(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】半固体媒質部を含む非加熱式喫煙物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20241126BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20241126BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/42
(21)【出願番号】P 2023519810
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 KR2022019374
(87)【国際公開番号】W WO2023153601
(87)【国際公開日】2023-08-17
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】10-2022-0016794
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ギホ
(72)【発明者】
【氏名】コ、ウォンヨウン
(72)【発明者】
【氏名】バエ、ヒュン ジン
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03915405(EP,A1)
【文献】特表2021-505147(JP,A)
【文献】特開2020-167989(JP,A)
【文献】特開昭57-208979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/20
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半固体媒質部と、
紙管部と、
フィルター部と、を含み、
前記半固体媒質部は、ニコチン及びエアロゾル生成物質を含む半固体形状であ
り、
前記半固体媒質部は、多孔性物質に吸着されたものであり、
前記多孔性物質は、最大直径の平均値が0.01~1.5mmである気孔を含み、比表面積が100~500cm
3
/gである、非加熱式喫煙物品。
【請求項2】
前記エアロゾル生成物質は、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールからなる群より選ばれる1種以上の、請求項1に記載の非加熱式喫煙物品。
【請求項3】
前記半固体形状は、ゼラチン、デンプン、多糖類、ペクチン、セルロース、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース及びアルジネートからなる群より選ばれる1種以上の半固体化剤で形成される、請求項1又は2に記載の非加熱式喫煙物品。
【請求項4】
前記多孔性物質は、エアロゲル、ゼオライト、及びシリカからなる群より選ばれる1種以上の、請求項
1又は2に記載の非加熱式喫煙物品。
【請求項5】
前記フィルター部は、アセテート素材を含むものである、請求項1又は2に記載の非加熱式喫煙物品。
【請求項6】
エアロゾル生成装置と、
前記エアロゾル生成装置に収容され、エアロゾルを生成する請求項1又は2に記載の非加熱式喫煙物品と、を含む、エアロゾル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半固体媒質部を含む非加熱式喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、喫煙物品は燃焼されるよりは加熱される多数の喫煙物品が提案されている。このような非燃焼式喫煙物品は、従来の喫煙物品とは異なり、タバコ媒質を燃焼させることなくタバコ媒質を加熱することによって発生したエアロゾルを吸引して使用される。このような加熱式喫煙物品の類型の1つとして、電気加熱を利用した喫煙物品がある。
【0003】
非加熱式電子タバコ方式によるニコチンの伝達は、主に液状物質に溶解させた状態で用いられるか、昇華性のあるニコチン遊離塩基形態に変更した後、自己気化する性質を用いて吸入に移行させる。但し、遊離塩基形態のニコチンは、持続的に昇華する性質によって成分が失われる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
大韓民国公開特許第2021-0017296号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、半固体媒質部を含む非加熱式喫煙物品を提供することにある。
【0006】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で述べたものに制限されず、言及されていない別の課題は、以下の記載から当技術分野における通常の技術者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、非加熱式喫煙物品であって、
半固体媒質部;
