(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ロック機構及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20241126BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G03G21/16 133
G03G15/08 322
(21)【出願番号】P 2023517190
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2022015443
(87)【国際公開番号】W WO2022230554
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2021077122
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】谷尾 浩治
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-212791(JP,A)
【文献】特開2020-194135(JP,A)
【文献】特開2004-138775(JP,A)
【文献】特開2017-198857(JP,A)
【文献】特開2008-076634(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0117899(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G13/00
13/08
13/095
15/00
15/08
15/095
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに開閉カバーが支持され、当該開閉カバーが開いた状態で交換可能なトナーコンテナのロック機構であって、
前記ハウジングに設けられた、前記トナーコンテナの取り外しを規制するロック部材と、
前記開閉カバーに揺動可能に支持されて前記ロック部材を操作する操作レバーと、
前記開閉カバーに設けられた、前記操作レバーを弾性的に支持するバネ部材と、を備え、
前記ロック部材は、前記トナーコンテナの取り外しを許容するアンロック姿勢と前記トナーコンテナの取り外しを規制するロック姿勢との間で揺動可能であり、
前記操作レバーは、前記開閉カバーの閉方向への移動に伴って前記ロック部材をアンロック姿勢からロック姿勢に向けて操作することを特徴とするロック機構。
【請求項2】
前記バネ部材は、前記操作レバーが前記ロック部材の先端に斜めに当たる所定角度で前記操作レバーを支持することを特徴とする請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
ロック姿勢になった前記ロック部材を掛け止めするフック部材を備え、
前記ロック部材がロック姿勢を越えて揺動して、前記フック部材によってロック姿勢の前記ロック部材が掛け止めされることを特徴とする請求項1に記載のロック機構。
【請求項4】
前記ロック部材には、前記操作レバーに当たる当接面に突起が形成され、
前記突起によって前記ロック部材がロック姿勢を越えて揺動することを特徴とする請求項3に記載のロック機構。
【請求項5】
前記開閉カバーの下面には中空状のケースが設けられ、
前記操作レバーは、前記ケースに出没可能に支持され、
前記開閉カバーの閉方向への移動に伴って、前記操作レバーは前記ケース内に退避することを特徴とする請求項1に記載のロック機構。
【請求項6】
前記ロック部材は、前記ロック姿勢までは前記操作レバーによって操作され、前記ロック姿勢を越えると、前記操作レバーが前記ケース内に退避し、前記ケースによって操作されることを特徴とする請求項5に記載のロック機構。
【請求項7】
請求項1に記載のロック機構と、
前記トナーコンテナのトナー残量を検知する残量センサーと、を備え、
