31の位置ずれが抑制される。したがって、原稿台31の位置ずれに起因する原稿Dの読取画像の画質の低下を一層効果的に抑制できる。
【0067】
(5)原稿台31は、第1フレーム71と、第1フレーム71に対して第2フレーム72と反対側で対向する位置に平行に配置された第3フレームとを含む一対のフレーム71,73を有している。一対のフレーム71,73は、長手方向と交差する断面の形状がU字状を有している。一対のフレーム71,73のうち一方又は両方のU字状の部分には柱部材77,78が介在する。よって、原稿台31を構成する前後一対のフレーム71,73のうち一方又は両方には、U字状の部分に柱部材77,78が介在している。このため、柱部材77,78が介在するフレーム71,73に上から荷重がかかってもそのフレーム71,73は変形しにくい。例えば、第1フレーム71に柱部材77が介在されている場合、第1フレーム71にADF16及びカバー15の荷重がヒンジ30を介してかかっても、第1フレーム71のU字状の部分に介在する柱部材77によって、第1フレーム71の変形を抑制できる。また、例えば、第3フレーム73に柱部材78が介在されている場合、ユーザーがADF16及びカバー15のヒンジ30と反対側の部分(前部)を下方へ押さえても、第3フレーム73のU字状の部分に介在する柱部材78によって、第3フレーム73の変形を抑制できる。
【0068】
(6)ヒンジ30は、相対回動可能に連結された第1部材30Aと第2部材30Bとを有する。第1部材30Aが第2フレーム72に固定され、第2部材30BがADF16及びカバー15を支持する。読取装置13は、第2部材30Bに固定された状態でカバー15の回動半径方向に延伸する補強フレーム86を備える。ADF16のフレーム80は、補強フレーム86と固定されている。よって、ADF16のフレーム80が、ヒンジ30を構成する第2部材30Bに固定された状態でカバー15の回動半径方向に延伸する補強フレーム86に固定されているので、ADF16及びカバー15の開閉が繰り返されても、ADF16の変形を抑制できる。この結果、ADF16が原稿台31上へ原稿Dを給送したとき、カバー15の回動半径方向両端部での原稿Dと第1読取部41との距離の差が小さく抑制される。よって、原稿Dのカバー回動半径方向の全体が第1読取部41の被写界深度内に入るので、原稿Dの全体をぼけの少ない高画質な画像として読み取ることができる。したがって、原稿台31とADF16とを備えた読取装置13において、原稿Dの良質な読取画像を得ることができる。
【0069】
(7)補強フレーム86は、回動半径方向にADF16及びカバー15の重心位置を超える位置まで延伸している。よって、ADF16及びカバー15の重心にかかる荷重を補強フレーム86が受けるので、ADF16及びカバー15の開閉の繰り返しによる変形をより効果的に抑制できる。よって、ADF16が読取位置へ給送した原稿Dのカバー回動半径方向の両端部での第1読取部41との距離の差が小さく抑制される。この結果、原稿Dの全体をぼけの一層少ない高画質な画像として読み取ることができる。
【0070】
(8)原稿台31に移動可能に収容される第1読取部41と、ADF16において搬送経路Tの途中で原稿Dを読み取る第2読取部42を備える。補強フレーム86は、ADF16における回動半径方向と交差する幅方向において、ADF16により搬送された原稿Dを読み取る読取位置にある第1読取部41と第2読取部42とのそれぞれの外側端部の間の範囲に配置されている。よって、補強フレーム86は、ADF16の幅方向において読取位置にある第1読取部41と第2読取部42とのそれぞれの外側端部の間の範囲に配置されている。このため、第1読取部41と第2読取部42との周辺部分の変形が、補強フレーム86によって小さく抑制される。よって、ADF16が搬送した原稿Dの例えば第1面を第1読取部41が読取位置で読み取るときも、ADF16が搬送した原稿Dの例えば第2面をその搬送経路Tの途中で第2読取部42が読み取るときも、原稿Dを高い読取精度で読み取ることができる。
