(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】塗布具用液体収容部材
(51)【国際特許分類】
B43K 7/02 20060101AFI20241126BHJP
B32B 15/12 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B43K7/02
B32B15/12
(21)【出願番号】P 2020214552
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000145987
【氏名又は名称】株式会社昭和丸筒
(73)【特許権者】
【識別番号】305013770
【氏名又は名称】日本紙通商株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】花谷 沙希
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】稲川 祐一
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-96845(JP,A)
【文献】特開2020-29037(JP,A)
【文献】特開昭62ー70097(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0407100(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 1/00-1/12
5/00-8/24
A45D 33/04
B32B 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材の内層と、前記内層の外表面側に形成され、金属層またはシリカ蒸着層である中間層とを備える紙基材積層体と、前記中間層の外表面側に形成された、紙基材からなる外層とからなる少なくとも三層を有し、
前記紙基材積層体をスパイラル状に巻き付けた構造、および、前記中間層の外表面側に前記紙基材からなる外層をスパイラル状に巻き付けた構造を有し、かつ、
前記内層と中間層との間、および、前記中間層と外層との間の少なくとも一方に、ポリオレフィン樹脂を含む接着剤の層を有することを特徴とする塗布具用液体収容部材。
【請求項2】
前記紙基材積層体の幅方向の長さが4~20mmである、請求項1に記載の塗布具用液体収容部材。
【請求項3】
前記内層の紙基材の密度が0.8g/cm
3以上である、請求項1または2に記載の塗布具用液体収容部材。
【請求項4】
前記内層の紙基材が、グラシン紙、パーチメント紙またはバルカナイズドファイバーであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の塗布具用液体収容部材。
【請求項5】
塗布具用液体収容部材の長手方向に沿って、
前記紙基材積層体をその隣接面同士を重ならないように接触させてスパイラル状に巻いた構造および
前記紙基材からなる外層をその隣接面同士を接触させてスパイラル状に巻いた構造を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の塗布具用液体収容部材。
【請求項6】
前記紙基材積層体を二組以上有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の塗布具用液体収容部材。
【請求項7】
前記紙基材積層体同士の接触箇所と、
前記紙基材からなる外層同士の接触箇所とが、塗布具用液体収容部材の長手方向に沿って1mm以上かつ前記紙基材積層体または前記紙基材からなる外層の幅の2分の1以下離れている、請求項1~6のいずれか一項に記載の塗布具用液体収容部材。
【請求項8】
筆記用具用紙製リフィルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の塗布具用液体収容部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックに代えて紙基材を使用した、環境への影響を低減させた塗布具用液体収容部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ボールペンなどの筆記具用インク収容管(以下、「リフィル」ともいう。)は、その一端部(前端部)を、筆記部材であるボールペンチップもしくはボールペンチップを支持する中継部材に、圧入嵌合することにより、筆記具の軸筒中に収容されている。
【0003】
そして、インク収容管には、成形の容易性とインク量の視認性を確保するために、従来から、例えば、ポリプロピレンなどの透明もしくは半透明のプラスチックが用いられている。
【0004】
ところで、近年において海洋に流出するマイクロプラスチックの問題が注目されており、使い捨てを前提としたプラスチックの使用を控えるなど、地球環境問題に対する取り組みの気運が高まっている。