トナー残量が所定量以下になるまで、前記ロック部材がロック姿勢で保持されることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック機構及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常は、画像形成装置のトナーコンテナが空になったときに新たなトナーコンテナに交換されるが、トナーを使い切る前にユーザーによってトナーコンテナが交換されるおそれがあった。このため、トナーコンテナのトナー残量に応じて、トナーコンテナの取り外しを規制するロック機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のロック機構は、ソレノイドにストッパーが連結しており、このストッパーによってトナーコンテナが抜け止めされている。トナーコンテナのトナー残量が少なくなるまでは、ソレノイドが駆動せずにストッパーによってトナーコンテナの取り外しが規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のロック機構は、トナーコンテナの交換後に手動でストッパーを戻すロック操作が必要になるが、ユーザーによってはロック操作を忘れるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、トナーコンテナの取り外しを規制すると共に、トナーコンテナの交換後のロック操作を確実に行うことができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のロック機構は、ハウジングに開閉カバーが支持され、当該開閉カバーが開いた状態で交換可能なトナーコンテナのロック機構であって、前記ハウジングに設けられた、前記トナーコンテナの取り外しを規制するロック部材と、前記開閉カバーに揺動可能に支持されて前記ロック部材を操作する操作レバーと、前記開閉カバーに設けられた、前記操作レバーを弾性的に支持するバネ部材と、を備え、前記ロック部材は、前記トナーコンテナの取り外しを許容するアンロック姿勢と前記トナーコンテナの取り外しを規制するロック姿勢との間で揺動可能であり、前記操作レバーは、前記開閉カバーの閉方向への移動に伴って前記ロック部材をアンロック姿勢からロック姿勢に向けて操作する。
【0007】
本発明の一態様の画像形成装置は、上記のロック機構と、前記トナーコンテナのトナー残量を検知する残量センサーと、を備え、トナー残量が所定量以下になるまで、前記ロック部材がロック姿勢で保持される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開閉カバーの閉方向の動きに連動して、操作レバーによってロック部材がアンロック姿勢からロック姿勢に向けて操作される。よって、開閉カバーが閉じられることで、トナーコンテナの交換後のロック操作を確実に行うことができる。また、操作レバーがロック部材に当接しても、バネ部材のバネ力に抗して操作レバーが退避されるため、ロック部材が操作レバーから過剰な外力を受けることがない。よって、ロック部材や操作レバー等の部品の変形や破損が防止されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】比較例のロック機構のロック操作の一例を示す模式図である。
【
図3】比較例のロック機構のロック操作の一例を示す模式図である。
【
図4】本実施形態の開閉カバー周辺の模式図である。
【
図5】本実施形態のフック部材の掛止状態を示す斜視図である。
【
図6】本実施形態のフック部材の解除状態を示す斜視図である。
【
図7】本実施形態のロック機構のロック操作の一例を示す模式図である。
【
図8】本実施形態のロック機構のロック操作の一例を示す模式図である。
【
図9】本実施形態のロック機構のロック操作の一例を示す模式図である。
【
図10】本実施形態のロック機構のアンロック操作の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態のロック機構を適用した画像形成装置について説明する。なお、以下の説明では、画像形成装置としてプリンターを例示して説明する。
図1は、本実施形態のプリンターの模式図である。各図に適宜付される矢印Fr、Re、U、Loは、それぞれプリンターの前側、後側、上側、下側を示している。
【0011】
図1に示すように、プリンター1は、各種機器が収容された箱型形状のハウジング10を備えている。ハウジング10の下部にはシート束がセットされる給紙カセット11が収容され、ハウジング10の上部には画像形成済みのシートが積み重ねられる排紙トレイ12が設けられている。排紙トレイ12の下方にはトナーが収容されたトナーコンテナ13がトナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)毎に着脱可能にセットされている。複数のトナーコンテナ13の下方には、一対のローラー14、15に掛け渡された中間転写ベルト16が設けられている。
【0012】
