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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】鞘管付きパイプ
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/12 20060101AFI20241126BHJP
   F16L 11/11 20060101ALI20241126BHJP
   F16L 21/08 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
F16L11/12 J
F16L11/11
F16L21/08 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024007169
(22)【出願日】2024-01-22
(62)【分割の表示】P 2019194073の分割
【原出願日】2019-10-25
(65)【公開番号】P2024026886
(43)【公開日】2024-02-28
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】深尾 洋一
(72)【発明者】
【氏名】臼井 優太郎
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-027194(JP,A)
【文献】特開2012-225414(JP,A)
【文献】実開昭60-056887(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/12
F16L 11/11
F16L 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線の延在方向に凸部と凹部とが交互に配置された蛇腹状をなして前記延在方向に伸縮可能であるとともに、透明な樹脂材料で構成された鞘管と、当該鞘管に挿通されているとともに、管継手への挿入目印が前記延在方向に等間隔で複数付されたパイプ本体とを備えた鞘管付きパイプであって、前記管継手は、前記鞘管から露出された前記パイプ本体の外周面に対して食い込んで、前記パイプ本体の前記管継手からの抜け出しを抑制する保持リングを備えており、前記鞘管において前記凹部の底の外径は、前記管継手のパイプ挿入口の開口側である最大内径よりも小さくかつ前記パイプ挿入口の奥側である最小内径よりも大きい鞘管付きパイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水給湯等に用いられる鞘管付きパイプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給水給湯用の可撓性の管等が挿通されるコルゲート管が開示されている。特許文献2には、管継手への挿入目印となる周線が、軸線の延在方向に等間隔で描かれた樹脂パイプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-26129号公報
【文献】特開2000-88154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、パイプ本体の切断目印を効果的に利用し得る鞘管を備えた鞘管付きパイプを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために請求項1の発明の鞘管付きパイプは、軸線の延在方向に凸部と凹部とが交互に配置された蛇腹状をなして前記延在方向に伸縮可能であるとともに、透明な樹脂材料で構成された鞘管と、当該鞘管に挿通されているとともに、管継手への挿入目印が前記延在方向に等間隔で複数付されたパイプ本体とを備えた鞘管付きパイプであって、前記管継手は、前記鞘管から露出された前記パイプ本体の外周面に対して食い込んで、前記パイプ本体の前記管継手からの抜け出しを抑制する保持リングを備えており、前記鞘管において前記凹部の前記底の外径は、前記管継手のパイプ挿入口の内径よりも小さい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、鞘管が透明であるため、パイプ本体の挿入目印を確認する際に、当該挿入目印を鞘管から露出させる面倒がない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】鞘管付きパイプの側面図。
