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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】操縦支援装置及び作業機
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/46 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
B66C13/46 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023517209
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2022016250
(87)【国際公開番号】W WO2022230592
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2021075393
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元木 浩平
(72)【発明者】
【氏名】神田 真輔
(72)【発明者】
【氏名】米田 瑞生
(72)【発明者】
【氏名】二葉 文彦
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-312004(JP,A)
【文献】特表2020-535091(JP,A)
【文献】特開2019-156538(JP,A)
【文献】特開2014-144850(JP,A)
【文献】特開2015-124023(JP,A)
【文献】特開2018-056252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00 - 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部に装着可能に構成され、旋回、起伏及び伸縮が可能なブームを有する作業機の操縦を支援するための操縦支援装置であって、
透明なディスプレイと、
前記操縦支援装置の使用時に、前記使用者が前記ディスプレイ越しに見える風景に基準面を設定する設定部と、
前記ディスプレイに表示された前記基準面と重なるように、前記作業機の操縦を支援するための仮想画像を前記ディスプレイに表示する制御部と、を備え、
前記基準面は、前記使用時に、前記使用者が前記ディスプレイ越しに見る前記風景における地表面、又は、前記使用者が前記ディスプレイ越しに見る前記風景において前記使用者により任意に選択された面であり、
前記制御部は、前記使用者の視点から見た前記仮想画像を生成し、生成した前記仮想画像を、前記使用者の視野内に重畳するように前記ディスプレイに表示
前記仮想画像は、
前記ブームとともに移動する基準部材の目標位置を示す画像、
旋回、起伏及び伸縮から選択される少なくとも一つの前記ブームの動作にともない、前記基準部材が前記目標位置から移動する際に描く軌道を示す画像、及び、
前記ブームとともに移動する基準部材の現在位置を通り鉛直方向に平行な線を示す画像を含む、
操縦支援装置。
【請求項2】
前記仮想画像は、前記ブームとともに移動する基準部材の現在位置を示す画像、及び、旋回、起伏及び伸縮から選択される少なくとも一つの前記ブームの動作にともない、前記基準部材が前記現在位置から移動する際に描く軌道を示す画像である、請求項1に記載の操縦支援装置。
【請求項3】
前記仮想画像は、前記ブームとともに移動する基準部材の目標位置を通り鉛直方向に平行な線を示す画像を含む、請求項1に記載の操縦支援装置。
【請求項4】
前記仮想画像は、前記ブームとともに移動する基準部材の移動速度及び移動方向を示すベクトルの画像を含む、請求項1に記載の操縦支援装置。
【請求項5】
前記制御部は、カメラにより撮影された当該操縦支援装置の使用者の手の動作に基づいて、前記ディスプレイの表示を制御する、請求項1に記載の操縦支援装置。
【請求項6】
前記ディスプレイを支持し、当該操縦支援装置の使用者が装着可能なフレームを、更に有する、請求項1に記載の操縦支援装置。
【請求項7】
前記フレームは、前記使用者の耳に支持される一対のテンプルを有する、請求項に記載の操縦支援装置。
【請求項8】
旋回、起伏及び伸縮が可能なブームと、
請求項1に記載の操縦支援装置と、を備える、
作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機の操縦支援装置及び作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動式クレーン等の作業機により荷物を搬送する場合、移動式クレーンの操縦者は、移動式クレーンのブームを操作するための旋回用操作具、起伏用操作具、伸縮用操作具及び荷物を吊り上げ又は吊り下げるためのウインチ用操作具等の複数の操作具を操作する。
【0003】
又、操縦者は、複数の操作具を同時に操作しつつ、作業現場の構造物等に荷物が接触しないように移動式クレーンを操作しなくてはならない。そこで、操縦者は、荷物の位置についての情報および地物の情報等を、玉掛作業者等から取得することによって、操縦者が視認できない範囲の情報及び時期の情報を補っている。つまり、操縦者は、操縦者の視覚による情報と外部の指示者からの情報とに基づいてクレーンの操縦を行う。
【0004】
又、移動式クレーンは、操縦者が操縦席から認識し難い領域の情報を取得するためにブームカメラ等を有している。移動式クレーンは、搬送中の荷物及び周囲の建造物等の上方からの画像をブームカメラによって取得することができる。例えば、特許文献1の如くである。
【0005】
特許文献1に記載のクレーンは、ブームの先端に設けられているブームカメラで作業現場の画像及びフックに吊り下げられている荷物の画像を取得するとともに、画像に荷物を中心とする基準線、目盛、荷物の移動方向を示す有向線分及び荷物の旋回可能軌道等の少なくとも一つを重畳して表示させる。クレーンの操縦者は、操縦者自身の視覚情報、指示者からの情報及びブームカメラの画像情報を総合的に判断してクレーンを操縦する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-156538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
クレーン操縦者は、指示者の指示内容、及び、指示のタイミングに合わせてクレーンを操作するため、操縦者のペースでクレーンを操作できない。又、操縦者が指示者の意図をくみ取れない場合、又は、通信不良によって指示者からの指示内容が十分に伝わらない場合等に荷物の移動に多くの時間を要することがある。一方、ブームカメラからの画像は、撮影方向及び撮影範囲が限定されている。従って、クレーン操縦者は、ブームカメラからの画像から荷物を効率よく移動させるために必要な情報を十分に取得することができない。
【0008】
本発明の目的は、作業機の作業効率を向上できる操縦支援装置及び作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る操縦支援装置の一態様は、
旋回、起伏及び伸縮が可能なブームを有する作業機の操縦を支援するための操縦支援装置であって、
透明なディスプレイと、
ディスプレイ越しに見える風景に基準面を設定する設定部と、
ディスプレイに表示された基準面と重なるように、作業機の操縦を支援するための仮想画像をディスプレイに表示する制御部と、を備える。
上述のような操縦支援装置を実施する場合に、好ましくは、操縦支援装置は、使用者の頭部に装着可能に構成されてよい。
又、設定部は、操縦支援装置の使用時に、使用者がディスプレイ越しに見える風景に基準面を設定してよい。
又、基準面は、使用時に、使用者がディスプレイ越しに見る風景における地表面、又は、使用者がディスプレイ越しに見る風景において使用者により任意に選択された面であってよい。
更に、制御部は、使用者の視点から見た仮想画像を生成し、生成した仮想画像を、使用者の視野内に重畳するようにディスプレイに表示する。
上述のような操縦支援装置を実施する場合に、具体的には、
仮想画像は、
ブームとともに移動する基準部材の目標位置を示す画像、
旋回、起伏及び伸縮から選択される少なくとも一つのブームの動作にともない、基準部材が目標位置から移動する際に描く軌道を示す画像、及び、