中間転写ベルト16の下側に沿って、トナーの色毎に画像形成部17が前後一列に設けられている。各画像形成部17には中間転写ベルト16に転接する感光体ドラム21が回転可能に設けられており、感光体ドラム21の周囲には帯電器22と、現像器23と、一次転写部24と、クリーニング装置25と、徐電器26とが一次転写のプロセス順に配置されている。クリーニング装置25には廃トナーボックス(不図示)が接続されている。各現像器23には不図示の供給路を通じてトナーコンテナ13からトナーが供給され、廃トナーボックスには不図示の排出路を通じて各クリーニング装置25から廃トナーが排出される。
【0013】
各画像形成部17の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)によって構成される露光装置18が設けられている。ハウジング10内の側部には、複数のローラーによって給紙カセット11から排紙トレイ12に向かうシートの搬送経路Lが形成されている。搬送経路Lの上流側(下側)には給紙部31が設けられ、搬送経路Lにおいて給紙部31よりも下流側には中間転写ベルト16の側端に二次転写部32が設けられている。搬送経路Lにおいて二次転写部32の下流側には定着装置33が設けられ、搬送経路Lの下流端側(上側)には排紙口34が設けられている。
【0014】
プリンター1の画像形成時には、帯電器22によって感光体ドラム21の表面が帯電された後、露光装置18からのレーザー光によって感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。次に、現像器23から感光体ドラム21の表面の静電潜像にトナーが付着されてトナー像が形成され、感光体ドラム21の表面から中間転写ベルト16の表面にトナー像が一次転写される。各画像形成部17において各色のトナー像が中間転写ベルト16に一次転写されることで、中間転写ベルト16の表面にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム21に残留した廃トナーと電荷は、クリーニング装置25と徐電器26によって除去される。
【0015】
一方で、給紙部31によって給紙カセット11又は手差しトレイ(不図示)からシートが取り込まれ、上記の画像形成動作にタイミングを合わせて二次転写部32に向けてシートが搬送される。二次転写部32において中間転写ベルト16の表面からシートの表面にフルカラーのトナー像が二次転写され、二次転写部32の下流の定着装置33に向けて転写済みのシートが搬送される。定着装置33においてシートにトナー像が定着され、定着済みのシートが排紙口34から排紙トレイ12上に排出される。このように、シートに転写されたトナー像が定着装置33を通過することによってシートの表面に画像が形成される。
【0016】
ところで、排紙トレイ12の底面は開閉カバー60(
図4参照)によって形成されている。開閉カバー60を開くことで、ハウジング10内のトナーコンテナ13の交換作業が実施される。プリンター1では、トナーを使い切る前にトナーコンテナ13が交換されるのを防ぐために、トナー残量が少なくなるまではロック部材43(
図4参照)によってトナーコンテナ13の取り外しが規制されている。起立姿勢のロック部材43によってトナーコンテナ13の取り外しが許容され、倒伏姿勢のロック部材43によってトナーコンテナ13の取り外しが規制される。
【0017】
図2の比較例に示すように、トナーコンテナ13の取り外しを規制するためには、ロック部材82を起立姿勢から倒伏姿勢に倒すロック操作が必要になる。しかしながら、ロック操作を忘れたまま開閉カバー81が閉じられることで、ロック部材82と開閉カバー81が衝突するおそれがある。
図3の比較例に示すように、開閉カバー81にロック部材82が強く押し込まれると、ロック部材82の基端部が開閉カバー81から強い外力を受けて破損するおそれがある。そこで、本実施形態の開閉カバー60には、ロック部材43に対する押し込みを緩和するように開閉カバー60に操作レバー63(
図4参照)が設けられている。
【0018】
図4を参照して、開閉カバーのロック機構について説明する。
図4は、本実施形態の開閉カバー周辺の模式図である。
図5は、本実施形態のフック部材の掛止状態を示す斜視図である。
図6は、本実施形態のフック部材の解除状態を示す斜視図である。
【0019】
図4に示すように、開閉カバー60はハウジング10の一対の側板40に開閉可能に支持されている。ハウジング10の上面から開閉カバー60が上方に持ち上げられることで、開閉カバー60が開かれてハウジング10の内側が外部に露出される。開閉カバー60が開いた状態から下方に降ろされることで、開閉カバー60が閉じられてハウジング10の上面に排紙トレイ12(
