(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ドディオン式懸架装置
(51)【国際特許分類】
B60G 9/04 20060101AFI20241126BHJP
B60G 11/04 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B60G9/04
B60G11/04
(21)【出願番号】P 2024511914
(86)(22)【出願日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 JP2023011034
(87)【国際公開番号】W WO2023189864
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2022053541
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】大江 友幸
(72)【発明者】
【氏名】水口 健夫
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0346506(US,A1)
【文献】特開2013-71496(JP,A)
【文献】特開2014-118002(JP,A)
【文献】特開2007-191124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸を支持する一対のナックルと、
車幅方向に延在し前記一対のナックルを接続するアクスルパイプと、
前記アクスルパイプ及び車体に取り付けられる懸架スプリングと、
を備えるドディオン式懸架装置であって、
前記ナックルと前記アクスルパイプにわたって補強部材が設けられ、
前記懸架スプリングは、前記アクスルパイプの前記補強部材が設けられている箇所に取り付けられている、
ことを特徴とするドディオン式懸架装置。
【請求項2】
前記懸架スプリングはリーフスプリングであり、
前記リーフスプリングの中間部が載置されるサドルが前記アクスルパイプの上部に設けられ、
前記アクスルパイプを挟んで前記サドルの反対側に前記アクスルパイプの下部に当接する下部スプリングシートが設けられ、
車両前後方向において前記アクスルパイプを挟む2箇所で、前記リーフスプリングと前記サドルと前記アクスルパイプと前記下部スプリングシートとを締結する角Uボルトがそれぞれ設けられ、
前記補強部材は上補強部材と下補強部材とを備え、
前記上補強部材は、前記下補強部材よりも車幅方向内側に延在し、
前記上補強部材に前記サドルが取り付けられ、
前記下補強部材の車幅方向内側端よりも車幅方向内側に前記下部スプリングシートが位置している、
ことを特徴とする請求項1記載のドディオン式懸架装置。
【請求項3】
前記上補強部材の、前記角Uボルトと対向する車両前後方向の縁部に、前記角Uボルトを避けるように切り欠きが形成されている、
ことを特徴とする請求項2記載のドディオン式懸架装置。
【請求項4】
ショックアブソーバーの下端が連結されるショックアブソーバー用ブラケットが前記アクスルパイプに設けられ、
前記ショックアブソーバー用ブラケットは、前記補強部材と上下方向で重なる箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のドディオン式懸架装置。
【請求項5】
前記一対のナックルは、車両前後方向一方側に車軸受け部を有するとともに、車両前後方向他方側で前記アクスルパイプにより互いに接続されており、
前記補強部材は、前記アクスルパイプへの取り付け部分から前記車軸受け部まで延びている、
ことを特徴とする請求項1から
3の何れか1項記載のドディオン式懸架装置。
【請求項6】
前記補強部材は、当該補強部材の車両前後方向一方側端縁に、車両上下方向に延びるとともに車幅方向内側を向き、前記アクスルパイプへの取り付け部分から前記車軸受け部までの間をつなぐように車両前後方向一方側に向かうにつれて車幅方向外側に傾斜した内壁が設けられている、
ことを特徴とする請求項5記載のドディオン式懸架装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドディオン式懸架装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の懸架装置として、車軸に動力を伝達するディファレンシャルギアを車体側に装架すると共に、車軸を支持する一対のナックルを車幅方向に延在するアクスルパイプの両端で支持し、車体とアクスルパイプとの間に懸架スプリングを設けたドディオン式懸架装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなドディオン式懸架装置においては、ナックルとアクスルパイプの結合部分にねじり荷重や曲げ荷重が加わる。さらに、アクスルパイプと懸架スプリングとの取り付け部分にも曲げ荷重が加わる。