ブームとともに移動する基準部材の現在位置を通り鉛直方向に平行な線を示す画像を含んでよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業機の作業効率を向上できる操縦支援装置及び作業機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置における透過型表示装置が使用者に装着された斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置における透過型表示装置の斜視図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置のブロック図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置において透過型表示装置に表示する仮想画像の模式図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置において透過型表示装置に表示する仮想画像の基準面を変更した状態の模式図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置が接続されるクレーンの側面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置が接続されるクレーンの制御ブロック図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置が第1仮想画像及び第2仮想画像を表示するための情報に必要な情報を生成する際のブロック図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置が第1仮想画像、第2仮想画像、第3仮想画像、第5仮想画像及び第7仮想画像を表示している状態の模式図である。
図10図10は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置が第3仮想画像を表示するための情報に必要な情報を生成するためのブロック図である。
図11図11は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置が第4仮想画像を表示するための情報に必要な情報を生成するためのブロック図である。
図12図12は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置が第3仮想画像、第4仮想画像、第5仮想画像及び第7仮想画像を表示している状態の模式図である。
図13図13は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置が第5仮想画像を表示するための情報に必要な情報を生成するためのブロック図である。
図14図14は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置が第6仮想画像を表示するための情報に必要な情報を生成するためのブロック図である。
図15図15は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置が第1仮想画像、第2仮想画像、第6仮想画像及び第7仮想画像を表示している状態の模式図である。
図16図16は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置が第7仮想画像を表示するための情報に必要な情報を生成するためのブロック図である。
図17図17は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置が第1仮想画像の変形例を表示している状態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図1から図5を用いて、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置1について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る作業機の操縦支援装置における透過型表示装置が使用者に装着された斜視図である。
【0013】
図2は、作業機の操縦支援装置1における透過型表示装置2の斜視図である。図3は、作業機の操縦支援装置1のブロック図である。図4は、作業機の操縦支援装置1において仮想画像Imを表示した模式図である。
【0014】
図5は、作業機の操縦支援装置1において仮想画像Imを表示する基準面S1が変更された模式図である。尚、本実施形態においては、作業機としてラフテレーンクレーン(以下、単に「クレーン」と記す。)ついて説明を行う。
【0015】
しかしながら、作業機は、オールテレーンクレーン、トラッククレーン及び高所作業車等の旋回台を介して起伏可能なブームが設けられた作業機であればよい。
【0016】
図1図2とに示すように、作業機であるクレーン11(図6参照)の操縦支援装置1は、複合現実(Mixed Reality)を用いてクレーン11の操縦を支援するシステムである。操縦支援装置1は、透過型表示装置2と、通信装置8と、画像処理装置9とを有する。
【0017】
透過型表示装置2は、使用者から見て透過型表示装置2の表示画面と重複している透過型表示装置2の背景を使用者が視認可能な表示装置である。透過型表示装置2は、使用者が身体に装着して使用するウェアラブル端末である。
【0018】
本実施形態において、透過型表示装置2は、眼鏡型のウェアラブル端末として説明する。透過型表示装置2は、使用者であるクレーン11の操縦者に装着されている。透過型表示装置2は、フレーム3と、透過型ディスプレイ4と、表示装置用GNSS受信機5と、表示装置用カメラ6と、表示装置用制御装置7とを有する。
【0019】
フレーム3は、透過型ディスプレイ4と、表示装置用GNSS受信機5と、表示装置用カメラ6と、表示装置用制御装置7とを支持する。フレーム3は、眼鏡型フレームとして構成されている。フレーム3は、使用者の頭部に装着される。フレーム3は、使用者の鼻に支持されるブリッジと、両耳に支持される一対のテンプルを有する。
【0020】
透過型ディスプレイ4は、透過率が概ね50%以上のディスプレイである。つまり、透過型ディスプレイ4は、使用者が透過型ディスプレイ4越しに風景を見ることができる透明なディスプレイである。透過型ディスプレイ4は、バックライト、偏光フィルタ及びカラーフィルタを有さない液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又は無機ELディスプレイ等から構成されている。
【0021】
つまり、透過型ディスプレイ4は、使用者と対向している表示画面の背面を覆うバックライト及びフィルタ等の部材が存在しない。従って、透過型ディスプレイ4は、使用者の視点から見て透過型ディスプレイ4と重複している背景が透過している。又、透過型ディスプレイ4は、表示画面に透過型ディスプレイ4の機能によって生成された画像である仮想画像Imを表示することができる。
【0022】
本明細書において、仮想画像とは、透過型表示装置において使用者が視認している風景以外の画像、映像であって、透過型表示装置が表示している線、図形、画像、映像、3次元画像、3次元映像を意味する。つまり、仮想画像は、実際に存在しない物体の画像を前記使用者の視点から見た形状の画像に変換することで使用者が視認している風景に違和感なく表示可能な画像である。仮想画像は、透過型表示装置おいて使用者が視認している風景に重畳して表示される。仮想画像は、使用者による作業機の操縦を支援するための画像でもある。
【0023】
又、本明細書において、視点とは、対象を見るときの立脚点を意味する。使用者の視点とは、使用者が対象物を視認している際の使用者の対象物に対する位置を意味する。
【0024】
透過型ディスプレイ4は、仮想画像Imを表示させない部分において背面から入光した光を透過させる。又、透過型ディスプレイ4は、仮想画像Imを表示させる部分において背面から入光した光の少なくとも一部を遮光する。
【0025】
更に、透過型ディスプレイ4は、遮光した部分に仮想画像Imを表示する。この際、透過型ディスプレイ4には、使用者の視点から見た仮想画像Imが表示される。これにより、透過型ディスプレイ4は、使用者の視点から見た風景Lsに仮想画像Imが重畳して表示された状態を使用者に視認させる。
【0026】
透過型ディスプレイ4は、フレーム3に設けられている。透過型ディスプレイ4は、フレーム3を装着している使用者の右目の視野範囲と左目の視野範囲とを覆うように位置している。透過型ディスプレイ4は、右目用の仮想画像Imと左目用の仮想画像Imとを視差画像としてそれぞれ表示画面に表示可能に構成されている。
【0027】
これにより、透過型ディスプレイ4は、使用者の視野範囲のほぼ全域において立体的な仮想画像Imを表示させることができる。尚、透過型表示装置2において、使用者の視点から見た仮想画像Imを使用者の視野内に表示させる技術は公知である。
【0028】
表示装置用GNSS受信機5は、全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System)を構成する受信機である。表示装置用GNSS受信機5は、衛星から測距電波を受信し、表示装置用GNSS受信機5の絶対座標である緯度、経度、標高及び方位等を検出するものである。