図1参照)が形成される。ハウジング10の内側には、4色のトナーコンテナ13が上方から着脱可能に取り付けられている。ブラックのトナーコンテナ13が開閉カバー60の基端側に位置している。
【0020】
ハウジング10の一方側(右側)の側板40には、4色のトナーコンテナ13の取り外しを規制する4つのロック部材43が支持されている。ロック部材43は棒状に形成されている。ロック部材43の基端側の揺動軸44を支点にして、ロック部材43が起立姿勢と倒伏姿勢との間で揺動される。起立姿勢はロック部材43によってトナーコンテナ13の取り外しが許容されるアンロック姿勢であり、倒伏姿勢はロック部材43によってトナーコンテナ13の取り外しが規制されるロック姿勢である。また、ブラックのトナーコンテナ13用のロック部材43は他のロック部材43よりも幅広に形成されている。
【0021】
一方側の側板40には4つの円弧状のガイド溝41が形成され、各ロック部材43には各ガイド溝41内に入り込むガイドピン45が形成されている。側板40のガイド溝41にロック部材43のガイドピン45がガイドされることで、ロック部材43が起立姿勢と倒伏姿勢の間でスムーズに揺動される。また、ロック部材43の基端側にはトーションバネ46が設けられており、トーションバネ46のバネ力によってロック部材43が起立姿勢に保持されている。また、一方側の側板40には、トーションバネ46のバネ力に抗して倒伏姿勢になったロック部材43のガイドピン45を掛け止めするフック部材50(
図5参照)が設けられている。
【0022】
図5に示すように、フック部材50の先端側にはロック部材43のガイドピン45を掛け止めする爪部51が形成されている。フック部材50の基端側の揺動軸52を支点にして、爪部51がガイドピン45を掛け止め可能な掛止位置と掛止位置から離間した解除位置との間で揺動される。フック部材50の基端側には支持ブラケット53が形成されており、支持ブラケット53はバネ部材54を介してハウジング10に連結されている。フック部材50はバネ部材54によって弾性的に支持されており、バネ部材54のバネ力によって爪部51が掛止位置に向けて引き付けられている。
【0023】
また、フック部材50の基端側には連結ブラケット55が設けられており、連結ブラケット55にはソレノイド56のプランジャ57が連結されている。ソレノイド56の非駆動時には、プランジャ57が引き出されており、バネ部材54のバネ力によってフック部材50の爪部51が掛止位置に位置付けられている。
図6に示すように、ソレノイド56の駆動時には、プランジャ57が引き込まれて、バネ部材54のバネ力に抗して爪部51が掛止位置から解除位置に揺動する。爪部51からロック部材43のガイドピン45が外れ、トーションバネ46(
図4参照)のバネ力によってロック部材43が倒伏姿勢から起立姿勢に戻される。
【0024】
フック部材50の爪部51によってガイドピン45を掛け止めするためには、ロック部材43が倒伏姿勢を越えて揺動して、ガイドピン45がオーバーストローク位置まで移動することが好ましい。このため、ロック部材43には、後述する操作レバー63が当たる当接面47に突起48が形成されている。突起48が押し込まれることで、突起48によってロック部材43の揺動量が増えて、倒伏姿勢を越えてロック部材43を揺動させることができる。ロック部材43が倒伏姿勢を越えて揺動することで、フック部材50にロック部材43を確実に掛け止めさせることができる。
【0025】
図4に戻り、開閉カバー60の下面には、ハウジング10の一方側(本実施形態では右側)の側板40に沿った長尺状のケース61が形成されている。開閉カバー60のケース61には、後側のロック部材43を除く、3つのロック部材43を操作する3つの操作レバー63が揺動可能に支持されている。本実施形態では、ブラックのトナーコンテナ13を除く、3色のトナーコンテナ13用のロック部材43に対応して操作レバー63が設けられている。操作レバー63は側面視扇状に形成されている。操作レバー63の頂点側の揺動軸64を支点にして、ケース61の下面の開口を通じてケース61の内外に操作レバー63が出没される。
【0026】
操作レバー63の揺動軸64には連結アーム65が固定されており、連結アーム65の先端はバネ部材66を介してケース61の支持部67に連結されている。このように、開閉カバー60においてバネ部材66によって操作レバー63が弾性的に支持されている。より詳細には、バネ部材66によって操作レバー63がケース61外に押し出され、操作レバー63がロック部材43の先端に斜めに当たる所定角度でバネ部材66によって操作レバー63が支持されている。開閉カバー60の閉方向の移動に伴って、操作レバー63によってロック部材43が起立姿勢から倒伏姿勢に向けて操作される。
