(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
H02M3/155 W
(21)【出願番号】P 2023170162
(22)【出願日】2023-09-29
【審査請求日】2024-09-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】毛塚 信貴
(72)【発明者】
【氏名】小山 孝
(72)【発明者】
【氏名】小太刀 圭一
(72)【発明者】
【氏名】池邉 啓文
(72)【発明者】
【氏名】小堀 賢司
(72)【発明者】
【氏名】柴田 翔
(72)【発明者】
【氏名】テイ クアンチュン
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 康司
(72)【発明者】
【氏名】濱田 鎮教
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-180533(JP,A)
【文献】特開2015-220792(JP,A)
【文献】実開平2-125597(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00- 3/44
H02M 7/42- 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に対して複数の電力変換装置を並列に設け、前記各電力変換装置と負荷を結ぶ電路に各々介挿され、電力変換装置から負荷にかけて順次直列に接続された第1の電流定格を有する第1の電流検出器、第1のリアクトル、前記第1の電流検出器を選択する第1の電磁接触器と、前記第1の電磁接触器の両端間に直列に接続された、前記第1の電流検出器よりも小さい第2の電流定格を有する第2の電流検出器、第2のリアクトル、前記第2の電流検出器を選択する第2の電磁接触器と、を備えて電力変換装置の主回路を構成し、
予め設定された第1の電磁接触器の開閉設定信号および第1の電磁接触器の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第1電磁接触器側論理積回路と、予め設定された第2の電磁接触器の開閉設定信号および第2の電磁接触器の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第2電磁接触器側論理積回路と、前記第1電磁接触器側論理積回路の出力および前記第2電磁接触器側論理積回路の出力を入力とする第1の排他的論理和回路と、前記第1の電磁接触器の開閉設定信号および第2の電磁接触器の開閉設定信号を入力とする第2の排他的論理和回路と、前記第1の排他的論理和回路の出力および第2の排他的論理和回路の出力の論理積をとって、論理積条件成立時に負荷接続を許可する信号を出力する負荷接続許可信号生成用論理積回路と、を有した負荷接続許可判定処理部と、
前記負荷接続許可判定処理部から出力される負荷接続許可信号および第1の電磁接触器の開閉設定信号の論理積をとって第1の電磁接触器の開閉指令を出力する第1電磁接触器開閉指令生成用論理積回路と、前記負荷接続許可判定処理部から出力される負荷接続許可信号および第2の電磁接触器の開閉設定信号の論理積をとって第2の電磁接触器の開閉指令を出力する第2電磁接触器開閉指令生成用論理積回路と、前記第1電磁接触器開閉指令生成用論理積回路の出力および第2電磁接触器開閉指令生成用論理積回路の出力の論理和処理を行って電流制御許可信号を生成する電流制御許可信号生成用論理和回路と、を有した開閉指令・電流制御許可信号生成部と、
前記開閉指令・電流制御許可信号生成部で生成された第1電磁接触器開閉指令信号および第2電磁接触器開閉指令信号が入力される排他的論理和回路と、前記排他的論理和回路の出力と前記第2電磁接触器開閉指令信号の論理積をとる論理積回路を有し、前記論理積回路の出力に応じて前記第1の電流検出器又は第2の電流検出器の各電流検出値を選択する電流レンジ切換え処理部と、
前記開閉指令・電流制御許可信号生成部で生成された電流制御許可信号が制御許可である場合、前記電流レンジ切換え処理部で選択された電流検出値が、設定された電流指令値となるように、設定した比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、前記電流制御許可信号が制御不許可である場合、電流指令と、比例ゲイン、積分ゲインを零に切換える電流制御器と、を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記電力変換装置の主回路は、前記第2の電流検出器、第2のリアクトル、第2の電磁接触器からなる直列回路を、電力変換装置の設置台数分前記第1の電磁接触器の両端間に並列に接続して構成されており、
前記負荷接続許可判定処理部の第2電磁接触器側論理積回路は、第2の電磁接触器の開閉設定信号および第2の電磁接触器の閉での運転許可信号の論理積をとる論理積回路を電力変換装置の設置台数分有し、
前記第1、第2の排他的論理和回路および前記負荷接続許可信号生成用論理積回路に代えて、前記第1電磁接触器側論理積回路および電力変換装置の設置台数分の第2電磁接触器側論理積の各論理積結果が1である数を加算する運転許可設定側加算器と、第1の電磁接触器の開閉設定信号および電力変換装置の設置台数分の第2の電磁接触器の開閉設定信号が閉である数を加算する開閉設定側加算器と、前記運転許可設定側加算器の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する第1比較器と、前記開閉設定側加算器の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する第2比較器と、第1比較器および第2比較器の出力の論理積をとって論理積条件成立時に負荷接続を許可する信号を出力する負荷接続許可信号生成用論理積回路と、を設けて構成されており、
前記開閉指令・電流制御許可信号生成部の第2電磁接触器開閉指令生成用論理積回路は、負荷接続許可信号と第2の電磁接触器の開閉設定信号の論理積をとる論理積回路を電力変換装置の設置台数分有し、前記電流制御許可信号生成用論理和回路は、前記第1電磁接触器開閉指令生成用論理積回路の出力および前記電力変換装置の設置台数分の第2電磁接触器開閉指令生成用論理積回路の各出力の論理和処理を行う論理和回路で構成され、
前記電流レンジ切換え処理部は、前記排他的論理和回路に代えて、第1の電磁接触器の開閉指令および電力変換装置の設置台数分の第2の電磁接触器の開閉指令が閉指令である数を加算する加算器を有し、前記加算器の加算結果に応じて前記第1の電流検出器又は電力変換装置の設置台数分の第2の電磁接触器の各電流検出値を選択するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
負荷に対して複数の電力変換装置を並列に設け、前記各電力変換装置と負荷を結ぶ電路に各々介挿され、電力変換装置から負荷にかけて順次直列に接続された第1の電流定格を有する第1の電流検出器、第1のリアクトル、前記第1の電流検出器を選択する第1の電磁接触器、第4のリアクトル、出力側電磁接触器と、前記第1のリアクトルおよび第1の電磁接触器の直列回路に各々並列に接続された、第1の電流検出器よりも小さい第2の電流定格を有する第2の電流検出器、第2のリアクトル、第2の電流検出器を選択する第2の電磁接触器から成る直列回路と、第2の電流検出器よりも小さい第3の電流定格を有する第3の電流検出器、第3のリアクトル、第3の電流検出器を選択する第3の電磁接触器から成る直列回路と、第1のリアクトルおよび第1の電磁接触器の直列回路と前記第4のリアクトルの共通接続点と、電力変換装置の負極端の間に接続された出力フィルタコンデンサと、を備えて電力変換装置の主回路を構成し、
予め設定された第1の電磁接触器の開閉設定信号および第1の電磁接触器の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第1電磁接触器側論理積回路と、予め設定された第2の電磁接触器の開閉設定信号および第2の電磁接触器の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第2電磁接触器側論理積回路と、予め設定された第3の電磁接触器の開閉設定信号および第3の電磁接触器の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第3電磁接触器側論理積回路と、前記第1~第3電磁接触器側論理積回路の各論理積結果が1である数を加算する運転許可設定側加算器と、第1~第3の電磁接触器の開閉設定信号が閉である数を加算する開閉設定側加算器と、前記運転許可設定側加算器の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する第1比較器と、前記開閉設定側加算器の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する第2比較器と、前記出力フィルタコンデンサの電圧を検出した電圧検出値と前記出力側電磁接触器の負荷側の電圧を検出した電圧検出値の差分の絶対値が、設定した電圧判定レベルよりも小さいとき1を出力する第3比較器と、前記第1~第3比較器の出力の論理積をとって論理積条件成立時に負荷接続を許可する信号を出力する負荷接続許可信号生成用論理積回路とを有した負荷接続許可判定処理部と、
予め設定された、出力フィルタコンデンサ電圧制御時における第1の電磁接触器での運転許可設定、出力フィルタコンデンサ電圧制御時における第2の電磁接触器での運転許可設定、出力フィルタコンデンサ電圧制御時における第3の電磁接触器での運転許可設定が各々許可である数を加算する運転許可設定側第2加算器と、運転許可設定側第2加算器の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する第4比較器と、
前記第1の電磁接触器の開閉設定信号および負荷接続許可信号の論理積をとる第1論理積回路と、前記第2の電磁接触器の開閉設定信号および負荷接続許可信号の論理積をとる第2論理積回路と、前記第3の電磁接触器の開閉設定信号および負荷接続許可信号の論理積をとる第3論理積回路と、
前記負荷接続許可信号を論理反転した信号、前記第4比較器の出力信号および出力フィルタコンデンサ電圧制御時における、第1の電磁接触器での運転許可信号の論理積をとる第4論理積回路と、
前記負荷接続許可信号を論理反転した信号、前記第4比較器の出力信号および出力フィルタコンデンサ電圧制御時における、第2の電磁接触器での運転許可信号の論理積をとる第5論理積回路と、
前記負荷接続許可信号を論理反転した信号、前記第4比較器の出力信号および出力フィルタコンデンサ電圧制御時における、第3の電磁接触器での運転許可信号の論理積をとる第6論理積回路と、
前記第1論理積回路および第4論理積回路の出力の論理和処理を行って前記第1の電磁接触器の開閉指令を出力する第1論理和回路と、前記第2論理積回路および第5論理積回路の出力の論理和処理を行って前記第2の電磁接触器の開閉指令を出力する第2論理和回路と、前記第3論理積回路および第6論理積回路の出力の論理和処理を行って前記第3の電磁接触器の開閉指令を出力する第3論理和回路と、
前記第1、第2、第3論理積回路の各出力の論理和処理を行い、結果が0ときは0を、結果が1のときは1を出力する第1選択回路と、前記第4、第5、第6論理積回路の各出力の論理和処理を行い、結果が0ときは0を、結果が1のときは1を出力する第2選択回路と、
前記第1選択回路および第2選択回路の各出力を加算し、加算結果に応じて電流制御不許可、電流制御、出力フィルタコンデンサ電圧制御のいずれかの電流制御許可信号を出力する電流制御許可信号生成用加算器とを有した開閉指令・電流制御許可信号生成部と、
前記第1論理和回路から出力される第1の電磁接触器の開閉指令および第1の電磁接触器の開閉状態信号の論理積をとる第1論理積回路と、
前記第2論理和回路から出力される第2の電磁接触器の開閉指令および第2の電磁接触器の開閉状態信号の論理積をとる第2論理積回路と、
前記第3論理和回路から出力される第3の電磁接触器の開閉指令および第3の電磁接触器の開閉状態信号の論理積をとる第3論理積回路と、
前記負荷接続許可信号が許可であるとき1を、不許可であるとき0を出力する第1選択器と、前記第1選択器の出力信号と、前記第1~第3論理積回路の各出力の論理和処理を行った結果の信号との論理積をとって出力側電磁接触器開閉指令を出力する第4論理積回路と、を有した出力側電磁接触器開閉指令生成部と、
前記第1の電磁接触器の開閉指令に応じて0又は1を出力し、前記第2の電磁接触器の開閉指令に応じて0又は2を出力し、前記第3の電磁接触器の開閉指令に応じて0又は3を出力する第2選択器と、前記第2選択器の出力を加算する加算器と、を有し、前記加算器の出力に応じて前記第1~第3の電流検出器のいずれかの電流検出値を選択する電流レンジ切換え処理部と、
前記開閉指令・電流制御許可信号生成部で生成された電流制御許可信号が電流制御である場合、前記電流レンジ切換え処理部で選択された電流検出値が、設定された電流指令値となるように、設定した比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、前記電流制御許可信号が出力フィルタコンデンサ電圧制御である場合、前記電流レンジ切換え処理部で選択された電流検出値が、設定された出力フィルタコンデンサ電圧制御時の電流指令値となるように、設定した比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、前記電流制御許可信号が電流制御不許可である場合、電流指令と、比例ゲイン、積分ゲインを零に切換える電流制御器と、を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
負荷に対して複数の電力変換装置を並列に設け、前記各電力変換装置と負荷を結ぶ電路に各々介挿され、電力変換装置から負荷にかけて順次直列に接続された第1の電流定格を有する出力フィルタ前側第1の電流検出器、第1のリアクトル、前記第1の電流検出器を選択する出力フィルタ前側第1の電磁接触器、出力フィルタ後側第1の電流検出器を選択する出力フィルタ後側第1の電磁接触器、第1の電流定格を有する出力フィルタ後側第1の電流検出器、第4のリアクトル、出力側電磁接触器と、
前記第1のリアクトルおよび出力フィルタ前側第1の電磁接触器の直列回路に各々並列に接続された、第1の電流検出器よりも小さい第2の電流定格を有する出力フィルタ前側第2の電流検出器、第2のリアクトル、第2の電流検出器を選択する出力フィルタ前側第2の電磁接触器から成る直列回路と、第2の電流検出器よりも小さい第3の電流定格を有する出力フィルタ前側第3の電流検出器、第3のリアクトル、第3の電流検出器を選択する出力フィルタ前側第3の電磁接触器から成る直列回路と、
前記出力フィルタ前側第1の電磁接触器と出力フィルタ後側第1の電磁接触器の共通接続点と、電力変換装置の負極端の間に接続された出力フィルタコンデンサと、
前記出力フィルタ後側第1の電磁接触器の両端間に並列に接続された、第1の電流検出器よりも小さい第2の電流定格を有する出力フィルタ後側第2の電流検出器および第2の電流検出器を選択する出力フィルタ後側第第2の電磁接触器から成る直列回路と、第2の電流検出器よりも小さい第3の電流定格を有する出力フィルタ後側第3の電流検出器および第3の電流検出器を選択する出力フィルタ後側第3の電磁接触器から成る直列回路と、を備えて電力変換装置の主回路を構成し、
前記請求項3に記載された負荷接続許可判定処理部と開閉指令・電流制御許可信号生成部であって、負荷接続許可判定処理部内で用いる前記第1の電磁接触器の開閉設定を出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の開閉設定に変更し、前記第2の電磁接触器の開閉設定を出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の開閉設定に変更し、前記第3の電磁接触器の開閉設定を出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の開閉設定に変更し、
