(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】乗客情報収集システム、乗客情報収集方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2023508391
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2021012948
(87)【国際公開番号】W WO2022201517
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 慶
(72)【発明者】
【氏名】網中 洋明
(72)【発明者】
【氏名】尾形 一気
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 哲郎
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-250614(JP,A)
【文献】特開2019-101464(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111598021(CN,A)
【文献】特開2006-276961(JP,A)
【文献】特開2021-047673(JP,A)
【文献】特開2017-219909(JP,A)
【文献】特開2021-005400(JP,A)
【文献】特開2020-170572(JP,A)
【文献】特表2018-511121(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0020209(US,A1)
【文献】報道発表資料:タクシー乗車の際はマスクの着用をお願いします,日本,国土交通省,2020年11月04日,https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000325.html
【文献】Lyft launching personal health certification, will require face masks as part of new Health Safety Program,米国,LYFT,2020年05月07日,https://www.lyft.com/blog/posts/lyft-launching-health-safety-program
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路周辺に設置されたカメラから画像を取得可能であり、
乗用旅客車両の配車を行う配車システムから、予約を行った利用者の情報を受信する受信手段と、
前記利用者の情報に基づき、
前記カメラからタクシーの配車要求を行った人物が写った画像を取得する画像取得手段と、
前記画像中の人物の像に基づいて、前記人物がマスクを装着しているか否かを確認する確認手段と、
タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記タクシーの配車要求を行った人物がマスクを装着しているか否かの情報を送信する送信手段と、を備
え、
前記受信手段は、前記画像取得手段において画像を取得する前に、前記利用者から撮影要求を受信し、
前記画像取得手段は、前記撮影要求を受け取った場合に、前記配車要求を行った人物が写った画像を取得する、乗客情報収集システム。
【請求項2】
さらに、
前記画像中の人物の像に基づいて、前記人物に適した運転手を割り当てるための第1の属性を検出する第1の属性検出手段を備え、
前記送信手段は、前記タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記第1の属性に関する情報を送信する、
請求項1の乗客情報収集システム。
【請求項3】
前記第1の属性は、前記人物の容貌から推定したコミュニケーション言語であり、
前記送信手段は、前記タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記第1の属性として推定した前記コミュニケーション言語に関する情報を送信する、
請求項2の乗客情報収集システム。
【請求項4】
前記第1の属性は、前記人物の服装又は携行物から推定した旅行目的であり、
前記送信手段は、前記タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記第1の属性として推定した前記旅行目的に関する情報を送信する、
請求項2の乗客情報収集システム。
【請求項5】
さらに、
前記画像中の人物の像に基づいて、前記人物に適した車両を割り当てるための第2の属性を検出する第2の属性検出手段を備え、
前記送信手段は、前記タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記第2の属性に関する情報を送信する、
請求項1から4いずれか一の乗客情報収集システム。
【請求項6】
前記受信手段は、前記利用者の情報であって、位置情報を含む利用者情報をさらに受信し、
前記画像取得手段は、前記位置情報に基づいて、当該位置情報で特定される位置近傍の前記カメラを、パン・チルト・ズームさせて前記画像を取得する、請求項1の乗客情報収集システム。
【請求項7】
前記第2の属性は、前記人物の服装又は携行物から推定したコミュニケーション言語又は旅行目的であり、
前記送信手段は、前記タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記第2の属性として推定した前記コミュニケーション言語に関する情報又は前記旅行目的に関する情報を送信する、
請求項5の乗客情報収集システム。
【請求項8】
道路周辺に設置されたカメラから画像を取得可能な乗客情報収集システムが、
乗用旅客車両の配車を行う配車システムから、予約を行った利用者の情報を受信し、
当該利用者から撮影要求を受信した場合、前記利用者の情報に基づき、前記カメラからタクシーの配車要求を行った人物が写った画像を取得し、
前記画像中の人物の像に基づいて、前記人物がマスクを装着しているか否かを確認し、
タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記タクシーの配車要求を行った人物がマスクを装着しているか否かの情報を送信する、
乗客情報収集方法。
【請求項9】
道路周辺に設置されたカメラから画像を取得可能なコンピュータに、
乗用旅客車両の配車を行う配車システムから、予約を行った利用者の情報を受信する処理と、
前記利用者から撮影要求を受信する処理と、
当該利用者から撮影要求を受信した場合、前記利用者の情報に基づき、前記カメラからタクシーの配車要求を行った人物が写った画像を取得する処理と、
前記画像中の人物の像に基づいて、前記人物がマスクを装着しているか否かを確認する処理と、
タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記タクシーの配車要求を行った人物がマスクを装着しているか否かの情報を送信する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客情報収集システム、乗客情報収集方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、タクシー等の車両の配車を管理するためのシステムにおいて、ユーザの属性情報に基づいて、前記ユーザに割り当てる車両を選択することで、配車要求の際のユーザの利便性を向上させることができるという発明が開示されている(請求項7等参照)。なお、同文献における属性情報は、配車管理サーバのユーザ情報テーブルにて管理されているものである。
【0003】
特許文献2に、カメラの撮像画像を画像認識することで、その停留所における、利用者の人数や、アシストの必要の有無などを検知できるバス停留所が開示されている。そして、同文献記載のバス停留所の制御装置は、その停留所に接近するバス40に対し、利用者の人数や、アシストの必要の有無などを、事前に通知する(段落0027参照)。
【0004】
特許文献3に、無人運転可能に構成された移動体を、指定された配車場所へ適時に配車可能とする配車システムにおいて、屋外監視カメラを含んで構成され、屋外を移動するユーザを撮影することができるカメラ管理システムを備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-170572号公報
【文献】国際公開第2020/145312号
【文献】特開2019-101464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の分析は、本発明者によって与えられたものである。感染症の中には、感染後ただちに発症せず、一定の潜伏期間の経過後に発症するものがあり、この感染者と接触することで感染を広めてしまう可能性があることが指摘されている。このため、感染者に限らず、広く公共の場で、マスクの着用が推奨されている。
【0007】
一方、タクシー等の乗用旅客車両の場合、迎車先でマスクを着用していない客に遭遇するケースがある。このため、一部のタクシー業者では、運送約款に、マスクを着用していない理由が病気などの正当な理由でない場合、乗車を拒否することができることを規定する例が出てきている。しかしながら、病気などの正当な理由の有無の判断は難しく、運転手への負担となっている。
【0008】
本発明は、配車を行う前に、配車要求を行った人物がマスクを装着しているか否かの情報を提供できるようにした乗客情報収集システム、乗客情報収集方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の視点によれば、道路周辺に設置されたカメラから画像を取得可能であり、乗用旅客車両の配車を行う配車システムから、予約を行った利用者の情報を受信する受信手段と、前記利用者の情報に基づき、前記カメラからタクシーの配車要求を行った人物が写った画像を取得する画像取得手段と、前記画像中の人物の像に基づいて、前記人物がマスクを装着しているか否かを確認する確認手段と、タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記タクシーの配車要求を行った人物がマスクを装着しているか否かの情報を送信する送信手段と、を備え、前記受信手段は、前記画像取得手段において画像を取得する前に、前記利用者から撮影要求を受信し、前記画像取得手段は、前記撮影要求を受け取った場合に、前記配車要求を行った人物が写った画像を取得する、乗客情報収集システムが提供される。
【0010】
第2の視点によれば、道路周辺に設置されたカメラから画像を取得可能な乗客情報収集システムが、乗用旅客車両の配車を行う配車システムから、予約を行った利用者の情報を受信し、当該利用者から撮影要求を受信した場合、前記利用者の情報に基づき、前記カメラからタクシーの配車要求を行った人物が写った画像を取得し、前記画像中の人物の像に基づいて、前記人物がマスクを装着しているか否かを確認し、タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記タクシーの配車要求を行った人物がマスクを装着しているか否かの情報を送信する乗客情報収集方法が提供される。本方法は、道路周辺に設置されたカメラから画像を取得可能な乗客情報収集システムという、特定の機械に結びつけられている。
【0011】
