(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】心電図測定装置、心電図測定システム、及び心電図測定プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/332 20210101AFI20241126BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20241126BHJP
A61B 5/26 20210101ALI20241126BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20241126BHJP
A61B 5/022 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61B5/332
A61B5/33 200
A61B5/26
A61B5/256 220
A61B5/022 300F
(21)【出願番号】P 2023529425
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 JP2021024210
(87)【国際公開番号】W WO2022269922
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】久保 大
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-028364(JP,A)
【文献】特開2001-145607(JP,A)
【文献】国際公開第2010/113354(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/038212(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/308 - 5/367
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な心電図測定装置であって、
測定対象者の一方の上肢と接触可能な位置に設けられる第1電極と、
前記測定対象者の他方の上肢と接触可能な位置に設けられる第2電極と、
前記測定対象者の前記一方の上肢と接触した状態の前記第1電極と前記測定対象者の前記他方の上肢が接触した状態の前記第2電極との間の電位差を演算する演算部と、
前記他方の上肢が前記第2電極の所定部分に接触するように案内情報を生成する案内部と、
前記演算部において演算された前記電位差および/または前記案内部において生成された前記案内情報を表示する表示部と、
所定方向の重力加速度成分を検出可能な検出素子と、を備え、
前記検出素子によって検出された前記所定方向の重力加速度成分に基づいて、前記案内部は前記案内情報を生成する、
心電図測定装置。
【請求項2】
前記測定対象者の前記一方の上肢あるいは前記他方の上肢のうちの少なくとも何れかの上肢に装着可能な装着部と、
前記検出素子によって検出された前記所定方向の重力加速度成分に基づいて、前記心電図測定装置が前記測定対象者に装着されているか否かを判定する第1判定部と、を更に備え、
前記第1判定部による判定に基づいて、前記案内部は前記案内情報を生成する、
請求項
1に記載の心電図測定装置。
【請求項3】
前記検出素子によって検出された前記所定方向の重力加速度成分に基づいて、前記心電図測定装置が装着されている上肢を判定する第2判定部を更に備え、
前記第2判定部による判定に基づいて、前記案内部は前記案内情報を生成する、
請求項
2に記載の心電図測定装置。
【請求項4】
前記案内部は、一つの手の異なる指で接触可能な2か所を指示する前記案内情報を生成
する、
請求項
2又は
3に記載の心電図測定装置。
【請求項5】
血圧を測定可能な血圧測定部を更に備え、
前記案内部は、前記血圧測定部の高さに関する案内情報を更に生成する、
請求項1に記載の心電図測定装置。
【請求項6】
前記表示部は、発光素子を含み、
前記発光素子は、前記所定部分の近傍に設けられる、
請求項1から
5のうち何れか一項に記載の心電図測定装置。
【請求項7】
前記第2電極は、二つ以上に分割されている、
請求項1から
6のうち何れか一項に記載の心電図測定装置。
【請求項8】
携帯可能な心電図測定装置を備える心電図測定システムであって、
測定対象者の一方の上肢と接触可能な位置に設けられる第1電極と、
前記測定対象者の他方の上肢と接触可能な位置に設けられる第2電極と、
前記測定対象者の前記一方の上肢と接触した状態の前記第1電極と前記測定対象者の前記他方の上肢と接触した状態の前記第2電極との間の電位差を演算する演算部と、
前記他方の上肢が前記第2電極の所定部分に接触するように案内情報を生成する案内部と、
前記演算部において演算された前記電位差および/または前記案内部において生成された前記案内情報を表示する表示部と、
所定方向の重力加速度成分を検出可能な検出素子と、を備え、
前記検出素子によって検出された前記所定方向の重力加速度成分に基づいて、前記案内部は前記案内情報を生成する、
心電図測定システム。
【請求項9】
携帯可能な心電図測定装置において、所定方向の重力加速度成分を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて検出された前記所定方向の重力加速度成分に基づいて、測定対象者の一方の上肢が第3電極の所定部分に接触するように案内情報を生成する案内ステップと、
前記案内ステップにおいて生成された前記案内情報を表示する第1表示ステップと、
前記測定対象者の他方の上肢と接触した状態の第4電極と前記一方の上肢が接触した状態の前記第3電極との間の電位差を演算する演算ステップと、
前記演算ステップにおいて演算された前記電位差を表示する第2表示ステップと、をコンピュータに実行させる、
心電図測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心電図測定装置、心電図測定システム、及び心電図測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯可能な心電図測定装置が開示されている。特許文献1では、測定対象者と接触可能な位置に設けられ、心臓から発せられる電気信号を測定可能な複数の電極を備える心電図測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
