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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20241126BHJP
   B25J 15/06 20060101ALI20241126BHJP
   B65G 47/91 20060101ALN20241126BHJP
【FI】
B25J15/00 F
B25J15/06 A
B65G47/91 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023202079
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2019185502の分割
【原出願日】2019-10-08
(65)【公開番号】P2024019255
(43)【公開日】2024-02-08
【審査請求日】2023-11-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.2019年9月30日 土佐くろしお農業協同組合大間出荷場にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 史典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆司
(72)【発明者】
【氏名】浜田 佳明
(72)【発明者】
【氏名】富永 和仁
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/078780(WO,A1)
【文献】特開2020-093306(JP,A)
【文献】特開2018-144225(JP,A)
【文献】特開2013-248721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
B65G 47/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
品物との間に空間を設けて密着する保持部を備え、前記空間の空気が吸引されることにより前記保持部に前記品物を吸着させる吸着部を少なくとも1つと、
前記吸着部が前記品物を吸着したときに、前記吸着部により吸着される前記品物の面の長手方向の縁に対向する位置において、前記品物の長手方向の縁との間に間隔をおいて端部が配置される補助板と、を備えた、前記品物を吸着することにより保持するハンド部を含む、
把持装置。
【請求項2】
青果を乗せた容器を含む品物との間に空間を設けて密着する保持部を備え、前記空間の空気が吸引されることにより前記保持部に前記品物を吸着させる吸着部を少なくとも1つと、
前記吸着部が前記品物を吸着したときに、前記吸着部により吸着される前記品物の面の長手方向の縁に対向する位置において、前記品物の長手方向の縁との間に間隔をおいて端部が配置される補助板と、を備えた、前記品物を吸着することにより保持するハンド部を含む、
把持装置。
【請求項3】
前記ハンド部は複数の前記吸着部を含み、
前記補助板は、複数の前記吸着部が並んだ方向と前記品物の厚さ方向とに略平行となるように、複数の前記吸着部の両側に配置される、請求項1又は請求項2記載の把持装置。
【請求項4】
前記補助板は、前記品物の吸着時に、前記品物の短手方向における端よりも外側に配置されない、請求項1又は請求項2記載の把持装置。
【請求項5】
前記ハンド部は複数の前記吸着部を含み、
複数の前記吸着部は、前記品物の長手方向における両端部近傍を吸着するように配置される、請求項1又は請求項2記載の把持装置。
【請求項6】
前記補助板の長手方向と前記品物の長手方向とは略平行であって、
前記補助板の長手方向の幅は、前記品物の長手方向の幅よりも小さい、請求項1又は請求項2記載の把持装置。
【請求項7】
前記青果はみょうがである、請求項2記載の把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品物の箱詰めシステムに関し、特に、トレイに乗せて包装された食品を箱詰めするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
収穫された野菜や果物などの食品は、例えば、ビニール袋に小分けに収容された状態や、食品トレイに乗せられて蓋や包装フィルムなどにより覆われた状態で、箱詰めされて出荷される。
【0003】
例えば食品トレイに乗せて包装された食品などの品物を箱詰めする際には、不良品か否かを選別し、発砲スチロールの梱包箱に品物を隙間なく並べて、効率よく箱詰めすることが要求される。また、箱詰め作業は、食品や包装を傷めることなく丁寧に行うとともに、食品の鮮度を保つために迅速に行うことが要求される。
【0004】
現在、品物の箱詰め作業は、手作業により行われていることも多い。しかしながら、上記のように作業は迅速かつ丁寧に行うことが要求され、手作業により急いで箱詰めを行うことにより品物が不揃い並べられ、箱詰め後に品物を無理に並べなおすと包装フィルムが破れてしまう可能性があった。手作業で、不揃いにならないよう、慎重かつ迅速に品物を梱包箱に詰める作業を長時間続けることは、大変な労力であり、作業を行う人手を確保することも困難である。
【0005】
従来、果実を収容凹部内に供給して、果実の箱詰めを行う果実の箱詰め装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-191507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記文献に開示された技術では、一つの球形果実を収容する凹部を複数設けたパックを用いて、それぞれの凹部に球形果実を供給してパック詰めをしたのち、パックを梱包箱内に積んで箱詰めする装置が提案されている。
【0008】
しかしながら、食品トレイに載せられて包装された品物を梱包箱に並べつつ収納するときには、梱包箱内に隙間なく並べていくことが好ましい。例えば、食品トレイの長辺(若しくは短辺)が梱包箱における所定の方向と平行となるように揃えて収納される。この場合、球形の品物を扱う場合と異なり、ベルトコンベアにて搬送される品物を保持する際のアームの位置や角度などを個々の品物に合わせて調整する必要があった。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みて成されたものであって、トレイに乗せられて包装された品物を迅速に箱詰めする品物の箱詰めシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様による把持装置は、品物との間に空間を設けて密着する保持部を備え、前記空間の空気が吸引されることにより前記保持部に前記品物を吸着させる吸着部を少なくとも1つと、前記吸着部が前記品物を吸着したときに、前記品物の長手方向の縁に対向する位置において、前記品物の長手方向の縁との間に間隔をおいて端部が配置される補助板と、を備えた、前記品物を吸着することにより保持するハンド部を含む。
【0011】
また、本発明の第2態様による把持装置は、青果を乗せた容器を含む品物との間に空間を設けて密着する保持部を備え、前記空間の空気が吸引されることにより前記保持部に前記品物を吸着させる吸着部を少なくとも1つと、前記吸着部が前記品物を吸着したときに、前記品物の長手方向の縁に対向する位置において、前記品物の長手方向の縁との間に間隔をおいて端部が配置される補助板と、を備えた、前記品物を吸着することにより保持するハンド部を含む。
【0012】
また、本発明の第3態様による把持装置は、第1態様又は第2態様による把持装置において、前記ハンド部は複数の前記吸着部を含み、前記補助板は、複数の前記吸着部が並んだ方向と前記品物の厚さ方向とに略平行となるように、複数の前記吸着部の両側に配置されるものである。
【0013】
また、本発明の第4態様による把持装置は、第1態様又は第2態様による把持装置において、前記補助板は、前記品物の吸着時に、前記品物の短手方向における端よりも外側に配置されないものである。
【0014】
また、本発明の第5態様による把持装置は、第1態様又は第2態様による把持装置において、前記ハンド部は複数の前記吸着部を含み、複数の前記吸着部は、前記品物の長手方向における両端部近傍を吸着するように配置されるものである。