【0071】
(9)ADF16のフレーム80は、回動半径方向の両側に配置された一対の側板フレーム81と、一対の側板フレーム81を支持する支持フレーム82Aと、を有している。
補強フレーム86は、支持フレーム82Aの上方に位置し、支持フレーム82Aに対して回動半径方向の両端部で固定され、両端部の固定箇所の間の範囲の少なくとも一部で支持フレーム82Aと隙間G2を隔てて配置されている。よって、支持フレーム82Aが補強フレーム86により補強されるうえ、仮に支持フレーム82Aが変形して、支持フレーム82Aの両端部の間の部分が補強フレーム86に接近する方向に変位しても、隙間G2の存在により、支持フレーム82Aが補強フレーム86に接触してこれを押すことが回避される。この結果、支持フレーム82Aの変形した部分が補強フレーム86に当たることによるADF16の変形を抑制できる。
【0072】
(10)補強フレーム86は、回動半径方向と交差する方向の断面の形状がU字状であって、補強フレーム86よりも下方に位置する支持フレーム82Aに対して、U字状の底部にて、回動半径の接線方向を軸線方向とするねじ部材の一例としてのねじ88により固定されている。よって、カバー15がヒンジ30を介して回動するときに仮に補強フレーム86が湾曲しても、補強フレーム86と支持フレーム82Aとのねじ88による固定位置がずれにくい。ねじ88の締結による補強フレーム86と支持フレーム82Aとの固定箇所の位置決めは、締結箇所での面と面の摩擦により行われ、補強フレーム86が湾曲して変位する方向がその摩擦面と平行な方向であると、固定位置がずれてしまう。しかし、補強フレーム86が湾曲して変位する方向が、ねじ88の締結による摩擦面と平行な方向ではなく、ねじ88の軸線方向なので、固定位置がずれにくい。なお、カバー15の開き角度が小さいときにモーメントの関係で補強フレーム86は湾曲しやすく、また閉じた状態でもユーザーがカバー15の回動先端部分を押さえたときに補強フレーム86は湾曲しやすい。
【0073】
(11)複写装置の一例である複合機11は、読取装置13と、読取装置13の第1読取部41が読み取った原稿Dの画像を媒体に記録する記録部26を筐体12内に有する記録装置29と、を有する。読取装置13の下方に記録装置29が配置されている。よって、読取装置13が原稿Dを高い精度で読み取った画像を記録部が媒体に記録することにより、複写装置の一例である複合機11によって原稿Dを位置ずれや画質の低下が抑制された高い精度で複写することができる。
【0074】
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
【0075】
・読取装置13は、複写装置の一例である複合機11に備えられる構成に限定されない。読取装置は、例えば、
図14、
図15に示すスキャナー装置100であってもよい。スキャナー装置100は、原稿台31を有する筐体12と、筐体12の上部においてヒンジ30(
図15参照)を介して回動するカバー15と、カバー15に搭載された給送部の一例としてのADF16とを備える。ADF16は、カバー15を開けると露出する原稿台31のガラス34上に載置された原稿Dを読み取るフラットベッド型のスキャナー機能と、原稿トレイ17にセットされた複数枚の原稿DをADF16により1枚ずつ自動で給送して搬送途中で原稿Dを読み取るシートフィーダー型のスキャナー機能とを備える。スキャナー装置100は、筐体12を構成し原稿台31を支持する第1フレーム71(
図6参照)と、筐体12を構成しヒンジ30が固定された第2フレーム72とを有する。すなわち、原稿台31は、前記実施形態と同様に、
図6等に示すように、第1フレーム71、第3フレーム73及び一対の第4フレーム74を含むフレーム枠60と、ヒンジ30が固定された第2フレーム72とを有する。そして、第1フレーム71と第2フレーム72は、奥行方向Xに隙間G1(