心電図測定装置が携帯型であり、測定対象者の所定部位(例えば腕)に装着されて使用される装置の場合、心電図測定装置は例えば所定部位に固定可能なタッチパネルディスプレイとタッチパネルディスプレイの外周に配置される電極とを備えることが考えられる。このような場合、測定対象者が接触可能な電極の領域が広いため、電極の何れの部分を触ればよいか測定対象者が認識することが困難であることが考えられる。そうすると、測定の都度、測定対象者と電極との接触位置が変動することが考えられる。これにより、測定誤差が生じる恐れがある。また、例えば測定対象者によって触れることが推奨される位置が存在する場合には、実際の接触位置と推奨位置とが異なることでも測定誤差が生じることが考えられる。
【0005】
本発明は、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、携帯可能な心電図測定装置において心電図の測定誤差を抑制する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0007】
すなわち本発明の一側面に係る心電図測定装置は、携帯可能な心電図測定装置であって、測定対象者の一方の上肢と接触可能な位置に設けられる第1電極と、前記測定対象者の他方の上肢と接触可能な位置に設けられる第2電極と、前記測定対象者の前記一方の上肢と接触した状態の前記第1電極と前記測定対象者の前記他方の上肢が接触した状態の前記第2電極との間の電位差を演算する演算部と、前記他方の上肢が前記第2電極の所定部分に接触するように案内情報を生成する案内部と、前記演算部において演算された前記電位差および/または前記案内部において生成された前記案内情報を表示する表示部と、を備える。
【0008】
当該構成によれば、測定対象者の一方の上肢と接触した状態の第1電極と測定対象者の他方の上肢と接触した状態の第2電極との間の電位差を演算することができる。よって、電位差に基づいて心電図を測定することができる。
【0009】
また、当該構成によれば、測定対象者が表示部に表示された案内情報を見ることで測定対象者は第2電極の所定部分に触ればよいことが認識できる。よって、測定の都度、測定対象者と電極との接触位置が変動することは抑制される。よって、心電図の測定誤差は抑制される。また所定部分が、接触が推奨される位置である場合には、測定対象者が、接触が推奨される位置以外の場所を触れることは抑制される。このような場合も心電図の測定誤差は抑制される。
【0010】
上記一側面に係る心電図測定装置は、所定方向の重力加速度成分を検出可能な検出素子を更に備え、前記検出素子によって検出された前記所定方向の重力加速度成分に基づいて、前記案内部は前記案内情報を生成してもよい。
【0011】
検出素子は、加速度センサまたは角速度センサを含む。また、所定方向は、検出素子に固定され、互いに直交する三つの軸の少なくとも何れか一つの軸が延在する方向を含む。
【0012】
当該構成によれば、検出素子からの重力加速度成分に関する出力に基づいて、所定方向に対する心電図測定装置の傾きを検出することができる。よって、心電図測定装置が装着された測定対象者の姿勢を検出することができる。よって、測定対象者の姿勢に応じた案内情報を生成することができる。よって、測定対象者の姿勢に応じて適切な所定部分を案内することができる。よって、測定対象者の姿勢が測定の都度異なる場合であっても心電図の測定誤差は抑制される。
【0013】
上記一側面に係る心電図測定装置は、前記測定対象者の前記一方の上肢あるいは前記他方の上肢のうちの少なくとも何れかの上肢に装着可能な装着部と、前記検出素子によって検出された前記所定方向の重力加速度成分に基づいて、前記心電図測定装置が前記測定対象者に装着されているか否かを判定する第1判定部と、を更に備え、前記第1判定部による判定に基づいて、前記案内部は前記案内情報を生成してもよい。
【0014】
当該構成によれば、心電図測定装置が測定対象者に装着されているか否かに基づいて適切な所定部分を案内することができる。よって、心電図測定装置が測定対象者に装着されているか否かに関わらず心電図の測定誤差は抑制される。
【0015】
上記一側面に係る心電図測定装置は、前記検出素子によって検出された前記所定方向の重力加速度成分に基づいて、前記心電図測定装置が装着されている上肢を判定する第2判定部を更に備え、前記第2判定部による判定に基づいて、前記案内部は前記案内情報を生成してもよい。
【0016】
当該構成によれば、心電図測定装置が装着されている測定対象者の左右何れかの上肢に応じた案内情報を生成することができる。よって、装着部位に応じて第2電極の所定部分を変更することができる。よって、装着部位が測定の都度異なる場合であっても心電図の測定誤差は抑制される。
【0017】
上記一側面に係る心電図測定装置において、前記案内部は、一つの手の異なる指で接触可能な2か所を指示する前記案内情報を生成してもよい。
【0018】
当該構成によれば、測定対象者の異なる指同士が離れた力の入りにくい楽な状態で第2電極に触れるようにできる。よって、測定対象者の腕や指の筋肉が収縮した状態で第2電極に触れることは抑制される。よって、筋肉の収縮に基づくノイズが測定情報に混入することは抑制される。
【0019】
上記一側面に係る心電図測定装置において、血圧を測定可能な血圧測定部を更に備え、前記案内部は、前記検出素子によって検出された前記所定方向の重力加速度成分に基づいて、前記血圧測定部の高さに関する案内情報を更に生成してもよい。
【0020】
当該構成によれば、血圧を測定する場合に心電図測定装置の高さを推奨高さに案内することができる。よって、血圧の測定誤差は抑制される。また、第2電極の所定部分に触ることも案内されるため、推奨する血圧測定の姿勢を保持したまま適切でない第2電極の部分に触れることで心電図に筋電ノイズが大きく重畳することは抑制される。
【0021】
上記一側面に係る心電図測定装置において、前記表示部は、発光素子を含み、前記発光素子は、前記所定部分の近傍に設けられてもよい。
【0022】
当該構成によれば、発光素子を発光させることで第2電極の所定部分を簡易に案内しつつも、心電図の測定誤差は抑制される。
【0023】
上記一側面に係る心電図測定装置において、前記第2電極は、二つ以上に分割されてもよい。
【0024】
当該構成によれば、二つ以上に分割されている第2電極の夫々の部分の電位を測定することができる。そして、検出された夫々の電位情報のうち、ノイズの混入が少ない方の電位に基づいて、第1電極と第2電極との間の電位差を演算することができる。よって、心電図の測定誤差が生じることは抑制される。
【0025】
本発明の一側面に係る心電図測定システムは、携帯可能な心電図測定装置を備える心電図測定システムであって、測定対象者の一方の上肢と接触可能な位置に設けられる第1電極と、前記測定対象者の他方の上肢と接触可能な位置に設けられる第2電極と、前記測定対象者の前記一方の上肢と接触した状態の前記第1電極と前記測定対象者の前記他方の上肢と接触した状態の前記第2電極との間の電位差を演算する演算部と、前記他方の上肢が前記第2電極の所定部分に接触するように案内情報を生成する案内部と、前記演算部において演算された前記電位差および/または前記案内部において生成された前記案内情報を表示する表示部と、を備えてもよい。
