(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】車両用エンジンの補機配置構造
(51)【国際特許分類】
F02M 26/13 20160101AFI20241126BHJP
F02M 26/23 20160101ALI20241126BHJP
【FI】
F02M26/13
F02M26/23
(21)【出願番号】P 2023553842
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 JP2021038042
(87)【国際公開番号】W WO2023062774
(87)【国際公開日】2023-04-20
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 肇
(72)【発明者】
【氏名】木村 洋之
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第2944061(FR,A1)
【文献】特開2015-124695(JP,A)
【文献】特開2014-185618(JP,A)
【文献】特開2006-348798(JP,A)
【文献】特開2006-70878(JP,A)
【文献】特許第5719376(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/13
F02M 26/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、排気通路に排気浄化触媒が備えられるとともに、排気還流装置を備えたエンジンの補機配置構造であって、
前記排気還流装置は、前記エンジンの排気通路から排気の一部を吸気通路に還流する排気還流通路と、前記排気還流通路に介装された冷却装置と、を備え、
前記排気還流通路は、前記排気浄化触媒の下流側の前記排気通路に設けられた排気導入口と前記冷却装置の排気の取入口とを接続する排気側通路と、前記吸気通路と前記冷却装置の排気の排出口とを接続する吸気側通路を有し、
前記冷却装置は、前記エンジンと前記排気浄化触媒との間に配置され、前記排気の取入口と前記排気導入口との距離が、前記排気の排出口と前記排気導入口との距離より長くなるように配置されている
ことを特徴とするエンジンの補機配置構造。
【請求項2】
前記排気浄化触媒及び前記冷却装置は、車幅方向に互いにオフセットして配置され、
前記冷却装置は、長手方向が車幅方向になるように配置されるとともに、前記排気浄化触媒に対してオフセットしている方向側の端部が前記排気の取入口となるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの補機配置構造。
【請求項5】
前記排気浄化触媒は、前記エンジンの後面に対して離間して配置され、
前記冷却装置の下流側の前記排気還流通路は、前記排気浄化触媒と前記エンジンの後面との間を通過して前記冷却装置とは反対側に延びることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のエンジンの補機配置構造。
【請求項6】
前記冷却装置は、冷却水を導入して前記排気還流通路を通過する排気を冷却する水冷式の冷却器であり、
前記冷却装置へ導入される前記冷却水の通路は、前記冷却装置の上流側及び下流側の少なくとも一方で前記排気還流通路に隣接して延びるように配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のエンジンの補機配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のエンジンの排気還流装置における冷却装置の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたエンジンの多くには、排気性能を向上させるために、排気還流装置が備えられている。排気還流装置は、排気通路と吸気通路とを連通する排気還流通路を備え、排気通路から排気の一部を吸気通路に還流し、吸気の酸素濃度を低下させ燃焼室内の温度を低下しエンジンからNOxの排出を抑制する。更に、排気還流ガスを導入することによる吸気温度の上昇を抑えるために冷却装置を備えたものもある。冷却装置は、排気還流通路に配置され、排気還流通路を通過する排気還流ガスを冷却する。
【0003】