図7、
図8を参照)を介して対向している。このようにスキャナー装置100は、前記実施形態の複合機11の読取装置13と同様の構造を有している。
その他、ADF16も、補強フレーム86を有する構造を有するなど、複合機11の読取装置13が備えるADF16と同様の構造を有している。なお、原稿読取装置14には、ユーザーが読取動作などを指示する際に操作される操作部101が設けられている。
【0076】
・第4フレーム74の第1フレーム71と対応する部分の下方のみに間隔を隔てて突部61Aを設けてもよい。また、第4フレーム74の第2フレームと対応する部分の下方のみに間隔を隔てて突部61Bを設けてもよい。また、第2フレーム72における第4フレーム74と重ならない部分の下方に突部61Bを設けてもよい。さらに、第1フレーム71の第4フレーム74と重ならない部分の下方に隙間を隔てて突部を配置してもよい。
【0077】
・突部61A,61Bの配置位置は、原稿台31の後部に限らず前部でもよい。例えば、第3フレーム73の下方に突部を設けてもよい。すなわち、第4フレーム74の第3フレーム73と対応する部分の下方に間隔を隔てて突部を設けてもよい。また、第3フレーム73の第4フレームと重ならない部分の下方に間隔を隔てて突部を設けてもよい。この構成によれば、ユーザーがスキャン又はコピー時にADF16の手掛け側である前部をユーザーが手で押さえて荷重をかけたときにも、突部で荷重を受けることができる。よって、原稿台31を保持するフレーム枠60が変形しにくくなり、原稿台31の変形による第1読取部41及びガラス34等の位置ずれを抑えることができる。したがって、ADF16の手掛け側である前部をユーザーが押さえても、良質な読取画像を得ることができる。
【0078】
・突部61A,61Bは、ハウジング38と別部材を底部61に固定したものでもよい。
・一対のフレーム71,73のうち一方のみのU字状の部分に柱部材77又は78が介在する構成としてもよい。例えば、一対のフレーム71,73のうち第1フレーム71のみのU字状の部分に柱部材77が介在する構成とする。また、例えば、一対のフレーム71,73のうち第3フレーム73のみのU字状の部分に柱部材78が介在する構成とする。
【0079】
・補強フレーム86は、その先端部が手掛け側の側板フレーム81に開口する孔を貫通する状態に延伸していてもよい。
・補強フレーム86と支持フレーム82Aとが、両端部の固定箇所の間で固定されていなければ隙間G2がない状態で接触していてもよい。
【0080】
・補強フレーム86は、支持フレーム82Aの下方に配置されてもよく、両端部の固定箇所の間の範囲で隙間G2を隔てた状態で支持フレーム82Aに固定されてもよい。また、補強フレーム86は、他の支持フレーム82と固定されてもよい。
【0081】
・補強フレーム86は、長手方向と交差する断面の形状がL字状のフレームを2つ固定することで、断面がU字状に構成されてもよい。
・ねじ部材は、ねじ88に替えてボルトでもよい。
【0082】
・ADF16に補強フレーム86を設ける構成では、フレーム枠60の第1フレーム71と、ヒンジ30が固定された第2フレーム72とを固定したり、フレーム枠60の第1フレーム71をヒンジ30に固定したりしてもよい。これらの構成でも、補強フレーム86によりADF16の変形を抑制し、ADF16が搬送する原稿Dを精度よく読み取ることができる。
【0083】
前記実施形態および変更例から把握される技術思想を、その作用効果と共に以下に記載する。
読取装置は、原稿を載置する原稿台を有する筐体と、前記筐体の上部においてヒンジを介して回動するカバーと、前記カバーに搭載された給送部と、前記原稿台に載置された原稿及び前記給送部が給送した原稿を読み取る読取部と、前記筐体を構成し前記原稿台を支持する第1フレームと、前記筐体を構成し前記ヒンジが固定された第2フレームと、を有する。