【0027】
このとき、操作レバー63がロック部材43に斜めに当たるため、操作レバー63によってロック部材43がスムーズに操作される。また、開閉カバー60には後側(ブラック用)のロック部材43を操作する操作レバーが存在しないが、開閉カバー60の基端側ではケース61がロック部材43の先端に斜めに当たってロック部材43がスムーズに操作される。トナーコンテナ13のロック時には開閉カバー60の閉方向の移動に伴ってロック部材43が倒伏姿勢になるまで動かされ、トナーコンテナ13のロック解除時にはソレノイド56(
図5参照)によってロック部材43が起立姿勢に戻されている。
【0028】
このように、本実施形態のロック機構39は、開閉カバー60に設けられた各部材と、ハウジング10に設けられた各部材を備えて構成されている。また、ハウジング10には、4つのトナーコンテナ13のトナー残量を検知する4つの残量センサー71と、開閉カバー60の開閉状態を検知する開閉検知スイッチ72と、ソレノイド56に接続された制御部73と、が設けられている。残量センサー71としては、トナー残量に応じた透磁率を検知する透磁率センサーが用いられる。残量センサー71によって透磁率が検知され、検知結果に相当する電圧値が残量センサー71から制御部73に出力される。
【0029】
開閉検知スイッチ72は、開閉カバー60の開閉動作に伴ってON、OFFするように構成されている。開閉カバー60が開かれることで開閉検知スイッチ72がONになって、検知信号が開閉検知スイッチ72から制御部73に出力される。残量センサー71に検知されたトナー残量が所定量以下になり、開閉検知スイッチ72から検知信号が入力されると、制御部73によってソレノイド56が駆動されてトナーコンテナ13のロックが解除される。トナー残量が所定量以下になるまではロック部材43が倒伏姿勢で保持されて、トナーを使い切る前のトナーコンテナ13の交換が防止される。
【0030】
なお、制御部73は、プロセッサを用いてソフトウェアによって実現されてもよいし、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。プロセッサを用いる場合には、プロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで各種処理が実施される。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)が使用される。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体によって構成されている。
【0031】
図7から
図10を参照して、ロック機構によるロック操作及びアンロック操作について説明する。
図7から
図9は、本実施形態のロック機構のロック操作の一例を示す模式図である。
図10は、本実施形態のロック機構のアンロック操作の一例を示す模式図である。ここでは、開閉カバーの前側の操作レバーによるロック操作について説明するが、他の操作レバーによるロック操作も同様である。
【0032】
図7に示すように、開閉カバー60が開いた状態では、トーションバネ46のバネ力によってロック部材43が起立姿勢で保持されている。このとき、フック部材50の爪部51が掛止位置に位置付けられているが、フック部材50の爪部51からロック部材43のガイドピン45が外れている。また、バネ部材66によって操作レバー63が開閉カバー60のケース61外に押し出されており、操作レバー63の下面68がケース61の下面69に対して傾けられている。開閉カバー60が閉方向に動かされることで、操作レバー63の下面68がロック部材43の先端に対して斜め上方から接触する。
【0033】
図8に示すように、操作レバー63の下面68によってロック部材43の先端が押し込まれると、ロック部材43がトーションバネ46のバネ力に抗して起立姿勢から倒伏姿勢に向かって揺動し始める。操作レバー63によってロック部材43が傾けられると、ロック部材43から操作レバー63が離れて、操作レバー63の前方に位置するケース61の下面69がロック部材43に対して斜め上方から接触する。このとき、ロック部材43のガイドピン45がフック部材50の爪部51に突き当たって、フック部材50の爪部51が解除位置側に押し込まれる。