【0005】
筆記具を構成する各部品についても、脱プラスチックに着目した提案がなされており、特許文献1では、紙を基材として、これにバリア性を有する合成樹脂やアルミニウムなどの金属を積層した複合材を用い、これをスパイラル成形してなる軸筒を備えた筆記具が開示されている。
【0006】
この筆記具に用いられる軸筒は、耐水性やガスバリア性を向上させるため、軸筒の外面側から、裏面がクラフト紙からなるアルミ箔ラベル紙、およびライナー紙を二層重ねた後、さらに内面にポリエチレン層、次いでアルミ蒸着膜を外側に持つポリエステル膜を積層した構造を有している。
【0007】
この軸筒によると、紙基材を含む複合材を用いることで、耐内容物性および耐久性を維持しながら低公害化を達成し得る筆記具を提供することができる。
【0008】
一方、特許文献2では、生分解性樹脂により成形された収容管基体の内側に、他の樹脂層を一層または二層以上形成してなる多層構造のインク収容管を用いた水性インク収容部材が提案されている。
【0009】
これによると、生分解性樹脂により成形された収容管基体は、水性インクで膨潤して寸法変化を起こすことがなく、また、時間の経過と共に生分解されるので、廃棄処理量の少量化に貢献することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開昭62-70097号公報
【文献】特開2001-146091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記したように、生分解性樹脂や紙基材を用いた製品は低公害化に適しており、とりわけパルプまたは紙を含む素材を基材として用いれば、プラスチックの代替材料となり得る環境問題に配慮した製品を提供できると考えられる。
【0012】
本発明は、前記した観点に沿ってなされたものであり、ポリプロピレンなどのプラスチックを用いて成形していたインク等の液体収容管を、紙基材を含む材料に置き換えることにより、脱プラスチックを図ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の塗布具用液体収容部材は、紙基材の内層と、前記内層の外表面側に形成され、金属層またはシリカ蒸着層である中間層とを備える紙基材積層体と、前記中間層の外表面側に形成された、紙基材からなる外層とからなる少なくとも三層を有し、前記紙基材積層体をスパイラル状に巻き付けた構造、および、前記中間層の外表面側に前記紙基材からなる外層をスパイラル状に巻き付けた構造を有し、かつ、前記内層と中間層との間、および、前記中間層と外層との間の少なくとも一方にポリオレフィン樹脂を含む接着剤の層を有することを特徴とする。
【0014】
前記紙基材積層体の幅方向の長さは4~20mmであることが好ましい。
前記内層の紙基材の密度は0.8g/cm3以上であることが好ましい。
前記内層の紙基材は、グラシン紙、パーチメント紙またはバルカナイズドファイバーであることが好ましい。
【0015】
前記塗布具用液体収容部材は、塗布具用液体収容部材の長手方向に沿って、前記紙基材積層体をその隣接面同士が重ならないように接触させてスパイラル状に巻いた構造および前記紙基材からなる外層をその隣接面同士を接触させてスパイラル状に巻いた構造を有することが好ましい。
前記塗布具用液体収容部材は、前記紙基材積層体を二組以上有することが好ましい。
【0016】
前記紙基材積層体同士の接触箇所と、前記紙基材からなる外層同士の接触箇所とは、塗布具用液体収容部材の長手方向に沿って1mm以上かつ前記紙基材積層体または前記紙基材からなる外層の幅の2分の1以下離れていることが好ましい。
前記塗布具用液体収容部材は、筆記用具用紙製リフィルであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、紙基材積層体において、内層と中間層との間、および、中間層と外層との間の少なくともいずれかをポリオレフィン樹脂接着剤、またはポリオレフィン樹脂と他の樹脂とを含む接着剤で貼り合わせることで、塗布具用液体収容部材の層間が密着し、液体収容部材の外部にインクが漏出するのを抑えることができる。インクの漏出を抑えるには、幅広の紙基材積層体を用いて、紙基材積層体同士の継ぎ目4同士の間隔、および、外層の継ぎ目4’同士の間隔を広くすることがさらに効果的である。
よって、本発明によれば、プラスチックの使用量を低減した、環境への影響を低減させた塗布具用液体収容部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の塗布具用液体収容部材の平面図(a)およびA-A矢視断面図(b)である。
【
図2】
図2は、本発明の塗布具用液体収容部材を構成する内層、中間層および外層の三層構造において、内層および中間層の間に接着剤層を有する形態(2a)、中間層および外層の間に接着剤層を有する形態(2b)、ならびに内層、中間層および外層の間に接着剤層を有する形態(2c)を表す図である。