特許文献1に記載された車両には、車両に横置きに搭載されたエンジンの後方側に排気マニホールドが備えられ、排気マニホールドから下方に向かって延びるように排気浄化装置が備えられている。更に、エンジンの後方側に排気浄化装置に隣接して冷却装置(EGRクーラー)が備えられている。冷却装置は排気浄化装置の下流側から排気の一部を導入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において冷却装置は、エンジンの後面と排気浄化装置との間に設けられ、車幅方向に延びるように配置されている。しかしながら、エンジンの後面側に排気浄化装置と冷却装置とが並んで配置されているので、冷却装置等の補機を含むエンジンユニット全体が車両前後方向に長くなり、車両への搭載性が低下する可能性がある。
これに対し、冷却装置の容量を抑え小型化することで、補機を含むエンジンユニット全体をコンパクト化することが可能であるが、排気還流ガスの冷却性が低下するといった問題点がある。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排気還流ガスの冷却性を確保しつつ、冷却装置及び排気浄化装置をエンジンの傍に配置してコンパクトに構成できる車両用エンジンの補機配置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用エンジンの補機配置構造は、車両に搭載され、排気通路に排気浄化触媒が備えられるとともに、排気還流装置を備えたエンジンの補機配置構造であって、前記排気還流装置は、前記エンジンの排気通路から排気の一部を吸気通路に還流する排気還流通路と、前記排気還流通路に介装された冷却装置と、を備え、前記排気還流通路は、前記排気浄化触媒の下流側の前記排気通路に設けられた排気導入口と前記冷却装置の排気の取入口とを接続する排気側通路と、前記吸気通路と前記冷却装置の排気の排出口とを接続する吸気側通路を有し、前記冷却装置は、前記エンジンと前記排気浄化触媒との間に配置され、前記排気の取入口と前記排気導入口との距離が、前記排気の排出口と前記排気導入口との距離より長くなるように配置されていることを特徴とする。
【0008】
これにより、排気通路の排気導入口から冷却装置の排気の取入口までの排気側通路を長く確保することができ、冷却装置に流入する排気還流ガスの温度を低下させることができる。
【0009】
好ましくは、前記排気浄化触媒及び前記冷却装置は、車幅方向に互いにオフセットして配置され、前記冷却装置は、長手方向が車幅方向になるように配置されるとともに、前記排気浄化触媒に対してオフセットしている方向側の端部が前記排気の取入口となるように配置されているとよい。
【0010】
これにより、排気浄化触媒と冷却装置とが、エンジンの後方で車両前後方向に重なることを抑制することができる。したがって、排気浄化触媒及び冷却装置を含むエンジンユニットの前後寸法を抑えて車両の搭載性を向上させることができる。
また、排気還流通路の排気側通路を長く確保するように冷却装置を容易にレイアウトすることができる。
【0011】
好ましくは、前記排気浄化触媒は、排気入口から排気出口に向かって前記冷却装置と離間する方向に傾斜して配置されているとよい。
【0012】
これにより、冷却装置及び排気還流通路と排気浄化触媒とを離間させ、排気浄化触媒の温度上昇に伴う排気還流ガスの温度上昇を抑制することができる。
【0013】
好ましくは、前記排気浄化触媒と前記冷却装置とは、前記エンジンの後面視において、車幅方向で全ての部位が互いに異なる位置に配置されているとよい。
【0014】
これにより、冷却装置と排気浄化触媒とを大きく離間させ、排気浄化触媒の温度上昇に伴う排気還流ガスの温度上昇を大幅に抑制することができる。
【0015】
好ましくは、前記排気浄化触媒は、前記エンジンの後面に対して離間して配置され、前記冷却装置の下流側の前記排気還流通路は、前記排気浄化触媒と前記エンジンの後面との間を通過して前記冷却装置とは反対側に延びるとよい。
【0016】
これにより、車両の衝突時にエンジンが車両後方へ押された場合に、エンジンと排気浄化触媒との間で排気通路を圧縮して排気浄化触媒の後方への移動を抑制することができるとともに、冷却装置をコンパクトに配置することができる。
【0017】
好ましくは、前記冷却装置は、冷却水を導入して前記排気還流通路を通過する排気を冷却する水冷式の冷却器であり、前記冷却装置へ導入される前記冷却水の通路は、前記冷却装置の上流側及び下流側の少なくとも一方で前記排気還流通路に隣接して延びるように配置されているとよい。
【0018】