【0026】
本発明の一側面に係る心電図測定プログラムは、携帯可能な心電図測定装置において、測定対象者の一方の上肢が第3電極の所定部分に接触するように案内情報を生成する案内ステップと、前記案内ステップにおいて生成された前記案内情報を表示する第1表示ステップと、前記測定対象者の他方の上肢と接触した状態の第4電極と前記一方の上肢が接触した状態の前記第3電極との間の電位差を演算する演算ステップと、前記演算ステップにおいて演算された前記電位差を表示する第2表示ステップと、をコンピュータに実行させてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、携帯可能な心電図測定装置において心電図の測定誤差を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】
図1Aは、第1実施形態に係る心電図測定装置の正面図の概要を例示する。
【
図1B】
図1Bは、第1実施形態に係る心電図測定装置の背面図の概要を例示する。
【
図2】
図2は、心電図測定装置の機能ブロック図の概要を例示する。
【
図3】
図3は、心電図測定装置の動作例の概要を例示する。
【
図4A】
図4Aは、測定対象者が左腕に心電図測定装置を固定した場合の概要図である。
【
図4B】
図4Bは、測定対象者が右腕に心電図測定装置を固定した場合の概要図である。
【
図5】
図5は、第1変形例に係る心電図測定装置の概要を例示する。
【
図6】
図6は、第2変形例に係る心電図測定装置の概要を例示する。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る心電図測定装置の概要を例示する。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る心電図測定装置の機能ブロック図の概要を例示する。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る心電図測定装置の動作例のフローチャートの一例である。
【
図10】
図10は、動作モードが心電図のみを測定するモードである場合の測定対象者の測定姿勢の概要を例示する。
【
図11】
図11は、動作モードが心電図および血圧を測定するモードである場合の測定対象者の測定姿勢の概要を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
§1 第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る心電図測定装置1の概要を例示する。
図1Aは、心電図測定装置1の正面図である。
図1Bは、心電図測定装置1の背面図である。
【0030】
心電図測定装置1は、タッチパネルディスプレイ2と、正面からみてタッチパネルディスプレイ2を囲むように配置された電極3(
図1A参照)と、背面に電極4(
図1B参照)と、を備える。心電図測定装置1が測定対象者の例えば左腕に装着されると、電極4が測定対象者の左腕に接触した状態となる。そして、タッチパネルディスプレイ2上には、
図1Aに示されるようにタッチパネルディスプレイ2の左下および右上を指示するような矢印を含む案内情報が表示される。すると、タッチパネルディスプレイ2に表示された案内情報を見た測定対象者は電極3の左下部分および右上部分を触ればよい
と認識する。そして、心電図測定装置1は、測定対象者が実際に電極3の左下部分および右上部分の夫々を右手の指2本の夫々で触った状態における電極3と電極4の電位差を取得する。このようにして、心電図測定装置1は心臓の活動電位を測定することができる。
【0031】
より詳細には、心電図測定装置1は、CPU等のプロセッサ、RAMやROM等の記憶装置、演算回路、電池等を備えるコンピュータである。記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納されている。そして、格納されているプログラムが主記憶装置の作業領域にロードされて実行される。そして、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることで、後述するような所定の目的に合致した各機能を実現することができる。
【0032】
また、
図1Aおよび
図1Bに示されるように、心電図測定装置1は測定対象者の腕に巻き付けることが可能なベルト7(本開示の「装着部」の一例)を備える。また、ベルト7には、心電図測定装置1のケース5が固定されている(
図1B参照)。ケース5には、心電図を測定するために必要な回路基板や電池などの構成部品が収容されている。また、ケース5の正面には矩形状のタッチパネルディスプレイ2(本開示の「画像表示面」の一例)が配置されている。また、電極3は、ケース5に収容されている回路基板と電気的に接続されており、これに触れる測定対象の電位が計測可能になっている(図示略)。また、電極4は、ケース5の内部に収容されている回路基板と電気的に接続されており、これに触れる測定対象の電位が計測可能になっている。なお、
図1A中の電極3の左下および右上にはハッチングが設けられているが、ハッチングは単に部分を区別して示すためのものであり、ハッチング部分が電極3と物理的に区別されているわけではない(
図4-
図6も同様)。また、電極3は、本開示の「第2電極」および「第3電極」の一例である。また、電極4は、本開示の「第1電極」および「第4電極」の一例である。
【0033】
また、心電図測定装置1は、加速度センサを備える(図示略)。加速度センサは、例えば加速度センサに固定された三軸に沿う重力加速度成分情報を出力する。三軸は、例えば互いに直交する軸である。なお、加速度センサの代替として、あるいは加速度センサに加えてジャイロセンサが心電図測定装置1に設けられてもよい。また、加速度センサは、本開示の「検出素子」の一例である。
【0034】
(心電図測定装置1の機能構成)
図2は、心電図測定装置1の機能ブロック図の概要を例示する。
図2に示されるように、心電図測定装置1は表示部11を備える。表示部11は、タッチパネルディスプレイ2を含んで構成される。表示部11は、表示情報をタッチパネルディスプレイ2に表示させる。表示情報は、電極3の所定部分を示す記号、図形、文字を含む。また、表示情報は、測定された心臓の活動電位に関する情報を含む。
【0035】
また、心電図測定装置1は表示制御部12を備える。表示制御部12は、タッチパネルディスプレイ2に表示させる表示情報を制御する。
【0036】
