(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】車両用スライドドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/643 20150101AFI20241126BHJP
E05F 15/655 20150101ALI20241126BHJP
E05F 11/48 20060101ALI20241126BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20241126BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
E05F15/643
E05F15/655
E05F11/48 A
B60J5/04 C
B60J5/06 A
(21)【出願番号】P 2021003826
(22)【出願日】2021-01-13
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 直也
(72)【発明者】
【氏名】松岡 稔貴
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-007330(JP,A)
【文献】特開2009-126289(JP,A)
【文献】特開2019-100081(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0355736(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E05F 11/48
B60J 5/04-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平方向に長手方向が延在するように車体に取り付けられるベルトガイドと、
前記ベルトガイドの前記長手方向の一端部及び他端部に掛け回された無端ベルトと、
前記無端ベルトに固定され、スライドドアに接続されるベルト接続具と、
前記無端ベルトを前記ベルトガイドの前記長手方向に沿って循環移動させるベルト駆動モジュールと、を備える、車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルトガイドは、前記無端ベルトの少なくとも一部の下方を覆う底壁部を有し、
前記ベルトガイドには、前記ベルトガイドの前記底壁部を貫通する水抜孔が設けられて
おり、
前記ベルトガイドは、
前記ベルトガイドの前記長手方向に沿って設けられた複数の前記水抜孔と、
隣接する前記水抜孔の間に形成された第2リブと、を有し、
前記第2リブの上面は、前記ベルトガイドの前記底壁部よりも上方に突出しており、
前記ベルトガイドの前記長手方向における前記第2リブの前記上面の一端部及び他端部は、前記水抜孔に向かって下方に湾曲している、車両用スライドドア開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルトガイドには、前記無端ベルトに対して所定の張力を付与するテンションプーリが、回転軸が略上下方向となる向きで回転自在に支持されており、
前記ベルトガイドは、
前記ベルトガイドの前記長手方向に沿って設けられた複数の前記水抜孔と、
隣接する前記水抜孔の間に形成された第1リブと、を有し、
前記テンションプーリは、上端部及び下端部が前記ベルトガイドに支持され、
前記テンションプーリは、上下方向から見て、少なくとも一部が前記第1リブと重なる位置で、前記ベルトガイドに支持されている、車両用スライドドア開閉装置。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルトガイドは、前記ベルトガイドの前記長手方向から見て、前記無端ベルトの少なくとも一部の側方を覆うガイド壁部を有し、
前記水抜孔は、前記ベルトガイドの前記ガイド壁部と前記底壁部とに跨がる位置に形成され、前記ベルトガイドの前記ガイド壁部と前記底壁部とを貫通する、車両用スライドドア開閉装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルトガイドの前記底壁部は、前記ベルトガイドの前記ガイド壁部の下端部から車内側に向かって延びている、車両用スライドドア開閉装置。
【請求項5】
略水平方向に長手方向が延在するように車体に取り付けられるベルトガイドと、
前記ベルトガイドの前記長手方向の一端部及び他端部に掛け回された無端ベルトと、
前記無端ベルトに固定され、スライドドアに接続されるベルト接続具と、
前記無端ベルトを前記ベルトガイドの前記長手方向に沿って循環移動させるベルト駆動モジュールと、を備える、車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルトガイドは、前記無端ベルトの少なくとも一部の下方を覆う底壁部を有し、
前記ベルトガイドには、前記ベルトガイドの前記底壁部を貫通する水抜孔が設けられており、
前記ベルトガイドは、前記ベルトガイドの前記長手方向から見て、前記無端ベルトの少なくとも一部の側方を覆うガイド壁部を有し、
前記ベルトガイドの前記底壁部は、前記ベルトガイドの前記ガイド壁部の下端部から車内側に向かって延びており、
前記水抜孔は、前記ベルトガイドの前記ガイド壁部と前記底壁部とに跨がる位置に形成され、前記ベルトガイドの前記ガイド壁部と前記底壁部とを貫通する、車両用スライドドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスライドドアを開閉させる車両用スライドドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、引き戸式のスライドドアが搭載された車両が知られている。特に、ワンボックスカー、ワゴン、バン等の車両に引き戸式のスライドドアが搭載されていることが多い。近年、スライドドアが搭載された車両においては、スライドドアの開閉動作の自動化が図られてきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両のボディパネルに取り付けられ、無端ベルトが循環するようにガイドするベルトモジュールと、無端ベルトを駆動させるモータモジュールと、を有し、スライドドアを自動開閉させる車両用ドア開閉装置が開示されている。特許文献1の車両用ドア開閉装置において、ベルトモジュールは、ボディパネルの前後方向に沿う直線状の長尺面及び該長尺面の前方から連続的に車幅内側方向に向かって湾曲する湾曲面に沿って無端ベルトをガイドするベルトガイド部を備える。さらに、特許文献1の車両用ドア開閉装置は、ベルトガイド部が無端ベルトの下方を覆う下板を有しているので、無端ベルトが重力によって下方に撓んでしまった場合でも無端ベルトがセンターレールに接触することを抑制でき、無端ベルトを保護できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の車両用ドア開閉装置では、雨水等の水がベルトガイド部の下板に溜まることを抑制するために、ベルトガイド部の下板を車幅内側方向に向かって長く設けることができず、無端ベルトがセンターレールに接触することをベルトガイド部の下板で確実に防止することは困難であった。そのため、無端ベルトが重力によって下方に撓んでしまった場合でも無端ベルトがセンターレールに接触することを確実に防止するためには、ベルトガイド部の下方に上下方向に大きな空間を設ける必要があり、スライドドアの自動開閉動作が不安定になる虞があった。
【0006】
本発明は、無端ベルトが下方に撓んでしまった場合でも、ベルトガイドの下方に上下方向に大きな空間を設ける必要なく無端ベルトを保護することができ、且つ、簡素な構成で、雨水等の水がベルトガイドに溜まることを防止できる車両用スライドドア開閉装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