前記第1の電磁接触器の閉での運転許可設定信号を、出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の閉での運転許可設定信号に変更し、前記第2の電磁接触器の閉での運転許可設定信号を、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の閉での運転許可設定信号に変更し、前記第3の電磁接触器の閉での運転許可設定信号を、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の閉での運転許可設定信号に変更し、
前記フィルタコンデンサ電圧制御時における第1の電磁接触器での運転許可設定を、フィルタコンデンサ電圧制御時における出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器での運転許可設定に変更し、前記フィルタコンデンサ電圧制御時における第2の電磁接触器での運転許可設定を、フィルタコンデンサ電圧制御時における出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器での運転許可設定に変更し、前記フィルタコンデンサ電圧制御時における第3の電磁接触器での運転許可設定を、フィルタコンデンサ電圧制御時における出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器での運転許可設定に変更し、
前記第1論理和回路の出力は、出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の開閉指令を出力することに変更し、前記第2論理和回路の出力は、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の開閉指令を出力することに変更し、前記第3論理和回路の出力は、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の開閉指令を出力することに変更して構成した負荷接続許可判定処理部と、開閉指令・電流制御許可信号生成部と、
前記請求項3に記載された出力側電磁接触器開閉指令生成部であって、出力側電磁接触器開閉指令生成部内で用いる、前記第1の電磁接触器の開閉指令を、出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の開閉指令に変更し、第1の電磁接触器の状態信号を出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の状態信号に変更し、
前記第2の電磁接触器の開閉指令を、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の開閉指令に変更し、第2の電磁接触器の状態信号を出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の状態信号に変更し、
前記第3の電磁接触器の開閉指令を、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の開閉指令に変更し、第3の電磁接触器の状態信号を出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の状態信号に変更して構成した出力側電磁接触器開閉指令生成部と、
出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の開閉指令に応じて0又は1を出力し、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の開閉指令に応じて0又は2を出力し、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の開閉指令に応じて0又は3を出力する第2選択器と、前記第2選択器の出力を加算する加算器と、を有し、前記加算器の出力に応じて前記出力フィルタ前側第1~第3の電流検出器のいずれかの電流検出値を選択する出力フィルタ前側選択器と、前記加算器の出力に応じて前記出力フィルタ後側第1~第3の電流検出器のいずれかの電流検出値を選択する出力フィルタ後側選択器と、備えた電流レンジ切換え処理部と、
前記開閉指令・電流制御許可信号生成部で生成された電流制御許可信号が電流制御である場合、前記出力フィルタ前側選択器で選択された出力フィルタ前側電流検出器の電流検出値が、設定した電流指令値となるように、設定した電流制御用の比例ゲインにより比例制御を施し、
前記出力フィルタ後側電流検出器の電流検出値が、設定した電流指令値となるように設定した電流制御用の積分ゲインにより積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、
前記電流制御許可信号が出力フィルタコンデンサ電圧制御である場合、前記出力フィルタ前側選択器で選択された出力フィルタ前側電流検出器の電流検出値が、設定された出力フィルタコンデンサ電圧制御時の電流指令値となるように、設定した出力フィルタコンデンサ電圧制御用の比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、前記電流制御許可信号が電流制御不許可である場合、電流指令と、比例ゲイン、積分ゲインを零に切換える電流制御器を、備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
前記開閉指令・電流制御許可信号生成部から電流制御を指定する電流制御許可信号が出力された場合、並列接続されている全ての電力変換装置の主回路に接続されている出力側電磁接触器の状態が全て閉状態になったときのみ、前記電流制御器の入力側の電流指令を有効にする電流指令有効・無効選択回路を備えたことを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の状態信号、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の状態信号、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の状態信号を基に、各電磁接触器の開閉回数を計数し、開閉回数が最小である電磁接触器に対して、前記負荷接続許可判定処理部で用いる電磁接触器閉での運転許可設定を決定する運転許可設定決定部を、電力変換装置の並列運転台数に応じて設け、設定した並列運転台数に応じて前記運転許可設定決定部を選択するように構成したことを特徴とする請求項4又は5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
複数の電力変換装置のうち、いずれか1つの電力変換装置と負荷の間の回路を有効とし、その他の電力変換装置と負荷の間の回路については、第2の電流検出器、第2のリアクトル、第2の電磁接触器、第3の電流検出器、第3のリアクトル、第3の電磁接触器を削除し、前記電流レンジ切換え処理部を削除し、電流制御器へのフィードバック入力を第1の電流検出器の電流検出値のみとし、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および後側第2の電磁接触器の閉での運転許可設定と、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および後側第3の電磁接触器の閉での運転許可設定を不許可としたことを特徴とする請求項4又は5に記載の電力変換装置。
【請求項8】
電力変換装置の定格電流と、出力フィルタ前側第1の電磁接触器および後側第1の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第1の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果と、電力変換装置の定格電流を第1の設定数で除算した電流と、出力フィルタ前側第1の電磁接触器および後側第1の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第1の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果と、電力変換装置の定格電流を第2の設定数で除算した電流と、出力フィルタ前側第1の電磁接触器および後側第1の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第1の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果の合計値に応じて、周波数を順次高く設定した第1~第3のキャリア周波数のいずれかを選択する第1キャリア周波数選択部と、
電力変換装置の定格電流と、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および後側第2の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第2の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果と、電力変換装置の定格電流を第1の設定数で除算した電流と、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および後側第2の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第2の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果と、電力変換装置の定格電流を第2の設定数で除算した電流と、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および後側第2の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第2の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果の合計値に応じて、周波数を順次高く設定した第1~第3のキャリア周波数のいずれかを選択する第2キャリア周波数選択部と、
電力変換装置の定格電流と、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および後側第3の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第3の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果と、電力変換装置の定格電流を第1の設定数で除算した電流と、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および後側第3の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第3の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果と、電力変換装置の定格電流を第2の設定数で除算した電流と、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および後側第3の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第3の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果の合計値に応じて、周波数を順次高く設定した第1~第3のキャリア周波数のいずれかを選択する第3キャリア周波数選択部と、
出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器が選択された場合は前記第1キャリア周波数選択部の出力を設定し、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器が選択された場合は前記第2キャリア周波数選択部の出力を設定し、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器が選択された場合は前記第3キャリア周波数選択部の出力を設定するキャリア周波数設定部と、を備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流を高精度に制御するために定格の異なる複数の電流検出器(以下、HCTと称することもある)を有した電力変換装置を並列に接続した場合の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大容量かつ複数の電流定格を搭載した電力変換装置が要求されている。このため、複数の電流定格を持つ複数台の電力変換装置に関する並列運転方式を開発する必要がある。
【0003】
定格の異なる複数の電流検出器を切換えて電力変換装置を運転する先行技術として、例えば特許文献1に記載のものが提案されている。
【0004】
図1は先行技術における電力変換装置の構成例であり、特許文献1の
図9に記載の構成を示している。
【0005】
図1において、FC(フライングキャパシタ)を有する電力変換器100と負荷200を結ぶ電路には、HCT1(第1の電流検出器)とHCT1を選択するための電磁接触器(以下、MCと称することもある)MC1が直列に介挿されている。MC1の両端間には、HCT1とは定格の異なるHCT2(第2の電流検出器)とHCT2を選択するための電磁接触器MC2が直列に接続されている。
【0006】
尚、特許文献1では、電流定格の異なる複数のHCTを備えた電力変換装置の出力を結合して複数台で運転を行う記述が無い。
【0007】
図2に、先行技術(
図1の構成)をそのまま出力結合して電力変換装置を複数台運転する場合の主回路構成を示す。
【0008】
図2において、負荷200に対して複数の電力変換装置1、2が並列に設けられ、電力変換装置1と負荷200を結ぶ電路には、電力変換装置1から負荷200にかけて、第1の電流定格を有する第1の電流検出器HCT_11を選択する第1の電磁接触器MC11、HCT_11、リアクトルL11が順次直列に接続されている。
【0009】
MC11の両端間には、前記HCT_11よりも小さい第2の電流定格を有する第2の電流検出器HCT_21およびHCT_21を選択する第2の電磁接触器MC21が直列に接続されている。
【0010】
電力変換装置2と負荷200の間にも、前記と同様に、第1の電磁接触器MC12、第1の電流検出器HCT_12、リアクトルL12が直列に接続され、MC12の両端間には第の2電流検出器HCT_22および第2の電磁接触器MC22が直列に接続されている。
【0011】
図2のように電力変換装置を並列にした場合には、出力電圧の誤差に応じて装置間を流れる電流(以下、横流と称する)が発生する。横流を抑制するために、装置間にリアクトルL11,L12を接続している。
【0012】
制御構成例を
図3に示す。電力変換装置1と2で他方の電流検出値をフィードバックせず独立して電流制御を実施する。また電力変換装置1と2でキャリア同期を実施しない構成とする。電流制御指令は指令生成部より各電力変換装置に送られる構成とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図4に電流指令に対する出力電流波形例を示す。ここでは、電力変換装置1の出力MCが閉じて次に電力変換装置2のMCが閉じる場合を示す。MCの開閉動作には部品による個体差がある。大容量のMCにおいては、開閉信号が入力されてから実際に動作するまで数十~数百ms程度要するものがある。MCが閉じてからでないと電流を出力できない。このため各並列された装置の出力電流が立ち上がるタイミングが異なる。出力電流合計値が指令値まで達する時間が長くなる問題がある。
【0015】
キャリア同期を実施しない場合の各電力変換装置の出力電流と負荷電流の定常状態における電流波形例を
図5に示す。キャリアリプルを三角波として記載している。装置間でのキャリア同期を実施しないため、キャリアリプルが装置間で同じように発生する場合がある。この時には、負荷に流れる電流には各装置のキャリアリプルが重畳される。2台分のキャリアリプルが負荷電流に発生するためキャリアリプルは1台で運転する場合に比べると大きくなる。
【0016】
先行技術をそのまま出力結合して複数台運転する場合の課題を下記にまとめる。1.並列間での出力電流指令の同期構成がないため、指令に対する応答性が悪くなる。