【
図3】
図3は、本発明の塗布具用液体収容部材を構成する紙基材積層体の多層構造[紙基材積層体(内層1+接着剤層5+中間層2)、接着剤層5、内層1、接着剤層5、内層1、接着剤層5、紙基材積層体(中間層2+接着剤層5+内層1)、接着剤層5、外層3、接着剤層5、外層3]の形態(3a)、ならびに多層構造[紙基材積層体(内層1+接着剤層5+中間層2)、接着剤層5、紙基材積層体(内層1+接着剤層5+中間層2)、接着剤層5、外層3、接着剤層5および外層3]の形態(3b)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の塗布具用液体収容部材について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
本発明の塗布具用液体収容部材10(以下単に「液体収容部材10」ともいう。)は、紙基材の内層1と、前記内層1の外表面側に形成され、金属層またはシリカ蒸着層である中間層2とを備える紙基材積層体と、前記中間層2の外表面側に形成された、紙基材からなる外層3とからなる少なくとも三層を有し、前記紙基材積層体を内層1が内側になるようにスパイラル状に巻き付けた構造、および、前記中間層2の外表面側に前記紙基材からなる外層をスパイラル状に巻き付けた構造を有し、かつ、前記内層1と中間層2との間、および、前記中間層2と外層3との間の少なくとも一方にポリオレフィン樹脂を含む接着剤の層を有する。
【0020】
前記液体収容部材10は、液体と接触する内層1と、中間層2と、外層3との少なくとも三層とを有し、かつ、前記内層1と中間層2との間、および、中間層2と外層3との間の少なくとも一方にポリオレフィン樹脂を含む接着剤の層5(以下単に「接着剤層5」という。)を有する。
図1cは、前記内層1と中間層2との間、および、中間層2と外層3との間の両方に接着剤層5を有する形態を表している。このような三層構造のうち、内層1および中間層2は、紙基材の表面に金属層またはシリカ蒸着層を積層させた複合材である紙基材積層体である。前記のとおり、紙基材積層体には接着剤層5が介在してもよい。
【0021】
内層1を構成する紙基材としては、上質紙、中質紙、片艶紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、晒クラフト紙、板紙、白板紙、ライナー、微塗工紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、グラシン紙、パーチメント紙、およびバルカナイズドファイバー等の各種公知のものが使用可能である。
これらの紙基材の密度は0.8g/cm3以上であることが好ましい。密度0.8g/cm3以上の紙基材を使用することにより、充分な耐水性や耐油性を付与することができる。
内層1を構成する紙基材は、グラシン紙、パーチメント紙またはバルカナイズドファイバーでかつ、密度0.8g/cm3以上であるものがより好ましい。
【0022】
グラシン紙は、高密度で透明性の高い紙であり、バージンパルプを高度に叩解して比表面積を大きくして抄紙し、抄紙した紙をスーパーキャレンダーで処理し、緻密化すると共にセルロース繊維同士の結合を強化したものである。本発明では、坪量が20~50g/m2のグラシン紙が用いられる。グラシン紙を内層1を構成する紙基材として用いることにより、耐水性や耐油性を付与することが容易となる。また、坪量が20~50g/m2のグラシン紙を基紙としてその片面または両面に、ポリビニルアルコール水溶液等の塗工液を塗工したものを用いてもよい。グラシン紙の厚さは、通常20~50μm、好ましくは20~30μmである。
【0023】
パーチメント紙およびバルカナイズドファイバーは、製造過程における濃硫酸や塩化亜鉛溶液による処理により、セルロース繊維同士の直接的な結合を強化したもの、すなわち、セルロース繊維の間のセルロースの水素結合の密度を増加したものである。よって、パーチメント紙およびバルカナイズドファイバーを、内層1を構成する紙基材として用いれば、紙粉の発生を効果的に抑えることができる。
【0024】
パーチメント紙には、例えば、坪量が20~100g/m2のものを用い、好ましくは、紙および板紙の吸水度試験方法(コッブ法)に準拠して水に替えて鉱物油を使用した場合の吸油度が13g/m2以下となるように耐油性を高めたものを用いる。パーチメント紙の厚さは、通常20~100μm、好ましくは20~60μmである。
【0025】
バルカナイズドファイバーは、製造過程における反応性の違いから、パーチメント紙に比べて厚手にすることが容易である。したがって、紙基材として厚紙が必要な場合に適している。バルカナイズドファイバーの厚さは、液体収容部材10形成後の紙管部分の圧縮強度や、製造時の扱い易さを考慮すると、通常0.08~1mm、好ましくは0.1~0.5mmである。また、バルカナイズドファイバーの密度は、一般的な紙管原紙に比べて高く、通常0.8~1.4g/cm3であり、本発明において、紙管部分の強度や入手しやすさを考慮すると、0.8~1.3g/cm3が好ましい。