図2】パイプ本体の側面図。
図3】鞘管の側面図。
図4】管継手の縦断面図。
図5】鞘管付きパイプが挿入された状態の管継手の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した一実施形態について説明する。
まず、鞘管付きパイプが接続された管継手について説明する。
【0009】
図4に示すように、管継手11を構成する継手本体12には、貫通孔12aが形成されている。貫通孔12aにおいて一端側(図面左端側)の内周面には、段差部12bが形成されている。段差部12bには、貫通孔12aに対して他端側(図面右端側)から挿入された内筒13のフランジ部13aが当接されている。貫通孔12aの内周面には、複数の環状溝12cが形成されている。各環状溝12cには、それぞれシールリング14が収容されている。
【0010】
貫通孔12aにおいて他端側の内周面には、段差部12dが形成されている。段差部12dには、保持爪15aを有する保持リング15が係止されている。貫通孔12aにおいて他端部の内周面には、雌ねじ部12eが形成されている。雌ねじ部12eには締付リング16が螺入されている。段差部12dと締付リング16とによって、保持リング15の外周縁が所定位置に保持されている。内筒13の外周面と、継手本体12及び締付リング16の内周面との間には、差し込み空間17が形成されている。
【0011】
図5に示すように、管継手11の差し込み空間17には鞘管付きパイプ21のパイプ本体22が配置され、よって管継手11とパイプ本体22とが接続されている。管継手11とパイプ本体22とが接続された状態では、保持リング15の保持爪15aがパイプ本体22の外周面に対して食い込んで、パイプ本体22の管継手11からの抜け出しが抑制されている。
【0012】
なお、図面中の「L」は、差し込み空間17におけるパイプ本体22の適正な差し込み深さを示す。図面中の「M」は、締付リング16において、パイプ本体22の挿入側(図面右端側)に位置する開口(パイプ挿入口)16aの最大内径を示す。
【0013】
つぎに、鞘管付きパイプ21について説明する。
図1に示すように、鞘管付きパイプ21は、パイプ本体22と、パイプ本体22が遊挿された鞘管23とを備えている。パイプ本体22と鞘管23とは、中心となる軸線Sがほぼ一致している。鞘管23は、パイプ本体22を施工時の踏み付け等から保護したり、パイプ本体22の耐候性を確保するものであるし、将来のパイプ本体22の取り換えを容易とするための鞘管工法に用いたりもする。
【0014】
図2に示すように、パイプ本体22は、架橋ポリエチレン、ポリブテン等の合成樹脂製であって、可撓性を有する円管状に形成されている。パイプ本体22の外周面には、複数の挿入目印22aが、軸線Sの延在方向(図面左右方向)に等間隔で印刷により付されている。図面中の「K」は、当該間隔(大きさ)を示す。挿入目印22aの当該間隔Kは、管継手11(図5参照)に対するパイプ本体22の差し込み深さLと同じである。
【0015】
図3に示すように、鞘管23は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド等の合成樹脂製であって、可撓性を有する円管状に形成されている。鞘管23は、無色透明又は有色透明である。有色透明としては、例えば給水給湯配管の水経路に採用されることを意識した青色透明、同じく湯経路に採用されることを意識した赤色透明、又は汎用性を意識した白色透明等が挙げられる。
【0016】
鞘管23は、円環状をなす凸部25と円環状をなす凹部26とが、軸線Sの延在方向において交互に配置された蛇腹状をなしている。つまり、鞘管23は、軸線Sの延在方向に伸縮可能なコルゲート管であると言える。
【0017】
凸部25の先端25aは、鞘管23において内外径が最大となる部分である。凹部26の底26aは、鞘管23において内外径が最少となる部分である。凸部25において先端25aの肉厚は、凹部26において底26aの肉厚よりも小さい。
【0018】
凸部25の先端25aは、軸線Sの延在方向へとまっすぐに(径を同じに保って)延在されている。凹部26の底26aは、軸線Sの延在方向へとまっすぐに延在されている。互いに隣り合う凸部25と凹部26とは、先端25aと底26aとが、軸線Sと直交する方向に連続して延在する境界壁25b,26bを介して連結されている。