2.複数台運転時には電力変換装置の出力リプルが並列台数分増えていく。このため、出力電流のリプル成分が増えるため高調波が増加し、負荷側で意図しない損失が発生する。出力電流が小さくていい場合は、1台分の運転で実施することにより、出力リプルを抑制できる。
3.出力にフィルタを持つ構成の場合、負荷と回路を切り離すために負荷とフィルタ間に出力開閉器を設置する場合がある。先行技術では、電流レンジ切換え開閉器と出力開閉器のある回路を考慮していない。このため、電流レンジ切換え開閉器と出力開閉器の開閉タイミング次第では電流制御を行うと電流制御の積分項が発散し電流制御が異常となり過電流故障となり電力変換装置が故障停止し意図した制御ができない。
【0017】
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、電流定格の大きさに応じて適切な並列台数での運転を実施し、出力リプルを抑制することができる電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するための請求項1に記載の電力変換装置は、
負荷に対して複数の電力変換装置を並列に設け、前記各電力変換装置と負荷を結ぶ電路に各々介挿され、電力変換装置から負荷にかけて順次直列に接続された第1の電流定格を有する第1の電流検出器、第1のリアクトル、前記第1の電流検出器を選択する第1の電磁接触器と、前記第1の電磁接触器の両端間に直列に接続された、前記第1の電流検出器よりも小さい第2の電流定格を有する第2の電流検出器、第2のリアクトル、前記第2の電流検出器を選択する第2の電磁接触器と、を備えて電力変換装置の主回路を構成し、
予め設定された第1の電磁接触器の開閉設定信号および第1の電磁接触器の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第1電磁接触器側論理積回路と、予め設定された第2の電磁接触器の開閉設定信号および第2の電磁接触器の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第2電磁接触器側論理積回路と、前記第1電磁接触器側論理積回路の出力および前記第2電磁接触器側論理積回路の出力を入力とする第1の排他的論理和回路と、前記第1の電磁接触器の開閉設定信号および第2の電磁接触器の開閉設定信号を入力とする第2の排他的論理和回路と、前記第1の排他的論理和回路の出力および第2の排他的論理和回路の出力の論理積をとって、論理積条件成立時に負荷接続を許可する信号を出力する負荷接続許可信号生成用論理積回路と、を有した負荷接続許可判定処理部と、
前記負荷接続許可判定処理部から出力される負荷接続許可信号および第1の電磁接触器の開閉設定信号の論理積をとって第1の電磁接触器の開閉指令を出力する第1電磁接触器開閉指令生成用論理積回路と、前記負荷接続許可判定処理部から出力される負荷接続許可信号および第2の電磁接触器の開閉設定信号の論理積をとって第2の電磁接触器の開閉指令を出力する第2電磁接触器開閉指令生成用論理積回路と、前記第1電磁接触器開閉指令生成用論理積回路の出力および第2電磁接触器開閉指令生成用論理積回路の出力の論理和処理を行って電流制御許可信号を生成する電流制御許可信号生成用論理和回路と、を有した開閉指令・電流制御許可信号生成部と、
前記開閉指令・電流制御許可信号生成部で生成された第1電磁接触器開閉指令信号および第2電磁接触器開閉指令信号が入力される排他的論理和回路と、前記排他的論理和回路の出力と前記第2電磁接触器開閉指令信号の論理積をとる論理積回路を有し、前記論理積回路の出力に応じて前記第1の電流検出器又は第2の電流検出器の各電流検出値を選択する電流レンジ切換え処理部と、
前記開閉指令・電流制御許可信号生成部で生成された電流制御許可信号が制御許可である場合、前記電流レンジ切換え処理部で選択された電流検出値が、設定された電流指令値となるように、設定した比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、前記電流制御許可信号が制御不許可である場合、電流指令と、比例ゲイン、積分ゲインを零に切換える電流制御器と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の電力変換装置は、請求項1において、
前記電力変換装置の主回路は、前記第2の電流検出器、第2のリアクトル、第2の電磁接触器からなる直列回路を、電力変換装置の設置台数分前記第1の電磁接触器の両端間に並列に接続して構成されており、
前記負荷接続許可判定処理部の第2電磁接触器側論理積回路は、第2の電磁接触器の開閉設定信号および第2の電磁接触器の閉での運転許可信号の論理積をとる論理積回路を電力変換装置の設置台数分有し、
前記第1、第2の排他的論理和回路および前記負荷接続許可信号生成用論理積回路に代えて、前記第1電磁接触器側論理積回路および電力変換装置の設置台数分の第2電磁接触器側論理積の各論理積結果が1である数を加算する運転許可設定側加算器と、第1の電磁接触器の開閉設定信号および電力変換装置の設置台数分の第2の電磁接触器の開閉設定信号が閉である数を加算する開閉設定側加算器と、前記運転許可設定側加算器の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する第1比較器と、前記開閉設定側加算器の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する第2比較器と、第1比較器および第2比較器の出力の論理積をとって論理積条件成立時に負荷接続を許可する信号を出力する負荷接続許可信号生成用論理積回路と、を設けて構成されており、
前記開閉指令・電流制御許可信号生成部の第2電磁接触器開閉指令生成用論理積回路は、負荷接続許可信号と第2の電磁接触器の開閉設定信号の論理積をとる論理積回路を電力変換装置の設置台数分有し、前記電流制御許可信号生成用論理和回路は、前記第1電磁接触器開閉指令生成用論理積回路の出力および前記電力変換装置の設置台数分の第2電磁接触器開閉指令生成用論理積回路の各出力の論理和処理を行う論理和回路で構成され、
前記電流レンジ切換え処理部は、前記排他的論理和回路に代えて、第1の電磁接触器の開閉指令および電力変換装置の設置台数分の第2の電磁接触器の開閉指令が閉指令である数を加算する加算器を有し、前記加算器の加算結果に応じて前記第1の電流検出器又は電力変換装置の設置台数分の第2の電磁接触器の各電流検出値を選択するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の電力変換装置は、
負荷に対して複数の電力変換装置を並列に設け、前記各電力変換装置と負荷を結ぶ電路に各々介挿され、電力変換装置から負荷にかけて順次直列に接続された第1の電流定格を有する第1の電流検出器、第1のリアクトル、前記第1の電流検出器を選択する第1の電磁接触器、第4のリアクトル、出力側電磁接触器と、前記第1のリアクトルおよび第1の電磁接触器の直列回路に各々並列に接続された、第1の電流検出器よりも小さい第2の電流定格を有する第2の電流検出器、第2のリアクトル、第2の電流検出器を選択する第2の電磁接触器から成る直列回路と、第2の電流検出器よりも小さい第3の電流定格を有する第3の電流検出器、第3のリアクトル、第3の電流検出器を選択する第3の電磁接触器から成る直列回路と、第1のリアクトルおよび第1の電磁接触器の直列回路と前記第4のリアクトルの共通接続点と、電力変換装置の負極端の間に接続された出力フィルタコンデンサと、を備えて電力変換装置の主回路を構成し、
予め設定された第1の電磁接触器の開閉設定信号および第1の電磁接触器の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第1電磁接触器側論理積回路と、予め設定された第2の電磁接触器の開閉設定信号および第2の電磁接触器の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第2電磁接触器側論理積回路と、予め設定された第3の電磁接触器の開閉設定信号および第3の電磁接触器の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第3電磁接触器側論理積回路と、前記第1~第3電磁接触器側論理積回路の各論理積結果が1である数を加算する運転許可設定側加算器と、第1~第3の電磁接触器の開閉設定信号が閉である数を加算する開閉設定側加算器と、前記運転許可設定側加算器の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する第1比較器と、前記開閉設定側加算器の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する第2比較器と、前記出力フィルタコンデンサの電圧を検出した電圧検出値と前記出力側電磁接触器の負荷側の電圧を検出した電圧検出値の差分の絶対値が、設定した電圧判定レベルよりも小さいとき1を出力する第3比較器と、前記第1~第3比較器の出力の論理積をとって論理積条件成立時に負荷接続を許可する信号を出力する負荷接続許可信号生成用論理積回路とを有した負荷接続許可判定処理部と、
予め設定された、出力フィルタコンデンサ電圧制御時における第1の電磁接触器での運転許可設定、出力フィルタコンデンサ電圧制御時における第2の電磁接触器での運転許可設定、出力フィルタコンデンサ電圧制御時における第3の電磁接触器での運転許可設定が各々許可である数を加算する運転許可設定側第2加算器と、運転許可設定側第2加算器の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する第4比較器と、
前記第1の電磁接触器の開閉設定信号および負荷接続許可信号の論理積をとる第1論理積回路と、前記第2の電磁接触器の開閉設定信号および負荷接続許可信号の論理積をとる第2論理積回路と、前記第3の電磁接触器の開閉設定信号および負荷接続許可信号の論理積をとる第3論理積回路と、
前記負荷接続許可信号を論理反転した信号、前記第4比較器の出力信号および出力フィルタコンデンサ電圧制御時における、第1の電磁接触器での運転許可信号の論理積をとる第4論理積回路と、
前記負荷接続許可信号を論理反転した信号、前記第4比較器の出力信号および出力フィルタコンデンサ電圧制御時における、第2の電磁接触器での運転許可信号の論理積をとる第5論理積回路と、
前記負荷接続許可信号を論理反転した信号、前記第4比較器の出力信号および出力フィルタコンデンサ電圧制御時における、第3の電磁接触器での運転許可信号の論理積をとる第6論理積回路と、
前記第1論理積回路および第4論理積回路の出力の論理和処理を行って前記第1の電磁接触器の開閉指令を出力する第1論理和回路と、前記第2論理積回路および第5論理積回路の出力の論理和処理を行って前記第2の電磁接触器の開閉指令を出力する第2論理和回路と、前記第3論理積回路および第6論理積回路の出力の論理和処理を行って前記第3の電磁接触器の開閉指令を出力する第3論理和回路と、
前記第1、第2、第3論理積回路の各出力の論理和処理を行い、結果が0ときは0を、結果が1のときは1を出力する第1選択回路と、前記第4、第5、第6論理積回路の各出力の論理和処理を行い、結果が0ときは0を、結果が1のときは1を出力する第2選択回路と、
前記第1選択回路および第2選択回路の各出力を加算し、加算結果に応じて電流制御不許可、電流制御、出力フィルタコンデンサ電圧制御のいずれかの電流制御許可信号を出力する電流制御許可信号生成用加算器とを有した開閉指令・電流制御許可信号生成部と、
前記第1論理和回路から出力される第1の電磁接触器の開閉指令および第1の電磁接触器の開閉状態信号の論理積をとる第1論理積回路と、
前記第2論理和回路から出力される第2の電磁接触器の開閉指令および第2の電磁接触器の開閉状態信号の論理積をとる第2論理積回路と、
前記第3論理和回路から出力される第3の電磁接触器の開閉指令および第3の電磁接触器の開閉状態信号の論理積をとる第3論理積回路と、
前記負荷接続許可信号が許可であるとき1を、不許可であるとき0を出力する第1選択器と、前記第1選択器の出力信号と、前記第1~第3論理積回路の各出力の論理和処理を行った結果の信号との論理積をとって出力側電磁接触器開閉指令を出力する第4論理積回路と、を有した出力側電磁接触器開閉指令生成部と、
前記第1の電磁接触器の開閉指令に応じて0又は1を出力し、前記第2の電磁接触器の開閉指令に応じて0又は2を出力し、前記第3の電磁接触器の開閉指令に応じて0又は3を出力する第2選択器と、前記第2選択器の出力を加算する加算器と、を有し、前記加算器の出力に応じて前記第1~第3の電流検出器のいずれかの電流検出値を選択する電流レンジ切換え処理部と、
前記開閉指令・電流制御許可信号生成部で生成された電流制御許可信号が電流制御である場合、前記電流レンジ切換え処理部で選択された電流検出値が、設定された電流指令値となるように、設定した比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、前記電流制御許可信号が出力フィルタコンデンサ電圧制御である場合、前記電流レンジ切換え処理部で選択された電流検出値が、設定された出力フィルタコンデンサ電圧制御時の電流指令値となるように、設定した比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、前記電流制御許可信号が電流制御不許可である場合、電流指令と、比例ゲイン、積分ゲインを零に切換える電流制御器と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の電力変換装置は、
負荷に対して複数の電力変換装置を並列に設け、前記各電力変換装置と負荷を結ぶ電路に各々介挿され、電力変換装置から負荷にかけて順次直列に接続された第1の電流定格を有する出力フィルタ前側第1の電流検出器、第1のリアクトル、前記第1の電流検出器を選択する出力フィルタ前側第1の電磁接触器、出力フィルタ後側第1の電流検出器を選択する出力フィルタ後側第1の電磁接触器、第1の電流定格を有する出力フィルタ後側第1の電流検出器、第4のリアクトル、出力側電磁接触器と、
前記第1のリアクトルおよび出力フィルタ前側第1の電磁接触器の直列回路に各々並列に接続された、第1の電流検出器よりも小さい第2の電流定格を有する出力フィルタ前側第2の電流検出器、第2のリアクトル、第2の電流検出器を選択する出力フィルタ前側第2の電磁接触器から成る直列回路と、第2の電流検出器よりも小さい第3の電流定格を有する出力フィルタ前側第3の電流検出器、第3のリアクトル、第3の電流検出器を選択する出力フィルタ前側第3の電磁接触器から成る直列回路と、
前記出力フィルタ前側第1の電磁接触器と出力フィルタ後側第1の電磁接触器の共通接続点と、電力変換装置の負極端の間に接続された出力フィルタコンデンサと、
前記出力フィルタ後側第1の電磁接触器の両端間に並列に接続された、第1の電流検出器よりも小さい第2の電流定格を有する出力フィルタ後側第2の電流検出器および第2の電流検出器を選択する出力フィルタ後側第第2の電磁接触器から成る直列回路と、第2の電流検出器よりも小さい第3の電流定格を有する出力フィルタ後側第3の電流検出器および第3の電流検出器を選択する出力フィルタ後側第3の電磁接触器から成る直列回路と、を備えて電力変換装置の主回路を構成し、
前記請求項3に記載された負荷接続許可判定処理部と開閉指令・電流制御許可信号生成部であって、負荷接続許可判定処理部内で用いる前記第1の電磁接触器の開閉設定を出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の開閉設定に変更し、前記第2の電磁接触器の開閉設定を出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の開閉設定に変更し、前記第3の電磁接触器の開閉設定を出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の開閉設定に変更し、