【0026】
また、パーチメント紙およびバルカナイズドファイバーには、樹脂含浸処理またはガラスコーティング処理を施してもよい。前記処理を施すことによって、セルロース繊維同士の結合がより強化され、これらの紙を、内層1を構成する紙基材として用いた場合にも、紙粉の発生を抑えることができる。
【0027】
中間層2は金属層またはシリカ蒸着層である。金属層は、紙基材の片面に、アルミニウム箔等の金属箔を、ポリオレフィン樹脂を含む接着剤で接着してもよいし、アルミニウム、または、アルミニウムおよび亜鉛の合金等を真空下に電子ビーム蒸着して設けてもよい。
【0028】
ここで、本発明で使用するポリオレフィン樹脂を含む接着剤について説明する。ポリオレフィン樹脂を含む接着剤は、一種または二種以上のポリオレフィン樹脂からなる接着剤であってもよいし、該ポリオレフィン樹脂とその他の樹脂とを混合した接着剤であってもよい。
【0029】
ポリオレフィン樹脂は、具体的には、ポリエチレン系アイオノマー、ポリプロピレンアイオノマー、ポリプロピレンエラストマー、ポリエチレンエラストマー、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンなどの他に、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどの変性ポリオレフィン樹脂も含む。これらのうち、ポリプロピレンアイオノマーおよび無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどが好ましい。
【0030】
その他の樹脂には、具体的には、アクリル酸共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)、エポキシ樹脂、カルボジイミド架橋剤、エチレン・酢酸ビニル共重合体またはポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0031】
ポリオレフィン樹脂とその他の樹脂とを混合する場合、接着剤全量中、ポリオレフィン樹脂の割合は60~97重量%程度、好ましくは90~97重量%である。また、ポリオレフィン樹脂とその他の樹脂との合計中、ポリオレフィン樹脂の割合は68~98重量%程度、好ましくは93~98重量%である。
【0032】
本発明のポリオレフィン樹脂を含む接着剤は、ポリオレフィン樹脂、または、ポリオレフィン樹脂およびその他の樹脂の混合物をベースポリマーとする、ディスパージョン型またはエマルション型の樹脂液の形態で使用される。前記樹脂液には、必要に応じて、シランカップリング剤などの添加剤を添加してもよい。これらのうち、接着性および取扱い性に優れる点から、ポリプロピレンアイオノマーおよび無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどのディスパージョン型接着剤が好ましい。
【0033】
ポリオレフィン樹脂を含む接着剤は、内層1と中間層2との間、および、中間層2と外層3との間の少なくとも一方に塗布される。すなわち、
図2に示すように、内層1と中間層2との間に接着剤層5を設けてもよいし(
図2a)、中間層2と外層3との間に接着剤層5を設けてもよいし(
図2b)、内層1、中間層2および外層3の間に接着剤層5を設けてもよい(
図2c)。紙材に対して優れた接着力およびインク耐性を有するポリオレフィン樹脂を含む接着剤を塗布することで、内層1、中間層2および外層3の間を液体収容部材の層間が密着し、液体収容部材10の外部にインクが漏出するのを効果的に防止することができる。ここで、インク耐性とは、インクへの接着剤樹脂成分の溶出を抑制できる程度を表すものである。インク耐性が不十分であると、リフィルの強度低下や揮発減量の増加が起こる。また、インク漏れによるリフィルの外観不良が発生する。ポリオレフィン樹脂を含む接着剤を使用した場合、インクとの相溶性が低いため、インク中にポリオレフィン樹脂が溶け出すことがなく、これらのインク耐性への効果に期待することができる。
【0034】
なお、本発明では、内層1、中間層2および外層3の間のいずれかをポリオレフィン樹脂を含む接着剤で貼り合わせればよく、その他の接着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂系、アクリル樹脂系およびポリビニルアルコールなどの汎用接着剤を併用しても構わない。
【0035】
ポリオレフィン樹脂を含む接着剤は、内層1または中間層2の中央付近に盛り上げるように塗布する。次いで、内層1と中間層2とを押し付けながら接着剤を接着面全面に広げて、接着部に気泡を残さず、接着欠陥部がないように両層を接着する。内層1および中間層2を貼り合わせた後、接着剤が硬化するまで加圧固定する。
