(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】3次元プリントデータ生成方法および3次元造形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/386 20170101AFI20241126BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20241126BHJP
B29C 64/165 20170101ALI20241126BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20241126BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241126BHJP
【FI】
B29C64/386
B29C64/112
B29C64/165
B33Y50/02
B33Y10/00
(21)【出願番号】P 2023522243
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2022008361
(87)【国際公開番号】W WO2022244370
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2021084006
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】濱田 秀
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-96426(JP,A)
【文献】特開2018-202764(JP,A)
【文献】特表2021-501071(JP,A)
【文献】特表2021-507834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/386
B29C 64/112
B29C 64/165
B33Y 50/02
B33Y 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元形状データから、堆積面に材料を堆積するとともに前記堆積面に交差する積層方向に材料を積層する3次元プリントのための複数のスライスデータを含む3次元プリントデータを生成する方法であって、
前記3次元形状データは、複数の3次元形状を有し、
前記複数の3次元形状は、非多様体ではなく、互いに交差せず、互いに異なる材料からなり、
前記方法は、
前記3次元形状データに3次元補間形状を補間して、前記複数の3次元形状および前記3次元補間形状を有する3次元補間形状データを生成する形状補間工程であって、前記3次元補間形状は、前記スライスデータにおける外形を規定するための補間形状であり、前記3次元プリントの前記堆積面における前記複数の3次元形状の最大外形よりも外側に配置され、かつ、前記3次元プリントの前記積層方向における前記複数の3次元形状の最下端から最上端まで連続する形状である、前記形状補間工程と、
前記3次元補間形状データにおいて、前記複数の3次元形状ごとに、前記3次元形状および前記3次元補間形状をスライスして、複数の補間スライスデータを生成するスライス工程と、
前記複数の補間スライスデータから、前記3次元補間形状によって規定される外形情報を残すように前記3次元補間形状を削除して、複数のスライスデータを生成する形状削除工程と、
を含む、3次元プリントデータ生成方法。
【請求項2】
前記3次元補間形状は、前記3次元プリントの前記堆積面における前記複数の3次元形状の最大外形を囲う枠形状である、請求項1に記載の3次元プリントデータ生成方法。
【請求項3】
前記3次元補間形状は、前記3次元プリントの前記堆積面における前記複数の3次元形状の最大外形の対角線上の少なくとも2か所に配置される柱形状である、請求項1に記載の3次元プリントデータ生成方法。
【請求項4】
前記3次元補間形状の内周は、前記複数の3次元形状の最大外形の外周よりも大きい、請求項1~3のいずれか1項に記載の3次元プリントデータ生成方法。
【請求項5】
前記3次元プリントデータは、材料押し出し法、マテリアルジェッティング法、または、バインダージェッティング法を用いる前記3次元プリントのためのデータである、請求項1~4のいずれか1項に記載の3次元プリントデータ生成方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の3次元プリントデータ生成方法によって生成された3次元プリントデータを用いて、3次元プリントすることにより、3次元造形品を製造する、3次元造形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元プリントデータ生成方法および3次元造形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元造形品の製造方法として、種々の方法が知られている。これらの中でも、複数の材料からなる3次元造形品を比較的容易に製造する方法として、材料押し出し法、マテリアルジェッティング法およびバインダージェッティング法が挙げられる。これらの方法では、材料ごとに、堆積面に材料を堆積するとともに、堆積面に交差する積層方向に材料を積層する3次元プリントを行う。