そのため、それらねじり荷重および曲げ荷重に対するナックルとアクスルパイプの結合部分および、アクスルパイプと懸架スプリングとの取り付け部分を補強することが、ドディオン式懸架装置の耐久性の向上を図る上で重要となる。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、耐久性の向上を図る上で有利なドディオン式懸架装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、車軸を支持する一対のナックルと、車幅方向に延在し前記一対のナックルを接続するアクスルパイプと、前記アクスルパイプ及び車体に取り付けられる懸架スプリングとを備えるドディオン式懸架装置であって、前記ナックルと前記アクスルパイプにわたって補強部材が設けられ、前記懸架スプリングは、前記アクスルパイプの前記補強部材が設けられている箇所に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、補強部材によって、ねじり荷重および曲げ荷重に対するナックルとアクスルパイプの結合部分の補強、および、アクスルパイプと懸架スプリングとの取り付け部分の補強を行うことできるので、ドディオン式懸架装置の耐久性の向上を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係るドディオン式懸架装置を車両側方から見た側面図である。
【
図2】実施の形態に係るドディオン式懸架装置のアクスルパイプにナックルが組付けられた状態を示す斜視図である。
【
図4】アクスルパイプとナックルの結合部分を車幅方向外側から見た斜視図である。
【
図8】アクスルパイプとナックルの結合部分を車幅方向内側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態に係るドディオン式懸架装置について図面を参照して説明する。
なお、以下の図面において、符号FRは車両前方、符号UPは車両上方、符号INは車幅方向内側、OUTは車幅方向外側を示す。
図1に示すように、本実施の形態のドディオン式懸架装置10が適用される車両は、一対のサイドフレーム12と、車幅方向に延在して一対のサイドフレーム12を連結する不図示の複数のクロスメンバと、を備えるラダーフレームに不図示のキャビンが搭載された車両であり、いわゆるフレーム車と呼ばれている。
また、本実施の形態では、車両がモータを駆動源とする電動車である場合について説明するが、車両が内燃機関を駆動源とする車両であっても本発明は無論適用可能である。
一対のサイドフレーム12は、車幅方向両側で車両前後方向に延在している。一対のサイドフレーム12の車両前後方向の中間部には、車両後方に至るにつれて次第に上昇するキックアップ部12Aが形成されている。
【0009】
ドディオン式懸架装置10は、一対のリーフスプリング14、一対のショックアブソーバー16、一対のバンプラバー18、一対のナックル20、アクスルパイプ22、補強部材24(
図3参照)を含む。
一対のリーフスプリング14(懸架スプリング)は、サイドフレーム12に対してナックル20を介して後述する車軸44を上下方向に変位可能に弾性支持するものである。
リーフスプリング14の前端は、サイドフレーム12のキックアップ部12Aの前端寄りの下部に揺動可能に支持されている。
リーフスプリング14の後端は、キックアップ部12Aよりも後方でサイドフレーム12にシャックルリンク26を介して揺動可能に支持されている。
【0010】
図4に示すように、リーフスプリング14の中間部は、連結具28を介してアクスルパイプ22に取り付けられている。
連結具28は、アクスルパイプ22の車幅方向の両端部の下面に当接される板状の下部スプリングシート30と、アクスルパイプ22の車幅方向の両端部の上面に溶接により取り付けられ、リーフスプリング14を下方から支持するサドル32(
図2、
図3参照)と、アクスルパイプ22の車幅方向の両端部を下部スプリングシート30とリーフスプリング14とにより上下方向から挟持するように、下部スプリングシート30とリーフスプリング14とに締結される角Uボルト36と、を含む。
角Uボルト36は、アクスルパイプ22の車両前方と車両後方とでそれぞれリーフスプリング14を跨ぐように一本ずつ合計2本設けられる。2本の角Uボルト36で、車両前後方向においてアクスルパイプ22を挟んでいる。
【0011】
図1に示すように、一対のショックアブソーバー16は、アクスルパイプ22の車幅方向の両端部の車両後部にそれぞれ設けられている。
ショックアブソーバー16の下端は、後述するショックアブソーバー用ブラケット38を介してアクスルパイプ22の下部に支軸を介して揺動可能に連結されている。