略水平方向に長手方向が延在するように車体に取り付けられるベルトガイドと、
前記ベルトガイドの前記長手方向の一端部及び他端部に掛け回された無端ベルトと、
前記無端ベルトに固定され、スライドドアに接続されるベルト接続具と、
前記無端ベルトを前記ベルトガイドの前記長手方向に沿って循環移動させるベルト駆動モジュールと、を備える、車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルトガイドは、前記無端ベルトの少なくとも一部の下方を覆う底壁部を有し、
前記ベルトガイドには、前記ベルトガイドの前記底壁部を貫通する水抜孔が設けられており、
前記ベルトガイドは、
前記ベルトガイドの前記長手方向に沿って設けられた複数の前記水抜孔と、
隣接する前記水抜孔の間に形成された第2リブと、を有し、
前記第2リブの上面は、前記ベルトガイドの前記底壁部よりも上方に突出しており、
前記ベルトガイドの前記長手方向における前記第2リブの前記上面の一端部及び他端部は、前記水抜孔に向かって下方に湾曲している。
また、本発明は、
略水平方向に長手方向が延在するように車体に取り付けられるベルトガイドと、
前記ベルトガイドの前記長手方向の一端部及び他端部に掛け回された無端ベルトと、
前記無端ベルトに固定され、スライドドアに接続されるベルト接続具と、
前記無端ベルトを前記ベルトガイドの前記長手方向に沿って循環移動させるベルト駆動モジュールと、を備える、車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルトガイドは、前記無端ベルトの少なくとも一部の下方を覆う底壁部を有し、
前記ベルトガイドには、前記ベルトガイドの前記底壁部を貫通する水抜孔が設けられており、
前記ベルトガイドは、前記ベルトガイドの前記長手方向から見て、前記無端ベルトの少なくとも一部の側方を覆うガイド壁部を有し、
前記ベルトガイドの前記底壁部は、前記ベルトガイドの前記ガイド壁部の下端部から車内側に向かって延びており、
前記水抜孔は、前記ベルトガイドの前記ガイド壁部と前記底壁部とに跨がる位置に形成され、前記ベルトガイドの前記ガイド壁部と前記底壁部とを貫通する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ベルトガイドは、無端ベルトの少なくとも一部の下方を覆う底壁部を有するので、無端ベルトが下方に撓んでしまった場合でも、ベルトガイドの下方に上下方向に大きな空間を設ける必要なく無端ベルトを保護できる。さらに、ベルトガイドには、ベルトガイドの底壁部を貫通する水抜孔が設けられているので、ベルトガイド及び無端ベルトに付着した雨水等の水は、水抜孔から下方に排出される。これにより、無端ベルトが下方に撓んでしまった場合でも、ベルトガイドの下方に上下方向に大きな空間を設ける必要なく無端ベルトを保護することができ、且つ、簡素な構成で、雨水等の水がベルトガイドに溜まることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態の車両用スライドドア開閉装置が搭載された車両の概略側面図である。
【
図2】
図1の車両におけるリアクオータパネル及びセンターレールの側面図である。
【
図3】車両用スライドドア開閉装置の前方斜視図である。
【
図4】車両用スライドドア開閉装置の後方斜視図である。
【
図5】
図1の車両におけるセンターレール及びセンターガイドローラユニットの要部斜視図である。
【
図6】車両用スライドドア開閉装置のベルトガイド及び無端ベルトの後方斜視図である。
【
図7】車両用スライドドア開閉装置のベルト駆動モジュール連結ユニット及び無端ベルトを車内側から見た斜視図である。
【
図8】
図7のベルト駆動モジュール連結ユニット及び無端ベルトを、天板を外した状態で見た斜視図である。
【
図9】
図7のベルト駆動モジュール連結ユニット及び迂回プーリを、車外側から見た斜視図である。
【
図10】車両用スライドドア開閉装置のベルト接続具及びセンターガイドローラユニットの後方斜視図である。
【
図11】
図10のベルト接続具の第2ブラケットの後方斜視図である。
【
図12】車両用スライドドア開閉装置のベルトガイドを車外側下方から見た斜視図である。
【
図14】車両用スライドドア開閉装置のベルトガイドにおける第1リブ周辺の拡大斜視図である。
【
図15】車両用スライドドア開閉装置のベルトガイドを車内側上方から見た斜視図である。
【
図16】車両用スライドドア開閉装置のベルト駆動モジュール周辺の拡大斜視図である。
【
図17】車両用スライドドア開閉装置のベルト駆動モジュールの周辺を、ケーシングを外した状態で見た拡大斜視図である。
【
図18】車両用スライドドア開閉装置のベルト駆動モジュールを、第1免振部材及び第2免振部材を外した状態で見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の車両用スライドドア開閉装置が搭載された車両の一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、前後、左右、上下、並びに、車内側及び車外側の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。また、左右方向を車幅方向ともいう。
【0011】
<車両>
図1に示すように、本実施形態の車両用スライドドア開閉装置10は、車両1を構成する車体2の左側面に取り付けられる。車体2の左側面には、前後方向にスライドして開閉可能に支持されたスライドドア8が配置されており、車両用スライドドア開閉装置10は、スライドドア8を前後方向にスライドさせて開閉する。以下の説明において、車外側というときは左側を指し、車内側というときは右側を指す。
【0012】
車体2の左側面には、車体2のドア開口部の上部で前後方向に延びるように、アッパーレール90uが固定されている。車体2の左側面には、車体2のドア開口部の下部で前後方向に延びるように、ロアレール90dが固定されている。車体2の左側面には、ドア開口部の後方で前後方向に延びるように、センターレール90cが固定されている。センターレール90cは、車体2の左側面のドア開口部の後方で車体2の左後部側面を構成するリアクオータパネル3に固定されている。リアクオータパネル3の下端部には、タイヤハウス4が形成されている。リアクオータパネル3には、タイヤハウス4のやや上方に給油口5が設けられている。センターレール90cは、上下方向において、タイヤハウス4と給油口5との間に配置され、リアクオータパネル3に固定されている。アッパーレール90u、ロアレール90d、及びセンターレール90cは、いずれも鋼材で形成されている。リアクオータパネル3には、センターレール90cが配置される位置のやや上方に、後述するベルト駆動モジュール連結ユニット40の迂回部42が車外側から挿入される挿入孔6(
図2参照)が設けられている。
【0013】
車両用スライドドア開閉装置10は、スライドドア8を前後方向にスライドさせて自動開閉する装置である。車両用スライドドア開閉装置10は、車体2のリアクオータパネル3に取り付けられる。車両用スライドドア開閉装置10は、車両1に搭載された状態において、車体2と同色のフィニッシャー7によって車外側が覆われ、車外側から実質的に見えないように配置される。
【0014】
スライドドア8の上前部には、アッパーガイドローラユニット80uが取り付けられている。スライドドア8の下前部には、ロアガイドローラユニット80dが取り付けられている。スライドドア8の中央後部には、センターガイドローラユニット80cが取り付けられている。スライドドア8のアッパーガイドローラユニット80uは、車体2のアッパーレール90uに前後方向に移動自在に装着される。スライドドア8のロアガイドローラユニット80dは、車体2のロアレール90dに前後方向に移動自在に装着される。スライドドア8のセンターガイドローラユニット80cは、車体2のセンターレール90cに前後方向に移動自在に装着される。スライドドア8は、アッパーガイドローラユニット80u、ロアガイドローラユニット80d、及びセンターガイドローラユニット80cが、それぞれ車体2のアッパーレール90u、ロアレール90d、及びセンターレール90cに支持されながら、前後方向にスライドして開閉する。