前記第1の電磁接触器の閉での運転許可設定信号を、出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の閉での運転許可設定信号に変更し、前記第2の電磁接触器の閉での運転許可設定信号を、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の閉での運転許可設定信号に変更し、前記第3の電磁接触器の閉での運転許可設定信号を、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の閉での運転許可設定信号に変更し、
前記フィルタコンデンサ電圧制御時における第1の電磁接触器での運転許可設定を、フィルタコンデンサ電圧制御時における出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器での運転許可設定に変更し、前記フィルタコンデンサ電圧制御時における第2の電磁接触器での運転許可設定を、フィルタコンデンサ電圧制御時における出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器での運転許可設定に変更し、前記フィルタコンデンサ電圧制御時における第3の電磁接触器での運転許可設定を、フィルタコンデンサ電圧制御時における出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器での運転許可設定に変更し、
前記第1論理和回路の出力は、出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の開閉指令を出力することに変更し、前記第2論理和回路の出力は、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の開閉指令を出力することに変更し、前記第3論理和回路の出力は、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の開閉指令を出力することに変更して構成した負荷接続許可判定処理部と、開閉指令・電流制御許可信号生成部と、
前記請求項3に記載された出力側電磁接触器開閉指令生成部であって、出力側電磁接触器開閉指令生成部内で用いる、前記第1の電磁接触器の開閉指令を、出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の開閉指令に変更し、第1の電磁接触器の状態信号を出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の状態信号に変更し、
前記第2の電磁接触器の開閉指令を、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の開閉指令に変更し、第2の電磁接触器の状態信号を出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の状態信号に変更し、
前記第3の電磁接触器の開閉指令を、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の開閉指令に変更し、第3の電磁接触器の状態信号を出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の状態信号に変更して構成した出力側電磁接触器開閉指令生成部と、
出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の開閉指令に応じて0又は1を出力し、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の開閉指令に応じて0又は2を出力し、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の開閉指令に応じて0又は3を出力する第2選択器と、前記第2選択器の出力を加算する加算器と、を有し、前記加算器の出力に応じて前記出力フィルタ前側第1~第3の電流検出器のいずれかの電流検出値を選択する出力フィルタ前側選択器と、前記加算器の出力に応じて前記出力フィルタ後側第1~第3の電流検出器のいずれかの電流検出値を選択する出力フィルタ後側選択器と、備えた電流レンジ切換え処理部と、
前記開閉指令・電流制御許可信号生成部で生成された電流制御許可信号が電流制御である場合、前記出力フィルタ前側選択器で選択された出力フィルタ前側電流検出器の電流検出値が、設定した電流指令値となるように、設定した電流制御用の比例ゲインにより比例制御を施し、
前記出力フィルタ後側電流検出器の電流検出値が、設定した電流指令値となるように設定した電流制御用の積分ゲインにより積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、
前記電流制御許可信号が出力フィルタコンデンサ電圧制御である場合、前記出力フィルタ前側選択器で選択された出力フィルタ前側電流検出器の電流検出値が、設定された出力フィルタコンデンサ電圧制御時の電流指令値となるように、設定した出力フィルタコンデンサ電圧制御用の比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、前記電流制御許可信号が電流制御不許可である場合、電流指令と、比例ゲイン、積分ゲインを零に切換える電流制御器を、備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の電力変換装置は、請求項4において、
前記開閉指令・電流制御許可信号生成部から電流制御を指定する電流制御許可信号が出力された場合、並列接続されている全ての電力変換装置の主回路に接続されている出力側電磁接触器の状態が全て閉状態になったときのみ、前記電流制御器の入力側の電流指令を有効にする電流指令有効・無効選択回路を備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載の電力変換装置は、請求項4又は5において、
出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器の状態信号、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器の状態信号、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器の状態信号を基に、各電磁接触器の開閉回数を計数し、開閉回数が最小である電磁接触器に対して、前記負荷接続許可判定処理部で用いる電磁接触器閉での運転許可設定を決定する運転許可設定決定部を、電力変換装置の並列運転台数に応じて設け、設定した並列運転台数に応じて前記運転許可設定決定部を選択するように構成したことを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の電力変換装置は、請求項4又は5において、
複数の電力変換装置のうち、いずれか1つの電力変換装置と負荷の間の回路を有効とし、その他の電力変換装置と負荷の間の回路については、第2の電流検出器、第2のリアクトル、第2の電磁接触器、第3の電流検出器、第3のリアクトル、第3の電磁接触器を削除し、前記電流レンジ切換え処理部を削除し、電流制御器へのフィードバック入力を第1の電流検出器の電流検出値のみとし、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および後側第2の電磁接触器の閉での運転許可設定と、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および後側第3の電磁接触器の閉での運転許可設定を不許可としたことを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の電力変換装置は、請求項4又は5において、
電力変換装置の定格電流と、出力フィルタ前側第1の電磁接触器および後側第1の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第1の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果と、電力変換装置の定格電流を第1の設定数で除算した電流と、出力フィルタ前側第1の電磁接触器および後側第1の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第1の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果と、電力変換装置の定格電流を第2の設定数で除算した電流と、出力フィルタ前側第1の電磁接触器および後側第1の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第1の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果の合計値に応じて、周波数を順次高く設定した第1~第3のキャリア周波数のいずれかを選択する第1キャリア周波数選択部と、
電力変換装置の定格電流と、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および後側第2の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第2の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果と、電力変換装置の定格電流を第1の設定数で除算した電流と、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および後側第2の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第2の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果と、電力変換装置の定格電流を第2の設定数で除算した電流と、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および後側第2の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第2の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果の合計値に応じて、周波数を順次高く設定した第1~第3のキャリア周波数のいずれかを選択する第2キャリア周波数選択部と、
電力変換装置の定格電流と、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および後側第3の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第3の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果と、電力変換装置の定格電流を第1の設定数で除算した電流と、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および後側第3の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第3の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果と、電力変換装置の定格電流を第2の設定数で除算した電流と、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および後側第3の電磁接触器選択時の定格電流を比較し、前記第3の電磁接触器選択時の定格電流が小となる比較結果の合計値に応じて、周波数を順次高く設定した第1~第3のキャリア周波数のいずれかを選択する第3キャリア周波数選択部と、
出力フィルタ前側第1の電磁接触器および出力フィルタ後側第1の電磁接触器が選択された場合は前記第1キャリア周波数選択部の出力を設定し、出力フィルタ前側第2の電磁接触器および出力フィルタ後側第2の電磁接触器が選択された場合は前記第2キャリア周波数選択部の出力を設定し、出力フィルタ前側第3の電磁接触器および出力フィルタ後側第3の電磁接触器が選択された場合は前記第3キャリア周波数選択部の出力を設定するキャリア周波数設定部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
(1)請求項1~8に記載の発明によれば、電流定格の大きい複数台運転が必要な領域では複数台並列運転を実施し運転可能な電流の小さい運転領域では電流定格に応じて適切な台数での運転を実施することが可能となる。このため、キャリアリプルが減少するのでキャリアに起因する高調波を低減することができる。
(2)請求項3に記載の発明によれば、電力変換装置の出力側にフィルタコンデンサを有する装置において、前記(1)と同様の効果が得られる。
(3)請求項4に記載の発明によれば、電力変換装置の出力側にフィルタコンデンサを設け、その前側と後側に各々リアクトルを設けてLCL型のフィルタを構成した装置において、前記(1)と同様の効果が得られる。
(4)請求項5に記載の発明によれば、指令値が変化してから出力電流が目標電流に達するまでの時間で応答速度が規定される場合において、出力電流の応答速度を
速めることができる。
(5)請求項6に記載の発明によれば、各電磁接触器の開閉回数が決められ、開閉回数が均一化できるので、装置の長寿命化が期待できる。
(6)請求項7に記載の発明によれば、不要な回路削除による部品点数削減が可能となり、これによってコストダウン及び盤サイズを減少することができる。
(7)請求項8に記載の発明によれば、負荷へ発生する電流脈動を発生させることなくキャリア周波数を変化させることが可能であり、電流が急変するための高調波やキャリア周波数を高周波化させることなくキャリアリプル低減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】先行技術の、電流定格の異なる複数のHCTを備えた電力変換装置の一例を示す構成図。
【
図2】先行技術の電力変換装置の出力を結合して複数台の電力変換装置で運転する場合の構成図。
【
図3】先行技術を結合した場合における制御構成図。
【
図4】
図3の制御における電流指令に対する出力電流波形図。
【
図6】本発明の実施例1における電力変換装置の主回路構成図。。
【
図7】本発明の実施例1におけるHCT選択MC開閉制御構成図。
【
図8】本発明の実施例1における電力変換装置の基本制御構成図。
【
図9】本発明の実施例2における電力変換装置の主回路構成図。
【
図10】本発明の実施例2におけるHCT選択MC開閉制御構成図。
【
図11】本発明の実施例2における電力変換装置の基本制御構成図。
【
図12】本発明の実施例3における電力変換装置の主回路構成図。。
【
図13】本発明の実施例3におけるHCT選択MC開閉制御構成図。
【
図14】本発明の実施例3における出力MC開閉制御構成図。
【
図15】本発明の実施例3における電力変換装置の基本制御構成図。
【
図16】本発明の実施例4における電力変換装置の主回路構成図。
【
図17】本発明の実施例4におけるHCT選択MC開閉制御構成図。。
【
図18】本発明の実施例4における出力MC開閉制御構成図。
【
図19】本発明の実施例4における電力変換装置の基本制御構成図。
【
図20】本発明の実施例5における電力変換装置の基本制御構成図。
【
図21】全ての出力MCがオンする前に電流指令を受け取り、電流制御を実施した場合の出力電流波形図。
【
図22】本発明の実施例5の制御を実施した場合の出力電流波形図。
【
図23】本発明の実施例6における各MC開閉回数処理構成図。
【
図24】本発明の実施例6における各MC閉での運転許可設定構成図。
【
図25】本発明の実施例6における並列台数1の運転許可設定構成図。
【
図26】本発明の実施例6における並列台数2の運転許可設定構成図。
【
図27】本発明の実施例6における並列台数3の運転許可設定構成図。
【
図28】本発明の実施例7における電力変換装置の主回路構成図。
【
図29】本発明の実施例8における第1の電磁接触器選択時のキャリア周波数選択構成図。
【
図30】本発明の実施例8におけるキャリア周波数設定構成図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。本発明の前提条件として、下記回路構成を対象として記載する。
【0029】
1.並列された電力変換装置間でのキャリア同期は実施しない。
2.フライングキャパシタを有する電力変換装置に限定しない。