【0019】
図面中の「N」は、凹部26において底26aの外径を示す。図5に示すように、当該外径Nは、管継手11の締付リング16においてパイプ挿入口16aの内径Mよりも小さい。したがって、鞘管23において管継手11に臨む先端が、凹部26の底26aによって提供された場合、管継手11とパイプ本体22とが接続された状態では、当該底26aを締付リング16のパイプ挿入口16a内に位置させる施工が可能である。
【0020】
図1及び図3中の「P」は、鞘管23において、凸部25の先端25aと凹部26の底26aとの軸線Sの延在方向における中心の間隔を示す。図1に示すように、パイプ本体22において挿入目印22aの間隔Kは、鞘管23の凸部25と凹部26との間隔Pの奇数倍である。
【0021】
図1に示すように、パイプ本体22の一の挿入目印22a(22a-1)が、鞘管23において凹部26の底26aに対して、軸線Sと直交する方向で重なって見えるように、鞘管23とパイプ本体22とを軸線Sの延在方向において位置決めしたとする。当該位置決め状態では、一の挿入目印22a(22a-1)に隣り合う別の挿入目印22a(22a-2)が、凸部25の先端25aに対して、軸線Sと直交する方向で重なって見える。
【0022】
図示しないが、逆に、パイプ本体22の一の挿入目印22a(22a-1)が、鞘管23において凸部25の先端25aに対して重なって見えるように、鞘管23とパイプ本体22とを位置決めしたとする。当該位置決め状態では、一の挿入目印22a(22a-1)に隣り合う別の挿入目印22a(22a-2)が、凹部26の底26aに対して重なって見える。
【0023】
また、図示しないが、本実施形態の別例として、挿入目印22aの間隔Kは、鞘管23において凸部25と凹部26との間隔Pの偶数倍であってもよい。この場合において、パイプ本体22の一の挿入目印22a(22a-1)が、鞘管23において凹部26の底26aに対して、軸線Sと直交する方向で重なって見えるように、鞘管23とパイプ本体22とを軸線Sの延在方向において位置決めしたとする。当該位置決め状態では、一の挿入目印22a(22a-1)に隣り合う別の挿入目印22a(22a-2)が、当該凹部26とは別の凹部26の底26aに対して、軸線Sと直交する方向で重なって見える。
【0024】
逆に、パイプ本体22の一の挿入目印22a(22a-1)が、鞘管23において凸部25の先端25aに対して重なって見えるように、鞘管23とパイプ本体22とを位置決めしたとする。当該位置決め状態では、一の挿入目印22a(22a-1)に隣り合う別の挿入目印22a(22a-2)が、当該凸部25とは別の凸部25の先端25aに対して重なって見える。
【0025】
つぎに、管継手11に対する鞘管付きパイプ21の接続作業について一例を説明する。
【0026】
図4に示す管継手11に対して、図5に示すように鞘管付きパイプ21を接続する。この場合、図1に示すように、パイプ本体22において挿入目印22aのうちの一の挿入目印22a(22a-1)が、鞘管23において凹部26の底26aに対して、軸線Sと直交する方向で重なって見えるように、鞘管23とパイプ本体22とを軸線Sの延在方向において位置決めする。この状態で、鞘管23において凹部26の底26aを透過して見える一の挿入目印22a(22a-1)を目安にして、鞘管23及びパイプ本体22を工具で一気に切断する。
【0027】
図5に示すように、鞘管23及びパイプ本体22を切断した後、パイプ本体22の先端(切断端)を管継手11の差し込み空間27へと差し込む。一の挿入目印22a(22a-1)に距離Kだけ離れて隣り合う別の挿入目印22a(22a-2)が、管継手11の端部まで、つまり締付リング16のパイプ挿入口16aまで移動したことが、鞘管23を透過して確認できれば、パイプ本体22の管継手11への差し込み代が管継手11の差し込み深さLとほぼ一致した、適正な接続状態にあると判断できる。
【0028】
上記実施形態においてはつぎのような効果を奏する。
(1)鞘管23は透明である。したがって、パイプ本体22を切断する際に、一の挿入目印22a(22a-1)を鞘管23から露出させる面倒がない。また、パイプ本体22を管継手11へと挿入する際に、別の挿入目印22a(22a-2)を鞘管23から露出させる面倒がない。
【0029】