【0015】
図2~
図4に示すように、車体2のリアクオータパネル3に固定されているセンターレール90cは、略水平方向に長手方向が延在し、前後方向に略直線状に延在する直線部91と、直線部91の前端から連続的に車内側に湾曲しながら前方に延在する湾曲部92と、を有する。センターレール90cは、例えば、鋼材で形成されている。センターレール90cの直線部91及び湾曲部92は、延在方向から見て、断面形状が車外側に開口する角型の変形C字形状を有している。アッパーレール90u及びロアレール90dは、公知の構造であってよく、本発明に直接関係しないため、本明細書において、アッパーレール90u及びロアレール90dの詳細な説明は省略する。
【0016】
図5に示すように、スライドドア8の中央後部に取り付けられたセンターガイドローラユニット80cは、スライドドア8にボルト等の締結部材で固定されるベース部81と、上下方向の軸線回りに回転自在にベース部81に支持された前後2個の第1ガイドローラ821と、前後2個の第1ガイドローラ821の間に配置され、水平方向の軸線回りに回転自在にベース部81に支持された第2ガイドローラ822と、有する。センターガイドローラユニット80cは、前後2個の第1ガイドローラ821及び第2ガイドローラ822がセンターレール90cの変形C字形状の内部に転動自在に装着されることによって、センターレール90cに支持される。センターガイドローラユニット80cは、前後2個の第1ガイドローラ821及び第2ガイドローラ822がセンターレール90cの変形C字形状の内部を転動しながら、センターレール90cの直線部91及び湾曲部92をスライド自在となっている。
【0017】
続いて、車両用スライドドア開閉装置10の詳細について、
図3~
図4、及び
図6~
図18を参照しながら説明する。
【0018】
<車両用スライドドア開閉装置>
図3及び
図4に示すように、車両用スライドドア開閉装置10は、センターレール90cの上部に配置されるベルトモジュール20と、ベルトモジュール20の後述する無端ベルト50を循環移動させるベルト駆動モジュール70と、を備える。
【0019】
ベルトモジュール20は、センターレール90cに沿って略水平方向に長手方向が延在するように車体に取り付けられるベルトガイド30と、後述するベルト駆動モジュール70が組み付けられるベルト駆動モジュール連結ユニット40と、ベルトガイド30の長手方向の前端部30a及び後端部30bに掛け回され、ベルト駆動モジュール連結ユニット40を通ってベルトガイド30の長手方向に循環移動する無端ベルト50と、無端ベルト50に固定され、スライドドア8に接続されるベルト接続具60と、を有する。
【0020】
ベルト駆動モジュール70は、無端ベルト50をベルトガイド30の長手方向に沿って循環移動させる。ベルト駆動モジュール70は、ベルトモジュール20のベルト駆動モジュール連結ユニット40に組付けられる。
【0021】
車両用スライドドア開閉装置10は、車体2のリアクオータパネル3に取り付けられる前は、ベルトモジュール20と、ベルト駆動モジュール70と、の2つのモジュールに分割されている。車両用スライドドア開閉装置10は、車体2のリアクオータパネル3に取り付ける際、ベルトモジュール20を車外側からリアクオータパネル3に取り付けた後、リアクオータパネル3の車内側からベルト駆動モジュール70をベルトモジュール20のベルト駆動モジュール連結ユニット40に組み付ける。
【0022】
(ベルトモジュール)
まず、ベルトモジュール20を構成するベルトガイド30、ベルト駆動モジュール連結ユニット40、無端ベルト50、及びベルト接続具60について、
図3~
図4、及び
図6~
図15を参照しながら説明する。
【0023】
図3及び
図4に示すように、ベルトガイド30は、センターレール90cの直線部91の上部で、センターレール90cの直線部91に沿って前後方向略水平に略直線状に延在する直線ガイド部301と、直線ガイド部301の前端から連続的に、センターレール90cの湾曲部92の上部で、センターレール90cの湾曲部92に沿って車内側に湾曲しながら略水平に前方に延在する湾曲ガイド部302と、を有する。
【0024】
図6に示すように、ベルトガイド30は、前端部30aから後端部30bに亘って直線ガイド部301及び湾曲ガイド部302に設けられたガイド壁部311と、底壁部312と、車外側上壁部313と、車内側上壁部314と、を有する。ガイド壁部311は、ベルトガイド30の前端部30aから後端部30bに亘って上下方向に延在する。底壁部312は、ベルトガイド30の前端部30aから後端部30bに亘って、ガイド壁部311の下端部311dから車内側に向かって延在する。車外側上壁部313は、ガイド壁部311の上端部311uから車外側に向かって延在する。車内側上壁部314は、ガイド壁部311の上端部311uと下端部311dとの間、本実施形態ではガイド壁部311の上下方向略中央部分から、車内側に向かって延在する。
【0025】
図3及び
図6に示すように、ベルトガイド30の前端部30aには、前反転プーリ321が支持されている。前反転プーリ321は、回転軸が上下方向となる向きで回転自在にベルトガイド30に支持されている。前反転プーリ321は、無端ベルト50が掛け回されることで、ベルトガイド30の前端部30aで、ベルトガイド30の長手方向における無端ベルト50の移動方向を反転させる。ベルトガイド30の前端部30aには、前ブラケット300aが連結されている。前ブラケット300aは、前反転プーリ321の回転軸を中心に回動可能にベルトガイド30に連結されるとともに、ボルト等の締結部材により車体2に固定される。
【0026】
図4及び
図6に示すように、ベルトガイド30の後端部30bには、後反転プーリ322が支持されている。後反転プーリ322は、回転軸が上下方向となる向きで回転自在にベルトガイド30に支持されている。後反転プーリ322は、無端ベルト50が掛け回されることで、ベルトガイド30の後端部30bで、ベルトガイド30の長手方向における無端ベルト50の移動方向を反転させる。ベルトガイド30の後端部30bには、後ブラケット300bが連結されている。後ブラケット300bは、後反転プーリ322の回転軸を中心に回動可能にベルトガイド30に連結されるとともに、ボルト等の締結部材により車体2に固定される。
【0027】
図6に戻って、ベルトガイド30には、無端ベルト50に対して所定の張力を付与する複数のテンションプーリ33が支持されている。本実施形態では、テンションプーリ33は、直線ガイド部301の前後方向略中央に配置されたテンションプーリ331と、ベルトガイド30の湾曲ガイド部302の後端部近傍に配置されたテンションプーリ332と、ベルトガイド30の長手方向においてテンションプーリ332と前反転プーリ321との間に配置されたテンションプーリ333と、を有する。テンションプーリ331、332、333はいずれも、ガイド壁部311よりも車内側で、回転軸が略上下方向となる向きで回転自在にベルトガイド30に支持されている。
【0028】
ベルトガイド30の車内側上壁部314には、車内側に突出してテンションプーリ331の上面を覆う上壁側突出支持部314aが設けられている。ベルトガイド30の底壁部312には、車内側に突出してテンションプーリ331の下面を覆う底壁側突出支持部312aが設けられている。テンションプーリ331は、上端部が車内側上壁部314の上壁側突出支持部314aでベルトガイド30に支持されており、下端部が底壁部312の底壁側突出支持部312aでベルトガイド30に支持されている。
【0029】