【0084】
この構成によれば、読取装置において、原稿台を支持する第1フレームが、ヒンジを固定する第2フレームと分けられているので、給送部を搭載するカバーを開閉するときに給送部及びカバーの荷重がヒンジを介して原稿台を支持する第1フレームに伝わり難くなる。この結果、この種の荷重に起因する第1フレームの変形を抑制し、第1フレームに支持された原稿台の位置ずれが抑制される。よって、原稿台にセットされた原稿の位置ずれを抑制できる。したがって、原稿台と給送部とを備えた読取装置において、原稿の良質な読取画像を得ることができる。
【0085】
上記読取装置では、前記第1フレームと前記第2フレームとの間に、隙間が形成されてもよい。
この構成によれば、給送部及びカバーを開閉するときに、それらの荷重に起因し第2フレームが変形しても、変形した第2フレームが第1フレームに接触しにくい。このため、変形した第2フレームが第1フレームに接触したことに起因し第1フレームが変形することを回避できる。この結果、第1フレームに支持された原稿台の位置ずれが抑制される。
原稿台の位置ずれに起因する読取画像の画質の低下を一層確実に抑制できる。
【0086】
上記読取装置では、前記筐体を構成し前記原稿台のフレーム枠を前記第1フレームとともに構成し当該第1フレームの長手方向と交差する方向に延びる一対のサイドフレームを備え、前記第2フレームは、前記一対のサイドフレームと固定されてもよい。
【0087】
この構成によれば、読取装置において、原稿台に対してカバーが閉じた状態でヒンジを介したカバーの回動半径方向が長手方向となりカバー回動時のトルクに強い方向に延びた一対のサイドフレームと第2フレームが固定されるので、カバーの開閉の繰り返しによる原稿台の変形又は位置ずれを抑制できる。
【0088】
上記読取装置では、前記原稿台は、前記読取部を移動可能に収容するハウジングを備え、前記ハウジングの底部には、前記第2フレームと前記サイドフレームのうち一方又は両方と対向する位置には、当該一方又は両方が下方へ変形したときに当たる度当て部が設けられてもよい。
【0089】
この構成によれば、カバーを開けたときに給送部の重量によってヒンジを介して伝わるトルクにより、仮に第2フレームとサイドフレームのうち一方又は両方が下方へ変形しても度当て部に当たることで、第2フレームとサイドフレームのうち一方又は両方の変形量が所定量以下に抑えられる。よって、原稿台の位置ずれが抑制される。この結果、原稿台の位置ずれに起因する原稿の読取画像の画質の低下を一層効果的に抑制できる。
【0090】
上記読取装置では、前記原稿台は、前記第1フレームと、前記第1フレームに対して前記第2フレームと反対側で対向する位置に平行に配置された第3フレームとを含む一対のフレームを有し、前記一対のフレームは、長手方向と交差する断面の形状がU字状を有しており、前記一対のフレームのうち一方又は両方の前記U字状の部分には柱部材が介在してもよい。
【0091】
この構成によれば、原稿台を構成する前後一対のフレームのうち一方又は両方には、U字状の部分に柱部材が介在している。このため、柱部材が介在するフレームに上から荷重がかかってもそのフレームは変形しにくい。例えば、第1フレームに柱部材が介在されている場合、第1フレームに給送部及びカバーの荷重がヒンジを介してかかっても、第1フレームのU字状の部分に介在する柱部材によって、第1フレームの変形が抑制される。また、例えば、第3フレームに柱部材が介在されている場合、第3フレームにユーザーが給送部及びカバーを原稿台上の原稿の浮き上がり等を抑えるために上側から押さえても、第3フレームのU字状の部分に介在する柱部材によって、第3フレームの変形が抑制される。
【0092】