【0015】
また、本発明の第6態様による把持装置は、第1態様又は第2態様による把持装置において、前記補助板の長手方向と前記品物の長手方向とは略平行であって、前記補助板の長手方向の幅は、前記品物の長手方向の幅よりも小さいものである。
【0016】
また、本発明の第7態様による把持装置は、第2態様による把持装置において、前記青果はみょうがであるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ベルトコンベアにより搬送される品物を迅速に箱詰めする品物の箱詰めシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの一構成例を概略的に示す図 である。
図2図2は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムにおいて、画像処理装置が品 物の中心座標と傾きとを検出する動作の一例を説明するための図である。
図3図3は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの照明装置の一構成例を概略 的に示す図である。
図4図4は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの照明装置の他の構成例を概 略的に示す図である。
図5図5は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの、第1ロボットおよび第2 ロボットのハンド部に設けられた吸着部の構成例を概略的に示す図である。
図6図6は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの、第1ロボットおよび第2 ロボットのハンド部に設けられた補助板の構成例を概略的に示す図である。
図7図7は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの制御系の一構成例を概略的 に示すブロック図である。
図8図8は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの動作の一例を説明するため の図である。
図9図9は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの動作の一例を説明するため の構成である。
図10図10は、第2実施形態の品物の箱詰めシステムの一構成例を概略的に示 す図である。
図11図11は、第2実施形態の品物の箱詰めシステムの第1ロボットおよび第 2ロボットのハンド部の構成例を概略的に示す図である。
図12図12は、第2実施形態の品物の箱詰めシステムの画像処理装置の動作の 一例を説明するためのフローチャートである。
図13図13は、第2実施形態の品物の箱詰めシステムの第1コントローラの動 作の一例を説明するためのフローチャートである。
図14図14は、第2実施形態の品物の箱詰めシステムの第2コントローラの動 作の一例を説明するためのフローチャートである。
図15図15は、第3実施形態の品物の箱詰めシステムの一構成例を概略的に示 す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らないことに留意すべきである。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0020】
図1は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の品物の箱詰めシステムは、品物を、梱包箱B1-B4に箱詰めする。本実施形態では、品物として、食品トレイ上に食品、例えばみょうがを乗せたものの周囲を包装フィルムにより覆い、該包装フィルムにラベルを付した包装体を想定する。
【0021】
本実施形態の品物の箱詰めシステムは、画像処理装置10と、照明装置20と、搬送速度検出器30と、ベルトコンベア40と、第1ロボットR1と、第2ロボットR2と、を備えている。
【0022】
(ベルトコンベア)
ベルトコンベア40は、品物を搬送方向(x方向)へと搬送する搬送ベルトと、輪形状の搬送ベルトを送出する一対の回転支持体と、を備えている。
ベルトコンベア40の回転支持体は、ベルトコンベア40の上流端と下流端とのそれぞれに配設される。一対の回転支持体は、搬送ベルトに内接した円柱形状(若しくは円筒形状)の支持体である。回転支持体の回転軸は搬送ベルトの幅方向(y方向)と略平行である。上流端と下流端とにおいて回転支持体が回転すると、搬送ベルトに接触した回転支持体の円柱面により搬送ベルトがx方向に送り出される。
【0023】
(搬送速度検出器)
搬送速度検出器30は、単位時間において搬送ベルトがx方向に送り出される距離に基づき搬送速度を検出する検出器であって、例えばエンコーダである。搬送速度検出器30は、検出した値を後述する第1コントローラCTR1へ送信する。
【0024】
(画像処理装置)
画像処理装置10は、ベルトコンベア40の上流端近傍において、ベルトコンベア40の搬送ベルトの上側からベルトコンベア40の搬送ベルト上に供給された品物の画像を撮影する。
【0025】
画像処理装置10は、撮影した画像から品物の食品トレイのエッジを検出し、包装フィルムが剥がれているか否か(食品トレイのエッジよりも所定の幅以上外側に包装フィルムが存在するか否か)を判断することができる。また、包装フィルムにラベルが付されている場合には、画像処理装置10は、撮影した画像からラベルの位置を検出し、予め設定されたラベルに関する情報に基づいて、ラベルの形状に異常があるか否か、ラベルの位置が正しいか否か(ラベルに異常があるか否か)を判断することができる。
【0026】
画像処理装置10は、撮影した画像を用いて所定の画像処理を行い、品物の搬送状態に関する情報を演算することができる。品物の搬送状態に関する情報は、例えば、品物の中心座標と、品物の傾き(角度θ)と、品物を保持する際の搬送ベルトの位置(距離D)と、の少なくとも1つを含む。
【0027】
図2は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムにおいて、画像処理装置が品物の中心座標と傾きとを検出する動作の一例を説明するための図である。
画像処理装置10は、撮影した画像を用いて品物の食品トレイのエッジを検出し、食品トレイの略矩形状の外形の中心座標(x0、y0)を演算する。このとき、画像処理装置10は、予め設定された基準点の座標を(0、0)とし、ベルトコンベア40の搬送方向(x方向)に沿って延びたx軸と、x方向と直交する方向(y方向)に沿って延びたy軸とにより規定される平面(二次元)における座標を演算する。
【0028】
また、画像処理装置10は、検出された品物の食品トレイのエッジに基づいて、食品トレイの長手方向と、ベルトコンベア40の搬送方向(x方向)とが成す角度θを演算することができる。
【0029】
また、画像処理装置10は、演算した品物の中心座標(x0、y0)に基づいて、中心座標(x0、y0)からロボットR1又はロボットR2が品物を保持する位置までの、x方向における距離Dを演算することができる。なお、画像処理装置10は、ロボットR1およびロボットR2が品物保持する位置(x方向における位置)として、予め設定された値を用いることができる。
【0030】
(照明装置)
照明装置20は、画像処理装置10により撮影される品物に対して光を照射する。
図3は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの照明装置の一構成例を概略的に示す図である。
【0031】
照明装置20は、例えば、画像処理装置10の撮影レンズと撮影対象の品物との間に配置され、品物を囲む枠形状である筐体と、筐体の各辺に沿って配置された線光源LS1-LS4と、を備えている。
【0032】
