(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】半導体複合装置および半導体複合装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20241126BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20241126BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20241126BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01L23/12 B
H05K1/18 S
H01L25/00 B
H05K3/46 Q
(21)【出願番号】P 2023170448
(22)【出願日】2023-09-29
(62)【分割の表示】P 2022176347の分割
【原出願日】2021-08-26
【審査請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2020146929
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】北村 達矢
(72)【発明者】
【氏名】姫田 ▲高▼志
(72)【発明者】
【氏名】古川 剛史
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/130746(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0304915(US,A1)
【文献】特表2009-518873(JP,A)
【文献】国際公開第2007/129526(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/101858(WO,A1)
【文献】特開2013-30528(JP,A)
【文献】特表2016-503963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/06
H01G 4/38
H01G 4/40
H01G 9/00
H01G 9/012
H01L 23/12―23/15
H01L 25/00―25/18
H02M 3/00―3/44
H05K 1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャネルに対応するように配置され、電圧レギュレータを構成するアクティブ素子およびパッシブ素子と、
前記電圧レギュレータによって調整された直流電圧が供給され、半導体素子を含む負荷と、
前記アクティブ素子、前記パッシブ素子および前記負荷に電気的に接続され、第1実装面および第2実装面を有する配線基板と、を備え、
前記電圧レギュレータを構成する前記アクティブ素子は、スイッチング素子を含み、
前記電圧レギュレータを構成する前記パッシブ素子は、第1キャパシタ、第2キャパシタ、第1インダクタおよび第2インダクタを含み、
前記負荷は、前記第1実装面側に配され、
前記第1インダクタおよび前記第2インダクタは、前記第2実装面側に配され、
前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタの各々は、前記配線基板の実装面に対して垂直な方向に各々を貫通する複数のスルーホール導体を有し、
前記第1インダクタは、前記第1キャパシタを介して前記配線基板に電気的に接続され、
前記第2インダクタは、前記第2キャパシタを介して前記配線基板に電気的に接続され、
前記配線基板の実装面から見て、前記第1キャパシタ又は前記第2キャパシタの少なくとも一部が前記負荷と重なる位置に配置されている、
半導体複合装置。
【請求項2】
前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタは、前記第2実装面側に配される、請求項1に記載の半導体複合装置。
【請求項3】
前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタは、前記第1実装面側に配される、請求項1に記載の半導体複合装置。
【請求項4】
前記第2キャパシタは、前記第1キャパシタと比べて、前記配線基板の実装面から見て、大きい面積を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体複合装置。
【請求項5】
前記第1インダクタの数より、前記第2インダクタの数が多い、請求項4に記載の半導体複合装置。
【請求項6】
前記配線基板の実装面から見て、前記第1インダクタの少なくとも一部が前記第1キャパシタと重なる位置に配置され、前記第2インダクタの少なくとも一部が前記第2キャパシタと重なる位置に配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体複合装置。
【請求項7】
前記第1キャパシタまたは前記第2キャパシタを貫通する前記スルーホール導体のうち、少なくとも1つのスルーホール導体は、前記第1キャパシタまたは前記第2キャパシタの陽極と接続されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体複合装置。
【請求項8】
前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタは、金属からなる陽極板を含み、
前記第1キャパシタまたは前記第2キャパシタの陽極と接続される前記スルーホール導体は、前記陽極板の端面と接続されている、請求項7に記載の半導体複合装置。
【請求項9】
前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタは、1枚のアルミニウム素子からなるキャパシタシートが分割されてなる、請求項1~8のいずれか1項に記載の半導体複合装置。
【請求項10】
前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタは、前記配線基板に内蔵されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体複合装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体複合装置を製造する方法であって、
配線基板にキャビティを形成する工程と、
第1キャパシタおよび第2キャパシタを前記キャビティの内部に配置する工程と、
前記配線基板と第1キャパシタを電気的に接続し、前記配線基板と前記第2キャパシタを電気的に接続する工程と、
前記キャビティを封止して、第1キャパシタおよび前記第2キャパシタを前記配線基板に内蔵する工程と、
を備える、半導体複合装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体複合装置および半導体複合装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、インダクタあるいはキャパシタのようなパッシブ素子(受動素子)の一部または全部が埋め込まれたパッケージ基板、および、スイッチング素子のようなアクティブ素子(能動素子)を含む電圧制御装置を有する半導体装置を開示する。特許文献1に記載の半導体装置においては、電圧制御装置、および、電源電圧を供給すべき負荷が、パッケージ基板上に実装されている。電圧調整部で調整された直流電圧は、パッケージ基板内のパッシブ素子で平滑化されて負荷に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2011/0050334号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような電圧制御装置を有する半導体装置は、例えば、携帯電話またはスマートフォンなどの電子機器に適用される。近年、電子機器の小型化および薄型化が進められており、それに伴って半導体装置自体の小型化が望まれている。さらに、スマートフォンに代表される高機能携帯端末の電源回路部などでは、マルチチャネルのDC-DCコンバータIC(Integrated Circuit)、あるいは、低消費電力機能などを搭載したPMIC(Power Management Integrated Circuit)等が使用される。これらのICでは、低電圧および大電流による高速駆動化、低消費電力化が進んでいる。
【0005】
図1は、マルチチャネル電源を構成する半導体複合装置の一例を模式的に示す平面図である。
図1では、チャネル数が2個である場合の例を示している。
【0006】
図1に示す半導体複合装置100は、電圧レギュレータ(Voltage Regulator)を構成するアクティブ素子10およびパッシブ素子20と、電圧レギュレータによって調整された直流電圧が供給される負荷(Load)30と、アクティブ素子10、パッシブ素子20および負荷30に電気的に接続される配線基板40と、を備える。
【0007】
アクティブ素子10およびパッシブ素子20は、チャネルごとに配置されている。第1チャネルCH1は、電源回路が1個であるシングルフェーズ電源を構成し、第2チャネルCH2は、複数個の電源回路が並列接続されたマルチフェーズ電源を構成している。
【0008】
電圧レギュレータを構成するアクティブ素子10は、スイッチング素子SW1、SW2、SW3およびSW4を含む。このうち、スイッチング素子SW1は第1チャネルCH1に配置され、スイッチング素子SW2、SW3およびSW4は第2チャネルCH2に配置されている。
【0009】
電圧レギュレータを構成するパッシブ素子20は、出力キャパシタC1およびC2を含む。このうち、出力キャパシタC1は第1チャネルCH1に配置され、出力キャパシタC2は第2チャネルCH2に配置されている。ここで示す出力キャパシタは、説明を簡略化するため、スイッチング素子のスイッチング周波数に対応した、電圧平滑用のキャパシタのみを例示しているが、それぞれのチャンネルに対し、ノイズ抑制や高周波を短絡するためのデカップリング用途のキャパシタを出力ラインにシャント接続されているものも含み、それらが並列で接続されていてもよい。
【0010】
電圧レギュレータを構成するパッシブ素子20は、さらに、インダクタL1、L2、L3およびL4を含む。このうち、インダクタL1は第1チャネルCH1に配置され、インダクタL2、L3およびL4は第2チャネルCH2に配置されている。
【0011】
なお、電圧レギュレータを構成するパッシブ素子20としては、少なくとも出力キャパシタC1およびC2が含まれていればよく、インダクタL1、L2、L3およびL4は必ずしも含まれていなくてもよい。
【0012】
図1に示す半導体複合装置100のように、出力キャパシタなどのキャパシタが配線基板の一方の実装面に配置されていると、キャパシタを配置するための実装面積が必要となるため、半導体複合装置の小型化が困難となる。キャパシタはチャネルごとに配置されるため、チャネル数が多くなるほど、実装面積が大きくなってしまう。
【0013】
また、出力キャパシタなどのキャパシタから負荷までの接続距離が長くなると、配線によるインダクタ成分および抵抗成分により、等価直列インダクタンス(ESL)および等価直列抵抗(ESR)による損失が大きくなる。したがって、キャパシタは、負荷の近くに配置されることが望まれる。