上記読取装置では、前記ヒンジは、相対回動可能に連結された第1部材と第2部材とを備え、前記第1部材が前記第2フレームに固定され、前記第2部材が前記給送部及び前記カバーを支持し、前記第2部材に固定された状態で前記カバーの回動半径方向に延伸する補強フレームを備え、前記給送部のフレームは、前記補強フレームと固定されてもよい。
【0093】
この構成によれば、給送部のフレームが、ヒンジを構成する第2部材に固定された状態でカバーの回動半径方向に延伸する補強フレームに固定されているので、給送部及びカバーの開閉が繰り返されても、給送部の変形を抑制できる。この結果、給送部が原稿台上に原稿を給送したとき、カバーの回動半径方向両端部での原稿と読取部との距離の差が小さく抑制される。よって、原稿のカバー回動半径方向の全体が読取部の被写界深度内に入るので、原稿の全体をぼけの少ない高画質な画像として読み取ることができる。
【0094】
読取装置は、原稿を載置する原稿台を有する筐体と、前記筐体の上部においてヒンジを介して回動するカバーと、前記カバーに搭載された給送部と、前記原稿台に載置された原稿及び前記給送部が給送した原稿を読み取る読取部と、を備え、前記ヒンジは、相対回動可能な第1部材と第2部材とを有し、前記第1部材が前記筐体を構成するフレームに固定され、前記第2部材が前記給送部及び前記カバーを支持し、前記第2部材に固定された状態で前記カバーの回動半径方向に延伸する補強フレームを備え、前記給送部のフレームは、前記補強フレームと固定されてもよい。
【0095】
この構成によれば、給送部のフレームが、ヒンジを構成する第2部材に固定された状態でカバーの回動半径方向に延伸する補強フレームに固定されているので、給送部を搭載するカバーの開閉が繰り返されても、給送部の変形を抑制できる。この結果、給送部が原稿台上に原稿を給送したとき、カバー回動半径方向両端部での原稿と読取部との距離の差を小さく抑制できる。よって、原稿のカバー回動半径方向の全体が読取部の被写界深度内に入るので、原稿の全体をぼけの少ない高画質な画像として読み取ることができる。したがって、原稿台と給送部とを備えた読取装置において、原稿の良質な読取画像を得ることができる。
【0096】
上記読取装置では、前記補強フレームは、前記回動半径方向に前記給送部及びカバーの重心位置を超える位置まで延伸していてもよい。
この構成によれば、給送部及びカバーの重心にかかる荷重を補強フレームが受けるので、給送部及びカバーの開閉の繰り返しによる変形をより効果的に抑制できる。よって、給送部が読取位置に給送した原稿のカバー回動半径方向両端部での原稿と読取部との距離の差が小さく抑制される。この結果、原稿の全体をぼけの一層少ない高画質な画像として読み取ることができる。
【0097】
上記読取装置では、前記原稿台に移動可能に収容される前記読取部としての第1読取部と、前記給送部において搬送経路の途中で原稿を読み取る第2読取部とを備え、前記補強フレームは、前記給送部における前記回動半径方向と交差する幅方向において、前記給送部により搬送された原稿を読み取る読取位置にある前記第1読取部と前記第2読取部とのそれぞれの外側端部の間の範囲に配置されていてもよい。
【0098】
この構成によれば、補強フレームは、給送部の幅方向において読取位置にある第1読取部と第2読取部とのそれぞれの外側端部の間の範囲に配置されている。このため、第1読取部と第2読取部との周辺部分の変形が、補強フレームによって小さく抑制される。よって、給送部が搬送した原稿の例えば第1面を第1読取部が読み取るときも、給送部が搬送した原稿の例えば第2面をその搬送経路の途中で第2読取部が読み取るときも、原稿を高い読取精度で読み取ることができる。
【0099】
上記読取装置では、前記給送部の前記フレームは、前記回動半径方向の両側に配置された一対の側板フレームと、前記一対の側板フレームを支持する支持フレームと、を有し、前記補強フレームは、前記支持フレームの上方又は下方に位置し、前記支持フレームに対して前記回動半径方向の両端部で固定され、前記両端部の固定箇所の間の範囲の少なくとも一部で前記支持フレームと隙間を隔てて配置されてもよい。