(2)例えば、パイプ本体22の一の挿入目印22a(22a-1)が、鞘管23において凹部26の底26aに対して重なって見えるように、鞘管23とパイプ本体22とを位置決めすると、一の挿入目印22a(22a-1)に隣り合う別の挿入目印22a(22a-2)が、凸部25の先端25aに対して重なって見える。したがって、これら挿入目印22a(22a-1,22a-2)が、径方向に肉厚な境界壁25b,26bに対して重なって見える場合と比較して、挿入目印22a(22a-1,22a-2)の視認性が良好となる。
【0030】
よって、一の挿入目印22a(22a-1)を目安とする鞘管23及びパイプ本体22の切断を正確に行い得る。また、当該切断後において別の挿入目印22a(22a-2)を確認する際、別の挿入目印22a(22a-2)をはっきりと確認すべく凸部25の先端25a又は凹部26の底26aに対して改めて位置決めする面倒がなく、切断工程から挿入工程へとスムーズに移行できる。
【0031】
なお、図1において、一の挿入目印22a(22a-1)から遠く離れた挿入目印22a(22a-3)については、凸部25の先端25aや凹部26の底26aではなく、径方向に肉厚な境界壁25b,26bに対して重なって見えて視認性が悪い。しかし、挿入目印22a(22a-3)は、今回の施工においては利用価値が低く、視認性が悪くてもなんら問題は生じない。
【0032】
そういた意味において「挿入目印22aの間隔Kは、凸部25と凹部26との間隔Pの奇数倍又は偶数倍である」とは、正確に奇数倍又は偶数倍であって全ての挿入目印22aが凸部25の先端25a又は凹部26の底26aに重なって見えることには限定されない。切断工程において用いられる一の挿入目印22a(22a-1)及び挿入工程において用いられる別の挿入目印22a(22a-2)さえ、凸部25の先端25a又は凹部26の底26aに対して重なって見えればよい。
【0033】
(3)管継手11とパイプ本体22とが接続された状態では、鞘管23において凹部26の底26aが、管継手11のパイプ挿入口16a内に位置し得る。したがって、パイプ本体22が鞘管23及び管継手11から露出し難くなり、施工箇所の見栄えが良くなるし、紫外線等の影響を受け難くなってパイプ本体22の寿命が延びる。
【0034】
このように、鞘管23において凹部26の底26aが、管継手11のパイプ挿入口16a内に位置する場合、逆に位置しない場合と比較して、鞘管23をパイプ挿入口16aから抜き出す際に、鞘管23が管継手11(締付リング16)に対して引っ掛かり易くなる。そういった意味において、鞘管23が透明であることは、後の施工確認等の検査において、鞘管23をパイプ挿入口16aから抜き出すことなく、別の挿入目印22a(22a-2)とパイプ挿入口16aとの位置関係を透過で確認できて、特に有効であると言える。
【0035】
(4)鞘管23において凸部25の先端25aは、肉厚が小さい。したがって、先端25aがパイプ本体22から径方向に離れた位置にあるにもかかわらず、先端25aに対して重なって見える挿入目印22aの視認性が良好となる。また、鞘管23において凹部26の底26aは肉厚が大きく、鞘管23の耐久性向上に寄与する。底26aはパイプ本体22から径方向に近い位置にあるため、底26aの肉厚が大きくても、底26aに対して重なって見える挿入目印22aの視認性は良好である。これらを高次元で両立するためには、凹部26において底26aの肉厚を、凸部25において先端25aの肉厚に対して、1.2倍~2倍程度とすることが好ましい。
【0036】
(別例)
上記実施形態は、例えば以下のように変更できる。
○凸部25の先端25aを、軸線Sの延在方向において湾曲して(径が変化するように)延在させること。
【0037】
○凹部26の底26aを、軸線Sの延在方向において湾曲して延在させること。
【0038】
○鞘管23の凸部25において先端25aの外径を、管継手11においてパイプ挿入口16aの内径Mよりも小さくすること。このようにすれば、鞘管23において管継手11に臨む先端が、凸部25の先端25aによって提供される場合であっても、管継手11とパイプ本体22とが接続された状態では、当該先端25aを締付リング16のパイプ挿入口16a内に位置させ得る。
【符号の説明】
【0039】
11…管継手、16a…パイプ挿入口、21…鞘管付きパイプ、22…パイプ本体、22a…挿入目印、22a-1…一の挿入目印、22a-2…別の挿入目印、23…鞘管、25…凸部、25a…先端、26…凹部、26a…底。
図1
図2
図3
図4
図5