【0014】
本発明は、小型化が可能で、かつ、キャパシタから負荷までの接続距離が短い半導体複合装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記半導体複合装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の半導体複合装置は、複数のチャネルに対応するように配置され、電圧レギュレータを構成するアクティブ素子およびパッシブ素子と、上記電圧レギュレータによって調整された直流電圧が供給され、半導体素子を含む負荷と、上記アクティブ素子、上記パッシブ素子および上記負荷に電気的に接続される配線基板と、を備える。上記電圧レギュレータを構成する上記アクティブ素子は、スイッチング素子を含む。上記電圧レギュレータを構成する上記パッシブ素子は、キャパシタを含む。上記チャネルに配置される複数の上記キャパシタは、平面配置された複数のキャパシタ部を含んで一体成型されたキャパシタアレイを含む。上記キャパシタアレイは、上記配線基板の実装面に対して垂直な方向に上記キャパシタアレイを貫通する複数のスルーホール導体を有する。上記配線基板の実装面から見て、上記キャパシタアレイの少なくとも一部が上記負荷と重なる位置に配置されている。
【0016】
本発明の半導体複合装置において、上記電圧レギュレータを構成する上記パッシブ素子は、例えば、電源を駆動させるためのキャパシタを含む。なお、一体成型されたキャパシタアレイとは別のキャパシタによって電源が駆動されるチャネルがあってもよく、キャパシタアレイ内の複数のキャパシタが同一チャネルに並列に接続されてもよく、また、キャパシタアレイに対して並列に接続される別のキャパシタがあってもよい。
【0017】
本発明の半導体複合装置の製造方法は、キャパシタアレイが配線基板に内蔵されている上記半導体複合装置の製造方法であって、配線基板にキャビティを形成する工程と、キャパシタアレイを上記キャビティの内部に配置する工程と、上記配線基板と上記キャパシタアレイを電気的に接続する工程と、上記キャビティを封止して、上記キャパシタアレイを上記配線基板に内蔵する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、小型化が可能で、かつ、キャパシタから負荷までの接続距離が短い半導体複合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、マルチチャネル電源を構成する半導体複合装置の一例を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係る半導体複合装置の一例を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す半導体複合装置を配線基板の一方の実装面から見た平面図である。
【
図4】
図4は、
図2および
図3に示す半導体複合装置を構成するキャパシタアレイの一例を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6は、キャパシタの陽極と接続されるスルーホール導体およびその周辺の一例を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図6のVII-VII線に沿った投影断面図である。
【
図8】
図8は、キャパシタの陰極と接続されるスルーホール導体およびその周辺の一例を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図8のIX-IX線に沿った投影断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2実施形態に係る半導体複合装置の一例を模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図10に示す半導体複合装置を配線基板の一方の実装面から見た平面図である。
【
図12】
図12は、
図10に示す半導体複合装置を配線基板の他方の実装面から見た平面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第3実施形態に係る半導体複合装置の一例を模式的に示す断面図である。
【
図14】
図14は、
図13に示す半導体複合装置を配線基板の一方の実装面から見た平面図である。
【
図15】
図15は、
図13に示す半導体複合装置を配線基板の他方の実装面から見た平面図である。
【
図16】
図16は、本発明の第2実施形態に係る半導体複合装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
【
図17】
図17は、本発明の第2実施形態に係る半導体複合装置のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
【
図19】
図19は、配線基板にテープを貼り付ける工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図20】
図20は、キャパシタアレイをキャビティの内部に配置する工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図21】
図21は、キャパシタアレイの一方の接続端子側から樹脂封止を行う工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図22】
図22は、配線基板からテープを剥がす工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図23】
図23は、キャパシタアレイの他方の接続端子側から樹脂封止を行う工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図24】
図24は、ビア穴を形成する工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図25】
図25は、めっき処理を施す工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図27】
図27は、貫通孔を形成する工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図28】
図28は、パターニングおよびめっき処理を施す工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図29】
図29は、キャパシタアレイをキャビティの内部に配置する工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図30】
図30は、樹脂封止を行う工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図31】
図31は、ビア穴を形成する工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図32】
図32は、めっき処理を施す工程の一例を模式的に示す断面図である。
【
図33】
図33は、本発明の半導体複合装置の第1変形例を模式的に示す断面図である。
【
図34】
図34は、本発明の半導体複合装置の第2変形例を模式的に示す断面図である。
【
図35】
図35は、本発明の半導体複合装置の第3変形例を模式的に示す断面図である。
【
図36】
図36は、本発明の半導体複合装置の第4変形例を模式的に示す断面図である。
【
図37】
図37は、本発明の半導体複合装置の第5変形例を模式的に示す断面図である。
【
図38】
図38は、入力キャパシタを備える半導体複合装置の回路構成図である。
【
図39】
図39は、本発明の半導体複合装置の第6変形例を模式的に示す断面図である。
【
図40】
図40は、本発明の半導体複合装置の第7変形例を模式的に示す断面図である。
【
図41】
図41は、本発明の半導体複合装置の第8変形例を模式的に示す断面図である。
【
図42】
図42は、トランスを含む電源回路が構成された半導体複合装置の回路構成図の一例である。
【
図43】
図43は、電源モジュールを備える半導体複合装置の一例を模式的に示す断面図である。
【
図44】
図44は、電源モジュールを備える半導体複合装置の回路構成図の一例である。
【
図45】
図45は、電源モジュールを備える半導体複合装置の回路構成図の別の一例である。
【
図46】
図46は、電源モジュールを備える半導体複合装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
【
図47】
図47は、電源モジュールの基板にキャパシタアレイが含まれる半導体複合装置の一例を模式的に示す断面図である。
【
図48】
図48は、電源モジュールの基板にキャパシタアレイが含まれる半導体複合装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
【
図49】
図49は、インダクタアレイを含む半導体複合装置の一例を模式的に示す断面図である。
【
図50】
図50は、
図49に示す半導体複合装置を配線基板の他方の実装面から見た平面図である。
【
図51】
図51は、インダクタアレイを含む半導体複合装置の回路構成図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の半導体複合装置および半導体複合装置の製造方法について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0021】
[半導体複合装置]
本発明の半導体複合装置は、複数のチャネルに対応するように配置され、電圧レギュレータを構成するアクティブ素子およびパッシブ素子と、上記電圧レギュレータによって調整された直流電圧が供給される負荷と、上記アクティブ素子、上記パッシブ素子および上記負荷に電気的に接続される配線基板と、を備える。上記電圧レギュレータを構成する上記アクティブ素子は、スイッチング素子を含む。上記電圧レギュレータを構成する上記パッシブ素子は、キャパシタを含む。
【0022】
本発明の半導体複合装置において、上記電圧レギュレータを構成する上記パッシブ素子は、例えば、電源を駆動させるためのキャパシタを含む。電源を駆動させるためのキャパシタは、出力側のキャパシタでもよく、入力側のキャパシタでもよい。本発明の半導体複合装置は、電源を駆動させるためのキャパシタとして、出力側のキャパシタおよび入力側のキャパシタのいずれか一方を備えてもよく、両方を備えてもよい。
【0023】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2実施形態以降では、第1実施形態と共通の事項についての記述は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しない。
【0024】
以下の説明において、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明の半導体複合装置」という。
【0025】
以下に示す図面は模式的なものであり、その寸法や縦横比の縮尺などは実際の製品とは異なる場合がある。