上記に示す前提条件において並列運転方式の達成と制御精度の向上および、キャリアリプルの増加を防止しながら複数の電流定格を持つ複数台の電力変換装置に関する並列運転方式を開発する必要がある。
【実施例1】
【0030】
図6に、実施例1における電力変換装置の主回路構成を示す。
【0031】
図6において、負荷200に対して複数の電力変換装置1、2が並列に設けられ、電力変換装置1と負荷200を結ぶ電路には、電力変換装置1から負荷200にかけて、第1の電流定格を有する第1の電流検出器HCT_A11、第1のインダクタンス値を有する第1のリアクトルL_A11、第1の電流検出器HCT_A11を選択する第1の電磁接触器MC11が順次直列に接続されている。
【0032】
第1の電磁接触器MC11の両端間には、HCT_A11よりも電流定格の小さい第2の電流定格を有する第2の電流検出器HCT_A21、第2のインダクタンス値を有する第2のリアクトルL_A21、HCT_A21を選択する第2の電磁接触器MC21から成る直列回路が並列に接続されている。
【0033】
電力変換装置2と負荷200を結ぶ電路の主回路も前記と同様に構成され、HCT_A、L_A、MCの各末尾の添え字が「1」→「2」に変更されている。本実施例では、電流定格の大きい状態で運転を実施する場合にはHCT_A11とHCT_A12を使用し、電流定格の小さい状態で運転する場合にはHCT_A21とHCT_A22を使用する。MCの開閉とHCTの選択を表1に定義する。
【0034】
【0035】
表1では電力変換装置1の場合を示しているが電力変換装置2の場合も添え字を2に変更するだけで同じである。
【0036】
図7にHCT選択MC開閉制御構成図を示す。10は負荷接続許可判定処理部、20は開閉指令・電流制御許可信号生成部である。11は、予め設定された第1の電磁接触器MC11の開閉設定信号および第1の電磁接触器MC11の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第1電磁接触器側論理積回路である。12は、予め設定された第2の電磁接触器MC21の開閉設定信号および第2の電磁接触器MC21の閉での運転許可設定信号の論理積をとる第2電磁接触器側論理積回路である。
【0037】
13は、前記第1電磁接触器側論理積回路11の出力および前記第2電磁接触器側論理積回路12の出力を入力とする第1の排他的論理和回路であり、14は、前記第1の電磁接触器MC11の開閉設定信号および第2の電磁接触器MC21の開閉設定信号を入力とする第2の排他的論理和回路である。
【0038】
15は、第1の排他的論理和回路13の出力および第2の排他的論理和回路14の出力の論理積をとって、論理積条件成立時に負荷接続を許可する信号(許可1;不許可;0)を出力する負荷接続許可信号生成用論理積回路である。
【0039】
16は、負荷接続許可判定処理部10から出力される負荷接続許可信号および第1の電磁接触器MC11の開閉設定信号の論理積をとって第1の電磁接触器MC11の開閉指令を出力する第1電磁接触器開閉指令生成用論理積回路である。
【0040】
17は、前記負荷接続許可判定処理部10から出力される負荷接続許可信号および第2の電磁接触器MC21の開閉設定信号の論理積をとって第2の電磁接触器MC21の開閉指令を出力する第2電磁接触器開閉指令生成用論理積回路である。
【0041】
18は、第1電磁接触器開閉指令生成用論理積回路16の出力および第2電磁接触器開閉指令生成用論理積回路17の出力の論理和処理を行って電流制御許可信号を生成する電流制御許可信号生成用論理和回路である。
【0042】
図8に実施例1における電力変換装置の基本制御構成図を示す。ここでは電力変換装置1台分で記載されており、他の電力変換装置も同様の構成を取る。
【0043】
図8において、30は電流レンジ切換え処理部であり、次のように構成されている。前記開閉指令・電流制御許可信号生成部20で生成されたMC11開閉指令信号およびMC21閉指令信号が入力される排他的論理和回路31と、排他的論理和回路31の出力と前記MC21開閉指令信号の論理積をとる論理積回路32とを有し、前記論理積回路32の出力(0:MC11閉、1:MC21閉)に応じて前記第1の電流検出器HCT_A11又は第2の電流検出器HCT_A21の各電流検出値を選択する。電流レンジ切換え処理部30の出力電流は電流制御器40のフィードバック信号とされる。
【0044】
41は、前記開閉指令・電流制御許可信号生成部20の電流制御許可信号生成用論理和回路18から出力される電流制御許可信号が、制御許可1の場合電流指令1を、制御不許可0である場合0を各々選択する選択器である。
【0045】
電流制御器40は、前記電流制御許可信号が制御許可である場合、前記電流レンジ切換え処理部30で選択された電流検出値が、設定された電流指令値となるように、設定した比例ゲインKp、積分ゲインKiにより比例制御、積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、前記電流制御許可信号が制御不許可である場合、電流指令と、比例ゲイン、積分ゲインを零に切換える。42は遅延器、43はリミッタである。
【0046】
電流制御器はPI制御器のような積分処理を持った構成としている。電流制御の構成として、電流制御許可信号が0の場合は、電流指令と電流制御の比例ゲインを0とする。積分項も積分項初期値を設定する。ここでは、比例ゲインを0としたが積分ゲインを0としても問題はない。電流レンジ切換え処理で電流検出値を決定する。電流検出値は選択したMC開閉指令に応じて適切な検出値を切換える構成とする。
【0047】
表2にHCT選択MC開閉制御の真理値表を示す。
【0048】
【0049】
表2によれば、運転許可が設定されるMCと該当MCの開閉設定が1となる場合にのみ負荷接続許可信号と該当MC開閉指令、電流制御許可信号が1がとなることがわかる。MC11とMC21の開閉設定が両方とも1の場合は負荷接続許可信号と各MC開閉指令、電流制御許可信号が0となることがわかる。HCT選択MC開閉制御で意図したMCに対して開閉指令を与えることが可能となる。また、両方のMCに対して開閉設定が1となってもMC開閉指令が0となるので誤動作することもない。制御構成の作用・動作について説明する。
【0050】
電流レンジ切換え処理部30について記す。電流レンジ切換え処理の真理値表は表3となる。
【0051】
【0052】
本処理を行うことにより、HCTとMCの選択の関係が適切に選択可能となる。また、選択無しと、MC11とMC21選択の場合にはHCT_A11を選択するようにする。これは、MC11とMC21どちらが開でも構成上必ずHCT_A11では電流を検出するため誤動作防止として設定する。MCが切換るときや運転許可していないMCで運転する場合にはMC11とMC21のどちらともが開状態の場合がある。
【0053】
MC11とMC21がどちらとも開の場合、電流検出値は0となる。このため、電流指令が与えられ電流制御の積分項が動作していると偏差が発生したものが積分項で積分され異常な値となり電流制御が異常となる。結果として、過電流故障などが発生し、装置が故障停止する。電流制御許可信号が0の場合には、電流指令と電流制御比例ゲインを0とし、積分項に積分項初期値を設定することにより積分動作を止める。MC11とMC21がどちらとも開の場合に、積分項が停止するため電流制御が異常とならない。運転したいMCが閉指令となっている時には電流制御許可信号が1となるため、電流制御が正常動作となる。
【0054】
例えば、電力変換装置1はMC11とMC21での運転許可、電力変換装置2はMC12の運転は許可、MC22の運転は不許可と設定する。この場合は、前述の通りに各制御が動作するため電流定格が大きい場合は電力変換装置1と2両方で運転し、電流定格が小さい場合には電力変換装置1のみで運転が可能となる。
【0055】
以上のように実施例1によれば、電流定格の大きい複数台運転が必要な領域では、2台並列での運転が実施可能となる。1台分の電流定格で運転可能な電流の小さい運転領域では、1台で運転を実施することが可能となる。このためキャリアリプルが減少するのでキャリアに起因する高調波を低減できる。
【実施例2】
【0056】
図9に実施例2における電力変換装置の基本回路構成図を示す。
図9において実施例1の
図6と異なる点は、負荷200に対してN台の電力変換装置1~Nを設け、前記第1の電磁接触器MC11の両端間に並列に接続される、第2の電流検出器HCT_A21、第2のリアクトルL_A21、第2の電磁接触器MC21から成る直列回路を、電力変換装置の設置台数分並列に接続して構成したことにあり、その他の部分は
図6と同様に構成されている。
【0057】
本実施例では、電流定格の大きい状態で運転を実施する場合にはHCT_A11とHCT_A12、・・HCT1Nを使用し、電流定格の小さい状態で運転する場合にはHCT_AN1とHCT_AN2、・・HCTNNを使用する。MCの開閉とHCTの選択を表4に定義する。
【0058】
【0059】
表4では電力変換装置1の場合を示しているが電力変換装置2の場合は添え字を2に、電力変換装置Nの場合には添え字をNに変更するだけで同じである。
図10にHCT選択MC開閉制御構成図を示す。
【0060】
図10において、実施例2における負荷接続許可判定処理部50は次のように構成されている。51aは、あらかじめ設定された電磁接触器MC11の開閉設定信号と、MC11閉での運転許可設定信号の論理積をとる論理積回路である。51bは、あらかじめ設定されたMC21の開閉設定信号と、MC21閉での運転許可設定信号の論理積をとる論理積回路である。論理積回路51は同様にN台分設けられており、51nは、あらかじめ設定されたMCN1の開閉設定信号と、MCN1閉での運転許可設定信号の論理積をとる論理積回路である。
【0061】
52a~52nは、論理積回路51a~51nの各出力が0のときは0を、1のときは1を各々選ぶ選択器であり、53は、選択器52a~52nの選択結果が1である数を加算する運転許可設定側加算器である。
【0062】
54aは、前記MC11の開閉設定信号が0のときは0を、1のときは1を各々選ぶ選択器であり、54bは、前記MC21の開閉設定信号が0のときは0を、1のときは1を各々選ぶ選択器である。選択器54は同様にN台分設けられており、54nは、前記MCN1の開閉設定信号が0のときは0を、1のときは1を各々選ぶ選択器である。
【0063】
55は、選択器54a~54nの選択結果が1である数を加算する開閉設定側加算器である。
【0064】
56は、運転許可設定側加算器53の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する比較器、57は開閉設定側加算器55の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する比較器である。
【0065】
58は、比較器56,57の出力の論理積をとり、論理積条件成立時に許可1を指定し、論理積条件不成立時に不許可0を指定する負荷接続許可信号を出力する負荷接続許可信号生成用論理積回路である。
【0066】
59aは、前記負荷接続許可信号とMC11開閉設定信号の論理積をとりMC11開閉指令信号を出力する論理積回路である。59bは、前記負荷接続許可信号とMC21開閉設定信号の論理積をとりMC21開閉指令信号を出力する論理積回路である。
【0067】
論理積回路59は同様にN台分設けられており、59nは前記負荷接続許可信号とMCN1開閉設定信号の論理積をとりMCN1開閉指令信号を出力する論理積回路である。
【0068】
60は、論理積回路59a~59nの出力の論理和処理を行って電流制御許可信号を出力する電流制御許可信号生成用論理和回路である。
【0069】
前記論理積回路59a~59nおよび前記論理和回路60によって開閉指令・電流制御許可信号生成部61を構成している。
【0070】
図10において、負荷接続許可判定処理では、下記処理を行う。
(1)各MCの開閉設定と閉での運転許可設定の論理積を取る(51a~51n)。論理積の結果が0の場合は0を1の場合は1を出力する。全てのMCに対する出力を加算処理し、結果を1と比較し等しければ1を等しくなければ0を出力する。
(2)MCの開閉設定が0の時は0を1の時は1を出力し全てのMCに対する結果を加算処理(55)し、その結果を1と比較し等しければ1を等しくなければ0を出力する。
(3)(1)と(2)の結果の論理積をとり負荷接続許可信号とする(58)。負荷接続許可信号とMC開閉設定の論理積を取って各MC開閉指令とする(59a~59n)。このMC開閉指令の論理和を電流制御許可信号(60)とする構成である。
【0071】
図11に実施例2における基本制御構成図を示す。実施例2における電流レンジ切換え処理部70は次のように構成されている。71aは、第1の電磁接触器MC11の開閉指令が0のとき0を、1のとき(閉指令のとき)1を選ぶ選択器、71bは、第2の電磁接触器MC21の開閉指令が0のとき0を、1のとき(閉指令のとき)2を選ぶ選択器、選択器71はN台分設けられ、71nは、第Nの電磁接触器MCN1の開閉指令が0のとき0を、1のとき(閉指令のとき)Nを選ぶ選択器である。
【0072】
72は選択器71a~71nの出力を加算(閉指令である数を加算)する加算器である。73は加算器72の出力に応じて、第1の電流検出器HCT_A11の電流検出値、第2の電流検出器HCT_A21の電流検出値、…、HCT_AN1の電流検出値のいずれかを設定する電流検出値設定器である。
【0073】
実施例2における電流制御器40とその入力側の回路は、実施例1の
図8と同一に構成されている。
【0074】
図11では、電力変換装置1台分で記載している。他の電力変換装置も同様の構成を取ればよい。電流制御器40はPI制御器のような積分処理を持った構成としている。電流制御の構成として、電流制御許可信号が0の場合は、電流指令と電流制御の比例ゲインを0とする。積分項も積分項初期値を設定する。ここでは、比例ゲインを0としたが積分ゲインを0としても問題はない。
【0075】
電流レンジ切換え処理部70では電流検出値を決定する。MCの開閉指令に応じて対応した数字を出力し、対応した数字が設定されることによりHCTの電流検出値が適切に設定される構成とする。例えばMC11開閉指令が1の場合は1を、MC21開閉指令が1の場合は2を、MCN1開閉指令が1の場合はNを出力する。その出力結果を加算器72で加算する。加算結果が1の場合はHCT_A11の電流検出値を、2の場合はHCT_A21の電流検出値を、Nの場合はHCT_AN1の電流検出値を設定するように構成している。
【0076】
表5,表6,表7に、実施例2における負荷許可接続判定処理についての真理値表を記載する。
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
運転許可が設定されるMCと該当MCの開閉設定が1となる場合にのみ負荷接続許可信号が1がとなることがわかる。複数のMC開閉設定が1となったとしても負荷接続許可信号が0となることがわかる。
【0081】
また、各MCの開閉指令は、各MC開閉設定と負荷接続許可信号の論理積である。MC開閉指令は、運転許可設定とMC開閉設定に応じて適切に0もしくは1となることが表5から明らかである。電流制御許可信号は各MC開閉指令の論理和処理を行うので、いずれかのMC開閉指令が1となった場合にのみ1となる信号であることも明らかである。尚、他の部分は実施例1と同様に構成されている。
【0082】
制御構成の作用・動作について説明する。電流レンジ切換え処理について記す。先ほど記した通り、MC開閉指令はいずれか一つの信号が1となる。このMC開閉指令に応じて適切な数字が選択され、それに応じて電流検出値が選択される。例えば、MC11開閉指令が1となれば、1が選択されHCT_A11の電流検出値が選択される。同様にMC21開閉指令が1となれば、2が選択されHCT_A21の電流検出値が選択され、MCN1開閉指令が1となれば、Nが選択されHCT_AN1の電流検出値が選択される。
【0083】
実施例1と同様に電流制御許可信号が0の場合には、電流指令と電流制御比例ゲイン、積分項に積分項初期値を設定することにより積分動作を止める。運転したいMCが閉指令となっている時には電流制御許可信号が1となるため、電流制御が正常動作となる。