【0036】
内層1または中間層2に対してポリオレフィン樹脂を含む接着剤は5~50g/m2程度、好ましくは5~25g/m2の量で塗布する。
【0037】
液体収容部材10の内層1および中間層2は、すべて同厚の紙基材および金属層またはシリカ蒸着層を用いた紙基材積層体で形成してもよいし、異厚の紙基材および金属層またはシリカ蒸着層を用いた紙基材積層体を適宜組み合わせて形成してもよい。
紙基材積層体において、紙基材の厚さと、金属層またはシリカ蒸着層の厚さの割合は、2/1~1200/1程度である。
【0038】
内層1に中間層2を密着させた後、ボビンスリッターなどで4~20mmの幅に裁断することにより、帯状のシートである紙基材積層体が得られる。次いで、前記紙基材積層体を液体収容部材10加工用のマンドレル(紙管製造機)に内層1が内側になるようにスパイラル状に巻き付ける。なお、マンドレルには、内層1、中間層2および外層3を形成した後、マンドレルの引き抜きを容易にするため、あらかじめ適正な潤滑剤で表面を処理しておくか、内層1(紙基材)のマンドレルに巻き付ける側の面に適量の潤滑剤を塗布することが好ましい。その後、外層3を接着するため、外側の中間層2にポリオレフィン樹脂を含む接着剤などの接着剤を塗布する。
【0039】
紙基材積層体は、好ましくは4~20mm幅、5~15mm幅に裁断された帯状シートであることがより好ましい。このような幅広の紙基材積層体を用いてスパイラル巻きをすれば、数多く巻かなくても、必要とされる液体収容部材10の長さに到達でき、結果として、紙基材同士の接触面、すなわち、継ぎ目4の数が少なく、液体収容部材10内に収容された液体の漏出を抑えることができる。
【0040】
中間層2の外側には、さらに紙基材をスパイラル状に巻き付けて外層3を形成する。外層3も、4~20mm幅、具体的には6~15mm幅の紙基材を用いて形成することが好ましい。紙基材積層体と同様、継ぎ目4’の数を少なくすれば、液体収容部材10内の液体の漏出を防止できるからである。
外層3を構成する紙基材には、上記した内層1を構成する紙基材が使用可能である。また、前記ポリオレフィン樹脂を含む接着剤を用いて、中間層2に外層3を貼り付けてもよい。このときのポリオレフィン樹脂を含む接着剤の塗布方法および塗布量も、内層1または中間層2に対する塗布方法および塗布量と同程度である。
【0041】
内層1、中間層2および外層3のそれぞれの厚み(μm)の割合は、通常、20~60:0.025~12:50~200であり、好ましくは20~30:0.025~12:50~200である。
【0042】
紙基材の種類や厚みに応じて、中間層2および外層3の間には、
図3に示すように、内層1がさらに介在してもよい。その場合も、中間層2および内層1、または、内層1および外層3は、ポリオレフィン樹脂を含む接着剤を用いて接着することができる。
【0043】
また、紙基材積層体は二組以上有していてもよく、例えば、
図3に示すように、前記液体収容部材10は、紙基材積層体(内層1+接着剤層5+中間層2)、接着剤層5、内層1、接着剤層5、内層1、接着剤層5、紙基材積層体(中間層2+接着剤層5+内層1)、接着剤層5、外層3、接着剤層5、外層3からなる構造(3a)、または、紙基材積層体(内層1+接着剤層5+中間層2)、接着剤層5、紙基材積層体(内層1+接着剤層5+中間層2)、接着剤層5、外層3、接着剤層5および外層3からなる構造(3b)を有してもよい。前記多層構造において、内層1、中間層2および外層3のそれぞれの厚み(μm)の割合は、内層1、中間層2および外層3を一層ずつ有する三層構造の場合と同様でもよいし、複数ある内層1、中間層2および外層3のそれぞれの厚みは異なっていてもよい。このような多層構造の実施形態に係る液体収容部材10は、液体の漏出や揮発の防止の点で、より好ましい形態である。
【0044】
前記のとおり、液体収容部材10は、該液体収容部材10の長手方向に沿って、紙基材積層体をその隣接面同士が重ならないように接触させてスパイラル状に巻いた構造を有する。この隣接面の重なりは、仮に前記紙基材積層体同士の接触箇所、すなわち、継ぎ目4において隣接面同士が重なるとしても、重なり幅は最大1mmとする。継ぎ目4を重ならないように接触させる、または重なり幅を最大1mmとすることで、継ぎ目4からの液体の漏出を抑えることができる。継ぎ目4において重なり幅が1mmを超えると該重なり部分に段差が生じ、液体の漏出に繋がることがある。
【0045】
前記外層3も紙基材積層体と同様に、その隣接面同士を接触させて巻くことが好ましい。外層3同士の継ぎ目4’と、紙基材積層体同士の継ぎ目4とは、塗布具用液体収容部材の長手方向に沿って1mm以上でかつ前記紙基材積層体または前記外層3の幅の2分の1以下の間隔が離れていることが好ましく、3mm以上でかつ前記紙基材積層体または前記外層3の幅の2分の1以下の間隔が離れていることがより好ましい。なお、外層3同士の継ぎ目4’が多少重なっても、液体の漏出の問題はない。