【0026】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態に係る半導体複合装置の一例を模式的に示す断面図である。
図3は、
図2に示す半導体複合装置を配線基板の一方の実装面から見た平面図である。
図4は、
図2および
図3に示す半導体複合装置を構成するキャパシタアレイの一例を模式的に示す平面図である。
図5は、
図2および
図3に示す半導体複合装置の回路構成図である。
図3では、チャネル数が2個である場合の例を示しているが、チャネル数は3個以上であってもよい。
【0027】
図2および
図3に示す半導体複合装置1は、電圧レギュレータを構成するアクティブ素子10およびパッシブ素子20と、電圧レギュレータによって調整された直流電圧が供給される負荷30と、アクティブ素子10、パッシブ素子20および負荷30に電気的に接続される配線基板40と、を備える。
【0028】
アクティブ素子10およびパッシブ素子20は、チャネルごとに配置されている。第1チャネルCH1は、電源回路が1個であるシングルフェーズ電源を構成し、第2チャネルCH2は、複数個の電源回路が並列接続されたマルチフェーズ電源を構成している。第2チャネルCH2では、3個の電源回路が並列接続されたマルチフェーズ電源の例を示しているが、並列接続される電源回路の数は特に限定されない。
【0029】
なお、第1チャネルCH1および第2チャネルCH2の両方がシングルフェーズ電源を構成してもよい。あるいは、第1チャネルCH1および第2チャネルCH2の両方がマルチフェーズ電源を構成してもよい。その場合、並列接続される電源回路の数は、同じでもよく、異なっていてもよい。
【0030】
電圧レギュレータを構成するアクティブ素子10は、スイッチング素子SW1、SW2、SW3およびSW4を含む。このうち、スイッチング素子SW1は第1チャネルCH1に配置され、スイッチング素子SW2、SW3およびSW4は第2チャネルCH2に配置されている。
【0031】
図2および
図3に示す例では、第1チャネルCH1に配置されるスイッチング素子SW1と、第2チャネルCH2に配置されるスイッチング素子SW2、SW3およびSW4とは、配線基板40の一方の実装面に配置されている。
【0032】
電圧レギュレータを構成するパッシブ素子20は、出力キャパシタC1およびC2を含む。このうち、出力キャパシタC1は第1チャネルCH1に配置され、出力キャパシタC2は第2チャネルCH2に配置されている。ここで示す出力キャパシタは、
図1と同様、説明を簡略化するため、スイッチング素子のスイッチング周波数に対応した、電圧平滑用のキャパシタのみを例示しているが、それぞれのチャンネルに対し、ノイズ抑制や高周波を短絡するためのデカップリング用途のキャパシタを出力ラインにシャント接続されているものも含み、それらが並列で接続されていてもよい。以下の図面においても同様である。
【0033】
出力キャパシタC1およびC2は、電源を安定駆動させるためのキャパシタの一例であり、出力電圧を平滑化するための出力キャパシタである。
図2、
図3および
図4に示すように、第1チャネルCH1に配置される出力キャパシタC1と、第2チャネルCH2に配置される出力キャパシタC2とは、平面配置された複数のキャパシタ部を含んで一体成型されたキャパシタアレイ50により構成されている。出力キャパシタC1を構成するキャパシタ部の大きさは、出力キャパシタC2を構成するキャパシタ部の大きさと同じでもよく、異なっていてもよい。
【0034】
キャパシタアレイ50は、配線基板40の実装面に対して垂直な方向にキャパシタアレイ50を貫通する複数のスルーホール導体TH1およびTH2を有する。スルーホール導体TH1またはTH2の一方の端部には、第1の接続端子61が形成されており、スルーホール導体TH1またはTH2の他方の端部には、第2の接続端子62が形成されている。
【0035】
図2および
図3に示すように、配線基板40の実装面から見て、キャパシタアレイ50の少なくとも一部が負荷30と重なる位置に配置されている。
図2および
図3に示す例では、キャパシタアレイ50は、配線基板40に内蔵されている。
【0036】
電圧レギュレータを構成するパッシブ素子20は、さらに、インダクタL1、L2、L3およびL4を含む。このうち、インダクタL1は第1チャネルCH1に配置され、インダクタL2、L3およびL4は第2チャネルCH2に配置されている。インダクタL1はスイッチング素子SW1と負荷30との間に接続され、インダクタL2はスイッチング素子SW2と負荷30との間に接続され、インダクタL3はスイッチング素子SW3と負荷30との間に接続され、インダクタL4はスイッチング素子SW4と負荷30との間に接続されている。
【0037】
図2および
図3に示す例では、第1チャネルCH1に配置されるインダクタL1と、第2チャネルCH2に配置されるインダクタL2、L3およびL4とは、配線基板40の一方の実装面に配置されている。
【0038】
なお、電圧レギュレータを構成するパッシブ素子20としては、少なくとも出力キャパシタC1およびC2が含まれていればよく、インダクタL1、L2、L3およびL4は必ずしも含まれていなくてもよい。
【0039】
負荷30は、半導体素子を含む。負荷30としては、例えば、論理演算回路あるいは記憶回路などの半導体集積回路(IC)等が挙げられる。
【0040】
図2および
図3に示す例では、負荷30は、配線基板40の一方の実装面に配置されている。
【0041】
配線基板40の一方の実装面には、スイッチング素子SW1、SW2、SW3およびSW4、インダクタL1、L2、L3およびL4ならびに負荷30などの部品を実装するためのランドおよびそれらを接続するための配線を含む回路層45が形成されている。回路層45を介して、配線基板40は、アクティブ素子10、パッシブ素子20および負荷30に電気的に接続されている。
【0042】
図示されていないが、配線基板40の実装面には、アクティブ素子10、パッシブ素子20および負荷30以外に、チョークインダクタ、サージ保護用のダイオード素子、および分圧用の抵抗素子などの電子機器が配置されてもよい。
【0043】
図2および
図3に示す例では、チャネル数が2個である半導体複合装置について説明した。しかしながら、本発明の第1実施形態に係る半導体複合装置において、チャネル数は、2個以上であれば特に限定されない。
【0044】
本発明の第1実施形態に係る半導体複合装置では、チャネルに配置される複数の出力キャパシタなどのキャパシタが、平面配置された複数のキャパシタ部を含んで一体成型されたキャパシタアレイを含み、キャパシタアレイが、配線基板の実装面に対して垂直な方向にキャパシタアレイを貫通する複数のスルーホール導体を有し、配線基板の実装面から見て、キャパシタアレイの少なくとも一部が負荷と重なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0045】
本発明の第1実施形態では、半導体複合装置が上記の特徴を有することで、複数のキャパシタが負荷と同一平面に配置されないため、実装面積を小さくすることができる。その結果、半導体複合装置の小型化を図ることができる。
【0046】
また、キャパシタから負荷までの配線を同一平面で引き回す必要がなくなるため、キャパシタから負荷までの接続距離を短くすることができる。その結果、配線によるインダクタ成分および抵抗成分を小さくすることができる。
【0047】
本発明の第1実施形態に係る半導体複合装置では、一体成型されたキャパシタアレイが、複数のチャネルのうち、1個のチャネルのみに接続されていてもよいが、2個以上のチャネルに接続されていることが好ましい。本発明の第1実施形態に係る半導体複合装置では、全てのチャネルに配置される複数のキャパシタが、一体成型されたキャパシタアレイのみから構成されてもよい。あるいは、一体成型されたキャパシタアレイとは別のキャパシタによって電源が安定駆動されるチャネルがあってもよく、キャパシタアレイ内の複数のキャパシタが同一チャネルに並列に接続されてもよく、また、キャパシタアレイに対して並列に接続される別のキャパシタがあってもよい。
【0048】
また、
図2および
図3に示す例では、第1チャネルCH1がシングルフェーズ電源を構成し、第2チャネルCH2がマルチフェーズ電源を構成する半導体複合装置について説明した。しかしながら、本発明の第1実施形態に係る半導体複合装置では、全てのチャネルがシングルフェーズ電源を構成してもよく、全てのチャネルがマルチフェーズ電源を構成してもよく、シングルフェーズ電源を構成するチャネルとマルチフェーズ電源を構成するチャネルとが混在してもよい。マルチフェーズ電源を構成するチャネルが複数個存在する場合、並列接続される電源回路の数は、チャネルごとに同じでもよく、異なっていてもよい。
【0049】
本発明の第1実施形態に係る半導体複合装置において、スルーホール導体は、キャパシタアレイの厚さ方向の上面から底面まで貫通する貫通孔の少なくとも内壁面に形成されている。貫通孔の内壁面は、Cu、AuまたはAgなどの低抵抗の金属によってメタライズされる。加工の容易さから、例えば、無電解Cuめっき、電解Cuめっきによりメタライズすることができる。なお、スルーホール導体のメタライズについては、貫通孔の内壁面のみをメタライズする場合に限られず、金属あるいは金属と樹脂との複合材料などを充填してもよい。
【0050】
ここで、スルーホール導体は、A.キャパシタの陽極用、B.キャパシタの陰極およびグランド用、C.I/Oライン用、に分類される。A.キャパシタの陽極用のスルーホール導体はキャパシタの陽極に接続されており、B.キャパシタの陰極およびグランド用のスルーホール導体はキャパシタの陰極に接続されており、C.I/Oライン用のスルーホール導体はキャパシタの陽極および陰極のいずれにも接続されていない。
【0051】
A.キャパシタの陽極用のスルーホール導体は、キャパシタを貫通する貫通孔とスルーホール導体との間に絶縁材料が充填されていてもよく、充填されていなくてもよい。後者の場合、後述するキャパシタの陽極である陽極板の芯部とスルーホール導体とが直接接続される構造となる。B.キャパシタの陰極およびグランド用のスルーホール導体、および、C.I/Oライン用のスルーホール導体は、キャパシタを貫通する貫通孔とスルーホール導体との間に絶縁材料が充填されている。
【0052】
本発明の第1実施形態に係る半導体複合装置において、キャパシタアレイを貫通するスルーホール導体のうち、少なくとも1つのスルーホール導体は、例えば、出力キャパシタなどのキャパシタの陽極と接続されている。
【0053】
図6は、キャパシタの陽極と接続されるスルーホール導体およびその周辺の一例を模式的に示す断面図である。
図7は、
図6のVII-VII線に沿った投影断面図である。
図6および
図7では、出力キャパシタC1の陽極と接続される第1のスルーホール導体TH11について説明する。
【0054】
図6に示す出力キャパシタC1は、キャパシタ部210と、第1のスルーホール導体TH11に電気的に接続される導電部220と、キャパシタ部210の表面に積層された絶縁部230と、を含む。導電部220は、第1のスルーホール導体TH11の表面に形成されており、接続端子として機能することができる。絶縁部230は、
図6に示されるように、キャパシタ部210の表面に積層された第1の絶縁部230Aと、第1の絶縁部230Aの表面に積層された第2の絶縁部230Bとを含むことが好ましい。