【0084】
例えば、電力変換装置1はMC11とMC21とMCN1での運転を許可、電力変換装置2はMC12、MC22の運転を許可、電力変換装置NはMCN1の運転を許可と設定する。この場合は、前述の通りに各制御が動作するため電流定格が大きい場合は電力変換装置1と2、Nで運転し、次に電流定格が小さい場合には電力変換装置1と2で運転し、一番電流定格が小さい場合には電力変換装置1のみで運転が可能となる。
【0085】
以上のように実施例2によれば、2台並列のみでなく、2~N台までの複数台における並列装置にも適用可能な構成であるため、電流定格の大きい複数台運転が必要な領域では、N台並列で運転を実施可能となる。各電流定格に応じて、運転可能な電流の小さい運転領域では、適切な台数での運転を実施することができるので、キャリアリプルが減少するのでキャリアに起因する高調波を低減できる。
【実施例3】
【0086】
図12に実施例3における電力変換装置の主回路構成図を示す。実施例3では、電流定格は3つとしているため、1台当たりのHCTとMCの数はそれぞれ3つとしている。また、電力変換装置の並列数は3台としている。ただ、実施例2と同様に、1台当たりのHCTとMCの数、電力変換装置の並列台数はN個まで対応可能である。本実施例の主回路構成としては、出力にコンデンサを有しているものを対象とする。本例では、出力フィルタの形をLCLの形としている。また、LCLの最終段のLの後には負荷と切り離すための開閉器を有している構成とする。
【0087】
図12において、負荷200に対して3台の電力変換装置1,2,3が設けられ電力変換装置1と負荷200を結ぶ電路には、電力変換装置1から負荷200にかけて、第1の電流定格を有する第1の電流検出器HCT_A11、第1のリアクトルL_A11、第1の電磁接触器MC_A11、第4のリアクトルL_B11、負荷を切離すための出力側電磁接触器MC_C11が順次直列に接続されている。
【0088】
前記MC_A11およびL_B11の共通接続点と電力変換装置1の負極側の間には、出力フィルタコンデンサC11が接続されている。
【0089】
前記L_A11およびMC_A11の直列回路には、HCT_A11よりも電流定格の小さい第2の電流定格を有する第2の電流検出器HCT_A21、第2のリアクトルL_A21、HCT_A21を選択する第2の電磁接触器MC_A21から成る直列回路と、HCT_A21よりも電流定格の小さい第3の電流定格を有する第3の電流検出器HCT_A31、第3のリアクトルL_A31、HCT_A31を選択する第3の電磁接触器MC_A31から成る直列回路が並列に接続されている。
【0090】
電力変換装置2、3と負荷の間の主回路も前記と同様に構成され、各部の末尾の添え字を1→2,3に各々変更している。
【0091】
図13において、80は負荷接続を許可するか不許可とするかを判定する負荷接続許可判定処理部であり、次のように構成されている。
【0092】
81は、予め設定されたMC_A11の開閉設定信号とMC_A11閉での運転許可設定信号の論理積をとる論理積回路である。
【0093】
82は、予め設定されたMC_A21の開閉設定信号とMC_A21閉での運転許可設定信号の論理積をとる論理積回路である。
【0094】
83は、予め設定されたMC_A31の開閉設定信号とMC_A31閉での運転許可設定信号の論理積をとる論理積回路である。
【0095】
84~86は、論理積回路81~83の各出力が0のときは0を、1のときは1を各々選ぶ選択器であり、87は選択器84~86の選択結果が1である数を加算する運転許可設定側加算器である。
【0096】
88~90は、前記MC_A11の開閉設定信号、MC_A21の開閉設定信号、MC_A31の開閉設定信号が0のときは0を、1のときは1を各々選ぶ選択器であり、91は選択器88~90の選択結果が1である数を加算する開閉設定側加算器である。
【0097】
92は、運転許可設定側加算器87の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する比較器、93は開閉設定側加算器91の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する比較器である。
【0098】
94は、出力フィルタコンデンサC11の電圧検出値と出力側電磁接触器MC_C11の二次側電圧検出値の差分をとる減算器、95は減算器94の差分出力の絶対値をとる絶対値処理器である。
【0099】
96は絶対値処理器95の絶対値が設定した電圧判定レベルよりも小さいとき1を出力する比較器である。
【0100】
97は、比較器92,93,96の出力の論理積をとり、論理積条件成立時に許可1を指定し、論理積条件不成立時に不許可0を指定する負荷接続許可信号を出力する負荷接続許可信号生成用論理積回路である。
98は、フィルタコンデンサ電圧制御時における第1の電磁接触器MC_A11での運転許可設定信号が不許可であるときは0を、許可であるときは1を各々選ぶ選択器である。
99は、フィルタコンデンサ電圧制御時における第2の電磁接触器MC_A21での運転許可設定信号が不許可であるときは0を、許可であるときは1を各々選ぶ選択器である。
100は、フィルタコンデンサ電圧制御時における第3の電磁接触器MC_A31での運転許可設定信号が不許可であるときは0を、許可であるときは1を各々選ぶ選択器である。
101は、前記選択器98~100の各選択結果が1である数を加算する運転許可設定側第2加算器であり、102は前記加算器101の加算出力が1と等しいときのみ1を出力する比較器である。
103は前記論理積回路97から出力される負荷接続許可信号と、前記MC_A11の開閉設定信号の論理積をとる論理積回路、104は前記論理積回路97から出力される負荷接続許可信号と、前記MC_A21の開閉設定信号の論理積をとる論理積回路、105は前記論理積回路97から出力される負荷接続許可信号と、前記MC_A31の開閉設定信号の論理積をとる論理積回路である。
【0101】
106~108は、前記負荷接続許可信号を各々論理反転させる否定回路である。
110は、否定回路106の出力と、比較器102の出力と、前記フィルタコンデンサ電圧制御時におけるMC_A11での運転許可設定信号の論理積をとる論理積回路である。
【0102】
111は、否定回路107の出力と、比較器102の出力と、前記フィルタコンデンサ電圧制御時におけるMC_A21での運転許可設定信号の論理積をとる論理積回路である。
【0103】
112は、否定回路108の出力と、比較器102の出力と、前記フィルタコンデンサ電圧制御時におけるMC_A31での運転許可設定信号の論理積をとる論理積回路である。
【0104】
113は、論理積回路103および論理積回路110の出力の論理和処理を行って第1の電磁接触器MC_A11の開閉指令を出力する論理和回路である。
【0105】
114は、論理積回路104および論理積回路111の出力の論理和処理を行って第2の電磁接触器MC_A21の開閉指令を出力する論理和回路である。
【0106】
115は、論理積回路105および論理積回路112の出力の論理和処理を行って第3の電磁接触器MC_A31の開閉指令を出力する論理和回路である。
【0107】
116は、前記論理積回路103~105の各出力の論理和処理を行い、結果が0のときは0を、結果が1のときは1を出力する第1選択回路である。
【0108】
117は、前記論理積回路110~112の各出力の論理和処理を行い、結果が0のときは0を、結果が1のときは2を出力する第2選択回路である。
【0109】
118は、前記第1選択回路116および第2選択回路117の各出力を加算し、加算結果に応じて電流制御不許可、電流制御、出力フィルタコンデンサ電圧制御のいずれかの電流制御許可信号を出力する電流制御許可信号生成用加算器である。
尚、選択器98~100~前記加算器118までの回路によって開閉指令・電流制御許可信号生成部119を構成している。
図13では、電力変換装置1の構成図を示しているが、電力変換装置2、3も同様の構成で良い。
【0110】
図13において、下記構成が実施例2とは異なる。他の箇所については同じである。
(1)出力フィルタコンデンサ電圧検出値とMC_C11二次側電圧検出値の差分を絶対値処理する。処理した結果が電圧判定レベルより小さければ1大きければ0とする(94~96)。
(2)前記(1)の結果を実施例2の負荷接続許可信号生成処理のAND条件の一つとして加える(97)。
(3)フィルタコンデンサを負荷の電圧と等しくするための電圧制御時におけるMC運転許可設定を追加している。
(4)フィルタコンデンサ電圧制御時のMC運転許可設定に対して0だったら0を、1だったら1とし、各MCの運転許可設定の出力を加算し1となったら1を、1以外の時は0とする構成(98~102)。
(5)前記(3)の信号と(4)の信号、負荷接続許可信号の論理反転した信号の論理積を実施(110~112)。
(6)各MCに関する(5)の結果に対して論理和を取り0だったら0を、1だったら2とする構成(117)。
(7)実施例2と同様に各MCの開閉指令に対して論理和を取り0だったら0を1だったら1とする構成(116)。
(8)前記(6)と(7)の結果に対して加算処理(118)を実施し、結果を電流制御許可信号とする構成。
【0111】
図14に出力MC開閉制御構成を示す。
図14において、出力側電磁接触器開閉指令生成部120は次のように構成されている。前記
図13の論理和回路113から出力されるMC_A11の開閉指令と、MC_A11の状態信号の論理積を論理積回路121でとる。前記MC_A21の開閉指令と、MC_A21の状態信号の論理積を論理積回路122でとる。MC_A31の開閉指令と、MC_A31の状態信号の論理積を論理積回路123でとる。
【0112】
前記論理積回路121~123の各論理積結果の論理和を論理和回路124でとる。前記
図13で述べた負荷接続許可信号が不許可0のときはMC_C11開指令0を、負荷接続許可信号が許可1のときはMC_C11閉指令1を各々選択器125によって選択する。
【0113】
前記論理和回路124および選択器125の出力の論理積を論理積回路126でとってMC_C11開閉指令を出力する。
【0114】
図14において、
(1)電流定格を選択するMCの開閉指令と状態信号の論理積をとる(121~123)。
(2)各MCにおいて(1)の結果に対して論理和を取る(124)。
(3)負荷接続許可信号が0の場合にMC_C11開指令、1の場合にMC_C11閉指令とする(125)。
(4)前記(2)と(3)の論理積を取り(126)、MC_C11開閉指令とする。
【0115】
図15に実施例3における電力変換装置の基本制御構成図を示す。実施例3における電流レンジ切換え処理部130は次のように構成されている。131は、第1の電磁接触器MC_A11の開閉指令が0のときは0を、1のとき(閉指令のとき)は1を選ぶ選択器、132は、第2の電磁接触器MC_A21の開閉指令が0のときは0を、1のとき(閉指令のとき)は2を選ぶ選択器、133は、第3の電磁接触器MC_31の開閉指令が0のときは0を、1のとき(閉指令のとき)は3を選ぶ選択器である。
【0116】
134は、選択器131~133の出力を加算(閉指令である数を加算)する加算器である。135は加算器134の出力に応じて、第1の電流検出器HCT_A11の電流検出値、第2の電流検出器HCT_A21の電流検出値、第3の電流検出器HCT_A31の電流検出値のいずれかを設定する電流検出値設定器である。
【0117】
136は、
図13の加算器118から出力される電流制御許可信号が、0:電流制御不許可の場合0を選択し、1:電流制御の場合電流指令1を選択し、2:フィルタコンデンサ電圧制御の場合フィルタコンデンサ電圧制御時の出力電流指令2を選択する選択器である。
【0118】
実施例3における電流制御器140は、前記電流制御許可信号が電流制御1である場合、前記電流レンジ切換え処理部130で選択された電流検出値が、設定された電流指令値となるように、設定した比例ゲインKp、積分ゲインKiにより比例制御、積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、前記電流制御許可信号が出力フィルタコンデンサ電圧制御2である場合、前記電流レンジ切換え処理部130で選択された電流検出値が、設定された出力フィルタコンデンサ電圧制御時の電流指令値となるように、設定した比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、前記電流制御許可信号が電流制御不許可0である場合、電流指令と、比例ゲイン、積分ゲインを零に切換える。42は遅延器、43はリミッタである。
【0119】
本実施例の主回路構成の場合、主回路と負荷200を接続するときに出力フィルタコンデンサ(C11~C13)と負荷200の電圧が等しくないと下記状態となる。このため、主回路と負荷を接続する前に出力フィルタコンデンサと負荷の電圧が等しくなるように出力フィルタコンデンサ電圧制御を実施する必要がある。
(1)出力フィルタコンデンサの電圧が負荷の電圧よりも高い場合、負荷側に電流が流れて負荷が破損する恐れがある。
(2)出力フィルタコンデンサの電圧が負荷の電圧よりも低い場合、主回路側に電流が流れて出力フィルタコンデンサと負荷の間に接続されている部品に異常な電流が流れて部品が破損する恐れがある。
【0120】
次にHCT選択MC開閉制御について説明する。電流制御時の動作は実施例2から変更はない。本例では、3台並列で記載している。本実施例での負荷接続許可信号の真理値表を表8に示す。
【0121】
【0122】
本実施例では負荷接続許可信号の0,1となる条件に、出力フィルタコンデンサ電圧検出値とMC_C11二次側電圧検出値の差分が電圧判定レベル以下となることが加わっていることである(
図13の94,95,96)。この追加された処理は、出力フィルタコンデンサの電圧が負荷の電圧と等しくなったことを確認する処理である。
【0123】
真理値表8を確認すると、出力フィルタコンデンサ電圧検出値とMC_C11二次側電圧検出値の差分が電圧判定レベル以下かつ実施例2における負荷接続許可信号が1の場合に、実施例3における負荷接続許可信号が1となることがわかる。これより、本実施例の負荷接続許可信号を用いれば前記(1)、(2)のような状態を回避できる。
【0124】
負荷接続許可信号が0のときに関するMC開閉指令の真理値表を表9に、電流制御許可信号の真理値表を表10に各々示す。
【0125】
【0126】
【0127】
負荷接続許可信号が0の場合は表9に示すように、フィルタコンデンサ電圧制御での運転が許可されているMCのMC開閉指令が1となることがわかる。また、表10において、電流制御許可信号は、負荷接続許可信号が1の時には各MC開閉指令のいずれかが1となった場合に1となる。1の場合は電流制御許可を意味する。負荷接続許可信号が0のときには各MC開閉指令のいずれかが1となった場合に2となる。2の場合は出力フィルタコンデンサ電圧制御用の電流制御許可を意味する。その他の場合は0となる。0の場合は電流制御不許可を意味する。
【0128】
負荷接続許可信号が0の場合は電流制御許可信号が0もしくは2となることが確認できる。負荷接続許可信号が1の場合は電流制御許可信号が0もしくは1となることが確認できる。
【0129】
出力MC開閉制御における真理値表を表11に示す。
【0130】
【0131】
各MC開閉指令であるが、HCT選択MC開閉制御で排他的処理がなされているので、2つ以上同時に1となることはない信号である。負荷接続許可信号が1かつ各MCの開閉指令が1で状態信号も1の場合にのみMC_C11が1となることがわかる。HCT選択が適切にされてから出力のMCが動作し、負荷と接続されることを意味する。
【0132】
次に制御構成の作用・動作について説明する。電流レンジ切換え処理については実施例2から変更はない。電流制御許可信号が0,1の場合の動作は実施例2から変更はない。電流制御許可信号が2の場合において動作が異なる。
【0133】
電流制御許可信号が2の場合を説明する。この場合には、フィルタコンデンサ電圧制御を行う。
図15の電流検出器140の入力部はフィルタコンデンサ電圧制御から出力される電流指令が設定される。比例ゲインはKpが設定され、積分項は前回値のフィードバックが行われる構成となる。