より詳細には、表示制御部12は、制御部121と、姿勢演算部122と、記憶部124と、を有する。制御部121は、後述する姿勢演算部122および記憶部124の動作制御を行う。より詳細には、制御部121は、加速度センサ123からの出力情報(各軸の重力加速度成分情報)を取得する。そして制御部121は、取得した加速度センサ123の出力情報を姿勢演算部122に入力し、測定対象者の姿勢を演算するよう命令する。また、制御部121は、演算された測定対象者の姿勢情報を姿勢演算部122から取得し、電極3の推奨される接触位置を決定する。そして、制御部121は、電極3の推奨される接触位置に測定対象者を案内する案内情報を生成する。また、制御部121は、加速度センサ123の出力情報、測定対象者の姿勢情報、または表示情報などを記憶装置に記憶させるよう記憶部124に命令する。なお、制御部121は、本開示の「案内部」の一例である。
【0037】
また、姿勢演算部122は、演算回路を含んで構成される。そして、姿勢演算部122は、制御部121から入力された加速度センサ123からの出力情報を利用して測定対象者の姿勢を推定する。なお、制御部121は、推定された測定対象者の姿勢を利用して表示情報を生成する。なお、姿勢演算部122は、本開示の「第1判定部」および「第2判定部」の一例である。
【0038】
また、記憶部124は、記憶装置を含んで構成される。記憶部124は、制御部121からの命令を受けて、加速度センサ123からの出力情報、測定対象者の姿勢情報、または表示情報等を記憶装置に記憶させる。
【0039】
また、心電図測定装置1は心電測定部13を備える。心電測定部13は、心臓の活動電位に関する情報を測定する。
【0040】
より詳細には、心電測定部13は、制御部131および演算部132を有する。制御部131は、電極3および電極4の夫々から、各電極に接触している測定対象の電位に相当する電気信号を受信する。そして、制御部131は、演算部132に該電気信号に関する演算処理を実行させる。また、制御部131は、演算部132から該電気信号に関する演算結果を受信する。そして、制御部131は、該演算結果に関する情報を表示部11に入力する。なお、演算部132は、本開示の「演算部」の一例である。
【0041】
演算部132は、演算回路を含んで構成される。演算部132は、制御部131からの命令を受けて電極3および電極4の夫々から取得された電気信号に関する演算を実行する。
【0042】
また、心電図測定装置1は、受付部14を備える。受付部14は、タッチパネルディスプレイ2を含んで構成される。受付部14は、タッチパネルディスプレイ2の入力操作を受け付ける。そして、受付部14は、受け付けた入力情報を制御部121に入力する。
【0043】
(動作例)
図3は、心電図測定装置1の動作例の概要を例示する。なお、心電図測定装置1は、ベルト7が測定対象者の左右何れか一方の腕に巻かれることで測定対象者に固定されているものとする。
【0044】
(S1)
ステップS1では、表示部11が例えば「測定を開始する場合にはタップしてください」といった文言をタッチパネルディスプレイ2に表示する。そして、測定対象者によってタッチパネルディスプレイ2がタップされると、受付部14がこのタップ操作を受け付ける。そして、受付部14は、タッチパネルディスプレイ2が操作された旨の情報を制御部121に入力する。なお、タッチパネルディスプレイ2に表示されている情報はこのような例に限定されない。また、測定を開始するための操作はこのような例に限定されない。
【0045】
(S2)
ステップS2では、ステップS1においてタッチパネルディスプレイ2をタップした測定対象者が心臓の活動電位を測定するための姿勢をとる。
図4は、測定対象者がとる姿勢の概要を例示する。
図4Aは、測定対象者が左腕に心電図測定装置1を固定した場合の概要図である。
図4Bは、測定対象者が右腕に心電図測定装置1を固定した場合の概要図である。
【0046】
図4に示されるように、測定対象者は、例えば、肘を曲げることで手首に固定された心電図測定装置1を心臓の高さに持ってくるような姿勢をとる。なお、このような測定姿勢は、心電図測定装置1の仕様書に予め記載されていてもよい。又は、ステップS1において測定対象者によってタッチパネルディスプレイ2がタップされた後に、表示部11が測定姿勢をタッチパネルディスプレイ2に表示してもよい。
【0047】
測定対象者が
図4に示されるような測定姿勢をとると、加速度センサ123から出力された各軸の重力加速度成分情報が制御部121によって取得される。そして制御部121は、各軸の重力加速度成分情報を姿勢演算部122に入力し、測定対象者の姿勢を演算するように命令する。
【0048】
姿勢演算部122では、入力された各軸の重力加速度成分情報を利用することで、心電図測定装置1が測定対象者に装着されているか否かが判定される。すなわち、加速度センサ123を厚み方向に貫通するZ軸(本開示の「所定方向」の一例)が重力方向に対して傾く傾斜角をZ軸、ならびにZ軸と直交するX軸及びY軸の重力加速度成分情報を利用することで算出し、心電図測定装置1が測定対象者の腕に固定されているか否かを判定する。
【0049】
また、姿勢演算部122は、心電図測定装置1が測定対象者に装着されていると判定した場合、測定対象者により心電図測定装置1が右腕あるいは左腕の何れに固定されているかを重力方向に対するZ軸の傾斜角を利用して判定する。または、姿勢演算部122は、Z軸と直交するX軸またはY軸が水平方向に対して傾く傾斜角を利用して心電図測定装置1が測定対象者に固定されているか否か、または心電図測定装置1が測定対象者の左右何れの腕に固定されているかを判定してもよい。
【0050】
また、姿勢演算部122は、心電図測定装置1が測定対象者に装着されているか否かに関する情報、または心電図測定装置1が測定対象者の左右何れの腕に装着されているかに関する情報を制御部121に入力する。なお、これらの情報は、以降、測定対象者の姿勢情報ともいう。
【0051】
(S3)
ステップS3では、制御部121はステップS2において姿勢演算部122から入力された測定対象者の姿勢情報を利用して、電極3の領域のうち測定対象者に接触を推奨する部分を決定する。そして、該部分に接触するよう測定対象者を案内する案内情報を生成する。
【0052】
より詳細には、制御部121は、姿勢情報が心電図測定装置1が左腕に装着されているとの情報である場合、
図4Aに示されるようにタッチパネルディスプレイ2を正面から見た場合の左下近傍および右上近傍に位置する電極3の部分31および部分32を接触が推奨される位置と決定する。そして、制御部121は、タッチパネルディスプレイ2の左下および右上を指示するような矢印を含む案内情報を生成する。また、案内情報には、矢印で指示された領域を触ることを指示する文字列が含まれる。