第3の視点によれば、上記した乗客情報収集システムの機能を実現するためのコンピュータプログラム(以下、プログラム)が提供される。なお、このコンピュータプログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インタフェースを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させる。また、このプログラムは、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インタフェースを介して、外部と通信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。また、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジトリーな)記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、配車要求を行った人物がマスクを装着しているか否かの情報を事前に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明の第1の実施形態の乗客情報収集システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の乗客情報収集システムの動作を説明するための図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態の乗客情報収集システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態の乗客情報収集システムの動作を説明するための図である。
【
図6】本発明の乗客情報収集システムとして機能可能なコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インタフェースがあるが図示省略する。プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。また、このコンピュータ装置は、通信インタフェースを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、通信可能に構成される。
【0015】
本発明は、その一実施形態において、
図1に示すように、道路周辺に設置されたカメラ30と接続された乗客情報収集システム10により実現することができる。より具体的には、この乗客情報収集システム10は、受信手段11と、画像取得手段12と、確認手段13と、送信手段14と、を備える。
【0016】
受信手段11は、乗用旅客車両の配車を行う配車システム40から、予約を行った利用者の情報を受信する。
【0017】
画像取得手段12は、前記利用者の情報に基づき、カメラ30からタクシーの配車要求を行った人物が写った画像を取得する。
【0018】
なお、画像取得手段12が、乗用旅客車両の利用者の情報に基づいて、カメラ30から該当する利用者の画像を取得する仕組みとしては、以下の方法が考えられる。
(1)事前に登録した利用者の顔や歩様等と、カメラ30で撮影された人物画像と照合する。
(2)利用者の情報として、位置情報を含んだ情報を受け取り、その位置情報に基づいて、カメラ30をパン・チルト・ズームさせ、又は、複数のカメラ30から任意のカメラを選択する。この位置情報には、例えば、GPS(Global Positioning System)で得られた位置情報や、無線通信ネットワークの基地局から得られる在圏セル情報等を用いることができる。
(3)乗用旅客車両の利用者から、その携帯する端末等を用いて、明示的な撮影要求を受け取り、当該利用者を撮影可能なカメラ30で撮影する。
【0019】
確認手段13は、前記画像中の人物の像に基づいて、前記人物がマスクを装着しているか否かを確認する。
【0020】
送信手段14は、タクシーの配車要求先の業者の端末20に対して、前記タクシーの配車要求を行った人物がマスクを装着しているか否かの情報を送信する。端末20は、配車システム40に含まれる端末であってもよい。
【0021】
上記構成によれば、配車要求を行った人物がマスクを装着しているか否かの情報を事前に提供することが可能となる。このような情報を得て、タクシーの配車要求先の業者は、以下のような対応を取ることができる。
・配車要求を行った人物がマスクを装着していないことが判明した場合、担当者が、配車要求を行った人物に連絡を取り、乗車前にマスクの装着を依頼する。
・配車対象のタクシーとして、乗客へ貸与するマスクの備え付けのあるタクシーを割り当てる。
・配車対象のタクシーの運転手として、運送約款に基づき適切に対応できる運転者を割り当てる。
【0022】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態の乗客情報収集システム100の構成を示すブロック図である。
図2を参照すると、端末200、カメラ300及び配車システム400と接続された乗客情報収集システム100の構成が示されている。
【0023】
配車システム400は、乗用旅客車両の利用者から日時、迎車地点等を指定した乗用旅客車両の予約を受け付け、乗用旅客車両の車載端末に対し、配車を指示するシステムである。また、本実施形態の配車システム400は、乗客情報収集システム100に対し、前記予約を行った利用者の情報を送信する機能を備えている。
【0024】
端末200は、乗客情報収集システム100が収集して判定を行った結果の出力先となる端末である。端末200は、配車システム400の乗用旅客車両に対し、配車を指示する端末であってもよい。
【0025】
カメラ300は、ロードサイド等に設置され、乗用旅客車両の予約を行った利用者を撮影可能となっている。カメラ300の設置位置は、迎車位置として指定されることの多い主要な施設や交差点等が考えられるが、特に限定されない。カメラ300は、歩道や店舗等に設置された監視用や防犯用のカメラであってもよい。
【0026】
乗客情報収集システム100は、受信部101と、画像取得部102と、確認部103と、送信部104と、分類器105とを備えている。このような乗客情報収集システム100は、クラウド基盤上に配置されたサーバや、サービス提供エリアの近くに設置されるMEC(Multi-access Edge Computing)サーバにより実現できる。
【0027】
受信部101は、配車システム400から、予約を行った利用者の情報を受信する。「利用者の情報」は、カメラ300で撮影された画像中の利用者を特定可能な情報であり、例えば、利用者のIDや顔画像情報等を用いることができる。
【0028】