【0046】
前記のように作製された液体収容部材10は、内層1、中間層2および外層3を形成後、マンドレルを引き抜き、筒状の成形体を、塗布具用の液体収容部材10に必要な所定の長さに切断し、適度な温度および湿度の下、数時間乾燥することにより完成する。
【0047】
得られた液体収容部材10は、通常の紙管などと比べて細径であり、その外径は、通常20mm以下、好ましくは15mm以下、さらに好ましくは10mm以下であり、前記外径の下限は、通常1mm以上、好ましくは2mm以上である。このような細径の液体収容部材は、厳しい寸法精度が要求される。よって、液体収容部材10の外径が小さいほど、紙基材積層体および紙基材からなる外層をスパイラル状に巻くに際して、紙基材積層体をその隣接面同士を重ならないように接触させ、かつ、紙基材からなる外層をその隣接面同士を接触させることが好ましい。
【0048】
液体収容部材10の管厚は、通常0.07~0.6mm、具体的には0.2~0.4mmである。液体収容部材10の管厚を前記範囲とすることにより、充分な量の液体を収容できるとともに、バリア性が向上し、液体の漏れや劣化を抑制することが容易となる。
液体収容部材10は、塗布具内に収容されるため、その大きさには一定の制約があるが、横断面最大長として1~20mm、具体的には3~10mmである。
【0049】
本発明の塗布具は、前記液体収容部材10を備えるものであれば制限はなく、中綿式および直液式の筆記用具でもよいし、アイライナー、マスカラおよびコンシーラーなどの化粧道具でもよい。
【0050】
筆記用具の場合、ペン先は筆毛、軟筆および硬筆など、いずれでもよい。より具体的には万年筆、ボールペン、マーキングペン、フェルトペン、修正具および筆ペンなどが挙げられる。このとき、液体収容部材10に収容されるインクの種類は、水性(ゲル)インクおよび油性インクのいずれでもよく、ペンの用途を考慮すれば、ボールペン用、加圧ボールペン用、またはマーキングペン用などのインクが挙げられる。
本発明では、塗布具が筆記用具であり、前記液体収容部材10が筆記用具用紙製リフィルであると、本発明の効果が有意に発揮されるため好ましい。
【実施例】
【0051】
[実施例1]
[塗布具用液体収容部材の製造]
厚さ25μmのグラシン紙(坪量25g/m2、密度1.0g/cm3)と厚さ6.5μmのアルミニウム箔とをポリオレフィン樹脂を含む接着剤ケミパールS500 三井化学(株)製で貼り合わせた接着層厚さ6.5μmで合計厚さが38μmの貼合紙を、ボビンスリッターで13mm幅に裁断した。
短冊形の貼合紙の外側層であるアルミニウム箔側に、ロール型アプリケーターを用いて、前記ポリオレフィン樹脂を含む接着剤を12g/m2塗布し、紙管製造機(ラングストン)のマンドレルの外周面にグラシン紙が内側になるように一重にスパイラル巻きした。
次いで、ボビンスリッターで13mm幅に裁断した、厚さ66μmのコート紙(坪量85g/m2)を、貼合紙外側層であるアルミニウム箔上に一重にスパイラル巻きした。
このとき、貼合紙およびコート紙は、それぞれ、その隣接面同士を重ねず、突き当てるように巻いた。また、貼合紙同士の接触箇所とコート紙同士の接触箇所とが長手方向に沿って3mm離れるように巻いた。
得られたスパイラルチューブを長さ89.3mmに断裁し、内径3.8mmの塗布具用液体収容部材を得た。前記液体収容部材を紙管1とした。
【0052】
[塗布具用液体収容部材の評価]
(1)揮発減量の測定
得られた紙管1に下記処方で調製した塗布液1を0.7g充填し、さらにポリブテンを約10mmの長さに充填して塗布液の後端を封止した。
<塗布液1> (全量100質量%)
スピロンバイオレットC-RH [保土ヶ谷化学工業(株)製] 8%
スピロンイエローC-GNH [保土ヶ谷化学工業(株)製] 5%
Printex#35 [デグッサジャパン(株)製] 8%
ポリビニルブチラール BL-1 [積水化学工業(株)製] 4%
ポリビニルブチラール BH-3 [積水化学工業(株)製] 0.7%
ハイラック110H [日立化成(株)製] 10%
SOLSPERSE 28000 [日本ルーブリゾール(株)製] 1%
(酸価:29、重量平均分子量:約3400)
ベンゾトリアゾール 0.5%
3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール 62.8%
【0053】
次いで、前記封止部とは反対側の液体収容部材端部にステンレス鋼製の栓を圧入した。両端を塞いだ紙管1を横向きで50℃10%RHの環境下に10日間静置し、塗布液の減少量から揮発減量(%)を求めた。
紙管1の揮発減量は0.51%であった。
【0054】
(2)曲げ試験
支点間距離を75mmとして、紙管1の中央を曲げくさび治具により30mm/minの速さで押し付け、座屈時の測定値を曲げ強度とした。
紙管1の曲げ強度は1.6Nであった。
【0055】
(3)インク漏れ評価