これにより、冷却装置へ導入される冷却水の通路によって、排気還流通路を冷却して、排気還流ガスの温度を低下させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る車両用エンジンの補機配置構造によれば、排気通路における排気導入箇所と冷却装置との間の排気還流通路を長く確保して、冷却装置に流入する排気還流ガスの温度を低下させることができるので、エンジンの吸気温度をより低下させて排気還流装置の性能向上を図るとともに、冷却装置を小型化して冷却装置を含むエンジンユニットを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両の前部の概略構成図である。
【
図2】エンジンの後面視におけるエンジン補機のレイアウト図である。
【
図3】エンジンの側面視におけるエンジン補機のレイアウト図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るエンジン3の補機配置構造を採用した車両1の前部の概略構造図である。
図2は、エンジン3の後面視におけるエンジン補機のレイアウト図である。
図3は、エンジン3の側面視におけるエンジン補機のレイアウト図である。
【0022】
図1に示すように、本発明を採用した車両1は、前部のエンジンルーム2にエンジン3を含むパワーユニット4を搭載している。車両1は、EVモード、シリーズモード、パラレルモードが可能なプラグインハイブリッド車である。
【0023】
パワーユニット4は、エンジン3と図示しない走行駆動用モータ及び発電用モータジェネレータを備えている。走行駆動用モータ及び発電用モータジェネレータは、エンジン3の左側方に配置されている。発電用モータジェネレータは、エンジン3のスタータモータとしても使用される。
【0024】
エンジン3は、例えば4気筒であり、車両1に横置きに搭載されている。エンジン3の前面に吸気マニホールド5が備えられ、吸気通路6が配置されている。一方、エンジン3の後面側に排気マニホールド7が備えられ、排気通路8が配置されている。
【0025】
吸気通路6には、スロットルバルブ10が備えられている。また、吸気通路6のスロットルバルブ10と吸気マニホールド5との間には、サージタンク11が備えられている。
【0026】
スロットルバルブ10は、エンジン3の前面側の上部に位置し、スロットルバルブ10はエンジン3の車幅方向中央部に位置する2番気筒に連結する吸気マニホールド5のブランチ管12と3番気筒に連結するブランチ管12との間に配置されている。
【0027】
サージタンク11は、エンジン3の前面側の上部から中央部に位置し、スロットルバルブ10の下方に配置されている。サージタンク11から各気筒に向けて吸気マニホールド5のブランチ管12が夫々接続されている。ブランチ管12はサージタンク11の下面から車両前側に屈曲しサージタンク11の前側に隣接して上方に延び、各気筒の上部前面の吸気ポート13に接続されている。
【0028】
一方、排気通路8には、排気マニホールド7の下流側にフロント触媒20(排気浄化触媒)が備えられている。また、排気通路8のフロント触媒20より下流側にリヤ触媒21が備えられている。フロント触媒20及びリヤ触媒21は、例えば三元触媒のような排気を浄化可能な触媒である。フロント触媒20は比較的小型であり、エンジン3の後面3b(車両後方側側面)に隣接して配置されている。フロント触媒20は、エンジン始動直後のような冷態運転時において排気の浄化性能を向上させるために、エンジン3からすぐに排気が流入するようにエンジン3の近くに配置されている。リヤ触媒21は比較的大型であり、例えば車両1のフロア下に配置されている。
【0029】
更に、エンジン3には、排気還流装置30(EGR装置)が備えられている。排気還流装置30は、排気の一部を吸気通路6に還流することで、吸気の酸素濃度を低下させてエンジン3の燃焼室内の温度上昇を抑える。これにより、エンジン3の排気中におけるNOxを低減させる。
【0030】
排気還流装置30は、吸気通路6と排気通路8とを接続する排気還流通路31(EGR通路)と、排気還流通路31に介装され排気還流通路31の開度を調節する図示しない排気還流バルブ(EGRバルブ)と、排気還流通路31に備えられた冷却装置32(EGRクーラー)を有している。
【0031】
冷却装置32は、排気還流通路31を通過する排気(排気還流ガス)の温度を低下させる水冷式の冷却器である。冷却装置32は、排気還流ガスの温度を低下させることで、排気還流ガスを導入した吸気の温度の上昇を更に抑え、排気還流装置30によるNOx低減効果を向上させる。
【0032】
図2、3に示すように、フロント触媒20は、エンジン3の後面3bから排気マニホールド7を挟んで後方に位置し、エンジン3の左右方向中央位置からやや左側に配置されている。
【0033】
フロント触媒20は、略円筒状に形成されており、一端側に排気マニホールド7に接続された排気入口20aが設けられ、他端側に排気出口20bが設けられている。