照明装置20の筐体の形状は、撮影対象である品物の形状に応じて決定されてもよい。本実施形態では、画像処理装置10の撮影対象である品物をz方向から見たときの外形が略矩形状であり、照明装置20の筐体も略矩形の枠形状に形成されている。また、照明装置20の筐体は、画像処理装置10からみたときに、撮影対象の品物が照明装置20の筐体の内側に収まるように、品物との間に所定の距離を置いて配置される。なお、照明装置20の筐体は、線光源LS1―LS4から出射された光を所定の方向に反射させる反射手段を備えていてもよい。
【0033】
線光源LS1-LS4のそれぞれは、例えば複数のLED(Light emitting diode)を備え、撮影対象の品物の食品トレイのエッジを照らすよう配置位置と、光を出射する方向が調整されている。例えば、線光源LS1と線光源LS3とは、食品トレイの短手方向のエッジに光を照射し、線光源LS2と線光源LS4とは、食品トレイの長手方向のエッジに光を照射する。なお、食品トレイの短手方向は、画像処理装置10により食品トレイを撮影した画像における、略矩形状の食品トレイの短手方向である。食品トレイの長手方向は、画像処理装置10にて食品トレイを撮影した画像における、略矩形状の食品トレイの長手方向である。
【0034】
例えば、食品トレイをベルトコンベア40上に配置し、食品トレイの上方から、食品トレイおよびその周辺に光を照射すると、ベルトコンベア40の搬送ベルトや食品トレイにかけられた包装フィルムなどにおいて光が反射して、画像処理装置10にて食品トレイのエッジを検出することができない場合があった。そこで、本実施形態では、食品トレイのエッジの高さにおいて、水平方向(x-y平面と平行な方向)から食品トレイのエッジに光を照射し、画像処理装置10により高精度に食品トレイのエッジを画像検出可能としている。
しかしながら、食品トレイのエッジと同じ高さに線光源L1-L4を配置すると、ベルトコンベア40上を搬送される品物と照明装置20とがぶつかってしまう。したがって、照明装置20は、搬送される品物が移動する領域よりも画像処理装置10側にて、食品トレイのエッジに対して斜め上方向から光を照射するように位置が調整されている。
【0035】
上記のように、照明装置20により品物の食品トレイのエッジに光を照射することにより、画像処理装置10にて撮影した画像により、食品トレイのエッジを検出することが容易となる。
【0036】
なお、図3に示す例では、照明装置20は、4つの線光源LS1-LS4を備えていたが、箱詰めシステムが設置される環境や、画像処理装置10の撮影対象となる品物の形状などに応じて、光源の数や形状が設定されてもよい。例えば、照明装置20は、撮影位置まで搬送された撮影対象の品物の長辺(又は短辺)に向かって光を照射する線光源のみを備えていてもよく、撮影対象の品物の食品トレイのエッジが交差する位置に光を照射する点光源を備えていてもよい。また、画像処理装置10により十分鮮明な画像を撮影することができる場合には、照明装置20が省略されても構わない。
【0037】
図4は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの照明装置の他の構成例を概略的に示す図である。この例では、照明装置20は、反射体REFと、反射体REFの内面に向けて光を出射する光源LSと、を備えている。
図3では、例えば、食品トレイの上方から、食品トレイおよびその周辺に光を照射すると、ベルトコンベア40の搬送ベルトや食品トレイにかけられた包装フィルムなどにおいて光が反射して、画像処理装置10にて食品トレイのエッジを検出することができないときに、エッジの画像検出を高精度に行うことを可能とする照明装置20の構成例を示したが、照明装置20の構成はこれに限定されるものではない。
ここでは、品物の上方から品物およびその周囲に光を照射する照明装置20の構成の一例を示す。品物の形状や包装部材の特性、および、搬送ベルトの特性やシステムが設置される環境によっては、品物の上方から光を照射することにより高精度にエッジを画像検出することが可能である。
【0038】
反射体REFは、画像処理装置10の撮影レンズが挿入される開口21を備え、開口21と撮影対象の品物の周囲を囲む円形のエッジとの間を接続する略半球形状の内面とを備えている。反射体REFは、品物側のエッジの位置が、撮影対象の品物が移動する領域よりも画像処理装置10側となるように配置される。
【0039】
光源LSは、例えば、反射体REFの品物側のエッジに並んで配置された複数のLEDを備え、反射体REFの略半球形状の内面に向けて光を出射するように光を出射する方向が調整されている。光源LSから反射体REFの内面に照射された光は、反射体REFにて反射され、撮影対象である品物に対して主として上側から照射される。これにより、画像処理装置10にて撮影対象である品物の鮮明な画像を撮影することが可能となる。
【0040】
なお、図4に示す例では、照明装置20は、反射体REFの円形のエッジに並んで配置された複数のLEDを含む光源LSを備えていたが、箱詰めシステムが設置される環境や、画像処理装置10の撮影対象となる品物の形状などに応じて、光源のLEDの数や反射体REFの形状が設定されてもよい。また、画像処理装置10により十分鮮明な画像を撮影することができる場合には、照明装置20が省略されても構わない。
【0041】
(第1ロボットおよび第2ロボット)
第1ロボットR1と第2ロボットR2とは同じ構成である。第1ロボットR1と第2ロボットR2とのそれぞれは、台座60と、第1アームA1と、第2アームA2と、第1軸AX1と、第2軸AX2と、第3軸AX3と、第4軸AX4と、ハンド調整部50と、を備えている。
【0042】
台座60は、第1アームA1と第2アームA2とを支持している。また、第1ロボットR1および第2ロボットR2は、第1アームA1と第2アームA2とが動作しているときにロボットの位置がずれることがないように台座60に固定されている。
第1軸AX1は、台座60上に配置され、z方向に延びた回転軸を備える。
【0043】
第1アームA1は、第1軸AX1と第2軸AX2との間を接続するロボットのリンクである。第1アームA1は、x-y平面における第1軸AX1の位置と、x-y平面における第2軸AX2の位置とに間において、x-y平面と略平行に延びて配置されている。第1アームAX1の一端は、第1軸AX1上に配置され、第1アームA1の他端上には第2軸AX2が配置されている。第1アームA1の位置は、第1軸AX1の回転角度により制御される。第2軸Axは、z方向に延びた回転軸を備える。
【0044】
第2アームA2は、第2軸AX2と第3軸AX3との間、および、第2軸AX2と第4軸AX4との間を接続するロボットのリンクである。第2アームA2は、x-y平面における第2軸AX2の位置と、x-y平面における第3軸AX3(又は第4軸AX4)の位置とに間において、x-y平面と略平行に延びて配置されている。第2アームA2の一端は第2軸AX2上に配置され、第2アームA2の他端にはz方向に延びたシャフトSFTが保持されている。第2アームA2の位置は、第1軸AX1および第2軸AX2の回転角度により制御される。
【0045】
第3軸AX3は、例えばx-y平面と略平行な方向に延びた円柱状の軸を備え、第2アームA2の他端に保持されているシャフトSFTに接触することにより、シャフトSFTをz方向に移動させる。
第4軸AX4は、例えばz方向に延びた円柱状の軸を備え、第2アームA2の他端に保持されているシャフトSFTに接触することによりシャフトSFTをz方向に延びた回転軸において回転させる。
【0046】
ハンド調整部50は、第3軸AX3によりz方向に移動可能であり、第4軸AX4によりz方向に延びた回転軸において回転可能であるシャフトSFTと、シャフトSFTの一端に固定されたハンド部HNDと、を備えている。
アームA1、A2およびハンド調整部50は、第1乃至第4軸AX1-AX4およびシャフトSFTの位置および回転角によりハンド部HNDの3次元の位置座標および搬送方向に対する傾きを制御し、ハンド部HNDの吸着部500を品物の所定の位置に押圧させて、品物を吸着することにより品物を保持させることができる。本実施形態では、ハンド部HNDは、2つの吸着部500を備えている。
【0047】
図5は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの、第1ロボットおよび第2ロボットのハンド部に設けられた吸着部の構成例を概略的に示す図である。