【0055】
本実施形態では、キャパシタ部210は、金属からなる陽極板211を含む。例えば、陽極板211は、弁作用金属からなる芯部212を有する。陽極板211は、芯部212の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質部214を有することが好ましい。多孔質部214の表面には誘電体層(図示せず)が設けられており、誘電体層の表面に陰極層216が設けられている。これにより、本実施形態では、キャパシタ部210は、電解コンデンサを形成している。なお、
図6には、陰極層216として、導電体層であるカーボン層216Aおよび銅層216Bが示されている。
図6には示されていないが、陰極層216として、誘電体層の表面に固体電解質層が設けられており、固体電解質層の表面に導電体層が設けられている。
【0056】
キャパシタ部210が電解コンデンサを形成している場合、陽極板211は、いわゆる弁作用を示す弁作用金属からなる。弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウムなどの金属単体、または、これらの金属を少なくとも1種含む合金などが挙げられる。これらの中では、アルミニウムまたはアルミニウム合金が好ましい。以下、アルミニウムまたはアルミニウム合金を基材とする電解コンデンサをアルミニウム素子ともいう。
【0057】
陽極板211の形状は、平板状であることが好ましく、箔状であることがより好ましい。陽極板211は、芯部212の少なくとも一方の主面に多孔質部214を有していればよく、芯部212の両方の主面に多孔質部214を有していてもよい。多孔質部214は、芯部212の表面に形成された多孔質層であることが好ましく、エッチング層であることがより好ましい。
【0058】
多孔質部214の表面に設けられる誘電体層は、多孔質部214の表面状態を反映して多孔質になっており、微細な凹凸状の表面形状を有している。誘電体層は、上記弁作用金属の酸化皮膜からなることが好ましい。例えば、陽極板211としてアルミニウム箔が用いられる場合、アジピン酸アンモニウムなどを含む水溶液中でアルミニウム箔の表面に対して陽極酸化処理(化成処理ともいう)を行うことにより、酸化皮膜からなる誘電体層を形成することができる。
【0059】
誘電体層の表面に設けられる陰極層216は、例えば、誘電体層の表面に設けられた固体電解質層を含む。陰極層216は、さらに、固体電解質層の表面に設けられた導電体層を含むことが好ましい。
【0060】
固体電解質層を構成する材料としては、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類などの導電性高分子などが挙げられる。これらの中では、ポリチオフェン類が好ましく、PEDOTと呼ばれるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。また、上記導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)などのドーパントを含んでいてもよい。なお、固体電解質層は、誘電体層の細孔(凹部)を充填する内層と、誘電体層を被覆する外層とを含むことが好ましい。
【0061】
導電体層は、導電性樹脂層および金属層のうち、少なくとも1層を含む。導電体層は、導電性樹脂層のみでもよく、金属層のみでもよい。導電体層は、固体電解質層の全面を被覆することが好ましい。
【0062】
導電性樹脂層としては、例えば、銀フィラー、銅フィラー、ニッケルフィラーおよびカーボンフィラーからなる群より選択される少なくとも1種の導電性フィラーを含む導電性接着剤層などが挙げられる。
【0063】
金属層としては、例えば、金属めっき膜、金属箔などが挙げられる。金属層は、ニッケル、銅、銀およびこれらの金属を主成分とする合金からなる群より選択される少なくとも一種の金属からなることが好ましい。なお、「主成分」とは、元素の重量比率が最も大きい元素成分をいう。
【0064】
導電体層は、例えば、固体電解質層の表面に設けられたカーボン層と、カーボン層の表面に設けられた銅層とを含む。
【0065】
カーボン層は、固体電解質層と銅層とを電気的および機械的に接続させるために設けられている。カーボン層は、カーボンペーストをスポンジ転写、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット印刷などによって固体電解質層上に塗布することにより、所定の領域に形成することができる。
【0066】
銅層は、銅ペーストをスポンジ転写、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ、インクジェット印刷などによってカーボン層上に印刷することにより形成することができる。
【0067】
導電部220は、例えばAg、AuまたはCuのような低抵抗の金属を主体として構成される。層間の密着力向上を目的として、上記導電性フィラーと樹脂とを混合した導電性密着材を導電部として設けてもよい。
【0068】
絶縁部230は、エポキシ、フェノールまたはポリイミドなどの樹脂、あるいは、エポキシ、フェノールまたはポリイミドなどの樹脂とシリカまたはアルミナなどの無機フィラーとの混合材料のような絶縁材料で構成される。
【0069】
なお、キャパシタ部210として、チタン酸バリウムを用いたセラミックコンデンサ、あるいは、窒化ケイ素(SiN)、二酸化ケイ素(SiO2)、フッ化水素(HF)などを用いた薄膜コンデンサを用いることも可能である。しかしながら、より薄型で比較的大きな面積のキャパシタ部210を形成できること、および、キャパシタアレイ50の剛性および柔軟性のような機械特性の観点から、キャパシタ部210は、アルミニウムなどの金属を基材とするコンデンサであることが好ましく、アルミニウムなどの金属を基材とする電解コンデンサであることがより好ましく、アルミニウムまたはアルミニウム合金を基材とする電解コンデンサであることがさらに好ましい。
【0070】
第1のスルーホール導体TH11は、出力キャパシタC1の厚さ方向にキャパシタ部210を貫通するように形成されている。具体的には、第1のスルーホール導体TH11は、キャパシタ部210を厚さ方向に貫通する第1の貫通孔h11の少なくとも内壁面に形成されている。
【0071】
第1のスルーホール導体TH11は、
図6および
図7に示されるように、陽極板211の端面と接続されている。すなわち、第1のスルーホール導体TH11は、陽極板211の端面において、キャパシタ部210の陽極である芯部212と接続されている。
【0072】
第1のスルーホール導体TH11をキャパシタ部210の陽極と電気的に接続することで、出力キャパシタC1の小型化を図ることができ、半導体複合装置の更なる小型化が可能となる。この場合、第1のスルーホール導体TH11が陽極板211の端面と接続されていると、第1のスルーホール導体TH11を通じて、出力キャパシタC1の上下を接続する配線機能と、キャパシタ部210の陽極と配線を接続する機能とを同時に実現することができるため、半導体複合装置の小型化を図ることができる。さらに、配線長が短くなることで、出力キャパシタC1のESLおよびESRを低減できる。
【0073】
第1のスルーホール導体TH11と接続される陽極板211の端面には、芯部212および多孔質部214が露出しており、多孔質部214に絶縁材料が充填されることで、
図6および
図7に示されるように、第1のスルーホール導体TH11の周囲に第3の絶縁部230Cが設けられている。
【0074】
図6に示されるように、第1のスルーホール導体TH11と接続される陽極板211の端面に、芯部212および多孔質部214が露出していることが好ましい。この場合、第1のスルーホール導体TH11と多孔質部214との接触面積が大きくなるため、密着性が高くなり、第1のスルーホール導体TH11の剥がれ等の不具合が生じにくくなる。
【0075】
第1のスルーホール導体TH11と接続される陽極板211の端面に、芯部212および多孔質部214が露出している場合、多孔質部214の空洞部分に絶縁材料が存在していることが好ましい。すなわち、第1のスルーホール導体TH11の周囲に第3の絶縁部230Cが設けられていることが好ましい。第1のスルーホール導体TH11の一定周囲の多孔質部214に絶縁材料を充填することで、陽極板211の芯部212と陰極層216との間の絶縁性を確保でき、短絡を防止することができる。さらに、導電部220などを形成するための薬液処理時に生じる陽極板211の端面の溶解を抑制できるため、キャパシタ部210への薬液の侵入を防止でき、出力キャパシタC1の信頼性が向上する。
【0076】
上述した効果を高める観点から、第3の絶縁部230Cの厚さは、
図6に示されるように、多孔質部214の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0077】
なお、第1のスルーホール導体TH11と接続される陽極板211の端面に、芯部212および多孔質部214が露出している場合、多孔質部214の空洞部分に絶縁材料が存在しなくてもよい。この場合、陽極板211の端面には、多孔質部214の空洞部分が露出する。
【0078】
図6および
図7に示されるように、第1のスルーホール導体TH11と陽極板211との間に陽極接続層240が設けられており、陽極接続層240を介して、第1のスルーホール導体TH11が陽極板211の端面と接続されていることが好ましい。第1のスルーホール導体TH11と陽極板211との間に陽極接続層240が設けられていることで、陽極接続層240が陽極板211の芯部212および多孔質部214に対するバリア層としての機能を果たす。その結果、導電部220などを形成するための薬液処理時に生じる陽極板211の溶解を抑制できるため、キャパシタ部210への薬液の侵入を防止でき、出力キャパシタC1の信頼性が向上する。
【0079】
第1のスルーホール導体TH11と陽極板211との間に陽極接続層240が設けられている場合、陽極接続層240は、例えば、
図6および
図7に示されるように、陽極板211から順に、Znを主たる材料とする第1の陽極接続層240Aと、NiまたはCuを主たる材料とする第2の陽極接続層240Bと、を含む。例えば、ジンケート処理によりZnを置換析出させて陽極板211の端面に第1の陽極接続層240Aを形成した後、無電解Niめっき処理または無電解Cuめっき処理により、第1の陽極接続層240A上に第2の陽極接続層240Bを形成する。なお、第1の陽極接続層240Aは消失する場合もあり、この場合、陽極接続層240は、第2の陽極接続層240Bのみを含んでもよい。
【0080】
中でも、陽極接続層240は、Niを主たる材料とする層を含むことが好ましい。陽極接続層240にNiを用いることで、陽極板211を構成するAlなどへのダメージを低減でき、バリア性を向上できる。
【0081】
第1のスルーホール導体TH11と陽極板211との間に陽極接続層240が設けられている場合、
図6に示されるように厚さ方向に直交する方向から断面視したとき、第1のスルーホール導体TH11が延びる方向における陽極接続層240の長さは、第1のスルーホール導体TH11が延びる方向における陽極板211の長さよりも長いことが好ましい。この場合、陽極板211の端面に露出した芯部212および多孔質部214は、陽極接続層240に完全に被覆されるため、上述した陽極板211の溶解をさらに抑制できる。