画像取得部102は、前記利用者の情報に基づいて、前記カメラ300から、利用者を撮影した画像を取得する。例えば、「利用者の情報」として顔画像情報を用いる場合、画像取得部102は、前記カメラ300で撮影した画像中の人物の顔領域を切り出し、事前に登録された該当する利用者の顔画像との照合により顔認証を行う。前記顔認証により該当する人物を検出できた場合、画像取得部102は、当該画像を、前記利用者を撮影した画像として取得する。また、前記カメラ300側に、画像中の人物の顔領域を切り出し、顔認証を行ない、画像にタグ付けする機能が備えられている場合も想定される。この場合、画像取得部102は、これらのタグと利用者のIDとを照合することで、乗用旅客車両の利用者を特定することもできる。
【0029】
確認部103は、分類器105を用いて、前記利用者を撮影した画像に映っている人物がマスクを装着しているか否かを確認し、その結果を送信部104に出力する。分類器105は、例えば、画像が入力されると、マスクを装着しているか否かを示す値を出力する分類関数によって構成することができる。また、このような分類器105は、事前に用意された教師データを用いて機械学習により作成することができる。
【0030】
送信部104は、前記確認部103で確認された前記利用者を撮影した画像に映っている人物がマスクを装着しているか否かの結果を、端末200に送信する。
【0031】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態の乗客情報収集システム100の動作を表した流れ図である。
図3を参照すると、まず、乗客情報収集システム100は、カメラ300で得られた画像から、前記配車を予約した人物を検出する(ステップS001)。
【0032】
次に、乗客情報収集システム100は、前記検出した人物が映った画像を取得する(ステップS002)。
【0033】
次に、乗客情報収集システム100は、前記人物が映った画像中の前記人物がマスクを装着しているか否かを確認する(ステップS003)。
【0034】
最後に、乗客情報収集システム100は、端末200に対し、利用者の情報とともに、その人物がマスクを装着しているか否かを示す情報(マスクの装着有無情報)を送信する(ステップS004)。
【0035】
以上のように動作する本実施形態によれば、乗用旅客車両の配車等を行う業者側に対し、配車要求を行った人物がマスクを装着しているか否かの情報を事前に提供することが可能となる。
【0036】
[第2の実施形態]
上記した第1の実施形態では、配車を予約した人物の画像から当該人物がマスクを装着しているか否かを判定し、業者側に提供するものとして説明したが、乗客情報収集システム100が提供可能な情報はこれに限られない。続いて、乗客情報収集システム100aが多クラスの分類器を用いて、利用者に適した運転者を選択するための情報(第1属性)と、利用者に適した車両を選択するための情報(第2属性)と、を収集する第2の実施形態について説明する。
【0037】
図4は、本発明の第2の実施形態の乗客情報収集システム
100aの構成を示すブロック図である。
図2に示した第1の実施形態との相違点は、確認部103が、属性検出部106に置き換わっている点と、分類器105が、2つの多クラスの分類器105a、105bに置き換わっている点である。その他の構成及び動作は第1の実施形態とほぼ共通するので、以下、その相違点を中心に説明する。
【0038】
属性検出部106は、分類器105a、105bを用いて、利用者を撮影した画像に映っている人物の第1属性と第2属性を検出する。従って、属性検出部106が第1、第2の属性検出手段として機能することになる。第1属性は、利用者に適した運転手を割り当てるための属性である。第1属性としては、人物の容貌から推定可能なコミュニケーション言語の種類(日本語、英語、中国語等)、旅行目的(ビジネス、観光等)等が挙げられる。これらの第1属性は、事前に適切な教師データを用意し、第1属性を検出(分類)可能な多クラス分類器105aを用意することができる。
【0039】
第2属性は、利用者に適した車両を割り当てるための属性である。第2属性としては、人物の容貌から推定可能なハンディキャップの有無等が挙げられる。これらの第2属性は、事前に適切な教師データを用意し、第2属性を検出(分類)可能な多クラス分類器105bを用意することができる。なお、第1属性と第2属性の内容は一部重複するものであっても構わない。例えば、第2属性としても、コミュニケーション言語の種類(日本語、英語、中国語等)、旅行目的(ビジネス、観光等)などを検出してもよい。
【0040】
本実施形態の送信部104aは、前記属性検出部106で検出された第1属性及び第2属性を、端末200に送信する。
【0041】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態の乗客情報収集システム100aの動作を表した流れ図である。
図5のステップS001~S002の動作は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0042】
前記検出した人物が映った画像を取得した乗客情報収集システム100aは、前記人物が映った画像中の前記人物の第1属性を検出する(ステップS103)。
【0043】
次に、乗客情報収集システム100aは、前記人物が映った画像中の前記人物の第2属性を検出する(ステップS104)。なお、上記ステップS103及びステップS104は、並列的に実行してもよいし、順序を入れ替えて実行してもよい。
【0044】
最後に、乗客情報収集システム100aは、端末200に対し、利用者の情報とともに、第1、第2属性情報を送信する(ステップS105)。
【0045】
以上のように動作する本実施形態によれば、乗用旅客車両の配車等を行う業者側に対し、配車する車両や運転手を選択するための情報を提供することが可能となる。具体的には、タクシー会社等は、通知された第1属性を用いて、利用者に適した運転手を選択することができる。例えば、利用者の容貌から推定されたコミュニケーション言語の種類が英語や中国語であれば、これらの会話能力のある運転手を選択することで、利用者の満足度を高めることが可能となる。また、利用者の容貌から推定された旅行目的(ビジネス、観光等)に応じて、近隣のシェアオフィスやワークプレイスに詳しい運転手をアサインしたり、観光ガイド資格を有する運転手をアサインしたりすることができる。