ここでは、吸着部500について(A)-(D)の4つの構成例を概略的に示している。なお、吸着部500の構成は、品物の吸着部分の材料および形状や、品物の重量、吸引する圧力などを考慮して、適切な構成を選択することが可能であり、図5に示す構成に限定されるものではない。
【0048】
図5(A)に示す吸着部500は、吸着管51と、SUS管52と、保持部53と、を備えている。
保持部53は保持対象の品物に押圧される部分であり、例えばゴムにより形成されている。保持部53は、吸着管51が挿入される開口が設けられたSUS管52の一端により塞がれる開口と、品物の吸着部分に押圧される開口と、を備えた略筒形状である。保持部53が品物に押圧された状態のときに、吸着管51と保持部53と品物とに囲まれた空間を密閉空間とする必要があるため、保持部53は品物の吸着部分に密着する材料により形成される。
【0049】
吸着管51は、保持部53が品物に押圧されているときに、保持部53と品物とに囲まれた空間と接続される。吸着管51に接続された吸引機(図示せず)により、保持部53と品物とに囲まれた空間から空気を吸引することにより、保持部53に品物を吸着させることができる。
【0050】
SUS管52は、吸着管51を内部に収容し、吸着管51の一端が挿入される開口を備えた端部により保持部53の一方の開口に取り付けられている。SUS管52は保持部53が品物に押圧されたときの品物への衝撃を抑制する。
【0051】
図5(B)に示す吸着部500は、緩衝体55と、吸い込み防止ガイド54と、を更に備えている。
例えば、品物の吸着部分が薄い包装フィルムであるときに、吸着管51からの吸引力が強いと、包装フィルムに吸着痕がついたり、包装フィルムが延びたりして傷んでしまうおそれがある。そこで、図5(B)に示す例では、緩衝体55と吸い込み防止ガイド54とを取り付けて、包装フィルムが吸着部500内に引き込まれることを防止している。
【0052】
緩衝体55は、保持部53の内部に配置され、吸着管51に連続する開口が設けられている。緩衝体55は、吸着管51による吸引を阻害することがないように、例えば、スポンジや布などの多孔質材料により形成されている。
【0053】
吸い込み防止ガイド54は、SUS管52の端部に設けられ、品物の一部が保持部53からSUS管52側へ引き込まれないように、保持部53の開口を塞いでいる。吸い込み防止ガイド54は、例えば、プラスチックなどの硬質材料により形成されている。
【0054】
図5(C)に示す吸着部500は、SUS管52に代えてジャバラ形状の管56を備えるとともに、吸着管51とジャバラ形状の管56との間をゴムで覆い、品物に押圧されたときに、品物に接触する部分が全面ゴムとなる保持部53と、を備えている。
【0055】
この吸着部500によれば、ジャバラ形状の管56により、保持部53が品物に押圧されたときの品物への衝撃を抑制することができる。また、保持部53の内側が全面ゴムであるため、保持部53が当接することにより品物が傷む現象を回避することができる。
【0056】
図5(D)に示す吸着部500は、ばね式の緩衝体58と図5(C)に示す保持部53とを備えている。
緩衝体58は、例えばコイルバネであって、内部に吸着管51が収容されている。緩衝体58により、保持部53が品物に押圧されたときの品物への衝撃を抑制することができる。
【0057】
図6は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの、第1ロボットおよび第2ロボットのハンド部に設けられた補助板の構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の品物の箱詰めシステムでは、ハンド部HNDは、2つの補助板SPを備えている。補助板SPは、2つの吸着部500が並んだ方向(保持した品物の長手方向)とz方向とに略平行となるように、2つの吸着部の両側に配置されている。補助板SPの長手方向の幅は、品物の長手方向の幅よりも小さい。補助板SPの短手方向(z方向)の幅は、ハンド部HNDが品物を吸着する際に、補助板SPの長手方向の端が品物の食品パックの長手方向の縁との間に間隔をおいて対向し、長手方向の縁とぶつからない大きさである。また、補助板SPは、ハンド部HNDが品物を吸着したときに、品物の食品パックの短手方向の幅よりも外側に配置されないように配置位置が調整されている。
【0058】
すなわち、ハンド部HNDが品物を吸着した状態で、x-y平面に対して垂直な方向にハンド部HNDおよび品物を見たときに、ハンド部HNDの外形は品物の外形の内側に収まるよう形成されている。補助板SPが品物の外形よりも外側に配置されないことにより、品物を梱包箱B1-B4に箱詰めする際に、補助板SPが箱の一部や他の品物にぶつかることを回避することができ、品物を梱包箱B1-B4内に隙間なく並べることが可能となる。
【0059】
本実施形態では、ハンド部HNDの吸着部500は、品物の長手方向における両端部近傍を吸着するように配置されている。このことにより、ハンド部HNDにより品物を吸着したときに、品物が短手方向を軸として回転することが抑制される。また、ハンド部HNDが補助板SPを備えることにより、品物が長手方向を軸として回転することが抑制される。したがって、ハンド部HNDにより品物を吸着した状態で、アームA1、A2が回転することにより品物を移動させたときにも、品物が不安定になることがなく、スムーズに品物を箱詰めすることが可能となる。
【0060】
なお、本実施形態では、ハンド部HNDは、品物の長手方向に並んだ2つの吸着部500を備え、品物の長手方向の両端部近傍であり短手方向の略中央部分を吸着することによりハンド部HNDにより保持するように構成されていたが、これに限定されるものではない。ハンド部HNDは、少なくとも1つの吸着部500を備えていればよく、3つ以上の吸着部500を備えていてもよい。また、吸着部500が品物を吸着する位置は、品物の形状や吸着部分の材料などに応じて設定され得る。吸着部500で吸着することにより十分安定して品物を保持することが可能な場合には、補助板SPを省略しても構わない。
【0061】
(制御ブロック)
図7は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの制御系の一構成例を概略的に示すブロック図である。
本実施形態の品物の箱詰めシステムは、第1ロボットR1の動作を制御する第1コントローラCTR1と、第2ロボットR2の動作を制御する第2コントローラCTR2と、画像処理を行うビジョンシステムVSと、ネットワークハブHABと、を備えている。
【0062】
第1コントローラCTR1は、画像処理装置10および搬送速度検出器30から得た情報を用いて、第1ロボットR1および第2ロボットR2を制御するための種々の演算を行う、マスターコントローラである。第1コントローラCTR1は、例えば、CPU(central processing unit)やMPU(micro processing unit)などのプロセッサを少なくとも1つと、プロセッサにより実行されるプログラムが記録されたメモリと、を備えている。
【0063】
第2コントローラCTR2は、第1コントローラCTR1から得た情報に従って、第2ロボットR2を制御するスレーブコントローラである。第2コントローラCTR2は、例えば、CPUやMPUなどのプロセッサを少なくとも1つと、プロセッサにより実行されるプログラムが記録されたメモリと、を備えている。
【0064】
ビジョンシステムVSは、カメラにて撮影された画像のデータを用いて、品物のエッジやラベルの形状を検出するとともに、品物の中心座標と傾きとベルトコンベア40上の位置とを演算する。ビジョンシステムVSは、例えば、CPU(central processing unit)やMPU(micro processing unit)などのプロセッサを少なくとも1つと、プロセッサにより実行されるプログラムが記録されたメモリと、を備えている。
【0065】
ネットワークハブHABは、例えばイーサネット(登録商標)ケーブルなどのネットワークケーブルを介して、第1コントローラCTR1と、第2コントローラCTR2と、ビジョンシステムVSとに接続されている。第1コントローラCTR1、第2コントローラCTR2、及び、ビジョンシステムVSは、ネットワークハブHABを介して通信を行うことが可能である。