【0003】
3次元造形品を製造する方法では、3次元形状をスライスした複数のスライスデータを3次元プリントデータとして生成することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、複数の材料からなる3次元造形品を作成する場合には、複数の材料からなる3次元形状データにおいて、材料ごとに3次元形状をスライスした複数のスライスデータを3次元プリントデータとして生成することが考えられる。この場合、材料ごとの3次元形状の外形が異なると、スライスデータの層数またはサイズ(大きさ)が異なってしまう。例えば、3次元プリントの積層方向において、材料ごとの3次元形状の外形が異なると、材料ごとの3次元形状のスライスデータの層数が異なってしまう。一方、3次元プリントの堆積面において、材料ごとの3次元形状の外形が異なると、材料ごとの3次元形状のスライスデータのサイズが異なってしまう。
【0006】
本発明は、スライスデータの層数およびサイズを一致させることができる3次元プリントデータ生成方法および3次元造形品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る3次元プリントデータ生成方法は、3次元形状データから、堆積面に材料を堆積するとともに前記堆積面に交差する積層方向に材料を積層する3次元プリントのための複数のスライスデータを含む3次元プリントデータを生成する方法であって、前記3次元形状データは、複数の3次元形状を有し、前記複数の3次元形状は、非多様体ではなく、互いに交差せず、互いに異なる材料からなる。前記方法は、前記3次元形状データに3次元補間形状を補間して、前記複数の3次元形状および前記3次元補間形状を有する3次元補間形状データを生成する形状補間工程であって、前記3次元補間形状は、前記スライスデータにおける外形を規定するための補間形状であり、前記3次元プリントの前記堆積面における前記複数の3次元形状の最大外形よりも外側に配置され、かつ、前記3次元プリントの前記積層方向における前記複数の3次元形状の最下端から最上端まで連続する形状である、前記形状補間工程と、前記3次元補間形状データにおいて、前記複数の3次元形状ごとに、前記3次元形状および前記3次元補間形状をスライスして、複数の補間スライスデータを生成するスライス工程と、前記複数の補間スライスデータから、前記3次元補間形状によって規定される外形情報を残すように前記3次元補間形状を削除して、複数のスライスデータを生成する形状削除工程と、を含む。
【0008】
本発明に係る3次元造形品の製造方法は、上記の3次元プリントデータ生成方法によって生成された3次元プリントデータを用いて、3次元プリントすることにより、3次元造形品を製造する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、互いに異なる種類の材料のスライスデータの層数またはサイズを一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る3次元プリントデータ生成装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る3次元プリントデータ生成方法の一例を示すフローチャートである。
【
図3A】3次元形状データにおける3次元形状の一例を示す斜視図である。
【
図3C】
図3Bに示す3次元形状のIIIC-IIIC線断面図、すなわちYZ断面図である。
【
図4A】3次元補間形状データにおける3次元形状および3次元補間形状の一例を示す斜視図である。
【
図4B】
図4Aに示す3次元形状および3次元補間形状のXY平面図である。
【
図4C】
図4Bに示す3次元形状および3次元補間形状のIVC-IVC線断面図、すなわちYZ断面図である。
【
図5A】
図4A~
図4Cに示す3次元補間形状データにおける3次元形状1および3次元補間形状3をXY平面でスライスした補間スライスデータの一例を示す図である。
【
図5B】
図4A~
図4Cに示す3次元補間形状データにおける3次元形状2および3次元補間形状3をXY平面でスライスした補間スライスデータの一例を示す図である。
【
図6A】
図5Aに示す補間スライスデータに対応するスライスデータの一例を示す図である。
【
図6B】
図5Bに示す補間スライスデータに対応するスライスデータの一例を示す図である。
【
図7A】
図3A~
図3Cに示す3次元形状データにおける3次元形状1をXY平面でスライスしたスライスデータの一例を示す図である。
【
図7B】
図3A~
図3Cに示す3次元形状データにおける3次元形状2をXY平面でスライスしたスライスデータの一例を示す図である。