【0029】
表示装置用GNSS受信機5は、使用者が装着しているフレーム3に設けられている。表示装置用GNSS受信機5は、使用者(操縦者)の位置に関する情報Ifaを検出する。
【0030】
使用者の位置に関する情報Ifaは、透過型表示装置2の緯度、経度、標高及び方位等を含む。つまり、使用者の位置に関する情報Ifaは、透過型表示装置2の位置に関する情報である。
【0031】
尚、本実施形態において、表示装置用GNSS受信機5は、フレーム3に設けられているが、使用者の位置に関する情報Ifaを検出することができる位置であればよい。例えば、表示装置用GNSS受信機5は、透過型表示装置2を装着している使用者の身体に装着されていればよい。
【0032】
表示装置用カメラ6は、透過型表示装置2を装着している使用者の視線の方向を撮影する。表示装置用カメラ6は、フレーム3に設けられている。表示装置用カメラ6は、使用者の視点と略等しい位置から使用者の視野範囲と略等しい範囲を撮影するように構成されている。
【0033】
尚、本実施形態において、表示装置用カメラ6は、フレーム3に設けられているが、使用者の視点から使用者の視野範囲を撮影することができる位置であればよい。
【0034】
図3に示すように、表示装置用制御装置7は、制御部の一例に該当し、透過型ディスプレイ4に仮想画像Imを表示させる制御装置である。表示装置用制御装置7は、実体的には、CPU、ROM、RAM及びHDD等がバスで接続されている。又は、表示装置用制御装置7は、ワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。
【0035】
表示装置用制御装置7は、透過型ディスプレイ4、表示装置用GNSS受信機5及び表示装置用カメラ6と接続されている。表示装置用制御装置7は、通信装置8を介して画像処理装置9と接続されている。表示装置用制御装置7は、基準面S1に関する情報Ifdを有している。本実施形態において、基準面S1は、地表面に設定されている。
【0036】
表示装置用制御装置7は、表示装置用GNSS受信機5から使用者の位置に関する情報Ifaを取得することができる。表示装置用制御装置7は、表示装置用カメラ6から表示装置用カメラ6が撮影した画像Pを取得することができる。
【0037】
また、表示装置用制御装置7は、画像処理装置9から仮想画像Imに関する情報Ifを取得することができる。表示装置用制御装置7は、取得した仮想画像Imに関する情報Ifに基づいて仮想画像Imを生成することができる。また、表示装置用制御装置7は、透過型ディスプレイ4に仮想画像Imを表示させることができる。
【0038】
本明細書において、仮想画像に関する情報とは、透過型表示装置の使用者の視点から見た任意の基準面上の画像として透過型表示装置の表示画面に仮想画像を表示するために必要な情報を意味する。仮想画像に関する情報は、仮想画像の座標、表示の状態等を含む。
【0039】
図3図4とに示すように、透過型表示装置2は、使用者が頭部に装着した状態で透過型ディスプレイ4の表示画面に仮想画像Imを表示することができる。又、透過型表示装置2は、仮想画像Imを透過型ディスプレイ4に表示するために必要な使用者の位置に関する情報Ifaを表示装置用GNSS受信機5によって取得することができる。
【0040】
透過型表示装置2は、仮想画像Imに関する情報Ifと使用者の位置に関する情報Ifaとに基づいて、風景Lsが透過している透過型ディスプレイ4の表示画面に使用者の視点から見た仮想画像Imを生成することができる。
【0041】
更に、透過型表示装置2は、透過型ディスプレイ4の表示画面に仮想画像Imを表示することができる。これにより、透過型表示装置2は、仮想画像Imを風景Lsに重ね合わせた状態で透過型表示装置2の使用者に視認させることができる。
【0042】
図3に示すように、通信装置8は、透過型表示装置2と、画像処理装置9と、クレーン用制御装置30との間で情報を送受信する装置である。通信装置8は、透過型表示装置2の表示装置用制御装置7及び画像処理装置9にそれぞれ設けられている。
【0043】
通信装置8は、クレーン用制御装置30と画像処理装置9との間で情報を送信及び受信する。又、通信装置8は、表示装置用制御装置7と画像処理装置9との間で情報を送信及び受信する。
【0044】
尚、本明細書において、通信装置とは、画像処理装置と表示装置用制御装置、画像処理装置と入力装置、画像処理装置と作業機の制御装置との間で情報を送受信する装置を意味する。通信装置は、表示装置用制御装置及び画像処理装置と一体に構成されていてもよい。
【0045】
画像処理装置9は、透過型表示装置2に表示させる仮想画像Imに関する情報Ifを生成する制御装置である。画像処理装置9は、実体的には、CPU、ROM、RAM及びHDD等がバスで接続されている。又は画像処理装置9は、ワンチップのLSI等からなる構成でもよい。
【0046】
本実施形態において、画像処理装置9は、透過型表示装置2に設けられている。画像処理装置9は、透過型表示装置2等の動作を制御したり画像データを処理したりするために種々のプログラムおよびデータが格納されている。尚、画像処理装置9は、表示装置用制御装置7又はクレーン用制御装置30と一体に構成されていてもよい。
【0047】
画像処理装置9は、通信装置8を介して透過型表示装置2の表示装置用制御装置7に接続されている。画像処理装置9は、通信装置8を介して表示装置用制御装置7から表示装置用GNSS受信機5が検出した使用者の位置に関する情報Ifaを取得する。又、画像処理装置9は、通信装置8を介して表示装置用制御装置7から表示装置用カメラ6が撮影した画像Pを取得する。
【0048】
又、画像処理装置9は、通信装置8を介してクレーン用制御装置30からクレーン11の位置に関する情報Ifbを取得する。クレーン11の位置に関する情報Ifbとは、クレーン11の旋回中心が位置する緯度、経度、標高及び車両の方位等を含む。又、画像処理装置9は、通信装置8を介してクレーン用制御装置30にメインフック20aの目標位置Ltに関する情報Ifeを送信する。
【0049】
又、画像処理装置9は、通信装置8を介してクレーン用制御装置30からクレーン11の姿勢に関する情報Ifcを取得する。クレーン11の姿勢に関する情報Ifcとは、クレーン11の旋回角度、ブームの起伏角度、ブーム長さ、メインワイヤロープ24の繰り出し長さ、サブワイヤロープ26の繰り出し長さ及びクレーン11の各操作具の操作方向及び操作量を含む。つまり、クレーン11の姿勢に関する情報Ifcとは、例えば基準部材であるクレーン11のメインフック20aの現在位置Lpに関する情報を含む。
【0050】
又、画像処理装置9は、通信装置8を介して表示装置用制御装置7から基準面S1に関する情報Ifdを取得する。基準面S1に関する情報Ifdとは、使用者の視点から見た仮想画像Imを表示する位置の基準となる基準面S1(図4参照)の位置、傾きを含む。
【0051】
画像処理装置9は、取得したクレーン11の姿勢に関する情報Ifcと基準面S1に関する情報Ifdとに基づいて、複数の基準座標Cを算出する。基準座標Cは、基準面S1上に表示させる仮想画像Imの座標である。画像処理装置9は、透過型ディスプレイ4越しに見える風景に基準面S1を設定する設定部の一例に該当する。
【0052】
画像処理装置9は、取得した使用者の位置に関する情報Ifa、クレーン11の位置に関する情報Ifb及び基準面S1に関する情報Ifdに基づいて、仮想画像Imに関する情報Ifを生成する。仮想画像Imに関する情報Ifは、複数の基準座標Cを使用者の視点から見た基準面S1上の仮想画像Imとして透過型ディスプレイ4の表示画面上に表示するための情報である。画像処理装置9は、生成したクレーンについての仮想画像Imに関する情報Ifを表示装置用制御装置7に送信する。
【0053】
図3図4に示すように、透過型表示装置2は、通信装置8を介してクレーンについての仮想画像Imに関する情報Ifを取得する。基準面S1が地表面である場合、透過型ディスプレイ4を通して使用者が視認している地表面と重複している透過型ディスプレイ4の表示画面上に使用者の視点から見た仮想画像Imを表示する。
【0054】
図5に示すように、画像処理装置9は、取得した表示装置用カメラ6が撮影した画像Pから使用者の身体の一部の動作または特定のマーカの動作を検出すると、仮想画像Imに関する情報Ifを入力する入力動作として認識する。
【0055】
画像処理装置9は、例えば、使用者の手が使用者の視点から見た基準面S1を掴んで移動させる動作を検出すると、手の移動方向及び移動量に応じて基準面S1を新しい位置及び傾きを有する新たな基準面S2に変更する。
【0056】
同様に、画像処理装置9は、例えば、使用者の手が使用者の視点から見た任意の位置を示す動作を検出すると、手の移動方向及び移動量に応じて仮想画像Imを表示する位置を変更する。このように、表示装置用カメラ6は、仮想画像Imに関する情報Ifを入力する入力装置としての機能を有する。