【0053】
一方、心電図測定装置1が右腕に装着されているとの姿勢情報である場合、制御部121は
図4Bに示されるようにタッチパネルディスプレイ2の右下近傍および左上近傍に位置する電極3の部分33および部分34を接触が推奨される位置と決定する。そして、制御部121は、
図4B中のタッチパネルディスプレイ2の右下および左上を指示するような矢印を含む案内情報を生成する。また、案内情報には、矢印で指示された領域を触ることを指示する文字列が含まれる。
【0054】
また、制御部121は姿勢演算部122から入力された姿勢情報を記憶装置に記憶するよう記憶部124に命令する。そして、記憶部124は、制御部121からの命令に従い姿勢情報を記憶装置に記憶させる。なお、ステップS3は、本開示の「案内ステップ」の一例である。
【0055】
(S4)
ステップS4では、表示部11がステップS3において生成された案内情報をタッチパネルディスプレイ2に表示する。すると、タッチパネルディスプレイ2に表示された案内情報を見た測定対象者は電極3の何れの部分を触ればよいかを認識する。なお、ステップS4は、本開示の「第1表示ステップ」の一例である。
【0056】
(S5)
ステップS5では、測定対象者がステップS4において案内された電極3の部分を触る。すると、測定対象者の心臓から発せられた電気信号に基づく接触部分の電位が電極3を介して制御部131に入力される。また、測定対象者の心臓から発せられた電気信号に基づく接触部分の電位が電極4を介しても制御部131に入力される。制御部131は、入力された電気信号を演算部132に入力する。そして、制御部131は、演算部132に電極3と電極4の電位差を演算するよう命令する。
【0057】
(S6)
ステップS6では、演算部132が、制御部131からステップS5における命令を受けて電極3と電極4の電位差を演算する。そして演算部132は、演算された電極3と電極4の電位差を制御部131に送信する。なお、ステップS6は、本開示の「演算ステップ」の一例である。
【0058】
(S7)
ステップS7では、制御部131がステップS6において演算された電極3と電極4の電位差を演算部132から受信する。そして、制御部131は、受信した電極3と電極4の電位差の情報を表示部11に入力する。そして、表示部11が電極3と電極4の電位差の情報をタッチパネルディスプレイ2に表示する。より詳細には、表示部11は、例えば横軸を時間とし、縦軸を電極4と電極3の電位差の大きさとするグラフをタッチパネルディスプレイ2に表示する。又は、表示部11は、電極3と電極4の電位差の数値をタッチパネルディスプレイ2に表示する。なお、ステップS7は、本開示の「第2表示ステップ」の一例である。
【0059】
なお、ステップS5からステップS7の処理は、測定対象者が電極3及び電極4を触っている間に継続的に実行される。よって、タッチパネルディスプレイ2上には、リアルタイムに変化する電極3と電極4の電位差の波形および数値が表示されることになる。
【0060】
[作用・効果]
上記のような心電図測定装置1によれば、測定対象者が電極3および電極4に接触することで、電極3および電極4に接触している測定箇所の電位が取得可能となる。よって、ステップS5に示されるように測定対象者の心臓から発せられた電気信号を取得することができる。そして、ステップS6-ステップS7に示されるように電極3と電極4の電位差を演算し、電位差を心臓の活動電位としてタッチパネルディスプレイ2に表示することができる。
【0061】
また、上記のような心電図測定装置1によれば、
図4に示されるように測定対象者がタッチパネルディスプレイ2に表示された案内情報を見ることで電極3の部分31-部分34のいずれに触ればよいことが認識できる。よって、測定の都度、測定対象者と電極3との接触位置が変動することは抑制される。よって、心臓の活動電位の測定誤差は抑制される。また、電極3の部分31-部分34が接触推奨位置の場合、測定対象者が接触が推奨される位置以外の場所を触れることは抑制される。このことによっても心臓の活動電位の測定誤差は抑制される。
【0062】
また、上記のような心電図測定装置1によれば、加速度センサ123から出力された各軸の重力加速度成分情報を利用して、測定対象者が心電図測定装置1を装着しているか否か、また装着している場合には左右何れかの腕に装着しているかといった測定姿勢を検出することができる。よって、測定対象者が心電図測定装置1を左腕に装着している場合には
図4Aに示される案内情報、測定対象者が心電図測定装置1を右腕に装着している場合には
図4Bに示される案内情報といったように、測定対象者の姿勢に応じて適切な案内情報を生成することができる。よって、測定対象者の姿勢が測定の都度異なる場合であっても心臓の活動電位の測定誤差は抑制される。
【0063】
また、上記のような心電図測定装置1によれば、測定対象者の2本の指同士が離れた力の入りにくい楽な状態で例えば電極3の部分(31、32)に触れるようにできるため、測定対象者の腕や指の筋肉が収縮した状態で電極3に触れることは抑制される。よって、筋肉の収縮に基づくノイズが測定情報に混入することは抑制される。なお、部分(33、34)についても同様のことがいえる。
【0064】
§2 変形例
[第1変形例]
図5は、第1変形例に係る心電図測定装置1Aの概要を例示する。第1変形例に係る心電図測定装置1Aは、実施形態に係る心電図測定装置1と同様の構成である。しかしながら、心電図測定装置1Aが有する電極3Aは、タッチパネルディスプレイ2の図中の上半分を囲む電極37と、図中の下半分を囲む電極38とに分割されている。
【0065】
[作用・効果]
上記のような心電図測定装置1Aによれば、二つに分割されている電極37および電極38の夫々で取得される電位を検出することができる。そして、検出された夫々の電位のうち、ノイズの混入が少ない方の電位に基づいて、電極4との間の電位差を演算することができる。よって、心臓の活動電位を測定する場合に、測定誤差が生じることは抑制される。
【0066】
なお、心電図測定装置1Aは、実施形態と同様に
図3に示されるフローを実行してもよい。そして、ステップS2において姿勢演算部122が心電図測定装置1
Aが測定対象者に装着されていないと判定した場合、ステップS3において例えば
図5中の電極38の左下部分を左手の指で触り、電極37の右上部分を右手の指で触る旨の案内情報を生成してもよい。そして、制御部131は、電極37と電極38との間の電位差を演算するよう演算部132に命令してもよい。このような心電図測定装置1Aによれば、心電図測定装置1Aが測定対象者に装着されていない場合であっても心臓の活動電位を測定することができる。
【0067】