ショックアブソーバー16の上端は、車両前後方向においてショックアブソーバー16の下端よりも後方に変位した箇所でサイドフレーム12に不図示の支軸を介して揺動可能に連結されている。
【0012】
図1、
図4に示すように、バンプラバー18は、2つの角Uボルト36の間に位置するリーフスプリング14の上面の箇所に取り付けられ、サイドフレーム12の下面に向かって突設されている。
バンプラバー18は、リーフスプリング14が上方に大きく撓んだときに、サイドフレーム12の下面に当接することでリーフスプリング14がサイドフレーム12に直接当接することを抑制して衝撃を緩和するものである。
【0013】
なお、
図1において、符号40は、車両駆動用モータやトランスミッションなどを備えるパワープラントを示し、符号42は、パワープラント40から伝達された回転駆動力を一対の車軸44にそれぞれ伝達するディファレンシャルギアを示す。パワープラント40およびディファレンシャルギア42は、一対のサイドフレーム12のキックアップ部12Aの箇所を結合する不図示のクロスメンバに取り付けられている。
【0014】
図2に示すように、一対のナックル20は、アクスルパイプ22の車幅方向の両端に連結され、車軸44(
図1参照)を支持する。ナックル20には、車軸用取り付け孔46とアクスルパイプ用取り付け孔48とが設けられている。
車軸用取り付け孔46は、ナックル20の車両前部に設けられ、アクスルパイプ用取り付け孔48は、ナックル20の車両後部に設けられている。
図1に示すように、車軸44は、ディファレンシャルギア42の車幅方向両側から不図示の自在継手を介して突出され、車軸44の車幅方向外側の端部には、
図8に示すように、車輪に取り付けられるハブ50が設けられている。
【0015】
図2に示すように、アクスルパイプ用取り付け孔48には、アクスルパイプ22の車幅方向の両端が圧入され溶接で取り付けられる。
アクスルパイプ22は、中空状を呈して車幅方向に延在する。アクスルパイプ22の車幅方向の中央部は、アクスルパイプ22の両端部に比べて車両後方に変位した箇所を車幅方向に延在している。アクスルパイプ22は、パワープラント40およびディファレンシャルギア42と干渉しないように図られている。
【0016】
図2-
図8に示すように、補強部材24は、ナックル20とアクスルパイプ22との結合部分を補強する部材である。補強部材24は、アクスルパイプ22の車幅方向の両端において、ナックル20とアクスルパイプ22とにわたって設けられている。
補強部材24は上補強部材52と下補強部材54とを備えている。
図5、
図6、
図7に示すように、上補強部材52は、アクスルパイプ22の車幅方向の両端部の上面に配置される上アクスルパイプ用結合板部5202と、ナックル20の上面に沿って延在する上ナックル用結合板部5204と、それら上アクスルパイプ用結合板部5202と上ナックル用結合板部5204とを接続する上接続用板部5206と、を備えている。
【0017】
上アクスルパイプ用結合板部5202は、半円筒状を呈し、アクスルパイプ22の上面に沿って車幅方向に延在し、アクスルパイプ22の上面に溶接で取り付けられている。
この上アクスルパイプ用結合板部5202の上に、上述したサドル32の下部が溶接により取り付けられている。サドル32は、上アクスルパイプ用結合板部5202の車幅方向中間部に取り付けられる。
悪路走行時などにおいてリーフスプリング14が上方に大きく撓んでバンプラバー18がサイドフレーム12の下面に当接した場合に、バンプラバー18からサドル32を介してアクスルパイプ22の上部に荷重が加わる。ここで、上述したように、サドル32とアクスルパイプ22との間に上アクスルパイプ用結合板部5202が配置されることによって、サドル32からアクスルパイプ22の上部に加わる荷重に対するアクスルパイプ22の補強が図られている。
図5、
図6に示すように、上アクスルパイプ用結合板部5202の車両前後端には、角Uボルト36との干渉を防止する切り欠き5208が設けられている。具体的には、角Uボルト36は、上アクスルパイプ用結合板部5202の車幅方向中間部に設けられ、半円筒状の上アクスルパイプ用結合板部5202の車両前方を向く面、及び車両後方を向く面が切り欠かれている。
ショックアブソーバー用ブラケット38は、上アクスルパイプ用結合板部5202と上下方向で重なる箇所に設けられ、本実施の形態では、ショックアブソーバー用ブラケット38の車幅方向外側端と、上アクスルパイプ用結合板部5202の車幅方向内側端とが上下方向で重なる箇所に設けられている。
【0018】
図5、
図6、
図7に示すように、上ナックル用結合板部5204は、ナックル20の車幅方向内側の上面に沿って車軸用取り付け孔46(車軸受け部分)からアクスルパイプ用取り付け孔48に至るまで車両前後方向に延在している。