【0057】
本明細書において、入力装置とは、仮想画像を表示するための情報を前記画像処理装置に入力する装置を意味する。入力装置は、画像処理装置、透過型表示装置と一体に構成されていてもよい。入力装置は、透過型表示装置を装着している使用者の視野内における使用者の身体の一部の動作、マーカの動作による入力でもよい。
【0058】
このように構成される操縦支援装置1は、通信装置8を介してクレーン用制御装置30からクレーン11の姿勢に関する情報Ifcを取得する。更に、操縦支援装置1は、通信装置8を介して使用者の位置に関する情報Ifa、及び基準面S1に関する情報Ifdを取得する。
【0059】
操縦支援装置1は、画像処理装置9によって取得した各情報に基づいて仮想画像Imに関する情報Ifを生成する。操縦支援装置1は、仮想画像Imに関する情報Ifに基づいて透過型表示装置2に仮想画像Imを表示させる。操縦支援装置1は、使用者が視認している風景Lsにクレーン11に関する様々な情報を表す仮想画像Imを重畳して表示することで、指示者から取得する情報が操縦に与える影響を抑制し、効率よくクレーン11を操縦できるように使用者によるクレーン11の操縦を支援する。
【0060】
以下に、図6図7とを用いて、本発明の一実施形態に係る作業機であるクレーン11について説明する。図6は、操縦支援装置1が接続されるクレーン11の全体構成を示す。図7は、操縦支援装置1が接続されるクレーン11の制御構成を示す。尚、本実施形態においては、ラフテレーンクレーンについて説明を行うが、オールテレーンクレーン、トラッククレーン、高所作業車等の旋回台を介して起伏可能なブームが設けられた作業機であればよい。
【0061】
図6及び図7に示すように、クレーン11は、任意の場所に移動可能な移動式クレーンである。クレーン11は、車両12、クレーン装置16、撮影装置であるブームカメラ19b及びクレーン用制御装置30(図7参照)を有する。
【0062】
車両12は、クレーン装置16を搬送する走行体である。車両12は、複数の車輪13を有する。車両12は、エンジン14を動力源として走行する。車両12は、アウトリガ15を有する。アウトリガ15は、車両12の幅方向両側に油圧によって延伸可能な張り出しビームと地面に垂直な方向に延伸可能な油圧式のジャッキシリンダとを有する。
【0063】
クレーン装置16は、荷物Wをワイヤロープによって吊り上げる作業装置である。クレーン装置16は、旋回台17、ブーム19、メインフックブロック20、サブフックブロック21、起伏用油圧シリンダ22、メインウインチ23、メインワイヤロープ24、サブウインチ25、サブワイヤロープ26及びキャビン27等を具備する。
【0064】
旋回台17は、クレーン装置16を旋回可能に構成する回転装置である。旋回台17は、円環状の軸受を介して車両12のフレーム上に設けられる。旋回台17は、円環状の軸受の中心を回転中心として回転自在に構成されている。
【0065】
旋回台17には、アクチュエータである油圧式の旋回用油圧モータ17aを有する。旋回台17は、旋回用油圧モータ17aによって一方向と他方向とに旋回可能に構成されている。
【0066】
クレーン用GNSS受信機18(図7参照)は、全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System)を構成する受信機である。
【0067】
クレーン用GNSS受信機18は、衛星から測距電波を受信し、クレーン用GNSS受信機18の絶対座標である緯度、経度、標高及び方位等を検出するものである。クレーン用GNSS受信機18は、旋回台17に設けられている。
【0068】
クレーン用GNSS受信機18は、クレーン11の位置に関する情報Ifbを検出する。クレーン11の位置に関する情報Ifbは、クレーン11の緯度、経度、標高及び方位等を含む。
【0069】
ブーム19は、メインワイヤロープ24及びサブワイヤロープ26を支持する可動支柱である。ブーム19は、複数のブーム部材から構成されている。ブーム19は、ベースブーム部材の基端が旋回台17の略中央に揺動可能に設けられている。
【0070】
ブーム19は、各ブーム部材を伸縮させるアクチュエータである伸縮用油圧シリンダ19a(図7参照)とブーム部材を起伏させる起伏用油圧シリンダ22を有する。ブーム19は、伸縮用油圧シリンダ19aによって軸方向に伸縮される。
【0071】
又、ブーム19には、撮影装置であるブームカメラ19b(図7参照)を有する。更に、ブーム19は、延長用部材であるジブ19cを有する。ブームカメラ19bが撮影した画像は、クレーン11の表示装置等に表示される。
【0072】
メインフックブロック20とサブフックブロック21とは、荷物Wを吊る部品である。メインフックブロック20は、メインワイヤロープ24が巻き掛けられる複数のフックシーブと、荷物Wを吊るメインフック20aとを有する。サブフックブロック21は、荷物Wを吊るサブフック21aを有する。
【0073】
起伏用油圧シリンダ22は、ブーム19を起立及び倒伏させ、ブーム19の姿勢を保持するアクチュエータである。起伏用油圧シリンダ22のシリンダ部の端部は、旋回台17に起伏自在に連結されている。起伏用油圧シリンダ22のロッド部の端部は、ブーム19のベースブーム部材に揺動自在に連結されている。
【0074】
メインウインチ23は、メインワイヤロープ24の繰り入れ(巻き上げ)及び繰り出し(巻き下げ)を行う装置である。サブウインチ25は、サブワイヤロープ26の繰り入れ(巻き上げ)及び繰り出し(巻き下げ)を行う装置である。
【0075】
メインウインチ23は、メインワイヤロープ24が巻きつけられるメインドラムがアクチュエータである図示しないメイン用油圧モータによって回転される。サブウインチ25は、サブワイヤロープ26が巻きつけられるサブドラムがアクチュエータである図示しないサブ用油圧モータによって回転される。
【0076】
キャビン27は、操縦席を覆う筐体である。キャビン27は、旋回台17に搭載されている。キャビン27には、図示しない操縦席が設けられている。操縦席には、車両12を走行操作するための走行用操作具28、クレーン装置16の旋回用油圧モータ17aを操作する旋回用操作具29a、伸縮用シリンダを操作する伸縮用操作具29b、起伏用油圧シリンダ22を操作する起伏用操作具29c、メインウインチ23を操作するメイン用操作具29d及びサブウインチ25を操作するサブ用操作具29eを含むクレーン装置用操作具29等が設けられている(図2参照)。
【0077】
図7に示すように、クレーン用制御装置30は、クレーン11の各アクチュエータを制御する。クレーン用制御装置30は、キャビン27内に設けられている。クレーン用制御装置30は、実体的には、CPU、ROM、RAM及びHDD等がバスで接続されている。クレーン用制御装置30は、ワンチップのLSI等から構成されてもよい。
【0078】
クレーン用制御装置30は、各アクチュエータ及び切換え弁等の動作を制御したり画像データを処理したりするために種々のプログラム及びデータが格納されている。クレーン用制御装置30は、通信装置30aを有している。通信装置30aは、操縦支援装置1の画像処理装置9との間で情報を送信及び受信する。
【0079】
クレーン用制御装置30は、クレーン用GNSS受信機18に接続されている。クレーン用制御装置30は、クレーン11の位置に関する情報Ifbを取得することができる。クレーン用制御装置30は、走行用操作具28及びクレーン装置用操作具29に接続されている。
【0080】
クレーン用制御装置30は、走行用操作具28及びクレーン装置用操作具29それぞれの操作信号を取得できる。クレーン用制御装置30は、走行用操作具28の操作により生成される操作信号に基づいて、車両12の制御信号を生成する。
【0081】
同様に、クレーン用制御装置30は、クレーン装置用操作具29の操作により生成される操作信号に基づいて、クレーン装置16の制御信号を生成する。クレーン用制御装置30は、生成した制御信号をクレーン装置16の各アクチュエータに送信することができる。
【0082】
クレーン用制御装置30は、通信装置30aを介して操縦支援装置1の画像処理装置9に接続されている。クレーン用制御装置30は、画像処理装置9にクレーン11の位置に関する情報Ifb、クレーン11の姿勢に関する情報Ifc及びメインフック20aの経路に関する情報Ifhを送信する。クレーン用制御装置30は、通信装置30aを介して画像処理装置9からメインフック20aの目標位置Ltに関する情報Ifeを取得することができる。
【0083】
このように構成されるクレーン11は、走行用操作具28の操作によって車両12を任意の位置に移動させることができる。又、クレーン11は、クレーン装置用操作具29の操作によって、ブーム19を旋回、起伏及び伸縮させることで荷物Wを任意の位置に搬送することができる。又、クレーン11は、クレーン装置用操作具29の操作によって、メインウインチ23等で荷物Wを吊り上げたり吊り下げたりすることができる。