【0066】
なお、本実施形態の品物の箱詰めシステムの制御ブロックは、上記に限定されるものではない。例えば、第1コントローラCTR1、第2コントローラCTR2、およびビジョンシステムVSは、ネットワークハブHABを介することなく通信可能に接続されていてもよい。第1コントローラCTR1、第2コントローラCTR2、およびビジョンシステムVSが、無線による通信を行うことが可能な場合には、ネットワークケーブルは省略可能である。
【0067】
また、第1コントローラCTR1と第2コントローラCTR2とは、マスターとスレーブとの関係でなく、同等の制御を行う構成であっても構わない。例えば、品物の箱詰めシステムはシステム全体を協調制御するシステムコントローラを備え、システムコントローラにより第1コントローラCTR1、第2コントローラCTR2、および、ビジョンシステムVSの動作を制御することが可能である。
【0068】
(品物の箱詰め動作)
次に、上記第1実施形態の品物の箱詰めシステムの動作の一例について説明する。ここでは、第1コントローラCTRが第1ロボットR1を制御して品物を箱詰めする動作の一例について説明する。
ベルトコンベア40の上流端に品物が供給されると、ベルトコンベア40の動作によりx方向に品物が搬送される。
【0069】
図8は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの動作の一例を説明するための図である。
画像処理装置10のビジョンシステムVSは、ベルトコンベア40の所定の位置まで品物が搬送されたときにカメラで撮影された画像のデータを取得し、品物の包装フィルムやラベルに異常があるか否か判断するとともに、取得した画像のデータから品物の中心座標(x0、y0)と、傾きθと、を演算する。画像処理装置10は、包装フィルムやラベルに異常がないと判断した品物について、算出した値のデータ(x0,y0,θ)を第1コントローラCTRに供給する。
【0070】
第1コントローラCTR1は、画像処理装置10から品物の中心座標(x0、y0)と傾きθとのデータを受信するとともに、搬送速度検出器30にて検出されたベルトコンベア40の搬送速度を取得し、対象商品が第1ロボットR1の動作範囲D1に到達したか否か判断する。第1コントローラCTR1は、例えば対象商品が第1ロボットR1の動作範囲D1に到達したタイミングで、ハンド部HNDが座標(x0+D,y0,z0)にてx方向に対して傾きθ分回転した状態となるように、第1アームA1、第2アームA2、およびシャフトSFTの位置を制御して移動させて、品物を真空吸着によって保持する。
【0071】
なお、第1ロボットR1の動作範囲D1は、アーム形態が右腕か左腕かに応じて異なる範囲に設定され得る。なお、本実施形態では、第1ロボットR1はベルトコンベア40側を正面として設置され、アーム形態が右腕のときには、第1ロボットR1はアームA1およびアームA2を人の右腕に相当する可動範囲にて動作させ、アーム形態が左腕のときには、第1ロボットR1はアームA1およびアームA2を人の左腕に相当する可動範囲にて動作させる。また、z方向の座標z0は、吸着部500にて品物を吸着する位置のz方向の座標値であり、予め設定された値を用いることができる。
【0072】
このとき、第1コントローラCTR1は、例えば、2つの吸着部500の吸着面の中心の中間点の座標を座標(x0+D,y0,z0)とし、2つの吸着部500の吸着面の中心を結ぶラインとx方向との成す角度が傾きθと等しくなるように、第1ロボットR1の動作を制御する。
【0073】
上記座標(x0+D,y0,z0)の「D」は、例えば第1コントローラCTR1により演算することが可能であり、初めに画像処理した品物の中心のx座標x0と、待機している第1ロボットR1のハンド部HNDの2つの吸着部500の吸着面の中心の中間点のx座標との差である。ベルトコンベア40の搬送ベルトは、第1ロボットR1が動作している間であっても常に動いているため、第1ロボットR1の吸着動作中もDは変化(増加)する。この為、第1ロボットR1は、常にDの増加に追従させながら品物を吸着部500で掴み上げる。吸着後は、速やかにハンド部HNDが-θ回転し、品物の長手方向がx方向と略平行となるように食品パックの傾きが解消される。
なお、第1コントローラCTR1は、例えば、ベルトコンベア40の搬送速度と、品物の中心座標(x0,y0)のデータとに基づいて、現時点から品物の中心座標が座標(x0+D,y0)となるまでの時間を演算することが可能である。
【0074】
続いて、第1ロボットR1は、保持した品物を梱包箱B1、B2の所定の位置へ箱詰めする。
図9は、第1実施形態の品物の箱詰めシステムの動作の一例を説明するための構成である。第1ロボットR1が保持した品物を運んでいく場所の座標は、例えば下記のように演算される。
【0075】
x=xA+{l-(1/2)L}
y=yA+{m-(1/2)W}
z=zA+(n+1)H
ここで、l=1,2、m=1,2,3,4,5、n=1,2,3,4であって、(xA、yA、zA)は、梱包箱B1、B2の内側の底面での左下(x座標とy座標とz座標との値が最小となる点)の座標である。すなわち、lはx方向に並べる品物の列数であり、mはy方向に並べる品物の行数であり、nはz方向に積み上げる品物の段数である。
【0076】
また、Lは品物の長手方向の幅であり、Wは品物の短手方向の幅であり、Hは品物の厚さ方向(z方向)の幅である。例えば、食品トレイに野菜などの食品を乗せてパックした品物は、その外形に個体差があるが、長手方向の幅L、短手方向の幅W、及び厚さ方向の幅Hは、梱包箱B1、B2の容量に応じて所定の範囲となるように、予め設定された値とすることが可能である。
【0077】
第1ロボットR1は、例えば図8に示すように、梱包箱B1、B2のy座標およびz座標が小さく、x座標が大きい位置から順に、順次、品物を移動させた後に吸着部500による吸着を解除し、品物を箱詰めする。第1ロボットR1は、梱包箱B1と梱包箱B2との一方に品物を箱詰めし終わると、他方への箱詰めを開始する。第1ロボットR1が他方の箱詰めをしている間に、一方の梱包箱は空箱と交換される。
【0078】
例えば図1に示す例では、第1ロボットR1の正面にベルトコンベア40が右から左に向かって品物を搬送し、第1ロボットR1の右側に梱包箱B1が配置され、左側に梱包箱B2が配置されている。このとき、梱包箱B1に箱詰めする際に第1ロボットR1はアームA1およびアームA2により人の左腕に相当する動作を行い(アーム形態が左腕であり)、梱包箱B2に箱詰めする際に第1ロボットR1はアームA1およびアームA2により人の右腕に相当する動作を行う(アーム形態が右腕である)こととなる。
【0079】
なお、第1ロボットR1と第2ロボットR2とが箱詰めする作業分担は、例えば、ビジョンシステムVSにて画像処理したデータへ交互にタグ付けされ、第1コントローラCTR1がタグにより仕分けを行う。
【0080】
上記のように、本実施形態の品物の箱詰めシステムによれば、ベルトコンベア40により搬送される品物を位置や傾きに応じて順次保持し、梱包箱へ箱詰めすることが可能である。
すなわち、本実施形態によれば、ベルトコンベアにより搬送される品物を迅速に箱詰めする品物の箱詰めシステムを提供することができる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の品物の箱詰めシステムについて図面を参照して詳細に説明する。
図10は、第2実施形態の品物の箱詰めシステムの一構成例を概略的に示す図である。
図11は、第2実施形態の品物の箱詰めシステムの第1ロボットおよび第2ロボットのハンド部の構成例を概略的に示す図である。
【0082】
本実施形態の品物の箱詰めシステムは、第1ロボットR1および第2ロボットR2のハンド調整部50が第1ハンド部HND1と第2ハンド部HND2とを備えている点が上述の第1実施形態と異なっている。
【0083】
ハンド調整部50は、シャフトSFTと、水平バーBARと、第1ハンド部HND1と、第2ハンド部HND2と、を備えている。