【0034】
図9に示すように、開閉カバー60が閉じられると、ケース61の下面69によってロック部材43が倒伏姿勢まで揺動する。ケース61の下面69によってロック部材43の突起48が押し込まれることで、一時的にロック部材43が倒伏姿勢よりも僅かに下方まで揺動され、開閉カバー60の反動や部品公差等によってロック部材43が倒伏姿勢に戻される。このとき、ロック部材43のガイドピン45がフック部材50の爪部51よりも下方のオーバーストローク位置まで揺動されて、フック部材50の爪部51によってロック部材43のガイドピン45が確実に掛け止めされる。
【0035】
また、ロック部材43の基端部には上方から操作レバー63が突き当たることで、ロック部材43からの反力によって操作レバー63がバネ部材66のバネ力に抗して押し上げられている。ロック部材43の基端部は揺動中心であるため、外力を受けてもロック部材43の基端部は揺動することができない。上記したように、ケース61の下面69によってロック部材43が倒伏姿勢よりも下方まで揺動されるが、操作レバー63がケース61内に退避することによって、ロック部材43の基端部が操作レバー63から過剰な外力を受けることがない。よって、ロック部材43の変形や破損が防止されている。
【0036】
図10に示すように、トナーコンテナ13のトナー残量が所定量以下になり、開閉カバー60が開けられると、ソレノイド56が駆動してフック部材50の爪部51が掛止位置から解除位置に動かされる。フック部材50の爪部51からロック部材43のガイドピン45が外れて、トーションバネ46のバネ力によってロック部材43が倒伏姿勢から起立姿勢に戻される。このように、開閉カバー60が開けられた場合でも、トナーコンテナ13のトナー残量が少なくなるまでは、ソレノイド56が駆動せずにロック部材43によってトナーコンテナ13の取り外しが規制されている。
【0037】
以上、本実施形態によれば、開閉カバー60の閉方向の動きに連動して、操作レバー63によってロック部材43が起立姿勢から倒伏姿勢に向けて操作される。よって、開閉カバー60が閉じられることで、トナーコンテナの交換後のロック操作を確実に行うことができる。また、操作レバー63がロック部材43に当接しても、バネ部材66のバネ力に抗して操作レバー63が退避されるため、ロック部材43が操作レバー63から過剰な外力を受けることがない。よって、ロック部材43や操作レバー63等の部品の変形や破損が防止されている。また、トナーコンテナ13の取り外しを規制して、トナーを使い切る前にトナーコンテナ13が交換されることを防止することができる。
【0038】
なお、本実施形態において、アンロック姿勢が起立姿勢である一例について説明したが、アンロック姿勢はトナーコンテナの取り外しを許容可能な姿勢であればよい。また、ロック姿勢が倒伏姿勢である一例について説明したが、ロック姿勢はトナーコンテナの取り外しを規制可能な姿勢であればよい。例えば、アンロック姿勢が倒伏姿勢であり、ロック姿勢が起立姿勢であってもよい。
【0039】
また、本実施形態において、ハウジングに対してトナーコンテナが上方から着脱される構成について説明したが、ハウジングに対してトナーコンテナが側方から着脱されてもよい。
【0040】
また、本実施形態において、操作レバーとケースによってロック部材が操作される構成について説明したが、操作レバーだけでロック部材が起立姿勢から倒伏姿勢まで操作されてもよい。
【0041】
また、本実施形態において、ロック部材の当接面に突起が形成されているが、ロック部材の当接面には突起が形成されていなくてもよい。
【0042】
また、本実施形態において、操作レバーがロック部材の先端に斜めに当たる構成にしたが、操作レバーはロック部材を操作可能に形成されていればよい。
【0043】
また、本実施形態において、シートは、画像の形成対象となるシート状のものであればよく、例えば、普通紙、コート紙、トレーシングペーパー、OHP(Over Head Projector)シートでもよい。
【0044】
また、本実施形態では、画像形成装置として、プリンターを例示したが、この構成に限定されない。画像形成装置は、コピー機及びファクシミリの他、プリント機能、コピー機能及びファックス機能等を複合的に備えた複合機でもよい。
【0045】
なお、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0046】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。