【0084】
次に、図8から図16を用いて、クレーン11の操縦者に対する操縦支援装置1による操縦支援について説明する。
【0085】
図8は、クレーン11の操縦支援装置1が第1仮想画像Im1及び第2仮想画像Im2を表示するための情報に必要な情報の取得状態を示す。図9は、クレーン11の操縦支援装置1が第1仮想画像Im1、第2仮想画像Im2、第3仮想画像Im3、第5仮想画像Im5及び第7仮想画像Im7を表示している状態を示す。
【0086】
図10は、クレーン11の操縦支援装置1が第3仮想画像Im3を表示するための情報に必要な情報の取得状態を示す。図11は、クレーン11の操縦支援装置1が第4仮想画像Im4を表示するための情報に必要な情報の取得状態を示す。
【0087】
図12は、クレーン11の操縦支援装置1が第3仮想画像Im3、第4仮想画像Im4、第5仮想画像Im5及び第7仮想画像Im7を表示している状態を示す。図13は、クレーン11の操縦支援装置1が第5仮想画像Im5を表示するための情報に必要な情報の取得状態を示す。
【0088】
図14は、クレーン11の操縦支援装置1が第6仮想画像Im6を表示するための情報に必要な情報の取得状態を示す。図15は、クレーン11の操縦支援装置1が第1仮想画像Im1、第2仮想画像Im2、第6仮想画像Im6及び第7仮想画像Im7を表示している状態を示す。図16は、クレーン11の操縦支援装置1が第7仮想画像Im7を表示するための情報に必要な情報の取得状態を示す。
【0089】
クレーン11の操縦者は、透過型表示装置2の使用者である。クレーン11の操縦者は、透過型表示装置2を頭部に装着した状態でクレーン11を操縦する。又、クレーン11の操縦者は、クレーン11のキャビン27(図6参照)内に着席した状態でクレーン11を操縦している。本実施形態において、基準部材は、クレーン11のメインフック20aとする。尚、基準部材は、クレーン11によって搬送される荷物Wでもよい。
【0090】
<メインフック20aの現在位置Lpにおける軌道表示>
図8図9とに示すように、操縦支援装置1は、基準部材であるメインフック20aの現在位置Lpにおける軌道を第1仮想画像Im1として透過型表示装置2に表示する。
【0091】
本明細書において、軌道とは、作業機の操作具毎の操作によって作業機の基準部材が通過する座標の集合を連続する線で表した図形を意味する。又、軌道には、操作具毎の操作によって作業機の基準部材が通過する座標の集合を任意の基準面上の座標に変換し、連続する線で表した図形を含む。
【0092】
画像処理装置9は、取得したクレーン11の姿勢に関する情報Ifcと基準面S1に関する情報Ifdとに基づいて、ブーム19の先端を基準とするメインフック20aの現在位置Lpと、クレーン11のクレーン装置用操作具29(図7参照)が操作された場合にクレーン11によって移動されるメインフック20aの現在位置Lpからの軌道(以下、単に「メインフック20aの現在位置Lpからの軌道」と記す。)とを基準面S1上で表示するための複数の第1基準座標C1を算出する。
【0093】
画像処理装置9は、取得した操縦者(使用者)の位置に関する情報Ifaとクレーン11の位置に関する情報Ifbとに基づいて、複数の第1基準座標C1を操縦者の視点から見た基準面S1上の第1仮想画像Im1として透過型ディスプレイ4の表示画面上に表示するための情報を生成する。
【0094】
つまり、画像処理装置9は、操縦者の視点から見た基準面S1上のメインフック20aの現在位置Lpとメインフック20aの現在位置Lpからの軌道とに関する情報をクレーン11についての第1仮想画像Im1に関する情報If1として生成する。画像処理装置9は、生成したクレーン11についての第1仮想画像Im1に関する情報If1を表示装置用制御装置7に送信する。
【0095】
表示装置用制御装置7は、前記通信装置8を介してクレーン11についての第1仮想画像Im1に関する情報If1を取得する。表示装置用制御装置7は、透過型ディスプレイ4の表示画面上にクレーン11についての第1仮想画像Im1に関する情報If1に基づいて第1仮想画像Im1である操縦者の視点から見た基準面S1上のメインフック20aの現在位置Lp及びメインフック20aの現在位置Lpからの軌道を表示する。
【0096】
基準面S1が地表面である場合、表示装置用制御装置7は、透過型ディスプレイ4を通して操縦者が視認している地表面と重複する透過型ディスプレイ4の表示画面上に操縦者の視点から見た地表面上のメインフック20aの現在位置Lp及びメインフック20aの現在位置Lpからの軌道を第1仮想画像Im1として表示する。
【0097】
尚、第1仮想画像Im1は、メインフック20aが現在位置Lpに位置する状態から、操縦者が旋回用操作具29aを操作した場合にメインフック20aが移動する軌道を、基準面S1上に投影した画像と捉えてよい。
【0098】
第1仮想画像Im1は、メインフック20aが現在位置Lpに位置する状態から、操縦者が伸縮用操作具29b又は起伏用操作具29cを操作した場合にメインフック20aが移動する軌道を、基準面S1上に投影した画像であってもよい。
【0099】
或いは、第1仮想画像Im1は、メインフック20aが現在位置Lpに位置する状態から、操縦者が旋回用操作具29a、伸縮用操作具29b及び起伏用操作具29cから選択される少なくとも2つの操作具を同時に操作した場合にメインフック20aが移動する軌道を、基準面S1上に投影した画像であってもよい。
【0100】
操縦者は、透過型表示装置2によって実際の風景Lsである作業現場の地表面上にメインフック20aの現在位置Lp及びメインフック20aの現在位置Lpからの軌道が重畳して表示されているように認識する。
【0101】
操縦者は、操縦席からメインフック20aが視認できない状態でもメインフック20aの現在位置Lp及びメインフック20aの現在位置Lpからの軌道を地表面上において視認することができる。
【0102】
前記操縦支援装置1は、第1仮想画像Im1を操縦者の視野内に重畳して表示することで、メインフック20aの現在位置Lp、メインフック20aと地物との位置関係を把握するための情報を操縦者に提供する。
【0103】
又、操縦支援装置1は、操縦者が所望する任意の方向及び位置からのメインフック20aの軌道を操縦者の視野内に表示する。従って、操縦者は、玉掛担当の指示者からの指示が不十分であっても、操縦者の視野内に表示されているメインフック20aの軌道によってクレーン11を操縦するために必要な情報を補うことができる。これにより、操縦者は、指示者から取得する情報が操縦に与える影響を抑制し、効率よくクレーン11を操縦することができる。
【0104】
<メインフック20aの目標位置Ltにおける軌道表示>
図8図9とに示すように、操縦支援装置1は、ブーム19の先端を基準とするメインフック20aの目標位置Ltにおける軌道を第2仮想画像Im2として透過型表示装置2に表示してもよい。
【0105】
画像処理装置9は、入力装置の機能を有する表示装置用カメラ6によって、操縦者の視点における操縦者の手またはマーカの画像を取得する。画像処理装置9は、取得した画像における操縦者の手の動作またはマーカの種類からメインフック20aの目標位置Ltに関する情報Ifeか否かを判定する。
【0106】
画像処理装置9は、取得した画像がメインフック20aの目標位置Ltに関する情報Ifeであると判定すると、画像内における操縦者の手の形、位置及び移動方向またはマーカの種類、位置及び移動方向等からメインフック20aの目標位置Ltを特定する。
【0107】
画像処理装置9は、取得したクレーン11の姿勢に関する情報Ifc、基準面S1に関する情報Ifd及びメインフック20aの目標位置Ltに関する情報Ifeに基づいて、複数の第2基準座標C2を算出する。
【0108】
複数の第2基準座標C2は、メインフック20aの目標位置Ltと、クレーン11のクレーン装置用操作具29(図7参照)が操作された場合にクレーン11によって移動されるメインフック20aの目標位置Ltからの軌道(以下、単に「メインフック20aの目標位置Ltからの軌道」と記す。)とを基準面S1上で表示するための座標である。
【0109】
画像処理装置9は、取得した操縦者の位置に関する情報Ifaとクレーン11の位置に関する情報Ifbとに基づいて、複数の第2基準座標C2を操縦者の視点から見た基準面S1上の第2仮想画像Im2として透過型ディスプレイ4の表示画面上に表示するための情報を生成する。
【0110】
つまり、画像処理装置9は、操縦者の視点から見た基準面S1上のメインフック20aの目標位置Ltとメインフック20aの目標位置Ltからの軌道とに関する情報をクレーン11についての第2仮想画像Im2に関する情報If2として生成する。
【0111】