水平バーBARは、シャフトSFTが延びる方向(z方向)と直交する方向に延びるように、シャフトSFTの端部に固定されている。水平バーBARは、長手方向における中央部においてシャフトSFTに固定されている。
【0084】
水平バーBARの両端には、第1ハンド部HND1と第2ハンド部HND2とが固定されている。水平バーBARの長手方向が延びる方向は、第1ハンド部HND1と第2ハンド部HND2とのそれぞれの吸着部500が並ぶ方向と略平行である。すなわち、シャフトSFTをz方向の回転軸において回転させることにより、吸着部500が並ぶ方向とx方向とが成す角度を調整することができる。
【0085】
また、第1ハンド部HND1と第2ハンド部HND2とは、吸着部における品物の当接面のz方向における位置が異なっている。例えば図11に示す例では、第1ハンド部HND1の吸着位置が第2ハンド部HND2の吸着位置よりもΔdだけ上側(搬送路から離れる方向)にずらして配置されている。本実施形態では、第1ハンド部HND1にて品物を保持し、第1ハンド部HND1により品物を保持した状態のまま、第2ハンド部HND2により別の品物を保持する。例えば、第1ハンド部HND1と第2ハンド部HND2との吸着部における品物の当接面がz方向における同じ位置に配置されると、第2ハンド部HND2により品物を保持しようとしたときに、既に第1ハンド部HND1で保持されている品物が搬送ベルトと接触して、第1ハンド部HND1による品物の保持が解除されてしまうおそれがある。第1ハンド部HND1の吸着位置が第2ハンド部HND2の吸着位置よりもΔdだけ上側(搬送路から離れる方向)にずらして配置することにより、例えば、第1ハンド部HND1により品物を保持した状態で、続けて第2ハンド部HND2により他の品物を保持するときに、第1ハンド部HND1により保持した品物が搬送ベルトと接触することを回避することができる。
本実施形態の品物の箱詰めシステムは、上記ハンド調整部50の構成以外は上述の第1実施形態と同様である。
【0086】
(品物の箱詰め動作)
図12は、第2実施形態の品物の箱詰めシステムの画像処理装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。なお、図12の説明において、Tは、品物を第1ロボットR1と第2ロボットR2とのいずれかにより保持されるか振り分けるためのタグであり、例えば、0又は1のタグTが付された品物は第1ロボットR1により保持され、2又は3のタグTが付された品物は第2ロボットR2により保持される。
ベルトコンベア40の上流端から搬送ベルト上に順次品物が供給されると、画像処理装置10のカメラにより品物の画像が撮影される。
ビジョンシステムVSは最初にTの値をゼロにして(ステップSA1)、カメラにより撮影された画像のデータを受信する(ステップSA2)。
【0087】
続いて、ビジョンシステムVSは、受信した画像のデータから、品物の食品トレイのエッジと、ラベルの形状とを検出する画像処理を行う(ステップSA3)。
ビジョンシステムVSは、検出した食品トレイのエッジと画像とを比較して、包装フィルムが剥がれているか否か判断する(ステップSA4)。包装フィルムが剥がれていると判断したときには、ビジョンシステムVSは、現在処理中の品物を不良品として箱詰めの対象とせず、次の品物の処理を開始する(ステップSA2へ戻る)。
【0088】
包装フィルムが剥がれていないと判断したときには、ビジョンシステムVSは、検出したラベルの形状に基づいて、ラベルに異常があるか否か判断する(ステップSA5)。例えば、ビジョンシステムVSは、検出したラベルの形状が予め設定された形状か否か、食品トレイのエッジの位置に対してラベルが貼られた位置が、予め設定された位置であるか否かを判断する。ビジョンシステムVSは、ラベルの形状や位置が予め設定された形状や位置ではないときに、ラベルに異常があるものと判断する。ラベルに異常があると判断したときに、ビジョンシステムVSは、は現在処理中の品物を不良品として箱詰めの対象とせず、次の品物の処理を開始する(ステップSA2へ戻る)。
【0089】
ラベルに異常がないと判断したとき、ビジョンシステムVSは、品物の中心座標(x0、y0)と傾きθと位置D0とを演算してデータ化する(ステップSA6)。
続いて、ビジョンシステムVSは、Tの値がゼロか否か判断する(ステップSA7)。Tの値がゼロでないときには、ビジョンシステムVSは、Tの値が1か否か判断する(ステップSA8)。Tの値がゼロでも1でもないときには、ビジョンシステムVSは、Tの値が2か否か判断する(ステップSA9)。Tの値がゼロ、1、2のいずれでもないときには、ビジョンシステムVSは、Tの値が3であるか否か判断する(ステップSA10)。
【0090】
ステップSA7にてTの値がゼロであると判断したとき、ビジョンシステムVSは、品物の中心座標(x0、y0)と傾きθと位置D0とのデータにゼロ(0)番のタグを付して(ステップSA11)、Tを1とする(ステップSA12)。
【0091】
ステップSA8にてTの値が1であると判断したときに、ビジョンシステムVSは、品物の中心座標(x0、y0)と傾きθと位置D0とのデータに1番のタグを付して(ステップSA13)、Tを2とする(ステップSA14)。
【0092】
ステップSA9にてTの値が2であると判断したときに、ビジョンシステムVSは、品物の中心座標(x0、y0)と傾きθと位置D0とのデータに2番のタグを付して(ステップSA15)、Tを3とする(ステップSA16)。
【0093】
ステップSA10にてTの値が3であると判断したときに、ビジョンシステムVSは、品物の中心座標(x0、y0)と傾きθと位置D0とのデータに3番のタグを付して(ステップSA17)、Tをゼロとする(ステップSA18)。
続いてビジョンシステムVSは、上記のようにタグ付けしたデータを第1コントローラCTR1へ転送する(ステップSA19)。
【0094】
ビジョンシステムVSは、例えば第1コントローラCTR1から供給される運転継続指令によりオン(ON)となる運転継続フラグがオンであるか否か判断し(ステップSA20)、運転継続フラグがオンである間は上記ステップSA2乃至ステップSA19を繰り返して実行する。
【0095】
図13は、第2実施形態の品物の箱詰めシステムの第1コントローラの動作の一例を説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明において、NとN´とは、第1ロボットR1および第2ロボットR2により箱詰めされた品物の数をカウントするために用いられる値である。ここでは、一例として、第1ロボットR1および第2ロボットR2が1つの梱包箱に40個の品物を箱詰めす動作について説明する。
第1コントローラCTR1は、処理を開始すると、まずNをゼロとし(ステップSB1)、第1ロボットR1のアーム形態を左腕として設定する(ステップSB2)。
【0096】
第1コントローラCTR1は、ビジョンシステムVSからのデータを待機し、ビジョンシステムVSから品物の中心座標(x0、y0)と傾きθと位置D0とのデータが入力されると、データに付されたタグの番号を確認する(ステップSB4)。
【0097】
データに付されたタグの番号が2番又は3番であるとき、第1コントローラCTR1は、受信した品物の中心座標(x0、y0)と傾きθと位置D0とのデータを第2コントローラCTR2へ転送する(ステップSB5)。
【0098】
データに付されたタグの番号が0番又は1番であるとき、第1コントローラCTR1は、第1ロボットR1の第1ハンド部HND1が品物を吸着しているか否か判断する(ステップSB6)。
【0099】
第1ハンド部HND1が品物を吸着していないときには、第1コントローラCTR1は、第1ハンド部HND1の位置が品物の中心座標(x0、y0、z0)と傾きθとに合わせて配置されるように第1ロボットR1を動作させる(ステップSB9)。
【0100】
続いて、第1コントローラCTR1は、第1ハンド部HND1に品物を吸着させた後、第1ハンド部HND1を上昇させ(ステップSB10)、Nに1を加算する(ステップSB11)。
【0101】
ステップSB6にて第1ハンド部HND1が品物を吸着していると判断したとき、第1コントローラCTR1は、第2ハンド部HND2の位置が品物の中心座標(x0、y0、z0)と傾きθとに合わせて配置されるように第1ロボットR1を動作させる(ステップSB7)。