【0046】
第2属性についても同様に、例えば、利用者の容貌から推定されたハンディキャップに応じて、適切な車両を選択することで、利用者の満足度を高めることが可能となる。例えば、車椅子利用者であれば、リフト付きの車両をアサインするなどの対応を取ることができる。また、第2属性として、コミュニケーション言語や旅行目的を検出している場合、通訳端末装備、外国語音声ガイダンス機能を備えた車両をアサインすることが可能となる。
【0047】
また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、利用者のマスク装着の有無を確認する確認部103を設けてもよい。これにより、利用者に適した車両や運転手を割り当てるための情報に加えて、配車要求を行った人物がマスクを装着しているか否かの情報を事前に提供することが可能となる。
【0048】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的な技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示した装置構成、各要素の構成、データ等の表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0049】
例えば、上記した第2の実施形態では、第1属性と第2の属性を検出するものとして説明したが、第1属性、第2属性のいずれか一方のみを検出する構成に変更することも可能である。
【0050】
また、上記した各実施形態に示した手順は、乗客情報収集システム100、100aとして機能するコンピュータ(
図6の9000)に、乗客情報収集システム100、100aとしての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、
図6のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インタフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、
図6のCPU9010にて、画像取得プログラムやクラス分類プログラムを実行させればよい。
【0051】
即ち、上記した乗客情報収集システム100、100aの各部(処理手段、機能)は、これらの装置に搭載されたプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0052】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点による乗客情報収集システム参照)
[第2の形態]
上記した乗客情報収集システムは、さらに、
前記画像中の人物の像に基づいて、前記人物に適した運転手を割り当てるための第1の属性を検出する第1の属性検出手段を備え、
前記送信手段は、前記タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記第1の属性に関する情報を送信する構成を採ることができる。
[第3の形態]
上記した第1の属性は、前記人物の容貌から推定したコミュニケーション言語であり、
前記送信手段は、前記タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記第1の属性として推定した前記コミュニケーション言語に関する情報を送信する構成を採ることができる。
[第4の形態]
上記した第1の属性は、前記人物の服装又は携行物から推定した旅行目的であり、
前記送信手段は、前記タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記第1の属性として推定した前記旅行目的に関する情報を送信する構成を採ることができる。
[第5の形態]
上記した乗客情報収集システムは、さらに、
前記画像中の人物の像に基づいて、前記人物に適した車両を割り当てるための第2の属性を検出する第2の属性検出手段を備え、
前記送信手段は、前記タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記第2の属性に関する情報を送信する構成を採ることができる。
[第6の形態]
上記した第2の属性は、前記人物の容貌から推定したハンディキャップの内容であり、
前記送信手段は、前記タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記第2の属性として推定したハンディキャップに関する情報を送信する構成を採ることができる。
[第7の形態]
上記した第2の属性は、前記人物の服装又は携行物から推定したコミュニケーション言語又は旅行目的であり、
前記送信手段は、前記タクシーの配車要求先の業者の端末に対して、前記第2の属性として推定した前記コミュニケーション言語に関する情報又は前記旅行目的に関する情報を送信する構成を採ることができる。
[第8の形態]
(上記第2の視点による乗客情報収集方法参照)
[第9の形態]
(上記第3の視点によるプログラム参照)
なお、上記第8~第9の形態は、第1の形態と同様に、第2~第7の形態に展開することが可能である。
【0053】
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0054】
10、100、100a 乗客情報収集システム
11 受信手段
12 画像取得手段
13 確認手段
14 送信手段
20、200 端末
30、300 カメラ
40、400 配車システム
101 受信部
102 画像取得部
103 確認部
104、104a 送信部
105 分類器
105a、105b 多クラス分類器
106 属性検出部
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インタフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置