【0100】
この構成によれば、補強フレームは、回動半径方向の両端部で支持フレームに固定され、両端部の固定箇所の間の範囲の少なくとも一部で支持フレームとの間に隙間が設けられている。よって、支持フレームが補強フレームにより補強されるうえ、仮に支持フレームが変形して、支持フレームの両端部の間の部分が補強フレームに接近する方向に変位しても、隙間の存在により、支持フレームが補強フレームに接触してこれを押すことが回避される。この結果、支持フレームの変形した部分が補強フレームに当たることによる給送部の変形を抑制できる。
【0101】
上記読取装置では、前記補強フレームは、前記回動半径方向と交差する方向の断面の形状がU字状であって、当該補強フレームよりも下方に位置する前記支持フレームに対して、前記U字状の底部にて、前記回動半径の接線方向を軸線方向とするねじ部材により固定されてもよい。
【0102】
この構成によれば、カバーがヒンジを介して回動するときに仮に補強フレームが湾曲しても、補強フレームと支持フレームとのねじ部材による固定位置がずれにくい。ねじ部材の締結による補強フレームと支持フレームとの固定箇所での位置決めは、締結箇所での面と面との摩擦により行われ、補強フレームが湾曲して変位する方向がその摩擦面と平行な方向であると、固定位置がずれてしまう。しかし、補強フレームが湾曲して変位する方向が、ねじ部材の締結による摩擦面と平行な方向ではなく、ねじ部材の軸線方向なので、固定位置がずれにくい。なお、カバーの開き角度が小さいときにモーメントの関係で補強フレームは湾曲しやすく、また閉じた状態でもユーザーがカバーの回動先端部分を押さえたときに補強フレームは湾曲しやすい。
【0103】
複写装置は、上記読取装置と、前記読取装置の前記読取部が読み取った原稿の画像を媒体に記録する記録部を前記筐体内に有する記録装置と、を有し、前記読取装置の下方に前記記録装置が配置されている。
【0104】
この構成によれば、読取装置が原稿を高い精度で読み取った画像を記録部が媒体に記録することにより、複写装置によって原稿を位置ずれや画質の低下が抑制された高い精度で複写することができる。
【符号の説明】
【0105】
11…複写装置の一例としての複合機、12…筐体、13…読取装置、14…原稿読取装置、15…カバー、16…給送部の一例としての自動原稿送り装置(ADF)、17…原稿トレイ、26…記録部、27…記録ヘッド、28…キャリッジ、29…記録装置、30…ヒンジ、30A…第1部材、30B…第2部材、31…原稿台、32…本体ハウジング、33…枠体、34…ガラス、35…透明板、36…原稿押さえ面、37…開口、38…ハウジング、41…読取部の一例としての第1読取部、42…第2読取部、44…第1センサー、45…キャリッジ、46…搬送部、50…給送ローラー…、51…セパレートローラー、52…第1ガイドローラー、53…第2ガイドローラー、54…第3ガイドローラー、55…送りローラー、56…排出ローラー、60…フレーム枠、61…底部、61A,61B…度当て部の一例としての突部、66…ねじ、67…ねじ、68…ねじ、71…第1フレーム、71A…ロアフレーム、71B…アッパーフレーム、72…第2フレーム、73…第3フレーム、73A…ロアフレーム、73B…アッパーフレーム、74…サイドフレームの一例である第4フレーム、75…、76…、77…柱部材、78…柱部材、79…位置決めピン、80…フレーム、81…側板フレーム、82…支持フレーム、82A…支持フレーム、86…補強フレーム、86A…底部、87…突部、88…ねじ部材の一例としてのねじ、100…読取装置の一例としてのスキャナー装置、D…原稿、P…媒体の一例としての用紙、T…搬送経路、G1…隙間、G2…隙間、CG…重心、SP…読取位置、SA…範囲、X…奥行方向、Y…幅方向、Z…鉛直方向。