画像処理装置9は、生成したクレーン11についての第2仮想画像Im2に関する情報If2を表示装置用制御装置7に送信する。
【0112】
表示装置用制御装置7は、前記通信装置8を介してクレーン11についての第2仮想画像Im2に関する情報If2を取得する。表示装置用制御装置7は、透過型ディスプレイ4の表示画面上にクレーン11についての第2仮想画像Im2に関する情報If2に基づいて第2仮想画像Im2を表示する。ここで、第2仮想画像Im2は、操縦者の視点から見た基準面S1上のメインフック20aの目標位置Lt及びメインフック20aの目標位置Ltからの軌道に関する画像である。
【0113】
操縦者は、透過型表示装置2によって、実際の風景Lsである作業現場の地表面上にメインフック20aの目標位置Lt及びメインフック20aの目標位置Ltからの軌道が重畳して表示されているように認識する。
【0114】
第1仮想画像Im1であるメインフック20aの現在位置Lpからの軌道と第2仮想画像Im2であるメインフック20aの目標位置Ltからの軌道とが共に表示されている場合、操縦者は、操縦席からメインフック20aが視認できない状態でもメインフック20aの現在位置Lpと目標位置Ltとの位置関係及びメインフック20aの目標位置Ltにおける地物との位置関係を地表面上において視認することができる。
【0115】
従って、操縦者は、指示者からの指示が不十分であっても、操縦者の視野内に表示されているメインフック20aの目標位置Ltにおける軌道によってメインフック20aを目標位置Ltまで移動させるために必要な情報を補うことができる。これにより、操縦者は、指示者から取得する情報が操縦に与える影響を抑制し、効率よく前記作業機を操縦することができる。
【0116】
<メインフック20aの現在位置Lpにおける垂線表示>
図9図10とに示すように、操縦支援装置1は、メインフック20aの現在位置Lpまたは表示位置を通過する垂線(つまり、鉛直方向に平行な線)を第3仮想画像Im3として透過型表示装置2に表示してもよい。
【0117】
画像処理装置9は、取得したクレーン11の姿勢に関する情報Ifcと基準面S1に関する情報Ifdとに基づいて、メインフック20aの現在位置Lpと、メインフック20aの現在位置Lpからの軌道とを基準面S1上で表示するための複数の第1基準座標C1を算出する。
【0118】
更に、画像処理装置9は、算出した第1基準座標C1に基づいて、メインフック20aの現在位置Lpを通過する垂線を表示するための複数の第3基準座標C3を算出する。
【0119】
画像処理装置9は、取得した操縦者の位置に関する情報Ifaとクレーン11の位置に関する情報Ifbとに基づいて、複数の第3基準座標C3を操縦者の視点から見た第3仮想画像Im3として透過型ディスプレイ4の表示画面上に表示するための情報を生成する。
【0120】
つまり、画像処理装置9は、操縦者の視点から見たメインフック20aの現在位置Lpを通過する垂線に関する情報をクレーン11についての第3仮想画像Im3に関する情報If3として生成する。
【0121】
画像処理装置9は、生成したクレーン11についての第3仮想画像Im3に関する情報If3を表示装置用制御装置7に送信する。尚、クレーン11についての第3仮想画像Im3に関する情報If3は、メインフック20aの目標位置Ltを通過する垂線に関する情報を含んでいてもよい。
【0122】
表示装置用制御装置7は、通信装置8を介してクレーン11についての第3仮想画像Im3に関する情報If3を取得する。表示装置用制御装置7は、クレーン11についての第3仮想画像Im3に関する情報If3に基づいて第3仮想画像Im3を透過型ディスプレイ4の表示画面上に表示する。ここで、第3仮想画像Im3は、操縦者の視点から見たメインフック20aの現在位置Lpを通過する垂線に関する画像である。
【0123】
操縦者は、透過型表示装置2によって、実際の風景Ls内にメインフック20aの現在位置Lpを示す垂線が重畳して表示されているように認識する。
【0124】
第3仮想画像Im3であるメインフック20aの現在位置Lpからの垂線と第2仮想画像Im2であるメインフック20aの目標位置Ltからの垂線とが共に表示されている場合、操縦者は、操縦席からメインフック20aが視認できない状態でもメインフック20aの現在位置Lpと目標位置Ltとの位置関係を認識することができる。
【0125】
また、操縦者は、メインフック20aの現在位置Lpまたは目標位置Ltにおけるメインフック20aの上下方向の軌道と地物との位置関係を視認することができる。従って、操縦者は、指示者からの指示が不十分であっても、指示者から取得する情報が操縦に与える影響を抑制し、効率よくクレーン11を操縦することができる。
【0126】
<新たな基準面S2におけるメインフック20aの軌道表示>
図11図12とに示すように、操縦支援装置1は、任意に指定される新たな基準面S2におけるメインフック20aの現在位置Lpにおける軌道と目標位置Ltにおける軌道の少なくとも一つを第4仮想画像Im4として透過型表示装置2に表示してもよい。
【0127】
画像処理装置9は、入力装置の機能を有する表示装置用カメラ6によって、操縦者の視点における操縦者の手またはマーカの画像Pを取得する。画像処理装置9は、取得した画像Pにおける操縦者の手の動作またはマーカの種類から新たな基準面S2に関する情報Iffか否かを判定する。
【0128】
画像処理装置9は、取得した画像が新たな基準面S2に関する情報Iffであると判定すると、画像P内における操縦者の手の形、位置及び移動方向またはマーカの種類、位置及び移動方向等から新たな基準面S2の位置及び傾きを特定する。
【0129】
画像処理装置9は、クレーン11の姿勢に関する情報Ifcと新たな基準面S2に関する情報Iffとに基づいて、複数の第4基準座標C4を算出する。第4基準座標C4は、メインフック20aの現在位置Lpとメインフック20aの現在位置Lpからの軌道とを新たな基準面S2上で表示するための座標である。
【0130】
画像処理装置9は、取得した操縦者の位置に関する情報Ifaとクレーン11の位置に関する情報Ifbとに基づいて、複数の第4基準座標C4を操縦者の視点から見た新たな基準面S2上の第4仮想画像Im4として透過型ディスプレイ4の表示画面上に表示するための情報を生成する。
【0131】
つまり、画像処理装置9は、操縦者の視点から見た新たな基準面S2上のメインフック20aの現在位置Lpとメインフック20aの現在位置Lpからの軌道とに関する情報をクレーン11についての第4仮想画像Im4に関する情報If4として生成する。
【0132】
画像処理装置9は、生成したクレーン11についての第4仮想画像Im4に関する情報If4を表示装置用制御装置7に送信する。
【0133】
尚、クレーン11についての第4仮想画像Im4に関する情報If4は、メインフック20aの目標位置Ltとメインフック20aの目標位置Ltからの軌道とに関する情報を含んでいてもよい。
【0134】
表示装置用制御装置7は、通信装置8を介してクレーン11についての第4仮想画像Im4に関する情報If4を取得する。表示装置用制御装置7は、透過型ディスプレイ4の表示画面上にクレーン11についての第4仮想画像Im4に関する情報If4に基づいて第4仮想画像Im4を表示する。ここで、第4仮想画像Im4は、操縦者の視点から見た新たな基準面S2上のメインフック20aの現在位置Lp及びメインフック20aの現在位置Lpからの軌道に関する画像である。
【0135】
操縦者は、透過型表示装置2によって、実際の風景Lsである作業現場内で任意に設定した新たな基準面S2上にメインフック20aの現在位置Lp及びメインフック20aの現在位置Lpからの軌道が重畳して表示されているように認識する。
【0136】
第4仮想画像Im4としてメインフック20aの現在位置Lpからの軌道とメインフック20aの目標位置Ltからの軌道とが共に表示されている場合、操縦者は、操縦席からメインフック20aが視認できない状態でも、メインフック20aの現在位置Lpと目標位置Ltとの位置関係及びメインフック20aの目標位置Ltにおける地物との位置関係を新たな基準面S2上において視認することができる。
【0137】
従って、操縦者は、指示者からの指示が不十分であっても、操縦者の視野内に表示されている新たな基準面S2上のメインフック20aの現在位置Lp及び目標位置Ltにおける軌道によってメインフック20aを目標位置Ltまで移動させるために必要な情報を補うことができる。これにより、操縦者は、指示者から取得する情報が操縦に与える影響を抑制し、効率よくクレーン11を操縦することができる。
【0138】
<メインフック20aの移動方向表示>
図12図13とに示すように、操縦支援装置1は、メインフック20aの移動方向を示すベクトル線図を第5仮想画像Im5として透過型表示装置2に表示してもよい。
【0139】