上ナックル用結合板部5204の車幅方向外側の部分は、ナックル20の車幅方向内側の上面に溶接により接合されている。
【0019】
上接続用板部5206は、
図7に示すように、上アクスルパイプ用結合板部5202の車幅方向外側の端部全周から起立し、上ナックル用結合板部5204に向かって延在する。上接続用板部5206は、
図5、
図6、
図7に示すように、上ナックル用結合板部5204の車幅方向内側の端部の全長にわたって接続されている。
上接続用板部5206は、
図5、
図6に示すように、車両前後方向から見て、車幅方向外側に至るにつれて車両上方に向かうように傾斜し、
図7に示すように、上方から見て、車幅方向外側に至るにつれて上接続用板部5206の前端から後端までの幅が次第に大きくなるように形成されている。
図8に示すように、上接続用板部5206の前端には、車両下方に延び車幅方向内側を向く内壁5207が設けられる。内壁5207は、車両前方に至るにつれて車幅方向外側に向かうように傾斜している。
内壁5207には、車軸44を配置するための円弧状切り欠き5210が設けられている。内壁5207は、上補強部材52のアクスルパイプ22への取り付け部分からナックル20の車軸受け部分までの間を斜めにつなぐ壁である。
【0020】
図5、
図6、
図8に示すように、下補強部材54は、アクスルパイプ22の車幅方向の両端部の下面に配置される下アクスルパイプ用結合板部5402と、ナックル20の下面に沿って延在する下ナックル用結合板部5404と、それら下アクスルパイプ用結合板部5402と下ナックル用結合板部5404とを接続する下接続用板部5406と、を備えている。
【0021】
図5、
図6に示すように、下アクスルパイプ用結合板部5402は半円筒状を呈し、アクスルパイプ22の下面に沿って車幅方向に延在し、アクスルパイプ22の下面に溶接で取り付けられている。
下アクスルパイプ用結合板部5402の車幅方向内側端は、下部スプリングシート30の車幅方向外側端から車幅方向外側に離れた箇所に位置している。
したがって、下補強部材54の車幅方向内側端よりも車幅方向内側に離れた箇所でリーフスプリング14がアクスルパイプ22に取り付けられている。
【0022】
下ナックル用結合板部5404は、ナックル20の車幅方向内側の下面に沿って車軸用取り付け孔46(車軸受け部分)からアクスルパイプ用取り付け孔48に至るまで車両前後方向に延在している。
下ナックル用結合板部5404の車幅方向外側の部分は、ナックル20の車幅方向内側の下面に溶接により接合されている。
なお、
図7に示すように、下ナックル用結合板部5404の車両前方の端部は、上ナックル用結合板部5204の車両前方の端部よりも車両前方に位置している。
【0023】
下接続用板部5406は、
図5、
図6に示すように、下アクスルパイプ用結合板部5402の車幅方向外側の端部全周から起立し、下ナックル用結合板部5404に向かって延在する。下接続用板部5406は、下ナックル用結合板部5404の車幅方向内側の端部の全長にわたって接続されている。
下接続用板部5406は、
図5、
図6に示すように、車両前後方向から見て、車幅方向外側に至るにつれて車両下方に向かうように傾斜する。下接続用板部5406は、上方から見て
図7に示すように、上接続用板部5206と同様に、車幅方向外側に至るにつれて下接続用板部5406の前端から後端までの幅が次第に大きくなるように形成されている。
図8に示すように、下接続用板部5406の前端には、車両上方に延び車幅方向内側を向く内壁5407が設けられる。内壁5407は車両前方に至るにつれて車幅方向外側に向かうように傾斜している。
内壁5407には、車軸44を配置するための円弧状切り欠き5410が設けられている。
内壁5407は、下補強部材54のアクスルパイプ22への取り付け部分からナックル20の車軸受け部分までの間を斜めにつなぐ壁である。
【0024】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、ナックル20とアクスルパイプ22にわたって補強部材24が設けられ、補強部材24が設けられているアクスルパイプ22の箇所に懸架スプリングが取り付けられている。
したがって、補強部材24によって、ナックル20とアクスルパイプ22の結合部分の補強、および、アクスルパイプ22と懸架スプリングとの取り付け部分の補強を行うことができるので、ドディオン式懸架装置10の耐久性の向上を図る上で有利となる。
【0025】