紙管部;及び
フィルター部を含み、
前記半固体媒質部は、ニコチン及びエアロゾル生成物質を含む半固体形状である、非加熱式喫煙物品を提供する。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記エアロゾル生成物質は、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールからなる群より選ばれる1種以上であってもよい。
【0009】
本発明の他の実施形態において、前記半固体化剤は、ゼラチン、デンプン、多糖類、ペクチン、セルロース、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース及びアルジネートからなる群より選ばれる1種以上であってもよい。
【0010】
本発明のさらに他の実施形態において、前記半固体媒質部は、多孔性物質に吸着されたものであってもよい。
【0011】
本発明のさらに他の実施形態において、前記多孔性物質は、エアロゲル、ゼオライト、及びシリカからなる群より選ばれる1種以上であってもよい。
【0012】
本発明のさらに他の実施形態において、前記フィルター部は、アセテート素材を含むものであってもよい。
【0013】
また、本発明は、エアロゾル生成システムであって、
エアロゾル生成装置;及び
前記エアロゾル生成装置に収容されてエアロゾルを生成する、本発明による喫煙物品;を含む、エアロゾル生成システムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
従来の液状型電子タバコは、ニコチンが持続的に昇華する性質によって成分が失われる可能性がある限界があった。そこで本発明では、半固体状態に変更され、ニコチンの昇華なしに安定した媒質部を適用し、非加熱式でも効果的なニコチン移行が可能な非加熱式喫煙物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の例示的な実施例による喫煙物品の断面図である。
【
図2】本発明の例示的な実施例によるエアロゾル生成システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。本発明の説明において、関連する公知の機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。さらに、本明細書で使用される用語は、本発明の好ましい実施例を適切に表現するために使用された用語であり、これは、ユーザ、運用者の意図又は本発明の属する分野における慣例などによって変わり得る。したがって、本用語の定義は、本明細書全体にわたる内容に基づいて行われるべきである。各図面に示されている同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0017】
明細書全体において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとするとき、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0018】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0019】
明細書全体において、「上流」及び「下流」という用語は、ユーザが喫煙物品を使用して外部空気を吸入するとき、喫煙物品の外部から内部に空気が入る部分が「上流」であり、可燃性熱源を含む喫煙物品の内部から外部に空気が出る部分が「下流」である。「上流」及び「下流」という用語は、喫煙物品を構成する部分又はセグメント間の相対的な位置又は方向を示すために使用できる。
【0020】
明細書全体において、「エアロゾル生成装置」は、エアロゾルを発生させ得る装置を意味することができる。前記エアロゾルは、揮発性化合物を含むものである。
【0021】
以下、本発明の非加熱式喫煙物品について実施例及び図面を参照して具体的に説明する。しかし、本発明はこのような実施例及び図面に制限されるものではない。
【0022】
図1に示すように、本発明は、非加熱式喫煙物品1000であって、
半固体媒質部100;
紙管部200;及び
フィルター部300を含み、
前記半固体媒質部は、ニコチン及びエアロゾル生成物質を含む半固体形状である、非加熱式喫煙物品を提供する。
【0023】
本発明の一実施例によれば、半固体媒質部は、ニコチン及びエアロゾル生成物質を含み、半固体形状を有する。前記半固体形状は、半固体化剤によって形成することができ、例えば、水性ゲル型、ペーストタイプ又は軟膏タイプなどであり得る。前記半固体形状は、例えば、ゼラチン、デンプン、多糖類、ペクチン、セルロース、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース又はアルジネートなどの半固体化剤が使用でき、前記種類に制限されない。
【0024】