【
図8A】変形例の3次元補間形状データにおける3次元形状および3次元補間形状のXY平面図である。
【
図8B】
図8Aに示す3次元形状および3次元補間形状の側面図、すなわちYZ平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0012】
図1は、本実施形態に係る3次元プリントデータ生成装置の概略構成の一例を示す図である。
図1に示す3次元プリントデータ生成装置100は、3次元CAD(Computer-Aided Design)200等の3次元形状データ生成装置によって生成された3次元形状データから、3次元プリンタ300による3次元プリントのための複数のスライスデータを含む3次元プリントデータを生成する。
【0013】
3次元プリンタ300は、3次元プリントデータ生成装置100によって生成された3次元プリントデータを用いて、3次元プリントすることにより、3次元造形品を製造する。具体的には、3次元プリンタ300は、材料ごとに、堆積面に材料を堆積するとともに堆積面に交差する積層方向に材料を積層する3次元プリントを行う。このような3次元プリントの方式としては、材料押し出し法(Fused Deposition Modeling:FDM)、マテリアルジェッティング法、または、バインダージェッティング法が挙げられる。
【0014】
図1に示すように、3次元プリントデータ生成装置100は、入出力部101と、データ処理部102と、記憶部103と、操作部104と、表示部105とを備える。
【0015】
入出力部101は、3DCAD200からの3次元形状データを入力する。また、入出力部101は、データ処理部102によって生成された3次元プリントデータを、3次元プリンタ300へ出力する。入出力部101は、例えば公知の有線または無線の通信規格に従う通信インターフェースである。
【0016】
入出力部101と3DCAD200との通信規格としては、特に限定されないが、例えば無線LAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)または3G等の無線通信規格、或いは有線LAN等の通信規格が挙げられる。また、入出力部101と3次元プリンタ300との通信規格としては、特に限定されないが、例えば無線LAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)または3G等の無線通信規格、或いは有線LAN等の通信規格、更にはBluetooth(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)等の所謂近距離の無線通信規格が挙げられる。
【0017】
データ処理部102は、3次元形状データにおける3次元形状から、ポリゴンデータおよびスライスデータを生成することにより、3次元プリントデータを生成する。3次元形状データのフォーマットとしては、特に限定されないが、例えばSTEP(Standard for the Exchange of Product Model Data)が挙げられる。ポリゴンデータとしては、特に限定されないが、例えばSTL(Standard Triangulated Language)が挙げれれる。スライスデータとしては、特に限定されないが、画像形式のBMPや数値制御プログラムのGコードの複数のデータの組み合わせが挙げられる。データ処理部102による3次元プリントデータ生成処理の詳細は後述する。
【0018】
データ処理部102は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。データ処理部102の各種機能は、例えば記憶部103に格納されたプログラム(アプリケーション)を実行することで実現される。プログラム(アプリケーション)は、ネットワークを介して提供されてもよいし、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(computer readable storage medium)110に記録されて提供されてもよい。記録媒体110としては、一時的でない有形の媒体(non-transitory tangible media)が挙げられる。
【0019】
記憶部103は、データ処理部102により実行されるプログラム(アプリケーション)またはデータを記憶する。記憶部103は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または着脱可能なメモリカード等の記録媒体で構成される。
【0020】
操作部104は、ユーザが操作を行う操作部である。操作部104は、例えば物理的な操作ボタンを有するキーボードまたはマウス等、或いは仮想的な操作ボタンを有するタッチパネル等、で構成される。
【0021】
表示部105は、ユーザに情報を表示する表示部である。表示部105は、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイで構成される。