ベルトガイド30の車内側上壁部314には、車内側に突出してテンションプーリ332の上面とテンションプーリ333の上面とを覆う上壁側突出支持部314bが設けられている。ベルトガイド30の底壁部312には、車内側に突出してテンションプーリ332の下面とテンションプーリ333の下面とを覆う底壁側突出支持部312bが設けられている。上壁側突出支持部314bは、テンションプーリ332の上面からテンションプーリ333の上面に亘ってベルトガイド30の長手方向に沿って車内側に湾曲して延在している。底壁側突出支持部312bは、テンションプーリ332の下面からテンションプーリ333の下面に亘ってベルトガイド30の長手方向に沿って車内側に湾曲して延在している。テンションプーリ332及びテンションプーリ333は、上端部が車内側上壁部314の上壁側突出支持部314bでベルトガイド30に支持されており、下端部が底壁部312の底壁側突出支持部312bでベルトガイド30に支持されている。
【0030】
ベルトガイド30には、所定の張力を付与して無端ベルト50を車内側に迂回させる前後一対の迂回プーリ34が支持されている。前後一対の迂回プーリ34は、ベルトガイド30の長手方向において、テンションプーリ331とテンションプーリ332との間であり、直線ガイド部301の前端部近傍に配置されている。前後一対の迂回プーリ34は、いずれも回転軸が上下方向となる向きで回転自在にベルトガイド30に支持されている。
【0031】
ベルトガイド30の車内側上壁部314には、車内側に突出して前後一対の迂回プーリ34の上面を覆う上壁側突出支持部314cが設けられている。ベルトガイド30の底壁部312には、車内側に突出して前後一対の迂回プーリ34の下面を覆う底壁側突出支持部312cが設けられている。前後一対の迂回プーリ34は、上端部が車内側上壁部314の上壁側突出支持部314cでベルトガイド30に支持されており、下端部が底壁部312の底壁側突出支持部312cでベルトガイド30に支持されている。
【0032】
ベルトガイド30には、ベルトガイド30を貫通する水抜孔35が、ベルトガイド30の長手方向に沿って複数設けられている。水抜孔35の詳細については、後述する。
【0033】
図7~
図9に示すように、ベルト駆動モジュール連結ユニット40は、リアクオータパネル3の挿入孔6を車外側から覆うようにベルトガイド30に固定される組付座41と、組付座41の下部から車内側に突出するように設けられており、無端ベルト50の一部がベルトガイド30に設けられた迂回プーリ34から車内側に迂回して内部を通る迂回部42と、を有する。
【0034】
組付座41は、リアクオータパネル3の挿入孔6(
図2参照)の孔形状に沿った略矩形状である。前後方向に延びる鉛直な平面状を有する下部41dと、下部の上端から車外側に屈曲し、上方に向かって車外側に傾斜して前後方向に延びる平面状を有する上部41uと、を有する。
【0035】
組付座41は、第1ボルト挿通孔411aと、第2ボルト挿通孔411bと、ガイドピン412と、矩形孔413と、を有する。前述したように、組付座41は、略矩形状の組付座41における上方に向かって車外側に傾斜して前後方向に延びる上部41uを有している。第1ボルト挿通孔411aは、車幅方向から見て、上部41uの前下隅部と後下隅部とに前後一対設けられた車幅方向に貫通する孔である。第2ボルト挿通孔411bは、車幅方向から見て、上部41uの前上隅部と後上隅部とに前後一対設けられた車幅方向に貫通する孔である。ガイドピン412は、組付座41の車外側の面に形成された突起である。本実施形態では、ガイドピン412は、組付座41の車外側の面において、上下方向中央よりも上方で、前後方向略中央の位置に設けられている。矩形孔413は、車幅方向に貫通する孔である。本実施形態では、矩形孔413は、車幅方向から見て、上下方向よりも前後方向に長い略角丸矩形状を有し、上辺が組付座41の上下方向略中央で前後方向に延びている。
【0036】
迂回部42は、ベルトガイド30から車内側に迂回した無端ベルト50が内部を通る迂回部ケース421を備える。迂回部ケース421は、組付座41の車外側の面に沿って延在し、組付座41の車外側の面に当接する当接座部421aと、当接座部421aから組付座41の矩形孔413と、リアクオータパネル3の挿入孔6とを挿通して組付座41の車内側に突出し、上面及び車外側の側面が開口した薄板箱状の収容部421bと、を有する。迂回部42の迂回部ケース421は、樹脂で形成されており、当接座部421aと収容部421bとは、一体に成形されている。
【0037】
迂回部42は、収容部421bの上面の開口部分を覆う天板422をさらに備える。
【0038】
迂回部ケース421の当接座部421aには、車幅方向に貫通する前後一対の第1ボルト挿通孔421cと、車幅方向に貫通する前後一対の第2ボルト挿通孔421dと、が設けられている。前後一対の第1ボルト挿通孔421cは、組付座41に設けられた前後一対の第1ボルト挿通孔411aと重なる位置にそれぞれ設けられている。前後一対の第2ボルト挿通孔421dは、組付座41に設けられた前後一対の第2ボルト挿通孔411bと重なる位置にそれぞれ設けられている。前後一対の第1ボルト挿通孔421cの内周面には、それぞれ雌ねじ筒423cが嵌合されている。
【0039】
迂回部ケース421の当接座部421aに設けられた前後一対の第2ボルト挿通孔421dには、車外側から不図示のボルトが挿通する。第2ボルト挿通孔421dを挿通するボルトは、組付座41に設けられた第2ボルト挿通孔411bと、リアクオータパネル3に設けられた不図示の挿通孔と、を挿通して、リアクオータパネル3の車内側で、不図示のナットに螺合する。そして、迂回部ケース421の当接座部421aと、組付座41と、リアクオータパネル3とが、ボルト及びナットによって共締めされる。これにより、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41及び迂回部ケース421は、車体2のリアクオータパネル3に固定される。
【0040】
迂回部ケース421の収容部421bの車内側の端面には、車内側に突出した突出部421eが形成されている。突出部421eには、上下方向に貫通する第3ボルト挿通孔421fが設けられている。第3ボルト挿通孔421fの内周面には、雌ねじ筒423fが嵌合されている。
【0041】
迂回部42の収容部421bと天板422とによって囲まれた空間には、駆動プーリ43と、前述したベルトガイド30に支持された前後一対の迂回プーリ34と、が収容されている。
【0042】
ベルトガイド30に支持された前後一対の迂回プーリ34は、上下方向から見て、収容部421bの車外側の側面の開口部分から車外側に一部が突出するようにして、収容部421bの車外側の側面の開口部分の前部と後部とに配置されている。
【0043】
駆動プーリ43は、上下方向から見て、前後一対の迂回プーリ34よりも車内側で、収容部421bの略中央に配置されている。駆動プーリ43は、収容部421bの底面と天板422とによって、回転軸が上下方向となる向きで回転自在に支持されている。本実施形態では、駆動プーリ43は、前後方向において、駆動プーリ43の回転軸が前後一対の迂回プーリ34の回転軸の間に位置するように配置されている。駆動プーリ43は、上下方向に延びる軸部43aを有する。軸部43aは、駆動プーリ43の回転軸を中心軸とする中空の略円筒形状を有する。軸部43aの中空の内周面には、内歯セレーションが設けられている。
【0044】
駆動プーリ43は、ベルト駆動モジュール70の後述する回転電機71の動力によって回転駆動する。
【0045】
天板422は、駆動プーリ43の軸部43aを露出させ、駆動プーリ43の軸部43a以外の部分の収容部421bの上方を覆っており、迂回部ケース421にボルト止めされている。
【0046】
図3~
図4、及び
図6~
図8に示すように、無端ベルト50は、ベルトガイド30の長手方向に沿って内側面に歯部が形成された環状の歯付ベルトである。無端ベルト50の内側面に形成された歯部は、ベルトガイド30の長手方向に対して略垂直な方向(すなわち上下方向)に延在する山部及び谷部がベルトガイド30の長手方向に沿って交互に配列されることによって形成されている。