【0134】
例えば、電力変換装置1はMC_A11とMC_A21、MC_A31での運転許可、電力変換装置2はMC_A12、MC_A22の運転許可、電力変換装置3はMC_A13の運転許可と設定する。この場合は、前述の通りに各制御が動作するため電流定格が大きい場合は電力変換装置1と2、3で運転する。次に電流定格が小さい場合には電力変換装置1と2で運転し、電力変換装置3は出力フィルタコンデンサ電圧制御を行う。一番電流定格が小さい場合には電力変換装置1のみで運転し、電力変換装置2と3は出力フィルタコンデンサ電圧制御を行う。これにより、出力部にコンデンサを有する回路構成となった場合にも電流定格を切換えての運転が可能となる。
【0135】
以上のように実施例3によれば、電力変換装置の出力にコンデンサを有する装置において複数台並列にした構成で、電流定格の大きい複数台運転が必要な領域では、複数台並列で運転を実施可能。各電流定格に応じて、運転可能な電流の小さい運転領域では、適切な台数での運転が実施できる。これによって、キャリアリプルが減少するのでキャリアに起因する高調波を低減できる。
【実施例4】
【0136】
図16に実施例4における電力変換装置の主回路構成図を示す。
図16において、負荷200には3台の電力変換装置1,2,3が並列に設けられている。電力変換装置1と負荷200を結ぶ電路には、電力変換装置1から負荷200にかけて、第1の電流定格を有する出力フィルタ前側第1の電流検出器HCT_A11、第1のリアクトルL_A11、前記第1の電流検出器を選択する出力フィルタ前側第1の電磁接触器MC_A11、出力フィルタ後側第1の電流検出器を選択する出力フィルタ後側第1の電磁接触器MC_B11、第1の電流定格を有する出力フィルタ後側第1の電流検出器HCT_B11、第4のリアクトルL_B11、出力側電磁接触器MC_C11が順次直列に接続されている。
【0137】
前記L_A11およびMC_A11の直列回路には、第1の電流検出器よりも小さい第2の電流定格を有する出力フィルタ前側第2の電流検出器HCT_A21、第2のリアクトルL_A21、第2の電流検出器を選択する出力フィルタ前側第2の電磁接触器MC_A21から成る直列回路と、第2の電流検出器よりも小さい第3の電流定格を有する出力フィルタ前側第3の電流検出器HCT_A31、第3のリアクトルL_A31、第3の電流検出器を選択する出力フィルタ前側第3の電磁接触器MC_A31から成る直列回路が並列に接続されている。
【0138】
前記MC_A11およびMC_B11の共通接続点と、電力変換装置の負極端の間には出力フィルタコンデンサC11が接続されている。
【0139】
前記MC_B11の両端間には、第2の電流定格を有する出力フィルタ後側第2の電流検出器HCT_B21およびMC_B21から成る直列回路と、第3の電流定格を有する出力フィルタ後側第3の電流検出器HCT_B31およびMC_B31から成る直列回路が並列に接続されている。
【0140】
電力変換装置2、3と負荷200の間の回路も、前記と同様に構成されており、各部の末尾の数字を1→2、3に変更している。
【0141】
図16では、電流定格は3つとし電力変換装置の並列数は3台としている。ただ、実施例2と同様に、1台当たりのHCTとMCの数、電力変換装置の並列台数はN個まで対応可能である。主回路構成図の特徴は下記である。
(1)出力フィルタの前後にHCTを有している。フィルタ前がHCT_A、フィルタ後がHCT_Bである。
(2)電流定格と HCT、MCの組み合わせは表12に示すように定義する。
【0142】
【0143】
表12は1台分で示しているが、他の電力変換装置も同様に定義する。
【0144】
本実施例の主回路構成としては、出力にコンデンサを有しているものを対象とする。本例では、出力フィルタの形をLCLとしている。また、LCLの最終段のLの後には負荷と切り離すための開閉器を有している構成とする。
【0145】
図17に、実施例4におけるHCT選択MC開閉制御構成図を示す。
図17において
図13と同一部分は同一符号をもって示している。
図17において、下記構成が実施例3とは異なる。他の箇所については同じである。ここでは、電力変換装置1の構成図を示しているが、電力変換装置2と3も同様の構成で良い。
(1)MC_A11に関する、開閉設定と閉での運転許可設定、フィルタコンデンサ電圧制御での運転許可設定、開閉指令についてMC_A11とMC_B11に変更。
(2)MC_A21に関する、開閉設定と閉での運転許可設定、フィルタコンデンサ電圧制御での運転許可設定、開閉指令についてMC_A21とMC_B21に変更。
(3)MC_A31に関する、開閉設定と閉での運転許可設定、フィルタコンデンサ電圧制御での運転許可設定、開閉指令についてMC_A31とMC_B31に変更。
【0146】
図18に出力MC開閉制御構成を示す。
図18において
図14と同一部分は同一符号をもって示している。
図18において、実施例3からの変更点は下記となる。
(1)MC_A11に関する開閉指令と状態信号を、MC_A11とMC_B11に変更。
(2)MC_A21に関する開閉指令と状態信号を、MC_A21とMC_B21に変更。
(3)MC_A31に関する開閉指令と状態信号を、MC_A31とMC_B31に変更。
【0147】
図19に実施例4における電力変換装置の基本制御構成図を示す。
図19において
図15と同一部分は同一符号をもって示している。実施例4における電流レンジ切換え処理部150は次のように構成されている。
【0148】
151は、出力フィルタ前側第1の電磁接触器MC_A11および出力フィルタ後側第1の電磁接触器MC_B11の開閉指令に応じて0又は1を出力する選択器、152は、出力フィルタ前側第2の電磁接触器MC_A21および出力フィルタ後側第2の電磁接触器MC_B21の開閉指令に応じて0又は2を出力する選択器、153は、出力フィルタ前側第3の電磁接触器MC_A31および出力フィルタ後側第3の電磁接触器MC_B31の開閉指令に応じて0又は3を出力する選択器である。
【0149】
154は、選択器151~153の出力を加算する加算器である。155は、前記加算器154の出力に応じて出力フィルタ前側電流検出器HCT_A11,HCT_A21, HCT_A31の各電流検出値を選択する出力フィルタ前側選択器である。
【0150】
156は前記加算器154の出力に応じて出力フィルタ後側電流検出器HCT_B11,HCT_B21, HCT_B31の各電流検出値を選択する出力フィルタ後側選択器である。
【0151】
前記出力フィルタ前側選択器155の選択出力(電流検出値)は電流制御器158の比例制御側のフィードバック信号とされる。
【0152】
前記出力フィルタ後側選択器156の出力(電流検出値)側は、前記電流制御許可信号の0,1,2に応じて電流検出値を切換える選択器157の1側端子に接続されている。選択器157の0側端子および2側端子は前記出力フィルタ前側選択器155の出力端子に接続されている。
【0153】
選択器157の選択出力(電流検出値)は電流制御器158の積分制御側のフィードバック信号とされる。
【0154】
実施例4における電流制御器158は次の動作を行う。電流制御許可信号が電流制御である場合、前記出力フィルタ前側選択器155で選択された出力フィルタ前側電流検出器の電流検出値が、設定した電流指令値となるように、設定した電流制御用の比例ゲインにより比例制御を施し、前記出力フィルタ後側選択器156で選択された出力フィルタ後側電流検出器の電流検出値が、設定した電流指令値となるように設定した電流制御用の積分ゲインにより積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、前記電流制御許可信号が出力フィルタコンデンサ電圧制御である場合、前記出力フィルタ前側選択器155で選択された出力フィルタ前側電流検出器の電流検出値が、設定された出力フィルタコンデンサ電圧制御時の電流指令値となるように、設定した出力フィルタコンデンサ電圧制御用の比例ゲイン、積分ゲインにより比例制御、積分制御を施して電力変換装置の電圧指令を生成し、前記電流制御許可信号が電流制御不許可である場合、電流指令と、比例ゲイン、積分ゲインを零に切換える。
【0155】
図19において、実施例3との違いは下記となる。
(1)電流制御許可信号が0の場合は、電流指令と電流制御の比例ゲインおよび積分ゲインを0とする。
(2)電流制御の比例制御と積分制御に使用されるフィードバック信号が異なる。(3)電流制御の比例制御に使用されるフィードバック信号はHCT_A11もしくはHCT_A21、HCT_A31である。
(4)電流制御の積分制御に使用されるフィードバック信号は、電流制御許可信号に応じて切換える。電流制御許可信号が0と2の場合には、HCT_A11もしくはHCT_A21、HCT_A31である。電流制御許可信号が1の場合には、HCT_B11もしくはHCT_B21、HCT_B31である。
【0156】
HCT選択MC開閉制御であるが、基本的な動作は実施例3と同じである。実施例3からは下記が変更点となる。
・MC_A11とMC_A21、MC_A31と同時に前記表12に示した定格の組み合わせのMCを開閉制御する。
【0157】
・開閉動作が同じになる組み合わせとしては「MC_A11とMC_B11」、「MC_A21とMC_B21」の開閉動作、「MC_A31とMC_B31」となる。これにより、選択する電流定格に応じて適切なMCの開閉が行われる。
【0158】
出力MC開閉制御であるが、基本的な動作は実施例3と同じである。本構成では主回路で追加されたMCである、MC_B11とMC_B21、MC_B31の開閉指令と状態信号も考慮されている。このため、本主回路においてもHCT選択が適切にされてから出力のMCが動作し、負荷と接続されることを可能としている。
【0159】
電流制御の動作を説明する。電流制御時について説明する。比例制御は応答を速めるために支配的な制御であるため、フィードバック信号として高周波成分が除去されていないフィルタ前のHCTで検出した電流検出値を設定する。積分制御は定常偏差をなくすために支配的な制御であるため、フィードバック信号として高周波成分が除去され低周波領域が精度良く検出できるフィルタ後のHCTで検出した電流検出値を設定する。これにより、高応答・高精度な電流制御が実現できる。一方、出力フィルタコンデンサの電圧制御時については、フィルタコンデンサに流れ込む電流値を制御したいため比例制御と積分制御のフィードバック信号としてフィルタ前のHCTで検出した電流検出値を設定する。
【0160】
以上のように実施例4によれば、電流制御精度を向上させるために、本実施形態の主回路構成とした場合にも、複数台並列にした構成で電流定格の大きい複数台運転が必要な領域では、複数台並列で運転を実施可能。各電流定格に応じて、運転可能な電流の小さい運転領域では、適切な台数での運転が実施できる。これによってキャリアリプルが減少するのでキャリアに起因する高調波を低減できる。
【実施例5】
【0161】
実施例5では、複数の電力変換装置と負荷の間の主回路構成、HCT選択MC開閉制御、出力MC開閉制御の構成について、実施例4からの変更はなく、基本制御構成に変更がある。
図20に実施例5における電力変換装置の基本制御構成図を示す。
【0162】
図20において
図19と同一部分は同一符号をもって示している。160は、電流制御を指定する電流制御許可信号が出力された場合、並列接続されている出力側電磁接触器の状態が全て閉状態になったときのみ、電流制御器158の入力側の電流指令(選択器136の1側端子)を有効にする電流指令有効・無効選択回路であり、次のように構成されている。
【0163】
161は出力側電磁接触器MC_C11、MC_C12、MC_C13の状態信号(0:開、1:閉)の論理積をとる論理積回路である。162は、論理積回路161の出力に応じて、0の場合は0を、1の場合は電流指令を選択する選択器であり、選択器162の出力側は前記選択器136の1側端子に接続されている。その他の部分は
図19と同一に構成されている。
【0164】
出力MCの開閉動作には部品による個体差がある。大容量のMCにおいては、開閉信号が入力されてから実際に動作するまで数十~数百ms程度要するものがある。このため、全ての出力MCがONしてから電流指令を受け取らないと各並列された装置の出力電流が立ち上がるタイミングが異なる。出力電流合計値が指令値まで達する時間が長くなる問題がある。
図21に全ての出力MCがONしていない場合の電流波形を示す。ここでは、電力変換装置1の出力MCがONし次に電力変換装置3の出力MCがON、最後に電力変換装置2の出力MCがONする場合を示す。
【0165】
本実施例の構成を適用した場合の電流波形を
図22に示す。出力MCが全て閉してから電流指令が変化するため、出力電流の合計値に関して、指令値が変化してから目標値に達するまでの時間が短くなることがわかる。
【0166】
以上のように実施例5によれば、指令値が変化してから出力電流が目標電流に達するまでの時間で応答速度が規定される場合において、出力電流の応答速度を速めることができる。
【実施例6】
【0167】
実施例6では、複数の電力変換装置と負荷の間の主回路構成とHCT選択MC開閉制御、出力MC開閉制御、制御構成について、実施例5からの変更はない。HCT選択MC開閉制御の各MC閉での運転許可設定を決定する処理を新規に追加した。ここでは、MC_A11とMC_B11、MC_A12とMC_B12、MC_A13とMC_B13について記載するが他のMCに関しても同様の構成を取ることにより、並列装置間のMCに関して開閉回数を均一化できる。
図23に各MC開閉回数処理構成図を示す。
【0168】
図23において、165aはMC_A11とMC_B11の状態信号(0:開、1:閉)に応じて0又は1を選択する選択器、165bはMC_A12とMC_B12の状態信号(0:開、1:閉)に応じて0又は1を選択する選択器、165cはMC_A13とMC_B13の状態信号(0:開、1:閉)に応じて0又は1を選択する選択器である。
【0169】
166aは選択器165aの1出力の回数を計数してMC_A11とMC_B11の開閉回数を出力する計数器、166bは選択器165bの1出力の回数を計数してMC_A12とMC_B12の開閉回数を出力する計数器、166cは選択器165cの1出力の回数を計数してMC_A13とMC_B13の開閉回数を出力する計数器である。
【0170】
図23では、MCの状態信号に応じてカウント処理を行う。状態信号が0の場合にはカウント処理は行わず、状態信号が1の場合は1ずつ回数を増加させていく構成である。
図24に各MC閉での運転許可設定構成図を示す。MC閉時における並列台数設定に応じた運転許可設定を選択器167によって選択し、各MCでの運転許可設定を出力する構成である。並列運転台数を最大3台としているので、1台または2台、3台それぞれの場合に応じて選択する。
【0171】
図25に並列台数1の運転許可設定を示す。並列間のMCに関して、開閉回数を比較し最小となる回数のMCに対して閉での運転許可設定を1とする設定である。開閉回数が最小以外のMCは閉での運転許可設定は0とする。また、開閉回数が同一の時に閉での運転許可設定が1となるものに優先順位をつけて台数以上のMCがONしない構成としている。
【0172】
図25において、168は、
図23の計数器166aで計数されたMC_A11とMC_B11の開閉回数と、
図23の計数計数器166bで計数されたMC_A12とMC_B12の開閉回数を比較する比較器であり、169は比較器168の比較結果に応じて、MC_A11とMC_B11の開閉回数(0)か、MC_A12とMC_B12の開閉回数(1)を選択する選択器である。
【0173】
170は、
図23の計数器166cで計数されたMC_A13とMC_B13の開閉回数と、選択器169の出力を比較する比較器であり、171は比較器170の比較結果に応じて、前記選択器169の出力(0)か、MC_A13とMC_B13の開閉回数(1)を選択する選択器である。
【0174】
172aは、MC_A11とMC_B11の開閉回数と、前記選択器171の出力が等しいか否かを判定する判定器、172bは、MC_A12とMC_B12の開閉回数と、前記選択器171の出力が等しいか否かを判定する判定器、173cはMC_A13とMC_B13の開閉回数と、前記選択器171の出力が等しいか否かを判定する判定器である。