なお、電極3Aは、3つ以上に分割されていてもよい。そして、3つ以上に分割された電極のうちの二つの電極を指で触る旨の案内情報が生成されてもよい。
【0068】
[第2変形例]
図6は、第2変形例に係る心電図測定装置1Bの概要を例示する。第2変形例に係る心電図測定装置1Bは、LED(Light Emitting Diode)6を備える。LED6は、電極3を囲むように配置される。また、制御部121は、LED6の発光制御も行う。なお、LED6は、本開示の「発光素子」の一例である。
【0069】
制御部121は、ステップS3において心電図測定装置1Bが例えば左腕に装着されている姿勢情報を姿勢演算部122から取得した場合、
図6に示されるように図中の左下近傍および右上近傍に位置する電極3の部分31および部分32を接触が推奨される位置と決定する。そして、制御部121は、部分31および部分32の近傍に位置するLED6を点灯させる制御を行う。なお、心電図測定装置1Bが例えば右腕に装着されている姿勢情報を姿勢演算部122から取得した場合、制御部121は
図6中のタッチパネルディスプレイ2を正面から見た場合の右下近傍および左上近傍に位置するLED6を点灯させる制御を行う。
【0070】
[作用・効果]
上記のような心電図測定装置1Bによれば、
図4および
図5に示されるようなタッチパネルディスプレイ2に案内情報を表示せずとも、電極3の部分31および部分32への接触を簡易に案内できる。よって、案内情報の表示に関する処理フローは簡略化される。
【0071】
なお、心電図測定装置1Bは、LED6を備えずに例えば部分31および部分32の近傍に位置するタッチパネルディスプレイ2の画素を点灯させてもよい。また、LED6の発光と、
図4に示されるような案内情報が組み合わされて表示されてもよい。
【0072】
[その他変形例]
加速度センサ123やジャイロセンサは設けられていなくともよい。また、電極3の部分(31、32)は対極方向になくともよい。また、心電図測定装置1は例えばWAN(Wide Area Network)、携帯電話等の電話通信網、またはWi-Fi(登録商標)等の無線通信網等のネットワークに接続可能であり、所定の通信規格で通信可能な通信モジュールを含んで構成される通信部を備えてもよい。そして、心電図測定装置1とサーバとがネットワークを介して接続されてもよい。そして、心電図測定装置1の一部の機能(例えば姿勢演算部122)がサーバにおいて構成され、心電図測定装置1とサーバとが通信部を介して情報を送受信可能であってもよい。また、心電図測定装置1において測定された心臓の活動電位情報は、タッチパネルディスプレイ2に表示されずにサーバに送信されて解析等されてもよい。このような構成であっても上記の心電図測定装置1と同様の効果を奏することができる。
【0073】
§3 第2実施形態
図7は、第2実施形態に係る心電図測定装置1Cの概要を例示する。第2実施形態に係る心電図測定装置1Cは、携帯可能であり測定対象者の手首に固定して使用される装置である。すなわち、心電図測定装置1Cは、ディスプレイ16と、ディスプレイ16を含む構成部品が収容されるケース53と、ケース53と接続され、測定対象者の手首に巻き付けてケース53を固定することが可能なベルト18を備える。ケース53にはディスプレイ16が外部から視認可能に収容されている。また、ディスプレイ16の右側にはボタン17が設けられている。
【0074】
また、
図7に示されるようにディスプレイ16を正面から見た場合のケース53の左縁には左手用電極54Aが設けられている。また、ベルト18の測定対象者の皮膚と当接する面には左手用電極54Bが設けられている。また、ディスプレイ16を正面から見た場合のケース53の下縁には右手用電極55Aが設けられている。また、ディスプレイ16を正面から見た場合のケース53の右縁には右手用電極55Bが設けられている。また、左手用電極54A、右手用電極55A、右手用電極55Bの近傍には、夫々LED58、LED59A、LED59Bが夫々配置されている。なお、左手用電極54A、54Bは、本開示の「第1電極」の一例である。また、右手用電極55A、55Bは、本開示の「第2電極」の一例である。
【0075】
また、図示しないが、ベルト18にはカフと、カフに空気を送り込むポンプとが設けられている。また、カフにはカフ内部の空気を排出可能な排気弁が設けられている。また、カフの内部には内圧を測定可能な圧力センサが設けられている。
【0076】
(心電図測定装置1Cの機能構成)
図8は、心電図測定装置1Cの機能ブロック図の概要を例示する。
図8に示されるように、心電図測定装置1Cは表示部11Cを備える。表示部11Cは、ディスプレイ16を含んで構成される。表示部11Cは、表示情報をディスプレイ16に表示させる。表示情報は、電極54A、55A、55Bを指示する記号、図形、文字等の案内情報を含む。また、表示情報は、心電図測定装置1Cの高さを心臓の高さ付近に調整することを案内する案内情報を含む。また、表示情報は、測定された心臓の活動電位および血圧に関する情報を含む。なお、表示部11Cは、本開示の「表示部」の一例である。
【0077】
また、心電図測定装置1Cは表示制御部12Cを備える。表示制御部12Cは、ディスプレイ16に表示させる表示情報およびLED58、59A、59Bの発光を制御する。なお、LED58、59A、59Bは、本開示の「表示部」の一例である。
【0078】
より詳細には、表示制御部12Cは、制御部121Cを有する。制御部121Cは、ディスプレイ16へ表示する表示情報およびLED58、59A、59Bの点滅を制御する。すなわち、制御部121Cは、受付部14C(後述する)から入力された測定モード情報が心電図のみを測定するモードか、あるいは心電図および血圧を測定するモードかを判定する。そして、制御部121Cは、判定された測定モードに応じて測定対象者に接触を推奨する電極を決定する。また、制御部121Cは、LED58、59A、59Bの中から、該推奨する電極の近傍に配置されたLEDを選択し、選択されたLEDを点滅させる制御信号を生成する。そして、制御部121Cは、生成した制御信号に従い、LEDの点滅(本開示の「案内情報」の一例)を制御する。また、制御部121Cは、接触を推奨する電極を測定対象者に案内する案内情報を生成する。また、制御部121Cは、測定モードを心電図および血圧を測定するモードと判定した場合、測定対象者にベルト18を左右何れかの手首に巻くよう案内する案内情報を生成する。また、制御部121Cは、心電図測定装置1Cの高さを心臓の高さ付近に調整するよう案内する案内情報を生成する。なお、制御部121Cは、本開示の「案内部」の一例である。
【0079】
また、心電図測定装置1Cは心電測定部13Cを備える。心電測定部13Cは、心臓の活動電位に関する情報を測定する。