【0047】
無端ベルト50は、前反転プーリ321及び後反転プーリ322に掛け回され、ベルトガイド30の長手方向に沿って、上下方向から見て、ベルトガイド30のガイド壁部311を取り囲んで循環する。ベルトガイド30のガイド壁部311は、長手方向から見て、無端ベルト50の車外側を移動する部分の車内側の側方を覆っており、且つ、無端ベルト50の車内側を移動する部分の車外側の側方を覆っている。また、ベルトガイド30の底壁部312は、無端ベルト50の車内側を移動する部分の下方を覆っている。
【0048】
無端ベルト50は、テンションプーリ33及び前後一対の迂回プーリ34の車外側、すなわち、ベルトガイド30のガイド壁部311とテンションプーリ33及び前後一対の迂回プーリ34との間を通るように掛け回される。無端ベルト50は、前後一対の迂回プーリ34の間で車内側に迂回して、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の駆動プーリ43に掛け回される。
【0049】
無端ベルト50は、テンションプーリ33によって所定の張力が付与され、車内側に弛むことなくベルトガイド30の長手方向に沿って掛け回される。無端ベルト50は、前後一対の迂回プーリ34によって所定の張力が付与された状態で車内側に迂回して、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の駆動プーリ43に掛け回される。
【0050】
無端ベルト50は、駆動プーリ43がベルト駆動モジュール70の後述する回転電機71の動力によって回転駆動することによって、ベルトガイド30の長手方向に沿って、上下方向から見て、ベルトガイド30のガイド壁部311を取り囲んで循環移動する。
【0051】
図10及び
図11に示すように、ベルト接続具60は、無端ベルト50と、スライドドア8のセンターガイドローラユニット80cとを互いに接続する。ベルト接続具60の上部は、無端ベルト50の車外側を移動する部分に固定される。ベルト接続具60の下部は、スライドドア8のセンターガイドローラユニット80cのベース部81に連結する。
【0052】
ベルト接続具60は、無端ベルト50を車幅方向に挟み込む車外側の第1ブラケット61及び車内側の第2ブラケット62と、を有する。
【0053】
第1ブラケット61は、無端ベルト50の外側面と対向する挟持部611と、挟持部611から下方に延在する下方延在部612と、下方延在部612の下端部から車外側に屈曲して車外側に延在する車外側延在部613と、を有する。下方延在部612には、車幅方向に貫通する前後一対の挿通孔612aが設けられている。車外側延在部613には、上下方向に貫通する前後一対のボルト挿通孔613aが設けられている。スライドドア8のセンターガイドローラユニット80cのベース部81は、ボルト挿通孔613aを挿通する締結ボルトによって第1ブラケット61に固定される。
【0054】
第2ブラケット62は、無端ベルト50の内側面と対向する噛合部621と、噛合部621から下方に延在する下方延在部622と、下方延在部622の下端部から車内側に屈曲して車内側に延在する車内側延在部623と、を有する。噛合部621には、無端ベルト50の内側面と対向する面に歯部621aが形成されている。下方延在部622には、第1ブラケット61の挿通孔612aと重なる位置で車幅方向に貫通する前後一対の挿通孔622aが設けられている。車内側延在部623は、スライドドア8のセンターガイドローラユニット80cのベース部81に上方から当接する。
【0055】
ベルト接続具60は、第2ブラケット62の噛合部621に設けられた歯部621aを無端ベルト50の内側面に形成されている歯部と噛み合わせて、第1ブラケット61の挟持部611と第2ブラケット62の噛合部621とで無端ベルト50を挟み込む。そして、第1ブラケット61と第2ブラケット62とは、第1ブラケット61の下方延在部612と第2ブラケット62の下方延在部622とが対向し、第1ブラケット61の挿通孔612aと第2ブラケット62の挿通孔622aを挿通するリベット等の締結部材によって共締めされる。これにより、ベルト接続具60は、強固に無端ベルト50に固定される。
【0056】
このようにして、ベルト接続具60及びセンターガイドローラユニット80cを介して、無端ベルト50とスライドドア8とは互いに接続する。これにより、無端ベルト50が上方から見て時計回りに循環移動すると、無端ベルト50に固定されたベルト接続具60が前方に移動するので、ベルト接続具60及びセンターガイドローラユニット80cを介して無端ベルト50に接続されたスライドドア8は、前方、すなわち閉方向へ移動する。さらに、無端ベルト50が上方から見て反時計回りに循環移動すると、無端ベルト50に固定されたベルト接続具60が後方に移動するので、ベルト接続具60及びセンターガイドローラユニット80cを介して無端ベルト50に接続されたスライドドア8は、後方、すなわち開方向へ移動する。
【0057】
(ベルトガイドの水抜孔)
図6に戻って、前述したように、ベルトガイド30には、ベルトガイド30を貫通する水抜孔35が、ベルトガイド30の長手方向に沿って複数設けられている。
【0058】
図6及び
図12に示すように、水抜孔35は、テンションプーリ331の回転軸を挟んで、ベルトガイド30の長手方向、すなわち前後方向に並んで設けられた一対の第1水抜孔351と、前後一対の迂回プーリ34それぞれの回転軸を挟んで、ベルトガイド30の長手方向、すなわち前後方向に並んで設けられた二対の第2水抜孔352と、前側の第1水抜孔351と最後方の第2水抜孔352との間に、ベルトガイド30の長手方向、すなわち前後方向に並んで設けられた4つの第3水抜孔353と、最前方の第2水抜孔352とテンションプーリ332との間に設けられた第4水抜孔354と、テンションプーリ332とテンションプーリ333との間に設けられた第5水抜孔355と、を有する。
【0059】
図13に示すように、ベルトガイド30の長手方向に沿って設けられた水抜孔35は、いずれもガイド壁部311と底壁部312とに跨がる位置に形成され、ガイド壁部311と底壁部312とを貫通する。
図13では、第2水抜孔352がガイド壁部311と底壁部312とに跨がる位置に形成され、ガイド壁部311と底壁部312とを貫通することを示している。本実施形態では、第1水抜孔351~第5水抜孔355は、いずれもガイド壁部311と底壁部312とに跨がる位置に形成され、ガイド壁部311と底壁部312とを貫通する。
【0060】
ベルトガイド30は、無端ベルト50の車内側を移動する部分の下方を覆う底壁部312を有するので、無端ベルト50が下方に撓んでしまった場合でも、無端ベルト50は、ベルトガイド30の底壁部312に接触して支持されるため、センターレール90cには接触しない。これにより、無端ベルト50が下方に撓んでしまった場合でも、ベルトガイド30の下方に上下方向に大きな空間を設ける必要なく無端ベルト50を保護できる。一方、ベルトガイド30の底壁部312の上面には、雨水等の水が溜まりやすい。本実施形態では、ベルトガイド30の底壁部312を貫通する水抜孔35が設けられているので、ベルトガイド30及び無端ベルト50に付着した雨水等の水は、水抜孔35から下方に排出される。このようにして、本実施形態の車両用スライドドア開閉装置10は、無端ベルト50が下方に撓んでしまった場合でも、ベルトガイド30の下方に上下方向に大きな空間を設ける必要なく無端ベルト50を保護することができ、且つ、簡素な構成で、雨水等の水がベルトガイド30に溜まることを防止できる。
【0061】