【0082】
図7に示されるように厚さ方向から平面視したとき、第1のスルーホール導体TH11は、第1の貫通孔h11の全周にわたり、陽極板211の端面と接続されていることが好ましい。この場合、第1のスルーホール導体TH11と陽極板211との接触面積が大きくなるため、第1のスルーホール導体TH11との接続抵抗が低減し、出力キャパシタC1のESRを低くすることができる。さらに、第1のスルーホール導体TH11と陽極板211との密着性が高くなり、熱応力による接続面での剥がれ等の不具合が生じにくくなる。
【0083】
第1の貫通孔h11には、樹脂を含む材料が充填されていることが好ましい。すなわち、
図6および
図7に示されるように、第1の貫通孔h11内に第1の樹脂充填部242Aが設けられていることが好ましい。第1の貫通孔h11内に樹脂材料を充填して空隙を解消することで、第1の貫通孔h11の内壁面に形成された第1のスルーホール導体TH11のデラミネーションの発生を抑えることができる。
【0084】
第1の貫通孔h11に充填される材料は、第1のスルーホール導体TH11を構成する材料(例えば銅)よりも熱膨張率が大きいことが好ましい。この場合、第1の貫通孔h11に充填された材料が高温環境下で膨張することで、第1のスルーホール導体TH11を第1の貫通孔h11の内側から外側へと押さえ付け、第1のスルーホール導体TH11のデラミネーションの発生をさらに抑えることができる。
【0085】
第1の貫通孔h11に充填される材料の熱膨張率は、第1のスルーホール導体TH11を構成する材料の熱膨張率と同じであってもよく、第1のスルーホール導体TH11を構成する材料の熱膨張率よりも小さくてもよい。
【0086】
本発明の第1実施形態に係る半導体複合装置において、少なくとも1個のチャネルに配置されるインダクタは、出力キャパシタなどのキャパシタの陽極と接続されるスルーホール導体に電気的に接続されていてもよい。この場合、全てのチャネルに配置されるインダクタが、キャパシタの陽極と接続されるスルーホール導体に電気的に接続されていることが好ましい。
【0087】
本発明の第1実施形態に係る半導体複合装置において、キャパシタアレイを貫通するスルーホール導体のうち、少なくとも1つのスルーホール導体は、例えば、出力キャパシタなどのキャパシタの陰極と接続されている。
【0088】
図8は、キャパシタの陰極と接続されるスルーホール導体およびその周辺の一例を模式的に示す断面図である。
図9は、
図8のIX-IX線に沿った投影断面図である。
図8および
図9では、出力キャパシタC1の陰極と接続される第2のスルーホール導体TH12について説明する。
【0089】
図8に示す出力キャパシタC1は、キャパシタ部210と、第2のスルーホール導体TH12に電気的に接続される導電部222と、キャパシタ部210の表面に積層された絶縁部230と、を含む。導電部222は、第2のスルーホール導体TH12の表面に形成されており、接続端子として機能することができる。絶縁部230は、
図8に示されるように、キャパシタ部210の表面に積層された第1の絶縁部230Aと、第1の絶縁部230Aの表面に積層された第2の絶縁部230Bとを含むことが好ましい。
【0090】
図6において説明したように、キャパシタ部210は、金属からなる陽極板211を含む。例えば、陽極板211は、弁作用金属からなる芯部212を有する。陽極板211は、芯部212の少なくとも一方の主面に設けられた多孔質部214を有することが好ましい。多孔質部214の表面には誘電体層(図示せず)が設けられており、誘電体層の表面に陰極層216が設けられている。これにより、本実施形態では、キャパシタ部210は、電解コンデンサを形成している。
【0091】
第2のスルーホール導体TH12は、出力キャパシタC1の厚さ方向にキャパシタ部210を貫通するように形成されている。具体的には、第2のスルーホール導体TH12は、キャパシタ部210を厚さ方向に貫通する第2の貫通孔h12の少なくとも内壁面に形成されている。
【0092】
第2のスルーホール導体TH12は、
図8に示されるように、導電部222およびビア導体224を介して陰極層216と電気的に接続されている。
【0093】
絶縁部230が第1の絶縁部230Aと第2の絶縁部230Bとを含む場合、
図8および
図9に示されるように、第2のスルーホール導体TH12と陽極板211との間に、第2の絶縁部230Bが延在することが好ましい。第2のスルーホール導体TH12と陽極板211との間に第2の絶縁部230Bが存在することで、第2のスルーホール導体TH12と陽極板211の芯部212との間の絶縁性を確保することができる。
【0094】
第2の絶縁部230Bに接する陽極板211の端面には、芯部212および多孔質部214が露出しており、多孔質部214に絶縁材料が充填されることで、
図8および
図9に示されるように、第2のスルーホール導体TH12の周囲に第4の絶縁部230Dが設けられている。
【0095】
第2のスルーホール導体TH12と陽極板211との間に第2の絶縁部230Bが延在する場合、
図8に示されるように、第2の絶縁部230Bに接する陽極板211の端面に、芯部212および多孔質部214が露出していることが好ましい。この場合、第2の絶縁部230Bと多孔質部214との接触面積が大きくなるため、密着性が高くなり、剥がれ等の不具合が生じにくくなる。
【0096】
第2の絶縁部230Bに接する陽極板211の端面に、芯部212および多孔質部214が露出している場合、多孔質部214の空洞部分に絶縁材料が存在することが好ましい。すなわち、
図8および
図9に示されるように、第2のスルーホール導体TH12の周囲に第4の絶縁部230Dが設けられていることが好ましい。第2のスルーホール導体TH12の一定周囲の多孔質部214に絶縁材料を充填することで、第2のスルーホール導体TH12と陽極板211の芯部212との間の絶縁性を確保でき、短絡を防止することができる。
【0097】
上述した効果を高める観点から、第4の絶縁部230Dの厚さは、
図8に示されるように、多孔質部214の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0098】
なお、第2の絶縁部230Bに接する陽極板211の端面に、芯部212および多孔質部214が露出している場合、多孔質部214の空洞部分に絶縁材料が存在しなくてもよい。この場合、陽極板211の端面には、多孔質部214の空洞部分が露出する。
【0099】
第2のスルーホール導体TH12と陽極板211との間に第2の絶縁部230Bが延在する場合、第2の絶縁部230Bを構成する絶縁材料が多孔質部214の空洞部分に入り込んでいることが好ましい。これにより、多孔質部214の機械的強度を向上させることができる。また、多孔質部214の空隙に起因するデラミネーションの発生を抑えることができる。
【0100】
第2の絶縁部230Bを構成する絶縁材料は、第2のスルーホール導体TH12を構成する材料(例えば銅)よりも熱膨張率が大きいことが好ましい。この場合、第2の絶縁部230Bを構成する絶縁材料が高温環境下で膨張することで、多孔質部214および第2のスルーホール導体TH12を押さえ付け、デラミネーションの発生をさらに抑えることができる。
【0101】
第2の絶縁部230Bを構成する絶縁材料の熱膨張率は、第2のスルーホール導体TH12を構成する材料の熱膨張率と同じであってもよく、第2のスルーホール導体TH12を構成する材料の熱膨張率よりも小さくてもよい。
【0102】
第2の貫通孔h12には、樹脂を含む材料が充填されていることが好ましい。すなわち、
図8および
図9に示されるように、第2の貫通孔h12内に第2の樹脂充填部242Bが設けられていることが好ましい。第2の貫通孔h12内に樹脂材料を充填して空隙を解消することで、第2の貫通孔h12の内壁面に形成された第2のスルーホール導体TH12のデラミネーションの発生を抑えることができる。
【0103】
第2の貫通孔h12に充填される材料は、第2のスルーホール導体TH12を構成する材料(例えば銅)よりも熱膨張率が大きいことが好ましい。この場合、第2の貫通孔h12に充填された材料が高温環境下で膨張することで、第2のスルーホール導体TH12を第2の貫通孔h12の内側から外側へと押さえ付け、第2のスルーホール導体TH12のデラミネーションの発生をさらに抑えることができる。
【0104】
第2の貫通孔h12に充填される材料の熱膨張率は、第2のスルーホール導体TH12を構成する材料の熱膨張率と同じであってもよく、第2のスルーホール導体TH12を構成する材料の熱膨張率よりも小さくてもよい。
【0105】
本発明の第1実施形態に係る半導体複合装置は、出力キャパシタなどのキャパシタの陽極および陰極のいずれにも接続されていない第3のスルーホール導体を含んでもよい。キャパシタの陽極に接続される第1のスルーホール導体およびキャパシタの陰極に接続される第2のスルーホール導体に加えて、グランドに接続するラインなどを同じくスルーホール導体を介して配線基板の上下に接続することで、半導体複合装置の設計自由度が向上し、半導体複合装置の更なる小型化を図ることができる。
【0106】
上述のとおり、スルーホール導体は、A.キャパシタの陽極用、B.キャパシタの陰極およびグランド用、C.I/Oライン用、に分類される。A.キャパシタの陽極用のスルーホール導体としては第1のスルーホール導体が該当し、B.キャパシタの陰極およびグランド用のスルーホール導体としては第2のスルーホール導体が該当し、C.I/Oライン用のスルーホール導体としては第3のスルーホール導体が該当する。
【0107】
A.キャパシタの陽極用のスルーホール導体のうち、陽極板の端面と直接接続されるスルーホール導体は、例えば、以下の方法により形成することができる。
1.スルーホール導体が形成される部分に、ドリル加工あるいはレーザ加工などによって、貫通孔1を形成する。
2.貫通孔1の内壁面に対して、めっきなどでメタライジングすることで、スルーホール導体を形成する。
【0108】
B.キャパシタの陰極およびグランド用のスルーホール導体、および、C.I/Oライン用のスルーホール導体は、例えば、以下の方法により形成することができる。
1.スルーホール導体が形成される部分に、ドリル加工あるいはレーザ加工などによって、貫通孔1を形成する。
2.貫通孔1を樹脂で充填する。
3.貫通孔1に充填された樹脂に対して、ドリル加工あるいはレーザ加工などによって、貫通孔2を形成する。この際、樹脂の直径に対して貫通孔2の直径を小さくすることで、貫通孔1と貫通孔2との間に樹脂が存在する状態にする。
4.貫通孔2の内壁面に対して、めっきなどでメタライジングすることで、スルーホール導体を形成する。
【0109】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態においては、キャパシタアレイを貫通するスルーホール導体にインダクタが電気的に接続されており、上記インダクタがキャパシタアレイと重なる位置に配置されている点が本発明の第1実施形態と異なる。本発明の第2実施形態において、スイッチング素子の配置は、本発明の第1実施形態と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0110】