フロント触媒20は、排気入口20aから排気出口20bに向かって下方かつ車両後方に傾斜して配置されている。また、フロント触媒20は、排気入口20aから排気出口20bに向かって車幅方向左側に僅かに傾斜して配置されている。
【0034】
排気マニホールド7は、エンジン3の後面3bの上部に位置する各気筒の排気ポート35から後方に延びるとともに下方に屈曲して合流し、フロント触媒20の排気入口20aに接続されるブランチ管36を有している。
【0035】
冷却装置32は、例えば筒状に形成されており、一方の端部に設けられたガス入口32a(排気の取入口)から他方の端部に設けられたガス出口32b(排気の排出口)に向かって排気還流ガスが通過するように構成されている。また、冷却装置32には、エンジン3冷却用の冷却水の一部が導入され、排気還流ガスと冷却水とが熱交換して排気還流ガスを冷却する。
【0036】
冷却装置32はフロント触媒20の車幅方向右側に位置し、車幅方向に延びるように配置されている。冷却装置32は、排気還流ガスの取入口であるガス入口32aがエンジン3の車幅方向右側に位置し、ガス出口32bがエンジン3の車幅方向略中央に位置している。また、冷却装置32は、エンジン3の後面3bとフロント触媒20との間の車両前後方向位置に配置されている。
【0037】
排気還流通路31は、中空状のパイプであって、フロント触媒20の排気出口20bの近傍の排気導入口20cから車幅方向右側かつ車両前方に延びて冷却装置32のガス入口32aに接続されている(排気側通路31a)。また、排気還流通路31は、冷却装置32のガス出口32bから、エンジン3の後面とフロント触媒20との間を車幅方向左側に向かって延び、フロント触媒20の車幅方向左側で上方に延びてエンジン3の前側に回り込み、図示しない排気還流バルブを通過して、スロットルバルブ10とサージタンク11との間の吸気通路6に接続されている(吸気側通路31b)。
【0038】
また、冷却装置32に冷却水を導入するための冷却水路は、エンジン3の前部から右側面を通過して後方に回り込み冷却装置32に接続された冷却水導入路40と、冷却装置32からエンジン3の後面に沿って車幅方向左方に延びる冷却水排出路41(冷却水の通路)を備えている。冷却水排出路41は、排気マニホールド7と排気還流通路31の間の空間を通るとともに、冷却装置32のガス出口32bから延びる排気還流通路31に沿って延びている。なお、冷却装置32より下流側の排気還流通路31と冷却水排出路41とは、互いに熱交換し易いように隣接して配置されるとよい。
【0039】
以上のように、本実施形態では、車両1に横置きに搭載されたエンジン3の後面3b側に、フロント触媒20及び冷却装置32が備えられている。
図2に示すように、フロント触媒20と冷却装置32とは、エンジン3の後面視で重ならないように配置されている。
【0040】
このような構成により、フロント触媒20及び冷却装置32といったエンジン3の補機を含むエンジンユニットの前後寸法を抑えてコンパクトに構成し、車両の搭載性を向上させることができる。また、エンジンユニットを車両前後方向にコンパクトに構成することで、車両前突時においてエンジン3の後方にクラッシャブルスペースを大きく確保することができる。
【0041】
また、フロント触媒20と冷却装置32とが、エンジン3の後面視で重ならないように配置されることで、車両前突時にエンジン3が後方に向かって押された場合に、フロント触媒20と冷却装置32とが接触することを回避することができる。これにより車両前突時に、例えば排気マニホールド7のブランチ管36が屈曲して衝撃を吸収できるとともに、フロント触媒20の車両後方への突出を抑制することができる。
【0042】
フロント触媒20とエンジン3の後面との間に位置する排気還流通路31は、中空状のパイプであり冷却装置32よりも潰れ易いので、車両前突時にエンジン3が後方に移動した際に、フロント触媒20とエンジン3の後面3bとの間に排気還流通路31が挟まれたときに、排気還流通路31が潰れて衝撃を吸収することができる。
【0043】
また、フロント触媒20は車幅方向左側に位置し、冷却装置32は車幅方向右方側に位置し、エンジン3の後面3bに沿って車幅方向に互いにオフセットして配置されており、冷却装置32のガス入口32aは冷却装置32において車幅方向右側に位置している。特に、本実施形態では、冷却装置32は、フロント触媒20に対して全ての部位が車幅方向右側に、即ち車幅方向に異なる位置に位置するように配置されている。
【0044】