【0022】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る3次元プリントデータ生成装置100による3次元プリントデータ生成処理の一例について説明する。
図2は、本実施形態に係る3次元プリントデータ生成方法の一例を示すフローチャートである。
【0023】
まず、入出力部101は、N種類の材料からなる3次元形状を含む3次元形状データを入力する(Nは2以上の整数)(S1)。3次元形状データは、例えば3次元CAD200で生成されたデータであり、N種類の材料ごとの3次元形状(例えば、画素情報)を含む。入出力部101は、各々の3次元形状に対して、固有の材料の指定を行う。なお、3次元CAD200で生成されたデータのファイル内のメタ情報に材料名が指定されていてもよい。なお、N種類の3次元形状は、非多様体ではなく、互いに交差しない(すなわち重ならない)ものとする。
【0024】
図3A~
図3Cを参照して、3次元形状データにおける3次元形状の一例について説明する。
図3Aは、3次元形状データにおける3次元形状の一例を示す斜視図であり、
図3Bは、
図3Aに示す3次元形状のXY平面図であり、
図3Cは、
図3Bに示す3次元形状のIIIC-IIIC線断面図、すなわちYZ断面図である。
図3A~
図3C(および後述する
図4A~
図8B)には、XYZ直交座標系が示されている。XY平面は、3次元プリントにおいて材料を堆積する堆積面(堆積造形面)であり、Z方向は、3次元プリントにおいて材料を積層する積層方向(積層造形方向)である。
【0025】
図3A~
図3Cの一例では、3次元形状データにおける3次元形状は、異なる材料からなる2つの3次元形状(ソリッドボディ)1と3次元形状(ソリッドボディ)2とを有する。3次元形状1は、Z方向(積層方向)の下端側の領域R1に配置されており、3次元形状2は、Z方向の上端側の領域R2に配置されている。すなわち、3次元形状2は、Z方向において3次元形状1上に配置されている。XY平面において、3次元形状2の外形は、3次元形状1の外形よりも小さい。
【0026】
次に、データ処理部102は、3次元形状データに3次元補間形状を補間して、N種類の3次元形状および3次元補間形状を有する3次元補間形状データを生成する(形状補間工程、S2)。3次元補間形状データは、上述したN種類の材料ごとの3次元形状(例えば、画素情報)と材料情報とに加え、3次元補間形状(例えば、画素情報)を含む。
【0027】
図4A~
図4Cを参照して、3次元補間形状データにおける3次元形状および3次元補間形状の一例について説明する。
図4Aは、3次元補間形状データにおける3次元形状および3次元補間形状の一例を示す斜視図であり、
図4Bは、
図4Aに示す3次元形状および3次元補間形状のXY平面図であり、
図4Cは、
図4Bに示す3次元形状および3次元補間形状のIVC-IVC線断面図、すなわちYZ断面図である。
【0028】
図4A~
図4Cの一例では、3次元補間形状データにおける3次元形状および3次元補間形状は、上述した2つの3次元形状1,2に加え、3次元補間形状(ソリッドボディ)3を有する。3次元補間形状3は、スライスデータにおける外形Aを規定するための補間形状である。詳説すれば、3次元補間形状3は、材料ごとの複数のスライスデータにおける、X方向の最小座標値および最大座標値、および、Y方向の最小座標値および最大座標値(すなわち、スライスデータのサイズ)を揃えるための補間形状である。また、3次元補間形状3は、材料ごとの複数のスライスデータにおける、Z方向の最小座標値および最大座標値(すなわち、スライスデータの層数)を揃えるための補間形状である。
【0029】
3次元補間形状3は、XY平面(3次元プリントの堆積面)における複数の3次元形状1,2の最大外形よりも外側に配置され、かつ、Z方向(3次元プリントの積層方向)における複数の3次元形状の最下端から最上端まで、すなわち領域R1および領域R2に、Z方向に平行に連続する形状である。
【0030】
3次元補間形状3は、XY平面(3次元プリントの堆積面)における3次元形状1,2の最大外形を囲う枠形状である。3次元補間形状3の内周は、3次元形状1,2の最大外形の外周と同じであってもよい。すなわち、3次元補間形状3の内周面は、3次元形状1,2の最大外形の外周面と接していてもよい。
【0031】
或いは、
図4A~
図4Cに示すように、3次元補間形状3の内周は、3次元形状1,2の最大外形の外周よりも大きくてもよい。すなわち、3次元補間形状3の内周面は、3次元形状1,2の最大外形の外周面と離間していてもよい。3次元補間形状3の内周面と3次元形状1,2の最大外形の外周面との離間間隔は、例えばポリゴンのサイズ(大きさ)に基づいて決定されればよい。これにより、ポリゴンデータを生成する際に、3次元形状1,2と3次元補間形状3との境界におけるポリゴンが、3次元形状1,2と3次元補間形状3との両方の形状に属することを回避することができる。