【0080】
より詳細には、心電測定部13Cは、制御部131Cおよび演算部132Cを有する。制御部131は、電極54A、54B、55A、55Bの夫々から、各電極に接触している測定対象の電位に相当する電気信号を受信する。そして、制御部131Cは、演算部132Cに該電気信号に関する演算処理を実行させる。また、制御部131Cは、演算部132Cから該電気信号に関する演算結果を受信する。そして、制御部131Cは、該演算結果に関する情報を表示部11Cに入力する。
【0081】
演算部132Cは、演算回路を含んで構成される。演算部132Cは、制御部131Cからの命令を受けて電極54A、54B、55A、55Bの夫々から取得された電気信号に関する演算を実行する。なお、演算部132Cは、本開示の「演算部」の一例である。
【0082】
また、心電図測定装置1Cは、受付部14Cを備える。受付部14Cは、ボタン17を含んで構成される。受付部14Cは、ボタン17の押下操作入力を受け付ける。そして、受付部14Cは、受け付けた入力情報を制御部121Cに入力する。
【0083】
また、心電図測定装置1Cは、血圧測定制御部15を備える。血圧測定制御部15は、カフの内部に空気を送り込むポンプ、カフの内部から空気を排出可能に設けられた排気弁の動作を制御する。また、血圧測定制御部15は、カフの内圧を測定可能な圧力センサから情報を取得する。また、血圧測定制御部15は、カフの内圧情報を利用して例えば収縮期血圧値、拡張期血圧値、または所定期間における脈拍数等(以降血圧測定情報という)を演算する。カフの内圧から血圧測定情報を演算するには公知のアルゴリズムまたは独自に開発されたアルゴリズムが使用される。そして、血圧測定制御部15は、これらの血圧測定情報を表示部11Cに送信する。なお、血圧測定制御部15は、本開示の「血圧測定部」の一例である。
【0084】
図9は、第2実施形態に係る心電図測定装置1Cの動作例のフローチャートの一例である。
【0085】
(S51)
ステップS51では、表示部11Cが例えば動作モードとして心電図のみを測定するモードと心電図および血圧を測定するモードとの何れかを選択可能にする情報をディスプレ
イ16に表示する。そして、測定対象者がボタン17を操作することで上記二つの測定モードのうちの何れかを選択すると、受付部14Cがこの操作を受け付ける。そして、受付部14Cは、選択された測定モード情報を制御部121Cに入力する。そして、制御部121Cは、測定モードが心電図のみを測定するモードか心電図および血圧を測定するモードかを判定する。
【0086】
(S52)
ステップS52では、ステップS51において制御部121Cが測定モードを心電図のみを測定するモードと判定した場合、制御部121Cは、電極54Aおよび電極55Bを測定対象者に接触を推奨する電極と決定する。そして、電極54Aおよび電極55Bの夫々の近傍に配置されたLED58およびLED59Bを点滅させる制御信号を生成する。
【0087】
(S53)
ステップS53では、ステップS52において生成された制御信号に従い、制御部121CがLED58およびLED59Bを点滅させる。このようにLED58およびLED59Bが点滅すると、測定対象者は両手で心電図測定装置1Cを保持し、左手の指でLED58の近傍に設けられた電極54Aを、右手の指でLED59Bの近傍に設けられた電極55Bをそれぞれ触るように案内される。
図10は、このように測定対象者が心電図測定装置1Cの電極54Aおよび55Bの夫々を、左手の指および右手の指で夫々触るよう案内されることを説明した概要図の一例である。
【0088】
なお、ステップS52において制御部121Cが電極54Aおよび電極55Bの夫々を指示するような記号を生成し、ステップS53において表示部11Cが該記号をディスプレイ16に表示してもよい。このような場合であっても、測定対象者が心電図測定装置1Cの電極54Aおよび55Bの夫々を、左手の指および右手の指で夫々触るよう案内される。なお、電極55Bは、本開示の「第2電極の所定部分」の一例である。
【0089】
(S54)
ステップS54では、測定対象者がステップS53において案内された電極54A、54Bを実際に触る。すると、電極54Aにおける測定対象者の心臓から発せられた電気信号に基づく電位が制御部131Cに入力される。また、電極55Bにおける測定対象者の心臓から発せられた電気信号に基づく電位が制御部131Cに入力される。制御部131Cは、入力された電気信号を演算部132Cに入力する。そして、制御部131Cは、演算部132Cに電極54Aと電極55Bの電位差を演算するよう命令する。
【0090】
(S55)
ステップS55では、演算部132Cが、制御部131CからステップS54における命令を受けて電極54Aと電極55Bの電位差を演算する。そして演算部132Cは、演算された電極54Aと電極55Bの電位差を制御部131Cに送信する。なお、ステップS55は、本開示の「演算ステップ」の一例である。
【0091】
(S56)
ステップS56では、制御部131CがステップS55において演算された電極54Aと電極55Bの電位差を演算部132Cから受信する。そして、制御部131Cは、受信した電極54Aと電極55Bの電位差の情報を表示部11Cに入力する。そして、表示部11Cが電極54Aと電極55Bの電位差の情報をディスプレイ16に表示する。より詳細には、表示部11Cは、例えば横軸を時間とし、縦軸を電極54Aと電極55Bの電位差の大きさとするグラフをディスプレイ16に表示する。又は、表示部11Cは、電極54Aと電極55Bの電位差の数値をディスプレイ16に表示する。なお、ステップS56は、本開示の「第2表示ステップ」の一例である。
【0092】
なお、ステップS54からステップS56の処理は、測定対象者が電極54A及び電極55Bを触っている間に継続的に実行される。よって、ディスプレイ16上には、リアルタイムに変化する電極54Aと電極55Bの電位差の波形および数値が表示されることになる。
【0093】
(S61)
一方でステップS51において制御部121Cが測定モードを心電図および血圧を測定するモードと判定した場合、制御部121Cは、血圧測定姿勢の案内情報を生成する。すなわち、測定対象者にベルト18を左右何れかの手首に巻いて心電図測定装置1Cを心臓の高さ付近に位置させるよう案内する案内情報(例えばテキストデータ)を生成する。また、制御部121Cは、LED59Aを点滅させる制御信号を生成する。
【0094】
(S62)
ステップS62では、ステップS61において生成された血圧測定姿勢の案内情報を表示部11Cがディスプレイ16に表示する。すると、ディスプレイ16に表示された案内情報を見た測定対象者はベルト18を例えば左手首に巻いて心電図測定装置1Cを自身の心臓の高さ付近に位置させる。