塗布液1を充填した紙管1を下向きにして50℃で4週間保管した。
下記の評価基準で目視でインク漏れを評価した。
A:インク漏れが確認されない
B:わずかにインク漏れが確認される
C:顕著なインク漏れが確認される
紙管1を用いた場合、インク漏れは確認されず、評価はAである。
【0056】
[比較例1]
[塗布具用液体収容部材の製造]
実施例1において、接着剤として、ケミパールS500に代えて、アクリル酸共重合体(987B ジャパンコーティングレジン株式会社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、液体収容部材を作製した。前記液体収容部材を紙管9とした。
[塗布具用液体収容部材の評価]
実施例1と同様にして、揮発減量の測定、曲げ試験、およびインク漏れ評価を行った。
紙管9の曲げ強度は1.5N、インク漏れ評価の結果はBであった。一方、揮発減量の測定は、塗布液1が滲み出していたため、意味を持たず、測定不能とした。結果を表1に示す。
【0057】
[比較例2]
[塗布具用液体収容部材の製造]
実施例1において、接着剤として、ケミパールS500に代えて、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA AD-92、昭和電工株式会社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、液体収容部材を作製した。前記液体収容部材を紙管10とした。
[塗布具用液体収容部材の評価]
実施例1と同様にして、揮発減量の測定、曲げ試験、およびインク漏れ評価を行った。
紙管10の曲げ強度は1.2N、インク漏れ評価の結果はCであった。また、揮発減量は、塗布液1が滲み出したため、測定不能とした。結果を表1に示す。
【0058】
[比較例3]
[塗布具用液体収容部材の製造]
実施例1において、接着剤として、ケミパールS500に代えて、酢酸ビニル樹脂(AX-428、昭和電工株式会社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、液体収容部材を作製した。前記液体収容部材を紙管11とした。
[塗布具用液体収容部材の評価]
実施例1と同様にして、揮発減量の測定、曲げ試験、およびインク漏れ評価を行った。
紙管11の曲げ強度は1N、インク漏れ評価の結果はCであった。また、揮発減量は、塗布液1が滲み出したため、測定不能とした。結果を表1に示す。
【0059】
[実施例2]
[塗布具用液体収容部材の製造]
実施例1において、紙管製造機(ラングストン)のマンドレルの外周面に、短冊形の貼合紙を一重ではなく、二重にスパイラル巻きしたこと以外は、実施例1と同様にして液体収容部材を得た。前記液体収容部材を紙管2とした。
[塗布具用液体収容部材の評価]
得られた紙管2に塗布液1を充填し、ポリブテンで後端を封止し、実施例1と同様にして、揮発減量の測定、曲げ試験、およびインク漏れ評価を行った。
紙管2の揮発減量は0.26%、曲げ強度は2.5Nであり、インク漏れ評価の結果はAであった。結果を表1に示す。
【0060】
[比較例4]
[塗布具用液体収容部材の製造]
実施例2において、接着剤として、ケミパールS500に代えて、アクリル酸共重合体(987B ジャパンコーティングレジン株式会社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、液体収容部材を作製した。前記液体収容部材を紙管12とした。
[塗布具用液体収容部材の評価]
得られた紙管12に塗布液1を充填し、ポリブテンで後端を封止し、実施例1と同様にして、揮発減量の測定、曲げ試験、およびインク漏れ評価を行った。結果を表1に示す。
紙管12の曲げ強度は2Nであり、インク漏れ評価の結果はAであったが、揮発減量は2.89%と多かった。
【0061】
[比較例5]
[塗布具用液体収容部材の製造]
実施例2において、接着剤として、ケミパールS500に代えて、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA AD-92、昭和電工株式会社製)を使用したこと以外は、実施例2と同様にして、液体収容部材を作製した。前記液体収容部材を紙管13とした。
[塗布具用液体収容部材の評価]
得られた紙管13に塗布液1を充填し、ポリブテンで後端を封止し、実施例1と同様にして、揮発減量の測定、曲げ試験、およびインク漏れ評価を行った。
紙管13の曲げ強度は1.9Nであった。インク漏れ評価の結果はBとしたが、塗布液1が滲み出したため、測定不能とした。結果を表1に示す。
【0062】
[比較例6]
[塗布具用液体収容部材の製造]
実施例2において、接着剤として、ケミパールS500に代えて、酢酸ビニル樹脂(AX-428、昭和電工株式会社製)を使用したこと以外は、実施例2と同様にして、液体収容部材を作製した。前記液体収容部材を紙管14とした。
[塗布具用液体収容部材の評価]