【0032】
次に、材料の種類数Nに関するインクリメント変数nを1に設定する(S3)。次に、n番目の材料の3次元形状と3次元補間形状との複合形状のポリゴンデータを生成する(S4)。次に、ポリゴンデータにおける3次元形状と3次元補間形状との複合形状を所定の厚さでスライスして、複数の補間スライスデータを作成する(スライス工程、S5)。このとき、表示部105は、ポリゴンデータにおけるポリゴンメッシュの設定値、スライスデータにおける所定の厚さの設定値等の各種設定値の入力画面を表示してもよい、これにより、ユーザは、操作部104の操作により、各種設定値を設定することができる。補間スライスデータは、n番目の材料の3次元形状(例えば、画素情報)と3次元補間形状(例えば、画素情報)とを含む。
【0033】
図5Aを参照して、補間スライスデータの一例について説明する。
図5Aは、
図4A~
図4Cに示す3次元補間形状データにおける3次元形状1および3次元補間形状3をXY平面でスライスした補間スライスデータの一例を示す図である。
図5Aに示すように、補間スライスデータは、Z方向において、3次元補間形状3で規定された外形Aの層数、すなわち領域R1および領域R2の層数で生成される。また、補間スライスデータは、XY平面において、3次元補間形状3で規定された外形A、すなわちサイズ(大きさ)で生成される。
【0034】
次に、複数の補間スライスデータから、3次元補間形状3によって規定される外形Aの情報を残すように3次元補間形状3を削除して、n番目の材料の3次元形状の複数のスライスデータ(3次元プリントデータ)を生成する(形状削除工程、S6)。スライスデータは、n番目の材料の3次元形状(例えば、画素情報)を含む。
【0035】
図6Aを参照して、スライスデータの一例について説明する。
図6Aは、
図5Aに示す補間スライスデータに対応するスライスデータの一例を示す図である。
図6Aに示すように、スライスデータは、Z方向において、3次元補間形状3で規定された外形Aの層数、すなわち領域R1および領域R2の層数で生成される。また、スライスデータは、XY平面において、3次元補間形状3で規定された外形A、すなわちサイズ(大きさ)で生成される。
【0036】
次に、インクリメント変数nを1増加する(S7)。次に、インクリメント変数nが材料の種類数Nを超えたか否かを判断する(S8)。
【0037】
インクリメント変数nが材料の種類数N以下の場合、ステップS4に戻り、上述したステップS4~S8の処理を繰り返す。
【0038】
図5Bは、
図4A~
図4Cに示す3次元補間形状データにおける3次元形状2および3次元補間形状3をXY平面でスライスした補間スライスデータの一例を示す図である。
図5Bに示すように、補間スライスデータは、Z方向において、3次元補間形状3で規定された外形Aの層数、すなわち領域R1および領域R2の層数で生成される。また、補間スライスデータは、XY平面において、3次元補間形状3で規定された外形A、すなわちサイズで生成される。
【0039】
図6Bは、
図5Bに示す補間スライスデータに対応するスライスデータの一例を示す図である。
図6Bに示すように、スライスデータは、Z方向において、3次元補間形状3で規定された外形Aの層数、すなわち領域R1および領域R2の層数で生成される。また、スライスデータは、XY平面において、3次元補間形状3で規定された外形A、すなわちサイズで生成される。
【0040】
このようにして、ステップS3~S8の処理を材料の種類数Nだけ繰り返すことにより、スライス工程(S5)では、3次元補間形状データにおいて、N種類の3次元形状ごとに、3次元形状および3次元補間形状を同時にスライスして、複数の補間スライスデータを生成し、形状削除工程(S6)では、複数の補間スライスデータから、3次元補間形状によって規定される外形情報を残すように3次元補間形状を削除して、複数のスライスデータを3次元プリントデータとして生成することとなる。これにより、上述したように、スライスデータは、Z方向において、3次元補間形状3で規定された層数で生成される。また、スライスデータは、XY平面において、3次元補間形状3で規定されたサイズで生成される。
【0041】
一方、ステップS8において、インクリメント変数nがNを超えた場合、3次元プリントデータ生成処理を終了する。
【0042】
ここで、
図3A~
図3Cに示す3次元形状データにおけるZ方向に重なって配置された2つの3次元形状1,2をそのままスライス処理した場合を考える。この場合、3次元形状1のスライスデータとしては、
図7Aに示すように、Z方向において3次元形状1の領域R1のみの層数で、かつ、XY平面において3次元形状1のサイズで生成される。一方、3次元形状2のスライスデータとしては、
図7Bに示すように、Z方向において3次元形状2の領域R2のみの層数で、かつ、XY平面において3次元形状2のサイズで生成される。すると、3次元形状1のスライスデータの層数と3次元形状2のスライスデータの層数とが異なってしまう。また、3次元形状1のスライスデータのサイズと3次元形状2のスライスデータのサイズとが異なってしまう。