【0175】
173aは、判定器172aの判定出力に応じて0又は1を選択する選択器、173bは、判定器172bの判定出力に応じて0又は1を選択する選択器、173cは、判定器172cの判定出力に応じて0又は1を選択する選択器である。
【0176】
174は、選択器173aの選択出力に応じて、前記選択器173bの選択出力か、0かを選択する選択器である。
【0177】
175は、前記選択器173aおよび選択器174の各出力の論理和処理を行う論理和回路である。
【0178】
176は、論理和回路175の出力に応じて、前記選択器173cの選択出力又は0を選択する選択器である。
【0179】
前記選択器173aの選択出力が、MC_A11とMC_B11閉での運転許可設定信号となり、前記選択器174の選択出力が、MC_A12とMC_B12閉での運転許可設定信号となり、前記選択器176の選択出力が、MC_A13とMC_B13閉での運転許可設定信号となる。
【0180】
図26に並列台数2の運転許可設定を示す。並列間のMCに関して、開閉回数を比較し最小となる回数と2番目に開閉回数が少ないMCに対して閉での運転許可設定を1とする設定である。一番開閉回数が多いMCは閉での運転許可設定は0とする。また、開閉回数が同一の時に閉での運転許可設定が1となるものに優先順位をつけて台数以上のMCがONしない構成としている。
【0181】
図26において、177は、前記MC_A11とMC_B11の開閉回数と、前記MC_A12とMC_B12の開閉回数を比較する比較器であり、178は、比較器177の比較結果に応じて、MC_A11とMC_B11の開閉回数(1)か、MC_A12とMC_B12の開閉回数(0)を選択する選択器である。
【0182】
179は、前記選択器178の選択出力と、MC_A13とMC_B13の開閉回数を比較する比較器であり、180は、比較器179の比較結果に応じて、前記選択器178の選択出力(0)か、MC_A13とMC_B13の開閉回数(1)を選択する選択器である。
【0183】
181は、比較器177の比較結果に応じて、MC_A11とMC_B11の開閉回数(0)か、MC_A12とMC_B12の開閉回数(1)を選択する選択器である。
【0184】
182は、MC_A11とMC_B11の開閉回数と前記選択器181の選択出力が等しいか否かを判定する判定器、183は、MC_A11とMC_B11の開閉回数と前記選択器181の選択出力が等しいか否かを判定する判定器である。
【0185】
184aは、MC_A11とMC_B11の開閉回数と前記選択器180の選択出力が等しいか否かを判定する判定器、184bは、MC_A11とMC_B11の開閉回数と前記選択器180の選択出力が等しいか否かを判定する判定器、184cは、MC_A12とMC_B12の開閉回数と前記選択器180の選択出力が等しいか否かを判定する判定器である。
【0186】
185は、判定器184aと判定器182の各判定出力の論理和処理を行う論理和回路、186は、判定器184bと判定器183の各判定出力の論理和処理を行う論理和回路である。
【0187】
187aは、論理和回路185の出力に応じて0か1を選択する選択器、187bは、論理和回路186の出力に応じて0か1を選択する選択器、187cは、判定器184cの判定出力に応じて0か1を選択する選択器である。
【0188】
188は、選択器187aの選択出力と選択器187bの選択出力の論理積をとる論理和回路であり、189は、論理和回路188の出力に応じて、前記選択器187cの選択出力か0かを選択する選択器である。
【0189】
前記選択器187aの選択出力が、MC_A11とMC_B11閉での運転許可設定信号となり、前記選択器187bの選択出力が、MC_A12とMC_B12閉での運転許可設定信号となり、前記選択器189の選択出力が、MC_A13とMC_B13閉での運転許可設定信号となる。
【0190】
図27に並列台数3の運転許可設定を示す。この場合、並列台数と同じであるので開閉回数は装置間で等しくなる。このため、運転許可を1とする。
図23の各MC開閉回数処理ではMCの状態信号に応じて開閉回数をカウントする処理を行う。状態信号に基づいてカウントするので、実際のMC開閉回数を正しくカウントすることができる。
【0191】
各MC閉での運転許可設定を説明する。並列台数に応じて開閉回数均一化の処理が異なる。3並列の場合では、並列台数が1の場合は開閉回数が最小のものを常に選択すれば開閉回数を均一化できる。並列台数が2の場合には、開閉回数が最小もしくは2番目に多い数のMCを選択すれば開閉回数を均一化できる。並列台数が3の場合には、装置間での開閉回数が偏ることはないので開閉回数均一化のために特別な処理が不要である。このように、並列台数の設定に応じて均一化するためにMC運転許可設定が異なる。
図24に示す構成であれば最適な処理が選択できるように予め設定されるMC運転時の並列台数に応じて運転許可設定の処理を変更可能である。
【0192】
並列台数1の場合における運転許可設定について説明する。
図25において、初めにMC_A11とMC_B11の開閉回数とMC_A12とMC_B12の開閉回数を比較する。比較した結果の回数が少ないMCの開閉回数とMC_A13とMC_B13の開閉回数を比較する。この比較結果で開閉回数が少ないMCが最小の開閉回数となる。開閉回数が最小のMCにおける閉での運転許可設定を1と設定する。その他のMCにおける閉での運転許可設定は0とする。開閉回数が等しい場合は、運転許可設定に優先順位をつける。本例では、MC_A11とMC_B11、MC_A12とMC_B12、MC_A13とMC_B13の順で優先順位を高くしている。
【0193】
表13に、並列台数1の場合における開閉回数の変化前と変化後の例を示す。
【0194】
【0195】
並列台数2の場合における運転許可設定について説明する。
図26において、初めにMC_A11とMC_B11の開閉回数とMC_A12とMC_B12の開閉回数を比較する。比較した結果の回数が少ない開閉回数のMCは開閉回数が最小もしくは2番目に多い数のMCとなるので閉での運転許可設定を1と設定する。比較した結果の回数が多い方とMC_A13とMC_B13の開閉回数を比較する。比較した結果の回数が少ない開閉回数のMCは開閉回数が最小もしくは2番目に多い数のMCとなるので閉での運転許可設定を1と設定する。その他のMCにおける閉での運転許可設定は0とする。開閉回数が等しい場合は、運転許可設定に優先順位をつける。本例では、MC_A13とMC_B13のみが優先順位を低くしている。
【0196】
表14に並列台数2の場合における開閉回数の変化前と変化後の例を示す。
【0197】
【0198】
並列台数3の場合における運転許可設定について説明する。この場合は、装置間でのMC開閉回数に差異は発生しないのでMC_A11とMC_B11、MC_A12とMC_B12、MC_A13とMC_B13閉での運転許可設定を1と設定する。
【0199】
以上のように実施例6によれば、各MCは開閉回数が決められ、開閉回数を均一化できるため装置の長寿命化が期待できる。
【実施例7】
【0200】
本実施例の主回路構成図を
図28に示す。ここでは装置を3並列とし、電力変換装置2と電力変換装置3の出力には電流レンジ切換え回路を設けない構成としている。
【0201】
図28において
図16と同一部分は同一符号をもって示している。
図28において
図16と異なる点は、電力変換装置2、3と負荷200の間の、HCT_A21、HCT_A31、L_A21、L_A31、MC_A21、MC_A31、MC_B21、MC_B31、HCT_B21、HCT_B31を削除し、電力変換装置2、3においては前記電流レンジ切換え処理部を削除し、電流制御器へのフィードバック入力を、第1の電流検出器の電流検出値のみとしたことにあり、その他の部分は
図16と同一に構成されている。その他の部分で実施例5からHCT選択MC開閉制御、出力MC開閉制御、制御構成に関する変更はない。
【0202】
図28において、電流定格が中と小において、電力変換装置1台分の定格電流より小さい場合は並列運転する必要がない。この場合、1台で駆動していた方がキャリアリプルを小さくできるため制御精度が向上する。特定の電力変換装置の出力のみに電流定格を切換える回路を設ける(本実施例では、電力変換装置1側)。この回路を駆動する際には、HCT選択MC開閉制御において電流定格が中と小を選択する場合のMC(MC_A21、MC_A31、MC_B21、MC_B31)が閉での運転許可設定を不許可と設定すれば運転が可能である。
【0203】
以上のように実施例7によれば、不要な回路削除による部品点数削減が可能となり、これによってコストダウン及び盤サイズを減少することができる。
【実施例8】
【0204】
実施例8において、実施例5から主回路構成とHCT選択MC開閉制御、出力MC開閉制御、制御構成に関する変更はない。
図29にMC_A11とMC_B11選択時のキャリア周波数選択処理を記載する。
【0205】
図29において、191は、電力変換装置の定格電流と、出力フィルタ前側第1の電磁接触器MC_A11と後側第1の電磁接触器MC_B11選択時の定格電流を比較する比較器、192は、電力変換装置の定格電流を第1の設定数(2)で除算した電流と、第1の電磁接触器MC_A11とMC_B11選択時の定格電流を比較する比較器、193は、電力変換装置の定格電流を第2の設定数(3)で除算した電流と、第1の電磁接触器MC_A11とMC_B11選択時の定格電流を比較する比較器である。
【0206】
194aは、比較器191の比較結果が、MC_A11とMC_B11選択時の定格電流の方が小さければ1を、大きければ0を選択する選択器、194bは、比較器192の比較結果が、MC_A11とMC_B11選択時の定格電流の方が小さければ2を、大きければ0を選択する選択器、194cは、比較器193の比較結果が、MC_A11とMC_B11選択時の定格電流の方が小さければ4を、大きければ0を選択する選択器である。
【0207】
195は、選択器194a~194cの各選択出力を加算する加算器であり、196は、加算器195の加算出力が、0又は1の場合、キャリア周波数1を選び、3の場合、キャリア周波数1よりも高いキャリア周波数2を選び、7の場合、キャリア周波数2よりも高いキャリア周波数3を選ぶ選択器である。選択器196の選択出力がMC_A11とMC_B11選択時のキャリア周波数となる。
【0208】
MC_A21とMC_B21選択時、 MC_A31とMC_B31選択時のキャリア周波数選択も
図29と同様の構成となる。
【0209】
図29において、電力変換装置の定格電流とMC_A11とMC_B11選択時の定格電流を比較し、MC_A11とMC_B11選択時の定格電流が小さければ1を大きければ0を選択する。電力変換装置の定格電流の1/2倍とMC_A11とMC_B11選択時の定格電流を比較し、MC_A11とMC_B11選択時の定格電流が小さければ2を大きければ0を選択する。電力変換装置の定格電流の1/3倍とMC_A11とMC_B11選択時の定格電流を比較し、MC_A11とMC_B11選択時の定格電流が小さければ4を大きければ0を選択する。各比較結果を加算処理し加算結果が0,1の場合はキャリア周波数1を3であればキャリア周波数2を7であればキャリア周波数3をMC_A11とMC_B11選択時のキャリア周波数と設定する。各MC選択時のキャリア周波数選択も同様の構成とすればよい。
図30に実施例8におけるキャリア周波数設定を示す。
【0210】
図30において、197は、MC_A11とMC_B11開閉指令が1のときに、MC_A11とMC_B11選択時のキャリア周波数(
図29の回路により選択されたキャリア周波数)を選択する選択器である。
198は、MC_A21とMC_B21開閉指令が1のときに、MC_A21とMC_B21選択時のキャリア周波数(
図29と同様の回路により選択されたキャリア周波数)を選択する選択器である。
199は、MC_A31とMC_B31開閉指令が1のときに、MC_A31とMC_B31選択時のキャリア周波数(
図29と同様の回路により選択されたキャリア周波数)を選択する選択器である。
【0211】
図30において、MC_A11とMC_B11開閉指令が1の場合はMC_A11とMC_B11選択時のキャリア周波数を、MC_A21とMC_B21開閉指令が1の場合はMC_A21とMC_B21選択時のキャリア周波数を、MC_A31とMC_B31開閉指令が1の場合はMC_A31とMC_B31選択時のキャリア周波数を、キャリア周波数と設定する。
【0212】
電力変換装置1台における定格電流を出力していた時に装置が連続で問題なく動作できるキャリア周波数を電力変換装置の定格電流キャリア周波数とする。キャリア周波数が高くなると電力変換装置としての損失は大きくなり、流せる電流値は小さくなる。言い換えると電流が小さい場合には、キャリア周波数を高くすることが可能である。
【0213】
図29のMC_A11とMC_B11選択時のキャリア周波数選択処理では、MC_A11とMC_B11選択時の定格電流と電力変換装置の定格電流、定格電流の1/2、定格電流の1/3とを比較している。MC_A11とMC_B11選択時の定格電流が定格電流の1/2より小さければキャリア周波数を高くすることが可能となる。設計にもよるが電力変換装置の定格電流キャリア周波数の約2倍とすることが可能となる。この値をキャリア周波数2とする。MC_A11とMC_B11選択時の定格電流が定格電流の1/2より小さい場合は設計にもよるが電力変換装置の定格電流キャリア周波数の約3倍とすることが可能となる。この値をキャリア周波数3とする。MC_A11とMC_B11選択時の定格電流値に応じてキャリア周波数を高くする。
【0214】
装置としてのキャリア周波数は、各MC選択時の定格電流に応じてキャリア周波数を適切に設定する必要がある。
図30に示す処理を行えば、各MCの開閉選択に応じて、各MC選択時の定格電流に応じたキャリア周波数を設定することができる。負荷と接続するためのMCは各MCの開閉状態が確定してから指令を受けて開閉する。このため、各MCの開閉指令に応じてキャリア周波数の設定を行えば、出力MCが開閉する前にキャリア周波数を変更可能となる。例えば、キャリア周波数変更時に電流脈動が発生したとしても出力MCが開閉していないので負荷に影響を与えない。
【0215】
以上のように実施例8によれば、負荷へ発生する電流脈動を発生させることなくキャリア周波数を変化させることが可能であり、電流が急変するための高調波やキャリア周波数を高周波化させることなくキャリアリプル低減が可能である。
【符号の説明】
【0216】
1、2、3…電力変換装置
200…負荷
HCT_A11、HCT_A21、HCT_A31…電流検出器
MC_A11、MC_A21、MC_A31、、MC_C11…電磁接触器
L_A11、L_A12、L_B11、L_B12、L_A21…リアクトル
10,50,80…負荷接続許可判定処理部
11、12,15,32,51a~51n、58,59a~59n、81~83,97,118,126…論理積回路
30,70,130,150…電流レンジ切換え処理部
40,140,158…電流制御器
53,55,72,87,91,101,118,134,154…加算器
56,57,92,93,96,102…比較器
60,113~115,124…論理和回路
61,119…開閉指令・電流制御許可信号生成部
120…出力側電磁接触器開閉指令生成部
155…出力フィルタ前側選択器
156…出力フィルタ後側選択器
【要約】
【課題】電流定格の大きさに応じて適切な並列台数での運転を実施し、出力リプルを抑制することができる電力変換装置を提供する。
【解決手段】負荷200に対して複数の電力変換装置1~Nを並列に設け、前記各電力変換装置と負荷を結ぶ電路に各々介挿され、電力変換装置から負荷にかけて、第1の電流定格を有する第1の電流検出器HCT_A11、第1のリアクトルL_A11、HCT_A11を選択するMC11を順次直列に接続し、MC11の両端間に電流定格の小さい第2のHCT_A21、L_A21、MC21から成る直列回路を、電力変換装置の設置台数分並列に接続する。電流定格の大きい複数台運転が必要な領域ではN台並列で運転し、各電流定格に応じて運転可能な電流の小さい領域では適切な台数での運転を実施する。
【選択図】
図9