画像処理装置9は、上述のようにクレーン11についての第1仮想画像Im1に関する情報If1を生成する。更に、画像処理装置9は、通信装置8を介してクレーン用制御装置30からメインフック20aの移動方向及び移動速度に関する情報Ifgを取得する。
【0140】
画像処理装置9は、クレーン11の姿勢に関する情報Ifc、基準面S1に関する情報Ifd及びメインフック20aの移動方向及び移動速度に関する情報Ifgに基づいて、複数の第5基準座標C5を算出する。第5基準座標C5は、メインフック20aの移動方向と移動速度とを表すベクトル線図を基準面S1上で表示するための座標である。
【0141】
画像処理装置9は、取得した操縦者の位置に関する情報Ifaとクレーン11の位置に関する情報Ifbとに基づいて、複数の第5基準座標C5を操縦者の視点から見た第5仮想画像Im5として透過型ディスプレイ4の表示画面上に表示するための情報を生成する。
【0142】
つまり、画像処理装置9は、操縦者の視点から見たメインフック20aの現在位置Lpからの移動方向を示すベクトル線図に関する情報をクレーン11についての第5仮想画像Im5に関する情報If5として生成する。
【0143】
画像処理装置9は、生成したクレーン11についての第1仮想画像Im1に関する情報If1とクレーン11についての第5仮想画像Im5に関する情報If5とを表示装置用制御装置7に送信する。
【0144】
表示装置用制御装置7は、前記通信装置8を介してクレーン11についての第1仮想画像Im1に関する情報If1とクレーン11についての第5仮想画像Im5に関する情報If5を取得する。
【0145】
表示装置用制御装置7は、クレーン11についての第1仮想画像Im1に関する情報If1に基づいて第1仮想画像Im1である操縦者の視点から見たメインフック20aの現在位置Lpを透過型ディスプレイ4の表示画面上に表示する。
【0146】
又、表示装置用制御装置7は、クレーン11についての第5仮想画像Im5に関する情報If5に基づいて第5仮想画像Im5である操縦者の視点から見たメインフック20aの現在位置Lpからの移動方向を示すベクトル線図を透過型ディスプレイ4の表示画面上に表示する。
【0147】
操縦者は、透過型表示装置2によって、実際の風景Ls内にクレーン装置用操作具29の操作によるメインフック20aの現在位置Lpからの移動方向が重畳して表示されているように認識する。
【0148】
第1仮想画像Im1であるメインフック20aの現在位置Lpと第2仮想画像Im2であるメインフック20aの目標位置Ltとが共に表示されている場合、操縦者は、操縦席からメインフック20aが視認できない状態でもクレーン装置用操作具29の操作によるメインフック20aの現在位置Lpからの移動方向と目標位置Ltとの位置関係を認識することができる。従って、操縦者は、指示者からの指示が不十分であっても、指示者から取得する情報が操縦に与える影響を抑制し、効率よくクレーン11を操縦することができる。
【0149】
<メインフック20aの経路表示>
図14図15とに示すように、操縦支援装置1は、メインフック20aの現在位置Lpから目標位置Ltまでの経路を第6仮想画像Im6として透過型表示装置2に表示してもよい。
【0150】
画像処理装置9は、メインフック20aの現在位置Lpに関する情報を含むクレーン11の姿勢に関する情報Ifcを取得する。更に、画像処理装置9は、表示装置用カメラ6によって、メインフック20aの目標位置Ltに関する情報Ifeを取得する。画像処理装置9は、通信装置8を介してメインフック20aの目標位置Ltに関する情報Ifeをクレーン用制御装置30に送信する。
【0151】
クレーン用制御装置30は、メインフック20aの目標位置Ltに関する情報Ifeを取得する。クレーン用制御装置30は、メインフック20aを現在位置Lpからメインフック20aの目標位置Ltまで移動させた場合に各アクチュエータのポンプ流量が最小になるメインフック20aの経路を算出する。
【0152】
クレーン用制御装置30は、通信装置8を介して算出したメインフック20aの経路に関する情報Ifhを画像処理装置9に送信する。尚、メインフック20aを現在位置Lpから目標位置Ltまで移動させた場合に各アクチュエータのポンプ流量が最小になる経路の算出方法は既知の技術である。
【0153】
画像処理装置9は、上述のようにクレーン11についての第1仮想画像Im1に関する情報If1とクレーン11についての第2仮想画像Im2に関する情報If2を生成する。
【0154】
更に、画像処理装置9は、メインフック20aの経路に関する情報Ifhを取得する。画像処理装置9は、取得したクレーン11の姿勢に関する情報Ifcとメインフック20aの経路に関する情報Ifhとに基づいて、複数の第6基準座標C6を算出する。第6基準座標C6は、メインフック20aの現在位置Lpから目標位置Ltまでの経路を表示するための座標である。
【0155】
画像処理装置9は、取得した操縦者の位置に関する情報Ifaとクレーン11の位置に関する情報Ifbとに基づいて、複数の第6基準座標C6を操縦者の視点から見た第6仮想画像Im6として透過型ディスプレイ4の表示画面上に表示するための情報を生成する。
【0156】
つまり、画像処理装置9は、操縦者の視点から見たメインフック20aの現在位置Lpから目標位置Ltまでの経路に関する情報をクレーン11についての第6仮想画像Im6に関する情報If6として生成する。
【0157】
画像処理装置9は、生成したクレーン11についての第1仮想画像Im1に関する情報If1とクレーン11についての第2仮想画像Im2に関する情報If2とクレーン11についての第6仮想画像Im6に関する情報If6とを表示装置用制御装置7に送信する。
【0158】
表示装置用制御装置7は、通信装置8を介してクレーン11についての第1仮想画像Im1に関する情報If1、クレーン11についての第2仮想画像Im2に関する情報If2およびクレーン11についての第6仮想画像Im6に関する情報If6を取得する。
【0159】
表示装置用制御装置7は、透過型ディスプレイ4の表示画面上に第1仮想画像Im1及び第2仮想画像Im2とともに、クレーン11についての第6仮想画像Im6に関する情報If6に基づいて第6仮想画像Im6を表示する。ここで、第6仮想画像Im6は、操縦者の視点から見たメインフック20aの現在位置Lpから目標位置Ltまでの経路に関する画像である。
【0160】
操縦者は、透過型表示装置2によって、実際の風景Lsである作業現場の地表面上にメインフック20aの現在位置Lpから目標位置Ltまでの経路が重畳して表示されているように認識する。
【0161】
操縦者は、メインフック20aの現在位置Lpと目標位置Ltとの位置関係及びメインフック20aの経路と地物との位置関係を予め視認することができる。従って、操縦者は、指示者からの指示が不十分であっても、操縦者の視野内に表示されているメインフック20aの経路によってメインフック20aを現在位置Lpから目標位置Ltまで移動させるために必要な情報を補うことができる。これにより、操縦者は、指示者から取得する情報が操縦に与える影響を抑制し、効率よくクレーン11を操縦することができる。
【0162】
<インジケータの表示>
図15図16とに示すように、操縦支援装置1は、クレーン11の操縦に関係する各種インジケータを第7仮想画像Im7として透過型表示装置2に表示してもよい。
【0163】
画像処理装置9は、操縦者の視点から見て特定の仮想画像Imのみを表示するクレーン11の特定領域Aに関する情報Ifiを有する。画像処理装置9は、通信装置8を介してクレーン用制御装置30からクレーン11の運転状態に関する情報Ifjを取得する。
【0164】
画像処理装置9は、クレーン11の特定領域Aに関する情報Ifiとクレーン11の運転状態に関する情報Ifjとに基づいて、特定領域Aに表示するクレーン11の運転状態を示すエンジン回転数計、油圧計、油音計及び各種警告灯等を表示するための複数の第7基準座標C7を算出する。
【0165】
画像処理装置9は、複数の第7基準座標C7を操縦者の視点から見た第7仮想画像Im7として透過型ディスプレイ4の表示画面上に表示するための情報を生成する。
【0166】
つまり、画像処理装置9は、操縦者の視点から見た特定領域Aに表示するクレーンの運転状態を示すエンジン回転数計、油圧計、油音計及び各種警告灯等に関する情報をクレーン11についての第7仮想画像Im7に関する情報If7として生成する。
【0167】
画像処理装置9は、生成したクレーン11についての第7仮想画像Im7に関する情報If7を表示装置用制御装置7に送信する。
【0168】
表示装置用制御装置7は、通信装置8を介してクレーン11についての第7仮想画像Im7に関する情報If7を取得する。表示装置用制御装置7は、クレーン11についての第7仮想画像Im7に関する情報If7に基づいて第7仮想画像Im7を透過型ディスプレイ4の特定領域A上に表示する。ここで、第7仮想画像Im7は、操縦者の視点から見たクレーンの運転状態を示すエンジン回転数計、油圧計、油音計及び各種警告灯に関する画像である。