前記「半固体状」は、流動性を失った状態であり、具体的には、媒質を容器に収容した後、その容器を横に倒すようにしても、横に倒れた後に下側となる容器の側面全体にまで組成物が拡散しない状態のものであり、その状態は目視で確認が可能である。
【0025】
本発明の一実施例によれば、前記半固体媒質部の全重量に対して、半固体化剤は、5~40重量%で含まれてもよい。前記半固体化剤の含量が5重量%未満で含まれると、半固体媒質部の流動性が大きくなり液状に近い状を有することができ、40重量%を超えると、媒質部に含まれたニコチンの移行に影響を及ぼすこともできる。上記の範囲に制限されるものではないが、より好ましくは、優れた性状を有しながらもニコチンの移行が円滑にできる10~30重量%の範囲で含まれてもよい。
【0026】
前記半固体化剤を含ませて得られる前記半固体媒質部の粘度は、25℃で2,000mPa・s~90,000mPa・sであってもよい。前記粘度が2,000mPa・s未満であると、やはり媒質部自体の流動性が大きくなり、喫煙物品の他の材料品にニコチンを含む材料が移染する可能性があり、粘度が90,000mPa・sを超えると、過度な硬度を有しニコチンの移行に影響を及ぼす恐れもある。前記粘度は、回転式粘度計を用いて測定されたもので、一定応力5Pa、一定速度1Hz、試料注入量3mLとし、試料を80℃まで加温した後、トレーに3mL注入し、接触子を吊り下げてシリコーンオイルで密閉系とした後、トレー温度が80℃に達すると測定を開始し、25℃までの各温度下での粘度を測定したものである。
【0027】
前記半固体化剤に加えて、前記半固体媒質部は溶媒として水を含むことができる。前記水の含量は10~40重量%で含まれてもよく、水を含めて半固体化剤とニコチン、エアロゾル生成物質などと容易に混合されてもよい。前記半固体媒質部には、上述した成分以外の他の添加剤(香料など)がさらに添加され得る。
【0028】
前記「喫煙物品」(smoking article)とは、タバコ、タバコ派生物、膨化処理タバコ(expanded tobacco)、再生タバコ(reconstituted tobacco)、又はタバコ代用物に基づくか否かにかかわらず、喫煙可能な任意の製品又は喫煙体験を提供できる任意の製品を意味することができる。特に本発明では、前記喫煙物品は加熱しない方式(非加熱式)でエアロゾルを発生させ得る喫煙可能物品を意味することができる。本発明の喫煙物品は、半固体媒質部にニコチン、エアロゾル生成物質、及び半固体化剤を含む。
【0029】
本明細書において、「エアロゾル生成物質」は、エアロゾルを発生させ得る物質を意味することができる。本発明において、前記エアロゾル生成物質は液状であり得る。
【0030】
例えば、液状のエアロゾル生成物質は、タバコ抽出物及び/又は多様な香味剤に基づく液状組成物を含んでもよい。液状のエアロゾル生成物質の他に、さらに固体状のエアロゾル生成物質を含んでもよい。前記固体状のエアロゾル生成物質は、板状葉タバコ、刻草、再構成タバコなどのタバコ原料に基づく固体物質を含んでもよいが、好ましくは固体状のエアロゾル生成物質を含まず、ニコチン及び液状のエアロゾル生成物質を含む構成を有することができる。しかし、本開示の範囲が上記に列挙された例に限定されるものではない。
【0031】
より具体的な例として、液状のエアロゾル生成物質は、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールの少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0032】
別の例として、エアロゾル生成物質は、水分及び加香物質の少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0033】
前記エアロゾル生成物質は、半固体媒質部の全重量に対して5~60重量%で含まれてもよい。前記エアロゾル生成物質が5重量%未満で含まれると、霧化量が十分でないことがあり、60重量%を超えると、煙が過度に発生し、媒質部の半固体形状を維持することに影響を及ぼすこともある。
【0034】
また別の例として、エアロゾル生成物質は、シナモン、カプサイシンなどの多様な添加物質をさらに含んでもよい。エアロゾル生成物質は、流動性の高い液体物質だけでなく、ゲル又は固形分形態の物質を含んでもよい。このように、エアロゾル生成物質の組成成分は、実施例によって多様に選択することができ、その組成比率もまた実施例によって変わり得る。以下の明細書において、液状は、液状のエアロゾル生成物質を指すものであり得る。
【0035】
本発明において、前記ニコチンはエアロゾル生成物質に溶解した後、半固体化剤によって適切に半固体化(例えば、ゲル化)することができる。前記半固体化剤は、ゼラチン、デンプン、多糖類、ペクチン、セルロース、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース及びアルジネートのいずれかであってもよいが、上記の種類に制限されるものではない。