得られた紙管14に塗布液1を充填し、ポリブテンで後端を封止し、実施例1と同様にして、揮発減量の測定、曲げ試験、およびインク漏れ評価を行った。
紙管14の曲げ強度は1.8N、インク漏れ評価の結果はBであった。一方、揮発減量の測定は、塗布液1が滲み出したため、測定不能とした。結果を表1に示す。
【0063】
【0064】
[実施例3]
[塗布具用液体収容部材の製造]
実施例1において、紙管製造機(ラングストン)のマンドレルの外周面に、短冊形の貼合紙を一重ではなく、二重にスパイラル巻きしたこと以外は、実施例1と同様にして液体収容部材を得た。前記液体収容部材を紙管3とした。
[塗布具用液体収容部材の評価]
実施例1において、塗布液1に代えて、紙管3には塗布液2を充填した以外は、実施例1と同様にして、揮発減量の測定、曲げ試験、およびインク漏れ評価を行った。塗布液2は下記処方で調製した。
【0065】
<塗布液2> (全量100質量%)
FUJI RED 2510 [冨士色素(株)製] 8%
ジョンクリル61J [BASFジャパン(株)製] 6%
キサンタンガム KELSAN S [三晶(株)製] 0.32%
リン酸イソプロピル 0.5%
バイオデン421 [日本曹達(株)製] 0.2%
ベンゾトリアゾール 0.3%
トリエタノールアミン 1.4%
プロピレングリコール 15%
イオン交換水 68.28%
【0066】
紙管3の揮発減量は5.59%、曲げ強度は2.5N、インク漏れ評価の結果は、Aであった。結果を表2に示す。
【0067】
[実施例4]
[塗布具用液体収容部材の製造]
実施例1において、紙管製造機(ラングストン)のマンドレルの外周面に、短冊形の貼合紙を一重ではなく、二重にスパイラル巻きした以外は、実施例1と同様にして液体収容部材を得た。前記液体収容部材を紙管4とした。
[塗布具用液体収容部材の評価]
実施例1において、塗布液1に代えて、紙管4には塗布液3を充填した以外は、実施例1と同様にして、揮発減量の測定、曲げ試験、およびインク漏れ評価を行った。塗布液3は下記処方で調製した。
【0068】
<塗布液3> (全量100質量%)
ビニブランGV5651 [日信化学工業(株)製] 80%
(ポリ酢酸ビニルエマルション;固形分40%)
酸性染料 赤227号 0.22%
黄4号 0.34%
青1号 0.08%
精製水 19.36%
【0069】
紙管4の揮発減量は4.16%、曲げ強度は2.5N、インク漏れ評価の結果は、Aであった。結果を表2に示す。
【0070】
[実施例5]
[塗布具用液体収容部材の製造]
実施例2において、貼合紙として、グラシン紙に代えて、厚さ25μmのパーチメント紙(坪量25g/m2、密度1.0g/cm3)と、厚さ6.5μmのアルミニウム箔とをポリオレフィン樹脂を含む接着剤で貼り合わせたものを用いたこと以外は、実施例2と同様にして、液体収容部材を得た。前記液体収容部材を紙管5とした。
[塗布具用液体収容部材の評価]
実施例1と同様にして、揮発減量の測定、曲げ試験、およびインク漏れ評価を行った。
紙管5の揮発減量は0.42%、曲げ強度は2.2N、インク漏れ評価はAであった。結果を表2に示す。
【0071】
[実施例6]
[塗布具用液体収容部材の製造]
実施例2において、貼合紙として、厚さ25μmのグラシン紙(坪量25g/m2、密度1.0g/cm3)の上に、アルミニウム箔ではなく、厚さ0.4μmのシリカ蒸着層を形成したものを用いたこと以外は、実施例2と同様にして、液体収容部材を得た。前記液体収容部材を紙管6とした。
[塗布具用液体収容部材の評価]
実施例1と同様にして、揮発減量の測定、曲げ試験、およびインク漏れ評価を行った。
紙管6の揮発減量は0.79%、曲げ強度は2.2N、インク漏れ評価はAであった。結果を表2に示す。
【0072】
[実施例7]
[塗布具用液体収容部材の製造]
実施例2において、コート紙の隣接面同士を突き当てるのではなく、1mm重ねて巻いたこと以外は、実施例2と同様にして、液体収容部材を得た。前記液体収容部材を紙管7とした。
[塗布具用液体収容部材の評価]
実施例1と同様にして、揮発減量の測定、曲げ試験、およびインク漏れ評価を行った。
紙管7の揮発減量は0.28%、曲げ強度は2.5N、インク漏れ評価はAであった。結果を表2に示す。
【0073】
[実施例8]
[塗布具用液体収容部材の製造]
実施例2において、貼合紙同士の接触箇所とコート紙同士の接触箇所との間隔を3mmではなく、5mm空けたこと以外は、実施例2と同様にして、液体収容部材を得た。前記液体収容部材を紙管8とした。
[塗布具用液体収容部材の評価]
実施例1と同様にして、揮発減量の測定、曲げ試験、およびインク漏れ評価を行った。
紙管8の揮発減量は0.31%、曲げ強度は2.1N、インク漏れ評価はAであった。結果を表2に示す。
【0074】
【符号の説明】
【0075】
10 塗布具用液体収容部材
1 内層
2 中間層
3 外層
4、4’ 継ぎ目
5 接着剤層