【0043】
この点に関し、本実施形態の3次元プリントデータ生成装置100および3次元プリントデータ生成方法によれば、
図6Aおよび
図6Bに示すように、3次元形状1のスライスデータも3次元形状2のスライスデータも、Z方向において、3次元補間形状3で規定された外形Aの層数、すなわち領域R1および領域R2の層数で生成され、かつ、XY平面において、3次元補間形状3で規定された外形A、すなわちサイズで生成される。これにより、3次元形状1のスライスデータの層数およびサイズと、3次元形状2のスライスデータの層数およびサイズとを一致させることができる。
【0044】
次に、本実施形態に係る3次元造形品の製造方法について説明する。3次元プリンタ300は、3次元プリントデータ生成装置100から供給される3次元プリントデータであって、上述した3次元プリントデータ生成方法によって生成された3次元プリントデータを用いて、3次元プリントすることにより、3次元造形品を製造する。具体的には、3次元プリンタ300は、N種類の材料ごとに順にXY平面(堆積面)に材料を堆積するとともに、N種類の材料ごとに順にZ方向(積層方向)に材料を積層する。例えば、
図6Aおよび
図6Bの一例に示すように、3次元形状(ソリッドボディ)1および3次元形状(ソリッドボディ)2に材料情報が示す材料をそれぞれ割り当て、3次元プリント(積層造形)する。
【0045】
複数の材料からなる3次元造形品としては、特に限定されないが、例えば導体と絶縁体(誘電体)とが積層された積層セラミック電子部品が挙げられる。上述した3次元プリントデータ生成装置100および3次元プリントデータ生成方法は、このような積層セラミック電子部品の製造に用いられるスライスデータ(3次元プリントデータ)の生成に好適に適用可能である。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更、変形および組み合わせが可能である。例えば、上述した実施形態では、3次元補間形状3として、XY平面における3次元形状1,2の最大外形を囲う枠形状を例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば3次元補間形状3は、XY平面における角部の4か所に配置される柱形状であってもよいし、或いは
図8Aおよび
図8Bに示すように、XY平面における少なくとも対角線上の角部2か所に配置される柱形状であってもよい。
【0047】
この形態でも、XY平面における複数の3次元形状1,2の最大外形よりも外側に配置され、かつ、Z方向(3次元プリントの積層方向)における複数の3次元形状の最下端から最上端まで、すなわち領域R1および領域R2に、Z方向に平行に連続する形状であれば、
図8Aおよび
図8Bに破線で示すように、3次元プリントデータにおける外形Aを規定することができる。詳説すれば、3次元補間形状3は、材料ごとの複数のスライスデータにおける、X方向の最小座標値および最大座標値、および、Y方向の最小座標値および最大座標値(すなわち、スライスデータのサイズ)を揃えることができる。また、3次元補間形状3は、材料ごとの複数のスライスデータにおける、Z方向の最小座標値および最大座標値(すなわち、スライスデータの層数)を揃えることができる。なお、この変形例のように、3次元補間形状3が、XY平面における角部の4か所または少なくとも対角線上の角部2か所に配置される柱形状である場合、スライスデータにおけるXY平面の外形Aは矩形形状である。これに対して、上述した実施形態のように、3次元補間形状3が、XY平面における3次元形状1,2の最大外形を囲う枠形状であれば、XY平面の外形Aが様々な形状のスライスデータに適用可能である。
【0048】
また、上述した実施形態では、XY平面、YZ平面およびXZ平面において矩形形状の3次元形状データの3次元プリントデータを生成する方法について例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、種々の3次元形状データの3次元プリントデータの生成方法にも適用可能である。
【0049】
また、上述した実施形態では、XY平面に1種類の材料を含む3次元形状データの3次元プリントデータを生成する方法について例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、XY平面に2種類以上の材料を含む形状データの3次元プリントデータの生成方法にも適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1,2 3次元形状
3 3次元補間形状
100 3次元プリントデータ生成装置
101 入出力部
102 データ処理部
103 記憶部
104 操作部
105 表示部
110 記録媒体
200 3次元形状データ生成装置
300 3次元プリンタ