図10は、本発明の第2実施形態に係る半導体複合装置の一例を模式的に示す断面図である。
図11は、
図10に示す半導体複合装置を配線基板の一方の実装面から見た平面図である。
図12は、
図10に示す半導体複合装置を配線基板の他方の実装面から見た平面図である。
図10では、チャネル数が2個である場合の例を示しているが、チャネル数は3個以上であってもよい。
【0111】
図10、
図11および
図12に示す半導体複合装置2は、
図2および
図3に示す半導体複合装置1と同様に、電圧レギュレータを構成するアクティブ素子10およびパッシブ素子20と、電圧レギュレータによって調整された直流電圧が供給される負荷30と、アクティブ素子10、パッシブ素子20および負荷30に電気的に接続される配線基板40と、を備える。
【0112】
図10、
図11および
図12に示す半導体複合装置2では、第1チャネルCH1に配置されるインダクタL1、および、第2チャネルCH2に配置されるインダクタL2、L3およびL4は、キャパシタアレイ50を貫通するスルーホール導体TH1に電気的に接続されている。
【0113】
スルーホール導体TH1に電気的に接続されるインダクタL1、L2、L3およびL4は、キャパシタアレイ50から見て負荷30と反対側に配置されており、配線基板40の実装面から見て、その少なくとも一部がキャパシタアレイ50と重なる位置に配置されている。
図10、
図11および
図12に示す例では、インダクタL1、L2、L3およびL4は、配線基板40の他方の実装面に配置されている。
【0114】
本発明の第2実施形態に係る半導体複合装置では、少なくとも1個のチャネルに配置されるインダクタが、キャパシタアレイを貫通するスルーホール導体に電気的に接続されており、スルーホール導体に電気的に接続されるインダクタが、配線基板の実装面から見て、その少なくとも一部が前記キャパシタアレイと重なる位置に配置されていることを特徴とする。インダクタは、キャパシタアレイから見て負荷と反対側に配置されていることが好ましいが、キャパシタアレイと負荷との間に配置されていてもよい。
【0115】
本発明の第2実施形態では、半導体複合装置が上記の特徴を有することで、インダクタがキャパシタと同一平面に配置されないため、インダクタからキャパシタまでの接続距離を短くすることができる。その結果、配線によるロスを低減することができる。
【0116】
本発明の第2実施形態に係る半導体複合装置では、全てのチャネルに配置されるインダクタが、キャパシタアレイを貫通するスルーホール導体に電気的に接続されていることが好ましい。
【0117】
本発明の第2実施形態に係る半導体複合装置において、インダクタと接続されるスルーホール導体は、出力キャパシタなどのキャパシタの陽極と接続されていることが好ましい。この場合、キャパシタの陽極と接続されるスルーホール導体は、本発明の第1実施形態で説明した陽極板の端面と接続されていることが好ましい。
【0118】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態においては、マルチフェーズ電源を構成する電源回路ごとに配置されたインダクタと接続されるスルーホール導体が出力キャパシタなどのキャパシタの陽極と接続されており、上記キャパシタの陽極を介して、それぞれのインダクタと接続される複数のスルーホール導体が電気的に接続されている点が本発明の第2実施形態と異なる。
【0119】
図13は、本発明の第3実施形態に係る半導体複合装置の一例を模式的に示す断面図である。
図14は、
図13に示す半導体複合装置を配線基板の一方の実装面から見た平面図である。
図15は、
図13に示す半導体複合装置を配線基板の他方の実装面から見た平面図である。
図13では、チャネル数が2個である場合の例を示しているが、チャネル数は3個以上であってもよい。
【0120】
図13、
図14および
図15に示す半導体複合装置3は、
図2および
図3に示す半導体複合装置1と同様に、電圧レギュレータを構成するアクティブ素子10およびパッシブ素子20と、電圧レギュレータによって調整された直流電圧が供給される負荷30と、アクティブ素子10、パッシブ素子20および負荷30に電気的に接続される配線基板40と、を備える。
【0121】
図13、
図14および
図15に示す半導体複合装置3では、第1チャネルCH1に配置されるインダクタL1、および、第2チャネルCH2に配置されるインダクタL2、L3およびL4は、キャパシタアレイ50を貫通するスルーホール導体TH1に電気的に接続されている。
【0122】
スルーホール導体TH1に電気的に接続されるインダクタL1、L2、L3およびL4は、キャパシタアレイ50から見て負荷30と反対側に配置されており、配線基板40の実装面から見て、その少なくとも一部がキャパシタアレイ50と重なる位置に配置されている。
図13、
図14および
図15に示す例では、インダクタL1、L2、L3およびL4は、配線基板40の他方の実装面に配置されている。
【0123】
マルチフェーズ電源を構成する第2チャネルCH2において、電源回路ごとに配置されたインダクタL2と接続されるスルーホール導体TH1、インダクタL3と接続されるスルーホール導体TH2、および、インダクタL4と接続されるスルーホール導体TH1は、出力キャパシタC2の陽極と接続されている。そして、出力キャパシタC2の陽極を介して、それぞれのインダクタL2、L3およびL4と接続される複数のスルーホール導体TH1が電気的に接続されている。
【0124】
本発明の第3実施形態に係る半導体複合装置では、マルチフェーズ電源を構成するチャネルにおいて、電源回路ごとに配置されたインダクタと接続されるスルーホール導体が出力キャパシタなどのキャパシタの陽極と接続されており、キャパシタの陽極を介して、それぞれのインダクタと接続される複数のスルーホール導体が電気的に接続されていることを特徴とする。
【0125】
マルチフェーズ電源を構成するチャネルにおいて、個々のスイッチング素子から負荷までの接続距離が異なると、配線によるインダクタンスが変化するため、フェーズ設計が困難になる。これに対して、本発明の第3実施形態では、配線に引き回しによって複数のインダクタを接続するのではなく、キャパシタの陽極を介して接続することで、配線の引き回しを最小限にすることができる。その結果、配線ロスをさらに低減できるとともに、フェーズずれを防止することができる。
【0126】
本発明の第3実施形態に係る半導体複合装置において、出力キャパシタなどのキャパシタの陽極と接続されるスルーホール導体は、本発明の第1実施形態で説明した陽極板の端面と接続されていることが好ましい。
【0127】
本発明の第2実施形態および第3実施形態において、スルーホール導体に電気的に接続されるインダクタは、キャパシタアレイから見て負荷と反対側に配置されていることが好ましいが、キャパシタアレイと負荷との間に配置されていてもよい。
【0128】
図16は、本発明の第2実施形態に係る半導体複合装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
【0129】
図16に示す半導体複合装置2Aでは、インダクタL1は、キャパシタアレイ50と負荷30との間の、配線基板40の一方の実装面に配置されている。一方、インダクタL2、L3およびL4は、キャパシタアレイ50から見て負荷30と反対側の、配線基板40の他方の実装面に配置されている。
【0130】
なお、インダクタL1がキャパシタアレイ50から見て負荷30と反対側の、配線基板40の他方の実装面に配置され、インダクタL2、L3およびL4がキャパシタアレイ50と負荷30との間の、配線基板40の一方の実装面に配置されていてもよい。あるいは、インダクタL1、L2、L3およびL4がキャパシタアレイ50と負荷30との間の、配線基板40の一方の実装面に配置されていてもよい。
【0131】
本発明の第2実施形態および第3実施形態において、スルーホール導体に電気的に接続されるインダクタがキャパシタアレイから見て負荷と反対側に配置される場合、そのインダクタは、配線基板の実装面に配置されていてもよく、配線基板に内蔵されていてもよい。
【0132】
図17は、本発明の第2実施形態に係る半導体複合装置のさらに別の一例を模式的に示す断面図である。
【0133】
図17に示す半導体複合装置2Bでは、インダクタL1、L2、L3およびL4は、キャパシタアレイ50から見て負荷30と反対側に配置されている。インダクタL1およびL2は、配線基板40に内蔵されている。一方、インダクタL2およびL4は、配線基板40の他方の実装面に配置されている。
【0134】
本発明の第2実施形態および第3実施形態では、インダクタがスルーホール導体に電気的に接続されているチャネルにおいて、スイッチング素子は、配線基板の実装面から見て、その少なくとも一部がキャパシタアレイと重なる位置に配置されていることが好ましい。この場合、スイッチング素子から負荷までの接続距離をさらに短くすることができる。スイッチング素子は、キャパシタアレイから見て負荷と反対側に配置されていることが好ましいが、キャパシタアレイと負荷との間に配置されていてもよい。
【0135】
[半導体複合装置の製造方法]
以下、本発明の半導体複合装置の製造方法の一例として、キャパシタアレイが配線基板に内蔵されている半導体複合装置の製造方法について説明する。このような半導体複合装置の製造方法も、本発明の1つである。
【0136】
本発明の半導体複合装置の製造方法は、配線基板にキャビティを形成する工程と、キャパシタアレイを上記キャビティの内部に配置する工程と、上記配線基板と上記キャパシタアレイを電気的に接続する工程と、上記キャビティを封止して、上記キャパシタアレイを上記配線基板に内蔵する工程と、を備える。
【0137】
本発明の半導体複合装置の製造方法において、上記の工程を行う順序は特に限定されない。
【0138】
本発明の半導体複合装置の製造方法において、キャビティの内部に配置されたキャパシタアレイを配線基板と電気的に接続する方法は特に限定されず、例えば、ビア接続、バンプ接続、めっき接続、異方性導電膜などの導電性ペーストを介した接続などが挙げられる。
【0139】
本発明の半導体複合装置の製造方法において、配線基板に形成されるキャビティの深さに関して、配線基板を貫通するキャビティを形成してもよく、配線基板を貫通しないキャビティを形成してもよい。
【0140】
本発明の半導体複合装置を製造する第1の方法として、配線基板を貫通するキャビティを形成する例について説明する。
【0141】
図18Aおよび
図18Bは、配線基板にキャビティを形成する工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0142】
図18Aに示すように、コア層410の両面に配線層420を有する配線基板400を用意する。その後、
図18Bに示すように、配線基板400を貫通するキャビティ430を形成する。
【0143】
図19は、配線基板にテープを貼り付ける工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0144】
図19に示すように、配線基板400の一方の面にテープ440を貼り付ける。
【0145】