また、本実施の形態では、車両前後方向においてアクスルパイプ22を挟む2箇所で、リーフスプリング14とサドル32とアクスルパイプ22と下部スプリングシート30とを締結する角Uボルト36がそれぞれ設けられ、上補強部材52は、下補強部材54よりも車幅方向内側に延在し、下補強部材54の車幅方向内側端よりも車幅方向内側でリーフスプリング14がアクスルパイプ22に取り付けられている。
したがって、アクスルパイプ22と下部スプリングシート30との間に下補強部材54が介在させることないため、アクスルパイプ22と下部スプリングシート30との間に隙間が生じず、リーフスプリング14とアクスルパイプ22との取り付け精度の向上を図る上でより有利となる。なお、アクスルパイプ22と懸架スプリングとの取り付け部分の補強は上補強部材52によって行うことができる。
【0026】
また、本実施の形態では、上補強部材52の車両前後方向の縁部に、角Uボルト36が通る切り欠き5208が形成されているので、角Uボルト36と上補強部材52との干渉を防止できることは無論のこと、角Uボルト36とアクスルパイプ22との距離を短縮することができる。
そのため、下部スプリングシート30の車両前後方向の寸法を短縮することができる。すなわち、下部スプリングシート30の車両前後端部のアクスルパイプ22からの距離を短くすることができる。
したがって、下部スプリングシート30の前後端部が変形することを抑制でき、下部スプリングシート30の軽量化、コストダウンを図る上で有利となる。
【0027】
また、本実施の形態では、ショックアブソーバー16の下端が連結されるショックアブソーバー用ブラケット38が上補強部材52と上下方向で重なる箇所に設けられているので、ショックアブソーバー用ブラケット38からの荷重が加わるアクスルパイプ22の部分を補強することができる。
【0028】
また、本実施の形態では、車両前後方向において、上補強部材52および下補強部材54は、ナックル20の車軸受け部分まで延びているので、車軸からの荷重を、上補強部材52および下補強部材54で効率的に受けることができる。
なお、上補強部材52および下補強部材54を、ナックル20の車軸受け部分を超えて車両前端まで延ばしてもよいが、ナックル20の車軸受け部分から車両前端の範囲において加わる荷重は小さい。
したがって、本実施の形態のように、上補強部材52および下補強部材54の端部をナックル20の車軸受け部分と車両上方から見て重なるようにすれば、コストダウンや軽量化を図る上で有利となる。
【0029】
また、本実施の形態では、上補強部材52および下補強部材54のアクスルパイプ22への取り付け部分からナックル20の車軸受け部分までの間を斜めにつなぐ壁(上接続用板部5206の内壁5207、下接続用板部5406の内壁5407)が設けられている。
したがって、ナックル20とアクスルパイプ22との結合部分に加わる荷重や車軸からの荷重を斜めにつなぐ壁が効率よく受け止めることができるため、ナックル20、及びナックル20とアクスルパイプ22との結合部分を補強する上でより有利となる。
【0030】
なお、本実施の形態では、補強部材24が上補強部材52および下補強部材54で構成された場合について説明したが、上補強部材52と下補強部材54を一体に形成してもよいし、補強部材24が上補強部材52および下補強部材54の何れか一方のみで構成されていても構わない。
また、本実施の形態では、懸架スプリングがリーフスプリング14で構成されている場合について説明したが、懸架スプリングとしてコイルスプリングなど従来公知のさまざまなスプリングを用いることができる。
【0031】
以上、各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0032】
なお、本出願は、2022年3月29日出願の日本特許出願(特願2022-53541)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【符号の説明】
【0033】
10 ドディオン式懸架装置
12 サイドフレーム
12A キックアップ部
14 リーフスプリング(懸架スプリング)
16 ショックアブソーバー
18 バンプラバー
20 ナックル
22 アクスルパイプ
24 補強部材
26 シャックルリンク
28 連結具
30 下部スプリングシート
32 サドル
34A、34B 補強用板部材
36 角Uボルト
38 ショックアブソーバー用ブラケット
39 支軸
40 パワープラント
42 ディファレンシャルギア
44 車軸
46 車軸用取り付け孔
48 アクスルパイプ用取り付け孔
50 ハブ
52 上補強部材
5202 上アクスルパイプ用結合板部
5204 上ナックル用結合板部
5206 上接続用板部
5207 内壁
5208 切り欠き
5210 円弧状切り欠き
54 下補強部材
5402 下アクスルパイプ用結合板部
5404 下ナックル用結合板部
5406 下接続用板部
5407 内壁
5410 円弧状切り欠き