【0036】
前記ニコチンは、半固体媒質部の全重量に対して0.1~20重量%で含まれてもよく、製造しようとする喫煙物品の種類によって調整して含ませてもよい。前記ニコチンは、半固体化剤によってゲル化した形態で喫煙物品に含まれることができ、液状に含まれるニコチンとは異なり、持続的に昇華せず、安定して含まれ得る。
【0037】
本発明の一実施例として、前記エアロゾル生成物質はpH調整剤を含むこともできる。例えば、pH調整剤は炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム又はこれらの混合物などを含むことができる。pH調整剤はエアロゾル生成物質のpHをアルカリ側に調整することができ、これによってエアロゾル生成物質からの香味成分の放出を促進させることができる。従来の液状を有する媒質部を含む喫煙物品は、遊離塩基形態のニコチンを含めて持続的に昇華するので、ニコチンの揮発性が上昇し得るpH調整が多少難しかった。しかし、本発明の喫煙物品は、半固体状を有することによって、ニコチンの昇華が減少したことを特徴とする。すなわち、本発明の喫煙物品は、pHの調整によって豊富な喫味発現効果をもたらすことができる。すなわち、本発明の媒質部のpHは7以上、より好ましくは8以上のpHを有することができる。
【0038】
本発明の一実施例によれば、前記半固体化した半固体媒質は、多孔性物質に吸着させて用いることもできる。前記多孔性物質はエアロゲル、ゼオライト、又はシリカのいずれかであってもよく、前記のようなニコチン及びエアロゾル生成物質がゲル化した半固体媒質が吸着できる性質を有する、多孔性の物質であれば前記材料に制限されない。
【0039】
本発明の一実施例によれば、前記多孔性物質は、最大直径の平均値が0.01~1.5mmである気孔を含み、比表面積が100~500cm3/gであってもよい。前記気孔の最大直径の平均値が0.01mm未満であると、半固体媒質の吸着が円滑でない可能性があり、1.5mmを超えると、多孔性物質自体に媒質部が過度に吸着される可能性がある。また、前記比表面積が100cm3/g未満であると、半固体媒質部がよく吸着されないことがあり、500cm3/gを超えると、半固体媒質部内のニコチンが多孔性物質に過度に吸着されてニコチン移行に影響を及ぼすことができる。
【0040】
前記多孔性物質はチューブ状に製造され、半固体媒質がチューブ状の多孔性物質に投入された形態であってもよく、又は顆粒状の多孔性物質に半固体媒質部が吸着された形態であってもよい。但し、前記多孔性物質の形態は、例として、他の多様な形態の多孔性物質に半固体媒質部が吸着されて含まれてもよい。また、別の例として、前記多孔性物質が顆粒状である場合、多孔性物質が巻紙に安定して包まれて含まれるように、バインダーを含ませて凝集されるようにすることができる。前記顆粒の直径は、2mm~10mmの大きさを有することができるが、これに制限されるものではない。
【0041】
例として、前記喫煙物品の直径は4mm~10mmであり、周りは14mm~29mmであってもよい。また、全長は45mm~100mmであってもよいが、製造しようとする喫煙製品の種類及び形態によって変わるので、これらに制限されるものではない。
【0042】
前記半固体媒質部は、巻紙によって包まれている構造を有することができる。本発明の一実施例によれば、前記巻紙はおそらく木材パルプ、紙などの素材で製造された巻紙であって、厚さは約40um~80umであり、気孔度は約5,000CU~50,000CUであってもよく、前記気孔度が5,000CU未満であると、ユーザの喫煙時に半固体媒質部でニコチンの昇華量を減少させることができ、気孔度が500,000CUを超えると、ニコチンが過度に昇華して他の材料品などに転移することもできる。前記巻紙は紙シート、アルミニウムホイルなどがさらに合紙された形態であってもよい。
【0043】
また、本発明の一実施例によれば、前記喫煙物品は紙管部をさらに含むことができる。前記紙管部は、媒質部で発生したエアロゾルをスティックの中央に集め、半固体媒質が下流に押されないように支持することができる。前記紙管部は、紙素材、高分子素材などからなり、非加熱式タバコで使用される素材であれば、上述した素材に制限されずに含むことができる。
【0044】
前記紙管部の外径は略14mm~29mmであってもよい。前記紙管部は中央に中空を含むものであって、中空の直径は略2mm~10mmの範囲内で適切な直径が採用できるが、これに限定されない。
【0045】
また、本発明の一実施例によれば、前記喫煙物品はフィルター部を含む。例えば、前記フィルター部は、モノフィルター、二重フィルター又は三重フィルターであってもよく、前記フィルター部の吸引抵抗は、20~30mmの長さを有するとき、10~150mmWGであってもよく、好ましくは40~80mmWGであってもよい。
【0046】