図20は、キャパシタアレイをキャビティの内部に配置する工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0146】
図20に示すように、キャパシタアレイ500をテープ440上に固定することで、キャパシタアレイ500をキャビティ430の内部に配置する。
【0147】
キャパシタアレイ500は、配線基板400の実装面に対して垂直な方向にキャパシタアレイ500を貫通する複数のスルーホール導体TH1およびTH2を有する。スルーホール導体TH1またはTH2の一方の端部には、第1の接続端子610が形成されており、スルーホール導体TH1またはTH2の他方の端部には、第2の接続端子620が形成されている。
図20に示す例では、キャパシタアレイ500の第2の接続端子620側がテープ440上に固定される。
【0148】
図21は、キャパシタアレイの一方の接続端子側から樹脂封止を行う工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0149】
図21に示すように、絶縁ラミネート材を用いて、キャパシタアレイ500の一方の接続端子側から樹脂封止を行って、絶縁層450を形成する。
図21に示す例では、テープ440が貼り付けられていない第1の接続端子610側から樹脂封止を行う。
【0150】
図22は、配線基板からテープを剥がす工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0151】
図22に示すように、配線基板400からテープ440を剥がす。
【0152】
図23は、キャパシタアレイの他方の接続端子側から樹脂封止を行う工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0153】
図23に示すように、絶縁ラミネート材を用いて、キャパシタアレイ500の他方の接続端子側から樹脂封止を行って、絶縁層450を形成する。
図23に示す例では、テープ440が剥がされた第2の接続端子620側から樹脂封止を行う。これにより、キャパシタアレイ500が配線基板400に内蔵される。
【0154】
図24は、ビア穴を形成する工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0155】
図24に示すように、絶縁層450にビア穴460を形成し、第1の接続端子610および第2の接続端子620を露出させる。
【0156】
図25は、めっき処理を施す工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0157】
図25に示すように、めっき処理を施して、ビア穴460の内部に第1の導体部470および第2の導体部480を形成する。第1の導体部470および第2の導体部480は、絶縁層450の表面にも形成される。第1の導体部470は第1の接続端子610と接続され、第2の導体部480は第2の接続端子620と接続される。これにより、配線基板400とキャパシタアレイ500が電気的に接続される。
【0158】
その後、スイッチング素子を含むアクティブ素子、半導体素子を含む負荷などの部品を配置する。このとき、配線基板の実装面から見て、キャパシタアレイの少なくとも一部が負荷と重なるように配置する。以上により、半導体複合装置が得られる。
【0159】
本発明の半導体複合装置を製造する第2の方法として、配線基板を貫通しないキャビティを形成する例について説明する。
【0160】
図26Aおよび
図26Bは、配線基板にキャビティを形成する工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0161】
図26Aに示すように、コア層410の両面に配線層420を有する配線基板400を用意する。その後、
図26Bに示すように、配線基板400を貫通しないキャビティ430Aを形成する。
【0162】
図27は、貫通孔を形成する工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0163】
図27に示すように、キャビティ430Aが形成されていないコア層410および配線層420に貫通孔490を形成する。
図27に示す例では、貫通孔490は、キャパシタアレイ500の第2の接続端子620(
図29参照)と接続される第2の導体部480(
図28参照)が形成される部分に形成される。
【0164】
図28は、パターニングおよびめっき処理を施す工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0165】
図28に示すように、パターニングおよびめっき処理を施して、貫通孔490の内部に第2の導体部480を形成する。
【0166】
図29は、キャパシタアレイをキャビティの内部に配置する工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0167】
図29に示すように、キャパシタアレイ500をキャビティ430の内部に配置する。
【0168】
キャパシタアレイ500は、配線基板400の実装面に対して垂直な方向にキャパシタアレイ500を貫通する複数のスルーホール導体TH1およびTH2を有する。スルーホール導体TH1またはTH2の一方の端部には、第1の接続端子610が形成されており、スルーホール導体TH1またはTH2の他方の端部には、第2の接続端子620が形成されている。
図29に示す例では、リフロー接合などによって、キャパシタアレイ500の第2の接続端子620が第2の導体部480と接続される。
【0169】
図30は、樹脂封止を行う工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0170】
図30に示すように、絶縁ラミネート材を用いて、キャパシタアレイ500の一方の接続端子側から樹脂封止を行って、絶縁層450を形成する。
図30に示す例では、第1の接続端子610側から樹脂封止を行う。
【0171】
図31は、ビア穴を形成する工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0172】
図31に示すように、絶縁層450にビア穴460を形成し、第1の接続端子610を露出させる。
【0173】
図32は、めっき処理を施す工程の一例を模式的に示す断面図である。
【0174】
図32に示すように、めっき処理を施して、ビア穴460の内部に第1の導体部470を形成する。第1の導体部470は、絶縁層450の表面にも形成される。第1の導体部470は第1の接続端子610と接続される。これにより、配線基板400とキャパシタアレイ500が電気的に接続される。
【0175】
その後、スイッチング素子を含むアクティブ素子、半導体素子を含む負荷などの部品を配置する。このとき、配線基板の実装面から見て、キャパシタアレイの少なくとも一部が負荷と重なるように配置する。以上により、半導体複合装置が得られる。
【0176】
[その他の実施形態]
本発明の半導体複合装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、半導体複合装置の構成、製造条件などに関し、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0177】
本発明の半導体複合装置において、電圧レギュレータを構成するパッシブ素子は、少なくともキャパシタを含んでいればよく、必ずしもインダクタを含んでいなくてもよい。
【0178】
本発明の半導体複合装置において、キャパシタアレイは、1枚のアルミニウム素子からなるキャパシタシートが分割された複数のキャパシタ部を含むことが好ましい。この場合、キャパシタ部の配置に対する自由度が向上するため、半導体複合装置の小型化などにおいて、より高い効果が得られる。
【0179】
本発明の半導体複合装置において、キャパシタアレイは、配線基板に内蔵されていることが好ましい。キャパシタアレイが配線基板に内蔵されていると、実装面積を小さくすることができる。
【0180】
本発明の半導体複合装置において、キャパシタアレイは、負荷、インダクタまたはスイッチング素子のインターポーザーとして使用されてもよい。その場合も、配線基板の実装面から見て、キャパシタアレイの少なくとも一部が負荷と重なる位置に配置されていればよい。
【0181】
図33は、本発明の半導体複合装置の第1変形例を模式的に示す断面図である。
【0182】
図33に示す半導体複合装置4Aは、電圧レギュレータを構成するアクティブ素子10およびパッシブ素子20と、電圧レギュレータによって調整された直流電圧が供給される負荷30と、アクティブ素子10、パッシブ素子20および負荷30に電気的に接続される配線基板40と、を備える。
【0183】
電圧レギュレータを構成するアクティブ素子10は、スイッチング素子SWを含む。スイッチング素子SWは、配線基板40の一方の実装面に配置されている。
【0184】
電圧レギュレータを構成するパッシブ素子20は、キャパシタアレイ50とインダクタLとを含む。キャパシタアレイ50およびインダクタLは、配線基板40の一方の実装面に配置されている。
【0185】
負荷30は、配線基板40上のキャパシタアレイ50と接続されている。配線基板40の実装面から見て、キャパシタアレイ50の少なくとも一部が負荷30と重なる位置に配置されている。
【0186】
図33に示す半導体複合装置4Aは、キャパシタアレイ50が負荷30のインターポーザーとして使用されていることを除いて、
図2に示す半導体複合装置1と同様の構成を有している。
【0187】
図34は、本発明の半導体複合装置の第2変形例を模式的に示す断面図である。
【0188】
図34に示す半導体複合装置4Bは、キャパシタアレイ50が負荷30のインターポーザーとして使用されていることを除いて、
図13に示す半導体複合装置3と同様の構成を有している。
【0189】
同様に、
図10に示す半導体複合装置2、
図16に示す半導体複合装置2A、
図17に示す半導体複合装置2Bにおいて、キャパシタアレイ50が負荷30のインターポーザーとして使用されてもよい。
【0190】
図35は、本発明の半導体複合装置の第3変形例を模式的に示す断面図である。
【0191】
図35に示す半導体複合装置4Cは、キャパシタアレイ50がインダクタLのインターポーザーとして使用されていることを除いて、
図13に示す半導体複合装置3と同様の構成を有している。
【0192】
同様に、
図10に示す半導体複合装置2、
図16に示す半導体複合装置2A、
図17に示す半導体複合装置2Bにおいて、キャパシタアレイ50がインダクタLのインターポーザーとして使用されてもよい。
【0193】
本発明の半導体複合装置は、複数個のキャパシタアレイを備えてもよい。例えば、本発明の半導体複合装置が2個のキャパシタアレイを備える場合、配線基板の実装面から見て、一方のキャパシタアレイのみが負荷と重なる位置に配置されてもよく、両方のキャパシタアレイが負荷と重なる位置に配置されてもよい。
【0194】
図36は、本発明の半導体複合装置の第4変形例を模式的に示す断面図である。
【0195】
図36に示す半導体複合装置4Dは、第1のキャパシタアレイ51および第2のキャパシタアレイ52を備える。第1のキャパシタアレイ51は、配線基板40の一方の実装面に配置されている。一方、第2のキャパシタアレイ52は、配線基板40に内蔵されている。
【0196】