図11は、測定対象者が実際にベルト18を左手首に巻いて心電図測定装置1Cを心臓の高さ付近に位置させた状態を説明した一例である。なお、
図11に示されるようにベルト18が左手首に巻かれると、ベルト18に設けられた左手用電極54Bが測定対象者の手首の皮膚に当接される。
【0095】
また、ステップS61において生成された制御信号に従い、制御部121CがLED59Aを点滅させる。すると、測定対象者は、ベルトが巻かれた左手首とは反対側の右手の指でLED59Aの近傍に設けられた電極55Aを触ることを認識する。なお、ステップS61において制御部121Cが電極55Aを指示するような記号を生成し、ステップS62において表示部11Cが該記号をディスプレイ16に表示してもよい。このような場合であっても、測定対象者にベルトが巻かれた左手首とは反対側の右手の指で電極55Aを触ることは案内される。なお、電極55Aは、本開示の「第2電極の所定部分」の一例である。
【0096】
(S63)
ステップS63では、測定対象者の心臓から発せられた電気信号に基づく接触部分の電位がベルト18の電極54Bを介して制御部131Cに入力される。また、測定対象者の心臓から発せられた電気信号に基づく接触部分の電位が電極55Aを介して制御部131Cに入力される。制御部131Cは、入力された電気信号を演算部132Cに入力する。そして、制御部131Cは、演算部132Cに電極54Bと電極55Aの電位差を演算するよう命令する。
【0097】
(S64)
ステップS64では、演算部132Cが、制御部131CからステップS63における命令を受けて電極54Bと電極55Aの電位差を演算する。そして演算部132Cは、演算された電極54Bと電極55Aの電位差を制御部131Cに送信する。なお、ステップS63は、本開示の「演算ステップ」の一例である。
【0098】
(S65)
ステップS65では、ステップS62の処理の実行から所定期間経過後、血圧の測定も開始する。より詳細には、血圧測定制御部15は、カフに設けられた排気弁の開度を閉じ、カフに接続されるポンプやカフの内圧を測定可能な圧力センサ等を利用することで、ベルト18の内部に設けられたカフを、該カフの内圧が所定値となるまで膨張させる。
【0099】
(S66)
ステップS66では、ステップS65においてカフの内圧が所定値となった場合、血圧測定制御部15はカフに設けられた排気弁の開度を制御することでカフの内部から空気を徐々に排出させる。そして、血圧測定制御部15は、減圧されている最中のカフの内圧を圧力センサを介して逐次取得する。そして、血圧測定制御部15は、取得したカフの内圧を利用して血圧測定情報を演算する。そして、血圧測定制御部15は、これらの血圧測定情報を表示部11Cに送信する。
【0100】
(S67)
ステップS67では、制御部131CがステップS64において演算された電極54Bと電極55Aの電位差を演算部132Cから受信する。そして、制御部131Cは、受信した電極54Bと電極55Aの電位差の情報を表示部11Cに入力する。そして、表示部11Cが電極54Bと電極55Aの電位差の情報をディスプレイ16に表示する。より詳細には、表示部11Cは、例えば横軸を時間とし、縦軸を電極54Bと電極55Aの電位差の大きさとするグラフをディスプレイ16に表示する。又は、表示部11Cは、電極54Bと電極55Aの電位差の数値をディスプレイ16に表示する。
【0101】
また、表示部11Cは、ステップS66において演算された血圧測定情報を血圧測定制御部15から受信する。そして、表示部11Cは、血圧測定情報を電極54Bと電極55Aの電位差の情報と並べるようにディスプレイ16に表示する。なお、ステップS67は、本開示の「第2表示ステップ」の一例である。
【0102】
[作用・効果]
上記のような心電図測定装置1Cによれば、心臓の活動電位を測定するために触れる電極が測定モードに応じて異なることになる。すなわち、測定モードが心電図および血圧を測定するモードである場合、片方の手で電極55Aを触ることになる。一方、測定モードが心電図のみ測定するモードである場合、ベルト18を手首に装着する必要がないため、両方の手で本体の電極54Aおよび電極55Bに触れる必要がある。そして、上記のような心電図測定装置1Cによれば、LED58、59A、59Bの点滅やディスプレイ16に案内情報を表示することで、夫々の測定モードにおいて接触すべき電極を測定対象者に案内可能である。よって、夫々の測定モードに応じて測定対象者が適切な場所の電極に触れることができる。よって、測定モードに応じて接触すべき電極が変更される場合であっても心臓の活動電位の測定誤差は抑制される。
【0103】
また、上記のような心電図測定装置1Cによれば、心臓の活動電位の測定のために接触すべき電極を測定対象者に案内するとともに、血圧を測定する場合に測定対象者の手首に固定された心電図測定装置1Cの高さが心臓の高さ付近に案内される。よって、上記のような心電図測定装置1Cによれば、血圧の測定誤差も抑制される。また、電極55Aに触ることも案内されるため、推奨する血圧測定の姿勢を保持したまま適切でない場所の電極に触れることで心電図に筋電ノイズが大きく重畳することは抑制される。
【0104】
また、上記のような心電図測定装置1Cによれば、血圧と心電図を同時に測定する場合において、測定対象者によって触れられる電極55Aは心電図測定装置1Cの下端に位置する。よって、電極55Aに触れた測定対象者の指がベルト18に設けられたカフの膨張を抑えることやカフの膨張する向きを変えることは抑制される。よって、カフの内圧は正確に測定される。
【0105】
また、上記のような心電図測定装置1Cの形状は、測定対象者が両手で把持しやすいような矩形状である。また、両手で把持した状態で夫々の手の指で自然に接触可能な位置に電極54A、55Bが設けられている。よって、心電図のみを測定する場合に測定対象者の腕や指の筋肉が収縮することは抑制される。よって、筋肉の収縮に基づくノイズが測定情報に混入することは抑制される。
【0106】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【符号の説明】
【0107】
1 :心電図測定装置
2 :タッチパネルディスプレイ
3 :電極
4 :電極
5 :ケース
6 :LED
7 :ベルト
11 :表示部
12 :表示制御部
13 :心電測定部
14 :受付部
15 :血圧測定制御部
16 :ディスプレイ
17 :ボタン
18 :ベルト
31-34:部分
37 :電極
38 :電極
53 :ケース
54A、54B:電極
55A、55B:電極
58、59A、59B:LED
121 :制御部
122 :姿勢演算部
123 :加速度センサ
124 :記憶部
131 :制御部
132 :演算部