これにより、冷却装置32のガス入口32aと排気導入口20cとの距離が、ガス出口32bと排気導入口20cとの距離より長くなるように配置されており、排気導入口20cと冷却装置32との間の排気側通路31aを、即ち排気通路8からの排気導入箇所と冷却装置32との間の排気還流通路31を長く確保することができる。したがって、排気通路8と冷却装置32との間の排気還流通路31において、排気還流ガスの温度を大きく低下させることができる。これにより、エンジン3の吸気温度をより低下させて排気還流装置の性能向上を図るとともに、冷却装置32を小型化して冷却装置32を含むエンジンユニットの車両1への搭載性を更に向上させることができる。
【0045】
本実施形態では、冷却装置32は、長手方向が車幅方向になるように配置されるとともに、フロント触媒20に対して車幅方向遠方側である車幅方向右側の端部がガス入口32aとなっている。
なお、本実施形態においては、冷却装置32のガス入口32aはフロント触媒20に対する冷却装置32のオフセット方向側に位置している。
【0046】
これにより、排気通路8と冷却装置32との間の排気還流通路31を長く確保するように冷却装置32を容易にレイアウトすることができる。
【0047】
更に、
図2、3に示すように、フロント触媒20は、排気入口20aから排気出口20bに向かって車幅方向左方かつ車両後方に、即ち冷却装置32と離間する方向に傾斜して配置されている。これにより、冷却装置32とフロント触媒20とを離間させ、フロント触媒20の温度上昇に伴う排気還流ガスの温度上昇を抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、冷却装置32を通過した冷却水排出路41の一部が、排気マニホールド7と排気還流通路31の間の空間を通るとともに、冷却装置32の下流の排気還流通路31に隣接して延びるように配置されている。これにより、冷却水排出路41を通過する冷却水によって、排気還流通路31を冷却して、排気還流ガスの温度を更に低下させることができる。
【0049】
また、冷却水排出路41が排気マニホールド7と排気還流通路31の間の空間に配置されることで、排気マニホールド7の熱を排気還流通路31に伝わり難くする効果も有する。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定するものではない。例えば、上記実施形態では、フロント触媒20と冷却装置32とが車両後面視において完全に重ならないように配置されているが、一部重なっていてもよい。この場合、フロント触媒20あるいは冷却装置32の車両前後方向の大きさが比較的小さい箇所で重なっていることが望ましい。このように、フロント触媒20と冷却装置32とが車両後面視において一部が重なるように配置されていたとしても、車両前突時にてエンジン3の後方にクラッシャブルスペースを大きく確保することができるとともに、フロント触媒20の後方への移動を抑制することができる。
【0051】
また、フロント触媒20と冷却装置32は、エンジン3の後面3bに沿って車幅方向に互いにオフセットして配置されているが、例えば上下方向や上下左右斜め方向に互いにオフセットしていてもよい。また、冷却装置32をエンジン3の後面に沿って、例えば上下方向や上下左右斜め方向に傾斜して配置してもよい。このような場合でも、冷却装置32のうち、フロント触媒20の下流側の排気通路8から遠い位置をガス入口32aとすることで、排気還流通路31を長くして、排気還流ガスの温度低下を促すことができる。
【0052】
また、上記実施形態では、冷却装置32を通過した冷却水排出路41の一部が、冷却装置32の下流の排気還流通路31に隣接して延びるように配置されているが、冷却装置32に冷却水を導入する冷却水導入路40の少なくとも一部と排気還流通路31とが隣接して延びるように配置してもよい。
【0053】
また、本実施形態では、プラグインハイブリッド車に搭載したエンジン3に本発明を適用しているが、ハイブリッド車やガソリン車に搭載されたエンジン、あるいは車両搭載以外のエンジンにも適用することができる。本発明は冷却装置を有する車両のエンジンに対して広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 車両
3 エンジン
3b 後面
6 吸気通路
8 排気通路
20 フロント触媒(排気浄化触媒)
20a 排気入口
20b 排気出口
20c 排気導入口
30 排気還流装置
31 排気還流通路
31a 排気側通路
31b 吸気側通路
32 冷却装置
32a ガス入口(排気の取入口)
32b ガス出口 (排気の排出口)
41 冷却水排出路(冷却水の通路)