負荷30は、配線基板40上の第1のキャパシタアレイ51と接続されている。配線基板40の実装面から見て、第1のキャパシタアレイ51の少なくとも一部が負荷30と重なる位置に配置されている。さらに、配線基板40の実装面から見て、第2のキャパシタアレイ52の少なくとも一部が負荷30と重なる位置に配置されている。
【0197】
図36に示す半導体複合装置4Dにおいて、第1のキャパシタアレイ51および第2のキャパシタアレイ52は、例えば、いずれも、出力電圧を平滑化するための出力キャパシタとして使用される。
【0198】
図36に示す半導体複合装置4Dは、
図34に示す半導体複合装置4Bの配線基板40にキャパシタアレイが内蔵された構成を有している。その他の構成として、例えば、
図35に示す半導体複合装置4Cの配線基板40にキャパシタアレイが内蔵された構成でもよい。あるいは、
図34に示す半導体複合装置4Bと
図35に示す半導体複合装置4Cとが組み合わされた構成、すなわち、負荷30のインターポーザーとして使用されるキャパシタアレイとインダクタLのインターポーザーとして使用されるキャパシタアレイとが組み合わされた構成でもよい。さらに、配線基板40にキャパシタアレイが内蔵されていてもよい。
【0199】
例えば、2個のキャパシタアレイを備える半導体複合装置において、一方のキャパシタアレイのみが負荷と重なる位置に配置される場合、他方のキャパシタアレイはスイッチング素子の近くに配置されてもよい。その場合、他方のキャパシタアレイは、例えば、入力電圧を平滑化するための入力キャパシタとして使用することが可能である。
【0200】
図37は、本発明の半導体複合装置の第5変形例を模式的に示す断面図である。
図38は、入力キャパシタを備える半導体複合装置の回路構成図である。
【0201】
図37に示す半導体複合装置4Eは、第1のキャパシタアレイ51および第2のキャパシタアレイ52を備える。第1のキャパシタアレイ51および第2のキャパシタアレイ52は、いずれも、配線基板40に内蔵されている。
【0202】
負荷30は、配線基板40の一方の実装面に配置されている。配線基板40の実装面から見て、第1のキャパシタアレイ51の少なくとも一部が負荷30と重なる位置に配置されている。一方、第2のキャパシタアレイ52は、スイッチング素子SWの近くに配置されており、配線基板40の実装面から見て、負荷30と重なる位置に配置されていない。
【0203】
図37に示す半導体複合装置4Eにおいて、第1のキャパシタアレイ51は、例えば、出力電圧を平滑化するための出力キャパシタとして使用され、一方、第2のキャパシタアレイ52は、例えば、入力電圧を平滑化するための入力キャパシタとして使用される(
図38参照)。
【0204】
なお、第1のキャパシタアレイ51は、配線基板40に内蔵されていなくてもよい。同様に、第2のキャパシタアレイ52は、配線基板40に内蔵されていなくてもよい。
【0205】
本発明の半導体複合装置において、負荷は、半導体素子と、上記半導体素子が実装されたパッケージ基板とを含んでもよい。
【0206】
図39は、本発明の半導体複合装置の第6変形例を模式的に示す断面図である。
【0207】
図39に示す半導体複合装置4Fにおいて、負荷30Aは、半導体素子31と、半導体素子31が実装されたパッケージ基板32とを含む。
図39に示す半導体複合装置4Fは、負荷の構成が異なることを除いて、
図2に示す半導体複合装置1と同様の構成を有している。
【0208】
本発明の半導体複合装置においては、半導体素子が実装されたパッケージ基板にキャパシタアレイが内蔵されてもよい。パッケージ基板に内蔵されたキャパシタアレイは、負荷と重なる位置に配置されればよい。さらに、別のキャパシタアレイが配線基板に実装または内蔵されてもよい。この場合、別のキャパシタアレイは、出力キャパシタとして負荷と重なる位置に配置されてもよく、入力キャパシタとしてスイッチング素子の近くに配置されてもよい。
【0209】
図40は、本発明の半導体複合装置の第7変形例を模式的に示す断面図である。
【0210】
図40に示す半導体複合装置4Gは、第1のキャパシタアレイ51および第2のキャパシタアレイ52を備える。負荷30Aは、半導体素子31と、半導体素子31が実装されたパッケージ基板32とを含む。第1のキャパシタアレイ51は、パッケージ基板32に内蔵されている。一方、第2のキャパシタアレイ52は、配線基板40に内蔵されている。
【0211】
配線基板40の実装面から見て、第1のキャパシタアレイ51の少なくとも一部が負荷30Aと重なる位置に配置されている。さらに、配線基板40の実装面から見て、第2のキャパシタアレイ52の少なくとも一部が負荷30Aと重なる位置に配置されている。
【0212】
図40に示す半導体複合装置4Gにおいて、第1のキャパシタアレイ51および第2のキャパシタアレイ52は、例えば、いずれも、出力電圧を平滑化するための出力キャパシタとして使用される。
【0213】
図41は、本発明の半導体複合装置の第8変形例を模式的に示す断面図である。
【0214】
図41に示す半導体複合装置4Hは、第2のキャパシタアレイ52がスイッチング素子SWの近くに配置されている点において、
図40に示す半導体複合装置4Gと異なる。
【0215】
図41に示す半導体複合装置4Hにおいて、第1のキャパシタアレイ51は、例えば、出力電圧を平滑化するための出力キャパシタとして使用され、一方、第2のキャパシタアレイ52は、例えば、入力電圧を平滑化するための入力キャパシタとして使用される(
図38参照)。
【0216】
本発明の半導体複合装置においては、トランスを含む電源回路が構成されてもよい。
【0217】
図42は、トランスを含む電源回路が構成された半導体複合装置の回路構成図の一例である。
【0218】
図42に示す例では、第2チャネルCH2において、トランスTRを含む電源回路が構成されている。
【0219】
本発明の半導体複合装置は、電源モジュールを備えてもよい。
【0220】
図43は、電源モジュールを備える半導体複合装置の一例を模式的に示す断面図である。
図44は、電源モジュールを備える半導体複合装置の回路構成図の一例である。
【0221】
図43に示す半導体複合装置5Aは、アクティブ素子(図示せず)を含む電源モジュール70を備えている。
図43に示す半導体複合装置5Aでは、負荷30は、配線基板40の一方の実装面に配置されており、キャパシタアレイ50は、配線基板40に内蔵されており、電源モジュール70は、配線基板40の他方の実装面に配置されている。
図43に示すように、電源モジュール70は、配線基板40の実装面から見て、その少なくとも一部が負荷30およびキャパシタアレイ50と重なる位置に配置されていることが好ましい。
【0222】
図43および
図44に示すように、電源モジュール70にインダクタLが搭載されていてもよい。また、
図44に示すように、電源モジュール70は、スイッチング素子SWを含んでもよい。
【0223】
図45は、電源モジュールを備える半導体複合装置の回路構成図の別の一例である。
【0224】
図45に示すように、電源モジュール70は、トランスTRを含んでもよい。電源モジュール70には、インダクタLが含まれていなくてもよく、トランスTRの前段(
図45では左側)のスイッチング素子SWが含まれていなくてもよい。また、第1チャネルCH1のスイッチング素子SWまたはインダクタLが電源モジュール70に含まれていてもよい。
【0225】
図46は、電源モジュールを備える半導体複合装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
【0226】
図46に示す半導体複合装置5Bでは、電源モジュール70は、配線基板40の実装面から見て負荷30およびキャパシタアレイ50と重ならない位置で、配線基板40の一方の実装面に配置されている。電源モジュール70にはインダクタLが搭載されていてもよい。電源モジュール70は、スイッチング素子SWを含んでもよい。また、電源モジュール70は、トランスTRを含んでもよい。
【0227】
本発明の半導体複合装置が電源モジュールを備える場合、電源モジュールの基板にキャパシタアレイが含まれていてもよい。
【0228】
図47は、電源モジュールの基板にキャパシタアレイが含まれる半導体複合装置の一例を模式的に示す断面図である。
図48は、電源モジュールの基板にキャパシタアレイが含まれる半導体複合装置の別の一例を模式的に示す断面図である。
【0229】
図47に示す半導体複合装置5Cでは、電源モジュール70の基板にキャパシタアレイ50が含まれている。
【0230】
図48に示す半導体複合装置5Dでは、電源モジュール70の基板に第1のキャパシタアレイ51が含まれており、配線基板40に第2のキャパシタアレイ52が内蔵されている。
【0231】
本発明の半導体複合装置において、電圧レギュレータを構成するパッシブ素子は、平面配置された複数のインダクタを含むインダクタアレイを含んでもよい。
【0232】
図49は、インダクタアレイを含む半導体複合装置の一例を模式的に示す断面図である。
図50は、
図49に示す半導体複合装置を配線基板の他方の実装面から見た平面図である。
図51は、インダクタアレイを含む半導体複合装置の回路構成図の一例である。
【0233】
図49および
図50に示す半導体複合装置6では、パッシブ素子20は、インダクタアレイ80を含む。
図50および
図51に示す例では、インダクタアレイ80は、第2チャネルCH2に配置されている。インダクタアレイ80は、電源モジュール70に搭載されていてもよく、搭載されていなくてもよい。半導体複合装置6は、電源モジュール70を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0234】
1、2、2A、2B、3、4A、4B、4C、4D、4E、4F、4G、4H、5A、5B、5C、5D、6、100 半導体複合装置
10 アクティブ素子
20 パッシブ素子
30、30A 負荷
31 半導体素子
32 パッケージ基板
40、400 配線基板
45 回路層
50、500 キャパシタアレイ
51 第1のキャパシタアレイ
52 第2のキャパシタアレイ
61、610 第1の接続端子
62、620 第2の接続端子
70 電源モジュール
80 インダクタアレイ
210 キャパシタ部
211 陽極板
212 芯部
214 多孔質部
216 陰極層
216A カーボン層
216B 銅層
220、222 導電部
224 ビア導体
230 絶縁部
230A 第1の絶縁部
230B 第2の絶縁部
230C 第3の絶縁部
230D 第4の絶縁部
240 陽極接続層
240A 第1の陽極接続層
240B 第2の陽極接続層
242A 第1の樹脂充填部
242B 第2の樹脂充填部
410 コア層
420 配線層
430、430A キャビティ
440 テープ
450 絶縁層
460 ビア穴
470 第1の導体部
480 第2の導体部
490 貫通孔
CH1 第1チャネル
CH2 第2チャネル
CH3 第3チャネル
C1、C2 出力キャパシタ
L1、L2、L3、L4、L インダクタ
SW1、SW2、SW3、SW4、SW スイッチング素子
TH1、TH2 スルーホール導体
TH11 第1のスルーホール導体
TH12 第2のスルーホール導体
TR トランス
h11 第1の貫通孔
h12 第2の貫通孔