【0169】
操縦者は、透過型表示装置2によって、実際の風景Ls内にクレーン11の運転状態を示すエンジン回転数計、油圧計、油音計及び各種警告灯等が重畳して表示されているように認識する。
【0170】
従って、操縦者は、視線をキャビン27内の操作盤に移動させることなくクレーン11の運転状態に関するインジケータを視認できるので、効率よくクレーン11を操縦することができる。
【0171】
<併用操作時の軌道表示>
図17に示すように、操縦支援装置1は、クレーン装置用操作具29のうち複数の操作具を併用操作した場合の軌道を第1仮想画像Im1の変形例として透過型表示装置2に表示してもよい。
【0172】
画像処理装置9は、クレーン装置用操作具29のうち複数の操作具の複数の操作信号を取得すると、取得した複数の操作信号に基づいた速度で各部が移動した場合のメインフック20aの現在位置Lpからの軌道を表示するための情報を生成する。
【0173】
表示装置用制御装置7は、生成された情報に従って、複数の操作信号に基づいた速度で各部が移動した場合のメインフック20aの現在位置Lpからの軌道を第1仮想画像Im1の変形例として表示する。
【0174】
メインフック20aの現在位置Lpからの軌道である第1仮想画像Im1は、クレーン装置用操作具29のうち複数の操作具を操作することで任意の軌道に変更することができる。
【0175】
第1仮想画像Im1は、例えばブーム19の旋回用操作具29aと起伏用操作具29cとの併用操作によって現在位置Lpを通過する円弧軌道から楕円軌道に変化する。従って、操縦者は、クレーン装置用操作具29を操作することで第1仮想画像Im1が目標位置Ltを通過する場合、現在のクレーン装置用操作具29の操作量を維持することでメインフック20aを目標位置Ltまで移動させることができる。
【0176】
<他の実施形態>
上述の各実施形態において、クレーン11の操縦支援装置1は、第1仮想画像Im1、第2仮想画像Im2、第3仮想画像Im3、第4仮想画像Im4、第5仮想画像Im5、第6仮想画像Im6及び第7仮想画像Im7のいずれかを透過型表示装置2に表示させている。
【0177】
しかしながら、クレーン11の操縦支援装置1は、第1仮想画像Im1から第7仮想画像Im7の少なくとも一つを透過型表示装置2の使用者が任意に選択して表示させてもよい。また、クレーン11の操縦支援装置1は、上述の実施形態で表示している仮想画像に限らず、作業機の操縦を支援する仮想画像を表示するものであればよい。
【0178】
また、上述の実施形態として、操縦支援装置1の透過型表示装置2は、クレーン11のキャビン27内でクレーン11を操縦している操縦者に装着されている。しかしながら、透過型表示装置2は、クレーン11の外部からクレーン11を遠隔操作する操縦者に装着されてもよい。
【0179】
例えば、搬送する荷物Wの近傍においてクレーン11を遠隔操作する操縦者が透過型表示装置2を装着している場合、操縦者は、透過型表示装置2において第1仮想画像Im1と第2仮想画像Im2とを表示させることで、荷物Wの位置に対するメインフック20aの現在位置Lpをより正確に視認することができる。
【0180】
また、上述の各実施形態において、クレーン11の操縦支援装置1の透過型表示装置2は、クレーン11の操縦者に装着されている。しかしながら、透過型表示装置2は、クレーン11の操縦者以外の作業者に装着されてもよい。
【0181】
例えば、玉掛者が透過型表示装置2を装着している場合、前記玉掛者は、透過型表示装置2において第1仮想画像Im1と第3仮想画像Im3とを表示させることで荷物Wに対するメインフック20aの現在位置Lp等をより正確にクレーン11の操縦者に伝えることができる。
【0182】
また、上述の各実施形態において、クレーン11の操縦支援装置1の透過型表示装置2は、クレーン11の操縦者に装着されている。しかしながら、透過型表示装置2は、クレーン11の操縦者とクレーン11の操縦者以外の作業者の少なくとも一人に装着されてもよい。
【0183】
例えば、クレーン11の操縦者と玉掛者とがそれぞれ透過型表示装置2を装着している場合、クレーン11の操縦支援装置1は、それぞれの透過型表示装置2に同一のクレーン11の姿勢に関する情報Ifcに基づいた同一または異なる種類の仮想画像Imを表示させる。これにより、クレーン11の操縦者と玉掛者は、それぞれの位置における視野内において同一のクレーン11の姿勢に関する情報Ifcに基づいた仮想画像Imを視認しているので、荷物Wに対するメインフック20aの位置等をより正確に共有することができる。
【0184】
また、上述の実施形態として、操縦支援装置1は、クレーン11の操縦支援装置1として構成されている。しかしながら、操縦支援装置は、作業機である高所作業車の操縦支援装置として構成されていてもよい。
【0185】
高所作業車の操縦支援装置は、通信装置を介して使用者の位置に関する情報、高所作業車の位置に関する情報、高所作業車の姿勢に関する情報及び仮想画像を表示する基準となる基準面の位置と姿勢とを含む基準面に関する情報を取得する。高所作業車の操縦支援装置の画像処理装置は、高所作業車によって移動される基準部材であるバケットの現在位置及び現在位置からの軌道を高所作業車の操縦者の視点から見た任意の基準面上の仮想画像として透過型表示装置の表示画面上に表示させるための仮想画像に関する情報を生成する。透過型表示装置は、高所作業車についての仮想画像に関する情報を取得し、仮想画像を表示画面上に表示する。
【0186】
また、上述の各実施形態において、クレーン11の操縦支援装置1は、透過型表示装置2によって第1仮想画像Im1から第7仮想画像Im7の少なくとも一つを表示している。
【0187】
しかしながら、クレーン11の操縦支援装置1は、カメラの撮影画像上に第1仮想画像Im1から第7仮想画像Im7の少なくとも一つを表示してもよい。第1仮想画像Im1から第7仮想画像Im7の少なくとも一つは、タッチパネル等の表示画面上で操作することができる。
【0188】
また、上述の各実施形態において、透過型表示装置2は、仮想画像Imを透過型ディスプレイ4に表示するために必要な使用者の位置に関する情報Ifaを表示装置用GNSS受信機5によって取得している。
【0189】
しかしながら、透過型表示装置は、特定の位置に位置しているマーカを認識することで透過型表示装置の位置を算出してもよい。透過型表示装置は、例えばクレーンのキャビン内に位置するマーカを認識することで透過型表示装置の位置を算出する。また、透過型表示装置は、算出した位置を基準として慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)による位置の算出を行う。
【0190】
また、上述の各実施形態において、透過型表示装置2は、使用者が身体に装着して使用するウェアラブル端末である。しかしながら、透過型表示装置は、使用者の視点から見て風景を透過させる表示画面に使用者の視点から見た仮想画像を重畳して視認させる表示装置であればよい。透過型表示装置は、例えばキャビンのフロントガラスを表示画面として、操縦席に着席した操縦者の視点から見た仮想画像を表示させるヘッドアップディスプレイでもよい。
【0191】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【0192】
2021年4月27日出願の特願2021-075393の日本出願に含まれる明細書、図面、および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0193】
本発明は、旋回、起伏及び伸縮が可能なブームを有する種々の作業機に適用できる。
【符号の説明】
【0194】
1 操縦支援装置
2 透過型表示装置
3 フレーム
4 透過型ディスプレイ
5 表示装置用GNSS受信機
6 表示装置用カメラ
7 表示装置用制御装置
8 通信装置
9 画像処理装置
11 クレーン
20a メインフック(基準部材)
30 クレーン用制御装置
Lp 現在位置
Lt 目標位置
S1 基準面
S2 新たな基準面
Ifa 使用者の位置に関する情報
Ifb クレーンの位置に関する情報
Ifc クレーンの姿勢に関する情報
Ifd 基準面に関する情報
Ife メインフックの目標位置に関する情報
Iff 新たな基準面に関する情報
Ifg メインフックの移動方向及び移動速度に関する情報
Ifh メインフックの経路に関する情報
Ifi クレーンの特定領域に関する情報
Ifj クレーンの運転状態に関する情報
Im1 第1仮想画像
C1 第1基準座標
If1 クレーンについての第1仮想画像に関する情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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