【0102】
続いて、第1コントローラCTR1は、第2ハンド部HND2に品物を吸着させた後、第2ハンド部HND2を上昇させ(ステップSB8)、Nに1を加算する(ステップSB11)。
【0103】
ステップSB11の後、第1コントローラCTR1は、第1ロボットR1の第1ハンド部HND1と第2ハンド部HND2との両方が品物を吸着した状態であるか否か判断する(ステップSB11)。なお、第1コントローラCTR1は、例えば、第1ハンド部HND1および第2ハンド部HND2の吸着部500による吸引圧力により、品物が吸着されているか否かを判断することが可能である。
【0104】
第1ハンド部HND1と第2ハンド部HND2とのいずれかに品物が吸着されていないとき、第1コントローラCTR1は、ステップSB3に戻って新たな品物に対する処理を行う。
【0105】
第1ハンド部HND1と第2ハンド部HND2との両方に品物が吸着されているとき、第1コントローラCTR1は、第1ロボットR1のアーム形態が左腕であるか右腕であるか判断する(ステップSB13)。
【0106】
アーム形態が左腕であるときに、第1コントローラCTR1は、第1ハンド部HND1および第2ハンド部HND2に吸着された品物を、梱包箱B1へ箱詰めさせる(ステップSB15)。
アーム形態が右腕であるときに、第1コントローラCTR1は、第1ハンド部HND1および第2ハンド部HND2に吸着された品物を、梱包箱B2へ箱詰めさせる(ステップSB14)。
【0107】
続いて、第1コントローラCTR1はNが40か否かを判断し(ステップSB16)、Nが40であると判断したときに、第1ロボットR1のアーム形態を変更する(ステップSB17)。なお、ここでは、梱包箱B1、B2には40個の品物が箱詰めされる例について説明し、ステップSB16では、第1コントローラCTR1は梱包箱B1、B2のいずれかの箱詰めが完了したか否かを判断している。
【0108】
第1コントローラCTR1は、Nが40でないと判断したときには更にNが80であるか否かを判断する(ステップSB18)。なお、Nが80であるときには、第1ロボットR1のアーム形態が左腕と右腕とで1回ずつの動作を完了したものであり、梱包箱B1と梱包箱B2との両方の箱詰めが完了した状態である。
【0109】
なお、ここでは、梱包箱B1と梱包箱B2とのそれぞれに40個の品物を箱詰めする際の動作について説明したが、梱包箱B1と梱包箱B2とに箱詰めされる品物の数は上記に限定されるものではない。たとえば、梱包箱B1と梱包箱B2とに箱詰めされる品物の数が互いに異なっていても構わない。第1コントローラCTR1は、ステップSB17で、Nが梱包箱B1に箱詰めされる品物の数と等しいか否か判断し、ステップSB18で、Nが梱包箱B1に箱詰めされる品物の数と梱包箱B2とに箱詰めされる品物の数との和と等しいか否か判断すればよい。
【0110】
第1コントローラCTR1は、Nが80ではないと判断したときには、ステップSB3に戻って新たな品物に対する処理を行い、Nが80であると判断したときには、箱詰めが1サイクル分完了したものとして処理を終了する。なお、第1コントローラCTR1は、上記箱詰めを複数サイクル分繰り返して行うことも可能である。
【0111】
上記のように、本実施形態では、第1コントローラCTR1は、第1ロボットR1の第1ハンド部HND1と第2ハンド部HND2とを、ベルトコンベア40により連続して搬送される品物を順次吸着するように動作させることができる。したがって、第1ハンド部HND1により品物を吸着した後、第2ハンド部HND2を次の品物の位置まで移動させるときのアームの移動距離を短くすることが可能であり、ベルトコンベア40の搬送速度を高速にすることができる。
【0112】
図14は、第2実施形態の品物の箱詰めシステムの第2コントローラの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
第2コントローラCTR2は、処理を開始すると、まずN´をゼロとし(ステップSC1)、第2ロボットR2のアーム形態を左腕として設定する(ステップSC2)。
【0113】
第2コントローラCTR2は、第1コントローラCTR1からのデータを待機し、第1コントローラCTR1から品物の中心座標(x0、y0)と傾きθと搬送速度とのデータが入力されると(ステップSC3)、第2ロボットR2の第1ハンド部HND1が品物を吸着しているか否か判断する(ステップSC4)。
【0114】
第1ハンド部HND1が品物を吸着していないときには、第2コントローラCTR2は、第1ハンド部HND1の位置が品物の中心座標(x0、y0、z0)と傾きθとに合わせて配置されるように第2ロボットR2を動作させる(ステップSC7)。
【0115】
続いて、第2コントローラCTR2は、第1ハンド部HND1に品物を吸着させた後、第1ハンド部HND1を上昇させ(ステップSC8)、N´に1を加算する(ステップSC9)。
【0116】
ステップSC4にて第1ハンド部HND1が品物を吸着していると判断したとき、第2コントローラCTR2は、第2ハンド部HND2の位置が品物の中心座標(x0、y0、z0)と傾きθとに合わせて配置されるように第2ロボットR2を動作させる(ステップSC5)。
【0117】
続いて、第2コントローラCTR2は、第2ハンド部HND2に品物を吸着させた後、第2ハンド部HND2を上昇させ(ステップSC6)、N´に1を加算する(ステップSC9)。
【0118】
ステップSC9の後、第2コントローラCTR2は、第2ロボットR2の第1ハンド部HND1と第2ハンド部HND2との両方が品物を吸着した状態であるか否か判断する(ステップSC10)。なお、第2コントローラCTR2は、例えば、第1ハンド部HND1および第2ハンド部HND2の吸着部500による吸引圧力により、品物が吸着されているか否かを判断することが可能である。
【0119】
第1ハンド部HND1と第2ハンド部HND2とのいずれかに品物が吸着されていないとき、第2コントローラCTR2は、ステップSB3に戻って新たな品物に対する処理を行う。
【0120】
第1ハンド部HND1と第2ハンド部HND2との両方に品物が吸着されているとき、第2コントローラCTR2は、第2ロボットR2のアーム形態が左腕であるか右腕であるか判断する(ステップSC11)。
【0121】
アーム形態が左腕であるときに、第2コントローラCTR2は、第1ハンド部HND1および第2ハンド部HND2に吸着された品物を、梱包箱B3へ箱詰めさせる(ステップSC13)。
アーム形態が右腕であるときに、第2コントローラCTR2は、第1ハンド部HND1および第2ハンド部HND2に吸着された品物を、梱包箱B4へ箱詰めさせる(ステップSC12)。
【0122】
続いて、第2コントローラCTR2はNが40か否かを判断し(ステップSC14)、Nが40であると判断したときに、第2ロボットR2のアーム形態を変更する(ステップSC15)。なお、ここでは、梱包箱B3、B4には40個の品物が箱詰めされる例について説明し、ステップSC14では、第2コントローラCTR2は梱包箱B3、B4のいずれかの箱詰めが完了したか否かを判断している。
【0123】
第2コントローラCTR2は、Nが40でないと判断したときには更にNが80であるか否かを判断する(ステップSC16)。なお、Nが80であるときには、第2ロボットR2のアーム形態が左腕と右腕とで1回ずつの動作を完了したものであり、梱包箱B3と梱包箱B4との両方の箱詰めが完了した状態である。第2コントローラCTR2は、Nが80ではないと判断したときには、ステップSB3に戻って新たな品物に対する処理を行い、Nが80であると判断したときには、箱詰めが1サイクル分完了したものとして処理を終了する。なお、第2コントローラCTR2は、上記箱詰めを複数サイクル分繰り返して行うことも可能である。
【0124】
第1コントローラCTR1と同様に、第2コントローラCTR2は、第2ロボットR2の第1ハンド部HND1と第2ハンド部HND2とを、ベルトコンベア40により連続して搬送される品物を順次吸着するように動作させることができる。したがって、第1ハンド部HND1により品物を吸着した後、第2ハンド部HND2を次の品物の位置まで移動させるときのアームの移動距離を短くすることが可能であり、ベルトコンベア40の搬送速度を高速にすることができる。