前記吸引抵抗の値が10mmWG未満であると、吸引時の満足感が低下する可能性があり、150mmWGを超えると、吸引時に必要な力が過剰になり満足感が低下する可能性がある。上記の範囲に制限されるものではないが、半固体媒質部を含む喫煙物品は、40~80mmWGの範囲の吸引抵抗を有するフィルターを使用することが好ましい。
【0047】
前記フィルター部を包むフィルター巻紙は多孔性を有するものであって、約5,000CU~50,000CUの気孔度を有するものであってもよい。前記フィルター巻紙で、気孔度が5,000CU未満であると、ユーザの喫煙時のフィルターの効果を減少させることができ、気孔度が500,000CUを超えると、喫煙物品の喫味に影響を及ぼすこともできる。
【0048】
前記フィルターは、高分子、紙、アセテート素材、セルロースアセテート、活性炭及び炭素の少なくとも1つを含む繊維状、フィラメント状又はこの両方を含むフィルタートウを含むものであってもよい。しかし、これらに限定されるものではない。いくつかの実施例において、フィルター物質は、香味剤又は香味剤を内蔵するカプセルなどを添加するか、炭素を含む吸着剤、活性炭などの当技術分野において周知の少なくとも1つのフィルター物質をさらに含むことができる。
【0049】
前記カプセルは、例えば、香料を含む内容液を被膜で包んだ球形又は円筒形のカプセルであってもよい。前記カプセルの被膜を形成する材料は、デンプン及び/又はゲル化剤であってもよい。例えば、ゲル化剤としては、ジェランガムやゼラチンが使用されてもよい。また、前記カプセルの被膜を形成する材料として、さらにゲル化助剤が用いられてもよい。ここで、ゲル化助剤としては、例えば、塩化カルシウムが使用されてもよい。また、前記カプセルの被膜を形成する材料としてさらに可塑剤が用いられてもよい。ここで、可塑剤としてはグリセリン及び/又はソルビトールが用いられてもよい。また、前記カプセルの被膜を形成する材料としてさらに着色料が用いられてもよい。
【0050】
前記カプセルの内容液には、メントール、植物の精油などの香料が含まれてもよい。いくつかの実施例において、前記カプセルの内容液に含まれる香料の溶媒としては、例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド(medium chain fatty acid triglyceride;MCTG)が用いられてもよい。また、内容液は色素、乳化剤、増粘剤などの他の添加剤を含有してもよい。
【0051】
本発明の非加熱式喫煙物品には、半固体媒質部、紙管部、フィルター部のいずれか1つ以上のセグメントに香料(香味剤)を含んでもよい。前記香料は、自然的に発生する香味材料、植物生薬、植物生薬の抽出物、合成して得られた材料又はこれらの組み合わせ(例えば、タバコ、大麻、甘草、アジサイ(hydrangea)、オイゲノール、カモミール(chamomile)、コロハ(fenugreek)、クローブ、メープル(maple)、抹茶、メントール、ミント、シナモン、ターメリック、ハーブ、チェリー、ベリー類、桃、リンゴ、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、ブドウ、ブルーベリー、柑橘類(citrus fruits)、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、白檀香、ベルガモット、松、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、オレンジブロッサム、桜(cherry blossom)、ジャスミン(jasmine)、イラン-イラン(ylang-ylang)、セージ、コーヒーの任意の種からのミントオイル、ユーカリ、八角、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ヘーゼル(hazel)、ハイビスカス(hibiscus)、月桂樹、マッテ、オレンジ皮、バラ、お茶(例えば、緑茶又は紅茶)、タイム、香木、エルダーフラワー、バジル、月桂樹葉、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモン皮(lemon peel)、ミント、シソ、薑黄、コリアンダー、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、デミアン、マヨラナ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、ワケギ、carvi、バーベナ、タラゴン、リモネン(limonene)、チモール(thymol)、カンフェン(camphene))、フレーバーエンハンサー(flavour enhancers)、糖類及び/又は糖代用品(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、ブドウ糖、果糖ソルビトール又はマンニトール)、及び他の添加剤、例えば、木炭(charcoal)、クロロフィル、ミネラル、植物生薬又は口臭除去剤(breath freshening agents)を含んでもよい。これらは人工、合成又は天然構成成分又はこれらのブレンドであってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0052】