水抜孔35は、いずれもガイド壁部311と底壁部312とに跨がる位置に形成され、ガイド壁部311と底壁部312とを貫通するので、ベルトガイド30の底壁部312に溜まった雨水等の水が水抜孔35から下方に排出されるとともに、ベルトガイド30のガイド壁部311に付着した雨水等の水も、重力によってガイド壁部311に沿って流下して、底壁部312に回り込まずに水抜孔35から下方に排出される。これにより、ベルトガイド30のガイド壁部311に付着した雨水等の水を、より容易に水抜孔35から排出できる。
【0062】
さらに、ベルトガイド30の底壁部312は、ガイド壁部311の下端部から車内側に向かって延びているので、ガイド壁部311と底壁部312とに跨がる位置に形成され、ガイド壁部311と底壁部312とを貫通する水抜孔35は、下方向及び車外側方向に向かって開口する。したがって、ベルトガイド30及び無端ベルト50に付着した雨水等の水は、水抜孔35から下方向及び車外側方向に向かって排出される。これにより、ベルトガイド30と車体2のリアクオータパネル3との間に雨水等の水が溜まることを防止できる。
【0063】
図12及び
図14に示すように、ベルトガイド30には、一対の第1水抜孔351の間に第1リブ361が形成されている。第1リブ361は、ガイド壁部311と底壁部312とを貫通する第1水抜孔351のガイド壁部311側の端部から底壁部312側の端部に亘って延びている。したがって、第1リブ361は、ベルトガイド30の長手方向から見て、断面が略L字状になっている。
【0064】
そして、テンションプーリ331は、上下方向から見て、少なくとも一部が第1リブ361と重なる位置で、ベルトガイド30に支持されている。
【0065】
テンションプーリ331は、上端部が車内側上壁部314の上壁側突出支持部314aでベルトガイド30に支持されており、下端部が底壁部312の底壁側突出支持部312aでベルトガイド30に支持されているので、強固にベルトガイド30に支持されている。さらに、第1リブ361によってベルトガイド30の剛性が向上し、テンションプーリ331は、上下方向から見て、少なくとも一部が第1リブ361と重なる位置で、ベルトガイド30に支持されているので、テンションプーリ331から受ける荷重によってベルトガイド30が変形することを抑制できる。また、第1リブ361は、一対の第1水抜孔351の間に形成されているので、テンションプーリ331に付着した雨水等の水は、第1リブ361の前後に配置される一対の第1水抜孔351から排出される。このように、本実施形態では、第1リブ361によってベルトガイド30の剛性が向上し、テンションプーリ331から受ける荷重によってベルトガイド30が変形することを抑制しつつ、テンションプーリ331に付着した雨水等の水を一対の第1水抜孔351から確実に排出できる。
【0066】
図12及び
図15に示すように、ベルトガイド30の隣接する第3水抜孔353の間には、第2リブ362が形成されている。第2リブ362は、ガイド壁部311と底壁部312とを貫通する水抜孔35(第1水抜孔351、第2水抜孔352、第3水抜孔353)のガイド壁部311側の端部から水抜孔35の底壁部312側の端部を通って、底壁部312の車内側端部まで延びている。これにより、無端ベルト50が下方に撓んだ場合、無端ベルト50は、第2リブ362に接触して支持される。したがって、無端ベルト50が下方に撓んでしまった場合でも、無端ベルト50は、センターレール90cには接触しない。さらに、本実施形態では、後側の迂回プーリ34とテンションプーリ331との間が、隣接するプーリ間の間隔が最も広く、無端ベルト50が最も下方に撓みやすい部分となる。第2リブ362は、ベルトガイド30の直線ガイド部301に設けられており、後側の迂回プーリ34とテンションプーリ331との間に設けられている。これにより、無端ベルト50が最も下方に撓みやすい部分に第2リブ362を配置して、無端ベルト50がセンターレール90cには接触することをより確実に防止できる。
【0067】
さらに、第2リブ362の上面362uは、ベルトガイド30の底壁部312の上面312uよりも上方に突出している。そして、ベルトガイド30の長手方向、すなわち前後方向における第2リブ362の上面362uの前端部362aは、第2リブ362の前側に隣接する水抜孔35に向かって下方に湾曲している。また、ベルトガイド30の長手方向、すなわち前後方向における第2リブ362の上面362uの後端部362bは、第2リブ362の後側に隣接する水抜孔35に向かって下方に湾曲している。
【0068】
これにより、第2リブ362によって、ベルトガイド30の直線ガイド部301の剛性低下を抑制しつつ、ベルトガイド30及び無端ベルト50に付着した雨水等の水を水抜孔35から下方に排出することができる。さらに、第2リブ362の上面362uに付着した雨水等の水は、水抜孔35に向かって下方に湾曲した前端部362a及び後端部362bから水抜孔35に向かって流れて水抜孔35から排出されるので、第2リブ362の上面362uに付着した雨水等の水を、より確実に水抜孔35から排出できる。このように、ベルトガイド30の直線ガイド部301の剛性低下を抑制しつつ、第2リブ362の上面362uに雨水等の水が溜まることを、より確実に防止できる。具体的には、前端部362a及び後端部362bが水抜孔35に向かって下方に湾曲しているので、第2リブ362の上面362uに付着した雨水等の水は、表面張力によって前後方向に広げられて、水抜孔35に誘導されやすくなる。
【0069】
ベルトガイド30の最後方の第3水抜孔353と前側の第1水抜孔351との間、ベルトガイド30の最前方の第3水抜孔353と最後方の第2水抜孔352との間、及び、最前方の第2水抜孔352と第4水抜孔354との間には、第3リブ363が形成されている。第3リブ363は、ガイド壁部311と底壁部312とを貫通する水抜孔35(第1水抜孔351、第2水抜孔352、第3水抜孔353、第4水抜孔354)のガイド壁部311側の端部から水抜孔35の底壁部312側の端部まで延びている。
【0070】
ベルトガイド30の前側の一対の第2水抜孔352の間、及び、後側の一対の第2水抜孔352の間には、第4リブ364が形成されている。第4リブ364は、ガイド壁部311と底壁部312とを貫通する第2水抜孔352のガイド壁部311側の端部から水抜孔35の底壁部312側の端部まで延びている。
【0071】
前側の迂回プーリ34は、回転軸が、前側の一対の第2水抜孔352の間に形成された第4リブ364の車幅方向における延長線上に位置するように配置されており、後側の迂回プーリ34は、回転軸が、後側の一対の第2水抜孔352の間に形成された第4リブ364の車幅方向における延長線上に位置するように配置されている。
【0072】
したがって、迂回プーリ34に付着した雨水等の水は、一対の第2水抜孔352から排出される。これにより、迂回プーリ34に付着した雨水等の水を一対の第2水抜孔352から確実に排出できる。
【0073】
ベルトガイド30の二対の第2水抜孔352の間、すなわち、前側の一対の第2水抜孔352と後側の一対の第2水抜孔352との間には、第5リブ365が形成されている。第5リブ365は、上下方向において上壁側突出支持部314cから底壁側突出支持部312cに亘って延在し、ガイド壁部311から車内側に突出して上壁側突出支持部314c及び底壁側突出支持部312cの車内側端部まで延びている。
【0074】
これにより、第5リブ365によって、ベルトガイド30における前後一対の迂回プーリ34間の剛性が向上するので、前後一対の迂回プーリ34から受ける荷重によってベルトガイド30が変形することを抑制できる。
【0075】
(ベルト駆動モジュール)
次に、ベルト駆動モジュール70について、
図16~
図18を参照しながら説明する。
【0076】
図16に示すように、ベルト駆動モジュール70は、無端ベルト50を循環移動させる動力を出力する回転電機71と、回転電機71の動力の回転速度を減速して出力する減速機72と、回転電機71及び減速機72を収容するケーシング73と、を有する。
【0077】