【0125】
上記のように、本実施形態の品物の箱詰めシステムによれば、ベルトコンベア40により搬送される品物を位置や傾きに応じて順次保持し、梱包箱へ箱詰めすることが可能である。
すなわち、本実施形態によれば、ベルトコンベアにより搬送される品物を迅速に箱詰めする品物の箱詰めシステムを提供することができる。
【0126】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の品物の箱詰めシステムの一構成例について図面を参照して詳細に説明する。
図15は、第3実施形態の品物の箱詰めシステムの一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の品物の箱詰めシステムは、梱包箱B1-B4を搬送するベルトコンベア40A、40B、40C、40Dを更に備えている。
【0127】
ベルトコンベア40A-40Dの搬送方向は、品物を搬送するベルトコンベア40の搬送方向(x方向)と略平行である。ベルトコンベア40は、y方向において、ベルトコンベア40Aとベルトコンベア40Bとの間、および、ベルトコンベア40Cとベルトコンベア40Dとの間に配置されている。
【0128】
第1ロボットR1と第2ロボットR2とは、ベルトコンベア40上において、ベルトコンベア40の上流側(又は下流側)を正面として配置されている。したがって、本実施形態では、第1ロボットR1と第2ロボットR2とが品物を吸着する際の、自身と品物との位置関係が上述の第1実施形態および第2実施形態と異なることとなる。第1コントローラCTR1と第2コントローラCTR2とは、第1ロボットR1と第2ロボットR2がベルトコンベア40の上流側から自身に向かって搬送されてくる品物を、ハンド部により吸着させるようにアームの動作を制御する。
【0129】
また、本実施形態では、品物がベルトコンベア40上に供給されたときの長手方向の向きと、梱包箱B1-B4に箱詰めされたときの品物の長手方向の向きとが略90度異なっている。したがって、第1コントローラCTR1および第2コントローラCTR2は、上述の第1実施形態又は第2実施形態と同様に第1ロボットR1および第2ロボットR2に品物を吸着させた後に、ハンド調整部50のシャフトSFTを略90度回転させて梱包箱B1-B4の所定の位置に品物を箱詰めさせる。
【0130】
本実施形態において、例えば、第1ロボットR1は最初に梱包箱B1に品物を箱詰めし、第2ロボットR2は最初に梱包箱B3に品物を箱詰めする。その後、梱包箱B1と梱包箱B3との両方の箱詰めが完了すると、ベルトコンベア40Aとベルトコンベア40Cとにより梱包箱B1と梱包箱B3とが下流方向に搬送され、同時に、上流から空の梱包箱B1、B3が補給される。この間に、第1ロボットR1と第2ロボットR2とは、梱包箱B2と梱包箱B4とに品物を箱詰めする作業を進めることができる。その後、梱包箱B2と梱包箱B4との両方の箱詰めが完了すると、ベルトコンベア40Bとベルトコンベア40Dとにより梱包箱B2と梱包箱B4とが下流方向に搬送され、同時に、上流から空の梱包箱B2、B4が補給される。上記動作を繰り返すことにより、箱詰めが完了した梱包箱を空の梱包箱に交換する作業をスムーズに行うことが可能であり、ベルトコンベアにより搬送される品物を迅速に箱詰めすることが可能となる。
【0131】
上記のように、本実施形態の品物の箱詰めシステムによれば、ベルトコンベア40により搬送される品物を位置や傾きに応じて順次保持し、梱包箱へ箱詰めすることが可能である。
すなわち、本実施形態によれば、ベルトコンベアにより搬送される品物を迅速に箱詰めする品物の箱詰めシステムを提供することができる。
【0132】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0134】
[付記1]
カメラにより撮影された品物の画像に基づいて前記品物のエッジを検出し、前記品物の搬送状態に関する情報を前記品物の中心座標と、搬送方向に対する傾きと、前記品物の位置とを演算する画像処理装置と、
前記品物を吸着することにより保持するハンド部と、前記ハンド部の3次元の位置座標および前記搬送方向に対する傾きを調整するアームと、を備えた第1ロボットと、
前記品物の中心座標と、前記搬送方向に対する傾きと、前記品物の位置と、を前記画像処理装置から取得するとともに、前記品物が搬送される搬送速度を取得し、前記品物の位置座標を演算し、前記品物が前記第1ロボットの動作範囲に到達したときに、前記第1ロボットの前記アームの動作を制御して、前記品物の中心座標および傾きに合わせて前記ハンド部を移動させて前記品物を吸着させる第1コントローラと、を備えた品物の箱詰めシステム。
[付記2]
前記品物の搬送状態に関する情報は、前記品物の中心座標と、搬送方向に対する傾きと、前記品物の位置との少なくとも1つを含む、付記1記載の品物の箱詰めシステム。
[付記3]
前記画像処理装置は、前記画像に基づいて、前記品物の包装状態を検出する、付記1記載の品物の箱詰めシステム。
[付記4]
前記ハンド部は、前記品物との間に空間を設けて密着する保持部を備え、前記空間の空気が吸引されることにより前記品物を吸着させる吸着部を少なくとも1つ備えている、付記1記載の品物の箱詰めシステム。
[付記5]
前記ハンド部は、前記吸着部が前記品物を吸着したときに、前記品物の長手方向の縁に対向する位置において、前記品物の長手方向の縁との間に間隔をおいて端部が配置される補助板を備えている、付記4記載の品物の箱詰めシステム。
[付記6]
前記第1ロボットは、前記品物を吸着することにより保持し、前記アームにより3次元の位置座標および前記搬送方向における傾きを調整される第2ハンド部を更に備え、
前記第1コントローラは、前記品物の中心座標と、前記搬送方向に対する傾きと、前記品物の位置と、を前記画像処理装置から取得するとともに、前記品物が搬送される搬送速度を取得し、前記品物の位置座標を演算し、前記品物が前記第1ロボットの動作範囲に到達したときに、前記第1ロボットの前記アームの動作を制御して、前記品物の中心座標および傾きに合わせて前記ハンド部又は前記第2ハンド部を移動させて前記品物を吸着させる、付記1記載の品物の箱詰めシステム。
[付記7]
前記第2ハンド部は、前記品物との間に空間を設けて密着する保持部を備え、前記空間の空気が吸引されることにより前記品物を吸着させる吸着部を少なくとも1つ備え、
前記ハンド部と前記第2ハンド部とは、前記保持部の高さ方向における位置が異なっている、付記6記載の品物の箱詰めシステム。
[付記8]
前記ハンド部と、前記ハンド部の3次元の位置座標および前記搬送方向に対する傾きを調整する前記アームと、を備えた第2ロボットと、
前記第2ロボットの前記アームの動作を制御する第2コントローラと、を更に備え、
前記画像処理装置は、前記品物の中心座標と、前記搬送方向に対する傾きと、前記品物の位置とのデータにタグを付して前記第1コントローラへ供給し、
前記第1コントローラは、前記タグの値に応じて、受信したデータを前記第2コントローラへ転送し、
前記第2コントローラは、前記品物の中心座標と、前記搬送方向に対する傾きと、前記品物の位置と、前記搬送速度と、を前記第1コントローラから取得するとともに、前記品物の位置座標を演算し、前記品物が前記第2ロボットの動作範囲に到達したときに、前記第2ロボットの前記アームの動作を制御して、前記品物の中心座標および傾きに合わせて前記ハンド部を移動させて前記品物を吸着させる、付記1記載の品物の箱詰めシステム。
【符号の説明】
【0135】
10…画像処理装置、20…照明装置、30…搬送速度検出器(エンコーダ)、40、40A、40B…ベルトコンベア40A、50…ハンド調整部、500…吸着部、A1…第1アーム、A2…第2アーム、AX1…第1軸、AX2…第2軸、AX3…第3軸、AX4…第4軸、B1-B4…梱包箱、CTR1…第1コントローラ(マスター)、CTR2…第2コントローラ(スレーブ)、HND…ハンド部、HND1…第1ハンド部、HND2…第2ハンド部、R1…第1ロボット、R2…第2ロボット。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15