図2に示すように、本発明は、バッテリー400及び前記バッテリー400から供給された電力によってエアロゾルを発生させるエアロゾル生成装置2000;及び前記エアロゾル生成装置2000に収容されてエアロゾルを生成する、上述した喫煙物品1000;を含む、エアロゾル生成システム3000を提供する。
【0053】
本明細書において、「エアロゾル生成装置」は、ユーザの口を通じてユーザの閉に直接吸入可能なエアロゾルを発生させるために半固体媒質部を用いてエアロゾルを生成させる装置を意味することができる。但し、
図2には、本発明の実施例に関連する構成要素のみが示されていることで、本発明の属した技術分野における通常の技術者であれば、上記
図2に示される構成要素以外に、他の汎用的な構成要素がさらに含まれることが分かる。以下、エアロゾル生成装置2000の構成要素について説明する。
【0054】
前記エアロゾル生成装置は、喫煙物品が収容されるバッテリー400に、制御部600及び収容空間700をさらに含むことができる。但し、これは本開示の目的を達成するための好ましい実施例に過ぎず、必要に応じていくつかの構成要素が追加又は省略されることは言うまでもない。
【0055】
図2に示すエアロゾル生成装置の各構成要素は、機能的に区分される機能要素を示すものであって、複数の構成要素が実際の物理的環境では互いに統合される形態で実現されるか、単一の構成要素が複数の細部機能要素に分離される形態で実現されることもある。
【0056】
図2を参考すると、喫煙物品1000はエアロゾル生成システムに収容されてエアロゾルを形成し、発生したエアロゾルは喫煙物品1000を通過してフィルター部と当接したユーザの口を通じて吸入され得る。
【0057】
前記エアロゾル生成システムは、エアロゾル生成物質から煙霧を発生させる霧化器500を含むことができる。前記霧化器は、収容空間700に収容された喫煙物品の半固体媒質部を昇華させることによってエアロゾルを発生させることができる。前記霧化器500は、収容空間の周辺を包む形態で配置され、収容空間に収容された喫煙物品の半固体媒質部のエアロゾル形成物質を気化させて霧化を発生させることができ、又は収容空間と直接的に当接しないが、喫煙物品に煙霧を発生させるのに十分近い距離に位置していることができる。しかし、本開示の範囲は、このような例に限定されるものではない。
【0058】
本発明の一実施例として、前記霧化器は、超音波振動子を含むものであってもよい。前記エアロゾル生成装置が振動子を含む構成の霧化器を有する場合、前記振動子を通じて振動を発生させ、収容空間に収容された半固体媒質部のエアロゾル生成物質に振動を伝達することによって気化及び/又は昇華を通じて気体の相に変換させ得ることで、前記霧化器は半固体媒質部に含まれたニコチン及びエアロゾル生成物質を微細粒子化して放出することによってエアロゾルを生成することができる。
【0059】
前記制御部600は、エアロゾル生成装置2000の動作を全体的に制御することができる。例えば、制御部600は、霧化器500及びバッテリー400の動作を制御することができ、エアロゾル生成装置2000に含まれた他の構成要素の動作も制御することができる。制御部600は、バッテリー400が供給する電力、霧化器500の作動程度などを制御することができる。
【0060】
前記バッテリーは、再充電可能なバッテリー又は再充電可能でないバッテリーであり得る。適切なバッテリーの例は、例えば、リチウムイオンバッテリー、ニッケルバッテリー(例えば、ニッケルカドミウムバッテリー)、アルカリバッテリー及び/又は等々を含むことができる。
【0061】
以上のように、実施例がたとえ限定された図面によって説明されたが、当技術分野における通常の知識を有する者であれば、上記に基づいて様々な技術的修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が、説明された方法とは異なる順序で実行、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が、説明された方法とは異なる形態で結合又は組み合わされる、又は他の構成要素あるいは均等物によって代替又は置換されても、適切な結果が達成できる。
【0062】
したがって、他の実施形態、他の実施例及び特許請求の範囲と均等なものも後述する特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0063】
100:半固体媒質部
200:紙管部
300:フィルター部
400:バッテリー
500:霧化器
600:制御部
700:収容空間
1000:非加熱式喫煙物品
2000:エアロゾル生成装置
3000:エアロゾル生成システム