図17に示すように、回転電機71は、ケーシング73に固定されている。回転電機71は、不図示のロータ及びステータを有する。回転電機71には、回転電機71から下方に突出し、前述のロータと一体に回転する出力軸711が取り付けられている。出力軸711は、回転電機71から下方に突出した部分の外周面が外歯車状になっている。回転電機71には、不図示の電力線が接続されており、電力線から供給される電力によって、回転電機71のロータと出力軸711とが一体に回転する。
【0078】
減速機72は、第1ギヤ721と、第2ギヤ722と、を備える。第1ギヤ721及び第2ギヤ722は、いずれも回転軸が上下方向となる向きで回転自在にケーシング73に支持されている。
【0079】
第1ギヤ721は、外歯車である大径歯車721aと、大径歯車721aの上面から上方に突出し、大径歯車721aと同軸の外歯車であり大径歯車721aよりも小径の小径歯車721bと、を備える。大径歯車721aは、回転電機71の外歯車状の出力軸711と噛合する。
【0080】
第2ギヤ722は、第1ギヤ721の小径歯車721bよりも大径の外歯車である大径歯車722aと、大径歯車722aの下面から下方に突出し、大径歯車722aの回転軸に沿って延びるセレーション軸722bと、を備える。大径歯車722aは、第1ギヤ721の小径歯車721bと噛合する。セレーション軸722bは、外周面に外歯セレーションが設けられている。
【0081】
図18に示すように、ケーシング73は、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41の車内側に配置される。ケーシング73は、センターケーシング73cと、センターケーシング73cの上面に取り付けられるアッパーケーシング73uと、センターケーシング73cの下面に取り付けられるロアケーシング73dと、を備える。センターケーシング73cは、回転電機71の下部と、第1ギヤ721の小径歯車721bと、第2ギヤ722の大径歯車721aと、を収容する。アッパーケーシング73uは、回転電機71の上部を収容する。ロアケーシング73dは、回転電機71から下方に突出する出力軸711と、第1ギヤ721の大径歯車721aと、第2ギヤ722のセレーション軸722bの上部と、を収容する。セレーション軸722bの下部は、ロアケーシング73dから下方に突出しており、ケーシング73の外部に露出している。
【0082】
アッパーケーシング73uは、センターケーシング73cに設けられた係合爪部にアッパーケーシング73uの係合部が係合してセンターケーシング73cに固定されている。ロアケーシング73dは、センターケーシング73cにボルト止めされて、センターケーシング73cに固定されている。
【0083】
ロアケーシング73dには、車内側に突出する第1脚部731と、下方に突出する前後一対の第2脚部732と、が形成されている。第1脚部731は、迂回部ケース421の突出部421eの上面と対向する位置に配置される。第1脚部731には、車内側に向かって開口する第1切欠溝731aが設けられている。第1切欠溝731aは、迂回部ケース421の突出部421eに設けられた第3ボルト挿通孔421fと重なる位置に設けられている。前後一対の第2脚部732は、組付座41と対向する位置に配置される。前後一対の第2脚部732には、それぞれ第2切欠溝732aが設けられている。前方の第2脚部732に設けられた第2切欠溝732aは、後方に向かって開口しており、前方の第2脚部732に設けられた第2切欠溝732aは、前方に向かって開口している。前後一対の第2脚部732に設けられた第2切欠溝732aは、組付座41に設けられた前後一対の第1ボルト挿通孔411a、及び、迂回部ケース421の当接座部421aに設けられた前後一対の第1ボルト挿通孔421cと重なる位置にそれぞれ設けられている。
【0084】
図16に戻って、第1脚部731に設けられた第1切欠溝731aには、円環状の第1免振部材741が嵌合される。前後一対の第2脚部732に設けられた第2切欠溝732aには、それぞれに円環状の第2免振部材742が嵌合される。
【0085】
第1切欠溝731aに第1免振部材741が嵌合された第1脚部731は、第1ボルト751が上方から第1免振部材741の円環内部を挿通して、迂回部ケース421の第3ボルト挿通孔421fに嵌合した雌ねじ筒423fに螺合することによって、第1免振部材741を介して迂回部ケース421の上面に固定される。
【0086】
第2切欠溝732aに嵌合された第2免振部材742の円環内部には、車内側の斜め上方から第2ボルト752が挿通する。第2ボルト752は、第2免振部材742の円環内部と、リアクオータパネル3に設けられた不図示の挿通孔と、組付座41の第1ボルト挿通孔411aと、を挿通して、迂回部ケース421の当接座部421aに設けられた第1ボルト挿通孔421cに嵌合した雌ねじ筒423c(
図9参照)に螺合する。そして、第2脚部732と、第2免振部材742と、組付座41と、リアクオータパネル3と、迂回部ケース421の当接座部421aとが、第2ボルト752によって共締めされる。これにより、ベルト駆動モジュール70のケーシング73が、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41及び迂回部ケース421に固定されるとともに、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41及び迂回部ケース421と、ベルト駆動モジュール70のケーシング73とが、車体2のリアクオータパネル3に固定される。
【0087】
このようにして、ベルト駆動モジュール70のケーシング73は、第1免振部材741及び第2免振部材742を介して、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41及び迂回部ケース421に固定される。したがって、ベルト駆動モジュール70のケーシング73は、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41及び迂回部ケース421とは直接接触せずに固定される。これにより、ベルト駆動モジュール70で生じる振動等が、車体2及びベルトモジュール20に伝わることを防止でき、車体2及びベルトモジュール20で生じる振動等が、ベルト駆動モジュール70に伝わることを防止できる。
【0088】
ベルト駆動モジュール70のケーシング73が、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の組付座41及び迂回部ケース421に固定されることによって、ベルト駆動モジュール70は、ベルト駆動モジュール連結ユニット40に固定される。ベルト駆動モジュール70がベルト駆動モジュール連結ユニット40に固定された状態において、ベルト駆動モジュール70の第2ギヤ722のセレーション軸722bに設けられた外歯セレーションは、ベルト駆動モジュール連結ユニット40の駆動プーリ43の軸部43aの内周面に設けられた内歯セレーションに係合する(
図17参照)。
【0089】
このように、ベルト駆動モジュール連結ユニット40にベルト駆動モジュール70が連結されることによって、回転電機71の動力が、出力軸711から減速機72の第1ギヤ721に伝達され、第1ギヤ721及び第2ギヤ722によって減速されて、第2ギヤ722のセレーション軸722bからベルト駆動モジュール連結ユニット40の駆動プーリ43に伝達され、駆動プーリ43は、回転電機71の動力によって回転駆動する。
【0090】
本実施形態では、回転電機71が正転駆動して、出力軸711が上方から見て時計回りに回転すると、駆動プーリ43は、上方から見て時計回りに回転駆動して、無端ベルト50を上方から見て時計回りに循環移動させる。これにより、無端ベルト50に固定されたベルト接続具60が前方に移動するので、ベルト接続具60及びセンターガイドローラユニット80cを介して無端ベルト50に接続されたスライドドア8は、前方、すなわち閉方向へ移動する。このようにして、車両用スライドドア開閉装置10は、ベルト駆動モジュール70において、回転電機71を正転駆動させることによって、スライドドア8を閉方向へ移動させる。
【0091】
また、回転電機71が逆転駆動して、出力軸711が上方から見て反時計回りに回転すると、駆動プーリ43は、上方から見て反時計回りに回転駆動して、無端ベルト50を上方から見て反時計回りに循環移動させる。これにより、無端ベルト50に固定されたベルト接続具60が後方に移動するので、ベルト接続具60及びセンターガイドローラユニット80cを介して無端ベルト50に接続されたスライドドア8は、後方、すなわち開方向へ移動する。このようにして、車両用スライドドア開閉装置10は、ベルト駆動モジュール70において、回転電機71を逆転駆動させることによって、スライドドア8を閉方向へ移動させる。
【0092】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0093】
例えば、本実施形態では、第2リブ362は、ガイド壁部311と底壁部312とを貫通する水抜孔35(第1水抜孔351、第2水抜孔352、第3水抜孔353)のガイド壁部311側の端部から水抜孔35の底壁部312側の端部を通って、底壁部312の車内側端部まで延びているものとしたが、水抜孔35のガイド壁部311側の端部から水抜孔35の底壁部312側の端部まで延びているものでもよい。すなわち、第2リブ362は、水抜孔35の底壁部312側の端部と底壁部312の車内側端部との間には形成されていなくてもよい。
【0094】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0095】
(1) 略水平方向に長手方向が延在するように車体(車体2)に取り付けられるベルトガイド(ベルトガイド30)と、
前記ベルトガイドの前記長手方向の一端部(前端部30a)及び他端部(後端部30b)に掛け回された無端ベルト(無端ベルト50)と、
前記無端ベルトに固定され、スライドドア(スライドドア8)に接続されるベルト接続具(ベルト接続具60)と、
前記無端ベルトを前記ベルトガイドの前記長手方向に沿って循環移動させるベルト駆動モジュール(ベルト駆動モジュール70)と、を備える、車両用スライドドア開閉装置(車両用スライドドア開閉装置10)であって、
前記ベルトガイドは、前記無端ベルトの少なくとも一部の下方を覆う底壁部(底壁部312)を有し、
前記ベルトガイドには、前記ベルトガイドの前記底壁部を貫通する水抜孔(水抜孔35)が設けられている、車両用スライドドア開閉装置。
【0096】
(1)によれば、ベルトガイドは、無端ベルトの少なくとも一部の下方を覆う底壁部を有するので、無端ベルトが下方に撓んでしまった場合でも、ベルトガイドの下方に上下方向に大きな空間を設ける必要なく無端ベルトを保護できる。さらに、ベルトガイドには、ベルトガイドの底壁部を貫通する水抜孔が設けられているので、ベルトガイド及び無端ベルトに付着した雨水等の水は、水抜孔から下方に排出される。これにより、無端ベルトが下方に撓んでしまった場合でも、ベルトガイドの下方に上下方向に大きな空間を設ける必要なく無端ベルトを保護することができ、且つ、簡素な構成で、雨水等の水がベルトガイドに溜まることを防止できる。
【0097】
(2) (1)に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルトガイドには、前記無端ベルトに対して所定の張力を付与するテンションプーリ(テンションプーリ331)が、回転軸が略上下方向となる向きで回転自在に支持されており、
前記ベルトガイドは、
前記ベルトガイドの前記長手方向に沿って設けられた複数の前記水抜孔と、
隣接する前記水抜孔の間に形成された第1リブ(第1リブ361)と、を有し、
前記テンションプーリは、上端部及び下端部が前記ベルトガイドに支持され、
前記テンションプーリは、上下方向から見て、少なくとも一部が前記第1リブと重なる位置で、前記ベルトガイドに支持されている、車両用スライドドア開閉装置。
【0098】
(2)によれば、テンションプーリは、上端部及び下端部がベルトガイドに支持されているので、強固にベルトガイドに支持される。さらに、第1リブによってベルトガイドの剛性が向上し、テンションプーリは、上下方向から見て、少なくとも一部が第1リブと重なる位置で、ベルトガイドに支持されているので、テンションプーリから受ける荷重によってベルトガイドが変形することを抑制できる。また、第1リブは、隣接する水抜孔の間に形成されているので、テンションプーリに付着した雨水等の水を水抜孔から確実に排出できる。
【0099】
(3) (1)又は(2)に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルトガイドは、
前記ベルトガイドの前記長手方向に沿って設けられた複数の前記水抜孔と、
隣接する前記水抜孔の間に形成された第2リブ(第2リブ362)と、を有し、
前記第2リブの上面(上面362u)は、前記ベルトガイドの前記底壁部よりも上方に突出しており、
前記ベルトガイドの前記長手方向における前記第2リブの前記上面の一端部(前端部362a)及び他端部(後端部362b)は、前記水抜孔に向かって下方に湾曲している、車両用スライドドア開閉装置。
【0100】
(3)によれば、第2リブによって、ベルトガイドの剛性低下を抑制しつつ、ベルトガイド及び無端ベルトに付着した雨水等の水を水抜孔から下方に排出することができる。さらに、第2リブの上面に付着した雨水等の水は、水抜孔に向かって下方に湾曲した一端部及び他端部から水抜孔に向かって流れて水抜孔から排出されるので、第2リブの上面に付着した雨水等の水を、より確実に水抜孔から排出できる。
【0101】
(4) (1)~(3)のいずれかに記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルトガイドは、前記ベルトガイドの前記長手方向から見て、前記無端ベルトの少なくとも一部の側方を覆うガイド壁部(ガイド壁部311)を有し、
前記水抜孔は、前記ベルトガイドの前記ガイド壁部と前記底壁部とに跨がる位置に形成され、前記ベルトガイドの前記ガイド壁部と前記底壁部とを貫通する、車両用スライドドア開閉装置。
【0102】
(4)によれば、水抜孔は、ガイド壁部と底壁部とに跨がる位置に形成され、ガイド壁部と底壁部とを貫通するので、ベルトガイドの底壁部に溜まった雨水等の水が水抜孔から下方に排出されるとともに、ベルトガイドのガイド壁部に付着した雨水等の水も、重力によってガイド壁部に沿って流下して、底壁部に回り込まずに水抜孔から下方に排出される。これにより、ベルトガイドのガイド壁部に付着した雨水等の水を、より容易に水抜孔から排出できる。
【0103】
(5) (4)に記載の車両用スライドドア開閉装置であって、
前記ベルトガイドの前記底壁部は、前記ベルトガイドの前記ガイド壁部の下端部(下端部311d)から車内側に向かって延びている、車両用スライドドア開閉装置。
【0104】
(5)によれば、ベルトガイドの底壁部は、ベルトガイドのガイド壁部の下端部から車内側に向かって延びているので、ガイド壁部と底壁部とに跨がる位置に形成され、ガイド壁部と底壁部とを貫通する水抜孔は、下方向及び車外側方向に向かって開口する。したがって、ベルトガイド及び無端ベルトに付着した雨水等の水は、水抜孔から下方向及び車外側方向に向かって排出される。これにより、ベルトガイドと車体との間に雨水等の水が溜まることを防止できる。
【符号の説明】
【0105】
2 車体
8 スライドドア
10 車両用スライドドア開閉装置
30 ベルトガイド
30a 前端部(一端部)
30b 後端部(他端部)
311 ガイド壁部
311d 下端部
312 底壁部
331 テンションプーリ
35 水抜孔
361 第1リブ
362 第2リブ
362a 前端部(一端部)
362b 後端部(他端部)
362u 上面
50 無端ベルト
60 ベルト接続具
70 ベルト駆動モジュール